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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】電気化学装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20241011BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20241011BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20241011BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241011BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20241011BHJP
【FI】
H01M50/184 C
H01M50/178
H01G11/78
H01M50/105
H01M50/133
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022557991
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 CN2020080969
(87)【国際公開番号】W WO2021189265
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】520124888
【氏名又は名称】東莞新能安科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dongguan Poweramp Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xinghui Road, Songshan Lake Park, Dongguan City, Guangdong Province, 523000, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江 静
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209124(JP,A)
【文献】特開2001-199413(JP,A)
【文献】特表2016-506049(JP,A)
【文献】特開2011-204590(JP,A)
【文献】特開2000-277066(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158986(WO,A1)
【文献】特表2012-527724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組品と、
前記電極組品を収容する収容空間を形成するケースと、を備え、
前記ケースは、第1封止膜及び第2封止膜を含む第1封止辺を備え、
前記第1封止辺の前記収容空間に近い側から前記収容空間から遠い側までを第1方向とし、第1方向に沿って、前記第1封止膜は、連なる第1封止領域と第2封止領域を含み、前記第2封止膜は、連なる第3封止領域と第4封止領域を含み、
前記第2封止領域と前記第4封止領域とが結合して第1パッケージ領域を形成し、前記第1封止領域と前記第3封止領域とが結合して第2パッケージ領域を形成し、前記第1パッケージ領域の厚みは、前記第1封止辺の厚み方向において、前記第2パッケージ領域の厚みよりも小さく、
気化学装置は、溢れた接着剤をさらに備え、
前記溢れた接着剤は、前記第1パッケージ領域から離れた側が第1方向に凹み、
前記溢れた接着剤は、前記第2パッケージ領域に接続されて前記収容空間に収容され、前記第1方向に沿って、前記第1パッケージ領域の幅がW(mm)であり、前記第2パッケージ領域の幅がW(mm)であり、前記第1封止辺の厚さ方向において、前記第1封止膜の厚さがT(mm)であり、前記第1パッケージ領域の厚さがH(mm)であり、前記第2パッケージ領域の最大厚さがH(mm)であり、
前記溢れた接着剤は、前記第1封止辺の厚み方向に沿った断面積S(mm)が、以下の式:
(2*T-H)*(W+W)<S<(2*T-H)*(W+W
を満たす、電気化学装置。
【請求項2】
前記第1パッケージ領域と前記第2パッケージ領域との間に第1痕が形成され、前記第2パッケージ領域と前記収容空間との間に第2痕が形成されている、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
/Wの比は、0.01~0.5である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項4】
/Hの比は、1~10である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記第1パッケージ領域および前記第2パッケージ領域の封止引張力がいずれも1~10N/mmである、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記電極組品と電気的に接続され、前記ケースの一側から延出する第1タブをさらに含み、前記第1封止辺は、前記第1タブと同じ側に位置する、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記第1封止辺と繋がっていても繋がっていなくともよい第2封止辺をさらに含み、前記第2封止辺は、第3封止膜および第4封止膜を含み、
前記第2封止辺の前記収容空間に近い側から前記収容空間から遠い側までを第2方向とし、前記第2方向に沿って、前記第3封止膜は連なる第5封止領域と第6封止領域とを含み、前記第4封止膜は連なる第7封止領域と第8封止領域とを含み、
前記第6封止領域と前記第8封止領域とが結合して第3パッケージ領域を形成し、前記第5封止領域と前記第7封止領域とが結合して第4パッケージ領域を形成し、前記第2封止辺の厚さ方向において、前記第3パッケージ領域の厚さは、前記第4パッケージ領域の厚さよりも小さい、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記ケースは、前記第1封止辺または前記第2封止辺に連なる第3封止辺をさらに含み、前記第3封止辺は、第5封止膜および第6封止膜を含み、
前記第3封止辺の前記収容空間に近い側から、前記収容空間から遠い側にまでを第3方向とし、第3方向に沿って、前記第5封止膜は、連なる第9封止領域と第10封止領域を含み、前記第6封止膜は、連なる第11封止領域と第12封止領域を含み、
前記第10封止領域と前記第12封止領域とが結合して第5パッケージ領域を形成し、前記第9封止領域と前記第11封止領域とが結合して第6パッケージ領域を形成し、前記第3封止辺の厚み方向において、前記第5パッケージ領域の厚みは、前記第6パッケージ領域の厚みよりも小さい、請求項7に記載の電気化学装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の電気化学装置を含む電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵技術分野に関し、特に、電気化学装置およびそれを応用した電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学装置(例えば、ソフトパック電池,soft package battery)は、パッケージ袋(packaging bag)(例えば、アルミニウム-プラスチックメンブレン(aluminum-plastic film)や鋼-プラスチックメンブレン(steel -plastic film)を用いて密封包装される。パッケージ袋をパッケージする(例えばヒートシールや接着剤シール)際、パッケージ位置での接着剤が両側に押し出され、形成されるパッケージマーク(パッケージ位置)の内外両側に大きな溢れた接着剤塊が形成される。電気化学装置が落下、振動等した場合、大きな溢れた接着剤塊に応力集中が発生し、ここでパッケージ袋が破れやすく、電解液が漏洩する等のリスクがあり、電気化学装置の安全性能に影響する。
【発明の概要】
【0003】
以上の従来技術の欠点から、本発明は、溢れた接着剤における応力集中の問題を改善できる電気化学装置を提供する。
【0004】
本願の一実施形態は、電極組品と、電極組品を収容する収容空間を形成するケースと、を備える電気化学装置を提供する。ケースは、第1封止膜及び第2封止膜を含む第1封止辺を備える。第1封止辺の収容空間に近い側から収容空間から遠い側までを第1方向とする。第1方向に沿って、第1封止膜は、連なる第1封止領域と第2封止領域を含み、第2封止膜は、連なる第3封止領域と第4の封止領域を含む。第2封止領域と第4封止領域とが結合して第1パッケージ領域を形成し、第1封止領域と第3封止領域とが結合して第2パッケージ領域を形成し、第1パッケージ領域の厚みは、第1封止辺の厚み方向において、第2パッケージ領域の厚みよりも小さい。
【0005】
本願の実施形態が提供する電気化学装置は、第1封止辺に第1パッケージ領域及び第2パッケージ領域を設けることにより、パッケージ時に発生する溢れた接着剤が収容空間に集中して堆積することを回避でき、応力集中問題を改善し、電気化学装置が落下、振動などの場合にケースが破裂しにくくなり、電池の安全性能を向上させる。
【0006】
任意選択で、第1パッケージ領域と第2パッケージ領域との間に第1痕が形成され、第2パッケージ領域と収容空間との間に第2痕が形成されている。
【0007】
任意選択で、電気化学装置は、溢れた接着剤をさらに備え、溢れた接着剤は、第2パッケージ領域に接続されて収容空間に収容され、第1方向に沿って、第1パッケージ領域の幅がW(mm)であり、第2パッケージ領域の幅がW(mm)であり、第1封止辺の厚さ方向において、第1封止膜の厚さがT(mm)であり、第1パッケージ領域の厚さがH(mm)であり、第2パッケージ領域の最大厚さがH(mm)であり、溢れた接着剤は、第1封止辺の厚み方向に沿った断面積S(mm)が、以下の式
(2*T-H)*(W+W)<S<(2*T-H)*(W+W
を満たす。
【0008】
溢れた接着剤の断面積Sが大きすぎると、溢れた接着剤が堆積して応力集中点が形成され、溢れた接着剤の断面積Sが小さすぎると、溢れた接着剤領域が溢れた接着剤量が少なく、溢れた接着剤領域があまり良好なパッケージ効果に達しない。溢れた接着剤領域に形成される溢れた接着剤の断面積を制御することにより、パッケージ領域のパッケージ時に溢れる接着剤量をバランスさせることができ、溢れた接着剤領域に多くの溢れた接着剤が堆積し応力集中点が形成されなくとも溢れた接着剤領域のパッケージ強度が保証され、電気化学デバイスは優れたパッケージ信頼性を有する。
【0009】
任意選択で、W/Wの比は、0.01~0.5であり、パッケージ領域のパッケージ時の溢れる接着剤量及びパッケージ強度をさらにバランスすることができる。
【0010】
任意選択で、H/Hの比は、1~10であり、パッケージ領域のパッケージ時の溢れる接着剤量およびパッケージ強度をさらにバランスすることができる。
【0011】
任意選択で、第1パッケージ領域および第2パッケージ領域の封止引張力がいずれも1~10N/mmであり、ケースに優れたパッケージ強度を持たせることが望ましい。
【0012】
任意選択で、電極組品と電気的に接続され、ケースの一側から延出する第1タブをさらに含み、第1封止辺は、第1タブと同じ側に位置する。電気化学装置のタブ側のパッケージ強度は一般的に最も弱く、第1封止辺は、第1のタブと電気化学装置と同じ側に位置しており、第1タブ側のパッケージ強度を強くし、電気化学装置の安全性能を高める上で有利である。
【0013】
任意選択で、ケースは、第1封止辺と繋がっていても繋がっていなくともよい第2封止辺をさらに含む。第2封止辺は、第3封止膜および第4封止膜を含み、第2封止辺の収容空間に近い側から収容空間から遠い側までを第2方向とする。第2方向に沿って、第3封止膜は連なる第5封止領域と第6の封止領域とを含み、第4の封止膜は連なる第7の封止領域と第8の封止領域とを含む。第6封止領域と第8封止領域とが結合して第3パッケージ領域を形成し、第5封止領域と第7封止領域とが結合して第4パッケージ領域を形成する。第2封止辺の厚さ方向において、第3パッケージ領域の厚さは、第4パッケージ領域の厚さよりも小さい。
【0014】
第2封止辺と第1封止辺とは同じパッケージ構成を有していてもよく、封止辺を複数設けることで、電気化学装置のパッケージの安全をより高めることができる。
【0015】
任意選択で、ケースは、第1封止辺または第2封止辺に連なる第3封止辺をさらに含む。第3封止辺は、第5封止膜および第6封止膜を含み、第3封止辺の収容空間に近い側から、収容空間から遠い側にまでを第3方向とする。第3方向に沿って、第5封止膜は、連なる第9封止領域と第10封止領域を含み、第6封止膜は、連なる第11封止領域と第12封止領域を含む。第10封止領域と第12封止領域とが結合して第5パッケージ領域を形成し、第9封止領域と第11封止領域とが結合して第6パッケージ領域を形成する。第3封止辺の厚み方向において、第5パッケージ領域の厚みは、第6パッケージ領域の厚みよりも小さい。
【0016】
第3封止辺と第1封止辺とが同じパッケージ構成を有していてもよく、電気化学装置のパッケージの安全をより高めることができる。
【0017】
任意選択で、電気化学装置は、電極組品と電気的に接続され、ケースの外に出て、ケースの同じ側又は異なる側に位置する正極タブ及び負極タブをさらに備える。
【0018】
本願一実施例は、上記電気化学装置を適用した電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態又は従来技術の構成をより明確に説明するため、以下、実施形態又は従来技術の説明で用いるべき図面を簡単に紹介するため、以下の説明における図面は本発明の実施形態のみであり、当業者であれば、創造的な労働を伴わずに、これらの図面から他の図面を取得することができることは明らかである。
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る電気化学装置の構成を示す図である。
図2図2は、図1に示す電気化学装置のII-II断面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る電気化学装置の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係る電気化学装置の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の第4実施形態に係る電気化学装置の構成を示す図である。
図6図6は、本発明の第5実施形態に係る電気化学装置の部分断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るキャップ及び電気化学装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係わる技術内容について、本発明の実施形態における図面と併せて明確に完全に説明し、明らかに、説明された実施形態は本発明の一部の実施形態にすぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づき、当業者が創造的な労働を払っていない前提で獲得したその他のすべての実施形態は、本願の保護の範囲に属する。
【0021】
なお、組品を他の組品と接続する場合、他の組品に直接接続してもよいし、中央にある組品が存在してもよい。1つの組品トが別の組品に「設定」されていると考えられる場合、それは別の組品に直接設定してもよいし、中央にある組品が同時に存在してもよい。本明細書において用いられる技術および科学の用語は、特に定義されない限り、本発明の技術分野に属する当業者が通常理解する意味合いと同義である。本発明実施形態で用いられる「外側」、「内側」の用語は、特定の実施形態を記述する目的のみであり、本発明を限定する趣旨ではない。
【0022】
図1を参照して、図1は、本発明の第1実施形態に係る電気化学装置100である。本発明の実施形態に係る電気化学装置100は、電池であってもよく、任意選択で、他の実施形態では、さらに、容量式装置(少なくとも1つの容量式または擬似容量電極を含む)または混合装置(電池、電気化学二重層キャパシタ(EDLCおよび擬似容量電極からなる群より選択される2つの異なるタイプの電極を含む)であってもよい。
【0023】
この電気化学装置100は、ケース10と、電極組品21と、正極タブ23及び負極タブ25と、を備えている。ケース10は、収容空間12が形成されており、電極組品21は収容空間12に位置しており、正極タブ23及び負極タブ25は、いずれも電極組品21と電気的に接続されてケース10の外に出ており、正極タブ23及び負極タブ25は、ケース10の同じ側に位置している。
【0024】
ケース10は、収容空間12側から外方に向かって延在する第1封止辺13を有し、第1封止辺13と、正極タブ23、負極タブ25とは、ケース10の異なる側に位置している。正極タブ23および負極タブ25が位置するケース10の側は、例えばヒートシール等の慣用のパッケージ方式によってパッケージすることができる。
【0025】
任意選択で、第1封止辺13と正極タブ23、負極タブ25がさらにケース10の同じ側に位置することができ、第1封止辺13は、正極タブ23、負極タブ25をパッケージして、タブ側のパッケージ強度を高め、電気化学装置の安全性を高めるためにしてもよい。
【0026】
図2を参照すると、第1封止辺13は、対向して配置された第1封止膜30および第2封止膜90を含む。第1封止膜30と第2封止膜90の構成は同じであり、アルミニウム-プラスチックメンブレンや鋼-プラスチックメンブレンなどでもよい。
【0027】
任意選択で、他の実施形態においては、第1封止膜30と第2封止膜90の構成が異なっていてもよい。例えばソフトパック電池において、第1封止膜30は、金属箔層31と、金属箔層31の対向する両側に設けられた保護層32と、熱圧着層33とを含む。このうち、保護層32は、ケース10の外側に位置し、外部シールドに用いられるものであり、その材料は、ナイロン等の絶縁材料であってもよい。金属箔層31は、機械的強度を保ちつつ、水気を遮断するためのものであり、アルミニウム箔層や鋼箔層であってもよい。熱圧着層33は、シールに用いられ、熱接着特性を有し、ケース10の内側に位置する。熱圧着層33の材料は、ポリプロピレン(polypropylene,PP)材料であってもよい。
【0028】
第1封止辺13の収容空間12に近い側から収容空間12から遠い側に向かう方向は、第1方向Lである。第1方向Lに沿って、第1封止膜30は、連なる第1封止領域132と第2封止領域134を含み、第2封止膜90は、連なる第3封止領域135と第4封止領域136を含む。第1封止領域132と第3封止領域135とが隣接する2つの面は、第1封止領域132および第3封止領域135を結合させて第2パッケージ領域131を形成するように互いに貼り合わせられる。第2封止領域134と第4封止領域136とが隣接する2つの面は、互いに貼り合わせられ、第2封止領域134および第4封止領域136が結合させて第1パッケージ領域133を形成し、すなわち第2封止領域134に位置する熱圧着層と第4封止領域136に位置する熱圧着層とが互いに貼り合わせて接合される。
【0029】
第1方向Lに沿って、第1パッケージ領域133の各所の厚さは一致したままであり、第2パッケージ領域131のいずれかの厚さは、第1パッケージ領域133の厚さより大きく、収容空間12のいずれかの厚さは、第2パッケージ領域131の最大厚さより大きい。図1を参照して、第1パッケージ領域133と第2パッケージ領域131との間には第1痕51が形成され、第2パッケージ領域131と収容空間12との間には第2痕53が形成される。
【0030】
収容空間12には、溢れた接着剤40が収容されている。本発明において、前記溢れた接着剤40とは、パッケージする際、第1パッケージ領域133および第2パッケージ領域132の接着剤が収容空間12にオーバーフローして硬化して形成された溢れた接着剤塊を意味する。ケース10がパッケージする際に、例えばヒートシールされ、第1パッケージ領域133および第2パッケージ領域132に位置する熱圧着層33が溶融して形成された接着剤が、キャップの圧力下で、第1封止膜30および第2封止膜90の内面に沿って収容空間12に入り込み、溢れた接着剤40が形成される。溢れた接着剤40は、第2パッケージ領域131と接続し、収容空間12に部分的に充填されている。溢れた接着剤40は、第1パッケージ領域133から離れた側が第1方向Lに凹んでいる。
【0031】
一実施形態では、第1方向Lに沿って、第1パッケージ領域133の幅はW(mm)であり、第2パッケージ領域131の幅はW(mm)である。任意選択で、W/Wの比が0.01~0.5である。
【0032】
テストの結果、W/Wの比が0.01より小さい場合、第2パッケージ領域131の幅が小さすぎ、溢れた接着剤40が発生する量が多く、第1パッケージ領域133からオーバーフローした接着剤を収容するために十分な空間に達することができず、オーバーフローした接着剤が第1パッケージ領域133に堆積し、応力集中点を形成する。W/Wの比が0.5より大きい場合、第1パッケージ領域133の幅が小さすぎると、第1封止辺13のパッケージ強度、ひいてはパッケージ寿命に影響を及ぼす。
【0033】
一実施形態では、第1封止辺13の厚み方向Hに沿って、第1封止膜30の厚みがT(mm)、第1パッケージ領域133の厚みがH(mm)、第2パッケージ領域131の最大厚みがH(mm)である。任意選択で、H/Hの比は、1~10である。
【0034】
テストの結果、H/Hの比が1よりも小さい場合、第1パッケージ領域133がパッケージ時に溶融した溢れた接着剤が少なくなり過ぎてパッケージが緊密ではなく、良好な接着パッケージ効果が得られないことが判明した。H/Hの比が10を超える場合、第1パッケージ領域133がパッケージ時に溶融した溢れた接着剤が過多となり、溢れた接着剤が多く収容空間12に堆積し応力集中点が形成されることが判明した。電気化学装置100が落下、振動等した場合、ケース10が割れやすくなり、ケース10の内容物、例えば電解液の漏洩のリスクがある。
【0035】
一実施形態では、第1封止辺13の厚み方向Hに沿った溢れた接着剤40の断面積S(mm)は、式(2*T-H)*(W+W)<S<(2*T-H)*(W+W)を満たす。
【0036】
すなわち、本発明における溢れた接着剤40の断面積は、第1封止辺13が第1パッケージ領域133のみを含む場合(第1パッケージ領域133の第1方向Lの幅と第1封止辺13の幅と等しい場合)にはみ出す溢れた接着剤の断面積と、第1封止辺13が第2パッケージ領域131のみを含む場合(第2パッケージ領域131の第1方向Lの幅と第1封止辺13の幅と等しい場合)にはみ出す溢れた接着剤の断面積との間に介在する。そのうち、溢れた接着剤40の断面積Sは、収容空間12の厚みが第1封止辺13の厚みよりも大きい点から起算している。
【0037】
テストの結果、Sが大き過ぎると、第1封止辺13からはみ出す接着剤が多く収容空間12に流れ込むことが示されているが、収容空間12は、多量のはみ出す接着剤を十分に収容するものではないため、多くのはみ出す接着剤が収容空間12に堆積して応力集中点を形成し、電気化学装置100が落下、振動等した場合に、ケース10が割れやすくなり、ケース10の内容物、例えば電解液の漏洩のリスクがある。Sが小さすぎると、第1封止辺13から収容空間12に流入する接着剤が過少となり、優れた接着パッケージ効果が奏されないことを示す。
【0038】
任意選択で、第1パッケージ領域133および第2パッケージ領域131の封止張力は、いずれも1~10N/mmである。封止張力が小さ過ぎると、パッケージ領域のパッケージ強度が不足する。任意選択で、封止領域の封止張力の上限は、ケース10の引張力の上限であってよい。
【0039】
図3を参照すると、本発明の第2実施形態に係る電気化学装置200は、第1実施形態に係る電気化学装置100とほぼ同様であり、ケース10が収容空間12側に沿って外方に延びる第2封止辺14をさらに備える点で異なる。第2封止辺14及び第1封止辺13は、ケース10の隣り合った側に位置し、互いに接続している。任意選択で、第2封止辺14及び第1封止辺13は、ケース10と反対側に位置し、接続していなくてもよい。
【0040】
任意選択で、第2封止辺14の構成は、第1封止辺13の構成と同様である。任意選択で、第2封止辺14は、対向して配置される第3封止膜及び第4封止膜を含む。第3封止膜と第4封止膜とは、同じ構成であり、アルミニウム-プラスチックメンブレンや鋼-プラスチックメンブレン等でもよい。任意選択で、他の実施形態では、第3封止膜と第4封止膜とは、構成が異なっていてもよい。ソフトパック電池において、第3封止膜は、金属箔層と、金属箔層の相対向する両側に設けられた保護層及び熱圧着層とを含む。
【0041】
第2封止辺14が収容空間12に近い側から収容空間12から遠い側に向かう方向が第2方向Mである。第2方向Mに沿って、第3封止膜は、連なる第5封止領域(図示せず)と第6封止領域(図示せず)とを含み、第4封止膜は、連なる第7封止領域(図示せず)と第8封止領域(図示せず)とを含む。
【0042】
第6封止領域と第8封止領域とが隣接する2つの表面は、第6封止領域と第8封止領域を貼り合わせて第3パッケージ領域145を形成するように互いに貼り合わせられる。第5封止領域と第7封止領域とが隣接する2つの表面は、第5封止領域と第7封止領域を貼り合わせて第4パッケージ領域146を形成するように互いに貼り合わせられる。第3パッケージ領域145と第4パッケージ領域146との間には第3痕147が形成され、第4パッケージ領域146と収容空間12との間には第4痕148が形成される。第2封止辺14の厚み方向において、第3パッケージ領域145の厚みは、第4パッケージ領域146の厚みよりも小さい。
【0043】
図4を参照すると、本発明の第3実施形態に係る電気化学装置300は、第2実施形態に係る電気化学装置200とほぼ同様であり、電気化学装置300は、収容空間12の一側に沿って外方に延びる第3封止辺15を備える点で異なる。第3封止辺15と第1封止辺13とはケース10の対向側に位置し、第2封止辺14は第1封止辺13と第3封止辺15とを接続している。
【0044】
第3封止辺15は、第1封止辺13と同様の構成を有する。第3封止辺15は、対向して配置される第5封止膜及び第6封止膜を有する。第5封止膜と第6封止膜とは、同じ構成であり、アルミニウム-プラスチックメンブレンや鋼-プラスチックメンブレン等でもよい。任意選択で、他の実施形態では、第5封止膜と第6封止膜とは、構成が異なっていてもよい。ソフトパック電池において、第5封止膜は、金属箔層と、金属箔層の対向する両側に設けられた保護層及び熱圧着層とを含む。
【0045】
第3封止辺15は、収容空間12に近い側から収容空間12から遠い側に向かう方向が第3方向Nである。第3方向Nに沿って、第5封止膜は、連なる第9封止領域(図示せず)と第10封止領域(図示せず)とを含み、第6封止膜は、連なる第11封止領域(図示せず)と第12封止領域(図示せず)とを含む。
【0046】
第10封止領域と第12封止領域とが隣接する2つの面は、第10封止領域と第12封止領域を貼り合わせて第5パッケージ領域153を形成するように互いに貼り合わせられる。第9封止領域と第11封止領域とが隣接する2つの面は、第9封止領域と第11封止領域を貼り合わせて第6パッケージ領域154を形成するように互いに貼り合わせられる。第5パッケージ領域153と第6パッケージ領域154との間には第5痕155が形成され、第6パッケージ領域154と収容空間12との間には第6痕156が形成される。第3封止辺15の厚み方向において、第5パッケージ領域153の厚みは、第6パッケージ領域154の厚みよりも小さい。
【0047】
図5を参照すると、本発明の第4実施形態に係る電気化学装置400は、第1実施形態にかかる電気化学装置100とほぼ同様であり、正極タブ23および負極タブ25がケース10の反対側に位置している点が異なる。
【0048】
正極タブ23及び負極タブ25は、ケース10の隣接側に位置していてもよい。
【0049】
図6を参照して、本発明の第5実施形態に係る電気化学装置500は、第1実施形態にかかる電気化学装置100とほぼ同様であり、第1封止辺13が溢れた接着剤領域137をさらに含み、溢れた接着剤領域137が封止領域133のパッケージ領域131から離れる側に位置している点が異なる。溢れた接着剤領域137には、溢れた接着剤52が充填されている。任意選択で、他の実施形態において、第1封止辺13は、第1パッケージ領域133の第2パッケージ領域131から遠い側に設けられた第3パッケージ領域をさらに含み、第3パッケージ領域の構成は、第2パッケージ領域131の構成と同様であってもよい。
【0050】
図7を参照すると、一実施形態では、ケース10をトップキャップ60およびダウンキャップ70によりパッケージする。トップキャップ60およびボトムキャップ70は、いずれもパッケージ面80を備えている。パッケージ面80は、ケース10の第1パッケージ領域133に対応するキャップ第1封印領域81と、第2パッケージ領域131に対応するキャップ第2封印領域83とを備え、キャップ第2封印領域83は、キャップ第1封印領域81に対して凹設されている。キャップ第1封印領域81に位置するパッケージ面は平面であり、キャップ第2封印領域83に位置するパッケージ面は段差面である。チップ第2封印領域83に位置するパッケージ面の形状は、第1封止辺13の第2パッケージ領域131の形状に一致する。第1方向Lに沿って、キャップ第2封印領域83の幅は、第2パッケージ領域131の幅と等しい。任意選択で、キャップ第2封印領域83に位置するパッケージ面は、円弧面、斜角面などでもよく、ケース10のパッケージ後に溢れた接着剤領域131に形成される溢れた接着剤40の横断面積Sが、(2*T-H)*(W+W)<S<(2*T-H)*(W+W)を満たすものであればよい。
【0051】
任意選択で、トップキャップ60またはボトムキャップ70のみのパッケージ面80が、キャップ第1封印領域81およびキャップ第2封印領域83を含み、他方のキャップのパッケージ面が平面であることにより、第1パッケージ131を、第1封止領域132と第2封止領域134とが非平行に設けられるか、第3封印領域135と第4封印領域136とが非平行に設けられるだけで形成してもよい。
【0052】
本発明の一実施形態は、上述した電気化学装置100を適用した電子機器を提供するものであり、例えば、携帯電話、パソコン等の電子機器、ウェアラブル機器、ドローン、エネルギー貯蔵機器、電動工具、電気自動車等、従来公知のあらゆる電子機器であってよい。
【0053】
本明細書において、各実施形態は漸進的に記載されたものであり、各実施形態の重要な説明は、他の実施形態と異なるところであり、各実施形態間で共通する部分は互いに参照されればよい。本発明の実施の形態における上記説明は、当業者によって本発明を実現可能又は使用すべきである。これらの実施形態に対する多くの修正は、当業者にとって自明なことであり、本文で定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態において実現されることができる。従って、本発明はここに示すこれらの実施形態に制限されることなく、本発明の開示する原理および新規な特徴に一致する最も広い範囲に属する。
【符号の説明】
【0054】
100、200、300、400、500 電気化学装置
10 ケース
21 電極組品
23 正極タブ
25 負極タブ
12 収容空間
13 第1封止辺
14 第2封止辺
15 第3封止辺
30 第1封止膜
132 第1封止領域
134 第2封止領域
90 第2封止膜
135 第3封止領域
136 第4封止領域
31 金属箔層
32 保護層
33 熱圧着層
131 第2パッケージ領域
137 溢れた接着剤領域
133 第1封止領域
40、52 溢れた接着剤
60 トップキャップ
70 ボトムキャップ
80 パッケージ面
81 キャップ第1封印領域
83 キャップ第2封印領域
51 第1痕
53 第2痕
145 第3パッケージ領域
146 第4パッケージ領域
147 第3痕
148 第4痕
153 第5パッケージ領域
154 第6パッケージ領域
155 第5痕
156 第6痕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7