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特許7570688剥離可能な樹脂フィルム付きの包装容器及びブランクシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】剥離可能な樹脂フィルム付きの包装容器及びブランクシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/56 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
B65D5/56 A BRL
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021026914
(22)【出願日】2021-02-23
(65)【公開番号】P2022128576
(43)【公開日】2022-09-02
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】影山 尚吾
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-329988(JP,A)
【文献】特開2001-328622(JP,A)
【文献】特開2002-211538(JP,A)
【文献】米国特許第06182465(US,B1)
【文献】中国実用新案第201046785(CN,Y)
【文献】独国特許出願公開第102011007124(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内面として用いる面に樹脂フィルムが剥離可能に貼り合わされた紙製の板状部材が用いられ、
底板部と、前記底板部を取り囲んで立ち上がる複数の側板部とを備え、
前記樹脂フィルムの表面に、前記樹脂フィルムを引き起こすつまみ部が貼り合わされ、
前記つまみ部は、製函時に重ねられる前記板状部材の一部により形成され、
前記つまみ部の前記樹脂フィルムの表面への貼着強度は、前記樹脂フィルムの前記底板部及び/又は前記側板部への貼り合わせの強度よりも大きく設定され、
前記つまみ部を前記樹脂フィルムと共に引き起こして引っ張ることにより前記樹脂フィルムを前記底板部及び/又は前記側板部から剥離し得る包装容器。
【請求項2】
複数の前記側板部の側辺同士の間には、折り畳まれて前記側板部の外面に重ねられる折り返し部が設けられ、
前記折り返し部は、前記樹脂フィルム同士を対向させて二重に折り畳まれる重層部と、前記折り返し部の内面の前記樹脂フィルムが前記側板部の外面に重ね合わされる単層部とを有し、
前記つまみ部は、前記側板部及び/又は前記側板部から延びた側板フラップの前記単層部が重なった領域に形成され、
前記つまみ部とそれ以外の部分との境目には破断可能な切れ目又はミシン目が形成されている請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記つまみ部は、前記側板部の側端縁及び/又は上端縁を含んで形成され、
前記つまみ部の一部が前記単層部の内面の樹脂フィルムに対して非貼着であり、前記つまみ部のその他の部分が前記樹脂フィルムの表面に貼着している請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記つまみ部の一部は、前記単層部から突出している請求項2又は3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記つまみ部は、前記折り返し部が重ねられた前記側板部の上端の一方又は双方の角部に形成されている請求項2から4のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の包装容器を組み立て可能なブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離可能な樹脂フィルム付きの包装容器及びこの包装容器を形成するブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調理食品を販売する店や飲食店の商品の持ち帰りのために、紙製の板状部材を組み立てた包装容器が広く使用されている。紙製の包装容器は、調理された食品を直接紙材に付着させることで調味料や水分を奪ってしまったり、タレや汁といった液体が容器の外側に染み出したりすることを防ぐべく、紙製の板状部材の表面にコーティングや樹脂フィルムのラミネートがなされている。
また、近年は、リサイクル可能な資源を回収して再利用するために、資材の分別廃棄が広く求められている。これに対応するために、ラミネートされた樹脂フィルムを紙製の板状部材から剥離できるようにした紙容器が開発されている。
しかし、樹脂フィルムを剥離可能であっても、樹脂フィルムが板紙に隙間なくきれいに貼り付いているため指先や爪等ではうまく剥がし難く、剥離開始のきっかけが設けられていない限り、結局ユーザーに剥離してもらえず分別に繋がり難いという問題があった。
このような問題への対応として、例えば下記特許文献1に開示された剥離の開始が容易な紙容器等が開発されている。
【0003】
特許文献1に記載の紙容器には、予め樹脂フィルムを剥離可能にラミネートした板紙を用意し、折り曲げ線等を形成するとともに樹脂フィルムには傷をつけないよう板紙のみにミシン目を入れ、全体を打ち抜いたブランクシートが用いられている。
前記ブランクシートを組み立てて形成された紙容器は、使用後、樹脂フィルムを破らないようにミシン目を破断し、ミシン目で囲まれ破断された部分を摘み部として樹脂フィルムを板紙から剥離するためのきっかけとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-145396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、摘まみ部を分離させやすい程度のミシン目を、板紙のみに入れるのは容易ではない。特に、食品の容器に用いられる紙製の板状部材は、要求される仕様が様々である上、湿度などの環境条件やシート材の製造装置のコンディション等の影響を受け得るため、ミシン目の切り込みの程度には少なからずばらつきが生じる。したがって、ミシン目の切り込みが甘い場合には、摘まみ部の分離時にミシン目の破断に余計な力が掛かるため、摘まみ部の分離時の勢いで樹脂フィルムも一緒に破ってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、紙製の板部材に剥離可能に貼り合わされた樹脂フィルムの剥離を容易かつ確実に開始し得る樹脂フィルム付きの包装容器及びこの包装容器を形成するブランクシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装容器は、容器の内面として用いる面に樹脂フィルムが剥離可能に貼り合わされた紙製の板状部材が用いられ、底板部と、前記底板部を取り囲んで立ち上がる複数の側板部とを備え、前記樹脂フィルムの表面に、前記樹脂フィルムを引き起こすつまみ部が貼り合わされ、前記つまみ部の前記樹脂フィルムの表面への貼着強度は、前記樹脂フィルムの前記底板部及び/又は前記側板部への貼り合わせの強度よりも大きく設定され、前記つまみ部を前記樹脂フィルムと共に引き起こして引っ張ることにより前記樹脂フィルムを前記底板部及び/又は前記側板部から剥離し得る。
この構成によれば、樹脂フィルムの剥離時に、樹脂フィルムの剥離に必要以上の力をかけることを回避することができる。
【0007】
本発明の包装容器の複数の前記側板部の側辺同士の間には、折り畳まれて前記側板部の外面に重ねられる折り返し部が設けられ、前記折り返し部は、前記樹脂フィルム同士を対向させて二重に折り畳まれる重層部と、前記折り返し部の内面の前記樹脂フィルムが前記側板部の外面に重ね合わされる単層部とを有し、前記つまみ部は、前記側板部及び/又は前記側板部から延びた側板フラップの前記単層部が重なった領域に形成され、前記つまみ部とそれ以外の部分との境目には破断可能な切れ目又はミシン目が形成されていてもよい。
この構成によれば、包装容器の組み立てプロセスにつまみ部の作成を含めて、容易に包装容器を作成することができる。
【0008】
本発明の包装容器の前記つまみ部は、前記側板部の側端縁及び/又は上端縁を含んで形成され、前記つまみ部の一部が前記単層部の内面の樹脂フィルムに対して非貼着であり、前記つまみ部のその他の部分が前記樹脂フィルムの表面に貼着していてもよい。
この構成によれば、つまみ部の引き起こしが容易となる。
【0009】
本発明の包装容器の前記つまみ部の一部は、前記単層部から突出していてもよい。
この構成によれば、つまみ部の引き起こしが容易になる。
【0010】
本発明の包装容器の前記つまみ部は、前記折り返し部が重ねられた前記側板部の上端の一方又は双方の角部に形成されていてもよい。
この構成によれば、つまみ部の分離が容易となる。
【0011】
本発明のブランクシートは、上記いずれかの包装容器を組み立てることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装容器及びブランクシートは、紙製の板部材に剥離可能に貼り合わされた樹脂フィルムの剥離を容易かつ確実に開始できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装容器を示した斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るブランクシートを示した平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る包装容器を閉じた状態を示した斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の組み立て工程を示した斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の解体工程を示した斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の解体工程を示した斜視図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る包装容器から樹脂フィルムを剥離する工程を示した概略図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る包装容器から樹脂フィルムを剥離する工程を示した概略図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る包装容器から樹脂フィルムを剥離する工程を示した概略図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る包装容器を示した斜視図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るブランクシートを示した平面図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る包装容器の解体工程を示した斜視図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る包装容器を解体した状態を示した平面図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る包装容器から樹脂フィルムを剥離する工程を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の剥離可能な樹脂フィルム付きの包装容器及びそのブランクシートの第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、本実施形態において、本発明の各部を上、下、側方等と称することがあるが、これらは特に断りのない限り、底板部を下面として包装容器を設置した場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものである。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の包装容器1Aは、底板部2と、底板部2を取り囲む四辺から立ち上がる側板部3,4,5,6とを主として有している。
図2に示すように、本実施形態では、底板部2の各辺2aに側板部3-6が連なって設けられている。包装容器1A及びブランクシート1aには、樹脂フィルムが少なくとも一方の面の全体に剥離可能に貼り合わされた紙製の板状部材が用いられている。樹脂フィルムが設けられた面は、包装容器1Aの内面に用いられる。
【0016】
図2に示すように、底板部2は、ほぼ矩形に形成されている。
側板部3-6は、上端縁3a,4a・・が辺2aよりも長いほぼ台形に形成されている。側板部3-6は全てほぼ同形状に形成されている。
互いに対向する一対の側板部3,5の上端縁3a,5aには、容器の蓋をなす蓋フラップ7が設けられている。
【0017】
蓋フラップ7は、概略矩形に形成されている。一対の蓋フラップ7は、図3に示すように、側板部3,5の上端縁3a,5aを折り曲げ線として4つの側板部3-6で囲まれた内側に折り曲げた際に、容器の開口部8をほぼちょうど覆う大きさで形成されている。
【0018】
図1に示すように、一方の蓋フラップ7の先端縁7aの半分側には、対向する蓋フラップ7の先端縁7aの半部を覆い得る先端係止片9が形成されている。
他方の蓋フラップ7の先端縁の半分側には、対向する蓋フラップ7の先端係止片9が形成されていない先端縁7aの半部を覆い得る先端係止片9が形成されている。
対向する蓋フラップ7の両先端係止片9は、互いに先端係止片9が形成されていない半部を覆って隙間なく開口部8を閉じられるようになっている。
【0019】
それぞれの先端係止片9は、蓋フラップ7の先端の中央付近で反対側の半部側にやや膨らんだ形状をしている。また、先端係止片9と蓋フラップ7との間は、蓋フラップ7の中央部付近において先端係止片9の中央側の端部形状から延長して延びるスリットが形成されている。この構成により、先端係止片9は、図3に示すように中央部付近で互いに係止し合えるようになっている。
【0020】
図1に示すように、互いに対向する他の側板部4,6の上端縁4a,6aには、側板フラップ11,11が連なって設けられている。
側板フラップ11は、側板部4の上端縁4aとほぼ同じ長さの幅で、蓋フラップ7よりも短い延出長さを有している。
【0021】
側板フラップ11の幅方向の両端部11E,11Eは、ミシン目Pで区切られている。
ミシン目Pは、後述する折り返し部20の延出部30の外形にほぼ沿って、延出部30の外形のやや内側に収まるように形成されている。
【0022】
具体的には、図2に示すように、ミシン目Pは、側板フラップ11の角部から所定寸法間隔を空けた位置p1,p1から側板フラップ11の幅方向中央側に向かって斜め下方に延びている。その後ミシン目Pは、側板フラップ11の幅方向に直交する延在方向のやや下方で向きを変え、互いに離間する斜め下方向に延びている。ミシン目Pは、側板部4の上端縁4aに達すると上端縁4aに沿ってその両端p2まで延びている。
その結果、ミシン目Pは、側板フラップ11を両端部11E,11Eとこれらの間の中央部11Fとに分けている。側板フラップ11の中央部11Fは、延在方向のやや下方でくびれた形状になっている。
【0023】
側板フラップ11の両端部11E、すなわち側板フラップ11の上端縁の一部15aと側端縁11cとミシン目Pとに囲まれた部分は、樹脂フィルムの剥離を開始するきっかけとなり、また剥離を良好に行わせるつまみ部15を構成している。
【0024】
つまみ部15の上端縁15aは、側板フラップ11の中央部11Fの上端縁11aに対しわずかに延在寸法を大きくして突出している。なお、このつまみ部15の上端縁15aが突出した構成は、つまみ部15を視認しやすいため有るのが好ましいが必須ではない。
【0025】
つまみ部15の上端縁15aの近傍には、つまみ部15の先端部15Tとそれ以外の部分とを分け、先端部15Tの折り返しを容易にする斜め折り曲げ線16が形成されている。斜め折り曲げ線16は、中央部11Fの上端縁11aとつまみ部15の上端縁15a(若しくはミシン目P)との交点から側板フラップ11の側端縁11cに向けて斜め下方向に形成されている。
側板部6に連なっている側板フラップ11は、側板部4に連なっている側板フラップ11と同様に形成されている。
【0026】
底板部2を中心として回転方向に隣り合う側板部3,4同士の間には、折り畳まれて側板部4に重ね合わされる折り返し部20が連なっている。
折り返し部20は、底板部2の角部から2方向に延びる側板部3,4の側端縁3c,4c(製函時に互いに重ね合わされる側端縁)と、隣り合う側端縁3c,4cの上端同士を結ぶ上端縁22a,23aとに囲まれている。
【0027】
折り返し部20には、側端縁3c,4cがなす角度をほぼ2等分する方向に延びる山折り線21が形成されている。山折り線21によって、折り返し部20にほぼ同形状の2つの三角形22,23が形成されている。折り返し部20において、側板部4に隣接し製函時に側板部4に直接重ね合わされる側の三角形22は、内側に折り込まれる内側半部を構成し、もう一方の三角形23は、外面に現れる外側半部を構成している。以下、山折り線21によって分けられる三角形をそれぞれ内側半部22及び外側半部23と称する。
【0028】
外側半部23の上端縁23aには、延出部30が連なっている。
延出部30は、上端縁23aの一方の端部から外側半部23の外形の延長線上に延びる側辺30cと、上端縁23aの他方の端部から延びる側辺30dと、側辺30c,30dの上端同士を結ぶ先端辺30aとに囲まれている。
【0029】
延出部30の先端辺30aは、一部を除いて、製函時につまみ部15の外形と形状がほぼ一致するように形成されている。延出部30には先端辺30aの両端を結ぶ直線状の折り返し線31が形成されている。
先端辺30aと折り返し線31とにより囲まれた部分は、延出部30の先端部30Tを構成している。
【0030】
図1に示すように、山折り線21で内面同士を対向させて折り重ねられる内側半部22及び外側半部23は、折り返し部20が2層になる重層部Wを構成し、外側半部23の上端縁23aにのみ連なった延出部30は、1層のみが側板フラップ11に重ねられる単層部Sを構成している。
【0031】
延出部30の側辺30dは、図2に示す側板部3の側端縁3cと側板部4の側端縁4cとが重ねられた際に、側板フラップ11の側端縁11cとほぼ重なる角度で形成されている。
【0032】
折り返し部20は、山折り線21で外面側に山折りにされて内側半部22及び外側半部23の内面同士が重ねられ、更に内側半部22が側板部4の外面に重ねられると、図2に示す上端縁23a及び22aが側板部4の上端縁4aとほぼ重なるようになっている。また、隣り合う側板部3,4の側端縁3c,4cが重なると、延出部30の側辺30dは、側板フラップ11の側端縁11cにほぼ沿う。
山折り線21と延出部30のもう一方の側辺30cは、側板部4及び側板フラップ11上で側板部4の幅方向の中心に向かって山型に張り出した形状を成している。
【0033】
延出部30の折り返し線31とつまみ部15の斜め折り曲げ線16とは製函時にほぼ一致するように形成され、延出部30の先端部30Tとつまみ部15の先端部15Tとが略同形状で重ね合わされるように形成されている。
【0034】
折り返し部20の重層部Wは、紙素材が露出した内側半部22の外面を側板部4に対向させている。側板部4と内側半部22とが重なった領域は、その10%以上60%以下、好ましくは、20%以上50%以下の範囲で接着されている。
【0035】
折り返し部20の単層部Sすなわち延出部30は、折り返し部20が折り畳まれて側板部4に重ねられた際に、樹脂フィルムが貼られた内面を紙素材が露出した側板フラップ11のつまみ部15の外面に対向させてつまみ部15に重ねられる。そして、先端部30T以外の部分をつまみ部15と貼着させている。延出部30の先端部30Tとつまみ部15の先端部15Tとは、貼着されておらず、開いて互いに離間させることができるようになっている。
【0036】
側板部5は、側板部3と同様に形成されている。
側板部6は、側板部4と同様に形成されている。側板部6の上端縁6aに形成された側板フラップ11も、側板部4に連なっている側板フラップ11と同様に形成されている。
【0037】
側板部4,5、側板部5,6及び側板部3,6の間にも、側板部3,4間に形成された折り返し部20及び延出部30と同様の折り返し部20及び延出部30が形成されている。
側板部4,5間の折り返し部20及び延出部30は、側板部3,4間の折り返し部20及び延出部30と側板部4の幅方向の中心線を軸として線対称に形成されている。
側板部3,6間及び側板部5,6間の各折り返し部20及び延出部30は、側板部3,4間及び側板部4,5間の折り返し部20及び延出部30と側板部3,5の幅方向の中心線を軸として線対称に形成されている。
【0038】
紙製板状部材の表面に貼り合わされる樹脂フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられている。樹脂フィルムには、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、生分解性プラスチックフィルム(ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリラクトカプトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシレート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース等)を使用することも可能である。
【0039】
次に、本発明の包装容器1Aを図2に示すブランクシート1aを用いて作成する方法について説明する。
【0040】
図2に示すブランクシート1aの側板部4,6の内側半部22が重ねられる部分の外面及びつまみ部15の外面に、接着剤を予め配しておく。接着剤は塗布するものであっても両面テープなどを貼り付けるものであってもよい。側板部4,6には、内側半部22が重ねられる面積の10%以上60%以下、好ましくは20%以上50%以下、最も好ましくは40%程度の範囲で接着剤が配されていることが好ましい。また、接着剤は、内側半部22の山折り線21側よりも側板部4,6側に配されていることが好ましい。
【0041】
接着剤を上記のように配することで、製函後の包装容器1Aを解体する際に、折り返し部20の側板部4,6からの剥離が極めて容易となる。
接着剤としては、紙製板状部材に樹脂フィルムが剥離可能に貼り合わされた強度よりも強い接着力を有するものを使用する。
【0042】
接着剤を配した後、図4に示すように、ブランクシート1aの外面から見て、側板部4,6と内側半部22との間の側端縁4c,6cを谷折りに、山折り線21及び側板部3,5と外側半部23との間の側端縁3c,5cを山折りにする。
【0043】
そして、折り返し部20の内側半部22及び延出部30を、側板部4,6の外面及びつまみ部15の外面に貼り付ける。側板部4,6及び内側半部22の互いに対向する面は、紙素材が露出しているため、接着剤で容易かつ確実に貼り合わされる。紙素材が露出したつまみ部15の外面には、樹脂フィルムが貼り合わされた延出部30の内面が貼り合わされる。
【0044】
接着剤としては、前述のとおり紙製板状部材に樹脂フィルムが剥離可能に貼り合わされた強度よりも接着強度が強いものを使用するので、延出部30は樹脂フィルムの剥離強度よりも強くつまみ部15の外面に貼着する。
以上により、図1に示す包装容器1Aが完成する。
【0045】
包装容器1Aの使用に際しては、包装容器1Aの内部に任意の調理食品等を入れ、側板フラップ11を閉じ、更に蓋フラップ7を閉じて、先端係止片9同士を交差させて閉口し、料理等を包装する。
使用後は、図5に示すように、ミシン目Pの一部を破断して、延出部30と共につまみ部15を側板部4の上端縁4aに沿って外側に折り曲げる。
【0046】
側板フラップ11の両サイドのつまみ部15を延出部30と共に折り曲げた上で、図6に示すように、内側半部22を側板部4,6から引き剥がすと、つまみ部15が強く延出部30に貼着しているため、ミシン目Pが全て破断され、つまみ部15が延出部30に貼り付いたまま移り、包装容器1Aの組み立てが解かれ、シート状になる。
【0047】
そこで、図7に示すように、つまみ部15の折り曲げ線16と延出部30の折り返し線31とを一緒に折り曲げてそれぞれの先端部15T,30T間を開き、図8に示すように、先端部15Tを持ってゆっくりとつまみ部15を延出部30から引き起こす。
【0048】
つまみ部15は、延出部30の内面の樹脂フィルムにしっかりと貼着しており、一方、樹脂フィルムは延出部30に容易に剥離するよう貼り合わされているため、図9に示すように、つまみ部15は、延出部30の内面の樹脂フィルムX1を引き剥がしつつ、延出部30に連なっている側板フラップ11、側板部4(6)更にその他の側板部3,5及び底板部2の樹脂フィルムX1を綺麗に剥がしていくことができる。
【0049】
樹脂フィルムX1を全て剥がし切ったところで、紙製の板状部材X2と樹脂フィルムX1とを分けて廃棄処分する。
【0050】
以上のとおり、本発明の包装容器1Aは、展開すると、つまみ部15を他の紙製板状部と分離させた状態で、樹脂フィルムの表面のみに接着して存在した状態となる。したがって、つまみ部15を延出部30から引き離していくだけで、樹脂フィルムを容易に剥離していくことが可能となる。
【0051】
また、つまみ部15は、包装容器1Aの展開時には、紙製板状部材の他の部分と完全に分離しているため、つまみ部15の引き起こしの開始時に樹脂フィルムを剥離するのに必要な力以上の力を掛ける必要がないため、樹脂フィルムの不用意な破断を回避しやすくなる。したがって、樹脂フィルムを紙製板状部材からすべて綺麗に剥がしやすくなるため、包装容器1Aの使用者による資源の分別回収率を向上させ、資源の回収をより促進することができるという効果を奏する。
【0052】
また、つまみ部15は、その外縁にミシン目を設けておくだけで、包装容器1Aの製函プロセスにおいて、折り返し部20を折り返して内側半部22を側板部4,6に貼着させる工程に含めて設けることができる。したがって、包装容器1Aは、簡便に作成することができるという効果を奏する。
【0053】
また、包装容器1Aは、つまみ部15の外縁において、紙製板状部材のみでなく樹脂フィルムを含めてミシン目Pを入れ、樹脂フィルム共々つまみ部15を破断する構成であるため、ミシン目の作成において微妙な調整等を要することない。したがって、包装容器1Aは、樹脂フィルムの剥離の容易性にばらつきを生じさせることがない、安定した品質のものを確実に製造することができるという効果を奏する。
また、つまみ部15の先端部15Tが延出部30の先端部30Tに貼着しておらず、折り曲げ線16において折り曲げることで先端部15Tと先端部30Tとを容易に開き、つまみ部15による剥離の開始をより容易にすることができるという効果を奏する。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態の包装容器1Bについて、図10図14を参照して説明する。
【0055】
本実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、主に、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
第2の実施形態の包装容器1Bは、第1の実施形態の包装容器1Aの蓋フラップ7及び側板フラップ11を有さず、つまみ部15を側板部4,6の上端部の幅方向両端に形成している点で、包装容器1Aと異なっている。
【0056】
具体的には、図10及び図11に示すように、包装容器1Bのつまみ部15は、側板部4,6の上端部の両端に設けられている。包装容器1Bのつまみ部15は、図10に示すように、製函時において折り返し部20の重層部W上方の単層部Sに覆われる側板部4,6の部分に設けられている。
【0057】
すなわち、つまみ部15は、側板部4,6の上端角部を含んで設けられている。つまみ15を分離させるミシン目Pは、上端縁4a,6aの両端から、折り返し部20の上端縁23a(22a)よりも大きい寸法分離れた位置から滑らかに湾曲するように下方に延びた後、側辺4c,6cに向かって延びている。
【0058】
包装容器1Bのつまみ部15には、単層部Sからつまみ部15が突出するラインに沿って折り曲げ線16が形成されている。
包装容器1Bにおいてつまみ部15は、単層部Sから突出した部分を先端部15Tとしている。
【0059】
以上の構成を有する包装容器1Bは、図12に示すように、つまみ部15を持ってミシン目Pを破断しつつ外側に開くことにより、折り返し部20の重層部Wの接着部を引き剥がしながら開くことができる。
【0060】
包装容器1Bは、図13に示すように展開されたら、先端部15Tを折り曲げ線16において折り曲げて、先端部15Tを持って図14に示すようにゆっくりと樹脂フィルムX2を紙製板状部材X1から引き剥がすことができる。
【0061】
包装容器1Bについても、つまみ部15は、紙製板状部材の他の部分と完全に分離し、外側半部23の内面の樹脂フィルムにのみ貼着しているため、包装容器1Aと同様に、樹脂フィルムを剥離する力をかけるだけで容易に剥離することができる。したがって、包装容器1Bにおいても、樹脂フィルムの不測の破断を回避してこれを綺麗に剥がすことが可能となり、包装容器1Bの分別廃棄を促進することができるという効果を奏する。
【0062】
なお、第1及び第2の実施形態において、包装容器1A,1B及びブランクシート1a,1bを例示したが、底板部2や側板部3-6等の形状は実施形態に示したものに限定されず適宜設定することができる。
また、第1の実施形態におけるつまみ部15は、ミシン目Pにおける破断が容易で、樹脂フィルムの剥離を円滑に行うことができる限り、延出部30よりも小さく又は延出部30の形状と異なる形状に形成されていてもよい。
【0063】
また、つまみ部15は、製函時につまみ部15以外の部分の内面に貼着して元々形成されていた部分から完全に分離し、若しくは、解体時に元々形成されていた部分から完全に分離させる構成であれば、折り返し部20に重ねて形成されていなくてもよい。このような構成の一例として、つまみ部15は、包装容器の蓋に形成された袖又はフラップで、蓋を閉じる際に側板部に貼着し、開口時に一部が側板部の内面に貼り付いた状態で分離し得る構成で形成されていてもよい。
【0064】
また、つまみ部15は、ブランクシートの状態において側板部3-6に連なって設けられていることが製造上好ましいが、かかる構成に限定されるものではない。このような構成の一例として、つまみ部15は、樹脂フィルムの端部の表面に貼り付けられた粘着テープ等で、剥離時にテープをつまみ部とし、樹脂フィルムを剥離していくものであってもよい。
【0065】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、つまみ部15が4箇所に形成された包装容器1A,1B及びブランクシート1a,1bを例示したが、つまみ部15は、1箇所形成されていればよい。
【符号の説明】
【0066】
1A,1B 包装容器
1a,1b ブランクシート
2 底板部
3,4,5,6 側板部
7 蓋フラップ
11 側板フラップ
15 つまみ部
30 延出部
P ミシン目
S 単層部
W 重層部
X1 樹脂フィルム
X2 紙製板状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14