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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/175 20200101AFI20241011BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20241011BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20241011BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20241011BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20241011BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241011BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241011BHJP
【FI】
H05B47/175
H05B47/11
H05B45/10
F21V9/40 400
F21V23/04 500
F21S2/00 350
F21S2/00 330
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023576708
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047413
(87)【国際公開番号】W WO2023145333
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2022011280
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 和範
(72)【発明者】
【氏名】若菜 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴之
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227058(JP,A)
【文献】特開2013-41132(JP,A)
【文献】国際公開第2022/180985(WO,A1)
【文献】特開平2-65001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
F21S 2/00
F21V 9/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から照射される光の配光角を制御する調光装置と、
前記光源及び前記調光装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
配光角指令値に基づき算出される照射面積と所定の基準照射面積に対する照射面積比率との対応関係を示す情報を保持する記憶部と、
前記情報に基づき、前記光源の発光強度を生成する発光強度生成部と、
前記発光強度に基づき、前記光源を駆動する駆動部と、
を備える、
照明装置。
【請求項2】
前記発光強度生成部は、
前記情報に基づき、所定の基準配光角における基準発光強度に対する発光強度倍率を生成する発光強度倍率生成部と、
第1発光強度に前記発光強度倍率を乗じた第2発光強度を算出する発光強度算出部と、
を備える、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記基準配光角は、前記調光装置における配光角の制御範囲の最小値である、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照射面積比率と前記発光強度倍率とが等値である、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光強度生成部は、
前記第2発光強度の上限値を所定の発光強度制限値に制限して前記駆動部に出力する発光強度制限部をさらに備える、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2発光強度が前記発光強度制限値以上である場合に、前記調光装置における配光角制御を制限する配光角制御制限処理部を備える、
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
周囲の環境光を検出する環境光センサを備え、
前記発光強度算出部は、
前記環境光センサの検出値に応じて前記第2発光強度を算出する、
請求項2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の光源にプリズムパターンが刻まれた薄型レンズを組み合わせ、光源と薄型レンズとの距離を変化させることにより、配光角を変化させる照明器具がある。例えば、透明電球の前面を液晶調光素子で覆い、液晶層の透過率を変えることで直達光と散乱光とを切り替える照明器具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-65001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば液晶セルを用いた照明装置において、光が照射される領域は、液晶セルを駆動して光の配光角を制御することにより調整可能である。このような態様の照明装置において、光の照射範囲が相対的に広い場合と狭い場合とでは、照射範囲内における単位面積当たりの光量が異なる。より具体的には、照射面積が相対的に広い場合、照射面積が相対的に狭い場合よりも、照射範囲内における単位面積当たりの光量が低下する。換言すれば、照射面積が相対的に広い場合に、照射面積が相対的に狭い場合よりも照射範囲内の照度が低下する。このため、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを一定に保つためには、照射面積に応じて光源の発光強度を調整する必要がある。
【0005】
本発明は、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定に保つことができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明装置は、光源と、前記光源から照射される光の配光角を制御する調光装置と、前記光源及び前記調光装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、配光角指令値に基づき算出される照射面積と所定の基準照射面積に対する照射面積比率との対応関係を示す情報を保持する記憶部と、前記情報に基づき、前記光源の発光強度を生成する発光強度生成部と、前記発光強度に基づき、前記光源を駆動する駆動部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、実施形態に係る照明装置の一例を示す側面図である。
図1B図1Bは、実施形態に係る調光装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1基板をDz方向から見た概略平面図である。
図3図3は、第2基板をDz方向から見た概略平面図である。
図4図4は、第1基板と第2基板とをDz方向に重ねた液晶セルの透視図である。
図5図5は、図4に示すA-A’線断面図である。
図6A図6Aは、第1基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
図6B図6Bは、第2基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る照明装置の光の配光角を概念的に説明する概念図である。
図8図8は、実施形態に係る照明制御システムの構成の一例を示す概略図である。
図9図9は、実施形態に係る制御装置の一例を示す外観図である。
図10図10は、タッチセンサにおけるタッチ検出領域の一例を示す概念図である。
図11図11は、実施形態に係る制御装置において、照明装置に送信する第1データを調整する制御ブロック構成の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態における第1データの調整手法の一例を示す概念図である。
図13A図13Aは、実施形態に係る制御装置において第1データを調整するための第1表示態様を示す概念図である。
図13B図13Bは、実施形態に係る制御装置において第1データを調整するための第2表示態様を示す概念図である。
図14図14は、実施形態に係る制御装置における第1データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態1に係る照明装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。
図16A図16Aは、光の照射範囲と照度との関係を示す第1模式図である。
図16B図16Bは、光の照射範囲と照度との関係を示す第2模式図である。
図17図17は、光の照射面積と配光角との関係を示す第1模式図である。
図18図18は、配光角と基準配光角における照射面積に対する面積比率との関係を示す模式図である。
図19図19は、配光角と基準配光角における照射面積に対する面積比率との関係を示す線図である。
図20図20は、光の照射面積と配光角との関係を示す第2模式図である。
図21図21は、光の照射面積と発光強度倍率との対応関係を示す線図である。
図22図22は、実施形態1に係る照明装置の発光強度の具体例を示す線図である。
図23A図23Aは、実施形態1に係る照明装置1の光の照射範囲と照度との関係を示す第1模式図である。
図23B図23Bは、実施形態1に係る照明装置1の光の照射範囲と照度との関係を示す第2模式図である。
図23C図23Cは、実施形態1に係る照明装置1の光の照射範囲と照度との関係を示す第3模式図である。
図24図24は、実施形態2に係る照明装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。
図25図25は、実施形態2に係る照明装置における配光角制御制限処理の一例を示すフローチャートである。
図26図26は、実施形態3に係る照明装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。
図27A図27Aは、実施形態3に係る照明装置の発光強度の第1例を示す線図である。
図27B図27Bは、実施形態3に係る照明装置の発光強度の第2例を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1Aは、実施形態に係る照明装置の一例を示す側面図である。図1Bは、実施形態に係る調光装置の一例を示す斜視図である。図1Aに示すように、照明装置1は、光源4と、リフレクタ4aと、調光装置100と、を含む。また、図1Bに示すように、調光装置100は、第1液晶セル2と、第2液晶セル3と、を含む。光源4は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成される。リフレクタ4aは、光源4の光を調光装置100に集光する構成部である。
【0010】
図1Bにおいて、Dz方向は、光源4及びリフレクタ4aからの光の照射方向を示している。調光装置100は、Dz方向に第1液晶セル2と第2液晶セル3とが積層されて構成される。図1では、Dz方向に直交する第1液晶セル2及び第2液晶セル3の積層面に平行な平面の一方向がDx方向とされ、Dx方向及びDz方向の双方に直交する方向がDy方向とされている。
【0011】
第1液晶セル2と第2液晶セル3とは同様の構成である。本実施形態において、第1液晶セル2は、p波偏光用の液晶セルとする。また、第2液晶セル3は、s波偏光用の液晶セルとする。なお、第1液晶セル2をs波偏光用の液晶セルとし、第2液晶セル3をp波偏光用の液晶セルとする態様であっても良い。第1液晶セル2と第2液晶セル3とは、何れか一方がp波偏光用の液晶セルであり、他方がs波偏光用の液晶セルであれば良い。
【0012】
第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5と、第2基板6と、を備える。図2は、第1基板をDz方向から見た概略平面図である。図3は、第2基板をDz方向から見た概略平面図である。図4は、第1基板と第2基板とをDz方向に重ねた液晶セルの透視図である。図5は、図4に示すA-A’線断面図である。
【0013】
図5に示すように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5と第2基板6との間に、周囲が封止材7で封止された液晶層8を備えている。
【0014】
液晶層8は、電界の状態に応じて、液晶層8を通過する光を変調するものである。液晶層8は、例えば、IPS(インプレーンスイッチング)の一形態であるFFS(フリンジフィールドスイッチング)等の横電界モードであっても良いし、縦電界モードを用いても良い。例えば、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Virtical Alignment:垂直配向)、ECB(Electrically Controlled Birefringence:電界制御複屈折)等の各種モードの液晶を用いても良く、液晶層8の種類や構成により限定されるものではない。
【0015】
図2に示すように、図5に示す第1基板5の基材9の液晶層8側には、複数の駆動電極10a,10bと、これらの駆動電極10に印加する駆動電圧を供給する複数の金属配線11a,11bと、後述する第2基板6に設けられる複数の駆動電極13a,13b(図3参照)に印加する駆動電圧を供給する複数の金属配線11c,11dと、を備える。金属配線11a,11b,11c,11dは、第1基板5の配線層に設けられる。金属配線11a,11b,11c,11dは、第1基板5上の配線層において間隔を空けて設けられている。以下、複数の駆動電極10a,10bを単に「駆動電極10」と称することがある。また、複数の金属配線11a,11b,11c,11dを「第1金属配線11」と称することがある。図2に示すように、第1基板5上の駆動電極10は、Dx方向に延在する。
【0016】
図3に示すように、図5に示す第2基板6の基材12の液晶層8側には、複数の駆動電極13a,13bと、これらの駆動電極13に印加する駆動電圧を供給する複数の金属配線14a,14bと、を備える。金属配線14a,14bは、第2基板6の配線層に設けられる。金属配線14a,14bは、第2基板6上の配線層において間隔を空けて設けられている。以下、複数の駆動電極13a,13bを単に「駆動電極13」と称することがある。また、複数の金属配線14a,14bを「第2金属配線14」と称することがある。図3に示すように、第2基板6上の駆動電極13は、Dy方向に延在する。
【0017】
駆動電極10及び駆動電極13は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。第1基板5及び第2基板6は、ガラスや樹脂などの透光性基板である。第1金属配線11及び第2金属配線14は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料で形成される。また、第1金属配線11及び第2金属配線14は、これらの金属材料を1以上用いて、複数積層した積層体としてもよい。アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料は、ITO等の透光性導電酸化物よりも低抵抗である。
【0018】
第1基板5の金属配線11aと第2基板6の金属配線14aとは、例えばビア等の導通部15aにより接続される。また、第1基板5の金属配線11dと第2基板6の金属配線14bとは、例えばビア等の導通部15bにより接続される。
【0019】
また、第1基板5上の第2基板6とDz方向に重ならない領域には、不図示のフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)と接続される接続(Flex-on-Board)端子部16a,16bが設けられている。接続端子部16a,16bは、それぞれ、金属配線11a,11b,11c,11dに対応する4つの接続端子を備えている。
【0020】
接続端子部16a,16bは、第1基板5の配線層に設けられる。第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、接続端子部16a又は接続端子部16bに接続されたFPCから、第1基板5上の駆動電極10a,10b及び第2基板6上の駆動電極13a,13bに印加する駆動電圧が供給される。以下、接続端子部16a,16bを単に「接続端子部16」と称することがある。
【0021】
図4に示すように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5と第2基板6とがDz方向(光の照射方向)に重なり、Dz方向から見て、第1基板5上の複数の駆動電極10と第2基板6上の複数の駆動電極13とが交差する。このように構成された第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5上の複数の駆動電極10及び第2基板6上の複数の駆動電極13にそれぞれ駆動電圧が供給されることにより、液晶層8の液晶分子17の配向方向の制御が可能となる。この液晶層8の液晶分子17の配向方向の制御が可能となる領域を、「調光領域AA」と称する。この調光領域AAにおいて、液晶層8の屈折率分布が変化することにより、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の調光領域AAを透過する光の制御が可能となる。この調光領域AAの外側の領域において、液晶層8が封止材7で封止された領域を、「周辺領域GA」(図5参照)と称する。
【0022】
図5に示すように、第1基板5の調光領域は、配向膜18によって駆動電極10(図5では、駆動電極10a)が覆われている。また、第2基板6の調光領域は、配向膜19によって駆動電極13(図5では、駆動電極13a,13b)が覆われている。配向膜18と配向膜19とでは、ラビング方向が異なっている。
【0023】
図6Aは、第1基板の配向膜のラビング方向を示す図である。図6Bは、第2基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
【0024】
図6A及び図6Bに示すように、第1基板の配向膜18のラビング方向と、第2基板の配向膜19のラビング方向とは、平面視で互いに交差する方向である。具体的に、図6Aに示す第1基板5の配向膜18のラビング方向は、駆動電極10a,10bの延在方向に直交している。また、図6Bに示す第2基板6の配向膜19のラビング方向は、駆動電極13a,13bの延在方向に直交している。
【0025】
なお、本実施形態では、第1液晶セル2及び第2液晶セル3をそれぞれ1つ積層した構成について説明しているが、この構成に限るものではなく、例えば、第1液晶セル2及び第2液晶セル3を積層した組み合わせを複数有する構成であっても良い。例えば、第1液晶セル2及び第2液晶セル3を積層した組み合わせを2つ有する構成、すなわち、p波偏光用の液晶セルとs波偏光用の液晶セルとをそれぞれ2つ有する構成であっても良い。
【0026】
本開示では、上述した構成の照明装置1において、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の駆動電圧制御により、光源4から照射される光の配光角を制御する。以下、本開示において制御対象とする照明装置1の光の配光角について、図7を参照して説明する。
【0027】
図7は、実施形態に係る照明装置の光の配光角を概念的に説明する概念図である。図7では、照明装置1を点光源Aと見做し、Dz方向に垂直な仮想平面xy上における光の照射範囲を示している。なお、図7では、照明装置1を点光源Aと見做した例を示しているが、実際には、上述したように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の調光領域AAを透過する光の制御を行う構成であるため、照射範囲の周辺では光の照度が低下する。また、光の回折現象等によって照射範囲の輪郭は不明瞭となる。
【0028】
上述したように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5上の複数の駆動電極10及び第2基板6上の複数の駆動電極13にそれぞれ駆動電圧が供給されることにより、液晶層8の液晶分子17の配向方向が制御される。これにより、照明装置1から照射される光の配光角が制御可能となる。
【0029】
具体的には、例えば、第1液晶セル2の駆動電極10及び駆動電極13に印加される駆動電圧に応じて、第1液晶セル2の液晶層8の液晶分子17の配向方向が変化し、Dx方向の配光角が変化する。本開示では、Dx方向の最小配光角を0[%]とし、Dx方向の最大配光角を100[%]とする。
【0030】
また、例えば、第2液晶セル3の駆動電極10及び駆動電極13に印加される駆動電圧に応じて、第2液晶セル3の液晶層8の液晶分子17の配向方向が変化し、Dy方向の配光角が変化する。本開示では、Dy方向の最小配光角を0[%]とし、Dy方向の最大配光角を100[%]とする。
【0031】
図7に示すaは、Dx方向の配光角及びDy方向の配光角が共に100[%]である場合の照射範囲を例示している。また、図7に示すbは、Dx方向の配光角が100[%]であり、Dy方向の配光角が30[%]である場合の照射範囲を例示している。図7に示すcは、Dx方向の配光角が30[%]であり、Dy方向の配光角が100[%]である場合の照射範囲を例示している。また、図7に示すdは、Dx方向の配光角及びDy方向の配光角が共に30[%]である場合の照射範囲を例示している。
【0032】
このように、上述した構成の照明装置1において、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の駆動電圧制御をそれぞれ行うことにより、Dx方向及びDy方向の光の配光角を制御することができる。これにより、照明装置1の光の照射範囲を変化させることができる。
【0033】
図8は、実施形態に係る照明制御システムの構成の一例を示す概略図である。照明制御システムは、照明装置1と、制御装置200と、を含む。制御装置200は、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯通信端末装置が例示される。
【0034】
照明装置1と制御装置200との間は、通信手段300によりデータや各種指令信号の送受信が行われる。本開示において、通信手段300は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等の無線通信手段である。照明装置1と制御装置200とは、例えば、移動体通信網等の所定のネットワークを介して無線通信を行う態様であっても良い。あるいは、照明装置1と制御装置200とが有線接続されて有線通信を行う態様であっても良い。
【0035】
図9は、実施形態に係る制御装置の一例を示す外観図である。制御装置200は、表示パネル20とタッチセンサ30とが一体化された、タッチ検出機能付き表示装置である。具体的に、表示パネル20は、タッチセンサ30を内蔵して一体化した、いわゆるインセルタイプあるいはハイブリッドタイプの装置である。表示パネル20にタッチセンサ30を内蔵して一体化するとは、例えば、表示パネル20として使用される基板や電極などの一部の部材と、タッチセンサ30として使用される基板や電極などの一部の部材とを兼用することを含む。なお、表示パネル20は、表示装置の上にタッチセンサ30を装着した、いわゆるオンセルタイプの装置であっても良い。
【0036】
表示パネル20としては、例えば、液晶表示素子を用いた液晶ディスプレイパネルが例示される。これに限らず、表示パネル20は、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイパネル(マイクロLED、ミニLED)であっても良い。
【0037】
タッチセンサ30としては、例えば、静電容量方式のタッチセンサが例示される。これに限らず、タッチセンサ30は、例えば、抵抗膜方式のタッチセンサや超音波方式あるいは光学方式のタッチセンサであっても良い。
【0038】
図10は、タッチセンサにおけるタッチ検出領域の一例を示す概念図である。タッチセンサ30の検出領域FAには、複数の検出素子31が設けられている。複数の検出素子31は、タッチセンサ30の検出領域FA内において、X方向(第1方向)及び当該X方向に直交するY方向(第2方向)に並び、マトリクス状に設けられている。換言すれば、タッチセンサ30は、X方向(第1方向)及びY方向(第2方向)に並ぶ複数の検出素子31に重なる検出領域FAを有している。
【0039】
図11は、実施形態に係る制御装置において、照明装置に送信する第1データを調整する制御ブロック構成の一例を示す図である。
【0040】
図11に示すように、実施形態に係る制御装置200は、検出装置210及び処理装置220を含む。検出装置210は、タッチセンサ30、検出部211、及び座標抽出部212を備える。処理装置220は、第1データ生成部221及び記憶部223を備える。検出装置210の検出部211及び座標抽出部212は、例えば検出用ICで構成される。処理装置220は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成される。
【0041】
検出部211は、タッチセンサ30の各検出素子31から出力される検出信号に基づき、タッチセンサ30に対するタッチの有無を検出する回路である。
【0042】
座標抽出部212は、検出部211においてタッチが検出されたときに、そのタッチ検出位置の座標を求める論理回路である。
【0043】
第1データ生成部221は、座標抽出部212によって抽出されたタッチ検出位置に基づき、X方向の第1データ及びY方向の第1データを生成する。第1データ生成部221は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のCPUによって実現される構成部である。
【0044】
記憶部223は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のRAM、EEPROM、ROM等で構成される。本開示において、記憶部223には、例えば、座標抽出部212によって抽出されたタッチ検出位置の座標に対応する第1データが格納される。
【0045】
以下、上述した実施形態1に係る構成において、照明装置1における第1データの調整手法について説明する。図12は、実施形態における第1データの調整手法の一例を示す概念図である。
【0046】
図12に示すように、タッチセンサ30の検出領域FA内にデータ調整領域TAが設けられている。データ調整領域TAの横軸は、X方向(第1方向)の座標軸を示し、照明装置1におけるDx方向に対応している。データ調整領域TAの縦軸は、Y方向(第2方向)の座標軸を示し、照明装置1におけるDy方向に対応している。データ調整領域TAは、タッチセンサ30の検出領域FA内に設けられていれば良く、検出領域FAの全領域をデータ調整領域TAとする態様であっても良い。
【0047】
本実施形態において、X方向の第1データ及びY方向の第1データは、それぞれ、照明装置1において制御される配光角の情報を正規化した離散値である。すなわち、本実施形態において、第1データ生成部221は、照明装置1において制御される配光角の情報を制御装置200における制御パラメータとして、第1データR(Rx,Ry)を生成する。以下、本実施形態において第1データ生成部221によって生成される第1データR(Rx,Ry)を、「第1配光角情報」とも称する。
【0048】
X方向の第1データRx及びY方向の第1データRyは、それぞれデータ調整領域TAにおいて検出されるタッチ検出位置の座標に対応する値が定義されている。図12に示す例において、X方向の第1データRx及びY方向の第1データRyは、それぞれ「0」から「100」までの値を取り得る。図12Aに破線で示す円は、X方向の第1データRxが「30」、Y方向の第1データRyが「30」となる位置の座標の軌跡を示し、実線で示す円は、X方向の第1データRxが「100」、Y方向の第1データRyが「100」となる位置の座標の軌跡を示し、実線で示す楕円は、X方向の第1データRxが「80」、Y方向の第1データRyが「50」となる位置の座標の軌跡を示している。
【0049】
図12に示す例では、座標抽出部212によってタッチ検出位置の座標がデータ調整領域TA内の位置Aから位置Bまで移動した例を示している。この場合、第1データ生成部221は、タッチ検出位置の座標がデータ調整領域TA内の位置Aから位置Bまで移動する間、時系列で座標抽出部212から出力されるタッチ検出位置の座標(x,y)に応じた第1データR(Rx,Ry)を生成する。具体的に、第1データR(Rx,Ry)の1ステップ分の変化ΔR(ΔRx,ΔRy)と、タッチ検出位置の座標(x,y)の1ステップ分の変化(Δx,Δy)との関係は、下記(1)式及び(2)式で示される。kは、データ調整領域TA内の検出素子31の数によって定まる係数である。
【0050】
ΔRx=k×Δx・・・(1)
【0051】
ΔRy=k×Δy・・・(2)
【0052】
具体的には、例えば、k=4とすると、タッチ検出位置の座標が4移動したとき、第1データが1ステップ変化する。すなわち、第1データR(Rx,Ry)の変化量は、タッチ検出位置の座標(x,y)の移動量に比例する。
【0053】
制御装置200は、第1データ生成部221によって生成された第1データR(Rx,Ry)を、順次、照明装置1に送信する。
【0054】
図13Aは、実施形態に係る制御装置において第1データを調整するための第1表示態様を示す概念図である。図13Bは、実施形態に係る制御装置において第1データを調整するための第2表示態様を示す概念図である。
【0055】
表示パネル20には、平面視において図9に示すタッチセンサ30の検出領域FAに重なる表示領域DAが設けられている。
【0056】
図13Aでは、データ調整領域TA上において第1データR(Rx,Ry)に対応する位置の座標の軌跡が照射範囲の概略形状イメージ23として表示される態様を示している。この第1表示態様では、例えば、照射範囲の概略形状イメージ23上の位置Aをタップし、位置Bまでスワイプすることで、X方向の第1データRx及びY方向の第1データRyを同時に調整する。
【0057】
図13Bでは、データ調整領域TA上にX方向の第1データRxを調整するスライドバー24a、及び、Y方向の第1データRyを調整するスライドバー24bが表示される態様を示している。この第2表示態様では、スライドバー24aをタップしてX方向にスワイプすることで第1データRxを調整し、スライドバー24bをタップしてY方向にスワイプすることで第1データRyを調整する。
【0058】
なお、第1データを調整する態様は上記態様に限らず、例えば、制御装置200に物理的なスライダーを設けた態様であっても良い。
【0059】
図14は、実施形態に係る制御装置における第1データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
検出部211は、タッチセンサ30のデータ調整領域TA内におけるタッチの有無を検出する(ステップS101)。
【0061】
データ調整領域TA内においてタッチ検出されると(ステップS101;Yes)、座標抽出部212は、当該タッチ検出位置の座標(x,y)を抽出する(ステップS102)。
【0062】
第1データ生成部221は、タッチ検出位置の座標(x,y)に対応する第1データR(Rx,Ry)を生成する(ステップS103)。具体的に、第1データ生成部221は、座標抽出部212によって抽出されたタッチ検出位置の座標(x,y)に対応する第1データR(Rx,Ry)を記憶部223から読み出す。
【0063】
制御装置200は、通信手段300を介して、第1データ生成部221によって生成された第1データR(Rx,Ry)を照明装置1に送信する(ステップS104)。
【0064】
検出部211は、タッチセンサ30のデータ調整領域TA内におけるタッチが継続されているか否かを検出する(ステップS105)。
【0065】
ステップS101においてタッチ検出されていない場合(ステップS101;No)、あるいは、ステップS105においてタッチが継続されていない場合(ステップS105;No)、ステップS101の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0066】
タッチセンサ30のデータ調整領域TA内におけるタッチが継続されている場合(ステップS105;Yes)、ステップS102の処理に戻り、ステップS102以降の処理を繰り返し実行する。
【0067】
照明装置1は、制御装置200から送信された第1データR(Rx,Ry)に応じて、Dx方向及びDy方向の光の配光角及び発光強度を変更する。以下、実施形態1に係る照明装置において、光の配光角及び発光強度を制御するための構成及び動作について説明する。
【0068】
(実施形態1)
図15は、実施形態1に係る照明装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。
【0069】
図15に示すように、実施形態1に係る照明装置1の制御部110は、第2データ生成部111、電極駆動部112、照射面積算出部113、光源駆動部117、記憶部118、及び発光強度生成部120を含む。発光強度生成部120は、発光強度倍率生成部114、発光強度算出部115、及び発光強度制限部116を備える。
【0070】
第2データ生成部111は、制御装置200から受信した第1配光角情報(第1データR(Rx,Ry))に基づき、照明装置1のDx方向の配光角Ax及びDy方向の配光角Ayの情報(配光角A(Ax,Ay))を含む第2データを生成する。
【0071】
本実施形態において、第2データ生成部111によって生成される第2データに含まれるDx方向の配光角Ax及びDy方向の配光角Ayは、それぞれ10[deg]から90[deg]までの範囲を取り得る。第2データ生成部111は、第1配光角情報(第1データR(Rx,Ry))に対応する配光角Ax及びDy方向の配光角Ayの情報を含む第2データを生成する。第2データは、照明装置1(調光装置100)において制御される配光角の情報(Dx方向の配光角Ax及びDy方向の配光角Ay)を正規化した離散値である。以下、本実施形態において第2データ生成部111によって生成される第2データ(配光角A(Ax,Ay))を、「第2配光角情報」とも称する。この第2配光角情報(第2データ(配光角A(Ax,Ay)))は、照明装置1(調光装置100)において制御される配光角の指令値である。
【0072】
電極駆動部112は、第2データ生成部111によって生成された第2配光角情報(第2データ(配光角A(Ax,Ay)))に基づき、調光装置100の第1液晶セル2及び第2液晶セル3の各駆動電極10,13に駆動電圧を供給する。
【0073】
なお、第2データ生成部111に相当する構成部を制御装置200に設けた態様であっても良い。この場合、制御装置200から第2配光角情報(第2データ(配光角A(Ax,Ay)))が送信される態様であっても良い。
【0074】
照射面積算出部113は、第2配光角情報(第2データ(配光角A(Ax,Ay)))に基づき、照射面積ARを算出する。ここで、照明装置1から照射される光によって得られる照射面積は、照明装置1と照射対象物との距離によって決まる。本開示における「照射面積」とは、配光角A(Ax,Ay)を用いて算出される相対的な値である。照射面積ARの算出手法については後述する。
【0075】
発光強度倍率生成部114は、照射面積算出部113によって算出された照射面積ARに基づき、基準配光角における基準発光強度に対する発光強度倍率Kを生成する。
【0076】
本開示における基準配光角は、配光角A(Ax,Ay)が取り得る範囲(例えば、10[deg]から90[deg])の最小値(例えば、10[deg])、すなわち、照明装置1(調光装置200)における配光角制御範囲の最小値である。なお、基準配光角は上記に限定されず、照明装置1(調光装置200)における配光角制御範囲内の任意の配光角とすることができる。
【0077】
また、基準配光角を配光角A(Ax,Ay)が取り得る範囲の最小値(例えば、10[deg])としたとき、照明装置1(光源4)における基準発光強度は、例えば、5[lm(ルーメン)]とされる。本開示における発光強度は、基準配光角において予め設定された基準発光強度(例えば、5[lm])を基準として正規化された値である。なお、基準配光角を照明装置1(調光装置200)における配光角制御範囲内の任意の配光角とした場合、照明装置1(光源4)における基準発光強度についても基準配光角に応じた値に変更され得る。
【0078】
発光強度算出部115は、第1発光強度LS1に対し、発光強度倍率生成部114によって生成された発光強度倍率Kを乗じた第2発光強度LS2を算出する。第1発光強度LS1は、例えば基準発光強度である。第1発光強度LS1は、基準発光強度に限定されず、例えば、制御装置200から送信された発光強度の指令値であっても良い。
【0079】
発光強度制限部116は、発光強度算出部115によって算出された第2発光強度LS2の上限を発光強度制限値に制限した発光強度LSを出力する。
【0080】
光源駆動部117は、発光強度制限部116から出力された発光強度LSに基づき、光源4に駆動電流を供給する。
【0081】
本実施形態において、記憶部118には、照射面積ARと発光強度倍率Kとの対応関係を示すルックアップテーブル(図21参照)が格納されている。発光強度倍率生成部114は、記憶部118に格納されたルックアップテーブルを参照し、照射面積算出部113によって算出された照射面積ARに対応する発光強度倍率Kを読み出し、発光強度算出部115に出力する。
【0082】
また、本実施形態において、記憶部118には、発光強度制限値LS_limが格納されている。発光強度制限部116は、発光強度算出部115によって算出された第2発光強度LS2の上限を記憶部118に格納された発光強度制限値LS_limに制限する。
【0083】
図16Aは、光の照射範囲と照度との関係を示す第1模式図である。図16Bは、光の照射範囲と照度との関係を示す第2模式図である。図16A及び図16Bでは、照明装置1の光源の発光強度を照射面積に依らず一定とした例を示している。
【0084】
照明装置1の発光強度を一定として光の照射範囲を変更した場合、照射範囲が相対的に広い場合と狭い場合とでは、照射範囲内における単位面積当たりの光量が異なる。より具体的には、図16Bに示すように、照射面積が図16Aに示す例よりも相対的に広い場合、照射範囲内の単位面積当たりの光量が低下する。換言すれば、図16Bに示すように、照射面積が図16Aに示す例よりも相対的に広い場合に、照射範囲内の照度が低下する。このため、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを一定に保つためには、光の照射面積に応じて光源の発光強度を調整する必要がある。
【0085】
図17は、光の照射面積と配光角との関係を示す第1模式図である。図17では、X方向の配光角Ax及びY方向の配光角Ayが等しい場合(Ax=Ay)、すなわち、照射範囲の概形が円形である場合について例示している。
【0086】
図17において、照射面積ARは、照射範囲の半径をrとすると、下記(3)式で示される。
【0087】
AR=π×r・・・(3)
【0088】
X方向の配光角Ax及びY方向の配光角Ayは、照射範囲の半径rに比例する。従って、照射面積ARは、下記(4)式で表せる。
【0089】
AR∝Ax×Ay・・・(4)
【0090】
図18は、配光角と基準配光角における照射面積に対する面積比率との関係を示す模式図である。図19は、配光角と基準配光角における照射面積に対する面積比率との関係を示す線図である。図18では、照明装置1を点光源と見做し、照明装置1からXY平面に延びる垂線hに沿った断面図を示している。図19に示す実線は、XY平面上の基準配光角(ここでは、10[deg])における照射面積(AR_nor)を基準としたときの任意の配光角における照射面積比率を示している。
【0091】
図18に破線で示す破線は、照明装置1を中心とする球体面を示している。この球体面上において、配光角と当該配光角における照射面積とが比例関係にある。従って、X方向の配光角Ax及びY方向の配光角AyをAとしたとき(Ax=Ay=A)、図18に破線で示す球体面上において、基準配光角(ここでは、10[deg])における照射面積を基準としたときの任意の配光角における照射面積比率は、図19に破線で示したように、配光角Aの2乗(A)で示される二次曲線で表せる。
【0092】
一方、XY平面上における照射面積ARは、図18に示されるように、垂線hとXY平面との交点から離れるに従い大きくなる。このため、基準配光角(ここでは、10[deg])におけるXY平面上の照射面積(AR_nor)を基準としたときの任意の配光角における照射面積比率(AR/AR_nor)は、図19に示すように、配光角が大きくなるほど、破線で示される二次曲線に対して大きい値となる。
【0093】
具体的に、例えば、照明装置1を中心とする球体面上の基準配光角(ここでは、10[deg])における照射面積を基準としたとき、照明装置1を中心とする球体面上の任意の配光角における照射面積比率は、配光角が20[deg]の場合の面積比率(=4)に対し、配光角が40[deg]の場合の面積比率(=16)の倍率は、4倍となる。
【0094】
一方、XY平面上の基準配光角(ここでは、10[deg])における照射面積(AR_nor)を基準としたとき、XY平面上の任意の配光角における照射面積比率ARは、配光角が20[deg]の場合の面積比率(=4.06)に対し、配光角が40[deg]の場合の面積比率(=17.3)の倍率は、4.26倍となる。
【0095】
本開示では、基準配光角(ここでは、10[deg])におけるXY平面上の照射面積(AR_nor)を基準としたときの照射面積比率(AR/AR_nor)を発光強度倍率Kとする。換言すれば、基準配光角(ここでは、10[deg])におけるXY平面上の照射面積(AR_nor)を基準照射面積として、この基準照射面積(AR_nor)に対する照射面積比率(AR/AR_nor)を発光強度倍率Kとする。具体的には、例えば、照射面積比率AR/AR_norが2倍であるとき、発光強度倍率Kを「2」とする。これにより、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定とすることができる。
【0096】
図20は、光の照射面積と配光角との関係を示す第2模式図である。図20では、X方向の配光角Ax及びY方向の配光角Ayが異なる場合(図20では、Ax>Ay)、すなわち、照射範囲の概形が楕円形である場合について例示している。
【0097】
図20において、照射面積ARは、照射範囲の長軸半径をaとし、短軸半径をbとすると、下記(5)式で示される。
【0098】
AR=π×a×b・・・(5)
【0099】
X方向の配光角Axは長軸半径aに比例し、Y方向の配光角Ayは短軸半径bに比例する。従って、照射面積ARは、下記(6)式で表せる。
【0100】
AR∝Ax×Ay・・・(6)
【0101】
上記(4)式及び(6)式から、照射面積ARは、照射範囲の概形が円形であっても楕円であっても、X方向の配光角Ax及びY方向の配光角Ayに比例する。すなわち、図19に示す配光角と照射面積比率との対応関係に代えて、X方向の配光角Ax及びY方向の配光角Ayによって定まる照射面積ARと基準照射面積AR_norに対する照射面積比率AR/AR_nor(=発光強度倍率K)との対応関係を用いることで、X方向の配光角AxとY方向の配光角Ayとの比率(すなわち、照射範囲が円形であるか楕円であるか)に依らず、発光強度倍率Kを導出することができる。
【0102】
照射面積ARと発光強度倍率K(=AR/AR_nor)との関係は、図21で示す態様とすることができる。図21は、光の照射面積と発光強度倍率との対応関係を示す線図である。
【0103】
図21において、破線は、照明装置1を中心とする球体面上の基準配光角(ここでは、10[deg])におけるXY平面上の照射面積を基準とした場合の照明装置1を中心とする球体面上の任意の配光角における照射面積比率(発光強度倍率)を示している。照明装置1を中心とする球体面上(図18に示す破線)では、照射面積と照射面積比率(発光強度倍率)との対応関係が線形となる。
【0104】
一方、XY平面上の基準配光角(ここでは、10[deg])における照射面積AR_norを基準とした場合のXY平面上の任意の配光角における照射面積比率AR/AR_nor(発光強度倍率K)は、破線で示す照明装置1を中心とする球体面上での照射面積比率に対して、配光角が大きくなるほど大きい値となる。
【0105】
本実施形態に係る照明装置1において、照射面積ARと発光強度倍率Kとの対応関係を示す情報として、図21に示す態様のルックアップテーブルを記憶部118に保持し、発光強度倍率生成部114は、このルックアップテーブルを用いて、発光強度倍率Kを生成する。
【0106】
そして、発光強度算出部115は、第1発光強度LS1に対して発光強度倍率Kを乗じた第2発光強度LS2を算出する。これにより、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定に保つことができる。
【0107】
なお、照射面積ARと発光強度倍率Kとの対応関係を示す情報は、図21に示すようなルックアップテーブルの態様に限定されず、例えば、照射面積ARと発光強度倍率Kとの対応関係を定義した関数が記憶部118に格納される態様であっても良いし、照射面積ARに対応する発光強度倍率Kがデータとして格納される態様であっても良い。
【0108】
図22は、実施形態1に係る照明装置の発光強度の具体例を示す線図である。発光強度算出部115によって算出される第2発光強度LS2は、例えば制御装置200から送信される第1発光強度LS1の大きさによっては、照射面積ARは相対的に大きい領域において光源4における駆動電流の上限値を超える可能性がある。
【0109】
本実施形態に係る照明装置1において、光源4における駆動電流の上限値を超えないような発光強度制限値LS_limを記憶部118に保持し、発光強度制限部116は、第2発光強度LS2の上限を図22に示す発光強度制限値LS_limに制限した発光強度LSを出力する。これにより、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定に保つことができる。
【0110】
図23Aは、実施形態1に係る照明装置1の光の照射範囲と照度との関係を示す第1模式図である。図23Bは、実施形態1に係る照明装置1の光の照射範囲と照度との関係を示す第2模式図である。図23Cは、実施形態1に係る照明装置1の光の照射範囲と照度との関係を示す第3模式図である。
【0111】
発光強度LSが発光強度制限値LS_limに制限されない領域では、図23A及び図23Bに示すように、配光角を変化させた場合の相対的な明るさが略一定に保たれる。
【0112】
発光強度LSが発光強度制限値LS_limに制限される領域では、図23Cに示すように、光源4における駆動電流が上限値を超えないように抑制されるので、照射範囲が相対的に大きくなるほど暗くなる。
【0113】
本実施形態に係る照明装置1は、上述したように、照射面積ARと発光強度倍率Kとの対応関係を示す情報を記憶部118に保持し、当該情報に基づき発光強度を算出する。そして、当該発光強度を光源4の駆動電流の上限値を超えないように制限して、光源4に駆動電流を供給する。
【0114】
これにより、光源4における駆動電流が上限値を超えない領域において、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定に保つことができ、利便性の高い照明装置1が得られる。
【0115】
(実施形態2)
図24は、実施形態2に係る照明装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。実施形態2に係る照明装置1aの制御部110aは、実施形態1の構成に加え、配光角制御制限処理部119を含む。
【0116】
本実施形態において、発光強度生成部120aの発光強度制限部116aは、発光強度算出部115によって算出される第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim未満であるかを示す配光角調整可否指令を配光角制御制限処理部119に出力する。
【0117】
配光角制御制限処理部119は、以下に示す配光角制御制限処理の前回処理における配光角A(Ax,Ay)(以下、「配光角A(Ax,Ay)の前回値」とも称する)を保持する。配光角A(Ax,Ay)の前回値は、記憶部118に格納される態様であっても良い。
【0118】
配光角制御制限処理部119は、発光強度LSが発光強度制限値LS_limに制限される領域、すなわち、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上となる領域において、配光角A(Ax,Ay)の前回値を電極駆動部112に出力する。これにより、調光装置100における配光角の調整制御が制限される。図25は、実施形態2に係る照明装置における配光角制御制限処理の一例を示すフローチャートである。
【0119】
配光角制御制限処理部119は、配光角調整可否指令に基づき、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim未満(LS<LS_lim)であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0120】
第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim未満であれば(ステップS201;Yes)、配光角制御制限処理部119は、第2データ生成部111から出力された配光角A(Ax,Ay)を電極駆動部112に出力し(ステップS202)、ステップS201の処理に戻る。
【0121】
第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上であれば(ステップS201;No)、配光角制御制限処理部119は、配光角A(Ax,Ay)の前回値を電極駆動部112に出力し(ステップS203)、ステップS201の処理に戻る。
【0122】
上述した配光角制御制限処理により、配光角制御制限処理部119は、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上である期間、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim未満であるときに保持された配光角A(Ax,Ay)を出力する。これにより、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上である場合には、調光装置100による配光角の調整制御が行われない。
【0123】
本実施形態に係る照明装置1aは、上述したように、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上である場合に、配光角A(Ax,Ay)の前回値が電極駆動部112に出力される。これにより、調光装置100による配光角の調整制御が制限されない領域において、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定に保つことができる。
【0124】
(実施形態3)
図26は、実施形態3に係る照明装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。実施形態2に係る照明装置1bは、実施形態2の構成に加え、環境光センサ130を含む。環境光センサ130は、例えば照度センサが例示される。
【0125】
環境光センサ130は、照明装置1bの周囲の環境光ALを検出する。
【0126】
本実施形態において、環境光センサ130によって検出された環境光ALは、制御部110bの発光強度生成部120bに入力される。発光強度生成部120bの発光強度算出部115aは、第1発光強度LS1に対し発光強度倍率Kを乗じた値に対し、さらに、環境光ALに応じた発光強度LS_baseを加算した第2発光強度LS2を算出する。
【0127】
これにより、照射範囲内の照度を照明装置1bの周囲の環境光に応じた明るさにすることができる。
【0128】
図27Aは、実施形態3に係る照明装置の発光強度の第1例を示す線図である。図27Bは、実施形態3に係る照明装置の発光強度の第2例を示す線図である。
【0129】
図27A及び図27Bに示すように、照明装置1bの周囲の環境光に応じて、第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上となる範囲が変わり、照明装置1bの周囲が明るいほど第2発光強度LS2が発光強度制限値LS_lim以上となる範囲が広くなるが、実施形態2において説明した配光角制御制限処理部119を備えることで、調光装置100による配光角の調整制御が制限されない領域において、配光角を変化させた場合の相対的な明るさを略一定に保つことができる。
【0130】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示このような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0131】
1,1a,1b 照明装置
2 第1液晶セル
3 第2液晶セル
4 光源
4a リフレクタ
5 第1基板
6 第2基板
7 封止材
8 液晶層
9 基材
10,10a,10b 駆動電極
11 第1金属配線
11a,11b,11c,11d 金属配線
12 基材
13,13a,13b 駆動電極
14 第2金属配線
14a,14b 金属配線
15a,15b 導通部
16a,16b 接続端子部
17 液晶分子
18 配向膜
19 配向膜
20 表示パネル
23 概略形状イメージ(照射範囲)
24a,24b スライドバー
30 タッチセンサ
31 検出素子
100 調光装置
110,110a,110b 制御部
111 第2データ生成部
112 電極駆動部
113 照射面積算出部
114 発光強度倍率生成部
115,115a 発光強度算出部
116,116a 発光強度制限部
117 光源駆動部
118 記憶部
119 配光角制御制限処理部
120,120a,120b 発光強度生成部
130 環境光センサ
200 制御装置
210 検出装置
211 検出部
212 座標抽出部
220 処理装置
221 データ生成部
223 記憶部
300 通信手段
AA 調光領域
DA 表示領域
FA 検出領域
GA 周辺領域
TA 配光角調整領域
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27A
図27B