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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】荷下ろし補助装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/24 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
B65G67/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023132788
(22)【出願日】2023-08-17
【審査請求日】2024-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】506329018
【氏名又は名称】SGホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】丸山 修
(72)【発明者】
【氏名】柳田 孝志
(72)【発明者】
【氏名】横井 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-28968(JP,A)
【文献】特開2007-99492(JP,A)
【文献】実開平6-75882(JP,U)
【文献】特開昭63-263145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0118476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/00-67/56
B60P 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の床面に配置された床面コンベアを用いた荷下ろしに用い得る荷下ろし補助装置であって、
前記床面上に位置可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、荷物を搬送可能な駆動コンベアと、
前記筐体を前記床面に沿って移動させることが可能な移動手段と、
前記駆動コンベアおよび前記移動手段を制御可能な制御装置と
を備え、
前記移動手段が、
前記筐体に支持され、前記筐体が前記床面上に位置する場合に前記床面コンベアの幅方向に対向する一対の車輪を含み、
前記一対の車輪は、
前記幅方向に対向する車輪の間隔が前記床面コンベアの幅よりも広く、前記筐体が前記床面上に位置するときに、前記筐体および前記駆動コンベアが前記床面コンベアに接触しない状態で、前記筐体を前記床面コンベアに沿って移動させることができるように構成されている、荷下ろし補助装置。
【請求項2】
前記筐体が前記床面上に位置する場合、前記駆動コンベアが前記床面コンベアよりも上方に位置する、請求項1に記載の荷下ろし補助装置。
【請求項3】
前記一対の車輪が、一対の駆動輪と一対の従動輪とを含み、
前記移動手段が、前記一対の駆動輪を駆動させる車輪駆動機構を含む、請求項1または2に記載の荷下ろし補助装置。
【請求項4】
前記筐体に設けられた非駆動コンベアを備え、
前記非駆動コンベアが、前記荷物の搬送方向における前記駆動コンベアの上流側に隣接している、請求項1または2に記載の荷下ろし補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷下ろし補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷台またはコンテナからの人手による荷下ろしを支援する、荷下ろし補助装置が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-218379号公報
【文献】特開2019-196260号公報
【文献】特開2020-78126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に記載された荷下ろし補助装置は、荷台の床面に配置された床面コンベアを用いた荷下ろしでの使用について考慮されていない。そのため、床面コンベアと連携して荷下ろしする場合に、荷下ろし補助装置が床面コンベアと接触して装置移動の妨げとなる場合や、荷下ろし補助装置から床面コンベアの荷物受け渡しができない場合があり、作業性が悪くなることがあった。
【0005】
本発明の目的は、床面コンベアを有する荷下ろし対象(トラックの架台またはコンベア)に使用できる荷下ろし補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の荷下ろし補助装置は、
荷台の床面に配置された床面コンベアを用いた荷下ろしに用い得る荷下ろし補助装置であって、
前記床面上に位置可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、荷物を搬送可能な駆動コンベアと、
前記筐体を前記床面に沿って移動させることが可能な移動手段と、
前記駆動コンベアおよび前記移動手段を制御可能な制御装置と
を備え、
前記移動手段が、
前記筐体に支持され、前記筐体が前記床面上に位置する場合に前記床面コンベアの幅方向に対向する一対の車輪を含み、
前記一対の車輪は、
前記幅方向に対向する車輪の間隔が前記床面コンベアの幅よりも広く、前記筐体が前記床面上に位置するときに、前記筐体および前記駆動コンベアが前記床面コンベアに接触しない状態で、前記筐体を前記床面コンベアに沿って移動させることができるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の荷下ろし補助装置は、荷台の床面に配置された床面コンベアを用いた荷下ろしに使用する場合、床面コンベア上を床面コンベアに接触することなくスムーズに移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の荷下ろし補助装置を示す模式的な側面図。
図2図1の荷下ろし補助装置の模式的な平面図。
図3図1の荷下ろし補助装置のブロック図。
図4図1の荷下ろし補助装置の使用態様を説明するための模式的な側面図。
図5A図1の荷下ろし補助装置の第1の変形例を示す部分側面図。
図5B図5Aの荷下ろし補助装置において滞留防止板が鉛直方向に沿って立った状態で保持された状態を示す部分側面図。
図6図1の荷下ろし補助装置の第2の変形例を示す模式的な側面図。
図7図5Aの荷下ろし補助装置を使用した荷下ろしの一例を説明するための第1のフローチャート。
図8図5Aの荷下ろし補助装置を使用した荷下ろしの一例を説明するための第2のフローチャート。
図9図5Aの荷下ろし補助装置を使用した荷下ろしの一例を説明するための第3のフローチャート。
図10図5Aの荷下ろし補助装置を使用した荷下ろしの一例を説明するための第4のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明は、本発明を限定するものではなく、本質的に例示に過ぎず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0010】
本発明の一実施形態の荷下ろし補助装置1は、図1図3に示すように、筐体2と、駆動コンベア7と、一対の車輪を含む移動手段と、制御装置33とを備える。
【0011】
図1および図2に示すように、駆動コンベア7は、筐体2に設けられ、荷物を搬送可能に構成されている。移動手段は、筐体2をフリーローラコンベア(例えば、後述する床面コンベア105)に沿って移動させることが可能に構成されている。本実施形態では、駆動コンベア7は、載せられた荷物を図1の左側から右側に向かって搬送するように構成されている。移動手段は、一対の車輪としての一対の駆動輪21A、21Bおよび一対の従動輪22A、22Bと、一対の駆動輪21A、21Bを駆動させる車輪駆動機構とを含む。車輪駆動機構には、駆動モータ31A、31Bが含まれる。制御装置33は、筐体2に設けられている。
【0012】
図3に示すように、制御装置33は、操作部34からの操作命令に基づいて、駆動モータ31A、31Bおよび搬送用モータ30を制御可能に構成されている。本実施形態では、制御装置33は、プロセッサおよび記憶部を含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU、DSP、FPGAまたはASICを含む。記憶部は、例えば、内部記録媒体または外部記録媒体で構成されている。内部記録媒体は、不揮発メモリ等を含む。外部記録媒体は、ハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)または光ディスク装置等を含む。制御装置33は、筐体2に設けられた電源部32に接続されている。電源部32は、充電可能に構成された電池32a(例えば、リチウムイオン電池)を含む。電源部32はいわゆるコードレス電源であるので、トラック100の荷台101の奥まで荷下ろし補助装置1を容易に移動させることができる。
【0013】
操作部34は、例えば、複数のスイッチを有する。複数のスイッチには、例えば、駆動コンベア7を駆動/停止させるための駆動スイッチと、駆動コンベア7の搬送速度を変更するための速度スイッチと、荷下ろし補助装置1を移動(例えば、前進、後進、旋回)させるための走行スイッチと、荷下ろし補助装置1を瞬時に停止させるための緊急停止スイッチとを含む。
【0014】
図4に、荷下ろし補助装置1の使用態様の一例を示す。図では、荷下ろし補助装置1は、トラック100の荷台101からバース102(荷下ろし場所の一例)の乗り継ぎコンベア104、仕分けコンベア103への人手による荷下ろしに使用される。トラック100の荷台101の床面101aには、非駆動式の床面コンベア105が設けられている。本実施形態において、床面コンベア105は、トラック100の荷台101の床面101aに埋め込まれた埋込コンベアである。なお、床面コンベア105は、埋込コンベアに限定されるものではなく、荷台の床面に配置されるコンベアであればよい。図1に示すように、床面コンベア105は、荷物200の搬送方向に沿って並べられた複数のフリーローラ105aを有する。個々のフリーローラ105aは、その一部が床面101aから突出した状態で回転自在に保持されている。荷下ろし補助装置1は、トラック100の荷台101以外(例えば、床に埋込コンベアが設けられたコンテナ)にも用い得る。
【0015】
筐体2は、図2に示すように、鉛直方向(つまり、図1の上下方向)に沿った平面視において、略矩形状を有し、床面101a上に位置可能に構成されている。筐体2の鉛直方向の上部に、駆動コンベア7が設けられている。駆動コンベア7は、筐体2に内蔵されていてもよい。
【0016】
駆動コンベア7は、図1に示すように、一例として、2つのコンベア(以下、第1駆動コンベア8および第2駆動コンベア9と言う。)を含み、筐体2が床面101a上に位置する場合、駆動コンベア7が床面コンベア105よりも上方に位置するように構成されている。第1駆動コンベア8は、搬送方向において、第2駆動コンベア9の上流に位置している。
【0017】
第1駆動コンベア8および第2駆動コンベア9は、筐体2に設けられた搬送用モータ30(図3参照)により駆動可能に構成されている。搬送用モータ30は、例えば、小型かつ高出力のコアレスモータを含む。第1駆動コンベア8および第2駆動コンベア9は、床面101aに対して、搬送方向の上流から下流に向かうに従って床面101aに接近するように傾斜している。本実施形態では、第1駆動コンベア8および第2駆動コンベア9は、第1駆動コンベア8の床面101aに対する傾斜角度が、第2駆動コンベア9の床面101aに対する傾斜角度よりも小さくなるように構成されている。
【0018】
図2に示すように、第2駆動コンベア9の搬送方向下流側の端部には、第2駆動コンベア9を床面101aに対して移動可能な状態で支持するための支持ローラ16が設けられている。
【0019】
一例として、第2駆動コンベア9は、その搬送方向における上流側の端部が第1駆動コンベア8に対して回転可能に連結され、略鉛直方向に沿って立った状態で保持可能に構成されている。
【0020】
本実施形態では、荷下ろし補助装置1は、非駆動コンベア6を備えている。図1に示すように、非駆動コンベア6は、筐体2に設けられ、搬送方向における駆動コンベア7の上流側に隣接している。
【0021】
非駆動コンベア6は、複数のフリーローラを有し、駆動モータ等により駆動されないように構成されている。図1に示すように、非駆動コンベア6は、駆動コンベアと同様に、床面101aに対して、搬送方向の上流から下流に向かうに従って床面101aに接近するように傾斜している。本実施形態では、非駆動コンベア6は、その床面101aに対する傾斜角度が、第1駆動コンベア8の床面101aに対する傾斜角度よりも小さくなるように構成されている。非駆動コンベア6に載置された荷物200は、その自重により駆動コンベア7に向かって搬送される。図2に示すように、非駆動コンベア6は、駆動コンベア7と略同一の幅方向(例えば、図2の上下方向)の寸法を有している。
【0022】
一対の駆動輪21A,21Bおよび一対の従動輪22A,22Bは、図1に示すように、筐体2が床面101a上に位置する場合に、床面コンベア105の幅方向(例えば、図1の紙面貫通方向または図2の上下方向)に対向している。一対の駆動輪21A,21Bは、鉛直方向に沿った平面視において、非駆動コンベア6と重なる位置に設けられている。一対の従動輪22A,22Bは、鉛直方向に沿った平面視において、第1駆動コンベア8と重なる位置に設けられている。
【0023】
図2に示すように、幅方向における一対の駆動輪21A,21B間の間隔をW1とし、幅方向における一対の従動輪22A,22Bの間隔をW2とし、床面コンベア105の幅方向の寸法をWCとする。一対の駆動輪21A,21Bおよび一対の従動輪22A,22Bは、「W1>WCかつW2>WC」を満たすように構成されている。つまり、荷下ろし補助装置1は、一対の車輪における幅方向に対向する車輪の間隔(W1、W2)が床面コンベア105の幅(WC)よりも広くなるように構成されている。
【0024】
図1に示すように、鉛直方向における駆動コンベア7の最下端位置(本実施形態では、第2駆動コンベア9の搬送方向下流側の端部の最下端位置)をL1とし、鉛直方向における筐体2の最下端位置をL2とし、鉛直方向における床面コンベア105の最上端位置をL3とする。筐体2および駆動コンベア7は、「L1>L3かつL2>L3」を満たすように構成されている。つまり、荷下ろし補助装置1は、筐体2が床面101a上に位置するときに、筐体2および駆動コンベア7が床面コンベア105に接触しない状態で、筐体2を床面コンベア105に沿って移動させることができるように構成されている。
【0025】
荷下ろし補助装置1は、以下の特徴を有する。
【0026】
荷下ろし補助装置1は、一対の車輪における幅方向に対向する車輪の間隔(W1、W2)が床面コンベア105の幅(WC)よりも広く、筐体2が床面101a上に位置するときに、筐体2および駆動コンベア7が床面コンベア105に接触しない状態で、筐体2を床面コンベア105に沿って移動させることができるように構成されている。このような構成により、荷台101の床面101aに配置された床面コンベア105を用いた荷下ろしに使用する場合、床面コンベア105上を床面コンベア105に接触することなくスムーズに移動できる荷下ろし補助装置1を実現できる。
【0027】
荷下ろし補助装置1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することで、荷台101の床面101aに配置された床面コンベア105を用いた荷下ろしに使用する場合、床面コンベア105上を床面コンベア105に接触することなくスムーズに移動できる荷下ろし補助装置1をより確実に実現できる。
・筐体2が床面101a上に位置する場合、駆動コンベア7が床面コンベア105よりも上方に位置する。
・一対の車輪が、一対の駆動輪21A、21Bと一対の従動輪22A、21Bとを含む。移動手段が、一対の駆動輪21A、21Bを駆動させる車輪駆動機構を含む。
・荷下ろし補助装置1が、筐体2に設けられた非駆動コンベア6を備える。非駆動コンベア6が、荷物の搬送方向における駆動コンベア7の上流側に隣接している。
【0028】
荷下ろし補助装置1は、以下の構成を採用できる。
【0029】
図5Aに示すように、荷下ろし補助装置1は、滞留防止板5を備えてもよい。滞留防止板5は、駆動コンベア7の搬送方向下流側に位置し、駆動コンベア7から床面コンベア105に搬送される荷物200の床面コンベア105に対する搬送角度を変更可能に構成されている。滞留防止板5は、一例として、略矩形の板状で、筐体2が床面コンベア105上に位置する場合に、床面コンベア105に対して搬送方向の上流から下流に向かうに従って、床面コンベア105に接近するように傾斜し、床面コンベア105よりも鉛直方向の上方に位置している。荷下ろし補助装置1が滞留防止板5を備えることで、駆動コンベア7から床面コンベア105に荷物200をスムーズに移動させることができる。これにより、荷物200の滞留を防止できる。本実施形態では、滞留防止板5は、床面コンベア105に対する傾斜角度が駆動コンベア7よりも小さくなるように構成されている。これにより、駆動コンベア7から床面コンベア105への荷物200のスムーズな移動をより確実に実現できる。
【0030】
図5Aの荷下ろし補助装置1は、滞留防止板5の搬送方向の下流側に位置する位置決め部材28を備える。位置決め部材28は、滞留防止板5の搬送方向下流側の端部25bから下方に延びて、床面コンベア105を構成する複数のフリーローラ105aのうち互いに隣接する2つのフリーローラ105aの間に進入可能に構成されている。これにより、滞留防止板5を床面コンベア105に対して適切に位置決めできる。
【0031】
一例として、滞留防止板5は、ブラケット26を介して第2駆動コンベア9に接続されている。滞留防止板5およびブラケット26は、滞留防止板5に設けられたピン25cがブラケット26に設けられた軸受穴26aに挿入されることで連結されている。つまり、滞留防止板5は、ピン25cまわりに第2駆動に向かって回転可能な状態でブラケット26に接続されている。そのため、荷下ろし補助装置1は、図5Bに示すように、滞留防止板5が鉛直方向に沿って立った状態で保持されるように構成できる。図5Aの荷下ろし補助装置1では、滞留防止板5の搬送方向下流側の端部25bの近傍には、滞留防止板5を床面101aに対して移動可能な状態で支持するための支持ローラ17が設けられている。
【0032】
滞留防止板5は、図6に示すように構成してもよい。駆動コンベア7から滞留防止板5を介して床面コンベア105に搬送された荷物200が最初に接触するフリーローラ105bの回転軸CPを通り鉛直方向に延びる仮想直線をL4とする。図6に示す荷下ろし補助装置1では、滞留防止板5は、筐体2が床面コンベア105上に位置する場合に、滞留防止板5の傾斜方向を示すベクトルV1が仮想直線L4に対して回転軸CPよりも上方で交差するように構成されている。このように構成することで、荷物200がフリーローラ105bに接触したときに、下流側に荷物を送る方向(図6における時計周り方向)にフリーローラ105bが回転して、駆動コンベア7から床面コンベア105への荷物200のスムーズな移動をより確実に実現できる。仮に、ベクトルV1が仮想直線L4に対して、回転軸CPよりも下方で接触した場合は、フリーローラ105bが逆方向に回転するため荷物200の搬送方向と逆方向に力が働き荷物がつかえて搬送できない現象が発生する。
【0033】
図6に示す荷下ろし補助装置1では、駆動コンベア7と滞留防止板5との間に、隙間106が形成されている。隙間106は、例えば、搬送方向において25mm以上の大きさを有している。これにより、駆動コンベア7および滞留防止板5の間に、ユーザの指が挟まらないようにしている。
【0034】
図4および図7図10を参照して、図5Aに示す滞留防止板5を備える荷下ろし補助装置1を使用した荷下ろしの一例を説明する。
【0035】
図7に示すように、トラック100がバース102に到着すると、作業者は、乗り継ぎコンベア104をトラック100に取り付ける(ステップS1)。
【0036】
作業者は、トラック扉から3m程度までのトラック100内の荷物200を下し、荷下ろし補助装置1で作業できるスペースを確保する(ステップS2)。
【0037】
作業者は、トラック100から乗り継ぎコンベア104を取り外し、リフター上に載せてある荷下ろし補助装置1をリフターと共にトラック100付近まで移動させる(ステップS3)。
【0038】
作業者は、リフターを上昇させ、トラック100の荷台101に荷下ろし補助装置1を載置する(ステップS4)。
【0039】
作業者は、トラック100の荷台101の床面101aの床面コンベア105と並行に、かつ、それを跨ぐように、荷下ろし補助装置1を設置する(ステップS5)。
【0040】
荷下ろし補助装置1の設置後、作業者は、折り畳んだ駆動コンベア7の後方部(つまり、第2駆動コンベア9)を床面コンベア105に接するように落下させる(ステップS6)。この時点では、滞留防止板5は鉛直方向に沿って立った状態にしておく。
【0041】
図8に示すように、作業者は、荷下ろし補助装置1の操作部34の前進スイッチを操作して、荷下ろし場所のすぐ手前まで荷下ろし補助装置1を移動させ、乗り継ぎコンベア104をトラック100に取り付ける(ステップS7)。
【0042】
作業者は、荷物200の荷姿(例えば、サイズ、重量および積載位置)に合わせて、操作部34の速度スイッチを操作して、駆動コンベア7の速度を設定する(ステップS8)。
【0043】
作業者は、駆動コンベア7の速度を設定した後、操作部34の駆動スイッチを操作して、駆動コンベア7を駆動させる(ステップS9)。ステップS7~S9のいずれかのタイミングで、作業者は、位置決め部材28を床面コンベア105の2つの隣接するフリーローラ105a間に進入させて、滞留防止板5を位置決めする。
【0044】
駆動コンベア7の駆動後、作業者は、積まれている荷物200を搬送する(ステップS10)。荷物200を非駆動コンベア6に載せると、載せられた荷物200は、その自重により駆動コンベア7に自動的に搬送される。駆動コンベア7に搬送された荷物200は、搬送用モータ30の駆動により、トラック100の荷台101の床面コンベア105へと搬送される。床面コンベア105上に、先に搬送された荷物200がある場合、先に搬送された荷物200は、後から搬送された荷物200によって押され、バース102に向かって移動する。
【0045】
作業者は、ステップS7~ステップS10を繰り返して、荷物200をバース102へ向けて排出する(ステップS11)。
【0046】
図9に示すように、作業者は、駆動コンベア7で荷物200が滞留しているか否かを判定する(ステップS12)。
【0047】
駆動コンベア7に荷物200が滞留していると判定されると、作業者は、非駆動コンベア6に荷物200を載せ、その荷物200を使ってバース102方向へ滞留した荷物200を手で押す(ステップS13)。このとき、駆動コンベア7の搬送力も荷物200に加わるため、荷物200を手で押す負荷が軽減される。
【0048】
駆動コンベア7に荷物200が滞留していると判定されなかった場合、作業者は、バース102付近で荷物200が滞留しているか否かを判定する(ステップS14)。
【0049】
バース102付近で荷物200が滞留していると判定されると、作業者は、荷下ろし作業を一時中断し、荷物200の滞留を解消する(ステップS15)。例えば、荷下ろし作業を長時間中断する場合、荷下ろし作業者P1は、操作部34の駆動スイッチを操作して、駆動コンベア7を停止させる。駆動コンベア7が停止している間に、仕分け作業者P2が、バース102付近の荷物200の滞留を解消する。
【0050】
ステップS13およびS15の後、または、ステップS14においてバース102付近で荷物200が滞留していると判定されなかった場合、作業者は、荷下ろし補助装置1周辺の荷物200が全て搬送したことを確認した後、操作部34の移動ボタンを操作して、荷下ろし補助装置1を前進(つまり、トラック100の奥に向かって移動)させる(ステップS16)。
【0051】
図10に示すように、作業者は、トラック100内の全ての荷物200がバース102に向かって搬送されたか否かを判定する(ステップS17)。トラック100内の全ての荷物200がバース102に向かって搬送されたと判定されなかった場合、ステップS8に戻り、作業者はステップ8~16を繰り返す。
【0052】
トラック100内の全ての荷物200がバース102に向かって搬送されたと判定された場合、作業者は、操作部34の駆動ボタンを操作して、駆動コンベア7を停止させる(ステップS18)。このとき、非駆動コンベア6および駆動コンベア7上に荷物200は残っていないが、フリーローラコンベア105上に荷物200が残っている可能性がある。
【0053】
駆動コンベア7を停止させた後、作業者は、フリーローラコンベア105上に荷物200が残っているか否かを判定する(ステップS19)。
【0054】
フリーローラコンベア105上に荷物200が残っていると判定された場合、作業者は、滞留防止板5を鉛直方向に沿って立った状態で保持し、操作部34の移動スイッチを操作して、荷下ろし補助装置1を後進(つまり、バース102に向かって移動)させる(ステップS20)。荷下ろし補助装置1がバース102に向かって移動することにより、フリーローラコンベア105上に残った荷物200が、滞留防止板5を介してバース102に向かって押されて移動する。これにより、荷下ろしにおける作業者の負荷を軽減できる。
【0055】
フリーローラコンベア105上の荷物200をバース102に向かって移動させた後、または、ステップS19においてフリーローラコンベア105上に荷物が残っていると判定されなかった場合、作業者は、乗り継ぎコンベア104をトラック100から取り外し、空のリフターをトラック100付近まで移動させ、トラック100の荷台101の高さまでリフターを上昇させる(ステップS21)。
【0056】
荷下ろし補助装置1を載せたリフターを下降させた後、作業者は、荷下ろし補助装置1を次の荷下ろしバース102の近くに移動させて(ステップS22)、荷下ろしが終了する。
【0057】
ステップS20において、滞留防止板5に代えて、第2駆動コンベア9を鉛直方向に沿って立った状態に保持してもよい。この場合、筐体2の搬送方向下流側の端部がフリーローラコンベア105上に残った荷物200に接触する。このように、フリーローラコンベア105上に残った荷物200に接触可能な接触部は、滞留防止板5であってもよいし、他の部材(例えば、筐体2)であってもよい。滞留防止板5が接触部を構成することで、荷下ろし補助装置1の移動に関する作業者の負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0058】
1 補助装置
2 筐体
5 滞留防止板
6 非駆動コンベア
7 駆動コンベア
8 第1駆動コンベア
9 第2駆動コンベア
16、17 支持ローラ
21A、21B 一対の駆動輪
22A、22B 一対の従動輪
26 ブラケット
28 位置決め部材
30 搬送用モータ
31A、31B 駆動モータ
32 電源部
32a 電池
33 制御装置
34 操作部
100 トラック
101 荷台
102 バース
103 仕分けコンベア
104 乗り継ぎコンベア
105 床面コンベア
106 隙間
200 荷物
【要約】
【課題】
床面コンベアを有する荷下ろし対象に使用できる荷下ろし補助装置を提供すること。
【解決手段】
荷下ろし補助装置が、床面上に位置可能な筐体と、筐体に設けられ荷物を搬送可能な駆動コンベアと、筐体を床面に沿って移動させることが可能な移動手段と、駆動コンベアおよび移動手段を制御可能な制御装置とを備える。移動手段が、筐体に支持され、筐体が床面上に位置する場合に床面コンベアの幅方向に対向する一対の車輪を含む。一対の車輪は、幅方向に対向する車輪の間隔が床面コンベアの幅よりも広く、筐体が床面上に位置するときに、筐体および駆動コンベアが床面コンベアに接触しない状態で、筐体を床面コンベアに沿って移動させることができるように構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10