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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241011BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20241011BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20241011BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241011BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L23/50 S
H01L23/50 R
H01L25/04 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022204489
(22)【出願日】2022-12-21
(62)【分割の表示】P 2018209394の分割
【原出願日】2018-11-07
(65)【公開番号】P2023029412
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】藤井 賢治
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0048218(US,A1)
【文献】特開2006-156492(JP,A)
【文献】特開2010-098098(JP,A)
【文献】特開2017-034187(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189692(WO,A1)
【文献】特開2010-098156(JP,A)
【文献】特開2007-208082(JP,A)
【文献】米国特許第07045883(US,B1)
【文献】特開2006-157061(JP,A)
【文献】特開2018-093001(JP,A)
【文献】国際公開第2013/133085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 23/50
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有する導電部材と、
素子本体と、前記素子本体の前記主面に対向する側から前記主面に向けて突出する複数の電極と、を有するとともに、前記複数の電極が前記主面に電気的に接合された半導体素子と、
前記主面と前記複数の電極との双方に接する接合層と、を備え、
前記複数の電極の各々は、前記素子本体に接する基部と、前記基部から前記主面に向けて突出し、かつ前記接合層に接する柱状部と、を有し、
前記接合層は、金属粉体が互いに結合された焼結体であり、
前記導電部材は、前記厚さ方向に対して直交する第1方向に延びるとともに、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の第1リードを含み、
前記半導体素子は、半導体基板と、前記半導体基板の前記主面に対向する側に積層された半導体層と、を有し、
前記半導体層には、スイッチング回路と、前記スイッチング回路に導通する制御回路と、が構成されており、
前記複数の電極は、前記スイッチング回路に導通する複数の第1電極を含み、
前記複数の第1電極の各々は、前記複数の第1リードのいずれかの前記主面に電気的に接合されており、
前記柱状部は、前記主面に対向する先端面と、前記先端面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向を向く側面と、を有し、
前記接合層は、前記先端面および前記側面の双方に接しており、
前記側面は、前記柱状部の内方に向けて湾曲している、半導体装置。
【請求項2】
前記導電部材は、前記複数の第1リードよりも前記第2方向の一方側に位置する複数の第2リードを含み、
前記複数の電極は、前記制御回路に導通する複数の第2電極を含み、
前記複数の第2電極の少なくともいずれかは、前記複数の第2リードのいずれかの前記主面に電気的に接合されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子は、前記素子本体の前記主面に対向する側を覆う表面保護膜を有し、
前記先端面は、前記厚さ方向において前記主面と前記表面保護膜との間に位置する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記表面保護膜は、前記基部および前記柱状部の双方に接している、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記柱状部には、前記先端面から前記素子本体に向けて凹む凹部が形成され、
前記接合層は、前記凹部に接している、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記先端面は、前記主面に向けて膨出する凸状である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基部は、アルミニウムを含む、請求項4ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記基部は、銅を含む、請求項4ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の第1リード、および前記複数の第2リードのそれぞれ一部ずつと、前記半導体素子と、を覆う封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記裏面と同じ側を向く底面と、前記第1方向において互いに離間した一対の第1側面と、を有し、
前記複数の第1リードの各々は、前記第1方向に延びる主部と、前記主部の前記第1方向の両端につながる一対の側部と、を含み、
前記一対の側部の各々は、前記第1方向を向く第1端面を有し、
前記底面から、前記複数の第1リードの各々の前記裏面が露出しており、
前記一対の第1側面の各々から、前記第1端面が前記一対の第1側面のいずれかと面一となるように露出しており、
前記一対の側部の各々の前記第1端面の前記第2方向の寸法は、前記主部の前記裏面の前記第2方向の寸法よりも小さい、請求項2ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記一対の側部の各々には、前記主面から前記裏面に至り、かつ前記第2方向の両側から前記側部の内方に向けて凹むくびれ部が形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記一対の側部の各々には、前記主面から前記裏面に至り、かつ前記第1端面から前記第1方向に凹むとともに、前記第1端面を2つの領域に分断する切込部が形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の第2リードの各々は、前記第2方向を向く第2端面を有し、
前記封止樹脂は、前記第2方向において互いに離間した一対の第2側面を有し、
前記底面から前記複数の第2リードの各々の前記裏面が露出しており、
前記第2方向において前記複数の第2リードから最も近くに位置する前記一対の第2側面のいずれかから、前記第2端面が前記一対の第2側面のいずれかと面一となるように露出している、請求項9ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の第1リードは、前記第2方向において前記複数の第2リードから最も遠くに位置する最遠リードを含み、
前記最遠リードは、前記第2方向において前記複数の第2リードが位置する側とは反対側に前記主部から突出する複数の突出部を含み、
前記複数の突出部の各々は、前記第2方向を向く副端面を有し、
前記第2方向において前記最遠リードから最も近くに位置する前記一対の第2側面のいずれかから、前記副端面が前記一対の第2側面といずれかと面一となるように露出している、請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子が導電部材にフリップチップ接合により導電接合された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子が導電部材(リードなど)にフリップチップ接合により電気的に接合された半導体装置が広く知られている。特許文献1には、そのような半導体装置の一例が開示されている。
【0003】
当該半導体装置においては、導電部材(特許文献1では引き出し配線)に半導体素子(特許文献1では半導体チップ)の複数の電極が接合層(特許文献1では導体バンプ)により電気的に接合されている。なお、半導体素子の複数の電極は、導電部材に対向している。
【0004】
当該接合層は、一般的にハンダが用いられることが多い。たとえば、鉛フリーハンダの融点は217℃であるため、ハンダは、比較的融点が低い導電体である。この場合において、当該半導体装置を長期間使用すると、ハンダを用いた接合層にエレクトロマイグレーション(electromigration)が発生することがある。エレクトロマイグレーションは、比較的融点が低い導電体に発生しやすい。エレクトロマイグレーションは、導電体において移動する電子と金属原子との間で運動量の交換が行われるために、イオンが徐々に移動することにより導電体に空隙などの欠損が生じる現象である。
【0005】
近年における半導体素子の小型化や、半導体素子の内部に構成される回路の高集積化に伴い、半導体素子の複数の電極は、より小型化かつ増加傾向となっている。このような複数の電極と導電部材との接合に用いられる接合層にエレクトロマイグレーションが発生すると、導電部材に対する複数の電極の接合強度の低下や半導体装置の寄生抵抗の増加が無視できない状態となる。なお、エレクトロマイグレーションは、導電体における電流密度が増加することによっても発生しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-85522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、フリップチップ接合に用いられる接合層において、エレクトロマイグレーションの発生を抑制することが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有する導電部材と、素子本体、および前記素子本体の前記主面に対向する側から前記主面に向けて突出する複数の電極を有し、かつ複数の前記電極が前記主面に電気的に接合された半導体素子と、前記主面と複数の前記電極との双方に接する接合層と、を備え、複数の前記電極の各々は、前記素子本体に接する基部と、前記基部から前記主面に向けて突出し、かつ前記接合層に接する柱状部と、を有し、前記接合層は、金属粉体が互いに結合された焼結体であることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記柱状部は、前記主面に対向する先端面と、前記先端面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向を向く側面と、を有し、前記接合層は、前記先端面および前記側面の双方に接している。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記半導体素子は、前記素子本体の前記主面に対向する側を覆う表面保護膜を有し、前記先端面は、前記厚さ方向において前記主面と前記表面保護膜との間に位置する。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記表面保護膜は、前記基部および前記柱状部の双方に接している。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記表面保護膜は、前記柱状部から離間している。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記柱状部には、前記先端面から前記素子本体に向けて凹む凹部が形成され、前記接合層は、前記凹部に接している。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記先端面は、前記主面に向けて膨出する凸状である。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記基部の構成材料は、アルミニウムを含む。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記基部の構成材料は、銅を含む。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記金属粉体は、銀を含む。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記金属粉体は、銅を含む。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記導電部材は、前記厚さ方向に対して直交する第1方向に延び、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の第1リードと、複数の前記第1リードよりも前記第2方向の一方側に位置する複数の第2リードと、を含み、前記半導体素子は、半導体基板と、前記半導体基板の前記主面に対向する側に積層された半導体層と、を有し、前記半導体層には、スイッチング回路と、前記スイッチング回路に導通する制御回路と、が構成され、複数の前記電極は、前記スイッチング回路に導通し、かつ複数の前記第1リードの前記主面に電気的に接合された複数の第1電極と、前記制御回路に導通し、かつ少なくとも一部が複数の前記第2リードの前記主面に電気的に接合された複数の第2電極と、を含む。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、複数の前記第1リードおよび複数の前記第2リードのそれぞれ一部ずつと、前記半導体素子とを覆う封止樹脂をさらに備え、前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記裏面と同じ側を向く底面と、前記底面につながり、かつ前記第1方向において互いに離間した一対の第1側面と、を有し、複数の前記第1リードの各々は、前記第1方向に延びる主部と、前記主部の前記第1方向の両端につながる一対の側部と、を含み、一対の前記側部の各々は、前記主面および前記裏面の双方につながり、かつ前記第1方向を向く第1端面を有し、前記底面から、複数の前記第1リードの前記裏面が露出し、一対の前記第1側面の各々から、前記第1端面が前記第1側面と面一となるように露出し、一対の前記第1端面の前記第2方向の寸法は、前記主部の前記裏面の前記第2方向の寸法よりも小である。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、一対の前記側部の各々には、前記主面から前記裏面 に至り、かつ前記第2方向の両側から前記側部の内方に向けて凹むくびれ部が形成されている。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、一対の前記側部の各々には、前記主面から前記裏面に至り、かつ前記第1端面から前記第1方向に凹むとともに、前記第1端面を2つの領域に分断する切込部が形成されている。
【0023】
本発明の実施において好ましくは、複数の前記第2リードの各々は、前記主面および前記裏面の双方につながり、かつ前記第2方向を向く第2端面を有し、前記封止樹脂は、前記底面および一対の前記第1側面の双方につながり、かつ前記第2方向において互いに離間した一対の第2側面と、を有し、前記底面から複数の前記第2リードの前記裏面が露出し、前記第2方向の一方側に位置する前記第2側面から、複数の前記第2端面が前記第2側面と面一となるように露出している。
【0024】
本発明の実施において好ましくは、複数の前記第1リードのうち前記第2方向の他方側に位置する前記第1リードは、前記主部の前記第2方向の他方側から突出する複数の突出部を含み、複数の前記突出部の各々は、前記主面および前記裏面の双方につながり、かつ前記第2方向を向く副端面を有し、前記第2方向の他方側に位置する前記第2側面から、複数の前記副端面が前記第2側面と面一となるように露出している。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる半導体装置によれば、フリップチップ接合に用いられる接合層において、エレクトロマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の斜視図である。
図2図1に示す半導体装置の平面図(封止樹脂を透過)である。
図3図1に示す半導体装置の平面図(半導体素子および封止樹脂を透過)である。
図4図1に示す半導体装置の底面図である。
図5図1に示す半導体装置の正面図である。
図6図1に示す半導体装置の背面図である。
図7図1に示す半導体装置の右側面図である。
図8図1に示す半導体装置の左側面図である。
図9図3の部分拡大図である。
図10図3の部分拡大図である。
図11図3のXI-XI線に沿う断面図である。
図12図3のXII-XII線に沿う断面図である。
図13図3のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14図3のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15図11の部分拡大図(第1電極付近)である。
図16図11の部分拡大図(第2電極付近)である。
図17】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の部分拡大断面図(第1電極付近)である。
図18図17に示す半導体装置の部分拡大断面図(第2電極付近)である。
図19】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の部分拡大断面図(第1電極付近)である。
図20図19に示す半導体装置の部分拡大断面図(第2電極付近)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
図1図16に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、導電部材10、半導体素子20、接合層30および封止樹脂40を備える。図1に示すように、半導体装置A10のパッケージ形式は、QFN(QuadFor Non-Lead Package)である。半導体素子20は、フリップチップ型のLSIである。半導体素子20には、その内部にスイッチング回路212Aおよび制御回路212B(それぞれ詳細は後述)が構成されている。半導体装置A10においては、スイッチング回路212Aにより直流電力が交流電力に変換される。半導体装置A10は、たとえばDC/DCコンバータの回路の一要素に用いられる。ここで、図2は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。図3は、理解の便宜上、半導体素子20および封止樹脂40を透過している。これらの図において、透過した半導体素子20および封止樹脂40をそれぞれ想像線(二点鎖線)で示している。
【0030】
半導体装置A10の説明においては、導電部材10の厚みを示す方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。図1および図2に示すように、半導体装置A10は、厚さ方向zに沿って視て正方形状である。また、半導体装置A10の説明においては、便宜上、第2方向yにおいて複数の第2リード12(詳細は後述)が位置する側を「第2方向yの一方側」と呼ぶ。第2方向yにおいて複数の第1リード11(詳細は後述)が位置する側を「第2方向yの他方側」と呼ぶ。
【0031】
導電部材10は、図2に示すように、半導体素子20を支持するとともに、半導体装置A10を配線基板に実装するための端子をなしている。図11図14に示すように、導電部材10は、その一部が封止樹脂40に覆われている。導電部材10は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く主面101および裏面102を有する。主面101は、厚さ方向zの一方側を向き、かつ半導体素子20に対向している。半導体素子20は、主面101に支持されている。主面101は、封止樹脂40に覆われている。裏面102は、厚さ方向zの他方側を向く。導電部材10は、単一のリードフレームから構成される。当該リードフレームの構成材料は、たとえば、銅(Cu)または銅合金である。導電部材10は、複数の第1リード11、複数の第2リード12および一対の第3リード13を含む。
【0032】
複数の第1リード11は、図3および図4に示すように、厚さ方向zに沿って視て第2方向yに延びる帯状である。複数の第1リード11は、第2方向yに沿って配列されている。半導体装置A10が示す例においては、複数の第1リード11は、第1入力端子11A、第2入力端子11Bおよび出力端子11Cの3つの端子により構成される。複数の第1リード11は、第2方向yの一方側から他方側に向けて第1入力端子11A、出力端子11C、第2入力端子11Bの順に配列されている。第1入力端子11Aおよび第2入力端子11Bは、半導体装置A10において電力変換対象となる直流電力(電圧)が入力される。第1入力端子11Aは、正極(P端子)である。第2入力端子11Bは、負極(N端子)である。出力端子11Cは、半導体素子20に構成されたスイッチング回路212Aにより電力変換された交流電力(電圧)が出力される。
【0033】
図3に示すように、第1入力端子11Aは、第2方向yにおいて複数の第2リード12と出力端子11Cとの間に位置する。出力端子11Cは、第2方向yにおいて第1入力端子11Aと第2入力端子11Bとの間に位置する。第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの各々は、主部111および一対の側部112を含む。図3および図4に示すように、主部111は、第1方向xに延びている。複数の第1リード11において、半導体素子20は、主部111の主面101に支持されている。一対の側部112は、主部111の第1方向xの両端につながっている。図3図4図12および図13に示すように、一対の側部112の各々は、第1端面112Aを有する。第1端面112Aは、第1リード11の主面101および裏面102の双方につながり、かつ第1方向xを向く。第1端面112Aは、封止樹脂40から露出している。
【0034】
図9に示すように、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの一対の側部112の各々には、くびれ部112Bが形成されている。くびれ部112Bは、第1リード11の主面101から裏面102に至り、かつ第2方向yの両側から側部112の内方に向けて凹んでいる。くびれ部112Bは、封止樹脂40に接している。くびれ部112Bにより、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cにおいて、一対の第1端面112Aの各々の第2方向yの寸法bは、主部111の裏面102の第2方向yの寸法Bよりも小となる。
【0035】
図3に示すように、第2入力端子11Bは、出力端子11Cよりも第2方向yの他方側に位置する。このため、第2入力端子11Bは、複数の第1リード11のうち第2方向yの他方側に位置する。第2入力端子11Bは、主部111、一対の側部112および複数の突出部113を含む。複数の突出部113は、主部111の第2方向yの他方側から突出している。隣り合う2つの突出部113の間には、封止樹脂40が充填されている。図12に示すように、複数の突出部113の各々は、副端面113Aを有する。副端面113Aは、第2入力端子11Bの主面101および裏面102の双方につながり、かつ第2方向yの他方側を向く。副端面113Aは、封止樹脂40から露出している。図7に示すように、複数の副端面113Aは、第1方向xに沿って所定の間隔で配列されている。
【0036】
図10に示すように、第2入力端子11Bの一対の側部112の各々には、切込部112Cが形成されている。切込部112Cは、第2入力端子11Bの主面101から裏面102に至り、かつ第1端面112Aから第1方向xに凹んでいる。これにより、第1端面112Aは、第2方向yにおいて互いに離間した2つの領域に分断されている。切込部112Cによっても、第2入力端子11Bにおいて、一対の第1端面112Aの各々の第2方向yの寸法bは、主部111の裏面102の第2方向yの寸法Bよりも小となる。なお、ここでの寸法bは、第1端面112Aの一方の領域の第2方向yの寸法b1と、第1端面112Aの他方の領域の第2方向yの寸法b2とを足し合わせたもの(b=b1+b2)である。切込部112Cには、封止樹脂40が充填されている。
【0037】
図3および図4に示すように、複数の第1リード11の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。半導体装置A10が示す例においては、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの各々の裏面102の面積は、ともに等しい。第2入力端子11Bの裏面102の面積は、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの各々の裏面102の面積よりも大である。
【0038】
第1入力端子11A、第2入力端子11Bおよび出力端子11Cの各々において、半導体素子20が支持される主部111の主面101には、たとえば銀(Ag)めっきを施してもよい。さらに、第1入力端子11A、第2入力端子11Bおよび出力端子11Cの各々において、封止樹脂40から露出する裏面102、一対の第1端面112Aおよび複数の副端面113Aには、たとえば錫(Sn)めっきを施してもよい。なお、錫めっきに替えて、たとえばニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)の順に積層された複数の金属めっきを採用してもよい。
【0039】
複数の第2リード12は、図3に示すように、複数の第1リード11よりも第2方向yの一方側に位置する。複数の第2リード12のいずれか一つは、半導体素子20に構成された制御回路212Bの接地端子である。その他の複数の第2リード12の各々には、制御回路212Bを駆動させるための電力(電圧)、または制御回路212Bに伝達するための電気信号が入力される。図3図4および図11に示すように、複数の第2リード12の各々は、第2端面121を有する。第2端面121は、第2リード12の主面101および裏面102の双方につながり、かつ第2方向yの一方側を向く。第2端面121は、封止樹脂40から露出している。図8に示すように、複数の第2端面121は、第1方向xに沿って所定の間隔で配列されている。
【0040】
図3および図4に示すように、複数の第2リード12の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。なお、複数の第2リード12の裏面102の面積は、いずれも等しい。半導体素子20が支持される複数の第2リード12の裏面102には、たとえば銀めっきを施してもよい。さらに、封止樹脂40から露出する複数の第2リード12の裏面102および第2端面121には、たとえば錫めっきを施してもよい。なお、錫めっきに替えて、たとえばニッケル、パラジウム、金の順に積層された複数の金属めっきを採用してもよい。
【0041】
一対の第3リード13は、図3に示すように、第2方向yにおいて第1リード11(第1入力端子11A)と、複数の第2リード12との間に位置する。一対の第3リード13は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の第3リード13の各々には、半導体素子20に構成された制御回路212Bに伝達するための電気信号などが入力される。図3図4および図14に示すように、一対の第3リード13の各々は、第3端面131を有する。第3端面131は、主面101および裏面102の双方につながり、かつ第1方向xを向く。第3端面131は、封止樹脂40から露出している。第3端面131は、複数の第1リード11の第1端面112Aとともに、第2方向yに沿って配列されている。
【0042】
図3および図4に示すように、一対の第3リード13の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。半導体素子20が支持される一対の第3リード13の主面101には、たとえば銀めっきを施してもよい。さらに、封止樹脂40から露出する一対の第3リード13の裏面102および第3端面131には、たとえば錫めっきを施してもよい。なお、錫めっきに替えて、たとえばニッケル、パラジウム、金の順に積層された複数の金属めっきを採用してもよい。
【0043】
半導体素子20は、図11図14に示すように、フリップチップ接合により導電部材10(複数の第1リード11、複数の第2リード12および一対の第3リード13)に電気的に接合され、かつこれらに支持されている。半導体素子20は、封止樹脂40に覆われている。図12図18に示すように、半導体素子20は、素子本体21、複数の電極22、および表面保護膜23を有する。
【0044】
素子本体21は、半導体素子20の主要部をなす。図15および図16に示すように、素子本体21は、半導体基板211、半導体層212およびパッシベーション膜213を有する。
【0045】
図15および図16に示すように、半導体基板211は、その下方において半導体層212、パッシベーション膜213、複数の電極22、および表面保護膜23を支持している。半導体基板211の構成材料は、たとえば、Si(シリコン)または炭化ケイ素(SiC)である。
【0046】
図11図14に示すように、半導体層212は、半導体基板211の導電部材10の 主面101に対向する側に積層されている。半導体層212は、ドープされる元素量の相違に基づく複数種類のp型半導体およびn型半導体を含む。半導体層212には、スイッチング回路212Aと、スイッチング回路212Aに導通する制御回路212Bとが構成されている。スイッチング回路212Aは、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などである。半導体装置A10が示す例においては、スイッチング回路212Aは、高電圧領域(上アーム回路)と低電圧領域(下アーム回路)との2つの領域に区分されている。各々の領域は、1つのnチャンネル型のMOSFETにより構成されている。制御回路212Bは、スイッチング回路212Aを駆動させるためのゲートドライバや、スイッチング回路212Aの高電圧領域に対応するブートストラップ回路などが構成されるとともに、スイッチング回路212Aを正常に駆動させるための制御を行う。なお、半導体層212には、配線層(図示略)が構成されている。当該配線層により、スイッチング回路212Aと制御回路212Bとは、相互に導通している。
【0047】
図15および図16に示すように、パッシベーション膜213は、半導体層212の下面を覆っている。パッシベーション膜213は、電気絶縁性を有する。パッシベーション膜213は、たとえば、半導体層212の下面に接する酸化ケイ素膜(SiO2)と、当該酸化ケイ素膜に積層された窒化ケイ素膜(Si34)とにより構成される。パッシベーション膜213には、厚さ方向zに貫通する複数の開口213Aが設けられている。
【0048】
図11図14に示すように、複数の電極22は、素子本体21の導電部材10の主面101に対向する側から、導電部材10の主面101に向けて突出している。なお、複数の電極22の上端は、素子本体21の半導体層212に接している。複数の電極22は、導電部材10の主面101に電気的に接合されている。複数の電極22は、複数の第1電極22Aおよび複数の第2電極22Bを含む。複数の第1電極22Aは、半導体層212のスイッチング回路212Aに導通している。あわせて、複数の第1電極22Aは、複数の第1リード11の主面101に電気的に接合されている。これにより、複数の第1リード11は、スイッチング回路212Aに導通している。また、複数の第2電極22Bは、半導体層212の制御回路212Bに導通している。あわせて、複数の第2電極22Bの大半は、複数の第2リード12の主面101に電気的に接合されている。残りの第2電極22Bは、一対の第3リード13の主面101に電気的に接合されている。これにより、複数の第2リード12および一対の第3リード13は、制御回路212Bに導通している。
【0049】
図15および図16に示すように、複数の電極22の各々は、基部221および柱状部222を有する。基部221は、素子本体21の半導体層212に接している。これにより、基部221は、半導体層212のスイッチング回路212Aおよび制御回路212Bのいずれかに導通している。基部221の構成材料は、アルミニウム(Al)または銅を含む。その他の基部221の構成として、半導体層212から下方に向けて銅、ニッケル、パラジウムの順に積層された複数の金属層でもよい。基部221は、素子本体21のパッシベーション膜213に接している。基部221の一部は、パッシベーション膜213の開口213Aから露出している。柱状部222は、開口213Aから露出する基部221の部分から導電部材10の主面101に向けて突出している。柱状部222は、たとえば円柱状である。柱状部222の構成材料は、銅を含む。柱状部222は、先端面222Aおよび側面222Bを有する。先端面222Aは、導電部材10の主面101に対向している。側面222Bは、先端面222Aにつながり、かつ厚さ方向zに対して直交する方向を向く。半導体装置A10においては、柱状部222には、先端面222Aから素子本体21に向けて凹む凹部222Cが形成されている。なお、複数の電極22は、電解めっきにより形成される。
【0050】
図15および図16に示すように、表面保護膜23は、素子本体21の導電部材10の主面101に対向する側、すなわち素子本体21のパッシベーション膜213を覆っている。複数の電極22の各々において、柱状部222の先端面222Aは、厚さ方向zにおいて導電部材10の主面101と表面保護膜23との間に位置する。半導体装置A10においては、表面保護膜23は、複数の電極22の基部221および柱状部222の双方に接している。表面保護膜23は、電気絶縁性を有する。表面保護膜23の構成材料は、たとえばポリイミドである。
【0051】
接合層30は、図15および図16に示すように、導電部材10の主面101と、複数の電極22との双方に接している。接合層30は、導電性を有する。これにより、複数の電極22は、導電部材10の主面101に電気的に接合されている。接合層30は、金属粉体が互いに結合された焼結体である。当該金属粉体は、銀または銅を含む。当該金属粉体は、200℃~300℃の温度条件により焼結体となる。この温度条件によれば、鉛フリーハンダの場合は溶融する。このため、焼結体である接合層30は、鉛フリーハンダを溶融させる場合と同様の温度条件で形成することができる。複数の電極22の各々において、接合層30は、柱状部222の先端面222Aおよび側面222Bの双方に接している。半導体装置A10においては、接合層30は、柱状部222の凹部222Cにも接している。
【0052】
封止樹脂40は、図5図8に示すように、頂面41、底面42、一対の第1側面431および一対の第2側面432を有する。封止樹脂40の構成材料は、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。
【0053】
図11図14に示すように、頂面41は、厚さ方向zにおいて導電部材10の主面101と同じ側を向く。図5図8に示すように、底面42は、頂面41とは反対側を向く。図4に示すように、底面42から、複数の第1リード11の裏面102、複数の第2リード12の裏面102、および一対の第3リード13の裏面102が露出している。
【0054】
図7および図8に示すように、一対の第1側面431は、頂面41および底面42の双方につながり、かつ第1方向xを向く。一対の第1側面431は、第2方向yにおいて互いに離間している。図12図14に示すように、一対の第1側面431の各々から、複数の第1リード11の第1端面112Aと、第3リード13の第3端面131とが、第1側面431と面一となるように露出している。
【0055】
図5および図6に示すように、一対の第2側面432は、頂面41、底面42および一対の第1側面431のいずれにもつながり、かつ第2方向yを向く。一対の第2側面432は、第1方向xにおいて互いに離間している。図11に示すように、第2方向yの一方側に位置する第2側面432から、複数の第2リード12の第2端面121が、第2側面432と面一となるように露出している。第2方向yの他方側に位置する第2側面432から、第2入力端子11B(第1リード11)の複数の副端面113Aが、第2側面432と面一となるように露出している。
【0056】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0057】
半導体装置A10は、主面101を有する導電部材10と、素子本体21、および主面101に電気的に接合された複数の電極22を有する半導体素子20と、主面101と複数の電極22との双方に接する接合層30とを備える。複数の電極22の各々は、素子本体21の主面101に対向する側に接する基部221と、基部221から主面101に向けて突出し、かつ接合層30に接する柱状部222とを有する。これにより、半導体素子20はフリップチップ接合により導電部材10に電気的に接合されている。接合層30は 、金属粉体が互いに結合された焼結体である。当該焼結体の融点は、ハンダの融点の5倍近い約1,000℃(金属粉体が銀または銅である場合)に設定することができる。したがって、半導体装置A10によれば、フリップチップ接合に用いられる接合層30において、エレクトロマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。
【0058】
半導体素子20の電極22の柱状部222は、導電部材10の主面101に対向する先端面222Aと、側面222Bとを有する。接合層30は、先端面222Aおよび側面222Bの双方に接している。これにより、柱状部222に対する接合層30の接触面積が増加するため、接合層30における電流密度を減少させることができる。したがって、接合層30におけるエレクトロマイグレーションの発生をさらに抑制することができる。
【0059】
半導体装置A10においては、半導体素子20の電極22の柱状部222には、先端面222Aから素子本体21に向けて凹む凹部222Cが形成されている。凹部222Cは、接合層30に接している。これにより、接合層30には、柱状部222に対する投錨効果(アンカー効果)が発生する。このため、柱状部222と接合層30との接合強度の向上を図ることができる。
【0060】
半導体素子20の素子本体21の半導体層212には、スイッチング回路212Aが構成されている。スイッチング回路212Aには、複数の電極22に含まれる複数の第1電極22Aが導通している。一方、導電部材10に含まれ、かつ複数の第1電極22Aが電気的に接合される複数の第1リード11の裏面102は、封止樹脂40の底面42から露出している。これにより、半導体装置A10の使用の際、スイッチング回路212Aの駆動により半導体素子20から発生した熱を、効率よく外部に放熱させることができる。
【0061】
複数の第1電極22Aの各々は、先述のとおり基部221および柱状部222を有する。柱状部222の構成材料は、銅を含む。柱状部222は、ボンディングワイヤよりも長さが小であり、かつ横断面積が大である。このため、第1リード11と基部221とをボンディングワイヤにより接続させた場合と比較して、第1リード11とスイッチング回路212Aとの間における寄生抵抗を低減させることができる。寄生抵抗が低減されると、スイッチング回路212Aにおけるオン抵抗およびノイズが低減されるという効果が得られる。
【0062】
複数の第1リード11の各々は、第1方向xに延びる主部111と、主部111の第1方向xの両端につながる一対の側部112を有する。一対の側部112の各々は、第1方向xを向き、かつ封止樹脂40の第1側面431から露出する第1端面112Aを有する。一対の第1端面112Aの各々は、第1側面431と面一である。第2方向yにおいて、一対の第1端面112Aの各々の寸法bは、主部111の裏面102の寸法Bよりも小である。これにより、一対の第1端面112Aの各々の面積を、従来のQFNの半導体装置におけるこれらの面積よりも小とすることができる。このため、半導体装置A10の製造において、ブレードダイシングによる個片化を行った際、一対の第1端面112Aにおける金属バリの発生が抑制される。金属バリの発生が抑制されると、配線基板に対する半導体装置A10の実装性の向上を図ることができる。
【0063】
図9に示すように、複数の第1リード11(第1入力端子11Aおよび出力端子11C)の一対の側部112の各々には、くびれ部112Bが形成されている。これにより、第2方向yにおいて、一対の第1端面112Aの各々の寸法bを、第1リード11の主部111の裏面102の寸法Bよりも小とすることができる。また、くびれ部112Bは、第1方向xにおいて封止樹脂40に接している。これにより、複数の第1リード11が封止樹脂40の一対の第1側面431から抜け出すことを防止できる。
【0064】
図10に示すように、第1リード11(第2入力端子11B)の一対の側部112の各々には、切込部112Cが形成されている。これによっても、第2方向yにおいて、一対の第1端面112Aの各々の寸法bを、第1リード11の主部111の裏面102の寸法Bよりも小とすることができる。切込部112Cには、封止樹脂40が充填されている。これにより、第1リード11は、第1方向xにおいて封止樹脂40に接する構成となる。したがって、第1リード11が封止樹脂40の一対の第1側面431から抜け出すことを防止できる。
【0065】
第2入力端子11Bは、主部111の第2方向yの他方側から突出する複数の突出部113を含む。複数の突出部113の各々は、第2方向yを向く副端面113Aを有する。複数の副端面113Aは、第2方向yの他方側に位置する封止樹脂40の第2側面432から露出している。これにより、第2入力端子11Bは、第2方向yの他方側において封止樹脂40に接する構成となる。したがって、第2入力端子11Bが第2方向yの他方側に位置する第2側面432から抜け出すことを防止できる。
【0066】
複数の第1リード11の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。これにより、複数の第1リード11は、厚さ方向zの裏面102が向く側において封止樹脂40に接する構成となる。したがって、複数の第1リード11が封止樹脂40の底面42から抜け出すことを防止できる。また、半導体素子20の複数の第1電極22Aが電気的に接合される複数の第1リード11の主面101の面積をより広くとることができる。これにより、複数の第1電極22Aの増加を図ることが可能である。
【0067】
導電部材10は、複数の電極22に含まれる複数の第2電極22Bの少なくとも一部が電気的に接合される複数の第2リード12をさらに含む。複数の第2リード12の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。したがって、先述した第1リード11の主面101および裏面102の関係と同様に、複数の第2リード12が封止樹脂40の底面42から抜け出すことを防止できる。また、複数の第2電極22Bが電気的に接合される複数の第2リード12の主面101の面積をより広くとることができるため、複数の第2電極22Bの増加を図ることが可能である。
【0068】
〔第2実施形態〕
図17および図18に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10の同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図17の断面位置は、図15の断面位置と同一である。図18の断面位置は、図16の断面位置と同一である。
【0069】
半導体装置A20は、半導体素子20の複数の電極22の構成が、先述した半導体装置A10における構成と異なる。
【0070】
図17および図18に示すように、複数の電極22(複数の第1電極22Aおよび複数の第2電極22B)の各々において、柱状部222の先端面222Aは、導電部材10の主面101に向けて膨出する凸状である。
【0071】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0072】
半導体装置A20は、主面101を有する導電部材10と、素子本体21、および主面101に電気的に接合された複数の電極22を有する半導体素子20と、主面101と複数の電極22との双方に接する接合層30とを備える。複数の電極22の各々は、素子本体21の主面101に対向する側に接する基部221と、基部221から主面101に向けて突出し、かつ接合層30に接する柱状部222とを有する。接合層30は、金属粉体 が互いに結合された焼結体である。したがって、半導体装置A20によっても、フリップチップ接合に用いられる接合層30において、エレクトロマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。
【0073】
半導体装置A20では、複数の電極22の各々において、柱状部222の先端面222Aは、導電部材10の主面101に向けて膨出する凸状である。これにより、半導体素子20をフリップチップ接合により導電部材10に電気的に接合させる際、主面101と柱状部222との間に介在する接合層30が厚さ方向zに対して直交する方向に押し広げられる。押し広げられた接合層30は、柱状部222の側面222Bに接触する。このため、側面222Bに対する接合層30の接触面積がより増加するため、接合層30における電流密度を減少させることができる。したがって、接合層30におけるエレクトロマイグレーションの発生を、先述した半導体装置A10よりもさらに抑制することができる。
【0074】
〔第3実施形態〕
図19および図20に基づき、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10の同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図19の断面位置は、図15の断面位置と同一である。図20の断面位置は、図16の断面位置と同一である。
【0075】
半導体装置A30は、半導体素子20の複数の電極22および表面保護膜23の構成が、先述した半導体装置A10における構成と異なる。
【0076】
図19および図20に示すように、複数の電極22(複数の第1電極22Aおよび複数の第2電極22B)の各々において、柱状部222の先端面222Aは、導電部材10の主面101に対して平行である。
【0077】
図19および図20に示すように、表面保護膜23は、複数の電極22の柱状部222から離間している。表面保護膜23には、厚さ方向zに貫通する複数の開口231が設けられている。複数の開口231の各々から、第1電極22Aおよび第2電極22Bのいずれかの柱状部222が露出している。これにより、複数の電極22の形成の際、柱状部222の体積を、先述した半導体装置A10および半導体装置A20の各々の柱状部222の体積よりも大にすることができる。
【0078】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。
【0079】
半導体装置A30は、主面101を有する導電部材10と、素子本体21、および主面101に電気的に接合された複数の電極22を有する半導体素子20と、主面101と複数の電極22との双方に接する接合層30とを備える。複数の電極22の各々は、素子本体21の主面101に対向する側に接する基部221と、基部221から主面101に向けて突出し、かつ接合層30に接する柱状部222とを有する。接合層30は、金属粉体が互いに結合された焼結体である。したがって、半導体装置A30によっても、フリップチップ接合に用いられる接合層30において、エレクトロマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。
【0080】
半導体装置A30においては、半導体素子20の表面保護膜23は、複数の電極22の柱状部222から離間している。これにより、柱状部222の体積を、先述した半導体装置A10および半導体装置A20の各々の柱状部222の体積よりも大にすることができる。このため、柱状部222に対する接合層30の接触面積がより増加するため、接合層30における電流密度を減少させることができる。したがって、接合層30におけるエレクトロマイグレーションの発生を、先述した半導体装置A10よりもさらに抑制すること ができる。
【0081】
半導体装置A10~半導体装置A30が示す例において、導電部材10は、同一のリードフレームから構成された複数のリード(複数の第1リード11、複数の第2リード12および一対の第3リード13)を対象としている。その他の導電部材10の構成として、絶縁基板と、当該絶縁基板の上に配置され、かつ互いに離間した複数の領域を有する導電層とを備えるものでもよい。
【0082】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0083】
A10,A20,A30:半導体装置
10:導電部材
101:主面
102:裏面
11:第1リード
11A:第1入力端子
11B:第2入力端子
11C:出力端子
111:主部
112:側部
112A:第1端面
112B:くびれ部
112C:切込部
113:突出部
113A:副端面
12:第2リード
121:第2端面
13:第3リード
131:第3端面
20:半導体素子
21:素子本体
211:半導体基板
212:半導体層
212A:スイッチング回路
212B:制御回路
213:パッシベーション膜
213A:開口
22:電極
22A:第1電極
22B:第2電極
221:基部
222:柱状部
222A:先端面
222B:側面
222C:凹部
23:表面保護膜
231:開口
30:接合層
40:封止樹脂
41:頂面
42:底面
431:第1側面
432:第2側面
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20