(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】学習装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/64 20180101AFI20241011BHJP
【FI】
F24F11/64
(21)【出願番号】P 2023190939
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2022522450の分割
【原出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】京屋 貴則
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-159763(JP,A)
【文献】特開2003-042508(JP,A)
【文献】特許第7430784(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0320081(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0271483(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の前記第1の時刻における体表面温度と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、前記第1の時刻以降の第2の時刻における前記利用者の体表面温度とを含む入力データと、前記第2の時刻において前記利用者が所望する空気調和機の設定温度を表わす教師データとを含む学習用データを取得するデータ取得部と、
前記学習用データを用いて、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の前記第1の時刻における体表面温度と、前記第1の温度と、前記第2の温度と、前記利用者の前記第2の時刻における体表面温度とを含む入力データから前記第2の時刻において前記利用者が所望する空気調和機の設定温度を表わすデータを推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
を備えた学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムおよび学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の居住者(ユーザ)がいる広範囲の空間において快適な温度調整を目的として装置が知られている。たとえば、特許文献1に記載された空調機温度制御装置は、複数の要求端末から受けた温度変更要求を統計処理し、統計処理された各要求情報に基づく空調機毎の制御要求と、現在温度と、設定温度とに基づいて、各空調機を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用者が、空調機の設定温度を変更する操作を実行し、ある程度の時間が経過した後、その利用者が変更操作後の設定温度を変更操作前の設定温度に戻したいことがある。そのような場合に、利用者は、空調機の設定温度の変更操作を再度実行しなければならないため、利用者にとって手間である。
【0005】
それゆえに、本開示は、利用者が所望する温度に空調機の設定温度を自動的に変更することができる空気調和システムおよび学習装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気調和システムは、空気調和機と、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とに基づいて、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する推論装置と、推論装置による推論の結果に基づいて、空気調和機を制御する制御装置とを備える。
【0007】
本開示の学習装置は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とを含む入力データと、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わす教師データとを含む学習用データを取得するデータ取得部と、学習用データを用いて、利用者の第1の時刻における体表面温度と、第2の時刻における体表面温度とを含む入力データから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の空気調和システムによれば、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とに基づいて、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。これによって、利用者が所望する温度に空調機の設定温度を自動的に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態の空気調和システムの構成を表わす図である。
【
図3】実施の形態1の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【
図4】ニューラルネットワークの構成を表わす図である。
【
図5】実施の形態1の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【
図6】実施の形態1の中途データの構成を表わす図である。
【
図7】(a)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。(b)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。(c)は、実施の形態1の中途データDM1を表わす図である。(d)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。(e)は、実施の形態1の中途データDM2を表わす図である。
【
図8】実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【
図9】実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【
図10】実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【
図11】実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【
図12】実施の形態1の空気調和機の電源オフ操作時データの構成を表わす図である。
【
図13】(a)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDVを表わす図である。(b)は、実施の形態1の空気調和機の電源オフ操作時データDFを表わす図である。(c)は、実施の形態1の中途データDMを表わす図である。
【
図14】実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【
図15】実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【
図16】学習装置7による学習手順を表わすフローチャートである。
【
図18】実施の形態1の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【
図19】実施の形態1の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【
図20】実施の形態1の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【
図21】推論装置1による推論手順を表わすフローチャートである。
【
図22】実施の形態2の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【
図23】実施の形態2の学習用データの例を表わす図である。
【
図24】実施の形態2の学習用データの例を表わす図である。
【
図25】実施の形態2の学習用データの例を表わす図である。
【
図26】実施の形態2の学習用データの例を表わす図である。
【
図27】実施の形態3の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【
図28】実施の形態3の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【
図29】実施の形態3の中途データの構成を表わす図である。
【
図30】(a)は、実施の形態3の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。(b)は、実施の形態3の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。(c)は、実施の形態3の中途データDM1を表わす図である。(d)は、実施の形態3の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。(e)は、実施の形態3の中途データDM2を表わす図である。
【
図31】実施の形態3の学習用データの例を表わす図である。
【
図32】実施の形態3の学習用データの例を表わす図である。
【
図33】実施の形態3の学習用データの例を表わす図である。
【
図34】実施の形態3の学習用データの例を表わす図である。
【
図35】実施の形態3の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【
図36】実施の形態3の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【
図37】実施の形態3の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【
図38】実施の形態4の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【
図39】実施の形態4の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【
図40】実施の形態4の中途データの構成を表わす図である。
【
図41】(a)は、実施の形態4の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。(b)は、実施の形態4の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。(c)は、実施の形態4の中途データDM1を表わす図である。(d)は、実施の形態4の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。(e)は、実施の形態4の中途データDM2を表わす図である。
【
図42】実施の形態4の学習用データの例を表わす図である。
【
図43】実施の形態4の学習用データの例を表わす図である。
【
図44】実施の形態4の学習用データの例を表わす図である。
【
図45】実施の形態4の学習用データの例を表わす図である。
【
図46】実施の形態4の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【
図47】実施の形態4の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【
図48】実施の形態4の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【
図49】実施の形態5の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【
図50】実施の形態5の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【
図51】実施の形態5の中途データの構成を表わす図である。
【
図52】(a)は、実施の形態5の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。(b)は、実施の形態5の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。(c)は、実施の形態5の中途データDM1を表わす図である。(d)は、実施の形態5の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。(e)は、実施の形態5の中途データDM2を表わす図である。
【
図53】実施の形態5の学習用データの例を表わす図である。
【
図54】実施の形態5の学習用データの例を表わす図である。
【
図55】実施の形態5の学習用データの例を表わす図である。
【
図56】実施の形態5の学習用データの例を表わす図である。
【
図57】実施の形態5の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【
図58】実施の形態5の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【
図59】実施の形態5の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【
図60】学習装置7、推論装置1、または制御装置6のハードウェア構成を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態の空気調和システムの構成を表わす図である。
【0012】
空気調和システム10は、空気調和機2と、室温センサ3と、体表面温度センサ4と、生体認証センサ5と、入力装置9と、通信装置8と、制御装置6と、学習装置7と、学習済みモデル記憶装置75と、推論装置1とを備える。
【0013】
空気調和機2は、設置されている部屋の空気を吸入して、部屋の空気の温度および湿度を調整する。
【0014】
入力装置9は、利用者からの設定温度の入力を受け付ける。入力装置9は、たとえば、リモートコントローラによって構成される。
【0015】
体表面温度センサ4は、空気調和機2が設置されている部屋に存在する人物の体表面の温度を計測する。体表面温度センサ4は、たとえば赤外線モニタなどによって構成される。
【0016】
生体認証センサ5は、入力装置9を操作した人物を識別する。
【0017】
室温センサ3は、空気調和機2が設置されている部屋の温度を計測する。
【0018】
通信装置8は、外部の装置との間で通信する。たとえば、通信装置8は、インターネットを通じて、外気温度(気温)を取得することができる。
【0019】
学習装置7は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機2の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における体表面温度とを含む入力データから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0020】
学習済みモデル記憶装置75は、学習装置7によって生成された学習済みモデルを記憶する。
【0021】
推論装置1は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機2の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とに基づいて、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0022】
制御装置6は、推論装置1による推論の結果に基づいて、空気調和機2を制御する。
【0023】
<学習フェーズ>
図2は、学習装置7の構成を表わす図である。
【0024】
学習装置7は、学習用データ生成部76と、データ取得部71と、モデル生成部72とを備える。
【0025】
学習用データ生成部76は、空気調和機2の設定温度の変更操作に基づいて、学習用データを生成する。
【0026】
データ取得部71は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とを含む入力データと、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わす教師データとを含む学習用データを取得する。
【0027】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、利用者の第1の時刻における体表面温度と、第2の時刻における体表面温度とを含む入力データから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0028】
より、具体的には、データ取得部71は、入力データと教師データとからなる学習用データを取得する。学習用データは、要因データX1~X9および教師データZを互いに関連付けたデータである。
【0029】
図3は、実施の形態1の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【0030】
入力データは、要因データX1~X9を含む。
【0031】
要因データX1は、設定温度の変更操作を実施した利用者Sである。要因データX2は、設定温度変更時の時刻t0(第1の時刻)である。要因データX3は、時刻t0の気温である。要因データX4は、時刻t0における利用者の体表面温度である。要因データX5は、時刻t0における変更操作前の設定温度(Tb)(第1の温度)である。要因データX6は、時刻t0における変更操作後の設定温度(Ta)(第2の温度)である。要因データX7は、時刻t0以降の時刻t1(第2の時刻)である。要因データX8は、時刻t1の気温である。要因データX9は、時刻t1における利用者の体表面温度である。教師データ(正解データ)Zは、時刻t1において利用者Sが設定温度をTaからTbに戻す操作を実施するか否かを表わすデータである。
【0032】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、要因データX1~X9を含む入力データから第2の時刻(t1)において利用者が第2の温度(Ta)から第1の温度(Tb)に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0033】
モデル生成部72は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習によって、学習済みモデルを生成する。教師あり学習とは、要因と結果(ラベル)のデータの組を学習装置7に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
【0034】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、又は2層以上でもよい。
【0035】
図4は、ニューラルネットワークの構成を表わす図である。
図4には、3層のニューラルネットワークが表されている。
図4では、説明の便宜のため、入力が3個、出力が3個の構成が表されている。複数の入力が入力層(X1-X3)に入力されると、その値に重みW1(w11-w16)を掛けて中間層(Y1-Y2)に入力され、その結果にさらに重みW2(w21-w26)を掛けて出力層(Z1-Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1とW2の値によって変わる。実施の形態1では、入力層に入力されるデータはX1~X9であり、出力層から出力されるデータはZである。
【0036】
ニューラルネットワークは、データ取得部71によって取得される要因データX1~X9、および予測データZ(教師データ)の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、設定温度を戻す操作の有無を学習する。すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に要因データX1~X9を入力して出力層から出力された結果が、予測データZ(正解)に近づくように重みを調整することで学習する。
【0037】
モデル生成部72は、以上のような学習を実行することで学習済みモデルを生成し、学習済みモデルを学習済みモデル記憶装置75に出力する。
【0038】
学習済みモデル記憶装置75は、モデル生成部72から出力された学習済みモデルを記憶する。
【0039】
次に、学習用データ生成部76による学習用データを作成する方法を説明する。
【0040】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データを生成する。
【0041】
図5は、実施の形態1の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【0042】
設定温度変更操作データは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの体表面温度と、変更操作前の設定温度と、変更操作後の設定温度とを含む。利用者Sは、設定温度変更操作を行った人物を表わす。時刻は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻を表わす。気温は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻における気温を表わす。利用者Sの体表面温度は、設定温度変更操作を行った人物の体表面温度を表わす。変更操作前の設定温度は、利用者Sによる設定温度変更操作前の設定温度を表わす。変更操作後の設定温度は、利用者Sによる設定温度変更操作後の設定温度を表わす。
【0043】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データが作成された後に、その設定温度変更操作データと関連する1個以上の中途データを作成する。
【0044】
中途データは、設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0045】
図6は、実施の形態1の中途データの構成を表わす図である。
【0046】
中途データは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの体表面温度とを含む。利用者Sは、設定温度変更操作を行った人物を表わす。時刻は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻よりも前の時刻txを表わす。気温は、時刻txにおける気温を表わす。利用者Sの体表面温度は、時刻txにおける利用者Sの体表面温度を表わす。
【0047】
図7(a)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。
【0048】
このデータは、「Aさん」が「8:45」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:45」における気温が「22℃」である。「8:45」における「Aさん」の体表面温度が「37℃」である。設定温度の変更は、「28℃」から「25℃」である。
【0049】
図7(b)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。
【0050】
このデータは、「Aさん」が「9:15」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「9:15」における気温が「25℃」である。「9:15」における「Aさん」の体表面温度が「36℃」である。設定温度の変更は、「25℃」から「28℃」である。
【0051】
図7(c)は、実施の形態1の中途データDM1を表わす図である。
【0052】
中途データDM1は、設定温度変更操作データDV2が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV2における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0053】
このデータは、「9:15」よりも前の時刻である「9:00」における気温が「24℃」であり、「9:00」における「Aさん」の体表面温度が「36.5℃」であることを示す。
【0054】
図7(d)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。
【0055】
このデータは、「Aさん」が「12:25」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「12:25」における気温が「29℃」である。「12:25」における「Aさん」の体表面温度が「37℃」である。設定温度の変更は、「28℃」から「26℃」である。
【0056】
図7(e)は、実施の形態1の中途データDM2を表わす図である。
【0057】
中途データDM2は、設定温度変更操作データDV3が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV3における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0058】
このデータは、「12:25」よりも前の時刻である「11:00」における気温が「28℃」であり、「11:00」における「Aさん」の体表面温度が「36℃」であることを示す。
【0059】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データおよび中途データに基づいて、学習用データを生成する。
【0060】
図8~
図11は、実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【0061】
図8の学習用データは、
図7(a)の設定温度変更操作データDV1と
図7(b)の設定温度変更操作データDV2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV2の時刻(9:15)、気温(25℃)、利用者Sの体表面温度(36℃)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV1の変更操作前の設定温度(28℃)および設定温度変更操作データDV2の変更操作後の設定温度(28℃)から作成される。設定温度が元に戻されているので、Zは、「設定温度の戻し操作あり」に設定される。
【0062】
図9の学習用データは、
図7(a)の設定温度変更操作データDV1と
図7(c)の中途データDM1とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、中途データDM1の時刻(9:00)、気温(24℃)、利用者Sの体表面温度(36.5℃)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0063】
図10の学習用データは、
図7(b)の設定温度変更操作データDV2と
図7(d)の設定温度変更操作データDV3とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV3の時刻(12:25)、気温(29℃)、利用者Sの体表面温度(37℃)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV2の変更操作前の設定温度(25℃)および設定温度変更操作データDV3の変更操作後の設定温度(26℃)から作成される。設定温度が元に戻されていないので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0064】
図11の学習用データは、
図7(b)の設定温度変更操作データDV2と
図7(e)の中途データDM2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、中途データDM2の時刻(11:00)、気温(28℃)、利用者Sの体表面温度(36℃)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0065】
学習用データ生成部76は、さらに、空気調和機の電源オフ操作時データを生成する。
【0066】
図12は、実施の形態1の空気調和機の電源オフ操作時データの構成を表わす図である。このデータは、空気調和機の電源のオフ操作がなされたときの室内の状態、および空気調和機の電源のオフ操作を行った人物の状態を表わす。
【0067】
このデータは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの体表面温度とを含む。利用者Sは、空気調和装置の電源をオフにした人物を表わす。時刻は、空気調和機の電源がオフとされた時刻tyを表わす。気温は、時刻tyにおける気温を表わす。利用者Sの体表面温度は、時刻tyにおける利用者Sの体表面温度を表わす。
【0068】
図13(a)は、実施の形態1の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【0069】
このデータは、「Bさん」が「8:45」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:45」における気温が「24℃」である。「8:45」における「Bさん」の体表面温度が「37℃」である。設定温度の変更は、「28℃」から「24℃」である。
【0070】
図13(b)は、実施の形態1の空気調和機の電源オフ操作時データDFを表わす図である。
【0071】
このデータは、「Bさん」が「22:30」に空気調和機の電源オフ操作を実行したときに作成される。「22:30」における気温が「21℃」である。「22:30」における「Bさん」の体表面温度が「35℃」である。
【0072】
図13(c)は、実施の形態1の中途データDMを表わす図である。
【0073】
中途データDMは、空気調和機の電源オフ操作時データDFが作成された後に作成され、空気調和機の電源オフ操作時データDFにおける空気調和機の電源オフ操作がなされるまでの室内の状態、および空気調和機の電源オフ操作を行った人物の状態を表わす。
【0074】
このデータは、「22:30」よりも前の時刻である「12:00」における気温が「27℃」であり、「12:00」における「Bさん」の体表面温度が「37℃」であることを示す。
【0075】
学習用データ生成部76は、空気調和機の電源オフ操作時データおよび設定温度変更操作データに基づいて、学習用データを生成する。
【0076】
図14および
図15は、実施の形態1の学習用データの例を表わす図である。
【0077】
図14の学習用データは、
図13(a)の設定温度変更操作データDVと
図13(b)の空気調和機の電源オフ操作時データDFとから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDVから作成される。X7~X9は、空気調和機の電源オフ操作時データDFの時刻(22:30)、気温(21℃)、利用者Sの体表面温度(35℃)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV2の変更操作前の設定温度(25℃)および変更操作後の設定温度(28℃)から作成される。空気調和機の電源オフ操作時データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「変更なし」に設定される。
【0078】
図15の学習用データは、
図13(a)の設定温度変更操作データDVと
図13(c)の中途データDMとから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDVから作成される。X7~X9は、中途データDMの時刻(12:00)、気温(27℃)、利用者Sの体表面温度(37℃)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「変更なし」に設定される。
【0079】
データ取得部71は、
図8~
図11、
図14、および
図15の学習用データ、およびこられと同等のデータを取得する。モデル生成部72は、
図8~
図11、
図14、および
図15の学習用データ、およびこれらと同等のデータを用いて、学習済みモデルを生成する。
【0080】
図16は、学習装置7による学習手順を表わすフローチャートである。
【0081】
ステップS101において、データ取得部71は、要因データX1~X9、および教師データZとからなる学習用データを取得する。なお、要因データX1~X9、および教師データ(正解)Zを同時に取得するものとしたが、要因データX1~X9、教師データ(正解)Zを関連づけて入力できれば良く、要因データX1~X9、教師データ(正解)Zのデータをそれぞれ別のタイミングで取得しても良い。
【0082】
ステップS102において、モデル生成部72は、データ取得部71によって取得された要因データX1~X9、および教師データZの組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、学習済みモデルを生成する。
【0083】
ステップS103において、学習済みモデル記憶装置75は、モデル生成部72が生成した学習済みモデルを記憶する。
【0084】
<活用フェーズ>
図17は、推論装置1の構成を表わす図である。
【0085】
推論装置1は、推論用データ生成部77と、データ取得部73と、推論部74とを備える。
【0086】
推論用データ生成部77は、空気調和機2の設定温度の変更操作に基づいて、推論用データを生成する。推論用データ生成部77は、推論用データから要因データを生成する。
【0087】
データ取得部73は、要因データである利用者の第1の時刻における体表面温度と第2の時刻における体表面温度とを取得する。
【0088】
推論部74は、利用者の第1の時刻における体表面温度と、第2の時刻における体表面温度とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論するモデルを用いて、データ取得部73によって取得された利用者の第1の時刻における体表面温度と第2の時刻における体表面温度とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0089】
より具体的には、データ取得部73は、要因データX1~X9を取得する。
【0090】
推論部74は、学習済みモデル記憶装置75に記憶されている学習済みモデルと、データ取得部73によって取得された要因データX1~X9とを用いて、予測データZを出力する。要因データX1~X9は、モデルの入力ユニットに入力されるデータである。予測データZは、モデルの出力ユニットから出力されるデータである。すなわち、この学習済みモデルにデータ取得部73で取得した要因データX1~X9を入力することによって、要因データX1~X9から推論される設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを出力することができる。要因データX1~X9は、
図3に示すものと同様である。
【0091】
次に、推論用データ生成部77による設定温度変更操作データおよび予測時点の状態データを含む推論用データを作成する方法を説明する。
【0092】
推論用データ生成部77は、設定温度の変更操作が行われたときに設定温度変更操作データを生成する。推論用データ生成部77は、設定温度の戻し操作がなされるか否かを予測する時点(予測時点)の室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす予測時点の状態データを生成する。
【0093】
図18は、実施の形態1の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【0094】
このデータは、「Aさん」が「8:50」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:50」における気温が「23℃」である。「8:50」における「Aさん」の体表面温度が「36.5℃」である。設定温度の変更は、「27℃」から「26℃」である。
【0095】
図19は、実施の形態1の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【0096】
このデータは、「Aさん」が設定温度の変更操作を実行した対象人物であり、予測時点が「9:00」であり、予測時点における気温が「26℃」であり、予測時点における「Aさん」の体表面温度が「36℃」であることを示す。
【0097】
図20は、実施の形態1の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【0098】
図20の要因データX1~X9は、
図18の設定温度変更操作データDVと
図19の予測時点の状態データDKから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDVから作成される。X7~X9は、予測時点の状態データDKの時刻(9:00)、気温(25℃)、「9:00」における対象人物「Aさん」の体表面温度(36℃)から作成される。
【0099】
データ取得部73は、
図20の要因データX1~X9を取得する。推論部74は、
図20の要因データX1~X9を学習済みのニューラルネットワークに入力することによって、設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを得る。
【0100】
図21は、推論装置1による推論手順を表わすフローチャートである。
【0101】
ステップS201において、推論用データ生成部77は、設定温度変更操作データおよび予測時点の状態データを含む推論用データを生成する。推論用データ生成部77は、設定温度変更操作データおよび予測時点の状態データから要因データX1~X9を生成する。データ取得部73は、要因データX~X9を取得する。
【0102】
ステップS202において、推論部74は、学習済みモデル記憶装置75に記憶された学習済みモデルに要因データX1~X9を入力し、設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを得る。
【0103】
ステップS203において、推論部74は、設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを制御装置6に出力する。
【0104】
ステップS204において、制御装置6は、温度変更の戻し操作の有無を表わすデータを用いて、空気調和機2を制御する。すなわち、制御装置6は、設定温度の戻し操作ありの場合には、変更操作前の設定温度(X5)を目標温度として空気調和機2を制御する。
【0105】
以上のように、本実施の形態によれば、日常執務場所が決まっている等で特定されるある利用者による、設定温度変更操作が恒久的な要求であった場合には変更値を維持し、設定温度変更操作が一時的な要求であった場合には、しかるべき時間の経過後に元の設定温度に、空気調和システムが自動変更する。これによって、例えば夏季の出社直後に30分だけ温度設定を下げ、かつ元の設定値に戻すという煩わしい動作が自動化されるので、快適性が向上する。
【0106】
実施の形態2.
データ取得部71は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とを含む入力データと、第2の時刻において利用者が所望する空気調和機の設定温度を表わす教師データとを含む学習用データを取得する。
【0107】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、利用者の第1の時刻における体表面温度と、第2の時刻における体表面温度とを含む入力データから第2の時刻において利用者が所望する空気調和機の設定温度を表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0108】
より具体的には、データ取得部71は、入力データと教師データとからなる学習用データを取得する。学習用データは、要因データX1~X9および教師データZを互いに関連付けたデータである。
【0109】
図22は、実施の形態2の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【0110】
入力データは、要因データX1~X9を含む。要因データX1は、設定温度の変更操作を実施した利用者Sである。要因データX2は、設定温度変更時の時刻t0(第1の時刻)である。要因データX3は、時刻t0の気温である。要因データX4は、時刻t0における利用者の体表面温度である。要因データX5は、時刻t0における変更操作前の設定温度(Tb)(第1の温度)である。要因データX6は、時刻t0における変更操作後の設定温度(Ta)(第2の温度)である。要因データX7は、時刻t0以降の時刻t1(第2の時刻)である。要因データX8は、時刻t1の気温である。要因データX9は、時刻t1における利用者の体表面温度である。教師データ(正解データ)Zは、時刻t1において利用者Sが所望する設定温度を表わすデータである。
【0111】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、要因データX1~X9を含む入力データから第2の時刻(t1)において利用者が所望する設定温度を表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0112】
モデル生成部72は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習によって、学習済みモデルを生成する。実施の形態2では、入力層に入力されるデータはX1~X9であり、出力層から出力されるデータはZである。
【0113】
学習済みモデル記憶装置75は、モデル生成部72から出力された学習済みモデルを記憶する。
【0114】
次に、学習用データ生成部76による学習用データを作成する方法を説明する。
【0115】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データおよび中途データに基づいて、学習用データを生成する。
【0116】
図23~
図26は、実施の形態2の学習用データの例を表わす図である。
【0117】
図23の学習用データは、
図7(a)の設定温度変更操作データDV1と
図7(b)の設定温度変更操作データDV2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV2の時刻(9:15)、気温(25℃)、利用者Sの体表面温度(36℃)から作成される。Z(所望の設定温度)は、設定温度変更操作データDV2における変更操作後の設定温度(28℃)から作成される。
【0118】
図24の学習用データは、
図7(a)の設定温度変更操作データDV1と
図7(c)の中途データDM1とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、中途データDM1の時刻(9:00)、気温(24℃)、利用者Sの体表面温度(36.5℃)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Z(所望の設定温度)は、設定温度変更操作データDV1のX6(変更操作後の設定温度)(=25℃)に設定される。
【0119】
図25の学習用データは、
図7(b)の設定温度変更操作データDV2と
図7(d)の設定温度変更操作データDV3とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV3の時刻(12:25)、気温(29℃)、利用者Sの体表面温度(37℃)から作成される。Z(所望の設定温度)は、設定温度変更操作データDV2における変更操作後の設定温度(26℃)から作成される。
【0120】
図26の学習用データは、
図7(b)の設定温度変更操作データDV2と
図7(e)の中途データDM2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、中途データDM2の時刻(11:00)、気温(28℃)、利用者Sの体表面温度(36℃)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Z(所望の設定温度)は、設定温度変更操作データDV2のX6(変更操作後の設定温度)(=28℃)に設定される。
【0121】
推論装置1は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における体表面温度と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の体表面温度とに基づいて、第2の時刻において利用者が所望する空気調和機の設定温度を推論する。
【0122】
制御装置6は、推論装置1による推論の結果に基づいて、空気調和機2を制御する。制御装置6は、第2の時刻においてグループが第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施すると推論されたときには、空気調和機2の設定温度を第1の設定温度に戻す。
【0123】
より具体的には、データ取得部73は、要因データX1~X9を取得する。
【0124】
推論部74は、学習済みモデル記憶装置75に記憶されている学習済みモデルと、データ取得部73によって取得された要因データX1~X9とを用いて、予測データZを出力する。要因データX1~X9は、モデルの入力ユニットに入力されるデータである。予測データZは、モデルの出力ユニットから出力されるデータである。すなわち、この学習済みモデルにデータ取得部73で取得した要因データX1~X9を入力することによって、要因データX1~X9から推論される第2の時刻において利用者が所望する空気調和機2の設定温度を表わすデータZを出力することができる。要因データX1~X9は、
図3に示すものと同様である。
【0125】
実施の形態3.
<学習フェーズ>
データ取得部71は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における位置と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の位置とを含む入力データと、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わす教師データとを含む学習用データを取得する。
【0126】
人についてはBLE(Bluetooth Low Energy)または画像解析、自席のような設備についてはBIM(Building Information Modeling)またはフロアマップといった公知の技術を利用して、位置データを取得することができる。
【0127】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、利用者の第1の時刻における位置と、第2の時刻における位置とを含む入力データから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0128】
より具体的には、データ取得部71は、入力データと教師データとからなる学習用データを取得する。学習用データは、要因データX1~X9および教師データZを互いに関連付けたデータである。
【0129】
図27は、実施の形態3の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【0130】
入力データは、要因データX1~X9を含む。要因データX1は、設定温度の変更操作を実施した利用者Sである。要因データX2は、設定温度変更時の時刻t0(第1の時刻)である。要因データX3は、時刻t0の気温である。要因データX4は、時刻t0における利用者の位置である。要因データX5は、時刻t0における変更操作前の設定温度(Tb)(第1の温度)である。要因データX6は、時刻t0における変更操作後の設定温度(Ta)(第2の温度)である。要因データX7は、時刻t0以降の時刻t1(第2の時刻)である。要因データX8は、時刻t1の気温である。要因データX9は、時刻t1における利用者の位置である。教師データ(正解データ)Zは、時刻t1において利用者Sが設定温度をTaからTbに戻す操作を実施するか否かを表わすデータである。
【0131】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、要因データX1~X9を含む入力データから第2の時刻(t1)において利用者が第2の温度(Ta)から第1の温度(Tb)に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0132】
モデル生成部72は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習によって、学習済みモデルを生成する。実施の形態3では、入力層に入力されるデータはX1~X9であり、出力層から出力されるデータはZである。
【0133】
次に、学習用データ生成部76による学習用データを作成する方法を説明する。
【0134】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データを生成する。
【0135】
図28は、実施の形態3の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【0136】
設定温度変更操作データは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの位置と、変更操作前の設定温度と、変更操作後の設定温度とを含む。利用者Sは、設定温度変更操作を行った人物を表わす。時刻は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻を表わす。気温は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻における気温を表わす。利用者Sの位置は、設定温度変更操作を行った人物の位置を表わす。変更操作前の設定温度は、利用者Sによる設定温度変更操作前の設定温度を表わす。変更操作後の設定温度は、利用者Sによる設定温度変更操作後の設定温度を表わす。
【0137】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データが作成された後に、その設定温度変更操作データと関連する中途データを作成する。
【0138】
中途データは、設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0139】
図29は、実施の形態3の中途データの構成を表わす図である。
【0140】
中途データは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの位置とを含む。利用者Sは、設定温度変更操作を行った人物を表わす。時刻は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻よりも前の時刻txを表わす。気温は、時刻txにおける気温を表わす。利用者Sの位置は、時刻txにおける利用者Sの位置を表わす。
【0141】
図30(a)は、実施の形態3の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。
【0142】
このデータは、「Aさん」が「8:45」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:45」における気温が「22℃」である。「8:45」における「Aさん」の位置が「自席」である。設定温度の変更は、「28℃」から「25℃」である。
【0143】
図30(b)は、実施の形態3の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。
【0144】
このデータは、「Aさん」が「9:15」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「9:15」における気温が「25℃」である。「9:15」における「Aさん」の位置が「応接席」である。設定温度の変更は、「25℃」から「28℃」である。
【0145】
図30(c)は、実施の形態3の中途データDM1を表わす図である。
【0146】
中途データDM1は、設定温度変更操作データDV2が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV2における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0147】
このデータは、「9:15」よりも前の時刻である「9:00」における気温が「24℃」であり、「9:00」における「Aさん」の位置が「自席」であることを示す。
【0148】
図30(d)は、実施の形態3の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。
【0149】
このデータは、「Aさん」が「12:25」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「12:25」における気温が「29℃」である。「12:25」における「Aさん」の位置が「自席」である。設定温度の変更は、「28℃」から「26℃」である。
【0150】
図30(e)は、実施の形態3の中途データDM2を表わす図である。
【0151】
中途データDM2は、設定温度変更操作データDV3が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV3における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0152】
このデータは、「12:25」よりも前の時刻である「11:00」における気温が「28℃」であり、「11:00」における「Aさん」の位置が「応接席」であることを示す。
【0153】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データおよび中途データに基づいて、学習用データを生成する。
【0154】
図31~
図34は、実施の形態3の学習用データの例を表わす図である。
【0155】
図31の学習用データは、
図30(a)の設定温度変更操作データDV1と
図30(b)の設定温度変更操作データDV2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV2の時刻(9:15)、気温(25℃)、利用者Sの位置(応接席)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV1の変更操作前の設定温度(28℃)、設定温度変更操作データDV2の変更操作後の設定温度(28℃)から作成される。設定温度を元に戻す操作がなされているので、Zは、「設定温度の戻し操作あり」に設定される。
【0156】
図32の学習用データは、
図30(a)の設定温度変更操作データDV1と
図30(c)の中途データDM1とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、中途データDM1の時刻(9:00)、気温(24℃)、利用者Sの位置(自席)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0157】
図33の学習用データは、
図30(b)の設定温度変更操作データDV2と
図30(d)の設定温度変更操作データDV3とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV3の時刻(12:25)、気温(29℃)、利用者Sの位置(自席)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV2の変更操作前の設定温度(25℃)および設定温度変更操作データDV3の変更操作後の設定温度(26℃)から作成される。設定温度を元に戻す操作がなされていないので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0158】
図34の学習用データは、
図30(b)の設定温度変更操作データDV2と
図30(e)の中途データDM2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、中途データDM2の時刻(11:00)、気温(28℃)、利用者Sの位置(応接席)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0159】
データ取得部71は、
図31~
図34の学習用データ、およびこれらと同等のデータを取得する。モデル生成部72は、
図31~
図34の学習用データ、およびこれらと同等のデータを用いて、学習済みモデルを生成する。
【0160】
<活用フェーズ>
推論装置1は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における位置と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の位置とに基づいて、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0161】
制御装置6は、推論装置による推論の結果に基づいて、空気調和機2を制御する。制御装置6は、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施すると推論されたときには、空気調和機2の設定温度を第1の設定温度に戻す。
【0162】
推論用データ生成部77は、空気調和機2の設定温度の変更操作に基づいて、推論用データを生成する。推論用データ生成部77は、推論用データから要因データを生成する。
【0163】
データ取得部73は、要因データである利用者の第1の時刻における位置と第2の時刻における位置とを取得する。
【0164】
推論部74は、利用者の第1の時刻における位置と、第2の時刻における位置とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論するモデルを用いて、データ取得部73によって取得された利用者の第1の時刻における位置と第2の時刻における位置とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0165】
より具体的には、データ取得部73は、要因データX1~X9を取得する。
【0166】
推論部74は、学習済みモデル記憶装置75に記憶されている学習済みモデルと、データ取得部73によって取得された要因データX1~X9とを用いて、予測データZを出力する。要因データX1~X9は、モデルの入力ユニットに入力されるデータである。予測データZは、モデルの出力ユニットから出力されるデータである。すなわち、この学習済みモデルにデータ取得部73で取得した要因データX1~X9を入力することによって、要因データX1~X9から推論される設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを出力することができる。要因データX1~X9は、
図27に示すものと同様である。
【0167】
次に、推論用データ生成部77による設定温度変更操作データおよび予測時点の状態データを含む推論用データを作成する方法を説明する。
【0168】
推論用データ生成部77は、設定温度の変更操作が行われたときに設定温度変更操作データを生成する。推論用データ生成部77は、設定温度の戻し操作がなされるか否かを予測する時点(予測時点)の室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす予測時点の状態データを生成する。
【0169】
図35は、実施の形態3の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【0170】
このデータは、「Aさん」が「8:50」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:50」における気温が「23℃」である。「8:50」における「Aさん」の位置が「自席」である。設定温度の変更は、「27℃」から「26℃」である。
【0171】
図36は、実施の形態3の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【0172】
このデータは、「Aさん」が設定温度の変更操作を実行した対象人物であり、予測時点が「9:00」であり、予測時点における気温が「25℃」であり、予測時点における「Aさん」の位置が「自席」であることを示す。
【0173】
図37は、実施の形態3の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【0174】
図37の要因データX1~X9は、
図35の設定温度変更操作データDVと
図36の予測時点の状態データDKから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDVから作成される。X7~X9は、予測時点の状態データDKの時刻(9:00)、気温(25℃)、「9:00」における対象人物「Aさん」の位置(自席)から作成される。
【0175】
データ取得部73は、
図37の要因データX1~X9を取得する。推論部74は、
図37の要因データX1~X9を学習済みのニューラルネットワークに入力することによって、設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを得る。
【0176】
実施の形態4.
<学習フェーズ>
データ取得部71は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施したグループの第1の時刻における活動と、第1の時刻以降の第2の時刻におけるグループの活動とを含む入力データと、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わす教師データとを含む学習用データを取得する。
【0177】
スケジューラといった公知の技術を利用して、グループ及び活動データを取得することができる。
【0178】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、グループの第1の時刻における活動と、第2の時刻における活動とを含む入力データから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0179】
より具体的には、データ取得部71は、入力データと教師データとからなる学習用データを取得する。学習用データは、要因データX1~X9および教師データZを互いに関連付けたデータである。
【0180】
図38は、実施の形態4の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【0181】
入力データは、要因データX1~X9を含む。要因データX1は、設定温度の変更操作を実施しグループLである。要因データX2は、設定温度変更時の時刻t0(第1の時刻)である。要因データX3は、時刻t0の気温である。要因データX4は、時刻t0におけるグループLの活動である。要因データX5は、時刻t0における変更操作前の設定温度(Tb)(第1の温度)である。要因データX6は、時刻t0における変更操作後の設定温度(Ta)(第2の温度)である。要因データX7は、時刻t0以降の時刻t1(第2の時刻)である。要因データX8は、時刻t1の気温である。要因データX9は、時刻t1におけるグループLの活動である。教師データ(正解データ)Zは、時刻t1において利用者Sが設定温度をTaからTbに戻す操作を実施するか否かを表わすデータである。
【0182】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、要因データX1~X9を含む入力データから第2の時刻(t1)において利用者が第2の温度(Ta)から第1の温度(Tb)に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0183】
モデル生成部72は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習によって、学習済みモデルを生成する。実施の形態3では、入力層に入力されるデータはX1~X9であり、出力層から出力されるデータはZである。
【0184】
次に、学習用データ生成部76による学習用データを作成する方法を説明する。
【0185】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データを生成する。
【0186】
図39は、実施の形態4の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【0187】
設定温度変更操作データは、グループLと、時刻と、気温と、グループLの活動と、変更操作前の設定温度と、変更操作後の設定温度とを含む。グループLは、設定温度変更操作を行ったグループを表わす。時刻は、グループLによる設定温度変更操作が行われた時刻を表わす。気温は、グループLによる設定温度変更操作が行われた時刻における気温を表わす。グループLの活動は、設定温度変更操作を行ったグループの活動を表わす。変更操作前の設定温度は、グループLによる設定温度変更操作前の設定温度を表わす。変更操作後の設定温度は、グループLによる設定温度変更操作後の設定温度を表わす。
【0188】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データが作成された後に、その設定温度変更操作データと関連する中途データを作成する。
【0189】
中途データは、設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行ったグループの状態を表わす。
【0190】
図40は、実施の形態4の中途データの構成を表わす図である。
【0191】
中途データは、グループLと、時刻と、気温と、グループLの活動とを含む。グループLは、設定温度変更操作を行ったグループを表わす。時刻は、グループLによる設定温度変更操作が行われた時刻よりも前の時刻txを表わす。気温は、時刻txにおける気温を表わす。グループLの活動は、時刻txにおけるグループLの活動を表わす。
【0192】
図41(a)は、実施の形態4の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。
【0193】
このデータは、「1年2組」が「8:45」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:45」における気温が「22℃」である。「8:45」における「1年2組」の活動が「体育」である。設定温度の変更は、「28℃」から「25℃」である。
【0194】
図40(b)は、実施の形態4の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。
【0195】
このデータは、「1年2組」が「9:15」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「9:15」における気温が「25℃」である。「9:15」における「1年2組」の活動が「音楽」である。設定温度の変更は、「25℃」から「28℃」である。
【0196】
図41(c)は、実施の形態4の中途データDM1を表わす図である。
【0197】
中途データDM1は、設定温度変更操作データDV2が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV2における設定温度変更操作がなされるまでの状態、および設定温度変更操作を行ったグループの状態を表わす。
【0198】
このデータは、「9:15」よりも前の時刻である「9:00」における気温が「24℃」であり、「9:00」における「グループL」の活動が「体育」であることを示す。
【0199】
図41(d)は、実施の形態4の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。
【0200】
このデータは、「グループL」が「12:25」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「12:25」における気温が「29℃」である。「12:25」における「グループL」の活動が「国語」である。設定温度の変更は、「28℃」から「26℃」である。
【0201】
図41(e)は、実施の形態4の中途データDM2を表わす図である。
【0202】
中途データDM2は、設定温度変更操作データDV3が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV3における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0203】
このデータは、「12:25」よりも前の時刻である「11:00」における気温が「28℃」であり、「11:00」における「グループL」の活動が「理科」であることを示す。
【0204】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データおよび中途データに基づいて、学習用データを生成する。
【0205】
図42~
図45は、実施の形態4の学習用データの例を表わす図である。
【0206】
図42の学習用データは、
図41(a)の設定温度変更操作データDV1と
図41(b)の設定温度変更操作データDV2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV2の時刻(9:15)、気温(25℃)、グループLの活動(音楽)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV1の変更操作前の設定温度(28℃)、設定温度変更操作データDV2の変更操作後の設定温度(28℃)から作成される。設定温度を元に戻す操作がなされているので、Zは、「設定温度の戻し操作あり」に設定される。
【0207】
図43の学習用データは、
図41(a)の設定温度変更操作データDV1と
図41(c)の中途データDM1とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、中途データDM1の時刻(9:00)、気温(24℃)、グループLの活動(音楽)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0208】
図44の学習用データは、
図41(b)の設定温度変更操作データDV2と
図41(d)の設定温度変更操作データDV3とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV3の時刻(12:25)、気温(29℃)、グループLの活動(国語)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV2の変更操作前の設定温度(25℃)および設定温度変更操作データDV3の変更操作後の設定温度(26℃)から作成される。設定温度を元に戻す操作がなされていないので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0209】
図45の学習用データは、
図41(b)の設定温度変更操作データDV2と
図41(e)の中途データDM2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、中途データDM2の時刻(11:00)、気温(28℃)、利用者Sの位置(応接席)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0210】
データ取得部71は、
図42~
図45の学習用データ、およびこれらと同等のデータを取得する。モデル生成部72は、
図42~
図45の学習用データ、およびこれらと同等のデータを用いて、学習済みモデルを生成する。
【0211】
<活用フェーズ>
推論装置1は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施したグループの第1の時刻におけるグループと、第1の時刻以降の第2の時刻におけるグループの活動とに基づいて、第2の時刻においてグループが第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0212】
制御装置6は、推論装置による推論の結果に基づいて、空気調和機2を制御する。制御装置6は、第2の時刻においてグループが第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施すると推論されたときには、空気調和機2の設定温度を第1の設定温度に戻す。
【0213】
推論用データ生成部77は、空気調和機2の設定温度の変更操作に基づいて、推論用データを生成する。推論用データ生成部77は、推論用データから要因データを生成する。
【0214】
データ取得部73は、要因データである利用者の第1の時刻における位置と第2の時刻における位置とを取得する。
【0215】
推論部74は、グループの第1の時刻における活動と、第2の時刻における活動とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論するモデルを用いて、データ取得部73によって取得されたグループの第1の時刻における活動と第2の時刻における活動とから第2の時刻においてグループが第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0216】
より具体的には、データ取得部73は、要因データX1~X9を取得する。
【0217】
推論部74は、学習済みモデル記憶装置75に記憶されている学習済みモデルと、データ取得部73によって取得された要因データX1~X9とを用いて、予測データZを出力する。要因データX1~X9は、モデルの入力ユニットに入力されるデータである。予測データZは、モデルの出力ユニットから出力されるデータである。すなわち、この学習済みモデルにデータ取得部73で取得した要因データX1~X9を入力することによって、要因データX1~X9から推論される設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを出力することができる。要因データX1~X9は、
図27に示すものと同様である。
【0218】
次に、推論用データ生成部77による設定温度変更操作データおよび予測時点の状態データを含む推論用データを作成する方法を説明する。
【0219】
推論用データ生成部77は、設定温度の変更操作が行われたときに設定温度変更操作データを生成する。推論用データ生成部77は、設定温度の戻し操作がなされるか否かを予測する時点(予測時点)の室内の状態、および設定温度変更操作を行ったグループの状態を表わす予測時点の状態データを生成する。
【0220】
図46は、実施の形態4の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【0221】
このデータは、「1年2組」が「8:50」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:50」における気温が「23℃」である。「8:50」における「1年2組」の活動が「音楽」である。設定温度の変更は、「27℃」から「26℃」である。
【0222】
図47は、実施の形態4の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【0223】
このデータは、「1年2組」が設定温度の変更操作を実行した対象人物であり、予測時点が「9:00」であり、予測時点における気温が「25℃」であり、予測時点における「1年2組」の活動が「理科」であることを示す。
【0224】
図48は、実施の形態4の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【0225】
図48の要因データX1~X9は、
図46の設定温度変更操作データDVと
図47の予測時点の状態データDKから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDVから作成される。X7~X9は、予測時点の状態データDKの時刻(9:00)、気温(25℃)、「9:00」における「1年2組」の活動(理科)から作成される。
【0226】
データ取得部73は、
図48の要因データX1~X9を取得する。推論部74は、
図48の要因データX1~X9を学習済みのニューラルネットワークに入力することによって、設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを得る。
【0227】
実施の形態5.
<学習フェーズ>
データ取得部71は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における空気調和機が設置された第1の部屋における存否と、第1の時刻以降の第2の時刻における第1の部屋における存否とを含む入力データと、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わす教師データとを含む学習用データを取得する。
【0228】
入退室管理システムのような公知の技術を利用して、存否データを取得することができる。
【0229】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、利用者の第1の時刻における第1の部屋における存否と、第2の時刻における第1の部屋における存否とを含む入力データから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0230】
より具体的には、データ取得部71は、入力データと教師データとからなる学習用データを取得する。学習用データは、要因データX1~X9および教師データZを互いに関連付けたデータである。
【0231】
図49は、実施の形態5の入力データと、教師データ(予測データ)とを表わす図である。
【0232】
入力データは、要因データX1~X9を含む。要因データX1は、設定温度の変更操作を実施した利用者Sである。要因データX2は、設定温度変更時の時刻t0(第1の時刻)である。要因データX3は、時刻t0の気温である。要因データX4は、時刻t0における利用者の空気調和機2が設置された第1の部屋における存否である。要因データX5は、時刻t0における変更操作前の設定温度(Tb)(第1の温度)である。要因データX6は、時刻t0における変更操作後の設定温度(Ta)(第2の温度)である。要因データX7は、時刻t0以降の時刻t1(第2の時刻)である。要因データX8は、時刻t1の気温である。要因データX9は、時刻t1における空気調和機2が設置された第1の部屋における存否である。教師データ(正解データ)Zは、時刻t1において利用者Sが設定温度をTaからTbに戻す操作を実施するか否かを表わすデータである。
【0233】
モデル生成部72は、学習用データを用いて、要因データX1~X9を含む入力データから第2の時刻(t1)において利用者が第2の温度(Ta)から第1の温度(Tb)に設定温度を戻す操作を実施するか否かを表わすデータを推論するための学習済みモデルを生成する。
【0234】
モデル生成部72は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習によって、学習済みモデルを生成する。実施の形態5では、入力層に入力されるデータはX1~X9であり、出力層から出力されるデータはZである。
【0235】
次に、学習用データ生成部76による学習用データを作成する方法を説明する。
【0236】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データを生成する。
【0237】
図50は、実施の形態5の設定温度変更操作データの構成を表わす図である。
【0238】
設定温度変更操作データは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの空気調和機が設置された第1の部屋における存否と、変更操作前の設定温度と、変更操作後の設定温度とを含む。利用者Sは、設定温度変更操作を行った人物を表わす。時刻は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻を表わす。気温は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻における気温を表わす。利用者Sの空気調和機が設置された第1の部屋における存否は、設定温度変更操作を行った人物の設定温度変更操作を行なった時刻における第1の部屋における存否を表わす。変更操作前の設定温度は、利用者Sによる設定温度変更操作前の設定温度を表わす。変更操作後の設定温度は、利用者Sによる設定温度変更操作後の設定温度を表わす。
【0239】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データが作成された後に、その設定温度変更操作データと関連する中途データを作成する。
【0240】
中途データは、設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0241】
図51は、実施の形態5の中途データの構成を表わす図である。
【0242】
中途データは、利用者Sと、時刻と、気温と、利用者Sの空気調和機が設置された第1の部屋における存否とを含む。利用者Sは、設定温度変更操作を行った人物を表わす。時刻は、利用者Sによる設定温度変更操作が行われた時刻よりも前の時刻txを表わす。気温は、時刻txにおける気温を表わす。利用者Sの空気調和機が設置された第1の部屋における存否は、時刻txにおける利用者Sの第1の部屋における存否を表わす。
【0243】
図52(a)は、実施の形態5の設定温度変更操作データDV1を表わす図である。
【0244】
このデータは、「Aさん」が「8:45」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:45」における気温が「22℃」である。「8:45」における「Aさん」が「在室」である。設定温度の変更は、「28℃」から「25℃」である。
【0245】
図52(b)は、実施の形態5の設定温度変更操作データDV2を表わす図である。
【0246】
このデータは、「Aさん」が「9:15」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「9:15」における気温が「25℃」である。「9:15」における「Aさん」が「在室」である。設定温度の変更は、「25℃」から「28℃」である。
【0247】
図52(c)は、実施の形態5の中途データDM1を表わす図である。
【0248】
中途データDM1は、設定温度変更操作データDV2が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV2における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0249】
このデータは、「9:15」よりも前の時刻である「9:00」における気温が「24℃」であり、「9:00」における「Aさん」が「不在」であることを示す。
【0250】
図52(d)は、実施の形態5の設定温度変更操作データDV3を表わす図である。
【0251】
このデータは、「Aさん」が「12:25」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「12:25」における気温が「29℃」である。「12:25」における「Aさん」が「在室」である。設定温度の変更は、「28℃」から「26℃」である。
【0252】
図52(e)は、実施の形態5の中途データDM2を表わす図である。
【0253】
中途データDM2は、設定温度変更操作データDV3が作成された後に作成され、設定温度変更操作データDV3における設定温度変更操作がなされるまでの室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす。
【0254】
このデータは、「12:25」よりも前の時刻である「11:00」における気温が「28℃」であり、「11:00」における「Aさん」が「不在」であることを示す。
【0255】
学習用データ生成部76は、設定温度変更操作データおよび中途データに基づいて、学習用データを生成する。
【0256】
図53~
図56は、実施の形態5の学習用データの例を表わす図である。
【0257】
図53の学習用データは、
図52(a)の設定温度変更操作データDV1と
図52(b)の設定温度変更操作データDV2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV2の時刻(9:15)、気温(25℃)、利用者Sの存否(在室)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV1の変更操作前の設定温度(28℃)、設定温度変更操作データDV2の変更操作後の設定温度(28℃)から作成される。設定温度を元に戻す操作がなされているので、Zは、「設定温度の戻し操作あり」に設定される。
【0258】
図54の学習用データは、
図52(a)の設定温度変更操作データDV1と
図52(c)の中途データDM1とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV1から作成される。X7~X9は、中途データDM1の時刻(9:00)、気温(24℃)、利用者Sの存否(不在)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0259】
図55の学習用データは、
図52(b)の設定温度変更操作データDV2と
図52(d)の設定温度変更操作データDV3とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、設定温度変更操作データDV3の時刻(12:25)、気温(29℃)、利用者Sの存否(在室)から作成される。Zは、設定温度変更操作データDV2の変更操作前の設定温度(25℃)および設定温度変更操作データDV3の変更操作後の設定温度(26℃)から作成される。設定温度を元に戻す操作がなされていないので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0260】
図56の学習用データは、
図52(b)の設定温度変更操作データDV2と
図52(e)の中途データDM2とから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDV2から作成される。X7~X9は、中途データDM2の時刻(11:00)、気温(28℃)、利用者Sの存否(不在)から作成される。中途データは、設定温度の変更がなされていない時刻におけるデータなので、Zは、「設定温度の戻し操作なし」に設定される。
【0261】
データ取得部71は、
図53~
図56の学習用データ、およびこれらと同等のデータを取得する。モデル生成部72は、
図53~
図56の学習用データ、およびこれらと同等のデータを用いて、学習済みモデルを生成する。
【0262】
<活用フェーズ>
推論装置1は、第1の時刻において第1の温度から第2の温度に空気調和機の設定温度変更操作を実施した利用者の第1の時刻における空気調和機が設置された第1の部屋における存否と、第1の時刻以降の第2の時刻における利用者の第1の部屋における存否とに基づいて、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0263】
制御装置6は、推論装置による推論の結果に基づいて、空気調和機2を制御する。制御装置6は、第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施すると推論されたときには、空気調和機2の設定温度を第1の設定温度に戻す。
【0264】
推論用データ生成部77は、空気調和機2の設定温度の変更操作に基づいて、推論用データを生成する。推論用データ生成部77は、推論用データから要因データを生成する。
【0265】
データ取得部73は、要因データである利用者の第1の時刻における第1の部屋(空気調和機が設置された部屋)における存否と第2の時刻における第1の部屋における存否とを取得する。
【0266】
推論部74は、利用者の第1の時刻における第1の部屋における存否と、第2の時刻における第1の部屋における存否とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論するモデルを用いて、データ取得部73によって取得された利用者の第1の時刻における第1の部屋における存否と第2の時刻における第1の部屋における存否とから第2の時刻において利用者が第2の温度から第1の温度に設定温度を戻す操作を実施するか否かを推論する。
【0267】
より具体的には、データ取得部73は、要因データX1~X9を取得する。
【0268】
推論部74は、学習済みモデル記憶装置75に記憶されている学習済みモデルと、データ取得部73によって取得された要因データX1~X9とを用いて、予測データZを出力する。要因データX1~X9は、モデルの入力ユニットに入力されるデータである。予測データZは、モデルの出力ユニットから出力されるデータである。すなわち、この学習済みモデルにデータ取得部73で取得した要因データX1~X9を入力することによって、要因データX1~X9から推論される設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを出力することができる。要因データX1~X9は、
図49に示すものと同様である。
【0269】
次に、推論用データ生成部77による設定温度変更操作データおよび予測時点の状態データを含む推論用データを作成する方法を説明する。
【0270】
推論用データ生成部77は、設定温度の変更操作が行われたときに設定温度変更操作データを生成する。推論用データ生成部77は、設定温度の戻し操作がなされるか否かを予測する時点(予測時点)の室内の状態、および設定温度変更操作を行った人物の状態を表わす予測時点の状態データを生成する。
【0271】
図57は、実施の形態5の設定温度変更操作データDVを表わす図である。
【0272】
このデータは、「Aさん」が「8:50」に設定温度の変更操作を実行したときに作成される。「8:50」における気温が「23℃」である。「8:50」における「Aさん」が空気調和機が設置された部屋に「在室」である。設定温度の変更は、「27℃」から「26℃」である。
【0273】
図58は、実施の形態5の予測時点の状態データDKを表わす図である。
【0274】
このデータは、「Aさん」が設定温度の変更操作を実行した対象人物であり、予測時点が「9:00」であり、予測時点における気温が「25℃」であり、予測時点における「Aさん」が空気調和機が設置された部屋に「不在」であることを示す。
【0275】
図59は、実施の形態5の推論装置1に入力される要因データX1~X9の例を表わす図である。
【0276】
図59の要因データX1~X9は、
図57の設定温度変更操作データDVと
図58の予測時点の状態データDKから作成される。すなわち、X1~X6は、設定温度変更操作データDVから作成される。X7~X9は、予測時点の状態データDKの時刻(9:00)、気温(25℃)、「9:00」における「Aさん」の存否(不在)から作成される。
【0277】
データ取得部73は、
図59の要因データX1~X9を取得する。推論部74は、
図59の要因データX1~X9を学習済みのニューラルネットワークに入力することによって、設定温度の戻し操作の有無を表わすデータZを得る。
【0278】
変形例.
以下のような変形例が想定される。
【0279】
(1)学習装置7及び推論装置1は、空気調和システム10の内部に設けられるものとしたが、これに限定されるものではない。学習装置7および推論装置1は、空気調和システム10の外部に設けられ、空気調和システム10の通信装置8を通じて、空気調和システム10と接続されるものとしてもよい。学習装置7及び推論装置1は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
【0280】
(2)本実施の形態では、ある空気調和システムAの学習装置において生成された学習済みモデルを同一の空気調和システムAの推論装置が用いたが、これに限定されるものではない。空気調和システムAの学習装置において生成された学習済みモデルを別の空気調和システムBの推論装置が用いてもよい。
【0281】
(3)学習装置は、複数の空気調和システにおいて作成される学習用データを用いてもよい。学習装置は、同一のエリアで使用される複数の空気調和システムから学習用データを取得してもよいし、異なるエリアで独立して動作する複数の空気調和システムから収集される学習用データを取得してもよい。
【0282】
(4)モデル生成部に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
【0283】
(5)実施の形態1で説明した推論装置1、学習装置7、および制御装置6は、相当する動作をデジタル回路のハードウェアまたはソフトウェアで構成することができる。推論装置1、学習装置7、および制御装置6の機能をソフトウェアを用いて実現する場合には、推論装置1、学習装置7、および制御装置6は、例えば、
図60に示すように、バス5003によって接続されたプロセッサ5002とメモリ5001とを備え、メモリ5001に記憶されたプログラムをプロセッサ5002が実行するようにすることができる。
【0284】
(6)上記の実施形態では、推論装置は、学習済みモデルを用いて、データ取得部が取得した入力データから設定温度の戻し操作の有無、あるいは所望の設定温度を表わすデータを入力するものとしたが、これに限定するものではない。
【0285】
たとえば、推論装置は、ルールベース推論、または事例ベース推論に基づいて、データ取得部が取得した入力データから設定温度の戻し操作の有無、あるいは所望の設定温度を表わすデータを出力するものとしてもよい。
【0286】
室温センサ3は、温湿度センサでもよい。この場合には、入力Xとして、温度に加えて湿度データも入力してよい。
【0287】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0288】
1 推論装置、2 空気調和機、3 室温センサ、4 体表面温度センサ、5 生体認証センサ、6 制御装置、7 学習装置、8 通信装置、9 入力装置、10 空気調和システム、71,73 データ取得部、72 モデル生成部、74 推論部、75 学習済みモデル記憶装置、76 学習用データ生成部、77 推論用データ生成部、5001 メモリ、5002 プロセッサ、5003 バス。