(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/04 20120101AFI20241015BHJP
G06Q 40/12 20230101ALI20241015BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2024134819
(22)【出願日】2024-08-13
【審査請求日】2024-08-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-57546(JP,A)
【文献】特許第7201279(JP,B1)
【文献】特許第7233794(JP,B1)
【文献】特許第7466743(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、取引データを授受するためのネットワークであるインボイスネットワークにおいて前記登録カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を記憶する記憶部と、
決済に使用されたクレジットカードのカード番号である決済カード番号を少なくとも含み、クレジットカードによる決済が行われたことを示す決済データを、当該クレジットカードの決済が行われた加盟店において利用される端末から取得する取得部と、
前記利用者情報において前記決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定する特定部と、
前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して、前記決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信する送信部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記利用者情報においては、登録カード番号ごとに前記インボイスネットワークと異なる決済データの送信手段における、前記登録カード番号が示す利用者の宛先がさらに関連付けられており、
前記送信部は、前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定されない場合、前記決済カード番号に前記利用者情報において対応する宛先に、前記証憑データを前記送信手段により送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記証憑データが前記インボイスネットワークにおいて送信可能か否かを判定する判定部をさらに有し、
前記利用者情報においては、登録カード番号ごとに前記インボイスネットワークと異なる証憑データの送信手段における、前記登録カード番号が示す利用者の宛先がさらに関連付けられており、
前記送信部は、前記証憑データが前記インボイスネットワークにおいて送信可能でないと前記判定部が判定する場合、前記決済カード番号に対応する宛先に、前記証憑データを前記送信手段により送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記利用者情報においては、登録カード番号ごとにクレジットカードの利用を受付ける加盟店を識別するための識別情報である登録加盟店識別情報がさらに関連付けられており、
前記決済データは、クレジットカードの決済が行われた加盟店を識別するための識別情報である決済加盟店識別情報をさらに含み、
前記特定部は、前記決済カード番号及び決済加盟店識別情報に前記利用者情報において対応する利用者識別情報を特定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、クレジットカードによる決済が行われた際にクレジットカードのユーザが選択した証憑データの送信方法を、前記決済データと関連付けて取得し、
前記送信部は、
(1)取得された前記決済データに関連付けられた送信方法が前記インボイスネットワークで送信することを示す場合であって、かつ、
(2)前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、
特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して前記証憑データを送信する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
決済に使用されたクレジットカードのカード番号である決済カード番号を少なくとも含み、前記クレジットカードによる決済が行われたことを示す決済データを、決済が行われた加盟店において利用される端末から取得するステップと、
記憶部が記憶する、クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、取引データを授受するためのネットワークであるインボイスネットワークにおいて前記決済カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を参照し、前記利用者情報において前記決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定するステップと、
前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して前記決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
決済に使用されたクレジットカードのカード番号である決済カード番号を少なくとも含み、前記クレジットカードによる決済が行われたことを示す決済データを、決済が行われた加盟店において利用される端末から取得するステップと、
記憶部が記憶する、クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、取引データを授受するためのネットワークであるインボイスネットワークにおいて前記決済カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を参照し、前記利用者情報において前記決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定するステップと、
前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して前記決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードが利用された場合にメールにより利用者に利用情報を通知するシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
授受する証憑を標準化し電子的に授受することが行われているが、このようなサービスを利用するユーザにおいてクレジットカードを利用した場合における証憑を特許文献1に記載の技術のようにメールで受信すると、メールで取得した証憑を処理する際にデータの変換の必要が生じ、標準化された形式で証憑を取得する場合と比較して手間がかるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、クレジットカードが利用された場合の証憑データを他の証憑データと同様に処理できるできるようにし、その結果、証憑データを受領した後の処理を簡素化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、取引データを授受するためのネットワークであるインボイスネットワークにおいて前記登録カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を記憶する記憶部と、決済に使用されたクレジットカードのカード番号である決済カード番号を少なくとも含み、クレジットカードによる決済が行われたことを示す決済データを、当該クレジットカードの決済が行われた加盟店において利用される端末から取得する取得部と、前記利用者情報において前記決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定する特定部と、前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して、前記決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信する送信部と、を有する。
【0007】
前記利用者情報においては、登録カード番号ごとに前記インボイスネットワークと異なる決済データの送信手段における、前記登録カード番号が示す利用者の宛先がさらに関連付けられており、前記送信部は、前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定されない場合、前記決済カード番号に前記利用者情報において対応する宛先に、前記証憑データを前記送信手段により送信してもよい。
【0008】
前記証憑データが前記インボイスネットワークにおいて送信可能か否かを判定する判定部をさらに有し、前記利用者情報においては、登録カード番号ごとに前記インボイスネットワークと異なる証憑データの送信手段における、前記登録カード番号が示す利用者の宛先がさらに関連付けられており、前記送信部は、前記証憑データが前記インボイスネットワークにおいて送信可能でないと前記判定部が判定する場合、前記決済カード番号に対応する宛先に、前記証憑データを前記送信手段により送信してもよい。
【0009】
前記利用者情報においては、登録カード番号ごとにクレジットカードの利用を受付ける加盟店を識別するための識別情報である登録加盟店識別情報がさらに関連付けられており、前記決済データは、クレジットカードの決済が行われた加盟店を識別するための識別情報である決済加盟店識別情報をさらに含み、前記特定部は、前記決済カード番号及び決済加盟店識別情報に前記利用者情報において対応する利用者識別情報を特定してもよい。
【0010】
前記取得部は、クレジットカードによる決済が行われた際にクレジットカードのユーザが選択した証憑データの送信方法を、前記決済データと関連付けて取得し、前記送信部は、(1)取得された前記決済データに関連付けられた送信方法が前記インボイスネットワークで送信することを示す場合であって、かつ、(2)前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して前記証憑データを送信してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、決済に使用されたクレジットカードのカード番号である決済カード番号を少なくとも含み、前記クレジットカードによる決済が行われたことを示す決済データを、決済が行われた加盟店において利用される端末から取得するステップと、記憶部が記憶する、クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、取引データを授受するためのネットワークであるインボイスネットワークにおいて前記決済カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を参照し、前記利用者情報において前記決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定するステップと、前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して前記決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信するステップと、を有する。
【0012】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、決済に使用されたクレジットカードのカード番号である決済カード番号を少なくとも含み、前記クレジットカードによる決済が行われたことを示す決済データを、決済が行われた加盟店において利用される端末から取得するステップと、記憶部が記憶する、クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、取引データを授受するためのネットワークであるインボイスネットワークにおいて前記決済カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を参照し、前記利用者情報において前記決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定するステップと、前記決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する前記利用者に、前記インボイスネットワークを介して前記決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クレジットカードが利用された場合の証憑データを他の証憑データと同様に簡易に処理できるようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部12が記憶する利用者情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】記憶部12が記憶する利用者情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[情報処理システムSの概要]
図1は、実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、クレジットカードによる決済を行い、取引が行われた事実を示す証憑データを会計処理が行われるコンピュータに通知するためのシステムである。クレジットカードは、企業等の組織の経費になる商品を購入するために使用することが認められたクレジットカードであり、例えば、法人用のクレジットカードである。
【0016】
情報処理システムSは、情報処理装置1、店舗端末2及び会計処理装置3を有する。情報処理装置1及び会計処理装置3は、インボイスネットワークNを介して通信可能に接続されている。インボイスネットワークNは、取引データを授受するためのネットワークである。インボイスネットワークNは、例えばPeppol(Pan European Public Procurement Online)である。
【0017】
情報処理装置1は、決済を処理し、取引が行われた実績を示す証憑データを、決済を行った会計処理装置3に通知するための装置である。情報処理装置1が会計処理装置3の機能を含んでいてもよい。
【0018】
店舗端末2は、店舗において利用される端末であり、決済を受け付ける端末である。店舗端末2は、例えばPOS(Point Of Sale)レジである。店舗端末2は、店舗においてユーザUが提示したクレジットカードを読み取り、決済の内容を示す決済データを情報処理装置1に送信する。
【0019】
会計処理装置3は、ユーザUが所属する組織の会計を管理する装置である。会計処理装置3は、インボイスネットワークNを介して取引に関連する書類を取得し、取得した書類に関する会計処理をし、取引書類を発行する。会計処理装置3には、会計処理装置3が会計を管理する組織について発行された利用者IDが付与されている。利用者IDは、インボイスネットワークNにおける利用者(例えばユーザUが所属する組織)を識別するためのIDである。利用者IDは、一例として、Peppol IDである。
【0020】
ユーザUは、利用者IDと関連付けられたクレジットカードを、所属する組織から貸与されている。ユーザUは、貸与されたクレジットカードを使用して業務において必要な物品を購入する。
【0021】
情報処理システムSにおける処理について説明する。ユーザUは購入しようとする商品を店員に提示し、店員は商品に付されたバーコードをバーコードリーダーで読み取る等してユーザが購入する商品に関する情報(例えば、商品名、商品コード、数量等)及び商品の代金に関する情報を店舗端末に入力する。ユーザUは店舗においてクレジットカードを提示する(
図1における(1))。クレジットカードの提示を受け付けた店舗においては、店舗端末2により提示されたクレジットカードを読み取る。
【0022】
店舗端末2は、決済データを情報処理装置1に送信する(
図1における(2))。決済データは、クレジットカードによる決済が行われたことを示す情報である。決済データは、決済カード番号を少なくとも含む。決済カード番号は、決済に使用されたクレジットカードを識別するための番号である。
【0023】
情報処理装置1は、決済データに基き、クレジットカードが有効かどうか判定し、決済データに含まれる決済カード番号に対応する利用者ID(Identification)(「利用者識別情報」とも言う)が記憶部に存在するかどうかを判定し、存在する場合はその利用者IDを特定する(
図1における(3))。利用者IDは決済カード番号ごとに発行されてもよいし、組織ごとに発行されていてもよい。
【0024】
情報処理装置1は、特定した利用者IDを宛先として、インボイスネットワークNを介して会計処理装置3に証憑データを送信する(
図1における(4))。証憑データは、決済データが示す取引が行われたことを示す情報である。証憑データは、決済が行われた日時、決済が行われた店舗、クレジットカード番号、決済金額を含む。より具体的には、情報処理装置1は、インボイスネットワークNにおいて特定された利用者IDに対応する中継装置(不図示)に証憑データを送信する。中継装置は、インボイスネットワークNにおいて証憑データの送信を中継するための装置である。
【0025】
なお、上記の説明においては、情報処理装置1が会計処理装置3に証憑データを送信する例を説明したがこれに限られない。一例として、情報処理装置1は、ユーザUが使用する情報端末に証憑データを送信してもよい。
【0026】
情報処理システムSがこのように構成されることで、インボイスネットワークNを介して会計処理装置3に証憑データを到達させることが可能となり、コンピュータに処理可能な形式の証憑データを会計処理装置3に到達させることができる。
【0027】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、特定部132、送信部133及び判定部134を有する。
【0028】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0029】
記憶部12は、クレジットカードを識別するためのカード番号である登録カード番号と、インボイスネットワークNにおいて登録カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための情報である利用者IDと、を関連付けた利用者情報を記憶する。
図3は、記憶部12が記憶する利用者情報のデータ構造の一例を示す図である。利用者情報においては、「登録カード番号」、「利用者ID」、「メールアドレス」及び「送付先住所」が関連付けられている。「利用者ID」は、クレジットカードを利用する組織に付与された利用者IDを示す。利用者情報においては、さらに証憑データの発行元(クレジットカード会社)の利用者IDが関連付けられていてもよい。
【0030】
「メールアドレス」は、「登録カード番号」に対応する組織の経理担当者に証憑データをメールで送信するためのアドレスであり、会計処理装置3にメールで証憑データを送信するためのアドレスである。「送付先住所」は、経理担当者に取引内容を示す通知を郵送するための住所である。なお、「利用者ID」に値がない場合は、登録カード番号に対応する利用者IDが登録されていないため、インボイスネットワークNを介して決済データを送信できないことを示す。
【0031】
利用者情報においては、登録カード番号ごとにインボイスネットワークNと異なる証憑データの送信手段における、登録カード番号が示す利用者の宛先がさらに関連付けられている。すなわち、利用者情報においては、インボイスネットワークNと異なる送信手段の宛先として、「メールアドレス」及び「送付先住所」が関連付けられている。また、利用者情報においては、証憑データが示す取引内容を示す通知をFAXで送信するためのFAX番号が関連付けられていてもよい。
【0032】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、特定部132、送信部133及び判定部134として機能する。
【0033】
取得部131は、決済データを、クレジットカードの決済が行われた加盟店において利用される端末から取得する。取得部131は、店舗端末2から決済データを取得する。
【0034】
特定部132は、利用者情報において決済カード番号に対応する利用者IDを特定する。特定部132は、記憶部12が記憶する利用者情報を参照し、決済データに含まれる決済カード番号に対応する利用者IDを特定する。
【0035】
送信部133は、決済データをインボイスネットワークNにおいて送信可能なデータ形式に変換し、証憑データを生成する。送信部133は、決済カード番号に対応する利用者IDが特定された場合、特定された利用者IDに対応する利用者に、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信する。具体的には、送信部133は、インボイスネットワークNにおける利用者IDを管理する装置に、特定部132が特定した利用者IDに対応する中継装置のアドレスを問い合わせ、送信先の中継装置を特定する。送信部133は、特定した中継装置に証憑データを送信する。
【0036】
情報処理装置1がこのように構成されることで、クレジットカードが利用された場合の証憑データを他の証憑データと同様に簡易に処理できるようにすることができる。
【0037】
ところで、決済データに含まれるクレジットカード番号に対応する利用者が、インボイスネットワークNを介して証憑データを取得できない利用者であることを利用者情報が示している場合、別の手段で利用者に証憑データを送信するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0038】
送信部133は、決済データに含まれる決済カード番号に対応する利用者IDが特定されない場合、当該決済カード番号に利用者情報において対応する宛先であって、インボイスネットワークNと異なる送信手段における宛先に、証憑データを送信する。一例として、特定部132は、決済データに含まれる決済カード番号に利用者情報において対応する利用者IDの値がない場合、別の送信手段における宛先を特定する。
【0039】
特定部132は、利用者情報において決済データに含まれる決済カード番号に対応するメールアドレスが登録されている場合、決済データに含まれる決済カード番号に利用者情報において対応するメールアドレスを宛先として特定する。そして、送信部133は、特定したメールアドレスを宛先として、証憑データを送信する。なお、利用者ID及びメールアドレスのいずれも登録されていない場合は、送信部133は、利用者情報において決済カード番号に対応する住所に証憑データが示す取引内容の通知を郵送するための処理をする。
【0040】
情報処理装置1がこのように構成されることで、インボイスネットワークNを利用できない場合においても証憑データをユーザUが所属する組織に到達させることができ、例えば経理担当者が証憑データを確認して処理できるようにすることができる。
【0041】
ところで、例えばインボイスネットワークNの規格に合わない証憑データがインボイスネットワークNに送信されると不測の不具合が生じる場合がある。そこで、証憑データがインボイスネットワークNにおいて送信されることに適さない場合には、インボイスネットワークNとは異なる手段により送信されるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0042】
判定部134は、証憑データがインボイスネットワークNにおいて送信可能か否かを判定する。一例として、判定部134は、証憑データがインボイスネットワークNにおいて送信する情報として取り決められた基準に合致するか否かを判定する。一例として、判定部134は、証憑データが発行された日付が証憑データに含まれていない場合、又は証憑データにおいて消費税の税率を示す情報が含まれていない場合に、証憑データをインボイスネットワークNにおいて送信できないと判定する。
【0043】
証憑データの送信元の利用者の利用者IDが特定できない場合、判定部134は証憑データをインボイスネットワークNにおいて送信できないことを判定してもよい。特定部132は、決済カード番号に基づいて利用者情報を参照し、証憑データの発行元の利用者IDを特定する。判定部134は、特定部132が発行元の利用者IDを特定できない場合に証憑データをインボイスネットワークNにおいて送信できないと判定する。
【0044】
送信部133は、証憑データがインボイスネットワークNにおいて送信可能でないと判定部134が判定する場合、決済カード番号に利用者情報において対応するインボイスネットワークNとは異なる送信手段における宛先に、証憑データを送信する。送信部133は、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信できないと判定部134が判定する場合、利用者情報において決済カード番号に対応するメールアドレスを宛先としてメールにより証憑データを送信してもよいし、決済カード番号に対応する住所に証憑データが示す取引内容の通知を郵送するための処理をしてもよい。
【0045】
ところで、ネットワークの障害等が原因でインボイスネットワークNを介して証憑データを送信できない場合がある。そこで、インボイスネットワークNの障害等により、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信できないことを検知した場合には他の送信手段により証憑データを送信するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0046】
具体的には、判定部134は、インボイスネットワークNにおいて証憑データを中継する中継装置に証憑データの送信が可能か否かを問い合わせる。判定部134は、中継装置から送信可能であることを示す情報を取得した場合、送信部133にインボイスネットワークNを介して証憑データを送信させる。
【0047】
判定部134が中継装置から証憑データを送信できないことを示す情報を取得した場合又は中継装置から情報を取得できない場合に、インボイスネットワークNを介して送信できないことを判定する。送信部133は、決済データに含まれる決済カード番号に対応する宛先として、利用者情報においてメールアドレスが登録されている場合、当該メールアドレスを宛先としてメールにより証憑データを送信する。
【0048】
なお、判定部134は、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信できないことを判定した場合であって、利用者情報において他の送信手段の宛先が登録されていない場合、証憑データが送信できないことを示すログを記録する。これにより、経理担当者がログを参照することにより、送信されなかった証憑データを特定し、ユーザUから紙の領収書を取得するといった処理を行うことができる。
【0049】
このように、情報処理装置1がインボイスネットワークNを介して証憑データを送信できない状態を検知した場合に、インボイスネットワークNを介さずに証憑データを送信することにより、インボイスネットワークNに障害が生じた場合においても証憑データをユーザUが所属する組織に通知することができるという効果を奏する。
【0050】
ところで、企業においては、特定の用途や特定の店舗を社員(ユーザU)に使用させたいという場合がある。また、特定の用途や特定の店舗においてクレジットカードが利用された場合の証憑データについては、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信し、証憑データを自動的に処理し、許可されていない店舗においてはメールで証憑データを送信させることで経理担当者にチェックさせたいというニーズがある。そこで、特定の加盟店においてクレジットカードが使用されたことを条件としてインボイスネットワークNを介して証憑データを送信すると企業(利用者)の利便性が向上する。
【0051】
図4は、この場合に記憶部12が記憶する利用者情報のデータ構造の一例を示す図である。この場合の利用者情報においては登録カード番号ごとに登録加盟店IDがさらに関連付けられている。登録加盟店IDはクレジットカードの利用を受付ける加盟店を識別するための識別情報である。登録加盟店IDが示す加盟店において登録カード番号のカードが使用された場合、当該加盟店及びカードに対応する利用者ID等を宛先として証憑データが送信される。
【0052】
決済データは、クレジットカードの決済が行われた加盟店を識別するための識別情報である決済加盟店ID(「加盟店識別情報」とも言う)をさらに含む。取得部131は、店舗端末2から設置された店舗を示す加盟店IDをさらに含む決済データを取得する。
【0053】
特定部132は、利用者情報において、決済データに含まれる決済カード番号及び決済加盟店IDに対応する利用者IDを特定する。そして送信部133は、特定した利用者IDを宛先としてインボイスネットワークNを介して証憑データを送信する。なお、特定部132が決済カード番号及び決済加盟店IDに利用者情報において対応する利用者IDを特定できない場合、送信部133は、決済データに含まれる決済カード番号に対応する他の送信手段における宛先を用いて証憑データを送信してもよい。
【0054】
情報処理装置1がこのように構成されることで、特定の加盟店で利用された場合にインボイスネットワークNで証憑データを送信することが可能になり、特定の証憑データの処理を自動化させ、条件に合致しない証憑データのチェックを促しやすくすることができ、利用者である企業にとっての利便性を向上させることができる。
【0055】
ところで、ユーザUがクレジットカードを使用した場合に使用した場所や用途に応じて、処理の自動化やチェックの有無等のその後の処理フローを変更したい場合がある。例えば、経費として処理できるかどうかをユーザUが判断できない場合には、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信しない方がよいという場合がある。そこで、店舗においてクレジットカードを用いた決済を受け付ける際に決済情報の送信方法をユーザUが選択できるように情報処理装置1が構成されてもよい。
【0056】
取得部131は、クレジットカードによる決済が行われた際にクレジットカードのユーザが選択した証憑データの送信方法を、決済データと関連付けて取得する。店舗において提示されたクレジットカードを読み取る際、ユーザUは店舗端末2を操作し、証憑データの送信方法を入力する。送信方法は、一例として、インボイスネットワークNを介して送信すること、メールで送信すること、紙ベースで郵送することのいずれかから選択可能に構成される。店舗端末2は、入力された送信方法をさらに含む決済データを情報処理装置1に送信し、取得部131はこれを取得する。なお、ユーザUが選択した証憑データの送信方法を店舗の従業員に通知し、店舗の従業員が店舗端末2を操作し入力してもよい。
【0057】
特定部132は、決済カード番号に利用者情報において対応する宛先であって、ユーザUが選択した送信方法に対応する宛先を特定する。送信部133は、特定部132が特定した宛先に対して証憑データを送信する。
【0058】
一例として、送信部133は、以下の2つの条件を満たす場合、決済データに含まれる決済カード番号に利用者情報において対応する利用者IDが示す利用者に、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信する。第1の条件は、取得された決済データに関連付けられた送信方法がインボイスネットワークNで送信することを示す場合である。第2の条件は、決済カード番号に対応する利用者IDが特定された場合である。
【0059】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザUが選択した方法に基づいて証憑データを送信することができる。その結果、ユーザUがクレジットカードを使用した場合の、処理フローを決済時に柔軟に変更することが可能になる。
【0060】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図5は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、決済データを取得する時点から開始している。
【0061】
取得部131は、決済データを取得する(S01)。特定部132は、利用者情報を参照し、決済データに含まれる決済カード番号に対応する宛先を特定する(S02)。送信部133は、決済データに基づいて証憑データを生成する(S03)。
【0062】
送信部133は、宛先として利用者IDが特定されたか否かを判定する(S04)。宛先として利用者IDが特定された場合(S04におけるYES)、送信部133は、インボイスネットワークNを介して証憑データを送信する(S05)。そして情報処理装置1は処理を終了する。
【0063】
宛先として利用者IDが特定されない場合(S04におけるNO)、送信部133は、特定した宛先に証憑データを送信する(S06)。そして情報処理装置1は、処理を終了する。
【0064】
[情報処理装置1による効果]
情報処理装置1がこのように構成されることで、クレジットカードが利用された場合の証憑データを、インボイスネットワークNを介して送信することができ、他の証憑データと同様に処理できるできるようになる。その結果、情報処理装置1においては、証憑データを受領した後の処理を簡素化することができる。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理装置
2 店舗端末
3 会計処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 特定部
133 送信部
134 判定部
【要約】
【課題】クレジットカードが利用された場合にコンピュータに処理可能な情報をユーザ側へ提供できるようにする。
【解決手段】登録カード番号と、インボイスネットワークにおいて登録カード番号に対応する送信先の利用者を識別するための利用者識別情報と、を関連付けた利用者情報を記憶する記憶部と、決済に使用された決済カード番号を少なくとも含む決済データを、当該クレジットカードの決済が行われた加盟店において利用される端末から取得する取得部と、利用者情報において決済カード番号に対応する利用者識別情報を特定する特定部と、決済カード番号に対応する利用者識別情報が特定された場合、特定された利用者識別情報に対応する利用者に、インボイスネットワークを介して、決済データが示す取引が行われたことを示す証憑データを送信する送信部と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】
図2