(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】エレベーターのガイドレール芯出し装置、及びエレベーターのガイドレール芯出し方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/02 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
B66B7/02 H
(21)【出願番号】P 2024001370
(22)【出願日】2024-01-09
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】開 和洋
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-49509(JP,A)
【文献】実開昭58-166563(JP,U)
【文献】特開平09-188486(JP,A)
【文献】特開昭54-162824(JP,A)
【文献】特開昭60-209482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置されている第1ガイドレール及び第2ガイドレールに取り付けられるとともに、鉛直方向に沿って配置されている一対の芯出し線を基準とする位置に配置されることにより、前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールのそれぞれの芯出しを行うための第1ゲージと、
互いに対向して配置されている第3ガイドレール及び第4ガイドレールのうち、前記第3ガイドレールに取り付けられるとともに、前記第2ガイドレールに前記第1ゲージから独立して取り付けられることにより、前記第2ガイドレールに対する前記第3ガイドレールの位置決めを行うための第2ゲージと、
前記第4ガイドレールに取り付けられるとともに、前記第2ゲージに取り付けられることにより、前記第3ガイドレールに対する前記第4ガイドレールの位置決めを行うための第3ゲージと
を備えているエレベーターのガイドレール芯出し装置。
【請求項2】
前記第2ゲージは、前記第2ガイドレールを把持する第2レール把持部と、前記第3ガイドレールを把持する第3レール把持部とを有しており、
前記第3レール把持部は、前記第2レール把持部に固定されている請求項1に記載のエレベーターのガイドレール芯出し装置。
【請求項3】
前記第3ゲージは、前記第4ガイドレールを把持する第4レール把持部と、前記第4レール把持部を前記第2ゲージに連結する複数の連結部とを有している請求項1又は請求項2に記載のエレベーターのガイドレール芯出し装置。
【請求項4】
互いに対向して配置されている第1ガイドレール及び第2ガイドレールに第1ゲージを取り付ける第1ゲージ取付工程と、
前記第1ゲージ取付工程の後、鉛直方向に沿って配置されている一対の芯出し線を基準とする位置に前記第1ゲージを配置することにより、前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールのそれぞれの芯出しを行う第1ゲージ配置工程と、
互いに対向して配置されている第3ガイドレール及び第4ガイドレールのうち、前記第3ガイドレールに第2ゲージを取り付けるとともに、前記第1ゲージから独立して前記第2ガイドレールに前記第2ゲージを取り付けることにより、前記第2ガイドレールに対する前記第3ガイドレールの位置決めを行う第2ゲージ取付工程と、
前記第1ゲージ配置工程及び前記第2ゲージ取付工程の後、前記第4ガイドレールに第3ゲージを取り付けるとともに、前記第2ゲージに前記第3ゲージを取り付けることにより、前記第3ガイドレールに対する前記第4ガイドレールの位置決めを行う第3ゲージ取付工程と
を備えているエレベーターのガイドレール芯出し方法。
【請求項5】
前記第1ゲージ配置工程は、前記第2ゲージ取付工程の後に実施する請求項4に記載のエレベーターのガイドレール芯出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのガイドレール芯出し装置、及びエレベーターのガイドレール芯出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの昇降路内にかごガイドレール及び釣合おもりガイドレールを設置する場合、予め決められた位置にこれらのガイドレールを鉛直方向に沿って配置する作業、即ち芯出しを行う作業が必要になる。かごガイドレール及び釣合おもりガイドレールの芯出しを行うときには、エレベーターのガイドレール芯出し装置が用いられる。
【0003】
特許文献1には、一対のかごガイドレールに第1ゲージを係合させ、一対の釣合おもりガイドレールに第2ゲージを係合させることにより、各ガイドレールの芯出しを行うエレベーターのガイドレール芯出し装置が開示されている。第2ゲージは、複数のサブゲージを介して第1ゲージに連結されている。これにより、第1ゲージに対する第2ゲージの位置が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来のエレベーターのガイドレール芯出し装置では、第2ゲージが第1ゲージに複数のサブゲージを介して連結されている。このため、各ガイドレールのレイアウトによっては、かごガイドレールに第1ゲージを係合させたときに、各ガイドレールを支持するレールブラケットなどが障害となって、第1ゲージと第2ゲージとの間にサブゲージを配置することができなくなるおそれがある。これにより、各ガイドレールのレイアウトによっては、従来のエレベーターのガイドレール芯出し装置を用いて芯出しを行うことができなくなるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、複数のガイドレールの芯出しをより確実に行うことができるエレベーターのガイドレール芯出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベーターのガイドレール芯出し装置は、互いに対向して配置されている第1ガイドレール及び第2ガイドレールに取り付けられるとともに、鉛直方向に沿って配置されている一対の芯出し線を基準とする位置に配置されることにより、第1ガイドレール及び第2ガイドレールのそれぞれの芯出しを行うための第1ゲージと、互いに対向して配置されている第3ガイドレール及び第4ガイドレールのうち、第3ガイドレールに取り付けられるとともに、第2ガイドレールに第1ゲージから独立して取り付けられることにより、第2ガイドレールに対する第3ガイドレールの位置決めを行うための第2ゲージと、第4ガイドレールに取り付けられるとともに、第2ゲージに取り付けられることにより、第3ガイドレールに対する第4ガイドレールの位置決めを行うための第3ゲージとを備えている。
また、本開示に係るエレベーターのガイドレール芯出し方法は、互いに対向して配置されている第1ガイドレール及び第2ガイドレールに第1ゲージを取り付ける第1ゲージ取付工程と、第1ゲージ取付工程の後、鉛直方向に沿って配置されている一対の芯出し線を基準とする位置に第1ゲージを配置することにより、第1ガイドレール及び第2ガイドレールのそれぞれの芯出しを行う第1ゲージ配置工程と、互いに対向して配置されている第3ガイドレール及び第4ガイドレールのうち、第3ガイドレールに第2ゲージを取り付けるとともに、第1ゲージから独立して第2ガイドレールに第2ゲージを取り付けることにより、第2ガイドレールに対する第3ガイドレールの位置決めを行う第2ゲージ取付工程と、第1ゲージ配置工程及び第2ゲージ取付工程の後、第4ガイドレールに第3ゲージを取り付けるとともに、第2ゲージに第3ゲージを取り付けることにより、第3ガイドレールに対する第4ガイドレールの位置決めを行う第3ゲージ取付工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベーターのガイドレール芯出し装置、及びエレベーターのガイドレール芯出し方法によれば、複数のガイドレールの芯出しをより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターのガイドレール芯出し装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のガイドレール芯出し装置を用いたガイドレール芯出し方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図1の第1ガイドレール及び第2ガイドレールに第1ゲージが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の第2ガイドレール及び第3ガイドレールに第2ゲージが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターのガイドレール芯出し装置を示す斜視図である。図において、昇降路1内には、第1ガイドレール11、第2ガイドレール12、第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14が複数のガイドレール11~14として配置されている。
【0012】
第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12は、昇降路1の幅方向において互いに対向して配置されている。昇降路1の幅方向は、建物の各階に設けられた不図示の乗場から昇降路1を見たときの左右方向と一致している。第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12は、不図示のかごの上下方向への移動を案内する一対のかごガイドレールとして用いられている。かごは、第1ガイドレール11と第2ガイドレール12との間に配置される。
【0013】
第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14は、昇降路1の奥行き方向において互いに対向して配置されている。昇降路1の奥行き方向は、昇降路1の幅方向に直交する水平な方向である。第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14は、不図示の釣合おもりの上下方向への移動を案内する一対の釣合おもりガイドレールとして用いられている。釣合おもりは、第3ガイドレール13と第4ガイドレール14との間に配置される。本実施の形態では、昇降路1を上から見たとき、昇降路1の幅方向におけるかごの隣に釣合おもりが配置される。
【0014】
第2ガイドレール12は、第1ガイドレール11よりも第3ガイドレール13に近い位置に配置されている。即ち、第2ガイドレール12から第3ガイドレール13までの距離は、第1ガイドレール11から第3ガイドレール13までの距離よりも短くなっている。
【0015】
第3ガイドレール13は、第4ガイドレール14よりも第2ガイドレール12に近い位置に配置されている。即ち、第3ガイドレール13から第2ガイドレール12までの距離は、第4ガイドレール14から第2ガイドレール12までの距離よりも短くなっている。
【0016】
複数のガイドレール11~14のそれぞれは、フランジ部15と、案内部16とを有している。フランジ部15は、ガイドレールの長手方向に沿って配置された板状部である。案内部16は、ガイドレールの長手方向に沿ってフランジ部15に設けられた突起部である。複数のガイドレール11~14のそれぞれの断面形状は、フランジ部15及び案内部16によってT字状となっている。
【0017】
第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12のそれぞれでは、第1ガイドレール11と第2ガイドレール12との間の空間に向けて案内部16がフランジ部15から突出している。第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14のそれぞれでは、第3ガイドレール13と第4ガイドレール14との間の空間に向けて案内部16がフランジ部15から突出している。
【0018】
昇降路1内には、複数のガイドレール11~14の芯出しを行う基準となる一対の芯出し線2が鉛直方向に沿って配置されている。本実施の形態では、一対のピアノ線が一対の芯出し線2として用いられている。一対の芯出し線2は、昇降路1内の予め設定された位置に鉛直方向に沿って張られている。本実施の形態では、昇降路1の幅方向において互いに離れた位置に一対の芯出し線2が配置されている。
【0019】
ガイドレール芯出し装置3は、複数のガイドレール11~14の芯出しを行うときに用いられる。ガイドレール芯出し装置3は、第1ゲージ4と、第2ゲージ5と、第3ゲージ6とを有している。
【0020】
第1ゲージ4は、第1ゲージ本体41と、第1取付部42と、第2取付部43とを有している。
【0021】
第1ゲージ本体41は、昇降路1の幅方向に沿って配置される。第1ゲージ本体41の長さは、一対の芯出し線2の間隔に合わせて設定されている。第1ゲージ本体41の両端部のうち、一端部には第1取付部42が設けられており、他端部には第2取付部43が設けられている。
【0022】
第1取付部42は、第1ガイドレール11を把持することにより第1ガイドレール11に取り付けられる。第1取付部42には、第1位置合わせ部44が設けられている。第1位置合わせ部44は、一対の芯出し線2のうち、一方の芯出し線2の位置に合わせて配置される。本実施の形態では、第1位置合わせ部44が一方の芯出し線2に接触して配置される。
【0023】
第2取付部43は、第2ガイドレール12を把持することにより第2ガイドレール12に取り付けられる。第2取付部43には、第2位置合わせ部45が設けられている。第2位置合わせ部45は、一対の芯出し線2のうち、他方の芯出し線2の位置に合わせて配置される。本実施の形態では、第2位置合わせ部45が他方の芯出し線2に接触して配置される。
【0024】
第1ゲージ4は、第1位置合わせ部44を一方の芯出し線2の位置に合わせ、かつ第2位置合わせ部45を他方の芯出し線2の位置に合わせることにより、一対の芯出し線2を基準とする位置に配置される。本実施の形態では、一対の芯出し線2の間に第1ゲージ4が配置される。第1ゲージ4は、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12に取り付けられるとともに、一対の芯出し線2を基準とする位置に配置されることにより、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12のそれぞれの芯出しを行う。
【0025】
第2ゲージ5は、第1ゲージ4から独立して配置される。第2ゲージ5は、第2レール把持部51と、第3レール把持部52とを有している。
【0026】
第2レール把持部51は、第2ガイドレール12を把持することにより第2ガイドレール12に第1ゲージ4から独立して取り付けられる。第2レール把持部51の位置は、第2ガイドレール12の長手方向において第1ゲージ4から離れた位置とされる。本実施の形態では、第1ゲージ4から上方へ離れた位置において第2レール把持部51が第2ガイドレール12に取り付けられる。第2レール把持部51は、受け部材511と、規制部材512とを有している。
【0027】
受け部材511の一部は、第2ガイドレール12のフランジ部15の背面に重ねられる。これにより、第2ガイドレール12の長手方向に沿って見たときの受け部材511は、第2ガイドレール12のフランジ部15の背面に沿って配置される。本実施の形態では、受け部材511が昇降路1の奥行き方向に沿って配置される。
【0028】
規制部材512は、切り欠き部513が設けられた板状部材である。切り欠き部513の形状は、第2ガイドレール12の案内部16の断面形状に合わせた形状である。第2レール把持部51では、第2ガイドレール12の案内部16が切り欠き部513に挿入されて第2ガイドレール12の案内部16に規制部材512が嵌った状態で、規制部材512が受け部材511に取り付けられる。本実施の形態では、締結具である複数の蝶ねじ514によって規制部材512が受け部材511に取り付けられる。
【0029】
第2レール把持部51は、受け部材511と規制部材512との間に第2ガイドレール12を挟んだ状態で第2ガイドレール12を把持する。これにより、第2レール把持部51が第2ガイドレール12に対して回転することが防止される。
【0030】
第3レール把持部52は、第3ガイドレール13を把持することにより第3ガイドレール13に取り付けられる。第3レール把持部52は、受け部材521と、規制部材522とを有している。
【0031】
受け部材521の一部は、第3ガイドレール13のフランジ部15の背面に重ねられる。これにより、第3ガイドレール13の長手方向に沿って見たときの受け部材521は、第3ガイドレール13のフランジ部15の背面に沿って配置される。本実施の形態では、受け部材521が昇降路1の幅方向に沿って配置される。
【0032】
規制部材522は、切り欠き部523が設けられた板状部材である。切り欠き部523の形状は、第3ガイドレール13の案内部16の断面形状に合わせた形状である。第3レール把持部52では、第3ガイドレール13の案内部16が切り欠き部523に挿入されて第3ガイドレール13の案内部16に規制部材522が嵌った状態で、規制部材522が受け部材521に取り付けられる。本実施の形態では、締結具である複数の蝶ねじ524によって規制部材522が受け部材521に取り付けられる。
【0033】
第3レール把持部52は、受け部材521と規制部材522との間に第3ガイドレール13を挟んだ状態で第3ガイドレール13を把持する。これにより、第3レール把持部52が第3ガイドレール13に対して回転することが防止される。
【0034】
第3レール把持部52の受け部材521は、締結具である複数のボルト53によって第2レール把持部51の受け部材511に固定されている。これにより、第3レール把持部52は、第2レール把持部51に固定されている。
【0035】
第2ゲージ5は、第3ガイドレール13に取り付けられるとともに、第2ガイドレール12に第1ゲージ4から独立して取り付けられることにより、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めを行う。
【0036】
第3ゲージ6は、第4レール把持部61と、複数のサブゲージ62とを有している。
【0037】
第4レール把持部61は、第4ガイドレール14を把持することにより第4ガイドレール14に取り付けられる。第4レール把持部61は、受け部材611と、規制部材612とを有している。
【0038】
受け部材611は、第4ガイドレール14のフランジ部15の背面に重ねられる。これにより、第4ガイドレール14の長手方向に沿って見たときの受け部材611は、第4ガイドレール14のフランジ部15の背面に沿って配置される。本実施の形態では、受け部材611が昇降路1の幅方向に沿って配置される。
【0039】
規制部材612は、切り欠き部613が設けられた板状部材である。切り欠き部613の形状は、第4ガイドレール14の案内部16の断面形状に合わせた形状である。第4レール把持部61では、第4ガイドレール14の案内部16が切り欠き部613に挿入されて第4ガイドレール14の案内部16に規制部材612が嵌った状態で、規制部材612が受け部材611に取り付けられる。本実施の形態では、締結具である複数の蝶ねじ614によって規制部材612が受け部材611に取り付けられる。
【0040】
第4レール把持部61は、受け部材611と規制部材612との間に第4ガイドレール14を挟んだ状態で第4ガイドレール14を把持する。これにより、第4レール把持部61が第4ガイドレール14に対して回転することが防止される。
【0041】
複数のサブゲージ62は、第4レール把持部61を第2ゲージ5に連結する複数の連結部である。複数のサブゲージ62は、水平方向へ並んで配置される。本実施の形態では、昇降路1の幅方向へ互いに間隔をあけて並んだ2つのサブゲージ62を介して第4レール把持部61が第2ゲージ5に連結される。
【0042】
各サブゲージ62の一端部は、接続具であるピン63によって第4レール把持部61の規制部材612に取り付けられる。各サブゲージ62の他端部は、接続具であるピン64によって第3レール把持部52の規制部材522に取り付けられる。複数のサブゲージ62が第3レール把持部52の規制部材522に取り付けられることにより、第3ゲージ6は第2ゲージ5に取り付けられる。
【0043】
第3ゲージ6は、第4ガイドレール14に取り付けられるとともに、第2ゲージ5に取り付けられることにより、第3ガイドレール13に対する第4ガイドレール14の位置決めを行う。
【0044】
次に、複数のガイドレール11~14の芯出しを行うエレベーターのガイドレール芯出し方法について説明する。
図2は、
図1のガイドレール芯出し装置3を用いたガイドレール芯出し方法を示すフローチャートである。ガイドレール芯出し方法は、第1ゲージ取付工程S1と、第2ゲージ取付工程S2と、第1ゲージ配置工程S3と、第3ゲージ取付工程S4とを有している。複数のガイドレール11~14の芯出しを行うときには、第1ゲージ取付工程S1、第2ゲージ取付工程S2、第1ゲージ配置工程S3及び第3ゲージ取付工程S4の順に、各工程を実施する。
【0045】
<第1ゲージ取付工程S1>
第1ゲージ取付工程S1では、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12に第1ゲージ4を取り付ける。
【0046】
図3は、
図1の第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12に第1ゲージ4が取り付けられた状態を示す斜視図である。第1ゲージ取付工程S1では、第1取付部42を第1ガイドレール11に取り付けるとともに、第2取付部43を第2ガイドレール12に取り付ける。これにより、第2ガイドレール12が第1ゲージ4を介して第1ガイドレール11に保持され、第1ガイドレール11に対する第2ガイドレール12の位置決めが行われる。第1ガイドレール11に対する第2ガイドレール12の位置決めが行われると、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12が互いに対向して配置される。
【0047】
<第2ゲージ取付工程S2>
第1ゲージ取付工程S1の後、第2ゲージ取付工程S2を実施する。第2ゲージ取付工程S2では、第3ガイドレール13に第2ゲージ5を取り付けるとともに、第2ガイドレール12に第1ゲージ4から独立して第2ゲージ5を取り付ける。
【0048】
図4は、
図3の第2ガイドレール12及び第3ガイドレール13に第2ゲージ5が取り付けられた状態を示す斜視図である。受け部材511には、受け部材521を複数のボルト53によって予め固定しておく。第2ゲージ取付工程S2では、第2レール把持部51を第2ガイドレール12に取り付けるとともに、第3レール把持部52を第3ガイドレール13に取り付ける。これにより、第3ガイドレール13が第2ゲージ5を介して第2ガイドレール12に保持され、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めが行われる。
【0049】
第2レール把持部51を第2ガイドレール12に取り付けるときには、第2ガイドレール12のフランジ部15の背面に受け部材511を重ねるとともに、第2ガイドレール12の案内部16に規制部材512を嵌める。この後、受け部材511に規制部材512を蝶ねじ514によって固定する。これにより、第2レール把持部51が第2ガイドレール12に取り付けられる。このとき、第2ガイドレール12の長手方向において第1ゲージ4の第2取付部43から離れた位置に第2レール把持部51を配置する。本実施の形態では、第1ゲージ4の第2取付部43から上方へ離れた位置に第2レール把持部51を配置する。
【0050】
第3レール把持部52を第3ガイドレール13に取り付けるときには、第3ガイドレール13のフランジ部15の背面に受け部材521を重ねるとともに、第3ガイドレール13の案内部16に規制部材522を嵌める。この後、受け部材521に規制部材522を蝶ねじ524によって固定する。これにより、第3レール把持部52が第3ガイドレール13に取り付けられる。
【0051】
<第1ゲージ配置工程S3>
第2ゲージ取付工程S2の後、第1ゲージ配置工程S3を実施する。第1ゲージ配置工程S3では、一対の芯出し線2を基準とする位置に第1ゲージ4を配置する。このとき、第1ゲージ4の第1位置合わせ部44を一方の芯出し線2の位置に合わせるとともに、第1ゲージ4の第2位置合わせ部45を他方の芯出し線2の位置に合わせる。このようにして、一対の芯出し線2を基準として第1ゲージ4の位置を調整する。
【0052】
第1ゲージ4の位置が一対の芯出し線2を基準として調整されると、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12のそれぞれの位置が一対の芯出し線2を基準として自動的に調整される。また、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めがすでに行われているため、第1ゲージ4の位置が一対の芯出し線2を基準として調整されると、第3ガイドレール13の位置も一対の芯出し線2を基準として自動的に調整される。これにより、第1ガイドレール11、第2ガイドレール12及び第3ガイドレール13のそれぞれの芯出しが同時に行われる。
【0053】
<第3ゲージ取付工程S4>
第1ゲージ配置工程S3の後、第3ゲージ取付工程S4を実施する。第3ゲージ取付工程S4では、
図1に示すように、第4ガイドレール14に第3ゲージ6を取り付けるとともに、第2ゲージ5に第3ゲージ6を取り付ける。これにより、第3ガイドレール13に取り付けられた第2ゲージ5に第4ガイドレール14が第3ゲージ6を介して保持され、第3ガイドレール13に対する第4ガイドレール14の位置決めが行われる。第3ガイドレール13に対する第4ガイドレール14の位置決めが行われると、第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14が互いに対向して配置される。第3ガイドレール13の芯出しがすでに行われているため、第3ガイドレール13に対する第4ガイドレール14の位置決めが行われることにより第4ガイドレール14の芯出しが行われる。
【0054】
第3ゲージ取付工程S4では、第4レール把持部61を第4ガイドレール14に取り付けるとともに、第4レール把持部61を第2ゲージ5に複数のサブゲージ62によって連結する。
【0055】
第4レール把持部61を第4ガイドレール14に取り付けるときには、第4ガイドレール14のフランジ部15の背面に受け部材611を重ねるとともに、第4ガイドレール14の案内部16に規制部材612を嵌める。この後、受け部材611に規制部材612を蝶ねじ614によって固定する。これにより、第4レール把持部61が第4ガイドレール14に取り付けられる。
【0056】
第4レール把持部61を第2ゲージ5に連結するときには、各サブゲージ62の一端部をピン63によって規制部材612に取り付け、各サブゲージ62の他端部をピン64によって規制部材522に取り付ける。これにより、第4レール把持部61が第2ゲージ5に複数のサブゲージ62によって連結される。
【0057】
各ガイドレール11~14は、単位レールが連続して継ぎ合わされてそれぞれ構成されている。ガイドレール芯出し方法では、昇降路1の底部から上方へ各ガイドレール11~14において単位レールを継ぎ合わせながらガイドレール芯出し装置3を昇降路1の底部から上方へ順次移動させることにより、各ガイドレール11~14の芯出しを順次行う。作業者は、昇降路1内を上下方向へ移動可能な作業床に乗って作業を行う。芯出しが行われた各ガイドレール11~14は、昇降路1内のブラケットに強固に固定される。
【0058】
このようなガイドレール芯出し装置3では、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めを行うための第2ゲージ5が、第1ゲージ4から独立して第2ガイドレール12に取り付けられる。このため、第1ゲージ4の位置に制限されずに第2ゲージ5の位置を決めることができる。これにより、ブラケットなどの障害物があっても障害物を避けて第2ゲージ5を配置することができ、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めをより確実に行うことができる。従って、複数のガイドレール11~14の芯出しをより確実に行うことができる。
【0059】
また、互いに独立した第1ゲージ4及び第2ゲージ5が共通の第2ガイドレール12に取り付けられるため、第1ゲージ4に対する第2ゲージ5の位置決めを行う必要がなくなる。これにより、第1ゲージ4に対する第2ゲージ5の位置決めを行うためのサブゲージをなくすことができる。従って、サブゲージの数及び種類を少なくすることができ、ガイドレール芯出し装置3のコストの低減化を図ることができる。また、作業者の作業エリア内にサブゲージが配置される状態を回避することができ、サブゲージを避けながら複数のガイドレール11~14の芯出しを行う作業の負担を軽減することもできる。
【0060】
また、第2ゲージ5は、第2ガイドレール12を把持する第2レール把持部51と、第3ガイドレール13を把持する第3レール把持部52とを有している。このため、第2ガイドレール12及び第3ガイドレール13のそれぞれに対する第2ゲージ5の位置ずれを抑制することができる。これにより、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めをより確実に行うことができ、複数のガイドレール11~14の芯出しをさらに確実に行うことができる。
【0061】
また、第3ゲージ6は、第4ガイドレール14を把持する第4レール把持部61と、第4レール把持部61を第2ゲージ5に連結する複数のサブゲージ62とを有している。このため、第4ガイドレール14に対する第3ゲージ6の位置ずれを抑制することができるとともに、第2ゲージ5に対する第4レール把持部61の位置決めをより確実に行うことができる。これにより、第3ガイドレール13に対する第4ガイドレール14の位置決めをより確実に行うことができる。また、複数のサブゲージ62の長さを同じにすることができるため、サブゲージ62の種類を少なくすることができる。これにより、ガイドレール芯出し装置3のコストの低減化を図ることができる。
【0062】
また、このようなガイドレール芯出し方法では、第2ゲージ取付工程S2において、第1ゲージ4から独立して第2ガイドレール12に第2ゲージ5を取り付ける。このため、第1ゲージ4の位置に制限されずに第2ゲージ5の位置を決めることができる。これにより、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置決めをより確実に行うことができ、複数のガイドレール11~14の芯出しをより確実に行うことができる。また、互いに独立した第1ゲージ4及び第2ゲージ5が共通の第2ガイドレール12に取り付けられるため、第1ゲージ4に対する第2ゲージ5の位置決めを行うためのサブゲージをなくすことができる。従って、ガイドレール芯出し装置3のコストの低減化を図ることができるとともに、複数のガイドレール11~14の芯出しを行う作業の負担を軽減することができる。
【0063】
また、第1ゲージ配置工程S3は、第2ゲージ取付工程S2の後に実施する。このため、第2ガイドレール12に対する第3ガイドレール13の位置が決まった状態で、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12のそれぞれの芯出しを行うことができる。従って、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12のそれぞれの芯出し行うことにより、第3ガイドレール13の芯出しを自動的に行うことができる。これにより、複数のガイドレール11~14の芯出しを容易に行うことができる。
【0064】
なお、上記実施の形態では、第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14が、昇降路1の奥行き方向において互いに対向して配置されている。しかし、第3ガイドレール13及び第4ガイドレール14は、昇降路1の幅方向において互いに対向して配置されていてもよい。この場合、第3ガイドレール13は、第4ガイドレール14よりも第2ガイドレール12に近い位置に配置される。また、この場合、第2ガイドレール12は、第1ガイドレール11よりも第3ガイドレール13に近い位置に配置される。この場合、昇降路1を上から見たとき、昇降路1の奥行き方向におけるかごの隣に釣合おもりが配置される。
【0065】
また、上記実施の形態では、第1ゲージ配置工程S3が第2ゲージ取付工程S2の後に実施されている。しかし、第2ゲージ取付工程S2の前で、かつ第1ゲージ取付工程S1の後に第1ゲージ配置工程S3を実施してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、第2ゲージ取付工程S2が第1ゲージ取付工程S1の後に実施されている。しかし、第1ゲージ取付工程S1の前に第2ゲージ取付工程S2を実施してもよい。
【0067】
以上、上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
2 芯出し線、3 ガイドレール芯出し装置、4 第1ゲージ、5 第2ゲージ、6 第3ゲージ、11 第1ガイドレール、12 第2ガイドレール、13 第3ガイドレール、14 第4ガイドレール、51 第2レール把持部、52 第3レール把持部、61 第4レール把持部、62 サブゲージ(連結部)。
【要約】
【課題】複数のガイドレールの芯出しをより確実に行うことができるエレベーターのガイドレール芯出し装置を提供する。
【解決手段】エレベーターのガイドレール芯出し装置3において、第1ゲージ4は、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール12に取り付けられるとともに、一対の芯出し線2を基準とする位置に配置される。第2ゲージ5は、第3ガイドレール13に取り付けられるとともに、第2ガイドレール12に第1ゲージ4から独立して取り付けられる。第3ゲージ6は、第4ガイドレール14に取り付けられるとともに、第2ゲージ5に取り付けられる。
【選択図】
図1