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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/10 20060101AFI20241011BHJP
   A63H 33/08 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
A63H33/10 Z
A63H33/08 A
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2023125159
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2024-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(73)【特許権者】
【識別番号】598088620
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコクラフト
(72)【発明者】
【氏名】柿添 友美子
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 有沙
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3241631(JP,U)
【文献】特表2022-516017(JP,A)
【文献】登録実用新案第3068573(JP,U)
【文献】特開昭56-095090(JP,A)
【文献】国際公開第2010/001740(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/04-14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピースが一体的に形成されたピース部材と、
前記複数のピースのうちの少なくとも1つに連結可能な連結部を有する第1連結部材と、を備え、
前記複数のピースのうちの少なくとも1つは、前記連結部と連結する被連結部を有
前記ピース部材は、隣り合う前記ピースの辺同士を接続する接続部を有し、
前記接続部の長さは、前記ピースの辺の長さよりも小さい、
玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記ピース部材は、任意の数の前記ピースを含む小ピース部材に分離可能であり、
前記小ピース部材は、前記第1連結部材を介して互いに連結可能に構成されている、玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の玩具であって、
前記複数のピースは、夫々が前記被連結部を有する、玩具。
【請求項4】
請求項3に記載の玩具であって、
前記複数のピースは、それぞれが複数の前記被連結部を有する、玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の玩具であって、
前記ピースは、Nを3以上の自然数としてN個の辺を有するN角形であり、N個の辺のそれぞれに前記被連結部が設けられている、玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の玩具であって、
前記ピース部材はシート状をなしている、玩具。
【請求項7】
請求項に記載の玩具であって、
前記接続部は、前記被連結部を介して前記ピースの辺同士を接続し、
前記接続部の長さは、前記被連結部の長さよりも小さい、玩具。
【請求項8】
請求項に記載の玩具であって、
前記接続部の厚みは、前記被連結部の厚みよりも小さい、玩具。
【請求項9】
請求項に記載の玩具であって、
前記ピース部材は、前記接続部にて分割されることで、任意の数の前記ピースを含む小ピース部材に分離可能に構成されている、玩具。
【請求項10】
請求項からの何れか1項に記載の玩具であって、
前記第1連結部材の長さは、前記接続部の長さよりも大きい、玩具。
【請求項11】
請求項からの何れか1項に記載の玩具であって、
前記第1連結部材によって連結された2つの前記ピースと当該第1連結部材を併せた長さは、前記接続部によって接続された2つの前記ピース及び当該接続部を併せた長さと略同じである、玩具。
【請求項12】
請求項1~の何れか1項に記載の玩具であって、
前記被連結部は、前記ピースの辺の一部を成すように当該辺に沿って延びる、玩具。
【請求項13】
請求項1~の何れか一項に記載の玩具であって、
前記ピースは、弾性変形可能な変形部を有する、玩具。
【請求項14】
請求項1~の何れか一項に記載の玩具であって、
前記連結部は、一端側に設けられた第1連結部と、当該一端側と反対側の他端側に設けられた第2連結部とで構成されている、玩具。
【請求項15】
請求項1~の何れか一項に記載の玩具であって、
前記連結部は、凹状の連結凹部を備え、前記被連結部と嵌合によって連結される、玩具。
【請求項16】
請求項15に記載の玩具であって、
前記連結部は、前記被連結部を前記連結凹部へ挿入可能な連結挿入口を備えている、玩具。
【請求項17】
請求項16に記載の玩具であって、
前記連結凹部は、筒形状に構成され、前記連結挿入口が前記連結凹部の長手方向に設けられている、玩具。
【請求項18】
請求項17に記載の玩具であって、
前記連結挿入口には、前記被連結部の前記連結部外への移動を規制する規制部が設けられている、玩具。
【請求項19】
請求項18に記載の玩具であって、
前記規制部は、前記連結凹部の内方側に突出する突出部で構成される、玩具。
【請求項20】
請求項18に記載の玩具であって、
前記連結部は、前記連結凹部の一端に、前記被連結部の挿入方向と交差する方向に開口し、前記被連結部の前記連結凹部からの離脱を可能にする連結解除開口を有する、玩具。
【請求項21】
請求項20に記載の玩具であって、
前記連結挿入口の外面側には、前記被連結部の前記連結凹部への進入をガイドする傾斜面が設けられている、玩具。
【請求項22】
請求項16に記載の玩具であって、
前記連結凹部は、その横断面において、前記連結挿入口から当該連結挿入口に対面する内壁面までの前記被連結部の挿入方向の距離が、前記挿入方向と直交する方向の内壁面間の距離よりも長く構成されている、玩具。
【請求項23】
請求項15に記載の玩具であって、
前記連結凹部の内面には、前記被連結部の外面に接する突起が設けられている、玩具。
【請求項24】
請求項23に記載の玩具であって、
前記突起は、前記被連結部の挿入方向に沿って延びる突条として構成されている、玩具。
【請求項25】
請求項1~の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第1連結部材は、複数個含まれている、玩具。
【請求項26】
請求項1~の何れか一項に記載の玩具であって、
前記被連結部と連結可能な第3連結部を一端側に有する第2連結部材をさらに含み、
前記第2連結部材は、前記一端側と反対側の他端側に設けられ、前記第3連結部とは形状の異なる第4連結部を有する、玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数収納具片の構成で自由に組立、容易に修理出来る連結する収納具片で構成する収納具が提案されている。例えば、特許文献1においては、複数の収納具片で構成し、収納具片に隣接する部には接続部を設け、その接続部に凸と凹とで着脱可能な形態を設け、その接続部に嵌合構造にて回転する可動域を設けた連結する収納具片で構成する収納具、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-26383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、連結する収納具片で構成する収納具の構成であり、玩具として興趣性のあるものを提供するものではなかった。
【0005】
本発明は、興趣性の高い玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る玩具は、
複数のピースが一体的に形成されたピース部材と、
前記複数のピースのうちの少なくとも1つに連結可能な連結部を有する第1連結部材と、を備え、
前記複数のピースのうちの少なくとも1つは、前記連結部と連結する被連結部を有する、ものである。
また、本発明に係る玩具は、
複数のピースが一体的に形成されたピース部材と、
前記複数のピースのうちの少なくとも1つに連結可能な連結部を有する第1連結部材と、を備え、
前記複数のピースのうちの少なくとも1つは、前記連結部と連結する被連結部を有し、
前記ピース部材は、隣り合う前記ピースの辺同士を接続する接続部を有し、
前記接続部の長さは、前記ピースの辺の長さよりも小さい、ものである。
【0007】
本発明の一態様の玩具は、
前記ピース部材は、任意の数の前記ピースを含む小ピース部材に分離可能であり、
前記小ピース部材は、前記第1連結部材を介して互いに連結可能に構成されている、ものである。
【0008】
本発明の一態様の玩具は、
前記複数のピースは、夫々が前記被連結部を有する、ものである。
【0009】
本発明の一態様の玩具は、
前記複数のピースは、それぞれが複数の前記被連結部を有する、ものである。
【0010】
本発明の一態様の玩具は、
前記ピースは、Nを3以上の自然数としてN個の辺を有するN角形であり、N個の辺のそれぞれに前記被連結部が設けられている、ものである。
【0011】
本発明の一態様の玩具は、
前記ピース部材はシート状をなしている、ものである。
【0012】
本発明の一態様の玩具は、
前記ピース部材は、隣り合う前記ピースの辺同士を接続する接続部を有し、
前記接続部の長さは、前記ピースの辺の長さよりも小さい、ものである。
【0013】
本発明の一態様の玩具は、
前記接続部は、前記被連結部を介して前記ピースの辺同士を接続し、
前記接続部の長さは、前記被連結部の長さよりも小さい、ものである。
【0014】
本発明の一態様の玩具は、
前記接続部の厚みは、前記被連結部の厚みよりも小さい、ものである。
【0015】
本発明の一態様の玩具は、
前記ピース部材は、前記接続部にて分割されることで、任意の数の前記ピースを含む小ピース部材に分離可能に構成されている、ものである。
【0016】
本発明の一態様の玩具は、
前記第1連結部材の長さは、前記接続部の長さよりも大きい、ものである。
【0017】
本発明の一態様の玩具は、
前記第1連結部材によって連結された2つの前記ピースと当該第1連結部材を併せた長さは、前記接続部によって接続された2つの前記ピース及び当該接続部を併せた長さと略同じである、ものである。
【0018】
本発明の一態様の玩具は、
前記被連結部は、前記ピースの辺の一部を成すように当該辺に沿って延びる、ものである。
【0019】
本発明の一態様の玩具セットは、
前記ピースは、弾性変形可能な変形部を有する、ものである。
【0020】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結部は、一端側に設けられた第1連結部と、当該一端側と反対側の他端側に設けられた第2連結部とで構成されている、ものである。
【0021】
本発明の一態様の玩具セットは、
前記連結部は、凹状の連結凹部を備え、前記被連結部と嵌合によって連結される、ものである。
【0022】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結部は、前記被連結部を前記連結凹部へ挿入可能な連結挿入口を備えている、ものである。
【0023】
本発明の一態様の玩具セットは、
前記連結凹部は、筒形状に構成され、前記連結挿入口が前記連結凹部の長手方向に設けられている、ものである。
【0024】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結挿入口には、前記被連結部の前記連結部外への移動を規制する規制部が設けられている、ものである。
【0025】
本発明の一態様の玩具セットは、
前記規制部は、前記連結凹部の内方側に突出する突出部で構成される、ものである。
【0026】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結部は、前記連結凹部の一端に、前記被連結部の挿入方向と交差する方向に開口し、前記被連結部の前記連結凹部からの離脱を可能にする連結解除開口を有する、ものである。
【0027】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結挿入口の外面側には、前記被連結部の前記連結凹部への進入をガイドする傾斜面が設けられている、ものである。
【0028】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結凹部は、その横断面において、前記連結挿入口から当該連結挿入口に対面する内壁面までの前記被連結部の挿入方向の距離が、前記挿入方向と直交する方向の内壁面間の距離よりも長く構成されている、ものである。
【0029】
本発明の一態様の玩具は、
前記連結凹部の内面には、前記被連結部の外面に接する突起が設けられている、
ものである。
【0030】
本発明の一態様の玩具は、
前記突起は、前記被連結部の挿入方向に沿って延びる突条として構成されている、ものである。
【0031】
本発明の一態様の玩具は、
前記第1連結部材は、複数個含まれている、ものである。
【0032】
本発明の一態様の玩具は、
前記被連結部と連結可能な第3連結部を一端側に有する第2連結部材をさらに含み、
前記第2連結部材は、前記一端側と反対側の他端側に設けられ、前記第3連結部とは形状の異なる第4連結部を有する、ものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、興趣性の高い玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一態様の玩具を表面側から見た斜視図である。
図2図2は、図1に示す玩具を裏側から見た斜視図である。
図3図1に示す玩具における小ピース部材の斜視図である。
図4図1に示す玩具における最小のピースを示す斜視図である。
図5図1に示す玩具における第1連結部材を示す斜視図である。
図6図5に示す第1連結部材を長手方向に分割した断面図である。
図7図5に示す第1連結部材の長手方向から見た端面図である。
図8】第1連結部材と被連結部との連結状態を示す端面図である。
図9】第1連結部材と被連結部との連結操作時の動作を示す説明図である。
図10】第1連結部材と被連結部との連結解除時の動作を示す説明図である。
図11】ピース部材と第1及び第2連結部材を使用して組み立てた物品の一例を示す斜視図である。
図12図11に示した物品の拡大分解図である。
図13】第2連結部材を示す拡大斜視図である。
図14】ピース部材の他の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一側面を表す一態様の玩具について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の玩具1を表面側から見た斜視図である。また、図2は、図1に示す玩具1を裏面側から見た斜視図である。
【0036】
図1及び図2に示すように、玩具1は、複数のピース5(本態様においては12個)が一体的に形成されたシート状のピース部材10と、ピース部材10に連結可能な第1連結部材20と、を備えている。すなわち、玩具1は、ピース部材10と第1連結部材20とのセット玩具として構成される。そして、玩具1においては、例えばピース部材10は、複数枚用意されていることが好ましく、また、第1連結部材20についても多数個用意されていることが好ましい。
【0037】
ピース5は、図示のごとく、ピース部材10においては一つの区画として構成されている。そして、ピース5は、中央部分に設けられた半球形状の変形部53が、例えば、図1に示すようにピース部材10の表面側に突出する状態と、図2の一点鎖線にて示すように、裏面側に突出する状態と、に弾性変形できるように構成されている。すなわち、変形部53は、突出している側から反対側に指等で押すことで、突出方向が簡単に変更できる。
【0038】
また、ピース部材10は、各ピース5の角部(本態様においては4か所の角部)に切欠き開口7が設けられている。この切欠き開口7は、被連結部52の端部がピース5のピース本体部51の外周縁から突出した構造を形成する。そして、切欠き開口7は、被連結部52の第1連結部材20との連結を容易にすると共に、ピース部材10の分割を容易にする。
【0039】
ピース部材10は、特に、その素材について制限するものではないが、例えば、合成樹脂、合成ゴム、天然ゴム、紙など、適宜弾性を有する素材にて構成されている。また、第1連結部材20については、ピース部材10と同じ素材にて構成されていても良いが、例えば、ピース部材10よりも剛性の高い樹脂が好ましく、金属等の剛性のある素材にて構成されても良い。
【0040】
図3は、玩具1における小ピース部材10a,10bの斜視図である。
ピース部材10は、分割によって、図3に示すように、任意の数(図示においては3個)のピース5を含む小ピース部材10a,10bに分離可能である。これは、例えば、鋏やカッターナイフ、更には手で千切るなどして分割する。例えば、図1に示す分割線CL1、及び分割線CL2の位置で分割することにより、より小さいシート状に変更することができる。また、分割線CL1,CL2上には切欠き開口7が設けられている。これにより、分割が容易にでき、また、分割の結果、被連結部52は、小ピース部材10a,10bの全ての外周縁においてピース本体部51から突出した状態で設けられる。
【0041】
この分割においては、各ピース5が接続された接続部9を分割位置として利用する。接続部9は、隣り合うピース5間の被連結部52の間が被連結部52よりも厚みが小さく、更に、ピース本体部51よりも薄く構成されている。この接続部9は、分割し易い部分として構成されている。また、分割された接続部9は、分割端9aとして、接続部9のほぼ半分程度かそれ以下の幅を有する部分として被連結部52上に残存する。しかし、この分割端9aをそのままにしておいても、後述するように被連結部52の連結機能には支障をきたすことがない。
【0042】
図3に示す、例えば、小ピース部材10aの右側端と、小ピース部材10bの左側端と、を3つの第1連結部材20を介して連結することができる。また、連結された小ピース部材10a,10bは、第1連結部材20を支点にして連結角度を変更することが可能である。更に、連結する形態としては、図3に示す様態とは異なり、ピース5が縦長に6個並ぶような接続も可能である。
【0043】
図4は、図1に示す玩具1における最小のピース5を示す斜視図である。
本形態におけるピース5は、図4に示すように、4角形であり、その全ての辺の一部を成すように当該辺に沿って被連結部52を有する構成であり、3角形以上の多角形とすることができる。すなわち、ピース5は、Nを3以上の自然数としてN個の辺を有するN角形とすることができ、N個の辺のそれぞれに被連結部52が設けられている。ここで、被連結部52は、その両端部が少し丸みをおび円柱形状であり、その内、2つ乃至3つには図示のごとく分割端9aが形成されている。
【0044】
また、図4に示すように、接続部9の長さW4(分割端9aの長さ)は、ピース5の辺5aの長さW1よりも小さい。また、接続部9の長さW4は、被連結部52の長さW3よりも小さい。更に、第1連結部材20の長さW2は、接続部9の長さW1よりも大きく構成されている。
【0045】
また、ピース5には、前述のごとく半球状の変形部53が設けられているが、この変形部53は、例えば、ピース本体部51を肉厚にして剛性を高めた環状リブ54の内側において、変形部連結部54aを介して連結されている。
【0046】
図5は、玩具1における第1連結部材20を示す斜視図である。図6は、図5に示す第1連結部材20を長手方向に分割した断面図である。
【0047】
第1連結部材20は、図5、及び図6に示すように、被連結部52と連結する第1連結部21a、及び第2連結部21bが、中央壁部20aを挟むようにして一端側と他端側に筒状構造を並べたように構成されている。第1連結部21a、及び第2連結部21bは、共に筒形状の凹状の連結凹部22を備え、この連結凹部22が被連結部52を受容するように嵌合する。また、被連結部52の連結凹部22への挿入は、連結凹部22の長手方向に沿って開口された連結挿入口23から挿入する。本態様の第1連結部材20は、連結挿入口23は、中央壁部20aを挟んで反対側に向かって開口(背中合わせに開口)した構成となっている。
【0048】
連結挿入口23には、被連結部52の連結部外への移動を規制する規制部が設けられている。この規制部は、例えば、連結凹部22の内方側(連結挿入口23を狭くする方向)に突出する突出部24で構成されている。また、連結挿入口23の外面側には、被連結部52を連結凹部22へ挿入するときに、その挿入(進入)をガイドできる方向に傾斜した傾斜面23aが設けられている。このように、突出部24は、被連結部52の連結状態を維持する機能だけでなく、連結挿入を誘導する機能も有する。
【0049】
また、連結凹部22の内面形状は、略円筒形状とすることができるが、本態様においては、図5に示すように、上下に平行な内面の平坦内面27が設けられている。そして、この平坦内面27には、図6に示すように、突起26が設けられている。突起26は、被連結部52の挿入方向(図6の矢印方向)に沿って延びる突条として第1連結部材20の長手方向の中央に設けられている。そして、突起26は、挿入された被連結部52の外周面52sに接する(図8参照)ように構成されている。
【0050】
第1連結部21a、及び第2連結部21bは、連結凹部22の長手方向の少なくとも一端(本態様においては両端)に、被連結部52の挿入方向とは交差方向に開口した連結解除開口25が設けられている。すなわち、連結凹部22は、その両端が閉じられることなく開口した構成である。この構成により、後述するように、連結凹部22から被連結部52を離脱させることができる。
【0051】
図7は、第1連結部材20の長手方向から見た端面図である。図8は、第1連結部材20と被連結部52との連結状態を示す端面図である。
連結凹部22は、その横断面(端面方向から見て)において、図7に示すように、連結挿入口23から当該連結挿入口23に対面する内壁面22aまでの被連結部52の挿入方向の距離L1が、挿入方向と直交する方向の内壁面間の距離L2(突起26間の距離)よりも長く構成されている。
【0052】
連結凹部22において、被連結部52の挿入方向のサイズが大きく構成されている。この構成によって、例えば、図8に示すように、円柱形状の被連結部52の外周面52sから外側に分割端9aが突出した状態であっても、中央壁部20aと外周面52sとの間に形成されるスペース内に分割端9aを収めることができる。したがって、分割端9aが比較的いい加減に分割されることで、その突出高さ(外周面52sからの突出高さ)が大きくなってしまった場合でも、ピース5間の連結状態を良好に維持できる。
【0053】
また、第1連結部材20によって連結された2つのピース5と当該第1連結部材20を併せた長さは、接続部9によって接続された2つのピース5及び当該接続部9を併せた長さと略同じである。
【0054】
言い換えると、図8に示すように、第1連結部材20により連結された被連結部52間の距離(d1)は、分割される前の接続部9によって繋がったままの被連結部52間の距離と略同じとなっている。これにより、隣り合うピース5間の距離は、分割して再連結した場合の距離と、分割する前のピース5間の距離とを同じにできる。
【0055】
ここで、図8においては、接続部9の分割端9aが中央壁部20aと外周面52sとの間に押し込められたような状態を示しているが、必ずしもこのような状態になるとは限らない。例えば、中央壁部20aの図中における横方向の厚みを薄くして分割端9aをより収容し易くする構造、或いは、内壁面22aに凹部を形成した構造などを採用することができる。このような構成にすることで、第1連結部材20によって連結された隣り合う被連結部52の間隔(距離d1)を小さくすることができ、分割前の隣り合う被連結部52間の距離と同じにすることができる。
【0056】
図9は、第1連結部材20と被連結部52との連結操作時の動作を示す説明図である。
第1連結部材20と被連結部52との連結操作をするときは、図9に示すように、被連結部52の外周面52sを第1連結部材20の傾斜面23aに押し付けるようにする。このときの押圧力によって、傾斜面23aには押圧力の分力が作用して、図9において上下一対の連結部先端21tを開く方向の力が働く。そして、上下一対の連結部先端21tは、互いに開く方向へ変形する。これによって、被連結部52は、連結凹部22内に挿入される。また、被連結部52の挿入が完了すると同時に、連結部先端21tは、元の位置(図8参照)に復帰する。
【0057】
連結部先端21tの復帰動作によって、突出部24の先端は、ピース本体部51と被連結部52の境界部分52eに引っ掛かる(図8に示す状態)ように位置する。この結果、被連結部52は、挿入方向とは逆向きの方向には、引き抜きができないように規制され連結が完了する(図8参照)。
【0058】
図10は、第1連結部21a及び第2連結部21bと被連結部52との連結解除時の動作を示す説明図である。
前述のように、第1連結部21a及び第2連結部21bと被連結部52とは、連結時の挿入方向と逆向きには引き抜きが容易ではない。しかし、図10に示すように、連結凹部22の長手方向においては、被連結部52は何れの向きにもスライド移動することができる。すなわち、被連結部52は、その挿入方向とは交差方向である連結凹部22の両端部の連結解除開口25から連結を解除することができる。
【0059】
図11は、ピース部材10と第1連結部材20を使用して組み立てた物品60の一例を示す斜視図である。図12は、図11に示した物品60の拡大分解図である。
図11に示す物品60は、例えば、バッグを構成したもので、バッグ本体61にバッグ蓋部62、及びストラップ63を取り付けた形態である。
バッグ本体61は、2つのバッグ表裏面61a、1つのバッグ底面61b、及び2つのバッグ側面61cが、第1連結部材20によって箱型形状に連結されている。
【0060】
また、図12に示すように、バッグ本体61と、バッグ蓋部62、及びストラップ63と、の連結は、前述の第1連結部材20とは異なる形状の他の連結部材である2種類の第2連結部材20A,20Bによって連結される。
【0061】
図13は、第2連結部材20A,20Bを示す斜視図である。
第2連結部材20A,20Bにおいて、バッグ蓋部62を連結する蓋用の第2連結部材20Aの場合には、図13(a)に示すように、被連結部52と連結される第3連結部21cが設けられ、更に、第3連結部21cの連結挿入口23とは反対側に突出し先太の係合凸21fが突設された第4連結部21dが設けられている。この係合凸21fは、バッグ蓋部62の係合孔62a(図12参照)に嵌入され係止される。
【0062】
ストラップ63用の第2連結部材20Bの場合には、図13(b)に示すように、第3連結部21cの連結挿入口23とは反対側に突出し開口部21hを備える第4連結部21dが設けられている。この開口部21hには、ストラップ63が通される。このように、連結部材は、物品60に合わせて異なる形状のものが複数種類用いられる。
【0063】
図14は、ピース部材10の他の態様を示す斜視図である。
図14に示すピース部材10は、図1に示したピース部材10と同じ構成となっているが、異なる点は、例えば、図中において横方向のA列、B列、C列、D列ごとに同じ色や柄となった構成である。したがって、例えば、A列からD列に向かって色が濃くなるようなグラデーションのピース部材10を提供することができる。
【0064】
この場合、各列(A列、B列、C列、D列)に沿った接続部9で分割することで、同じ色の小ピース部材10aを得ることができる。一方、各列を横断する方向の接続部9に沿って分割することで、グラデーションを有する小ピース部材10aを得ることができる。
【0065】
以上述べたように、本態様の玩具1では、ピース部材10は、複数のピース5が一体的に形成された構成であり、他の形状に分割可能な構成であるので、複数のピース5、或いはピース部材10よりも小さい小ピース部材10aなどを取り出すことができる。また、ピース部材10に連結可能な第1連結部材20と第1連結部材20に連結可能な被連結部52を備えるピース5とを備えることで、ピース5と他のピース5とを連結して他の異なる物品を形成することが可能となる。また、ピース部材10がシート状であり、接続部9が薄肉に構成されていることで、ピース5の分割が容易である。
【0066】
本態様の玩具1においては、各ピース5が複数の被連結部52を有することで、分割したピース5ごとに連結することが可能になる。また、ピース5が、Nを3以上の自然数としてN個の辺を有するN角形で、N個の辺のそれぞれに被連結部52が設けられていることで、各種の形状の物品を作ることができる。
【0067】
また、本態様の玩具1では、ピース部材10は、隣り合う被連結部52同士が、被連結部52よりも薄く、更に、ピース本体部51よりも薄肉に構成された接続部9にて接続されていることで、この接続部9を分割し易くできる。
【0068】
更に、第1連結部材20の長さW2が、接続部9の長さW1よりも大きく構成されていることで、接続部9は、分割されて第1連結部材20にて連結されたときに、外部から見えないようにできる。
【0069】
本態様の玩具1では、ピース5は、その厚み方向のいずれの方向にも突出するように弾性変形可能な変形部53を有するので、この変形部53の変形を楽しむことができる。
【0070】
本態様の玩具1では、被連結部52は、連結凹部22の長手方向に沿って形成された連結挿入口23から押し込むようにして連結できるので、その連結操作が簡単である。また、連結挿入口23の外面側には、被連結部52の連結凹部22への進入をガイドする傾斜面23aが設けられているので、連結操作を更に容易にできる。
【0071】
また、連結挿入口23の内側には、連結凹部22の内方側に突出する突出部24が設けられているので、押し込み連結された被連結部52と連結凹部22との連結は、押し込み方向とは逆方向への引き抜きができないように確りと規制することができる。
【0072】
また、本態様の玩具1では、連結部(第1、第2、第3連結部21a,21b,21c)は、連結凹部22の一端に、被連結部52の挿入方向とは交差方向に開口した連結解除開口25が設けられているので、被連結部52の連結凹部22からの離脱を容易にすることができる。
【0073】
本態様の玩具1では、連結挿入口23から当該連結挿入口23に対面する内壁面22aまでの被連結部52の挿入方向の距離L1が、挿入方向と直交する方向の内壁面間の距離L2(突起26間の距離)よりも長く構成されていることで、円柱形状の被連結部52の外周面52sから外側に分割端9aの突出度合いのバラつきを許容し、第1連結部材20による連結状態を良好に維持できる。
【0074】
本態様の玩具1においては、第1連結部材20によって連結されたピース5間の間隔と、分割する前(接続部9によって接続された状態)のピース5間の間隔と、が略同じになるように構成されている。このため、例えば、分割したピース5を再連結した部分と、分割しない部分(接続部9によって接続された部分)とを組み合わせて特定の物品を作り上げるときに、長さのズレが生じることがなく、寸法精度の良い物品を作成することができる。
【0075】
また、本態様の玩具1では、連結凹部22の内面に、被連結部52の外周面52sに接する突条の突起26が設けられていることで、例えば、連結凹部22と被連結部52との嵌合のバラつき、すなわち、両部の成形精度のバラつきを許容した連結を行うことができる。また、被連結部52の連結凹部22への挿入後に挿入状態を保持することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記態様においては、ピース5はその全てにおいて被連結部52を備えた構成としたが、これに限るものではなく、例えば被連結部52を有しないものが適宜位置に設けられた構成であっても良い。
【0077】
また、上記態様においては、ピース5が変形部53を有する構成としたが、変形部53を備えない、例えば平坦な構成であっても良い。
【0078】
また、上記態様に示した第1連結部材20においては、第1連結部21a及び第2連結部21bが連結挿入口23を反対方向(180度反対)に向けて開口した構成としたが、これに限るものではなく、例えば、連結挿入口23の開口向きが、例えば、90度、45度、というように所定の角度に向いた構成であっても良い。また、第3連結部21cと第4連結部21dについても同様に、その連結角度は、180度反対方向でなくても良い。
【0079】
以上説明したように、本明細書に以下の事項が記載されている。
【0080】
(1)
複数のピースが一体的に形成されたピース部材と、
上記複数のピースのうちの少なくとも1つに連結可能な連結部を有する第1連結部材と、を備え、
上記複数のピースのうちの少なくとも1つは、上記連結部と連結する被連結部を有する、玩具。
【0081】
(2)
(1)に記載の玩具であって、
上記ピース部材は、任意の数の上記ピースを含む小ピース部材に分離可能であり、
上記小ピース部材は、上記第1連結部材を介して互いに連結可能に構成されている、玩具。
【0082】
(3)
(2)に記載の玩具であって、
上記複数のピースは、夫々が上記被連結部を有する、玩具。
【0083】
(4)
(3)に記載の玩具であって、
上記複数のピースは、それぞれが複数の上記被連結部を有する、玩具。
【0084】
(5)
(4)に記載の玩具であって、
上記ピースは、Nを3以上の自然数としてN個の辺を有するN角形であり、N個の辺のそれぞれに上記被連結部が設けられている、玩具。
【0085】
(6)
(5)に記載の玩具であって、
上記ピース部材はシート状をなしている、玩具。
【0086】
(7)
(1)から(6)の何れかに記載の玩具であって、
上記ピース部材は、隣り合う上記ピースの辺同士を接続する接続部を有し、
上記接続部の長さは、上記ピースの辺の長さよりも小さい、玩具。
【0087】
(8)
(7)に記載の玩具であって、
上記接続部は、上記被連結部を介して上記ピースの辺同士を接続し、
上記接続部の長さは、上記被連結部の長さよりも小さい、玩具。
【0088】
(9)
(7)又は(8)に記載の玩具であって、
上記接続部の厚みは、上記被連結部の厚みよりも小さい、玩具。
【0089】
(10)
(7)から(9)の何れかに記載の玩具であって、
上記ピース部材は、上記接続部にて分割されることで、任意の数の上記ピースを含む小ピース部材に分離可能に構成されている、玩具。
【0090】
(11)
(7)から(10)の何れかに記載の玩具であって、
上記第1連結部材の長さは、上記接続部の長さよりも大きい、玩具。
【0091】
(12)
(7)から(11)の何れかに記載の玩具であって、
上記第1連結部材によって連結された2つの上記ピースとその第1連結部材を併せた長さは、上記接続部によって接続された2つの上記ピース及びその接続部を併せた長さと略同じである、玩具。
【0092】
(13)
(1)~(12)の何れかに記載の玩具であって、
上記被連結部は、上記ピースの辺の一部を成すようにその辺に沿って延びる、玩具。
【0093】
(14)
(1)~(13)の何れかに記載の玩具であって、
上記ピースは、弾性変形可能な変形部を有する、玩具。
【0094】
(15)
(1)~(14)の何れかに記載の玩具であって、
上記連結部は、一端側に設けられた第1連結部と、その一端側と反対側の他端側に設けられた第2連結部とで構成されている、玩具。
【0095】
(16)
(1)~(15)の何れかに記載の玩具であって、
上記連結部は、凹状の連結凹部を備え、上記被連結部と嵌合によって連結される、玩具。
【0096】
(17)
(16)に記載の玩具であって、
上記連結部は、上記被連結部を上記連結凹部へ挿入可能な連結挿入口を備えている、玩具。
【0097】
(18)
(17)に記載の玩具であって、
上記連結凹部は、筒形状に構成され、上記連結挿入口が上記連結凹部の長手方向に設けられている、玩具。
【0098】
(19)
(18)に記載の玩具であって、
上記連結挿入口には、上記被連結部の上記連結部外への移動を規制する規制部が設けられている、玩具。
【0099】
(20)
(19)に記載の玩具であって、
上記規制部は、上記連結凹部の内方側に突出する突出部で構成される、玩具。
【0100】
(21)
(19)に記載の玩具であって、
上記連結部は、上記連結凹部の一端に、上記被連結部の挿入方向と交差する方向に開口し、上記被連結部の上記連結凹部からの離脱を可能にする連結解除開口を有する、玩具。
【0101】
(22)
(21)に記載の玩具であって、
上記連結挿入口の外面側には、上記被連結部の上記連結凹部への進入をガイドする傾斜面が設けられている、玩具。
【0102】
(23)
(17)から(22)の何れかに記載の玩具であって、
上記連結凹部は、その横断面において、上記連結挿入口からその連結挿入口に対面する内壁面までの上記被連結部の挿入方向の距離が、上記挿入方向と直交する方向の内壁面間の距離よりも長く構成されている、玩具。
【0103】
(24)
(16)から(23)の何れかに記載の玩具であって、
上記連結凹部の内面には、上記被連結部の外面に接する突起が設けられている、玩具。
【0104】
(25)
(24)に記載の玩具であって、
上記突起は、上記被連結部の挿入方向に沿って延びる突条として構成されている、玩具。
【0105】
(26)
(1)~(25)の何れかに記載の玩具であって、
上記第1連結部材は、複数個含まれている、玩具。
【0106】
(27)
(1)~(26)の何れかに記載の玩具であって、
上記被連結部と連結可能な第3連結部を一端側に有する第2連結部材をさらに含み、
上記第2連結部材は、上記一端側と反対側の他端側に設けられ、上記第3連結部とは形状の異なる第4連結部を有する、玩具。
【符号の説明】
【0107】
1 玩具
5 ピース
7 切欠き開口
9 接続部
9a 分割端
10 ピース部材
10a、10b 小ピース部材
20 第1連結部材
20A、20B 第2連結部材
21a 第1連結部
21b 第2連結部
21c 第3連結部
21d 第4連結部
22 連結凹部
22a 内壁面
23 連結挿入口
23a 傾斜面
24 突出部(規制部)
25 連結解除開口
26 突起
52 被連結部
52s 被連結部の外周面
53 変形部
【要約】
【課題】興趣性の高い玩具を提供する。
【解決手段】玩具1は、複数のピース5が一体的に形成されたピース部材10と、ピース部材10に連結可能な連結部材20と、を備え、複数のピース5のうちの少なくとも1つは、連結部材20と連結する被連結部52を有する、玩具1である。そして、ピース部材10は、シート状をなしている。また、ピース部材10において、隣り合うピース5は、被連結部52同士の間が被連結部52よりも薄肉に形成されている接続部9を介して接続されている。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14