(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20241015BHJP
G02B 7/10 20210101ALI20241015BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/10 C
(21)【出願番号】P 2021061361
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】武澤 秀行
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-232596(JP,A)
【文献】特開2015-034872(JP,A)
【文献】特開2010-256622(JP,A)
【文献】特開2010-145499(JP,A)
【文献】特開2001-147362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/10
G03B 17/14
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ群を備えたレンズ鏡筒であって、
前記レンズ鏡筒を構成する固定部と、
前記レンズ群の光軸周りに回転操作することで前記レンズ群が光軸に沿って移動する操作部と、
前記回転操作に対して前記光軸を中心として回転する回転部材と、
を有するレンズ鏡筒において、
外周面に歯車部と内周面に摩擦部とを有する円環状の摩擦部材と、
前記固定部に配され、噛合部を有するロック部材と
を有し、
前記摩擦部材は前記回転部材に嵌め付けられ、
前記摩擦部は前記回転部材と接触し、
前記ロック部材が移動することで前記噛合部と前記歯車部との噛合と
解除とが切り替わり、
前記回転操作に対
して、前記噛合状態の場合には、前記摩擦部材は前記回転部材と一体回転とならず、前記回転部材は前記摩擦部材に対して摺動し、前記解除状態の場合には、前記摩擦部材は前記回転部材と一体となって回転することで、前記操作部の回転操作に要する操作力が切り替わることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記摩擦部材を前記回転部材へ加圧する円環状加圧部材を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記操作部を回転操作することで焦点距離又は合焦距離が変更されることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記回転部材は前記ロック部材と嵌合する嵌合部を有し、
前記ロック部材が挿抜されることで、前記操作部の回転の規制と解除を行うことが可能なことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記ロック部材の移動方向は、前記光軸に沿った方向であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記摩擦部材と前記回転部材の摺動部に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記ロック部材の歯車部と前記摩擦部の外周面の歯車は、端面方向に先端が細くなる形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒における操作環の操作に要する操作力切り替え機構に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影者が合焦距離や焦点距離を撮影に適した条件に変更する場合、レンズ鏡筒外周に設けられているフォーカスリングやズームリングを回転操作することで、レンズ鏡筒内の光学素子からなるレンズ群が移動し、合焦距離や焦点距離が変更する機構であることが一般的である。
【0003】
また、一部のレンズ鏡筒は、撮影者がレンズ鏡筒の先端を光軸に沿って移動させることで前述した回転操作を行ったのと同様に作用する。その場合、フォーカスリングやズームリングの回転操作に要する操作力は、軽い設定となる。しかし、フォーカスリングやズームリングにて合焦距離や変倍距離を調整する際、品位をもった操作感や不用意に回転することを防ぐなどの理由から一定程度の操作力を要する設定にしたいという要望もある。
【0004】
特許文献1に記載された光学機器は、回転操作環を回転操作することで合焦レンズ群又は変倍レンズ群を光軸に沿った方向に移動させる機構が開示されている。さらに、回転操作環と固定部材の間に弾性部材を配置し、撮影者が弾性部材の圧縮量を調整することで操作力の調整が可能な機構を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の調整機構は、変倍位置を保持するという目的に対して外観的に動作箇所が多い上、弾性部材の圧縮力を調整するための機構が複雑であるという課題を有する。
【0007】
次に、回転操作環の操作力の調整時に操作力を再現する際に目視確認が必要であるという課題を有する。
【0008】
さらに、特許文献1に記載の調整機構では、収納状態で確実なロックができないという課題を有する。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、回転操作環の操作力を容易に切り替え選択することが可能でロックポジションを有するレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段である第1の発明は、レンズ群を備えたレンズ鏡筒であって、前記レンズ鏡筒を構成する固定部と、前記レンズ群の光軸周りに回転操作することで前記レンズ群が光軸に沿って移動する操作部と、前記回転操作に対して前記光軸を中心として回転する回転部材と、を有するレンズ鏡筒において、外周面に歯車部と内周面に摩擦部とを有する円環状の摩擦部材と、前記固定部に配され、噛合部を有するロック部材とを有し、前記摩擦部材は前記回転部材に嵌め付けられ、前記摩擦部は前記回転部材と接触し、前記ロック部材が移動することで前記噛合部と前記歯車部との噛合と開放とが切り替わり、前記回転操作に対して、前記噛合状態の場合には、前記摩擦部材は前記回転部材と一体回転とならず、前記回転部材は前記摩擦部材に対して摺動し、前記解除状態の場合には、前記摩擦部材は前記回転部材と一体となって回転することで、前記操作部の回転操作に要する操作力を切り替えることが可能なことを特徴とするレンズ鏡筒。
【0011】
また、上述の課題を解決するための手段である第2の発明は、前記摩擦部材を前記回転部材へ加圧する円環状加圧部材を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【0012】
また、上述の課題を解決するための手段である第3の発明は、前記操作部を回転操作することで焦点距離又は合焦距離が変更されることを特徴とするレンズ鏡筒。
【0013】
また、上述の課題を解決するための手段である第4の発明は、前記回転部材は前記ロック部材と嵌合する嵌合部を有し、前記ロック部材が挿抜されることで、前記操作部の回転の規制と解除を行うことが可能なことを特徴とするレンズ鏡筒。
【0014】
また、上述の課題を解決するための手段である第5の発明は、前記ロック部材の移動方向は、前記光軸に沿った方向であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【0015】
また、上述の課題を解決するための手段である第6の発明は、前記摩擦部材と前記回転部材の摺動部に潤滑剤が塗布されていることを特徴とするレンズ鏡筒。
【0016】
また、上述の課題を解決するための手段である第7の発明は、前記ロック部材の歯車部と前記摩擦部の外周面の歯車は、端面方向に先端が細くなる形状であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回転操作環の操作力を容易に切り替え選択することが可能でロックポジションを有するレンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の実施例に係る操作力切り替えに関する機構の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。また、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒1の断面図である。尚、
図1は、本発明の説明を簡単にするために簡略化されている。
図1の一点鎖線と
図3の直線のOは光軸を表す。
図1と
図2はレンズ鏡筒の
図1中の光軸Oに沿った断面図である。従って、
図2では、光軸Oは図中下側に位置し、図中上下方向は光軸Oに垂直な方向つまりラジアル方向、図中左右方向は光軸Oに沿った方向となる。
図1及び
図3は左側が物体側、右側が撮像素子側となる。
【0021】
レンズ鏡筒1は、外周部に操作環2を有し、撮影者が操作環2を回転操作することで、合焦距離・変倍距離の変更をすることが可能である。
【0022】
レンズ鏡筒1は、L1~L8の8つのレンズ群からなり、変倍時はレンズ群L3とL8以外のレンズ群が、合焦時はレンズ群L6がそれぞれ光軸Oに沿って移動する。
【0023】
操作環2は、レンズ鏡筒1外周に位置し、撮影者がレンズ群の光軸Oを中心に円周方向に回転運動可能な環状部材である。回転部材3などの回転筒や固定筒とカムとコロを用いて係合されており、操作環2を回転操作することで各回転筒と固定筒に設けられたカム溝に沿ってレンズ群が光軸Oに沿って移動する。
【0024】
回転部材3はレンズ鏡筒1を構成する回転筒の一つであり、操作環2や他の回転筒や固定筒とカムとコロを用いて係合されている。撮影者が操作環2を回転操作することで操作環2とビスで結合される回転部材3は従動回転し、レンズ群は光軸Oに沿って移動する。レンズ群が移動することでレンズ鏡筒1の合焦距離・変倍距離が変更される。また、回転部材3の光軸Oに対してラジアル方向外周側には摩擦部材4が嵌合されている。従って、
図2の状態では、操作環2の回転操作に伴って操作環2と回転部材3と摩擦部材4は一体となって回転する。
【0025】
図3は、摩擦部材4と円環状加圧部材5を示している。中心の線は光軸Oを示す線であり、左側が物体側で右側が像面側となる。
【0026】
摩擦部材4は、内周に不連続な複数の摩擦部4aを持ち、外周に歯車形状が形成される歯車部4bとベース部4cとを有する円環状の部材である。
【0027】
円環状加圧部材5は、弾性変形可能である。また、内径は摩擦部材4の摩擦部4aの外接円より小さく設定し、摩擦部材4に嵌め付ける。
【0028】
摩擦部材4は、可撓性を持ち、円環状加圧部材5から受ける弾性力を回転部材3との接触部へ伝達する。
【0029】
本願実施例では、円環状加圧部材を用いて摩擦部材を回転部材へ加圧することで、摩擦部材と回転部材へ求められる加工精度を容易にすることが可能となる。円環状加圧部材を用いることなく、摩擦部材を回転部材へ加圧することも可能である。この場合、両部材は高い加工精度が求められる。
【0030】
固定部材6は、レンズ鏡筒1を構成する固定筒の一つで最も外観に固定される。
【0031】
切替部材7は、撮影者が操作することで操作環2の操作力を調整することが可能である。
【0032】
ロック部材8は、摩擦部材4の歯車部4bと噛合する噛合部8aとを有し、切替部材7とビスで係合する。従って、撮影者が切替部材7を操作することで、ロック部材8は従動し、ロック部材8の噛合部8aと摩擦部材4の歯車部4bとの状態が噛合と解除とで切り替わる。その結果、操作力の切り替えが可能となる。
【0033】
なお、摩擦部材4の歯車部4bとロック部材8の噛合部8aの歯車の形状は、歯車の端面方向の先端になるにつれ細くなるような形状である。その結果、噛合しやすくなるという効果を有する。
【0034】
本願実施例の歯車部4bと噛合部8aは、インボリュート歯車の形状である。
【0035】
さらに、レンズ群が特定の位置に移動した際、ロック部材8の可動延長線上の回転部材3に嵌合部3aを設けることで、嵌合部3aとロック部材8の突起部8bとの係合関係を切替部材7によって切り替えることが可能となる。つまり、ロック部材8は操作環2の回転操作に対して従動することなく固定されるので、ロック部材8の突起部8bが回転部材3の嵌合部3aに嵌合した状態となることで、回転部材3も固定される。従って、回転部材3とともに回転する部材は回転不可となりレンズ鏡筒1はロック状態となる。また、嵌合部3aの大きさは、突起部8bの大きさとすることで嵌合時のガタ付きをなくすことが可能である。
【0036】
図2のレンズ鏡筒1の変倍距離は、
図1からわかるように広角端となる。レンズ鏡筒1の変倍距離を望遠側へ変更するには操作環2を紙面手前から奥側へ回転操作する機構とすると、広角端である
図2の状態から紙面手前側へは操作環2を回転操作することはできない。従って、操作環2の奥側への回転操作を規制すればロック状態とすることができる。よって、嵌合部3aは、切替部材7がロック状態において突起部8bの紙面奥側のみの片当てとなる形状であっても問題ない。
【0037】
また、突起部8bの光軸に沿った方向の規制は位置規制部9によって行われる。従って、操作環2の回転操作可動範囲において、いずれの位置にロック状態を設定するにしても、嵌合部3aの形状は、突起部8bの回転方向への回転を規制する形状であれば問題ない。
【0038】
位置規制部9は、固定部材6に設けられ切替部材7の可動範囲を規制する。
【0039】
保持筒10は、レンズ群L1を保持し、案内筒11に対して光軸Oに沿った方向に移動可能に保持されている。なお、本実施例のレンズ鏡筒1は、撮影者が保持筒10を掴んで光軸Oに沿って直進操作することが可能であり、操作環2を回転操作したのと同様に作用する。
【0040】
案内筒11は、外周に保持筒10が配置され、回転部材3と共にカムとコロにより係合されることで保持筒10を光軸Oに沿った方向へ移動させる。
【0041】
以下に図を用いて、各部の状態と撮影者が操作環2の操作力を切り替え操作した各状態について説明する。
【0042】
本実施例のレンズ鏡筒1は、操作環2を撮影者が回転操作することでL1をはじめとするレンズ群が光軸Oに沿って移動することで変倍距離が変更される。しかし、合焦距離の変更に関連するレンズ群、本実施例のレンズ鏡筒であればレンズ群L6の光軸Oに沿って移動するように操作環2の回転操作と関連する各筒とカム溝を設定することで本願発明の操作力切り替え機構を合焦距離変更の操作環の操作力の調整に適用することが可能である。
【0043】
図2は、
図1に記載された光軸Oに沿ったレンズ鏡筒1の断面図のうち操作力切り替えに関する機構を拡大した図である。以下に
図2を用いて、レンズ鏡筒1の操作環2の操作に必要な操作力の設定について説明する。
【0044】
図2中のレンズ鏡筒1の切替部材7の状態は、位置規制部9の可動範囲内の最も右側つまり撮像素子側に位置している。本実施例では、切替部材7がこの位置(以下、フリー状態とする)にある時の操作環2の操作力は、最も軽く操作可能な状態である。
【0045】
フリー状態での各部の関係を説明する。ロック部材8の噛合部8aと摩擦部材4の歯車部4bとは噛合せず解除状態である。その為、撮影者が操作環2を回転操作した場合、摩擦部材4は、回転部材3と一体となって回転する。従って、撮影者が操作環2を回転操作する際に要する操作力は、操作環2を操作することで変更される変倍距離に関連する部材を駆動するのに要する力となる。
【0046】
次に、
図2中の切替部材7を位置規制部9の可動範囲内の最も左側つまり物体側へ移動させた場合の説明をする。
【0047】
本願ロック部材8は、
図2に示すように物体側へ突起部8bを有する。切替部材7が最も物体側へ移動させられることで従動するロック部材8も同様に物体側へ移動する。その結果、突起部8bは、回転部材3の有する嵌合部3aと嵌合する。前述したように突起部8bと回転部材3の嵌合部3aが嵌合することで、回転部材3と回転部材と係合する各部材が回転不可能となる。つまり、撮影者が操作環2を回転操作しようとしてもできない状態(以下、ロック状態とする)となる。
【0048】
最後に、切替部材7を位置規制部9の可動範囲内の中間部(以下、タイト状態とする)に移動させた場合の説明をする。
【0049】
切替部材7が位置規制部9の可動範囲内の中間部に移動させることでロック部材8も中間部へ移動すると、ロック部材8の噛合部8aと摩擦部材4の歯車部4bとが噛合関係となる。その結果、撮影者が操作環2を回転操作した場合、操作環2や回転部材3と一体回転する摩擦部材4は、前述したように摩擦部材4の歯車部4bとロック部材8の噛合部8aとが噛合関係にあるので、摩擦部材4は操作環2や回転部材3と一体回転とならずに、前述したように回転部材3の回転操作に対して固定されるロック部材8と係合することで回転しないこととなる。その結果、摩擦部材4と回転部材3とは摺動関係となる。
【0050】
以上のことから、撮影者が変倍距離を変更するために操作環2を回転操作する際に要する操作力は、操作環2を操作することで変更される変倍距離に関連する部材を駆動するのに要する力と回転部材3と摩擦部材4の間に生じる摩擦力となる。つまり、切替部材7がフリー状態とタイト状態での操作環2を回転操作するのに要する操作力の差分は、回転部材3と摩擦部材4との間に生じる摩擦力となる。
【0051】
尚、回転部材3と摩擦部材4は摺動関係にあるので、このベース部4c、摩擦部4aと回転部材3の間の摺動部に潤滑材を塗布することでスティックスリップを低減するとともにダンパー効果を実現することとなり滑らかな操作感を実現する。
【0052】
さらには、円環状加圧部材5より摩擦部材4は、
図2中下側へ向けて加圧されるので、摩擦部4aと回転部材3の摺動部を潤滑しても同様の効果を得ることができる。
【0053】
本実施例では、切替部材7が物体側のロック状態・中間のタイト状態・像側のフリー状態の3状態での切り替えが可能なレンズ鏡筒1として説明した。しかし、回転部材に嵌合部を設けることなくタイト状態とフリー状態の2状態としても問題ないことは言うまでもない。
【0054】
また本実施例は、切替部材7が光軸Oに沿った方向に移動させることで撮影者が操作環2を回転操作する際に要する操作力を切り替えていた。しかし、切替部材は光軸Oと垂直な方向、つまりラジアル方向に移動させることでロック部材8の噛合部8aと摩擦部材4の歯車部4bとを噛合と解除を切り替える機構とすることで操作力を切り替えることとしても問題ない。
【0055】
以上のことから、本実施例は、摩擦部材4の歯車部4bとロック部材8の噛合部8との噛合関係によりタイト状態とフリー状態とを切り替え、固定部材6と回転部材3を切替部材7やロック部材8を介して嵌合関係によりロック状態と解除の切り替えを実現する。従って、前述したように噛合関係とロック状態とを切り替えることが可能であれば、切替部材7やロック部材8の移動方向はラジアル方向でも光軸Oに沿った方向であっても問題ないことは言うまでもない。さらには、噛合関係の切り替えはラジアル方向、嵌合関係の切り替えは光軸Oに沿った方向、またその逆も然り、噛合関係と嵌合関係の切り替え方向を別方向にすることも可能である。
【0056】
最後に、本実施例では、不図示のカメラボディに装着して用いる交換可能なレンズ鏡筒を基に説明してきたが、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒に本発明を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 レンズ鏡筒
2 操作環
3 回転部材
3a 嵌合部
4 摩擦部材
4a 摩擦部
4b 歯車部
4c ベース部
5 円環状加圧部材
6 固定部材
7 切替部材
8 ロック部材
8a 噛合部
8b 突起部
9 位置規制部
10 保持筒
11 案内筒