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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】作動流体の処理方法および処理装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
F25B45/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024546098
(86)(22)【出願日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 JP2024015471
【審査請求日】2024-08-02
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2023/022413
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平塚 研吾
(72)【発明者】
【氏名】外山 悟
(72)【発明者】
【氏名】横木 達哉
(72)【発明者】
【氏名】川島 惇
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-279767(JP,A)
【文献】特開2002-38135(JP,A)
【文献】特許第7250229(JP,B1)
【文献】特開平11-304198(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0821463(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む作動流体を準備する工程と、
前記冷媒から前記付臭剤を分離する工程とを備え、
前記付臭剤の沸点は、前記冷媒の沸点より高く、
前記分離する工程において、
前記作動流体の温度は、前記冷媒の沸点超え前記付臭剤の沸点未満に維持される、作動流体の処理方法。
【請求項2】
前記分離する工程において、
前記温度は前記冷凍機油の流動点超えである、請求項1に記載の作動流体の処理方法。
【請求項3】
前記冷凍機油は含酸素油である、請求項1または請求項2に記載の作動流体の処理方法。
【請求項4】
冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む作動流体を処理する処理装置であって、
前記付臭剤の沸点は、前記冷媒の沸点より高く、
前記作動流体の温度を前記冷媒の沸点超え前記付臭剤の沸点未満に維持するように構成されている、処理装置。
【請求項5】
冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む作動流体を冷却する冷却部と、
冷却された前記作動流体において、前記冷媒から前記付臭剤を分離する分離部とを備え、
前記付臭剤の沸点は、前記冷媒の沸点より高く、
前記冷却部は、前記作動流体の温度を前記冷媒の沸点超え前記付臭剤の沸点未満に冷却し、
前記分離部は、ガス状の前記冷媒と液状の前記付臭剤とを分離する、処理装置。
【請求項6】
前記分離部は、気体と液体との密度差を利用することで、ガス状の前記冷媒と液状の前記付臭剤とを分離する、請求項5に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作動流体の処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクル装置に使用される冷媒は、嗅覚で認識できるように付臭剤が含まれている(国際公開第2021/166028号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/166028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作動流体の一例である冷媒に含まれる付臭剤は気相中に残存することがあるため、冷媒から付臭剤を分離するのに改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、本開示の目的は、分離される付臭剤の量が向上した作動流体の処理方法および処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った作動流体の処理方法は、作動流体を準備する工程と、冷媒から付臭剤を分離する工程とを備える。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。付臭剤の沸点は、冷媒の沸点より高い。分離する工程において、作動流体の温度は、冷媒の沸点超え付臭剤の沸点未満に維持される。
【0007】
本開示に従った処理装置は、作動流体を処理する処理装置である。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。付臭剤の沸点は、冷媒の沸点より高い。処理装置は、作動流体の温度を冷媒の沸点超え付臭剤の沸点未満に冷却することでガス状の冷媒と液状の付臭剤とを分離するように構成されている。
【0008】
本開示に従った処理装置は、冷却部と、分離部とを備える。冷却部は、作動流体を冷却する。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。冷却された作動流体において、分離部は冷媒から付臭剤を分離する。付臭剤の沸点は、冷媒の沸点より高い。冷却部は、作動流体の温度を冷媒の沸点超え付臭剤の沸点未満に冷却する。分離部は、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とを分離する。
【発明の効果】
【0009】
上記によれば、分離される付臭剤の量が向上した作動流体の処理方法および処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置(密閉系冷媒回路)の一例を示す模式図である。
図2】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置における分離部の模式図である。
図3】実施の形態1に係る冷媒サイクル装置における冷媒排出方法のフローチャートである。
図4】実施の形態2に係る冷媒サイクル装置における冷媒排出方法のフローチャートである。
図5】実施の形態3に係る処理装置の一例を示す模式図である。
図6】実施の形態3に係る処理装置における分離部の模式図である。
図7】実施の形態3に係る処理装置における作動流体の処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
<冷凍サイクル装置(冷媒回路)の構成>
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置(密閉系冷媒回路100)の一例を示す模式図である。図2は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置における分離部15の模式図である。
【0013】
冷凍サイクル装置は、たとえば、空気調和用の冷凍サイクル装置であって、図1に示すように、室外機1および室内機2を主に備える。室外機1および室内機2は、液管9とガス管10とを用いて接続されている。
【0014】
室外機1は、圧縮機3、凝縮器4、および室外送風機5を有する。圧縮機3は凝縮器4に配管接続されている。室内機2は、膨張弁6、蒸発器7、および室内送風機8を有する。膨張弁6は蒸発器7に配管接続されている。
【0015】
室外機1の圧縮機3と室内機2の蒸発器7とは、ガス管10で接続されている。室外機1の凝縮器4と室内機2の膨張弁6とは、液管9で接続されている。このような冷凍サイクル装置の構成により密閉系冷媒回路100が形成されている。液管9およびガス管10を介して密閉系冷媒回路100内を冷媒および付臭剤が循環する。
【0016】
圧縮機3は、ガス管10内でガス状となった冷媒および付臭剤を圧縮する。凝縮器4は、圧縮機3で圧縮したガス状の冷媒および付臭剤を冷却することで、冷媒および付臭剤をガス状から高圧液状あるいは気液2相状にする。膨張弁6は、高圧液状あるいは気液2相状の冷媒および付臭剤を減圧する。蒸発器7は、減圧された冷媒および付臭剤を加熱して低圧ガス状の冷媒および付臭剤とする。圧縮機3は、蒸発器7によって低圧ガス状となった冷媒および付臭剤を吸引して再度圧縮する。
【0017】
密閉系冷媒回路100は、圧縮機3と蒸発器7との間にアキュームレータ、サクションマフラ、およびレシーバのいずれかが設けられてもよい。アキュームレータおよびサクションマフラは、液体とガスとを分離し、ガスを圧縮機に供給する装置である。レシーバは、凝縮器4で液化した液冷媒を貯蔵する装置である。これらのアキュームレータ、サクションマフラ、およびレシーバを設けることで、多量の液冷媒が圧縮機3に流入することを防ぐ。その結果、冷凍機油が過度に希釈され、圧縮機3の摺動部の潤滑性が悪化することを防ぐことができる。
【0018】
圧縮機3の内部には、冷凍機油を含む。冷凍機油は、圧縮機3の摺動部の潤滑性を維持する。冷凍機油は、圧縮機3の摺動部で圧縮された冷媒および付臭剤とともにガス管10に排出される。そのため、冷凍機油は、冷媒および付臭剤とともに密閉系冷媒回路100内を循環する。
【0019】
なお、室外送風機5は、凝縮器4に空気を送る。室外送風機5は、凝縮器4に流れる冷媒が空気と熱交換して、熱の吸収または放出を促進するために設けられている。また、室内送風機8は、蒸発器7に空気を送る。室内送風機8は、蒸発器7に流れる冷媒が空気と熱交換して、熱の吸収または放出を促進するために設けられている。
【0020】
本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置において、凝縮器4および蒸発器7は、空気と熱交換する熱交換器である。本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置において、凝縮器4および蒸発器7は、例えば、空気ではなく水などの液体と熱交換してもよい。
【0021】
本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置において、蒸発器7が室内機2内に設けられ、凝縮器4が室外機1内に設けられているが、例えば、蒸発器7が室外機1内に設けられ、凝縮器4が室内機2内に設けられてもよい。
【0022】
膨張弁6は、室内機2内ではなく、室外機1内に設けられてもよい。膨張弁6は、室外機1および室内機2の両方に設けられてもよい。密閉系冷媒回路100内に、複数の室内機2が設けられてもよい。密閉系冷媒回路100内に、複数の室外機1が設けられてもよい。
【0023】
上記のような室外機1に対し、たとえば、切替機構(図示せず)を設けてもよい。切替機構は、四方弁または複数の弁が組み合わされて配置されることにより、圧縮機3の吸入管と吐出管とを切り替える。切替機構を設けることにより、室外機1内の熱交換器が蒸発器として機能し、室内機2内の熱交換器が凝縮器として機能することができる。このようにして、当該冷凍サイクル装置は、室外の熱を利用して、室内を加熱する暖房として使用することができる。
【0024】
なお、冷凍サイクル装置は、例えば、冷房および暖房の両方が実施可能な装置、冷房のみが実施可能な装置、あるいは暖房のみが実施可能な装置のいずれかであってもよい。
【0025】
本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の用途は、空気調和に限られない。本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の用途は、冷凍、冷蔵、あるいは給湯であってもよい。
【0026】
室外機1は、ガス管側操作弁11、液管側操作弁17、およびサービスポート12を有する。ガス管側操作弁11は、蒸発器7と圧縮機3とを接続するガス管10に設けられている。液管側操作弁17は、凝縮器4と膨張弁6とを接続する液管9に設けられている。ガス管側操作弁11および液管側操作弁17を開閉することで、冷媒を密閉系冷媒回路100に充填、あるいは冷媒を密閉系冷媒回路100から排出することができる。
【0027】
図1に示されるように、サービスポート12は、ガス管側操作弁11を介して、ガス管10に接続されている。ガス管側操作弁11は、冷媒および付臭剤が密閉系外へ排出されるように開けることができる。このとき、冷媒および付臭剤は、サービスポート12を通過して、たとえば処理装置13a(図5参照)としての排出装置に供給される。
【0028】
密閉系冷媒回路100内の冷媒を密閉系外に排出する時、サービスポート12は、ホース等を介して排出装置(排出経路13)に接続される。排出装置は、冷却部14と分離部15とを有する。サービスポート12を通過した冷媒および付臭剤は、冷却部14に供給される。冷却部14にて、冷媒および付臭剤は冷却される。
【0029】
冷却部14にて冷却された冷媒および付臭剤は、分離部15に供給される。分離部15に供給された冷媒および付臭剤は、分離部15にてガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離される。なお、図1に示されるように、冷却部14および分離部15は、互いに独立して構成されてもよいが、冷却部14が分離部15を含む構成であってもよい。つまり、分離部15を冷却部14が冷却するような構成であってもよい。このようにすることで、冷媒および付臭剤の冷却と分離とを同時に実施することができる。
【0030】
冷却部14にて冷却された付臭剤は、気液平衡の状態である。つまり、冷却時の温度における付臭剤の飽和蒸気圧に相当する量の付臭剤が、ガス状の冷媒(気相中)に含まれる。そのため、冷媒を密閉系外に排出する際に、気相中に付臭剤が残存するため、付臭剤の一部が冷媒と共に排出されてしまう。
【0031】
ここで、本実施の形態1に係る冷媒排出方法の特徴は、冷媒および付臭剤が冷凍機油とともに排出される点である。冷媒および付臭剤が、冷凍機油とともに排出されることで、分離部15にて、冷凍機油に液状の付臭剤が含まれる。冷凍機油に液状の付臭剤が含まれると、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。付臭剤の蒸気圧降下が発生するということは、付臭剤の飽和蒸気圧が減少し、気相中に含まれる付臭剤の量が低下するということである。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、分離部15にてガス状の冷媒から分離される付臭剤の量が向上し、冷媒とともに密閉系外に排出される付臭剤の量を低減できる。
【0032】
ここで、冷却部14について具体的に説明する。冷却部14にて、冷媒、付臭剤、および冷凍機油は、温度Tcまで冷却される。温度Tcは、冷媒の標準沸点Tb1超えであり、かつ付臭剤の標準沸点Tb2未満である。このようにすることで、冷却部14にて、ガス状の冷媒は液化せず、付臭剤が液化する。
【0033】
温度Tcは、付臭剤の標準融点Tm2超えであることが好ましい。このようにすることで、付臭剤は凝固せず、排出経路13内で閉塞が生じることを抑えることができる。
【0034】
冷却部14における冷却方法は、特に限定されないが、熱交換による冷却方法であってもよく、断熱膨張による冷却方法であってもよい。熱交換による冷却方法は、具体的には、排出経路13を通過する流体と外部との熱交換により、当該流体を冷却する方法である。断熱膨張による冷却方法は、排出経路13を通過する流体を断熱膨張させることにより、当該流体を冷却する方法である。ここでいう流体は、冷媒、付臭剤、および冷凍機油である。
【0035】
熱交換による冷却方法は、たとえば、排出経路13を低温の媒体に接触させることにより熱交換が実施される方法であってもよい。排出経路13を構成する部材の少なくとも一部が、たとえば、低温の気体あるいは液体などの媒体に晒されることで熱交換が実施される。低温の媒体は、排出経路13を構成する部材に対して不活性な物質であることが好ましい。このようにすることで、排出経路13の強度が低下し、短時間で劣化することを防ぐ。
【0036】
冷却部14における冷却方法が熱交換による冷却方法である場合、冷却部14の少なくとも一部は、熱伝導率が高い材料で構成されていることが好ましい。このようにすることで、排出経路13を通過する流体を効率的に冷却することができる。熱伝導率の高い材料は、たとえば、金属である。特に、金属の中でもアルミニウム、鉄および銅等は高い熱伝導率を有し、冷媒との反応性が低い。そのため、冷却部14の少なくとも一部を構成する材料は、アルミニウム、鉄、銅、またはそれらの少なくとも1種を主成分とする合金であることが好ましい。
【0037】
熱交換による冷却方法において、冷媒を排出する冷凍サイクル装置とは別の冷凍サイル装置(第2冷凍サイクル装置)を用いて熱交換を実施してもよい。具体的には、排出経路13を通過する流体が第2冷凍サイクル装置の蒸発器と熱交換されることで冷却されてもよい。この場合、排出経路13を構成する部材および第二冷凍サイクル装置の蒸発器を構成する部材は、同種の金属を主成分とする材料であることが好ましい。このようにすれば、排出経路13を構成する部材および第二冷凍サイクル装置の蒸発器を構成する部材において、異種金属接触腐食が発生しない。
【0038】
このようにして冷却された冷媒、付臭剤、および冷凍機油は、分離部15に供給される。
【0039】
次に、分離部15について具体的に説明する。冷却部14にて液化した付臭剤が排出経路13から密閉系外へ排出されないように、分離部15にて液体および気体は分離し、気体のみが密閉系外へ排出される。
【0040】
分離部15における分離方法は、特に限定されないが、気体と液体との密度差を利用した分離方法、表面張力を利用した分離方法、遠心力を利用した分離方法等のいずれかであってもよい。
【0041】
気体と液体との密度差を利用した分離方法とは、例えば図2に示されるように、液体の密度が気体の密度よりも大きいことを利用することによって、液体と気体とを分離する方法である。具体的には、冷媒、付臭剤、および冷凍機油が分離容器16に供給される。液体は、分離容器16の下部に貯留する。気体は、密閉系外に排出される。
【0042】
分離された液体には、冷却部14で液化した付臭剤と冷凍機油とが含まれる。冷凍機油と付臭剤とが液体として混合されることで、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。分離部15にて、付臭剤の蒸気圧降下が発生することで、分離容器16の気相に存在する付臭剤の量が減少する。つまり、分離部15にて冷凍機油が存在しない場合と比較して、冷媒と共に密閉系外に排出されるガス状の付臭剤の量が減少し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。付臭剤と冷凍機油とが接触する限り、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。そのため、表面張力を利用した分離方法、遠心力を利用した分離方法のいずれにおいても、蒸気圧降下を利用した付臭剤の排出量を低減した効果が得られる。
【0043】
分離容器16には、液面表示部と液排出部とを含んでもよい(図示せず)。液面表示部は、分離容器16の内部の液面の高さを表示する。液排出部は、分離容器16の内部に貯留された液体を排出可能とする。分離容器16の内部に貯留された液体は開閉操作により排出される。
【0044】
分離容器16の液面が所定の高さ以上に上昇した時、貯留された液体が排出されてもよい。これにより、液体の付臭剤が排出される。その結果、高い臭気を有するガス状の冷媒が排出されることを防ぐ。
【0045】
また、分離容器16には、吸着又は吸収により付臭剤を分離容器16内に捕捉可能とする部材を含んでもよい(図示せず)。これにより、気相中の付臭剤が更に除去される。その結果、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0046】
なお、気体と液体との密度差を利用した分離方法において、分離部15の構成は、図2に示された構成でなくてもよい。分離部15の構成は、たとえば、排出経路13を構成する管の一部の径が拡大された空間を含んだ構成でもよく、バッフル式油分離器を含んだ構成でもよい。
【0047】
ガス管側操作弁11を密閉系外側に急速に開放することで、冷凍機油の排出量を増加させてもよい。具体的には、ガス管側操作弁11を急速に開放すると、密閉系冷媒回路100内の圧力が減少するため、圧縮機3内の冷凍機油に溶解した冷媒が急速に蒸発する。冷媒が蒸発することで、冷凍機油が発泡する。つまり、冷凍機油中に含まれる冷媒が気化することで、見かけ上の冷凍機油の体積が上昇する。その結果、冷凍機油の油面が上昇し、密閉系冷媒回路100を形成する配管に流出する冷凍機油の量が増加する。その結果、排出経路13に供給される冷凍機油の量が増加する。このようにすることで、冷凍機油によるガス状の冷媒から付臭剤を分離する効果を向上させることができる。
【0048】
ここで、ガス管側操作弁11を開放する時は、ガス管側操作弁11を開放した直後における排出される冷媒の流量が冷媒の蒸発量よりも多くなるように、ガス管側操作弁11を急速に開放することが好ましい。具体的には、ガス管側操作弁11の開栓直後において、排出経路13を通過する冷媒の流量は、密閉系冷媒回路100内の液相中(冷凍機油を含む)に含まれている冷媒の蒸発量よりも多くなるように、ガス管側操作弁11を急速に開放する。
【0049】
また、ガス管側操作弁11の開放前あるいは開放中に、圧縮機3内の冷凍機油を加熱してもよい。圧縮機3内の冷凍機油を加熱することで、冷凍機油に溶解した冷媒および付臭剤が蒸発する。その結果、冷凍機油が発泡する。つまり、冷凍機油の油面が上昇し、排出経路13に供給される冷凍機油の量が増加する。このようにすることで、冷凍機油によるガス状の冷媒から付臭剤を分離する効果を向上させることができる。
【0050】
なお、ガス管側操作弁11の急速開放と圧縮機3内の加熱とを組み合わせて実施することで、排出経路13に供給される冷凍機油の量が更に増加する。
【0051】
排出経路13内において、分離部15の内部、または分離部15より密閉系外側の配管内に、フィルタが設けられてもよい。フィルタは、液体が密閉系外に排出されることを抑制し、ガス状の冷媒を通過させる。これにより、密閉系外に排出される付臭剤の量が低下し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0052】
フィルタを構成する材料は、付臭剤および冷凍機油を吸収可能な材料である。また、フィルタの構造は、ガス状の冷媒の流速を低下させないために、通気性に優れた構造であることが好ましい。このようなフィルタを構成する材料として、たとえば、不織布であってもよい。
【0053】
分離部15から排出されるガス状の冷媒は、当該冷媒の地球温暖化係数(Global Warming Potential)および法規制などに合わせて、回収あるいは大気放出のいずれかの方法で排出される。冷媒は回収容器によって回収されることが好ましい。ただし、法規制等の理由により、冷媒が回収容器に充填することが困難な場合は、当該冷媒は大気に放出される。
【0054】
冷凍サイクル装置に使用する冷媒は、標準沸点Tb1が冷媒を排出する環境における外気温度未満の流体であることが好ましい。たとえば、外気温度が15°であるとき、冷媒の標準沸点Tb1は15°未満であることが好ましい。これにより、密閉系冷媒回路100内の冷媒を蒸気圧により外部に排出することができる。つまり、冷媒を排出する際に、ポンプ等で冷媒を吸引する必要がなくなる。
【0055】
また、冷媒は標準沸点Tb1が付臭剤の標準沸点Tb2未満の流体である。これにより、冷却部14において、冷媒および付臭剤を、付臭剤の標準沸点Tb2と冷媒の標準沸点Tb1との間の温度Tcにまで冷却することで、付臭剤を選択的に液化することができる。その結果、ガス状の冷媒のみを密閉系外に排出することができる。冷媒は、上記の温度関係を満たしていればよく、冷媒を構成する材料は、ハロゲン化炭化水素および自然冷媒のいずれかであってもよく、あるいは、それらの混合物であってもよい。
【0056】
ハロゲン化炭化水素は、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、フルオロヨードカーボン等である。使用される冷媒は、例えば、HFC-23、HFC-32、HFC-41、HFC-125、HFC-134、HFC-134a、HFC-143、HFC-143a、HFC-152、HFC-152a、HFC-161、HFO-1141、HFO-1132a、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1123、HFO-1225ye(Z)、HFO-1225ye(E)、HFO-1225zc、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ye(Z)、HFO-1234ye(E)、HFO-1243zf、HFO-1252zf、HFO-1261yf、FIC-13I1(CF3I)、HCFC-22、およびCFC-12のいずれかであってもよい。
【0057】
特に、地球温暖化係数が小さい冷媒として、使用される冷媒は、たとえば、HFO-1132a、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1123、HFO-1225ye(Z)、HFO-1225ye(E)、HFO-1225zc、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、HFO-1234ze(Z)、HFO-1234ye(Z)、HFO-1234ye(E)、HFO-1243zf、HFO-1252zf、HFO-1261yf、FIC-13I1(CF3I)のいずれかであることがより好ましい。
【0058】
自然冷媒とは、自然界に元来から存在する冷媒のことである。自然冷媒は、たとえば、二酸化炭素(R-744)、アンモニア(R-717)、ハイドロカーボン等である。ハイドロカーボンとは、炭素および水素のみから構成される冷媒である。ハイドロカーボンは、例えば、R-290(プロパン)、R-1270(プロピレン)、R-600(ブタン)、R-600a(イソブタン)等である。これらの自然冷媒は、地球温暖化係数が小さいため、冷凍サイクル装置に用いられる冷媒として好適である。
【0059】
付臭剤は、特有の臭気を有することが好ましい。付臭剤が特有の臭気を有することにより、付臭剤が混合された冷媒は嗅覚により検知される。付臭剤を構成する材料は、例えば、メルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類、シクロヘキセン、アクリル酸エステル類、アンモニア、アミン類、ピラジン類、ノルボルネン類等である。メルカプタン類は、例えば、メチルメルカプタン(Methyl Mercaptan)、エチルメルカプタン(Ethyl Mercaptan)、ノルマルプロピルメルカプタン(n-Propyl Mercaptan)、イソプロピルメルカプタン(Isopropyl Mercaptan)、ターシャリーブチルメルカプタン(Tertial Butyl Mercaptan)等である。スルフィド類は、例えば、ジメチルスルフィド(Dimethyl Sulfide)、ジエチルスルフィド(Diethyl Sulfide)、メチルエチルスルフィド(Methyl Ethyl Sulfide)等である。チオフェン類は、例えば、テトラヒドロチオフェン(Tetrahydrothiophene)等である。これらの付臭剤は、単独で用いられてもよく、これらの2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、付臭剤を構成する材料は、上記の材料以外の特有の臭気を有する化合物を含んでいてもよい。
【0060】
また、付臭剤は、冷媒の標準沸点Tb1よりも高い標準沸点Tb2を有する材料である。これにより、冷却部14において、冷媒および付臭剤を付臭剤の標準沸点Tb2と冷媒の標準沸点Tb1との間の温度Tcにまで冷却することで、付臭剤を選択的に液化することができる。例えば、冷媒としてR-290を使用する場合、R-290の標準沸点Tb1は-42℃である。そのため、付臭剤として、標準沸点Tb2が-42℃よりも高い付臭剤を使用する。例えば、標準沸点Tb2が121℃であるテトラヒドロチオフェン、あるいは標準沸点Tb2が83℃であるシクロヘキセンは、R-290の冷媒に混合する付臭剤として好適である。付臭剤が2種以上の化合物の混合物である場合は、それらの全ての付臭剤の標準沸点Tb2が、冷媒の標準沸点Tb1よりも高ければよい。
【0061】
冷媒が非共沸混合冷媒の場合は、付臭剤の標準沸点Tb2は当該冷媒の大気圧下における沸点Tb1よりも高い沸点を有することが好ましい。このようにすれば、冷却部14において当該冷媒を液化させず、付臭剤を選択的に液化することができる。例えば、冷媒としてR-454Bを使用する場合、R-454Bは大気圧下における露点が-50.9℃であり、大気圧下における沸点Tb1が-50.0℃である。この場合、付臭剤として、標準沸点Tb2が-50.0℃よりも高い付臭剤を使用することが好ましい。なお、R-454Bは、R-32とR-1234yとの混合冷媒であり、R-32およびR-1234yの質量比(=R-32/R-1234yf)が、68.9質量%/31.1質量%である。
【0062】
冷凍機油は、基油を含む。基油は、含酸素油および炭化水素油の少なくとも1種を含む。含酸素油は、例えば、ポリアルキレングリコール(Polyethylene Glycol)、ポリオールエステル(Polyol Ester)、ポリビニルエーテル(Poly Vinyl Ether)等である。炭化水素油は、例えば、ポリアルファオレフィン(Poly Alpha Olefin)、アルキルベンゼン(Alkyl Benzenes)、アルキルナフタレン(Alkyl Naphthalene)、鉱油等である。
【0063】
圧縮機3の摺動部の潤滑性は、冷凍機油に含まれる基油の動粘度に大きく依存する。基油を構成する材料は、冷媒よりも高い動粘度を有する材料であることが好ましい。40℃における基油の動粘度は、5mm/秒以上250mm/秒以下であることが好ましい。基油を構成する材料の分子構造および重合度を調整することで、当該基油の動粘度を上記の範囲に満足させることができる。基油が冷媒よりも高い動粘度を有する場合、冷凍サイクル装置の冷却効率は著しく低下せずに、圧縮機3内の摺動部の潤滑性が維持される。
【0064】
基油は、含酸素油であることが好ましい。含酸素油は極性が高い。そのため、含酸素油は、極性を有する化合物を溶解させることができる。ここで、付臭剤を構成する材料として例示した付臭剤は、化学構造中に窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素-炭素二重結合のいずれかを有する。つまり、前述した付臭剤は、電荷の偏りによる極性を有する化合物である。そのため、含酸素油を含む冷凍機油は付臭剤を溶解させることできる。含酸素油を含む冷凍機油に付臭剤が溶解するため、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、分離部15にて分離される付臭剤の量が向上する。その結果、排出されるガス状の冷媒ガスの臭気を低減することができる。
【0065】
冷凍機油の流動点は、冷却部14における冷媒、付臭剤および冷凍機油の温度Tcよりも低いことが好ましい。冷凍機油の流動点が冷却部14における温度Tc未満であることで、冷凍機油の流動性の低下による排出経路13内での閉塞を防ぐことができる。
【0066】
冷凍機油には、油中添加剤として、酸化防止剤、酸捕捉剤、極圧剤(摩耗防止剤)、酸素捕捉剤、蛍光剤、着色剤等が含まれていてもよい。ただし、油中添加剤による排出経路13内での閉塞を防ぐために、冷凍機油が冷却部14において冷却されたときに、これらの油中添加剤が析出しないことが好ましい。
【0067】
<冷媒排出方法>
図3は、実施の形態1に係る冷媒サイクル装置における冷媒排出方法のフローチャートである。本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置における冷媒排出方法では、まず、冷媒を排出する工程(S1a)が実施される。この工程(S1a)では、付臭剤が含まれた冷媒を冷凍サイクル装置から排出装置に供給する。具体的は、ガス管側操作弁11を、密閉系冷媒回路100内の冷媒および付臭剤が排出装置へ排出されるように開ける。この時、冷媒および付臭剤は、冷凍機油とともに排出される。なお、当該冷凍サイクル装置に使用される冷媒および付臭剤において、付臭剤の沸点Tb2は、冷媒の沸点Tb1より高い。冷凍機油は、含酸素油であることが好ましい。
【0068】
なお、ガス管側操作弁11を開放する時は、ガス管側操作弁11を開放した直後における排出される冷媒の流量が冷媒の蒸発量よりも多くなるように、ガス管側操作弁11を急速に開放する。具体的には、ガス管側操作弁11の開栓直後において、排出経路13を通過する冷媒の流量は、密閉系冷媒回路100内の液相中(冷凍機油を含む)に含まれている冷媒の蒸発量よりも多くなるように、ガス管側操作弁11を急速に開放する。また、ガス管側操作弁11の開放前あるいは開放中に、圧縮機3内の冷凍機油を加熱してもよい。
【0069】
次に、冷媒から付臭剤を分離する工程(S2a)が実施される。この工程(S2a)では、冷媒、付臭剤、および冷凍機油を冷却することで、冷媒と付臭剤とを分離する。排出装置に供給された冷媒、付臭剤、および冷凍機油は、付臭剤の沸点Tb2と冷媒の沸点Tb1との間の温度Tcにまで冷却される。このようにすることで、ガス状の冷媒は液化せず、付臭剤が液化する。なお、温度Tcは、付臭剤の標準融点Tm2超えである。そのため、付臭剤の凝固による排出経路13の閉塞が抑制される。特に、冷凍機油が含酸素油である場合、付臭剤が冷凍機油に溶解する。
【0070】
この時、冷媒および付臭剤は、冷凍機油とともに排出装置に供給されている。そのため、冷凍機油に液状の付臭剤が含まれる。冷凍機油に液状の付臭剤が含まれると、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、排出装置にて分離される付臭剤の量が向上する。その結果、冷凍機油を排出しない場合と比較して、冷媒と共に密閉系外に排出されるガス状の付臭剤の量が減少し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0071】
この時、温度Tcは、冷凍機油の流動点超えであることが好ましい。このようにすれば、冷凍機油の流動性の低下による排出経路13の閉塞を防ぐことができる。
【0072】
このようにして、液化した付臭剤とガス状の冷媒とに分離し、当該ガス状の冷媒は密閉系外へ排出される。
【0073】
<作用効果>
本開示に従った冷媒排出方法は、付臭剤が含まれた冷媒を冷凍サイクル装置から排出する工程(S1a)と、排出する工程(S1a)の後に、冷媒から付臭剤を分離する工程(S2a)とを備える。付臭剤の沸点Tb2は冷媒の沸点Tb1より高い。排出する工程(S1a)において、冷媒は冷凍機油とともに排出される。分離する工程(S2a)において、付臭剤が含まれた冷媒は、付臭剤の沸点Tb2と冷媒の沸点Tb1との間の温度Tcにまで冷却される。温度Tcは付臭剤の融点Tm2超えである。
【0074】
このようにすることで、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、排出装置にて分離される付臭剤の量が向上する。その結果、冷凍機油を排出しない場合と比較して、冷媒と共に密閉系外に排出されるガス状の付臭剤の量が減少し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0075】
上記冷媒排出方法は、分離する工程(S2a)において、温度Tcは冷凍機油の流動点超えである。このようにすることで、冷凍機油の流動点が温度Tc未満であることで、冷凍機油の流動性の低下による排出経路13の閉塞を防ぐことができる。
【0076】
上記冷媒排出方法において、冷凍機油は含酸素油である。このようにすれば、含酸素油を含む冷凍機油は付臭剤を溶解させることできる。含酸素油を含む冷凍機油に付臭剤が溶解するため、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、液化する付臭剤の量が向上する。その結果、排出されるガス状の冷媒ガスの臭気を低減することができる。
【0077】
上記冷媒排出方法において、冷凍サイクル装置は圧縮機3を含む。排出する工程(S1a)において、圧縮機3内の冷凍機油を発泡させる。このようにすることで、冷凍機油の油面が上昇し、排出経路13に供給される冷凍機油の量が増加する。その結果、ガス状の冷媒から分離される付臭剤の量が増加する。
【0078】
上記冷媒排出方法において、冷凍サイクル装置は、ガス管側操作弁11を介して排出装置と接続している。排出する工程(S1a)において、ガス管側操作弁11を急速に開放させて、圧縮機3内の冷凍機油を発泡させる。このようにすることで、冷凍機油の油面が上昇し、排出経路13に供給される冷凍機油の量が増加する。その結果、ガス状の冷媒から分離される付臭剤の量が増加する。
【0079】
上記冷媒排出方法に関して、排出する工程(S1a)において、ガス管側操作弁11を開放した直後における排出される冷媒の流量が冷媒の蒸発量よりも多くなるように、ガス管側操作弁11を急速に開放させる。このようにすることで、冷凍機油の油面が上昇し、排出経路13に供給される冷凍機油の量が増加する。その結果、ガス状の冷媒から分離される付臭剤の量が増加する。
【0080】
上記冷媒排出方法に関して、排出する工程(S1a)において、圧縮機3内の冷凍機油を加熱することで、冷凍機油を発泡させる。このようにすることで、冷凍機油の油面が上昇し、排出経路13に供給される冷凍機油の量が増加する。その結果、ガス状の冷媒から分離される付臭剤の量が増加する。
【0081】
実施の形態2.
<冷媒排出方法>
図4は、実施の形態2に係る冷媒サイクル装置における冷媒排出方法のフローチャートである。図4は、図3に対応する。図4に示された冷媒サイクル装置における冷媒排出方法は、基本的には図3に示された冷媒サイクル装置における冷媒排出方法と同様の構成を備えるが、冷媒を排出する前にポンプダウンが実施される点で異なる。
【0082】
実施の形態1に係る冷凍サイクル装置における冷媒排出方法で冷媒を密閉系外に排出した場合、密閉系冷媒回路100内の蒸気圧が大気圧と平衡になる。密閉系冷媒回路100内の蒸気圧が大気圧と平衡になると、密閉系冷媒回路100内の冷媒および付臭剤が排出されにくくなる。その結果、密閉系冷媒回路100内に付臭剤の臭気が残留する。密閉系冷媒回路100内に付臭剤の臭気が残留している状態で、冷凍サイクル装置を移設および修理等するために解体する。その時に、付臭剤の臭気が密閉系外に排出されてしまう。
【0083】
ここで、密閉系冷媒回路100内に残留する付臭剤を更に取り除くために、冷媒を冷凍サイクル装置から排出する前に、ポンプダウンを実施してもよい。具体的には、冷媒を排出する前に、付臭剤を含んだ冷媒を室外機に回収する工程(S1b)および室外機を閉栓する工程(S2b)を実施する。付臭剤を含んだ冷媒を室外機に回収する工程(S1b)は、いわゆるポンプダウンである。
【0084】
図4に示されるように、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置における冷媒排出方法では、まず付臭剤を含んだ冷媒を室外機1に回収する工程(S1b)を実施する。この工程(S1b)では、ポンプダウンにより、室外機1を構成する凝縮器4および受液器等に密閉系冷媒回路100内の冷媒および付臭剤を回収する。具体的には、液管側操作弁17を閉栓する。次に、圧縮機3を駆動させる。この時、室内機2およびガス管10内の圧力が大気圧未満の値になるまで実施することが好ましい。このようにすることで、室内機2内およびガス管10内に存在する冷凍機油に溶解した付臭剤が蒸発する。蒸発してガス状となった付臭剤は室外機1内に移動する。
【0085】
次に、室外機を閉栓する工程(S2b)を実施する。この工程(S2b)では、冷媒および付臭剤が室外機1に移動した後に、室外機1とガス管10とを接続する接続部(図示せず)を閉栓する。このようにすることで、冷媒と付臭剤とを室外機1内に閉じ込める。
【0086】
次に、付臭剤が含まれた冷媒を冷凍サイクル装置から排出する工程(S1a)と、冷媒から付臭剤を分離する工程(S2a)を順次実施する。付臭剤が含まれた冷媒を冷凍サイクル装置から排出する工程(S1a)および冷媒から付臭剤を分離する工程(S2a)は、図3に示された実施の形態1における冷媒排出方法と同じである。このようにすることで、室外機1に閉じ込められた冷媒および付臭剤を排出することができる。その結果、当該冷凍サイクル装置の解体時に冷媒の臭気が低減する。
【0087】
<作用効果>
上記冷媒排出方法において、冷凍サイクル装置は室外機を有する。冷媒排出方法は、付臭剤を含んだ冷媒を室外機に回収する工程(S1b)と、室外機を閉栓する工程(S2b)とを備える。このようにすることで、当該冷凍サイクル装置の解体時に冷媒の臭気が低減する。
【0088】
実施の形態3.
<処理装置の構成>
図5は、実施の形態3に係る処理装置13aの一例を示す模式図である。図6は、実施の形態3に係る処理装置13aにおける分離部15aの模式図である。
【0089】
図5および図6に示されている処理装置13aは、図1に示されているような冷凍サイクル装置に取り付けられる排出装置であってもよく、当該冷凍サイクル装置に使用された作動流体を処理する処理装置である。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。
【0090】
処理装置13aは、作動流体の温度を冷媒の沸点Tb1超えであり、付臭剤の沸点Tb2未満に維持するように構成されている。具体的には、図5に示されているように、処理装置13aは、冷却部14aと、分離部15aとを備えている。当該処理装置13aによって処理される作動流体は、冷却部14aに供給される。冷却部14aにて、作動流体は冷却される。作動流体が冷却されることによって、冷媒に混ざっていたガス状の付臭剤が液化する。その結果、作動流体は、ガス状の冷媒と、液状の付臭剤および冷凍機油とを含むように構成される。
【0091】
冷却部14aにて冷却された作動流体は、分離部15aに供給される。分離部15aに供給された作動流体は、分離容器16aにてガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離される。なお、図5に示されるように、冷却部14aおよび分離部15aは、互いに独立して構成されてもよいが、冷却部14aが分離部15aを含む構成であってもよい。つまり、分離部15aを冷却部14aが冷却するような構成であってもよい。このようにすることで、冷媒および付臭剤の冷却と分離とを同時に実施することができる。
【0092】
冷却部14aにて冷却された付臭剤は、気液平衡の状態である。つまり、冷却時の温度における付臭剤の飽和蒸気圧に相当する量の付臭剤が、ガス状の冷媒(気相中)に含まれる。
【0093】
ここで、本実施の形態3に係る処理装置13aの特徴は、冷媒および付臭剤が冷凍機油とともに処理される点である。冷媒および付臭剤が、液体の一例である冷凍機油とともに排出されることで、分離部15aにて、液状の付臭剤が冷凍機油に含まれる。液状の付臭剤が冷凍機油に含まれると、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。付臭剤の蒸気圧降下が発生するということは、付臭剤の飽和蒸気圧が減少し、気相中に含まれる付臭剤の量が低下するということである。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、分離部15aにてガス状の冷媒から分離される付臭剤の量が向上し、冷媒とともに密閉系外に排出される付臭剤の量を低減できる。
【0094】
ここで、冷却部14aについて具体的に説明する。冷却部14aにて、作動流体(冷媒、付臭剤、および冷凍機油)は、温度Tcまで冷却される。温度Tcは、冷媒の標準沸点Tb1超えであり、かつ付臭剤の標準沸点Tb2未満である。このようにすることで、冷却部14aにて、ガス状の冷媒は液化せず、付臭剤が液化する。
【0095】
温度Tcは、付臭剤の標準融点Tm2超えであってもよい。このようにすることで、付臭剤は凝固せず、処理装置13a内で閉塞が生じることを抑えることができる。
【0096】
冷却部14aにおける冷却方法は、特に限定されないが、熱交換による冷却方法であってもよく、膨張による冷却方法であってもよい。熱交換による冷却方法は、具体的には、処理装置13aを通過する作動流体と外部との熱交換により、作動流体を冷却する方法である。膨張による冷却方法は、処理装置13aを通過する流体を膨張させることにより、作動流体を冷却する方法である。なお、作動流体には、冷媒、付臭剤、および冷凍機油が含まれる。
【0097】
熱交換による冷却方法は、たとえば、処理装置13aを低温の媒体に接触させることにより熱交換が実施される方法であってもよい。処理装置13aを構成する部材の少なくとも一部が、たとえば、低温の気体あるいは液体などの媒体に晒されることで熱交換が実施される。低温の媒体は、処理装置13aを構成する部材に対して不活性な物質であってもよい。このようにすることで、処理装置13aの強度が低下し、短時間で劣化することを防ぐ。
【0098】
冷却部14aにおける冷却方法が熱交換による冷却方法である場合、冷却部14aの少なくとも一部は、熱伝導率が高い材料で構成されてもよい。このようにすることで、処理装置13aを通過する流体を効率的に冷却することができる。熱伝導率の高い材料は、たとえば、金属である。特に、金属の中でもアルミニウム、鉄および銅等は高い熱伝導率を有し、冷媒との反応性が低い。そのため、冷却部14aの少なくとも一部を構成する材料は、アルミニウム、鉄、銅、またはそれらの少なくとも1種を主成分とする合金であってもよい。
【0099】
冷却部14aにおける冷却方法が膨張による冷却である場合、たとえば冷却部14aは膨張弁で構成されてもよい。これにより、冷却部14aに流入した作動流体は減圧により温度が低下した状態で分離部15aに供給される。
【0100】
このようにして冷却された作動流体(冷媒、付臭剤、および冷凍機油)は、分離部15aに供給される。
【0101】
次に、分離部15aについて具体的に説明する。冷却部14aにて液化した付臭剤が処理装置13aから密閉系外へ排出されないように、分離部15aにて液体および気体は分離し、気体のみが密閉系外へ排出される。
【0102】
分離部15aにおける分離方法は、特に限定されないが、気体と液体との密度差を利用した分離方法、表面張力を利用した分離方法、遠心力を利用した分離方法等のいずれかであってもよい。
【0103】
気体と液体との密度差を利用した分離方法とは、例えば図6に示されるように、液体の密度が気体の密度よりも大きいことを利用することによって、液体と気体とを分離する方法である。具体的には、冷媒、付臭剤、および冷凍機油が分離容器16aに供給される。液体は、分離容器16aの下部に貯留する。気体は、密閉系外に排出される。
【0104】
分離された液体には、冷却部14aで液化した付臭剤と冷凍機油とが含まれる。冷凍機油と付臭剤とが液体として混合されることで、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。分離部15aにて、付臭剤の蒸気圧降下が発生することで、分離容器16aの気相に存在する付臭剤の量が減少する。つまり、分離部15aにて冷凍機油が存在しない場合と比較して、冷媒と共に密閉系外に排出されるガス状の付臭剤の量が減少し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。付臭剤と冷凍機油とが接触する限り、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。そのため、表面張力を利用した分離方法、遠心力を利用した分離方法のいずれにおいても、蒸気圧降下を利用して付臭剤の排出量を低減した効果が得られる。
【0105】
分離容器16aには、液面表示部と液排出部とを含んでもよい(図示せず)。液面表示部は、分離容器16aの内部の液面の高さを表示する。液排出部は、分離容器16aの内部に貯留された液体を排出可能とする。分離容器16aの内部に貯留された液体は液排出部の開閉操作により排出される。液排出部は、たとえば分離容器16aの底部に接続された配管と、当該配管に設置された開閉弁を含んでもよい。液表示部は、たとえば液面の高さを検出するセンサと、当該センサの検出結果を表示する表示部とを含んでもよい。
【0106】
分離容器16aの液面が所定の高さ以上に上昇した時、貯留された液体が排出されてもよい。これにより、液体の付臭剤が排出される。その結果、高い臭気を有するガス状の冷媒が排出されることを防ぐ。
【0107】
また、分離容器16aには、吸着又は吸収により付臭剤を分離容器16a内に捕捉可能とする部材を含んでもよい(図示せず)。これにより、気相中の付臭剤が更に除去される。その結果、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0108】
なお、気体と液体との密度差を利用した分離方法において、分離部15aの構成は、図6に示された構成でなくてもよい。分離部15aの構成は、たとえば、処理装置13aを構成する管の一部の径が拡大された空間を含んだ構成でもよく、バッフル式油分離器を含んだ構成でもよい。
【0109】
処理装置13a内において、分離部15aの内部、または分離部15aより後段側の配管内に、フィルタが設けられてもよい。フィルタは、液体が密閉系外に排出されることを抑制し、ガス状の冷媒を通過させる。これにより、密閉系外に排出される付臭剤の量が低下し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0110】
フィルタを構成する材料は、付臭剤および冷凍機油を吸収可能な材料である。また、フィルタの構造は、ガス状の冷媒の流速を低下させないために、通気性に優れた構造であることが好ましい。このようなフィルタを構成する材料として、たとえば、不織布であってもよい。
【0111】
分離部15aから排出されるガス状の冷媒は、当該冷媒の地球温暖化係数(Global Warming Potential)および法規制などに合わせて、回収あるいは大気放出のいずれかの方法で排出される。冷媒は回収容器によって回収されることが好ましい。ただし、法規制等の理由により、冷媒が回収容器に充填することが困難な場合は、当該冷媒は大気に放出される。
【0112】
また、冷媒は標準沸点Tb1が付臭剤の標準沸点Tb2未満の流体である。これにより、冷却部14aにおいて、冷媒および付臭剤を、付臭剤の標準沸点Tb2と冷媒の標準沸点Tb1との間の温度Tcにまで冷却することで、付臭剤を選択的に液化することができる。その結果、ガス状の冷媒のみを密閉系外に排出することができる。冷媒は、上記の温度関係を満たしていればよく、冷媒を構成する材料は、ハロゲン化炭化水素および自然冷媒のいずれかであってもよく、あるいは、それらの混合物であってもよい。
【0113】
<作動流体の処理方法>
図7は、実施の形態3に係る処理装置13aにおける作動流体の処理方法のフローチャートである。本実施の形態3に係る処理装置13aにおける作動流体の処理方法では、まず、作動流体を準備する工程(S1c)が実施される。この工程(S1c)では、たとえば冷凍サイクル装置に使用された作動流体を準備する。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。付臭剤の沸点Tb2は、冷媒の沸点Tb1より高い。冷凍機油は、含酸素油であってもよい。
【0114】
次に、冷媒から付臭剤を分離する工程(S2c)が実施される。この工程(S2c)では、作動流体の温度が、冷媒の沸点Tb1超え、かつ付臭剤の沸点tb2未満に維持されることで、冷媒と付臭剤とを分離する。具体的には、準備された作動流体は、冷却部14aにて冷却される。冷却部14aにて、作動流体の温度は、付臭剤の沸点Tb2と冷媒の沸点Tb1との間の温度Tcにまで冷却される。このようにすることで、ガス状の冷媒は液化せず、付臭剤が液化する。なお、温度Tcは、付臭剤の標準融点Tm2超えである。そのため、付臭剤の凝固による排出経路13内での閉塞が抑制される。特に、冷凍機油が含酸素油である場合、付臭剤が冷凍機油に溶解する。
【0115】
冷却部14aにて冷却された作動流体は、分離部15aに供給される。分離部15aに供給された作動流体の温度は、冷媒の沸点Tb1超え、かつ付臭剤の沸点Tb2未満に維持されることで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離される。
【0116】
気体と液体との密度差を利用した分離方法を用いて、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離してもよい。具体的には、図6に示されているような分離容器16aを使用することで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とを分離する。
【0117】
この時、作動流体は、冷媒および付臭剤と共に冷凍機油を含む。そのため、液状の付臭剤に冷凍機油が含まれる。液状の付臭剤に冷凍機油が含まれると、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、分離部15aにて分離される付臭剤の量が向上する。その結果、冷凍機油を排出しない場合と比較して、冷媒と共に密閉系外に排出されるガス状の付臭剤の量が減少し、排出されるガス状の冷媒の臭気が低下する。
【0118】
この時、温度Tcは、冷凍機油の流動点超えであってもよい。このようにすれば、冷凍機油の流動性の低下による処理装置13a内での閉塞を抑えることができる。
【0119】
このようにして、液化した付臭剤とガス状の冷媒とに分離し、当該ガス状の冷媒は密閉系外へ排出される。
【0120】
<作用効果>
本開示に従った作動流体の処理方法は、作動流体を準備する工程(S1c)と、冷媒から付臭剤を分離する工程(S2c)とを備える。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。付臭剤の沸点Tb1は、冷媒の沸点Tb2より高い。分離する工程(S1c)において、作動流体の温度は、冷媒の沸点Tb1超え付臭剤の沸点Tb2未満に維持される。
【0121】
このようにすることで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離することができ、ガス状の冷媒の臭気を抑制することができる。
【0122】
上記作動流体の処理方法によれば、分離する工程(S2c)において、温度は冷凍機油の流動点超えである。このようにすることで、冷凍機油の流動性の低下による処理装置13a内での閉塞を防ぐことができる。
【0123】
上記作動流体の処理方法によれば、冷凍機油は含酸素油である。このようにすれば、含酸素油を含む冷凍機油は付臭剤を溶解させることできる。含酸素油を含む冷凍機油に付臭剤が溶解するため、付臭剤の蒸気圧降下が発生する。つまり、付臭剤の蒸気圧降下が発生することにより、液化する付臭剤の量が向上する。その結果、排出されるガス状の冷媒ガスの臭気を低減することができる。
【0124】
本開示に従った処理装置13aは、作動流体を処理する処理装置13aである。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。付臭剤の沸点Tb1は、冷媒の沸点Tb2より高い。処理装置13aは、作動流体の温度を冷媒の沸点Tb1超え付臭剤の沸点Tb2未満に冷却することでガス状の冷媒と液状の付臭剤とを分離するように構成されている。
【0125】
このようにすることで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離することができ、ガス状の冷媒の臭気を抑制することができる。
【0126】
本開示に従った処理装置13aは、冷却部14aと、分離部15aとを備える。冷却部14aは、作動流体を冷却する。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。冷却された作動流体において、分離部15aは冷媒から付臭剤を分離する。付臭剤の沸点Tb1は、冷媒の沸点Tb2より高い。冷却部14aは、作動流体の温度を冷媒の沸点Tb1超え付臭剤の沸点Tb2未満に冷却する。分離部15aは、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とを分離する。
【0127】
このようにすることで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離することができ、ガス状の冷媒の臭気を抑制することができる。
【0128】
上記処理装置13aによれば、分離部15aは、気体と液体との密度差を利用することで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とを分離する。
【0129】
このようにすることで、ガス状の冷媒と液状の付臭剤とに分離することができ、ガス状の冷媒の臭気を抑制することができる。
【0130】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0131】
1 室外機、2 室内機、3 圧縮機、4 凝縮器、5 室外送風機、6 膨張弁、7 蒸発器、8 室内送風機、9 液管、10 ガス管、11 ガス管側操作弁、12 サービスポート、13 排出経路、13a 処理装置、14,14a 冷却部、15,15a 分離部、16,16a 分離容器、17 液管側操作弁、100 密閉系冷媒回路、Tb1,Tb2 沸点、Tm2 融点、Tc 温度。
【要約】
分離される付臭剤の量が向上した作動流体の処理方法が得られる。作動流体の処理方法は、作動流体を準備する工程(S1c)と、冷媒から付臭剤を分離する工程(S2c)とを備える。作動流体は、冷媒、冷凍機油、および付臭剤を含む。付臭剤の沸点Tb1は、冷媒の沸点Tb2より高い。分離する工程(S1c)において、作動流体の温度は、冷媒の沸点Tb1超え付臭剤の沸点Tb2未満に維持される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7