(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20241011BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20241011BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241011BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H05K5/02 A
H05K5/03 B
(21)【出願番号】P 2022172485
(22)【出願日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】藤坂 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶治
(72)【発明者】
【氏名】柳田 弥希
(72)【発明者】
【氏名】冨平 昌吾
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-088969(JP,A)
【文献】特開2017-093198(JP,A)
【文献】特開2020-096429(JP,A)
【文献】特開2012-221883(JP,A)
【文献】特開2011-49014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H05K 5/02
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収容される筐体を備え
、装着対象に装着される電気接続箱であって、
前記装着対象への装着時に前記装着対象と対面する前記筐体
の一壁に、前記電子部品を交換するための交換窓が設けられている電気接続箱。
【請求項2】
前記交換窓を開閉する蓋部を備える請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記一壁と交差する前記筐体の側壁の近傍に設けられ、前記側壁に対する接離方向への前記蓋部の回動を支持するヒンジ部を備える請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記蓋部の全開を抑止するストッパーを備える請求項2又は3に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズ、リレー等の電子部品を備える電気接続箱が車両に搭載されている。
【0003】
電気接続箱は筐体を備えており、例えば、前記筐体は、一面側が開放されて前記電子部品が設けられた第1ケースと、第1ケースの開放された一面側を覆う第2ケースとからなる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如く、電気接続箱には電子部品が収容されており、電子部品に異常が発生した場合は、斯かる電子部品を交換する必要がある。この際、作業者が電気接続箱を電源オフ状態にすることを失念して電子部品の交換作業を行う場合、又は、何らかの理由によって、電気接続箱が電源オン状態のまま電子部品の交換作業を行う場合も想定され得る。この場合には、作業者が感電するおそれがある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る電気機器は、電子部品の交換作業の際における感電のおそれについては考慮しておらず、解決できない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子部品の交換作業の際における感電の発生を抑止できる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態に係る電気接続箱は、電子部品が収容される筐体を備え、前記筐体の一壁から装着対象に装着される電気接続箱であって、前記筐体の前記一壁に、前記電子部品を交換するための交換窓が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子部品の交換作業の際における感電の発生を抑止できる電気接続箱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態に係る電気接続箱の平面図及び側面図である。
【
図4】実施形態に係る電気接続箱の底面斜視図である。
【
図5】実施形態に係る電気接続箱において蓋部を閉じた状態の交換部を示す拡大図である。
【
図6】実施形態に係る電気接続箱において蓋部を開けた状態の交換部を示す拡大図である。
【
図8】
図5のVIII-VIII線による縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、電子部品が収容される筐体を備え、前記筐体の一壁から装着対象に装着される電気接続箱であって、前記筐体の前記一壁に、前記電子部品を交換するための交換窓が設けられている。
【0013】
本実施形態にあっては、前記交換窓が装着対象と接する前記一壁に設けられているため、前記電子部品を交換する際には装着対象から電気接続箱を取り外す必要がある。また、装着対象から電気接続箱を取り外し際、自然な操作として作業者が斯かる電気接続箱の電源をオフにする。従って、電子部品の交換作業の際における感電の発生を事前に防止できる。
【0014】
(2)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記交換窓を開閉する蓋部を備える。
【0015】
本実施形態にあっては、前記交換窓が常時開状態になることで電子部品の露出状態が続くことが、前記蓋部によって防止される。従って、何らかの原因によって電気接続箱がオン状態のまま電子部品の交換作業が行われる場合でも、作業者の指先が前記交換窓を介して電子部品に触れることを抑止できる。
【0016】
(3)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記一壁と交差する前記筐体の側壁の近傍に設けられ、前記側壁に対する接離方向への前記蓋部の回動を支持するヒンジ部を備える。
【0017】
本実施形態にあっては、前記蓋部は前記ヒンジ部を回動軸として、前記側壁に対する接離方向に回動し、前記交換窓を開閉する。即ち、閉状態の前記蓋部は前記側壁に接近する方向に回動して開状態となり、開状態の前記蓋部は前記側壁から離隔する方向に回動して閉状態となる。
【0018】
(4)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記蓋部の全開を抑止するストッパーを備える。
【0019】
本実施形態にあっては、閉状態の前記蓋部が回動して開状態になる際、前記蓋部が全開の状態に至る前に、前記ストッパーによって回動が阻止される。この場合、前記蓋部は電気接続箱から外側に出張っているので、電子部品の交換作業を行う作業者が前記交換窓の近傍の側壁を把持することを妨げる。従って、作業者は前記交換窓から離れた部分を把持することになり、作業者の指先が前記交換窓を介して電子部品に触れることを抑止できる。
【0020】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
図1は、実施形態に係る電気接続箱100の斜視図であり、
図2は、実施形態に係る電気接続箱100の平面図及び側面図であり、
図3は、実施形態に係る電気接続箱100の分解図であり、
図4は、実施形態に係る電気接続箱100の底面斜視図である。
図2Aは電気接続箱100の平面図であり、
図2Bは電気接続箱100の側面図である。
【0022】
電気接続箱100は、例えば、EV(Electric Vehicle)の電池パック200(
図2参照)のような対象物の外側に取り付けられる。
図2Bでは、説明の便宜上、電気接続箱100が電池パック200に取り付けられた状態を示している。
【0023】
電気接続箱100は、例えば、ヒューズ、基板等が収容された筐体50を備えている。筐体50は、扁平であり、平面視長方形であって、4か所の凸隅が面取りされている。筐体50は、例えば、樹脂からなり、前記対象物に取り付けられるロウアーケース30と、ロウアーケース30を覆うアッパーケース20とからなる。以下、説明の便宜上、アッパーケース20側を上とし、ロウアーケース30側を下として説明する。
【0024】
ロウアーケース30は、アッパーケース20側の一面が開放されて開放部36が形成された箱体の形状をなす。また、アッパーケース20は、ロウアーケース30側の一面が開放された箱体の形状をなす。アッパーケース20は、前記長さ方向の寸法と、前記長さ方向と直交する幅方向の寸法とがロウアーケース30よりも少し大きく、ロウアーケース30の開放部36を覆っている。
【0025】
ロウアーケース30は、外側面313が前記対象物に接する底壁31(一壁)と、底壁31の縁からアッパーケース20側に垂直に延設された側壁33とを有する。また、ロウアーケース30の底壁31では、前記長さ方向の両端部に凹部32が形成されている。凹部32は、アッパーケース20の後述する締結部23に対応する位置に形成されている。
【0026】
詳しくは、ロウアーケース30の両端部の両隅に、凹部32が夫々形成されている。各凹部32は平面視で円弧形状であり、各凹部32にて側壁33が湾曲しており、凹隅は面取りされている(
図3参照)。
【0027】
アッパーケース20は、ロウアーケース30の底壁31と対向する天井壁21と、天井壁21の縁から、ロウアーケース30の底壁31側に垂直に延設された側壁22とを有する。
【0028】
天井壁21の外側面211には、他装置との接続のための各種の接続部212が複数個所に設けられている。また、天井壁21の外側面211の略中央部に、リレー400用の装着座213が複数設けられており、リレー400が装着座213に夫々装着されている。
【0029】
更に、アッパーケース20は、前記長さ方向の両端部に、筐体50(電気接続箱100)を前記対象物へ取り付けるための締結部23が設けられている。即ち、アッパーケース20においては、長さ方向の両端部の両隅に、夫々締結部23が設けられている。
【0030】
各締結部23は、底壁31と対向する天井壁21の内側面214に突設されており、側壁22の近傍に設けられている。
また、天井壁21の内側面214には、複数の内側リブ25が突設されている(
図8及び
図9参照)。複数の内側リブ25は板形状である。
【0031】
各締結部23は樹脂製であって有底筒形状を有しており、天井壁21側が開放されている。また、各締結部23の底には、筐体50を前記対象物に取り付ける際に用いられる固定貫通孔231が形成されている(
図4参照)。前記対象物から締結部23の固定貫通孔231内にネジ(図示せず)を挿通させて締結部23内に設けられたナット(図示せず)に螺合させることによって、筐体50(電気接続箱100)を前記対象物に取り付けることができる。
【0032】
そして、電気接続箱100の筐体50には、後述するヒューズ60(電子部品)が収容されており、ヒューズ60が切れた場合にヒューズ60の交換に使用するための交換部40が、ロウアーケース30の底壁31に設けられている。交換部40は、ヒューズ60を着脱するための交換窓41と、交換窓41を開閉する蓋部42と、蓋部42の回動を支持するヒンジ部80とを有している。
【0033】
図5は、実施形態に係る電気接続箱100において蓋部42を閉じた状態の交換部40を示す拡大図であり、
図6は、実施形態に係る電気接続箱100において蓋部42を開けた状態の交換部40を示す拡大図であり、
図7は、交換部40の蓋部42の正面図及び背面図であり、
図8は、
図5のVIII-VIII線による縦断面図であり、
図9は、
図6のIX-IX線による縦断面図である。
【0034】
交換部40は、ロウアーケース30において、底壁31の縁部、即ち、側壁33の近傍であって、ヒューズ60の真下に設けられている。
【0035】
ヒューズ60は、円筒状のヒューズ本体62を有する。ヒューズ本体62は、例えばガラス又はセラミックからなり、内側にはヒューズエレメント(図示せず)が配置されている。ヒューズ本体62の両端はキャップ621によってそれぞれ覆われている。各キャップ621は導電性金属からなり、有底円筒形状をなす。
【0036】
また、ヒューズ60は、ネジ70にて筐体50内に止められるための一対の固定脚61を有している。各固定脚61は略長方形の金属片からなり、ヒューズ本体62の軸心方向に延びている。一対の固定脚61は互いに平行である。各固定脚61は、ヒューズ本体62の両端部に夫々配置されており、他固定脚61側縁に連設された連結板611を介してキャップ621に連結されている。各固定脚61の先端は、対応するキャップ621の先端よりも、ヒューズ本体62の軸心方向にはみ出ている。
【0037】
例えば、各固定脚61はキャップ621と同じ材料からなる。各固定脚61において、ヒューズ本体62から遠方の一端側には、固定脚61を厚み方向に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。各固定脚61の前記貫通孔にネジ70を挿通させて、筐体50側のネジ穴(図示せず)と螺合させることによって、ヒューズ60が筐体50内に固定される。
【0038】
各固定脚61は、ヒューズ本体62寄りの他端の縁に、連結板611が上側に延設されている。即ち、連結板611は、一端が固定脚61の他端に連設されており、他端がキャップ621の外周面に連設されている。連結板611同士はヒューズ本体62の軸心方向にて対向している。
【0039】
連結板611は、固定脚61と同じ材料の金属片からなる。例えば、固定脚61及び連結板611が一体形成されても良く、固定脚61、連結板611及びキャップ621が一体形成されても良い。
【0040】
交換窓41は、底壁31を厚み方向に貫通しており、側壁33に沿って延びる、平面視略角丸長方形を成している。交換窓41の両長辺のうち、側壁33から遠方の長辺には、中間部が側壁33から遠ざかる方向に突出されて、矩形突出部411が形成されている。矩形突出部411は、側壁33に沿って延びている。交換窓41の辺縁部は、底壁31の外側面313から上側に突出している。
【0041】
また、上述の如く、交換窓41の真上には、ヒューズ60が取り外し可能にネジ70を用いて取り付けられている。
【0042】
交換窓41の矩形突出部411には、後述する蓋部42の係合爪424に対応する被係合板35が設けられている。被係合板35は、矩形突出部411と略等しい大きさを有している。また、被係合板35は、側壁33寄りの長辺の中間部に、蓋部42が閉状態である場合、係合爪424と係合する被係合爪351が側壁33に向けて突出されている(
図6,
図8及び
図9参照)。
【0043】
交換窓41において側壁33側の長辺に係る辺縁部は、中間部が側壁33側に凹んで凹部が形成されている。斯かる凹部は側壁33に沿って延びており、前記凹部にヒンジ部80が設けられている。ヒンジ部80は、蓋部42に連結された回動軸425と、回動軸425を受けて支持する軸受部43とを含む。
【0044】
軸受部43は、2つであり、側壁33に沿って、所定間隔を隔てて設けられている。各軸受部43は、側壁33から所定間隔を離れて設けられており、対向する2つの矩形板部を有し、縦断面視でU字形状を成している。また、軸受部43は、開放側、即ち先端部が下方を向いている。軸受部43の前記2つの矩形板部は、側壁33の厚み方向に所定間隔を隔てて対向している。各軸受部43の前記2つの矩形板部の間に、回動軸425が介在している。
【0045】
また、各軸受部43は、回動軸425が軸受部43から抜けることを防止する抜け防止突起431を2つ有している。抜け防止突起431は、前記2つの矩形板部の先端部における対向面に夫々突設されている。即ち、各軸受部43の先端部には、2つの抜け防止突起431が向き合うように設けられている。
【0046】
即ち、回動軸425は、両端部が、夫々、軸受部43によって回転可能に支持されている。なお、回動軸425については、後で詳しく説明する。
【0047】
蓋部42は、
図7に示すように、略角丸長方形の形状を成している。蓋部42は、交換窓41を開閉する蓋421と、回動軸425及び蓋421を連結させる連結部426と、蓋部42(蓋421)の閉状態を維持するための把持部423とを有している。
【0048】
蓋421は、閉状態にてヒューズ60と面する内側面が外側に凸曲している凹形状を成している。蓋421の前記内側面には、蓋421の強度を高めるためのリブ427が設けられている。
【0049】
蓋421の両長辺の内、側壁33寄りの一方の長辺には、中間部に、側壁33に沿って延びる切り欠きが形成されており、前記切り欠きの内側に連結部426が設けられている。蓋421には、連結部426を介して、回動軸425が連結されている。連結部426は略板形状であり、閉状態にてヒューズ60と面する内側面は扁平であり、該内側面と反対側の外側面には凹部428が形成されている。
【0050】
回動軸425は、側壁33に沿って延びる丸棒形状を成しており、軸心方向における中間部に連結部426が連設されている。回動軸425は、上述の如く、軸受部43に両端部が回転可能に支持されている。回動軸425及び軸受部43はヒンジ部80を構成する。
【0051】
蓋421の両長辺の内、他方の長辺には、中間部に、2つの突出部422が形成されている。各突出部422は、蓋421の2つの長辺の対向方向(以下、幅方向と称する)に、前記他方の長辺から突出している。2つの突出部422は、前記他方の長辺に沿って所定間隔を隔てて設けられており、2つの突出部422の間には、把持部423が設けられている。把持部423は、蓋421の幅方向にて連結部426と対応する位置に設けられている。
【0052】
把持部423は、断面視略U字形状に屈曲した板材部であり(
図6,
図8,
図9参照)、一端部が蓋421の前記他方の長辺に連設され、他端部は前記他方の長辺から遠ざかる方向に隔てて配置されている。把持部423の他端部には貫通孔が形成されている。把持部423の他端部は、前記幅方向に、突出部422よりもはみ出ている。
また、把持部423では、前記他端部の近傍に、蓋部42が閉状態である場合に被係合板35の被係合爪351と係合する係合爪424が突設されている。
【0053】
そして、2つの軸受部43の間には、側壁33の近傍に、蓋部42の回動を所定範囲内に制限するストッパー44が設けられている。ストッパー44は、前記幅方向において、連結部426と対応する位置に設けられている。また、ストッパー44は、略ブロック形状であり、下端部の内側(又は蓋部42側)の縁部が切り欠かれ、凹隅がR面取りされて、当接部441が形成されている(
図8及び
図9参照)。換言すれば、ストッパー44は、外側の部分が下側に突出して突出部442を形成している。回動軸425が軸受部43に支持された状態で、回動軸425の中間部がストッパー44の当接部441上に載置される。
【0054】
以上のように、本実施形態の蓋部42が、側壁33寄りの一方の長辺に連設された連結部426を介して、ヒンジ部80の回動軸425に連結されている。また、回動軸425は、軸受部43によって回転可能に支持されている。よって、蓋部42は、回動軸425周りを回動できる(
図8の矢印参照)。即ち、蓋部42は、底壁31に対する接離方向、又は側壁33(側壁22)に対する接離方向に回動し、ヒンジ部80は、蓋部42の回動を支持する。換言すれば、蓋部42は、底壁31及び側壁33(側壁22)の間を円弧状軌跡に沿って可動し、斯かる回動によって交換窓41を開閉する(
図8参照)。
【0055】
例えば、ヒューズエレメントが切れておらず、ヒューズ60が正常であり、蓋部42が閉状態である場合、把持部423の係合爪424と、被係合板35の被係合爪351とが係合しており、蓋部42の閉状態が維持される(
図8参照)。
【0056】
一方、ヒューズエレメントが切れた場合など、ヒューズ60が異常である場合は、作業者はヒューズ60を交換する必要がある。しかし、上述の如く、交換窓41がロウアーケース30の底壁31に設けられているので、ヒューズ60の交換のためには、作業者は、電気接続箱100を、取り付けられた対象物(電池パック200)から取り外す必要がある。電気接続箱100を取り外す場合、作業者は、当然、電気接続箱100を電源オフの状態にする。
【0057】
従って、本実施形態の電気接続箱100は、ヒューズ60の交換作業の際に、感電の事故が発生することを未然に防止できる。
【0058】
また、ヒューズ60の交換作業の際、電気接続箱100を取り外した作業者は、蓋部42の把持部423を摘まんで、把持部423の他端部を蓋421側に押し付ける。これによって、把持部423の係合爪424と、被係合板35の被係合爪351との係合が解除される。係合爪424と被係合爪351との係合が解除されると、作業者は、蓋部42を開ける。即ち、作業者は、蓋部42を、底壁31から遠ざかる方向、又は側壁33(側壁22)に接近する方向に回動させる。これによって、蓋部42が開状態になった場合、交換窓41を介してヒューズ60が露出される(
図9参照)。よって、作業者は、ネジ70を外してヒューズ60を取り出し、交換することができる。
【0059】
このように、本実施形態の電気接続箱100は、交換窓41を開閉する蓋部42を有しているので、ヒューズ60が常時外部に露出されることはない。よって、何らかの理由により電気接続箱100が通電状態のまま、ヒューズ60の交換作業が行われる場合においても、感電の事故が発生することを抑止できる。
更に、係合爪424及び被係合爪351の係合によって、蓋部42の閉状態が維持されているので、ヒューズ60の外部への露出が一層制限され、上述した感電事故の抑止効果を更に高めることができる。
【0060】
そして、本実施形態の電気接続箱100では、蓋部42の回動軸425が側壁33(側壁22)の近傍に設けられ、かつ側壁33(側壁22)に沿って延びている。従って、蓋部42は底壁31及び側壁33(側壁22)の間を円弧状軌跡に沿って可動する(
図8の矢印参照)。蓋部42が、底壁31から遠ざかる方向、又は側壁33(側壁22)に接近する方向に回動する際、所定範囲以上に蓋部42が回動することをストッパー44が抑止する。例えば、閉状態である場合に蓋部42が底壁31に対して0度であるとしたとき、ストッパー44によって、開状態である場合の蓋部42の角度(以下、開け角度)が120度を超えることが制限される。即ち、蓋部42の最大開け角度は120度である。
【0061】
例えば、前記開け角度が120度になるまで、作業者が蓋部42を回動させた場合、蓋部42の連結部426に設けられた凹部428の内側面にストッパー44の突出部442の先端が突き当たる(
図9の破線円の部分参照)。よって、それ以上、蓋部42が側壁33側に回動することが制限される。即ち、蓋部42が側壁33(側壁22)へより接近する方向に回動して全開状態になることが防止される。ここで、全開とは、蓋部42の開け角度は180度を超える状態である。
【0062】
本実施形態の電気接続箱100においては、このように、蓋部42が所定範囲を超えて回動し、開け角度が120度を超えることを制限し、蓋部42が全開状態になることが防止できるので、上述した感電事故の抑止効果をより高めることができる。
【0063】
即ち、何らかの理由により電気接続箱100が通電状態のまま、ヒューズ60の交換作業が行われる場合、作業者が側壁22(側壁33)側から電気接続箱100を把持することが想定される。この際、作業者が、側壁22であって、交換部40の近傍を把持した場合は、作業者の指先が交換窓41を介して筐体50内に入り、ヒューズ60に触れるおそれがある。
【0064】
これに対して、本実施形態の電気接続箱100では、上述の如く、蓋部42の開け角度が制限され、120度の角度で蓋部42の回動が停止される(
図9参照)。即ち、120度の角度にて蓋部42の回動が停止された状態で作業者がヒューズ60の交換作業を行う。この場合、蓋部42は底壁31及び側壁22の間にて筐体50から外側に出張っているので、蓋部42によって、作業者の把持動作が邪魔され、交換部40の近傍にて側壁22を把持し難くなる。よって、把持位置を変え、蓋部42(交換窓41)から離れた場所を把持するよう作業者を誘導する効果を奏する。このような効果は、蓋部42が全開した場合、即ち、蓋部42の開け角度が180度よりも大きい場合は、蓋部42が側壁22に近づく程、即ち蓋部42の開け角度が大きい程、期待できなくなる。
【0065】
本実施形態の電気接続箱100では、上述の如く、蓋部42の開け角度が120度を超えないように制限して蓋部42の全開を防止することによって、作業者が側壁22側から電気接続箱100を把持する際に作業者の指先が交換窓41を介して筐体50内に入ることを最大限抑止できる。
【0066】
以上においては、蓋部42の最大開け角度が120度である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、蓋部42の最大開け角度が120度~180度程度になるように構成しても良い。蓋部42の最大開け角度が180度である場合も上述と同様の効果が得られる。
【0067】
また、以上においては、交換部40が一箇所にのみ設けられた場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、複数個所に設けられても良い。
【0068】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0069】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0070】
20 アッパーケース
21 天井壁
22,33 側壁
23 締結部
25 内側リブ
30 ロウアーケース
31 底壁(一壁)
32 凹部
35 被係合板
36 開放部
40 交換部
41 交換窓
42 蓋部
43 軸受部
44 ストッパー
50 筐体
60 ヒューズ
61 固定脚
62 ヒューズ本体
70 ネジ
80 ヒンジ部
100 電気接続箱
200 電池パック
211 外側面
212 接続部
213 装着座
214 内側面
231 固定貫通孔
313 外側面
351 被係合爪
400 リレー
411 矩形突出部
421 蓋
422 突出部
423 把持部
424 係合爪
425 回動軸
426 連結部
427 リブ
428 凹部
431 抜け防止突起
441 当接部
442 突出部
611 連結板
621 キャップ