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  • 特許-接続構造および電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】接続構造および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241011BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G06F1/16 312M
G06F1/16 312E
H04M1/02 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023085189
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】楊 学雍
(72)【発明者】
【氏名】美濃部 太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 純
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H04M 1/02
H01R 12/79
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続対象と第2接続対象との間をフラットケーブルで接続する接続構造であって、
前記フラットケーブルには、延在方向に対して交差する方向に沿うように一方の面が凸の山折れ筋および他方の面が凸の谷折れ筋が形成され
前記山折れ筋および前記谷折れ筋は交互に複数設けられ、
前記フラットケーブルは、
複数層にそれぞれ設けられた銅箔と、
所定間隔で形成されて複数層間の前記銅箔を接続する複数のスルーホールと、
を有し、
前記山折れ筋および前記谷折れ筋は、前記スルーホールを避ける位置で、かつ前記所定間隔で設けられている
ことを特徴とする接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接続構造において、
前記第1接続対象における前記フラットケーブルとの第1接続部および前記第2接続対象における前記フラットケーブルとの第2接続部は、それぞれ第1方向に長い形状であり、
前記第1接続部と前記第2接続部とは前記第1方向および、前記第1方向に直交する第2方向にずれた位置にあり、
前記フラットケーブルは、前記第1方向および前記第2方向に対して傾斜した直線状の傾斜部を有し、
前記山折れ筋および前記谷折れ筋は前記傾斜部においてその延在方向に対する直交方向に沿って形成されている
ことを特徴とする接続構造。
【請求項3】
請求項に記載の接続構造において、
前記山折れ筋および前記谷折れ筋は、前記傾斜部の延在面を基準とした角度が45度以下である
ことを特徴とする接続構造。
【請求項4】
ディスプレイおよび該ディスプレイの表示面とは反対側面を覆う背面カバーを備える扁平形状のディスプレイ筐体を備える電子機器であって、
前記ディスプレイと前記背面カバーとの間の空間で第1接続対象と第2接続対象との間接続するフラットケーブルを有し、
前記フラットケーブルは、延在方向に対して交差する方向に沿うように一方の面が凸の山折れ筋および他方の面が凸の谷折れ筋が形成され
前記山折れ筋および前記谷折れ筋は交互に複数設けられ、
前記フラットケーブルは、
複数層にそれぞれ設けられた銅箔と、
所定間隔で形成されて複数層間の前記銅箔を接続する複数のスルーホールと、
を有し、
前記山折れ筋および前記谷折れ筋は、前記スルーホールを避ける位置で、かつ前記所定間隔で設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1接続対象と第2接続対象との間をフラットケーブルで接続する接続構造、および該接続構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
FPCなどのフラットケーブルは柔軟性に優れており折り曲げが可能で配策自由度が高く、しかも薄いためノート型パソコンなどの扁平形状の筐体を有する電子機器に適用されることがある。
【0003】
特許文献1に記載のノート型パソコンは本体筐体とディスプレイ筐体との間をフラットケーブルで接続しており、本体筐体内においてフラットケーブルがS字の余長部を有することでディスプレイ筐体の開閉にともなう経路長の変化を吸収している。本体筐体はディスプレイ筐体よりやや厚く、S字の余長部を形成するだけの余裕がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6922037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
扁平形状の筐体の内部においてFPCが接続される両端のコネクタは、組み立て誤差などによって相対位置が扁平面に沿って多少ずれることがある。FPCにはこのような位置ずれを吸収するための余長部を設けることが望ましい。
【0006】
特許文献1の余長部は本体筐体の内部で筐体の厚さ方向の断面上でS字を形成しているが、ディスプレイ筐体内部でこのような余長部を形成するとその分厚くなってしまい、薄型化の要請に反する。また、余長部としては扁平面に沿ってS字を形成することが考えられるが、そうするとFPCは相当に長くなってしまい近時の通信規格などで要請される信号線の短縮化に反することになる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、狭い空間内で第1接続対象と第2接続対象との間で位置ずれを吸収するとともに、短い経路で接続することのできる接続構造および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1態様に係る接続構造は、第1接続対象と第2接続対象との間をフラットケーブルで接続する接続構造であって、前記フラットケーブルには、延在方向に対して交差する方向に沿うように一方の面が凸の山折れ筋および他方の面が凸の谷折れ筋が形成されている。
【0009】
本発明の第2態様に係る電子機器は、ディスプレイおよび該ディスプレイの表示面とは反対側面を覆う背面カバーを備える扁平形状のディスプレイ筐体を備える電子機器であって、前記ディスプレイと前記背面カバーとの間の空間で第1接続対象と第2接続対象との間接続するフラットケーブルを有し、前記フラットケーブルは、延在方向に対して交差する方向に沿うように一方の面が凸の山折れ筋および他方の面が凸の谷折れ筋が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、狭い空間内で第1接続対象と第2接続対象との間で位置ずれを吸収するとともに、短い経路で接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る接続構造が適用されている電子機器の斜視図である。
図2図2は、ディスプレイおよびベゼルを取り外した状態のディスプレイ筐体を正面から見た図である。
図3図3は、フラットケーブルにおける傾斜部の斜視図である。
図4図4は、ディスプレイ筐体における傾斜部およびその周辺の断面図である。
図5図5は、フラットケーブルの傾斜部における折れ筋群の部分の断面図である。
図6図6は、コネクタが仮想線で示す正規の位置から実線で示す位置にずれて設けられた場合の接続構造を示す模式図であり、(a)は、コネクタが上方にずれた場合を示し、(b)はコネクタが下方にずれた場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる接続構造および電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る接続構造10および電子機器11の斜視図である。ここで例示する電子機器11はノート型PCであるが、本発明に係る接続構造および電子機器は他のタブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等の電子機器にも適用可能である。
【0014】
図1は、ヒンジ18によってディスプレイ筐体22を本体筐体24から開いた状態を示している。図1に示すように、電子機器11は、ディスプレイ筐体22の下端部である連結縁22aと本体筐体24の後端部である連結縁24aとを左右一対のヒンジ18,18によって回動可能に連結した構成である。
【0015】
本体筐体24は、薄い矩形状の箱体である。本体筐体24の上面には、キーボード26及びタッチパッド28が設けられている。本体筐体24の下面は下面カバー30で覆われている。本体筐体24の内部には電子基板12およびバッテリー32などが設けられている。電子基板12はマザーボードであり電子機器11全体の制御を行う。電子基板12にはコネクタ33が実装されている。
【0016】
ディスプレイ筐体22は横長の扁平状で矩形の箱体であり、前面のディスプレイ34と該ディスプレイ34の背面を覆う背面カバー36と、ディスプレイ34の周囲を囲むベゼル38とを有する。ディスプレイ筐体22およびその構成要素の説明では、横方向をX方向、それに直交する縦方向をY方向とも呼ぶ。また、ディスプレイ筐体22の厚み方向をZ方向とし、ディスプレイ34の表示面側をZ1方向、その反対側で背面カバー36の側をZ2方向とも呼ぶ。
【0017】
ディスプレイ34は、例えば有機ELや液晶等で構成される。ベゼル38の上辺部における略中央には複数の電子デバイス40が設けられている。電子デバイス40はカメラ、マイク、赤外線機器などである。電子デバイス40はベゼル38の裏側に配置された電子基板(第1接続対象)14に実装されている。つまり電子基板14はデバイス基板とも呼び得る。電子基板14にはさらにコネクタ(第1接続部)42が実装されている。ディスプレイ筐体22の内部にはディスプレイ34と背面カバー36との間に電子基板(第2接続対象)16が設けられている。背面カバー36はほぼ全面を占める平面部36aと、やや突出した縁枠部36bとを有する。電子基板16は平面部36aに粘着固定されている。縁枠部36bはベゼル38を貼り付ける面である。
【0018】
電子基板16は、ディスプレイ筐体22内における中心位置より右下側に配置されている。電子基板16は横方向にやや長い矩形で小型かつ薄く形成されており、ディスプレイ34と背面カバー36との間の狭い空間に配置可能となっている。電子基板16には電子デバイス40を制御するためのチップなどが実装されている。電子基板16にはコネクタ52,54が実装されている。コネクタ52にはフラットケーブル46が接続されている。フラットケーブル46の他端は電子基板12のコネクタ33に接続されている。コネクタ(第2接続部)54にはフラットケーブル48が接続されている。フラットケーブル48の他端は電子基板14のコネクタ42に接続されている。フラットケーブル46,48はFPC(Flexible printed circuits)である。
【0019】
図2は、ディスプレイ34およびベゼル38を取り外した状態のディスプレイ筐体22を正面から見た図である。フラットケーブル48はほぼ全部が平面部36aに設けられており、横延在部56と、傾斜部58とによって概略的にV字形状を形成している。横延在部56はディスプレイ筐体22の上辺に沿っている。傾斜部58はディスプレイ筐体22内における中心より左上位置から右下に向かい対角状に斜めに延在している。傾斜部58の延在方向をA方向とする。横延在部56と傾斜部58とはディスプレイ筐体22内における中心より左上位置でY方向に延在する短い第1縦延在部60を介してつながっている。
【0020】
コネクタ42,52,54は、X方向に横長形状でありそれぞれの接続端子はX方向に並列している。フラットケーブル48の第1縦延在部60は上方部でコネクタ42と接続されており、該第1縦延在部60では複数の信号線がY方向に沿って形成されている。一方、下方部ではコネクタ54が第2縦延在部62と接続されている。第2縦延在部62はごく短いがY方向に沿って延在している。第2縦延在部62では複数の信号線がY方向に沿って形成されている。傾斜部58は第1縦延在部60と第2縦延在部62との間を最短距離で結ぶようにA方向に延在しており、該傾斜部58では複数の信号線がA方向に沿って形成されている。換言すると、コネクタ42とコネクタ54とはX方向およびY方向にずれた位置にあり、傾斜部58はコネクタ42とコネクタ54との間を第1縦延在部60および第2縦延在部62を介して対角状に接続している。コネクタ52に接続されるフラットケーブル46はY方向に延在している。
【0021】
横延在部56には細く短い分岐部64a,64b,64cが設けられている。分岐部64a,64b,64cの各先端には発光素子やセンサなどが実装されている。分岐部64a,64b,64cはそれぞれ平面部36aに沿ったS字形状を形成しており、この部分が多少変形することにより先端部の配置位置のずれを吸収できるようになっている。分岐部64a,64b,64cは短いため、S字を形成しても経路長が過度に長くなることはなく、また細いためにS字による変形が可能である。横延在部56の左端には短い中継部65が設けられている。中継部65はコネクタ42と横延在部56とをY方向に接続している。傾斜部58は横延在部56よりやや太く、具体的には横延在部56、分岐部64a~64cを合計した程度の太さとなっており、フラットケーブル48で最も太い部分である。
【0022】
本実施の形態にかかる接続構造10は、電子基板14のコネクタ42と電子基板16のコネクタ54との間をフラットケーブル48で接続するものであり、フラットケーブル48の傾斜部58には、次に述べる折れ筋群66A,66Bが形成されている。
【0023】
図3は、フラットケーブル48における傾斜部58の斜視図である。図4は、ディスプレイ筐体22における傾斜部58およびその周辺の断面図である。図2図4に示すように、傾斜部58には2つの折れ筋群66A,66Bが形成されている。折れ筋群66Aと折れ筋群66Bとは形成されている場所が異なるが同じ構成となっている。折れ筋群66Aは第1縦延在部60に近い箇所にあり、折れ筋群66Bは第2縦延在部62に近い箇所にある。折れ筋群66Aと折れ筋群66Bとの間には平坦部68がある。平坦部68は、折れ筋群66A,66Bよりやや長くなっている。平坦部68は、例えばフラットケーブル48の配置・位置決めの後に背面カバー36に対して粘着固定するのに用いられる。平坦部68にはフラットケーブル48の仕様や型番などが印刷されていてもよい。
【0024】
折れ筋群66A,66Bでは、Z1側の面が凸の山折れ筋70aおよび、Z1側の面が凹でZ2側の面が凸の谷折れ筋70bが交互に複数設けられている。山折れ筋70aと谷折れ筋70bとは一定の間隔Pで形成されている。山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bは形状が不定の湾曲とは異なり、筋形状が安定している。
【0025】
山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bはそれぞれ傾斜部58においてA方向に直交するB方向に沿って形成されている。図4に示すように、山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bは、傾斜部58の延在面(この場合、平面部36aと一致している)を基準とした角度θは小さく、本実施例では20度程度となっており、折れ筋群66Aと折れ筋群66Bの高さHが低く抑えられている。高さHを低くするためには、角度θを45度以下とし、より好ましくは12度以下とするよい。高さHは例えば、2mm以下であり、より好ましくは1.2mm以下である。
【0026】
このように、折れ筋群66Aと折れ筋群66Bは高さHが低く抑えられていることからディスプレイ筐体22の内部でディスプレイ34と背面カバー36との間の狭い空間G(図4参照)に配置することが可能となっている。傾斜部58は折れ筋群66A,66Bが形成されていてZ方向にわずかに上下する経路をとることから、折れ筋群66A,66Bが無い状態と比較して平面視での見かけ長さがやや短くなっておりその差は本実施例で約2mm程度である。傾斜部58はこの長さの差の分だけ両端の位置ずれを吸収できるようになっている。山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bは自動機または治具によって形成してもよいし、作業者が手作業で形成してもよい。傾斜部58には山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bを形成する場所に目印となる線が予め印刷されていてもよい。なお、上記の間隔Pは厳密な意味では角度θに沿った距離であるが、図2および次に説明する図5では、図示が煩雑とならないように平面視上の距離で示している。後述する間隔P0も同様である。
【0027】
図5は、フラットケーブル48の傾斜部58における折れ筋群66Aの部分の断面図である。折れ筋群66Bの部分も同様である。
【0028】
フラットケーブル48は中央層のベースフィルム72に対して表裏に銅箔層74a,74bが形成され、さらに表裏をカバーフィルム76で覆う構造となっている。各層は接着剤78で固定されている。銅箔層74a,74bは信号線の数に応じて複数設けられるが、図5では代表的にグランドラインを示している。フラットケーブル48では2層のグランドラインをスルーホール80で接続してグランドを強化し耐ノイズ性能の向上を図っている。スルーホール80はA方向に沿い、少なくとも傾斜部58の全長にわたって間隔P0で複数設けられている。
【0029】
折れ筋群66A,66Bでは、スルーホール80が山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bとの中間位置に設けられている。つまり、山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bはスルーホール80を避ける位置に形成されており、その間隔Pはスルーホール80の間隔P0と等しくなっている。このような構成では、山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bがスルーホール80に損傷を与えることがない。山折れ筋70aと谷折れ筋70bとの間隔Pが適度な距離に設定される。この実施例ではフラットケーブル48は2層であるが、3層以上であってもよい。その場合のスルーホール80は3層以上のうちいずれか2層以上を導通させるものであればよい。
【0030】
図6は、コネクタ54が仮想線で示す正規の位置から実線で示す位置にずれて設けられた場合の接続構造10を示す模式図であり、(a)は、コネクタ54が上方にずれた場合を示し、(b)はコネクタ54が下方にずれた場合を示す。電子基板16は平面部36aに対して粘着固定する際に、作業者によっては僅かにずれて固定されてしまう場合がある。そうすると、図6に示すように電子基板16のコネクタ54も正規の位置からずれてしまう。
【0031】
図6(a)に示すように、コネクタ54が下方(本体筐体24に近い側)にずれた場合、折れ筋群66A,66Bでは、複数の山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bは右上部分が左下部分に比べて平面視の見かけ上で相対的に間隔が広がる。図示を省略するが、コネクタ54が左側にずれた場合、およびコネクタ54が時計方向にずれた場合も同様である。
【0032】
図6(b)に示すように、コネクタ54が上方にずれた場合、折れ筋群66A,66Bでは、複数の山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bは左下部分が右上部分に比べて平面視の見かけ上で相対的に間隔が広がる。図示を省略するが、コネクタ54が右側にずれた場合、およびコネクタ54が反時計方向にずれた場合も同様である。
【0033】
また、コネクタ54が左上方向にずれた場合には山折れ筋70aと谷折れ筋70bとの平面視上の間隔が縮まり、右下方向にずれた場合には山折れ筋70aと谷折れ筋70bとの平面視上の間隔が広がることになる。
【0034】
このように、本実施の形態にかかる接続構造10および電子機器11によれば、コネクタ42とコネクタ54との間で相対的な位置ずれが発生した場合でも、その位置ずれを吸収するようにして両者間を接続することができる。
【0035】
またこのような折れ筋群66A,66Bによれば、特許文献1の余長部のようにY-Z平面上で2つの折返し部によるS字を形成するのではなく、山折れ筋70aと谷折れ筋70bとによってA-Z平面上でW字を形成して高さHを抑制し、狭い空間G内の配置が可能となっている。
【0036】
さらにこのような折れ筋群66A,66Bによれば、分岐部64a~64cのようにX-Y平面上で平面部36aに沿った長い経路のS字形状を形成するのではなく、A-Z平面上でW字を形成する短い経路でコネクタ42とコネクタ54との間を接続することで信号長を短縮化することができる。なお、X-Y平面上S字形状は、分岐部64a~64cのよう細い部分に対しては有効であるが、折れ筋群66A,66Bは太い傾斜部58に対して有効である。もちろん、分岐部64a~64cに対して折れ筋群66A,66Bと同様の構成を適用してもよい。
【0037】
なお、仮に折れ筋群66A,66Bを折れ筋のない湾曲形状とすると、湾曲部は弾性によっては元の形状の戻ろうとする力を発生させてコネクタ54に圧力を加えてしまうことになる。これに対して折れ筋群66A,66Bは、山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bが折れて、その分フラットケーブル48の見かけ長さがやや短くなっている状態で安定しており、コネクタ54に対してほとんど圧力を加えることがない。
【0038】
また、仮に折れ筋群66A,66Bを折れ筋のない湾曲形状とすると、A-Z平面視で大きな円弧形状となり、平面部36a(図4参照)とディスプレイ34とによって挟持されてストレスを受けることになる。これに対して折れ筋群66A,66Bは、高さHが抑制されていて平面部36aとディスプレイ34とから受けるストレスがほとんどない。
【0039】
接続構造10は、接続対象である電子基板14と電子基板16との間をフラットケーブルで接続するものであり、電子基板14に対してはコネクタ42で接続され、電子基板16に対してはコネクタ54で接続されているが、接続部はコネクタ形式に限らず圧接、はんだ融着、ダイレクト・ボンディング、ディンプル・コネクションなどであってもよい。また、上記実施例では折れ筋群66A,66Bの山折れ筋70aが3本、谷折れ筋70bが4本設けられているが、設計条件によっては、山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bはそれぞれ1本以上設けられていれば相応の余長吸収作用が得られる。山折れ筋70aおよび谷折れ筋70bはそれぞれ傾斜部58においてA方向に直交するB方向に沿って形成されているが、設計条件によってはA方向に対して交差する方向に形成されていれば相応の余長吸収作用が得られる。フラットケーブル46,48はFFC(Flexible Flat Cable)などであってもよい。
【0040】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
10 接続構造
11 電子機器
12,14,16 電子基板
22 ディスプレイ筐体
24 本体筐体
33,42,52,54 コネクタ
34 ディスプレイ
36 背面カバー
36a 平面部
40 電子デバイス
46,48 フラットケーブル
56 横延在部
58 傾斜部
64a,64b,64c 分岐部
66A,66B 折れ筋群
68 平坦部
70a 山折れ筋
70b 谷折れ筋
74a,74b 銅箔層
80 スルーホール
【要約】
【課題】狭い空間内で第1接続対象と第2接続対象との間で位置ずれを吸収するとともに、短い経路で接続することのできる接続構造を提供する。
【解決手段】接続構造10は、電子基板14と電子基板16との間をフラットケーブル48で接続する。フラットケーブル48の傾斜部58は、X方向、Y方向に対して傾斜したA方向に直線状に形成されている。傾斜部58はA方向に対して直交するB方向に沿うようにZ1側の面が凸の山折れ筋70aおよびZ2側の面が凸の谷折れ筋70bが形成されている。電子基板14におけるフラットケーブル48とのコネクタ42および電子基板16におけるフラットケーブル48とのコネクタ54は、それぞれX方向に長い形状であり、コネクタ42とコネクタ54とはX方向、Y方向にずれた位置にある。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6