(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】レーザダイオードアセンブリ、照明ユニットおよびレーザ投影装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/42 20060101AFI20241011BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20241011BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241011BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20241011BHJP
F21V 9/14 20060101ALI20241011BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20241011BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241011BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20241011BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241011BHJP
【FI】
H01S5/42
H01S5/02253
F21V23/00 140
F21V23/00 160
F21V23/00 200
F21V5/00 510
F21V9/14
F21V9/32
G03B21/14 A
F21Y105:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2023544085
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2022052737
(87)【国際公開番号】W WO2022167594
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】102021102799.3
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーグハイマー ティルマン
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159599(JP,A)
【文献】特開平08-181391(JP,A)
【文献】特開2018-124445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0301265(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ投影装置用レーザダイオードアセンブリ(1)であって、
キャリア(9)と、
前記キャリア(9)上に配置され、複数の第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)を備えた第1照明群(3)と複数の第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)を備えた第2照明群(5)とを含むレーザダイオードアレイ(2)と、を備え、
前記第1照明群(3)は、第1偏光方向(12)の、直線に偏光された、偏光電磁放射線を放出し、前記第2照明群(5)は、第2偏光方向(13)の、直線に偏光された、偏光電磁放射線を放出し、前記第1偏光方向(12)と前記第2偏光方向(13)とは互いに直交している、レーザダイオードアセンブリ(1)において、
前記第1照明群(3)が、少なくとも1つの第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)を収容する少なくとも1つの第1レーザハウジング(14)を含み、前記第2照明群(
5)が、少なくとも1つの第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)を収容する少なくとも1つの第2レーザハウジング(15)を含み、
前記レーザダイオードアレイ(2)の第1レーザダイオード数(N)が第2レーザダイオード数(M)の少なくとも2倍に相当し、前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)および前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)は一致する最大
光出力電力を有し、
前記キャリア(9)上に前記レーザダイオードアレイ(2)のための電気配線(16)が、前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)における電流強度が連続的に且つ前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)の電流供給から独立して調整可能であるように敷設されている、レーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記レーザダイオードアレイ(2)の前記第1レーザダイオード数(
N)が、前記第2レーザダイオード数(
M)の5倍以下に相当する、請求項1に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)および前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)の構造が等しく、前記第1レーザハウジング(14)および前記第2レーザハウジング(15)が一致するように形成されていて、前記偏光方向(12、13)を定めるそれぞれ1つのハウジング軸(18)があり、前記第1照明群(3)に割り当てられた前記第1レーザハウジング(14)が、前記第1レーザハウジング(14)のハウジング軸(18)が前記第2照明群(5)のための前記第2レーザハウジング(15)のハウジング軸(18)に対して直交するように前記キャリア(9)上に配置されている、請求項1または2に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)および前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)が異なる構造を有し、および/または前記第1レーザハウジング(14)および前記第2レーザハウジング(15)が異なるように形成されている、請求項1または2に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第1レーザハウジング(14)が個々の第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)を収容し、および/または前記第2レーザハウジング(15)が個々の第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)を収容する、請求項1~4の何れか一項に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1レーザハウジング(14)が、構造が等しい複数の第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)を収容し、および/または前記第2レーザハウジング(15)が、構造が等しい複数の第2レーザダイオード(6.1、…、6.m)を収容する、請求項1~4の何れか一項に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項7】
レーザハウジング(14、15)に1つまたは複数のマイクロレンズ(8)がそれぞれ割り当てられている、請求項1~6の何れか一項に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項8】
共通のキャリア(9)に対して固定式のマイクロレンズアレイ(35)があり、前記マイクロレンズアレイ(35)が前記レーザダイオードアレイ(2)全体を覆っている、請求項1~6の何れか一項に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項9】
電気接触のための電極アセンブリ(17)があり、前記電極アセンブリ(17)がそれぞれの前記レーザハウジング(14、15)から延出している、請求項1~8の何れか一項に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のレーザダイオードアセンブリ(1)、
偏光ビームスプリッタ(19)、
波長変換素子(20)、および
オーバレイ光学系(21)を含む照明ユニットにおいて、
前記偏光ビームスプリッタ(19)が、前記レーザダイオードアセンブリ(1)から出ているビーム経路内に配置され、前記第1照明群(3)から放出した、前記第1偏光方向(12)の前記偏光電磁放射線が前記波長変換素子(20)につながるビーム経路(30)内へ偏向され且つ前記第2照明群(5)から放出した、前記第2偏光方向(13)の前記偏光電磁放射線が青チャネル(31)内へ供給されるように形成されており、および
前記オーバレイ光学系(21)が、前記波長変換素子(20)から放出した蛍光ビーム(27)と、前記青チャネル(31)からのビームとを照明ビーム経路(32)内へまとめる、照明ユニット。
【請求項11】
撮像システムと、撮像システム(26)を照明するための請求項10に記載の照明ユニット(24)とを備えたレーザ投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その公開内容を参照によって本願明細書に組み込んだものとする、2021年2月5日の特許文献1の優先権を請求している。
【0002】
本発明は、レーザダイオードアセンブリ、これを含む照明ユニットおよびこの照明ユニットを備えたレーザ投影装置に関する。
【背景技術】
【0003】
投影装置、例えばマイクロミラーデバイス(DMD)または液晶プレート内で撮像システムを照明する半導体光源の使用は公知である。放電ランプを備えた大規模構造の照明モジュールに比べて、半導体光源は照明用のコンパクトな構造群を可能にする。LED(LED=発光ダイオード)以外に半導体光源としてレーザダイオードアレイが使用され、レーザダイオードアレイは、改善された有効寿命、良好なエネルギー効率および高いスペクトル安定性を特徴としていて、このことから、色飽和が改善された強発光レーザ投影装置が実現可能である。
【0004】
特に映画館や高価値の家庭用映写機、およびスマートフォン用小型化プロジェクタの専門的なレーザ投影装置において、可視スペクトルを広範にカバーするために、青色、緑色または赤色発光の光源ユニットが別々に設けられ、それらは通常空間的に分離して配置されてあり、それらの発光がビーム結合光学系を用いてまとめられる。これに関しては、例えば特許文献2を参照されたい。
【0005】
可視スペクトルの青色、緑色および赤色部分で発光するレーザダイオードは、到達可能な発光効率に関する現在の開発状態に応じて区別され、可視スペクトルの緑色-黄色部分に発光極大を有するInGaN半導体ベースのレーザダイオードは、青色発光のものより低い電流密度に適合する。さらに赤色光用レーザダイオードには、それより短い波長のレーザダイオードに比べてより高い熱安定性が要求される。このことから、単色光源を備えたレーザプロジェクタ用光生成装置は、大部分がより経済的である。レーザプロジェクタ用光生成装置は、通常高出力の青色発光レーザダイオードを用い、このダイオードは、青チャネルを供給し、さらに、緑色および赤色領域の電磁放射線を供給する波長変換素子を励起するために使用される。この種のレーザ投影装置には、例えばリン系の、スペクトルが異なる蛍光物質を励起する青色レーザダイオードが用いられる。分光色を連続生成するために、波長変換素子として蛍光被膜した回転部材を使用できる。そのような色環は、例えば特許文献3により開示されている。
【0006】
特許文献4は、異なるスペクトル領域に割り当てられている2つの固定式の、空間的に分離した波長変換素子を備えたレーザ投影装置用の照明アセンブリを記載している。このことから、別のビーム経路に重ねられる緑色と赤色の同時のビーム発光が可能となる。両波長変換素子を励起するために、発光電磁放射線の偏光方向および/またはスペクトル帯に関して区別される2つのレーザダイオード型が交互に配置されたレーザダイオードアレイが用いられる。ビーム経路内のレーザダイオードアレイと波長変換素子との間に配置されたビームスプリッタ光学系は、発光特徴のこの違いを利用し、そのことから第1レーザダイオード型からのビームは第1波長変換素子へのみ送られ、第2レーザダイオード型からのビームは第2波長変換素子へのみ送られる。照明の青色部分に関しては、特許文献4が好ましい形態を提案していて、これは、ビーム経路内の波長変換素子の後方にコリメートレンズ系を用いて結合された第3の単独光源を使用するものである。ビームガイドに必要な光学系によって、複合且つ大規模構造の照明アセンブリが生じる。
【0007】
特許文献5は、青色発光レーザダイオードアレイと蛍光ビームを放出する波長変換素子とを備えた照明ユニットを記載している。レーザダイオードアレイから始まるビーム経路内に、偏光ビームスプリッタが設けられ、偏光ビームスプリッタは、ビームの一部を、青チャネルを作るためにディフューザへ向けさせ、残りの部分を波長変換素子へ供給する。レーザダイオードアレイが直線偏光ビームを放出するので、ビーム経路内の偏光ビームスプリッタの前方に、ビームの一部に関して偏光方向を90°だけ回転させる偏光素子が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願第102021102799.3号
【文献】米国特許出願公開第2020/0301265A1号
【文献】独国特許出願公開第102010003234A1号
【文献】独国特許出願公告第112013004405B4号
【文献】米国特許出願公開第20190068936A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、レーザ投影装置の照明ユニット内へビームを案内する光学系を簡素化できるようにするレーザダイオードアセンブリを提供することである。レーザダイオードアセンブリは、さらに、異なる照明ユニットへの適合性を改善させる。波長変換素子とレーザダイオードアセンブリとを備えた照明ユニットと、照明ユニットを収容し、そのビームガイド用の光学成分が小型構造に仕上げられるレーザ投影装置とがさらに挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴によって実現される。レーザダイオードアセンブリの有利な態様は従属請求項の対象であり、請求項10および請求項11は、レーザダイオードアセンブリを含む照明ユニットおよびレーザ投影装置に関する。
【0011】
本発明の出発点は、キャリアと、キャリア上に配置されたレーザダイオードアレイとを備えたレーザダイオードアセンブリである。レーザダイオードアレイは、複数の第1レーザダイオードを含む第1照明群と、複数の第2レーザダイオードを含む第2照明群とを含み、第1照明群は第1偏光方向の、直線に偏光された、偏光電磁放射線を、第2照明群は第2偏光方向の、直線に偏光された、偏光電磁放射線を放出し、第1偏光方向と第2偏光方向は互いに直交している。したがってレーザダイオードアセンブリは、放射線を青チャネルと波長変換素子用の励起チャネルに分割する偏光ビームスプリッタを備えた照明ユニットへの使用に適している。
【0012】
これに加えて、本発明のレーザダイオードアセンブリは、放射線を受け入れる照明ユニット内に受け入れのための追加の光学系を設ける必要なく、青チャネルと励起チャネルとの間の出力の重み付けを適合できるように設計されている。そのために、第1照明群は、少なくとも1つの第1レーザダイオードを収容する少なくとも1つの第1レーザハウジングを含み、第2照明群は、少なくとも1つの第2レーザダイオードを収容する少なくとも1つの第2レーザハウジングを含む。このモジュール構造から出発して、レーザダイオードアレイの第1レーザダイオード数は、第2レーザダイオード数の少なくとも2倍に相当し、第1レーザダイオードおよび第2レーザダイオードは一致する最大光学出力電力を有する。これは、好ましくはそれぞれ第1および第2レーザダイオードに個々に適用され、第1および第2レーザダイオードのビーム生成下位ユニットを等しく形成することが特に有利である。さらに、本発明のレーザダイオードアセンブリのキャリア上にレーザダイオードアレイのための電気配線が、第1レーザダイオードにおける電流強度が連続的に且つ第2レーザダイオードの電流供給から独立して調整可能であるように敷設されている。
【0013】
出力の等しい第1および第2レーザダイオードと、両偏光方向に関して異なる光源数とを備えたレーザダイオードアレイは、モジュールハウジングコンセプトに関連して製造技術の簡素化をもたらし、それと同時に、照明される青色-および励起チャネルのビーム強度を分割するための基本調整を実現する。その際好ましい一態様では、第1レーザダイオード数が第2レーザダイオード数の5倍以下となる。
【0014】
第1態様は、キャリア上の、異なる方向にビームを生成する一様な部材を出発点とする。したがって第1レーザダイオードおよび第2レーザダイオードは構造が等しく、それに応じて第1レーザハウジングおよび第2レーザハウジングが一致するように形成されており、偏光方向を定めるそれぞれ1つのハウジング軸がある。したがって第1照明群に割り当てられた第1レーザハウジングは、第1レーザハウジングのハウジング軸が第2照明群のための第2レーザハウジングのハウジング軸に対して直交するようにキャリア上に配置され、そのことから偏光方向の直交性が与えられる。
【0015】
有利な第2態様では、第1レーザダイオードと第2レーザダイオードが半導体層の順序または光学構造に関して異なるので、内部形状によって異なる偏光方向の発光ビームが生じる。代替的に、偏光方向は光学系をレーザハウジングへ適合させることで生じ得る。異なるレーザダイオード型を使用することで、キャリア上の、回転しない部材のための配線が簡素化される。
【0016】
レーザハウジングがそれぞれ1つのレーザダイオードを収容する一態様が好ましい。さらに、通常レーザハウジング当たり1つの保護ダイオードがある。さらにレーザハウジングから垂直発光する場合には、構造ユニットの実装を簡素化するために、レーザハウジングに発散レーザビームをコリメートする1つのマイクロレンズがそれぞれ割り当てられる。一変態では、共通のキャリアに対して固定式のマイクロレンズアレイがレーザダイオードアレイ全体を覆っている。それによりレーザダイオードとそれに割り当てられたレーザハウジングは、製造技術的に簡素化して敷設できる。
【0017】
好ましい一代替態様では、1つのレーザハウジングが、有利に構造が等しく仕上げられた複数のレーザダイオードを含む。付属のコリメート光学系は、これも個々のレーザダイオードと結合しているかまたはレーザハウジングと統合するように結合している。有利には、レーザハウジング当たり1つの保護ダイオードがある。
【0018】
レーザダイオードに供給される電流強度を連続して適合させるために、電極はそれぞれのレーザハウジングから延出している。その際、キャリア上の電極に接続する配線は、異なる照明群のレーザダイオードが互いに独立して外部から動作可能であるように形成される。ハウジング当たり複数のレーザダイオードがある場合には、複数のレーザダイオードは、好ましくは一緒に電流供給される。考えられ得る形態では、レーザダイオードアレイのさらなる下位群、例えば同一偏光方向の電磁放射線を放出する、キャリア上のレーザダイオードの行状または列状のアセンブリが1つの照明群内に形成される。
【0019】
本発明の一発展形態では、1つの照明ユニットが前述のレーザダイオードアセンブリを含む。さらに、偏光ビームスプリッタ、波長変換素子およびオーバレイ光学系がある。本発明の照明ユニットでは、偏光ビームスプリッタがレーザダイオードアセンブリから出ているビーム経路内に配置され、第1照明群から放出した、第1偏光方向の偏光電磁放射線が波長変換素子につながるビーム経路内へ偏向され、第2照明群から放出した、第2偏光方向の偏光電磁放射線が青チャネル内へ供給されるように形成される。
【0020】
このとき、第1レーザダイオード数が第2レーザダイオード数に対して少なくとも2倍であり、第1および第2レーザダイオードに対して最大光学出力電力が一致することに基づいて、照明強度を両チャネルへ分配するための基本調整によって、波長変換素子の励起チャネルの基本重み付けがより強く確定される。第1レーザダイオードにおける電流強度を連続的且つ第2レーザダイオードの電流供給から独立して調整可能であるという追加の特徴によって、時間的に可変の電力誘導が可能なままとなり、時間的手段では電力消費がレーザダイオードアレイ内の不均一な温度分布につながらないので、レーザダイオードアセンブリの熱的に安定な運転が簡素化される。温度分布の一様性は、さらにキャリアにより形成される共通の熱経路によって改善され得る。
【0021】
本発明の一発展形態によると、撮像システムと本発明による照明ユニットとを備えたレーザ投影装置が提案される。レーザ投影装置は、特にコンパクトな構造と照明ユニットのために簡素化して形成された光学系とを特徴としている。
【0022】
以下に、本発明の例による態様の変形例を図面に関連付けて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明によるレーザダイオードアセンブリの第1態様の平面図である。
【
図2】
図1の本発明によるレーザダイオードアセンブリの第1態様のレーザダイオードの断面図である。
【
図3】本発明によるレーザダイオードアセンブリの第2態様の光源の断面図である。
【
図4】本発明によるレーザダイオードアセンブリの第2態様の光源の配置の平面図である。
【
図6】本発明によるレーザダイオードアセンブリを含む照明系を備えたレーザ投影装置である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、共通のキャリア9上に配置されたレーザダイオードアレイ2を備えた本発明によるレーザダイオードアセンブリ1を示す。第1、第3、第4および最終行に配置された第1レーザダイオード4.1、…、4.nを含む第1照明群3が見て取れる。第1照明群3は第1偏光方向12の、直線に偏光された、偏光電磁放射線を放出する。このアセンブリの第2および第5行の第2レーザダイオード6.1、…、6.mを含む第2照明群5は、第2偏光方向13の、直線に偏光された、偏光電磁放射線を放出する。第1偏光方向12と第2偏光方向13は互いに直交している。
【0025】
一致する最大光学出力電力を有する第1レーザダイオード4.1、…、4.nおよび第2レーザダイオード6.1、…、6.mが使用されると、レーザダイオードアレイ2の第1レーザダイオード数Nは第2レーザダイオード数Mの少なくとも2倍に相当し、そのことからレーザダイオード6.1、…、4.n;6.1、…、6.mの等しい電流供給に対して、2つの異なる偏光方向12、13の放出に関して非対称のビーム強度が生じる。レーザダイオードアレイ2の第1レーザダイオード数Nが第2レーザダイオード数Mの5倍に限定される場合がさらに有利である。
【0026】
第1レーザハウジング14内でサブマウント10上に配置された第1レーザダイオード4.1の好ましい一態様は、
図2に略断面図で示されている。横方向のビーム放出と、キャリア9の面法線方向の垂直放出を形成するためのミラー11におけるビーム偏向とが示されている。発散レーザビームをコリメートするために、第1レーザハウジング14に結合されたマイクロレンズ8が用いられ、第1偏光方向12の、直線に偏光された、偏光電磁放射線が放出される。第2レーザハウジング15およびその中に収容された第2レーザダイオード6.1、…、6.mは、第1実施例と構造が等しく敷設されており、キャリア9上のアセンブリがハウジング軸18の周りに90°回転するので、第2照明群5の第2偏光方向13は第1偏光方向12に対して直交することになる。
【0027】
レーザダイオードアレイ2の電気配線16は、第1レーザダイオード4.1、…、4.nおよびそれに応じた第2レーザダイオード6.1、…、6.mにおける電流強度が連続的且つそれぞれ互いに独立して調整できるように敷設されている。この目的のために、電極アセンブリ17は、各レーザハウジング14、15から延出している。
【0028】
好ましい第2態様では、レーザダイオードアレイ2が複数の光源を有するモジュールを含む。
図3は、これに関して、それぞれ第1偏光方向12の電磁放射線を放出する、構造が等しい第1レーザダイオード4.3、…、4.6を収容する第1レーザハウジング14を示す。
図4から、第1レーザハウジング14.1、14.2および第2レーザハウジング15.1の内部の構造が異なることが見て取れ、この構造は、第2偏光方向13が第1偏光方向12に直交するように選択されている。コリメートのために、共通のキャリア9に対して固定式に敷設されたマイクロレンズアレイ19が使用され、マイクロレンズアレイ19は、レーザダイオードアレイ2全体を覆っている。
【0029】
両照明群3、5の電流供給を別々に且つ連続的に調整するために、電極アセンブリ17.1、17.2は、
図5に示されているようにそれぞれレーザハウジング14.1、14.2、15.1から延出している。このとき、照明群3、5内の下位群が一緒に動作され得る。さらに保護ダイオード36があり、保護ダイオード36は追加でレーザハウジング14.1、14.2、15.1のそれぞれの内部に収容される。
【0030】
図6に示した発展形態は、照明ユニット24およびそのレーザ投影装置25内への統合に関する。前述の本発明によるレーザダイオードアセンブリ1に追加して照明ユニット24は、偏光ビームスプリッタ19、波長変換素子20およびオーバレイ光学系21を含む。このとき偏光ビームスプリッタ19は、レーザダイオードアセンブリ1から放出した第1偏光方向のビームを、好ましくは回転する波長変換素子20へ偏向し、波長変換素子20は、第1蛍光材料22または第2蛍光材料23を用いて緑色または赤色蛍光ビーム27を放出する。第2偏光方向のビーム部分は、偏光ビームスプリッタ19から青チャネル31内へ供給される。
【0031】
示された変態では、蛍光材料22、23が空間的に互いに分離している。変容した一変態では、蛍光材料が第1蛍光材料22と第2蛍光材料23のように空間的に分離しておらず、変換素子29上に設けられる(示されていない)。別の変容した一変態では、唯一つの広帯域発光蛍光材料が使用される。広帯域発光蛍光材料は、特別に3LCDシステム用に設けられることができ、3LCDシステムでは1つではなく3つの(原色に応じて分けられた)撮像装置が設けられており、連続照明白色光源を用いて照射される。原色のビーム経路は、このとき波長選択光学系、例えばダイクロイックミラーによって分離することができる(示されていない)。
【0032】
蛍光ビーム27および青チャネル31からのビームは、照明ビーム経路32内へまとめられる。照明ユニット24は、その後ビームを、さらに画像投影のために制御装置34に接続された撮像システム26へ渡す。それにより、ビームガイドのための簡素化された光学系と、重み付けが異なる偏光部分を生成する本発明によるレーザダイオードアセンブリ1を含むコンパクトな照明ユニット24とを備えたレーザ投影装置25が生じる。
【符号の説明】
【0033】
1 レーザダイオードアセンブリ
2 レーザダイオードアレイ
3 第1照明群
4.1、4.2、…、4.n 第1レーザダイオード
5 第2照明群
6.1、6.2、…、6.m 第2レーザダイオード
7 ハウジング
8 マイクロレンズ
9 キャリア
10 サブマウント
11 ミラー
12 第1偏光方向
13 第2偏光方向
14、14.1、14.2 第1レーザハウジング
15、15.1 第2レーザハウジング
16 電気配線
17、17.1、17.2 電極アセンブリ
18 ハウジング軸
19 偏光ビームスプリッタ
20 波長変換素子
21 オーバレイ光学系
22 第1蛍光材料
23 第2蛍光材料
24 照明ユニット
25 レーザ投影装置
26 撮像システム
27 蛍光ビーム
28 照明ユニット
29 波長変換素子
30 波長変換素子へつながるビーム経路
31 青チャネル
32 照明ビーム経路
34 制御装置
35 マイクロレンズアレイ
36 保護ダイオード
N 第1レーザダイオード数
M 第2レーザダイオード数