(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】改善されたチャネル推定のための電子環境の分離
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20241011BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
(21)【出願番号】P 2024525479
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2022060308
(87)【国際公開番号】W WO2023073589
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-05-09
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318010214
【氏名又は名称】コグニティヴ システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベグ,クリス
(72)【発明者】
【氏名】オマル,モハマド
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-503072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0103045(US,A1)
【文献】特開2021-166704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0064456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 11/02-11/10
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを含むセンシングイニシエータによって行われるWi-Fiセンシングのための方法であって、
前記センシングイニシエータによって、チャネル状態情報(CSI)を含むセンシング測定を取得することと、
前記センシングイニシエータによって、自動利得コントローラ(AGC)情報を含む受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)を取得することと、
前記センシングイニシエータによって、前記センシング測定及び前記RFE-SIを、MAC層管理エンティティ(MLME)インターフェースを使用してセンシングアルゴリズムに送信することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記センシングイニシエータは、センシング受信機であり、
前記方法は、
前記センシング受信機の受信アンテナを有する受信機フロントエンド(RFE)によって、複数のセンシング伝送機からセンシング伝送を受信することと、
前記センシング受信機のベースバンド受信機によって、前記センシング伝送に基づいて前記CSIを生成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RFE-SIは、前記ベースバンド受信機及び前記RFEのうちの少なくとも1つによって、前記少なくとも1つのプロセッサにメッセージとして提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RFE-SIは、前記ベースバンド受信機及び前記RFEのうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号として前記少なくとも1つのプロセッサに提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記RFE-SIは、前記ベースバンド受信機及び前記RFEのうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号として前記少なくとも1つのプロセッサに提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記RFE-SIは、位相変動インジケータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記RFE-SIは、ダウンコンバータタイプ情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記センシングイニシエータは、センシング伝送機である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記センシング伝送機の受信アンテナによって、1つ以上のセンシング受信機から、前記RFE-SIと前記センシング測定とを含む1つ以上のセンシング測定レポートを受信することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Wi-Fiセンシングのためのシステムであって、
命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含むセンシングイニシエータを備え、
前記命令は、
チャネル状態情報(CSI)を含むセンシング測定を取得することと、
自動利得コントローラ(AGC)情報を含む受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)を取得することと、
前記センシング測定及び前記RFE-SIを、MAC層管理エンティティ(MLME)インターフェースを使用してセンシングアルゴリズムに送信することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項11】
前記センシングイニシエータは、受信アンテナを有する受信機フロントエンド(RFE)とベースバンド受信機とを含むセンシング受信機であり、
前記センシング受信機は、
前記RFEによって、複数のセンシング伝送機からセンシング伝送を受信することと、
前記ベースバンド受信機によって、前記センシング伝送に基づいて前記CSIを生成することと、を行うように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ベースバンド受信機及び前記RFEのうちの少なくとも1つは、前記RFE-SIをメッセージとして前記少なくとも1つのプロセッサに提供するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ベースバンド受信機及び前記RFEのうちの少なくとも1つは、前記RFE-SIを1つ以上のデジタル信号として前記少なくとも1つのプロセッサに提供するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ベースバンド受信機及び前記RFEのうちの少なくとも1つは、前記RFE-SIを1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号として前記少なくとも1つのプロセッサに提供するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記RFE-SIは、位相変動インジケータを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記RFE-SIは、ダウンコンバータタイプ情報を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記センシングイニシエータは、センシング伝送機である、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記センシング伝送機は、受信アンテナによって、1つ以上のセンシング受信機から、RFE-SIを含む1つ以上のセンシング測定レポートを受信するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月29日に出願された米国仮特許出願第63/273,572号、及び2021年11月30日に出願された米国仮特許出願第63/284,305号の利益を主張するものであり、これらの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法に関する。特に、本開示は、改善されたチャネル推定のための電子環境の分離のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
動き検出システムは、例えば、部屋又は屋外エリア内の物体の移動を検出するために使用されてきた。一部の例示的な動き検出システムでは、赤外線センサ又は光学センサが、センサの視野内の物体の移動を検出するために使用されている。動き検出システムは、セキュリティシステム、自動制御システム、及び他のタイプのシステムにおいて使用されてきた。Wi-Fiセンシングシステムは、動き検出システムに最近追加されたものの1つである。Wi-Fiセンシングシステムは、IEEE 802.11ネットワークの一部であり得るWi-Fi対応デバイスのネットワークであり得る。一例では、Wi-Fiセンシングシステムは、センシング空間内の関心特徴を検出するように構成することができる。センシング空間は、居住地、仕事場、ショッピングモール、スポーツホール若しくはスポーツスタジアム、庭、又は任意の他の物理的空間などの、Wi-Fiセンシングシステムが動作し得る任意の物理的空間を指すことがある。関心特徴は、物体の動き及び動き追跡、存在検出、侵入検出、ジェスチャ認識、転倒検出、呼吸数検出、及び他の適用例を含み得る。
【0004】
Wi-Fiセンシングシステムでは、Wi-Fiセンシングは、伝送機アンテナと受信機アンテナとの間の伝送信号の伝搬として定義されるオーバージエア(OTA)チャネルにおける摂動を検出することに基づいて実施され得る。OTAチャネルは、伝送機アンテナと受信機アンテナとの間のワイヤレスチャネルである。一例では、伝送信号は、ベースバンド伝送機において生成され、ベースバンド受信機において受信され得る。更に、受信信号は、チャネル状態情報(CSI)の決定のためにベースバンド受信機において処理され得る。CSIは、センシング空間内の物体の動きを決定するために使用され得る。ベースバンド受信機による受信信号の処理を通じて取得されるCSIは、OTAチャネルのCSIに加えて、ベースバンド伝送機及びベースバンド受信機におけるフロントエンド構成要素において発生するか、又はそれによって引き起こされる摂動を含み得る。フロントエンド構成要素によって引き起こされる摂動は、センシング空間内で発生する物体の動きの結果ではないため、正確なWi-Fiセンシングのために、動きを決定するために使用されるCSIは、OTAチャネル内で発生する摂動のみを含み、ベースバンド伝送機及びベースバンド受信機内のフロントエンド構成要素内で発生する、又はそれによって引き起こされるいかなる摂動も含むべきではない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、概して、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法に関する。特に、本開示は、改善されたチャネル推定のための電子環境の分離のためのシステム及び方法に関する。
【0006】
Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法が提供される。例示的な実施形態では、Wi-Fiセンシングのための方法が説明される。この方法は、少なくとも1つのプロセッサ上で動作中のセンシング決定ユニットによって行われる。本方法は、センシング決定ユニットによって、センシング測定を表す測定されたチャネル状態情報(M-CSI)を受信することと、センシング決定ユニットによって、受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)を受信することと、センシング決定ユニットによって、RFE-SIに従って、センシング決定入力情報を決定することと、を含む。
【0007】
一部の実施形態では、本方法は、受信アンテナを有する受信機フロントエンド(RFE)を含む受信デバイスによって、複数のセンシング伝送機からセンシング伝送を受信することと、受信デバイスによって、センシング伝送に基づいてM-CSIを生成することとを更に含む。
【0008】
一部の実施形態では、受信デバイスは、少なくとも1つのプロセッサを更に含む。
【0009】
一部の実施形態では、RFE-SIは、受信デバイスのベースバンドプロセッサによってメッセージとしてセンシング決定ユニットに提供される。
【0010】
一部の実施形態では、RFE-SIは、受信デバイスのベースバンドプロセッサ及びRFEのうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号としてセンシング決定ユニットに提供される。
【0011】
一部の実施形態では、RFE-SIは、受信デバイスのベースバンドプロセッサ及びRFEのうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号としてセンシング決定ユニットに提供される。
【0012】
一部の実施形態では、RFE-SIは、位相変動インジケータを含む。
【0013】
一部の実施形態では、センシング決定入力情報を決定することは、位相変動インジケータがM-CSIにおける位相変動を示すという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することを含む。
【0014】
一部の実施形態では、RFE-SIは、自動利得コントローラ(AGC)情報を含む。
【0015】
一部の実施形態では、センシング決定入力情報を決定することは、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することを含む。
【0016】
一部の実施形態では、センシング決定入力情報を決定することは、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することと、を含む。
【0017】
一部の実施形態では、センシング決定入力情報を決定することは、AGC情報が第1の閾値を超えないという第1の決定と、M-CSIの一部の2乗平均平方根が第2の閾値を超えないという第2の決定とに応答して、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成することと、センシング決定出力情報をP-CSIに設定することと、を含む。
【0018】
一部の実施形態では、センシング決定入力情報を決定することは、AGC情報が第1の閾値を超えるという第1の決定と、M-CSIの一部の2乗平均平方根が第2の閾値を超えるという第2の決定とに応答して、センシング決定入力情報をM-CSIに設定することを含む。
【0019】
一部の実施形態において、RFE-SIは、ダウンコンバータタイプ情報を含む。
【0020】
一部の実施形態では、センシング決定入力情報を決定することは、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算することと、群遅延に従ってM-CSIを調整することによって処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することと、を含む。
【0021】
一部の実施形態では、本方法は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信することを更に含む。
【0022】
別の例示的実施形態では、Wi-Fiセンシングのためのシステムが説明される。システムは、センシング決定ユニットを動作させるための命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、命令は、センシング決定ユニットによって、センシング測定を表すM-CSIを受信し、センシング決定ユニットによって、RFE-SIを受信し、センシング決定ユニットによって、RFE-SIに従って、センシング決定入力情報を決定するように構成される。
【0023】
本開示の他の態様及び利点は、本開示の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の上記及び他の目的、態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって、より明らかになり、よりよく理解されるであろう。
【0025】
【
図1】例示的なワイヤレス通信システムを示す図である。
【
図2A-2B】ワイヤレス通信デバイス間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。
【
図3A-3B】
図2A及び
図2Bのワイヤレス通信デバイス間で通信されるワイヤレス信号から計算されたチャネル応答の例を示すプロットである。
【
図4A-4B】空間の別個の領域における物体の動きに関連する例示的なチャネル応答を示す図である。
【
図4C-4D】空間内で動きが発生していないことに関連する例示的なチャネル応答に重ね合わされた
図4A及び
図4Bの例示的なチャネル応答を示すプロットである。
【
図5】一部の実施形態による、Wi-Fiセンシングのためのシステムの実装形態のアーキテクチャのうちの一部の実装形態を示す。
【
図6】一部の実施形態による、測定されたチャネル対オーバージエア(OTA)チャネルを示す。
【
図7】一部の実施形態による、受信デバイスの受信機チェーンの表現を示す。
【
図8】一部の実施形態による、受信機フロントエンド(RFE)摂動補正アーキテクチャを示す。
【
図9】一部の実施形態による、RFE摂動補正アーキテクチャにおける受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)の例を示す。
【
図10】一部の実施形態による、位相ロックループ(PLL)ユニットの構造を示す。
【
図11】一部の実施形態による、理想的なチャネルの群遅延の例を示す。
【
図12】一部の実施形態による、2つのブランチを有するゼロ中間周波(ゼロIF)ダウンコンバータのブロック図を示す。
【
図13A-13B】一部の実施形態による、ノッチフィルタの一例の特性を示す。
【
図14】一部の実施形態による、2つのブランチを有する2段低IFダウンコンバータのブロック図を示す。
【
図15】一部の実施形態による、センシング決定入力情報を決定するためのフローチャートを示す。
【
図16】一部の実施形態による、測定されたチャネル状態情報をセンシング決定ユニットに送信するためのフローチャートを示す。
【
図17】一部の実施形態による、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するためのフローチャートを示し、RFE-SIは位相変動インジケータを含む。
【
図18】一部の実施形態による、RFE-SIがダウンコンバータタイプ情報を含む、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するためのフローチャートを示す。
【
図19A-19B】一部の実施形態による、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するためのフローチャートを示し、RFE-SIは、自動利得コントローラ(AGC)情報を含む。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で説明するものの一部の態様では、ワイヤレスセンシングシステムは、ワイヤレス通信デバイス間の空間を通して伝送されたワイヤレス信号(例えば、無線周波数信号)を処理することによって、種々のワイヤレスセンシング適用例のために使用され得る。例示的なワイヤレスセンシングアプリケーションは、動き検出を含み、動き検出は、空間内の物体の動きの検出、動き追跡、呼吸検出、呼吸監視、存在検出、ジェスチャ検出、ジェスチャ認識、人間の検出(動いている人間の検出及び静止している人間の検出)、人間追跡、転倒検出、速度推定、侵入検出、歩行検出、歩数カウント、呼吸数検出、無呼吸推定、姿勢変化検出、活動認識、歩行率分類、ジェスチャ復号、手話認識、手の追跡、心拍数推定、呼吸数推定、部屋占有検出、人間ダイナミクス監視、及び他のタイプの動き検出アプリケーションを含み得る。ワイヤレスセンシングアプリケーションの他の例は、物体認識、発話認識、キーストローク検出及び認識、改竄検出、タッチ検出、攻撃検出、ユーザ認証、運転者疲労検出、交通監視、喫煙検出、学校暴力検出、人間計数、金属検出、人間認識、自転車位置特定、人間キュー推定、Wi-Fiイメージング、及び他のタイプのワイヤレスセンシングアプリケーションを含む。例えば、ワイヤレスセンシングシステムは、Wi-Fi信号又は他のタイプのワイヤレス信号に基づいて動きの存在及びロケーションを検出するための動き検出システムとして動作してもよい。以下でより詳細に説明されるように、ワイヤレスセンシングシステムは、例えば、システム動作を改善するために、又は他の技術的利点を達成するために、測定レート、ワイヤレス接続及びデバイス参加を制御するように構成され得る。ワイヤレスセンシングシステムが動き検出のために使用されるときに達成されるシステム改善及び技術的利点は、ワイヤレスセンシングシステムが別のタイプのワイヤレスセンシング適用例のために使用される例においても達成される。
【0027】
一部の例示的なワイヤレスセンシングシステムでは、ワイヤレス信号は、ワイヤレスデバイスがチャネル応答又は他のチャネル情報を推定するために使用され得る構成要素(例えば、Wi-Fi PHYフレーム中の同期プリアンブル、又は別のタイプの構成要素)を含み、ワイヤレスセンシングシステムは、経時的に収集されたチャネル情報の変化を分析することによって動き(又はワイヤレスセンシング適用例に応じて別の特性)を検出することができる。一部の例では、ワイヤレスセンシングシステムは、Wi-Fiアクセスポイント(AP)が受信機の役割を担い、APに接続された各Wi-Fiデバイス(局又はノード又はピア)が伝送機の役割を担う、バイスタティックレーダーシステムと同様に動作することができる。ワイヤレスセンシングシステムは、伝送を生成し、受信機デバイスにおいてチャネル応答測定を生成するように、接続されたデバイスをトリガすることができる。このトリガプロセスは、一連の時変測定を取得するために周期的に繰り返すことができる。ワイヤレスセンシングアルゴリズムは、次いで、(例えば、Wi-Fi受信機によって計算された)生成されたチャネル応答測定の時系列を入力として受信することができ、次いで、相関又はフィルタ処理プロセスを通して、判定を行うことができる(例えば、例えば、チャネル推定における変化又はパターンに基づいて、チャネル応答によって表される環境内に動きがあるか、又は動きがないかを判定する)。ワイヤレスセンシングシステムが動きを検出する例では、複数のワイヤレスデバイスの間の動き検出結果に基づいて、環境内の動きのロケーションを識別することも可能であり得る。
【0028】
したがって、ワイヤレス通信ネットワーク中のワイヤレス通信デバイスの各々において受信されたワイヤレス信号は、ネットワーク中の(ワイヤレス通信デバイスのそれぞれのペア間の)種々の通信リンクについてのチャネル情報を決定するために分析され得る。チャネル情報は、空間を横断するワイヤレス信号に伝達関数を適用する物理媒体を表すことができる。一部の事例では、チャネル情報はチャネル応答を含む。チャネル応答は、物理的通信経路を特徴付けることができ、例えば、伝送機と受信機との間の空間内の散乱、フェージング、及び電力減衰の組み合わされた影響を表す。一部の事例では、チャネル情報は、ビームフォーミングシステムによって提供されるビームフォーミング状態情報(例えば、フィードバック行列、ステアリング行列、チャネル状態情報(CSI)など)を含む。ビームフォーミングは、指向性信号伝送又は受信のためのマルチアンテナ(多入力/多出力(MIMO))無線システムにおいてしばしば使用される信号処理技術である。ビームフォーミングは、特定の角度における信号が強め合う干渉を経験し、他の信号が弱め合う干渉を経験するように、アンテナアレイ中の要素を動作させることによって達成され得る。
【0029】
通信リンクの各々についてのチャネル情報は、(例えば、ワイヤレス通信ネットワーク中のハブデバイス若しくは他のデバイス、又はネットワークに通信可能に結合されたセンシング伝送機によって)分析されて、例えば、動きが空間内で発生したかどうかを検出するか、検出された動きの相対的なロケーションを決定するか、又はその両方を行うことができる。一部の態様では、通信リンクの各々についてのチャネル情報は、例えば、空間内で動きが検出されない場合、物体が存在するか不在であるかを検出するために分析され得る。
【0030】
場合によっては、ワイヤレスセンシングシステムは、ノード測定レートを制御することができる。例えば、Wi-Fi動きシステムは、現在のワイヤレスセンシングアプリケーション(例えば、動き検出)によって提供される基準に基づいて、可変測定レート(例えば、チャネル推定/環境測定/サンプリングレート)を構成してもよい。一部の実装形態では、例えば、ある時間期間にわたって動きが存在しないか又は検出されない場合、ワイヤレスセンシングシステムは、接続されたデバイスがあまり頻繁にトリガされないように、環境が測定されるレートを低減することができる。一部の実装形態では、例えば、動きが存在するとき、ワイヤレスセンシングシステムは、より細かい時間分解能を有する測定の時系列を生成するために、トリガレートを増加させることができる。可変測定レートを制御することは、(デバイスのトリガリングを通して)エネルギー節約を可能にし、処理を低減し(相関又はフィルタリングするためのより少ないデータ)、規定された時間中の分解能を改善することができる。
【0031】
場合によっては、ワイヤレスセンシングシステムは、ワイヤレスネットワーク全体にわたってノードの帯域ステアリング又はクライアントステアリングを実施することができ、例えば、Wi-FiマルチAP又は拡張サービスセット(ESS)トポロジでは、複数の協調ワイヤレスAPは各々、異なる周波数帯域を占有し、デバイスが1つの参加APから別の参加AP(例えば、メッシュ)に透過的に移動することを可能にし得る基本サービスセット(BSS)を提供する。例えば、ホームメッシュネットワーク内で、Wi-Fiデバイスは、APのいずれかに接続することができるが、典型的には、良好な信号強度を有するものを選択する。メッシュAPのカバレージフットプリントは概して重複しており、しばしば、各デバイスを通信範囲又は2つ以上のAP内に置く。APがマルチバンド(例えば、2.4GHz及び5GHz)をサポートする場合、ワイヤレスセンシングシステムは、デバイスを同じ物理APに接続されたままにするが、ワイヤレスセンシングアルゴリズム(例えば、動き検出アルゴリズム)の精度又は結果を改善するのを助けるために、より多様な情報を取得するために異なる周波数帯域を使用するように命令することができる。一部の実装形態では、ワイヤレスセンシングシステムは、デバイスを1つのメッシュAPに接続されている状態から別のメッシュAPに接続されている状態に変更することができる。かかるデバイスのステアリングは、検出カバレージを改善するために、又はエリア内の動きをより良く局所化するために、特定のエリアにおいて検出された基準に基づいて、例えば、ワイヤレスセンシング(例えば、動き検出)中に実施することができる。
【0032】
場合によっては、ビームフォーミングは、(例えば、受信機によって生成されたフィードバックプロパティを通して)通信チャネルの何らかの知識に基づいてワイヤレス通信デバイス間で実施することができ、これを用いて、特定の1つ以上の方向に伝送ビーム/信号を成形するために伝送機デバイスによって適用される1つ以上のステアリングプロパティ(例えば、ステアリング行列)を生成することができる。したがって、ビーム形成プロセスで使用されるステアリング特性又はフィードバック特性の変化は、ワイヤレス通信システムによってアクセスされる空間内の、移動物体によって引き起こされ得る変化を示す。例えば、動きは、ある時間期間にわたる、例えば、チャネル応答、又はステアリング若しくはフィードバックプロパティ、あるいはそれらの任意の組み合わせによって示されるような、通信チャネルの実質的な変化によって検出されてもよい。
【0033】
一部の実装形態では、例えば、ステアリング行列は、チャネルサウンディングに基づいて受信機デバイス(ビームフォーミー)によって提供されたフィードバック行列に基づいて伝送機デバイス(ビームフォーマ)において生成され得る。ステアリング行列及びフィードバック行列は、チャネルの伝搬特性に関連するため、これらの行列は、物体がチャネル内で移動するにつれて変化する。したがって、チャネル特性の変化は、これらの行列に反映され、行列を分析することによって、動きを検出することができ、検出された動きの異なる特性を決定することができる。一部の実装形態では、空間マップは、1つ以上のビームフォーミング行列に基づいて生成され得る。空間マップは、ワイヤレス通信デバイスに対する空間内の物体の一般的な方向を示すことができる。場合によっては、ワイヤレス通信デバイスに対して物体が位置し得る多数の方向を表すために、多くのビームフォーミング行列(例えば、フィードバック行列又はステアリング行列)が生成され得る。これらの多くのビーム形成行列を使用して、空間マップを生成することができる。空間マップを使用して、空間内の動きの存在を検出し、又は検出された動きのロケーションを検出することができる。
【0034】
一部の事例では、動き検出システムは、動き検出プロセスにおいて可変デバイス測定レートを制御することができる。例えば、マルチノードワイヤレス動き検出システムのためのフィードバック制御システムは、環境条件に基づいてサンプルレートを適応的に変更してもよい。場合によっては、かかる制御は、動き検出システムの動作を改善するか、又は他の技術的利点を提供することができる。例えば、測定レートは、広範囲の異なる環境及び異なる動き検出適用例に好適なエアタイム使用量対検出能力を最適化するか、又は別様で改善する方法で制御されてもよい。測定レートは、処理される冗長な測定データを低減し、それによってプロセッサ負荷/電力要件を低減するように制御され得る。場合によっては、測定レートは、適応的であるように制御され、例えば、適応サンプルは、各参加デバイスについて個々に制御され得る。適応サンプルレートは、異なる使用事例又はデバイス特性のためのチューニング制御ループとともに使用され得る。
【0035】
場合によっては、ワイヤレスセンシングシステムは、デバイスが、それらのワイヤレスセンシング能力又はワイヤレスセンシング意思をワイヤレスセンシングシステムに動的に示し、通信することを可能にし得る。例えば、APがチャネル測定を生成することを可能にするワイヤレス信号を伝送するために、デバイスが周期的に中断又はトリガされることを望まない場合があり得る。例えば、デバイスがスリープしている場合、ワイヤレスセンシング信号を伝送又は受信するためにデバイスを頻繁に起動することは、リソースを消費する可能性がある(例えば、セルフォンバッテリをより速く放電させる)。これら及び他のイベントによって、デバイスがワイヤレスセンシングシステムの動作に参加する意思を持ったり持たなかったりする可能性がある。場合によっては、そのバッテリで動作している携帯電話は、参加することを望まない場合があるが、携帯電話が充電器にプラグ接続されているときには、参加する意思がある場合がある。したがって、携帯電話がプラグを抜かれている場合、携帯電話を参加から除外するようにワイヤレスセンシングシステムに示すことができ、一方、携帯電話がプラグを差し込まれている場合、携帯電話をワイヤレスセンシングシステムの動作に含めるようにワイヤレスセンシングシステムに示すことができる。場合によっては、デバイスが負荷を受けている(例えば、オーディオ又はビデオをストリーミングしているデバイス)か、又は一次機能を実施している最中である場合、デバイスは参加することを望まないことがあり、同じデバイスの負荷が低減され、参加することが一次機能に干渉しない場合、デバイスは、それが参加する意思があることをワイヤレスセンシングシステムに示すことができる。
【0036】
例示的なワイヤレスセンシングシステムは、動き検出(空間内の物体の動きの検出、動き追跡、呼吸検出、呼吸監視、存在検出、ジェスチャ検出、ジェスチャ認識、人間の検出(動いている人間の検出及び静止している人間の検出)、人間追跡、転倒検出、速度推定、侵入検出、歩行検出、歩数カウント、呼吸数検出、無呼吸推定、姿勢変化検出、活動認識、歩行率分類、ジェスチャ復号、手話認識、手の追跡、心拍数推定、呼吸数推定、部屋占有検出、人間ダイナミクス監視、及び他のタイプの動き検出アプリケーション)の文脈において以下に説明される。しかしながら、ワイヤレスセンシングシステムが動き検出システムとして動作しているときに達成される動作、システム改善、及び技術的利点は、ワイヤレスセンシングシステムが別のタイプのワイヤレスセンシングアプリケーションのために使用される例においても適用可能である。
【0037】
本開示の種々の実施形態では、本明細書で使用される1つ以上の用語の非限定的な定義を以下に提供する。
【0038】
「伝送パラメータ」という用語は、特定のPHYに対応する伝送ベクトル(TXVECTOR)の一部として定義され、各PHY層プロトコルデータユニット(PPDU)伝送のために構成可能である、IEEE 802.11 PHY伝送機構成パラメータのセットを指すことがある。
【0039】
「ヌルデータPPDU(NDP)」という用語は、データフィールドを含まないPPDUを指すことがある。一例では、ヌルデータPPDUは、必要とされる情報を含むMACヘッダである場合、センシング伝送のために使用され得る。
【0040】
「チャネル状態情報(CSI)」という用語は、チャネル推定の技術によって知られているか又は測定される通信チャネルの特性を指すことがある。CSIは、ワイヤレス信号が複数の経路に沿ってセンシング伝送機からセンシング受信機にどのように伝搬するかを表すことができる。CSIは、通常、信号の振幅減衰及び位相シフトを表す複素値の行列であり、通信チャネルの推定値を提供する。
【0041】
「センシング伝送機」という用語は、センシングセッションにおいて測定(例えば、チャネル状態情報)をセンシングするために使用される伝送(例えば、PPDU)を送信するデバイスを指すことがある。一例では、局はセンシング伝送機の一例である。一部の例では、アクセスポイントはまた、局がセンシング受信機として機能する例では、Wi-Fiセンシング目的のためのセンシング伝送機であり得る。
【0042】
「センシング受信機」という用語は、センシング伝送機によって送信された伝送(例えば、PPDU)を受信し、センシングセッションにおいて1つ以上のセンシング測定(例えば、チャネル状態情報)を実施するデバイスを指すことがある。アクセスポイントは、センシング受信機の一例である。一部の例では、局はまた、例えば、メッシュネットワークシナリオにおいて、センシング受信機であり得る。
【0043】
「センシング空間」という用語は、Wi-Fiセンシングシステムが動作し得る任意の物理的空間を指すことがある。
【0044】
「センシングイニシエータ」という用語は、Wi-Fiセンシングセッションを開始するデバイスを指すことがある。センシングイニシエータの役割は、センシング受信機、センシング伝送機、又はセンシングアルゴリズムを含む別個のデバイスによって引き受けられ得る。
【0045】
「ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)センシングセッション」という用語は、物理空間内の物体が探査され、検出され、及び/又は特徴付けられ得る期間を指すことがある。一例では、WLANセンシングセッション中に、複数のデバイスが参加し、それによってセンシング測定の生成に寄与する。
【0046】
「センシングトリガメッセージ」という用語は、1つ以上のセンシング伝送を開始又はトリガするためにセンシング伝送機からセンシング受信機に送信されるメッセージを指すことがある。センシング伝送は、一部の例では、UL-OFDMAセンシングトリガ又はUL-OFDMA複合センシングトリガによって搬送され得る。センシングトリガメッセージは、センシング開始メッセージとしても知られ得る。
【0047】
「センシング応答メッセージ」という用語は、センシング伝送機からセンシング受信機へのセンシング伝送内に含まれるメッセージを指すことがある。センシング応答メッセージを含むセンシング伝送は、センシング測定を実施するためにセンシング受信機によって使用される。
【0048】
「センシング伝送」という用語は、センシング測定を行うために使用され得る、センシング伝送機からセンシング受信機に行われる伝送を指すことがある。一例では、センシング伝送は、ワイヤレスセンシング信号又はワイヤレス信号と称されることもある。
【0049】
「センシング測定」という用語は、センシング伝送から導出される、伝送機デバイス(例えば、センシング伝送機)と受信機デバイス(例えば、センシング受信機)との間のチャネルの状態の測定を指すことがある。一例では、センシング測定は、チャネル応答測定と称されることもある。
【0050】
「センシング目標」という用語は、一度にセンシング活動の目標を指すことがある。センシング目標は静的ではなく、いつでも変化し得る。一例では、センシング目標は、特定のタイプ、特定のフォーマット、又は特定の精度、分解能、若しくは正確度のセンシング測定がセンシングアルゴリズムに利用可能であることを必要とし得る。
【0051】
「センシングアルゴリズム」という用語は、センシング目標を達成する計算アルゴリズムを指すことがある。センシングアルゴリズムは、Wi-Fiセンシングシステム内の任意のデバイス上で実行され得る。
【0052】
「要求された伝送構成」という用語は、センシング伝送を送信するときに使用されるセンシング伝送機の要求された伝送パラメータを指すことがある。
【0053】
「自動利得コントローラ(AGC)」という用語は、その利得が受信信号強度に対応して自動的に調整される信号増幅器の一形態を指すことがある。
【0054】
「測定されたチャネル状態情報(M-CSI)」という用語は、ワイヤレス信号が複数の経路に沿って伝送機から受信機にどのように伝搬するかを表すことができる。MーCSIは、通常、信号の振幅減衰及び位相シフトを表す複素値の行列であり、通信チャネルの推定値を提供する。M-CSIは、ベースバンド受信機(又はベースバンドプロセッサ)によって提供され得る。
【0055】
「処理されたチャネル状態情報(P-CSI)」という用語は、AGC情報、位相変動インジケータ、及びダウンコンバータタイプ情報に従って調整された、M-CSIの補正された形態を指すことがある。
【0056】
「群遅延」という用語は、物理チャネル又は電子要素(例えば、フィルタ)の特性を指すことがあり、物理チャネル及び電子要素によって引き起こされる信号の位相シフト量を周波数の関数として表す。
【0057】
「ノッチフィルタ」という用語は、特定の範囲内の周波数を減衰させる一方で、他の全ての周波数を減衰させることなく又は最小の減衰で通過させる一種の帯域消去フィルタを指すことがある。
【0058】
「低中間周波数(low-IF)ダウンコンバータ」という用語は、2段の周波数ミキサを使用するダウンコンバータを指すことがある。第1の段は、無線周波数信号を低中間周波(IF)信号に変換し、第2の段は、IF信号をベースバンド信号に変換する。
【0059】
「位相ロックループ(PLL)」という用語は、その位相が入力信号の位相に関係し、それを追跡する出力信号を生成する位相負帰還ループを指すことがある。
【0060】
「オーバージエア(OTA)チャネル」という用語は、伝送機アンテナと受信機アンテナとの間のワイヤレスチャネルを指すことがある。
【0061】
「ゼロIFダウンコンバータ」という用語は、受信された無線周波数信号をベースバンド信号に直接変換するために単一段の周波数ミキサを使用するダウンコンバータを指すことができる。
【0062】
以下の種々の実施形態の説明を読むために、本明細書のセクション及びそれらのそれぞれの内容の以下の説明が有用であり得る。
【0063】
セクションAでは、本明細書で説明する実施形態を実施するのに有用であり得るワイヤレス通信システム、ワイヤレス伝送、及びセンシング測定について説明する。
【0064】
セクションBは、センシング伝送を送信し、センシング測定を行うように構成されたWi-Fiセンシングシステムに有用なシステム及び方法を説明する。
【0065】
セクションCは、改善されたチャネル推定のための電子環境の分離のためのシステム及び方法の実施形態を説明する。
【0066】
A.ワイヤレス通信システム、ワイヤレス伝送、及びセンシング測定
図1は、ワイヤレス通信システム100を示している。ワイヤレス通信システム100は、3つのワイヤレス通信デバイス、すなわち、第1のワイヤレス通信デバイス102Aと、第2のワイヤレス通信デバイス102Bと、第3のワイヤレス通信デバイス102Cとを含む。ワイヤレス通信システム100は、追加のワイヤレス通信デバイス及び他の構成要素(例えば、追加のワイヤレス通信デバイス、1つ以上のネットワークサーバ、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ケーブル、又は他の通信リンクなど)を含み得る。
【0067】
ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、ワイヤレスネットワーク規格又は別のタイプのワイヤレス通信プロトコルに従って、ワイヤレスネットワークにおいて動作することができる。例えば、ワイヤレスネットワークは、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、又は別のタイプのワイヤレスネットワークとして動作するように構成され得る。WLANの例は、IEEEによって開発された規格の802.11ファミリのうちの1つ以上に従って動作するように構成されたネットワーク(例えば、Wi-Fiネットワーク)などを含む。PANの例は、短距離通信規格(例えば、BLUETOOTH(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、ZigBee)、ミリメートル波通信、及び他に従って動作するネットワークを含む。
【0068】
一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、携帯通信網規格に従って、携帯通信網で通信するように構成され得る。携帯通信網の例として、Global System for Mobile(GSM)及びEnhanced Data rate for GSM Evolution(EDGE)又はEGPRSなどの2G規格、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、時分割同期符号分割多元接続(TD-SCDMA)などの3G規格、Long-Term Evolution(LTE)及びLTE-Advanced(LTE-A)などの4G規格、5G規格、及び他に従って構成されたネットワークを含む。
【0069】
図1に示す例では、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、標準的なワイヤレスネットワーク構成要素であり得るか、又はそれらを含み得る。例えば、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)のモデム上に命令(例えば、ソフトウェア又はファームウェア)として埋め込まれた、本明細書で説明する1つ以上の動作を実施する市販のWi-Fiアクセスポイント(AP)又は別のタイプのWAPであり得る。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、市販のメッシュネットワークシステム(例えば、Plume Wi-Fi、Google Wi-Fi、Qualcomm Wi-Fi SoNなど)など、ワイヤレスメッシュネットワークのノードであり得る。場合によっては、別のタイプの標準又は従来のWi-Fi伝送機デバイスが使用され得る。一部の事例では、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cのうちの1つ以上は、メッシュネットワーク中のWAPとして実装され得るが、他のワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、WAPのうちの1つを通してメッシュネットワークにアクセスするリーフデバイス(例えば、モバイルデバイス、スマートデバイスなど)として実装される。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cのうちの1つ以上は、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、ラップトップコンピュータなど)、ワイヤレス対応デバイス(例えば、スマートサーモスタット、Wi-Fi対応カメラ、スマートTV)、又はワイヤレスネットワーク中で通信する別のタイプのデバイスである。
【0070】
ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、Wi-Fi構成要素なしに実装することができ、例えば、他のタイプの標準又は非標準ワイヤレス通信が動き検出のために使用され得る。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、専用動き検出システムであり得るか、又はその一部であり得る。例えば、専用動き検出システムは、ハブデバイス及び1つ以上のビーコンデバイス(リモートセンサデバイスとして)を含むことができ、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、動き検出システム内のハブデバイス又はビーコンデバイスのいずれかであり得る。
【0071】
図1に示すように、ワイヤレス通信デバイス102Cは、モデム112と、プロセッサ114と、メモリ116と、電力ユニット118とを含み、ワイヤレス通信システム100中のワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cのいずれも、同じ構成要素、追加の構成要素、又は異なる構成要素を含むことができ、構成要素は、
図1に示すように又は別の方法で動作するように構成され得る。一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスのモデム112、プロセッサ114、メモリ116、及び電力ユニット118は、共通のハウジング又は他のアセンブリ内に一緒に収容される。一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、例えば、別個のハウジング又は他のアセンブリ内に別個に収容され得る。
【0072】
モデム112は、ワイヤレス信号を通信(受信、伝送、又は両方)することができる。例えば、モデム112は、ワイヤレス通信規格(例えば、Wi-Fi又はBluetooth)に従ってフォーマットされた無線周波数(RF)信号を通信するように構成され得る。モデム112は、
図1に示されている例示的なワイヤレスネットワークモデム112として実装され得るか、又は別の方法で、例えば、他のタイプの構成要素又はサブシステムを用いて実装され得る。一部の実装形態では、モデム112は、無線サブシステムとベースバンドサブシステムとを含む。場合によっては、ベースバンドサブシステム及び無線サブシステムは、共通のチップ又はチップセット上に実装され得るか、あるいはそれらは、カード又は別のタイプの組み立てられたデバイス中に実装され得る。ベースバンドサブシステムは、例えば、リード、ピン、ワイヤ、又は他のタイプの接続によって、無線サブシステムに結合され得る。
【0073】
場合によっては、モデム112中の無線サブシステムは、1つ以上のアンテナと無線周波数回路とを含み得る。RF回路は、例えば、アナログ信号をフィルタリング、増幅、又は他の方法で調整する回路、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートする回路、周波数信号をベースバンド信号にダウンコンバートする回路などを含み得る。かかる回路は、例えば、フィルタ、増幅器、ミキサ、局部発振器などを含み得る。無線サブシステムは、ワイヤレス通信チャネル上で無線周波数ワイヤレス信号を通信するように構成され得る。一例として、無線サブシステムは、無線チップと、RFフロントエンドと、1つ以上のアンテナとを含み得る。無線サブシステムは、追加の構成要素又は異なる構成要素を含み得る。一部の実装形態では、無線サブシステムは、従来のモデムからの、例えば、Wi-Fiモデム、ピコ基地局モデムなどからの無線電子機器(例えば、RFフロントエンド、無線チップ、又は類似の構成要素)であるか、又はそれを含み得る。一部の実装形態では、アンテナは複数のアンテナを含む。
【0074】
場合によっては、モデム112内のベースバンドサブシステムは、例えば、デジタルベースバンドデータを処理するように構成されたデジタル電子機器を含み得る。一例として、ベースバンドサブシステムは、ベースバンドチップを含み得る。ベースバンドサブシステムは、追加の又は異なる構成要素を含み得る。場合によっては、ベースバンドサブシステムは、デジタル信号プロセッサ(DSP)デバイス又は別のタイプのプロセッサデバイスを含み得る。場合によっては、ベースバンドシステムは、無線サブシステムを動作させ、無線サブシステムを介してワイヤレスネットワークトラフィックを通信し、無線サブシステムを介して受信された動き検出信号に基づいて動きを検出し、又は他のタイプのプロセスを実施するためのデジタル処理論理を含む。例えば、ベースバンドサブシステムは、信号を符号化し、符号化された信号を伝送のために無線サブシステムに配信するか、又は(例えば、ワイヤレス通信規格に従って信号を復号することによって、動き検出プロセスに従って信号を処理することによって、又は他の方法で)無線サブシステムからの信号中の符号化されたデータを識別し、分析するように構成された1つ以上のチップ、チップセット、又は他のタイプのデバイスを含んでもよい。
【0075】
一部の事例では、モデム112中の無線サブシステムは、ベースバンドサブシステムからベースバンド信号を受信し、ベースバンド信号を無線周波数(RF)信号にアップコンバートし、(例えば、アンテナを通して)無線周波数信号をワイヤレス伝送する。一部の事例では、モデム112中の無線サブシステムは、(例えば、アンテナを通して)無線周波数信号をワイヤレスに受信し、無線周波数信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、ベースバンド信号をベースバンドサブシステムに送信する。無線サブシステムとベースバンドサブシステムとの間で交換される信号は、デジタル信号又はアナログ信号であり得る。一部の例では、ベースバンドサブシステムは、変換回路(例えば、デジタル-アナログ変換器、アナログ-デジタル変換器)を含み、無線サブシステムとアナログ信号を交換する。一部の例では、無線サブシステムは、変換回路(例えば、デジタル/アナログ変換器、アナログ/デジタル変換器)を含み、ベースバンドサブシステムとデジタル信号を交換する。
【0076】
場合によっては、モデム112のベースバンドサブシステムは、1つ以上のネットワークトラフィックチャネル上で無線サブシステムを通してワイヤレス通信ネットワーク中でワイヤレスネットワークトラフィック(例えば、データパケット)を通信することができる。モデム112のベースバンドサブシステムはまた、専用ワイヤレス通信チャネル上で無線サブシステムを通して信号(例えば、動き探査信号又は動き検出信号)を伝送又は受信(又は両方)することができる。一部の事例では、ベースバンドサブシステムは、例えば、動きのための空間を探査するために、伝送のための動き探査信号を生成する。一部の事例では、ベースバンドサブシステムは、例えば、空間内の物体の動きを検出するために、受信された動き検出信号(空間を通して伝送された動き探査信号に基づく信号)を処理する。
【0077】
プロセッサ114は、例えば、データ入力に基づいて出力データを生成するための命令を実行することができる。命令は、メモリに記憶されたプログラム、コード、スクリプト、又は他のタイプのデータを含み得る。追加的又は代替的に、命令は、予めプログラムされた若しくは再プログラム可能な論理回路、論理ゲート、又は他のタイプのハードウェア若しくはファームウェア構成要素として符号化され得る。プロセッサ114は、専用コプロセッサ又は別のタイプのデータ処理装置としての汎用マイクロプロセッサであってもよく、又はそれを含んでもよい。場合によっては、プロセッサ114は、ワイヤレス通信デバイス102Cの高レベル動作を実施する。例えば、プロセッサ114は、メモリ116に記憶されたソフトウェア、スクリプト、プログラム、関数、実行可能ファイル、又は他の命令を実行又は解釈するように構成されてもよい。一部の実装形態では、プロセッサ114はモデム112中に含まれ得る。
【0078】
メモリ116は、コンピュータ可読記憶媒体、例えば、揮発性メモリデバイス、非揮発性メモリデバイス、又はその両方を含み得る。メモリ116は、1つ以上の読み取り専用メモリデバイス、ランダムアクセスメモリデバイス、バッファメモリデバイス、又はこれら及び他のタイプのメモリデバイスの組み合わせを含み得る。一部の事例では、メモリの1つ以上の構成要素は、ワイヤレス通信デバイス102Cの別の構成要素と統合されるか、又は別様で関連付けられ得る。メモリ116は、プロセッサ114によって実行可能な命令を記憶することができる。例えば、命令は、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19A、及び
図19Bのいずれかで説明した例示的なプロセスの動作のうちの1つ以上を通してなど、干渉バッファと動き検出バッファとを使用して信号を時間整合させるための命令を含んでもよい。
【0079】
電力ユニット118は、ワイヤレス通信デバイス102Cの他の構成要素に電力を供給する。例えば、他の構成要素は、電圧バス又は他の接続を通して電力ユニット118によって提供される電力に基づいて動作してもよい。一部の実装形態では、電力ユニット118は、バッテリ又はバッテリシステム、例えば、再充電可能バッテリを含む。一部の実装形態では、電力ユニット118は、(外部ソースから)外部電力信号を受信し、外部電力信号をワイヤレス通信デバイス102Cの構成要素のために調整された内部電力信号に変換するアダプタ(例えば、ACアダプタ)を含む。電力ユニット118は、他の構成要素を含んでもよく、又は別の方法で動作してもよい。
【0080】
図1に示す例では、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、(例えば、ワイヤレスネットワーク規格、動き検出プロトコル、又は他の方法に従って)ワイヤレス信号を伝送する。例えば、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、ワイヤレス動き探査信号(例えば、基準信号、ビーコン信号、ステータス信号など)をブロードキャストしてもよく、又は、他のデバイス(例えば、ユーザ機器、クライアントデバイス、サーバなど)に宛てられたワイヤレス信号を送信し得、他のデバイス(図示せず)並びにワイヤレス通信デバイス102Cは、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bによって伝送されたワイヤレス信号を受信してもよい。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bによって伝送されるワイヤレス信号は、例えば、ワイヤレス通信規格に従って又は他の方法で、周期的に繰り返される。
【0081】
図示の例では、ワイヤレス通信デバイス102Cは、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bからのワイヤレス信号を処理して、ワイヤレス信号によってアクセスされる空間内の物体の動きを検出するか、検出された動きのロケーションを判定するか、又はその両方を行う。例えば、ワイヤレス通信デバイス102Cは、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19A、及び
図19Bのいずれかに関して以下で説明する例示的なプロセスの1つ以上の動作、あるいは動きを検出するか又は検出された動きのロケーションを判定するための別のタイプのプロセスを実施してもよい。ワイヤレス信号によってアクセスされる空間は、例えば、1つ以上の完全に又は部分的に囲まれたエリア、囲いのないオープンエリアなどを含み得る屋内又は屋外空間であり得る。空間は、部屋、複数の部屋、建物などの内部であり得るか、又はそれを含み得る。場合によっては、ワイヤレス通信システム100は、例えば、ワイヤレス通信デバイス102Cがワイヤレス信号を伝送することができ、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bがワイヤレス通信デバイス102Cからのワイヤレス信号を処理して、動きを検出するか、又は検出された動きのロケーションを判定することができるように修正することができる。
【0082】
動き検出のために使用されるワイヤレス信号は、例えば、ビーコン信号(例えば、Bluetoothビーコン、Wi-Fiビーコン、他のワイヤレスビーコン信号)、ワイヤレスネットワーク規格に従って他の目的のために生成された別の規格信号、又は動き検出若しくは他の目的のために生成された非規格信号(例えば、ランダム信号、基準信号など)を含み得る。例では、動き検出は、ワイヤレス信号によって搬送される1つ以上の訓練フィールドを分析することによって、又は信号によって搬送される他のデータを分析することによって行われてもよい。一部の例では、データは、動き検出の明示的な目的のために追加されるか、又は使用されるデータは、名目上、別の目的のためのものであり、動き検出のために再使用又は別の目的のために使用される。一部の例では、ワイヤレス信号は、移動物体と相互作用する前又は後に物体(例えば、壁)を通って伝搬し、これにより、移動物体と伝送又は受信ハードウェアとの間の光学的な見通し線がなくても、移動物体の移動を検出することができる。受信信号に基づいて、ワイヤレス通信デバイス102Cは、動き検出データを生成することができる。一部の事例では、ワイヤレス通信デバイス102Cは、部屋、建物、屋外エリアなどの空間内の移動を監視するための制御センターを含み得るセキュリティシステムなどの別のデバイス又はシステムに動き検出データを通信することができる。
【0083】
一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、ワイヤレスネットワークトラフィック信号とは別個のワイヤレス通信チャネル(例えば、周波数チャネル又はコード化チャネル)上で(例えば、基準信号、ビーコン信号、又は動きについて空間を探査するために使用される別の信号を含み得る)動き探査信号を伝送するように修正することができる。例えば、動き探査信号のペイロードに適用される変調及びペイロード中のデータ又はデータ構造のタイプは、ワイヤレス通信デバイス102Cによって知られている場合があり、これにより、ワイヤレス通信デバイス102Cが動きセンシングのために実施する処理の量を低減することができる。ヘッダは、例えば、動きが通信システム100中の別のデバイスによって検出されたかどうかの指示、変調タイプの指示、信号を伝送するデバイスの識別情報など、追加の情報を含み得る。
【0084】
図1に示す例では、ワイヤレス通信システム100は、ワイヤレス通信デバイス102の各々の間にワイヤレス通信リンクを有するワイヤレスメッシュネットワークである。図示の例では、ワイヤレス通信デバイス102Cとワイヤレス通信デバイス102Aとの間のワイヤレス通信リンクは、動き検出フィールド110Aを探査するために使用され得、ワイヤレス通信デバイス102Cとワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信リンクは、動き検出フィールド110Bを探査するために使用され得、ワイヤレス通信デバイス102Aとワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信リンクは、動き検出フィールド110Cを探査するために使用され得る。一部の事例では、各ワイヤレス通信デバイス102は、動き検出フィールド110を通してワイヤレス通信デバイス102によって伝送されたワイヤレス信号に基づく受信信号を処理することによって、そのデバイスによってアクセスされた動き検出フィールド110中の動きを検出する。例えば、
図1に示す人物106が動き検出フィールド110A及び動き検出フィールド110C中で移動する場合、ワイヤレス通信デバイス102は、それぞれの動き検出フィールド110を通して伝送されたワイヤレス信号に基づく、それらが受信した信号に基づいて動きを検出することができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス102Aは、動き検出フィールド110A、110C中の人物106の動きを検出することができ、ワイヤレス通信デバイス102Bは、動き検出フィールド110C中の人物106の動きを検出することができ、ワイヤレス通信デバイス102Cは、動き検出フィールド110A中の人物106の動きを検出することができる。
【0085】
一部の事例では、動き検出フィールド110は、例えば、ワイヤレス電磁信号が伝搬し得る空気、固体材料、液体、又は別の媒体を含み得る。
図1に示す例では、動き検出フィールド110Aは、ワイヤレス通信デバイス102Aとワイヤレス通信デバイス102Cとの間のワイヤレス通信チャネルを提供し、動き検出フィールド110Bは、ワイヤレス通信デバイス102Bとワイヤレス通信デバイス102Cとの間のワイヤレス通信チャネルを提供し、動き検出フィールド110Cは、ワイヤレス通信デバイス102Aとワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信チャネルを提供する。動作の一部の態様では、(ネットワークトラフィックのためのワイヤレス通信チャネルとは別個の又はそれと共有される)ワイヤレス通信チャネル上で伝送されるワイヤレス信号が、空間内の物体の移動を検出するために使用される。物体は、任意のタイプの静止物体又は可動物体であってもよく、生物又は無生物であってもよい。例えば、物体は、人間(例えば、
図1に示される人物106)、動物、無機物体、又は別のデバイス、装置、若しくはアセンブリ)、空間の境界の全て又は一部を画定する物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体であってもよい。一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスからの動き情報は、検出された動きのロケーションを決定するために分析され得る。例えば、以下で更に説明するように、ワイヤレス通信デバイス102のうちの1つ(又はワイヤレス通信デバイス102に通信可能に結合された別のデバイス)は、検出された動きが特定のワイヤレス通信デバイスの近くにあると判定してもよい。
【0086】
図2A及び
図2Bは、ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cの間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cは、例えば、
図1に示されているワイヤレス通信デバイス102A、102B、102C、又は他のタイプのワイヤレス通信デバイスであり得る。ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cは、空間200を介してワイヤレス信号を伝送する。空間200は、1つ以上の境界で完全に又は部分的に囲まれるか、又は開放され得る。空間200は、1つの部屋、複数の部屋、建物、屋内エリア、屋外エリアなどの内部であり得、又はそれらを含み得る。第1の壁202A、第2の壁202B、及び第3の壁202Cは、図示の例では、空間200を少なくとも部分的に囲む。
【0087】
図2A及び
図2Bに示す例では、ワイヤレス通信デバイス204Aは、ワイヤレス信号を繰り返し(例えば、周期的に、間欠的に、スケジュールされた間隔、スケジュールされていない間隔、又はランダムな間隔などで)伝送するように動作可能である。ワイヤレス通信デバイス204B、204Cは、ワイヤレス通信デバイス204Aによって伝送された信号に基づいて信号を受信するように動作可能である。ワイヤレス通信デバイス204B、204Cは各々、空間200中の物体の動きを検出するために受信信号を処理するように構成されたモデム(例えば、
図1に示されているモデム112)を有する。
【0088】
図示のように、物体は、
図2Aの第1の位置214Aにあり、物体は、
図2Bの第2の位置214Bに移動している。
図2A及び
図2Bでは、空間200内の移動物体は人間として表されているが、移動物体は別のタイプの物体であってもよい。例えば、移動物体は、動物、無機物体(例えば、システム、デバイス、装置、又はアセンブリ)、空間200の境界の全て又は一部を画定する物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体であり得る。
【0089】
図2A及び
図2Bに示すように、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されたワイヤレス信号の複数の例示的な経路が破線によって示されている。第1の信号経路216に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第1の壁202Aからワイヤレス通信デバイス204Bに向かって反射される。第2の信号経路218に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第2の壁202B及び第1の壁202Aからワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。第3の信号経路220に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第2の壁202Bからワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。第4の信号経路222に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第3の壁202Cからワイヤレス通信デバイス204Bに向かって反射される。
【0090】
図2Aでは、第5の信号経路224Aに沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第1の位置214Aにある物体からワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。
図2Aと
図2Bとの間で、物体の表面は、空間200内の第1の位置214Aから第2の位置214Bに(例えば、第1の位置214Aからある距離だけ離れて)移動する。
図2Bでは、第6の信号経路224Bに沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第2の位置214Bにある物体からワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。
図2Bに示す第6の信号経路224Bは、第1の位置214Aから第2の位置214Bへの物体の移動のために、
図2Aに示す第5の信号経路224Aよりも長い。一部の例では、信号経路は、空間内の物体の移動に起因して、追加、除去、又は別様に修正することができる。
【0091】
図2A及び
図2Bに示される例示的なワイヤレス信号は、それぞれの経路を通じて減衰、周波数シフト、位相シフト、又は他の影響を受けることがあり、例えば、第1の壁202A、第2の壁202B、及び第3の壁202Cを通じて別の方向に伝搬する部分を有することがある。一部の例では、ワイヤレス信号は無線周波数(RF)信号である。ワイヤレス信号は、他のタイプの信号を含み得る。
【0092】
図2A及び
図2Bに示す例では、ワイヤレス通信デバイス204Aは、ワイヤレス信号を繰り返し伝送することができる。特に、
図2Aは、第1の時間にワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されているワイヤレス信号を示し、
図2Bは、第2の、後の時間にワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されている同じワイヤレス信号を示している。伝送信号は、連続的に、周期的に、ランダム又は断続的な時間などで、又はそれらの組み合わせで伝送され得る。伝送信号は、周波数帯域幅内に複数の周波数成分を有することができる。伝送信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから、無指向性で、指向性で、又は別様で伝送され得る。図示の例では、ワイヤレス信号は、空間200中の複数のそれぞれの経路を横断し、各経路に沿った信号は、経路損失、散乱、反射などにより減衰され得、位相又は周波数オフセットを有し得る。
【0093】
図2A及び
図2Bに示すように、第1~第6の経路216、218、220、222、224A、及び224Bからの信号は、ワイヤレス通信デバイス204C及びワイヤレス通信デバイス204Bにおいて合成されて、受信信号を形成する。伝送信号に対する空間200中の複数の経路の影響のために、空間200は、伝送信号が入力され、受信信号が出力される伝達関数(例えば、フィルタ)として表され得る。物体が空間200内を移動すると、信号経路内の信号に影響を及ぼす減衰又は位相オフセットが変化する可能性があり、したがって、空間200の伝達関数が変化する可能性がある。同じワイヤレス信号がワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されると仮定すると、空間200の伝達関数が変化する場合、その伝達関数の出力(受信信号)も変化することになる。受信信号の変化を使用して、物体の移動を検出することができる。
【0094】
数学的に、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから伝送された伝送信号f(t)は、式(1)に従って記述され得る。
【数1】
【0095】
式中、ω
nは伝送信号のn番目の周波数成分の周波数を表し、c
nはn番目の周波数成分の複素係数を表し、tは時間を表す。第1のワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されている伝送信号f(t)を用いて、経路kからの出力信号r
k(t)は、式(2)に従って記述され得る。
【数2】
【0096】
式中、αn,kは、経路kに沿ったn番目の周波数成分に対する減衰率(又は、例えば、散乱、反射、及び経路損失によるチャネル応答)を表し、φn,kは、経路kに沿ったn番目の周波数成分に対する信号の位相を表す。次いで、ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rは、式(3)に示される、ワイヤレス通信デバイスへの全ての経路からの全ての出力信号rk(t)の和として記述され得る。
R=Σkrk(t)…(3)
【0097】
式(2)を式(3)に代入すると、以下の式(4)が得られる。
【数3】
【0098】
次いで、ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rが分析され得る。ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rは、例えば、高速フーリエ変換(FFT)又は別のタイプのアルゴリズムを使用して、周波数領域に変換され得る。変換された信号は、(n個の周波数ω
nにおける)それぞれの周波数成分の各々について1つずつ、一連のn個の複素値として受信信号Rを表すことができる。周波数ω
nにおける周波数成分に対して、複素値H
nは、式(5)において次のように表され得る。
【数4】
【0099】
所与の周波数成分ω
nに対する複素値H
nは、その周波数成分ω
nにおける受信信号の相対的な大きさ及び位相オフセットを示す。物体が空間を移動すると、空間のチャネル応答α
n,kが変化することにより、複素値H
nが変化する。したがって、チャネル応答において検出された変化は、通信チャネル内の物体の移動を示すことができる。一部の事例では、雑音、干渉、又は他の現象が、受信機によって検出されるチャネル応答に影響を及ぼす可能性があり、動き検出システムは、かかる影響を低減又は分離して、動き検出能力の精度及び品質を改善することができる。一部の実装形態では、全体的なチャネル応答は、式(6)において次のように表され得る。
【数5】
【0100】
一部の事例では、空間に対するチャネル応答h
chは、例えば、数学的な推定理論に基づいて決定することができる。例えば、基準信号R
efは、候補チャネル応答(h
ch)を用いて修正することができ、その後、最尤アプローチを使用して、受信信号(R
cvd)に対して最良の一致を与える候補チャネルを選択することができる。場合によっては、推定受信信号
【数6】
は、基準信号(R
ef)と候補チャネル応答(h
ch)との畳み込みから取得され、次いで、チャネル応答(h
ch)のチャネル係数は、推定受信信号
【数7】
の二乗誤差を最小にするように変更される。これは、以下の式(7)のように数学的に示すことができる。
【数8】
【0101】
【0102】
最小化又は最適化プロセスは、最小平均二乗(LMS)、再帰的最小二乗(RLS)、バッチ最小二乗(BLS)などの適応フィルタリング技術を利用することができる。チャネル応答は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、無限インパルス応答(IIR)フィルタなどであり得る。上記の式に示すように、受信信号は、基準信号とチャネル応答との畳み込みと見なすことができる。畳み込み演算は、チャネル係数が基準信号の遅延されたレプリカの各々とある程度の相関を有することを意味する。したがって、上記の式に示される畳み込み演算は、受信信号が異なる遅延点に現れ、各遅延されたレプリカがチャネル係数によって重み付けされることを示す。
【0103】
図3A及び
図3Bは、
図2A及び
図2Bにおけるワイヤレス通信デバイス204A、204B、204C間で通信されるワイヤレス信号から計算されたチャネル応答360、370の例を示すプロットである。
図3A及び
図3Bはまた、ワイヤレス通信デバイス204Aによって伝送された初期ワイヤレス信号の周波数領域表現350を示している。図示の例では、
図3A中のチャネル応答360は、空間200中に動きがない場合にワイヤレス通信デバイス204Bによって受信された信号を表し、
図3B中のチャネル応答370は、物体が空間200中で移動した後に
図2B中のワイヤレス通信デバイス204Bによって受信された信号を表す。
【0104】
図3A及び
図3Bに示す例では、説明のために、ワイヤレス通信デバイス204Aは、周波数領域表現350に示すように、平坦な周波数プロファイル(各周波数成分f
1、f
2、及びf
3の大きさは同じである)を有する信号を伝送する。信号と空間200(及びその中の物体)との相互作用により、ワイヤレス通信デバイス204Aから送信された信号に基づくワイヤレス通信デバイス204Bにおいて受信された信号は、伝送信号とは異なる。伝送信号が平坦な周波数プロファイルを有するこの例では、受信信号は、空間200のチャネル応答を表す。
図3A及び
図3Bに示すように、チャネル応答360、370は、伝送信号の周波数領域表現350とは異なる。空間200内で動きが発生すると、チャネル応答の変動も発生する。例えば、
図3Bに示すように、空間200内の物体の動きに関連付けられたチャネル応答370は、空間200内の動きがないことに関連付けられたチャネル応答360とは異なる。
【0105】
更に、物体が空間200内で移動するにつれて、チャネル応答はチャネル応答370から変動する可能性がある。場合によっては、空間200は、別個の領域に分割され得、各領域に関連付けられたチャネル応答は、以下で説明するように、1つ以上の特性(例えば、形状)を共有することができる。したがって、異なる別個の領域内の物体の動きを区別することができ、チャネル応答の分析に基づいて、検出された動きのロケーションを決定することができる。
【0106】
図4A及び
図4Bは、空間400の別個の領域408、412における物体406の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答401、403を示す図である。図示の例では、空間400は建物であり、空間400は、複数の別個の領域、すなわち第1の領域408、第2の領域410、第3の領域412、第4の領域414、及び第5の領域416に分割される。空間400は、一部の事例では、追加の又はより少ない領域を含み得る。
図4A及び
図4Bに示されるように、空間400内の領域は、部屋間の壁によって画定され得る。加えて、領域は、建物のフロア間の天井によって画定され得る。例えば、空間400は、追加の部屋を有する追加のフロアを含んでもよい。加えて、一部の事例では、空間の複数の領域は、高層建築物内の複数のフロア、建築物内の複数の部屋、又は建築物の特定のフロアの複数の部屋であるか、又はそれを含み得る。
図4Aに示される例では、第1の領域408に位置する物体は人物406として表されるが、移動物体は、動物又は無機物体などの別のタイプの物体であってもよい。
【0107】
図示の例では、ワイヤレス通信デバイス402Aは、空間400の第4の領域414に位置し、ワイヤレス通信デバイス402Bは、空間400の第2の領域410に位置し、ワイヤレス通信デバイス402Cは、空間400の第5の領域416に位置する。ワイヤレス通信デバイス402は、
図1のワイヤレス通信デバイス102と同じ又は同様の方法で動作することができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス402は、ワイヤレス信号を伝送及び受信し、受信信号に基づいて空間400中で動きが発生したかどうかを検出するように構成されてもよい。一例として、ワイヤレス通信デバイス402は、空間400を通して動き探査信号を周期的に又は繰り返し伝送し、動き探査信号に基づいて信号を受信することができる。ワイヤレス通信デバイス402は、例えば、受信信号に基づいて空間400に関連付けられたチャネル応答を分析することなどによって、物体が空間400内で移動したかどうかを検出するために、受信信号を分析することができる。更に、一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイス402は、空間400内の検出された動きのロケーションを識別するために、受信信号を分析することができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス402は、チャネル応答の特性を分析して、チャネル応答が、空間400の第1~第5の領域408、410、412、414、416に関連付けられていることが知られているチャネル応答と同じ又は類似の特性を共有するかどうかを判定することができる。
【0108】
図示の例では、ワイヤレス通信デバイス402のうちの1つ(又は複数)は、空間400を通して動き探査信号(例えば、基準信号)を繰り返し伝送する。動き探査信号は、一部の事例では、平坦な周波数プロファイルを有してもよく、各周波数成分f
1、f
2、及びf
3の大きさ。例えば、動き探査信号は、
図3A及び
図3Bに示す周波数領域表現350と同様の周波数応答を有してもよい。動き探査信号は、一部の事例では異なる周波数プロファイルを有し得る。基準信号と空間400(及びその中の物体)との相互作用により、他のワイヤレス通信デバイス402から伝送された動き探査信号に基づく別のワイヤレス通信デバイス402において受信された信号は、伝送された基準信号とは異なる。
【0109】
受信信号に基づいて、ワイヤレス通信デバイス402は、空間400についてのチャネル応答を決定することができる。動きが空間内の別個の領域で発生するとき、チャネル応答において別個の特性が見られる場合がある。例えば、チャネル応答は、空間400の同じ領域内の動きについてわずかに異なり得るが、別個の領域中の動きに関連付けられたチャネル応答は、概して、同じ形状又は他の特性を共有する場合がある。例えば、
図4Aのチャネル応答401は、空間400の第1の領域408中の物体406の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答を表し、
図4Bのチャネル応答403は、空間400の第3の領域412中の物体406の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答を表す。チャネル応答401、403は、空間400内の同じワイヤレス通信デバイス402によって受信された信号に関連付けられる。
【0110】
図4C及び
図4Dは、
図4A及び
図4Bのチャネル応答401、403を、空間400内で動きが発生していないことに関連付けられたチャネル応答460に重ね合わせて示すプロットである。
図4C及び
図4Dはまた、ワイヤレス通信デバイス402A、402B、402Cのうちの1つ以上によって伝送される初期ワイヤレス信号の周波数領域表現450を示す。空間400内で動きが発生すると、動きのない場合のチャネル応答460に対してチャネル応答の変動が発生し、したがって、チャネル応答の変動を分析することによって、空間400内の物体の動きを検出することができる。加えて、空間400内の検出された動きの相対的なロケーションを識別することができる。例えば、動きに関連付けられたチャネル応答の形状を、(例えば、訓練されたAIモデルを使用して)参照情報と比較して、動きを空間400の別個の領域内で発生したものとして分類することができる。
【0111】
空間400中に動きがない場合(例えば、物体406が存在しない場合)、ワイヤレス通信デバイス402は、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460を計算することができる。複数の要因により、チャネル応答にわずかな変動が生じ得るが、異なる時間期間に関連付けられた複数のチャネル応答460は、1つ以上の特性を共有することができる。図示の例では、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460は、減少する周波数プロファイルを有する(各周波数成分f1、f2、及びf3の大きさは、前の周波数成分よりも小さい)。チャネル応答460のプロファイルは、(例えば、ワイヤレス通信デバイス402の異なる部屋レイアウト又は配置に基づいて)一部の事例では異なり得る。
【0112】
空間400内で動きが発生すると、チャネル応答の変動が発生する。例えば、
図4C及び
図4Dに示す例では、第1の領域408中の物体406の動きに関連付けられたチャネル応答401は、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460とは異なり、第3の領域412中の物体406の動きに関連付けられたチャネル応答403は、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460とは異なる。チャネル応答401は、凹型放物線周波数プロファイルを有し(中間周波数成分f
2の大きさは、外側周波数成分f
1及びf
3よりも小さい)、チャネル応答403は、凸型漸近周波数プロファイルを有する(中間周波数成分f
2の大きさは、外側周波数成分f
1及びf
3よりも大きい)。チャネル応答401、403のプロファイルは、一部の事例では(例えば、ワイヤレス通信デバイス402の異なる部屋レイアウト又は配置に基づいて)異なり得る。
【0113】
チャネル応答を分析することは、デジタルフィルタを分析することと同様であると見なすことができる。チャネル応答は、空間内の物体の反射、並びに動いている又は静止している人間によって作成された反射を通して形成され得る。反射体(例えば、人間)が移動すると、チャネル応答が変化する。これは、極及びゼロを有すると見なされ得るデジタルフィルタの等価タップの変化に変換され得る(極は、チャネル応答の周波数成分を増幅し、応答中のピーク又は高い点として現れるが、ゼロは、チャネル応答の周波数成分を減衰させ、応答中のトラフ、低い点又はヌルとして現れる)。変化するデジタルフィルタは、そのピーク及びトラフのロケーションによって特徴付けることができ、チャネル応答も同様に、そのピーク及びトラフによって特徴付けることができる。例えば、一部の実装形態では、(例えば、周波数軸上のそれらのロケーションとそれらの大きさとをマークすることによって)チャネル応答の周波数成分中のヌルとピークとを分析して、動きを検出することができる。
【0114】
一部の実装形態では、時系列集約を使用して、動きを検出することができる。時系列集約は、移動ウィンドウにわたってチャネル応答の特徴を観測し、統計的尺度(例えば、平均、分散、主成分など)を使用することによってウィンドウ処理された結果を集約することによって実施することができる。動きのインスタンスの間、特徴的なデジタルフィルタ特徴は、散乱シーンの連続的な変化に起因して、一部の値の間で、ロケーション及びフリップフロップの点で変位される。すなわち、等価デジタルフィルタは、(動きによる)そのピーク及びヌルの値の範囲を示す。この値の範囲を見ることによって、空間内の別個の領域について一意のプロファイル(例では、プロファイルはシグネチャと称されることもある)を識別することができる。
【0115】
一部の実装形態では、人工知能(AI)モデルを使用して、データを処理することができる。AIモデルは、種々のタイプのもの、例えば、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析モデル、決定木モデル、単純ベイズモデル、K最近傍モデル、学習ベクトル量子化モデル、サポートベクターマシン、バギング及びランダムフォレストモデル、並びにディープニューラルネットワークであり得る。概して、全てのAIモデルは、入力値と出力値との間の最も正確な相関を提供する関数を学習することを目的とし、相関することが知られている入力及び出力の履歴セットを使用して訓練される。例では、人口知能は、機械学習と称されることもある。
【0116】
一部の実装形態では、空間400の別個の領域における動きに関連付けられたチャネル応答のプロファイルが学習され得る。例えば、機械学習を使用して、空間の別個の領域内の物体の動きを用いてチャネル応答特性をカテゴリ分類することができる。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス402に関連付けられたユーザ(例えば、空間400の所有者又は他の占有者)が学習プロセスを支援することができる。例えば、
図4A及び
図4Bに示される例を参照すると、ユーザは、学習段階中に第1~第5の領域408、410、412、414、416の各々の中で移動することができ、ユーザが空間400内の特定の領域のうちの1つの中で移動していることを(例えば、モバイルコンピューティングデバイス上のユーザインターフェースを通して)示すことができる。例えば、ユーザが(例えば、
図4Aに示されるように)第1の領域408を通って移動している間、ユーザは、自身が第1の領域408内にいることをモバイルコンピューティングデバイス上で示すことができる(また、必要に応じて、領域を「寝室」、「リビングルーム」、「キッチン」、又は建物の別のタイプの部屋と名付けることができる)。チャネル応答は、ユーザが領域を通って移動するにつれて取得され得、チャネル応答は、ユーザの示されたロケーション(領域)で「タグ付け」され得る。ユーザは、空間400の他の領域について同じプロセスを繰り返すことができる。本明細書で使用される「タグ付け」されたという用語は、ユーザの示されたロケーション又は任意の他の情報を用いてチャネル応答をマークし、識別することを指すことがある。
【0117】
タグ付けされたチャネル応答は、次いで、(例えば、機械学習ソフトウェアによって)処理されて、別個の領域内の動きに関連付けられたチャネル応答の一意の特性を識別することができる。識別されると、識別された一意の特性を使用して、新たに計算されたチャネル応答について検出された動きのロケーションを決定することができる。例えば、AIモデルは、タグ付けされたチャネル応答を使用して訓練され得、訓練されると、新たに計算されたチャネル応答がAIモデルに入力され得、AIモデルは、検出された動きのロケーションを出力することができる。例えば、場合によっては、平均値、範囲、及び絶対値がAIモデルに入力される。一部の事例では、複素チャネル応答自体の大きさ及び位相も入力され得る。これらの値は、AIモデルが任意のフロントエンドフィルタを設計して、空間の異なる領域における動きに関して正確な予測を行うことに最も関連する特徴をピックアップすることを可能にする。一部の実装形態では、AIモデルは、確率的勾配降下を実施することによって訓練される。例えば、特定のゾーン中に最もアクティブであるチャネル応答変動が訓練中に監視されてもよく、(それらの形状、傾向などと相関するように第1の層中の重みを訓練し、適応させることによって)特定のチャネル変動が重く重み付けされてもよい。重み付けされたチャネル変動を使用して、ユーザが特定の領域内に存在するときにアクティブ化するメトリックを作成することができる。
【0118】
チャネル応答ヌル及びピークのような抽出された特徴について、(ヌル/ピークの)時系列は、移動ウィンドウ内の集約を使用し、過去及び現在の一部の特徴のスナップショットをとり、その集約された値をネットワークへの入力として使用して、作成することができる。したがって、ネットワークは、その重みを適応させながら、それらをクラスタ化するために、特定の領域内の値を集約しようとし、これは、ロジスティック分類器ベースの決定表面を作成することによって行うことができる。決定表面は、異なるクラスタを分割し、後続の層は、単一のクラスタ又はクラスタの組み合わせに基づいてカテゴリを形成することができる。
【0119】
一部の実装形態では、AIモデルは、推論の2つ以上の層を含む。第1の層は、異なる濃度の値を別個のクラスタに分割することができるロジスティック分類器として働き、第2の層は、これらのクラスタのうちの一部を一緒に組み合わせて、別個の領域のカテゴリを作成する。追加の後続の層は、クラスタの2つを超えるカテゴリにわたって別個の領域を拡張するのに役立ち得る。例えば、完全に接続された入力層モデルは、追跡された特徴の数に対応するAIと、(選択間の反復を通して)有効なクラスタの数に対応する中間層と、異なる領域に対応する最終層とを含み得る。完全なチャネル応答情報がAIモデルに入力される場合、第1の層は、特定の形状を相関させることができる形状フィルタとして機能し得る。したがって、第1の層は、特定の形状にロックすることができ、第2の層は、それらの形状において発生する変動の尺度を生成することができ、第3の層及び後続の層は、それらの変動の組み合わせを作成し、空間内の異なる領域にマッピングすることができる。異なる層の出力は、次いで、融合層を通して組み合わせることができる。
【0120】
B.Wi-Fiセンシングシステムの例示的な方法及び装置
セクションBは、センシング伝送を送信し、センシング測定を行うように構成されたWi-Fiセンシングシステムに有用なシステム及び方法を説明する。
【0121】
図5は、一部の実施形態による、Wi-Fiセンシングのためのシステム500の実装形態のアーキテクチャの一部の実装形態を示している。
【0122】
システム500(代替的に、Wi-Fiセンシングシステム500と称される)は、受信デバイス502と、センシング決定ユニット504と、複数のセンシング伝送機506-(1~M)と、センシングアルゴリズムマネージャ508と、情報交換のためにシステム構成要素間の通信を可能にするネットワーク560と、を含み得る。システム500は、ワイヤレス通信システム100の例又はインスタンスであり得、ネットワーク560は、ワイヤレスネットワーク又は携帯通信網接続の例又はインスタンスであり得、それらの詳細は、
図1及びそれに付随する説明を参照して提供される。
【0123】
一実施形態によれば、受信デバイス502は、(例えば、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々から)センシング伝送を受信し、Wi-Fiセンシングに有用な1つ以上の測定(例えば、チャネル状態情報(CSI))を実施するように構成され得る。これらの測定は、センシング測定として知られ得る。センシング測定は、動き又はジェスチャを検出することなど、システム500のセンシング結果を達成するために処理され得る。一実施形態では、受信デバイス502はアクセスポイントであり得る。一部の実施形態では、受信デバイス502は、センシングイニシエータの役割を果たすことができる。
【0124】
一実装形態によれば、受信デバイス502は、
図1に示すワイヤレス通信デバイス102などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、受信デバイス502は、
図2A及び
図2Bに示すワイヤレス通信デバイス204などのデバイスによって実装され得る。更に、受信デバイス502は、
図4A及び
図4Bに示すワイヤレス通信デバイス402などのデバイスによって実装され得る。一実装形態では、受信デバイス502は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の間の通信を調整及び制御することができる。一実装形態によれば、受信デバイス502は、必要なセンシング伝送が必要な時間に行われることを保証し、センシング測定の正確な決定を保証するために、測定キャンペーンを制御することを可能にされ得る。一部の実施形態では、受信デバイス502は、センシング測定を処理して、システム500のセンシング結果を達成することができる。一部の実施形態では、受信デバイス502は、センシング測定をセンシング決定ユニット504に伝送するように構成され得、センシング決定ユニット504は、システム500のセンシング結果を達成するためにセンシング測定を処理するように構成され得る。一例では、センシング決定ユニット504において処理されるセンシング測定は、測定CSI(M-CSI)と称されることがある。
【0125】
再び
図5を参照すると、一部の実施形態では、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、基本サービスセット(BSS)の一部を形成することができ、1つ以上のセンシング測定(例えば、CSI)がWi-Fiセンシングのために実施され得ることに基づいて、受信デバイス502にセンシング伝送を送信するように構成され得る。一実施形態では、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は局であり得る。一実装形態によれば、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、
図1に示されたワイヤレス通信デバイス102などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、
図2A及び
図2Bに示すワイヤレス通信デバイス204などのデバイスによって実装され得る。更に、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、
図4A及び
図4Bに示されるワイヤレス通信デバイス402などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、受信デバイス502と複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々との間の通信は、局管理エンティティ(SME)及びメディアアクセス制御(MAC)層管理エンティティ(MLME)プロトコルを介して行われ得る。
【0126】
一部の実施形態では、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からセンシング測定を受信し、センシング測定を処理するように構成され得る。一例では、センシング決定ユニット504は、センシング測定を処理することができる。一部の実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、センシングアルゴリズムを含む/実行することができる。一実施形態では、センシング決定ユニット504は局であり得る。一部の実施形態では、センシング決定ユニット504はアクセスポイントであり得る。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、
図1に示すワイヤレス通信デバイス102などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、センシング決定ユニット504は、
図2A及び
図2Bに示すワイヤレス通信デバイス204などのデバイスによって実装され得る。更に、センシング決定ユニット504は、
図4A及び
図4Bに示すワイヤレス通信デバイス402などのデバイスによって実装され得る。一部の実施形態では、センシング決定ユニット504は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、モバイルデバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、又は任意の他のコンピューティングデバイスなどの任意のコンピューティングデバイスであり得る。実施形態では、センシング決定ユニット504は、センシングアルゴリズムが測定キャンペーンと測定キャンペーンを満たすために必要とされるセンシング測定とを決定するセンシングイニシエータの役割を果たすことができる。実施形態では、センシング決定ユニット504はセンシング受信機であり得る。センシング決定ユニット504は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の間の通信を調整及び制御するために、測定キャンペーンを満たすために必要とされるセンシング測定を受信デバイス502に通信することができる。一部の実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、1つ以上の関心特徴の識別情報のために、処理されたセンシング測定をセンシングアルゴリズムマネージャ508に提供することができる。
【0127】
一部の実施形態によれば、センシングアルゴリズムマネージャ508は、センシング決定ユニット504から処理されたセンシング測定を受信するように構成され得る。一例では、センシングアルゴリズムマネージャ508は、処理されたセンシング測定を更に処理及び分析して、1つ以上の関心特徴を識別することができる。一部の実装形態によれば、センシングアルゴリズムマネージャ508は、センシングアルゴリズムを含む/実行することができる。一実施形態では、センシングアルゴリズムマネージャ508は局であってもよい。一部の実施形態では、センシングアルゴリズムマネージャ508は、アクセスポイントであり得る。一実装形態によれば、センシングアルゴリズムマネージャ508は、
図1に示すワイヤレス通信デバイス102などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、センシングアルゴリズムマネージャ508は、
図2A及び
図2Bに示すワイヤレス通信デバイス204などのデバイスによって実装され得る。更に、センシングアルゴリズムマネージャ508は、
図4A及び
図4Bに示されるワイヤレス通信デバイス402などのデバイスによって実装され得る。一部の実施形態では、センシングアルゴリズムマネージャ508は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、モバイルデバイス、PDA、又は任意の他のコンピューティングデバイスなどの任意のコンピューティングデバイスであってもよい。実施形態では、センシングアルゴリズムマネージャ508は、センシングアルゴリズムが測定キャンペーンと測定キャンペーンを満たすために必要とされるセンシング測定とを決定するセンシングイニシエータの役割を果たすことができる。
【0128】
図5をより詳細に参照すると、受信デバイス502は、プロセッサ510及びメモリ512を含み得る。例えば、受信デバイス502のプロセッサ510及びメモリ512は、
図1に示すように、それぞれプロセッサ114及びメモリ116であってもよい。一実施形態では、受信デバイス502は、伝送機アンテナ514と、受信アンテナ516と、受信機フロントエンド(RFE)518と、ベースバンドプロセッサ528と、を更に含み得る。一実施形態によれば、RFE518は、自動利得コントローラ(AGC)520と、ダウンコンバータ522と、位相ロックループ(PLL)ユニット524と、を含み得、ベースバンドプロセッサ528は、生成ユニット526を含み得る。
【0129】
一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで信号を伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナ514と称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナ516と称されることがある、同じアンテナが、一部の事例では伝送アンテナ514であり、他の事例では受信アンテナ516であり得ることが、当業者によって理解される。アンテナアレイの場合、1つ以上のアンテナ要素が、例えば、ビームフォーミング環境において、信号を伝送又は受信するために使用され得る。一部の例では、複合信号を伝送するために使用されるアンテナ要素のグループは伝送アンテナ514と称されることがあり、複合信号を受信するために使用されるアンテナ要素のグループは受信アンテナ516と称されることがある。一部の例では、各アンテナは、それ自体の伝送経路及び受信経路を備え、それらは、アンテナが伝送アンテナ514として動作しているか、又は受信アンテナ516として動作しているかに応じて、アンテナに接続するように交互に切り替えられ得る。
【0130】
一実装形態では、AGC520は、その出力信号の大きさが、受信チェーンにおいて後に続く信号処理ユニットによって許容可能な所望のダイナミックレンジ内に入るように、その利得が自動的に調整される信号増幅器であり得る。一実装形態によれば、ダウンコンバータ522は、更なる処理のために、受信された無線周波数信号を中間周波(IF)信号又はベースバンド信号に変換するように構成され得る。一実装形態によれば、ダウンコンバータ522は、低IFダウンコンバータ又はゼロIFダウンコンバータであり得る。
【0131】
一実装形態では、PLLユニット524は、その位相が入力信号に関係する出力信号を生成するように構成され得る。一実装形態によれば、PLLユニット524は、ダウンコンバータ522に1つ以上の正確で安定したキャリア周波数ソースを与えるように構成され得る。一実装形態では、1つ以上の正確で安定したキャリア周波数ソースは、無線周波数信号のダウンコンバージョン、周波同期、及びタイミング同期のために使用され得る。一実装形態では、PLLユニット524の出力信号は、受信された無線周波数信号に関係する。
【0132】
一実装形態では、生成ユニット526は、プロセッサ510及びメモリ512に結合され得る。一部の実施形態では、生成ユニット526は、他のユニットの中でもとりわけ、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データタイプを実装し得るルーチン、プログラム、物体、構成要素、データ構造などを含み得る。生成ユニット526はまた、信号プロセッサ、状態機械、論理回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する任意の他のデバイス若しくは構成要素として実装され得る。
【0133】
一部の実施形態では、生成ユニット526は、ハードウェア、処理ユニットによって実行される命令、又はそれらの組み合わせで実装され得る。処理ユニットは、コンピュータ、プロセッサ、状態機械、論理アレイ、又は命令を処理することが可能な任意の他の好適なデバイスを備え得る。処理ユニットは、汎用プロセッサに必要なタスクを実行させるための命令を実行する汎用プロセッサであってもよく、又は処理ユニットは、必要な機能を実施するために専用であってもよい。一部の実施形態では、生成ユニット526は、プロセッサ/処理ユニットによって実行されると、所望の機能のいずれかを実施する機械可読命令であり得る。機械可読命令は、電子メモリデバイス、ハードディスク、光ディスク、又は他の機械可読記憶媒体若しくは非一時的媒体上に記憶され得る。一実装形態では、機械可読命令はまた、ネットワーク接続を介して記憶媒体にダウンロードされ得る。一例では、機械可読命令がメモリ512に記憶され得る。
【0134】
一実装形態では、生成ユニット526は、センシング伝送及び関連する伝送パラメータを受信することと、センシング測定を計算することと、センシング目標を満たすためにセンシング測定を処理することと、を担当することができる。一部の実装形態では、生成ユニット526は、データ転送目標を満たすために、データ伝送を受信することと、データ伝送を処理することと、を担当することができる。一部の実装形態では、生成ユニット526は、更なる処理のためにセンシング測定をセンシング決定ユニット504に伝送するように構成され得る。一実装形態では、生成ユニット526は、伝送機アンテナ514のうちの少なくとも1つの伝送機アンテナに、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々にメッセージを伝送させるように構成され得る。更に、生成ユニット526は、受信アンテナ516のうちの少なくとも1つの受信アンテナを介して、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々からメッセージを受信するように構成され得る。
【0135】
一実装形態では、RFE518及びベースバンドプロセッサ528は、物理(PHY)層又はMAC層の下位部分など、プロトコルスタックの下位層を実現することができる。
【0136】
再び
図5を参照すると、センシング決定ユニット504は、メディアアクセス制御(MAC)層又はアプリケーション層など、プロトコルスタックの上位層を実現することができる。一実装形態では、センシング決定ユニット504は、プロセッサ528とメモリ530とを含み得る。例えば、センシング決定ユニット504のプロセッサ528及びメモリ530は、それぞれ、
図1に示されているようなプロセッサ114及びメモリ116であり得る。一実施形態では、センシング決定ユニット504は、伝送機アンテナ532と、受信アンテナ534と、CSI等化ユニット536と、群遅延推定及び補正ユニット538と、を更に含み得る。
【0137】
一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナ532と称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナ534と称されることがある、同じアンテナが、一部の事例では伝送アンテナ532であり、他の事例では受信アンテナ534であり得ることが、当業者によって理解される。アンテナアレイの場合、1つ以上のアンテナ要素が、例えば、ビームフォーミング環境において、信号を伝送又は受信するために使用され得る。一部の例では、複合信号を伝送するために使用されるアンテナ要素のグループは伝送アンテナ532と称されることがあり、複合信号を受信するために使用されるアンテナ要素のグループは受信アンテナ534と称されることがある。一部の例では、各アンテナは、それ自体の伝送経路及び受信経路を備え、それらは、アンテナが伝送アンテナ532として動作しているか、又は受信アンテナ534として動作しているかに応じて、アンテナに接続するように交互に切り替えられ得る。
【0138】
一実装形態では、CSI等化ユニット536並びに群遅延推定及び補正ユニット538は、プロセッサ528及びメモリ530に結合され得る。一部の実施形態では、CSI等化ユニット536及び群遅延推定及び補正ユニット538は、他のユニットの中でもとりわけ、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データタイプを実装し得るルーチン、プログラム、物体、構成要素、データ構造などを含み得る。CSI等化ユニット536並びに群遅延推定及び補正ユニット538はまた、信号プロセッサ、状態機械、論理回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する任意の他のデバイス若しくは構成要素として実装され得る。
【0139】
一部の実施形態では、CSI等化ユニット536並びに群遅延推定及び補正ユニット538は、ハードウェア、処理ユニットによって実行される命令、又はそれらの組み合わせで実装され得る。処理ユニットは、コンピュータ、プロセッサ、状態機械、論理アレイ、又は命令を処理することが可能な任意の他の好適なデバイスを備え得る。処理ユニットは、汎用プロセッサに必要なタスクを実行させるための命令を実行する汎用プロセッサであってもよく、又は処理ユニットは、必要な機能を実施するために専用であってもよい。一部の実施形態では、CSI等化ユニット536並びに群遅延推定及び補正ユニット538は、プロセッサ/処理ユニットによって実行されると、所望の機能のいずれかを実施する機械可読命令であり得る。機械可読命令は、電子メモリデバイス、ハードディスク、光ディスク、又は他の機械可読記憶媒体若しくは非一時的媒体上に記憶され得る。一実装形態では、機械可読命令はまた、ネットワーク接続を介して記憶媒体にダウンロードされ得る。一例では、機械可読命令がメモリ530に記憶され得る。
【0140】
一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、CSI処理を実施するように構成され得る。CSI処理は、CSI等化ユニット536並びに群遅延推定及び補正ユニット538によって実施され得る。一例では、論理CSI処理からの出力は、処理されたCSI(P-CSI)と称されることがある。更に、一例では、P-CSIは、CSI等化、又は群遅延推定及び補正、あるいは両方を受けていることがある。
【0141】
一実装形態では、センシング伝送機506-1は、プロセッサ540-1とメモリ542-1とを含み得る。例えば、センシング伝送機506-1のプロセッサ540-1及びメモリ542-1は、
図1に示されるように、それぞれ、プロセッサ114及びメモリ116であり得る。一実施形態では、センシング伝送機506-1は、伝送機アンテナ544-1、受信アンテナ546-1、伝送機フロントエンド(TFE)548-1、及びセンシングエージェント554-1を更に含み得る。一実装形態では、TFE548-1は、アップコンバータ550-1と電力増幅器552-1とを含み得る。
【0142】
一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナ544-1と称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナ546-1と称されることがある。同じアンテナが、一部の事例では伝送アンテナ544-1であり、他の事例では受信アンテナ546-1であり得ることが、当業者によって理解される。アンテナアレイの場合、1つ以上のアンテナ要素が、例えば、ビームフォーミング環境において、信号を伝送又は受信するために使用され得る。一部の例では、複合信号を伝送するために使用されるアンテナ要素のグループは伝送アンテナ544-1と称されることがあり、複合信号を受信するために使用されるアンテナ要素のグループは受信アンテナ546-1と称されることがある。一部の例では、各アンテナは、それ自体の伝送経路及び受信経路を備え、それらは、アンテナが伝送アンテナ544-1として動作しているか、又は受信アンテナ546-1として動作しているかに応じて、アンテナに接続するように交互に切り替えられ得る。
【0143】
一実装形態によれば、アップコンバータ550-1は、ベースバンド信号を無線周波数信号に変換するように構成され得る。一例では、アップコンバータ550-1は、ベースバンド信号のスペクトルを所望の無線周波数帯域にシフトすることができる。一実装形態では、電力増幅器552-1は、所与の入力信号の電力の大きさを増加させるように構成され得る。
【0144】
一実装形態では、センシングエージェント554-1は、センシング伝送機506-1のMAC層とアプリケーション層プログラム又はアルゴリズムとの間で物理層パラメータ及び命令を交換するブロックであり得る。センシングエージェント554-1は、伝送機アンテナ544-1のうちの少なくとも1つの伝送機アンテナ及び受信アンテナ546-1のうちの少なくとも1つの受信アンテナに、受信デバイス502とメッセージを交換させるように構成され得る。
【0145】
受信デバイス502、センシング決定ユニット504、及びセンシングアルゴリズムマネージャ508は、システム500中の別個のデバイスとして表されているが、センシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508は、論理機能ブロックと見なされ得、本明細書で説明する特徴をサポートし得る任意のデバイス上に常駐し得る。例えば、受信デバイス502は、受信デバイス502、センシング決定ユニット504、及びセンシングアルゴリズムマネージャ508の機能を組み込むことができる。別の例では、受信デバイス502及びセンシング決定ユニット504は、同じデバイス上に実装され得、センシングアルゴリズムマネージャ508は、第2のリモートデバイスによって実装される。2つの機能ブロックが同じデバイス上に存在する場合、機能ブロック間の通信は、伝送機アンテナ及び受信アンテナを介したオーバージエアでの信号の伝送及び受信を必要としないことがある。
【0146】
説明及び理解を容易にするために、上記で提供された説明は、センシング伝送機506-1を参照しているが、この説明は、残りのセンシング伝送機506-(2~M)にも等しく適用可能である。
【0147】
1つ以上の実装形態によれば、ネットワーク560における通信は、IEEEによって開発された規格の802.11ファミリのうちの1つ以上によって管理され得る。一部の例示的なIEEE規格は、IEEE 802.11-2020、IEEE 802.11ax-2021、IEEE 802.11me、IEEE 802.11az、及びIEEE 802.11beを含み得る。IEEE 802.11-2020及びIEEE 802.11ax-2021は、完全に承認された規格であるが、IEEE 802.11meは、IEEE 802.11-2020規格に対する進行中の保守アップデートを反映し、IEEE 802.11beは、次世代の規格を定義する。IEEE 802.11azは、新しい機能を追加する、IEEE 802.11-2020及びIEEE 802.11ax-2021規格の拡張である。一部の実装形態では、通信は、他の規格(他の若しくは追加のIEEE規格又は他のタイプの規格)によって管理され得る。一部の実施形態では、システム500が規格の802.11ファミリのうちの1つ以上によって管理されることを必要としないネットワーク560の部分は、ワイヤレスネットワーク又は携帯通信網を含む任意のタイプのネットワークのインスタンスによって実装され得る。
【0148】
一実装形態では、Wi-Fiセンシングは、OTAチャネルにおける摂動を検出することに基づいて実施され得る。OTAチャネルは、ここでは、伝送機アンテナと受信機アンテナとの間の信号の伝搬経路を指す。Wi-Fiセンシングは、CSIを計算するために、ベースバンド伝送機によって生成される伝送信号と、ベースバンド受信機によって処理される受信信号とに依存し得る。ベースバンド伝送機とベースバンド受信機との間の経路は、測定されたチャネルと称されることがあり、一例では、測定されたチャネルは、ベースバンド伝送機及びベースバンド受信機の両方の処理効果を含むため、OTAチャネルに等しくない。ベースバンド受信機は、ベースバンドプロセッサと交換可能に称され得る。一例では、ベースバンド受信機において計算されたCSIは、測定CSI(M-CSI)と称されることがある。
【0149】
再び
図5を参照すると、1つ以上の実装形態によれば、Wi-Fiセンシングの目的で、受信デバイス502は、測定キャンペーン(又はWi-Fiセンシングセッション)を開始することができる。測定キャンペーンでは、受信デバイス502と複数のセンシング伝送機506-(1~M)との間の伝送の交換が行われ得る。一例では、これらの伝送の制御は、IEEE 802.11スタックのMAC層によるものであり得る。受信デバイスとセンシング伝送機との間の伝搬チャネルの表現は、チャネル状態情報(CSI)の測定によって捕捉される。
【0150】
例示的な実装形態によれば、受信デバイス502は、1つ以上のセンシングトリガメッセージを介して測定キャンペーンを開始することができる。一実装形態では、生成ユニット526は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々からの応答をトリガするためのセンシングトリガメッセージを生成するように構成され得る。例では、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々へのセンシングトリガメッセージは、内容が異なり得る。センシングトリガメッセージへの応答は、センシング伝送であり得る。一例では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成を含み得る。ここで説明されない、センシングトリガメッセージに含まれる情報/データの他の例が、本明細書で企図される。一実装形態によれば、生成ユニット526は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々にセンシングトリガメッセージを伝送することができる。一実装形態では、生成ユニット526は、伝送機アンテナ514を介して複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々にセンシングトリガメッセージを伝送することができる。
【0151】
一実装形態によれば、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、受信デバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することができる。センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、センシング伝送を生成することができる。一実装形態では、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、センシングトリガメッセージによって定義された要求された伝送構成を使用してセンシング伝送を生成することができる。その後、複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々は、センシングトリガメッセージに応答して、要求された伝送構成に従って、受信デバイス502にセンシング伝送を伝送することができる。一例では、センシング伝送は、要求された伝送構成に対応する配信された伝送構成を含み得る。
【0152】
一実装形態によれば、受信デバイス502は、1つ以上のセンシングトリガメッセージに応答して伝送された、複数のセンシング伝送機506-(1~M)からのセンシング伝送を受信することができる。受信デバイス502は、受信アンテナ516を介して複数のセンシング伝送機506-(1~M)からセンシング伝送を受信するように構成され得る。一実装形態によれば、生成ユニット526は、センシング伝送に基づいて、測定されたチャネル状態情報(M-CSI)を表すセンシング測定を生成するように構成され得る。
【0153】
C.改善されたチャネル推定のための電子環境の分離
本開示は、概して、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法に関する。特に、本開示は、改善されたチャネル推定のための電子環境の分離のためのシステム及び方法に関する。
【0154】
図6は、一部の実施形態による、OTAチャネルに対する測定されたチャネルの例600を示す。
【0155】
一実装形態では、ベースバンド受信機における受信信号の処理を通して取得されたCSIは、OTAチャネルのCSIの構成要素に加えて、TFE548-1及びRFE518の影響を含む。TFE548-1及びRFE518によって引き起こされる摂動は、センシング空間内の物体の結果ではないため、正確なWi-Fiセンシングのために、OTAチャネル以外の要素によって寄与されるCSIの影響は、最小化されるべきである。
【0156】
図6で説明されるように、TFE548-1は、アップコンバータ550-1と電力増幅器552-1とを含み得る。更に、RFE518は、AGC520と、ダウンコンバータ522と、PLLユニット524と、バンドパスフィルタ(BPF)602とを含み得る。一実装形態では、TFE548-1及びRFE518は、M-CSIにおいて摂動を引き起こし得る。
【0157】
一実装形態では、AGC520の利得は、入力信号が強いときに減少し、入力信号が弱いときに増加し得る。AGC520の利得は、AGC利得と交換可能に称され得る。AGC利得は、入力信号の全周波数帯域にわたって等しく適用され、処理された入力信号の利得歪みを最小化し得る。したがって、OTAチャネルで物体の動きが発生する場合、入力信号の強度が変化するにつれて、AGC利得は均一に(すなわち、全周波数帯域にわたって等しく)変動し得る。その結果、全てのM-CSIトーンの大きさは、AGC利得の変動に基づいて変動し得る。一実装形態によれば、AGC利得は、AGC520の入力ポートに到着し得る干渉信号に敏感であり得る。例えば、近くのデバイス(例えば、Wi-Fiセンシング又はセンシング目標に関係しないことがあるデバイス)から伝送された信号が、所望の信号とともに干渉としてAGC520の入力ポートに到達することがある。干渉が強く、所望の信号が弱い一部の例では、信号対干渉及び雑音比(SINR)は低いことがある。一実装形態では、AGC520は、干渉と所望の信号とを区別しないことがある。一例では、AGC520は、強い干渉と弱い信号との重ね合わせを強い入力信号として扱うことができ、AGC利得は、低い値に低減され得る。その結果、弱い所望の信号は、十分に増幅されない可能性があり、特に、複数の伝送機が同じ近傍に位置するとき、OTAチャネルで発生する物体の移動による小さなCSI変化の検出が困難になる可能性がある。
【0158】
一実装形態では、信号が受信され、AGC520の入力ポートに印加されると、信号の大きさは、その時点で設定されているAGC520のAGC利得によって増幅される。AGC利得が周波数帯域にわたって等しく適用されない状況では(例えば、超広帯域信号の場合)、利得歪みは周波数帯域にわたって特徴付けられ得、AGC利得情報は、各々が受信信号の一部に適用可能な複数の値を含み得、複数の値は、受信信号全体の周波数帯域をカバーするための値を含み得る。一例では、複数の値は、周波数帯域にわたるAGCの周波数応答を記述するAGC利得マスクから計算され得る。一例では、AGC利得マスクは、周波数帯域のサブセットである周波数の範囲に従ってAGC利得の値をスケーリングする2つ以上の値からなる。一例では、ACG利得マスクは、説明した方法で使用するためにAGC520によって記憶される。
【0159】
一実装形態では、群遅延は、物理チャネル又は要素、例えば、フィルタの特性である。群遅延は、チャネル又は要素によって引き起こされる信号の位相シフト量対周波数を表すことができる。一例では、理想的なチャネル、例えば、歪みのない見通し線ワイヤレス直交波周波数分割多重(OFDM)チャネル又は歪みのないフィルタの群遅延は、負の傾きをもつ直線である。しかしながら、非理想的なチャネルの場合、M-CSIの群遅延は直線ではない。代わりに、M-CSIの群遅延は、理想的なOFDMチャネルの群遅延、実際のチャネルの歪みに起因する群遅延、及び非理想的なフィルタの群遅延を含む、全ての関与する部分の群遅延の重ね合わせであり、不連続性を有し得る。M-CSIがセンシングのために使用され得る前に、理想的なOFDMチャネルの群遅延が十分な精度で推定される必要がある。
【0160】
一実装形態によれば、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)から受信されたセンシング伝送に基づいてM-CSIを計算するためにCSI測定を実施するように構成され得る。一部の実装形態では、受信デバイス502は、RFE518によるM-CSIへの寄与を計算することができる。一例では、RFE518は、アナログ要素及びデジタル要素を含み得る。例えば、RFE518は、受信された信号が基準点から、受信された信号が受信デバイス502の生成ユニット526によって読み取られ得る点まで進行し得る、アナログ及びデジタル構成要素を含み得る。受信デバイス502の受信機チェーンの表現700が
図7に示されている。
図7で説明されるように、同相(I)及び直交位相(Q)変調シンボルは、周波数及びタイミング回復を含む同期が実施される受信機のフロントエンドに到着する。更に、時間領域ガード期間(サイクリックプレフィックス)が除去され、受信機は、受信信号(例えば、I変調シンボル及びQ変調シンボル)に対して高速フーリエ変換(FFT)を実施する。次いで、ガードトーン及びDCトーンが除去される。次いで、M-CSIは、データデマッピング、デインタリーブ(デインタリーバを使用する)、デパンクチャ、復号(ビタビデコーダを使用する)、及び最後にデスクランブル(デスクランブラを使用する)の前に生成される。デスクランブルの結果として、データビットが生成される。生成されたM-CSIは、生成ユニット526に提供される。
【0161】
一実装形態によれば、M-CSIは、2つの構成要素、すなわち、センシング空間内の関心特徴を含む、受信デバイス502と複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々との間の物理チャネルの寄与と、受信デバイス502のRFE518の寄与とを含むものとしてモデル化される。
【0162】
一実装形態では、M-CSIを受信すると、受信デバイス502は、M-CSIをセンシング決定ユニット504に送信することができる。一実装形態によれば、受信デバイス502はまた、M-CSIとともに受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)をセンシング決定ユニット504に送信することができる。一部の実装形態では、ベースバンドプロセッサは、M-CSIとRFE-SIとをセンシング決定ユニット504に送信することができる。一例では、RFE-SIは、位相変動インジケータ、自動利得コントローラ(AGC)情報、及びダウンコンバータタイプ情報のうちの少なくとも1つを含み得る。ここで説明されていないRFE-SIの他の例が、本明細書で企図される。一実装形態では、「情報」という用語は、RFE518の態様を表す信号及びメッセージを等しく捕捉するために使用される。
【0163】
図8は、一部の実施形態による、RFE摂動補正アーキテクチャ800を示す。
【0164】
図8で説明されるように、RFE摂動補正アーキテクチャ800は、RFE518と、ベースバンドプロセッサ528と、センシング決定ユニット504と、センシングアルゴリズムマネージャ508とを含む。RFE518は、AGC520、ダウンコンバータ522、及びPLLユニット524を含み得る。更に、ベースバンドプロセッサ528は、アナログデジタル(A/D)コンバータ804と、復調器806と、CSI測定ユニット808とを含み得る。センシング決定ユニット504は、CSI等化ユニット536と、群遅延推定及び補正ユニット538とを含む。一実装形態では、CSI等化ユニット536、群遅延推定及び補正ユニット538、並びにセンシングアルゴリズムマネージャ508は、CSI処理を容易にすることができる。
【0165】
一実装形態では、ベースバンドプロセッサ528は、受信デバイス502と複数のセンシング伝送機506-(1~M)の各々との間の物理チャネルによって寄与されるCSIと、受信デバイス502のRFE518によって寄与されるCSIとに基づいて、複数のセンシング測定を実施することができる。ベースバンドプロセッサ528は、次いで、各センシング測定を表すM-CSIを出力することができる。一実装形態では、M-CSI及びRFE-SIは、MLMEインターフェースを介して、又はアプリケーションからアプリケーションへの専用データ転送としてセンシング決定ユニット504に渡され得る。
図8で説明されるように、RFE-SIは、AGC情報(矢印「A」によって表される)と、位相変動インジケータ(矢印「B」によって表される)と、ダウンコンバータタイプ情報(矢印「C」によって表される)とを含み得る。
【0166】
図8には、AGC情報、位相変動インジケータ、及びダウンコンバータタイプ情報がベースバンドプロセッサ528をバイパスすることが示されているが、一部の実装形態では、AGC情報、位相変動インジケータ、及びダウンコンバータタイプ情報は、RFE518によってベースバンドプロセッサ528に供給され得、ベースバンドプロセッサ528は、AGC情報、位相変動インジケータ、及びダウンコンバータタイプ情報をセンシング決定ユニット504に出力することができる。
【0167】
一実装形態では、AGC情報を受信すると、ベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータは、AGC情報をアナログ形式からデジタル形式に変換することができる。一実装形態では、A/Dコンバータは、ベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータ804であり得る。次いで、ベースバンドプロセッサ528は、デジタルAGC情報をセンシング決定ユニット504に渡すことができる。同様に、位相変動インジケータを受信すると、ベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータは、位相変動インジケータをアナログ形式からデジタル形式に変換することができる。一実装形態では、A/Dコンバータは、AGC情報を変換する同じA/Dコンバータであってもよく、又はベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータ804であってもよい。次いで、ベースバンドプロセッサ528は、デジタル位相変動インジケータをセンシングアルゴリズムマネージャ508に渡すことができる。更に、ダウンコンバータタイプ情報を受信すると、ベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータは、ダウンコンバータタイプ情報をアナログ形式からデジタル形式に変換することができる。一実装形態では、A/Dコンバータは、AGC情報及び位相変動インジケータを変換する同じA/Dコンバータであってよく、又はベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータ804であってよい。次いで、ベースバンドプロセッサ528は、デジタルダウンコンバータタイプ情報をセンシング決定ユニット504に渡すことができる。
【0168】
一実装形態によれば、RFE-SIは、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528によって、メッセージとしてセンシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508に提供され得る。例示的な実装形態では、ベースバンドプロセッサ528は、MLME及びSMEを介して単一のメッセージとしてRFE-SIを提供することができる。一実装形態では、RFE-SIは、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528及びRFE518のうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号としてセンシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508に提供され得る。一部の実装形態では、RFE-SIは、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528及びRFE518のうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号としてセンシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508に提供され得る。一例では、RFE-SIは、M-CSIとともにフレームごとにセンシング決定ユニット504に提供され得る。一実装形態では、RFE518及びベースバンドプロセッサ528からセンシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508に渡される信号及びメッセージのフォーマットは、標準フォーマットであり得る。
【0169】
図9は、一部の実施形態による、RFE摂動補正アーキテクチャ800におけるRFE-SIの例900を示す。
図9で説明されるように、RFE-SIは、ベースバンドプロセッサ528によって、(矢印「D」によって表される)RFE-SIメッセージとしてセンシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508に提供され得る。更に、RFE-SIは、RFE518によってセンシング決定ユニット504及びセンシングアルゴリズムマネージャ508に(矢印「E」によって表される)RFE-SI信号として提供され得る。一実装形態では、RFE-SIメッセージ及びRFE-SI信号のいずれか又は両方は、いつでも存在し得る。
【0170】
図10は、一部の実施形態による、PLLユニット524の構造1000を示す。
【0171】
図10で説明されるように、PLLユニット524は、位相弁別器1002と、ループフィルタ1004と、電圧制御発振器(VCO)1006とを含み得る。一例では、位相弁別器1002は、互換的に位相比較器と称されることもある。一例では、ループフィルタ1004はローパスフィルタであり得る。一実装形態では、VCO1006は、その出力として正弦波形を生成することができる。正弦波形は、VCO出力波形と称され得る。一実装形態では、VCO出力波形は、位相弁別器1002に返送され得る(矢印「F」によって表される)。VCO出力波形はまた、(矢印「G」によって表される)出力としてダウンコンバータ522に送信され得る。一実装形態では、位相弁別器1002は、VCO出力波形の位相を入力波形の位相と比較して、2つの位相入力間の差に比例する出力電圧を生成することができる。位相弁別器1002は、出力電圧をループフィルタ1004に渡すことができる。一実装形態では、ループフィルタ1004は、出力電圧をフィルタリングして、干渉などの高周波成分、及び位相弁別器1002を通る入力波形の漏れを抑制することができる。フィルタリングされた出力電圧は、次いで、VCO1006の周波数を制御するためにVCO1006に印加され得る。一例では、位相は周波数の積分であるため、VCO1006に印加されるフィルタリングされた出力電圧はまた、VCO出力波形の位相を制御することができる。一例では、より高いフィルタリングされた出力電圧は、VCO1006のより高い周波数を生成する。
【0172】
一実装形態では、位相弁別器1002、ループフィルタ1004、及びVCO1006は、入力波形の位相変動を追跡するためにVCO出力波形の位相をプルし得る、位相負帰還ループを作成することができる。一実装形態では、位相負帰還ループがロック状態にある(すなわち、同期されている)とき、VCO出力波形は、入力波形と同じ周波数及び位相を有し得、したがって、入力波形に同期され得る。
【0173】
一部の例では、PLLユニット524は、例えば、強いインパルス性雑音又は干渉、あるいは不安定な電源により、アウトオブロック状態にあり得る(すなわち、位相負フィードバックループがロック状態にない)。アウトオブロック状態では、ダウンコンバータ522に供給されるVCO出力波形は、(周波数オフセットに相当する)位相オフセット又は位相ドリフトを有し得、それは、歪みとしてM-CSIに反映され得る。M-CSIにおけるこの歪みは、センシングアルゴリズムによって、OTAチャネルにおける摂動として解釈されることがあり、誤検出につながる。
【0174】
一例では、PLLユニット524がロック状態にあるとき、VCO1006に印加される出力電圧は、一定値又はほぼ一定値を維持することができる。逆に、PLLユニット524がアウトオブロック状態である場合には、VCO1006に印加される出力電圧は、より大きく変動し得る。したがって、出力電圧は、VCO1006に起因してM-CSI中に存在し得る位相変動のインジケータである。出力電圧は、位相変動インジケータと称されることがあり、センシングアルゴリズムに提供される。
【0175】
一例では、位相変動インジケータは、センシングアルゴリズムに提供される前にデジタル化され得るアナログ信号であり得る。例えば、アナログ位相変動インジケータがベースバンドプロセッサ528に入力され得る。一実装形態では、ベースバンドプロセッサ528は、アナログ位相変動インジケータをデジタル位相変動インジケータに変換し得、デジタル位相変動インジケータは、センシングアルゴリズムに提供され得る。一部の実施形態では、PLLユニット524はデジタルPLLであってもよく、位相変動インジケータはすでにデジタル形式で存在していてもよい。更に、一部の実施形態では、センシング決定ユニット504は、アナログ位相変動インジケータをデジタル信号に変換することができるA/Dコンバータを備え得る。したがって、ループフィルタ1004から出力され、VCO1006に印加される電圧は、位相変動インジケータとしてセンシングアルゴリズムに提供され得る。一例では、位相変動インジケータは、PLLユニット524がロック外れであることを示し得、この場合、センシングアルゴリズムは、誤った動き検出を回避するためにCSI変化を考慮しないことがある。一部の実装形態では、位相変動インジケータは、センシングアルゴリズムによるその使用の前に更にフィルタ処理され得る。一例では、位相変動インジケータは、他の信号障害のアーチファクトであり得る高周波変動を抑制するためにローパスフィルタ処理され得る。
【0176】
理想的なチャネル又は理想的なフィルタなどの理想的なシステムを通過する周波数成分の範囲を備える、マルチトーンOFDM信号などの信号は、全ての周波数成分にわたって同じ時間遅延を経験する。したがって、各周波数成分の位相シフトは、各周波数成分の周波数に比例し得る。歪みのないチャネル(歪みのない見通し線ワイヤレスOFDMチャネルとも称される)又は歪みのないフィルタなどの理想的なチャネルの群遅延の例1100が
図11に示されている。
図11に示すように、歪みのないチャネルの群遅延は、負の傾きを有する直線である。Wi-Fiチャネルが理想的でない状況では、M-CSIの群遅延は、例1100によって説明されるようなものでないことがある。かかる状況では、M-CSIの群遅延は、理想チャネルの群遅延を含む、各信号処理要素によって寄与される群遅延の重ね合わせであり得る。
【0177】
一実装形態では、M-CSIが動きセンシングのために使用されるために、チャネルの群遅延が十分な精度で推定される必要があり得る。しかしながら、M-CSIの群遅延は、ダウンコンバータ522において使用されるフィルタの群遅延を含み得、ダウンコンバータ522において使用されるフィルタの群遅延の性質又は形態は、実装されるダウンコンバータ522のタイプ(すなわち、ダウンコンバータ522が低IFダウンコンバータであるか、又はゼロIFダウンコンバータであるか)に依存し得る。
【0178】
一実装形態によれば、無線周波数信号は、以下で与えられる式(8)を使用して数学的に表され得る。
【数10】
ここで、Real{x}は複素数xの実部を表し、
【数11】
、f
cはキャリア周波数を表し、I(t)はベースバンド信号の同相成分を表し、Q(t)はベースバンド信号の直交成分を表す。一実装形態では、ダウンコンバータ522は、受信された無線周波数信号から同相成分I(t)と直交成分Q(t)とを復元するように構成され得る。
【0179】
図12は、一部の実施形態による、2つのブランチを有するゼロIFダウンコンバータ1200のブロック図を示す。
【0180】
一実装形態では、ゼロIFダウンコンバータ1200は、受信された無線周波数信号を単一のステップでベースバンド信号に変換するための単一の周波数ミキサ段を有するダウンコンバータであり得る。一例では、無線周波数信号は、受信デバイス502の受信アンテナ516によって受信され得る。
図12で説明されるように、ゼロIFダウンコンバータ1200は、2つのブランチ、すなわち、第1のブランチ1202及び第2のブランチ1204を含み得る。また、
図12で説明されるように、第1のブランチ1202及び第2のブランチ1204の出力は、それぞれ、同相I(t)及び直交Q(t)ベースバンド信号である。第1のブランチ1202は、第1の周波数ミキサ1206と、第1のローパスフィルタ1208と、第1のノッチフィルタ1210とを含み得る。一実装形態では、第1の周波数ミキサ1206は、無線周波数信号を、周波数及び位相が無線周波数信号と同期したローカルキャリアf
cと乗算する非線形デバイスであってもよい。一例では、ローカルキャリアf
cは、PLLユニット524によって生成される。一実装形態によれば、第1の周波数ミキサ1206の出力は、ベースバンド信号、高周波数成分、及び直流(DC)成分を含むことができる。一例では、これらの構成要素のうち、ベースバンド信号のみが有用であり、所望の信号である。望ましくない高周波成分は、第1のローパスフィルタ1208によって抑制(又は減衰)され得、DC成分は、第1のノッチフィルタ1210によって抑制され得る。更に、第2のブランチ1204は、第2の周波数ミキサ1212と、第2のローパスフィルタ1214と、第2のノッチフィルタ1216とを含み得る。
【0181】
本開示の態様によれば、第1のブランチ1202、第1の周波数ミキサ1206、第1のローパスフィルタ1208、及び第1のノッチフィルタ1210の説明は、それぞれ、第2のブランチ1204、第2の周波数ミキサ1212、第2のローパスフィルタ1214、及び第2のノッチフィルタ1216に等しく適用可能である。
【0182】
一実装形態では、ノッチフィルタは、特定の範囲内の周波数を減衰させながら、減衰なしに(又は最小の減衰で)全ての他の周波数を通過させ得る、一種の帯域消去フィルタであり得る。
図13A及び
図13Bは、一部の実施形態による、ノッチフィルタの一例の特性を示す。
図13Aにおいて、プロット1302は、ノッチフィルタの振幅対周波数を示す(周波数選択性減衰を明確に示す)。
図13Bにおいて、プロット1304は、ノッチフィルタの周波数(すなわち、群遅延)に対する位相シフトを示す。群遅延は、ノッチフィルタの中心周波数f
0において位相不連続(すなわち、位相ジャンプ)を有することが示されている。
【0183】
一実装形態によれば、ノッチフィルタの出力の群遅延は、周波数帯域の中央において位相不連続性を有し得る。例えば、52個のサブキャリアを備える20MHz帯域の場合、群遅延は、26番目のサブキャリアと27番目のサブキャリアとの間に不連続性を有し得る。一実装形態では、M-CSIから群遅延を正確に推定するために、この不連続性の影響が除去される。このために、M-CSIのトーンは2つのセットに分割され得、各セットは、不連続性を回避しながら群遅延の推定値を与えるために独立して処理される。例えば、52個のサブキャリアを備える20MHz帯域の場合、M-CSIの第1の26個のトーンの群遅延とM-CSIの第2の26個のトーンの群遅延とは、推定された群遅延の2つの構成要素を生じるために別々に独立して推定され得る。その結果、推定中にノッチフィルタによって引き起こされる位相不連続性の影響を回避することができる。一実装形態では、群遅延の2つの構成要素が別々に推定された後、群遅延の不連続性は、更なる処理によって補正又は除去され得、一部の実装形態では、ノッチフィルタ1210又はノッチフィルタ1216によって引き起こされた不連続性を緩和する単一の群遅延が計算され得る。
【0184】
図14は、一部の実施形態による、2つのブランチを有する2段低IFダウンコンバータ1400のブロック図を示す。
【0185】
一実装形態では、2段低IFダウンコンバータ1400は、周波数ミキサの2つの段、すなわち、第1の段及び第2の段を有するダウンコンバータであり得る。第1の段は、受信された無線周波数信号を低IF信号に変換し得、バンドパスフィルタは、所望のIF信号のみが通過することを可能にし得る。更に、バンドパスフィルタフィルタは、他の全ての望ましくないより低い周波数成分及びより高い周波数成分を減衰させることができる。第2の段は、IF信号をベースバンド信号に変換することができる。
図14で説明されるように、低IFダウンコンバータ1400は、2つのブランチ、すなわち第1のブランチ1402及び第2のブランチ1404を含むことができ、第1のブランチ1402及び第2のブランチ1404の出力は、それぞれ同相I(t)及び直交Q(t)ベースバンド信号である。第1のブランチ1402は、第1の周波数ミキサ1406と、第1のバンドパスフィルタ1408と、第2の周波数ミキサ1410と、第1のローパスフィルタ1412とを含み得る。更に、第2のブランチ1404は、第3の周波数ミキサ1414と、第2のバンドパスフィルタ1416と、第4の周波数ミキサ1418と、第2のローパスフィルタ1420とを含み得る。
【0186】
低IFダウンコンバータ1400の一実装形態では、第1のブランチ1402及び第2のブランチ1404のブランチの各々における結果として生じるベースバンド信号は、DC成分を含まないことがある。したがって、ノッチフィルタは、低IFダウンコンバータ1400によって必要とされないことがあり、その結果、M-CSIの群遅延は、その周波数帯域内に不連続性を有しないことがある。
【0187】
再び
図5を参照すると、一実装形態では、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からセンシング測定を表すM-CSIを受信するように構成され得る。更に、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からRFE-SIを受信するように構成され得る。例示的な実装形態では、センシング決定ユニット504は、受信アンテナ534を介して受信デバイス502からM-CSIとRFE-SIとを受信することができる。一実装形態では、センシング決定ユニット504は、MLME及びSMEを介してM-CSIを受信することができる。
【0188】
一実装形態によれば、M-CSI及びRFE-SIを受信すると、センシング決定ユニット504は、センシング決定に対する、M-CSI中のRFE518によって引き起こされる摂動の影響を除去又は低減するように構成され得る。一実装形態では、センシング決定ユニット504は、M-CSI及びRFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定することができる。一例では、センシング決定入力情報は、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を含み得る。
【0189】
一部の実装形態によれば、CSI等化ユニット536は、位相変動インジケータがM-CSI中の位相変動を示すかどうかを判定することができる。位相変動インジケータがM-CSIにおける位相変動を示すと判定したことに応答して、CSI等化ユニット536は、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することができる。一例では、CSI等化ユニット536は、M-CSIを廃棄し得、M-CSIを更に、例えば、センシングアルゴリズムマネージャ508に渡さないことがある。
【0190】
一部の実装形態によれば、CSI等化ユニット536は、M-CSIの等化を実施するために、AGC情報からM-CSI中でキャプチャされたセンシング伝送にAGC520が適用したAGC利得を決定するように構成され得る。例では、AGC情報は、AGC520がセンシング伝送に適用したAGC利得と同等であり得る。一部の実装形態では、CSI等化ユニット536は、AGC情報及びM-CSIの強度の両方に基づいてM-CSIの等化を実施することができる。一例では、M-CSIの全て又は一部の強度は、M-CSIのトーンの全て又は一部の大きさの二乗平均平方根値によって表され得る。
【0191】
一実装形態では、CSI等化ユニット536は、AGC情報が第1の閾値を超えるかどうかの第1の決定を行うことができる。一実装形態では、CSI等化ユニット536は、M-CSIの一部の強度が第2の閾値を超えるかどうかの第2の決定を行うように構成され得る。AGC情報が第1の閾値を超えず、M-CSIの部分の強度が第2の閾値を超えないと判定したことに応答して、CSI等化ユニット536は、M-CSIに対して利得調整を実施することができる。一実装形態では、CSI等化ユニット536は、M-CSI又はM-CSIの部分にAGCスケーリング係数を乗算することによって利得調整を実施することができる。これにより、P-CSIが生成される。一実装形態によれば、CSI等化ユニット536は、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することができる。
【0192】
一実装形態では、CSI等化ユニット536は、ベースバンドプロセッサ528によって与えられたM-CSIトーンの全て又は一部に利得を適用するために、全てのM-CSIトーンの大きさにAGCスケーリング係数を乗算することができる。一例では、CSI等化ユニット536は、P-CSIを作成するために、ベースバンドプロセッサ528によって与えられたM-CSIトーンの全て又は一部の大きさに、AGC情報の逆数に比例するAGCスケーリング係数を乗算することができる。一実装形態では、CSI等化ユニット536は、以下に与えられる式(9)を使用してP-CSIを決定することができる。
【数12】
ここで、AGC
scaleはAGCスケーリング係数であり、aは乗数であり、bはオフセットである。
【0193】
一部の実装形態では、CSI等化ユニット536は、第1の決定及び第2の決定を行うより前に、ローパスフィルタを使用してAGC情報をフィルタ処理するように構成され得る。
【0194】
一部の実装形態によれば、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定は、干渉信号が利用可能なA/D解像度を支配するため、RFE518が干渉物で大きく飽和され、AGC利得の著しい低減をもたらしたことと、(ベースバンドプロセッサ528のA/Dコンバータ804に受け渡される)信号の摂動の解像度が非常に低くなり得る可能性とを示し得る。かかる状況では、その後CSI等化ユニット536によって乗算されたとしても、得られた測定の精度は、Wi-Fiセンシングを実施するには不十分であり得る。一例では、CSI等化ユニット536は、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定し得るか、又は別の例では、M-CSIを廃棄し、M-CSIを更に、例えば、センシングアルゴリズムマネージャ508に渡さないことがある。
【0195】
一部の実装形態によれば、CSI等化ユニット536は、AGC情報が第1の閾値を超えるという第1の決定と、M-CSIの部分の2乗平均平方根が第2の閾値を超えるという第2の決定とに応答して、センシング決定入力情報をM-CSIに設定することができる。
【0196】
一実装形態では、CSI等化ユニット536は、M-CSIの関連するトーンの強度を計算し得る。一例では、M-CSIの関連するトーンは、受信デバイス502によって受信されたセンシング伝送機506-(1~M)からのセンシング伝送に対応するM-CSIのトーンであり得る。一例では、M-CSIの関連するトーンは、M-CSIの全てのトーンのサブセット又は一部であり得る。M-CSIの関連するトーンの強度が第2の閾値を下回る場合、CSI等化ユニット536は、M-CSIトーンの関連するトーンの大きさに、式(9)に従って決定されたAGCスケーリング係数を乗算することによって、P-CSIを作成することができる。一部の実装形態では、AGC情報が第1の閾値を下回るが、M-CSIの関連するトーンの強度が第2の閾値よりも大きい場合、M-CSIは、物体移動の検出のために十分に強くないことがある。したがって、CSI等化ユニット536は、P-CSIをM-CSIに等しくなるように設定し得、P-CSIはM-CSIと等価であると見なされ得る。一実装形態では、低いAGC利得に対応するM-CSIへのP-CSIの設定は、物体の動きの検出可能性を改善することを容易にし得る。
【0197】
一実装形態によれば、群遅延推定及び補正ユニット538は、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算することができる。一実装形態では、群遅延推定及び補正ユニット538は、M-CSIの全てのトーンを一緒に単一の情報として処理することができる。一実装形態では、群遅延推定及び補正ユニット538は、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIを調整することによってP-CSIを生成することができる。更に、群遅延推定及び補正ユニット538は、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することができる。
【0198】
一実装形態では、群遅延推定及び補正ユニット538は、ダウンコンバータ522がゼロIFダウンコンバータであるか低IFダウンコンバータであるかを判定することができる。ダウンコンバータ522がゼロIFダウンコンバータであると判定したことに応答して、群遅延推定及び補正ユニット538は、信号帯域幅の下位部分及び上位部分の群遅延を独立に計算し、群遅延の個々の計算を組み合わせることができる。更に、群遅延推定及び補正ユニット538は、群遅延の組み合わされた個々の計算に従ってP-CSIを生成することができる。更に、ダウンコンバータ522が低IFダウンコンバータであると判定したことに応答して、群遅延推定及び補正ユニット538は、信号帯域幅全体上の群遅延を計算することができる。更に、群遅延推定及び補正ユニット538は、計算された群遅延に従ってP-CSIを生成することができる。例では、ダウンコンバータ522が低IFダウンコンバータであると判定したことに応答して、群遅延推定及び補正ユニット538は、信号に対して処理を行わず、群遅延のいかなる推定もなしにP-CSIを生成することができる。
【0199】
一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、センシング決定を行うためにセンシング決定入力情報(すなわち、P-CSI)をセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信するように構成され得る。例示的な実装形態では、センシング決定ユニット504は、伝送機アンテナ532を介してセンシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信することができる。
【0200】
図15は、一部の実施形態による、センシング決定入力情報を決定するためのフローチャート1500を示す。
【0201】
フローチャート1500の一実装形態の概要では、ステップ1502において、センシング測定を表すM-CSIが受信される。ステップ1504において、RFE-SIが受信される。ステップ1506において、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報が決定される。
【0202】
ステップ1502は、センシング測定を表すM-CSIを受信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からセンシング測定を表すM-CSIを受信するように構成され得る。
【0203】
ステップ1504は、RFE-SIを受信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からRFE-SIを受信するように構成され得る。一例では、RFE-SIは、位相変動インジケータ、自動利得コントローラ(AGC)情報、及びダウンコンバータタイプ情報のうちの少なくとも1つを含み得る。一実装形態では、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528によってメッセージとしてRFE-SIを受信することができる。一部の実装形態では、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528及びRFE518のうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号としてRFE-SIを受信することができる。一部の実装形態では、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502のベースバンドプロセッサ528及びRFE518のうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号としてRFE-SIを受信することができる。
【0204】
ステップ1506は、RFE-SIに従って、センシング決定入力情報を決定することをを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するように構成され得る。
【0205】
図16は、一部の実施形態による、M-CSIをセンシング決定ユニット504に送信するためのフローチャート1600を示す。
【0206】
フローチャート1600の一実装形態の概要では、ステップ1602において、複数のセンシング伝送機506-(1~M)からセンシング伝送が受信される。ステップ1604において、センシング伝送に基づいてM-CSIが生成される。ステップ1606において、M-CSIはセンシング決定ユニット504に送信される。
【0207】
ステップ1602は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)からセンシング伝送を受信することを含む。一実装形態によれば、受信デバイス502は、複数のセンシング伝送機506-(1~M)からセンシング伝送を受信するように構成され得る。
【0208】
ステップ1604は、センシング伝送に基づいてM-CSIを生成することを含む。一実装形態によれば、受信デバイス502は、センシング伝送に基づいてM-CSIを生成するように構成され得る。
【0209】
ステップ1606は、M-CSIをセンシング決定ユニット504に送信することを含む。一実装形態によれば、受信デバイス502は、M-CSIをセンシング決定ユニット504に送信するように構成され得る。
【0210】
図17は、一部の実施形態による、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するためのフローチャート1700を示し、RFE-SIは位相変動インジケータを含む。
【0211】
フローチャート1700の一実装形態の概要では、ステップ1702において、センシング測定を表すM-CSIが受信される。ステップ1704において、RFE-SIが受信され、RFE-SIは、位相変動インジケータを含む。ステップ1706において、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報が決定され、センシング決定入力情報を決定することは、位相変動インジケータがM-CSIにおける位相変動を示すという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することを含む。
【0212】
ステップ1702は、センシング測定を表すM-CSIを受信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からセンシング測定を表すM-CSIを受信するように構成され得る。
【0213】
ステップ1704は、RFE-SIを受信することを含み、RFE-SIは、位相変動インジケータを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からRFE-SIを受信するように構成され得る。一例では、RFE-SIは位相変動インジケータを含み得る。
【0214】
ステップ1706は、RFE-SIに従って、センシング決定入力情報を決定することを含み、センシング決定入力情報を決定することは、位相変動インジケータがM-CSIにおける位相変動を示すという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、位相変動インジケータがM-CSI中の位相変動を示すかどうかを判定するように構成され得る。位相変動インジケータがM-CSIにおける位相変動を示すという決定に応答して、センシング決定ユニット504は、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することができる。
【0215】
図18は、一部の実施形態による、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するためのフローチャート1800を示し、RFE-SIはダウンコンバータタイプ情報を含む。
【0216】
フローチャート1800の一実装形態の概要では、ステップ1802において、センシング測定を表すM-CSIが受信される。ステップ1804において、RFE-SIが受信され、RFE-SIはダウンコンバータタイプ情報を含む。ステップ1806において、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報が決定され、センシング決定入力情報を決定することは、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算することと、群遅延に従ってM-CSIを調整することによってP-CSIを生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することと、を含む。ステップ1808において、センシング決定入力情報がセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信される。
【0217】
ステップ1802は、センシング測定を表すM-CSIを受信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からセンシング測定を表すM-CSIを受信するように構成され得る。
【0218】
ステップ1804は、RFE-SIを受信することを含み、RFE-SIはダウンコンバータタイプ情報を含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からRFE-SIを受信するように構成され得る。一例では、RFE-SIはダウンコンバータタイプ情報を含み得る。
【0219】
ステップ1806は、RFE-SIに従って、センシング決定入力情報を決定することを含み、センシング決定入力情報を決定することは、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算することと、群遅延に従ってM-CSIを調整することによってP-CSIを生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することと、を含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算することと、群遅延に従ってM-CSIを調整することによってP-CSIを生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することとに基づいて、センシング決定入力情報を決定するように構成され得る。
【0220】
ステップ1808は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信するように構成され得る。
【0221】
図19A及び
図19Bは、一部の実施形態による、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定するためのフローチャート1900を示し、RFE-SIはAGC情報を含む。
【0222】
フローチャート1900の一実装形態の概要では、ステップ1902において、センシング測定を表すM-CSIが受信される。ステップ1904において、RFE-SIが受信され、RFE-SIはAGC情報を含む。ステップ1906において、AGC情報が第1の閾値を超えるかどうかが判定される。ステップ1908において、M-CSIの一部の二乗平均平方根が第2の閾値を超えるかどうかが判定される。ステップ1910において、センシング決定入力情報がヌル入力に設定される。ステップ1912において、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによってP-CSIが生成される。ステップ1914において、センシング決定入力情報がP-CSIに設定される。ステップ1916において、センシング決定入力情報がセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信される。
【0223】
ステップ1902は、センシング測定を表すM-CSIを受信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からセンシング測定を表すM-CSIを受信するように構成され得る。
【0224】
ステップ1904は、RFE-SIを受信することを含み、RFE-SIはAGC情報を含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、受信デバイス502からRFE-SIを受信するように構成され得る。一例では、RFE-SIはAGC情報を含み得る。
【0225】
ステップ1906は、AGC情報が第1の閾値を超えるかどうかを判定することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、AGC情報が第1の閾値を超えるかどうかを判定するように構成され得る。AGC情報が第1の閾値を超えると判定された場合、フローチャート1900はステップ1910に進み(「イエス」ブランチ)、AGC情報が第1の閾値を超えないと判定された場合、フローチャート1900はステップ1912に進む(「ノー」ブランチ)。
【0226】
ステップ1908は、M-CSIの一部の二乗平均平方根が第2の閾値を超えるかどうかを判定することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、M-CSIの部分の二乗平均平方根が第2の閾値を超えるかどうかを判定するように構成され得る。M-CSIの部分の二乗平均平方根が第2の閾値を超えると判定された場合、フローチャート1900はステップ1910に進み(「イエス」ブランチ)、M-CSIの部分の二乗平均平方根が第2の閾値を超えないと判定された場合、フローチャート1900はステップ1912に進む(「ノー」ブランチ)。
【0227】
ステップ1910は、センシング決定入力情報をM-CSI入力に設定することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、センシング決定入力情報をM-CSIに設定するように構成され得る。
【0228】
ステップ1912は、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによってP-CSIを生成することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによってP-CSIを生成するように構成され得る。
【0229】
ステップ1914は、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、センシング決定入力情報をP-CSIに設定するように構成され得る。
【0230】
ステップ1916は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信することを含む。一実装形態によれば、センシング決定ユニット504は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャ508に送信するように構成され得る。
【0231】
実施形態1は、少なくとも1つのプロセッサ上で動作しているセンシング決定ユニットによって行われるWi-Fiセンシングのための方法である。この方法は、センシング決定ユニットによって、センシング測定を表す測定されたチャネル状態情報(M-CSI)を受信することと、センシング決定ユニットによって、受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)を受信することと、センシング決定ユニットによって、RFE-SIに従って、センシング決定入力情報を決定することと、を含む。
【0232】
実施形態2は、受信アンテナを有する受信機フロントエンド(RFE)を含む受信デバイスによって、複数のセンシング伝送機からセンシング伝送を受信することと、受信デバイスによって、センシング伝送に基づいてM-CSIを生成することと、を更に含む、実施形態1の方法である。
【0233】
実施形態3は、受信デバイスが、少なくとも1つのプロセッサを更に含む、実施形態2の方法である。
【0234】
実施形態4は、RFE-SIが、受信デバイスのベースバンドプロセッサによってメッセージとしてセンシング決定ユニットに提供される、実施形態2又は3の方法である。
【0235】
実施形態5は、RFE-SIが、受信デバイスのベースバンドプロセッサ及びRFEのうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号としてセンシング決定ユニットに提供される、実施形態2~4のうちのいずれかの方法である。
【0236】
実施形態6は、RFE-SIが、受信デバイスのベースバンドプロセッサ及びRFEのうちの少なくとも1つによって、1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号としてセンシング決定ユニットに提供される、実施形態2~5のうちのいずれかの方法である。
【0237】
実施形態7は、RFE-SIが位相変動インジケータを含む、実施形態1~6のうちのいずれかの方法である。
【0238】
実施形態8は、センシング決定入力情報を決定することが、位相変動インジケータがM-CSIの位相変動を示すという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することを含む、実施形態7の方法である。
【0239】
実施形態9は、RFE-SIが自動利得コントローラ(AGC)情報を含む、実施形態1~8のうちのいずれかの方法である。
【0240】
実施形態10は、センシング決定入力情報を決定することが、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定することを含む、実施形態9の方法である。
【0241】
実施形態11は、センシング決定入力情報を決定することが、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することと、を含む、実施形態9又は10の方法である。
【0242】
実施形態12は、センシング決定入力情報を決定することが、AGC情報が第1の閾値を超えないという第1の決定、及びM-CSIの一部の強度が第2の閾値を超えないという第2の決定に応答して、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成することと、センシング決定出力情報をP-CSIに設定することと、を含む、実施形態9~11のうちのいずれかの方法である。
【0243】
実施形態13は、センシング決定入力情報を決定することが、AGC情報が第1の閾値を超えるという第1の決定と、M-CSIの一部の強度が第2の閾値を超えるという第2の決定とに応答して、センシング決定入力情報をM-CSIに設定することを含む、実施形態9~12のうちのいずれかの方法である。
【0244】
実施形態14は、RFE-SIがダウンコンバータタイプ情報を含む、実施形態1~13のうちのいずれかの方法である。
【0245】
実施形態15は、センシング決定入力情報を決定することが、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算することと、群遅延に従ってM-CSIを調整することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成することと、センシング決定入力情報をP-CSIに設定することと、を含む、実施形態14の方法である。
【0246】
実施形態16は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信することを更に含む、実施形態11~15のうちのいずれかの方法である。
【0247】
実施形態17は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信することを更に含む、実施形態12~16のうちのいずれかの方法である。
【0248】
実施形態18は、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信することを更に含む、実施形態15~17のうちのいずれかの方法である。
【0249】
実施形態19は、Wi-Fiセンシングのためのシステムである。本システムは、センシング決定ユニットを動作させるための命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備え、命令は、センシング測定を表す測定されたチャネル状態情報(M-CSI)を受信することと、受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)を受信することと、RFE-SIに従ってセンシング決定入力情報を決定することとを行うように構成される。
【0250】
実施形態20は、受信アンテナを有する受信機フロントエンド(RFE)を含み、複数のセンシング伝送機からセンシング伝送を受信し、センシング伝送に基づいてM-CSIを生成するように構成された受信デバイスを更に備える、実施形態19のシステムである。
【0251】
実施形態21は、少なくとも1つのプロセッサが、受信デバイスに含まれる、実施形態20のシステムである。
【0252】
実施形態22は、受信デバイスが、RFE-SIをメッセージとしてセンシング決定ユニットに提供するように構成されたベースバンドプロセッサを更に備える、実施形態20又は21のシステムである。
【0253】
実施形態23は、受信デバイスが、RFE-SIを1つ以上のデジタル信号としてセンシング決定ユニットに提供するように更に構成されている、実施形態20~22のうちのいずれかのシステムである。
【0254】
実施形態24は、受信デバイスが、RFE-SIを1つ以上のデジタル信号及び1つ以上のアナログ信号としてセンシング決定ユニットに提供するように更に構成されている、実施形態20~23のうちのいずれかのシステムである。
【0255】
実施形態25は、RFE-SIが位相変動インジケータを含む、実施形態19~24のうちのいずれかのシステムである。
【0256】
実施形態26は、センシング決定入力情報を決定するための命令が、位相変動インジケータがM-CSIの位相変動を示すという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定するための命令を含む、実施形態25のシステムである。
【0257】
実施形態27は、RFE-SIが、自動利得コントローラ(AGC)情報を含む、実施形態19~26のうちのいずれかのシステムである。
【0258】
実施形態28は、センシング決定入力情報を決定するための命令が、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、センシング決定入力情報をヌル入力に設定するための命令を含む、実施形態27のシステムである。
【0259】
実施形態29は、センシング決定入力情報を決定するための命令が、AGC情報が第1の閾値を超えないという決定に応答して、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成するための命令と、センシング決定入力情報をP-CSIに設定するための命令と、を含む、実施形態27又は28のシステムである。
【0260】
実施形態30は、センシング決定入力情報を判定するための命令が、AGC情報が第1の閾値を超えないという第1の判定、及びM-CSIの一部の強度が第2の閾値を超えないという第2の判定に応答して、M-CSIの一部にAGCスケーリング係数を乗算することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成するための命令と、センシング決定出力情報をP-CSIに設定するための命令と、を含む、実施形態27~29のうちのいずれかのシステムである。
【0261】
実施形態31は、センシング決定入力情報を決定するための命令が、AGC情報が第1の閾値を超えるという第1の決定、及びM-CSIの一部の強度が第2の閾値を超えるという第2の決定に応答して、センシング決定入力情報をM-CSIに設定するための命令を含む、実施形態27~30のうちのいずれかのシステムである。
【0262】
実施形態32は、RFE-SIがダウンコンバータタイプ情報を含む、実施形態19~31のうちのいずれかのシステムである。
【0263】
実施形態33は、センシング決定入力情報を決定するための命令が、ダウンコンバータタイプ情報に従ってM-CSIの群遅延を計算するための命令と、群遅延に従ってM-CSIを調整することによって、処理されたチャネル状態情報(P-CSI)を生成するための命令と、センシング決定入力情報をP-CSIに設定するための命令とを含む、実施形態32のシステムである。
【0264】
実施形態34は、少なくとも1つのプロセッサが、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信するための命令を用いて更に構成される、実施形態29~33のうちのいずれかのシステムである。
【0265】
実施形態35は、少なくとも1つのプロセッサが、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信するための命令を用いて更に構成される、実施形態30~34のうちのいずれかのシステムである。
【0266】
実施形態36は、少なくとも1つのプロセッサが、センシング決定入力情報をセンシングアルゴリズムマネージャに送信するための命令を用いて更に構成される、実施形態33~35のうちのいずれかのシステムである。
【0267】
方法及びシステムの種々の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は例示的なものであり、説明した方法又はシステムの範囲を決して限定するものではない。当業者は、記載された方法及びシステムの最も広い範囲から逸脱することなく、記載された方法及びシステムの形態及び詳細に変更を加えることができる。したがって、本明細書で説明される方法及びシステムの範囲は、例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
【要約】
Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法が提供される。命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ上で動作中のセンシング決定ユニットによって行われるWi-Fiセンシングのための方法。センシング測定を表す測定されたチャネル状態情報(M-CSI)及び受信機フロントエンド状態情報(RFE-SI)が受信される。RFE-SIに従って、センシング決定入力情報が決定される。
【選択図】なし