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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】店舗現金管理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/26 20190101AFI20241015BHJP
   G07D 11/245 20190101ALI20241015BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20241015BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/245
G07D11/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021103490
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002312
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】前田 孝和
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-162189(JP,A)
【文献】特開2016-031619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
B25J 1/00-21/02
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金管理ロボットと、遠隔端末装置とを備え、
前記現金管理ロボットは、ロボットハンドを備えるマニピュレータを備えて店舗内を移動可能に配置され
前記遠隔端末装置は、
現金機器の操作ガイド情報を操作者に提示する提示部と、
前記現金管理ロボットによる操作対象となっている現金機器を判定する対象判定部と、 複数の現金機器の操作ガイド情報のうち、前記現金管理ロボットによる操作対象となっている現金機器の操作ガイドを選択して前記提示部に提示させる提示制御部と、
を備え、店舗外に配置され、前記現金管理ロボットの前記マニピュレータを遠隔制御して、前記現金管理ロボットと、前記現金機器との間で現金の授受を行わせる
舗現金管理システム。
【請求項2】
前記現金管理ロボットは、
現金を収納可能な収納部をさらに備え、
第1の前記現金機器から現金を受け取って前記収納部に収納し、前記収納部から現金を取り出して第2の前記現金機器へ受け渡す、
請求項に記載の店舗現金管理システム。
【請求項3】
前記マニピュレータは、前記遠隔端末装置からの遠隔制御に従って、前記収納部への現金の収納、および、前記収納部からの現金の取り出しを行う、
請求項に記載の店舗現金管理システム。
【請求項4】
少なくとも1つの前記現金機器は、
現金の入出が行われる取引口と、
現金を収納する収納領域と、
前記取引口から入金された現金を前記収納領域に収納し、前記収納領域に収納されている現金を前記取引口から出金する処理機構と、
を備え、
前記マニピュレータは、前記遠隔端末装置からの遠隔操作に従って、その現金機器との現金の授受を行う、
請求項からの何れか一項に記載の店舗現金管理システム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記現金機器は、
施錠可能かつ開錠可能な扉を有する少なくとも1つの収納区画を有し、
前記マニピュレータは、前記遠隔端末装置からの遠隔操作に従って、その現金機器との現金の授受を行う、
請求項からの何れか一項に記載の店舗現金管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗現金管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の店舗にロボットを配置して、金融機関の業務の一部を行わせることが考えられる。
例えば、特許文献1には、現金処理機に接続して現金の補充・回収動作を行う現金運用ロボットが記載されている。特許文献1に記載の構成では、自動支払機の背面に補充接続部および回収接続部が設けられる。また、現金運用ロボットには、補充接続部および回収接続部と接続対応する接続対応部が設けられる。現金運用ロボットは、接続対応部を補充接続部および回収接続部に接続して、現金の補充・回収動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-160929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記載のように、現金機器(現金を取り扱う機器)とロボットとが接続部で接続して現金の補充・回収動作を行うためには、接続機構(接続部、および、接続部を通じて現金の受け渡しを行う現金受け渡し機構)の仕様が、現金処理機とロボットとで対応している必要がある。
【0005】
これに対し、一般的に金融機関の店舗には多様な種類の現金機器が設置される。これら多様な現金機器の各々に、ロボットに対応する接続機構を設けることが困難であることが考えられる。例えば既存の店舗では、そもそも、ロボットに対応する接続機構が現金機器に設けられていないことが考えられる。これらの現金機器を、ロボットに対応する接続機構を有する現金機器に置き換えることは現実的で無いことが考えられる。
このことから、接続機構を有するロボットを金融機関の店舗に配置しても、このロボットと現金の受け渡しを行える現金機器が、例えば1種類の現金機器のみなど限定的であることが考えられる。
【0006】
本発明の目的の一例は、金融機関の店舗で使用される現金機器に、ロボットに対応する接続機構が設けられていない場合でも、現金機器に対する入出金をロボットによって行うことができる、店舗現金管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の第の態様によれば、店舗現金管理システムは、現金管理ロボットと、遠隔端末装置とを備え、前記現金管理ロボットは、ロボットハンドを備えるマニピュレータを備えて店舗内を移動可能に配置され、前記遠隔端末装置は、現金機器の操作ガイド情報を操作者に提示する提示部と、前記現金管理ロボットによる操作対象となっている現金機器を判定する対象判定部と、複数の現金機器の操作ガイド情報のうち、前記現金管理ロボットによる操作対象となっている現金機器の操作ガイドを選択して前記提示部に提示させる提示制御部と、を備え、店舗外に配置され、前記現金管理ロボットの前記マニピュレータを遠隔制御して、前記現金管理ロボットと、現金機器との間で現金の授受を行わせる遠隔端末装置と、を備える。
【0008】
前記現金管理ロボットは、現金を収納可能な収納部をさらに備え、第1の前記現金機器から現金を受け取って前記収納部に収納し、前記収納部から現金を取り出して第2の前記現金機器へ受け渡すようにしてもよい。
【0009】
前記マニピュレータは、前記遠隔端末装置からの遠隔制御に従って、前記収納部への現金の収納、および、前記収納部からの現金の取り出しを行うようにしてもよい。
【0012】
少なくとも1つの前記現金機器は、現金の入出が行われる取引口と、現金を収納する収納領域と、前記取引口から入金された現金を前記収納領域に収納し、前記収納領域に収納されている現金を前記取引口から出金する処理機構と、を備え、前記マニピュレータは、前記遠隔端末装置からの遠隔操作に従って、その現金機器との現金の授受を行うようにしてもよい。
【0013】
少なくとも1つの前記現金機器は、施錠可能かつ開錠可能な扉を有する少なくとも1つの収納区画を有し、前記マニピュレータは、前記遠隔端末装置からの遠隔操作に従って、その現金機器との現金の授受を行うようにしてもよい
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金融機関の店舗で使用される現金機器に、ロボットに対応する接続機構が設けられていない場合でも、現金機器に対する入出金をロボットによって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る店舗現金管理システムの構成例を示す概略構成図である。
図2】銀行の店舗における機器等の配置の例を示す図である。
図3】実施形態に係る現金管理ロボットの構成の例を示す概略ブロック図である。
図4】実施形態に係るロボット上部の構成の例を示す概略ブロック図である。
図5】実施形態に係るロボット下部の構成の例を示す概略ブロック図である。
図6】実施形態に係る現金管理ロボットの外観の第1例を示す図である。
図7】実施形態に係る現金管理ロボットの外観の第2例を示す図である。
図8】実施形態に係る遠隔サーバ装置の構成の例を示す概略ブロック図である。
図9】実施形態に係る遠隔端末装置の構成の例を示す概略ブロック図である。
図10】実施形態に係る自動機器の構成の例を示す概略図である。
図11】実施形態に係る重要物管理装置の構成の例を示す概略構成図である。
図12】実施形態に係る現金管理ロボットが現金の管理移転を記録する場面の例を示す図である。
図13】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
<構成>
図1は、実施形態に係る店舗現金管理システムの構成例を示す概略構成図である。図1に示す構成で、店舗現金管理システム1は、現金管理ロボット100と、遠隔サーバ装置500と、遠隔端末装置600とを備える。
【0018】
また、図1にはさらに、現金機器910と、店舗サーバ装置920と、通信ネットワーク930とが示されている。現金管理ロボット100および現金機器910は、それぞれ、店舗サーバ装置920と通信を行う。店舗サーバ装置920と遠隔サーバ装置500とは、通信ネットワーク930を介して通信を行う。また、現金管理ロボット100は、現金機器910との間で現金のやり取りを行う。
現金機器910、店舗サーバ装置920および通信ネットワーク930、またはこれらのうち一部が、店舗現金管理システム1に含まれていてもよい。
【0019】
店舗現金管理システム1は、金融機関の店舗に設置される現金機器910との間で現金の受け渡しを行うことで、現金機器910内の現金の量を調整する。現金機器910は、現金の入金および出金のうち何れか一方または両方を行う機器である。現金機器910内の現金が少ない場合、現金不足で出金できなくなることを避けるため、店舗現金管理システム1が現金機器910に現金を補充する。現金機器910内の現金が多い場合、現金過多で入金を受け付けられなくなることを避けるため、店舗現金管理システム1が現金機器910から現金を回収する。
以下では、銀行の店舗に店舗現金管理システム1を適用する場合を例に説明する。ただし、店舗現金管理システム1の適用対象は、銀行の店舗に限定されない。
【0020】
現金管理ロボット100は、店舗内を移動可能に配置され、現金機器910に対する現金の補充および回収を実行する。現金管理ロボット100は、ロボットハンド(Robot Hand)型のマニピュレータ(Manipulator)を備え、遠隔操作に従って動作する。
ロボットハンド型のマニピュレータは、ロボットアーム(Robot Arm)にロボットハンドが取り付けられて構成される。ロボットハンドは、複数の指が設けられて、物の把持など人の手の動作を模した動作を行う。ロボットアームは、複数の関節が設けられて構成され、ロボットハンドの位置および向きを調整する。
【0021】
ここで、ロボットを用いて現金機器に対する現金の補充および回収を行う方法として、マニピュレータを用いた遠隔操作による方法以外に、現金機器の入出金口とロボットの入出金口とを結合させて現金のやり取りを行う方法が考えられる。
この方法による場合、現金機器の入出金口の位置、大きさおよび形状に合わせて、現金機器の入出金口に結合可能な入出金口をロボットに設けておく。また、例えば現金機器が出金する場合、現金が出金口の外部まで排出されるか、あるいは出金口の内部に留まるかなど、現金機器の入出金の方法に応じた入出金機構をロボットに設けておく。
【0022】
しかしながら、一般的に、金融機関の店舗にはいろいろな種類の現金機器が設置されており、現金機器の種類ごとに入出金口の位置、大きさ、形状および入出金の方法が異なる。このため、例えば、出納機から現金を受け取って、自動預金支払機(Automated Teller Machine;ATM)および両替機のそれぞれに現金を補充するなど、1台のロボットで店舗内の現金機器のそれぞれと入出金口同士を結合して現金のやり取りを行うことは困難であると考えられる。
【0023】
これに対し、現金管理ロボット100がマニピュレータを備えて遠隔操作を受けることで、人が手作業で現金機器910に対して入出金を行う場合の手順と同様の手順で、現金機器910に対する操作および入出金口からの現金の入出を行うことができる。したがって、現金管理ロボット100によれば、入出金口の位置、大きさ、形状および入出金の方法が異なるいろいろな現金機器910に対応して柔軟に、現金のやり取りを行うことができる。このように、1台の現金管理ロボット100で、店舗内の全ての現金機器910に対する入出金を行えると期待される。
【0024】
店舗サーバ装置920は、店舗内の現金機器910の情報を集約し、現金機器910の各々における現金の在り高を管理する。
また、店舗サーバ装置920は、店舗内の現金機器910の各々について、現金の補充または回収の要否を判定する。例えば、店舗サーバ装置920が、現金機器910における現金の在り高と所定の下限閾値とを比較し、在り高が下限閾値以下の場合に、その現金機器910に対する現金の補充が必要と判定するようにしてもよい。また、店舗サーバ装置920が、現金機器910における現金の在り高と所定の上限閾値とを比較し、在り高が上限閾値以上の場合に、その現金機器910からの現金の回収が必要と判定するようにしてもよい。
【0025】
なお、ここでは、現金機器910における現金の在り高と、所定の下限閾値または所定の上限閾値とを比較する場合を例に説明を行ったが、これに限定されない。例えば、現金機器910における現金の各金種の在り高と、各金種の所定の下限閾値または上限閾値とを比較するようにしてもよく、現金の補充および回収の要否をより高精度に判定できる点で好ましい。この場合、ある現金機器910において、一の金種において現金の補充が必要であるとともに他の一の金種においては現金の回収が必要であるということが起こりうる。
【0026】
現金の補充または回収が必要と判定した場合、店舗サーバ装置920が、その現金機器910に対する現金の補充または回収の要求を、通信ネットワーク930を介して遠隔サーバ装置500へ送信するようにしてもよい。
また、遠隔端末装置600からの現金管理ロボット100の遠隔操作の際、店舗サーバ装置920は、現金管理ロボット100との通信接続を維持し、遠隔端末装置600と現金管理ロボット100との通信を中継する。あるいは、現金管理ロボット100が、店舗サーバ装置920を経由せず直接、通信ネットワーク930に通信接続するようにしてもよい。
【0027】
遠隔サーバ装置500は、現金機器910に対する現金の補充または回収の要求を、遠隔端末装置600に割り当てる。遠隔サーバ装置500に複数の遠隔端末装置600が接続され、複数の現金機器910に対する遠隔操作を同時に実行できるようにしてもよい。
また、遠隔端末装置600からの現金管理ロボット100の遠隔操作の際、遠隔サーバ装置500は、遠隔端末装置600との通信接続を維持し、遠隔端末装置600と現金管理ロボット100との通信を中継する。あるいは、遠隔端末装置600が、遠隔サーバ装置500を経由せず直接、通信ネットワーク930に通信接続するようにしてもよい。
【0028】
遠隔端末装置600は、現金管理ロボット100の操作者が現金管理ロボット100の遠隔操作を行う端末装置である。例えば、遠隔端末装置600がグローブ型コントローラを備え、操作者の手および腕の動きを示すデータを、遠隔サーバ装置500、通信ネットワーク930および店舗サーバ装置920を介して現金管理ロボット100に送信するようにしてもよい。そして、現金管理ロボット100が遠隔端末装置600からのデータに基づいて、操作者の手および腕の動きをマニピュレータで再現するようにしてもよい。
【0029】
通信ネットワーク930は、遠隔サーバ装置500と店舗サーバ装置920との通信を仲介する。通信ネットワーク930は、特定の種類の通信ネットワークに限定されない。例えば、通信ネットワーク930としてインターネットが用いられ、遠隔サーバ装置500と店舗サーバ装置920とがVPN(Virtual Private Network)にて通信を行うようにしてもよい。あるいは、通信ネットワーク930として店舗現金管理システム1専用の通信ケーブルが設けられていてもよい。
【0030】
図2は、銀行の店舗における機器等の配置の例を示す図である。
図2の領域A11は、ATMコーナーを示す。領域A12は、来店客用スペースを示す。来店客用スペースが、店舗の営業時間外は閉鎖されるのに対し、ATMコーナーは、店舗の営業時間外であってもATMの稼働時間内は入場できる。領域A13は、バックヤードを示す。バックヤードは銀行員の業務スペースであり、来店客は入場できない。
【0031】
また、図2の例で店舗内に配置されている税公金振込票対応ATM、ATM、両替機、ロビー出納機、精査機能付き現金バス、壁面収納庫のそれぞれが、現金機器910の例に該当する。
ATMは、預金口座に対する入出金、および、振込等を受け付ける装置であり、現金の入出金も受け付ける。税公金振込票対応ATMは、一般のATMでの手続きに加えて、預振込票での税金等の振込も受け付け、現金を入金しての振込も受け付ける。両替機は、両替の際に現金の入出金を行う。ロビー出納機および壁面収納庫は、それぞれ店舗内の現金の保管場所として用いられる。精査機能付き現金バスは、現金の一時保管および移動に用いられ、また、保管している現金を計数する。
【0032】
このように、店舗にいろいろな種類の現金機器910が設けられることが一般的である。これに対し、現金管理ロボット100によれば、上記のようにいろいろな種類の現金機器910での入出金に対応することができる。
図2の例では、現金管理ロボット100がバックヤード(領域A13)に配置されている。このように、現金管理ロボット100がバックヤードにて現金機器910の各々に対する入出金を行うようにしてもよい。これにより、現金管理ロボット100が来店客の邪魔になることを避けることでき、また、現金管理ロボット100がトラブル等に巻き込まれる可能性を軽減させることができる。
【0033】
例えば、現金管理ロボット100が、夜間など銀行の勤務時間外にバックヤードを移動して現金機器910の各々に対する現金の補充および回収を行うようにしてもよい。これにより、現金管理ロボット100が移動する際に、バックヤードで業務を行う銀行員の邪魔になる可能性を軽減させることができる。
【0034】
図3は、現金管理ロボット100の構成の例を示す概略ブロック図である。図3に示す構成で、現金管理ロボット100は、ロボット側通信部110と、ロボット上部120と、ロボット下部130と、ロボット側記憶部180と、ロボット側制御部190とを備える。ロボット側制御部190は、上部制御部191と、下部制御部192と、認証部193と、鍵取出制御部194と、ドロア制御部195と、管理移転記録処理部196とを備える。
【0035】
ロボット側通信部110は、他の装置と通信を行う。例えば、ロボット側通信部110は、店舗サーバ装置920と通信を行って、現金管理ロボット100自らの状態情報やカメラによる撮影画像など各種情報を提供する。また、ロボット側通信部110は、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500を介して、遠隔端末装置600からの動作指令を受信する。また、ロボット側通信部110と現金機器910との通信によって、ロボット側制御部190と現金機器910の制御部とが連携して動作するようにしてもよい。
【0036】
ロボット上部120は、人型ロボットの上半身の構成を有する。
図4は、ロボット上部120の構成の例を示す概略ブロック図である。図4に示す構成で、ロボット上部120は、頭部210と、上体部220とを備える。頭部210は、カメラ211と、マイク212と、スピーカ213とを備える。上体部220は、マニピュレータ230と、表示装置240と、上体駆動部250とを備える。マニピュレータ230は、ロボットアーム231と、ロボットハンド232とを備える。ロボットハンド232は、指233を備える。
【0037】
頭部210は、人型ロボットの頭部(首から上の部分)に該当する。
カメラ211は目に相当し、頭部210の顔の正面方向(カメラ211が取り付けられた方向)を撮影して画像データを生成する。カメラ211が動画像を撮影するようにしてもよい。カメラ211の撮影画像は、遠隔端末装置600の表示画面に表示され、操作者が現金管理ロボット100を遠隔操作するために用いられる。カメラ211の撮影画像が、現金管理ロボット100の自走などの自動制御にも用いられるようにしてもよい。
【0038】
マイク212は耳に相当し、現金管理ロボット100の周囲の音を収集して音声信号に変換し出力する。マイク212が収集する音は、遠隔端末装置600のスピーカから出力され、操作者が現金管理ロボット100を遠隔操作するために用いられる。マイク212が収集する音が、現金管理ロボット100の自走などの自動制御にも用いられるようにしてもよい。
スピーカ213は口に相当し、現金管理ロボット100の周囲の人に向けた音声メッセージまたはアラーム音など各種の音を出力する。
【0039】
上体部220は、人型ロボットの胴体および腕の部分(上半身のうち首よりも下の部分)に該当する。
上体部220には2つのマニピュレータ230が設けられている。2つのマニピュレータ230のそれぞれには、ロボットアーム231の先端部にロボットハンド232が設けられており、ロボットハンド232は5本の指233を有する。
【0040】
マニピュレータ230が、操作者の腕および手と同様の動きおよび姿勢をとるようにしてもよい。例えば、マニピュレータ230の制御にグローブ型コントローラが用いられる等により、マニピュレータ230が、操作者の手および腕の動きを模して動作するようにしてもよい。
ただし、マニピュレータ230の構成は特定の構成に限定されず、現金機器910を操作して現金のやり取りを行えるいろいろな構成とすることができる。
【0041】
マニピュレータ230は、必要に応じて伸縮可能に設けられる。マニピュレータ230の伸縮は、例えば、ロボットアーム231の関節の曲げ伸ばしによって行われる。
マニピュレータ230には、人の手の場合と同じように5本の指233が設けられている。
操作者は、マニピュレータ230を用いて貨幣等の物を掴むことができ、掴んだ物を移動させることができる。
【0042】
人の両腕と同様、現金管理ロボット100が2つのマニピュレータ230を備えることで、操作者は、両方のマニピュレータ230を用いて、貨幣を持つことができる。また、操作者は、2つのマニピュレータ230を用いて、貨幣が入れられる受け皿または出金箱を持つこと、および、受け皿または出金箱を傾けることができる。
【0043】
また、操作者は、マニピュレータ230を用いて、束貨幣ドロア311などのドロアを引き出すこと、および、押し込むことができる。
また、操作者は、マニピュレータ230を用いて、各種操作部の操作を行うことができる。また、操作者は、マニピュレータ230を用いて、鍵を持って解錠・施錠動作を行うなど、ものを使った操作を行うことができる。
【0044】
表示装置240は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネルなどの表示画面を有し、現金管理ロボット100の周囲の人へのメッセージの表示など、各種画像を表示する。例えば、現金管理ロボット100の動作時に、表示装置240が、現金管理ロボット100に近付かないよう促すメッセージを表示するようにしてもよい。
上体駆動部250は、ロボット下部130の上でロボット上部120を回転させる。
【0045】
ロボット下部130は、例えば箱型の筐体を用いて構成され、現金の収納および入出金のための各部など、現金機器910に対する処理を行うための構成、および、現金管理ロボット100が移動するための構成を有する。
図5は、ロボット下部130の構成の例を示す概略ブロック図である。図5に示す構成で、ロボット下部130は、束貨幣収納部310と、現金収納部320と、鍵収納部350と、走行機構360と、走行補助センサ群370と、補助カメラ380とを備える。
【0046】
束貨幣収納部310は、束貨幣ドロア311と、予備小ドロア312と、束貨幣一時保留部313とを備える。
現金収納部320は、バラ紙幣処理部321と、バラ硬貨処理部322と、ドッキング機構323と、束貨幣処理部324とを備える。バラ紙幣処理部321は、バラ紙幣入出金部331と、バラ紙幣受渡部332と、バラ紙幣搬送部333と、バラ紙幣収納部334とを備える。バラ硬貨処理部322は、バラ硬貨入金部341と、バラ硬貨出金部342と、バラ硬貨搬送部343と、バラ硬貨収納部344とを備える。
走行機構360は、車輪361と走行駆動部362とを備える。
【0047】
束貨幣収納部310の各部は、引き出し可能な収納部として構成される。
束貨幣ドロア311には、金種毎に所定枚数の紙幣が束ねられた小束紙幣と、同じく金種毎に所定枚数の硬貨が包装された棒金硬貨とが、その束本数ないしは枚数または金額を把握できる状態で計数管理されて収納される。小束紙幣ないしは棒金硬貨を総称して束貨幣と表記する。
図5は、束貨幣収納部310が2つの束貨幣ドロア311を備える例が示されている。ただし、束貨幣収納部310が備える束貨幣ドロア311の個数は、特定の個数に限定されない。束貨幣ドロア311が、貨幣の種類毎に設けられていてもよい。あるいは、1つの束貨幣ドロア311が、複数種類の貨幣を収納するようにしてもよい。
【0048】
予備小ドロア312は、束貨幣ドロア311に対する予備として設けられている。
束貨幣一時保留部313は、束貨幣ドロア311または予備小ドロア312から取り出される束貨幣を一時的に収納する。
例えば、束貨幣ドロア311に収納されている現金が多い場合、束貨幣ドロア311が引き出された状態のまま放置されることは好ましくない。そこで、現金管理ロボット100が束貨幣ドロア311から取り出した束貨幣を束貨幣一時保留部313に一時的に収納させ、束貨幣ドロア311を閉じて動作するようにしてもよい。
【0049】
現金収納部320は、ロボット下部130の内部に現金を収納し、現金の入出を行う。
バラ紙幣処理部321は、バラ紙幣の収納および入出を行う。
バラ紙幣入出金部331、および、バラ紙幣受渡部332は、何れも現金の入出金口として構成される。バラ紙幣入出金部331は、ロボット下部130の筐体の上面に設けられ、マニピュレータ230による現金の入出を受け付ける。一方、バラ紙幣受渡部332は、現金機器910の紙幣受渡部に接続(ドッキング)してマニピュレータ230を介さず直接的に、現金機器910とバラ紙幣の受け渡しを行う。
【0050】
バラ紙幣収納部334は、ロボット下部130の内部にバラ紙幣を金種別に収納し、バラ紙幣収納部334自らにおける入出金を計数し記憶する。
バラ紙幣搬送部333は、バラ紙幣入出金部331とバラ紙幣収納部334との間、および、バラ紙幣受渡部332とバラ紙幣収納部334との間で、バラ紙幣を搬送する。
【0051】
現金管理ロボット100がバラ紙幣受渡部332を用いて現金の受け渡しを行えるためには、相手側の現金機器の現金入出金口の設置位置、大きさ、形状、および、紙幣の搬送の仕組みが、バラ紙幣受渡部332に適合している必要がある。このため、現金管理ロボット100がバラ紙幣受渡部332を用いて現金を受け渡しできる相手機器は、特定の型式の機器に限定される。バラ紙幣受渡部332を使用可能な相手機器に対しては、バラ紙幣受渡部332専用の紙幣搬送機構を用いて自動的に、かつ、マニピュレータ230を用いる場合よりも高速に、紙幣の受け渡しを行うことができる。
【0052】
一方、バラ紙幣受渡部332を使用できない現金機器に対しては、現金管理ロボット100では、マニピュレータ230を用いた遠隔操作によって現金の受け渡しを行うことができる。遠隔操作によって現金の受け渡しを行うことで、現金管理ロボット100に現金受け渡しのための自動制御機構を設ける必要がなく、いろいろな現金機器と現金の受け渡しを行うことができる。
【0053】
バラ硬貨処理部322は、バラ硬貨の収納および入出を行う。
バラ硬貨入金部341は、バラ硬貨の入金口として構成される。バラ硬貨出金部342は、バラ硬貨の出金口として構成される。バラ硬貨入金部341、および、バラ硬貨出金部342は、何れも、ロボット下部130の筐体の上面に設けられ、マニピュレータ230による現金の入出を受け付ける。
【0054】
バラ硬貨収納部344は、ロボット下部130の内部にバラ硬貨を金種別に収納し、バラ硬貨収納部344自らにおける入出金を計数し記憶する。
バラ硬貨搬送部343は、バラ硬貨入金部341とバラ硬貨出金部342との間、および、バラ硬貨出金部342とバラ硬貨収納部344との間で、バラ硬貨を搬送する。
ドッキング機構323は、バラ紙幣受渡部と現金機器910の現金受渡部との接続処理を行う。
束貨幣処理部324は、束貨幣の入出金および計数の処理を行う。
【0055】
鍵収納部350は、各種鍵を収納し管理する。鍵収納部350が、現金機器の鍵を収納することで、操作者は、例えば現金機器の扉を開錠して現金の入出を行うなど、現金機器が施錠されている場合に対応できる。
ただし、鍵収納部350が収納する鍵は、現金機器の鍵に限定されない。現金管理ロボット100が認証機構を備え、鍵収納部350が鍵管理システムとして機能するようにしてもよい。
【0056】
鍵収納部350が、現金管理ロボット100とは別個の装置として構成されていてもよい。例えば、鍵収納部350が鍵管理機として構成され、店舗のバックヤードの壁に掛けられていてもよい。この場合、現金管理ロボット100は、鍵管理機に対向する位置から、遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って鍵管理機を操作して、鍵管理機からの鍵の取り出し、および、鍵管理機への鍵の返却を行うことができる。
【0057】
車輪361は、現金管理ロボット100の走行用車輪である。現金管理ロボット100が、遠隔操作によって走行するようにしてもよいし、自動走行するようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が、遠隔操作による走行と自動走行とを切り替え可能に構成されていてもよい。
走行機構360は、現金管理ロボット100の走行を実行する。走行機構360では、走行駆動部362が車輪361を回転させることで現金管理ロボット100を走行させる。また、走行駆動部362が車輪361の向きを制御することで、現金管理ロボット100の走行方向を調整する。
【0058】
走行補助センサ群370は、距離センサなど現金管理ロボット100の周囲の状況を検知するためのセンサを含んで構成される。走行補助センサ群370のセンサデータは、現金管理ロボット100の走行の制御に用いられる。
【0059】
補助カメラ380は、カメラ211の死角を撮影するために設けられる。
補助カメラ380は、撮影を行って画像データを生成する。補助カメラ380が動画像を撮影するようにしてもよい。補助カメラ380の撮影画像が、現金管理ロボット100の自走などの自動制御に用いられるようにしてもよい。カメラ211の死角になる位置を補助カメラ380が撮影することで、例えば現金管理ロボット100の走行時の障害物を検出することができる。現金管理ロボット100が、補助カメラ380に加えて、あるいは代えて、センサを備えるようにしてもよい。例えば、現金管理ロボット100が、距離センサなど現金管理ロボット100の周囲の物の位置を測定するためのセンサを備えるようにしてもよい。このセンサは走行補助センサ群370に含まれていてもよい。
補助カメラ380の撮影画像が、自動制御の用途に加えて、あるいは代えて、遠隔端末装置600の表示画面に表示され、操作者が現金管理ロボット100を遠隔操作するために用いられるようにしてもよい。
【0060】
補助カメラ380が撮影を行うタイミングは、いろいろなタイミングとすることができる。例えば、現金管理ロボット100(特に、ロボット下部130)が、その外部の障害物等に対して所定距離以内に近接した場合に、補助カメラ380が撮影を行うようにしてもよい。あるいは、金融機関の店舗員など、人が現金管理ロボット100に所定距離以内に近づいた場合に、補助カメラ380が撮影を行うようにしてもよい。あるいは、補助カメラ380が常に撮影を行うようにしてもよい。
補助カメラ380が常に撮影を行う場合、障害物または人等が現金管理ロボット100に接近したときに、補助カメラ380が、警告メッセージなど警告表示情報を含む画像を撮影するようにしてもよい。これにより、例えば現金管理ロボット100の操作者など補助カメラの画像を参照する人は、障害物または人等が現金管理ロボット100に接近したことを、より確実に把握できる。
【0061】
図6は、現金管理ロボット100の外観の第1例を示す図である。図6では、現金管理ロボット100のロボット上部120について、頭部210と、上体部220とが示されている。頭部210について、カメラ211と、マイク212と、スピーカ213とが示されている。上体部220について、2つのマニピュレータ230と、表示装置240とが示されている。マニピュレータ230について、ロボットアーム231と、ロボットハンド232とが示され、ロボットハンド232の指233が示されている。
また、図6では、ロボット下部130が備えるバラ紙幣入出金部331と、バラ紙幣受渡部332と、バラ硬貨入金部341と、バラ硬貨出金部342と、鍵収納部350と、車輪361と、補助カメラ380とが示されている。
【0062】
図7は、現金管理ロボット100の外観の第2例を示す図である。図7は、ロボット下部130について、図6の場合と反対側から見たときの外観の例を示している。一方、ロボット上部120については、図6の場合と同じくロボット上部120のおよそ正面側から見た時の外観の例を示している。
図7の例では、図6の例から、ロボット上部120が、ロボット下部130上で180度回転している。図7の矢印B11およびB12は、ロボット上部120がロボット下部130に対して回転可能に設けられていることを示している。
【0063】
ロボット上部120がロボット下部130に対して回転可能であることで、操作者は、ロボット上部120をいろいろな向きに向けて遠隔操作を行うことができる。例えば、操作者が遠隔操作にてバラ紙幣入出金部331(図6)に対して現金の入出を行う場合、図6の例のように、ロボット上部120をバラ紙幣入出金部331に向けて、マニピュレータ230で現金の入出を行うようにしてもよい。あるいは、操作者が遠隔操作にて鍵収納部350に対して鍵の入出を行う場合、ロボット上部120を鍵収納部350に向けて、マニピュレータ230で鍵の入出を行うようにしてもよい。
【0064】
図7では、ロボット下部130が備える束貨幣ドロア311と、予備小ドロア312と、束貨幣一時保留部313と、図6にも示されている鍵収納部350および車輪361とが示されている。
【0065】
図3のロボット側記憶部180は、各種データを記憶する。ロボット側記憶部180は、現金管理ロボット100が備える記憶デバイスを用いて構成される。
ロボット側制御部190は、現金管理ロボット100の各部を制御して各種処理を行う。ロボット側制御部190の機能は、例えば、現金管理ロボット100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、ロボット側記憶部180からプログラムを読み出して実行することで実行される。
【0066】
上部制御部191は、ロボット上部120を制御する。
下部制御部192は、ロボット下部130を制御する。
認証部193は、例えば顔認証などの人物認証を行う。認証部193が行う人物認証によって、例えば、鍵収納部350が収納する鍵の貸出を要求する人について、要求する鍵の使用権限の有無を判定し、鍵を貸し出すか否かを決定することができる。
鍵取出制御部194は、鍵収納部350が収納する鍵の取り出しおよび鍵収納部350への鍵の返却を管理する。特に、鍵取出制御部194は、鍵収納部350が収納する鍵の貸出を要求する人について、認証部193による認証結果に基づいて、鍵を貸し出すか否かを決定し、貸し出すことに決定した場合は鍵の貸出処理を行う。
【0067】
ドロア制御部195は、束貨幣収納部310が備える各ドロアの制御を行う。特に、ドロア制御部195は、各ドロアの施錠および開錠を制御する。さらに、ドロア制御部195が、ドロアを駆動する駆動機構を制御して、ドロアの開閉を行うようにしてもよい。
管理移転記録処理部196は、現金の管理責任者が異なる機器の間で現金の受け渡しが行われる場合に、管理責任者の移転を記録する。これにより、例えば、管理責任者毎の現金の在り高が適切か確認することができる。
【0068】
図8は、遠隔サーバ装置500の構成の例を示す概略ブロック図である。図8に示す構成で、遠隔サーバ装置500は、遠隔サーバ側通信部510と、遠隔サーバ側記憶部580と、遠隔サーバ側制御部590とを備える。
遠隔サーバ側通信部510は、他の装置と通信を行う。例えば、遠隔サーバ側通信部510は、店舗サーバ装置920が送信する、現金機器910への現金補充要求、および、現金機器910からの現金回収要求を受信する。また、遠隔サーバ側通信部510は、受信した現金補充要求および現金回収要求を、遠隔端末装置600へ送信する。また、遠隔サーバ側通信部510は、遠隔端末装置600から受信する、現金管理ロボット100に対する制御指令を、店舗サーバ装置920を介して現金管理ロボット100へ送信する。
【0069】
遠隔サーバ側記憶部580は、各種データを記憶する。遠隔サーバ側記憶部580は、遠隔サーバ装置500が備える記憶デバイスを用いて構成される。
遠隔サーバ側制御部590は、遠隔サーバ装置500の各部を制御して各種処理を行う。遠隔サーバ側制御部590の機能は、遠隔サーバ装置500が備えるCPUが遠隔サーバ側記憶部580からプログラムを読み出して実行することで実行される。
【0070】
遠隔サーバ側制御部590は、遠隔サーバ側通信部510が、現金補充要求または現金回収要求を受信すると、その現金補充要求または現金回収要求に対応する遠隔端末装置600を決定する。そして、遠隔サーバ側制御部590は、遠隔サーバ側通信部510を制御して、決定した遠隔端末装置600へ現金補充要求または現金回収要求を送信させる。
【0071】
図9は、遠隔端末装置600の構成の例を示す概略ブロック図である。図9に示す構成で、遠隔端末装置600は、端末側通信部610と、表示部620と、操作入力部630と、端末側記憶部680と、端末側制御部690とを備える。表示部620は、カメラモニタ621と、データ表示モニタ622と、補助用モニタ623とを備える。操作入力部630は、ロボット移動用コントローラ631と、上部操作用コントローラ632と、現金処理機構向け指示部633と、ヘッドセット634とを備える。端末側制御部690は、ロボット制御指令部691と、対象判定部692と、提示制御部693とを備える。
【0072】
端末側通信部610は、他の装置と通信を行う。
表示部620は、例えば液晶パネルまたはLEDパネルなどの表示画面を有し、各種画像を表示する。
カメラモニタ621は、カメラ211など現金管理ロボット100のカメラが撮影する画像を表示する。具体的には、カメラモニタ621は、リモート接続した店舗の現金管理ロボット100の各種操作および動作を制御できるように、カメラ211の撮影画像、および、必要に応じて補助カメラ380の撮影画像を表示する。
データ表示モニタ622は、現金管理ロボット100の状態情報など各種データを表示する。例えば、データ表示モニタ622は、現金管理ロボット100の動作状況、および、各種現金機器に対する現金の補充または回収のための指示情報などを表示する。
【0073】
補助用モニタ623は、入出金の対象となっている現金機器910の操作マニュアルまたは操作案内動画など、現金機器910を操作するための情報を表示する。補助用モニタ623は、現金機器910の操作ガイド情報を操作者に提示する提示部の例に該当する。
カメラモニタ621と、データ表示モニタ622と、補助用モニタ623とが、別々の表示画面を有していてもよい。あるいは、カメラモニタ621と、データ表示モニタ622と、補助用モニタ623とのうち何れか2つ以上の機能が、表示画面の分割表示または表示の切り替えなど、同一の表示画面を用いて実行されていてもよい。
【0074】
操作入力部630は、操作者による現金管理ロボット100に対する操作の入力を受け付ける。
ロボット移動用コントローラ631は、現金管理ロボット100の移動制御用の操作入力デバイスである。ロボット移動用コントローラ631が、操作スティック(ジョイスティック、Joystick)を含んで構成されていてもよい。
【0075】
上部操作用コントローラ632は、ロボット上部120をロボット下部130の筐体に対して回転させる動作、および、マニピュレータ230の動作など、ロボット上部120の動作を指示する操作を受け付ける。上部操作用コントローラ632が、グローブ型コントローラまたはモーションキャプチャ(Mothion Capture)など、操作者の腕および手の位置、形状および動作を検出するための入力デバイスを備えていてもよい。そして、ロボット制御指令部691が、マニピュレータ230の姿勢および動作を、操作者の腕および手の姿勢および動作に合わせるように指示する制御指令を出力するようにしてもよい。
【0076】
現金処理機構向け指示部633は、現金管理ロボット100において現金を取り扱う各部に対する操作を受け付ける。例えば、現金処理機構向け指示部633は、現金管理ロボット100内の現金処理部に対する入出金制御の指示を受け付ける。ここでいう現金処理部は、入金および出金など現金に対する処理を行うための機構である。図5の構成で、現金収納部320が現金処理部の例に該当する。現金処理機構向け指示部633が、束貨幣ドロア311などのドロアに対する開錠および引き出し操作を受け付けるようにしてもよい。現金処理機構向け指示部633が、キーボードおよびマウスを含んで構成されていてもよい。
【0077】
ヘッドセット634は、マイクを備えて音声による指示を受け付ける。例えば、ヘッドセット634が、ロボット移動用コントローラ631、上部操作用コントローラ632、および、現金処理機構向け指示部633の各々を有効とするか無効とするかを切り替える音声指示を受け付けるようにしてもよい。
【0078】
またヘッドセット634は、操作者の頭の向き、傾きおよび動作を検出するためのセンサを備えていてもよい。そして、ロボット制御指令部691が、現金管理ロボット100の頭部210の姿勢および動作を、操作者の頭の姿勢および動作に合わせるように指示する制御指令を出力するようにしてもよい。
【0079】
さらに、操作者が両足の操作で、現金管理ロボット100のさらなる動作制御を行えるようにしてもよい。例えば、操作者の足元の位置にアクセルペダルとブレーキペダルが設けられ、現金管理ロボット100の移動および停止を制御できるようになっていてもよい。
1つの遠隔端末装置600と1つの現金管理ロボット100とが通信接続される。遠隔端末装置600から通信接続されている現金管理ロボット100を遠隔操作することができる。
【0080】
端末側記憶部680は、各種データを記憶する。端末側記憶部680は、遠隔端末装置600が備える記憶デバイスを用いて構成される。
端末側制御部690は、遠隔端末装置600の各部を制御して各種処理を行う。端末側制御部690の機能は、遠隔端末装置600が備えるCPUが端末側記憶部からプログラムを読み出して実行することで実行される。
【0081】
ロボット制御指令部691は、現金管理ロボット100に対する制御指令を生成する。ロボット制御指令部691は、操作入力部630が受け付ける操作に基づいて制御指令を生成する。また、ロボット制御指令部691が、所定の時刻に現金管理ロボット100をホームポジションとして定められている位置へ移動させるなど、現金管理ロボット100を自動制御する制御指令を生成するようにしてもよい。ロボット制御指令部691は、生成した制御指令を、端末側通信部610を制御して現金管理ロボット100へ送信させる。
【0082】
対象判定部692は、現金管理ロボット100による操作対象となっている現金機器910を判定する。例えば、対象判定部692は、現金機器910への現金補充要求または現金機器910からの現金回収要求に含まれる、現金機器910の識別情報を読み出すことで、現金管理ロボット100による操作対象となっている現金機器910を判定する。対象判定部692による判定結果は、例えばデータ表示モニタ622に表示される。データ表示モニタ622が、現金管理ロボット100による操作対象となっている現金機器910の情報の1つとして、店舗内の地図を表示し、地図上でその現金機器910の位置を示すようにしてもよい。
また、対象判定部692は、現金管理ロボット100による操作対象となっている現金機器910の型番を判定する。対象判定部692が判定する現金機器910の型番は、補助用モニタ623が表示する操作ガイド等を選択するために用いられる。
【0083】
提示制御部693は、補助用モニタ623を制御して操作ガイド等を表示させる。提示制御部693は、複数の操作ガイドのうち、対象判定部692が判定した現金機器910の型番に該当する操作ガイドを選択する。そして、提示制御部693は、選択した操作ガイドを補助用モニタ623に表示させる。
【0084】
<バラ紙幣処理>
図6に示すように、ロボット下部130の筐体側面のうちの1つの面には、バラ紙幣受渡部332が設けられている。バラ紙幣受渡部332は、現金機器910のバラ紙幣受渡口に接続されて、水平方向にバラ紙幣の受け渡し(入出金)を行う。バラ紙幣受渡部332は、バラ紙幣受渡部332と接続してバラ紙幣の受け渡しを行える現金受渡口を有する現金機器910に適用される。
【0085】
また、図5に示すように、ロボット下部130の筐体内には、バラ紙幣の収納および計数を行うバラ紙幣収納部334が設けられている。バラ紙幣収納部334は、例えば、ロボット下部130の筐体内のうち、バラ紙幣受渡部332よりも下側の部分に設けられる。
さらに、図5に示すように、ロボット下部130の筐体内には、バラ紙幣受渡部332などバラ紙幣の入出金口の各々とバラ紙幣収納部334との間でバラ紙幣を搬送するバラ紙幣搬送部333が設けられている。
【0086】
また、図6に示すように、ロボット下部130の筐体上面には、バラ紙幣入出金部331が設けられている。バラ紙幣入出金部331は、バラ紙幣受渡部332を適用可能な入出金口を有していない現金機器910との現金の受け渡しに用いられる。
現金機器910への現金の補充の場合、バラ紙幣入出金部331では、バラ紙幣収納部334からバラ紙幣搬送部333によって搬送された1枚以上のバラ紙幣が集積状に繰り出される。ここでいう集積状は、紙幣が揃えられて1纏まりになっていることである。マニピュレータ230は、バラ紙幣入出金部331に繰り出されたバラ紙幣を取り出し、取り出した紙幣を現金機器910の紙幣入出金口に投入する。
【0087】
現金機器910からの現金の回収の場合、マニピュレータ230は、現金機器の紙幣入出金口に出金された紙幣を取り出してバラ紙幣入出金部331に投入する。バラ紙幣搬送部333は、バラ紙幣入出金部331に投入された現金をバラ紙幣収納部334へ搬送する。バラ紙幣収納部334は、搬送されたバラ紙幣を収納する。
【0088】
図6の例のように、バラ紙幣入出金部331とバラ紙幣受渡部332とが、ロボット下部130の筐体側面のうち同じ面の側に設けられていてもよい。そして、現金管理ロボット100が、現金機器910とバラ紙幣の受け渡しを行う場合、バラ紙幣の受け渡し相手の現金機器910がこの側面に対向するように、現金管理ロボット100が現金機器910に近付くようにしてもよい。
【0089】
<バラ硬貨処理>
図6に示すように、ロボット下部130の筐体の上面には、さらに、バラ硬貨入金部341とバラ硬貨出金部342とが設けられている。
また、図5に示すように、ロボット下部130の筐体内には、バラ硬貨の収納および計数を行うバラ硬貨収納部344が設けられている。バラ硬貨収納部344は、例えば、ロボット下部130の筐体内のうち下方部分(底面に近い部分)に設けられる。
さらに、図5に示すように、ロボット下部130の筐体内には、バラ硬貨入金部341などバラ硬貨の入出金口の各々とバラ硬貨収納部344との間でバラ硬貨を搬送するバラ硬貨搬送部343が設けられている。
【0090】
現金機器910からのバラ硬貨の回収の場合、マニピュレータ230によって現金機器から回収されたバラ硬貨は、バラ硬貨入金部341に投入される。バラ硬貨入金部341に投入された硬貨は、バラ硬貨搬送部343によってバラ硬貨収納部344へ搬送され、バラ硬貨収納部344によって入金処理される。バラ硬貨搬送部343が、バラ硬貨入金部341からバラ硬貨収納部344への落下通路を含んで構成され、バラ硬貨入金部341に投入された硬貨がバラ硬貨収納部344へ落下するようにしてもよい。
【0091】
現金機器910へのバラ硬貨の補充の場合、バラ硬貨搬送部343によってバラ硬貨収納部344から繰り出されたバラ硬貨は、バラ硬貨出金部342に出金される。バラ硬貨出金部342に出金された現金がマニピュレータ230によって現金機器910に投入される。
図6の例のように、バラ硬貨入金部341とバラ硬貨出金部342とが、ロボット下部130の筐体側面のうち同じ側面の側に設けられていてもよい。そして、現金管理ロボット100が、現金機器910とバラ硬貨の受け渡しを行う場合、バラ硬貨の受け渡し相手の現金機器910がこの側面に対向するように、現金管理ロボット100が現金機器910に近付くようにしてもよい。
【0092】
現金機器910からのバラ硬貨の回収に関して、その現金機器910におけるバラ硬貨の出金が、その現金機器910に備え付けの受け皿等に出金される形式であるときに限り、現金管理ロボット100がバラ硬貨の回収を行うようにしてもよい。一方、現金機器910に固定の受け皿部にバラ硬貨が出金され、受け皿部のバラ硬貨を1枚ずつマニピュレータ230で摘む必要がある場合、現金管理ロボット100によるバラ硬貨の回収を禁止するように、現金管理ロボット100を制御するようにしてもよい。
【0093】
現金機器910からバラ硬貨が受け皿上に出金されると、マニピュレータ230が受け皿を掴み、バラ硬貨入金部341に、受け皿上のバラ硬貨を投入することで、バラ硬貨の回収を行うようにしてもよい。この場合、マニピュレータ230が、現金機器910のバラ硬貨出金部に受け皿を返却するようにしてもよい。
【0094】
また、バラ硬貨収納部344が出金箱にバラ硬貨を繰り出し、バラ硬貨搬送部343が出金箱をバラ硬貨出金部342へ搬送するようにしてもよい。バラ硬貨搬送部343が、バラ硬貨出金部342へ出金箱を繰り出す際、ロボット下部130の筐体の上面またはその近傍まで出金箱を上昇させる。これにより、マニピュレータ230が出金箱を掴めるようになる。
【0095】
マニピュレータ230は、出金箱を掴んでバラ硬貨出金部342から引き出し、現金機器910の硬貨入金口に出金箱内のバラ硬貨を投入する。
現金機器910の硬貨入金口へのバラ硬貨の投入に際しては、2つのマニピュレータ230のうちの一方で出金箱を持ち、他方のマニピュレータ230で出金箱を傾けることで、現金機器910の硬貨入金口へバラ硬貨を投入するようにしてもよい。
【0096】
あるいは、出金箱に下部シャッタと、下部シャッタの開ボタンとが設けられていてもよい。2つのマニピュレータ230のうちの一方で出金箱を持ち、他方のマニピュレータ230で下部シャッタの開ボタンを操作することで下部シャッタを開き、出金箱の直下にバラ硬貨を放出させることで、現金機器910の硬貨入金口にバラ硬貨を投入するようにしてもよい。
現金機器910の硬貨入金口の大きさによっては、現金管理ロボット100によるバラ硬貨の補充を禁止するように、現金管理ロボット100を制御するようにしてもよい。
【0097】
<束貨幣処理>
図7に示すように、ロボット下部130の筐体の側面のうちバラ紙幣受渡部332が設けられる側面と異なる側面に、束貨幣ドロア311など、束貨幣を収納する引き出し式の収納部が設けられている。図7の例のように、ロボット下部130の筐体の側面のうちバラ紙幣受渡部332が設けられる側面と反対側の面に束貨幣ドロア311が設けられていてもよいが、これに限定されない。
【0098】
図7の例では、ロボット下部130の筐体の側面のうち中段から上部に、上下方向に複数段の束貨幣ドロア311が設けられている。束貨幣ドロア311は、金種毎に所定枚数の紙幣が束ねられた小束紙幣と、同じく金種毎に所定枚数の硬貨が包装された棒金硬貨とを収納する。束貨幣ドロア311は、束紙幣または棒金硬貨を、束紙幣または棒金硬貨の束本数ないしは枚数または金額を把握できる状態で計数管理して収納する。
【0099】
現金管理ロボット100が現金機器910に束貨幣を供給する場合、現金管理ロボット100が、バラ紙幣受渡部332が設けられている側面が現金機器910に対向するように、現金機器910に近付くようにしてもよい。バラ紙幣受渡部332が設けられている側面が現金機器910に対向している状態で、ロボット上部120が、束貨幣ドロア311が設けられている側面のほうを向き、マニピュレータ230を伸ばして、必要とする束貨幣ドロア311を引き出すようにしてもよい。
そして、マニピュレータ230が、必要とする束貨幣を束貨幣ドロア311から取り出した後、ロボット上部120が現金機器910の方へ向き、現金機器910に束貨幣を供給する。
【0100】
現金管理ロボット100が備える複数段のドロアは、すべて同じ大きさおよび容積を有していてもよい。あるいは、図7の束貨幣ドロア311および予備小ドロア312のように、最上段のドロアのみを小さく容積の少ない構成としてもよい。さらには、束貨幣ドロア311などのドロアが、束貨幣に限らず、少数枚のバラ紙幣またはバラ硬貨を収納できるようにしてもよい。
【0101】
束貨幣ドロア311からの束貨幣の取り出しの際、取り出す束貨幣の量が多い場合、ロボット上部120の回転回数が多くなり、ドロアの開状態が長く続いて、この点で安全性が低下することが考えられる。この場合、マニピュレータ230が、束貨幣ドロア311から束貨幣を取り出し、取り出した束貨幣を束貨幣一時保留部313に一時的に収納させて、束貨幣ドロア311を速やかに閉じるようにしてもよい。そして、マニピュレータ230が、束貨幣一時保留部313内の束貨幣を、現金機器910に供給するようにしてもよい。
【0102】
束貨幣一時保留部313が、束貨幣のみならず、バラ紙幣またはバラ硬貨も一時的に収納するようにしてもよい。束貨幣一時保留部313は、貨幣の収納または取り出し以外のときは、ロボット下部130の筐体内に押し込まれて閉じる。これにより、束貨幣一時保留部313に収納した貨幣の安全を確保する。
【0103】
束貨幣のドロアが現金管理ロボット100に多数段配置される場合、マニピュレータ230が、最下方のドロアの引き出しおよび押し込みを行える必要があり、さらに、最下方のドロアの束貨幣の取り出しおよび収納を行える必要がある。この場合、マニピュレータ230が伸縮できる構成となっていてもよい。あるいは、ロボット上部120が前方に屈むことができるようにしてもよい。
【0104】
束貨幣ドロア311などのドロアの引き出しおよび押し込みについて、マニピュレータ230が、ドロアの引き出しおよび押し込みを行うようにしてもい。あるいは、現金管理ロボット100が、ドロアの引き出しおよび押し込みを行うための、モーターなどの駆動機構が設けられていてもよい。そして、束貨幣ドロア311などのドロアの引き出しおよび押し込みを駆動機構が行うようにしてもよい。
【0105】
上記のように、束貨幣のドロアがロボット下部130の筐体のうち上側に配置され、バラ紙幣収納部334およびバラ硬貨収納部344が、ロボット下部130の筐体のうち下側に配置されていてもよいが、これに限定されない。例えば、束貨幣のドロアがロボット下部130の筐体のうち下側に配置され、バラ紙幣収納部334およびバラ硬貨収納部344が、ロボット下部130の筐体のうち上側に配置されていてもよい。
【0106】
また、現金管理ロボット100内で束貨幣を搬送可能な場合、ロボット下部130の筐体内に束貨幣の収納部が設けられ、ロボット下部130の筐体の上面に束貨幣の入出金口が設けられていてもよい。さらに、束貨幣の収納部と入出金口との間で束貨幣を搬送する搬送部が設けられていてもよい。
【0107】
<走行構造>
図5に示すように、現金管理ロボット100は、車輪361および走行駆動部362を含む走行機構360を備える。現金管理ロボット100は、走行機構360を用いて、店舗内に配置される各種の現金機器910へのアクセスを自律的にまたはリモート制御(遠隔制御)の下で行う。現金管理ロボット100が自走する場合、図5の走行補助センサ群370および補助カメラ380が自走用に用いられてもよい。さらに、カメラ211も現金管理ロボット100の自走用に用いられてもよい。
【0108】
現金管理ロボット100による自律動作は、例えば走行駆動部362など、現金管理ロボット100の内部に設けられた制御機構による自動制御で行われてもよい。
現金管理ロボット100の遠隔制御は、遠隔端末装置600または遠隔サーバ装置500など、現金管理ロボット100の外部に設けられた制御機構による自動制御で行われてもよい。あるいは、現金管理ロボット100の遠隔制御は、遠隔端末装置600での操作者の操作など、有人制御で行われてもよい。
現金管理ロボット100の内部に設けられた制御機構による現金管理ロボット100の自動制御、および、現金管理ロボット100の外部に設けられた制御機構による現金管理ロボット100の自動制御を総称して、現金管理ロボット100の自動制御、または単に自動制御と称する。
【0109】
<ロボットの自動制御>
ロボット上部120の動作が、例えばロボット下部130との関係において予め用意されるプログラミングに基づいて制御されていてもよい。例えば、ロボット上部120が所定の姿勢をとる場合、ロボット上部120の各部と、バラ紙幣入出金部331、バラ硬貨入金部341、バラ硬貨出金部342、束貨幣ドロア311、および、予備小ドロア312の各々との位置関係は、予め求めておくことができる。この位置関係に基づいて、バラ紙幣入出金部331、バラ硬貨入金部341、バラ硬貨出金部342、束貨幣ドロア311、および、予備小ドロア312の何れかから現金を取り出す処理、および、これらの何れかに現金を投入する処理を予めプログラミングしておくことができる。
【0110】
このように、現金管理ロボット100の動作のうち一部の動作について、予めプログラミングしておき、現金管理ロボット100が自律的に動作するよにすることができる。例えば、現金管理ロボット100が、所定の現金機器910の位置へ自走するようにしてもよい。また、所定の現金機器910に対する所定の操作について、現金管理ロボット100の動作を予めプログラミングしておき、現金管理ロボット100が、その動作を自律的に行うようにしてもよい。
【0111】
一方、現金機器910の種類が多い場合、または、新たな種類の現金機器910がある場合など、全ての現金機器910について、および、現金機器910に対する全ての操作について予めプログラミングしておくことが現実的でない場合が考えられる。また、現金管理ロボット100の動作が予めプログラミングされている場合でも、障害物が置かれているなど現金管理ロボット100の動作環境によっては、現金管理ロボット100がプログラムに従って自律動作することができない場合が考えられる。
これに対して店舗現金管理システム1では、操作者が現金管理ロボット100を遠隔操作することで、現金管理ロボット100が自律的に動作できない場合に対応し得る。
【0112】
<遠隔端末装置>
上記のように、現金管理ロボット100の動作の一部について予めプログラミングしておくことで現金管理ロボット100が自律的に動作することが考えられるが、現金管理ロボット100が行う動作のうち、現金管理ロボット100が自律的に実行可能な動作は少ないものと思われる。
【0113】
現金管理ロボット100が自律的に動作できない場合、操作者が遠隔操作にて現金管理ロボット100を操作する。例えば、現金管理ロボット100が金融機関の店舗で用いられる場合、その金融機関の本部または現金センターの担当者が、現金管理ロボット100を遠隔操作するようにしてもよい。あるいは、その金融機関と契約した警送会社の管理センターの担当者が、現金管理ロボット100を遠隔操作するようにしてもよい。
以下では、遠隔端末装置600が設置される遠隔操作拠点をセンターとも称する。
【0114】
<センターの遠隔端末装置への指示~リモート接続の確立>
以下、センターの管理担当者が現金管理ロボット100を遠隔操作する場合を例に説明する。ただし、現金管理ロボット100の操作者は特定の人に限定されない。
一般的に、金融機関の各店舗の各種の現金機器910は、少なくとも一つの店舗内制御部に接続されてその在り高が管理される。図1の構成では、店舗サーバ装置920が店舗内制御部の例に該当する。
店舗サーバ装置920は、各種の現金機器910の在り高の変遷を監視しつつ、必要に応じて、現金機器910への現金の補充処理または回収処理を計画し実行指示を遠隔サーバ装置500へ送信する。
【0115】
ここで、金融機関において、業務開始前に現金機器に現金を補充し、業務終了後に現金機器から現金を回収するということが一般的に行われている。一方、現金機器内に現金を残した状態で当日の業務を終了し、翌日に、残した現金に基づいて業務を開始する、いわゆる残置対応を行うことが増えてきている。残置対応では、定時における現金の補充処理および回収処理は行われない点で、現金の補充処理または回収処理を必要とする時間帯を特定しにくい。
【0116】
現金の補充処理または回収処理を必要とする時間帯を特定しにくいことで、1つの店舗だけでなく複数の店舗を纏めて対応する場合でも、現金の補充処理または回収処理を必要とするタイミングが重なることが少ないと考えられる。これにより、1人の管理担当者が、複数の店舗の現金機器に対する現金の補充処理または回収処理を担当し易いことが考えられる。
【0117】
図1の構成で、遠隔サーバ装置500に対して、各現金機器910または各現金機器910の情報を纏めている店舗サーバ装置920から、各店舗の各現金機器910に対する現金の補充処理または回収処理に関する指示情報が、次々と入力され得る。
遠隔サーバ装置500は、入力された指示情報に基づいて、また、必要に応じて、店舗毎の対応優先度情報に基づいて、遠隔操作対象の1つの店舗と1つの遠隔端末装置600に割り当てるように、割り当てを決定する。そして、遠隔サーバ装置500は、決定した割り当てに応じて、店舗からの指示情報を遠隔端末装置600へ転送する。1つの店舗に複数の現金管理ロボット100がある場合、遠隔サーバ装置500が、現金管理ロボット100毎に遠隔端末装置600を割り当てるようにしてもよい。
【0118】
店舗からの指示情報の転送を受けた遠隔端末装置600では、管理担当者が遠隔端末装置600に対して情報確認操作を行うことで、指示情報に対する対応が開始される。具体的には、その遠隔端末装置600から遠隔サーバ装置500へ、対応開始が通知される。対応開始の通知を受けた遠隔サーバ装置500が、店舗サーバ装置920を介して現金管理ロボット100と遠隔端末装置600とを通信接続する。これにより、遠隔端末装置600と現金管理ロボット100とがリモート接続される。
【0119】
遠隔端末装置600が現金管理ロボット100とリモート接続されることで、遠隔端末装置600の端末側制御部690と、現金管理ロボット100のロボット側制御部190とが連携準備段階に入る。ここでいう連携準備段階は、現金管理ロボット100が、遠隔端末装置600から遠隔操作してよい状態にあるか確認する段階である。
遠隔端末装置600と現金管理ロボット100とのリモート接続開始時には、その遠隔端末装置600からは、その現金管理ロボット100の遠隔操作は行われていないと考えられる。一方、その現金管理ロボット100が待機状態にあるとは限らず、何らかの自律動作を行っている可能性、および、他の遠隔端末装置600による遠隔制御中である可能性がある。
【0120】
遠隔端末装置600がリモート接続した現金管理ロボット100が自律動作を行っている場合、一連の作業を終了したタイミングなど、自立動作を中断または終了させられるタイミングで、遠隔端末装置600からの遠隔制御に切り替えることが考えられる。遠隔端末装置600がリモート接続した現金管理ロボット100が、他の遠隔端末装置600の遠隔制御で動作している場合、当該他の遠隔端末装置600の遠隔制御が終了した後、後からリモート接続したほうの遠隔端末装置600からの遠隔制御に切り替えることが考えられる。このように連携準備状態では、遠隔端末装置600は、リモート接続した現金管理ロボット100が、遠隔端末装置600から遠隔操作してよい状態にあるか確認し、かかる状態に無い場合は、かかる状態になるのを待ち受ける。そして、遠隔端末装置600は、リモート接続した現金管理ロボット100が、遠隔端末装置600から遠隔操作してよい状態にあることを確認すると、その現金管理ロボット100の遠隔制御を開始する。
【0121】
なお、連携準備段階の直前までにあっては、遠隔端末装置600とリモート接続される前の現金管理ロボット100が、待機状態になっていてもよいし、自律的に動作できる範囲で動作するようにしてもよい。そして、連携準備段階に入ることで、遠隔端末装置600は、現金管理ロボット100が待機状態にあるときは直ちに、他方、現金管理ロボット100が自律的に動作している状況にあっては、当該自律的動作を、適切な段階で中断ないしは終了させてから、遠隔端末装置600自らとのリモート接続を確立させる。
【0122】
<遠隔端末装置による制御開始>
遠隔端末装置600と現金管理ロボット100とがリモート接続され、上記の連携準備段階になると、遠隔操作対象の店舗の状況、指示情報、および、現金管理ロボット100の動作状況が適宜データ表示モニタ622に表示される。また、カメラ211の撮影画像が、カメラモニタ621に表示される。
【0123】
リモート接続時に、現金管理ロボット100が自律的に何らかの作業を行っている場合、管理担当者が、現金管理ロボット100の作業状況をカメラモニタ621で確認し、作業の内容をデータ表示モニタ622で確認するようにしてもよい。そして、管理担当者が、現金管理ロボット100が実行中の作業の中断、または、当該作業の終了待ちの何れかを選択するようにしてもよい。
【0124】
管理担当者が現金管理ロボット100の作業の中断を選択した場合、現金管理ロボット100が作業を中断しても、例えば現金管理の面などで安全な状態となるように、現金管理ロボット100が自律的に作業を行うようにしてもよい。この場合、現金管理ロボット100が作業を継続している間は、遠隔端末装置600からの現金管理ロボット100の遠隔操作を行えないようにしてもよい。
【0125】
例えば、現金管理ロボット100が、バラ紙幣受渡部332にて現金機器910に接続して自律的に現金の補充または回収を行っている場合について考える。この場合、作業中断の指示を受けた現金管理ロボット100が、現金の補充または回収の実施状況を、中断時のデータとして記憶した後、遠隔端末装置600から現金管理ロボット100を遠隔操作可能となるようにしてもよい。
【0126】
そして、現金管理ロボット100が遠隔端末装置600からリモート制御してよい状態にあることが確認され、現金管理ロボット100に対するリモート制御が開始されると、端末側制御部690とロボット側制御部190とが連携する。また、カメラモニタ621及びデータ表示モニタ622に「制御可」または「制御下」など、リモート制御実行中であることを示すメッセージが表示される。また、店舗サーバ装置920からの指示情報がデータ表示モニタ622にに表示され、管理担当者は、指示情報に従って遠隔操作を行う。遠隔端末装置600は、管理担当者の遠隔操作に従って、現金管理ロボット100をリモート制御する。
【0127】
なお、現金管理ロボット100は、リモート制御開始時に、その時点における現金管理ロボット100自らの内部のバラ貨幣を収納する現金収納部320の在り高、および、束貨幣収納部310の在り高を把握しているものとする。
例えば、ある現金機器910への現金の補充を要する場合、ロボット側制御部190は、その時点の現金管理ロボット100内の現金在り高と、指示情報で指示された現金機器への補充情報とを自動的に比較し、現金管理ロボット100内の現金在り高だけで現金の補充が可能か否かを判定する。ロボット側制御部190は、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500を介して判定結果をデータ表示モニタ622に表示させる。また、ロボット側制御部190は、現金管理ロボット100内の現金在り高だけで補充可と判定した場合、現金補充対象の現金機器への移動の指示を、データ表示モニタ622に表示させる。
【0128】
一方、ロボット側制御部190は、現金管理ロボット100内の現金在り高だけでは補充不可能と判定した場合、出納系機器から現金管理ロボット100への現金補充を先に行うことに決定する。この場合、ロボット側制御部190は、出納系機器への移動の指示を、データ表示モニタ622に表示される。
また、現金管理ロボット100は、現金管理ロボット100自らの内部のバラ貨幣を収納する現金収納部320および束貨幣収納部310の収納限度容量も把握している。
【0129】
例えば、ある現金機器910から現金の回収を要する場合、ロボット側制御部190は、その時点の現金管理ロボット100内の現金在り高と収納限度容量とから割り出される当該時点回収限度容量と、指示情報で指示された現金機器からの回収情報とを自動的に比較し、現金管理ロボット100内の当該時点回収限度容量だけで現金の回収が可能か否かを判定する。ロボット側制御部190は、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500を介して判定結果をデータ表示モニタ622に表示させる。また、ロボット側制御部190は、現金管理ロボット100内の当該時点回収限度容量だけで回収可と判定した場合、現金補充対象の現金機器への移動の指示を、データ表示モニタ622に表示させる。
【0130】
一方、ロボット側制御部190は、現金管理ロボット100内の当該時点回収限度容量では回収不可能と判定した場合、現金管理ロボット100から出納系機器への現金回収を先に行うことに決定する。この場合、ロボット側制御部190は、出納系機器への移動の指示を、データ表示モニタ622に表示される。
なお、指示情報を表示するなど指示を管理担当者に通知する場合、データ表示モニタ622が指示を表示することに加えて、あるいは代えて、音声による通知を行うようにしてもよい。例えば、ヘッドセット634が指示を音声にて出力するようにしてもよい。
【0131】
<補充処理>
現金管理ロボット100内の現金在り高だけで現金補充対象の現金機器910への現金補充が可能な場合、管理担当者は、指示に従って、現金管理ロボット100移動させる遠隔操作を行う。具体的には、管理担当者は、現金管理ロボット100を指示された現金機器910へと移動させるように、ロボット移動用コントローラ631を操作する。ロボット移動用コントローラ631が、操作スティックで操作を受け付けるようにしてもよい。
【0132】
あるいは、現金管理ロボット100が、設置店舗の機器配置を予め記憶しておくか、あるいは、設置店舗の機器配置を常に学習し記憶するようにしてもよい。この場合、管理担当者が、遠隔端末装置600で指示ボタン操作または音声指示で、現金管理ロボット100の移動先を指示するようにしてもよい。
【0133】
あるいは、現金管理ロボット100が、管理担当者の操作を必要とせずに現金補充対象の現金機器910へ移動するようにしてもよい。例えば、端末側制御部690が、現金補充対象の現金機器910の識別情報を指示情報から読み出して、現金管理ロボット100の移動先として現金補充対象の現金機器910を指定するようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が、現金補充対象の現金機器910の識別情報を店舗サーバ装置920から読み出して、自律的に移動を行うようにしてもよい。
【0134】
データ表示モニタ622が表示するデータに、対応対象の現金機器910の情報が含まれる。ここでいう対応対象の現金機器910は、現金管理ロボット100がこれから対応する現金機器910である。
データ表示モニタ622は、対応対象の現金機器910の情報として、例えば、「メーカー:A社、型式:BCD12、種別:窓口用貨幣入出金機、ドッキング可否:可、・・・」といった情報を表示する。この情報により、遠隔サーバ側制御部590、および、端末側制御部690の何れでも、対応対象の現金機器910が、現金管理ロボット100のバラ紙幣受渡部332と接続対応可能な仕様構造であるか否かを把握し得る。
【0135】
また、店舗サーバ装置920から遠隔サーバ装置500を介して遠隔端末装置600へ通知される指示情報により、対応対象の現金機器910におけるバラ紙幣の補充または回収の要否が示される。この情報により、遠隔サーバ側制御部590、および、端末側制御部690の何れでも、対応対象の現金機器910に対してバラ紙幣の補充または回収を行う必要があるか否かを把握し得る。
【0136】
これらの情報に基づいて、対応対象の現金機器910が、現金管理ロボット100のバラ紙幣受渡部332に対応可能な仕様構造であって、かつ、バラ紙幣についての補充または回収の少なくともいずれか一方が必要である場合、現金管理ロボット100は、対応対象の現金機器に対して、バラ紙幣受渡部332を用いて自律的にバラ紙幣の補充または回収を行う。
【0137】
現金管理ロボット100は、指示された現金機器910と対向する位置に移動すると、バラ紙幣受渡部332と当該現金機器910のバラ紙幣受渡機構とを接続させる。すなわち、現金管理ロボット100は、バラ紙幣受渡部332と当該現金機器910とのドッキング動作を行う。
【0138】
それ以外の場合、及び、何らかの障害等によりドッキング動作を完了し得ない場合、現金管理ロボット100がドッキング動作を行う必要は無い。この場合、対応対象の現金機器910に対して遠隔操作等が可能なように、現金管理ロボット100が対応対象の現金機器910に接近すればよい。
【0139】
<ドッキング動作による現金機器へのアクセス>
現金管理ロボット100が、現金機器910とドッキングできた場合、ロボット側制御部190と、現金機器910の制御部とが連携して動作するようにしてもよい。ここでいうドッキングは、現金管理ロボット100が、バラ紙幣受渡部332にて現金機器910と接続して現金を受け渡し可能な状態になることである。
【0140】
この場合、ロボット側制御部190と現金機器の制御部とが連携して動作して、バラ紙幣についての補充処理または回収処理を自動的に開始し、処理の結果を記録するようにしてもよい。バラ紙幣についての補充処理または回収処理が終了した場合、現金管理ロボット100と現金機器910との各制御部は、それぞれの動作記録と機器内の現金の在り高とを更新して記憶する。この場合の動作記録に、カメラ映像が含まれていてもよい。
また、これらの都度の動作記録と都度の在り高情報とは、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500でも記録される。この情報は、指示情報に対する進捗管理に使用される。
【0141】
なお、バラ紙幣の補充処理または回収処理に関して、現金管理ロボット100が、バラ紙幣の補充処理のみを行う場合、バラ紙幣の回収処理のみを行う場合、および、バラ紙幣の補充処理および回収処理の両方を行う場合が考えられる。例えば、現金管理ロボット100が、一部または全部の金種の紙幣について補充処理を行うようにしてもよい。また、現金管理ロボット100が、一部または全部の金種の紙幣について回収処理を行うようにしてもよい。また、現金管理ロボット100が、一部の金種の紙幣については補充処理を行い、他の一部またはすべての金種の紙幣については回収処理を行うようにしてもよい。何れの場合も、現金管理ロボット100が補充処理も回収処理のいずれも行わない金種があってもよい。
【0142】
この点は、バラ硬貨、および、束貨幣についても同様である。
また、ドッキング動作を行っても補充処理または回収処理を行うことができないバラ硬貨や束貨幣については、現金管理ロボット100は、以下の動作により、補充処理または回収処理を実行する。
【0143】
<ドッキング動作によらない現金機器へのアクセス>
ドッキング動作の有無に関わらず、ロボット側制御部190が、対応対象の現金機器910の制御部と連携を開始する。例えば、リモート制御の開始時に、ロボット側制御部190と対応対象の現金機器910の制御部とが連携を開始するようにしてもよい。
この場合、従来、店舗員または警送会社の担当員が処理の開始時に行っているような、現金機器への認証処理は行う必要がなく、ロボット側制御部190と、対応対象の現金機器910の制御部とが連携することが認証処理に相当するものとして扱うことができる。
【0144】
従来の方法であれば、予め定められたログインIDおよびパスワードなどの認証情報の入力操作で、現金機器910へのアクセスが可能になる。これに対し、現金管理ロボット100では、同様の認証処理は不要であり、例えば、現金管理ロボット100が、現金機器910への現金の補充処理または回収処理を行うことを現金機器910に記憶させることができればよい。
【0145】
認証の代わりに、少なくとも、補充処理または回収処理が行われる現金機器910に対しては、現金管理ロボット100による占有が指示されるようにしてもよい。これにより、現金管理ロボット100による現金機器910に対する補充処理または回収処理が終了するまでの間、店舗員などの操作による現金の入出金等の処理は実行不可となっていてもよい。
【0146】
<現金管理ロボットによる補充処理>
現金管理ロボット100をリモート制御するセンターの管理担当者は、データ表示モニタ622に表示される指示情報に従い、現金機器910に対するバラ紙幣の補充処理が必要か否かを判定する。補充が必要な場合、管理担当者の遠隔操作により、指示情報に含まれるバラ紙幣の補充データに従って、現金管理ロボット100内のバラ紙幣処理部321により、バラ紙幣入出金部331に向けて出金させる。
あるいは、ロボット側制御部190が自律的に、かかる出金動作を行うようにしてもよい。なお、前記したように、この場合は、現金管理ロボット100内で保持するバラ紙幣の量(現時点収納量)が指示情報に含まれるバラ紙幣の補充データが示す補充必要量(補充すべき量)を満たすことが必要である。すなわち、現時点収納量が必要補充量以上存在することが前提となる。
【0147】
何れの場合も、バラ紙幣入出金部331への出金が完了し、バラ紙幣入出金部331からバラ紙幣をいつでも取り出せる状態になると、データ表示モニタ622がバラ紙幣の出金完了状態を表示する。遠隔端末装置600が、バラ紙幣の出金完了状態を、データ表示モニタ622の表示に加えて音声で報知するようにしてもよい。
【0148】
現金管理ロボット100の管理担当者は、補充すべきバラ紙幣の取り出しが可能な状態になったことを確認すると、例えば、音声指示によってバラ紙幣入出金部331のシャッタを開かせる。そして、管理担当者は、上部操作用コントローラ632を用いてマニピュレータ230を遠隔操作して、バラ紙幣入出金部331に出金されたバラ紙幣を取り出す。例えば、管理担当者が、上部操作用コントローラとしてグローブ型コントローラを用いて、マニピュレータ230の遠隔操作を行うようにしてもよい。
【0149】
バラ紙幣がバラ紙幣入出金部331より取り出されると、シャッタが閉じられる。
この取り出し動作に合わせて、あるいは、管理担当者の音声指示により、ロボット側制御部190が、現金機器910の制御部と連携して、対応対象の現金機器910のバラ紙幣取引部のシャッタを開かせる。そして、現金管理ロボット100は、管理担当者の遠隔操作に従って、マニピュレータ230が所持するバラ紙幣を投入する。
【0150】
これらの一連の動作状況は、例えば、管理担当者がカメラモニタで監視しながら行われる。対応対象の現金機器910に対するバラ紙幣の投入が完了した後、例えば管理担当者の音声指示などによる遠隔操作に従って、対応対象の現金機器910のバラ紙幣取引部のシャッタを閉じさせる。これにより、対応対象の現金機器910に対する現金の補充処理動作が完了する。
【0151】
<現金管理ロボットによる回収処理>
現金管理ロボット100を遠隔操作するセンターの管理担当者が、データ表示モニタ622に表示される指示情報に従い、現金機器910に対するバラ紙幣の回収処理が必要か否かを判定する。回収処理が必要な場合、管理担当者の遠隔操作により、指示情報に含まれるバラ紙幣の回収データに基づくバラ紙幣の出金を、現金機器910の制御部に指示し、現金機器910のバラ紙幣処理部により、バラ紙幣取引部に向けて出金させる。
【0152】
あるいは、ロボット側制御部190と現金機器910の制御の連携により、この現金機器910による出金動作を自律的に行うようにしてもよい。なお、前記したように、この場合は、現金管理ロボット100内に新たに受け入れることができるバラ紙幣の量(当該時点回収限度容量、または現時点空き容量とも表現できる)が指示情報に含まれるバラ紙幣の回収データが示す必要回収量(回収すべき量)を満たすことが必要である。すなわち、現時点空き容量が、必要回収量以上存在することが前提となる。
何れの場合も、対応対象の現金機器910のバラ紙幣取引部への出金が完了し、いつでも取り出せる状態になると、データ表示モニタ622がバラ紙幣の出金完了状態を表示する。遠隔端末装置600が、バラ紙幣の出金完了状態を、データ表示モニタ622の表示に加えて音声で報知するようにしてもよい。
【0153】
現金管理ロボット100の管理担当者は、回収すべきバラ紙幣の取り出しが可能な状態になったことを確認すると、例えば、音声指示によってバラ紙幣取引部のシャッタを開かせる。そして、管理担当者は、上部操作用コントローラ632を用いてマニピュレータ230を遠隔操作して、対応対象の現金機器910のバラ紙幣取引部に出金されたバラ紙幣を取り出す。例えば、管理担当者が、上部操作用コントローラとしてグローブ型コントローラを用いて、マニピュレータ230の遠隔操作を行うようにしてもよい。
【0154】
バラ紙幣がバラ紙幣取引部より取り出されると、シャッタが閉じられる。
この取り出し動作に合わせて、あるいは、管理担当者の音声指示により、現金管理ロボット100のバラ紙幣入出金部331のシャッタを開かせる。そして、現金管理ロボット100は、管理担当者の遠隔操作に従って、マニピュレータ230が所持するバラ紙幣を投入する。
【0155】
これらの一連の動作状況は、例えば、管理担当者がカメラモニタで監視しながら行われる。バラ紙幣入出金部331に対するバラ紙幣の投入が完了した後、例えば管理担当者の音声指示などによる遠隔操作に従って、現金管理ロボット100のバラ紙幣入出金部331のシャッタを閉じさせる。これにより、対応対象の現金機器910に対する現金の回収処理動作が完了する。
【0156】
これらの補充処理及び回収処理の場合も、現金管理ロボット100と現金機器910との各制御部は、それぞれの動作記録と機器内の現金の在り高とを更新して記憶する。この場合の動作記録に、カメラ映像が含まれていてもよい。
また、これらの都度の動作記録と都度の在り高情報とは、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500でも記録される。この情報は、指示情報に対する進捗管理に使用される。
【0157】
<現金管理ロボットによるバラ硬貨についての補充処理または回収処理>
対応対象の現金機器910に対して、バラ硬貨の補充処理が指示されている場合、バラ硬貨処理部322が、バラ硬貨出金部342内の着脱可能なバラ硬貨出金箱へ補充硬貨を出金する。その後、バラ硬貨処理部322は、バラ硬貨出金部342のシャッタを開き、バラ硬貨出金箱がシャッタ開口部より突出すると、マニピュレータ230が出金箱の取っ手を持ち、出金箱を取り出す。
【0158】
この取り出し動作に合わせて、あるいは、管理担当者の音声指示により、ロボット側制御部190が、現金機器910の制御部と連携して、対応対象の現金機器910のバラ硬貨投入口を開く。そして、出金箱を保持する方とは異なる他方のマニピュレータ230が出金箱を傾けて、対応対象の現金機器910のバラ硬貨投入口に出金箱の補充硬貨を投入する。あるいは、出金箱を保持する方とは異なる他方のマニピュレータ230が、出金箱の底板を開くことで、対応対象の現金機器910のバラ硬貨投入口に出金箱の補充硬貨を投入するようにしてもよい。
【0159】
補充硬貨の投入を受けた現金機器910は、硬貨の投入を自動的に検出すること、または、管理担当者の音声指示などの指示により、シャッタを閉じた後、投入されたバラ硬貨の補充処理を実行する。
一方、バラ硬貨の回収処理が指示されている場合、対応対象の現金機器910からバラ硬貨の出金口にある出金受け皿上に硬貨が放出される。放出終了の情報が通知された後、マニピュレータ230が管理担当者の遠隔操作に従って出金受け皿を取り出す。また、現金管理ロボット100は、バラ硬貨入金部341のシャッタを開いて、マニピュレータ230に出金受け皿上のバラ硬貨を投入させる。
【0160】
バラ硬貨の投入を受けた現金管理ロボット100のバラ硬貨処理部322は、投入されたバラ貨幣の回収処理を行う。
これらバラ硬貨における補充処理または回収処理の場合も、現金管理ロボット100と現金機器910との各制御部は、それぞれの動作記録と機器内の現金の在り高とを更新して記憶する。この場合の動作記録に、カメラ映像が含まれていてもよい。
【0161】
また、これらの都度の動作記録と都度の在り高情報とは、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500でも記録される。この情報は、指示情報に対する進捗管理に使用される。
なお、現金機器910の金庫型の収納箱によって、バラ硬貨の補充処理または回収処理が可能であり、かつ、現金管理ロボット100も収納箱によるバラ硬貨の補充処理または回収処理が可能である場合、現金管理ロボット100が、管理担当者の遠隔操作に従って、収納箱による補充処理または回収処理を行うようにしてもよい。
【0162】
前記したように、バラ硬貨の補充処理についても、現金管理ロボット100内で保持するバラ硬貨の量(現時点収納量)が指示情報に含まれるバラ硬貨の補充データが示す必要補充量を満たすことが必要である。すなわち現時点収納量が必要補充量以上存在することが前提となる。バラ硬貨の回収処理についても、現金管理ロボット100内に新たに受け入れることができるバラ硬貨の量(現時点空き容量)が指示情報に含まれるバラ硬貨の回収データが示す必要回収量を満たすことが必要である。すなわち現時点空き容量が必要回収量以上存在することが前提となる。
【0163】
<現金管理ロボットによる束貨幣の補充処理または回収処理>
店舗で使用される現金機器910の一部には、例えば、両替機のように、所定枚数の硬貨が集積状態で包装紙によって束ねられた棒金(束貨幣)を収納して放出できる装置がある。また、現金バスと呼ばれる現金機器910では、店舗内での現金の移動のしやすさを考慮して、棒金または所定枚数の紙幣が、集積状態で結束帯によって束ねられた小束(束貨幣)を収納または取り出し可能である。現金管理ロボット100が、これらの現金機器910に対する束貨幣の補充処理または回収処理を行うようにしてもよい。
【0164】
また、現金管理ロボット100が、後述する出納系機器との間でも、束貨幣の収納処理または取り出し処理を行うようにしてもよい。
そして、束貨幣の補充処理または回収処理についても、現金管理ロボット100が、当該時点収納量または当該時点空き容量との比較で、直ちに現金機器910との処理を実行するようにしてもよいし、出納系機器との間での処理後に、現金機器910との処理を実行するようにしてもよい。
【0165】
なお、両替機の現金については、通常、店舗側で管理される現金が用いられるので、窓口機と同一視する。
ここでは、補充処理または回収処理に対して、収納処理または取り出し処理と言う用語を用いている。いずれも、前者は相手方の機器に対して現金を供給することを意味し、後者は相手方の機器から現金を取り出すことを意味する。
【0166】
なお、一般的には、出納系機器が大元(基準)となって、現金の入出に対する表現が使用される。
遠隔端末装置600からのリモート制御により、現金管理ロボット100が束貨幣を取り扱う現金機器910に向かって移動し、また、ロボット側制御部190と対応対象の現金機器910の制御部との連携がなされる。
【0167】
<補充処理>
現金管理ロボット100が現金機器910に対面した後、遠隔端末装置600から指示で、現金機器910への束貨幣の補充が指示されている場合、ロボット側制御部190は、管理担当者の遠隔操作に従って、該当する金種の束貨幣を収納している束貨幣ドロア311を開くように制御する。
【0168】
束貨幣ドロア311が内部のロック機構を解除した後、マニピュレータ230が束貨幣ドロア311を引き出すようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が、モーター等の駆動機構を用いて、束貨幣ドロア311を自動的に引き出すようにしてもよい。
管理担当者は、引き出された束貨幣ドロア311から、該当する金種の束貨幣を、マニピュレータ230を操作して取り出す。
【0169】
現金管理ロボット100が、束貨幣ドロア311から取り出した束貨幣を、ロボット下部130の筐体上面上に一旦載置するようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が、束貨幣一時保留部313を引き出して束貨幣を一旦収納させるようにしてもよい。
現金管理ロボット100が、必要量の束貨幣を取り出した後、引き出した状態の束貨幣ドロア311をマニピュレータ230で押し戻してロボット下部130の筐体内に閉じてロックするようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が駆動機構を用いて、束貨幣ドロア311を自動的に引き戻して閉じてロックするようにしてもよい。
【0170】
取り出す(補充すべき)束貨幣の量が多い場合、現金管理ロボット100が、他種のカメラを用いた監視下で、束貨幣ドロアを引き出したままでの作業を進めるようにしてもよい。
これらの作業は、管理担当者がカメラ211越しで状況監視を行いながら行われる。
【0171】
束貨幣ドロアからの束貨幣の取り出し動作と連動して、対応対象の現金機器910では、これらの束貨幣を受け取り収納する準備を行う。
具体的には、管理担当者が、カメラ211越しで状況監視を行いながら、現金管理ロボット100を遠隔操作することで、現金機器910に対して必要な操作を行う。現金管理ロボット100は、管理担当者の遠隔操作に従って、ロボット下部130の筐体上面上に一旦載置した貨幣を、現金機器910の必要な収納部に収納する。現金管理ロボット100が、束貨幣一時保留部313を引き出して束貨幣を一旦収納させた場合も同様である。
【0172】
<回収処理>
指示情報に基づいて、対応対象の現金機器910からの束貨幣の回収が指示されている場合、現金管理ロボット100は、対応対象の現金機器910からの束貨幣の取り出しを開始する。
対象の現金機器910からの束貨幣の取り出しが可能となった場合、その状態情報を現金管理ロボット100が検知し、管理担当者が確認すると、管理担当者が現金管理ロボット100を遠隔操作して現金機器910のシャッタ等を開かせて、束貨幣の取り出しを開始する。
【0173】
管理担当者は、マニピュレータ230を遠隔操作して、回収対象の束貨幣を現金機器910より取り出す。
この場合も、現金管理ロボット100が、現金機器910から取り出した束貨幣を、ロボット下部130の筐体上面上に一旦載置するようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が、束貨幣一時保留部313を引き出して束貨幣を一旦収納させるようにしてもよい。
【0174】
現金管理ロボット100が、現金機器910から、回収対象の束貨幣をすべて取り出した後、現金機器910が、現金機器910自らのシャッタ等を自動的に閉じるようにしてもよい。
また、現金管理ロボット100では、ロボット側制御部190が、回収対象の束貨幣の情報に基づいて収納させるべき束貨幣ドロア311を特定してロックを解除し、その束貨幣ドロア311を引き出す。
【0175】
管理担当者は、カメラモニタ越しに、現金機器910から回収した束貨幣を一つずつ目視確認しながら、引き出された束貨幣ドロア311の適切な収納箇所に束貨幣を収納する。
複数の束貨幣ドロア311に対する収納を要する場合、現金管理ロボット100は、一つの束貨幣ドロア311に対する収納を終えた後、この束貨幣ドロア311を閉じ、次の束貨幣ドロア311のロックを解除して引き出して、残りの束貨幣に対する現金管理ロボット100への収納(回収)操作を繰り返す。
束貨幣の補充処理及び回収処理がすべて終了した場合、束貨幣一時保留部313が引き出された状態にあれば、これを閉じる。
【0176】
また、束貨幣についての補充処理または回収処理が終了した場合、現金管理ロボット100と現金機器910との各制御部は、それぞれの動作記録と機器内の現金の在り高とを更新して記憶する。この場合の動作記録に、カメラ映像が含まれていてもよい。
また、これらの都度の動作記録と都度の在り高情報とは、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500でも記録される。この情報は、指示情報に対する進捗管理に使用される。
【0177】
<出納系機器について>
店舗の現金機器910の現金全体に対しての大元を管理する機器を出納系機器と称する。例えば、出納系機器は、店舗の窓口に配置された窓口用現金処理機への準備現金の供給元、および、入出金業務終了時に窓口用現金処理機から回収された現金の回収先となる。出納系機器は、大きく分けて、窓口用現金処理機と同様な自動機で構成される現金出納機と、いわゆる金庫的な構造またはロッカー的な構造を有する重要物管理機との2種類がある。
【0178】
<出納系機器:自動機タイプ>
現金出納機は、バラ紙幣、バラ硬貨及び束貨幣の入金及び出金を可能とする自動機である。一般的に、窓口用現金処理機よりも収納容量が多い大型機である。自動機を自動機器とも称する。
現金管理ロボット100は、現金出納機に対する操作処理権限を有して、必要な現金の入出金を、電子的な通信による指示またはマニピュレータ230による操作により、処理可能に構成されている。
【0179】
現金出納機は、他の自動機と同様に、指示された現金を内部の処理機構により、取引口に現金を出金することができ、また、取引口に投入された現金を、内部の処理機構によって入金収納することができる。
あるいは、現金出納機が、内部の機構によってバラ紙幣またはバラ硬貨を束化して、束貨幣として収納し直し、束貨幣として出金するようにしてもよい。あるいは、現金出納機が、束貨幣の入金を受け付けて、束貨幣を収納できるようになっていてもよい。
【0180】
図10は、自動機器940の構成の例を示す概略図である。図10に示す構成で、自動機器940は、収納領域941と、処理機構942と、取引口943とを備える。自動機器940は、現金機器910の例に該当する。
自動機器940では、取引口943にて現金の入出が行われる。また、収納領域941に現金が収納される。処理機構942は、取引口943から入金された現金を収納領域941に収納する。また、処理機構942は、収納領域941に収納されている現金を取引口943から出金する。
【0181】
現金管理ロボット100と自動機器940との現金の授受では、マニピュレータ230が遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って動作して、現金の授受を行う。管理担当者が、カメラ211越しで状況監視を行いながら、マニピュレータ230を遠隔操作して、現金機器910について上述したのと同様に、自動機器940に対する入出金を行うことができる。
【0182】
<出納系機器:重要物管理機タイプ>
重要物管理機は、複数の収納部を有し、収納部それぞれに扉が設けられている。各扉は、ロック機構によりロック可能であり、収納部毎にアクセス権限が設定される。アクセス権限が与えられた者のみに解錠権限が与えられ、開扉制御が行われる。重要物管理機を重要物管理装置とも称する。
現金管理ロボット100には、原則として重要物管理機が備える複数の収納部すべてに対して開扉権限が与えられる。現金管理ロボット100が管理担当者の遠隔操作に従って、収納部を選択て重要物管理機に開扉信号を与えることで、特定の収納部を開扉して、所要の物品を取り出したり、収納したりすることができるように構成されている。
【0183】
そして、複数の収納部には、予め何れの重要物が収納されるのかが定められており、一部の収納部については、さらに特定の現金が収納可能となっている。
なお、現金以外で重要物管理装置に収納されるものとして、現金以外の有価証券、通帳、証書、または、印鑑などの重要物が挙げられる。ただし、重要物管理装置に収納されるものは、特定のものに限定されない。
【0184】
重要物管理装置に収納される物が収納部毎に仕分けされる場合、仕分けの方法は特定の方法に限定されない。例えば、現金が収納される収納部について、収納部毎に、例えば、バラ紙幣、バラ硬貨、束貨幣が指定されて収納されていてもよい。あるいは、現金の用途毎など、収納物の用途毎に仕分けされていてもよい。
現金が収納される収納部に対しては、店舗員など人が操作する場合は認証が行われる。すなわち、当該収納部に対するアクセス権限ないしは取扱権限ともいえる権限の有無が確認される。これに対して、現金が収納される収納部に現金管理ロボット100がアクセスする場合、認証操作を必要とせず、現金管理ロボット100であることの情報を含む解錠信号を送信することで、解錠を可能とする。
【0185】
解錠後の開扉については、マニピュレータ230によって行い、収納部に収納されている現金を取り出すか、あるいは、現金管理ロボット100が所持する現金を収納部に収納する。
予め定められている束貨幣以外の現金をマニピュレータ230によって取り出す場合、取り出しに際しての安全・数量金額等の正確を期すため、予め定められた金種及び金額毎の現金の集まりを複数収納しておくようにしてもよい。そして、マニピュレータ230が、現金の集まりの単位で現金を取り出すようにしてもよい。
現金管理ロボット100は、取り出した現金の態様がバラであるか束であるか、および、紙幣か硬貨かにより、バラ紙幣入出金部331、バラ硬貨入金部341または束貨幣ドロア311の何れかへの収納を行う。
【0186】
現金管理ロボット100は、重要物管理機への現金の収納に際しては、バラ紙幣入出金部331、バラ硬貨出金部または束貨幣ドロア311の何れかから現金を取り出して、重要物管理機の所定の収納部に収納する。
人型ロボットそのものなど、下部筐体に現金処理機構を有していないロボットを用いる場合、そのロボットに、束貨幣一時保留部313と同様に一時的に現金を収納する収納部を設けておくようにしてもよい。そして、ロボットが、出納系機器から現金を取り出してこの収納部へ収納し、または、この収納部に収納した現金を取り出して出納系機器へ現金を収納するようにしてもよい。
【0187】
出納系機器との間の現金のやり取りまたは授受についても、現金管理ロボット100と出納系機器との各制御部は、それぞれの動作記録と機器内の現金の在り高とを更新して記憶する。この場合の動作記録に、カメラ映像が含まれていてもよい。
また、これらの都度の動作記録と都度の在り高情報とは、店舗サーバ装置920および遠隔サーバ装置500でも記録される。この情報は、指示情報に対する進捗管理に使用される。
【0188】
図11は、重要物管理装置950の構成の例を示す概略構成図である。図11に示す構成で、重要物管理装置950は、収納区画951と、収納区画951の扉952と、扉952の錠953とを備える。重要物管理装置950は、現金機器910の例に該当する。
収納区画951は、現金などの重要物を収納する。収納区画951の扉952は、錠953によって施錠可能かつ開錠可能である。ここで、錠953は、鍵収納部350または鍵管理機で管理される物理鍵で施錠または開錠可能であってもよいが、これに限定されない。例えば、錠953が、電気的な信号によって施錠または開錠可能な電子錠であってもよく、電気的な信号で錠を制御できる点で好ましい。
【0189】
現金管理ロボット100と重要物管理装置950との現金の授受では、マニピュレータ230が遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って動作して、現金の授受を行う。管理担当者が、カメラ211越しで状況監視を行いながら、マニピュレータ230を遠隔操作して、上記のように、重要物管理装置950に対する入出金を行うことができる。
【0190】
<管理担当者による各種現金機器の操作への補助>
上記のように、1人の管理担当者が、複数の顧客(店舗)における多種かつ多数の現金機器910を、現金管理ロボット100のマニピュレータ230を用いて操作することが考えられる。これに対し、管理担当者がこれら多種の現金機器910の操作をすべて熟知してはいないことが考えられ、管理担当者が操作に戸惑う可能性がある。
【0191】
そこで、管理担当者がリモート操作(遠隔操作)を行う遠隔端末装置600に補助用モニタ623を設け、指示情報に基づいて選択される現金機器910の操作マニュアル、操作手順ガイド、あるいは指示情報で必要とされる操作案内動画などを表示するようにしてもよい。
また、補助用モニタ623での表示と併せて、ヘッドセット634にて管理担当者に音声ガイドを行うようにしてもよい。
【0192】
<現金管理ロボットによる鍵管理機との連携、またはロボット自体の鍵管理機化>
上記の通り、1人の管理担当者が、複数の顧客(店舗)における多種かつ多数の現金機器910を、現金管理ロボット100のマニピュレータ230を用いて操作することが考えられる。これら多種の現金機器910の操作にあっては、操作キー(鍵または機械鍵)を要する機器が存在しうる。
【0193】
この操作キーについて、金融機関等の店舗においては、鍵管理機と呼ばれる管理機によって操作キーを管理するといったことが行われている。例えば、上述した鍵収納部350は、鍵管理機の例に該当する。鍵管理機では、所定の権限を有する者が、使用権限を与えられた操作キーを鍵管理機より取り出して使用できるようになっている。現金機器についても、その操作キーが鍵管理機によって取り出し制御されていることがある。
【0194】
そのような場合に対応して、遠隔サーバ装置500から出力される指示情報に、現金機器910の種別情報に加えて、操作キーの有無、及び、操作キー有りの場合の管理機情報が含まれるようにしてもよい。管理機情報として、例えば、管理機番号と、設置場所情報と、当該管理機の何番キーであるかの情報と、その使用情報等が含まれていてもよい。
【0195】
このように、指示情報に管理機情報が含まれることで、現金管理ロボット100は、待機状態等の位置から、指示された現金機器910に向けて移動する際に、操作キーが必要で、鍵管理機で管理されていることを確認することができる。操作キーが必要で、鍵管理機で管理されていることを確認した場合、現金管理ロボット100は、現金機器910に向かう前に、鍵管理機に向かう。現金管理ロボット100が、自律的に鍵管理機に向かうようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が、管理担当者の遠隔操作に従って鍵管理機に向かうようにしてもよい。
【0196】
なお、指示情報に設置場所情報は必ずしも含まれる必要は無く、店舗サーバ装置920が設置場所情報を記憶していてもよい。現金管理ロボット100が鍵管理機に向かう必要がある場合、店舗サーバ装置920が記憶している設置場所情報に基づいて移動するようにしてもよい。
また、店舗サーバ装置920も、現金管理ロボット100も、当該店舗に固有に存在するので、現金管理ロボット100のロボット側記憶部180が、鍵管理機の設置場所を記憶していてもよい。
【0197】
また、現金機器910に必要な操作キーが鍵管理機で管理されている場合、その操作キーの取り出しおよび使用権限が、現金管理ロボット100に予め与えられていてもよい。
さらには、現金機器910の操作キーを鍵管理機によって取り出し制御することに代えて、上述したように現金管理ロボット100の筐体に鍵収納部350を設け、現金管理ロボット100が現金の補充処理または回収処理に際して使用する可能性のある現金機器910の操作キーを収納し取り出し管理するようにしてもよい。
【0198】
鍵収納部350を備える現金管理ロボット100は、指示情報に従って現金機器910に向かう際、操作キーの要否を確認する。操作キーが必要な場合、現金管理ロボット100は、操作キーの収納部位(ホルダー位置)を確認する。現金管理ロボット100は、鍵収納部350を制御して、そのロックを解除し、マニピュレータ230を操作して必要な操作キーを鍵収納部より取り出して使用する。
【0199】
また、これらの現金機器910の操作キーは、店舗員が通常業務等で使用する場合がある。この場合、店舗員が鍵管理機から操作キーを取り出す場合と同様、現金管理ロボット100が店舗員に対する認証を行って、店舗員の権限を確認するようにしてもよい。
例えば、店舗員が発話によって必要な操作キーを指定する。認証部193は、店舗員の認証を行って指定された操作キーの使用権限の有無を判定する。権限ありと認証部193が判定した場合、鍵取出制御部194が鍵収納部350を開錠し、指定された操作キーを取り出せるようにする。
【0200】
認証部193が店舗員の認証を行う方法は、特定の方法に限定されない。例えば、認証部193が、カメラ211を用いて顔認証を行うようにしてもよいが、これに限定されない。
このように、いわば現金管理ロボット100自体の鍵管理機化を行うことができる。
【0201】
なお、鍵管理機には、いわゆるICカードを収納して管理することができるボックスタイプの収納部が設けられるものがある。ICカードは電子的な情報に基づいての認証動作によって、必要とする現金機器910の電磁ロック等を電子的に解錠させるものである。現金管理ロボット100が、ICカード式の錠を開閉する場合、電子的な情報または信号を出力すればよく、実際にICカードを用いる必要はない。この場合、鍵収納部350がボックスタイプの収納部を備える必要はない。
一方、店舗員が現金機器910を操作するためにICカードを必要とする場合、鍵収納部350がボックスタイプの収納部を備えるようにしてもよい。
【0202】
<現金管理ロボットによる現金管理装置との連携、またはロボット自体の現金管理装置化>
重要物管理機タイプの出納系機器に関して、特に束貨幣の一部を主に収納して、店舗のカウンター後方などに配置される、いわゆる現金バスと称される現金管理装置を、出納系機器の一種と見なして、これと現金管理ロボット100を連携させるようにしてもよい。
すなわち、このような現金管理装置と現金管理ロボット100との間で現金を受け渡すことで、現金管理ロボット100から、さらに現金機器910との現金の受け渡しが可能となる。これにより、出納系機器から現金機器910への現金の補充、および、現金機器910から出納系機器への現金の回収が可能となる。
【0203】
また、現金管理ロボット100を現金管理装置の1つとして用いるようにしてもよい。例えば、現金管理ロボット100が、束貨幣ドロア311を多数段備える場合、現金管理ロボット100が、束貨幣ドロア311に収納している束貨幣を出金し、また、現金機器910からの入金を束貨幣ドロア311に収納するようにしてもよい。
【0204】
現金管理ロボット100を現金管理装置の1つとして用いる場合、店舗員が現金管理装置を操作する際に認証が行われるのと同様に、認証部193が店舗員に対する認証を行って、操作権限の有無を判定するようにしてもよい。この場合も、認証部193が店舗員の認証を行う方法は、特定の方法に限定されない。例えば、認証部193が、カメラ211を用いて顔認証を行うようにしてもよいが、これに限定されない。
また、店舗員が現金管理ロボット100に対して発話で、入金または出金の区別、金種および金額など、現金管理ロボット100が現金管理装置として行う処理に必要な情報を通知するようにしてもよい。
【0205】
<常時現金を保持する下部筐体を有しない現金管理ロボットについて>
店舗現金管理システム1が備える現金管理ロボット100の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、現金管理ロボット100が、現金を常時保持する現金収納部を備えず、現金を一時的に収納する現金収納部を備えるようにしてもよい。
【0206】
この場合、現金機器910に現金を補充する必要が生じる毎に、現金管理ロボット100が、補充に必要な現金を出納系機器より受け取って現金管理ロボット100自らの現金収納部に収納してから現金機器910に向かい、当該現金機器910に現金を補充するようにしてもよい。また、現金機器910から現金を回収する必要が生じる毎に、現金管理ロボット100が、現金機器910から現金を回収して現金管理ロボット100自らの現金収納部に収納してから出納系機器に向かい、回収した現金を出納系機器に受け渡すようにしてもよい。
【0207】
<現金の管理責任の移転>
店舗に設置される現金機器910に応じてその現金機器910内の現金の管理責任者が区分されていてもよい。
例えば、店舗に設置される現金機器910が、営業時間内における窓口業務用の窓口機と、ATMコーナー等に配置されて営業時間外も利用される自動機とに分類されていてもよい。そして、窓口機の現金機器910内の現金を金融機関が管理し、自動機の現金機器910内の現金を警送会社が管理するようにしてもよい。ここでいう警送会社は、現金などの貴重品の警備および輸送(いわゆる警備輸送または輸送警備)を行う会社である。
【0208】
窓口機の現金機器910内の現金を金融機関が所有し、自動機の現金機器910内の現金を警送会社が所有するというように、窓口機か自動機かによって所有権が異なっていてもよい。あるいは、窓口機および自動機の何れも、現金機器910内の現金の所有権は金融機関にあり、管理責任が上記のように金融機関と警送会社とに区分されていてもよい。
管理責任者が金融機関となっている現金を、店舗側管理現金とも称する。管理責任者が警送会社となっている現金を、他者管理現金とも称する。
【0209】
現金機器910によって現金の管理責任者が異なる場合、管理責任者が異なる現金を混合せずに別々に収納する必要があることが考えられる。
また、出納系機器内の現金の管理責任者が金融機関となっているものとする。
出納系機器と窓口機の現金機器910との間で現金を補充または回収する場合、いずれも店舗側管理現金を使用するので店舗側管理現金としての在り高に変化はなく、別段不都合は生じない。
一方、出納系機器と自動機の現金機器910との間で現金を補充または回収する場合、店舗側管理現金と他者管理現金とが混在することとなる。これにより、店舗側管理現金の在り高と他者管理現金の在り高とががともに変化し、現金管理上、不都合が生じる。
【0210】
そこで、現金管理ロボット100が、出納系機器と自動機の現金機器910との間で現金を補充または回収する際に、管理責任移転の記録を残すようにしてもよい。店舗側管理現金の在り高を集計する際、または、他者管理現金の在り高を集計する際、現金管理ロボット100が記録する管理責任移転の記録を、店舗側管理現金と他者管理現金との間の入出金の記録として捉えて在り高を集計することで、在り高を矛盾なく集計することができる。
【0211】
例えば、現金管理ロボット100内の現金の管理責任者が金融機関と定められている場合、現金管理ロボット100が、現金管理ロボット100内の現金を自動機の現金機器910に補充するときに、金融機関から警送会社に管理責任が移転した現金として記録するようにしてもよい。別の表現をすると、自動機の現金機器910に補充する現金は、警送会社の口座から、当該金融機関の店舗側管理現金の一部として割り当てて出金した形とし、この割り当てて出金した一部の現金を、警送会社自らの資金すなわち他者管理現金として、自動機の現金機器910に補充するとしてもよい。
【0212】
また、現金管理ロボット100内の現金の管理責任者が金融機関と定められている場合、現金管理ロボット100が、自動機の現金機器910内の現金を現金管理ロボット100に回収するときに、警送会社から金融機関に管理責任が移転した現金として記録するようにしてもよい。同様にして別の表現をすると、自動機の現金機器910から回収する現金は、警送会社の口座へ、当該金融機関の店舗側管理現金の一部として割り当てて入金した形とし、この割り当てて入金した一部の現金を、店舗側管理現金として、出納系機器に回収するとしてもよい。
【0213】
現金管理ロボット100が、管理責任が移転した現金の記録として、日時、金種毎の金額、合計金額、および、現金機器910の識別番号を記録するようにしてもよいが、現金管理ロボット100が記録する項目はこれらに限定されない。
あるいは、現金の管理責任の移転に対応するための口座を設定しておき、その口座に対する入出金によって、在り高の集計の整合をとるようにしてもよい。この口座を調整用口座と称する。
【0214】
店舗側管理現金と他者管理現金とで現金の所有権が異なる場合、その金融機関の店舗に開設されている警送会社の銀行口座が調整用口座に設定されていてもよい。この場合、調整用口座の残高を増やす入金処理は、金融機関から警送会社への送金と捉えることができる。また、調整用口座の残高を減らす出金処理は、警送会社から金融機関への送金と捉えることができる。
【0215】
まず、現金管理ロボット100を含む店舗の出納系機器内にある現金は店舗側管理現金であって、他方、店舗内または店舗に隣接する自動機コーナーの自動機の現金機器910に収納される現金は管理する警送会社等の他者管理現金である場合、店舗の出納系機器から自動機の現金機器910に補充できる他者管理現金は基本的に無い。
【0216】
そこで、店舗の出納系機器から自動機の現金機器910に現金を補充する場合、現金管理ロボット100は、調整用口座から、これから補充しようとする金額のデータ上の出金処理を行い、かつ、補充処理によって出納系機器から自動機の現金機器910へ、実際に現金を移動させる。補充によって金融機関から警送会社へ所有権が移転する金額と同額だけ、調整用口座からの出金処理によって警送会社から金融機関へ送金されたものと捉えることができる。これによって、店舗内の現金と調整用口座の残額とを合わせた合計金額で見ると、金融機関が所有権を有する合計金額、警送会社が所有権を有する合計金額の何れも、出金処理および補充処理の前後で変化しない。
【0217】
また、自動機の現金機器910から店舗の出納系機器に現金を回収する場合、現金管理ロボット100は、調整用口座に対して、これから回収しようとする金額のデータ上の入金処理を行い、かつ、回収処理によって自動機の現金機器910から出納系機器へ、実際に現金を移動させる。回収によって警送会社から金融機関へ所有権が移転する金額と同額だけ、調整用口座への入金処理によって金融機関から警送会社へ送金されたものと捉えることができる。これによって、店舗内の現金と調整用口座の残額とを合わせた合計金額で見ると、金融機関が所有権を有する合計金額、警送会社が所有権を有する合計金額の何れも、出金処理および補充処理の前後で変化しない。
【0218】
なお、調整用口座に対する出金処理または入金処理を、現金管理ロボット100以外の機器が、例えば店舗サーバ装置920からの指示を受けて行うようにしてもよい。また、調整用口座に対する出金処理または入金処理が、自動機と現金管理ロボット100との間で行われる現金の授受が完了した後に行われるようにしてもよい。
このように、現金管理ロボット100が出納系機器と自動機の現金機器910との間で現金の授受を行っても、調整用口座に対する入出金処理によって、金融機関、警送会社のそれぞれが管理する現金の在り高を正しく管理できることになる。
【0219】
店舗側管理現金および他者管理現金の何れも所有権が金融機関にある場合、調整用口座が、財産的権利と連動しない仮想的な口座として設定されていてもよい。
この場合、店舗側管理現金の在り高の増減、または、他者管理現金の在り高の増減と、調整用口座の残高の増減とを比較することで、店舗側管理現金の在り高、または、他者管理現金の在り高の整合性を確認することができる。
【0220】
例えば、業務開始時など所定のタイミングで、調整用口座の残高を、他者管理現金の在り高と同じ金額に初期設定するようにしてもよい。この場合、調整用口座の残高は、自動機の現金機器910の何れについても、出納系機器との間での現金の補充または回収以外には、入出金が無かったと仮定した場合の他者管理現金の在り高を示す。したがって、他者管理現金の在り高と調整用口座の残高との差を、自動機の現金機器910における入出金記録と突き合わせることで、他者管理現金の在り高の整合性を確認することができる。
他者管理現金の在り高の整合性を確認できた場合、店舗側管理現金の在り高と他者管理現金の在り高との合計が、店舗全体の現金の在り高と一致するか否かを判定することで、店舗側管理現金の在り高の整合性を確認することができる。
【0221】
図12は、現金管理ロボット100が現金の管理移転を記録する場面の例を示す図である。
図12の例では、複数の現金機器910の各々が、第1の現金機器群または第2の現金機器群の何れかに区分されている。第1の現金機器群と第2の現金機器群とでは、現金機器910内の現金の管理責任者が異なる。例えば、第1の現金機器群に含まれる現金機器910内の現金は、金融機関の管理による店舗側管理現金であり、第2の現金機器群に含まれる現金機器910内の現金は、警送会社の管理による他者管理現金である。
【0222】
現金管理ロボット100は、第1の現金機器群に区分される現金機器910の1つから現金を受け取り、第2の現金機器群に区分される現金機器910の1つに現金を受け渡している。現金の受け渡しに際し、現金管理ロボット100の管理移転記録処理部196は、受け渡す現金の管理責任の移転を記録する。
【0223】
管理移転記録処理部196が、ロボット側記憶部180が記憶するデータに管理責任の移転を記録するようにしてもよい。例えば、管理移転記録処理部196が、現金受け渡しの日時と、出金側の現金機器の識別番号および現金管理責任者名と、入金側の現金機器の識別番号および現金管理責任者名と、受け渡しを行った金額とを記録するようにしてもよい。
あるいは、管理移転記録処理部196が、上記の調整用口座についてデータ上の入出金処理を行うことで、現金の管理責任の移転を記録するようにしてもよい。
【0224】
<出納系警送機器の設置>
あるいは、店舗内に、金融機関が管理する出納系機器とは別に、警送会社が管理する出納系警送機器が設けられていてもよい。この場合、この出納系警送機器と自動機の現金機器910との間で現金の授受を行うようにしてもよい。
その場合、現金管理ロボット100の台数が1台であるときは、出納系警送機器と自動機の現金機器910との間で授受される現金と、現金管理ロボット100が収納している店舗側管理現金との混同が生じないように分けて、補充処理または回収処理を行う。
【0225】
例えば、出納系機器と窓口機の現金機器910との現金の授受には、現金管理ロボット100の内蔵現金の使用を可能とする。一方、出納系警送機器と自動機の現金機器910との現金の授受には、現金管理ロボット100の内蔵現金の使用を禁止とする。
また、現金管理ロボット100が、店舗側管理現金の補充処理または回収処理を行う際、出納系警送機器や自動機の現金機器910など、警送会社の管理による現金機器910へのアクセスを禁止する制御を行うようにしてもよい。また、現金管理ロボット100が、他者管理現金の補充処理または回収処理を行う際、出納系機器や窓口機の現金機器910など、店舗側管理の現金機器910へのアクセスを禁止する制御を行うようにしてもよい。
【0226】
このように、店舗に出納系警送機器を設け、かつ、現金管理ロボット100が、店舗側管理現金と他者管理現金とを区別して扱うことで、店舗側管理現金と他者管理現金との混同を回避することができ、それぞれが管理する現金の在り高を正しく維持することができる。
【0227】
<現金機器910間の回金処理>
出納系機器と現金機器910との間の現金の補充処理または回収処理に加えて、あるいは代えて、窓口機の現金機器910同士間、あるいは、自動機の現金機器910同士間で現金管理ロボット100が回金処理を行うようにしてもよい。
ここでいう回金処理とは、第1の現金機器910において、一部の金種の現金が不足し、かつ、第2の現金機器910において当該金種の量に余裕がある場合に、第2の現金機器910より当該金種の一部を出金(回収処理)させ、出金した現金を第1の現金機器910に入金(補充処理)することである。回金処理によって、それぞれの現金機器910で、在り高が更新される。
【0228】
<現金管理ロボットによるその他の貨幣取り扱い>
現金管理ロボット100が、現金機器910間における現金の受け渡しおよび鍵管理以外の処理も行うようにしてもよい。
例えば、現金機器910の自己精査の際に補助が必要となる場合に、現金管理ロボット100が遠隔端末装置600からの遠隔操作を受けて、補助を行うようにしてもよい。
ここでいう自己精査は、現金機器内に収納されている現金量(在り高)を確認する処理である。例えば、現金機器内で完結して全ての現金の回収および回収した現金の再補充といった処理が行われる。
【0229】
現金機器によっては、全自動で自己精査を行うことができ、人手または他の機器による補助を必要としないものがある。一方、現金機器によっては、自己精査時にリジェクト現金が発生した場合に、人手等による補助を要するものがある。ここでいうリジェクト現金とは、現金機器によってリジェクト部へ排除される現金である。例えば、複数枚の現金が同時に出金されて出金枚数が不確定となったときの現金、および、入金された現金が出金には適さない汚損現金であるとして検出されたときの現金が、リジェクト現金として扱われる。
【0230】
例えば、現金機器910が自己精査を行っているときにリジェクト現金が発生して補助を要する場合、現金管理ロボット100が、遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って、リジェクト現金の戻し入れ処理を行うようにしてもよい。
戻入処理では、現金管理ロボット100が、リジェクト部へ排除されたリジェクト現金を現金機器910から取り出し、取引口または入金口より現金機器910内に戻し入れる(入金する)ようにしてもよい。リジェクト現金は、もともと現金機器910に収納されていた現金なので、現金機器910の在り高に変化は生じない。
【0231】
<現金管理ロボットによる時間外対応>
現金管理ロボット100によれば、店舗の現金機器910の現金を遠隔端末装置600からの遠隔操作にて取り扱うことができ、この場合、店舗に店舗員がいる必要はない。そこで、現金機器910の現金の取り扱いのうち、急を要しないものについては、現金管理ロボット100が、店舗の終業後または夜間の時間帯など店舗の営業時間外に、遠隔端末装置600からの遠隔操作を受けて行うようにしてもよい。
【0232】
例えば、現金管理ロボット100が、店舗が無人になる時間帯に現金機器910の現金を取り扱うようにしてもよい。これにより、現金管理ロボット100が店舗員の邪魔にならず、また、店舗員が現金管理ロボット100の邪魔にならない。
店舗によっては、例えば安全上の観点から、営業時間外には、警備関係の電源以外は電源を遮断するといった運用が行われる場合がある。この場合、遠隔端末装置600からのリモート制御によって、現金管理ロボット100の電源、および、現金機器910の電源の投入および遮断を行えるようにしてもよい。これにより、現金機器910の現金の取り扱いを、店舗の営業時間外に、遠隔端末装置600からの遠隔操作にて行うことができる。
【0233】
また、夜間の時間帯に現金管理ロボット100を遠隔端末装置600から遠隔操作する場合、店舗の室内灯を点灯しなくてもよいように、現金管理ロボット100が照明装置を備えるようにしてもよい。あるいは、現金管理ロボット100が暗視カメラを備えるなど、照明を必要とせずに移動および現金機器910に対する操作を行えるようにしてもよい。
【0234】
現金管理ロボット100が、バラ紙幣受渡部332にて自律的に接続および現金の受け渡し可能な現金機器910に対しては、遠隔操作を受ける必要なく自律的に現金の取り扱いを行うようにしてもよい。例えば、現金管理ロボット100が、夜間の所定の時刻に自動的に、該当する現金機器に移動して入出金処理を行うようにしてもよい。
【0235】
<現金管理ロボットによる、その他の活動>
現金管理ロボット100が、店舗の営業時間外に警備活動を行うようにしてもよい。例えば、現金管理ロボット100が店舗内を巡回し、異常を検知した場合は、管理担当者または警送会社など所定の通報先に通報するようにしてもよい。
【0236】
現金管理ロボット100が、遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って店舗内を巡回するようにしてもよい。あるいは現金管理ロボット100が、自律的に店舗内を巡回するようにしてもよい。
現金管理ロボット100が、1つの店舗専用に配置されることで、店舗内の地図、または、巡回経路情報を予め記憶しておくことが可能である。この点で、現金管理ロボット100は、比較的容易に店舗内を自律的に巡回することができる。また、扉や窓などの施錠確認など、特に点検すべき場所が固定されており、点検漏れが生じる可能性が低い。
【0237】
以上のように、現金管理ロボット100は、ロボットハンド232を備えるマニピュレータ230を備えて店舗内を移動可能に配置される。遠隔端末装置600は、店舗外に配置され、現金管理ロボット100のマニピュレータ230を遠隔制御して、現金管理ロボット100と、現金機器910との間で現金の授受を行わせる。
【0238】
店舗現金管理システム1によれば、遠隔操作拠点から店舗の現金管理ロボット100を遠隔制御して、店舗の現金機器910に対する現金授受を行わせることができる。特に、現金管理ロボット100では、ロボットハンド232を備えるマニピュレータ230を用いて現金を取り扱うことが可能である。これにより、店舗現金管理システム1では、現金機器910の入出金口に接続可能な入出金口、および、現金機器910の入出金の方法に応じた入出金機構を予め現金管理ロボット100に設けておく必要なしに、現金機器910との間で入出金を行うことができる。店舗現金管理システム1によればこの点で、現金機器910の種別にかかわらず、現金の授受が可能となる。
【0239】
また、現金管理ロボット100は、現金を収納可能な現金収納部320をさらに備える。現金管理ロボット100は、第1の現金機器910から現金を受け取って現金収納部320に収納し、現金収納部320から現金を取り出して第2の現金機器910へ受け渡す。
このように、現金管理ロボット100が現金収納部320を有することで、複数の現金機器910の間の現金授受を行うことができる。
【0240】
なお、現金収納部320の構成は、特定の構成に限定されない。例えば、現金収納部320が、単なる箱として構成されていてもよい。あるいは、現金収納部320が、現金バスのようなドロアの内部の収納区画として構成されていてもよい。さらには、現金収納部320に対して現金の入出力を行う現金入出処理機構が設けられていてもよい。
【0241】
また、マニピュレータ230は、遠隔端末装置600からの遠隔制御に従って、現金収納部320への現金の収納、および、現金収納部320からの現金の取り出しを行う。
このように、現金管理ロボット100では、マニピュレータ230によって現金管理ロボット100と現金機器910との間の現金の搬送を行うことができる。
ここで、現金機器910からの出金時には、現金機器910の取引口等まで現金が排出され、現金管理ロボット100が取引口等から現金を取り出す必要がある。このような取出口等からの現金の取り出しをマニピュレータ230によって行うことができる。また、現金機器910への入金時には、現金機器910の取引口等へ現金を投入する必要がある。このような取出口への現金の投入をマニピュレータ230によって行うことができる。
【0242】
また、遠隔端末装置600は、現金機器910の操作ガイド情報を操作者に提示する補助用モニタ623を備える。
このように、遠隔端末装置600から現金管理ロボット100を遠隔操作することで店舗の現金機器910を遠隔操作する操作者は、操作対象の現金機器910の操作ガイド情報の提供を受けることができる。操作者は、操作ガイド情報を参照することで、現金機器910に対する現金の授受を、より確実に行うことができる。
特に、多種の現金機器910が存在する場合など、操作者が、全ての現金機器910の操作を記憶することが困難な場合でも、操作ガイド情報を参照しながら、または操作ガイド情報で誘導されながら、現金機器910に対する現金の入出操作を比較的容易に行うことができる。
【0243】
また、遠隔端末装置600の対象判定部692は、現金管理ロボット100による操作対象となっている現金機器910を判定する。提示制御部693は、複数の現金機器910の操作ガイド情報のうち、現金管理ロボット100による操作対象となっている現金機器の操作ガイドを選択して補助用モニタ623に提示させる。
これにより、多種の現金機器910が存在する場合でも、操作者は、より確実に操作対象の現金機器910の操作ガイド情報を参照することができ、現金機器910に対する現金の入出操作を比較的容易に行うことができる。
【0244】
また、少なくとも1つの現金機器910は自動機器940であり、現金の入出が行われる取引口943と、現金を収納する収納領域941と、取引口943から入金された現金を収納領域941に収納し、収納領域941に収納されている現金を取引口943から出金する処理機構942とを備える。マニピュレータ230は、遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って、その現金機器との現金の授受を行う。
これにより、現金機器910が自動機器940である場合も、自動機器940の取引口を介して、現金管理ロボット100のマニピュレータ230によって現金を授受できる。
【0245】
また、少なくとも1つの前記現金機器910は重要物管理装置950であり、錠953によって施錠可能かつ開錠可能な扉952を有する少なくとも1つの収納区画951を有する。マニピュレータ230は、遠隔端末装置600からの遠隔操作に従って、重要物管理装置950との現金の授受を行う。
これにより、現金機器910が重要物管理装置950である場合も、現金管理ロボット100のマニピュレータ230によって、重要物管理装置950の扉を開いて現金を授受できる。
【0246】
また、現金管理ロボット100は、ロボットハンド232を備えるマニピュレータ230を備えて店舗内を移動可能に配置される。鍵収納部350は、鍵を収納する。遠隔端末装置600は、店舗外に配置され、現金管理ロボット100のマニピュレータ230を遠隔制御して、鍵収納部350から鍵の取り出し、店舗内の現金機器910に対する鍵操作、および、現金管理ロボット100と現金機器910との間での現金の授受を行わせる。
【0247】
これにより、現金機器910の一部に、操作に際して鍵が必要な機器が含まれている場合でも、現金管理ロボット100は、鍵収納部350にアクセスして鍵を取り出し、現金機器910に対する鍵操作を行うことができ、現金機器910との現金の授受が可能となる。
上述したように、鍵収納部350が現金管理ロボット100に設けられていてもよいし、現金管理ロボット100とは別個の装置として構成されていてもよい。
【0248】
また、鍵収納部350は、現金管理ロボット100と一体に設けられる。
この場合、現金管理ロボット100によれば、現金機器910の操作に必要な鍵が、現金管理ロボット100と一体の鍵収納部350で管理されていることで、当該現金機器へのアクセスを速やかに行うことができる。
【0249】
また、現金管理ロボット100の認証部193は、人物の認証を行う。鍵取出制御部194は、認証部193の認証結果に基づいて、鍵の取り出しの可否を判定する。取り出し可能と判定した場合、鍵取出制御部194は、鍵収納部350を制御して鍵を取り出し可能にする。
店舗現金管理システム1によれば、認証部193の認証によって、鍵の取り出しを行う者が取り出しの権限を有しているか否かを判定することができ、権限を有する者に対してのみ鍵の取り出しを可能にすることができる。
【0250】
また、現金管理ロボット100は、ロボットハンド232を備えるマニピュレータ230と、引き出し可能に構成されて束貨幣を収納するドロアを備える束貨幣収納部310と、を備えて店舗内を移動可能に配置される。遠隔端末装置600は、店舗外に配置され、現金管理ロボット100のマニピュレータ230を遠隔制御して、店舗内の現金機器910と束貨幣収納部310との間で束貨幣の受け渡しを行わせる。
このように、現金管理ロボット100に、束貨幣ドロア311など束貨幣を収納するドロアが設けられることで、遠隔端末装置600からマニピュレータ230を遠隔制御してドロアを引き出し、ドロアに対する束貨幣の取り扱いが可能となる。
【0251】
また、束貨幣収納部310のドロアは、束貨幣の種類ごとの収納区画を有する。
このように、束貨幣の種類に応じて、束貨幣を収納する収納区画が複数あることで、収納区画に応じて束貨幣を種類別に収納することができ、この点で、束貨幣の取り出し収納が容易となる。
【0252】
また、現金管理ロボット100の認証部193は、人物の認証を行う。ドロア制御部195は、認証部193の認証結果に基づいて、束貨幣収納部310のドロアに対する束貨幣の入出の可否を判定する。入出可能と判定した場合、ドロア制御部195は、ドロアを制御してドロアに対する束貨幣の入出を可能にする。
このように、現金管理ロボット100では、店舗員などの認証対象者が現金管理ロボット100に対面するなどによって認証を受けることができ、認証部193の認証によって、認証対象者がドロアにアクセスする権限の有無を判定することができる。認証の結果束貨幣の入出可能と判定された認証対象者は、ドロアの束貨幣の入出を行うことができる。
【0253】
また、現金管理ロボット100は、ロボットハンド232を備えるマニピュレータ230を備えて店舗内を移動可能に配置される。遠隔端末装置600は、店舗外に配置され、現金管理ロボット100のマニピュレータ230を遠隔制御して、現金管理ロボット100と、店舗内の現金機器910との間で現金の授受を行わせる。管理移転記録処理部196は、店舗内の複数の現金機器910のうち、第1の現金機器群に区分される現金機器910と、第2の現金機器群に区分される現金機器910との間で、現金管理ロボット100を介して現金の受け渡しが行われる場合、その現金の管理責任の移転を記録する。
このように、現金管理ロボット100が第1の現金機器群と第2の現金機器群との間で現金の受け渡しを行う場合に、管理移転記録処理部196が現金の管理責任の移転を記録することで、管理者毎の現金在り高を正しく管理できる。
【0254】
また、現金管理ロボット100は、第1の現金機器群と第2の現金機器群とのうち何れか一方の現金機器群に区分される現金機器910から現金の出金を受け、他方の現金機器群に区分される現金機器910に現金を入金することで、第1の現金機器群と第2の現金機器群との間での現金の受け渡しを仲介する。
このように、現金管理ロボット100が、別々の現金機器群に含まれる2つの現金機器910の間での現金の受け渡しを仲介する場合、一方の現金機器910にとっては出金となり、他方の現金機器910にとっては入金となる。管理移転記録処理部196が、この入出金の関係における現金の管理責任の移転を記録することで、管理者毎の現金在り高を正しく管理できる。
【0255】
上記したように、本実施形態の説明にあっては、現金管理ロボット100は、ドッキング機構323によって現金機器910と接続(ドッキング)して、特にバラ紙幣のみの補充または回収を行う限りにおいては、自律的に、すなわち、遠隔端末装置600による遠隔操作によらずに実行され得ることを示した。ただし、現金管理ロボット100の自律的な動作はこれに限定されない。
例えば、遠隔端末装置600によって遠隔操作される現金管理ロボット100のすべての動作を、現金管理ロボット100のロボット側記憶部180または店舗サーバ装置920の記憶部(図示せず)に記憶させ、現金管理ロボット100の動作状況を学習記憶させることで、特定の条件を満たす現金の補充または回収に限り、遠隔端末装置600による遠隔操作無しに、実行可能ととなっていてもよい。
【0256】
ここにおいて、特定の条件とは、例えば、遠隔端末装置600によって遠隔操作される現金管理ロボット100の動作記録回数が予め定めた所定回数以上、動作記録時間が予め定めた所定時間以上または動作記録に関わる現金量(枚・束・本数または金額)が予め定めた所定量以上との条件であってもよい。
さらには、これらの特定の条件が、複数の段階またはランクごとに設定され、それに合わせて、遠隔端末装置600による遠隔操作無しに実行可能とさせる予め定めた所定量以内の現金についても複数の段階またはランクごとに設定されていてもよい。
【0257】
そして、遠隔端末装置600による遠隔操作無しの現金管理ロボット100による自律的な現金の補充または回収動作は、店舗員などが不在となる時間帯に限るものとしてもよい。この場合、自律的に動作する現金管理ロボット100が店舗員の邪魔にならない点で好ましい。
これらにより、遠隔端末装置600によって遠隔操作されることが基本の現金管理ロボット100であっても、遠隔操作される動作状況を逐次学習し記憶することで、遠隔端末装置600による遠隔操作無しでの活動範囲・活動場面を増やすことができる。
【0258】
図13は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図13に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740とを備える。
【0259】
上記の現金管理ロボット100、遠隔サーバ装置500、および、遠隔端末装置600のうち何れか1つ以上またはその一部が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。各装置と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
【0260】
現金管理ロボット100がコンピュータ700に実装される場合、ロボット側制御部190およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0261】
また、CPU710は、プログラムに従って、ロボット側記憶部180に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
ロボット側通信部110による他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
ロボット上部120の制御は、例えばインタフェース740がCPU710の制御に従ってロボット上部120に対する制御指令を出力することで実行される。ロボット下部130の制御は、例えばインタフェース740がCPU710の制御に従ってロボット下部130に対する制御指令を出力することで実行される。
【0262】
遠隔サーバ装置500がコンピュータ700に実装される場合、遠隔サーバ側制御部590の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0263】
また、CPU710は、プログラムに従って、遠隔サーバ側記憶部580に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
遠隔サーバ側通信部510と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0264】
遠隔端末装置600がコンピュータ700に実装される場合、端末側制御部690およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0265】
また、CPU710は、プログラムに従って、端末側記憶部680に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
端末側通信部610による他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
表示部620が行う画像の表示は、インタフェース740が表示装置を備え、CPU710の制御に従って画像を表示することで実行される。操作入力部630へのユーザ操作の受付は、インタフェース740が入力デバイスを備えてユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0266】
なお、現金管理ロボット100、遠隔サーバ装置500、および、遠隔端末装置600が行う処理の全部または一部を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0267】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0268】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限定されない。
【0269】
(付記1)
ロボットハンドを備えるマニピュレータを備えて店舗内を移動可能に配置される現金管理ロボットと、
前記店舗内に配置され、鍵を収納する鍵収納部と、
店舗外に配置され、前記現金管理ロボットの前記マニピュレータを遠隔制御して、前記鍵収納部から鍵の取り出し、前記店舗内の現金機器に対する鍵操作、および、前記現金管理ロボットと前記現金機器との間での現金の授受を行わせる遠隔端末装置と、
を備える店舗現金管理システム。
【0270】
(付記2)
前記鍵収納部は、前記現金管理ロボットと一体に設けられる、
付記1に記載の店舗現金管理システム。
【0271】
(付記3)
前記現金管理ロボットは、
人物の認証を行う認証部と、
前記認証部の認証結果に基づいて、鍵の取り出しの可否を判定し、取り出し可能と判定した場合、前記鍵収納部を制御して鍵を取り出し可能にする鍵取出制御部と、
を備える、付記1または付記2に記載の店舗現金管理システム。
【0272】
(付記4)
ロボットハンドを備えるマニピュレータと、引き出し可能に構成されて束貨幣を収納するドロアを備える束貨幣収納部と、を備えて店舗内を移動可能に配置される現金管理ロボットと、
店舗外に配置され、前記現金管理ロボットの前記マニピュレータを遠隔制御して、前記店舗内の現金機器と前記束貨幣収納部との間で束貨幣の受け渡しを行わせる遠隔端末装置と、
を備える店舗現金管理システム。
【0273】
(付記5)
前記束貨幣収納部の前記ドロアは、束貨幣の種類ごとの収納区画を有する
付記4に記載の店舗現金管理システム。
【0274】
(付記6)
前記現金管理ロボットは、
人物の認証を行う認証部と、
前記認証部の認証結果に基づいて、ドロアに対する束貨幣の入出の可否を判定し、入出可能と判定した場合、前記ドロアを制御してドロアに対する束貨幣の入出を可能にするドロア制御部と、
を備える、付記4または付記5に記載の店舗現金管理システム。
【0275】
(付記7)
ロボットハンドを備えるマニピュレータを備えて店舗内を移動可能に配置される現金管理ロボットと、
店舗外に配置され、前記現金管理ロボットの前記マニピュレータを遠隔制御して、前記現金管理ロボットと、店舗内の現金機器との間で現金の授受を行わせる遠隔端末装置と、
前記店舗内の複数の現金機器のうち、第1の現金機器群に区分される現金機器と、第2の現金機器群に区分される現金機器との間で、前記現金管理ロボットを介して現金の受け渡しが行われる場合、その現金の管理責任の移転を記録する管理移転記録処理部と、
を備える店舗現金管理システム。
【0276】
(付記8)
前記現金管理ロボットは、前記第1の現金機器群と前記第2の現金機器群とのうち何れか一方の現金機器群に区分される現金機器から現金の出金を受け、他方の現金機器群に区分される現金機器に現金を入金することで、前記第1の現金機器群と前記第2の現金機器群との間での現金の受け渡しを仲介する、
付記7に記載の店舗現金管理システム。
【符号の説明】
【0277】
1 店舗現金管理システム
100 現金管理ロボット
110 ロボット側通信部
120 ロボット上部
130 ロボット下部
180 ロボット側記憶部
190 ロボット側制御部
191 上部制御部
192 下部制御部
193 認証部
194 鍵取出制御部
195 ドロア制御部
196 管理移転記録処理部
210 頭部
211 カメラ
212 マイク
213 スピーカ
220 上体部
230 マニピュレータ
231 ロボットアーム
232 ロボットハンド
233 指
240 表示装置
250 上体駆動部
310 束貨幣収納部
311 束貨幣ドロア
312 予備小ドロア
313 束貨幣一時保留部
320 現金収納部
321 バラ紙幣処理部
322 バラ硬貨処理部
323 ドッキング機構
324 束貨幣処理部
331 バラ紙幣入出金部
332 バラ紙幣受渡部
333 バラ紙幣搬送部
334 バラ紙幣収納部
341 バラ硬貨入金部
342 バラ硬貨出金部
343 バラ硬貨搬送部
344 バラ硬貨収納部
350 鍵収納部
360 走行機構
361 車輪
362 走行駆動部
370 走行補助センサ群
380 補助カメラ
500 遠隔サーバ装置
510 遠隔サーバ側通信部
580 遠隔サーバ側記憶部
590 遠隔サーバ側制御部
600 遠隔端末装置
610 端末側通信部
620 表示部
621 カメラモニタ
622 データ表示モニタ
623 補助用モニタ
630 操作入力部
631 ロボット移動用コントローラ
632 上部操作用コントローラ
633 現金処理機構向け指示部
634 ヘッドセット
680 端末側記憶部
690 端末側制御部
691 ロボット制御指令部
692 対象判定部
693 提示制御部
910 現金機器
920 店舗サーバ装置
930 通信ネットワーク
940 自動機器
941 収納領域
942 処理機構
943 取引口
950 重要物管理装置
951 収納区画
952 扉
953 錠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13