IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日鉄住金物産株式会社の特許一覧

特許7570567鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム
<>
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図1
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図2
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図3
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図4
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図5
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図6
  • 特許-鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】鋼板の生産装置、受注・生産・販売支援装置、鋼板の受注・生産・販売方法、及び鋼板の受注・生産・販売プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241011BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2024532890
(86)(22)【出願日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 JP2024000055
【審査請求日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2023001240
(32)【優先日】2023-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598031936
【氏名又は名称】日鉄物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】宮垣 明英
(72)【発明者】
【氏名】野川 浩二
(72)【発明者】
【氏名】藤縄 雅人
(72)【発明者】
【氏名】永山 千佳
(72)【発明者】
【氏名】宇山 豊樹
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-123829(JP,A)
【文献】特開2009-134399(JP,A)
【文献】特開2006-309572(JP,A)
【文献】特開2005-316878(JP,A)
【文献】特開2002-258929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の生産装置であって、
記憶装置、
入力装置、
計画策定装置、
出力装置、及び
加工装置
を備え、
前記記憶装置には、母材マスタ情報及び製品マスタ情報が格納され、
前記母材マスタ情報は複数の母材の情報を含み、該情報には現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含まれ、
前記製品マスタ情報は複数の製品の情報を含み、該情報には現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報が少なくとも含まれ、
前記入力装置に、顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報が入力され、
前記計画策定装置において、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、
受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合には、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定し、
受注した製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定し、
受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定し、
前記出力装置において、必要な場合前記発注計画を出力し、また、前記加工スケジュールを、前記生産ラインごと、前記出荷計画を、前記顧客ごとに集約して出力し、
前記加工装置は前記生産ラインに含まれ、前記加工装置において、前記加工計画に基づき、前記母材となる鋼材を加工し、鋼板からなる製品を生産する
ことを特徴とする鋼板の生産装置。
【請求項2】
前記製品マスタ情報に含まれる各製品に用いる母材情報には、該製品の生産に使用することができる主母材と、1つ以上の副母材の情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の生産装置。
【請求項3】
前記母材の在庫量には、発注済みで入庫されていない母材の量も含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の生産装置。
【請求項4】
前記製品マスタ情報における製品の情報は、製品に個別に付される個別番号、及び個別番号をひとまとまりで管理するためのロット番号の双方を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の生産装置。
【請求項5】
所定の期間に入力された前記注文情報を集約して、前記計画策定装置において発注計画及び出荷計画を修正し、新たな発注計画及び修正計画とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の生産装置。
【請求項6】
前記注文情報には、仮受注から本受注に注文種別を変更する注文種別変更情報が含まれることを特徴とする請求項5に記載の鋼板の生産装置。
【請求項7】
前記計画策定装置において、前記発注計画と前記出荷計画を策定する際に、本受注を仮受注より優先することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の生産装置。
【請求項8】
前記入力装置は複数の入力者が入力することができ、前記出力装置は、入力者に対応する注文情報に関連する発注計画、及び出荷計画に係る情報を選択・集約して出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の生産装置。
【請求項9】
前記加工装置は、レベラー装置、スリッター装置、ブランキング装置、及びシャーリング装置のうち1つ以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の生産装置。
【請求項10】
顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売支援装置であって、
記憶装置、
入力装置、
計画策定装置、
出力装置
を備え、
前記記憶装置には、母材マスタ情報及び製品マスタ情報が格納され、
前記母材マスタ情報は複数の母材の情報を含み、該情報には現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含まれ、
前記製品マスタ情報は複数の製品の情報を含み、該情報には現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報が少なくとも含まれ、
前記入力装置に、顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報が入力され、
前記計画策定装置において、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、
受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合には、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定し、
受注した製品について必要量の在庫が不足している場合には、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定し、
受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定し、
前記出力装置において、必要な場合前記発注計画を出力し、また、前記加工スケジュールを、前記生産ラインごと、前記出荷計画を、前記顧客ごとに集約して出力する
ことを特徴とする鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項11】
前記製品マスタ情報に含まれる各製品に用いる母材情報には、該製品の生産に使用することができる主母材と、1つ以上の副母材の情報が含まれることを特徴とする請求項10に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項12】
前記母材の在庫量には、発注済みで入庫されていない母材の量も含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項13】
前記製品マスタ情報における製品の情報は、製品に個別に付される個別番号、及び個別番号をひとまとまりで管理するためのロット番号の双方を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項14】
所定の期間に入力された前記注文情報を集約して、前記計画策定装置において発注計画及び出荷計画を修正し、新たな発注計画及び修正計画とすることを特徴とする請求項10又は11に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項15】
前記注文情報には、仮受注から本受注に注文種別を変更する注文種別変更情報が含まれることを特徴とする請求項14に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項16】
前記計画策定装置において、前記発注計画と前記出荷計画を策定する際に、本受注を仮受注より優先することを特徴とする請求項10又は11に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項17】
前記入力装置は複数の入力者が入力することができ、前記出力装置は、入力者に対応する注文情報に関連する発注計画、及び出荷計画に係る情報を選択・集約して出力することを特徴とする請求項10又は11に記載の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【請求項18】
顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる、鋼板の受注・生産・販売方法であって、
顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報を入力者が入力する入力工程、
記憶装置に格納された現時点での在庫量及び仕様を少なくとも含む複数の母材の情報が含まれる母材マスタ情報、及び現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報を少なくとも含む複数の製品の情報が含まれる製品マスタ情報をコンピュータが読み込むマスタ読み込み工程、
コンピュータが、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、受注した製品を生産するための母材が不足していること確認た場合に、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定する発注計画策定工程、
コンピュータが、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、受注した製品について必要量の在庫が不足していることを確認した場合に、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定する加工計画策定工程、
コンピュータが、受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定する出荷計画策定工程、及び
コンピュータが、必要な前記発注計画、前記加工スケジュール、及び前記出荷計画を、前記加工スケジュールは前記生産ラインごとに集約し、前記出荷計画は前記顧客ごとに集約して出力する出力工程
を備えることを特徴とする鋼板の受注・生産・販売方法。
【請求項19】
顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売プログラムであって、
顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報、
現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含む複数の母材に関する情報が含まれる母材マスタ情報、及び
現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報を少なくとも含む複数の製品の情報が含まれる製品マスタ情報
に基づき、
受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合には、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定し、
受注した製品について必要量の在庫が不足している場合には、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定し、
受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定し、
必要な前記発注計画、前記加工スケジュール、及び前記出荷計画を、前記加工スケジュールは前記生産ラインごとに集約し、前記出荷計画は前記顧客ごとに集約して出力する
ことをコンピュータに実行させるための鋼板の受注・生産・販売プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板の受注・生産・販売支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、IT技術を用いることにより製品の製造や販売、あるいは物流の一連の工程の一貫管理を行う、いわゆるSCM(Supply Chain Management)が、多くの製品分野で適用されている。例えば、金属製品の分野においても、金属製品の製造や販売を行うための、コンピュータを利用したシステムが開発され実用化されている。
【0003】
特許文献1には、鉄鋼メーカー等の金属ミルが供給する金属母材の製造、及びその加工の一貫工程の最適化を実現する、情報処理装置、ネットワークシステム、生産管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-258929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムにおいても、例えば、鉄鋼製品の生産管理については、人手により行われており、鉄鋼メーカー(製鉄所)等の金属ミル、自動車会社等の需要家、及び加工センタ等の間で各種情報を共有できるシステム化には、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鋼板の受注・生産・販売業務を大幅に効率化し、在庫や発注・出荷等のデータ受領を円滑に管理する支援装置、鋼板の生産装置を提供とすることを目的としてなされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売支援装置であって、記憶装置、入力装置、計画策定装置、出力装置、及び加工装置を備え、前記記憶装置には、母材マスタ情報及び製品マスタ情報が格納され、前記母材マスタ情報は複数の母材の情報を含み、該情報には現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含まれ、前記製品マスタ情報は複数の製品の情報を含み、該情報には現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報が少なくとも含まれ、前記入力装置に、顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報が入力され、前記計画策定装置において、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合には、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定し、受注した製品について必要量の在庫が不足している場合には、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定し、受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定し、前記出力装置において、必要な場合前記発注計画を出力し、また、前記加工スケジュールを、前記生産ラインごと、前記出荷計画を、前記顧客ごとに集約して出力し、前記加工装置において、前記加工計画に基づき、前記母材となる鋼材を加工し、鋼板からなる製品を生産することを特徴とする鋼板の生産装置。
【0008】
(2)前記製品マスタ情報に含まれる各製品に用いる母材情報には、該製品の生産に使用することができる主母材と、1つ以上の副母材の情報が含まれることを特徴とする前記(1)の鋼板の生産装置。
【0009】
(3)前記母材の在庫量には、発注済みで入庫されていない母材の量も含むことを特徴とする前記(1)又は(2)の鋼板の生産装置。
【0010】
(4)前記製品マスタ情報における製品の情報は、製品に個別に付される個別番号、及び個別番号をひとまとまりで管理するためのロット番号の双方を有することを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかの鋼板の生産装置。
【0011】
(5)所定の期間に入力された前記注文情報を集約して、前記計画策定装置において発注計画及び出荷計画を修正し、新たな発注計画及び修正計画とすることを特徴とする前記(1)~(4)のいずれかの鋼板の生産装置。
【0012】
(6)前記注文情報には、仮受注から本受注に注文種別を変更する注文種別変更情報が含まれることを特徴とする前記(5)の鋼板の生産装置。
【0013】
(7)前記計画策定装置において、前記発注計画と前記出荷計画を策定する際に、本受注を仮受注より優先することを特徴とする前記(1)~(6)のいずれかの鋼板の生産装置。
【0014】
(8)前記入力装置は複数の入力者が入力することができ、前記出力装置は、入力者に対応する注文情報に関連する発注計画、及び出荷計画に係る情報を選択・集約して出力することを特徴とする前記(1)~(7)の鋼板の生産装置。
【0015】
(9)前記加工装置は、レベラー装置、ブランキング装置、シャーリング装置、及びスリッター装置のうち1つ以上を含むことを特徴とする前記(1)~(8)のいずれかの鋼板の生産装置。
【0016】
(10)顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売支援装置であって、記憶装置、入力装置、計画策定装置、出力装置を備え、前記記憶装置には、母材マスタ情報及び製品マスタ情報が格納され、前記母材マスタ情報は複数の母材の情報を含み、該情報には現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含まれ、前記製品マスタ情報は複数の製品の情報を含み、該情報には現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報が少なくとも含まれ、前記入力装置に、顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報が入力され、前記計画策定装置において、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合には、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定し、受注した製品について必要量の在庫が不足している場合には、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定し、受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定し、前記出力装置において、必要な場合前記発注計画を出力し、また、前記加工スケジュールを、前記生産ラインごと、前記出荷計画を、前記顧客ごとに集約して出力することを特徴とする鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0017】
(11)前記製品マスタ情報に含まれる各製品に用いる母材情報には、該製品の生産に使用することができる主母材と、1つ以上の副母材の情報が含まれることを特徴とする前記(10)の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0018】
(12)前記製品マスタ情報に含まれる各製品に用いる母材情報には、該製品の生産に使用することができる主母材と、1つ以上の副母材の情報が含まれることを特徴とする前記(10)の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0019】
(12)前記母材の在庫量には、発注済みで入庫されていない母材の量も含むことを特徴とする前記(10)又は(11)の鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0020】
(13)前記製品マスタ情報における製品の情報は、製品に個別に付される個別番号、及び個別番号をひとまとまりで管理するためのロット番号の双方を有することを特徴とする前記(10)~(11)のいずれかの鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0021】
(14)所定の期間に入力された前記注文情報を集約して、前記計画策定装置において発注計画及び出荷計画を修正し、新たな発注計画及び修正計画とすることを特徴とする前記(10)~(13)のいずれかの鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0022】
(15)前記注文情報には、仮受注から本受注に注文種別を変更する注文種別変更情報が含まれることを特徴とする前記(10)~(14)のいずれかの鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0023】
(16)前記計画策定装置において、前記発注計画と前記出荷計画を策定する際に、本受注を仮受注より優先することを特徴とする前記(10)~(15)のいずれかの鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0024】
(17)前記入力装置は複数の入力者が入力することができ、前記出力装置は、入力者に対応する注文情報に関連する発注計画、及び出荷計画に係る情報を選択・集約して出力することを特徴とする前記(10)~(16)のいずれかの鋼板の受注・生産・販売支援装置。
【0025】
(18)顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売方法であって、顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報を入力する入力工程、現時点での在庫量及び仕様を少なくとも含む複数の母材の情報が含まれる母材マスタ情報、及び現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報を少なくとも含む複数の製品の情報が含まれる製品マスタ情報を読み込むマスタ読み込み工程、前記注文情報、前記母材マスタ情報、及び前記製品マスタ情報に基づき、受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合に、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定する発注計画策定工程、受注した製品について必要量の在庫が不足している場合に、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画策定する加工計画策定工程、受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定する出荷計画策定工程、及び必要な前記発注計画、前記加工スケジュール、及び前記出荷計画を、前記加工スケジュールは前記生産ラインごとに集約し、前記出荷計画は前記顧客ごとに集約して出力する出力工程を備えることを特徴とする鋼板の受注・生産・販売方法。
【0026】
(19)顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売プログラムであって、顧客ごとの前記製品の受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別を少なくとも含む注文情報、現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含む複数の母材に関する情報が含まれる母材マスタ情報、及び現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報を少なくとも含む複数の製品の情報が含まれる製品マスタ情報に基づき、受注した製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合には、母材の発注量を少なくとも含む発注計画を策定し、受注した製品について必要量の在庫が不足している場合には、不足する製品に関する前記生産ラインごとの加工スケジュールを少なくとも含む加工計画を策定し、受注した製品の出荷予定日、出荷予定日ごとの出荷数量を少なくとも含む出荷計画を策定し、必要な前記発注計画、前記加工スケジュール、及び前記出荷計画を、前記加工スケジュールは前記生産ラインごとに集約し、前記出荷計画は前記顧客ごとに集約して出力することを特徴とする鋼板の受注・生産・販売プログラム。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、鋼板の受注・生産・販売業務を大幅に効率化し、在庫や発注・出荷等のデータ受領を円滑に管理する支援装置、鋼板の生産装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の鋼板の生産装置の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の鋼板の受注・生産・販売支援装置の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の鋼板の生産装置、鋼板の受注・生産・販売支援装置の計画策定装置による、発注計画、加工計画、出荷計画の出力の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の鋼板の生産装置、鋼板の受注・生産・販売支援装置の計画策定装置による、発注計画、加工計画、出荷計画の概略を説明するための図である。
図5】本発明の鋼板の生産装置の加工装置としてのレベラー装置を説明する図である。
図6】本発明の鋼板の生産装置の加工装置としてのレベラー装置及びブランキング装置を説明する図である。
図7】本発明の鋼板の生産装置の加工装置としてのスリッター装置の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0030】
本発明は顧客からの注文に応じて母材となる鋼材を加工して鋼板からなる製品を生産する際に用いる鋼板の受注・生産・販売支援装置に関し、例えば、主に鉄鋼メーカーで製造された鋼帯(コイル)を、必要に応じて切断加工等の加工を施し、顧客向けに出荷するコイルセンターで用いることができる。コイルセンターは、単に加工を行うだけではなく、コイルや加工された製品の在庫も行い、また、末端の顧客の小口注文を集約し、これらを鉄鋼メーカーへの注文に対応させる流通業者としての役割も担っている。
【0031】
顧客は、コイルセンターに対して、例えば、鋼板の規格、寸法と公差、枚数、納期等を指定し、注文を出す。本発明における「顧客」とは、例えば、自動車メーカーのような、金属母材又は金属加工製品を購入し、それを加工又は組立し、消費者向けの製品を製造及び販売する事業体である。本発明における「母材」とは、例えば鋼板をコイル状に巻いたコイルである。本発明における「製品」とは、「顧客」の要求に従い、コイルを板状に切断するシート加工、幅方向に切断するフープ加工等の切断、加工を施したものである。
【0032】
本発明の鋼板の生産装置1は、例えば、図1に示すように、記憶装置11、入力装置12、出力装置13、計画策定装置14、加工装置15を備え、それぞれがネットワークシステムのような通信手段16により接続される。
【0033】
加工装置を独立させ、例えば、図2に示すように、記憶装置11、入力装置12、出力装置13、計画策定装置14、を備え、それぞれがネットワークシステムのような通信手段16により接続される、鋼板の受注・生産・販売支援装置2としてもよい。
【0034】
以下、本発明の鋼板の生産装置、鋼板の受注・生産・販売支援装置を構成する各装置について説明する。
【0035】
(記憶装置)
記憶装置には、母材マスタ情報及び製品マスタ情報が格納される。母材マスタ情報は複数の母材の情報を含み、この情報には現時点での在庫量及び仕様が少なくとも含まれる。製品マスタ情報は複数の製品の情報を含み、この情報には現時点での在庫量、各製品に用いる母材情報、並びに製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報が少なくとも含まれる。記憶装置は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、光ディスク装置のような記憶装置を少なくとも備える。複数の記憶装置を設け、バックアップを保存する等してもよい。
【0036】
すなわち、本発明の鋼板の受注・生産・販売支援装置において、すべての財源は、母材マスタ情報又は製品マスタ情報で管理される。この管理は、例えば、すべての財源に番号を付してなされる。さらに、母材と製品の紐付けを管理する、母材製品紐付けマスタを格納してもよい。
【0037】
ここで「財源」とは、例えば、母材の在庫、中間仕掛り在庫である。さらに、発注済みであるが未だ入庫されていない母材の情報を発注済み在庫として含んでよい。「財源」は「在庫」と置き換えて考えることもできるが、「財源」には、現実的にまだ「在庫」となっていないものも含んでもよい。すなわち、母材を発注した場合、その母材が入庫していなくても「財源」に含んでもよい。
【0038】
母材マスタ情報及び製品マスタ情報により、「財源」が管理されることにより、作業者による入力ミスを減少させることが可能となり、入力効率を向上させることも可能となる。例えば、製品の受注時には納期と受注量のみを後述する入力装置に入力し、他の情報は母材マスタ情報及び製品マスタ情報からセットされる等、全財源に対して、母材と製品の関連付けが実現される。ここで母材には発注した母材も含まれ、製品には受注した製品も含まれる。
【0039】
母材マスタ情報に含まれる母材の「仕様」には、例えば、コイル状に巻かれた鋼板の引張強度や降伏強度等の特性や、鋼板の厚さや幅等が含まれる。
【0040】
製品マスタ情報は、顧客からの要求に従った、複数の製品の情報が含まれる。製品の情報には、製品の鋼板の規格、寸法と公差等のほか、各製品が母材マスタ情報として格納されているどの母材から製造されるかの情報が含まれる。また、コイルセンターにおいてこの製品を生産するための生産ラインや生産工期の情報が含まれる。
【0041】
製品マスタ情報は、製品マスタ情報として登録されていない新たな受注情報が入力された際に、自動的に生成するようにすることもできる。これにより、マスタを登録する作業の負荷を低減することができる。さらに、受注に紐づく製品在庫がどれだけあるか、製品に加工できる母材がどれだけあるか等の情報を、後述する計画策定装置により、容易にたどることができる。
【0042】
また、製品マスタが製品の仕様の情報を含むことによって、コイルセンターで製造した製品の検査情報を入力することにより、製品マスタの品質保証値と比較するようにすることもできる。
【0043】
母材マスタ情報や、製品マスタ情報は重要なものであるため、母材マスタや製品マスタに関する登録や改廃は、例えば、複数人のチェックがないと更新されないような構成としてもよい。
【0044】
製品マスタ情報に含まれる各製品に用いる母材情報には、製品の生産に使用することができる母材が含まれる。製品の生産に使用には、特定の母材が用いられることが通常であるが、顧客からの注文を満足するものであれば、他の母材を使用することも考えられる。例えば、わずかに母材であるコイルが不足しているときには、その母材を発注するのではなく、可能であれば、他の母材を使用するのが効率的である。母材情報には、製品の生産に通常使用される主母材と、主母材に代えて使用することができる他の母材である副母材の情報を含むこともできる。副母材は1つに限られるものではなく、複数あってもよい。
【0045】
製品マスタ情報には各製品の生産に使用することができる母材が含まれるので、取合せミスによる異材混入が防止される。さらに、副母材の情報が含まれることにより、実務にあわせた柔軟性を実現することができる。
【0046】
製品マスタ情報における製品の情報は、製品に個別に付される個別番号に加えて、個別番号をひとまとまりで管理するためのロット番号の双方を有してもよい。同じ条件で製造された製品をロットで管理することで、例えば、取り出しにくい位置に置かれた製品に代えて、同一条件で製造された他の製品を出荷用に引き当てることができるので、効率的である。
【0047】
(入力装置)
入力装置には、顧客から製品の注文があった際に注文情報として、製品の規格、受注量及び納入日と、本受注又は仮受注の受注種別が入力される。入力装置はデータの入力が可能であれば、どのようなデバイスでもよい。例えば、キーボード、タッチパネルが挙げられる。入力装置は1つに限定されるものではなく、複数箇所に、複数の入力装置があってもよい。
【0048】
本受注は、顧客から、実際の注文があり、直ちに製品の生産にとりかかっても問題のない受注である。仮受注は、例えば顧客からの内示であり、実際の注文である本受注に至るかどうかは、仮受注の時点では定かではない。しかしながら、仮受注の情報も注文情報として入力され、実際に本受注に至ったかどうかの実績を積み上げ、記憶装置に記憶させることにより、後述する計画策定装置において、仮受注に応じた計画を立てることも可能である。注文情報は、仮受注から本受注に注文種別を変更する注文種別変更情報を含んでもよい。
【0049】
(計画策定装置)
計画策定装置は、コイルセンターにおいて、必要に応じて母材を発注するための発注計画、必要に応じて製品を生産するための加工計画、製品の出荷予定を含む出荷計画を、入力装置に入力された注文情報、母材マスタ情報、製品マスタ情報に基づき策定する。記憶装置、入力装置、計画策定装置は通信手段で接続されており、迅速に情報の受け渡しが行われる。計画策定装置は、例えば、CPUであり、プログラムを実行することにより、発注計画、加工計画、出荷計画が策定される。複数の計画策定装置を用いて、分散して処理を行ってもよい。
【0050】
母材を発注するための発注計画は母材の発注量を含み、例えば、製品を受注した際に、その製品を生産するための母材が不足していることが確認された場合に作成される。あるいは、その時点で母材が不足していない場合であっても、その製品を生産した後に、母材の在庫が一定量を下回る場合に発注計画を作成するようにすることもできる。
【0051】
受注した製品について、必要量の在庫がない場合には、コイルセンターの生産ラインごとの加工スケジュールを含む、加工計画が作成される。コイルセンターにおける一般的な加工設備としては、レベラー設備、スリッター設備、シャー設備、ブランキング設備等が挙げられる。コイルセンターは、これらの設備を複数台有し、複数の生産ラインを有していることが多い。生産ラインの生産速度等の情報は、あらかじめマスタとして登録しておくことができる。製品の受注は、同時期に、複数の製品についてあるのが通常である。加工スケジュールは、これらの情報を考慮し、顧客が指定した納入日から逆算し、作成される。また、加工の実績を記録することにより、その実績をとりこみ、加工スケジュールを自動修正できるようにしてもよい。
【0052】
どの母材を、どの生産ラインで加工するかのスケジュールが自動的に決定されることにより、取合わせミスを防止することができる。
【0053】
加工スケジュールが決定されれば、受注した製品の出荷予定日、出荷数量を決定することができる。これらが出荷計画に含まれる。出荷予定日が複数日にまたがる場合は、出荷予定日ごとの出荷数量が出荷計画に含まれる。
【0054】
受注した製品について、必要量の在庫がある場合は、新たな加工の必要はないので、直ちに受注した製品の出荷予定日、出荷数量を決定することができる。
【0055】
図3は、上述した本発明の鋼板の生産装置、鋼板の受注・生産・販売支援装置の計画策定装置による、出荷計画の出力の一例を示すフローチャートである。図3に示す出荷計画の出力処理は、あらかじめ記憶装置に記憶されているプログラムに基づいて、主に計画策定装置により、鋼板の生産装置、鋼板の受注・生産・販売支援装置の各要素と協動して実行される。
【0056】
S101の処理で入力された注文情報、S102の処理で読み込まれた母材マスタ情報、製品マスタ情報は、計画策定装置に送られる。S103の処理において、計画策定装置のプログラムは、注文情報と製品マスタ情報を比較し、注文された製品の在庫があるか判断する。在庫がある場合はS107の処理で出荷計画が出力される。製品の在庫がない場合はS104の処理において、製品を製造するための母材の在庫があるか判断する。母材の在庫がある場合は、S106の処理で加工スケジュールが策定される。母材の在庫がない場合はS105の処理で発注計画が策定される。
【0057】
注文情報には本受注、仮受注の種別が含まれる。本受注、仮受注は同等の受注として扱ってもよいが、例えば、加工スケジュールの策定において、本受注の製品について優先的に生産するようにすることができる。
【0058】
仮受注の場合は、受注した製品について必要量の在庫がある場合は、その在庫を製品マスタ情報において「出荷待ち」の状態にして他の受注に使用されない状態とし、仮受注が本受注に切り替わったタイミングで、出荷予定日、出荷数量を決定するようにしてもよい。
【0059】
仮受注の場合、受注した製品について必要量の在庫がなく、その製品の製品に用いる母材の在庫がある場合は、その在庫を製品マスタ情報において「使用待ち」の状態にして他の受注に使用されない状態とし、仮受注が本受注に切り替わったタイミングで、加工スケジュールを作成するようにしてもよい。
【0060】
出荷計画は、所定の期間毎に、注文情報に基づき新たな発注計画、及び修正計画として更新してもよい。更新の概略を図3に示す。図4に示す所定の期間毎の繰り返し処理は、あらかじめ記憶装置に記憶されているプログラムに基づいて、主に計画策定装置により、鋼板の生産装置、鋼板の受注・生産・販売支援装置の各要素と協動して実行される。
【0061】
例えば、作成された発注計画・加工計画・出荷計画101は、次の所定の期間の複数の注文情報111~112、更新された母材マスタ情報113、更新された製品マスタ情報114に基づき修正し、修正された発注計画・加工計画・出荷計画102とすることができる。これを繰り返すことにより、発注計画・加工計画・出荷計画を常に最適化することができる。この際に、注文情報に含まれる仮受注から本受注に注文種別を変更する注文c種別変更情報に基づき、その注文に関する発注計画・加工計画・出荷計画の優先度を変更してもよい。所定の期間は注文毎としてもよいし、例えば、3日、1週間等としてもよい。
【0062】
(出力装置)
出力装置は、策定された出荷計画を、生産ラインごと又は顧客ごとに集約して出力する。出力装置の出力方法は、紙によるものでもよいし、電子データによるものでもよい。出力装置はどのようなデバイスでもよく、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プリンタ等が挙げられる。出力装置は1つに限定されるものではなく、複数箇所に、複数の出力装置があってもよい。
【0063】
このように、本受注、仮受注に基づく計画を作成し、在庫や納期を一貫して管理し、出荷の指示が自動で出力されることにより、母材や製品の在庫の過不足が生じたり、納期が遅延したりすることを防止でき、さらに、作業を平準化することが可能となる。
【0064】
(加工装置)
加工装置は生産ラインに含まれる。前述のとおり、製品を生産するための生産ラインに関する情報は、製品マスタ情報に含まれ、加工スケジュールは受注した製品に応じて、計画策定装置において策定され、出力装置から出力される。加工装置は出力された加工スケジュールに応じて、母材となる鋼材を加工し、鋼板からなる製品を生産する。
【0065】
加工装置には、コイル状の鋼板を平坦にするレベラー装置を含んでよい。図5にレベラー装置の概略を示す。コイル状の鋼板21は、アンコイラー22を用いて、レベラー23に送られる。レベラー23は、例えば、交互に配置されたロール(ワークロール)の間に鋼板を挟み、上下方向に交互に変形を与えることでひずみを除去するものであってよい。レベラー装置は、鋼板を移動させるためのピンチロール24を備えてもよい。ピンチロール24は、例えば、レベラー23の下流側にのみ配置してもよいし、レベラー23の上流側、下流側の両方に配置してもよい。レベラー23自体を駆動し、鋼板を移動させる役割をレベラー23に与えてもよい。
【0066】
加工装置には、鋼板を連続して金型で打ち抜くブランキング装置を含んでよい。ブランキング装置は、上述のレベラー装置の下流側に設置してもよく、レベラー装置を通過した平坦になった鋼板を搬送しながら、ブランキング装置に通して加工してもよい。図6は加工装置として、レベラー装置の下流側にブランキング装置を配置した例である。図6の加工装置においては、アンコイラー22を用いて、レベラー23に送られた鋼板21は、レベラー23で平坦化され、さらに、ピンチロール24を用いて、ブランキング装置25へ送られる。ブランキング装置では、所望の製品を得るための金型26により鋼板21が撃ち抜かれ、鋼板からなる製品が得られる。
【0067】
加工装置は、鋼板を所定の幅や長さにせん断加工するシャーリング装置を含んでよい。シャーリング装置は、上述のレベラー装置の下流側に設置してもよく、レベラー装置を通過した平坦になった鋼板を搬送しながら、シャーリング装置に通して加工してもよい。
【0068】
加工装置は、コイル状の鋼板を必要な幅にカットし、ロール状に巻き取るスリッター装置であってよい。図7はスリッター装置の概略を説明する図である。コイル状の鋼板31は、アンコイラー、ピンチロール等(図示せず)により、スリッター32に送られる。鋼板31はスリッター32により進行方向に切断されて所望の幅に調整され、再度コイルとして巻き取られる。
【0069】
加工装置は、上記の装置を複数含んでもよい。加工装置は上記の装置に限定されない。鋼板を加工する装置であれば、他の装置であってよい。
【0070】
本発明の鋼板の受注・生産・販売支援装置は、複数の入力者が注文情報を入力でき、コイルセンターで用いる鋼板の製造管理システムに用いることができる。上記鋼板の製造管理システムは、複数の入力者が入力した注文情報関連する出荷情報を、それぞれ選択・集約して出力するようにできる。より具体的には、通信手段により「顧客」や、「鉄鋼メーカー」等のコイル製造元と接続して使用することもできる。
【0071】
さらに、ネットワークシステムにより、鉄鋼メーカーの端末装置、顧客の端末装置と、コイルセンターの鋼板の受注・生産・販売支援装置を接続することにより、顧客の端末装置に入力された注文が、コイルセンターの装置の入力装置に送られ、出荷計画を策定することが可能となる。また、この際に、必要に応じて、鉄鋼メーカーへの端末装置に、「母材」の注文情報を送ることができる。また、鉄鋼メーカーの端末装置から母材の納品情報を受け取り、「財源」の情報を母材マスタ情報として記憶装置に記録することができる。
【0072】
これらの動作は、例えば、上記のような動作をするコンピュータ・プログラムよって実現することができる。
【0073】
以上説明したとおり、本発明によれば、入力装置による入力工程、記憶装置からのマスタ読み込み工程、計画策定装置による計画策定工程、加工計画策定工程、及び出荷計画作成工程、出力装置による出力工程を経て、加工装置による鋼板の加工がされるので、財源が管理され、仮受注まで含めた受注に応じ、母材の発注、製品の生産、出荷スケジュールを、自動的に生成されるので、鋼板の生産、鋼板の受注・生産・販売業務を大幅に効率化し、在庫や発注・出荷等のデータ受領を円滑に管理することができる。また、これらの工程は、プログラムとして、鋼板の受注・生産・販売プログラムとすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 鋼板の生産装置
2 鋼板の受注・生産・販売支援装置
21 鋼板
22 アンコイラー
23 レベラー
24 ピンチロール
25 ブランキング装置
26 金型
31 鋼板
32 スリッター
【要約】
本発明は、鋼板の受注・生産・販売業務を大幅に効率化し、在庫や発注・出荷等のデータ受領を円滑に管理する支援装置を提供する。本発明の鋼板の受注・生産・販売支援装置は、母材マスタ情報及び製品マスタ情報により、母材の在庫量及び仕様、製品の在庫量、各製品に用いる母材情報、製品を生産するための生産ライン及び生産工期に関する情報を管理し、顧客ごとの製品の受注量及び納入日を、本受注又は仮受注の種別を含め管理し、母材の発注、製品の生産、出荷スケジュールを策定し、母材を加工し、製品を生産する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7