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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】多波長光を利用した光学装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/026 20060101AFI20241015BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20241015BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20241015BHJP
   H01L 33/08 20100101ALI20241015BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01S5/026
H01S5/062
H01S5/183
H01L33/08
H01L31/12 E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020054682
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2020167409
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0037062
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朴 研 相
(72)【発明者】
【氏名】盧 永 瑾
(72)【発明者】
【氏名】田 憲 秀
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-507319(JP,A)
【文献】国際公開第2017/218049(WO,A1)
【文献】特開2014-154787(JP,A)
【文献】特表2013-518429(JP,A)
【文献】特表2011-501111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上にモノリシックに配置され、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する複数個の発光素子を含む発光アレイと、
前記波長が互いに異なる光が、互いに異なるように変調されて同時に放出されるように、前記発光アレイを制御する制御部と、
前記発光アレイから放出された光のうち、対象体により、散乱、透過または反射した光を検出する光検出器と、
前記光検出器の検出結果を利用し、前記対象体に係わる情報を獲得するプロセッサと、
を含み、
前記光検出器は、それぞれが異なる第2駆動信号で駆動されることで、それぞれが特定波形を有する光を検出する複数のサブ検出器を含み、
前記制御部は、前記複数個の発光素子に印加される第1駆動信号の波形を異なるように変調することにより、波形が互いに異なる光が放出されるようにし、およびそれぞれの前記第1駆動信号にカップリングされる前記第2駆動信号で、それぞれの前記サブ検出器を駆動させることで、前記発光素子から発光された対応する光前記サブ検出器それぞれ、波形別に検出させ、
前記プロセッサは、
前記発光アレイから放出された光の波長別に、前記光検出器の検出結果を分類し、
分類された波長別に検出結果を利用し、対象体に係わる情報を獲得し、
前記複数個の発光素子それぞれは、15nm未満の波長帯域幅を有する光を放出し、および、互いの中心波長間の間隔が、前記波長帯域幅よりも広く、かつ0.5nm以上30nm以下であり、発光アレイから放出された光が、不連続な光である、多波長光を利用した光学装置。
【請求項2】
前記第1駆動信号の波形は、
前記第1駆動信号の周波数、振幅、位相のうち少なくとも一つが変調されて決定されることを特徴とする請求項1に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項3】
前記第1駆動信号の波形は、
正弦波、矩形波、三角波、パルス波のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項4】
前記発光アレイのうち隣接するように配置された発光素子から放出された光の波形相関度は、隣接しないように配置された発光素子から放出された光の波形相関度より大きいことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項5】
前記発光アレイのうち隣接するように配置された発光素子から放出された光の波形相関度は、隣接しないように配置された発光素子から放出された光の波形相関度より小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項6】
前記複数個の発光素子は、二次元に配列されたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項7】
前記発光アレイのうち第1方向に順次に配列された発光素子は、波長が順次に変わる光を放出することを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項8】
前記複数個の発光素子のうち少なくとも一つは、
レーザまたはLEDであることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項9】
前記複数個の発光素子のうち少なくとも一つは、
前記基板上に配置され、光を発生させる活性層と、
前記活性層で生じた光のうち特定波長の光を外部に放出させる波長決定層と、を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項10】
前記特定波長は、
前記波長決定層の厚み及び誘電率のうち少なくとも一つによって決定されることを特徴とする請求項に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項11】
前記活性層は、
前記波長決定層内に配置されることを特徴とする請求項または10に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項12】
前記波長決定層は、
グレーティングパターン構造を含むことを特徴とする請求項11のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項13】
前記波長決定層は、
前記基板の長手方向に複数層の誘電体層が離隔配置されたことを特徴とする請求項12に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項14】
前記複数層の誘電体層のピッチは、前記基板の長手方向に連続的に変わることを特徴とする請求項13に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項15】
前記複数層の誘電体層は、
第1ピッチに配列された誘電体層と、
前記第1ピッチと異なる第2ピッチに配列された誘電体層と、を含むことを特徴とする請求項13に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項16】
前記発光アレイは、
前記基板上に配置され、光を放出する活性層と、
前記活性層上に配置され、前記活性層から入射された光を互いに異なる波長に変換させる複数個の波長変換層と、を含むことを特徴とする請求項1~15のいずれか一つに記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項17】
前記活性層上に配置され、前記複数個の波長変換層を分離させる隔壁をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の多波長光を利用した光学装置。
【請求項18】
前記光検出器は、
イメージセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長光を利用した光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多波長光を利用した光学装置、及びその動作方法に係り、互いに異なる波長を有する複数個の発光素子を含む光学装置、及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分光器は、光学分野において重要な光学機器のうち一つである。従来の分光器は、多様な光学素子を含んでおり、体積が大きくて重かった。最近では、スマートフォン、ウェアラブルデバイスのような関連アプリケーションの小型化により、分光器の小型化が要求されている。
【0003】
そのような分光器は、独立した装置によっても具現されるが、他の装置の一構成要素にもなる。特に、携帯電話のようなモバイル装置に搭載される分光器に対する研究が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、対象体の物性特性を獲得する光学装置、及びその動作方法を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、また、波長が異なる複数個の発光素子を利用し、対象体に係わる情報を獲得する光学装置、及びその動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面(aspect)による多波長を利用した光学装置は、基板と、前記基板上にモノリシックに配置され、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する複数個の発光素子を含む発光アレイと、前記波長が互いに異なる光が、互いに異なるように変調されて同時に放出されるように、前記発光アレイを制御する制御部と、を含む。
【0007】
そして、前記制御部は、前記複数個の発光素子に印加される駆動信号の波形を異なるように変調することにより、波形が互いに異なる光が放出される。
【0008】
また、前記駆動信号の波形は、前記駆動信号の周波数、振幅、位相のうち少なくとも一つが変調されても決定される。
【0009】
そして、前記駆動信号の波形は、正弦波、矩形波、三角波、パルス波のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0010】
また、前記発光アレイのうち隣接するように配置された発光素子から放出された光の波形相関度は、隣接しないように配置された発光素子から放出された光の波形相関度よりも大きくなる。
【0011】
そして、前記発光アレイのうち隣接するように配置された発光素子から放出された光の波形相関度は、隣接しないように配置された発光素子から放出された光の波形相関度よりも小さい。
【0012】
また、前記複数個の発光素子は、二次元にも配列される。
【0013】
そして、前記発光アレイのうち第1方向に順次に配列された発光素子は、波長が順次に変わる。
【0014】
また、前記複数個の発光素子それぞれは、15nm未満の波長帯域を有する光を放出することができる。
【0015】
そして、前記発光アレイのうち隣接するように配列された発光素子の中心波長間の間隔は、0.5nm以上30nm以下でもある。
【0016】
また、前記複数個の発光素子のうち少なくとも一つは、レーザまたはLED(light emitting diode)でもある。
【0017】
そして、前記複数個の発光素子のうち少なくとも一つは、前記基板上に配置され、光を発生させる活性層と、前記活性層で生じた光のうち特定波長の光を外部に放出させる波長決定層と、を含んでもよい。
【0018】
また、前記特定波長は、前記波長決定層の厚み及び誘電率のうち少なくとも一つによっても決定される。
【0019】
そして、前記活性層は、前記波長決定層内にも配置される。
【0020】
また、前記波長決定層は、グレーティングパターン構造を含んでもよい。
【0021】
そして、前記波長決定層は、前記基板の長手方向に複数層の誘電体層が離隔配置されてもよい。
【0022】
また、前記複数層の誘電体層のピッチは、前記基板の長手方向に連続的に変わる。
【0023】
そして、前記複数層の誘電体層は、第1ピッチに配列された誘電体層、及び前記第1ピッチと異なる第2ピッチに配列された誘電体層を含んでもよい。
【0024】
また、前記発光アレイは、前記基板上に配置され、光を放出する活性層と、前記活性層上に配置され、前記活性層から入射された光を互いに異なる波長に変換させる複数個の波長変換層と、を含んでもよい。
【0025】
そして、前記活性層上に配置され、前記複数個の波長変換層を分離させる隔壁をさらに含んでもよい。
【0026】
また、前記発光アレイから放出された光のうち、対象体により、散乱、透過または反射した光を検出する光検出器と、前記光検出器の検出結果を利用し、前記対象体に係わる情報を獲得するプロセッサと、をさらに含んでもよい。
【0027】
そして、前記光検出器は、イメージセンサを含んでもよい。
【0028】
また、前記プロセッサは、前記発光アレイから放出された光の波長別に、前記光検出器の検出結果を分類し、分類された波長別検出結果を利用し、対象体に係わる情報を獲得することができる。
【0029】
一方、一実施形態による、複数個の発光素子を含む光学装置の動作方法は、前記複数個の発光素子から、波長及び変調が互いに異なる複数個の光を放出する段階と、前記複数個の光のうち、対象体により、反射または透過された光を検出する段階と、前記検出された結果を、前記変調を基に、波長別に分類する段階と、前記分類された検出結果を利用し、対象体に係わる情報を獲得する段階と、を含む。
【0030】
そして、前記複数個の光それぞれは、15nm未満の波長帯域を有することができる。
【0031】
また、前記複数個の光の中心波長間の間隔は、0.5nm以上30nm以下でもある。
【発明の効果】
【0032】
本発明による光学装置は、帯域幅が狭く、中心波長が互いに異なる複数個の光を放出するために、光を波長別に分離するハードウェア的構成要素が必要ではない。そのために、光学装置の小型化が可能である。波形を基に、特定波長の光を検出することができ、多様な波形変調により、さらに正確に対象体に係わる情報を獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態による、多波長光を利用した光学装置を概略的に図示した図面である。
図2】本発明の一実施形態による発光素子の例を図示した図面である。
図3】一実施形態による、有効誘電率別に互いに異なる波長の光を放出する発光アレイの例を図示した図面である。
図4】一実施形態による、波長決定層の厚みにより、互いに異なる波長の光を放出する発光アレイの例を図示した図面である。
図5】一実施形態による、互いに異なる波長変換層を含む発光アレイの例を図示した図面である。
図6】一実施形態による、パターン構造を含む発光アレイの例を図示した図面である。
図7】一実施形態による、不連続なパターン構造を有する発光アレイの例を図示した図面である。
図8】一実施形態による、誘電体層のピッチ別の放出波長を示す図面である。
図9】発光素子から放出された光が変調される例について説明する参照図面である。
図10】一実施形態による、光検出器が波長別に検出された光の強度を示した図面である。
図11】一実施形態による、複数個のサブ検出器を含む光検出器を図示した図面である。
図12】一実施形態による、光学装置の動作方法について説明する参照図面である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本実施形態による、多波長光を利用した光学装置、及びその動作方法について、添付図面を参照し、詳細に説明する。添付図面に図示された層や領域の幅及び厚みは、明細書の明確性及び説明の便宜性のために若干誇張されてもいる。詳細な説明全体にわたり、同一参照番号は、同一構成要素を示す。
【0035】
本明細書で使用される「構成される」または「含む」というような用語は、明細書上に記載されたさまざまな構成要素、またはさまざまな段階を必ずしもいずれも含むものであると解釈されるものではなく、そのうち一部構成要素または一部段階は、含まれず、または、さらなる構成要素または段階をさらに含んでもよいと解釈されなければならない。
【0036】
以下において、「上部」や「上」と記載されたところは、接触し、まさに上下左右にあるものだけではなく、非接触で、上下左右にあるものも含んでもよい。以下、添付された図面を参照しながら、ただ例示のための実施形態によって詳細に説明する。
【0037】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素についての説明に使用されるが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0038】
また、明細書に記載された「…部」、「モジュール」のような用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、それは、ハードウェアまたはソフトウェアによっても具現され、ハードウェアとソフトウェアとの結合によっても具現される。
【0039】
図1は、一実施形態による、多波長光を利用した光学装置を概略的に図示した図面である。図1に図示されているように、一実施形態による光学装置100は、波長が異なる複数個の光を対象体10に放出する光送信端120、対象体10から反射、散乱または透過された光を受信し、対象体10に係わる情報を獲得する光受信端140、及び光送信端120と光受信端140とを制御する制御部160を含んでもよい。
【0040】
光送信端120は、基板121、及び基板121上にモノリシックに配置され、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する複数個の発光素子200を含む発光アレイ122を含んでもよい。
【0041】
基板121は、発光素子200を成長させるための基板にもなる。基板121は、一般的な半導体工程で使用される多様な材質を含んでもよい。例えば、基板121としては、シリコン基板またはサファイア基板が使用されてもよい。しかし、それらは、ただ例示的なものであり、それら以外にも、基板121は、他の多様な材質が使用されもする。
【0042】
発光アレイ122は、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する複数個の発光素子200を含んでもよい。前述の発光素子200それぞれは、基板121上にモノリシックにも配置される。すなわち、発光素子200は、半導体工程により、基板121上に積層またはパターニングされて形成されることにより、基板121と一体型にも形成される。複数個の発光素子200は、基板121上に、空間的に離隔配置もされ、一部層は、互いに連結されるようにも配置される。
【0043】
発光素子200それぞれは、波長帯域幅が狭い光を放出することができ、発光素子200の中心波長間の間隔は、波長帯域幅よりも広く。そのために、発光アレイ122から放出された光は、不連続な光、例えば、櫛(comb)タイプの光でもある。例えば、発光素子200それぞれは、約15nm未満の帯域幅を有する光を放出することができ、中心波長間の間隔は、約0.5nm以上30nm以下でもある。
【0044】
発光素子200それぞれは、レーザまたはLED(light emitting diode)でもあるが、特定の例示に限定されるものではない。発光素子200は、垂直キャビティ(C)表面光放出レーザダイオード(VCSEL:vertical-cavity surface emitting laser diode)、分布帰還型レーザダイオード(distributed feedback laser)、レーザダイオード(laser diode)、LED、共振LEDなどでもある。
【0045】
または、発光素子200は、互いに異なる波長の光を提供することができる波長可変レーザ(tunable laser)を含んでもよい。該波長可変レーザは、狭い帯域幅と広い波長チューニング範囲とを有することができる。それにより、1つの波長可変レーザで波長が互いに異なる多くの数の光を出力することができる。該波長可変レーザは、電気的信号により、互いに異なる波長の光を出力することができ、波長のチューニングは、連続的でもあってもよく、不連続的であってもよい。または、発光素子200それぞれは、帯域幅が狭いLEDでもある。
【0046】
複数個の発光素子200は、図1に図示されているように、一次元または二次元にも配列される。複数個の発光素子200は、m×n(ここで、m、nは、2以上の自然数である)形態に行列にも配列される。複数個の発光素子200は、一方向に順次に波長が変わるようにも配列される。しかし、それに限定されるものではない。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態による発光素子200aの例を図示した図面である。図2に図示されているように、発光素子200は、光を発生させる活性層210、活性層210を挟んで離隔配置され、共振キャビティCを形成する第1反射層220及び第2反射層230、並びに第1反射層220及び第2反射層230それぞれに配置される第1電極240及び第2電極250を含んでもよい。発光素子200aは、活性層210で発生した光のうち共振キャビティCで共振する波長の光を放出することができる。
【0048】
活性層210は、第1電極240及び第2電極250に印加される駆動信号(すなわち、電気的信号)によって光を発生させる。活性層210は、電子と正孔とを結合させて光を発生させる量子ウェルの構造を含んでもよい。活性層210は、III族とV族物質とからなるIII/V化合物半導体からもなる。活性層210は、多数の量子ウェルと量子ウェルとの間の障壁層によって構成されるRPG(resonant periodic gain)構造を含んでもよい。
【0049】
量子ウェル層と障壁層とが互いに交互しながら、複層構造に配置されている。ここで、該量子ウェル層としては、InGa1-xAs1-y、InGa1-xAs、InGa1-xAs1-y、InGa1-xAsSb(ここで、0.0<x<1.0、0.0<y<1.0)のような半導体材料を使用することができる。前述のxとyとの値は、それぞれの量子ウェル層について個別的にも選択される。量子ウェル層の代わりに、In(Ga)(N)Asの量子点(quantum dot)を使用することもできる。
【0050】
第1反射層220及び第2反射層230は、活性層210で発生した光を共振キャビティCに反射させ、光を共振キャビティCで共振させる。第1反射層220及び第2反射層230は、共振波長で高い反射率を有するように設計された分散ブラッグ反射層(DBR:distributed Bragg reflector)構造でもある。第1反射層220及び第2反射層230の反射度は、50%ほどと互いに同じようでもある。第1反射層220及び第2反射層230は、例えば、互いに異なる複数の層が、所定の順序により、周期的に連続して配列されることによってなる多重帯域分散ブラッグ反射層(multi-band distributed Bragg reflector)としても構成される。さらに具体的には、第1反射層220及び第2反射層230それぞれは、高屈折率層(high refractive index layer)と低屈折率層(low refractive index layer)とを所定の順序で配して構成される。ここで、高屈折率層(H)は、AlGa1-xAs(0≦x<1)からなり、良好には、GaAs(すなわち、x=0)からなる。一方、低屈折率層(L)は、AlGa1-yAs(0<y≦1)からなり、良好には、AlAs(すなわち、y=1)からなる。
【0051】
第1電極240は、n型にドーピングされた半導体層でもあり、第2電極250は、p型にドーピングされた半導体層でもある。第1電極240及び第2電極250に駆動信号が印加されることにより、活性層210が励起されて光が発生する。発生した光は、第1反射層220及び第2反射層230の間で反射を反復しながら、活性層210を往復し、増幅された光のうち共振キャビティCで共振された光は、外部にも放出される。
【0052】
共振キャビティCの残り空間には、活性層210で発光する光に対して、透明な物質で充填され、共振キャビティCの有効誘電率を決定するが、波長決定層260と言うことができる。活性層210、第1反射層220及び第2反射層230の物質は、比較的広い波長の光を発光したり反射させたりすることができる物質によっても形成される。一方、発光素子200は、共振キャビティCの共振条件により、波長帯域が狭い特定波長の光が増幅されても放出される。発光素子200から放出される光は、共振キャビティCの共振波長によって決定され、共振波長は、共振長によって決定され、該共振長は、共振キャビティCの幅w、及び共振キャビティCの有効誘電率などによっても決定される。そして、共振キャビティCの幅は、波長決定層260の厚みによって決定され、共振キャビティC内の有効誘電率は、波長決定層の屈折率によって変わる。従って、波長決定層260の屈折率及び厚みのうち少なくとも一つを変更させることにより、共振キャビティC内での光路が変更され、共振波長を変更させることができる。
【0053】
図3は、一実施形態による、有効誘電率別に互いに異なる波長の光を放出する発光アレイ122の例を図示した図面である。図3に図示されているように、発光素子200は、共振キャビティCの有効誘電率が異ならせるようにすることができる。例えば、各発光素子200の波長決定層260a,260b,260cは、互いに異なる物質によっても充填される。そのために、各発光素子200から放出される光の波長が異なる。
【0054】
図4は、一実施形態による、キャビティC長さによって互いに異なる波長の光を放出する発光アレイ122の例を図示した図面である。図4に図示されているように、各発光素子200の波長決定層260d,260e,260fの厚みを異ならせることにより、共振波長を異ならせるようにすることができる。例えば、第1方向(X)に行くほど波長決定層260d,260e,260fの厚みが厚くなるように、発光素子を配することができる。それにより、各発光素子200は、前述の第1方向(X)に行くほど波長が大きい光を放出することができる。
【0055】
図5は、一実施形態による、互いに異なる波長変換層270a,270b,270cを含む発光アレイ122cの例を図示した図面である。図5に図示されているように、第2電極250上に、波長変換層270a,270b,270cがさらに配置される。前述の波長変換層270a,270b,270cそれぞれは、活性層210で共振された光の波長の大きさを互いに異なるように変換させることができる。各発光素子は、互いに異なる波長の光を放出するように、波長変換層270a,270b,270cの物質を異ならせることができる。前述の波長変換層270a,270b,270cは、活性層210で放出された光によって励起され、所定波長の光を放出する所定サイズの量子点(QD:quantum dots)及び蛍光層292(図6)などを含んでもよい。該量子点は、コア部とシェル部を有するコア・シェル(core-shell)構造を有することができ、またシェルがない粒子構造を有することもできる。該量子点は、例えば、II-VI族系半導体、III-V族系半導体、IV-VI族系半導体、IV族系半導体及びグラフェン量子点のうち少なくとも一つを含んでもよい。具体的な例として、量子点はCd、Se、Zn、S及びInPのうち少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0056】
複数個の発光素子は、波長変換層270a,270b,270cによって区分され、活性層210、第1反射層220、第2反射層230、第1電極240及び波長決定層260を共有することができる。キャビティC、活性層210、第1反射層220、第2反射層230、第1電極240及び波長決定層260を共有するために、発光アレイ122の製造が容易になる。また、発光アレイ122cは、発光素子それぞれを区分する隔壁280をさらに含んでもよい。隔壁280は、波長変換層270a,270b,270cの間にも配置され、メッシュ構造でもある。隔壁280は、上部領域から下部領域に行くほど幅が狭くなるテーパ状形状でもある。前述のテーパ状形状の隔壁280は、発光素子200らから放出される光の不連続性を高め、ノイズを減らすことができる。前記隔壁280は、ブラックマトリックス物質、レジン及びポリマーのうち少なくとも一つを含んでもよい。第2電極250aも発光素子単位で分離されている。
【0057】
図5においては、波長変換層270a,270b,270cの物質によって放出される光の波長が変換されるとしたが、それに限定されるものではない。パターン構造によっても放出される光の波長が変わる。
【0058】
図6は、一実施形態による、パターン構造を含む発光アレイ122dの例を図示した図面である。図6に図示されているように、発光アレイ122dは、基板121、基板121上に配置される波長決定層290、及び波長決定層290上に配置される活性層210を含んでもよい。基板121は、例えば、クォーツ(quartz)、二酸化ケイ素(SiO)及びサファイア(Al)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0059】
波長決定層290は、グレーティングパターン構造でもある。前述の波長決定層260は、基板上に離隔配置された誘電体層291を含んでもよい。そして、誘電体層291間に蛍光層292が充填される。そのために、誘電体層291と蛍光層292は、基板の長手方向(X)方向に交互にも配列される。誘電体層291のピッチPは、基板の長手方向に連続的に変わるようにも誘電体層291が配列される。
【0060】
誘電体層291は、例えば、窒化物または酸化物を含んでもよい。前記窒化物は、例えば、窒化ケイ素(Si)または窒化ガリウム(GaN)を含んでもよい。前記酸化物は、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化イットリウム(Y)のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0061】
蛍光層292は、例えば、量子点、セラミックス素材蛍光物質及び有機染料のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。前記量子点は、例えば、半導体ナノ粒子であり、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化カドミウム/硫化亜鉛(CdSe/ZnS)、テルル化カドミウム(CdTe)及び硫化カドミウム(CdS)のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。前記セラミックス素材蛍光物質は、例えば、セリウム(Ce)がドーピングされたヤグ(YAG)を含んでもよい。前記有機染料は、例えば、ローダミン(rhodamine)またはフルオレセイン(fluorescein)を含んでもよい。図6においては、誘電体層291間に蛍光層292が充填されるとしたが、それに限定されるものではない。蛍光物質ではない他の物質、例えば、活性層210の物質によっても充填される。
【0062】
活性層210は、電極対(図示せず)に印加される駆動信号(すなわち、電気的信号)によって光を発生させる。活性層210は、電子と正孔とを結合させて光を発生させる量子ウェルの構造を含んでもよい。活性層210は、III族とV族物質とからなるIII/V化合物半導体からもなる。活性層210は、多数の量子ウェルと量子ウェルとの間の障壁層で構成されるRPG構造を含んでもよい。
【0063】
前述の量子ウェル層と障壁層とが互いに交互しながら、複層構造に配置されている。ここで、該量子ウェル層としてはInGa1-xAs1-y、InGa1-xAs、InGa1-xAs1-y、InGa1-xAsSb(ここで、0.0<x<1.0、0.0<y<1.0)のような半導体材料を使用することができる。前記xとyとの値は、それぞれの量子ウェル層について個別的にも選択される。該量子ウェル層の代わりに、In(Ga)(N)Asの量子点を使用することもできる。
【0064】
活性層210で発生した光のうち、波長決定層290の共振条件と一致する光が、外部に放出される。発光アレイ122dから放出される光は、波長決定層290の共振波長によって決定され、該共振波長は、波長決定層290の厚み、波長決定層290有効誘電率、例えば、各物質(蛍光層292及び誘電体層291)の屈折率、誘電体層291のピッチなどによっても決定される。図6においては、誘電体層291のピッチPは、基板の長手方向に連続的に変わるようにも配列される。そのために、発光アレイ122dは、基板121の長手方向(X)に、中心波長が連続的に変わる光を放出することができる。
【0065】
図7は、一実施形態による、不連続なパターン構造を有する発光アレイ122eの例を図示した図面である。図7に図示されているように、発光アレイ122eは、不連続なパターン構造の波長決定層290を含んでもよい。例えば、波長決定層290は、第1ピッチP1で離隔配置される誘電体層を含む第1波長決定層290a、第1ピッチP1と異なる第2ピッチP2で離隔配置された誘電体層を含む第2波長決定層290b、並びに第1ピッチP1及び第2ピッチP2と異なる第3ピッチP3で離隔配置された誘電体層を含む第3波長決定層290cを含んでもよい。そのために、第1波長決定層290a、第2波長決定層290b及び第3波長決定層290cは、互いに異なる波長の光を外部に放出することができる。図6及び図7においては、ピッチによって放出される波長が異なるとしたが、それに限定されるものではない。波長決定層290の厚みまたは有効誘電率によっても、放出される光の波長が調節される。
【0066】
図8は、一実施形態による、誘電体層291のピッチ別の放出波長を示す図面である。図8に図示されているように、ピッチPの大きさにより、放出される光の中心波長が異なるということを確認することができる。そして、ピッチPが大きくなるほど、放出される光の中心波長が大きくなるということを確認することができる。
【0067】
再び図1について説明すれば、制御部160は、発光素子200それぞれに、駆動信号(例えば、電気的信号)を印加し、発光素子200から光が放出されるようにする。制御部160は、発光素子200からの光放出時、互いに異なるように変調された光が放出されるように、発光素子200を制御することができる。例えば、制御部160は、発光素子200それぞれに印加される駆動信号の波形が異なるように変調することにより、発光素子200それぞれから放出される光を変調させることができる。そのために、発光素子200それぞれは、互いに異なる波形の光を放出することができる。例えば、駆動信号の波形は、正弦波、矩形波、三角波、パルス波、のこぎり波のうち少なくとも一つを含んでもよい。そして、制御部160は、駆動信号の周波数、振幅、位相などを変調させ、放出される光を変調することができる。制御部160は、波形が同一であるとしても、周期が異なる駆動信号で光を変調することもできる。
【0068】
図9は、発光素子200から放出された光が変調される例について説明する参照図面である。図9の(a)は、光信号であり、図9の(b)は、駆動信号に適用された変調信号であり、大きさを変調する変調信号である。図9の(b)の変調信号を含む駆動信号が発光素子に印加されれば、図9の(c)に図示された変調された光信号が出力される。そのために、制御部160は、各発光素子200に互いに異なるように変調された駆動信号を印加することにより、発光アレイ122から、波長別に互いに異なるように変調された光が出力されるようにする。
【0069】
制御部160は、一方向に配列された発光素子200は、波形位が順次に変わる波形の光を放出するように、発光素子200を制御することができる。そのために、前記発光アレイ122において隣接するように配置された発光素子200から放出された光の波形相関度は、隣接しないように配置された発光素子200から放出された光の波形相関度よりも大きくなる。しかし、それに限定されるものではない。制御部160は、隣接するように配置された発光素子200から放出された光の波形相関度が、隣接しないように配置された発光素子200から放出された光の波形相関度より小さいように駆動信号を発光アレイ122に印加することができる。ここで、該波形相関度は、波形間の類似性を示す値であり、波形相関度が大きいほど波形が類似しているということを意味する。
【0070】
制御部160は、発光アレイ122に含まれた発光素子200が同時に光を放出するように制御することができる。しかし、それに限定されるものではない。制御部160は、発光素子200が一つずつ順次に光を放出するように制御することができる。または、一部発光素子200は、同時に光を放出し、残り発光素子200は、他の時間に光を順次に放出するように、制御部160は、発光アレイ122を制御することができる。または、対象体10により、発光アレイ122に含まれた全ての発光素子200が光を放出するように、あるいは一部発光素子200だけが光を放出するように、発光アレイ122が制御されもする。
【0071】
制御部160は、発光アレイ122の光を出力する時駆動信号を変調信号で変調することにより、放出される光を変調するとしたが、それに限定されるものではない。光送信端120は、別途の光変調器(図示せず)をさらに含み、制御部160は、光変調器を制御することにより、放出される光を変調することもできる。
【0072】
光受信端140は、対象体10から入射された光を検出する光検出器141、及び光検出器141で検出された結果を利用し、対象体10に係わる情報を獲得するプロセッサ142を含んでもよい。
【0073】
光検出器141は、対象体10から入射された光を検出することができる。前述の光は、対象体10を透過した光でもあり、対象体10によって散乱または反射された光でもある。光検出器141は、二次元に配列されたピクセルを含んでもよい。各ピクセルは、入射された光を受光し、電気的信号に変換することができ、フォトダイオードのようなフォト検出器、及び各フォト検出器を活性化させるための1以上のトランジスタを含んでもよい。光検出器141は、イメージセンサでもある。例えば、光検出器141は、CCD(charge coupled device)及びCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0074】
プロセッサ142は、フーリエ変換(Fourier transformation)を利用して検出された光の強度を、変調信号別に分類することができる。該変調信号は、発光アレイから放出される波長に対応するが、プロセッサ142は、変調信号別に分類された検出結果、すなわち、波長別に検出結果を利用し、対象体10に係わる情報を獲得することができる。対象体10に係わる情報は、物性情報でもある。ここで、対象体10は、ヒト、動物でもある。しかし、それらに限定されるものではない。対象体10は、対象体10に含まれた一部でもあり、水質管理または土壌管理のための環境試料、食物などでもある。
【0075】
図10は、一実施形態による光検出器141が、波長別に検出された光の強度を示した図面である。発光アレイ122において、同一強度を有した波長別光が放出されるとしても、光検出器141においては、図10に図示されているような波長別光の強度が検出される。対象体10は、波長別に光を吸収する特性が異なるためである。そのために、波長別に検出された光の強度から、対象体10に係わる情報を獲得することができる。
【0076】
プロセッサ142がフーリエ変換(Fourier transformation)を利用して検出された光の強度を変調信号別に分類することができるとしたが、それに限定されるものではない。光検出器141は、発光アレイの駆動信号と対応する駆動信号によっても駆動される。
【0077】
光検出器141は、一次元または二次元に配列されたサブ検出器300を含んでもよい。図11は、一実施形態による、複数個のサブ検出器300を含む光検出器141aを図示した図面である。サブ検出器300それぞれは、1以上のピクセルを含んでもよい。サブ検出器300の個数は、発光素子200の個数と同一でもある。しかし、それに限定されるものではない。サブ検出器300の個数は、発光素子200の個数よりも多くなる。
【0078】
各サブ検出器300は、特定波形を有する光を検出することができる。例えば、第1サブ検出器300aは、第1波形を有する第1光を検出し、第2サブ検出器300bは、第2波形を有する第2光を検出し、第3サブ検出器300cは、第3波形を有する第3光を検出することができる。前述のように、サブ検出器300それぞれが検出する光の波形は、サブ検出器300それぞれに印加される駆動信号によっても決定される。
【0079】
制御部160は、光検出器141が光を検出するように、光検出器141を制御させることができる。制御部160は、サブ検出器300単位で、光検出器141を駆動させることができるが、発光アレイ122を駆動させる駆動信号と対応する駆動信号で光検出器141を駆動させることができる。例えば、光駆動部が第1発光素子200を、第1波形を有する第1駆動信号で駆動させれば、制御部160は、第1発光素子200に対応する第1サブ検出器300を、第1駆動信号に対応する第2駆動信号で駆動させることができる。第1駆動信号と第2駆動信号は、同一であるか、あるいは類似度が高く、カップリングが可能な信号でもある。第1サブ検出器300の第2駆動信号は、第1駆動信号によって発生した光とカップリングされ、光を検出することができる。そのために、各サブ検出器300は、駆動信号の波形別光を検出することができる。前述のように、カップリングによって特定波長の光を検出することにより、外光、または他の波長の光によるノイズ除去が容易である。特定波長の光を検出する帯域フィルタは、製造過程に固定される一方、光検出器141に印加される駆動信号は、制御部160によって調節が容易であり、サブ検出器300別に駆動信号の波形変更も可能である。同一波長の光を、さらに多様なサブ検出器300で検出することもできる。
【0080】
前述のような光学装置は、波長及び変調が異なる複数個の光を空間的に分離して放出することができる。そして、該光学装置は、変調を基に、波長別に検出結果を分離するために、特定波長を検出するためのハードウェア的フィルタがなくともよい。
【0081】
図12は、一実施形態による、光学装置の動作方法について説明する参照図面である。
【0082】
光送信端120は、波長及び変調が互いに異なる複数個の光を放出することができる(S1210)。光送信端120は、基板121及び基板121上に、モノリシックに配置され、それぞれが互いに異なる波長の光を放出する複数個の発光素子200を含んでもよい。発光素子200それぞれは、レーザまたはLEDでもあるが、特定の例示に限定されるものではない。
【0083】
発光アレイ122の発光素子200それぞれは、波長帯域幅が狭い光を放出することができ、発光素子200の中心波長間の間隔は、波長帯域幅よりも広くなる。そのために、発光アレイ122から放出された光は、不連続な光、例えば、櫛(comb)タイプの光でもある。例えば、発光素子200それぞれは、約15nm未満の帯域幅を有する光を放出することができ、中心波長間の間隔は、約0.5nm以上30nm以下でもある。
【0084】
一方、制御部160は、発光素子200それぞれに駆動信号(例えば、電気的信号)を印加し、発光素子200から光が放出させる。制御部160は、発光素子200からの光放出時、互いに異なるように変調された光が放出されるように、発光素子200を制御することができる。例えば、制御部160は、発光素子200それぞれに印加される駆動信号の波形が異なるように変調することにより、発光素子200それぞれから放出される光を変調させることができる。そのために、発光素子200それぞれは、互いに異なる波形の光を放出することができる。例えば、駆動信号の波形は、正弦波、矩形波、三角波、パルス波、のこぎり波のうち少なくとも一つを含んでもよい。そして、制御部160は、駆動信号の周波数、振幅、位相などを変調し、放出される光を変調することができる。制御部160は、波形が同一であるとしても、周期が異なる駆動信号により、光を変調することもできる。
【0085】
制御部160は、発光アレイ122に含まれた発光素子200が同時に光を放出するように制御することができる。しかし、それに限定されるものではない。制御部160は、発光素子200が一つずつ順次に光を放出するように制御することができる。または、一部発光素子200は、同時に光を放出し、残り発光素子200は、異なる時間に光を順次に放出するように、制御部160は、発光アレイ122を制御することができる。または対象体10により、発光アレイ122に含まれた全ての発光素子200が光を放出するように、または一部発光素子200だけが光を放出するように、発光アレイ122が制御される。
【0086】
制御部160は、発光アレイ122の光を出力するとき、駆動信号を変調信号に変調することにより、放出される光を変調するとしても、それに限定されるものではない。光送信端120は、別途の光変調器(図示せず)をさらに含み、制御部160は、光変調器を制御することにより、放出される光を変調することもできる。
【0087】
光受信端140の光検出器141は、対象体10から入射された光を検出することができる(S1220)。前述の光は、対象体10を透過した光でもあり、対象体10によって散乱または反射した光でもある。光検出器141は、二次元に配列されたピクセルを含んでもよい。各ピクセルは、入射された光を受光し、電気的信号に変換することができ、フォトダイオードのようなフォト検出器及び各フォト検出器を活性化させるための1以上のトランジスタを含んでもよい。光検出器141は、イメージセンサでもある。例えば、光検出器141は、CCD(charge coupled device)及びCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0088】
プロセッサ142は、変調を基に、波長別に検出された結果を分類することができる(S1230)。例えば、プロセッサ142は、フーリエ変換を利用して検出された光の強度を変調信号別に分類することができる。変調信号は、発光アレイから放出される波長に一対一に対応する。そのために、プロセッサ142は、変調信号を基に、検出結果を波長別に分類することができる。
【0089】
または、光検出器141が変調を基に、波長別に光を検出することもできる。光検出器141は、一次元または二次元に配列されたサブ検出器300を含んでもよい。各サブ検出器300は、特定波形を有する光を検出することができる。制御部160は、サブ検出器300単位で、光検出器141を駆動させることができるが、発光アレイ122を駆動させる駆動信号と対応する駆動信号で、光検出器141を駆動させることができる。例えば、光駆動部が第1発光素子200を、第1波形を有する第1駆動信号で駆動させれば、制御部160は、第1発光素子200に対応する第1サブ検出器300を、第1駆動信号に対応する第2駆動信号で駆動させることができる。第1駆動信号と第2駆動信号は、等同一であるか、あるいは類似度が高く、カップリングが可能な信号でもある。第1サブ検出器300の第2駆動信号は、第1駆動信号によって発生した光とカップリングされ、光を検出することができる。そのために、各サブ検出器300は、駆動信号の波形別に光を検出することができる。
【0090】
そして、プロセッサ142は、変調信号別に分類された検出結果、すなわち、波長別に検出結果を利用し、対象体10に係わる情報を獲得することができる(S1240)。対象体10に係わる情報は、物性情報でもある。ここで、対象体10は、ヒト、動物でもある。対象体の物性特性によって光の吸収率が異なるが、波長別に検出された光の強度を利用し、対象体に係わる情報を獲得することができる。
【0091】
前述の光学装置は、1つのハウジング内にも配置される。光学素子は、対象体10を透過した光を検出する透過型でもあるが、対象体10で反射された光を検出する反射型でもある。
【0092】
多波長光を利用した光学装置は、携帯電話、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレットPC(personal computer)、電子書籍端末機、デジタル放送用端末機、PDA(personal digital assistant)、PMP(portable multimedia player)、ナビゲーション、MP3プレーヤ、デジタルカメラ、IPTV(internet protocol television)、DTV(digital television)、CE機器(例えば、ディスプレイ装置を有する冷蔵庫、エアコンなど)などがあるが、それらに限定されるのではない。本明細書で記述される多波長光を利用した光学装置は、ユーザによって着用される装置(wearable device)でもある。
【0093】
開示された実施形態による光学装置は、帯域幅が狭く、中心波長が互いに異なる複数個の光を放出するために、光を波長別に分離するハードウェア的構成要素が必要ではない。そのために、光学装置の小型化が可能である。波形を基に、特定波長の光を検出することができ、多様な波形変調により、さらに正確に対象体に係わる情報を獲得することができる。
【0094】
以上、本発明の理解に一助とするために、例示的な実施形態について説明され、添付図面に図示された。しかし、そのような実施形態は、ただ本発明の例示のためであり、それらに制限されるものではないという点が理解されなければならないのである。そして、本発明は、図示されて説明された説明に限られるものではないという点が理解されなければならないのである。それは、多様な他の変形が、本技術分野で当業者に可能であるためである。
【符号の説明】
【0095】
10 対象体
100 光学装置
120 光送信端
121 基板
122 発光アレイ
140 光受信端
141 光検出器
144 プロセッサ
160 制御部
200,200a 発光素子
210 活性層
220 第1反射層
230 第2反射層
240 第1電極
250 第2電極
260 波長決定層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12