(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】棒金処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20241015BHJP
G07D 1/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G07D9/00 Z
G07D1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020202704
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】関根 政志
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-177407(JP,A)
【文献】特開2010-061510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒金を搬送する棒金搬送部と、
棒金を受け入れる棒金受入部と、
前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート機構と、
を備え、
前記ゲート機構は、
前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート部と、
前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれた棒金と接する棒金安定部と、
を有し、
前記棒金搬送部は、棒金を桟部で支持して搬送し、
前記ゲート部は、前記桟部から供給された棒金を前記棒金受入部に導き、
前記棒金安定部は、前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれる棒金を一旦保持し、当該棒金が前記桟部によって前記棒金受入部に向けて押されると、当該棒金を前記棒金受入部に搬送させる
ことを特徴とする棒金処理装置。
【請求項2】
棒金を搬送する棒金搬送部と、
棒金を受け入れる棒金受入部と、
前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート機構と、
を備え、
前記ゲート機構は、
前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート部と、
前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれた棒金と接する棒金安定部と、
を有し、
前記棒金安定部は、
棒金を一旦保持する閉位置と棒金を通過可能にする開位置との間を回動可能な棒金保持部と、
前記棒金保持部を前記閉位置に配置するように付勢する付勢部と、を有する
ことを特徴とする棒金処理装置。
【請求項3】
前記ゲート部は、ゲート回転軸を中心に、棒金を前記棒金受入部に導く開放位置と、棒金の前記棒金受入部への搬送を規制する閉塞位置との間を回動可能に設けられており、
前記棒金保持部は、前記ゲート回転軸を中心に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の棒金処理装置。
【請求項4】
棒金を搬送する棒金搬送部と、
棒金を受け入れる棒金受入部と、
前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート機構と、
を備え、
前記ゲート機構は、
前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート部と、
前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれた棒金と接する棒金安定部と、
を有し、
前記棒金搬送部は、棒金を桟部で保持しつつ回転して搬送する回転体を有し、
前記ゲート部は、棒金を前記棒金受入部に導く開放位置と、棒金の前記棒金受入部への搬送を規制する閉塞位置との間を回動可能に設けられていると共に、前記開放位置に配置された際に前記回転体の
最上部に重なって配置されるように設けられている
ことを特徴とする棒金処理装置。
【請求項5】
前記棒金安定部は、前記ゲート部の棒金と接する側の面に設けられた弾性部材を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の棒金処理装置。
【請求項6】
前記ゲート機構は、棒金が最軽量の金種の棒金以上の重量を有する他の金種の棒金の場合、前記棒金安定部で棒金を保持することなく、棒金を前記ゲート部によって前記棒金受入部に導く
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の棒金処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒金を処理する棒金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒金処理装置として、バラ硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)ずつ集積させ包装して棒金(包装硬貨)を作製する包装部と、包装部によって作製された棒金を収納すると共に既に収納されている棒金を繰り出し可能な棒金収納部と、包装部及び棒金収納部に対向して配設された回転体を有し、回転体を一方向及び一方向とは反対の他方向に回転させることによって、棒金収納部から繰り出された棒金や包装部により作製された棒金を所定の位置に搬送する棒金搬送部とを備えるものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような棒金処理装置には、棒金搬送部から棒金をゲート部によって棒金出金部等の棒金受入部に搬送するものがある。この際、棒金搬送部から滑り落ちるようにしてゲート部に供給される棒金は、その勢いのまま棒金受入部に搬送される。すると棒金は、姿勢が安定せずに棒金受入部に搬送される可能性がある。よって、棒金を棒金受入部に搬送する際に、棒金をより安定的且つ確実に搬送することが望まれている。
【0005】
本発明は、棒金をより安定的且つ確実に搬送することが可能な棒金処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る態様は、棒金を搬送する棒金搬送部と、棒金を受け入れる棒金受入部と、前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート機構と、を備え、前記ゲート機構は、前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート部と、前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれた棒金と接する棒金安定部と、を有し、前記棒金搬送部は、棒金を桟部で支持して搬送し、前記ゲート部は、前記桟部から供給された棒金を前記棒金受入部に導き、前記棒金安定部は、前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれる棒金を一旦保持し、当該棒金が前記桟部によって前記棒金受入部に向けて押されると、当該棒金を前記棒金受入部に搬送させることを特徴とする。
また、本発明に係る別の態様は、棒金を搬送する棒金搬送部と、棒金を受け入れる棒金受入部と、前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート機構と、を備え、前記ゲート機構は、前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート部と、前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれた棒金と接する棒金安定部と、を有し、前記棒金安定部は、棒金を一旦保持する閉位置と棒金を通過可能にする開位置との間を回動可能な棒金保持部と、前記棒金保持部を前記閉位置に配置するように付勢する付勢部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る別の態様は、棒金を搬送する棒金搬送部と、棒金を受け入れる棒金受入部と、前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート機構と、を備え、前記ゲート機構は、前記棒金搬送部によって搬送される棒金を前記棒金受入部に導くゲート部と、前記ゲート部によって前記棒金受入部に導かれた棒金と接する棒金安定部と、を有し、前記棒金搬送部は、棒金を桟部で保持しつつ回転して搬送する回転体を有し、前記ゲート部は、棒金を前記棒金受入部に導く開放位置と、棒金の前記棒金受入部への搬送を規制する閉塞位置との間を回動可能に設けられていると共に、前記開放位置に配置された際に前記回転体の最上部に重なって配置されるように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、棒金をより安定的且つ確実に搬送することが可能な棒金処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置を含む硬貨処理機を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置を含む硬貨処理機の構成を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の内部構成を示す概略側面図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の要部を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の出金ゲート機構を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の出金ゲート機構を示す正面図である。
【
図7】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の要部を示す側面図である。
【
図8】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の要部を示す側面図である。
【
図9】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の要部を示す側面図である。
【
図10】本発明に係る一実施形態の棒金処理装置の要部を示す変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る一実施形態の棒金処理装置を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の棒金処理装置10は、棒金(包装硬貨)に関する処理を行うもので、バラの硬貨を包装して棒金とすると共に、棒金を収納し、更に棒金を繰り出す棒金処理装置である。以下の説明における「前」は棒金処理装置10の操作者側、「後」は棒金処理装置10の操作者とは反対側、「左」は棒金処理装置10の操作者から見て左、「右」は棒金処理装置10の操作者から見て右である。
【0010】
<硬貨処理機12の全体構成>
先ず、本実施形態の棒金処理装置10を含む硬貨処理機12の全体構成について説明する。
【0011】
本実施形態の棒金処理装置10は、
図1に示すように、バラの硬貨(以下、硬貨と称す)に関する処理を行う硬貨入出金装置11に付設され、硬貨入出金装置11と組み合わせられて硬貨処理機12を構成している。
【0012】
硬貨入出金装置11は、
図2に概略的に示すように、硬貨入出金装置11外から硬貨が入金され、入金された硬貨の入金処理を行う硬貨入金処理部21と、硬貨入金処理部21から硬貨を受け入れて収納する収納処理を行うと共に収納している硬貨を装置外部に取り出し可能に出金する硬貨収納出金処理部22とを有している。
【0013】
硬貨入金処理部21は、硬貨入出金装置11外から硬貨が投入されると共に投入された硬貨を一枚ずつ分離して繰り出すホッパである入金部31を有している。硬貨入金処理部21は、入金部31から繰り出された硬貨を搬送しつつ入金識別計数部32で真偽及び金種を識別して計数する入金搬送部33と、入金識別計数部32で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の入金リジェクト案内部34と、入金リジェクト案内部34で入金搬送部33から案内された硬貨を装置外部に取り出し可能に収納する硬貨入金リジェクト箱35とを有している。
【0014】
硬貨入金処理部21は、入金識別計数部32で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の包装案内部45を有している。包装案内部45で案内された硬貨は、棒金処理装置10に搬送される。棒金処理装置10は、硬貨入出金装置11から送り込まれた硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)ずつ集積させて包装する。
【0015】
硬貨入金処理部21は、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する貯留案内部47と、貯留案内部47で入金搬送部33から案内された硬貨を一時貯留する入金貯留部48とを有している。貯留案内部47は、真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から金種別に分類して入金貯留部48に案内し、入金貯留部48は硬貨を金種別に分類した状態のまま貯留する。
【0016】
硬貨入金処理部21は、入金貯留部48が貯留している硬貨を金種別に分類した状態のまま収納する硬貨収納部51と、入金貯留部48が貯留している硬貨を装置外部に取り出し可能に返却する硬貨返却箱52と、入金貯留部48が貯留している硬貨を金種別に分類した状態のまま出金可能に収納する硬貨収納繰出部53とを有している。
【0017】
硬貨収納出金処理部22は、硬貨収納繰出部53から計数しつつ繰り出された硬貨を搬送しつつ金種を識別して計数する硬貨出金搬送部61と、硬貨出金搬送部61で搬送されてきた硬貨を装置外部に取り出し可能に収納する硬貨出金箱62と、硬貨出金箱62に収納されている硬貨を案内する出金リジェクト案内部63と、出金リジェクト案内部63で硬貨出金箱62から案内された硬貨を装置外部に取り出し可能に収納する硬貨回収庫64とを有している。
【0018】
硬貨入出金装置11には、棒金処理装置10を含む硬貨処理機12の全体を制御する制御部67と、棒金処理装置10を含む硬貨処理機12に電源を供給する電源部68とが設けられている。なお、制御部67及び電源部68を、棒金処理装置10に設けるようにしても良い。
【0019】
棒金処理装置10は、入金部31から繰り出され包装案内部45で案内されてきた硬貨、及び、硬貨収納繰出部53から繰り出された硬貨を受け入れて所定枚数ずつ纏めて包装紙で包装し一体化して棒金Bとする包装処理を行う包装部101と、包装部101で作製されて繰り出された棒金Bを繰り出し可能に収納する棒金収納部102と、包装部101及び棒金収納部102から繰り出された棒金Bを受け入れて装置外部に取り出し可能に出金すると共に、既に作製されている棒金Bを装置外部から受け入れて棒金収納部102に収納する棒金搬送入出金部103とを有している。
【0020】
包装部101は、硬貨入出金装置11から硬貨を受け入れると共に、受け入れた硬貨を、金種識別しつつ計数して包装単位枚数(50枚)ずつ集積させ、集積された包装単位枚数の硬貨に紙或いは樹脂フィルムからなる包装紙を所定長さ巻き回し、集積方向の両側の包装紙の余長部分を内側に丸めるように加締めることにより棒金Bとする。
【0021】
包装部101は、作製した棒金Bを、棒金出金リジェクト庫114とクリアボックス115と棒金搬送入出金部103とに振り分ける。棒金出金リジェクト庫114及びクリアボックス115は、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金等を装置外部に取り出し可能に収納する。
【0022】
棒金搬送入出金部103は、包装部101及び棒金収納部102から繰り出された棒金Bを受け取って昇降搬送する棒金搬送部121を有している。包装部101から棒金搬送入出金部103に繰り出された棒金Bは、端数棒金以外の棒金つまり包装単位枚数の硬貨を包装して作製した正常棒金である。棒金搬送入出金部103は、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金Bを棒金処理装置10の外に放出する棒金放出部122と、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金Bを受け入れて棒金処理装置10の装置外部に取り出し可能に出金する棒金出金部123(棒金受入部)と、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金Bを装置外部に取り出し可能に一括で収納する箱状の棒金一括収納部124と、棒金処理装置10の外から投入された棒金Bを識別及び計数して棒金搬送部121に受け渡す棒金入金部120とを有している 棒金収納部102は、外部で作製されて棒金入金部120に投入された棒金Bも収納する。
【0023】
図1に示すように、棒金放出部122は、棒金処理装置10の装置本体116の下部の前面に開口している。棒金放出部122は、
図2に示すように、棒金Bを棒金処理装置10の外側に置かれた受箱126に向けて放出する。
【0024】
図1に示すように、棒金出金部123は、装置本体116の上面の前部から前面にかけて開口しており、開閉可能なシャッタ125を有している。棒金出金部123は、棒金Bを複数本収納可能であり、収納している棒金Bはシャッタ125が開かれると直接手で装置外部に取り出し可能となる。
【0025】
棒金一括収納部124は、棒金Bを複数本一括収納可能である。棒金一括収納部124は、装置本体116から前方に引き出され取り外されることによって、収納している棒金Bが装置外部に取り出し可能となる。
【0026】
図2に示すように、棒金収納部102は、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金Bを受け取って金種別の収納部(不図示)に分類して収納すると共に、金種別の収納部に収納している棒金Bを金種別に計数しつつ棒金搬送部121に繰り出す。
【0027】
棒金搬送部121は、包装部101から棒金Bを受け取って、棒金放出部122、棒金収納部102及び棒金出金部123に選択的に搬送する。また、棒金搬送部121は、棒金収納部102から繰り出された棒金Bを受け取って、棒金出金部123及び棒金一括収納部124に選択的に搬送する。更に、棒金搬送部121は、棒金入金部120から棒金Bを受け取って、棒金収納部102に搬送する。棒金搬送部121は、複数本の棒金Bを同時に搬送可能となっている。
【0028】
<棒金処理装置10の構成>
次に、本実施形態の棒金処理装置10の構成について説明する。
【0029】
図3に示すように、棒金処理装置10では、包装部101の上側に棒金収納部102が設けられており、これら棒金収納部102及び包装部101の前側に棒金搬送部121が設けられている。棒金処理装置10には、棒金搬送部121の前側に、棒金出金部123、棒金入金部120、棒金一括収納部124及び棒金放出部122が上からこの順番に設けられている。
【0030】
棒金出金部123は、その上部の棒金搬送部121側に、出金部導入口131と、出金部導入口131を開閉する出金ゲート機構132(ゲート機構)とを有している。出金ゲート機構132は、下端にゲート回転軸133を有し、このゲート回転軸133を中心に回動して、出金部導入口131を閉塞する閉塞状態と、出金部導入口131を開放する開放状態とに切り替えられる出金ゲート部134(ゲート部)を備えている。
【0031】
出金ゲート部134は、開放状態で、棒金搬送部121側に傾動し、棒金搬送部121から、棒金搬送部121の前部で下方搬送される棒金Bを受け取ることになり、受け取った棒金Bをその前下がりの傾斜で出金部導入口131を介して棒金Bの受け入れ先である棒金出金部123に搬送し収納する。また、出金ゲート部134は、閉塞状態で、ゲート回転軸133から立ち上がり、棒金搬送部121で搬送される棒金Bから離間する。即ち、出金ゲート機構132は、棒金搬送部121によって搬送される棒金Bを棒金出金部123に導く状態と、導かない状態とに切り替えられる。棒金一括収納部124も棒金出金部123と同様の構造であり、ゲート機構(不図示)によって棒金搬送部121から、棒金搬送部121の前部で下方搬送される棒金Bを受け入れて収納する。
【0032】
棒金放出部122は前下がりに傾斜するシュートであり、棒金搬送部121側に、放出部導入口141と、放出部導入口141を開閉する放出ゲート機構142とを有している。放出ゲート機構142は、下端にゲート回転軸143を有し、このゲート回転軸143を中心に回動して、放出部導入口141を閉塞する閉塞状態と、放出部導入口141を開放する開放状態とに切り替えられる放出ゲート部144を備えている。
【0033】
放出ゲート部144は、開放状態で、棒金搬送部121側に傾動し、棒金搬送部121から、棒金搬送部121の前部で下方搬送される棒金Bを相対的に掬い上げることになり、掬い上げた棒金Bをその前下がりの傾斜で棒金Bの受け入れ先である放出部導入口141に導入し棒金放出部122を介して装置外部に放出する。また、放出ゲート部144は、閉塞状態で、ゲート回転軸143から立ち上がり、棒金搬送部121で搬送される棒金Bから離間する。棒金放出部122は、棒金搬送部121から棒金Bを受け入れてそのまま装置外部に放出する。
【0034】
棒金搬送部121は、搬送支持体150と、搬送支持体150に上下方向に延びるように設けられた縦型ベルトコンベア151と、この縦型ベルトコンベア151の外周の外側を部分的に覆うように設けられた搬送空間形成部152と、縦型ベルトコンベア151を駆動するコンベア駆動部153とを有している。
【0035】
縦型ベルトコンベア151は、左右方向に水平に回転中心軸線を配して棒金処理装置10内の上部に配置されて搬送支持体150の上部にプーリ軸155を介して支持される上部プーリ156と、左右方向に水平に回転中心軸線を配して棒金処理装置10内の下部に配置されて搬送支持体150の下部に支持される下部プーリ(不図示)と、これら上部プーリ156及び下部プーリに掛けられる無端の搬送ベルト158(回転体)とを有している。下部プーリは、コンベア駆動部153の中間プーリ157と同軸に配置されて、これと一体に回転する。よって、縦型ベルトコンベア151は、下部プーリが、コンベア駆動部153に駆動されて回転する。上部プーリ156及び下部プーリは、前後方向及び左右方向の位置を合わせて上下に離間しており、これらに掛けられる搬送ベルト158は、上下方向、即ち鉛直に延びている。搬送ベルト158は、後方に向く後面158aと、前方に向く前面158bとを有している。
【0036】
コンベア駆動部153は、上記した中間プーリ157と、駆動モータ161と、駆動モータ161で駆動されて回転する駆動プーリ162と、駆動プーリ162に掛けられて中間プーリ157及び下部プーリを回転させる無端の駆動ベルト163とを有している。駆動モータ161が正逆回転すると、駆動プーリ162、駆動ベルト163、中間プーリ157、下部プーリ、搬送ベルト158及び上部プーリ156が同期して正逆回転する。図示は略すが、上部プーリ156、下部プーリ及び搬送ベルト158の組が、左右に離間して2組設けられており、これらの間に、出金ゲート機構132の出金ゲート部134及び放出ゲート機構142の放出ゲート部144等が、開放状態において入り込む。
【0037】
搬送ベルト158は、上部プーリ156及び下部プーリに掛けられて回転する無端のベルト本体171と、ベルト本体171の外周面から外方(遠心方向)に突出する桟部172とを有している。桟部172は、ベルト本体171の周方向に所定の等間隔で複数設けられている。左右一対の搬送ベルト158は、互いに、桟部172の対応するもの同士の周方向、即ち上下方向の位置を合わせており、位置が合って対をなす2つの桟部172によって棒金Bを左右方向に沿う姿勢で支持して搬送可能となっている。よって、一対の搬送ベルト158は、棒金Bを一本ずつ、位置が合う一対の桟部172で支持しつつ回転して後面158a側と前面158b側とに搬送する。
【0038】
桟部172は、ベルト本体171の周方向(回転方向)における両側に、この周方向に略円弧状に凹む棒金収容部177を有している。桟部172は、ベルト本体171の包装部101及び棒金収納部102側、即ち搬送ベルト158における後面158a側に位置すると、ベルト本体171の後面171aよりも後方に突出する状態になると共に、一方の棒金収容部177が上部で下方に凹むことになる。また、桟部172は、ベルト本体171の包装部101及び棒金収納部102とは反対側、即ち搬送ベルト158における前面158b側に位置すると、ベルト本体171の前面171bよりも前方に突出する状態になると共に、他方の棒金収容部177が上部で下方に凹む姿勢となる。桟部172は、これらの状態になるようにベルト本体171に取り付けられている。搬送ベルト158は、棒金Bを桟部172で支持しつつ回転して搬送する。
【0039】
搬送空間形成部152は、縦型ベルトコンベア151の上部を上方で覆う上方カバー部181と、縦型ベルトコンベア151の前面158b側を前方で覆う前方カバー部182と、縦型ベルトコンベア151の下部を下方で覆う下方カバー部183と、縦型ベルトコンベア151の上部の後面158a側を後方で覆う上部後方カバー部184とを有している。上方カバー部181は、前部が平板状をなして前下がりに傾斜し、後部が平板状をなして水平に設けられている。前方カバー部182は、前後方向に直交して設けられる平板状であり、上下方向に延びている。下方カバー部183は、下方に凹の半円筒状となっている。上部後方カバー部184は、前後方向に直交して設けられる平板状であり、上下方向に延びている。前方カバー部182、下方カバー部183及び上部後方カバー部184は、対向する桟部172のベルト本体171とは反対側の端部との間に棒金Bを通過させない程度の若干の隙間を形成するように配置されている。
【0040】
縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、棒金Bを、包装部101及び棒金収納部102から受け取る際には、一対のベルト本体171の、包装部101及び棒金収納部102側にあって、高さ位置が一致する一対の桟部172で受け取る。その際に、これらの桟部172は、棒金Bを、受け取り時に上部にあって下方に凹む棒金収容部177で収容する。
【0041】
縦型ベルトコンベア151は、例えば、一対の搬送ベルト158が、後面158a側の一対の桟部172で包装部101或いは棒金収納部102から受け取った棒金Bを、第1の方向(
図3における反時計回り方向)に回転することで上方に搬送する。この方向を搬送ベルト158の正転とする。この正転時の後面158a側での鉛直上方への搬送では、棒金Bを、高さ位置が合う一対の桟部172で水平に支持することになり、これら一対の桟部172は、棒金Bを、この時に上側にあって下方に凹む棒金収容部177に収容して搬送する。
【0042】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、その上部で後面158a側から前面158b側に棒金Bの搬送位置が変わることになる。その際に、一対の搬送ベルト158の後面158a側で棒金Bを搬送していた一対の桟部172は、一対の搬送ベルト158の最上部付近で、棒金収容部177が前方に向くように傾く。このとき、これらの桟部172は、支持していた棒金Bを、例えば、これらの桟部172の回転方向前側(搬送方向下流側)に隣り合う、一対の桟部172に向けて落下させることになる。そして、一対の搬送ベルト158は、これらの桟部172で棒金Bを受け取って下方に更に搬送する。
【0043】
上方カバー部181及び上部後方カバー部184は、一対の搬送ベルト158のベルト本体171との間に、上部搬送空間186を形成し、前方カバー部182は、一対の搬送ベルト158のベルト本体171との間に、上下に直線状に延びる前部搬送空間187を形成する。一対の搬送ベルト158の上部位置で後面158a側から前面158b側へ搬送される棒金Bは、上部搬送空間186内を移動し、場合により前部搬送空間187内で落下する。
【0044】
また、縦型ベルトコンベア151は、例えば、一対の搬送ベルト158が、後面158a側の一対の桟部172で棒金収納部102から受け取った棒金Bを、第1の方向とは逆の第2の方向(
図3における時計回り方向)に回転することで下方に搬送する。この方向を搬送ベルト158の逆転とする。この逆転時の後面158a側での鉛直下方への搬送でも、棒金Bを、高さ位置が合う一対の桟部172で水平に支持することになり、これら一対の桟部172は、棒金Bを、この時に上側にあって下方に凹む棒金収容部177に収容して搬送する。
【0045】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、これらの桟部172が下降して最下部付近に位置すると、棒金Bを収容していたこれらの桟部172の棒金収容部177が後方に向くように傾き、その結果、これらの桟部172で支持していた棒金Bを、これらの桟部172から、下方カバー部183に落下させ、下方カバー部183のみで支持する状態になる。
【0046】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、この棒金Bを、これらの桟部172の回転方向後側(搬送方向上流側)に隣り合う一対の桟部172が、下方カバー部183とで支持する状態となって、下方カバー部183に沿って前面158b側且つ上方に搬送することになり、鉛直上方に搬送する状態では、これら桟部172で支持する状態になる。その際に、これらの桟部172は、棒金Bを、この時上部にある棒金収容部177で収容しつつ持ち上げて搬送する。下方カバー部183は、このとき棒金Bが移動する円弧状の下部搬送空間188を一対の搬送ベルト158のベルト本体171との間に形成している。
【0047】
また、縦型ベルトコンベア151は、例えば、一対の搬送ベルト158が、前面158b側の一対の桟部172で棒金入金部120から受け取った棒金Bを、第2の方向(
図3における時計回り方向)に回転することで上方に搬送する。この前面158b側での鉛直上方への搬送では、棒金Bを、高さ位置が合う一対の桟部172で水平に支持することになり、これら一対の桟部172は、棒金Bを、この時に上側にあって下方に凹む棒金収容部177に収容して搬送する。
【0048】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、その上部で前面158b側から後面158a側に棒金Bの搬送位置が変わることになる。その際に、一対の搬送ベルト158の前面158b側で棒金Bを搬送していた一対の桟部172は、一対の搬送ベルト158の最上部付近で、棒金収容部177が後方に向くように傾く。このとき、これらの桟部172は、支持していた棒金Bを、これらの桟部172の回転方向前側(搬送方向下流側)に隣り合う、一対の桟部172に向け落下させることになる。そして、一対の搬送ベルト158は、これらの桟部172で棒金Bを受け取って下方に更に搬送する。
【0049】
前方カバー部182の上部に、上記した棒金出金部123の上部の出金部導入口131が設けられている。また、前方カバー部182の下部に、放出ゲート機構142の放出部導入口141が設けられている。
【0050】
上記した出金ゲート機構132は、棒金出金部123の棒金搬送部121側の出金部導入口131の近傍に設けられ、棒金搬送部121から棒金Bを出金部導入口131を介して棒金出金部123に案内する。出金ゲート機構132は、出金ゲート部134が、開放状態にあるとき、搬送ベルト158の上部位置で、上記したように桟部172から供給され上部搬送空間186内を前方に移動する棒金Bを、出金部導入口131を介して棒金出金部123に導く。出金ゲート部134は、出金部導入口131を閉塞する閉塞位置と、出金部導入口131を開放しつつ前下がりの状態で上部搬送空間186と前部搬送空間187との境界近傍に入り込む開放位置との間で回動する。
【0051】
以上により、出金ゲート機構132は、棒金搬送部121によって棒金Bが棒金出金部123に搬送される際に、出金ゲート部134が、棒金搬送部121側に回動して出金部導入口131を開放する開放状態となると共に、棒金搬送部121から供給される棒金Bを、棒金出金部123に導き、出金部導入口131から棒金出金部123に収納させる。その一方で、出金ゲート機構132は、棒金搬送部121によって棒金Bが棒金出金部123以外の場所に搬送される際には、出金ゲート部134が、出金部導入口131を閉塞する閉塞状態となって、棒金Bが棒金出金部123に搬送されるのを規制する。言い換えれば、出金ゲート機構132は、出金ゲート部134が、棒金搬送部121によって搬送された棒金Bを、棒金出金部123に導く開放位置と、棒金出金部123への搬送を規制する閉塞位置との間を回動可能に設けられている。出金ゲート部134は、閉塞位置が待機位置となっている。
【0052】
上記した放出ゲート機構142は、棒金搬送部121から棒金Bを放出部導入口141を介してシュート状の棒金放出部122に案内する。放出ゲート機構142は、放出ゲート部144が、放出部導入口141を閉塞する閉塞位置と、放出部導入口141を開放しつつ前下がりの状態で前部搬送空間187に入り込む開放位置との間で回動する。放出ゲート部144は、閉塞位置にあるとき、前部搬送空間187から放出部導入口141への棒金Bの進入を規制する一方、開放位置にあるとき、棒金Bを下方に移動する桟部172から持ち上げ、前下がりの傾斜により前部搬送空間187から放出部導入口141へ案内し棒金放出部122を通して棒金処理装置10の装置外部に放出させる。放出ゲート部144は、閉塞位置が待機位置となっている。
【0053】
図4に示すように、搬送支持体150は、左右に離間して配置される一対の搬送支持側部211を有している。縦型ベルトコンベア151は、上記したプーリ軸155と、このプーリ軸155を左右一対の搬送支持側部211にそれぞれ支持する、
図4において一方のみを図示する左右一対の軸受222とを有している。プーリ軸155は、これらの軸受222よって、一対の搬送支持側部211に対し径方向に位置決めされる。プーリ軸155は、
図4において一方のみを図示する左右一対の止め輪224が両端にそれぞれ係合されており、これらの止め輪224によって、一対の軸受222と共に一対の搬送支持側部211に対し軸方向に位置決めされる。
【0054】
プーリ軸155には、左右一対の搬送支持側部211の間位置に、左右一対の上部プーリ156(
図3参照)が固定されており、よって、左右一対の搬送支持側部211の間に縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158(
図3参照)が設けられている。左右一対の搬送支持側部211は、その間に配置された搬送空間形成部152とで、
図3に示すように、上部搬送空間186、前部搬送空間187及び下部搬送空間188を形成する。
【0055】
図4に示すように、上方カバー部181の前端部と前方カバー部182の上端部との間に出金部導入口131が設けられている。出金ゲート機構132は、出金部導入口131の近傍に設けられている。出金ゲート機構132は、ブラケット部231と、出金ゲート部134と、棒金安定部232とを有している。
【0056】
ブラケット部231は、出金部導入口131の下部に前方で対向するように、左右一対の搬送支持側部211に取り付けられている。
図5に示すように、ブラケット部231は、平板状の下板部241と、下板部241の左端縁部から上方に立ち上がる左側板部242と、下板部241の右端縁部から上方に立ち上がる右側板部243と、下板部241の前端縁部から上方に立ち上がる左右一対の左開ストッパ部244及び右開ストッパ部245とを有している。左側板部242と右側板部243とは、互いに平行である。左側板部242の上部の前部は左閉ストッパ部246となっており、右側板部243の上部の前部は右閉ストッパ部247となっている。言い換えれば、ブラケット部231は、左右一対の左閉ストッパ部246及び右閉ストッパ部247を有している。ブラケット部231は、このような形状に一枚の板状部材から打ち抜き加工及び曲げ加工を経て形成されている。
【0057】
図4に示すように、ブラケット部231は、左側板部242と右側板部243とにおいて左右一対の搬送支持側部211に固定されている。この状態で、ブラケット部231は、左側板部242、右側板部243及び下板部241が全て前方カバー部182よりも前方に突出するように配置されており、下板部241は略水平に配置されている。
【0058】
ブラケット部231の左側板部242及び右側板部243の前方カバー部182よりも前方に配置される部分には、
図5及び
図6に示すように、左側板部242及び右側板部243に亘って上記した出金ゲート部134のゲート回転軸133が設けられている。出金ゲート部134のゲート回転軸133は略水平に配置されて左右方向に延びている。
【0059】
図6に示すように、出金ゲート機構132は、ゲート回転軸133を左側板部242及び右側板部243に対し回転可能となるように支持する左右一対の軸受251と、ゲート回転軸133及び一対の軸受251を左側板部242及び右側板部243に取り付ける左右一対の止め輪252とを有している。
【0060】
左側板部242及び右側板部243にそれぞれ外側から軸受251が嵌合され、これら軸受251の内側にゲート回転軸133が挿通される。これにより、左右一対の軸受251が、ゲート回転軸133を左側板部242及び右側板部243に対し径方向に位置決めする。この状態で、ゲート回転軸133の左右一対の軸受251よりも軸方向外側に突出する部分にそれぞれ止め輪252が係合される。これにより、左右一対の止め輪252が、ゲート回転軸133及び一対の軸受251を左側板部242及び右側板部243に対し軸方向に位置決めする。よって、ゲート回転軸133は、ブラケット部231に対し軸方向及び径方向の移動が規制されて回転可能となる。
【0061】
出金ゲート機構132は、
図5に示すように、ゲート回転軸133の右端部に固定されると共にゲート回転軸133の中心軸線に沿って外方に延出した後、この中心軸線に交差して延出するL字状の固定部材261と、固定部材261の先端部分にゲート回転軸133と平行に設けられたローラ263と、
図4に示すように、ローラ263が係合される昇降可能な作動部材265と、作動部材265を昇降させるソレノイド等を含むゲート開閉部(不図示)とを有している。
【0062】
出金ゲート機構132は、ゲート開閉部が作動部材265を引き下げると、ローラ263及び固定部材261を介して出金ゲート部134が、前方に倒れた状態から立ち上がるように回動する。また、出金ゲート機構132は、この状態からゲート開閉部が作動部材265を押し上げると、ローラ263及び固定部材261を介して出金ゲート部134が立ち上がった状態から前方に倒れるように回動する。
【0063】
図5に示すように、出金ゲート部134は、一枚の板部材から折り曲げられて形成されたゲート本体部271と、ゲート本体部271をゲート回転軸133に固定する複数の固定ビス272とを有している。ゲート本体部271は、複数の固定ビス272によってゲート回転軸133に固定されることでゲート回転軸133を中心としてゲート回転軸133と一体に回動する。
【0064】
ゲート本体部271は、ゲート回転軸133に当接して複数の固定ビス272によりゲート回転軸133に固定される基板部281と、基板部281の一端縁部からゲート回転軸133を越えて延出する案内板部282と、基板部281の他端縁部からゲート回転軸133を越えて延出する裏板部283とを有している。案内板部282と裏板部283とはゲート回転軸133を間に挟んでいる。ゲート本体部271は、ゲート回転軸133の軸方向における略中央位置に固定されている。
【0065】
案内板部282は、ゲート回転軸133の中心軸線に平行であってゲート回転軸133の径方向に沿う平板状である。案内板部282は、出金ゲート部134が開放位置にあるとき上に向き、出金ゲート部134が閉塞位置にあるとき、前に向く。裏板部283は、ゲート回転軸133の中心軸線に平行であってゲート回転軸133の径方向に沿う屈曲板状である。裏板部283は、基板部281とは反対側の部分が案内板部282に面接触で接合されている。裏板部283は、出金ゲート部134が開放位置にあるとき下に向き、出金ゲート部134が閉塞位置にあるとき、後ろに向く。ゲート本体部271は、このような形状に一枚の板状部材から打ち抜き加工及び曲げ加工を経て形成されている。
【0066】
棒金安定部232は、出金ゲート部134によって受け入れ先である棒金出金部123に導かれた棒金Bと接して、その姿勢を安定させる。
【0067】
棒金安定部232は、ゲート回転軸133に回動可能に設けられて棒金Bを保持する閉位置と棒金Bを通過可能にする開位置との間を回動可能な左右一対の左棒金保持部291(棒金保持部)及び右棒金保持部292(棒金保持部)と、左棒金保持部291を閉位置に配置するように付勢する左付勢部293(付勢部)と、右棒金保持部292を閉位置に配置するように付勢する右付勢部294(付勢部)と、左棒金保持部291、右棒金保持部292、左付勢部293及び右付勢部294をゲート回転軸133の軸方向に位置決めする位置決め部295とを有している。位置決め部295は、左右一対の内側スペーサ297と左右一対の外側スペーサ298とを有している。左棒金保持部291及び右棒金保持部292と、左付勢部293及び右付勢部294と、左右一対の内側スペーサ297と、左右一対の外側スペーサ298とには、それぞれの内側にゲート回転軸133が挿通されている。
【0068】
図6に示すように、棒金安定部232は、ゲート回転軸133の軸方向において、左右一対の内側スペーサ297がゲート本体部271の左右両側に隣接配置され、左右一対の左棒金保持部291及び右棒金保持部292が、これら内側スペーサ297のゲート本体部271とは反対側に隣接配置されている。また、棒金安定部232は、ゲート回転軸133の軸方向において、左右一対の外側スペーサ298が、これら左棒金保持部291及び右棒金保持部292のゲート本体部271とは反対側に隣接配置され、左右一対の左付勢部293及び右付勢部294が、これら外側スペーサ298のゲート本体部271とは反対側に隣接配置されている。ゲート回転軸133の軸方向において、左右一対の左付勢部293及び右付勢部294のゲート本体部271とは反対側に、左右一対の軸受251が隣接配置されている。これにより、左右一対の内側スペーサ297及び左右一対の外側スペーサ298が、左棒金保持部291、右棒金保持部292、左付勢部293及び右付勢部294をゲート回転軸133の軸方向に位置決めしている。
【0069】
左右一対の内側スペーサ297は同形状の共通部品であり、円筒状である。左右一対の外側スペーサ298は同形状の共通部品であり、円筒状である。左右一対の内側スペーサ297及び左右一対の外側スペーサ298は、左棒金保持部291及び右棒金保持部292よりも摺動性に優れた材質で形成されている。これにより、ゲート回転軸133及びゲート本体部271と、左棒金保持部291及び右棒金保持部292とが、円滑に相対回動できるようになっている。
【0070】
左棒金保持部291は、ゲート回転軸133に回転可能に支持される。左棒金保持部291は、円筒状に湾曲されてゲート回転軸133を内側に挿通させる左保持取付部301と、左保持取付部301から左保持取付部301の軸方向に沿う姿勢で左保持取付部301の径方向外方に延出する平板状の左保持本体部302とを有している。左保持本体部302は左保持取付部301から延出する左基板部303と、左基板部303の左保持取付部301とは反対側の部分から左方に突出する左突出板部304とを有している。左棒金保持部291は、左基板部303においてブラケット部231の左開ストッパ部244に当接可能であり、左突出板部304においてブラケット部231の左閉ストッパ部246に当接可能である。左棒金保持部291は、このような形状に一枚の板状部材から打ち抜き加工及び曲げ加工を経て形成されている。
【0071】
右棒金保持部292は、左棒金保持部291と鏡面対称状をなしており、ゲート回転軸133に回転可能に支持される。右棒金保持部292は、円筒状に湾曲されてゲート回転軸133を内側に挿通させる右保持取付部311と、右保持取付部311から右保持取付部311の軸方向に沿う姿勢で右保持取付部311の径方向外方に延出する平板状の右保持本体部312とを有している。右保持本体部312は右保持取付部311から延出する右基板部313と、右基板部313の右保持取付部311とは反対側の部分から右方に突出する右突出板部314とを有している。右棒金保持部292は、右基板部313においてブラケット部231の右開ストッパ部245に当接可能であり、右突出板部314においてブラケット部231の右閉ストッパ部247に当接可能である。右棒金保持部292は、このような形状に一枚の板状部材から打ち抜き加工及び曲げ加工を経て形成されている。左保持本体部302と右保持本体部312とは同一平面に配置可能である。
【0072】
左付勢部293は、ねじりバネである。左付勢部293は、ゲート回転軸133を内側に挿通させる左コイル部321と、左コイル部321の一端から径方向外方に延出する左一端部322と、左コイル部321の他端から径方向外方に延出する左他端部323とを有している。左一端部322は左コイル部321の右側に配置されており、左他端部323は左コイル部321の左側に配置されている。
図5に示すように、左一端部322は、左棒金保持部291の左突出板部304の前面側に当接し係合する。左他端部323は、ブラケット部231の下板部241の上面側に当接し係合する。これにより、左付勢部293は、左棒金保持部291を、閉位置に向けて回動させ、左突出板部304においてブラケット部231の左閉ストッパ部246に当接する閉位置に配置するように付勢する。
【0073】
左閉ストッパ部246は、当接した左棒金保持部291の閉位置を越える後方への回動を規制する。左棒金保持部291は、左突出板部304を左閉ストッパ部246に当接させた閉位置で、ゲート回転軸133から上方に延出する。左棒金保持部291は、左付勢部293の付勢力に抗して前方に回動し、左基板部303においてブラケット部231の左開ストッパ部244に当接して開位置に位置する。開位置にある左棒金保持部291は、ゲート回転軸133から前方に前下がりに延出する。左開ストッパ部244は、当接した左棒金保持部291の開位置を越える下方への回動を規制する。左棒金保持部291は、左付勢部293の付勢力によって左突出板部304を左閉ストッパ部246に当接させた閉位置が待機位置となっている。
【0074】
図6に示すように、右付勢部294は、左付勢部293に対し鏡面対称状のねじりバネである。右付勢部294は、ゲート回転軸133を内側に挿通させる右コイル部331と、右コイル部331の一端から径方向外方に延出する右一端部332と、右コイル部331の他端から径方向外方に延出する右他端部333とを有している。右一端部332は、右コイル部331の左側に配置されており、右他端部333は、右コイル部331の右側に配置されている。
図5に示すように、右一端部332は、右棒金保持部292の右突出板部314の前面側に当接し係合する。右他端部333は、ブラケット部231の下板部241の上面側に当接し係合する。これにより、右付勢部294は、右棒金保持部292を、閉位置に向けて回動させ、右突出板部314においてブラケット部231の右閉ストッパ部247に当接する閉位置に配置するように付勢する。
【0075】
右閉ストッパ部247は、当接した右棒金保持部292の閉位置を越える後方への回動を規制する。右棒金保持部292は、右突出板部314を右閉ストッパ部247に当接させた閉位置で、ゲート回転軸133から上方に延出する。右棒金保持部292は、右付勢部294の付勢力に抗して前方に回動し、右基板部313においてブラケット部231の右開ストッパ部245に当接して開位置に位置する。開位置にある右棒金保持部292は、ゲート回転軸133から前方に前下がりに延出する。右開ストッパ部245は、当接した右棒金保持部292の開位置を越える下方への回動を規制する。右棒金保持部292は、右付勢部294の付勢力によって右突出板部314を右閉ストッパ部247に当接させた閉位置が待機位置となっている。
【0076】
よって、棒金安定部232には、出金ゲート部134の左側に1つ、右側に1つ、合計2つの左棒金保持部291及び右棒金保持部292が設けられている。左棒金保持部291及び右棒金保持部292は、何れもゲート回転軸133に回動可能に設けられている。ブラケット部231には、左側板部242及び右側板部243に、棒金安定部232の閉方向(棒金搬送部121側)への所定位置を越える回動を規制する左閉ストッパ部246及び右閉ストッパ部247が設けられている。また、ブラケット部231には、下板部241に、棒金安定部232の開方向(棒金出金部123側)への所定位置を越える回動を規制する左開ストッパ部244及び右開ストッパ部245が設けられている。
【0077】
左棒金保持部291及び右棒金保持部292は、通常時、左付勢部293及び右付勢部294の付勢力でブラケット部231の左閉ストッパ部246及び右閉ストッパ部247に当接して閉位置に配置されており、この閉位置において、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bを一旦保持する。その一方で、左棒金保持部291及び右棒金保持部292は、保持している棒金Bが棒金搬送部121の桟部172によって棒金出金部123に向けて押されると、左付勢部293及び右付勢部294の付勢力に抗して開方向(棒金出金部123側)に回動し、ブラケット部231の左開ストッパ部244及び右開ストッパ部245に当接して開位置に配置されると、棒金Bが通過可能な状態となり、棒金Bを棒金出金部123に搬送させる。
【0078】
ここで、左付勢部293及び右付勢部294は、棒金Bが1円棒金の場合、左棒金保持部291及び右棒金保持部292で棒金Bを一旦保持する。その一方で、左付勢部293及び右付勢部294は、棒金Bが1円棒金以上の重量を有する他の金種の棒金Bの場合、棒金Bを左棒金保持部291及び右棒金保持部292で保持することなく、棒金Bの重量で左棒金保持部291及び右棒金保持部292を開位置に配置して棒金Bを通過させる。左付勢部293及び右付勢部294は、このような付勢力で左棒金保持部291及び右棒金保持部292を付勢する。
【0079】
<動作>
次に、本実施形態の棒金処理装置10の棒金出金動作について説明する。
【0080】
(ステップS1)
先ず、制御部67は、搬送ベルト158を第1の方向に正転させて、棒金収納部102から1円棒金である第1の棒金Bを搬送ベルト158の後面158a側の第1の桟部172上に供給させる。すると、第1の桟部172が上方向に移動して、その上に載置された第1の棒金Bを上方向に搬送する。
【0081】
(ステップS2)
その後、制御部67は、ゲート開閉部(不図示)を駆動して、
図7に示すように、出金ゲート部134を、開放方向(棒金搬送部121側)に向けて回動させ、それまでの閉塞位置から開放位置に配置させる。
【0082】
(ステップS3)
このように開放位置に配置された出金ゲート部134は、第1の桟部172が搬送ベルト158の最上部付近に移動して第1の桟部172による第1の棒金Bの搬送方向が後面158aでの上方向搬送から前面158bでの下方向搬送に切り替わる際に第1の桟部172から滑り落ちた棒金Bを、ゲート本体部271で受け取って、ゲート本体部271の前下がりの傾斜により棒金出金部123に導く。すると、棒金安定部232が、
図7において左棒金保持部291のみを示すように、何れも閉位置にある左棒金保持部291及び右棒金保持部292に、ゲート本体部271によって棒金出金部123に導かれる棒金Bを当接させて、この棒金Bをゲート本体部271上に一旦保持する。すると、第1の棒金Bは、左棒金保持部291及び右棒金保持部292に当接して、ゲート本体部271上で水平になるように姿勢が整えられる。
【0083】
ここで、出金ゲート部134は、閉塞位置にある閉塞状態では、上部搬送空間186から出金部導入口131への棒金Bの進入を規制する一方、
図7に示すように開放位置にある開放状態では、棒金Bを前下がりの傾斜によって上部搬送空間186から出金部導入口131へ案内して棒金出金部123に向けて移動させる。即ち、出金ゲート部134は、ゲート回転軸133が上部プーリ156のプーリ軸155よりも下方に設けられているので、開放位置に配置されると、ゲート回転軸133側の基端部がプーリ軸155側の先端部よりも低くなるように設けられる。これにより、出金ゲート部134では、棒金搬送部121から供給された棒金Bが棒金出金部123に向けて自動的に転がり落ち、棒金搬送部121から供給された棒金Bを棒金出金部123に導くことができる。
【0084】
また、出金ゲート部134は、
図7に示すように開放位置に配置された際に搬送ベルト158(上部プーリ156のプーリ軸155)の上部に配置されるように設けられている。ところで、出金ゲート部134が搬送ベルト158の上部まで設けられておらずに搬送ベルト158の前面158b側に設けられている場合、搬送ベルト158の桟部172から滑り落ちた棒金Bは、さらに、搬送ベルト158の前面158b側の前部搬送空間187で長い距離自由落下してから出金ゲート部134に渡ることになる。これに対し、本実施形態では、出金ゲート部134が、搬送ベルト158の上部まで設けられているので、落下工程を無くすことができ、棒金Bの姿勢が崩れ難く、棒金Bをより安定的且つ確実に棒金出金部123に搬送することができる。
【0085】
(ステップS4)
その後、搬送ベルト158が第1の方向に回転し続けていることから、
図8に示すように、棒金安定部232は、
図8において左棒金保持部291のみを示すように、何れも閉位置にある左棒金保持部291及び右棒金保持部292に保持された第1の棒金Bに、もともとその棒金Bを搬送していた第1の桟部172が上から当たって第1の棒金Bを下方且つ前方に押すことになり、第1の棒金Bを介して左棒金保持部291及び右棒金保持部292が前方、即ち棒金出金部123に向けて押される。すると、
図9に示すように、棒金安定部232は、
図9において左棒金保持部291及び左付勢部293のみを示すように、左棒金保持部291及び右棒金保持部292が、左付勢部293及び右付勢部294の付勢力に抗して開方向(棒金出金部123側)に向けて回動され、何れも閉位置から、
図9に示すように開位置に配置される。
【0086】
その結果、それまで左棒金保持部291及び右棒金保持部292によってゲート本体部271上に一旦保持されていた第1の棒金Bが、開位置にある左棒金保持部291及び右棒金保持部292を通過して棒金出金部123に搬送されて収納される。
【0087】
第1の棒金Bの通過後、それまで開位置に配置されていた棒金安定部232の左棒金保持部291及び右棒金保持部292は、左付勢部293及び右付勢部294の付勢力によって、閉方向(棒金搬送部121側)に向けて回動され、開位置から閉位置に配置される。
【0088】
(ステップS5)
その後、制御部67は、棒金出金部123に搬送予定の全ての棒金Bが棒金出金部123に搬送されて収納されたことを検出すると、ゲート開閉部(不図示)を駆動して、出金ゲート部134を、閉塞方向(棒金出金部123側)に向けて回動させ、開放位置から閉塞位置に配置させる。
【0089】
<効果>
次に、本実施形態の棒金処理装置10の効果について説明する。
【0090】
本実施形態の棒金処理装置10によれば、棒金安定部232が、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bと接するので、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bの勢いを抑制することができる。よって、棒金Bの姿勢が崩れ難く、姿勢を適正に維持したまま棒金Bを棒金出金部123に搬送することができる。従って、棒金Bを棒金出金部123に搬送する際に、より安定的且つ確実に搬送することができる。また、棒金Bから棒金出金部123に付加される衝撃や棒金自体に付加される衝撃を緩衝することができる。更に、棒金Bが棒金出金部123に収納される際の騒音を抑制することができる。
【0091】
また、棒金安定部232は、棒金搬送部121によって搬送された棒金B(1円棒金)を棒金出金部123に搬送する際に、搬送ベルト158の最上部付近の桟部172から供給された棒金Bを、出金ゲート部134を介して棒金出金部123に導くときに、この棒金Bを一旦保持し、この棒金Bが桟部172によって棒金出金部123に向けて押されると、この棒金Bを棒金出金部123に搬送させる。よって、棒金安定部232が、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bを一旦保持するので、桟部172から落ちるようにして供給された棒金Bがその勢いのまま棒金出金部123に搬送されることを防止できる。よって、棒金Bの姿勢が崩れていても正すことができる。更に、棒金Bの姿勢が崩れ難く、姿勢を維持したまま棒金Bを棒金出金部123に搬送することができる。従って、棒金Bを棒金出金部123に搬送する際に、より安定的且つ確実に搬送することができる。更に、棒金Bから棒金出金部123に付加される衝撃や棒金自体に付加される衝撃を緩衝することができる。更に、棒金Bが棒金出金部123に収納される際の騒音を抑制することができる。
【0092】
また、棒金安定部232は、棒金Bを一旦保持する閉位置と棒金Bを通過可能にする開位置との間を回動可能な左棒金保持部291及び右棒金保持部292と、左棒金保持部291及び右棒金保持部292を閉位置に配置するように付勢する左付勢部293及び右付勢部294とを有する。よって、棒金安定部232は、簡素な構成で、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bを一旦保持することができる。
【0093】
また、出金ゲート部134は、ゲート回転軸133を中心に、棒金Bを棒金出金部123に導く開放位置と、棒金Bの棒金出金部123への搬送を規制する閉塞位置との間を回動可能に設けられており、左棒金保持部291及び右棒金保持部292は、このゲート回転軸133を中心に回動可能に設けられている。よって、棒金安定部232は、より簡素な構成で、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bを一旦保持することができる。
【0094】
また、出金ゲート部134は、棒金Bを棒金出金部123に導く開放位置に配置された際に、搬送ベルト158の上部に配置されるように設けられている。よって、従来のように、搬送ベルトの桟部から滑り落ちた棒金がさらに搬送ベルトの前面側で自由落下する落下工程を無くすことができ、棒金Bの姿勢をより崩れ難くすることができる。従って、棒金Bを棒金出金部123に搬送する際に、棒金Bをより安定的且つ確実に搬送することができる。
【0095】
また、棒金安定部232は、棒金搬送部121から棒金Bを棒金処理装置10の外部に近い棒金出金部123に導く際に棒金Bと接するため、棒金Bが発生させる騒音を抑制することによる棒金処理装置10の静粛性向上の効果が高い。
【0096】
<変形例>
次に、本実施形態の棒金処理装置10の変形例について説明する。
【0097】
(変形例1)
棒金安定部232は、1円棒金のみを出金ゲート部134上に一旦保持して留めることに限定されるものではなく、他の金種の棒金も出金ゲート部134上に一旦保持して留めるようにしても良く、当然全ての金種の棒金を出金ゲート部134上に一旦保持して留めるようにしても良い。即ち、棒金安定部232は、少なくとも1金種の棒金を出金ゲート部134上に一旦保持して留めるようにすれば良い。
【0098】
(変形例2)
棒金安定部232を、左棒金保持部291、右棒金保持部292、左付勢部293、右付勢部294及び位置決め部295等に加えて、
図10に示すように、出金ゲート部134の棒金Bを棒金出金部123に導く際に棒金Bと接する側の面に、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bと接するクッション材等のシート状の弾性部材351(棒金安定部)を設けて構成しても良い。
【0099】
この弾性部材351は、桟部172から滑り落ちるようにして供給された棒金Bを出金ゲート部134が受け取った際に、棒金Bに接し、その弾性力によってその棒金Bの勢いを吸収して抑制することができる。よって、桟部172から滑り落ちるようにして供給された棒金Bがその勢いのまま棒金出金部123に搬送されることを防止できる。よって、棒金Bの姿勢が崩れ難く、姿勢を維持したまま棒金Bを棒金出金部123に搬送することができる。従って、棒金Bを棒金出金部123に搬送する際に、棒金Bをより安定的且つ確実に搬送することができる。更に、棒金Bから棒金出金部123に付加される衝撃や棒金自体に付加される衝撃を緩衝することができる。更に、棒金Bが棒金出金部123に収納される際の騒音を抑制することができる。
【0100】
(変形例3)
棒金安定部232を、左棒金保持部291、右棒金保持部292、左付勢部293、右付勢部294及び位置決め部295等で構成する代わりに、出金ゲート部134の棒金Bを棒金出金部123に導く際に棒金Bと接する側の面に、出金ゲート部134によって棒金出金部123に導かれる棒金Bと接するクッション材等のシート状の弾性部材351(棒金安定部)を設けて構成しても良い。
【0101】
この弾性部材351も、桟部172から滑り落ちるようにして供給された棒金Bを出金ゲート部134が受け取った際に、棒金Bに接し、その弾性力によってその棒金Bの勢いを吸収して抑制することができる。よって、桟部172から滑り落ちるようにして供給された棒金Bがその勢いのまま棒金出金部123に搬送されることを防止できる。従って、棒金Bを棒金出金部123に搬送する際に、棒金Bをより安定的且つ確実に搬送することができる。
【0102】
(変形例4)
第2の棒金安定部として、左右二つの左棒金保持部291及び右棒金保持部292を、ゲート回転軸133とは別の他の回転軸、例えばブラケット部231のゲート回転軸133よりも棒金搬送部121側に設けられた他の回転軸に取り付けて、ブラケット部231に対して回動可能に設けると共に、これらの左棒金保持部291及び右棒金保持部292が連動して回動するようにしても良い。このように左右二つの左棒金保持部291及び右棒金保持部292を連動して回動させることで、左右二つの左棒金保持部291及び右棒金保持部292の回動のタイミングは常に同時となり、受け止められた棒金Bは、一層安定的に棒金出金部123へと案内される。
【0103】
(変形例5)
棒金安定部232に受け止められた棒金Bが、桟部172の押圧で、棒金安定部232を左棒金保持部291及び右棒金保持部292を回転させながら棒金出金部123内へと収納されることに代えて、前記他の回転軸を回転させて、前記第2の棒金安定部を閉位置から開位置、開位置から閉位置へ回動させる駆動機構(例えば、搬送ベルト158の回転力を利用したクランク機構・モータ・ソレノイドなどの駆動機構)をさらに設けるようにしても良い。この駆動機構は、桟部172から受け取った棒金Bが出金ゲート部134上で搬送されて第2の棒金安定部で受け止められると、第2の棒金安定部を閉位置から開位置に回動させて、棒金を棒金出金部123内へと収納させ、収納後直ちに、第2の棒金安定部を開位置から閉位置に回動させることで、次の桟部172からの棒金を受け取り可能な状態にする。このように、第2の棒金安定部を開閉する駆動機構を設けることで、桟部172が棒金Bを押す必要が無くなり、棒金Bに不要な力が作用しない。
【0104】
(変形例6)
出金ゲート部134のゲート本体部271と、棒金安定部232の左棒金保持部291及び右棒金保持部292とを、それぞれの棒金Bと接触する面が90度以上に開くように側面視で略L字状に一体的に設けた一体部品としても良い。この場合、この一体部品を、出金ゲート部134が出金部導入口131を開くように回転させ、棒金Bを出金ゲート部134上で搬送して棒金安定部232に受け止めたタイミングで、出金ゲート部134を出金部導入口131を閉じるように回転させることで、棒金Bを棒金安定部232から棒金出金部123内へと収納させ、また直ちに、この一体部品を、出金ゲート部134が出金部導入口131を開くように回転させることにより、次の棒金Bを出金ゲート部134上で受け入れて搬送し棒金安定部232に受け止める。このような作動を適宜繰り返す。
【0105】
以上においては、棒金搬送部121から棒金出金部123に棒金Bを受け入れる際に棒金Bを導く出金ゲート機構132に棒金安定部232及び弾性部材351の少なくとも何れか一方を設ける場合を説明したが、棒金搬送部121から棒金放出部122に棒金Bを受け入れる際に棒金Bを導く放出ゲート機構142に棒金安定部232及び弾性部材351の少なくとも何れか一方を設けることも可能である。また、棒金搬送部121から棒金一括収納部124に棒金Bを受け入れる際に棒金Bを導くゲート機構(不図示)に棒金安定部232及び弾性部材351の少なくとも何れか一方を設けることも可能である。更に言えば、棒金を搬送する棒金搬送部によって搬送される棒金を、棒金を受け入れる棒金受入部に導くゲート機構であれば、何れのゲート機構にも棒金安定部232及び弾性部材351の少なくとも何れか一方を設けることが可能である。
【符号の説明】
【0106】
10…棒金処理装置、121…棒金搬送部、123…棒金出金部(棒金受入部)、132…出金ゲート機構(ゲート機構)、133…ゲート回転軸、134…出金ゲート部(ゲート部)、158…搬送ベルト(回転体)、172…桟部、232…棒金安定部、291…左棒金保持部(棒金保持部)、292…右棒金保持部(棒金保持部)、左付勢部(付勢部)293、右付勢部(付勢部)294、351…弾性部材(棒金安定部)、B…棒金。