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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】液滴吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241011BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/14 611
B41J2/01 301
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024550300
(86)(22)【出願日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2023047355
【審査請求日】2024-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022212433
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 英
(72)【発明者】
【氏名】中元 史人
(72)【発明者】
【氏名】宮越 直人
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/250873(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/104480(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/065524(WO,A1)
【文献】特開2018-015966(JP,A)
【文献】中国実用新案第205058835(CN,U)
【文献】特開2014-223801(JP,A)
【文献】特開2016-132179(JP,A)
【文献】特開2017-154473(JP,A)
【文献】特開2021-138025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴が吐出される複数の吐出孔を有するヘッド本体と
前記ヘッド本体の駆動を制御するドライバICと、
前記ドライバICが搭載されており、前記ヘッド本体に電気的に接続されているフレキシブル基板と、
前記ドライバICで生じた熱を放熱する放熱板と、
前記ドライバICを前記放熱板に押圧する押圧部材と
を有し、
前記放熱板と前記押圧部材とは、前記ヘッド本体の長手方向の中央部において固定されている、液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体に取り付けられるヘッドカバー
をさらに有し、
前記放熱板と前記ヘッドカバーとは、前記長手方向の両端部において固定されている、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記フレキシブル基板は、前記ドライバICを複数搭載しており、
前記放熱板と前記押圧部材とは、隣り合う2つの前記ドライバICの間で固定されている、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記フレキシブル基板は、貫通孔を有しており、
前記放熱板と前記押圧部材とは、前記貫通孔を介して固定されている、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
前記フレキシブル基板は、一端が前記貫通孔に繋がるスリットを有する、請求項4に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記フレキシブル基板の面内で閉じている、請求項4に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記長手方向と直交する方向における幅が前記長手方向における幅よりも大きい、請求項4に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項8】
前記フレキシブル基板は、前記ドライバICを複数搭載しており、
前記貫通孔は、隣り合う前記ドライバICの間に設けられている、請求項4に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項9】
前記ヘッド本体に取り付けられるヘッドカバー
をさらに有し、
前記放熱板と前記ヘッドカバーとは、頭部を有する固定部材によって固定されており、
前記放熱板は、前記頭部を収容する凹部を有する、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項10】
前記放熱板と前記押圧部材とは、頭部を有する固定部材によって固定されており、
前記放熱板は、前記頭部を収容する凹部を有する、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項11】
前記ヘッド本体は、
複数の前記吐出孔を有する流路部材と、
前記流路部材の上に位置し、前記流路部材に繋がる分岐流路を有する分岐流路部材と
を有し、
前記分岐流路部材に直接的または間接的に固定された固定部を有し、
前記放熱板と前記固定部とは、前記ヘッド本体の長手方向の両端部において固定される、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項12】
前記固定部は、前記ヘッド本体の長手方向における前記押圧部材の両端部に設けられる、請求項11に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項13】
前記フレキシブル基板と電気的に接続される配線基板と、
前記配線基板を支持する複数の支持部材と
を有し、
前記複数の支持部材は、
前記ヘッド本体の長手方向における配線基板の一端部を支持する第1支持部材と、
前記ヘッド本体の長手方向における前記配線基板の他端部を支持する第2支持部材と
を含み、
前記固定部は、前記第1支持部材および前記第2支持部材に設けられる、請求項11に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項14】
前記ヘッド本体の幅方向の両端部に位置する2つの前記放熱板と、
2つの前記放熱板のうち一方に挿通される少なくとも2つの第1雄ネジと、
2つの前記放熱板のうち他方に挿通される少なくとも2つの第2雄ネジと
を有し、
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記ヘッド本体の幅方向における両端が開放され内周面にネジ溝が形成された筒状部を有し、
前記第1雄ネジと前記第2雄ネジとが、同一の前記筒状部に締結される、請求項13に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項15】
前記放熱板と前記ヘッド本体とを接合する樹脂製の板部材をさらに有する、請求項11~14のいずれか一つに記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項16】
液滴が吐出される複数の吐出孔を有する流路部材と、前記流路部材の上に位置し、前記流路部材に繋がる分岐流路を有する分岐流路部材とを有するヘッド本体と、
前記ヘッド本体の駆動を制御するドライバICと、
前記ドライバICが搭載されており、前記ヘッド本体に電気的に接続されているフレキシブル基板と、
前記ドライバICで生じた熱を放熱する放熱板と、
前記分岐流路部材に直接的または間接的に固定された固定部と
を有し、
前記放熱板と前記固定部とは、前記ヘッド本体の長手方向の両端部において固定されている、液滴吐出ヘッド。
【請求項17】
前記ドライバICを前記放熱板に押圧する押圧部材
を有し、
前記固定部は、前記ヘッド本体の長手方向における前記押圧部材の両端部に設けられる、請求項16に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項18】
前記フレキシブル基板と電気的に接続される配線基板と、
前記配線基板を支持する複数の支持部材と
を有し、
前記複数の支持部材は、
前記ヘッド本体の長手方向における配線基板の一端部を支持する第1支持部材と、
前記ヘッド本体の長手方向における前記配線基板の他端部を支持する第2支持部材と
を含み、
前記固定部は、前記第1支持部材および前記第2支持部材に設けられる、請求項16に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項19】
前記ヘッド本体の幅方向の両端部に位置する2つの前記放熱板と、
2つの前記放熱板のうち一方に挿通される少なくとも2つの第1雄ネジと、
2つの前記放熱板のうち他方に挿通される少なくとも2つの第2雄ネジと
を有し、
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記ヘッド本体の幅方向における両端が開放され内周面にネジ溝が形成された筒状部を有し、
前記第1雄ネジと前記第2雄ネジとが、同一の前記筒状部に締結される、請求項18に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項20】
前記放熱板と前記ヘッド本体とを接合する樹脂製の板部材をさらに有する、請求項16~19のいずれか一つに記載の液滴吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液滴吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷用ヘッドとして、たとえば、液体を記録媒体上に吐出することによって、各種の印刷を行う液体吐出ヘッドが知られている。特許文献1には、ドライバICがフレキシブル基板に搭載されている液体吐出ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/250873号
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様による液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体と、ドライバICと、フレキシブル基板と、放熱板と、押圧部材とを有する。ヘッド本体は、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する。ドライバICは、ヘッド本体の駆動を制御する。フレキシブル基板は、ドライバICが搭載されており、ヘッド本体に電気的に接続されている。放熱板は、ドライバICで生じた熱を放熱する。押圧部材は、ドライバICを放熱板に押圧する。放熱板と押圧部材とは、ヘッド本体の長手方向の中央部において固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、第1実施形態に係るプリンタの概略的な側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るプリンタの概略的な平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係るフレキシブル基板およびフレキシブル基板周辺の構造を説明するための斜視図である。
図5図5は、第1実施形態に係るフレキシブル基板の全体構成を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係る押圧部材の構造を説明するための斜視図である。
図7図7は、液滴吐出ヘッドの構成例を示す模式的な正面図である。
図8図8は、液滴吐出ヘッドの構成例を示す模式的な正面図である。
図9図9は、液滴吐出ヘッドの構成例を示す模式的な側面図である。
図10図10は、第1実施形態の変形例1に係るフレキシブル基板の構成を示す図である。
図11図11は、第1実施形態の変形例2に係る液滴吐出ヘッドの構成例を示す模式的な正面図である。
図12図12は、第1実施形態の変形例2に係る液滴吐出ヘッドの構成例を示す模式的な正面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
図14図14は、第2実施形態に係る配線基板、第1支持部材および第2支持部材の構成を示す模式斜視図である。
図15図15は、第2実施形態に係る押圧部材の構成を示す模式斜視図である。
図16図16は、図13のXV-XV線に沿った断面図である。
図17図17は、第2実施形態の変形例に係る液滴吐出ヘッドの一端部の構成を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に、本開示による液滴吐出ヘッドを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0007】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度または設置精度などのずれを許容するものとする。
【0008】
従来、印刷用ヘッドとして、たとえば、液体を記録媒体上に吐出することによって、各種の印刷を行う液体吐出ヘッドが知られている。特許文献1には、ドライバICがフレキシブル基板に搭載されている液体吐出ヘッドが開示されている。また、特許文献1には、押圧部材を用いてドライバICを放熱板に押し当てることにより、ドライバICを放熱板に密着させてドライバICの放熱性を高める技術が開示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、押圧部材と放熱板とがヘッド本体の長手方向の両端部のみで固定されているため、液体吐出ヘッド全体、特に液滴吐出ヘッドの長手方向中央部が、液滴吐出ヘッドの長手方向両端部と比較して外圧、内圧に対して弱い構造になっている。
【0010】
そこで、液滴吐出ヘッドの剛性を高める技術が期待されている。
【0011】
(第1実施形態)
<プリンタの構成>
まず、第1実施形態に係る記録装置の一例であるプリンタ1の概要について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るプリンタ1の概略的な側面図であり、図2は、プリンタ1の概略的な平面図である。第1実施形態に係るプリンタ1は、たとえば、カラーインクジェットプリンタである。
【0012】
図1に示すように、プリンタ1は、給紙ローラ2と、ガイドローラ3と、塗布機4と、ヘッドケース5と、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液滴吐出ヘッド8と、搬送ローラ9と、乾燥機10と、搬送ローラ11と、センサ部12と、回収ローラ13とを備える。
【0013】
さらに、プリンタ1は、かかる給紙ローラ2、ガイドローラ3、塗布機4、ヘッドケース5、複数の搬送ローラ6、複数のフレーム7、複数の液滴吐出ヘッド8、搬送ローラ9、乾燥機10、搬送ローラ11、センサ部12および回収ローラ13を制御する制御部14を有している。
【0014】
プリンタ1は、印刷用紙Pに液滴を着弾させることにより、印刷用紙Pに画像または文字の記録を行う。印刷用紙Pは、記録媒体の一例である。印刷用紙Pは、使用前において給紙ローラ2に巻かれた状態になっている。そして、プリンタ1は、印刷用紙Pを、給紙ローラ2からガイドローラ3および塗布機4を介してヘッドケース5の内部に搬送する。
【0015】
塗布機4は、コーティング剤を印刷用紙Pに一様に塗布する。これにより、印刷用紙Pに表面処理を施すことができることから、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
【0016】
ヘッドケース5は、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液滴吐出ヘッド8とを収容する。ヘッドケース5の内部には、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっている他は、外部と隔離された空間が形成されている。
【0017】
ヘッドケース5の内部空間は、必要に応じて、温度、湿度、および気圧などの制御因子のうち、少なくとも1つが制御部14によって制御される。搬送ローラ6は、ヘッドケース5の内部で印刷用紙Pを液滴吐出ヘッド8の近傍に搬送する。
【0018】
フレーム7は、矩形状の平板であり、搬送ローラ6で搬送される印刷用紙Pの上方に近接して位置している。また、図2に示すように、フレーム7は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。そして、ヘッドケース5の内部には、複数(たとえば、4つ)のフレーム7が、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。
【0019】
なお、以降の説明において、印刷用紙Pの搬送方向を「副走査方向」とも呼称し、かかる副走査方向に直交し、かつ印刷用紙Pに平行な方向を「主走査方向」とも呼称する。
【0020】
液滴吐出ヘッド8には、図示しない液体タンクから液体、たとえば、インクが供給される。液滴吐出ヘッド8は、かかる液体タンクから供給される液滴を吐出する。
【0021】
制御部14は、画像または文字などのデータに基づいて液滴吐出ヘッド8を制御し、印刷用紙Pに向けて液滴を吐出させる。液滴吐出ヘッド8と印刷用紙Pとの間の距離は、たとえば0.5~20mm程度である。
【0022】
液滴吐出ヘッド8は、フレーム7に固定されている。液滴吐出ヘッド8は、たとえば、長手方向の両端部においてフレーム7に固定されている。液滴吐出ヘッド8は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。
【0023】
すなわち、第1実施形態に係るプリンタ1は、プリンタ1の内部に液滴吐出ヘッド8が固定されている、いわゆるラインプリンタである。なお、第1実施形態に係るプリンタ1は、ラインプリンタに限られず、いわゆるシリアルプリンタであってもよい。
【0024】
このシリアルプリンタとは、液滴吐出ヘッド8を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、たとえば、ほぼ直交する方向に往復させるなどして移動させながら記録する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行う方式のプリンタである。
【0025】
図2に示すように、1つのフレーム7に複数(たとえば、5つ)の液滴吐出ヘッド8が固定されている。図2では、印刷用紙Pの搬送方向の前方に3個、後方に2個の液滴吐出ヘッド8が位置している例を示しており、印刷用紙Pの搬送方向において、それぞれの液滴吐出ヘッド8の中心が重ならないように液滴吐出ヘッド8が位置している。
【0026】
そして、1つのフレーム7に位置する複数の液滴吐出ヘッド8によって、ヘッド群8Aが構成されている。4つのヘッド群8Aは、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。同じヘッド群8Aに属する液滴吐出ヘッド8には、同じ色のインクが供給される。これにより、プリンタ1は、4つのヘッド群8Aを用いて4色のインクによる印刷を行うことができる。
【0027】
各ヘッド群8Aから吐出されるインクの色は、たとえば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。制御部14は、各ヘッド群8Aを制御して複数色のインクを印刷用紙Pに吐出することにより、印刷用紙Pにカラー画像を印刷することができる。
【0028】
なお、印刷用紙Pの表面処理をするために、液滴吐出ヘッド8からコーティング剤を印刷用紙Pに吐出してもよい。
【0029】
また、1つのヘッド群8Aに含まれる液滴吐出ヘッド8の個数、またはプリンタ1に搭載されているヘッド群8Aの個数は、印刷する対象または印刷条件に応じて適宜変更可能である。たとえば、印刷用紙Pに印刷する色が単色で、かつ1つの液滴吐出ヘッド8で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、プリンタ1に搭載されている液滴吐出ヘッド8の個数は1つでもよい。
【0030】
ヘッドケース5の内部で印刷処理された印刷用紙Pは、搬送ローラ9によってヘッドケース5の外部に搬送され、乾燥機10の内部を通る。乾燥機10は、印刷処理された印刷用紙Pを乾燥する。乾燥機10で乾燥された印刷用紙Pは、搬送ローラ11で搬送されて、回収ローラ13で回収される。
【0031】
プリンタ1では、乾燥機10で印刷用紙Pを乾燥することにより、回収ローラ13において、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れたりすることを抑制することができる。
【0032】
センサ部12は、位置センサ、速度センサまたは温度センサなどにより構成されている。制御部14は、かかるセンサ部12からの情報に基づいて、プリンタ1の各部における状態を判断し、プリンタ1の各部を制御することができる。
【0033】
ここまで説明したプリンタ1では、印刷対象(すなわち記録媒体)として印刷用紙Pを用いた場合について示したが、プリンタ1における印刷対象は印刷用紙Pに限られず、ロール状の布などを印刷対象としてもよい。
【0034】
また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルト上に載せて搬送するものであってもよい。搬送ベルトを用いることで、プリンタ1は、枚葉紙、裁断された布、木材またはタイルなどを印刷対象とすることができる。
【0035】
また、プリンタ1は、液滴吐出ヘッド8から導電性の粒子を含む液滴を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、プリンタ1は、液滴吐出ヘッド8から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤または化学薬剤を含んだ液滴を吐出させて、化学薬品を作製してもよい。
【0036】
またプリンタ1は、液滴吐出ヘッド8をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、たとえば、ワイピング処理またはキャッピング処理によって液滴吐出ヘッド8の洗浄を行う。
【0037】
ワイピング処理とは、たとえば、柔軟性のあるワイパーで、液滴が吐出される部位の面を払拭することで、液滴吐出ヘッド8に付着していた液体を取り除く処理である。
【0038】
また、キャッピング処理は、たとえば、次のように実施する。まず、液滴が吐出される部位の面を覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングという)。これにより、液滴が吐出される部位の面とキャップとの間に、ほぼ密閉された空間が形成される。
【0039】
次に、かかる密閉された空間で液滴の吐出を繰り返す。これにより、液滴を吐出させる吐出孔(ノズル)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高い液体または異物などを取り除くことができる。
【0040】
<液滴吐出ヘッドの構成>
つづいて、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の構成について、図3を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の概略構成を示す分解斜視図である。
【0041】
液滴吐出ヘッド8は、ヘッド本体20と、配線部30と、ヘッドカバー40と、2つの放熱板45とを備えている。ヘッド本体20は、流路部材21と、圧電アクチュエータ基板(不図示)と、リザーバ23とを有している。
【0042】
以降の説明において、便宜的に、液滴吐出ヘッド8においてヘッド本体20が設けられる方向を「下」と表記し、ヘッド本体20に対してヘッドカバー40が設けられる方向を「上」と表記する場合がある。
【0043】
ヘッド本体20の流路部材21は、略平板形状であり、1つの主面である第1面(不図示)と、かかる第1面の反対側に位置する第2面(不図示)とを有している。第1面は、不図示の開口を有し、リザーバ23からかかる開口を介して流路部材21の内部に液体が供給される。
【0044】
第2面には、印刷用紙Pに液体を吐出する複数の吐出孔(不図示)が位置している。流路部材21は、第1面から第2面に液体を流す流路を内部に有している。
【0045】
圧電アクチュエータ基板は、流路部材21の第1面上に位置している。圧電アクチュエータ基板は、複数の変位素子(不図示)を有している。圧電アクチュエータ基板には、配線部30のフレキシブル基板31が電気的に接続されている。
【0046】
圧電アクチュエータ基板上にはリザーバ23が位置している。リザーバ23には、印刷用紙Pの搬送方向である副走査方向に直交し、かつ印刷用紙Pに平行な方向である主走査方向の両端部に開口23aが設けられている。すなわち、リザーバ23は2つの開口23aを有する。リザーバ23は、内部に流路を有しており、外部から開口23aを介して液体が供給される。リザーバ23は、流路部材21に液体を供給する。また、リザーバ23は、流路部材21に供給される液体を貯留する。
【0047】
なお、印刷を行う際は、一方の開口23aから液体を供給して、他方の開口23aは閉じておいてもよい。また、両方の開口23aから液体を供給してもよい。液滴吐出ヘッド8に最初に液体を導入する際に、一方の開口23aから液体を供給して、他方の開口23aから液体を回収すれば、リザーバ23の内部にある流路中にあった空気や保存液などが流路から抜け易いので、液滴吐出ヘッド8への液体の導入を容易にすることができる。
【0048】
また、印刷を行っている間、一方の開口23aから液体を供給して、他方の開口23aから液体を回収してもよい。そのようにすれば、リザーバ23の内部にある流路中に気泡が溜まり難くできる。さらに、一定の温度に調整した液体を供給することで、液滴吐出ヘッド8の温度を安定させることができる。回収した液体は、フィルタ等を通した後、再度、液滴吐出ヘッド8に供給してもよい。すなわち、液体を循環させてもよい。液滴吐出ヘッド8への液体の供給および回収、あるいは、液体の循環は、制御部14が制御してもよい。
【0049】
さらに、リザーバ23から流路部材21に液体を供給するとともに、流路部材21からリザーバ23に液体を回収してもよい。さらに、流路部材21内において、ノズル(吐出孔)が面している流路に対して、液体の供給および回収を行って、ノズル内およびその周辺において、液体が滞留し難いようにしてもよい。そのような態様では、全体では、液滴吐出ヘッド8に対して外部から液体が供給され、その液体の一部が吐出孔から吐出され、吐出されなかった液体は外部に回収される。
【0050】
配線部30は、フレキシブル基板31と、配線基板32と、複数のドライバIC33と、押圧部材34と、弾性部材35(図9参照)とを有している。フレキシブル基板31は、外部から送られた所定の信号をヘッド本体20に伝達する。なお、図3に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8は、フレキシブル基板31を2つ有している。
【0051】
フレキシブル基板31の一端部は、ヘッド本体20の圧電アクチュエータ基板と電気的に接続されている。フレキシブル基板31の他端部は、リザーバ23のスリット部23bを介して上方に引き出されており、配線基板32と電気的に接続されている。これにより、ヘッド本体20の圧電アクチュエータ基板と外部とを電気的に接続することができる。かかるフレキシブル基板31の詳細については後述する。
【0052】
配線基板32は、ヘッド本体20の上方に位置している。配線基板32は、複数のドライバIC33に信号を分配する。
【0053】
複数のドライバIC33は、フレキシブル基板31における一方の主面に位置している。図3に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8において、ドライバIC33は、1つのフレキシブル基板31上に2つずつ設けられている。なお、1つのフレキシブル基板31に設けられているドライバIC33の数は2つに限られない。
【0054】
ドライバIC33は、制御部14(図1参照)から送られた駆動信号に基づいて、ヘッド本体20の圧電アクチュエータ基板を駆動させる。これにより、ドライバIC33は、液滴吐出ヘッド8を駆動させる。
【0055】
押圧部材34は、たとえば断面視で略U字形状を有する板バネである。押圧部材34は、スリット部23bから引き出された2つのフレキシブル基板31の間に位置し、フレキシブル基板31上のドライバIC33を放熱板45に向けて押圧している。これにより、ドライバICが放熱板45と密着することで、ドライバIC33が駆動する際に発生する熱を放熱板45へ効率よく放熱することができる。かかる押圧部材34の詳細については後述する。
【0056】
弾性部材35(図9参照)は、押圧部材34における側壁部34a、34b(図6参照)に接するように設けられている。かかる弾性部材35を設けることにより、押圧部材34がドライバIC33を押圧する際に、押圧部材34がフレキシブル基板31を破損させる可能性を低減することができる。
【0057】
弾性部材35は、たとえば、発泡体両面テープなどで構成される。また、弾性部材35として、たとえば、非シリコン系の熱伝導シートを用いることにより、ドライバIC33の放熱性を向上させることができる。なお、弾性部材35は必ずしも設ける必要はない。
【0058】
ヘッドカバー40は、ヘッド本体20に取り付けられ、ヘッド本体20上に位置する配線部30、たとえばスリット部23bから引き出されたフレキシブル基板31、配線基板32、押圧部材34等を覆うように配置されている。これにより、ヘッドカバー40は配線部30を封止することができる。ヘッドカバー40は、たとえば、樹脂または金属などで構成される。
【0059】
ヘッドカバー40は、主走査方向に長く延びる箱形状であり、副走査方向に沿って対向する2つの側面に第1開口40aおよび第2開口40bを有している。また、ヘッドカバー40は、下面に第3開口40cを有しており、上面に第4開口40dを有している。
【0060】
2つの放熱板45は、ヘッドカバー40に取り付けられる。2つの放熱板45のうち一方は、第1開口40aを塞ぐように配置され、他方は第2開口40bを塞ぐように配置される。
【0061】
放熱板45は、たとえば主走査方向に長い板状の部材であり、放熱性の高い金属または合金などで構成されている。放熱板45は、ドライバIC33に接するように設けられており、ドライバIC33で生じた熱を放熱する。
【0062】
2つの放熱板45はそれぞれ、固定部材50(図8参照)を収容する複数の貫通孔46を有している。2つの放熱板45は、固定部材50(図8参照)によってそれぞれヘッドカバー40に固定されている。放熱板45が取り付けられたヘッドカバー40は、第1開口40aおよび第2開口40bが塞がれ、第3開口40cおよび第4開口40dが開口した箱形状をなしている。
【0063】
第3開口40cは、リザーバ23と対向するように位置している。第3開口40cには、フレキシブル基板31および押圧部材34が挿通されている。
【0064】
第4開口40dは、配線基板32に設けられたコネクタ(不図示)を挿通するために設けられている。かかるコネクタと第4開口40dとの間を、樹脂などで封止すると、ヘッドカバー40の内部に液体またはゴミなどが侵入しにくくなる。
【0065】
また、ヘッドカバー40は、放熱板45とヘッド本体20との間に断熱部(不図示)を有していてもよい。ヘッドカバー40に断熱部を設けることにより、ドライバIC33で発生した熱が放熱板45を介してヘッド本体20に伝わりにくくなる。
【0066】
なお、図3は、液滴吐出ヘッド8の構成の一例を示すものであり、図3に示した部材以外の部材をさらに含んでもよい。
【0067】
<フレキシブル基板の詳細>
つづいて、第1実施形態に係るフレキシブル基板31の詳細について、図4図5を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係るフレキシブル基板31およびフレキシブル基板31周辺の構造を説明するための斜視図である。なお、図4では、配線基板32上の各種素子などの記載を省略している。
【0068】
フレキシブル基板31は、上方に進むにしたがい、徐々に二股に先細る形状を有している。言い換えれば、フレキシブル基板31は、上方に突出している2つの突出部31pを有している。フレキシブル基板31の下部31uは、ヘッド本体20(図3参照)と電気的に接続されている。
【0069】
フレキシブル基板31における突出部31pの先端部は、コネクタ挿入部31tとして配線基板32に設けられるコネクタ32aに挿入されている。コネクタ挿入部31tがコネクタ32aに挿入されることにより、フレキシブル基板31と配線基板32とを電気的に接続することができる。
【0070】
フレキシブル基板31における複数のコネクタ挿入部31tの下方には、複数のドライバIC33がそれぞれ搭載されている。フレキシブル基板31においてドライバIC33が搭載されている側とは反対側には、押圧部材34が設けられている。そして、かかる押圧部材34によってドライバIC33を放熱板45(図3参照)に向けて内側から押圧している。なお、ドライバIC33の搭載位置は、コネクタ挿入部31tの下方に限られない。
【0071】
また、フレキシブル基板31は、隣り合う2つのドライバIC33の間に貫通孔31aを有している。かかる貫通孔31aの詳細については後述する。
【0072】
図5は、第1実施形態に係るフレキシブル基板31の全体構成を説明するための図である。なお、図5では、対応するコネクタ32aの位置を一点鎖線で記載している。
【0073】
図5に示すように、フレキシブル基板31は、同じ向きに突出している複数(図5では2つ)の突出部31pを有している。かかる突出部31pは、コネクタ挿入部31tの挿入方向Tに突出している。
【0074】
そして、フレキシブル基板31は柔軟性を有し、かつ突出部31pは幅が小さくなっていることから、フレキシブル基板31は、コネクタ挿入部31tをコネクタ32aに挿入する際に挿入しやすい形状となっている。
【0075】
また、第1実施形態では、フレキシブル基板31において隣り合う2つのドライバIC33の間に、貫通孔31aが形成されている。貫通孔31aは、たとえば、隣り合う2つのドライバIC33の間を遮るように、かかるドライバIC33同士の中央に形成されている。貫通孔31aは、押圧部材34と放熱板45とを固定する固定部材50(図8)を挿通させるために設けられる。この点については後述する。
【0076】
これにより、フレキシブル基板31における一方のドライバIC33から他方のドライバIC33への熱伝達経路を延長することができる。したがって、第1実施形態によれば、隣接しているドライバIC33同士の熱干渉を小さくすることができる。
【0077】
また、第1実施形態では、貫通孔31aは、フレキシブル基板31の面内で閉じている。言い換えると、貫通孔31aの端部は、フレキシブル基板31を構成するいずれの辺にも達していない。これにより、後述する変形例のようにフレキシブル基板31がスリット31s(図10参照)を有する場合と比較して、フレキシブル基板31の歩留まりを高くすることができる。
【0078】
また、第1実施形態では、貫通孔31aは、ヘッド本体20の長手方向と直交する方向(上下方向)における幅W1が、長手方向(左右方向)における幅W2よりも大きい。これにより、長手方向と直交する方向に遊びを持たせることができることから、フレキシブル基板31が変形した場合に対応しやすい。
【0079】
なお、コネクタ挿入部31tに隣接している突出部31pの側部には、かかる突出部31pの幅方向に向けて突出している把持部31gが設けられていてもよい。図5の例では、一つの側部に2つの把持部31gが設けられている。
【0080】
第1実施形態では、把持部31gを把持しながらコネクタ挿入部31tをコネクタ32aに挿入することにより、より簡便にコネクタ挿入部31tをコネクタ32aに挿入することができる。
【0081】
<押圧部材の詳細>
つづいて、第1実施形態に係る押圧部材34の詳細について、図6を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る押圧部材34の構造を説明するための斜視図である。
【0082】
押圧部材34は、2つの側壁部34a、34bと、下面部34cと、を備える。側壁部34a、34bは、スリット31sから引き出されたフレキシブル基板31と向かい合うように設けられる。2つの側壁部34a、34bは、それぞれ貫通孔36を有する。かかる貫通孔36には、押圧部材34と放熱板45とを固定する固定部材50(図8参照)が挿通される。下面部34cは、2つの側壁部34a、34bの下端を連結する。下面部34cは、ヘッド本体20の長手方向の両端部において、貫通孔37を有する。かかる貫通孔37には、流路部材(不図示)が接続される。
【0083】
ところで、液滴吐出ヘッド8において、ヘッド本体20の長手方向の中央部は、両端部と比較すると、複数の部材を締結する部品が少ないなどの理由により外圧、内圧に対して弱い構造になっている。
【0084】
そこで、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の放熱板45と押圧部材34とは、ヘッド本体20の長手方向の中央部において固定されている。
【0085】
以下、上述した放熱板45と押圧部材34との固定箇所の詳細について、図7図9を参照しながら説明する。図7および図8は、液滴吐出ヘッド8の構成例を示す模式的な正面図である。図9は、液滴吐出ヘッド8の構成例を示す模式的な側面図である。なお、図7では、理解を容易にするために放熱板45および固定部材50の記載を省略している。また、図9は、液滴吐出ヘッド8の長手方向の中央部付近の側面を示している。
【0086】
なお、第1実施形態において、液滴吐出ヘッド8(ヘッド本体20)の長手方向の両端部とは、液滴吐出ヘッド8(ヘッド本体20)の両端から0%以上20%以下の部分であり、液滴吐出ヘッド8(ヘッド本体20)の中央部とは、液滴吐出ヘッド8(ヘッド本体20)の両端部以外の部分である。
【0087】
第1実施形態では、放熱板45と押圧部材34とは、ヘッド本体20の長手方向の中央部において固定されている。これにより、液滴吐出ヘッド8内の封止性を向上することができる。具体的には、放熱板45とヘッドカバー40とは、固定部材50によって長手方向の中央部および両端部が固定されている。これにより、ヘッドカバー40が浮くのを低減し、さらに液滴吐出ヘッド8内の封止性を向上することができる。
【0088】
固定部材50は、頭部を有している。固定部材50としては、たとえば、ねじ、ビスまたはボルトが用いられていてもよい。
【0089】
また、図9に示すように、第1実施形態では、放熱板45と押圧部材34とは、フレキシブル基板31の貫通孔31aを介して固定されている。
【0090】
これにより、放熱板45および押圧部材34とともに、フレキシブル基板31も固定することができる。
【0091】
第1実施形態では、放熱板45と押圧部材34とは、隣り合う2つのドライバIC33の間で固定部材50によって固定されている。これにより、固定部材50を介して放熱板45に放熱することができ、隣り合う2つのドライバIC33の熱干渉を低減することができる。
【0092】
第1実施形態では、放熱板45は、固定部材50の頭部を収容する複数の凹部47を有する。これにより、凹部47を有しない場合と比較して、固定部材50の突出量を小さくすることができ、液滴吐出ヘッド8を短手方向に小型化することができる。
【0093】
<第1実施形態の変形例1>
第1実施形態に係るフレキシブル基板31の変形例について、図10を参照しながら説明する。図10は、第1実施形態の変形例1に係るフレキシブル基板31の構成を示す図である。なお、以下の変形例では、第1実施形態と同一の部位には同一の記号を付することにより重複する説明を省略する。
【0094】
図10に示すように、第1実施形態の変形例1に係るフレキシブル基板31では、隣り合う2つのドライバIC33の間にスリット31sが形成されている。かかるスリット31sは、フレキシブル基板31において突出部31pが突出している辺と同じ辺(図10では上辺)から、突出部31pが突出している方向とは反対の方向(図10では下方)に延びるように形成されている。かかるスリット31sの一端は、貫通孔31aに繋がる。
【0095】
これにより、コネクタ挿入部31tをコネクタ32aに挿入する際に、突出部31pのみならずスリット31sの近傍も容易に変形することができる。したがって、第1実施形態に係るフレキシブル基板31は、コネクタ挿入部31tをコネクタ32aに挿入する際に容易に挿入しやすい形状となっている。そのため、スリット31sがない場合と比較して、フレキシブル基板31を自由に動かしやすくなり、作業性を向上させることができる。
【0096】
また、第1実施形態の変形例1では、スリット31sが、隣接している突出部31p同士の中央に形成されているとよい。もし仮に、隣接している突出部31p同士の間において、スリット31sが偏った位置に形成されている場合、スリット31sに近い突出部31pはスリット31sの近傍まで容易に変形できる一方、スリット31sから遠い突出部31pはスリット31sの近傍まで変形しにくくなってしまう。
【0097】
しかしながら、第1実施形態の変形例1では、隣接している突出部31p同士の中央にスリット31sを形成することから、両方の突出部31pをスリット31sの近傍まで均等に変形させることができる。したがって、第1実施形態の変形例1によれば、各コネクタ挿入部31tを均等に挿入しやすくすることができる。
【0098】
<第1実施形態の変形例2>
つづいて、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の変形例について、図11図12を参照しながら説明する。図11および図12は、第1実施形態の変形例2に係る液滴吐出ヘッド8の構成例を示す模式的な正面図である。なお、図11では、理解を容易にするために放熱板45および固定部材50の記載を省略している。
【0099】
放熱板45と押圧部材34とは、長手方向の中央部における複数箇所で固定されていてもよい。たとえば、図11および図12に示すように、フレキシブル基板31は、ドライバIC33を3つ有していてもよい。3つのドライバIC33のうち1つは、ヘッド本体20の長手方向の中央に位置する。このような場合、押圧部材34は、長手方向の中央部において2つの貫通孔36を有していてもよい。
【0100】
2つの貫通孔36は、ヘッド本体20の短手方向からフレキシブル基板31を見た側面視(図11)において、ヘッド本体20の長手方向の中央に位置するドライバIC33を挟む位置に設けられる。言い換えれば、各貫通孔36は、隣り合う2つのドライバIC33の間に位置する。
【0101】
放熱板45は、長手方向の中央部に2つの貫通孔46を2つ有する。固定部材50は、貫通孔31aを介して、押圧部材34と放熱板45とを固定する。このように、放熱板45と押圧部材34とは、長手方向の中央部における複数箇所で固定されてもよい。これにより、液滴吐出ヘッド8の封止性をさらに向上することができる。
【0102】
なお、図11の例に限らず、たとえばフレキシブル基板31の上に2つのドライバIC33が搭載されている場合であっても、上述した変形例2を適用してもよい。ドライバIC33が2つ搭載されている場合は、隣り合う2つのドライバIC33の間に複数の貫通孔31aを設けることで、かかる貫通孔31aを介して押圧部材34と放熱板45とを固定することができる。また、図11の例に限らず、ドライバIC33が4つ以上である場合であっても、上述した変形例2を適用してもよい。
【0103】
(第2実施形態)
つづいて、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aについて、図13図16を参照しながら説明する。図13は、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aの概略構成を示す分解斜視図である。図14は、第2実施形態に係る配線基板32、第1支持部材61および第2支持部材62の構成を示す模式斜視図である。図15は、第2実施形態に係る押圧部材63の構成を示す模式斜視図である。図16は、図13のXV-XV線に沿った断面図である。言い換えると、図16は、ヘッド本体20の長手方向の一端部の断面図である。なお、理解を容易にするために、図13では、支持部材60の記載を省略している。また、以下の第2実施形態では、第1実施形態と同一の部位には同一の記号を付することにより重複する説明を省略する。
【0104】
図13に示す液滴吐出ヘッド8は、主として、ヘッド本体20および配線部30の構成等が、図3に示す第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8とは相違する。
【0105】
第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aは、図3に示す第1実施形態形態に係る液滴吐出ヘッド8と同様に、ヘッド本体20aと、配線部30aと、ヘッドカバー40と、2つの放熱板45とを備えている。
【0106】
ヘッド本体20aは、流路部材21と、圧電アクチュエータ基板(不図示)と、分岐流路部材51と、リザーバ52とを有している。
【0107】
接続流路部材である分岐流路部材51は、流路部材21上に位置している。分岐流路部材51は、流路部材21の流路に繋がる接続流路である分岐流路(不図示)を内部に有する。分岐流路部材51は、たとえばステンレス鋼等の高剛性材料を用いて構成されている。
【0108】
なお、分岐流路部材51は、主走査方向(Y軸方向)へ長く延びる箱形状を有し、上面が開口する部材であってもよい。分岐流路部材51が箱形状であることにより、分岐流路部材51が平板形状である場合と比較して、分岐流路部材51の剛性を高めることができる。それにより、分岐流路部材51に接合された流路部材21のノズル面のたわみ量を小さくすることができる。
【0109】
リザーバ52は、分岐流路部材51上に位置している。リザーバ52には、主走査方向(Y軸方向)における両端部に開口52aが設けられている。リザーバ52は、内部に流路を有しており、外部から開口52aを介して液体が供給される。リザーバ52は、分岐流路部材51に液体を供給する。また、リザーバ52は、分岐流路部材51に供給される液体を貯留する。
【0110】
配線部30aは、フレキシブル基板31と、配線基板32と、複数の支持部材60と、複数のドライバIC33と、押圧部材63と、弾性部材35(図9参照)とを有している。
【0111】
図14に示すように、複数の支持部材60は、配線基板32を支持する。具体的には、複数の支持部材60は、第1支持部材61と、第2支持部材62とを含む。
【0112】
第1支持部材61は、ヘッド本体20aの長手方向における配線基板32の一端部に位置する。具体的には、第1支持部材61は、基部61bと、基部61bの長手方向一端から垂直に延びる支持部61aと、基部61bの長手方向他端から垂直に延びる固定部61cとを有する。配線基板32は、底面が基部61bの上に位置し、一方の主面が支持部61aに接するように位置する。
【0113】
支持部61aには、貫通孔61dが形成される。配線基板32は、貫通孔61dと対応する位置に両主面を貫通する貫通孔32bを備える。かかる貫通孔61dおよび貫通孔32bにボルトやビス等の固定部材(不図示)が挿通され、螺合されることによって、配線基板32と第1支持部材61とは固定される。基部61bには、貫通孔61eが形成される。固定部61cの詳細については後述する。
【0114】
第2支持部材62は、ヘッド本体20aの長手方向における配線基板32の他端部に位置する。具体的には、第2支持部材62は、基部62bと、基部62bの長手方向一端から垂直に延びる支持部62aと、基部62bの長手方向他端から垂直に延びる固定部62cとを有する。配線基板32は、底面が基部62bの上に位置し、一方の主面が支持部62aに接するように位置する。
【0115】
支持部62aには、貫通孔62dが形成される。配線基板32は、貫通孔61dと対応する位置に両主面を貫通する貫通孔32bを備える。かかる貫通孔61dおよび貫通孔32bにボルトやビス等の固定部材(不図示)が挿通され、螺合されることによって、配線基板32と第2支持部材62とは固定される。基部62bには、貫通孔62eが形成される。固定部62cの詳細については後述する。
【0116】
図15に示すように、押圧部材63は、2つの側壁部63a、63bと、底部63cと、2つの固定部63dを備える。
【0117】
2つの側壁部63a、63bは、長手方向中央部に貫通孔64を有する。貫通孔64には、押圧部材63と放熱板45とを固定する固定部材50(図8参照)が挿通される。
【0118】
底部63cは、2つの側壁部63a、63bの下端を連結する。底部63cは、ヘッド本体20の長手方向の両端部に複数の貫通孔65を有する。リザーバ52には、貫通孔65と対応する位置に貫通孔(不図示)が位置する。分岐流路部材51には、貫通孔65と対応する位置にネジ穴(不図示)が位置する。押圧部材63の底部63cの貫通孔65、リザーバ52の貫通孔には、ボルトまたはビス等の固定部材(不図示)が挿通される。不図示の固定部材は、分岐流路部材51のネジ穴と螺合される。これにより、押圧部材63は、リザーバ52を介して高剛性材料である分岐流路部材51に固定される。
【0119】
また、底部63cは、第1支持部材61の基部61bにおける貫通孔61e(図14参照)に対応する位置に貫通孔66aが形成される。貫通孔66aおよび貫通孔61eには、ボルトまたはビス等の固定部材(不図示)が挿通される。不図示の固定部材は、たとえば貫通孔61eに形成されたネジ溝に螺合する。これにより、第1支持部材61は、押圧部材63に固定される。同様に、底部63cは、第2支持部材62の基部62bにおける貫通孔62eに対応する位置に貫通孔66bが形成される。貫通孔66bおよび貫通孔62eには、ボルトまたはビス等の固定部材(不図示)が挿通される。不図示の固定部材は、たとえば貫通孔62eに形成されたネジ溝に螺合する。これにより、第2支持部材62は、押圧部材63に固定される。このように、第1支持部材61は、押圧部材63に固定されることにより、押圧部材63およびリザーバ52を介して高剛性材料からなる分岐流路部材51に固定される。
【0120】
2つの固定部63dは、2つの側壁部63a、63bのうち一方(ここでは、側壁部63b)の両端部に設けられる。言い換えると、2つの固定部63dは、ヘッド本体20の長手方向における押圧部材63の両端部に設けられる。固定部63dの詳細については後述する。
【0121】
上述したように、第2実施形態に係る押圧部材63および複数の支持部材60は、高剛性材料からなる分岐流路部材51に固定される。そして、第2実施形態に係る放熱板45は、ヘッド本体20の長手方向の両端部において、これら押圧部材63および複数の支持部材60に固定される。かかる構成を有する液滴吐出ヘッド8aは、放熱板45に外力が加わった場合であってもヘッドカバー40が倒れにくい。
【0122】
以下、ヘッドカバー40と押圧部材63および複数の支持部材60との固定箇所の詳細について図16を参照しながら説明する。なお、図16は、液滴吐出ヘッド8aの長手方向の一端部の固定箇所の構成を示し、他端部の固定箇所の構成は省略するが、他端部の固定箇所についても一端部の固定箇所と同様の構成である。
【0123】
まず、液滴吐出ヘッド8aの幅方向における一端側、具体的にはX軸負方向側の固定箇所について説明する。押圧部材63の固定部63dには、貫通孔63eが形成される。ヘッドカバー40は、貫通孔63eと対応する位置に貫通孔41が位置する。2つの放熱板45のうち一方は、貫通孔63eと対応する位置に貫通孔46が位置する。かかる貫通孔63e、貫通孔41、貫通孔46に固定部材80が挿通され、螺合されることにより、押圧部材63、ヘッドカバー40および放熱板45はヘッド本体20の長手方向の一端部において固定される。
【0124】
次に、液滴吐出ヘッド8aの幅方向における他端側、具体的にはX軸正方向側の固定箇所について説明する。第1支持部材61の固定部61cには、貫通孔61fが形成される。ヘッドカバー40は、貫通孔61fと対応する位置に貫通孔41が位置する。2つの放熱板45のうち他方は、貫通孔61fと対応する位置に貫通孔46が位置する。かかる貫通孔61f、貫通孔41、貫通孔46に固定部材80が挿通され、螺合されることにより、第1支持部材61、ヘッドカバー40および放熱板45はヘッド本体20の長手方向の一端部において固定される。
【0125】
同様に、ヘッド本体20の長手方向の他端部においても、押圧部材63または第2支持部材62と、ヘッドカバー40と、放熱板45とが固定部材によって固定される。このように、第2実施形態に係る放熱板45およびヘッドカバー40は、ヘッド本体20の長手方向の両端部において、分岐流路部材51と直接的または間接的に固定された部材(ここでは、押圧部材63、第1支持部材61および第2支持部材62)に固定される。これにより、液滴吐出ヘッド8aに外力が加わった場合であってもヘッドカバー40を倒れにくくすることができる。仮にヘッドカバー40が倒れてしまうと、ヘッドカバー40とリザーバ52との間の樹脂封止が剥がれるおそれがある。これに対し、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8逅によれば、ヘッドカバー40が倒れにくいため封止が破られにくい。
【0126】
第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aは、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8と同様に、放熱板45と押圧部材63とは、ヘッド本体20の長手方向の中央部において固定されていてもよい。これにより、液滴吐出ヘッド8a内の封止性を向上することができる。
【0127】
第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aは、放熱板45とヘッド本体20とを接合する2つの板部材70をさらに有していてもよい。
【0128】
板部材70は、樹脂製であり、放熱板45とヘッド本体20とを接合する。板部材70は、主走査方向(Y軸方向)へ長く延びる部材である。板部材70の長手方向における幅は、放熱板45の長手方向における幅と同程度である。板部材70の熱伝導率は、放熱板45の熱伝導率よりも低くてもよい。板部材70を設けることにより、ドライバIC33で発生した熱が放熱板45を介してヘッド本体20に伝わりにくくなる。
【0129】
板部材70と、放熱板45およびヘッド本体20とは、両面テープまたは接着剤などによって接着されていてもよい。
【0130】
上述したように、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aは、分岐流路部材51と直接的または間接的に固定された部材と放熱板45とヘッド本体20の長手方向の両端部で固定される。これにより、液滴吐出ヘッド8aの剛性を高めることができる。
【0131】
なお、ここでは、放熱板45とヘッド本体20の長手方向の両端部で固定される部材が押圧部材63および支持部材60である例について説明したが、かかる部材は少なくとも分岐流路部材51と直接的または間接的に固定された部材であればよく、必ずしも押圧部材63および支持部材60である必要はない。たとえば、放熱板45とヘッド本体20の長手方向の両端部で固定される部材は、押圧部材63のみであってもよい。この場合、押圧部材63の2つの側壁部63a、63b(図15参照)の両方に固定部63dが設けられていてもよい。また、放熱板45とヘッド本体20の長手方向の両端部で固定される部材は、支持部材60のみであってもよいし、別の部材であってもよい。
【0132】
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aの変形例について、図17を参照しながら説明する。図17は、第2実施形態の変形例に係る液滴吐出ヘッド8aの一端部の構成を示す模式断面図である。なお、以下の変形例では、第2実施形態と同一の部位には同一の記号を付することにより重複する説明を省略する。
【0133】
放熱板45を押圧部材63に固定するための固定部材と、放熱板45を支持部材60に固定するための固定部材とは、同一の部材に締結されていてもよい。
【0134】
具体的には、図17に示すように、第1支持部材61は、内周面にネジ溝が形成された筒状部67を有していてもよい。筒状部67は、たとえば円筒状である。たとえば、筒状部67は、第1支持部材61の支持部61aに設けられた切り欠き61gに挿通されてもよい。また、筒状部67は、第1支持部材61と一体的に形成されてもよい。2つの放熱板45のうち一方の貫通孔46と、ヘッドカバー40の貫通孔41と、押圧部材63の固定部63dの貫通孔63eとには、第1雄ねじ90が挿通される。第1雄ねじ90は、筒状部67に螺合される。これにより、2つの放熱板45のうち一方、ヘッドカバー40および押圧部材63は、ヘッド本体20の長手方向の一端部において固定される。
【0135】
同様に、2つの放熱板45のうち他方の貫通孔46と、ヘッドカバー40の貫通孔41と、第1支持部材61の固定部61cの貫通孔61eとには、第2雄ねじ91が挿通される。第2雄ねじ91は、筒状部67に螺合される、これにより、2つの放熱板45のうち他方、ヘッドカバー40および第1支持部材61はヘッド本体20の長手方向の一端部において固定される。
【0136】
ヘッド本体20の長手方向の他端部においても、同様に、第2支持部材62が内周面にネジ溝が形成された筒状部(不図示)を有し、2つの放熱板45のうち一方および押圧部材63を固定する第1雄ねじ(不図示)と、2つの放熱板45のうち他方および第2支持部材62を固定する第2雄ねじ(不図示)とが同一の筒状部に締結されてもよい。
【0137】
このように、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8aは、第1雄ねじ90と第2雄ねじ91とが同一の筒状部67に締結されることで、液滴吐出ヘッド8aの剛性をさらに高めることができる。
【0138】
一実施形態において、(1)液滴吐出ヘッド(一例として、液滴吐出ヘッド8)は、ヘッド本体(一例として、ヘッド本体20)と、ドライバIC(一例として、ドライバIC33)と、フレキシブル基板(一例として、フレキシブル基板31)と、放熱板(一例として、放熱板45)と、押圧部材(一例として、押圧部材34)とを有する。ヘッド本体は、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する。ドライバICは、ヘッド本体の駆動を制御する。フレキシブル基板は、ドライバICが搭載されており、ヘッド本体に電気的に接続されている。放熱板は、ドライバICで生じた熱を放熱する。押圧部材は、ドライバICを放熱板に押圧する。放熱板と押圧部材とは、ヘッド本体の長手方向の中央部において固定されている。
【0139】
(2)上記(1)に記載の液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体に取り付けられるヘッドカバー(一例として、ヘッドカバー40)をさらに有し、放熱板とヘッドカバーとは、長手方向の両端部において固定されていてもよい。
【0140】
(3)上記(1)または(2)に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、フレキシブル基板は、ドライバICを複数搭載しており、放熱板と押圧部材とは、隣り合う2つのドライバICの間で固定されていてもよい。
【0141】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、フレキシブル基板は、貫通孔(一例として、貫通孔31a)を有しており、放熱板と押圧部材とは、貫通孔を介して固定されていてもよい。
【0142】
(5)上記(4)に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、フレキシブル基板は、一端が貫通孔に繋がるスリット(一例として、スリット31s)を有してもよい。
【0143】
(6)上記(4)に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、貫通孔は、フレキシブル基板の面内で閉じていてもよい。
【0144】
(7)上記(4)~(6)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、貫通孔は、長手方向と直交する方向における幅が長手方向における幅よりも大きくてもよい。
【0145】
(8)上記(4)~(7)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、フレキシブル基板は、ドライバICを複数搭載しており、貫通孔は、隣り合うドライバICの間に設けられていてもよい。
【0146】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体に取り付けられるヘッドカバーをさらに有し、放熱板とヘッドカバーとは、頭部を有する固定部材(一例として、固定部材50)によって固定されており、放熱板は、頭部を収容する凹部(一例として、凹部47)を有してもよい。
【0147】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、放熱板と押圧部材とは、頭部を有する固定部材によって固定されており、放熱板は、頭部を収容する凹部を有してもよい。
【0148】
(11)上記(1)~(10)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、ヘッド本体は、複数の吐出孔を有する流路部材と、流路部材の上に位置し、流路部材に繋がる分岐流路を有する分岐流路部材(一例として、分岐流路部材51)とを有し、分岐流路部材に直接的または間接的に固定された固定部(一例として、固定部61c、62c、63d)を有し、放熱板と固定部とは、ヘッド本体の長手方向の両端部において固定されてもよい。
【0149】
(12)上記(11)に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、固定部は、ヘッド本体の長手方向における押圧部材の両端部に設けられてもよい。
【0150】
(13)上記(11)に記載の液滴吐出ヘッドは、フレキシブル基板と電気的に接続される配線基板(一例として、配線基板32)と、配線基板を支持する複数の支持部材(一例として、支持部材60)とを有し、複数の支持部材は、ヘッド本体の長手方向における配線基板の一端部を支持する第1支持部材(一例として、第1支持部材61)と、ヘッド本体の長手方向における配線基板の他端部を支持する第2支持部材(一例として、第2支持部材62)とを含み、固定部は、第1支持部材および第2支持部材に設けられてもよい。
【0151】
(14)上記(13)に記載の液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体の幅方向の両端部に位置する2つの放熱板と、2つの放熱板のうち一方に挿通される少なくとも2つの第1雄ネジ(一例として、第1雄ねじ90)と、2つの放熱板のうち他方に挿通される少なくとも2つの第2雄ネジ(一例として、第2雄ねじ91)とを有し、第1支持部材および第2支持部材は、ヘッド本体の幅方向における両端が開放され内周面にネジ溝が形成された筒状部(一例として、筒状部67)を有し、第1雄ネジと第2雄ネジとが、同一の筒状部に締結されてもよい。
【0152】
(15)上記(11)~(14)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドは、放熱板とヘッド本体とを接合する樹脂製の板部材(一例として、板部材70)をさらに有してもよい。
【0153】
(16)液滴吐出ヘッドは、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する流路部材と、流路部材の上に位置し、流路部材に繋がる分岐流路を有する分岐流路部材とを有するヘッド本体と、ヘッド本体の駆動を制御するドライバICと、ドライバICが搭載されており、ヘッド本体に電気的に接続されているフレキシブル基板と、ドライバICで生じた熱を放熱する放熱板と、分岐流路部材に直接的または間接的に固定された固定部とを有し、放熱板と固定部とは、ヘッド本体の長手方向の両端部において固定されていてもよい。
【0154】
(17)上記(16)に記載の液滴吐出ヘッドは、ドライバICを放熱板に押圧する押圧部材を有し、固定部は、ヘッド本体の長手方向における押圧部材の両端部に設けられてもよい。
【0155】
(18)上記(16)に記載の液滴吐出ヘッドは、フレキシブル基板と電気的に接続される配線基板と、配線基板を支持する複数の支持部材とを有し、複数の支持部材は、ヘッド本体の長手方向における配線基板の一端部を支持する第1支持部材と、ヘッド本体の長手方向における配線基板の他端部を支持する第2支持部材とを含み、固定部は、第1支持部材および第2支持部材に設けられてもよい。
【0156】
(19)上記(18)に記載の液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体の幅方向の両端部に位置する2つの放熱板と、2つの放熱板のうち一方に挿通される少なくとも2つの第1雄ネジと、2つの放熱板のうち他方に挿通される少なくとも2つの第2雄ネジとを有し、第1支持部材および第2支持部材は、ヘッド本体の幅方向における両端が開放され内周面にネジ溝が形成された筒状部を有し、第1雄ネジと第2雄ネジとが、同一の筒状部に締結されてもよい。
【0157】
(20)上記(16)~(19)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドは、放熱板とヘッド本体とを接合する樹脂製の板部材をさらに有してもよい。
【0158】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 プリンタ
2 給紙ローラ
3 ガイドローラ
4 塗布機
5 ヘッドケース
6 搬送ローラ
7 フレーム
8 液滴吐出ヘッド
14 制御部
20 ヘッド本体
21 流路部材
30 配線部
31 フレキシブル基板
31a 貫通孔
32 配線基板
32a コネクタ
33 ドライバIC
34 押圧部材
40 ヘッドカバー
45 放熱板
46 貫通孔
47 凹部
50 固定部材
【要約】
本開示による液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体と、ドライバICと、フレキシブル基板と、放熱板と、押圧部材とを有する。ヘッド本体は、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する。ドライバICは、ヘッド本体の駆動を制御する。フレキシブル基板は、ドライバICが搭載されており、ヘッド本体に電気的に接続されている。放熱板は、ドライバICで生じた熱を放熱する。押圧部材は、ドライバICを放熱板に押圧する。放熱板と押圧部材とは、ヘッド本体の長手方向の中央部において固定されている。
図1
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