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特許7570658病原微生物減衰材及び病原微生物減衰機能付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】病原微生物減衰材及び病原微生物減衰機能付き容器
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/23 20060101AFI20241015BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20241015BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20241015BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20241015BHJP
   A01N 25/34 20060101ALI20241015BHJP
   A01N 25/00 20060101ALN20241015BHJP
   A01P 3/00 20060101ALN20241015BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20241015BHJP
   A61L 101/08 20060101ALN20241015BHJP
   A61L 101/36 20060101ALN20241015BHJP
   A61L 101/34 20060101ALN20241015BHJP
【FI】
A61L2/23
B65D81/28 C
A61L2/18
A01N25/10
A01N25/34 C
A01N25/34 Z
A01N25/00 102
A01P3/00
A61L101:06
A61L101:08
A61L101:36
A61L101:34
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2020067106
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021159607
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-234387(JP,A)
【文献】特開平11-335219(JP,A)
【文献】特開昭58-219103(JP,A)
【文献】登録実用新案第3150641(JP,U)
【文献】登録実用新案第3183934(JP,U)
【文献】特開2010-063811(JP,A)
【文献】特開2001-220303(JP,A)
【文献】特開2010-037295(JP,A)
【文献】特開平04-174632(JP,A)
【文献】特開2014-131962(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181259(JP,U)
【文献】特開2011-229833(JP,A)
【文献】特表2018-513811(JP,A)
【文献】特開2013-253021(JP,A)
【文献】特開2004-182290(JP,A)
【文献】実開昭59-154262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原微生物を減衰し得る、ポピドンヨード、ポピドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングのうちから選択される何れか一つ以上を成分とする薬剤と、
該薬剤を担持する担持体と、を有し、
上記担持体は、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を凝固する天草や寒天より成り、
上記薬剤を有効に且つ弾性を有する球体状に維持することを特徴とする病原微生物減衰材。
【請求項2】
前記薬剤は、手指の消毒用であることを特徴とする請求項1に記載の病原微生物減衰材。
【請求項3】
前記薬剤は、エンベロープを有するウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の病原微生物減衰材。
【請求項4】
前記担持体が、前記薬剤を湿状又は乾状に維持することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の病原微生物減衰材。
【請求項5】
前記有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果を有するものであることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の病原微生物減衰材。
【請求項6】
請求項1~に記載の病原微生物減衰材を収容する収容部と、
上記収容部を囲繞する外装体と、を有することを特徴とする病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項7】
病原微生物を減衰し得る薬剤及び該薬剤を担持する担持体を有する病原微生物減衰材を収容する収容部と、
上記収容部を囲繞する外装体と、を有し、
上記収容部は、上記病原微生物減衰材よりも内側に内装体を有し、
上記内装体が、液体及び/又は気体を透過し得、
上記病原微生物減衰材が上記外装体と上記内装体との間に保持されることを特徴とする病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項8】
前記外装体が、液体不透性とガスバリア性を有することを特徴とする請求項又は記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項9】
前記病原微生物減衰材は、前記外装体に固定されることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項10】
前記収容部は、使用時に開封し得るように気密に封止されることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項11】
前記収容部は、開封後において、手指を挿入可能に、開口を狭窄する狭窄部を有することを特徴とする請求項乃至10の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項12】
装着対象に対して装着する装着手段を有し、
上記装着手段を介することで、前記外装体を上記装着対象に取り付け或いは連結可能に構成されることを特徴とする請求項乃至11の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項13】
前記装着対象が、被服及び/又は人体であることを特徴とする請求項12に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項14】
前記装着手段は、たすき状ベルト部材、ベルト構造、ショルダーバッグ構造、ネクタイ状首下げ部材、ループ状首下げ部材、一本帯状首掛け部材、ベルトに装着可能なベルトループ構造、被服に貫通させて固定するステープラ部材、面ファスナ、ジッパ部材、ピン止め、クリップ、両面テープ、粘着剤、溶着、ハトメ、被服生地を貫通又は非貫通で挟持するスナップボタン、被服に設けられているボタンホールに装着可能なボタン、被服に設けられているボタンを装着可能なボタンホール構造、被服の表裏から挟持する永久磁石、被服のポケットやベルトループ等に引っ掛けるフックのうちから選択される一つ以上を含んで構成されるものであることを特徴とする請求項12又は13に記載の病原微生物減衰機能付き容器
【請求項15】
前記病原微生物減衰材は、前記薬剤を有効に且つ所定の性状で維持することを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項16】
前記薬剤は、手指の消毒用であることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項17】
前記薬剤は、エンベロープを有するウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせるものであることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項18】
前記薬剤は、次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、ポピドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングのうちから選択される何れか一つ以上を成分とするものであることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項19】
前記担持体は、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を含侵し得る材料により構成されることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項20】
前記担持体は、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を凝固状、糊状、粘状にし得る材料により成ることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項21】
前記担持体は、綿、海綿、起毛、タオル地、不織布、織布、紙、木屑、木片、多孔質、活性炭、吸液性ポリマ、寒天、天草、ゼラチン、澱粉、硼砂、増粘多糖類のうちから選択される何れか一つ以上のものであることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項22】
前記担持体が、前記薬剤を湿状又は乾状に維持することを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項23】
前記有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果を有するものであることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項24】
前記性状は、液状、スラリー状、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状のうちから選択される何れか一つ又はそれらのうちから選択される二つ以上の組合せによって構成される物であることを特徴とする請求項に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項25】
請求項1~の病原微生物減衰材を収容する収容部を内部空間として作出するように製袋されて成る外装体と、
装着対象に装着する装着手段とを有し、
上記装着手段を介することで、上記外装体と上記装着対象とを固定或いは連結可能に構成されることを特徴とする病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項26】
病原微生物を減衰し得る薬剤を収容する収容部を内部空間として作出するように製袋されて成る外装体と、
装着対象に装着する装着手段とを有し、
上記装着手段を介することで、上記外装体と上記装着対象とを固定或いは連結可能に構成され、
上記収容部は、上記薬剤よりも内側に内装体を有し、
上記内装体が、液体及び/又は気体を透過し得、
上記薬剤が上記外装体と上記内装体との間に保持されることを特徴とする病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項27】
前記外装体が、液体不透性とガスバリア性を有することを特徴とする請求項25又は請求項26記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項28】
前記収容部は、使用時に開封し得るように気密に封止されることを特徴とする請求項25乃至27の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項29】
前記収容部は、開封後において、手指を挿入可能に開口を狭窄する狭窄部を有することを特徴とする請求項28記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項30】
前記装着対象が、被服及び/又は人体であることを特徴とする請求項25乃至29の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項31】
前記装着手段は、たすき状ベルト部材、ベルト構造、ショルダーバッグ構造、ネクタイ状首下げ部材、ループ状首下げ部材、一本帯状首掛け部材、ベルトに装着可能なベルトループ構造、被服に貫通させて固定するステープラ部材、面ファスナ、ジッパ部材、ピン止め、クリップ、両面テープ、粘着剤、溶着、ハトメ、被服生地を貫通又は非貫通で挟持するスナップボタン、被服に設けられているボタンホールに装着可能なボタン、被服に設けられているボタンを装着可能なボタンホール構造、被服の表裏から挟持する永久磁石、被服のポケットやベルトループ等に引っ掛けるフックのうちから選択される一つ以上を含んで構成されるものであることを特徴とする請求項25乃至30の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器
【請求項32】
前記薬剤が、有効に且つ所定の性状で維持されることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項33】
前記薬剤は、手指の消毒用であることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項34】
前記薬剤は、エンベロープを有するウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせるものであることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項35】
前記薬剤は、次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、ポピドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングのうちから選択される何れか一つ以上を成分とするものであることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項36】
前記薬剤が、担持体に含侵された状態で、前記収容部に収容されることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項37】
前記薬剤が、湿状又は乾状に維持されることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項38】
前記担持体は、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を含侵し得る材料により構成されることを特徴とする請求項36に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項39】
前記担持体は、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を凝固状、糊状、粘状にし得る材料により成ることを特徴とする請求項36に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項40】
前記担持体は、綿、海綿、起毛、タオル地、不織布、織布、紙、木屑、木片、多孔質、活性炭、吸液性ポリマ、寒天、天草、ゼラチン、澱粉、硼砂、増粘多糖類のうちから選択される何れか一つ以上のものであることを特徴とする請求項36に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項41】
前記担持体が、前記薬剤を湿状又は乾状に維持することを特徴とする請求項36に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項42】
前記有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果を有するものであることを特徴とする請求項25乃至41の何れかに記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項43】
前記性状は、液状、スラリー状、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状のうちから選択される何れか一つ又はそれらのうちから選択される二つ以上の組合せによって構成される物であることを特徴とする請求項26に記載の病原微生物減衰機能付き容器。
【請求項44】
前記病原微生物減衰機能付き容器は、被服のポケット内、外側からポケットに重畳する位置、ポケットに隣接する位置の何れかの位置に装着されることを特徴とする請求項乃至43の何れかに記載の前記病原微生物減衰機能付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原微生物減衰材及び病原微生物減衰機能付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生意識の高まりにより、医療器具、台所用品、浴室、洗面台、トイレ、衣類等の衛生状態を向上させるために抗菌・抗ウイルス活性を有する水溶液を利用することが知られている。このような水溶液として、εーポリリジン及びソルビン酸のアルカリ金属塩の水溶液で、防カビ効果を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。またアルコールを主剤とするアルコール製剤は、安全性の高い製剤として使用性が極めて高い点から除菌剤として広く使用されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-149575号公報
【文献】特開2000-355506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の水溶液は、おしぼりや布巾に含浸させて利用することができるが、全体が外気に曝されるのを防ぐ為に使用前は袋の中等に保存され、使用時に袋から取り出して使用するが、時間の経過による乾燥を避けられず、結果抗菌・抗ウイルス効果が皆無となるという問題がある。
【0005】
またアルコール製剤は、液体の状態で容器内に保存されて使用時に容器から吐出させて使用することで、除菌やウイルスの不活化効果に有効であるが、容器に保存する必要があるため、持ち運びに不便であり、またアルコール製剤を直接吹き掛ける必要があるため、状況によってはそれを使用することで他人に不快感を与える虞があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、長時間病原微生物の減衰効果を維持し且つ如何なる状況でも携帯に有用で且つ使用の際に他人に不快感を与えることの無い病原微生物減衰材及び病原微生物減衰機能付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の病原微生物減衰材は、病原微生物を減衰し得る薬剤と、該薬剤を担持する担持体と、を有し、上記薬剤を有効に且つ所定の性状で維持することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記薬剤が、手指の消毒用であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記薬剤がエンベロープを有するウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせるものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記薬剤が、次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、ポピドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングのうちから選択される何れか一つ以上を成分とするものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記担持体が、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を含侵し得る材料により構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記担持体が、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を凝固状、糊状、粘状にし得る材料により成ることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記担持体が、綿、海綿、起毛、タオル地、不織布、織布、紙、木屑、木片、多孔質、活性炭、吸液性ポリマ、寒天、天草、ゼラチン、澱粉、硼砂、増粘多糖類のうちから選択される何れか一つ以上のものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記担持体が、前記薬剤を湿状又は乾状に維持することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果を有するものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の病原微生物減衰材は、前記性状が、液状、スラリー状、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状のうちから選択される何れか一つ又はそれらのうちから選択される二つ以上の組合せによって構成される物であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、病原微生物を減衰し得る薬剤及び該薬剤を担持する担持体を有する病原微生物減衰材を収容し得る収容部と、上記収容部を囲繞する外装体と、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記外装体が、液体不透性とガスバリア性を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記収容部が、上記病原微生物減衰材よりも内側に内装体を有し、上記内装体が、液体及び/又は気体を透過し得、前記病原微生物減衰材が前記外装体と上記内装体との間に保持されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記病原微生物減衰材が前記外装体に固定されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記収容部が、使用時に開封し得るように気密に封止されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記収容部が、開封後において、手指を挿入可能に、開口を狭窄する狭窄部を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、装着対象に対して装着する装着手段を有し、上記装着手段を介することで、前記外装体を上記装着対象に取り付け或いは連結可能に構成されることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記装着対象が、被服及び/又は人体であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記装着手段が、たすき状ベルト部材、ベルト構造、ショルダーバッグ構造、ネクタイ状首下げ部材、ループ状首下げ部材、一本帯状首掛け部材、ベルトに装着可能なベルトループ構造、被服に貫通させて固定するステープラ部材、ベルクロ面ファスナ、ジッパ部材、ピン止め、クリップ、両面テープ、粘着剤、溶着、ハトメ、被服生地を貫通又は非貫通で挟持するスナップボタン、被服に設けられているボタンホールに装着可能なボタン、被服に設けられているボタンを装着可能なボタンホール構造、被服の表裏から挟持する永久磁石、被服のポケットやベルトループ等に引っ掛けるフックのうちから選択される一つ以上を含んで構成されるものであることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記病原微生物減衰材が、前記薬剤を有効に且つ所定の性状で維持することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、手指の消毒用であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、エンベロープを有するウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせるものであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、ポピドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングのうちから選択される何れか一つ以上を成分とするものであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を含侵し得る材料により構成されることを特徴とする。
【0031】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を凝固状、糊状、粘状にし得る材料により成ることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、綿、海綿、起毛、タオル地、不織布、織布、紙、木屑、木片、多孔質、活性炭、吸液性ポリマ、寒天、天草、ゼラチン、澱粉、硼砂、増粘多糖類のうちから選択される何れか一つ以上のものであることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、前記薬剤を湿状又は乾状に維持することを特徴とする。
【0034】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果を有するものであることを特徴とする。
【0035】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記性状が、液状、スラリー状、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状のうちから選択される何れか一つ又はそれらのうちから選択される二つ以上の組合せによって構成される物であることを特徴とする。
【0036】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、病原微生物を減衰し得る薬剤を収容し得る収容部を内部空間として作出するように製袋されて成る外装体と、装着対象に装着する装着手段とを有し、上記装着手段を介することで、上記外装体と上記装着対象とを固定或いは連結可能に構成されることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記外装体が、液体不透性とガスバリア性を有することを特徴とする。
【0038】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記収容部が、前記薬剤よりも内側に内装体を有し、上記内装体が、液体及び/又は気体を透過し得、前記薬剤が前記外装体と上記内装体との間に保持されることを特徴とする。
【0039】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記収容部が、使用時に開封し得るように気密に封止されることを特徴とする。
【0040】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記収容部が、開封後において、手指を挿入可能に開口を狭窄する狭窄部を有することを特徴とする。
【0041】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記装着対象が、被服及び/又は人体であることを特徴とする。
【0042】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記装着手段が、たすき状ベルト部材、ベルト構造、ショルダーバッグ構造、ネクタイ状首下げ部材、ループ状首下げ部材、一本帯状首掛け部材、ベルトに装着可能なベルトループ構造、被服に貫通させて固定するステープラ部材、ベルクロ面ファスナ、ジッパ部材、ピン止め、クリップ、両面テープ、粘着剤、溶着、ハトメ、被服生地を貫通又は非貫通で挟持するスナップボタン、被服に設けられているボタンホールに装着可能なボタン、被服に設けられているボタンを装着可能なボタンホール構造、被服の表裏から挟持する永久磁石、被服のポケットやベルトループ等に引っ掛けるフックのうちから選択される一つ以上を含んで構成されるものであることを特徴とする。
【0043】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、有効に且つ所定の性状で維持されることを特徴とする。
【0044】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、手指の消毒用であることを特徴とする。
【0045】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、エンベロープを有するウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせるものであることを特徴とする。
【0046】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、ポピドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングのうちから選択される何れか一つ以上を成分とするものであることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、担持体に含侵された状態で、前記収容部に収容されることを特徴とする。
【0048】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記薬剤が、湿状又は乾状に維持されることを特徴とする。
【0049】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を含侵し得る材料により構成されることを特徴とする。
【0050】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、液状の薬剤又は薬剤を含む水溶液を凝固状、糊状、粘状にし得る材料により成ることを特徴とする。
【0051】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、綿、海綿、起毛、タオル地、不織布、織布、紙、木屑、木片、多孔質、活性炭、吸液性ポリマ、寒天、天草、ゼラチン、澱粉、硼砂、増粘多糖類のうちから選択される何れか一つ以上のものであることを特徴とする。
【0052】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記担持体が、前記薬剤を湿状又は乾状に維持することを特徴とする。
【0053】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果を有するものであることを特徴とする。
【0054】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、前記性状が、液状、スラリー状、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状のうちから選択される何れか一つ又はそれらのうちから選択される二つ以上の組合せによって構成される物であることを特徴とする。
【0055】
また、本発明の病原微生物減衰機能付き容器は、被服のポケット内、外側からポケットに重畳する位置、ポケットに隣接する位置の何れかの位置に装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、簡易な構造によって、長時間病原微生物の減衰効果を維持し且つ如何なる状況でも携帯可能で且つ使用手間を省きながら使用の際に他人に不快感を与えることを無くすことが可能な病原微生物減衰材及び病原微生物減衰機能付き容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本実施形態に係る病原微生物減衰機能付き容器を示す図である。
図2】本実施形態に係る病原微生物減衰機能付き容器を示す図である。
図3】収容部に収容される病原微生物減衰材の形状例を示す図である。
図4】封止部を有する病原微生物減衰機能付き容器を示す断面図である。
図5】狭窄部を有する収容部を示す断面図である。
図6】装着手段の例を示す図である。
図7】内装体を有する病原微生物減衰機能付き容器を示す断面図である。
図8】本実施形態に係る病原微生物減衰機能付き容器の装着位置を示す図である。
図9】本実施形態に係る病原微生物減衰機能付き容器の装着位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下に本発明の病原微生物減衰機能付き容器の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0059】
本発明の病原微生物減衰機能付き容器とは、内部の薬剤により、内部に挿入される手指或いは収納される物体表面に付着している菌やウイルスを不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌等をさせるものである。即ち、病原微生物減衰機能付き容器は、病原微生物を減衰し得る病原微生物減衰材が内部に配設される。
【0060】
図1は病原微生物減衰機能付き容器を示す図である。病原微生物減衰機能付き容器1は、略袋状の収容部2、収容部2を囲繞する外装体4、収容部2に収容される病原微生物減衰材10を有して構成される。収容部2は、手全体を挿入し得る開口を有し、且つ挿入された手の略全面が内面に接触(或いは密着)し得る大きさ、形状を有する。
【0061】
このような収容部2は、厚み方向の拡がりを抑えるように、例えば、図1に示す底部2aの厚みを、一般的な人の手の厚みよりも小さく設定、或いは底部2aのマチ部を無くすように設定することで構成し得る。勿論、少なくとも手全体を挿入可能であれば、収容部2の大きさ、形状等は適宜設定し得、例えば収容部2の内部が手袋型であれば、手及び指を略包んだような状態にし得る他、マチ部を設けてもよいことは言うまでもない。なお、マチ部は底部2aのみならず、側部に設けてもよい。
【0062】
外装体4は、液体不透性及び/又はガスバリア性を有し、液体と気体を漏出させない素材により構成される。即ち、外装体4は、アルミラミネート樹脂フィルム等を好適に採用し得、或いは基材となる樹脂に層を重ねた二層構造によるガスバリア性を向上させた外装体4を適用することでガスバリア性と液体不透性を得る構成としてもよい。このような二層構造を構成する際の基材に重ねる層は、高分子層(例えば、エバール樹脂等)、無機薄膜層(例えば、シリカ樹脂等)、金属層(例えば、アルミ、銅、錫、インジウム等)等が有り得る。
【0063】
勿論、外装体4を病原微生物減衰材10を収容し得る内部空間を作出するように製袋し、内部空間を収容部としてもよい。
【0064】
病原微生物減衰材10は、薬剤と、薬剤を湿状又は乾状に維持して担持する担持体によって構成される。薬剤は、病原微生物である菌及びウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌を目的とする消毒剤等である。例えば、グルタラール、過酢酸、フタラール、ホルマリン、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、ポビドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール、フェノール、クレゾール石ケン液、オキシドール、ベンザルコニウム塩化物、着色剤添加ベンザルコニウム塩化物、8%エタノール添加ベンザルコニウム塩化物、防錆剤添加ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩等が挙げられ、用途に応じて適宜設定し得る。
【0065】
また、主に手指の消毒用で且つエンベロープを有するウイルスに対して不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用をさせる薬剤を選択する場合、薬剤は、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、ポビドンヨード・スクラブ、ヨードチンキ、エタノール、エタノール・ラビング、イソプロパノール、エタノール・イソプロパノール配合製剤、ベンザルコニウム塩化物・エタノール・ラビング、クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール・ラビングの内から選択される何れか一つ以上を成分とするものである。
【0066】
担持体は、液状の薬剤、又は薬剤を含む水溶液を含侵し得る材料、例えば綿、海綿、織布、不織布、紙、木屑、木片、多孔質体(スポンジ等)、無定形炭素(コークス、木炭、石炭、すす、カーボンブラック、獣炭、活性炭等)等を用いることができる。また、担持体は、液状の薬剤或いは薬剤を含む水溶液を吸収して凝固状、糊状、粘状にし得る材料、例えば、吸液性ポリマ(ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアミン系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系、ポリグリコール系等から選択される何れか一つ以上)、寒天、天草、ゼラチン、硼砂、増粘多糖類のうちから選択される何れか一つ以上のもの単体を複数種使用したもの、複数を混合したものを用いることができる。
【0067】
また、上記のような担持体に担持させることで薬剤は、有効に且つ所定の性状で維持される。ここで有効とは、対象とする菌及び/又はウイルスに対して、不活化(抗菌)、消毒、除菌、殺菌、滅菌のうちの何れか一つ以上の作用を成すことを可能とする効果をいう。また性状とは、液状、スラリー状、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状のうちから選択される何れか一つ又はそれらのうちから選択される二つ以上の組合せによって構成される状態という。
【0068】
病原微生物減衰材10は、図2に示すように収容部2の内周略全面に面状に密着させて配することができる。例えば、薬剤を含侵させた織布、不織布、紙、木材、多孔質体、無定形炭素等を面状に設け、収容部2の略内周面全域に亘って取付ける。ここで織布を用いる場合に、表面に起毛や、タオル地様のループ状により、毛足の長い構造状部分を形成するようにしてもよい。このようにすれば、病原微生物減衰機能付き容器1内において、手指を挿入した際にできる隙間を減少させることができる。
【0069】
勿論、ゲル状、ゾル状、弾性体状、粒状、顆粒状、砂状、粉状の病原微生物減衰材10を、単に収容部2に貯留し、図3(a)に示すように収容部2に集積させてもよい。これによって手指を挿入したときに手指や手のひら、甲等と病原微生物減衰材10との接触を隙間無く行うことができる。
【0070】
また、図3(b)に示すように薬剤を含侵し、且つ収容部2の内部空間が略埋まる程度の体積を有するスポンジ(病原微生物減衰材10)を収容部2に収納してもよい。この場合スポンジに縦方向のスリット11を形成しておけば、スリット11を介してスポンジを圧縮させながら、手指を収容部2内に挿入することができる。勿論、病原微生物減衰材10としてのスポンジを二枚併設してもよい。
【0071】
また、病原微生物減衰機能付き容器1は、予め気密に封止しておくようにしてもよい。即ち、使用前の初期状態を密閉状態としておけば、病原微生物減衰材10が外気に長時間曝されることによる薬剤の有効性低下を抑止でき、初期状態において長期保存を図ることができる。
【0072】
その場合、病原微生物減衰機能付き容器1を例えば図4に示す包装フィルムによる袋状とし、開口が存する端部をヒートシール等で塞いで封止部3を配することができる。更に収容部2及び外装体4から封止部3のみを分離し得るように、封止部3近傍に開封用のノッチを設けてもよい。例えば、封止部3のみを分離し得るように幅方向に沿って切断することで、開口が作出される。
【0073】
なお、封止部3の除去、開口の作出後に手指の挿入を容易とするために、図4に示すように、封止によって対向している状態の一対の側面の内、一方の側面のノッチ位置6aに対し、他方の側面のノッチ位置6bを縦方向に異ならせてもよい。
【0074】
また、収容部2は、開封後において、手指を挿入可能で且つ手指の未挿入時は開口を狭窄するように狭窄部を設けてもよい。図5は狭窄部8を有する収容部2を示す断面図であり、狭窄部8は、図5(a)に示す収容部2の開口に配される一対のエアチューブ様の部分や、図5(b)に示す収容部2の開口に配される一対に舌片様の部分等を設ける構成とすることが有り得る。即ち、一対の狭窄部8を厚み方向に対向させ、互いを密着或いは接触させることで開口を狭める或いは略閉塞させる。
【0075】
なお、エアチューブ様の狭窄部8の場合、チューブの可撓性によって手指の挿入を受容しつつ、手指が未挿入のとき、チューブ内の空気により収容部2を略閉塞させる状態に復元し得る。また、舌片様の狭窄部8の場合、垂下する舌片の先端部同士を接触させることで、開口から連通する収容部2内の空間を狭めて略閉塞させ得る。
【0076】
また狭窄部8によれば、図3(a)に示すような収容部2に病原微生物減衰材10を集積している状態で、病原微生物減衰機能付き容器1の開口を下向きにした場合に、病原微生物減衰材10の落下の抑止を図ることが出来る。勿論、狭窄部8は、上記のものに限定するものではなく、スライドファスナ等の開閉可能な留め具によって成るものであってもよい。
【0077】
このような病原微生物減衰機能付き容器1は、例えば被服のポケットや鞄の中等に納めることで容易に持ち運びでき、且つポケットや鞄に入れた状態のまま手指を挿入して手指の消毒を行うことができる。勿論、病原微生物減衰機能付き容器1に、被服や身体等の装着対象に対して装着するための装着手段を設けて装着手段を介することで、装着対象に取り付け或いは連結可能に構成してもよい。
【0078】
例えば、装着手段12は、図6(a)に示すように外装体4に面状に固定されるものや、図6(b)に示すようにループ形状を成すもの等が有り得る。勿論、装着手段12は、装着対象と病原微生物減衰機能付き容器1との連結を成し得るものであれば如何なる手段も採用し得るものである。
【0079】
従って、装着手段12は、たすき状ベルト部材、ベルト構造、ショルダーバッグ構造、ネクタイ状首下げ部材、ループ状首下げ部材、一本の帯状で且つ中途部分に長手方向に沿う切り込みを有する一本帯状首掛け部材、ベルトに装着可能なベルトループ構造、被服に貫通させて固定するステープラ部材、ベルクロ面ファスナ、ジッパ部材、ピン止め、クリップ、両面テープ、粘着剤、溶着、ハトメ、被服生地を貫通させて一方を取り付けるスナップボタン、被服生地に非貫通で被服の表裏から挟持するスナップボタン、被服に設けられているボタンホールに装着可能なボタン、被服に設けられているボタンを装着可能なボタンホール構造、被服の表裏から挟持する永久磁石、被服のポケットやベルトループ等に引っ掛けるフックのうちから選択される一つ以上を含んで構成されるものが有り得る。
【0080】
病原微生物減衰機能付き容器1を装着する位置は、特に限定するものではないが、被服のポケットの近傍等のように、使用者が自然に手を挿入するのに適した位置を選択することが望ましい。例えば図8(a)に示すような被服のポケット内に収納してもよい。その場合には病原微生物減衰機能付き容器1の開口をポケットの開口と同じ向きとする。これによりポケットに手指を挿入する感覚に相当する感覚で手指の消毒等を行うことができる。
【0081】
また、被服の外側からポケットに重ねるように装着してもよく、例えば図8(b)に示すようなクリップ状の装着手段12をポケット内側で、病原微生物減衰機能付き容器1をポケット外側に位置させることで、病原微生物減衰機能付き容器1をポケットに重なるように装着できる。
【0082】
また、被服のポケットに重ならない位置、例えば図8(c)に示すポケットの隣に病原微生物減衰機能付き容器1を装着してもよい。その場合被服に固定し得るように、装着手段12をステープラ部材、ベルクロ面ファスナ、ピン止め、両面テープ、粘着剤、ハトメ、スナップボタン、永久磁石等から選択できる。
【0083】
また、病原微生物減衰機能付き容器1は、身体の腰の位置に配しても高い利便性を得ることができる。その場合、例えば、ズボンに巻くベルトが挿通可能な図9に示すようなベルトループ様の装着手段12等が適用し得る。
【0084】
本発明の病原微生物減衰機能付き容器1によれば、病原微生物減衰機能付き容器1内に手を挿入するだけで病原微生物減衰材10に手を接触させることでき、少なくとも接触箇所において手指の抗菌、消毒、除菌、殺菌、滅菌等の作用を与えて病原微生物を減衰させることができる。
【0085】
なお、収容部2の内側に、液体及び/又は気体を透過させ得る内装体20を設け、手指と病原微生物減衰材10との直接的な接触を防止するようにしてもよい。図7は、内装体20を有する病原微生物減衰機能付き容器1を示す断面図であり、内装体20は、収容部2内において病原微生物減衰材10よりも内側に配設する。従って、外装体4と内装体20との間に病原微生物減衰材10を保持、収容する。
【0086】
内装体20は、液体は不透過で、気体は透過するシートや多孔シートとして低ガスバリア性フィルム(例えば、LDPE、メンブレンフィルム製の多孔フィルム等)が有り得る。また、内装体20は、綿、海綿、織布、不織布、紙、木屑、木片、多孔質体、無定形炭素シート等が有り得て、この場合には、徐々に薬剤を内装体20に浸透させながら、対向する内装体20同士の間の空間に漏出させることが可能となる。勿論、内装体20は、少なくとも液体及び/又は気体を透過し得るものであれば、上記材料に限定するものではない。
【0087】
内装体20を設けることで、より大容量の病原微生物減衰材10を収容しながらも、長期間に亘って保持可能としつつ、薬剤の有効性を持続させることが可能となる。
【0088】
以上説明したように、薬剤を担持体に担持させて病原微生物減衰材10を構成することによって、例えば、揮発性の高い薬剤を用いる場合であっても、長時間病原微生物の減衰効果を維持し且つ如何なる状況でも携帯可能で且つ使用手間を省きながら使用の際に他人に不快感を与えることを無くすことができる。例えば、水溶液性の薬剤によって消毒を行う場合は、対象に向けて薬剤を直接噴霧する必要があるので、対象が使用者自身であっても使用によって薬剤が周囲に飛び散ること等、他人に不快感を与える虞がある。これに対し、病原微生物減衰材10によれば触れるだけで薬剤が有効に作用し、他人に不快感を与えることなく消毒を行うことができる。
【0089】
なお、病原微生物減衰材10は、収容部2に封止部3を設ける際にあらかじめ充填されているものであるが、勿論開封後に補充するようにしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0090】
1…病原微生物減衰機能付き容器、2…収容部、3…封止部、4…外装体、8…狭窄部、10…病原微生物減衰材、12…装着手段、20…内装体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9