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特許7570471蛍光透視鏡ロボット人工埋植システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】蛍光透視鏡ロボット人工埋植システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241011BHJP
【FI】
A61B34/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023129081
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2022137631の分割
【原出願日】2022-08-31
(65)【公開番号】P2023144011
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】63/239,643
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/293,350
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513034866
【氏名又は名称】オーソソフト アンリミティド ライアビリティ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】カンタン ドルオー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー デロンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム アリソン
(72)【発明者】
【氏名】リシャール ムッサ
(72)【発明者】
【氏名】クロエ ランドリー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-511866(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3821844(EP,A1)
【文献】欧州特許第2956046(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0090962(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリ機器を含むコンピューティング機器であって、前記メモリ機器が、前記プロセッサによって実行されたとき、
療用撮像機器から較正画像へアクセスする操作であって、前記較正画像が体構造の一部分及び前記身体構造の一部分に対する第1位置及び向きの具を含み、前記器具はカップ型インプラントの位置決めに適応する、操作と、
前記較正画像における前記身体構造の前記部分における第1の複数の患者ランドマークを識別する操作と、
前記較正画像における前記カップ型インプラントの開口の第1楕円外形線を識別する操作と、
前記医療用撮像機器からナビゲーション画像へアクセスする操作であって、前記ナビゲーション画像が、身体構造の前記部分、前記カップ型インプラント及び第2位置及び向きの前記器具を含む、操作と、
前記ナビゲーション画像において身体構造の前記部分における第2の複数の患者ランドマークを識別する操作と、
前記ナビゲーション画像において前記カップ型インプラントの前記開口の第2楕円外形線を識別する操作と、
前記第1楕円外形線及び第2楕円外形線を使用して、仮想座標系を患者の前記身体構造の基準フレームに整列する操作と、
前記仮想座標系に対して、前記カップ型インプラントの配置のための目標傾斜及び目標前傾を生成する操作と、
を含む操作を前記コンピューティング機器に実施させる命令を含む、コンピューティング機器
【請求項2】
前記命令は、さらに、前記コンピューティング機器に、前記患者の前記身体構造を参照して前記カップ型インプラントを前記目標傾斜及び前記目標前傾に整列するための位置及び向きへ前記器具を移動する際に、ロボット手術機器を案内するためのコマンドを生成させる、請求項1に記載のコンピューティング機器。
【請求項3】
前記第1の複数の患者ランドマークを識別することが、涙痕、縁線及び閉鎖孔輪郭を識別することを含む、請求項1に記載のコンピューティング機器
【請求項4】
前記閉鎖孔輪郭を識別することが、閉鎖孔長軸及び閉鎖孔短軸を識別することを含む、請求項3に記載のコンピューティング機器
【請求項5】
前記閉鎖孔長軸を識別することが、前記孔の長軸の対向する縁に沿った2つの対向する点を識別することを含み、かつ前記閉鎖孔短軸を識別することが、前記孔の短軸の対向する縁に沿った2つの対向する点を識別することを含む、請求項4に記載のコンピューティング機器
【請求項6】
前記涙痕を識別することが、前記較正画像または前記ナビゲーション画像内の寛骨臼窩底に沿って通る骨隆起の真向きの突出部上の点を識別することを含む、請求項3に記載のコンピューティング機器
【請求項7】
前記縁線を識別することが、前骨盤縁の点を識別すること及び前記涙痕上の接点から前記前骨盤縁上の前記点までの線を生成することを含む、請求項3に記載のコンピューティング機器
【請求項8】
前記カップ型インプラントの開口の前記第1楕円外形線又は前記第2楕円外形線を識別することが、前記第1楕円外形線又は前記第2楕円外形線の位置、サイズ又は向きの手動調節を受けることを含む、請求項1に記載のコンピューティング機器
【請求項9】
前記カップ型インプラントの前記開口の前記第1楕円外形線又は前記第2楕円外形線を識別することが、ハフ変換を使用して楕円形輪郭を含む対象領域を識別することを含む、請求項1から請求項7の何れか1項に記載のコンピューティング機器
【請求項10】
前記ロボット手術機器の座標系を前記身体構造の前記基準フレームに整列することが、前記較正画像の座標における前記器具の第1画像位置と前記ナビゲーション画像の座標における前記器具の第2画像位置との間の第1変換を計算することを含む、請求項2に記載のコンピューティング機器
【請求項11】
前記ロボット手術機器の前記座標系を前記身体構造の前記基準フレームに整列することが、前記ロボット手術機器の前記座標系の座標における前記器具の第1ロボット位置と前記ロボット手術機器の前記座標系における前記器具の第2ロボット位置との間の第2変換を計算することを含む、請求項10に記載のコンピューティング機器
【請求項12】
前記ロボット手術機器の前記座標系を前記身体構造の前記基準フレームに整列することが、前記ロボット手術機器の前記座標系において前記ナビゲーション画像を位置合わせするために前記第1変換と前記第2変換を整列することを含む、請求項11に記載のコンピューティング機器
【請求項13】
前記ロボット手術機器の座標系を前記身体構造の前記基準フレームに配列することが、前記第1の複数の患者ランドマーク及び前記第2の複数の患者ランドマークを使用して前記較正画像と前記ナビゲーション画像を整列することを含む、請求項2及び請求項10から請求項12の何れか1項に記載のコンピューティング機器
【請求項14】
前記較正画像と前記ナビゲーション画像を整列することが、前記較正画像及び前記ナビゲーション画像における縁線の間の第1角度を算定することと、前記較正画像及びナビゲーション画像における涙痕から孔重心軸線までの線間の第2角度を算定することと、を含む、請求項13に記載のコンピューティング機器
【請求項15】
システムであって、
者の寛骨臼の中へ寛骨臼カップを嵌入するための寛骨臼カップ嵌入器具と、
プロセッサ及びメモリ機器を含むコンピューティング機器であって、前記メモリ機器が、前記プロセッサによって実行されたとき、
第1位置にある寛骨臼カップ嵌入器具を含む第1蛍光透視画像内の第1寛骨臼楕円外形線を測定する操作であって、前記寛骨臼カップ嵌入器具が遠位端に取り付けられた寛骨臼カップを含む、操作と、
第2位置にある前記寛骨臼カップ嵌入器具を含む第2蛍光透視画像内の第2寛骨臼楕円外形線を測定する操作と、
前記第1寛骨臼カップ楕円外形線及び前記第2寛骨臼カップ楕円外形線を使用して前記第1蛍光透視画像及び第2蛍光透視画像と関連付けられた目標座標系に仮想座標系を整列する操作であって、前記目標座標系が蛍光透視撮像機器に関する座標系又は前記患者の身体構造に関する座標系の一方である、操作と、
前記寛骨臼カップを嵌入するための前記目標座標系に関する目標傾斜及び目標前傾を受ける操作と、
前記寛骨臼カップを前記目標傾斜及び前記目標前傾に整列するために、前記寛骨臼カップ嵌入器具の仮想座標系内の位置及び向きを生成する操作と、
を含む操作を前記プロセッサに実施させる命令を含む、コンピューティング機器と、
を備える、システム。
【請求項16】
前記仮想座標系を前記目標座標系に整列することが、
前記第1寛骨臼カップ楕円外形線と前記第2寛骨臼カップ楕円外形線との間の第1変換を算定することと、
前記寛骨臼カップ嵌入器具の前記第1位置と前記寛骨臼カップ嵌入器具の前記第2位置との間の第2変換を算定することと、
前記第1変換及び第2変換に基づいてボット座標系を前記目標座標系に整列することと、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータ実装方法であって、
医療用撮像機器から較正画像へアクセスすることであって、前記較正画像が身体構造の一部分及び前記身体構造の一部分に対する第1位置及び向きの器具を含み、前記器具はカップ型インプラントの位置決めに適応する、前記医療用撮像機器から較正画像へアクセスすることと、
前記較正画像における前記身体構造の前記一部分における第1の複数の患者ランドマークを識別することと、
前記較正画像における前記カップ型インプラントの開口の第1楕円外形線を識別することと、
前記医療用撮像機器からナビゲーション画像へアクセスすることであって、前記ナビゲーション画像が、身体構造の前記一部分、前記カップ型インプラント及び第2位置及び向きの前記器具を含む、前記医療用撮像機器からナビゲーション画像へアクセスすることと、
前記ナビゲーション画像において身体構造の前記一部分における第2の複数の患者ランドマークを識別することと、
前記ナビゲーション画像において前記カップ型インプラントの前記開口の第2楕円外形線を識別することと、
前記第1楕円外形線及び第2楕円外形線を使用して、仮想座標系を患者の前記身体構造の基準フレームに整列することと、
前記仮想座標系に対して、前記カップ型インプラントの配置のための目標傾斜及び目標前傾を生成することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月1日に提出された米国仮特許出願第63/239643号の利益を主張し、かつ2021年12月23日に提出された米国仮特許出願第63/293350号(その各々の優先利益が本出願によって主張され、その各々が参照によりその全体が本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本出願は、ロボット手術法、特にロボット支援でプロテーゼを埋植するための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
手術におけるロボットの使用は増大中である。人工股関節全置換術は、米国において年間ほぼ50万件実施される。いくつかの事例において、手術は、手術用ロボットの支援を受けて実施される。ロボット支援手術中、典型的には、ロボットアーム及び/又は患者の位置を追跡するために光学ナビゲーションシステムが使用される。光学ナビゲーションシステムは、付加的な設備の空間が必要なのでかつナビゲーションシステムが必要な器具及び/又は患者の身体構造を確実に視覚化できるようにするためには視線の限界があるので、手術室環境に難題を生じる可能性がある。光学ナビゲーションシステムは、又、典型的には、インプラント位置決め及びその他の関連する使用を検証するために蛍光透視法など術中撮像の必要を取り除かない。
【発明の概要】
【0004】
ロボット支援プロテーゼ位置決め及び埋植のための技法及びシステムを提供する。本発明については、股関節全置換術(THA)、具体的には、患者の寛骨臼の中への人工寛骨臼カップの埋植に関して論じる。但し、本開示は、任意のカップ型インプラントのロボット支援埋植に応用できる。更に、本明細書において論じるシステム及び技法は、他のプロテーゼ器具の埋植に使用するために適合できる。
【0005】
1つの実施例において、本明細書において論じるロボット手術システムは、直接前方進入の寛骨臼カップ嵌入を支援するための特徴によってTHAを実施する外科医を支援するために使用される。ロボット手術システムは、患者の身体構造に対する嵌入器具の向きを測定するため及び寛骨臼成分の向きのガイドとして、蛍光透視画像を使用する。システムは、外科医が、術前計画値を入力し、術中に寛骨臼成分の向きを下見できるようにする。手術の作業の流れ全体を通じて、蛍光透視画像は、C-arm(例えば、手術台上の患者の蛍光透視画像を捕捉できる特殊タイプの術中蛍光透視鏡)で取得される。蛍光透視画像は、その後、手術手順の術中計画及び実行を容易にするためにロボットプラットフォームと相互作動する手持ちコンピューティング機器で捕捉される。嵌入器具の現在向きは、捕捉された画像から計算されて、ロボットプラットフォームを使用して術前プランと適合するように調節される。ロボットプラットフォームは、自動的に並びに外科医と協働的に嵌入器具を位置決めできる。当該発明者は、インプラントの向きを測定しかつ外部の光学ナビゲーションの必要無しで嵌入器具をナビゲートするためのアルゴリズムを開発した。ロボットプラットフォームは、嵌入器具及びインプラントを位置決めし、その後身体構造の中へ寛骨臼カップ(インプラント)を嵌入する間これらの位置を維持する。システムにおいて実現される術中の作業の流れ及び手術のコンセプトは、THA直接前方進入の作業の流れを妨害せずにこれを増強するように作用する。したがって、手術時に、システムは、(1)画像対画像及びロボット位置合わせを使用して基準整列軸線及びカップ向きを測定し、(2)ロボットアームを使用することによって所望の整形外科用インプラント角度に対してカップ挿入具の向きを正確に定め、(3)蛍光透視画像基準に基づいて脚長さ及びオフセット不一致計測を示す、ために外科医を支援する。
【0006】
この節は、本特許出願の内容の概要を示すためのものであり、本発明の排他的又は網羅的説明を示すことを意図しない。本特許出願に関する更なる情報を提供するために詳細な説明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ロボットアーム、コンピューティングシステム及び追跡システムを備えるロボット支援手術システムを含む手術室の概略図である。
図2図2は、本開示に従ったC-arm蛍光透視鏡を含むロボット手術システムの概略図である。
図3図3は、本開示に従った身体構造のランドマークに基づいて画像位置合わせできるようにするグラフィカルユーザーインターフェイスを示す。
図4A図4Aは、本開示に従ったロボットシステムと患者との間の座標を整列するための手順の一部分を示すグラフィカルユーザーインターフェイスを示す。
図4B図4Bは、本開示に従ったロボットシステムと患者との間の座標を整列するための手順の一部分を示すグラフィカルユーザーインターフェイスを示す。
図5図5は、本開示に従った座標整列のための技法を示すフローチャートである。
図6図6は、本開示に従ったロボット支援インプラント位置決めのための技法を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示に従った画像位置合わせのための技法を示すフローチャートである。
図8図8は、本開示に従ったインプラント位置及び向きの検証のための技法を示すフローチャートである。
図9図9は、本明細書において論じる技法のいずれか1つ又はそれ以上をいくつかの実施形態に従って実施できる機械例のブロック図である。
【0008】
図面は、必ずしも縮尺通り描かれておらず、図面において、同様の番号は、様々な図面において同様のコンポーネントを示す。異なる接尾文字を持つ同様の数字は、同様のコンポーネントの異なる例を表す。図面は、概略的に、例として、但し限定的でなく、本出願において論じる様々な実施形態を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施例は、ロボット支援の蛍光透視インプラント位置決め及び嵌入のためのシステム及び技法を提供する。股関節全置換処置又は人工股関節全置換術は、患者の股関節部分におけるアクセス切開部を作ることを含むことができる。人工股関節全置換術中の患者の骨面の処置中リーミング、カッティング、ブローチング、嵌入、又はその他の準備のために構成された各種手術器具は、近位大腿骨又は寛骨臼カップにアクセスするなどのために、切開部を介して挿入される。寛骨臼カップの準備は、マレットで繰り返しインパクタを打つことによってインプラントを挿入又はその他設置するためなど、インパクタで寛骨臼カップを嵌入することを含むことができる。伝統的THA処置において、患者の寛骨臼への寛骨臼カップの嵌入は、完全に外科医の技法及び技能に対する感覚及び成功の確信によって行われる。嵌入後の寛骨臼カップ位置決めに伴う問題(例えば、インプラントの位置異常)は、衝撃又は脚の長さの問題又は脱臼などマイナスの結果に繋がる可能性がある。ロボットTHAシステムは、典型的に、光学ナビゲーションを使用することによって寛骨臼カップ位置決めの問題を防止しようとするが、光学ナビゲーションシステムは、手術環境内で対処するのが難しく、ロボットプラットフォームのコストを増大する可能性がある。ロボットナビゲーション及び伝統的THA処置は、又、長時間の手術時間、視線の問題を生じる可能性があり、位置決めピンを骨の中へ挿入することが必要となる場合があり、これは骨折又は感染症のリスクを増大する可能性がある。
【0010】
当該発明者は、寛骨臼シェル(カップ)などのカップ型インプラントを正確な向きに定めて(例えば、傾斜及び前傾を制御して)、計画された傾斜及び前傾で寛骨臼シェルの嵌入を可能にするロボット支援システムを開発した。本明細書において論じるロボット支援システムは、光学ナビゲーションに依存せず、嵌入後に確実に適切なインプラント整列できるようにする外科医の技能を増強する。
【0011】
図1は、ロボットアーム、コンピューティングシステム及び追跡システムを備えるロボット支援手術システム100を含む手術室の概略図である。ロボット支援手術システム100は、ロボットアーム120の位置及び患者の身体構造の位置を追跡するのを支援するために光学ナビゲーションシステム165を統合する伝統的システムである。
【0012】
手術室100は、患者110の手術部位105に対する手術処置を支援する。手術部位105は、患者110の関節及び/又は骨を含むことができる。手術部位105は、股関節、膝関節、脊椎及びこれに類似するものを含めて(但し、これに限定されない)患者110の任意の手術部位を含むことができる。手術システム100は、又、ロボットアーム120などの1つ又は複数のロボットアームを持つロボットシステム115を含む。図示するように、ロボットシステム115は、一般に、単一のロボットアームのみを使用する。ロボットアーム120は、Medtech, a Zimmer Biomet Inc. 社によるROSA(登録商標)などの6自由度(DOF)ロボットアームとすることができる。いくつかの実施例において、ロボットアーム120は、手術器具125(本明細書においてエンドエフェクタ125とも呼ぶ)などのエンドエフェクタ又は手術器具に関する外科医の入力により協働的に制御される。他の実施例において、ロボットアーム120は、自律的に作動できる。図1には示さないが、1つ又は複数の位置決め可能な手術支援アームを、処置中の器具又は身体構造の位置決め及び安定化を支援するために、手術システム100に組み込める。
【0013】
各ロボットアーム120は、軸方向及び半径方向に回転して、遠位端130に手術器具又はエンドエフェクタ125を受け入れる。手術器具125は、鉗子グリップなどのグリッピング器具、バリング器具、リーミング器具、寛骨臼シェルインパクタなどの嵌入器具又はこれらに類似するものなど、ロボットシステム115が使用できる任意の手術器具とすることができる。手術器具125は、手術器具125を所与の手術部位105に隣接する又はその内部の任意の所望の場所に位置決めできるようにするジョイント135などの複数のロボットジョイントを含むロボットアーム120によって位置決め可能である。
【0014】
ロボットシステム115は、又、ロボットアーム120及び手術器具125を操作するコンピューティングシステム140を含む。コンピューティングシステム140は、本明細書において後に説明するように、少なくともメモリ、処理ユニット及びユーザー入力機器を含むことができる。コンピューティングシステム140は、又、手術中外科医が使用するための画像を提供するためのヒューマンインターフェイス機器145を含む。図示するコンピューティングシステム140は、別個の独立型システムであるが、いくつかの実施例においては、コンピューティングシステム140は、ロボットシステム115の中へ統合できる。ヒューマンインターフェイス機器145は、骨、関節窩、関節及びこれに類似するものの三次元画像を含めて(但しこれに限定されない)画像を提供する。ヒューマンインターフェイス機器145は、タッチスクリーン、フットペダル又は手術環境に適合するその他の入力機器などの関連入力機構を含むことができる。
【0015】
コンピューティングシステム140は、術前医療用画像を受け取ることができる。これらの画像は、任意の方法で受け取られ、画像は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像診断(MRI)、二次元X線、三次元X線、超音波及びこれらに類似するものを含むが、これらに限定されない。1つの実施例において、これらの画像は、eメールに添付されたファイルとしてサーバーを介して送られる。別の実施例において、画像は、メモリスティックなどの外部メモリ機器に記憶され、処理ユニットにアップロードするためにロボットシステムのUBSポートに結合される。更に別の実施例において、画像は、リモート記憶機器又はサービスからコンピューティングシステム140によってネットワークを介してアクセスされる。
【0016】
1つ又は複数の画像を受け取った後に、コンピューティングシステム140は、手術部位105に関する1つ又は複数の仮想モデルを生成できる。具体的には、患者の身体構造の仮想モデルは、身体構造の点(例えば、ランドマーク又は身体構造ランドマーク)を定めることによって及び/又は統計的身体構造モデルを画像データに当て嵌めることによって、生成できる。仮想モデルは、インプラントの仮想表現とともに、手術部位105に利用されるために関連するインプラント、ステム、手術器具又はこれに類似するものの所望の高さ、深さ、傾斜角度又は傾斜(前傾)に関する算定のために使用できる。仮想モデルは、又、骨寸法、インプラント寸法、骨片寸法、骨片配列及びこれらに類似するものを測定するために使用できる。三次元モデルを含めて生成されたモデルは、手術中参考のためにヒューマンインターフェイス上に表示するか又はロボットアーム120又は手術器具125のモーション、アクション及び操作を測定するためにロボットシステム115によって使用できる。”Deformable articulating templates”と題する米国特許第9675461号又は”Method of generating a patient-specific bone shell”と題する米国特許第8884618号(両方とも、Mohamed Rashwan Mahfouzによる)において論じられるもの並びに技術上既知の他の技法などの仮想骨モデルを生成するための既知の技法を利用できる。
【0017】
コンピューティングシステム140は、又、独立型ユニットとしてコンピューティングシステム140によって操作できる追跡システム165と通信する。手術システム100は、Northern Digital, Inc.(カナダ、オンタリオ州ウォータールー)のPolaris光学追跡システムを利用できる。追跡システム165は、術野内の複数の物体の位置を追跡するために対象物に取り付けられた追跡要素170などの複数の追跡要素を監視できる。追跡システム165は、患者身体構造、手術器具又はロボットシステム115の部分を追跡するために術野内の仮想三次元座標系を生成するように機能する。追跡要素170は、複数のIR反射追跡球体又は同様の光学追跡マーカー機器を含む追跡フレームとすることができる。1つの実施例において、追跡要素は、患者110の1つ又は複数の骨上またはこれに隣接して配置される。他の実施例において、追跡要素170は、仮想座標系内の位置を正確に追跡するために、ロボットアーム120、手術器具125、及び/又はインプラント上に配置できる。各例において、追跡要素は、患者位置、骨位置、関節位置、ロボットアーム位置、インプラント位置又はこれらに類似するものなどの位置データを提供する。
【0018】
ロボットシステム115は、各種の付加的センサ及び案内機器を含むことができる。例えば、ロボットシステム115は、力センサ180などの1つ又は複数の力センサを含むことができる。力センサは、ロボットシステム115のコンピューティングシステム140に付加的な力データ又は情報を提供できる。力センサ180は、上腕骨管へのインプラントステムの挿入など特定の操作中嵌入又は埋植の力を監視するために使用できる。力の監視は、コンポーネント嵌込みの力によるマイナスの結果を防止するのを助けることができる。他の実施例において、力センサ180は、目標関節の周りの組織の軟組織緊張に関する情報を提供できる。特定の実施例において、ロボットシステム115は、又、手術処置中インプラントの整列のために使用されるレーザービーム又はアレイを生成するレーザーポインタ185を含むことができる。
【0019】
ロボットシステム115は、本開示において論じる固有の技法に対処するために様々に適合され、様々な適合について、ロボット手術システム200に関連して論じる。図2は、下に論じる技法を実行するためのロボットシステム215を含むロボット手術システム200例を示す。ロボット手術システム200は、ロボットシステム215と、手持ちコンピューティング機器240と、C-arm蛍光透視鏡250と、を含む。ロボットシステム215は、上述のロボットシステム115と同様の操作を行うことができ、ロボットシステム215(本明細書においてロボット制御コンピュータと呼ぶ)に統合されたコンピューティングシステム140に匹敵するコンピューティングシステムを含む。手持ちコンピューティング機器240は、ロボットシステム115に対するユーザーインターフェイスとして実行し、C-arm250と通信する。手持ちコンピューティング機器240は、ロボットシステム215内にロボット制御コンピュータとの無線通信インターフェイスを含む。手持ちコンピューティング機器240は、又、医療用画像を入手するため及びいくつかの実施例においてC-arm250のアスペクトを制御するために、C-arm250と無線通信できる。特定の実施例において、手持ちコンピューティング機器240は、C-arm250のスクリーンから画像を直接取得するために統合カメラを使用する。
【0020】
この実施例において、ロボットシステム215は、コンピューティングシステム140と、ロボットアーム220と、エンドエフェクタ225と、嵌入器具230と、ディスプレイスクリーン245と、を含むことができる。ロボットシステム215は、完全な自動及び協働モードを含めて複数のモードで作動できる。協働モードのとき、外科医は、手術処置中に必要に応じて嵌入機器230を位置決めするためにエンドエフェクタ225の位置を直接操作できる。ロボットアーム220は、協働モードのとき敏感な部位を避けるように又は下で詳しく論じる特定の計画された手術パラメータを維持するように動きを制限できる。1つの実施例において、ロボットアーム220は、外科医が選択した位置を維持して、術前計画及び術中計測に従って傾斜及び前傾を制御する。
【0021】
下で論じる寛骨臼シェル埋植処置において、C-arm250は光学ナビゲーションシステムなどの付加的な外部ナビゲーション設備無しに、ロボットシステム215で寛骨臼シェルの正確な配置を可能にする術中画像を提供するために使用できる。処置中、手持ちコンピューティング機器240は、身体構造の位置及び寛骨臼シェルを保持する嵌入器具230の位置を分析するために、複数の画像をC-arm250から入手する。C-arm250から取得した様々な医療用画像の分析に基づいて、システムは、ロボットアーム220を使用して嵌入器具230上に寛骨臼シェルを正確に位置決めできる。ひとたび位置決めしたら、外科医は、ロボットアーム220によって位置及び向きを維持しながら寛骨臼の中へ寛骨臼シェルを嵌入できる。
【0022】
いくつかの実施例において、手持ちコンピューティングシステム240は、ユーザーインターフェイス及びデータ収集機器としてのみ作動し、全ての分析及び他の操作は、ロボットシステム215内のコンピューティングシステム140において実施される。他の実施例において、手持ちコンピューティング機器240は、ユーザーインターフェイス、データ収集および分析タスクをサポートする操作を実施でき、ロボットシステム215内のコンピューティング機器140へはロボット制御コマンドを送るだけである。データ収集モードにおいて、手持ちコンピューティング機器240は、C-arm250から医療用画像を取得する。いくつかの実施例において、医療用画像は、C-arm250との有線又は無線ネットワーク接続を介して取得できる。他の実施例において、手持ちコンピューティング機器240は、C-arm250上のディスプレイスクリーン255から医療用画像を直接捕捉するために統合カメラを利用できる。特定の実施例において、全てのコンピューティング機能は、ロボットシステム215に統合されたコンピューティングシステム140によって実施できる。これらの実施例において、手持ちコンピューティング機器240は使用されない。
【0023】
図3は、本開示に従った身体構造のランドマークに基づく画像位置合わせを可能にするグラフィカルユーザーインターフェイス300を示す。本開示の1つの重要な形態は、処置の過程で患者の身体構造から撮った画像を位置合わせ(例えば、整列)する能力である。インターフェイス300例は、画像位置合わせのプロセスにおいて使用される様々な身体構造のランドマークを示す。インターフェイス300は、前後(AP)大腿骨基準画像310及び検証画像350を含む。検証画像350は、本明細書において論じる処置全体を通じて撮られる様々な画像のいずれでも良い。
【0024】
この実施例において、AP大腿骨画像310は、閉鎖孔312、縁線318、大腿骨頭中心320、及び大腿骨軸線322を示す。閉鎖孔312は、閉鎖孔短軸314及び閉鎖孔長軸316を含むことができる。いくつかの実施例において、外形輪郭は様々な画像を通じて一貫しているはずなので、閉鎖孔312の外形線も、位置合わせ支援のために使用される。
【0025】
AP大腿骨画像310に含まれる付加的ランドマークとしては、小転子324、大腿骨体内側点326、328、及び大腿骨体外側点330、332がある。いくつかの実施例において、大腿骨軸線322は、大腿骨体内側点326、328及び大腿骨体外側点330、332から算定される。この実施例において、縁線318は、涙痕点334及び前骨盤縁点336を含み、縁線318は、2つの点の間で骨盤縁に正接する。
【0026】
検証画像350は、閉鎖孔362、閉鎖孔短軸364、閉鎖孔長軸366及び縁線368を含む、同様のランドマークのセットを示す。検証画像350は、又、寛骨臼シェル352、及び寛骨臼シェル352の開口の輪郭を示す楕円外形線354も含む。下で詳細に論じるように、楕円外形線354は、身体構造画像、患者の身体構造及びロボットシステムの間の座標の整列を測定する際に重要であり、座標が整列したら、ロボットシステム215を使用して、嵌入のために患者の寛骨臼の中に寛骨臼シェルを正確に位置決めできる。
【0027】
検証画像350の縁線368は、涙痕点370を骨盤縁に正接する前骨盤縁点372と結ぶことによって生成される。閉鎖孔と同様に、縁線368は、画像間で一貫しているはずなので(患者及び撮像源が静止していると想定して)、画像を相互に整列/位置合わせする際の主要なランドマークである。図7を参照して論じる画像位置合わせプロセスは、涙痕点を残留トランスレーション(residual translation)のために使用して、画像の回転及びスケーリングを算定するために閉鎖孔外形線(輪郭)及び縁線をマッチングすることを含む。画像位置合わせプロセスは、様々なランドマークをマッチングするために反復的最近傍点アルゴリズムを使用できる。
【0028】
図4A及び4Bは、グラフィカルユーザーインターフェイス400A、400Bを示し、本開示に従ったロボットシステムと患者との間の座標を整列するための手順の一部分を示す。本明細書において論じる手順の主要な部分は、患者の寛骨臼内に異なる2つの傾斜及び前傾向きの嵌入器具及び寛骨臼シェルを含む蛍光透視画像を捕捉することを含む。ユーザーインターフェイス400Aは、約50度の傾斜420A及び約35度の前傾410Aでロボットアーム220に取り付けられる嵌入器具を位置決めするよう外科医に指示するユーザーインターフェイススクリーンを示す。指示された位置になったら、様々な技法で下に論じるように分析のために較正画像が捕捉される。注意すべきは、「較正画像」は、単に本明細書において説明する術中技法において最初の画像のラベル又は参照に過ぎないことである。THA処置において一般的なように、傾斜は、骨盤の近遠軸線に関して冠状面で計測された正の角度変位と見なされ、前傾は、寛骨臼軸線と前額面との間の角度として計測された負の角度変位である。本開示の目的、傾斜及び前傾については、下で更に述べる。
【0029】
ユーザーインターフェイス400Bは、約40度の傾斜420B及び15度の前傾410Bでロボットアーム220に取り付けられる嵌入器具230を位置決めするように外科医(又はオペレータ)に指示するユーザーインターフェイススクリーンを示す。第2の指示される位置において、下で論じるように分析のためにナビゲーション画像が捕捉される。指示される傾斜及び前傾値は、外部ナビゲーションシステムを使用せずにロボットシステム215で寛骨臼シェルを正確に位置決めするために必要な座標系を整列するための算定を行えるように蛍光透視画像において寛骨臼シェルの楕円形外形線の充分な位置変化を生じる。
【0030】
図5は、本開示に従った座標整列のための技法500を示すフローチャートである。技法500は、ロボットシステム215に関する座標を画像及び/又は患者座標(例えば、目標座標)と整列するための基礎を含む。技法500は、510において第1楕円外形線を測定し、520において第2楕円外形線を測定し、530においてロボット座標を目標座標に整列するための操作を含むことができる。1つの実施例において、技法500は、C-arm250から取得した画像を使って手持ちコンピューティング機器240上で実施できる。別の実施例において、技法500は、ロボットシステム215内で、ロボットシステム215に統合されたコンピューティング機器140上で実施される。この実施例においては、画像は、C-arm250から直接取得されるか又は手持ちコンピューティング機器240を介して取得されてロボットシステム215へ転送される。いずれの実施例においても、ロボットシステム215は、外科医(又はオペレータ)と協働してロボットアーム220及び嵌入器具230の位置決めに関与する。
【0031】
技法500の510において、まず、コンピューティング機器は、寛骨臼シェル(例えば、カップ型インプラント)が較正位置に位置決めされた状態で患者の寛骨臼の第1蛍光透視画像内の第1楕円外形線を測定することから始まる。図4Aに示すように、較正位置は、寛骨臼シェルが約50度の傾斜及び約35度の前傾で位置決めされた状態とすることができる。寛骨臼シェルの第1楕円外形線の算定は、較正向きの傾斜及び前傾を更に算定できるようにする。
【0032】
1つの実施例において、寛骨臼シェル角度は、下記のアルゴリズムに基づいて第1楕円外形線から測定できる。楕円形の特徴は、寛骨臼シェルの半球形の三次元(3D)向きを測定するために使用される。この3D向きは、傾斜及び前傾角度を計算できるようにする寛骨臼軸線の向きに合致する。シェル軸線の角度は、下記の3段階で算定される。
1)楕円形を、起点(source)から楕円形中心までのベクトルに対して垂直の仮想平面上に投影する
2)投影された楕円形の軸線を使用して、等式θ’=cos-1(Ij/I)を使って仮想平面と半球形との間の角度を算定する。Ijは、楕円形の長軸であり、Iは楕円形の短軸である。
3)最終的角度は、θ=θ’+αであり、αは、仮想平面と画像平面との間の角度である。
仮想平面の角度は、α=tan-1(HP/OH)を使って算定される。HPは、楕円形の中心から画像平面上の起点の投影までの距離であり、OHは、起点と画像平面上の起点の投影との間の距離である。
【0033】
画像に対するカップの向きが測定されたら、これを患者の座標系の中の傾斜及び前傾角度に変換する必要がある。1つの例において、本明細書において論じる技法は、下記のように定められるX線撮影角度を使用する。
-前傾角度は寛骨臼軸線と前額面との間の角度である。
-傾斜角度は矢状面と前額面上の寛骨臼軸線の投影との間の角度である。
この例において、アルゴリズムは、画像平面が前額面に対して平行であり、矢状面が患者の内側-外側軸線(これは、C-arm又は患者の回転がないと想定して完全AP骨盤画像から移転される)に対して垂直である、と想定する。アルゴリズムは、その後、複数の可能な解法を区別するために下記の通りに想定する
・カップのドームは、寛骨臼の中へ挿入されたとき患者の頭部しか指向できない。言い換えると、傾斜角度は-90度~+90度でなければならない。
・カップは、前傾している。即ち、バージョン角度は正でなければならない。したがって、バージョン角度は0~+90度でなければならない。
【0034】
技法500の520において、次に、コンピューティング機器は、寛骨臼シェルがナビゲーション位置に位置決めされた(図4B)状態で患者の寛骨臼の第2蛍光透視画像における第2楕円外形線を測定する。第2楕円外形線は、第1楕円外形線と同様に計算される。技法500の530において、コンピューティング機器は、ロボット座標系を目標座標系と整列する。1つの実施例において、操作530において、コンピューティング機器は、532における画像座標変換、534におけるロボット座標変換及び536における変換の整列などの中間操作を実施することを含むことができる。532において、コンピューティング機器は、画像座標系において、較正画像における第1楕円外形線とナビゲーション画像における第2楕円外形線との間の変換を計算する。534において、コンピューティング機器は、ロボット座標において、較正位置における寛骨臼シェル(ロボットアーム220によって保持された嵌入器具230の端部に固定された)の既知の位置及び向きと、ナビゲーション位置における寛骨臼シェルの既知の位置及び向きとの間の変換を計算する。技法500の536において、コンピューティング機器は、操作532からの画像座標変換を操作534からのロボット座標変換と整列する。技法500は、ロボット座標を目標座標に整列するための変換を出力する。この実施例において、技法500は、回転(例えば、器具の向き)の変換を算定し、外科医が寛骨臼の実際の位置を案内できるようにする。この実施例において、ロボットアーム220は、寛骨臼シェルの固定された回転軸を維持しながら、目標向きまで移動する。他の実施例において、技法500の出力は、患者の寛骨臼の画像に基づいて正確な傾斜及び前傾で患者の寛骨臼内に寛骨臼シェルを位置決めするようにロボットシステム215にコマンドを受けることができるようにする。
【0035】
図6は、本開示に従ったロボット支援インプラント位置決めのための技法600を示すフローチャートである。この実施例において、技法600は、605における較正画像へのアクセス、610における較正画像におけるランドマークの識別、615における第1楕円外形線の識別、620におけるナビゲーション画像へのアクセス、625におけるナビゲーション画像におけるランドマークの識別、630における第2楕円外形線の識別、635における座標系の整列、640における目標傾斜及び前傾パラメータの受取り、及び645における器具を整列するためのコマンドの生成、などの操作を含むことができる。本明細書において論じる他の技法と同様、技法600は、ロボット手術システム200と関連付けて論じるコンピューティング機器のいずれにおいても実施できる。例として、本明細書において、技法600は、手持ちコンピュータ機器240上での操作として論じる。
【0036】
この実施例において、技法600は、605において手持ちコンピューティング機器240がC-arm250からの較正画像へアクセスすることから始まる。手持ちコンピューティング機器240は、C-arm250へのネットワーク接続を介して又は統合カメラを使用してC-arm250のディスプレイ255上の較正画像を撮って、C-arm250からの画像にアクセスできる。統合カメラを使用する実施例において、技法600は、画像捕捉中に手持ちコンピューティング機器240とC-arm250のディスプレイスクリーン255との間の不整列を補正するために一連のサブオペレーションを含む。この実施例において、C-arm画像は楕円形として論じているが、システムは、円形、正方形、円正方形又は他の既知のデテクタ形状などの任意の既知のデテクタ形状を処理できる。したがって、技法600の650において、次に、手持ちコンピューティング機器240は、捕捉画像(注:蛍光透視C-armは丸い画像を生成する)における最大楕円形を検出する。技法600の652において、次に、手持ちコンピューティング機器240は、最大楕円形の長軸と短軸との間の差を検出する。他の実施例においては、652において、手持ちコンピューティング機器240は、画像調節を行うために正方形又は円正方形(squircle)のコーナーなど他の画像特徴を利用できる。技法600の654において、次に、手持ちコンピューティング機器240は、短軸が長軸と等しくなるように捕捉されたC-armをワープする。他の実施例において、654において、手持ちコンピューティング機器240は、同形異義変換(homographic transform)を使用することによって既知のデテクタ形状を再現するためにC-arm画像をワープできる。技法600の656において、次に手持ちコンピューティング機器240は、ワープされた画像において最大楕円形を検出し、658において、ワープ画像において最大楕円形の長軸が短軸に等しいことを確認する。いくつかの実施例において、確認操作656及び658は、画像変換が既知であり出力が確実なので実施しなくてよい。
【0037】
捕捉された画像の不整列が補正されたら、技法600の610において、次に、手持ちコンピューティング機器240は、較正画像においてランドマークを識別する。いくつかの実施例において、ランドマークの初期識別は、手持ちコンピューティング機器240などのコンピューティング機器によって自動的に実施できる。これらの実施例において、手持ちコンピューティング機器240は、ユーザーインターフェイス(図3の例)内にランドマーキングされた画像を提示して、外科医が必要に応じてランドマークを調節できるようにする。自動ランドマーク識別は、既知の入力画像について訓練された機械学習モデルを含めて各種の画像処理法を利用できる。特定の実施例において、システム200は、ユーザー(例えば、外科医)が手で初期画像(例えば、基準画像)にランドマークを設定した後の画像に半自動ランドマーキング法を使用する。例えば、手動で基準画像をランドマーキングした後、ユーザーは、身体構造に一連の点を配置でき(例えば、骨盤の涙痕ランドマーク)、システムは、その後の画像の対応点を初期化するために基準画像の各点の相対位置及び周囲画像データを使用できる。他の実施例において、615において手持ちコンピューティング機器240は、外科医が手で構成画像をランドマーキングするためにユーザーインターフェイスを提示する。ランドマークは、図3を参照して上で論じたものを含むことができる。1つの実施例において、手動ランドマーキングは、少なくとも涙痕点、涙痕と前骨盤縁上の点との間の縁線、閉鎖孔長軸及び閉鎖孔短軸の識別を必要とする。
【0038】
較正画像のランドマーキングが完了したら、技法600の615において、次に、手持ちコンピューティング機器240は、較正画像内の寛骨臼シェルの第1楕円外形線を識別する。1つの実施例において、寛骨臼シェルの楕円外形線は、蛍光透視画像の中の寛骨臼シェル(カップ)を表す円形輪郭を検出するためにハフ変換を使用して画像内で識別できる。具体的には、ハフ変換は、楕円外形線を含む対象領域を識別するために使用される。楕円外形線の識別は、次に、シェルの最適円形輪郭を見つけるためにLO-RANSACアルゴリズム(局部的に最適化されたランダムサンプルコンセンサス)3D平面適合アルゴリズムを使用する。次に、シェルの頂点が、各点からカップ中心までの距離を分析することによって楕円形傾斜を設定するために識別される。シェルの頂点は、楕円形の長軸を定める外形線上の点を表す。シェルの傾斜が定められたら、予想される左右差に基づいて、円が楕円形の下部に当て嵌められる。以前計算された両方の頂点間に含まれる当て嵌め円の部分が、中心、短軸の長さ及び長軸の傾斜を調節するための一連のオプティマイザに使用される。手持ちコンピューティング機器240が寛骨臼シェルの楕円形開口を識別する提案外形線を生成した後、楕円形を手動調節できるようにユーザーインターフェイスが提示される。
【0039】
第1楕円外形線が識別されたら、技法600の620において、手持ちコンピューティング機器240は、ナビゲーション画像にアクセスする。ナビゲーション画像は、ロボットアーム220、嵌入器具230及び寛骨臼シェルが約40度の傾斜及び15度の前傾など第2向きに調節された状態で生成される。較正画像及びナビゲーション画像のセットに使用される2つの異なる傾斜及び前傾の向きは、ある程度任意であり、技法600にとって重要なことは、使用される2つの向きが著しく異なることである(例えば、異なる寛骨臼軸線の検出に充分な程度異なる)。実際、テスト結果は、傾斜又は前傾(又はこの2つの向き)の10度の変動は、必要とされる計測値を得るのに充分であることを示した。1つの実施例において、下記の式が、向きにおいて要求される変動を捕捉した。
【数1】
ナビゲーション画像にアクセスするプロセスは、較正画像について上で説明したのと同様である。技法600の625において、次に、手持ちコンピューティング機器240は、ナビゲーション画像をランドマーキングするか又は手動でランドマーキングするためにインターフェイスを提供する。この場合にも、ナビゲーション画像のランドマーキングは、上で説明する較正画像をランドマーキングする操作と同様の操作を伴う。技法600の630において、手持ちコンピューティング機器240は、ナビゲーション画像内の寛骨臼の第2楕円外形線を識別する。第2楕円外形線の識別は、615における第1楕円外形線の識別に関して上で論じたのと同様の操作を使用して手持ちコンピューティング機器240によって行われる。
【0040】
技法600の635において、続いて、手持ちコンピューティング機器240は、ロボットシステム215とC-arm250(及び/又は患者身体構造)との間で座標系を整列する。座標系を整列するために実施されるコンピュータ操作については、技法500を参照して上で詳細に論じた。技法600の640において、手持ちコンピューティング機器240は、埋植の傾斜及び前傾の目標パラメータを受け取る。埋植目標パラメータには、術前計画からアクセスするか又は手持ちコンピューティング機器240上で生成されたユーザーインターフェイス内での術中に入力できる。術前計画を使用する実施例においても、手持ちコンピューティング機器240上での目標傾斜及び前傾に対して術中調節を行える。
【0041】
又、技法600の645において、手持ちコンピューティング機器240は、ロボットシステム215へのコマンドを生成する。645において生成されたコマンドは、埋植の目標パラメータで嵌入するために患者の寛骨臼の中で寛骨臼シェルを整列するために、ロボットアーム220及び嵌入器具230を動かすようにロボットシステム215に指示する。
【0042】
図7は、本開示に従った画像位置合わせのための技法700を示すフローチャートである。技法700は、手術処置において異なる点において撮った同じ身体構造の2つの画像を位置合わせするための包括的処置を概説する。基準画像及び術中画像は、この技法を論じる際に2つの画像に付けられた便宜上のラベルに過ぎず、実際に、上で論じたAP大腿骨画像などの基準画像が捕捉され、術中画像は、本明細書において論じる較正画像又はナビゲーション画像とすることができる。技法700について、様々な操作を実施するコンピューティング機器を参照にして下で論じるが、様々な実施例において、コンピューティング機器は、手持ちコンピューティング機器240又はロボットシステム215に統合されたコンピューティングシステム140とすることができる。
【0043】
この実施例において、技法700の705において、まず、コンピューティング機器は、C-arm250を使用して患者の身体構造から捕捉された基準画像にアクセスする。基準画像へのアクセスは、ネットワーク接続を介してC-armからの画像ファイルへのアクセス又はコンピューティング機器内のカメラを使用するディスプレイ255からの基準画像の捕捉を含むことができる。技法700の710において、次に、コンピューティング機器は、基準画像をランドマーキングする。身体構造ランドマークは、本開示において論じる様々な方式で基準画像において識別される。識別されるランドマークは、少なくとも閉鎖孔輪郭(外形線)及び縁線を含む。
【0044】
技法700の715において、コンピューティング機器は、C-arm250上に捕捉された術中画像にアクセスする。技法700の720において、コンピューティング機器は、基準画像において識別されるのと同じランドマークで術中画像をランドマーキングする。技法700の725において、コンピューティング機器は、識別されたランドマークに基づいて基準画像と術中画像との間の初期位置合わせを計算する。初期位置合わせは、縁線間の角度並びに涙痕点から閉鎖孔軸の重心まで通る線間の角度の算定を含むことができる。算定された角度は、その後平均化されて、画像間の初期変換を生成する。技法700の730において、コンピューティング機器は、様々な付加的操作によって位置合わせ変換を改良する。
【0045】
付加的操作は、731における閉鎖孔輪郭のマッチング、732における縁線のマッチング、733における反復的最近傍点処理の実施、734における現場回転の算定、735における画像のスケーリング及び736におけるトランスレーションの算定を含むことができる。733における反復的最近傍点処理は、各画像における閉鎖孔輪郭(外形線)及び縁線などのランドマーク間の最良のマッチングを算定するために利用される。反復的最近傍点処理の結果は、734において現場回転変換を改良するため及び735において変換をスケーリングするために使用される。736におけるトランスレーションは、画像における涙痕点間の距離(回転及びスケーリングの適用後)の測定によって行うことができる。
【0046】
図8は、本開示に従ったインプラント向き検証のための技法800を示すフローチャートである。技法800は、嵌入された寛骨臼シェルの向き(例えば、傾斜及び前傾)を検証するための手順に関する。
【0047】
この実施例において、技法800の805において、コンピューティング機器は、C-arm250によって捕捉された検証画像にアクセスする。技法800の810において、コンピューティング機器は、本開示において論じる様々な方式の1つで検証画像内のランドマークを識別する。検証画像がランドマーキングされたら、技法800の815において、コンピューティング機器は、C-arm250によって捕捉されたAP骨盤画像などの基準画像にアクセスする。アクセスされた基準画像は、骨盤の内側-外側(ML)軸線を含めて手順において以前に識別されたランドマークを含む。技法800の820において、コンピューティング機器は、C-arm及び患者が回転(例えば、移動)していないと言う前提に基づいて基準画像から検証画像へML軸線を移転する。又は、ML軸線は、両方の画像に共通のランドマークに基づいて移転できる。例えば、検証画像は、基準画像でも見られる縁線及び閉鎖孔などの手術側ランドマークを含む。共通ランドマークの位置をマッチングすることによって、ML軸線を検証画像へ移転できる。
【0048】
技法800の825において、コンピューティング機器は、検証画像内のインプラント(例えば、寛骨臼シェル)の楕円外形線を識別する。楕円外形線の識別は、上述のように実施される。技法800の830において、コンピューティング機器は、楕円外形線及び移転されたML軸線に基づいてインプラントの傾斜を算定する。更に、技法800の835において、コンピューティング機器は楕円外形線及び移転されたML軸線に基づいてインプラント前傾を算定できる。インプラント(例えば、寛骨臼シェル)の傾斜及び前傾は、図6を参照して上で説明したように算定される。
【0049】
図9は、本明細書において論じる技法のいずれか1つ又はそれ以上をいくつかの実施形態に従って実施する際の機械例900のブロック図である。例えば、機械900は、図1のコンピューティングシステム140又は図2の手持ちコンピューティング機器240を備えることができる。機械900は、ロボットシステム115又は215用のコントローラを備えることができ、センサ921は、追跡要素90を含むことができる。クイックコネクトを介してロボットアームに結合された手術器具のロボットアーム120、220及び/又は嵌入器具230に対する位置及び向きを測定するために、位置及び向き情報を生成し相関させるための命令924は、プロセッサ902によって実行できる。
【0050】
別の実施形態において、機械900は、独立機器として作動するか又は他の機械に接続できる(例えば、ネットワーク化できる)。ネットワーク配備において、機械900は、 サーバーマシン、クライアントマシン又はサーバー-クライアントネットワーク環境で作動できる。1つの実施例において、機械900は、ピアトゥピア(P2P)(又は他の分散型)ネットワーク環境においてピアマシンとして作用できる。機械900は、パソコン(PC),タブレットPC、セットトップボックス(STB)、個人情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、又は機械が行うべき動作を指定する命令(連続その他)を実行できる任意の機械とすることができる。更に、図には単一の機械を示すが、「機械」は、クラウドコンピューティング、ソフトウェアアズアサービス(SaaS)、その他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書において論じる方法のいずれか1つ又はそれ以上を実施するために個々に又は共同で1組(又は複数組)の命令を実行する機械の任意の集合を含むものとする。
【0051】
機械(例えば、コンピュータシステム)900は、ハードウェアプロセッサ902(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、ハードウェア処理コア又はこれらの任意の組合せ)、メインメモリ904及びスタティックメモリ906を含むことができ、これらのいくつか又は全ては、インターリンク(例えばバス)908を介して相互に通信できる。機械900は、更に、ディスプレイ装置910、英数字入力機器912(例えば、キーボード)及びユーザーインターフェイス(UI)ナビゲーション機器914(例えば、マウス)を含むことができる。1つの実施例において、ディスプレイ装置910、入力機器912及びUIナビゲーション機器914は、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。機械900は、これに加えて、記憶機器(例えばドライブ装置)916、発信機器918(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェイス機器920、及び汎地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計又は他のセンサなどの1つ又は複数のセンサ921を含むことができる。機械900は、1つ又は複数の周辺機器(例えば、プリンタ、カードリーダーなど)と通信する又はこれを制御するためのシリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル又はその他の有線又は無線(例えば赤外線(IR)、近距離通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ928を含むことができる。
【0052】
記憶機器916は、本明細書において説明する技法又は機能のいずれか1つ又はそれ以上を実現する又はそれによって利用されるデータ構造又は命令924(例えば、ソフトウェア)の1つ又はそれ以上のセットを記憶する機械可読媒体922を含むことができる。命令924は、又、メインメモリ904内に、スタティックメモリ906内に、又は機械900による命令の実行中にハードウェアプロセッサ902内に、完全に又は少なくとも部分的に、常駐できる。1つの実施例において、ハードウェアプロセッサ902、メインメモリ904、スタティックメモリ906マンタは記憶機器916の1つ又は任意の組合せは、機械可読媒体を構成できる。
【0053】
機械可読媒体922は図において単一媒体として示すが、「機械可読媒体」は、1つ又は複数の命令924を記憶するように構成された単一又は複数の媒体(例えば、集中又は分散データベース及び/又はアソシエイトキャッシュ及びサーバー)を含むことができる。「機械可読媒体」は、機械900による実行のための命令を記憶、エンコード又は搬送でき、かつ本開示の技法のいずれか1つ又はそれ以上を機械900に実施させる、又はこのような命令が使用する又はこれと関連付けられるデータ構造を記憶、エンコード又は搬送できる、任意の媒体を含むことができる。機械可読媒体の非限定的例は、ソリッドステートメモリ及び光学及び磁気媒体を含むことができる。
【0054】
命令924は、更に、多数の転送プロトコル(例えば、フレームリレイ、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のいずれか1つを利用するネットワークインターフェイス機器920を介して伝送媒体を使用して通信ネットワーク926越しに送受できる。通信ネットワーク例は、特に、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、移動電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、従来の基本電話網(POTS)、及び無線データネットワーク(例えば、WiFi(登録商標)として知られる米国電気電子学会(IEEE)902.11ファミリーの規格、WiMax(登録商標)として知られるIEEE902.16ファミリーの規格)、IEEE902.15.4ファミリーの規格、ピアトゥピア(P2P)ネットワークを含むことができる。1つの実施例において、ネットワークインターフェイス機器920は、通信ネットワーク926に接続するための1つ又は複数の物理的ジャック(例えば、Ethernet、同軸又は電話ジャック)又は1つ又は複数のアンテナを含むことができる。1つの実施例において、ネットワークインターフェイス機器920は、単一入力複数出力(SIMO)、複数入力複数出力(MIMO)、又は複数入力単一出力(MISO)の少なくとも1つを使用して無線で通信するための複数のアンテナを含むことができる。「伝送媒体」は、機械900による実行のために命令を記憶、エンコード又は搬送できる任意の無形媒体を含むものとし、この種のソフトウェアの通信を容易にするためのデジタル又はアナログ通信信号又はその他の無形媒体を含む。
【0055】
本出願において論じるシステム、機器及び方法は、股関節全置換術など関節形成術を実施するために患者に対して機器を位置決めするために使用できる手術用ロボットアームを利用するロボット支援手術処置を実施する際に役立てることができる。特に、本明細書において開示するシステム、機器及び方法は、寛骨臼シェルなどのカップ型インプラントを埋植する際の正確度を改良するのに役立つ。本明細書において開示するシステム、機器及び方法は、本明細書において論じる手術用ロボットアーム及び技法を利用することによって手で嵌入器具を位置決めすることに依存する必要を減少または排除できる。
【0056】
上で詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面を参照する。図面は、例として、本発明を実施するための具体的な実施形態を示す。これらの実施形態を、本明細書において「実施例」とも呼ぶ。このような実施例は、説明し図示する要素以外の要素を含むことができる。但し、当該発明者は、図示又は説明する要素のみを提供する実施例も想定する。更に、当該発明者は、特定の実施例(又はその1つ又は複数の形態)に関してあるいは本明細書において図示又は説明するその他の実施例(又はその1つ又は複数の形態)に関して、図示又は説明する要素(又はその1つ又は複数の形態)の任意の組合せ又は順列を使用する実施例も想定する。要約は、読み手が技術的開示の性質を素早く確認できるようにするために、米国規則法典第37巻規則1.72(b)を遵守して提供する。要約書は、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されるという了解の下に提出する。又、上記の詳細な説明において、様々な特徴は、開示を簡潔化するためにグループ化される場合がある。これは、開示し請求しない特徴が請求にとって必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の内容は、特定の開示する実施形態の全ての特徴に満たない場合がある。
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