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特許7570671ブランクシート、製函前ボックス及び包装箱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】ブランクシート、製函前ボックス及び包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/487 20060101AFI20241015BHJP
   B65D 5/36 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B65D5/487
B65D5/36 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020170079
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2021176775
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2020080867
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】木野本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 勲武
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096427(JP,A)
【文献】実開平06-051126(JP,U)
【文献】特開平10-218160(JP,A)
【文献】実開昭59-096119(JP,U)
【文献】米国特許第04363400(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/487
B65D 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部を形成する複数の底板フラップと、前記底面部を取り囲んで立ち上がる側板とを備え、
前記底板フラップの一つは、製函時に互いに対向する一方の側板の下端縁を基端縁として対向する他方の側板の下端縁に向かって延び、
前記底板フラップの先端縁には、この先端縁から部分的に延出し、底面部を張った際に前記他方の側板の内面で前記下端縁よりも上方に接触して突っ張り得る突出部が以上形成され、
前記底板フラップには、前記突出部の外周縁に連続して延びるスリット及びこのスリットにつながって延びる折り曲げ線が形成され、
前記外周縁、前記スリット及び前記折り曲げ線が、前記突出部及び前記底板フラップの先端部の一部を取り囲んで仕切り片を形成し、
底板フラップを前記互いに対向する側板間に張った際に前記突出部が前記他方の側板に干渉し、前記仕切り片が立ち上がり可能に形成された製函前ボックス。
【請求項2】
前記突出部の外周縁の両端から、前記スリットが互いに間隔を空けて延び、
前記スリット同士の間に亘って前記仕切り片の基端縁となる折り曲げ線が形成されている請求項1に記載の製函前ボックス。
【請求項3】
前記仕切り片の上端縁となる前記スリットが前記外周縁の一端から延び、
前記外周縁の他端から、前記他方の側板の下端縁に対して斜め又は直交する方向に延びる直線上に、前記仕切り片の基端縁となる前記折り曲げ線が形成され、
前記スリットは、折れ曲がって前記折り曲げ線に向かって延びている請求項1に記載の製函前ボックス。
【請求項4】
前記一方の側板の下端縁及び前記他方の側板の下端縁に交差する向きに延びる前記底面部の一辺から、製函時に包装箱を正面に向ける正面側板が立ち上がり可能に設けられ、
前記折り曲げ線が、前記底板フラップにおいて前記正面側板側に鈍角を成すように形成されている請求項3に記載の製函前ボックス。
【請求項5】
前記一方の側板の下端縁及び前記他方の側板の下端縁に交差する向きに延びる前記底面部の一辺から、製函時に包装箱を正面に向ける正面側板が立ち上がり可能に設けられ、前記正面側板に対向配置される背面側板が前記底面部から立ち上がり可能に設けられ、
製函時に前記背面側板を前記一方の側板と他方の側板との間に折り込む折り畳み線が前記一方の側板、前記他方の側板及び前記背面側板に形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の製函前ボックス。
【請求項6】
底面部を形成する複数の底板フラップと、前記底面部を取り囲んで立ち上がる側板とを備え、
前記底板フラップの一つは、製函時に互いに対向する一方の側板の下端縁を基端縁として対向する他方の側板の下端縁に向かって延びるとともに、製函時に前記一方の側板に隣接する側板の下端縁に沿って延びる側縁を有し、
前記側縁には、この側端縁から部分的に延出し、底面部を張った際に前記隣接する側板の内面で前記下端縁よりも上方に接触して突っ張り得る突出部が以上形成され、
前記底板フラップには、前記突出部の外周縁に連続して延びるスリット及びこのスリットにつながって延びる折り曲げ線が形成され、
前記外周縁、前記スリット及び前記折り曲げ線が、前記突出部及び前記底板フラップの先端部の一部を取り囲んで仕切り片を形成し、
前記底板フラップを前記互いに対向する側板間に張った際に前記突出部が前記隣接する側板に干渉し、前記仕切り片が立ち上がり可能に形成された製函前ボックス。
【請求項7】
前記突出部の外周縁の両端から、前記スリットが互いに間隔を空けて延び、
前記スリット同士の間に亘って前記仕切り片の基端縁となる折り曲げ線が形成されている請求項6に記載の製函前ボックス。
【請求項8】
前記仕切り片の上端縁となる前記スリットが前記外周縁の一端から延び、
前記外周縁の他端から、前記隣接する側板の下端縁に対して斜め又は直交する方向に延びる直線上に、前記仕切り片の基端縁となる前記折り曲げ線が形成され、
前記スリットは、折れ曲がって前記折り曲げ線に向かって延びている請求項6に記載の製函前ボックス。
【請求項9】
前記一方の側板の下端縁又はこれに対向する側板の下端縁から、製函時に包装箱を正面に向ける正面側板が立ち上がり可能に設けられ、
前記折り曲げ線が、前記底板フラップにおいて前記正面側板側に鈍角を成すように形成されている請求項7又は8に記載の製函前ボックス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の製函前ボックスを形成するブランクシート。
【請求項11】
請求項10に記載の製函前ボックスにより形成された包装箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクシート、製函前ボックス及び包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被梱包品を固定する仕切りの付いた包装箱や、商品を梱包用の包装箱に入れたまま包装箱の上部を取り除く等してそのまま陳列できる梱包兼陳列用の包装箱が開発されている(例えば、下記特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1に記載のトレイは、底板部から側板部に跨って形成された短冊状の切込みを起こして、底板部に対して側板部を立ち上げた際に側板部に斜めに係止させ、仕切り板を形成している。
【0004】
特許文献2に記載されたシート状部材(1)及び箱体(100)は、底板フラップ(前側底板部)(24)の先端にスリット(6S)を形成した保持板部(6)を後側板部(14)に架け、スリット(6S)内に商品を挟み込む構成を採用している。
具体的に、保持板部(6)は、前側底板部から延出した矩形の板部の先端部分でスリット間に跨って延びる延出片を後側板部(14)に固定させるパーツとして設け、保持板部(6)を後側板部(14)に斜めに架ける構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-187041号公報
【文献】特許第6246568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に例示した従来のトレイは、予め矩形に形成されてなる底板部各辺に側板部が連接したブランクシートで箱を形成する場合に有効であるが、いわゆるワンタッチ底のような組み底式の包装箱には適用できない。また、従来のトレイの構成では、仕切り片の形成によって、底板部と側板部との間に仕切り片を起こした後の孔が形成されてしまうという問題があった。
【0007】
特許文献2に例示した包装箱は、延出片でスリット間の保持板部を連結させているため、1つの商品を取り出す際に商品が保持板部分に引っ掛かる等して保持板部の一部が浮いてしまうと、保持板部全体が浮き上がって全商品の配列を乱してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、底板フラップを用いた組み底式の包装箱に適用可能で、商品を立たせ易くかつ商品の取り出し時に他の商品の配列を乱すことを防止できるブランクシート、製函前ボックス及び包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の製函前ボックスは、底面部を形成する複数の底板フラップと、前記底面部を取り囲んで立ち上がる側板とを備え、前記底板フラップの一つは、互いに対向する一方の側板の下端縁を基端縁として対向する他方の側板の下端縁に向かって延び、前記底板フラップの先端縁には、底面部を張った際に前記他方の側板の内面で前記下端縁よりも上方に達する突出部が1以上形成され、前記底板フラップには、前記突出部の外周縁に連続して延びるスリット及びこのスリットにつながって延びる折り曲げ線が形成され、前記外周縁、前記スリット及び前記折り曲げ線が、前記突出部及び前記底板フラップの先端部の一部を取り囲んで仕切り片を形成し、前記底板フラップを前記互いに対向する側板間に張った際に前記突出部が前記他方の側板に干渉し、前記仕切り片が立ち上がり可能に形成されている。
この構成によれば、仕切り片の設定が容易で、仕切り片が互いに独立しているため、一つの仕切り片が浮いた際に他の仕切り片に影響を及ぼしにくい。
【0010】
本発明の製函前ボックスの前記突出部の外周縁の両端から、前記スリットが互いに間隔を空けて延び、前記スリット同士の間に亘って前記仕切り片の基端縁となる折り曲げ線が形成されていてもよい。
この構成によれば、仕切り片が他方の側板の下端縁に平行に動くことを防止することができ仕切り片の固定がより安定的となる。
【0011】
本発明の製函前ボックスの前記仕切り片の上端縁となる前記スリットが、前記外周縁の一端から延び、前記外周縁の他端から、前記他方の側板の下端縁に対して斜め又は直交する方向に延びる直線上に、前記仕切り片の基端縁となる前記折り曲げ線が形成され、前記スリットは、折れ曲がって前記折り曲げ線に向かって延びていてもよい。
この構成によれば、仕切り片を他方の側板の下端縁に対して斜め又は直交する方向に延びる直線上に前記仕切り片の基端縁となる前記折り曲げ線が形成されるため、仕切り片の偏平面を立ち上がらせて仕切り片を設定することができる。
【0012】
本発明の製函前ボックスの前記一方の側板の下端縁及び前記他方の側板の下端縁に交差する向きに延びる前記底面部の一辺から、製函時に包装箱を正面に向ける正面側板が立ち上がり可能に設けられ、前記折り曲げ線が、前記底板フラップにおいて前記正面側板側に鈍角を成すように形成されていてもよい。
この構成によれば、偏平に立ち上がらせた仕切り片を正面側板に向けて傾け易くなる。
【0013】
本発明の製函前ボックスの前記一方の側板の下端縁及び前記他方の側板の下端縁に交差する向きに延びる前記底面部の一辺から、製函時に包装箱を正面に向ける正面側板が立ち上がり可能に設けられ、前記正面側板に対向配置される背面側板が前記底面板から立ち上がり可能に設けられ、製函時に前記背面側板を前記一方の側板と他方の側板との間に折り込む折り畳み線が前記一方の側板、前記他方の側板及び前記背面側板に形成されていてもよい。
この構成によれば、商品をより安定的に支持することができる。
【0014】
本発明の製函前ボックスは、底面部を形成する複数の底板フラップと、前記底面部を取り囲んで立ち上がる側板とを備え、前記底板フラップの一つは、製函時に互いに対向する一方の側板の下端縁を基端縁として対向する他方の側板の下端縁に向かって延びるとともに、製函時に前記一方の側板部に隣接する側板の下端縁に沿って延びる側縁を有し、前記側縁には、底面部を張った際に前記隣接する側板の内面で前記下端縁よりも上方に接触する突出部が1以上形成され、前記底板フラップには、前記突出部の外周縁に連続して延びるスリット及びこのスリットにつながって延びる折り曲げ線が形成され、前記外周縁、前記スリット及び前記折り曲げ線が、前記突出部及び前記底板フラップの先端部の一部を取り囲んで仕切り片を形成し、前記底板フラップを前記互いに対向する側板間に張った際に前記突出部が前記隣接する側板に干渉し、前記仕切り片が立ち上がり可能に形成されている。
この構成によれば、仕切り片の設定が容易で、仕切り片が互いに独立しているため、一つの仕切り片が浮いた際に他の仕切り片に影響を及ぼしにくい。
【0015】
本発明の製函前ボックスの前記突出部の外周縁の両端から、前記スリットが互いに間隔を空けて延び、前記スリット同士の間に亘って前記仕切り片の基端縁となる折り曲げ線が形成されていてもよい。
この構成によれば、仕切り片が他方の側板の下端縁に平行に動くことを防止することができ仕切り片の固定がより安定的となる。
【0016】
本発明の製函前ボックスの前記仕切り片の上端縁となる前記スリットが前記外周縁の一端から延び、前記外周縁の他端から、製函時に前記隣接する側板の下端縁に対して斜め又は直交する方向に延びる直線上に、前記仕切り片の基端縁となる前記折り曲げ線が形成され、前記スリットは、折れ曲がって前記折り曲げ線に向かって延びていてもよい。
この構成によれば、仕切り片を他方の側板の下端縁に対して斜め又は直交する方向に延びる直線上に前記仕切り片の基端縁となる前記折り曲げ線が形成されるため、仕切り片の偏平面を立ち上がらせて仕切り片を設定することができる。
【0017】
本発明の製函前ボックスの前記一方の側板の下端縁又はこれに対向する側板の下端縁が、製函時に包装箱を正面に向ける正面側板として設けられ、前記折り曲げ線が、前記底板フラップにおいて前記正面側板側に鈍角を成すように形成されていてもよい。
この構成によれば、偏平に立ち上がらせた仕切り片を正面側板に向けて傾け易くなる。
【0018】
本発明のブランクシートは、上記いずれか一に記載の製函前ボックスを形成する。
この構成によれば、上記いずれかの作用及び機能を奏する。
【0019】
本発明の包装箱は、上記いずれか一に記載の製函前ボックスにより形成されている。
この構成によれば、上記いずれかの作用及び機能を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製函前ボックス、ブランクシート及び包装箱は、底板フラップを用いた組み底式の包装箱に適用可能で、商品を保持し易くかつ商品の取り出し時に他の商品の配列を乱すことを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装箱を分解して示した斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスの一部のブランクシートを示す平面図である。
図3図2のブランクシートの仕切り片を有する部分を拡大して示した平面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスの一部のブランクシートを示す平面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスの作成方法を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスの作成方法を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る製函前ボックスを示す平面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る包装箱の使用方法を示す斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るブランクシートの仕切り片を有する一部を拡大して示した平面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る包装箱の一部を示した斜視図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るブランクシートの他の例の仕切り片を有する一部を拡大して示した平面図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係るブランクシートの他の例の仕切り片を有する一部を拡大して示した平面図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係る製函前ボックスの一部のブランクシートを外表面から見た平面図である。
図14】本発明の第3の実施形態に係る製函前ボックスの一部のブランクシート他の例を外表面から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明のブランクシート、製函前ボックス及び包装箱の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また本実施形態において、各部を上、下、水平方向、側方等と称することがあるが、これらは特に断りのない限り、底面部を下面として明細書又は図面において示す特定の方向からブランクシート又は包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すものである。したがって、これらは必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。また、前、前方は、本願発明の製函前ボックス及び包装箱の正面側板を前方とし、後、後方は、背面側板を後方とした場合の向きを示す。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の包装箱1は、物を内部に収めるトレイ部材2と、トレイ部材2を閉じる蓋部材3とを備えている。
【0024】
トレイ部材2は、四方を囲む下部側板4-7と、下部側板4-7の底を閉じる底面部8と有している。底面部8は、図2に示す底板フラップ11-14を組み立てて形成される方式を採用している。より具体的に、トレイ部材2は、本実施形態ではいわゆるワンタッチ底の構成を採用している。
蓋部材3は、下部側板4-7を外側から覆う上部側板16-19と、上部側板16-19の上端側開口部を閉じる天板フラップ21-24とを備えている。上部側板16-19の下端側は開口している。
【0025】
図2に示すように、トレイ部材2のブランクシート2aは、下部側板4-7と、下部側板4-7の各下端縁4c-7cに連設した第1から第4の底板フラップ11-14とを主として有している。
ブランクシート2aは、剛性のある紙製又は合成樹脂製の1枚のシートを型抜きし,スリットや破断線を入れて形成されている。
【0026】
下部側板4-7は、下部側板4,5,6,7間に形成された折り曲げ線となる側辺b1を介して一方向に4つ連接している。
本実施形態において、下部側板4は、ほぼ水平な上端縁4a及び下端縁4cと、背面側板7との境を成す側辺4bと、上端縁4aから正面側板5に向かって延びる傾斜辺4eと、正面側板5との境をなす側辺b1とに囲まれている。
【0027】
下部側板4には、上端縁4aから側辺4bに向かって延びる傾斜折り畳み線L1が形成されている。傾斜折り畳み線L1は、製函時に下部側板4に隣接する背面側板7に向かって延びている。
【0028】
下部側板4の中央付近には、矩形の押し込み孔30と、押し込み孔30の下方に隣接する開封用のくり抜き部31が形成されている。
くり抜き部31は、上辺31a及び下辺31cがほぼ水平に形成され、両側辺31b,31bが上下方向の中央付近で両サイドに膨らむように形成された、ほぼ樽型に形成されている。くり抜き部31の上辺31aは、押し込み孔30の開口下端縁となっており、両側辺31b,31bは、くり抜きを容易にするミシン目状の破断線で形成され、下辺31cは、継ぎ目のない直線状のスリットで形成されている。
【0029】
製函時に下部側板4に対向する下部側板6は、正面側板5を間に挟んで左右対称に形成されている。
【0030】
下部側板4-7の連接方向の両端に位置する下部側板4,7のうちの一方の側辺4b又は側辺b1には、両端に位置する下部側板4,7同士を連結させて図1に示す筒体とするための接合代32が設けられている。本実施形態では、接合代32は、小幅の台形で、側辺4b側に形成されている。
接合代32には、背面側板7を重ねた際に後述する折り畳み線L3,L4が重なる位置での折り曲げが容易になるように、対応する位置に折り曲げ線が形成されている。
【0031】
接合代32を用いて下部側板4,7を連結させることにより、図1に示す4つの下部側板4-7が空間を矩形に取り囲む筒体を形成するようになっている。
下部側板4,6の短寸法の側辺b1,b1間に亘って設けられた正面側板5は、下部側板4,6よりも高さの低い矩形で、水平方向に幅広に形成されている。正面側板5の高さは、陳列時にどの程度内部の商品を露出させたいかに応じて適宜設定することができる。
【0032】
下部側板6の長寸法の側辺b1に設けられた背面側板7は、正面側板5と同幅で、下部側板4,6と同じ高さの矩形に形成されている。
背面側板7には、背面側板7の上部側を台形に取り囲む折り畳み線L2-L4が形成されている。
【0033】
折り畳み線L2-L4は、背面側板7の上端縁の中心から略同距離離れた2点から側辺b1,b1に向かって左右対称に傾斜して延びる辺L2,L3と、辺L2、L3と側辺b1とが交差する点同士を結んでほぼ水平方向に延びる辺L4とにより構成されている。辺L2,L3の下端は、下部側板4,6の傾斜折り畳み線L1の下端と交わっている。折り畳み線L1-L4は、ミシン目状に形成されている。
【0034】
各下部側板4-7の下端縁4c-7cには、図1に示す底面部8を形成する第1底板フラップ11から第4底板フラップ14が連接している。
【0035】
下部側板4の下端縁4cに連接している第1底板フラップ11は、概略ほぼ台形で下部側板4-7の下端縁4c-7cに囲まれる図1に示す底面部8をわずかな隙間を残してほぼ覆い得る大きさに形成されている。すなわち、第1底板フラップ11の先端縁11aは、特に限定されないが、好ましくは下端縁4cに平行な方向に下部側板4の下端縁4cの長さの70%以上(本実施形態では85%程度)の長さで形成されている。また、第1底板フラップ11の先端縁11aは、底面部8を張った際に、下端縁4cに直交する方向に下端縁6cにわずかに達しない位置まで及ぶよう形成されている。先端縁11aは、下端縁4cにほぼ平行に形成されている。
【0036】
第1底板フラップ11の先端部には、先端縁11aから突出する仕切り片35が形成されている。
図3に示すように、仕切り片35は、第1底板フラップ11が先端縁11aから部分的に延出した突出部36と、突出部36の外周縁36gの両端から先端縁11aよりも下端縁側4c側に延びるスリット37,37及びスリット37,37間に延びる折り曲げ線38とに囲まれた部分とを備え、一枚の板状に形成されている。
【0037】
仕切り片35は、全体としてほぼ矩形に形成されている。スリット37は、先端縁11aに対して略直交する方向に形成されている。仕切り片35の折り曲げ線38及び突出部36の先端は、第1底板フラップ11の先端縁11aとほぼ平行に形成されている。
【0038】
図2に示すように、第1底板フラップ11には、製函前ボックスの状態で第1底板フラップ11の先端縁11a側の一方の角部を外表面側に折り返す折り曲げ線11fが、下端縁4cの近傍から先端縁11aに向かって形成されている。
【0039】
第2底板フラップ12は、正面側板5の下端縁5cを下底辺とする概略台形のベース部40と、ベース部40から突出した連動結合部41とを有している。
【0040】
ベース部40は、下端縁5cと、下端縁5cの第1底板フラップ11側の一端から緩やかに延びる傾斜辺40bと、傾斜辺40bの先端から下端縁5cに略平行に延びる先端辺40aと、先端辺40aから下端縁5cへ向かって延びる傾斜辺40dとに囲まれている。
【0041】
ベース部40の下端縁5cからの延出寸法、すなわち下端縁5cから先端辺40aまでの寸法は、第1底板フラップ11の延出寸法の約半分となっている。
連動結合部41は、傾斜辺40bに連接している。
連動結合部41は、第1底板フラップ11と接合してこれらと連動するよう構成されている。
【0042】
第3底板フラップ13は、下端縁6cを下底辺とする概略台形のベース部40と、ベース部40の第4底板フラップ14側の傾斜辺40jに突出させた連動結合部41とを有している。第3底板フラップ13の連動結合部41は、第4底板フラップ14と接合して連動するように設けられている。
【0043】
下端縁6c及び先端縁13aの長さは第2底板フラップ12の下端縁5c及び先端縁40aよりも長い。第3底板フラップ13の下端縁6cからの延出寸法は、第2底板フラップ12とほぼ同じ寸法である。
【0044】
第4底板フラップ14は、下端縁7cを下底辺とする台形に形成されている。第4底板フラップ14の延出寸法は、第2底板フラップ12及び第3底板フラップ13とほぼ同寸法となっている。
【0045】
図4に示すように、蓋部材3のブランクシート3aは、図2に示す下部側板4-7よりもわずかに高い寸法及び大きい幅寸法で形成された上部側板16-19と、これらの上端縁16a-19aに形成されたほぼ矩形の天板フラップ21-24とを備えている。
上部側板16,18は、それぞれ下部側板4,6に対応し、上部側板17,19は、正面側板5及び背面側板7にそれぞれ対応するように形成されている。
【0046】
上部側板16,18には、下部側板4,6の押し込み孔30に対応する押し込み片50と、くり抜き部31に対応する引き出し片51とが形成されている。
押し込み片50は、押し込み孔30よりもわずかに小さい矩形で、製函時に押し込み孔30に対応する位置に形成されている。
【0047】
引き出し片51は、くり抜き部31よりもわずかに大きい相似形に形成されている。引き出し片51の下辺51cはスリットではなく、折り曲げ線になっている。
上部側板16と上部側板17との間には、切込み52が形成されている。切込み52は、正面側板5と下部側板4との角の下部がわずかに露出する程度の幅及び高さで形成されている。
【0048】
上部側板17と上部側板18との間には、長孔53が形成されている。長孔53は、正面側板5と下部側板6との角が見える程度の幅で、角の上端から所定寸法露出する程度の高さで形成されている。
【0049】
以上の構成を有するブランクシート2a,3aを折り畳んだ製函前ボックス1aにする方法について説明する。
図5に示すように、ブランクシート2aの第1底板フラップ11から第4底板フラップ14を各下端縁4c-7cで下部側板4-6の内面側(すなわち図2に表示されている面の反対側)に折り曲げる。
【0050】
下端縁5c,6cで折り曲げられた第2底板フラップ12と第3底板フラップ13の連動結合部41を傾斜辺40b,40jにおいて更に第2底板フラップ12及び第3底板フラップ13の外面側に折り曲げ、各連動結合部41の面上(すなわち内面側)に接着剤を塗布しておく。
【0051】
そして、下部側板4及び正面側板5の間の側辺b1及び下部側板6及び背面側板7の間の側辺b1において、下部側板4及び背面側板7をそれぞれ正面側板5及び下部側板6の内面に重ねるように図5に示す紙面奥行き側に折り曲げる。この際、接合代32の外面に接着剤を塗布しておく。
【0052】
そうすると、第2底板フラップ12の連動結合部41が第1底板フラップ11の一部に重なって貼着し、第3底板フラップ13の連動結合部41が第4底板フラップ14の一部に重なって貼着する。また接合代32に下部側板7が重なって貼着する。
【0053】
これにより、第1底板フラップ11から第4底板フラップ14は、下部側板4-6を立体に起こした際に、それぞれの少なくとも一部が底面視反時計回りに隣り合う底板フラップに重なり底面部8をしっかりと閉塞できる、いわゆるワンタッチ底となる。
【0054】
以上により、図6に示す製函前のトレイ部材2が組み立て可能な製函前の状態となる。なお、図6に示すトレイ部材2は、図5に示すブランクシート2aを前述のとおり側辺b1で折り曲げた上で、裏返して示された図である。図6では、説明の便宜上、第1底板フラップ11-第4底板フラップ14は省略している。また、図6に示す蓋部材3のブランクシート3aは、図4に示すブランクシート3aを裏返して内面を見せた図である。
【0055】
製函前のトレイ部材2は、図6に示すように、蓋部材3のブランクシート3aの内面に、上部側板18及び下部側板6がそろうように重ねる。下部側板4,6に形成されたくり抜き部31の外面又は上部側板16,18の引き出し片51の内面には、接着剤を塗布しておく。
【0056】
そして、側辺b2において蓋部材3のブランクシート3aを折り畳み、下部側板4に上部側板16を重ねる。下部側板7には上部側板19を重ねる。予め接着剤を塗布しておいた接合代54は、上部側板16に重ねてトレイ部材2を取り囲む。
以上により、図6に示す製函前のトレイ部材2と蓋部材3とをくり抜き部31と引き出し片51との間で固定するとともに、図7に示すように、蓋部材3でトレイ部材2を取り囲んで固定した製函前ボックス1aが完成する。
【0057】
製函前ボックス1aを製函するには、図7に示す製函前ボックス1aの上部側板16-19を、図1にトレイ部材2と蓋部材3とを分解して示すように、各側辺b2において直角に起こして立体化する。
【0058】
立体化に際して、第1底板フラップ11は、下部側板4の下端縁4cから起き上がって下部側板6の下端縁6cに亘って張ろうとし、先端縁11aから突出した仕切り片35が下部側板6の内面に接触する。仕切り片35は更に、下端縁4cを基端縁とする第1底板フラップ11の回動に伴って下部側板6の内面に突っ張りつつ更に下がろうとする。
【0059】
仕切り片35は、下がれなくなったところで下部側板6に固く突っ張った状態となる。そして、図1に示すように、第1底板フラップ11が更に回動すると折り曲げ線38が谷折りになり、第1底板フラップ11及び他の底板フラップ12-14が底面部8を形成した際に、傾斜した状態で下部側板6に固定される。
【0060】
以上のようにして、トレイ部材2の内部には、立体化時に第1底板フラップ11が張られる動作により自動的に仕切り片35が形成される。
製函前のトレイ部材2は、底面部8が張られ、下部側板4-7が底面部8を取り囲むように立ち上がることで、図1に示すように収容部Sが形成されたトレイ部材2となる。
【0061】
蓋部材3においては、トレイ部材2と共に平面視矩形に形成され、上端が開口し、上部側板16-19が下部側板4-7を完全に覆った状態となる。
上端開口部から仕切り片35同士の間に被梱包物を配置する。被梱包物は、仕切り片35に支持されるため、立てられた状態でも安定的に保持される。被梱包物を収容させたら、天板フラップ21-24を各側板に対し約90°に折り曲げて上端側開口部を閉じる。
【0062】
以上のようにして、商品等の被梱包物を収容した包装箱1が形成される。
【0063】
包装箱1を開口するには、押し込み孔30内に上部側板16,18に形成された押し込み片50(図1では省略。図2参照)を押し込んで指等を差し込む孔を形成し、孔から指を入れてミシン目で引き出し片51(図1では省略。図2参照)を破断しつつ外側に折り返す。そうすると、同時にくり抜き部31のミシン目が破断し、くり抜き部31が下部側板から切り離されて、蓋部材3とトレイ部材2との固定が解除される。その後、蓋部材3をトレイ部材2から取り外す。
【0064】
蓋部材3が取り外されたトレイ部材2は、商品の配置時の姿勢を概ね維持した状態でそのまま陳列することができる。
包装箱1は、仕切り片35が設けられているので、商品が正面側板5から順に取り出されても、残された商品が仕切り片35に支持されて縦置きでも良好に維持しやすくなる。
【0065】
商品が取り出されて正面側板5側に商品を移動させた場合は、図8に示すように、背面側板7を折り畳みL2-L4線において折り曲げつつ内側に押し込む。そうすると、下部側板4,6の傾斜折り畳み線L1も折り曲げられ、背面側板7と下部側板4,6の一部とで商品を後方から支える支持部60が形成される。
支持部60により、トレイ部材2内の商品の立設をより一層容易かつ安定的に維持することが可能となる。
【0066】
以上のように、本発明のブランクシート2aによれば、仕切り片35を第1底板フラップ11の先端部に形成するだけで、非常に容易に仕切り片35を形成することができるという効果を奏する。
【0067】
また、トレイ部材2は、各仕切り片35がそれぞれ連結することなく、個々に独立して下部側板6に固定される。したがって、ブランクシート2aは、仕切り片35間に配置した商品を取り出す際に仕切り片35を下部側板6から浮き上がらせても、他の仕切り片35を浮き上がらせて他の商品の陳列を乱してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0068】
また、ブランクシート2a、製函前ボックス1a及び包装箱1は、非常にシンプルな構成で、確実な仕切りを作ることができるという効果を奏する。また、仕切り35は、水平方向の動きを防止して、商品を安定的に支持することができる。
【0069】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態において第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、主として第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0070】
図9に示すように、本実施形態の第1底板フラップ11は、仕切り片45の折り曲げ線48すなわち基端縁が先端縁11aに対して斜めに設けられている点で、先端縁11aに対して仕切り片35の折り曲げ線38を平行に設けた第1の実施形態と異なっている。また、本実施形態の仕切り片45が偏平面を立てて設けられる点で、偏平面を寝かせた姿勢で仕切り片45を設ける第1の実施形態と異なる。
【0071】
具体的に、第2の実施形態の仕切り片45は、突出部46の外周縁46gの後方側の一端からスリット47を形成し、突出部46の外周縁46gの前方側の端部から折り曲げ線48を形成している。スリット47及び折り曲げ線48は、背面側板7が連接する方の側辺4bに向かって斜めにかつ互いに平行に延びている。すなわち折り曲げ線48は、下端縁6cに対して正面側板5側に鈍角を形成するように設けられている。
スリット47は、所定寸法延びた後、折り曲げ線48の端部に向かって折れ曲がり、折り曲げ線48に達している。
【0072】
仕切り片45は、全体としてほぼ平行四辺形に形成されている。仕切り片45の形状は、突出部46が下部側板6の内面に当たって仕切り片45が立ち上がった際に、突出部46の一辺が下部側板6の内面に固く当てられるように形成されている。
【0073】
以上の仕切り片45を有する本実施形態の製函前ボックス1a及び包装箱1は、図10に示すように、偏平面を立てた状態で仕切り片45を立てる構成であるため、商品を配置する間隔をブランクシート2aの厚さ寸法に抑えることができる。したがって、本実施形態の製函前ボックス1a及び包装箱1は、商品の配置スペース毎に仕切り片45の偏平面の幅寸法分の間隔が設けられることを避けられる。すなわち、製函前ボックス1a及び包装箱1は、商品をより効率的に収容することができるという効果を奏する。本実施形態の製函前ボックス1a及び包装箱1は、第1実施形態の作用及び効果も奏する。
【0074】
また、製函前ボックス1a及び包装箱1は、仕切り片45を斜め前に倒すことが可能である。したがって、製函前ボックス1a及び包装箱1は、正面側板5側の商品が取り出されて空間ができた際に、仕切り片45をやや前方に倒しながら、背面側板7側の商品を前方に移動させることができる。これにより、製函前ボックス1a及び包装箱1は、トレイ部材2内での商品の取り扱いが容易となっているという効果を奏する。
【0075】
次に、本発明の第3の実施形態について図13を用いて説明する。本実施形態において第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、主として第1,第2の実施形態と異なる構成について説明する。
【0076】
具体的に本実施形態において、図13に示すように、ブランクシート2cの仕切片65は、第1底板フラップ11の側縁11bに形成されている点で、第1底板フラップ11の先端縁11aに形成された第1又は第2の実施形態と異なっている。また、仕切片65は、ほぼ扇形に形成されている。
このような構成のブランクシート2cであっても、第2の実施形態の製函前ボックスと同様の作用、機能及び効果を奏する。
【0077】
なお、仕切片65は、図13に示すブランクシート2cが形成する製函前ボックスのように、底板フラップの一つの側縁(上記例では側縁11b)が製函時にその底板フラップが連接する側板(上記例では側板4)に隣接する側板(上記例では側板7)の下端縁(上記例では下端縁7c)に略沿って位置し、突起部(上記例では突起部66)が隣接する側板(上記例の側板7)に接して仕切片65が立ち上がるのであれば、どのような底フラップに設けられていてもよい。
【0078】
具体的には例えば、仕切片65は、図14に示すように、他の形態のワンタッチ底を形成する底板フラップ74~77のうちの底板フラップ76の側縁76bに設けられていてもよい。この場合でも、第3の実施形態のブランクシート2cと同様に、底板フラップ7が連接する側板6に隣接する側板5の下端縁5cにほぼ沿って側縁76bが設けられ、仕切片65が側板5の内面に接触し得る突起部66を有する構成となる。したがって、図14に示すブランクシート2d及びこれにより形成される製函前ボックスであっても、仕切片65が製函時に、側板5の内面に接触して立ち上がり、第3の実施形態と同様の効果を奏し得る。
【0079】
また、図14に示すブランクシート2dのように、仕切片65が形成された底板フラップ76を連接している側板6を正面に向ける場合には、仕切片65の基端縁となる折り曲げ線67は、正面板となる側板6側に鈍角を形成していてもよい。この構成によれば、ブランクシート2dにより形成される包装箱の側板6を正面に向けて用いた場合、収容した物の取り出し時に仕切片65が手前側に倒れやすくなり、取り出しが容易となるという効果を奏する。この構成の作用及び効果は、側板6に破断線等が設けられ、上端からの一部を除去して用いる場合に特に顕著となる。
同様のことは、第1及び第2の実施形態の仕切片35,45,55についてもいえる。
【0080】
なお、第1~第3の実施形態において、仕切り片35,45,55,65が多数設けられたブランクシート2a等、製函前ボックス1a及び包装箱1等を例示したが、仕切り片35,45,65は、収容する商品に応じて、1つ以上あればいくつ形成されていてもよい。
【0081】
また、仕切り片45,65の幅を適宜設定して、仕切り片45,65の高さを設定もよい。また、仕切り片45,65の下端縁4c方向の延在寸法を大きくするために、スリット47及び仕切り片45の折り曲げ線48の寸法を適宜設定してもよい。
【0082】
また、図9に示すように、第2の実施形態のブランクシート、製函前ボックス及び包装箱において、折り曲げ線48は、仕切り片45の基端縁の範囲内であれば、基端縁の一部に形成され、残りの部分をスリット47としてもよい。具体的には、図11に示すように、スリット47が仕切り片45の基端縁の一部にまで回り込んで及んでいてもよい。又は、図12に示すように、仕切り片55の基端縁の両端がスリット57で形成され、それ以外が折り曲げ線58となっていてもよい。
【0083】
また、図12に示すように、仕切り片55が立ち上げられた際の上端縁を形成するスリットは、凹凸を設けることで延出部61を有していてもよい。
このように仕切り片55に延出部61が設けられると、仕切り片55の高さを部分的に上げて、商品の保持をより安定的にすることが可能となる。
【0084】
また、第1~第3の実施形態では、製函前ボックス1a~1c及び包装箱1として蓋部材3をトレイ部材2に被せて取り外し可能に固定させた例を示したが、蓋部材3は必須ではない。すなわち、本発明は、底板フラップの先端部に上述したいずれかの仕切り片35,45,65が形成されていれば、どのような包装箱にも適用することができる。例えば、特開2020-1770に開示された発明のように包装箱の上部を破断により除去可能な包装箱等にも適用することができる。また、本発明の製函前ボックス及び包装箱は、トレイ部材2のみからなっていてもよい。又は、本発明のブランクシート、製函前ボックス及び包装箱は、図14に示すように、天板フラップ81~83を有し、一つの天板フラップ81が蓋部材を構成する、上部を除去しない包装箱に適用することもできる。
【0085】
また更には、本発明は、底板フラップの先端部又は側縁に上記いずれかの仕切り片35,45,55,65が形成され、底板フラップが互いに対向する側板間に張られる構成であれば、ワンタッチ底以外の構成の底面部8を有する包装箱にも適用することができる。
【0086】
また、図9図14に示す第2~第3の実施形態又はこの変形例の仕切り片45,55,65は、(下部)側板6等に接して立ち上がるための突出部46,56,66を有していれば、折り曲げ線48,58を下端縁6c等に直交する方向に形成してもよい。あるいは、仕切り片45,55,65は、下部側板6等に接して立ち上がるための突出部46,56,66を有していれば、下端縁6c等に対して背面側板側に鈍角を成すように折り曲げ線48,58を形成してもよい。
【0087】
また、本発明の製函前ボックス1a又は包装箱1は、下部側板4-7のいずれを正面に向けるものであってもよい。
【0088】
すなわち、仕切り片35,45等が底面部8から立設する下部側板によって上述したように形成される限り、製函前ボックス1a又は包装箱1は、高さを適宜設定して図10で示す下部側板4,6,7のいずれかを正面に向けるよう形成したものであってもよい。この場合、押し込み孔30,くり抜き部31,押し込み片50及び引き出し片51は、第1及び第2の実施形態と同様の蓋部材3を適用するためには、下部側板4-7において適宜の大きさ又は位置で設ければよい。
【0089】
仕切り片35,45等を立ち上がらせる下部側板6(他方の側板)又は仕切り片35,45等を有する底板フラップを連接させている下部側板4(一方の側板)を正面に向ける場合には、被梱包物を引き抜いて取り出すことができる。すなわち、このような構造の製函前ボックス2a又は包装箱1は、商品等の被梱包物の取り出しが容易になるという効果を奏する。
【0090】
また、本発明の実施形態1,2の製函前ボックスの製造方法についても、製函前のトレイ部材2と蓋部材3とをくり抜き部31と引き出し部51とで固定可能であれば、上述した手順以外の作成方法を採用しても構わない。
【符号の説明】
【0091】
1 包装箱
1a 製函前ボックス
2a ブランクシート
3a ブランクシート
4 下部側板(側板)
5 正面側板(側板)
6 下部側板(側板)
7 背面側板(側板)
8 底面部
11 第1底板フラップ
12 第2底板フラップ
13 第3底板フラップ
14 第4底板フラップ
35,45,55 仕切り片
36 突出部
36g,46g 外周縁
37,47,57 スリット
38,48,58 折り曲げ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14