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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】実装基板及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/18 20060101AFI20241011BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20241011BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20241011BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20241011BHJP
   H05K 7/12 20060101ALN20241011BHJP
【FI】
G06F1/18 E
G06F1/16 312E
G06F1/16 312G
H05K9/00 G
H01R12/72
H05K7/12 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024048214
(22)【出願日】2024-03-25
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 文武
(72)【発明者】
【氏名】大澤 治武
(72)【発明者】
【氏名】中田 宗文
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 純
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-74200(JP,A)
【文献】特開2007-95648(JP,A)
【文献】特開2018-114601(JP,A)
【文献】特開2000-228254(JP,A)
【文献】特開2015-201346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/18
G06F 1/16
H05K 9/00
H01R 12/72
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板であって、
実装面を有する基板と、
前記基板の面方向に沿って開口するコネクタ接続穴を有し、前記基板の実装面に実装された表面実装コネクタと、
プラグが接続されるプラグ接続口と、前記コネクタ接続穴に着脱自在に接続される中継コネクタと、を有するレセプタクルコネクタと、
を備え、
前記表面実装コネクタは、
前記コネクタ接続穴の高さ方向で一方側の第1内面に設けられた第1接点と、
前記高さ方向で他方側の第2内面に設けられた第2接点と、
を有し、
前記中継コネクタは、
前記コネクタ接続穴に挿入される板片と、
前記板片の一面に設けられ、前記第1接点と接続される第1端子と、
前記板片の他面に設けられ、前記第2接点と接続される第2端子と、
を有し、
前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第1接点が前記第2接点よりも開口側に位置ずれして配置され、
前記第1端子は、第1グランドピン及び第1信号ピンを有すると共に、前記第1グランドピンの先端が前記第1信号ピンの先端よりも前記板片の先端側に突出している
ことを特徴とする実装基板。
【請求項2】
請求項1に記載の実装基板であって、
前記第2端子は、第2グランドピン及び第2信号ピンを有すると共に、前記第2グランドピンの先端と前記第2信号ピンの先端の位置が揃っている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の実装基板であって、
前記第1内面は、前記コネクタ接続穴の高さ方向で前記実装面側に位置する面であり、
前記第2内面は、前記コネクタ接続穴の高さ方向で前記実装面側とは反対側に位置する面である
ことを特徴とする実装基板。
【請求項4】
請求項3に記載の実装基板であって、
前記コネクタ接続穴の開口縁部は、
前記第1内面の縁部である第1縁部と、
前記第2内面の縁部である第2縁部と、
を有し、
前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第2縁部が前記第1縁部よりも奥側に位置ずれしている
ことを特徴とする実装基板。
【請求項5】
請求項4に記載の実装基板であって、
前記第2縁部は、前記コネクタ接続穴の奥側から開口側に向かって、次第に前記実装面から離れる方向に傾斜した傾斜面を有する
ことを特徴とする実装基板。
【請求項6】
請求項4に記載の実装基板であって、
前記コネクタ接続穴は、前記第1接点より奥側の部分を前記高さ方向で前記実装面側へと窪ませた拡張空間を有する
ことを特徴とする実装基板。
【請求項7】
筐体と、前記筐体に支持された実装基板と、を備える電子機器であって、
前記実装基板は、
実装面を有する基板と、
前記基板の面方向に沿って開口するコネクタ接続穴を有し、前記基板の実装面に実装された表面実装コネクタと、
プラグが接続されるプラグ接続口と、前記コネクタ接続穴に着脱自在に接続される中継コネクタと、を有するレセプタクルコネクタと、
を備え、
前記表面実装コネクタは、
前記コネクタ接続穴の高さ方向で一方側の第1内面に設けられた第1接点と、
前記高さ方向で他方側の第2内面に設けられた第2接点と、
を有し、
前記中継コネクタは、
前記コネクタ接続穴に挿入される板片と、
前記板片の一面に設けられ、前記第1接点と接続される第1端子と、
前記板片の他面に設けられ、前記第2接点と接続される第2端子と、
を有し、
前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第1接点が前記第2接点よりも開口側に位置ずれして配置され、
前記第1端子は、第1グランドピン及び第1信号ピンを有すると共に、前記第1グランドピンの先端が前記第1信号ピンの先端よりも前記板片の先端側に突出している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記第2端子は、第2グランドピン及び第2信号ピンを有すると共に、前記第2グランドピンの先端と前記第2信号ピンの先端の位置が揃っている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電子機器であって、
前記第1内面は、前記コネクタ接続穴の高さ方向で前記実装面側に位置する面であり、
前記第2内面は、前記コネクタ接続穴の高さ方向で前記実装面側とは反対側に位置する面である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器であって、
前記筐体は、
前記基板の実装面とは反対側の面を支持したプレート部と、
前記プラグ接続口が対向配置される貫通孔が形成され、前記プレート部の縁部から起立する立壁と、
を有し、
前記コネクタ接続穴の開口縁部は、
前記第1内面の縁部である第1縁部と、
前記第2内面の縁部である第2縁部と、
を有し、
前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第2縁部が前記第1縁部よりも奥側に位置ずれしている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項10に記載の電子機器であって、
前記第2縁部は、前記コネクタ接続穴の奥側から開口側に向かって、次第に前記実装面から離れる方向に傾斜した傾斜面を有し、
前記傾斜面の延長線が前記立壁と交差しない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項10に記載の電子機器であって、
前記コネクタ接続穴は、前記第1内面の前記第1接点より奥側の部分を前記高さ方向で前記実装面側へと窪ませた拡張空間を有する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセプタクルコネクタを備える実装基板及び該実装基板を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PC又はタブレット型PC等の電子機器は、扁平形状の筐体の側面にI/Oコネクタとしてのレセプタクルコネクタを備えている。レセプタクルコネクタはメイン基板の縁に実装されていることが多い(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-36484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のような電子機器は、ESG(Environment Social Governance)の観点から保守性に優れた製品が望まれている。この観点から、レセプタクルコネクタは容易に交換できることが望ましい。特に、レセプタクルコネクタが使用頻度の高いUSBタイプC(USB Type-C)規格等に準拠する場合は故障件数も多く、容易に交換できることが一層望ましい。
【0005】
ところで、レセプタクルコネクタの交換の際、コネクタを帯電させたままシステムに組み込んでしまうと、帯電した静電気が放電される。そうすると内部回路から電子部品へと大きな電流が流れ、電子部品が破壊される静電破壊(ESD破壊)を引き起こす懸念がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、レセプタクルコネクタを取り付ける際の静電破壊を抑制することができる実装基板及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る実装基板は、実装面を有する基板と、前記基板の面方向に沿って開口するコネクタ接続穴を有し、前記基板の実装面に実装された表面実装コネクタと、プラグが接続されるプラグ接続口と、前記コネクタ接続穴に着脱自在に接続される中継コネクタと、を有するレセプタクルコネクタと、を備え、前記表面実装コネクタは、前記コネクタ接続穴の高さ方向で一方側の第1内面に設けられた第1接点と、前記高さ方向で他方側の第2内面に設けられた第2接点と、を有し、前記中継コネクタは、前記コネクタ接続穴に挿入される板片と、前記板片の一面に設けられ、前記第1接点と接続される第1端子と、前記板片の他面に設けられ、前記第2接点と接続される第2端子と、を有し、前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第1接点が前記第2接点よりも開口側に位置ずれして配置され、前記第1端子は、第1グランドピン及び第1信号ピンを有すると共に、前記第1グランドピンの先端が前記第1信号ピンの先端よりも前記板片の先端側に突出している。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器は、筐体と、前記筐体に支持された実装基板と、を備える電子機器であって、前記実装基板は、実装面を有する基板と、前記基板の面方向に沿って開口するコネクタ接続穴を有し、前記基板の実装面に実装された表面実装コネクタと、プラグが接続されるプラグ接続口と、前記コネクタ接続穴に着脱自在に接続される中継コネクタと、を有するレセプタクルコネクタと、を備え、前記表面実装コネクタは、前記コネクタ接続穴の高さ方向で一方側の第1内面に設けられた第1接点と、前記高さ方向で他方側の第2内面に設けられた第2接点と、を有し、前記中継コネクタは、前記コネクタ接続穴に挿入される板片と、前記板片の一面に設けられ、前記第1接点と接続される第1端子と、前記板片の他面に設けられ、前記第2接点と接続される第2端子と、を有し、前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第1接点が前記第2接点よりも開口側に位置ずれして配置され、前記第1端子は、第1グランドピン及び第1信号ピンを有すると共に、前記第1グランドピンの先端が前記第1信号ピンの先端よりも前記板片の先端側に突出している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、セプタクルコネクタを取り付ける際の静電破壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2図2は、レセプタクルコネクタ及び表面実装コネクタを外側斜め上から見た斜視図である。
図3図3は、レセプタクルコネクタ及び表面実装コネクタを外側斜め下から見た断面斜視図である。
図4図4は、レセプタクルコネクタ及びその周辺部での筐体の模式的な側面断面図である。
図5A図5Aは、レセプタクルコネクタを一面側から見た模式的な底面図である。
図5B図5Bは、レセプタクルコネクタを他面側から見た模式的な平面図である。
図6A図6Aは、中継コネクタを表面実装コネクタに接続する直前の状態を示す説明図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すグランドピンが第1接点に接触した直後の状態を示す説明図である。
図7図7は、レセプタクルコネクタを表面実装コネクタに接続する動作を示す模式的な側面断面図である。
図8図8は、図7に示す第1端子のグランドピンが表面実装コネクタの第1接点に接触した状態を示す図である。
図9図9は、図8に示すレセプタクルコネクタをチルトダウンさせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実装基板及び電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10の斜視図である。電子機器10は、一実施形態にかかる実装基板12を搭載している。実装基板12は電子機器10の筐体14の内部に組み込まれている。以下では、ノート型PCである電子機器10を例示して本発明の実施形態を説明する。本発明は、ノート型PC以外の電子機器、例えばデスクトップ型PC又はタブレット型PC(タブレット端末)等に適用することもできる。
【0013】
電子機器10は、筐体14と、蓋体16と、ヒンジ18とを備える。筐体14と蓋体16との間はヒンジ18によって相対的に回転可能に連結されている。
【0014】
筐体14には、キーボード装置20及びタッチパッド22が設けられている。筐体14の内部には、実装基板12の他、バッテリ装置、記憶装置、スピーカ、及びアンテナ等の各種電子部品を搭載することができる。蓋体16の正面にはその面積の大部分を占める表示装置24が設けられている。表示装置24は例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成できる。蓋体16にはスピーカ及びカメラ等を搭載することもできる。
【0015】
実装基板12は、筐体14の内部で支持されている。実装基板12は、レセプタクルコネクタ26と、表面実装コネクタ27と、基板28とを備えることができる。実装基板12は基板28に表面実装コネクタ27を介してレセプタクルコネクタ26を実装したコネクタ・基板アセンブリである。
【0016】
基板28は電子機器10におけるメイン基板(マザーボード)である。基板28はプリント基板(PCB:Printed Circuit Board)である。基板28は筐体14の内部において略左右両端に亘って延在している。基板28には電子機器10の全体を制御するCPU29が実装されている。表面実装コネクタ27は基板28に実装されている。レセプタクルコネクタ26は表面実装コネクタ27を介して基板28に実装されている。表面実装コネクタ27が実装される基板28は、メイン基板とは別のサブ基板であってもよい。
【0017】
説明の便宜上、レセプタクルコネクタ26の周辺では、筐体14の側方を外側とし、その反対で筐体14の内部を内側とする。また、基板28を基準として、表面実装コネクタ27が実装されている実装面28a側を上、その反対側を下とする。この上下の基準は図1に示す筐体14の上下とは逆になる場合がある。つまり基板28を基準とした上下を筐体14に当てはめると、キーボード装置20が設けられている面が下となることがある。レセプタクルコネクタ26及び表面実装コネクタ27については、内外方向及び上下方向に直交する方向を幅方向とする。これらの方向の呼称は説明の便宜上のものであって、電子機器10の使用態様はこれに限定されない。
【0018】
図2は、レセプタクルコネクタ26及び表面実装コネクタ27を外側斜め上から見た斜視図である。図3は、レセプタクルコネクタ26及び表面実装コネクタ27を外側斜め下から見た断面斜視図である。図4は、レセプタクルコネクタ26及びその周辺部での筐体14の模式的な側面断面図である。
【0019】
先ず、レセプタクルコネクタ26の構成例を説明する。
【0020】
図2図4に示すように、レセプタクルコネクタ26は、例えばUSBタイプC規格に準拠したコネクタである。レセプタクルコネクタ26はデータ伝送や充電に用いることができる。レセプタクルコネクタ26はHDMI(登録商標)規格等に準拠したものでもよい。レセプタクルコネクタ26は表面実装コネクタ27を介して基板28に実装される。これによりレセプタクルコネクタ26は基板28に半田付けされず、着脱が可能である。
【0021】
レセプタクルコネクタ26は、プラグ保持筒体30と、中継コネクタ32と、シェル34とを備える。
【0022】
レセプタクルコネクタ26は、中継コネクタ32が実装面28aに実装された表面実装コネクタ27に接続される。そうするとプラグ保持筒体30が基板28に形成された切欠28cに嵌まり込むように配置される。これによりレセプタクルコネクタ26は、いわゆるミッドマウント方式で基板28の実装面28aに実装できる。
【0023】
プラグ保持筒体30は金属製の筒状体である。プラグ保持筒体30は四隅が丸まった扁平楕円形状を成している。プラグ保持筒体30はレセプタクルコネクタ26の最も外側にあり、中継コネクタ32よりも下に位置している。
【0024】
筐体14の側面を形成する立壁55には貫通孔(コネクタ孔)55aが形成されている(図1も参照)。プラグ保持筒体30は貫通孔55aに対向配置される。これによりプラグ保持筒体30のプラグ接続口30aは貫通孔55aを通して筐体14外に露出する。プラグ接続口30aはプラグ36を挿入及び接続することができる(図4参照)。プラグ36は、ケーブルやデバイスに装着されたプラグコネクタである。プラグ接続口30aとプラグ36との接続規格は例えばUSBタイプC規格に準拠している。プラグ36は上下の向きを問わずにプラグ接続口30aに挿入及び接続できる。
【0025】
プラグ保持筒体30内には舌片状の板片38が設けられている。板片38の下面及び上面にはそれぞれ接点38a,38bが設けられている。各接点38a,38bはプラグ36の端子が接触する。接点38a,38bはそれぞれ板片38の幅方向に並列された複数の金属ピンで構成されている。各接点38a,38bは、それぞれ電極ラインを用いて中継コネクタ32の各端子41,42と接続されている。接点38a,38b及び端子41,42は、例えばそれぞれ24本の金属ピンを有する。
【0026】
中継コネクタ32はレセプタクルコネクタ26の最も内側にある。中継コネクタ32は実装面28aの上に位置する。中継コネクタ32はプラグ構造を有することができる。中継コネクタ32は表面実装コネクタ27のコネクタ接続穴46に着脱自在に接続できる。
【0027】
中継コネクタ32は、舌片状の板片40と、板片40の下面(一面40a)に設けられた第1端子41と、板片40の上面(他面40b)に設けられた第2端子42とを有することができる。端子41,42は例えば板片40の幅方向に並列された複数の金属ピンで構成されている。端子41,42は例えばそれぞれ12本の金属ピンを有する。
【0028】
シェル34は薄い金属板金部品である。シェル34は、プラグ保持筒体30のプラグ接続口30aを除く外周面と、中継コネクタ32の上面及び側面を覆っている。シェル34は、幅方向で一対の固定片34a,34a及び固定片34b,34bを有する。各固定片34aはプラグ保持筒体30の側面から互いに反対方向に突出している。各固定片34bは中継コネクタ32の側面から互いに反対方向に突出している。固定片34a,34bは基板28に対してレセプタクルコネクタ26を固定するために用いることができる。各固定片34a,34bには、それぞれねじ挿通孔が形成されている。基板28には、各固定片34a,34bに対応する位置にねじ挿通孔28dが形成されている(図2参照)。固定片34bは省略することもできる。
【0029】
筐体14の内面を形成するプレート部54にはスタッド60が起立形成されている(図4参照)。スタッド60の頂面(上端面)には雌ねじが開口形成されている。スタッド60の頂面は基板28の実装面28aの裏面28bに当接する。スタッド60の雌ねじには、各固定片34a,34bのねじ挿通孔及び基板28のねじ挿通孔28dに通されたねじが螺合される。これによりシェル34が基板28に締結され、レセプタクルコネクタ26が基板28に固定される。同時に基板28のレセプタクルコネクタ26の周辺も筐体14に支持される。
【0030】
次に、表面実装コネクタ27の構成例を説明する。
【0031】
図2図4に示すように、表面実装コネクタ27は、接続面27aを基板28の実装面28aに半田付けで固定して実装できる。表面実装コネクタ27は、レセプタクルコネクタ26の中継コネクタ32を着脱自在に接続できる。本実施形態では中継コネクタ32がプラグ構造であるため、表面実装コネクタ27はソケット構造である。表面実装コネクタ27及び中継コネクタ32は基板対基板コネクタによって構成することができる。
【0032】
表面実装コネクタ27はコネクタ接続穴46を有する。コネクタ接続穴46は基板28の面方向に沿って延在し、外側を向いて開口している。コネクタ接続穴46の開口縁部は第1縁部48a及び第2縁部49aを有する。第1縁部48aは実装面28a側(下側)の縁部である。第2縁部49aは実装面28a側とは反対側(上側)の縁部である。縁部48a,49aはコネクタ接続穴46の幅方向に延在する。
【0033】
コネクタ接続穴46の内面には接点51,52が設けられている。接点51,52はそれぞれ中継コネクタ32の端子41,42と接触し、互いに導通する。
【0034】
コネクタ接続穴46の内面は第1内面48及び第2内面49を有する。第1内面48はコネクタ接続穴46の高さ方向(上下方向)で一方側(下側)にある底面である。第1内面48は第1縁部48aからコネクタ接続穴46の奥行方向(内外方向)で内側に向かって延在している。第2内面49はコネクタ接続穴46の高さ方向で他方側(上側)にある天井面である。第2内面49は第2縁部49aからコネクタ接続穴46の奥行方向で内側に向かって延在している。
【0035】
第1接点51は第1内面48に設けられている。第2接点52は第2内面49に設けられている。各接点51,52は、それぞれ基板28に形成された信号線又はグランドパターンと接続される。接点51,52はそれぞれコネクタ接続穴46の幅方向に並列された複数の金属ピンで構成されている。接点51,52は例えばそれぞれ12本の金属ピンを有する。各接点51,52には中継コネクタ32の端子41,42がそれぞれ接触し、導通する。
【0036】
図4に示すように、コネクタ接続穴46の奥行方向で、第2縁部49aが第1縁部48aよりも奥側に位置ずれしている。逆に言えば、コネクタ接続穴46の奥行方向で、第1縁部48aが第2縁部49aよりも開口側に位置ずれしている。従って、コネクタ接続穴46は、上顎となる第2縁部49aよりも下顎となる第1縁部48aが外側に突き出している。これによりコネクタ接続穴46の開口縁部は上方が開放された開放空間S1を形成している。開放空間S1は、コネクタ接続穴46に挿入された中継コネクタ32の根本部分が上方へと首振りすることを許容する空間である。
【0037】
開放空間S1に面する第2縁部49aには傾斜面49bが形成されている。傾斜面49bは、コネクタ接続穴46の奥側(内側)から開口側(外側)に向かって、次第に実装面28aから離れる方向(上)に傾斜している。基板28の面方向に対する傾斜面49bの傾斜角度は限定されないが、例えば20度~40度程度に設定することができる。本実施形態での傾斜角度は約30度である。傾斜面49bの傾斜角度は後述する立壁55の起立高さ及びレセプタクルコネクタ26の上下方向の高さ等を考慮して設計できる。傾斜面49bの傾斜角度は、例えば図8中の延長線E1,E2が立壁55に交差しない角度とすることが望ましい。
【0038】
コネクタ接続穴46は、第1内面48の第1接点51より奥側の部分を実装面28a側(下)に窪ませた拡張空間S2を有することができる。拡張空間S2は、コネクタ接続穴46の奥部を下方に拡張した空間である。拡張空間S2は、コネクタ接続穴46に挿入された中継コネクタ32の先端部分が下方へと首振りすることを許容する空間である。
【0039】
図4に示すように、筐体14は、プレート部54及び立壁55を有する筐体部材56と、カバー材58とを備えることができる。
【0040】
筐体部材56はプレート部54の外周縁部に立壁55を形成したことで浅いバスタブ形状を有することができる。プレート部54は筐体14の操作面14aを形成する。操作面14aはキーボード装置20及びタッチパッド22が露出した面である(図1参照)。プレート部54の内面54aにはスタッド60を起立形成することができる。スタッド60は少なくとも4つの固定片34a,34bに対応する位置に配置される。上記したように、スタッド60はレセプタクルコネクタ26を基板28に締結するために用いることができる。基板28はレセプタクルコネクタ26の周辺以外の部分もプレート部54の内面54aに対して適宜支持されている。
【0041】
立壁55は、プレート部54の外周の縁部から上に向かって起立している。筐体14の側面を形成する立壁55には貫通孔55aが形成されている(図1も参照)。貫通孔55aはレセプタクルコネクタ26のプラグ接続口30aが対向する。貫通孔55aはプラグ36をプラグ接続口30aに接続させるための開口である。
【0042】
カバー材58は筐体部材56の開口を塞ぐプレート状部材である。カバー材58の縁部にはテーパ部58aを設けることができる。テーパ部58aは立壁55の先端(上端55b)から内側へと傾斜する。レセプタクルコネクタ26は、中継コネクタ32とプラグ保持筒体30との上下の段差がテーパ部58aの内面を回り込むように配置することができる。
【0043】
図4に示すように、レセプタクルコネクタ26は、表面実装コネクタ27を介して基板28に実装され、スタッド60を介して基板28及び筐体14に支持されることができる。この状態において、プラグ接続口30aの開口端(外側端面30b)と立壁55の内面との間には、所定の隙間C1を設けることができる。隙間C1は立壁55とプラグ接続口30aとの対向距離である。隙間C1は例えば0.2mmとすることができる。プラグ保持筒体30の先端は立壁55の内面に接触し、又は貫通孔55aに挿入されていてもよい。この場合、隙間C1はゼロ又はマイナスになる。
【0044】
この状態において、コネクタ接続穴46の奥面46aと中継コネクタ32の先端面32aとの間には、所定の隙間C2を設けることができる。隙間C2は例えば0.5mmとすることができる。つまり隙間C2は隙間C1よりも大きく設定することができる。隙間C2は、後述するレセプタクルコネクタ26の取外動作及び取付動作時に中継コネクタ32をコネクタ接続穴46の奥側に向かって移動させる空間を形成している。
【0045】
次に、中継コネクタ32の具体的な構成例と、中継コネクタ32と表面実装コネクタ27の接続構造を説明する。
【0046】
図5Aは、レセプタクルコネクタ26を一面40a側から見た模式的な底面図である。図5Bは、レセプタクルコネクタ26を他面40b側から見た模式的な平面図である。図6Aは、中継コネクタ32を表面実装コネクタ27に接続する直前の状態を示す説明図である。図6Bは、図6Aに示すグランドピン42aが第1接点51に接触した直後の状態を示す説明図である。図6A及び図6Bにおいて、表面実装コネクタ27は上下方向に直交する平面で切断し、第1接点51を上から見た平面視で図示している。また中継コネクタ32は第1端子41以外の構成要素を省略し、第1端子41を上から見た平面視で図示している。
【0047】
図5Aに示すように、中継コネクタ32の第1端子41は、複数の金属ピンが板片40の一面40aの幅方向に並列されている。第1端子41を構成する金属ピンは、2本のグランドピン41a,41aと、2本の高速送信ピン41b,41bと、2本の高速受信ピン41c,41cと、2本の電源ピン41d,41dと、プラグ向き検知ピン41eと、拡張用ピン41fと、低速送信ピン41gと、低速受信ピン41hとを有することができる。
【0048】
グランドピン41aは第1接点51を介して基板28のグランドパターンに接続されるグランドピンである。高速送信ピン41b、高速受信ピン41c、プラグ向き検知ピン41e、拡張用ピン41f、低速送信ピン41g、及び低速受信ピン41hは第1接点51を介して基板28の信号線に接続される信号ピンである。電源ピン41dは第1接点51を介して基板28の電源線に接続される電源ピンである。
【0049】
グランドピン41aは板片40の幅方向の両端に配置されている。2本の高速送信ピン41bは一方のグランドピン41aの隣で並んでいる。2本の高速受信ピン41cは他方のグランドピン41aの隣で並んでいる。電源ピン41dは高速送信ピン41bの隣と高速受信ピン41cの隣にそれぞれ配置されている。プラグ向き検知ピン41eは高速送信ピン41bの隣にある電源ピン41dの隣に配置されている。拡張用ピン41fは高速受信ピン41cの隣にある電源ピン41dの隣に配置されている。低速送信ピン41gはプラグ向き検知ピン41eの隣に配置されている。低速受信ピン41hは拡張用ピン41fの隣に配置されている。
【0050】
図5Bに示すように、中継コネクタ32の第2端子42は、複数の金属ピンが板片40の他面40bの幅方向に並列されている。第2端子42を構成する金属ピンは、2本のグランドピン42a,42aと、2本の高速送信ピン42b,42bと、2本の高速受信ピン42c,42cと、2本の電源ピン42d,42dと、プラグ向き検知ピン42eと、拡張用ピン42fと、低速送信ピン42gと、低速受信ピン42hとを有することができる。
【0051】
グランドピン42aは第2接点52を介して基板28のグランドパターンに接続されるグランドピンである。高速送信ピン42b、高速受信ピン42c、プラグ向き検知ピン42e、拡張用ピン42f、低速送信ピン42g、及び低速受信ピン42hは第2接点52を介して基板28の信号線に接続される信号ピンである。電源ピン42dは第2接点52を介して基板28の電源線に接続される電源ピンである。第2端子42の各ピン42a~42hの並び順は、第1端子41の各ピン41a~41hの並び順と上下反転している。端子41,42の金属ピンの本数や配置順は、レセプタクルコネクタ26が対応する接続規格によって変更されるものであり、相手側となる接点51,52についても同様である。
【0052】
図5Aに示すように、本実施形態の第1端子41は、グランドピン(第1グランドピン)41aの先端が、信号ピン(第1信号ピン)である高速送信ピン41b及び高速受信ピン41c等の先端よりも板片40の先端側(内側)に突出している。第1端子41は、グランドピン(第1グランドピン)41aの先端が、電源ピン41dの先端よりも板片40の先端側(内側)に突出している。つまりグランドピン41aの先端が他のピン41b~41hの先端よりも板片40の先端側に位置ずれしている。
【0053】
図5Bに示すように、本実施形態の第2端子42は、グランドピン(第2グランドピン)42aの先端と、信号ピン(第2信号ピン)である高速送信ピン42b等の先端の位置が揃っている。第2端子42は、グランドピン(第2グランドピン)42aの先端と、電源ピン42dの先端の位置が揃っている。なお、グランドピン42aの先端と他のピン42b~42hの先端の位置が揃っているとは、各先端の位置が内外方向に完全に一致している場合は勿論、製造交差や組付誤差等に起因した僅かな位置ずれがある場合も含む概念であることは言うまでもない。
【0054】
このような中継コネクタ32は、図6A及び図6Bに示すように表面実装コネクタ27に接続される。この接続時、第1端子41では、両端のグランドピン41aが他のピン41b~42hよりも先に第1接点51に接触する。なお、第2接点52は第1接点51よりもコネクタ接続穴46の奥側(内側)に位置ずれしている(図7等参照)。従って、第1端子41のグランドピン41aが第1接点51に接触したタイミングでは、第2端子42は第2接点52には接触しない(図8参照)。
【0055】
次に、レセプタクルコネクタ26の取付動作及びその作用効果を説明する。
【0056】
図7図9に示すように、レセプタクルコネクタ26の表面実装コネクタ27に対する取付動作は筐体部材56からカバー材58を取り外した状態で行う。
【0057】
先ず、図7及び図8に白抜き矢印で示すように、レセプタクルコネクタ26を内側斜め下方に向かって移動させ、中継コネクタ32をコネクタ接続穴46に挿入する。
【0058】
この際、表面実装コネクタ27はコネクタ接続穴46の奥行方向(内外方向)で第1接点51が第2接点52よりも開口側(外側)に位置ずれしている。第1端子41はグランドピン41aの先端が信号ピンである高速送信ピン41b等の先端よりも板片40の先端側に突出している。このため中継コネクタ32は表面実装コネクタ27に接続される際、最初にグランドピン41aが第1接点51に接触する。この接触タイミングでは、他のピン41b~41h及び第2端子42の各ピン42a~42hは接点51,52に接触しない(図6B及び図8参照)。
【0059】
すなわち、中継コネクタ32の表面実装コネクタ27への接続時、中継コネクタ32が静電気を帯電している場合がある。このような場合であっても、本実施形態の実装基板12はグランドピン41aが第1接点51に接触した時点で帯電している静電気がグランド放電される。このため、静電気による大電流が信号ピンである高速送信ピン41b等を介して基板28の信号線へと流れることを回避できる。その結果、電子機器10及び実装基板12は、基板28に実装された他の電子部品及び筐体14及び蓋体16に搭載された他の電子部品が静電破壊(ESD破壊)してしまうことを抑制できる。
【0060】
図4及び図6Bに示すように、ここでは、グランドピン41aの先端と高速送信ピン41b等の先端との間の位置ずれ間隔を距離Lと呼ぶ。距離Lは、第1端子41の各ピン41a~41hと第1接点51との位置関係等を考慮して適宜設定することができる。例えば距離Lは、図6B及び図8に示すようにグランドピン41aが第1接点51に接触した瞬間の位置において、他のピン41b~41hが第1接点51に接触しない距離とすることができる。例えば距離Lは、図4に示すように表面実装コネクタ27に対する中継コネクタ32の接続が完了した位置において、他のピン41b~41hもそれぞれ第1接点51に確実に接触できる距離とすることができる。
【0061】
次に、図9中の白抜き矢印で示すように、をプラグ保持筒体30が下に移動する方向にレセプタクルコネクタ26を押し下げる。そうするとレセプタクルコネクタ26は、中継コネクタ32とコネクタ接続穴46との接続部を支点として図中で反時計回りに回転する。つまりレセプタクルコネクタ26がコネクタ接続穴46との接続部を支点としてチルトダウンする。
【0062】
次に、図4に白抜き矢印で示すように、レセプタクルコネクタ26を外側に移動させる。プラグ接続口30aを貫通孔55aに対向する所望の位置に位置決めする。最後に、各固定片34a,34bを基板28に締結し、カバー材58を筐体部材56に装着する。これにより電子機器10でのレセプタクルコネクタ26の取付作業が完了する。
【0063】
ところで、本実施形態の実装基板12は、後述するレセプタクルコネクタ26の円滑な取外動作に対応している。そこで実装基板12は、コネクタ接続穴46の奥行方向に対して斜め上に傾いた姿勢で中継コネクタ32を着脱できる構成となっている。具体的には、本実施形態の電子機器10は、傾斜面49bの延長線E1に沿って中継コネクタ32をコネクタ接続穴46に挿入することができる(図8参照)。図8中の延長線E2は、延長線E1と平行し、レセプタクルコネクタ26の下面26aを通過する仮想線である。本実施形態の電子機器10は、傾斜面49bの延長線E1が立壁55と交差しないことが好ましい。電子機器10は、中継コネクタ32の板片40の上面(他面40b)が傾斜面49bに接触又は近接した回転位置において、延長線E2が立壁55と交差しない構成であることがより好ましい。これにより電子機器10は、レセプタクルコネクタ26が立壁55に干渉することを避けつつ、表面実装コネクタ27に対して円滑に着脱できる(図7図9参照)。
【0064】
実装基板12は、筐体14に組み込まれた際、表面実装コネクタ27の近くに立壁55がない設置構造とされる場合もある。実装基板12は、筐体14内に組み込まれていない状態で表面実装コネクタ27にレセプタクルコネクタ26を接続する場合もある。これらの場合、レセプタクルコネクタ26は表面実装コネクタ27に対して斜めに接続する必要はない。つまりレセプタクルコネクタ26はコネクタ接続穴46に対してその奥行方向に沿って真っすぐに水平移動させて接続することもできる。実装基板12は、このような場合にも先ず初めにグランドピン41aが第1接点51に接触するため、上記した静電破壊を抑制できる。
【0065】
次に、レセプタクルコネクタ26の取外動作及びその作用効果を説明する。
【0066】
レセプタクルコネクタ26は、筐体14に組み込まれた状態では、図4に示すように表面実装コネクタ27を介して基板28に実装されている。各固定片34a,34bは基板28にねじで締結されている。
【0067】
この状態から、例えば故障したレセプタクルコネクタ26を取り外して交換する際は、先ず、カバー材58を筐体部材56から取り外す(図9参照)。これにより筐体14の内部が露呈し、レセプタクルコネクタ26にアクセス可能となる。各固定片34a,34bを基板28に締結するねじを取り外す。そうするとレセプタクルコネクタ26は、中継コネクタ32と表面実装コネクタ27との接続部のみで基板28に支持された状態となる。
【0068】
次に、図4中の白抜き矢印と逆方向にレセプタクルコネクタ26を押し込む。レセプタクルコネクタ26を内側に押し込む。本実施形態の実装基板12は、図4に示すレセプタクルコネクタ26の実装状態において、コネクタ接続穴46の奥面46aと中継コネクタ32の先端面32aとの間に隙間C2を空けている。このためレセプタクルコネクタ26(中継コネクタ32)は隙間C2の分だけコネクタ接続穴46の奥側へと移動させることができる。
【0069】
図9中の白抜き矢印と逆方向にレセプタクルコネクタ26を移動させる。中継コネクタ32とコネクタ接続穴46との接続部を支点としてレセプタクルコネクタ26を上方に持ち上げる。そうするとレセプタクルコネクタ26は、最も外側の端部(外側端面30b)が円弧を描くように回転する。つまりレセプタクルコネクタ26がコネクタ接続穴46との接続部を支点としてチルトアップする。
【0070】
そこで、図8及び図7中の白抜き矢印と逆方向にレセプタクルコネクタ26を移動させる。レセプタクルコネクタ26を表面実装コネクタ27から外側斜め上方へと引き抜く。これによりレセプタクルコネクタ26の表面実装コネクタ27からの取外動作が完了する。
【0071】
このように本実施形態の実装基板12及び電子機器10は、レセプタクルコネクタ26が基板28に半田付けされていないため、レセプタクルコネクタ26を容易に交換でき、交換コストを抑制できる。またレセプタクルコネクタ26が表面実装コネクタ27に対してチルトアップ及びチルトダウンすることができる。これにより実装基板12及び電子機器10はレセプタクルコネクタ26の交換時に立壁55が邪魔になることを回避でき、その交換作業が一層容易となる。しかもレセプタクルコネクタ26は表面実装コネクタ27に対して基板28の面方向に沿う方向に嵌合する水平嵌合構造である。このためレセプタクルコネクタ26は表面実装コネクタ27の上に積層されて実装基板12の高さを増大させることがない。このため実装基板12は筐体14の薄型化にも貢献する。またレセプタクルコネクタ26が水平嵌合構造であることで、基板28とレセプタクルコネクタ26との間の接続点数を減らすことができ、レセプタクルコネクタ26内での電極ラインの長さも短くできる。このため実装基板12は高速信号の伝送にも好適である。
【0072】
ところで、本実施形態のレセプタクルコネクタ26は、図4に示す取付状態において、外側端面30bと立壁55の内面との間には、例えば0.2mmと僅かな隙間C1しか設けていない。これによりレセプタクルコネクタ26は、プラグ接続口30aが貫通孔55aに近接し、筐体14の外部から貫通孔55aを見た際に隙間C1が目立つことを防止している。一方で、この隙間C1を維持したままレセプタクルコネクタ26をチルトアップ又はチルトダウンさせた場合を考える。この場合は、外側端面30bが立壁55に接触し、レセプタクルコネクタ26を所望の角度までチルトアップ又はチルトダウンさせることができない可能性がある。その理由は、回転の支点となる中継コネクタ32とコネクタ接続穴46との接続部よりも外側端面30bが下にあるためである。
【0073】
そこで本実施形態の電子機器10は、通常の接続状態にある中継コネクタ32の奥側に隙間C2を確保している。これによりレセプタクルコネクタ26は内側に移動させてからチルトアップさせることができる。またレセプタクルコネクタ26は内側に押し込んでからチルトダウンさせることができる。このため実装基板12は、隙間C1を狭小化しつつ、チルトアップ時及びチルトダウン時にレセプタクルコネクタ26が立壁55に接触することも回避できる。
【0074】
本実施形態の実装基板12は、上記のチルト動作に関して、コネクタ接続穴46の上下の縁部48a,49aが内外方向に位置ずれしていることができる。コネクタ接続穴46の開口縁部には、この位置ずれによって開放空間S1が形成されている。このため本実施形態の実装基板12は、中継コネクタ32をコネクタ接続穴46に挿入した状態でレセプタクルコネクタ26を円滑に回転させることができる。しかも表面実装コネクタ27は、開放空間S1の上側の第2縁部49aに傾斜面49bを有することができる。このため表面実装コネクタ27は回転した中継コネクタ32が第2縁部49aに衝突することが抑制される。その結果、レセプタクルコネクタ26は、例えば図8に示される所望の角度まで円滑に回転させることができる。
【0075】
表面実装コネクタ27は、図8及び図9に示すように、コネクタ接続穴46の第1接点51の奥側に下方への拡張空間S2を有することができる。このため、レセプタクルコネクタ26は、中継コネクタ32の板片40がコネクタ接続穴46内で第1内面48に干渉することが回避され、一層円滑に回転する。
【0076】
以上のように、本実施形態の実装基板12は、中継コネクタ32の表面実装コネクタ27への接続時の静電破壊を抑制できる。これは第1端子41において、グランドピン41aの先端を信号ピンである高速送信ピン41b等の先端よりも板片40の先端側に突出させたためである(距離L参照)。この距離Lにより、実装基板12は、レセプタクルコネクタ26が図4に示すように基板28に実装された状態で、信号ピン(高速送信ピン41b等)の先端がスタブとなることを抑制できる。
【0077】
具体的には、本実施形態の表面実装コネクタ27は、コネクタ接続穴46の奥行方向で第1接点51が第2接点52よりも開口側に位置ずれしている。この構成において、仮に中継コネクタ32が一般的な両面端子構造のコネクタと同様な端子構造をしている場合を考えてみる。この場合は、第1端子41の全てのピン41a~41hの先端位置が図5Bに示す第2端子42のピン42a~42hの先端位置と揃う。従って、このレセプタクルコネクタ26が図4に示すように基板28に実装された場合は、全てのピン41a~41hが第1接点51よりも内側にはみ出した接続位置となる。その結果、信号ピンである高速送信ピン41bや高速受信ピン41cから第1接点51との接続点へと向かう信号の伝達方向に対して、高速送信ピン41b等が分岐してはみ出した部分を形成する。そうすると高速送信ピン41b等の信号ピンは、接続点からはみ出した部分が高速信号の伝送に悪影響を及ぼすスタブ(stub)となってしまう。この点、本実施形態の実装基板12は、上記した距離Lを有することで、このような信号ピンでのスタブの形成を抑制でき、高速信号の伝送性能も向上できるという利点がある。
【0078】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
10 電子機器
12 実装基板
14 筐体
26 レセプタクルコネクタ
27 表面実装コネクタ
28 基板
28a 実装面
30 プラグ保持筒体
30a プラグ接続口
32 中継コネクタ
41 第1端子
42 第2端子
48 第1内面
48a 第1縁部
49 第2内面
49a 第2縁部
49b 傾斜面
46 コネクタ接続穴
51 第1接点
52 第2接点
54 プレート部
55 立壁
55a 貫通孔
S1 開放空間
S2 拡張空間
【要約】
【課題】レセプタクルコネクタを取り付ける際の静電破壊を抑制する。
【解決手段】実装基板は、基板と、コネクタ接続穴を有する表面実装コネクタと、中継コネクタを有するレセプタクルコネクタと、を備える。前記表面実装コネクタは、前記コネクタ接続穴の高さ方向で一方側の第1内面に設けられた第1接点と、前記高さ方向で他方側の第2内面に設けられた第2接点と、を有する。前記中継コネクタは、前記コネクタ接続穴に挿入される板片と、前記板片の一面に設けられ、前記第1接点と接続される第1端子と、前記板片の他面に設けられ、前記第2接点と接続される第2端子と、を有する。前記コネクタ接続穴の奥行方向で、前記第1接点が前記第2接点よりも開口側に位置ずれして配置されている。前記第1端子は、第1グランドピン及び第1信号ピンを有すると共に、前記第1グランドピンの先端が前記第1信号ピンの先端よりも前記板片の先端側に突出している。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9