(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】エリア編集システム、作業エリアの編集方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/20 20060101AFI20241015BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G01C21/20
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2022518495
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2020018140
(87)【国際公開番号】W WO2021220409
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏記
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/020659(WO,A1)
【文献】特開2011-086312(JP,A)
【文献】特開2019-159558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量により取得又はユーザに入力された座標点の情報に基づいて定義され、ドローンを飛行させる作業エリア、又はドローンの飛行を禁止する飛行禁止エリアを編集するシステムであって、
複数の前記座標点を互いに接続することで作業エリア又は飛行禁止エリアを区画し、前記作業エリア又は前記飛行禁止エリアを定義するエリア定義部と、
前記エリア定義部で定義される作業エリア又は飛行禁止エリアを編集する入力を、ユーザインターフェース装置を介して受け付け、当該入力された指令が所定の条件を満たすことを条件に当該編集を許可するエリア編集部と、
前記ドローンが前記作業エリアを飛行する飛行ルートを生成するルート生成部と、
を備え、
前記エリア編集部は、前記エリア定義部で定義される複数の前記作業エリアを併合するエリア併合部を有し、
前記エリア併合部は、
前記ユーザインターフェース装置に入力される、前記複数の作業エリアの情報を取得する併合エリア取得部と、
前記複数の作業エリアの間の距離が所定値未満の場合に併合を許可し、当該距離が所定値以上の場合に併合を禁止する併合判定部と、
併合が許可された前記複数の作業エリアを単一の作業エリアとして登録する併合エリア登録部と、
を備え
、
前記併合エリア登録部は、併合した複数の作業エリアの間の領域を、前記ドローンの飛行は許可するが、薬剤散布又は撮影は禁止する領域として定義し、
前記ルート生成部は、併合された前記作業エリアを飛行する飛行ルートとして、各作業エリアに対して生成された飛行ルートを互いに接続したルートとは少なくとも一部が異なり、前記併合エリア登録部による定義に基づいたルートを生成する、
エリア編集システム。
【請求項2】
前記エリア編集部は、前記作業エリアを定義する複数の前記座標点の少なくとも一つを修正する座標点修正部を有し、
前記座標点修正部は、
複数の前記座標点の少なくとも一つについての修正座標情報を、前記ユーザインターフェース装置を介して取得する修正座標点取得部と、
前記修正座標情報の座標に応じて前記座標点の修正を許可するか否かを判定する座標点修正判定部と、
を更に備える、
請求項
1に記載のエリア編集システム。
【請求項3】
前記座標点修正判定部は、取得した前記修正座標情報の座標が、前記作業エリアの端点又は境界線上又は内側であるとき、前記座標点の修正を許可する、
請求項
2記載のエリア編集システム。
【請求項4】
前記エリア編集部は、前記飛行禁止エリアを編集する場合、編集後の前記飛行禁止エリアが編集前の飛行禁止エリアの全領域を含むときに、前記飛行禁止エリアの編集を許可する、
請求項1乃至
3のいずれかに記載のエリア編集システム。
【請求項5】
前記エリア編集部により定義された前記作業エリアを、前記ユーザインターフェース装置に出力する、
請求項1乃至
4のいずれかに記載のエリア編集システム。
【請求項6】
測量により取得又はユーザに入力された座標点の情報に基づいて定義され、ドローンを飛行させる作業エリア、又はドローンの飛行を禁止する飛行禁止エリアを編集する方法であって、
コンピュータが、
複数の前記座標点を互いに接続することで作業エリア又は飛行禁止エリアを区画し、前記作業エリア又は前記飛行禁止エリアを定義するエリア定義ステップと、
前記エリア定義ステップで定義される作業エリア又は飛行禁止エリアを編集する入力を、ユーザインターフェース装置を介して受け付け、当該入力された指令が所定の条件を満たすことを条件に当該編集を許可するエリア編集ステップと、
前記ドローンが前記作業エリアを飛行する飛行ルートを生成するルート生成ステップと、
を
実行し、
前記エリア編集ステップ
では、前記エリア定義ステップで定義される複数の前記作業エリアを併合するエリア併合ステップを
実行し、
前記エリア併合ステップ
では、
前記ユーザインターフェース装置に入力される、前記複数の作業エリアの情報を取得する併合エリア取得ステップと、
前記複数の作業エリアの間の距離が所定値未満の場合に併合を許可し、当該距離が所定値以上の場合に併合を禁止する併合判定ステップと、
併合が許可された前記複数の作業エリアを単一の作業エリアとして登録する併合エリア登録ステップと、
を実行し、
前記併合エリア登録ステップでは、併合した複数の作業エリアの間の領域を、前記ドローンの飛行は許可するが、薬剤散布又は撮影は禁止する領域として定義し、
前記ルート生成ステップでは、併合された前記作業エリアを飛行する飛行ルートとして、各作業エリアに対して生成された飛行ルートを互いに接続したルートとは少なくとも一部が異なり、前記併合エリア登録ステップによる定義に基づいたルートを生成する、
作業エリアの編集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、エリア編集システム、ユーザインターフェース装置および作業エリアの編集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの薬剤散布が挙げられる(たとえば、特許文献1)。比較的狭い農地においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い。
【0003】
準天頂衛星システムやRTK-GPS(Real Time Kinematic - Global Positioning System)などの技術によりドローンが飛行中に自機の絶対位置をセンチメートル単位で正確に知ることができるようになったことで、日本において典型的な狭く複雑な地形の農地でも、人手による操縦を最小限として自律的に飛行し、効率的かつ正確に薬剤散布を行なえるようになっている。
【0004】
特許文献2には、メッシュ単位で識別可能な降雨観測データを受信し、閾値に基づいてメッシュ内の降雨強度についてのデータを生成して強い雨に関する運転者への支援情報となる車載機表示用コンテンツを生成および配信する方法が記載されている。特許文献3には、携帯電話機上等で使用する位置アプリケーションにおいて表示されるマップが適宜分割される処理装置が開示されている。特許文献4には、サービスロボットが清掃を行うエリアについて、地図を参照して分割して定義できる、自律移動ロボットを制御するための方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】再表2017/175804号公報
【文献】特許5570672号公報
【文献】特表2020-501112号公報
【文献】特表2019-508812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圃場の測量作業を効率化する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るエリア編集システムは、測量により取得又はユーザに入力された座標点の情報に基づいて定義され、ドローンを飛行させる作業エリア、又はドローンの飛行を禁止する飛行禁止エリアを編集するシステムであって、複数の前記座標点を互いに接続することで作業エリア又は飛行禁止エリアを区画し、前記作業エリア又は前記飛行禁止エリアを定義するエリア定義部と、前記エリア定義部で定義される作業エリア又は飛行禁止エリアを編集する入力を、ユーザインターフェース装置を介して受け付け、当該入力された指令が所定の条件を満たすことを条件に当該編集を許可するエリア編集部と、を備える。
【0008】
前記エリア編集部は、前記エリア定義部で定義される複数の前記作業エリアを併合するエリア併合部を有し、前記エリア併合部は、前記ユーザインターフェース装置に入力される、前記複数の作業エリアの情報を取得する併合エリア取得部と、前記複数の作業エリアの間の距離に応じて複数の前記作業エリアの併合を許可するか否かを判定する併合判定部と、を更に備えるものとしてもよい。
【0009】
前記併合判定部は、前記複数の作業エリアの間の距離が所定値未満の場合に併合を許可し、当該距離が所定値以上の場合に併合を禁止するものとしてもよい。
【0010】
前記複数の作業エリア内においては、前記ドローンの飛行および薬剤散布又は撮影を許可し、前記複数の作業エリアの間に位置するエリア間領域においては、前記ドローンの飛行は許可するが、前記薬剤散布又は前記撮影は禁止するものとしてもよい。
【0011】
併合された前記作業エリアを飛行する飛行ルートを生成するルート生成部をさらに備え、前記飛行ルートは、各作業エリアに対して生成された飛行ルートを互いに接続したルートとは少なくとも一部が異なるものとしてもよい。
【0012】
前記エリア編集部は、前記エリア定義部により定義される作業エリアの一部を縮小エリアとして登録するエリア縮小部を有し、前記エリア縮小部は、前記ユーザインターフェース装置に入力される、位置情報を示す指定地点の入力を受け付ける縮小地点取得部と、前記指定地点が、前記作業エリアの端点又は境界線上又は内側であるとき、縮小エリアの端点として許可し、前記指定地点が前記作業エリアの外側であるとき、前記縮小エリアの端点に採用しない縮小エリア登録判定部と、許可される前記端点を互いに接続して接続線を規定し、前記接続線で囲まれるエリアを前記縮小エリアとして登録する縮小エリア登録部と、を備えるものとしてもよい。
【0013】
前記エリア縮小部は、前記縮小地点取得部により選択を受け付けた順に各指定地点を接続し、各接続線を前記縮小エリアの外縁として当該縮小エリアを定義するものとしてもよい。
【0014】
前記エリア縮小部は、前記各接続線が交差する順に前記指定地点が選択されたか否かを判別し、前記各接続線の少なくとも一部が交差する順に前記指定地点が選択されたとき、エラーを通知するものとしてもよい。
【0015】
前記エリア縮小部は、前記各接続線の少なくとも一部が交差する順に前記指定地点が選択された場合に、前記縮小地点取得部により受け付けた複数の指定地点を互いに接続し、前記縮小エリアの面積が最大となるように前記縮小エリアを定義するものとしてもよい。
【0016】
前記エリア編集部により編集された編集後のエリアの登録を削除する編集後エリア削除部をさらに備えるものとしてもよい。
【0017】
前記縮小エリアを前記ドローンが飛行する飛行ルートを生成するルート生成部を更に備え、前記飛行ルートは、縮小前の前記作業エリアに対して生成された飛行ルートとは、少なくとも一部が異なるものとしてもよい。
【0018】
前記エリア編集部は、前記作業エリアを定義する複数の前記座標点の少なくとも一つを修正する座標点修正部を有し、前記座標点修正部は、複数の前記座標点の少なくとも一つについての修正座標情報を、前記ユーザインターフェース装置を介して取得する修正座標点取得部と、前記修正座標情報の座標に応じて前記座標点の修正を許可するか否かを判定する座標点修正判定部と、を更に備えるものとしてもよい。
【0019】
前記座標点修正判定部は、取得した前記修正座標情報の座標が、前記作業エリアの端点又は境界線上又は内側であるとき、前記座標点の修正を許可するものとしてもよい。
【0020】
前記エリア編集部は、前記飛行禁止エリアを編集する場合、編集後の前記飛行禁止エリアが編集前の飛行禁止エリアの全領域を含むときに、前記飛行禁止エリアの編集を許可するものとしてもよい。
【0021】
前記エリア編集部により定義された前記作業エリアを、前記ユーザインターフェース装置に出力するものとしてもよい。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るユーザインターフェース装置は、測量により取得又はユーザに入力された座標点の情報に基づいて定義される、ドローンを飛行させる作業エリア又はドローンの飛行を禁止する飛行禁止エリアを編集する、ユーザインターフェース装置であって、複数の前記座標点を互いに接続することで定義される作業エリア又は飛行禁止エリアを表示する表示部と、前記作業エリア又は飛行禁止エリアを編集する入力を受け付ける入力部と、当該入力部で受け付けた入力情報が所定の条件を満たすことを条件に当該編集を許可するエリア編集部と、を備える。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る作業エリアの編集方法は、測量により取得又はユーザに入力された座標点の情報に基づいて定義される、ドローンを飛行させる作業エリア又はドローンの飛行を禁止する飛行禁止エリアを編集する方法であって、複数の前記座標点を互いに接続することで作業エリア又は飛行禁止エリアを区画し、前記作業エリアを定義するエリア定義ステップと、前記エリア定義ステップにおいて定義される作業エリア又は飛行禁止エリアを編集する入力を、ユーザインターフェース装置を介して受け付け、当該入力された指令が所定の条件を満たすことを条件に当該編集を許可する判定ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0024】
圃場の測量作業を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願発明に係るエリア編集システムが有するドローンの平面図である。
【
図6】上記ドローンの飛行制御システムの全体概念図である。
【
図7】上記ドローンが有する機能ブロック図である。
【
図8】上記エリア編集システムの機能ブロック図である。
【
図9】上記エリア編集システムが有する、ユーザインターフェース装置の例である操作器に表示されるエリア定義画面の第1例を示す図である。
【
図10】上記エリア定義画面において、定義された圃場が表示されている様子を示す図である。
【
図11】上記エリア編集システムが有する、ユーザインターフェース装置の例である操作器に表示されるエリア定義画面の第2例を示す図である。
【
図12】上記第2例のエリア定義画面において、定義された圃場が表示されている様子を示す図である。
【
図13】上記エリア定義画面において、接続線が交差している様子を示す図である。
【
図14】上記エリア定義画面に表示される測量種別選択ウィンドウの様子を示す図である
【
図15】上記操作器に表示されるエリア併合画面の第1例を示す図である。
【
図16】上記エリア編集システムが有するルート生成装置により、圃場に生成される飛行ルートの例であって、(a)隣接する圃場それぞれに飛行ルートが生成されている様子を示す模式図、(b)当該隣接する圃場が併合されて再定義された圃場に飛行ルートが生成されている様子を示す模式図である。
【
図17】上記操作器に表示されるエリア縮小登録画面の第1例を示す図である。
【
図18】上記操作器に表示されるエリア削除画面の第1例を示す図である。
【
図19】上記エリア編集システムが、エリアを併合する流れを示すフローチャートである。
【
図20】上記エリア編集システムが、エリアを縮小登録する流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0027】
まず、本発明にかかるドローンの構成について説明する。本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0028】
図1乃至
図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の筐体110からのび出たアームにより筐体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は
図1における紙面下向きを進行方向とする。
【0029】
回転翼101の各セットの外周には、略円筒形を形成する格子状のプロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4が設けられ、回転翼101が異物と干渉しづらくなるようにしている。
図2および
図3に示されるように、プロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4を支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0030】
回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0031】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
【0032】
ノズル103-1、103-2は、散布物を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、散布物とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0033】
タンク104は散布物を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。ホース105は、タンク104と各ノズル103-1、103-2とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、散布物をノズルから吐出するための手段である。
【0034】
●飛行制御システム
図6に本願発明に係るドローン100の飛行制御システムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。同図において、ドローン100、操作器401、基地局404およびサーバ405が移動体通信網400を介して互いに接続されている。これらの接続は、移動体通信網400に代えてWi-Fiによる無線通信を行ってもよいし、一部又は全部が有線接続されていてもよい。また、構成要素間において、移動体通信網400に代えて、又は加えて、直接接続する構成を有していてもよい。
【0035】
・ドローン
ドローン100および基地局404は、GPS等のGNSSの測位衛星410と通信を行い、ドローン100および基地局404座標を取得する。ドローン100および基地局404が通信する測位衛星410は複数あってもよい。
【0036】
・操作器
操作器401は、使用者の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、散布物の貯留量、電池残量、カメラ映像等)を表示するための手段であり、コンピュータプログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。操作器401は、ユーザインターフェース装置としての入力部および表示部を備える。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。
【0037】
携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作器(図示していない)を使用してもよい。非常用操作器は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい。さらに、操作器401とは別に、操作器401に表示される情報の一部又は全部を表示可能な小型携帯端末、例えばスマートホンがシステムに含まれていてもよい。小型携帯端末は、例えば基地局404と接続されていて、基地局404を介してサーバ405からの情報等を受信可能である。
【0038】
・圃場
圃場403は、ドローン100による散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他の作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の侵入者が存在する場合もある。
【0039】
・基地局
基地局404は、RTK-GNSS基地局として機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっている。また、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であってもよい。Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GNSS基地局が独立した装置であってもよい。また、基地局404は、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムを用いて、サーバ405と互いに通信可能であってもよい。基地局404およびサーバ405は、営農クラウドを構成する。
【0040】
・サーバ
サーバ405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。サーバ405は、ハードウェア装置により構成されていてもよい。サーバ405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0041】
小型携帯端末は例えばスマートホン等である。小型携帯端末の表示部には、ドローン100の運転に関し予測される動作の情報、より具体的にはドローン100が発着地点406に帰還する予定時刻や、帰還時に使用者が行うべき作業の内容等の情報が適宜表示される。また、小型携帯端末からの入力に基づいて、ドローン100の動作を変更してもよい。
【0042】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点から離陸し、圃場403に散布物を散布した後に、あるいは、散布物の補充や充電等が必要になった時に発着地点に帰還する。発着地点から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、サーバ405等で事前に保存されていてもよいし、使用者が離陸開始前に入力してもよい。発着地点は、ドローン100に記憶されている座標により規定される仮想の地点であってもよいし、物理的な発着台があってもよい。
【0043】
・フライトコントローラー
図7に本願発明に係る散布用ドローンの実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
【0044】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、サーバ405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0045】
フライトコントローラー501は、通信機530を介して、さらに、移動体通信網400を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、移動体通信網400を介した通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局404の信号とGPS等の測位衛星410からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0046】
6軸ジャイロセンサー505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段であり、さらに、加速度の積分により速度を計算する手段である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローンの高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0047】
流量センサー510は散布物の流量を測定するための手段であり、タンク104からノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は散布物の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。
【0048】
生育診断カメラ512aは、圃場403を撮影し、生育診断のためのデータを取得する手段である。生育診断カメラ512aは例えばマルチスペクトルカメラであり、互いに波長の異なる複数の光線を受信する。当該複数の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)である。また、生育診断カメラ512aは、可視光線を受光するカメラであってもよい。
【0049】
病理診断カメラ512bは、圃場403に生育する作物を撮影し、病理診断のためのデータを取得する手段である。病理診断カメラ512bは、例えば赤色光カメラである。赤色光カメラは、植物に含有されるクロロフィルの吸収スペクトルに対応する周波数帯域の光量を検出するカメラであり、例えば波長650nm付近の帯域の光量を検出する。病理診断カメラ512bは、赤色光と近赤外光の周波数帯域の光量を検出してもよい。また、病理診断カメラ512bとして、赤色光カメラおよびRGBカメラ等の可視光帯域の少なくとも3波長の光量を検出する可視光カメラの両方を備えていてもよい。なお、病理診断カメラ512bはマルチスペクトルカメラであってもよく、波長650nm乃至680nm付近の帯域の光量を検出するものとしてもよい。
【0050】
なお、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bは、1個のハードウェア構成により実現されていてもよい。
【0051】
障害物検知カメラ513はドローン侵入者を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きが生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは異なるため、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者402が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の侵入者に接触したことを検知するためのセンサーである。なお、障害物接触センサー515は、6軸ジャイロセンサー505で代用してもよい。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。注入口センサー517はタンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。
【0052】
これらのセンサー類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローンに送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報を移動体通信網400経由又はWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0053】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、吐出量の調整や吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0054】
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザーは、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。通信機530は、3G、4G、およびLTE等の移動体通信網400と接続されており、移動体通信網400を介して基地局、サーバで構成される営農クラウド、操作器と通信可能に接続される。通信機に替えて、または、それに加えて、Wi‐Fi、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0055】
●エリア編集システム
図8に示すエリア編集システム500は、測量機300により取得される座標に基づいて、ドローン100に作業させる圃場のエリアを定義するシステムである。エリア編集システム500は、例えば、圃場管理装置1、ドローン100、ユーザインターフェース装置200、基地局404、測量機300およびルート生成装置600が含まれる。定義されたエリアには、ルート生成装置600により、当該エリアごとに、ドローン100が自律的に飛行する飛行ルートの生成が行われる。また、圃場管理装置1は、ドローン100が進入できない障害物のエリアを定義する。飛行ルートは、障害物のエリアを避けて生成される。
【0056】
ユーザインターフェース装置200は、例えば操作器401であるが、上述のようなタブレット端末に限られるものではなく、例えばパーソナルコンピュータに表示されるWeb UIであってもよいし、プロポの操作装置に接続されたタブレット画面上の操縦機であってもよい。また、この形態において、プロポの操作装置とタブレット画面等の操作装置とが接続され、互いに取り外し可能な構成であって、当該操作装置が取り外された状態で使用されるものであってもよい。ユーザインターフェース装置200は、複数の座標点を互いに接続することで定義される作業エリア又は飛行禁止エリアを表示する表示部201と、作業エリア又は飛行禁止エリアを編集する入力を受け付ける入力部202とを備える。ユーザインターフェース装置200に入力される情報および表示される情報については、後述する。
【0057】
圃場管理装置1は、その機能がサーバ405上にあってもよいし、別途の装置であってもよい。また、圃場管理装置1は、ドローン100が有する構成であってもよい。また、ルート生成装置600は、その機能がルート生成部としてサーバ405上に有ってもよいし、別途の装置であってもよいし、ドローン100、操作器401又は圃場管理装置1が有していてもよい。圃場は、作業エリアの例である。
【0058】
・測量機
測量機300は、RTK-GNSSの移動局の機能を有する装置であり、圃場の座標情報を測量することができる。測量機300は、使用者により保持して歩行することが可能な小型の装置であり、例えば棒状の装置である。測量機300は、下端を地面についた状態で、使用者が直立して上端部を保持できる程度の長さの、杖のような装置であってもよい。ある圃場の座標情報を読み取るために使用可能な測量機300の個数は、1個であっても複数であってもよい。複数の測量機300により1か所の圃場に関する座標情報を測量可能な構成によれば、複数の使用者がそれぞれ測量機300を保持して圃場を歩行することができるため、測量作業を短時間で完了することができる。
【0059】
また、測量機300は、圃場における障害物の情報を測量することができる。障害物は、ドローン100が衝突する危険のある壁や法面、電柱、電線などや、薬剤散布又は監視を要さない各種物体を含む。
【0060】
測量機300は、入力部301、座標検出部302および送信部303を備える。
【0061】
入力部301は、測量機300の上端部に設けられる構成であり、例えば使用者の押下を受け付けるボタンである。使用者は、測量機300の下端の座標を測量する際に、入力部301のボタンを押下する。また、入力部301は、一度押下され、座標を測量した測量点のデータを削除する入力を受け付ける構成を有していてもよい。
【0062】
入力部301は、入力される情報が圃場の外縁座標であるか、障害物の外縁座標であるかを区別して入力可能に構成されている。例えば、入力部301は少なくとも2個のボタンを有し、一方のボタンが圃場の外縁座標を取得するボタンで、他方のボタンが障害物の外縁座標を取得するボタンであってよい。さらに、入力部301は、障害物の外縁座標を、障害物の種類と関連付けて入力可能である。
【0063】
座標検出部302は、基地局404と適宜通信を行って測量機300の下端の3次元座標を検出可能な機能部である。
【0064】
送信部303は、入力部301への入力に基づいて、当該入力時の測量機300下端の3次元座標を、ネットワークNWを介してユーザインターフェース装置200又は圃場管理装置1に送信する機能部である。送信部303は、当該3次元座標を、ポインティングされた順番とともに送信する。
【0065】
圃場の座標情報を読み取る工程において、使用者は、測量機300を持って圃場を移動し、当該圃場および障害物の端点又は端辺上において入力部301によるポインティングを行う。
【0066】
ポインティングされて送信される圃場の端点又は端辺上の3次元座標は、圃場外周の3次元座標および障害物の3次元座標を区別して、圃場管理装置1により受信される。また、ポインティングされる3次元座標は、ユーザインターフェース装置200により受信され、表示されてもよい。また、ユーザインターフェース装置200は、受信される3次元座標が圃場外周又は障害物の3次元座標として適しているかを判定し、再測量が必要と判定される場合は、ユーザインターフェース装置200を介して使用者に再測量を促してもよい。
【0067】
・ルート生成装置
ルート生成装置600は、作業エリア内をドローン100が網羅的に飛行し、薬剤散布や撮影等を行うための、ドローン100の飛行ルートを生成する機能部である。ルート生成装置600は、測量機300による測量結果に基づいて得られた作業エリアおよび障害物の情報に基づいて、当該作業エリア内に飛行ルートを生成する。飛行ルートは、例えば作業エリア内を往復して走査するものであってもよいし、作業エリアの略中央から外側に向かって周回するルート、又は作業エリアの外側から略中央に向かって周回するルートであってもよい。また、飛行ルートは、周回と往復とを組み合わせて飛行するルートであってもよい。
【0068】
・圃場管理装置
圃場管理装置1は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これによりソフトウェア資源として少なくとも、座標取得部11、座標点選択部12、エリア定義部13、エリア出力部14およびエリア編集部20を有する。
【0069】
座標取得部11は、測量機300により測量される座標を取得する機能部である。座標取得部11は、測量により取得される座標点の座標を、測量機300で取得された順番とともに取得する。座標取得部11は、座標点の座標を、測量機300で取得された時刻とともに取得してもよい。また、座標取得部11は、当該座標点が圃場の外縁座標を示す点であるか障害物の外縁座標を示す点であるかの種別、すなわち座標点が属するエリア種別を、座標の情報と紐づけて取得する。また、座標取得部11は、ユーザインターフェース装置200上に表示されたマップ画面上で入力される点を、座標点として取得してもよい。
【0070】
図9を用いてエリア定義画面の第1例について説明する。同図に示すように、座標取得部11により取得される座標点P1乃至P6は、ユーザインターフェース装置200に表示されるエリア定義画面G1上に、圃場の地図又は写真に重ね合わされて表示される。座標点P1乃至P6は、ユーザによってユーザインターフェース装置200に入力された点が含まれていてもよい。また、エリア定義画面G1の右部には測量地点一覧ウィンドウG11が表示される。測量地点一覧ウィンドウG11には、座標点の測量日時が、測量機300により取得された順に、一覧表示される。測量地点一覧ウィンドウG11は、右上部のアイコンG110をタップすることで、展開され、再度タップすると閉じられる。また、座標点のカラムG111ごとにゴミ箱のアイコンG112が表示されていて、アイコンG112をタップすると当該座標点のデータを削除することができる。削除された座標点のカラムG113には「削除済み」との記載が表示される。
【0071】
座標点選択部12は、ユーザインターフェース装置200上において、使用者による測定点の選択を受け付ける機能部である。使用者は、エリア定義画面G1に表示される圃場の地図又は写真上の座標点をタップする、または測量地点一覧ウィンドウG11に一覧表示された座標点をタップすることの少なくともいずれかの方法で、座標点を選択する。測量地点一覧ウィンドウG11において座標点を選択できる構成によれば、複数の座標点が互いに近接し、地図上において区別してタップすることが困難な場合であっても、座標点を1点ずつ選択することができる。
【0072】
図10に示すように、選択された座標点の情報は、エリア定義画面G1の左部に配置される選択地点一覧ウィンドウG12に表示される。選択地点一覧ウィンドウG12には、ユーザインターフェース装置200上において選択された順番が合わせて表示されていてもよい。選択地点一覧ウィンドウG12には、選択された座標点が、図中上部から下方に向かって選択された順に表示される。なお、選択地点一覧ウィンドウG12において、所定の入力、例えば「×」部分のタップにより、選択の解除を受け付けてもよい。
【0073】
座標点選択部12は、同じエリア種別が付随している座標点の選択のみを受け付けるものとしてもよい。すなわち、座標点選択部12は、同じエリア種別情報が付随している座標点同士の接続を許可し、異なるエリア情報が付随している座標点同士の接続を禁止する。異なるエリア情報が付随している座標点が選択されると、警告が表示されてもよい。例えば、最初に選択した座標点が圃場に属する旨の情報と紐づけられている場合、2個目以降は圃場の外縁座標を示す座標点のみが選択可能となっていてもよい。すなわち、障害物の外縁座標を示す座標点は選択が無効化されていてもよい。また、座標点の選択操作の前に定義するエリア種別の入力を受け付け、入力されたエリア種別に基づいて選択可能な座標点の表示を行ってもよい。圃場又は障害物のエリアを定義するにあたり、同じエリア種別の座標点を確実に選択させることで、圃場および障害物のエリア定義を正確に行うことができる。
【0074】
座標点選択部12は、座標点ごとに、付随しているエリア種別を変更する機能を有していてもよい。当該座標点を、付随する種別とは異なるエリアの定義に使用する場合は、座標点のエリア種別を変更した上で、エリア種別ごとに選択を受け付けるように構成してもよい。この構成によれば、測量機300による測量時点で誤ったエリア種別を入力した場合であっても、再度測量することなく、エリア定義を行うことができる。
【0075】
なお、座標点選択部12は、測量機300による測量時点で紐づけられたエリア種別に関わらず座標点を選択可能であってもよい。この場合、使用者は、後述するエリア種別選択部132によりエリア種別を選択することができる。
【0076】
測量地点一覧ウィンドウG11上において、圃場の外縁座標を示す座標点が障害物の外縁座標を示す座標点とは異なる態様で表示されてもよいし、圃場の外縁座標を示す座標点のみが表示されてもよい。障害物の外縁座標を示す座標点の表示がグレーアウトしていてもよい。座標点の表示を属するエリア種別に応じて異ならせることで、使用者による選択ミスを軽減できる。
【0077】
エリア定義部13は、座標点選択部12により受け付けた複数の座標点を接続することでエリアを区画し、圃場又は障害物のエリアを定義する機能部である。エリア定義部13は、外縁規定部131と、エリア種別選択部132とを備える。
【0078】
外縁規定部131は、座標点選択部12により受け付けた複数の座標点を接続してエリアを区画し、エリアを定義する。外縁規定部131は、座標点選択部12において選択を受け付けた順に座標点を接続し、この接続線を当該エリアの外縁を示す線としてもよい。この構成によれば、使用者は、エリア定義画面G1上で定義したいエリアを囲うように座標点をタップしていくことで、エリアを直感的に定義することができる。なお、上述の接続手順によっては1個のエリアが規定されない場合、ユーザインターフェース装置200を介して、エラー通知を行ってもよい。すなわち、エリア定義部13は、各接続線が交差する順に座標点が選択されたか否かを判別し、各接続線の少なくとも一部が交差する順に座標点が選択されたとき、エラーを通知する。1個のエリアが規定されない場合とは、例えば、接続線同士が交差する場合である。
【0079】
外縁規定部131は、座標点選択部12において選択を受け付けた複数の座標点を、当該複数の座標点が1個のエリアの外縁の端点又は端辺上となるように接続してエリアを定義してもよい。外縁規定部131は、例えば座標上互いに隣接する座標点同士を接続してもよい。この構成によれば、定義するエリアを自動で生成できる。なお、外縁規定部131は、選択された座標点に基づいて生成され得るエリアが複数ある場合は、当該エリアの面積が最大となるように生成されたエリアを採用してもよい。
【0080】
エリア種別選択部132は、外縁規定部131により規定されたエリアのエリア種別を選択する機能部である。エリア種別選択部132は、測量機300による測量の時点で紐づけられた種別の情報に基づいて、当該エリアの種別を決定してもよい。また、エリア種別選択部132は、外縁規定部131により規定されたエリアに対し、圃場であるか障害物であるかの選択を受け付けてもよい。また、エリア種別選択部132は、外縁規定部131により規定されたエリアが障害物エリア(飛行禁止エリア)であると選択された場合、障害物の詳細種別や付随情報をさらに受け付けるように構成しても良い。例えば、障害物の詳細種別として、「ガードレール」、「電柱」、「電線」、「樹木」等を登録可能とし、付随情報として、障害物の上下方向の座標(位置)の情報を登録可能にしても良い。
【0081】
エリア出力部14は、
図10に示すように、定義されるエリアA1を、エリア定義画面G1に表示される圃場に重畳的に表示する。また、エリア出力部14は、これに加えて又は替えて、ドローン100の飛行ルートを生成するルート生成装置600に当該エリアの情報を出力する。エリア出力部14は、エリア定義部13において生成され得るエリアが複数ある場合には、その旨をユーザインターフェース装置200に表示してもよい。また、複数のエリアを切替可能に、又は重畳的に表示させ、採用するエリアの選択を使用者に促してもよい。
【0082】
また、エリア出力部14は、座標点P11、P12、P13およびP14の選択により定義されるエリアA2をエリア定義画面G1上の圃場に重畳的に表示する。エリアA2はエリアA1とは異なるエリア種別であり、例えばエリアA1が作業エリア、エリアA2が障害物エリアである。障害物エリアは、作業エリアとは異なる態様で表示される。例えば、障害物エリアと作業エリアとでは、エリアの網掛けの色やパターンが異なっていてもよい。
【0083】
エリア編集部20は、エリア定義部13で定義された、ドローン100の作業エリアを編集する機能部である。エリア編集部20は、ユーザによるユーザインターフェース装置200への入力を取得し、当該入力が所定の条件を満たしていることを条件に編集を許可し、作業エリアの情報に反映する。なお、以降の説明では、測量機300およびエリア定義部13により登録された圃場を縮小して登録する構成について説明したが、圃場の事前登録の手法はこれに限られず、ドローン100の飛行、ならびにドローン100による薬剤散布および撮影等の作業の安全が担保される圃場が登録できる手法であればよい。
【0084】
エリア編集部20は、エリア併合部21、エリア縮小部22、編集後エリア削除部23および座標点修正部24を有する。
【0085】
エリア併合部21は、エリア定義部13で定義された複数のエリアを連結、すなわち併合して単一圃場として再定義する機能部である。エリア併合部21は、併合エリア取得部211、併合判定部212、および併合エリア登録部213の各機能ブロックを有する。
【0086】
併合エリア取得部211は、ユーザインターフェース装置200上で選択された、ユーザが併合を要望する複数のエリアの情報を取得する機能部である。例えば、ユーザインターフェース装置200上で、「エリア併合」する旨の選択が入力されると、
図15に示すエリア併合画面G20が表示される。エリア併合画面G20には、エリア定義部13で定義された圃場A11およびA12が地図上に表示されている。また、エリア併合画面G20の右部には、エリア定義部13で定義されたエリアの一覧ウィンドウG21が表示されている。エリア併合画面G20の左部には、当該エリア併合画面G20において地図上又は一覧ウィンドウG21上で選択された選択エリア一覧ウィンドウG22が表示されている。同図の例においては、圃場A11およびA12が選択されている様子を示している。このとき、一覧ウィンドウG21では、選択された圃場A11およびA12のカラムが、選択されていない圃場A13とは異なる態様で、例えば網掛けで表示されている。
【0087】
併合判定部212は、併合エリア取得部211で取得された複数のエリアの併合を許可するか判定する機能部である。併合判定部212は、選択された圃場A11およびA12の間の距離、より具体的には隣接する境界線の間の距離D10を計測し、当該距離が所定値未満の場合に単一圃場としての登録を許可する。所定値は、例えば人が通行する通路として考えられる最小幅である。また、所定値は、例えば20cm程度である。併合判定部212は、境界線のうち隣接圃場の境界線と対向する部分を抽出した上で、境界線の各箇所における距離を算出し、平均値を圃場間距離としてもよいし、境界線の各箇所における距離の最大値を圃場間距離としてもよい。
【0088】
図15においては、座標点P103およびP104を結ぶ境界線と、座標点P105およびP106を結ぶ境界線と、が互いに隣接している。距離D10が所定値以上の場合、併合判定部212は、単一圃場としての登録を禁止し、その旨をユーザインターフェース装置200を介して通知する。
【0089】
なお、上述の操作で3箇所以上の圃場を指定してもよい。この場合にはそれぞれの圃場が隣接している圃場との間の距離を計測し、1個の単一圃場として併合可能か判定する。併合が許可できない圃場がある場合は、当該圃場を特定してユーザインターフェース装置200を介して通知してもよい。
【0090】
また、併合判定部212は、第1の圃場A11が選択されると、隣接する圃場の境界線との距離をそれぞれ計算し、第1の圃場と併合可能な圃場A12を強調表示してもよい。この構成によれば、ユーザは併合可能な圃場を選択前に知ることができ、併合作業の効率が向上する。
【0091】
併合エリア登録部213は、併合が許可された複数の圃場を、単一圃場としてサーバ405又は圃場管理装置1の適宜の記憶部に登録する。
【0092】
単一圃場として登録された圃場は、エリア出力部14を介してユーザインターフェース装置200に表示される。また、エリア出力部14は、当該圃場の情報、例えば座標をルート生成装置600に送信する。ルート生成装置600は、併合により新たに登録された圃場の飛行ルートを生成する。
【0093】
圃場間距離が所定値未満の場合、圃場A11およびA12の端点を繋ぐ線および境界線に囲まれて形成される圃場間領域A10は、盛り土等の構造物や、異なる作物を育てる圃場や、異なる農薬を用いる圃場といった、圃場の特性を区分けするための隙間であると推定する。そこで、エリア併合部21は、当該圃場間領域A10上をドローン100が往来してよいとみなし、圃場の併合を認める。この構成によれば、隣接する圃場を併合して管理したい場合にも、測量機300による再測量が不要である。併合して管理したい場合とは、例えば、隣接する圃場に同じ作物を植え、同じ農薬を用いることとなった場合が考えられる。
【0094】
併合された圃場を飛行する飛行ルートは、各圃場A11、A12に対して生成される飛行ルートを互いに接続したルートとは少なくとも一部が異なっている。
図16(a)に示すように、各圃場A11、A12の飛行ルートR11、R12は、各圃場A11、A12内で完結したルートが生成されているため、例えば圃場A11とA12との境界線付近をそれぞれのルートで飛行する。一方、
図16(b)に示すように、併合した圃場の飛行ルートR1においては、圃場A11とA12の境界線付近のルートの重複が減り、飛行ルートR11、R12を接続した仮想的な飛行ルートに比べて飛行距離を短くすることができる。このように、ルート生成装置600により併合した圃場に飛行ルートを再生成する構成によれば、圃場A11およびA12にそれぞれ生成されたルートで飛行する構成よりも、短時間かつ省電力で飛行することができる。
【0095】
併合エリア登録部213は、圃場間領域A10を圃場ではない領域として定義し、圃場の領域と、当該圃場ではない領域とを区別して登録する。併合エリア登録部213は、圃場ではない領域を、ドローン100の飛行は可能であるが、薬剤散布又は撮影は行わない領域として定義する。また、エリア出力部14は、圃場の領域と圃場ではない領域とを区別してルート生成装置600に出力する。ルート生成装置600は、圃場A11、A12および圃場間領域A10を往来する飛行ルートを生成するが、圃場間領域A10においては薬剤散布も撮影も行わない。圃場間領域A10には作物が生育している蓋然性が低いため、この構成によれば、散布薬剤量を節約し、撮影に要する電力およびデータの記憶容量を節約できる。また、撮影においては、作物のない領域を分析することで生じる誤分析のおそれを軽減できる。
【0096】
エリア縮小部22は、事前に登録された圃場の一部をユーザインターフェース装置200上の操作で選択し、当該一部を、圃場を縮小して登録する縮小エリアとして登録する機能部である。エリア縮小部22は、縮小地点取得部221、縮小エリア登録判定部222および縮小エリア登録部223を有する。
【0097】
縮小地点取得部221は、ユーザインターフェース装置200における、圃場内の位置情報を示す指定地点の入力を受け付ける。指定地点の入力は、縮小エリアの端点を構成する複数の点が指定され、例えば3点以上指定される。例えば、ユーザインターフェース装置200を介して、「エリア縮小」する旨の選択が入力されると、
図17に示すエリア縮小画面G30が表示される。エリア縮小画面G30には、エリア定義部13で定義された圃場A13が地図上に表示されている。また、エリア縮小画面G30の右部には、エリア定義部13で定義されたエリアの一覧ウィンドウG31が表示されている。エリア縮小画面G30の左部には、当該エリア縮小画面G30において地図上で選択された縮小地点一覧ウィンドウG32が表示されている。同図の例においては、圃場A13内の点P115乃至P118が選択されている様子を示している。このとき、一覧ウィンドウG31では、入力された指定地点を含む圃場A13のカラムが、指定地点を含まない圃場A11及びA12とは異なる態様で、例えば網掛けで表示されている。
【0098】
縮小エリア登録判定部222は、指定地点又は当該指定地点に対応する座標が、所定の条件を満たしているか判定する。所定の条件とは、ドローン100が飛行、薬剤散布および撮影をする際の安全性が担保されていることであり、例えば、指定された座標がエリア定義部13で圃場として定義された領域の境界上又は内側であることである。当該定義された領域の端点、ここでは圃場A13の端点P111乃至P114も、所定の条件を満たす。圃場の境界上および内側の領域は、測量機300を用いた測量により、安全性が確認されているためである。縮小エリア登録判定部222は、指定された地点又は当該地点に対応する座標が、所定の条件を満たしているとき、縮小エリアの端点として許可する。また、縮小エリア登録判定部222は、当該地点又は座標が所定の条件を満たしていないとき、すなわち例えば指定地点が圃場の外側であるとき、縮小エリアの端点に採用せず、その旨をユーザに通知する。
【0099】
縮小エリア登録部223は、縮小エリア登録判定部222により縮小エリアの端点として許可された指定地点を互いに接続し、当該接続線で囲まれるエリアを縮小エリアとして定義する。縮小エリア登録部223は、外縁規定部131と同様の処理により、当該許可された点に基づいて縮小エリアを定義してよい。すなわち、エリア縮小部22は、縮小地点取得部221により選択を受け付けた順に各指定地点を接続し、各接続線を縮小エリアの外縁として当該縮小エリアを定義するものとしてもよい。エリア縮小部22は、各接続線が交差する順に指定地点が選択されたか否かを判別し、各接続線の少なくとも一部が交差する順に指定地点が選択されたとき、エラーを通知するものとしてもよい。エリア縮小部22は、各接続線の少なくとも一部が交差する順に指定地点が選択された場合に、縮小地点取得部221により受け付けた複数の指定地点を互いに接続し、縮小エリアの面積が最大となるように縮小エリアを定義するものとしてもよい。
【0100】
縮小エリア登録部223は、定義した縮小エリアを、縮小元の圃場とは別の圃場としてサーバ405又は圃場管理装置1の適宜の記憶部に登録する。縮小エリア登録部223は、縮小により生成された圃場の座標を、エリア出力部14を介してそれぞれルート生成装置600に出力する。ルート生成装置600は、縮小により生成された圃場内を飛行する飛行ルートを生成する。ルート生成装置600が縮小エリアに対して生成する飛行ルートは、縮小前の圃場に対して生成された飛行ルートとは、少なくとも一部が異なっている。この構成によれば、縮小エリア内で薬剤散布又は撮影等の作業を効率的に行うことができる。
【0101】
なお、ルート生成装置600は、縮小元の圃場から新たに生成された圃場を除いた領域の飛行ルートをさらに生成してもよい。縮小エリアが登録されるとき、縮小元の圃場の登録は削除されてもよい。また、縮小エリアが登録されるとき、縮小元の圃場のうち、縮小エリアを除いた部分を縮小元の圃場に代えて登録してもよい。
【0102】
編集後エリア削除部23は、エリア編集部20により編集された編集後のエリアの登録を削除する機能部である。例えば、ユーザインターフェース装置200を介して、「エリア削除」する旨の選択が入力されると、
図18に示すエリア削除画面G40が表示される。エリア削除画面G40には、エリア定義部13で定義された圃場A13、およびエリア縮小部22で登録された圃場A14が地図上に表示されている。また、エリア削除画面G40の右部には、エリアの一覧ウィンドウG41が表示されている。一覧ウィンドウG41には、削除可能なエリア、すなわちエリア縮小部22により生成されたエリア、ここでは圃場A14が、エリア定義部13で定義されたエリア、ここでは圃場A13とは異なる態様で、例えば網掛けで表示されている。また、エリア削除画面G40の地図上および一覧ウィンドウG41には、エリア併合部21により併合して生成されたエリアも表示されていてもよい。
【0103】
エリア削除画面G40の左部には、当該エリア削除画面G40において地図上又は一覧ウィンドウG41で選択された削除エリア一覧ウィンドウG42が表示されている。同図の例においては、圃場A14が選択されている様子を示している。
【0104】
削除エリア一覧ウィンドウG42において「削除」を選択すると、圃場A14が削除され、圃場A14に含まれる領域は、圃場A13の一部として飛行ルートが生成される。なお、圃場A13の飛行ルートは、削除した後に生成されてもよいし、縮小以前に生成されたルートを呼び出して使用してもよい。削除エリア一覧ウィンドウG42において併合により生成されたエリアが選択されると、当該エリアは削除され、併合前の複数のエリアに対する飛行ルートが、ドローン100の飛行ルートとして採用される。複数のエリアに対する飛行ルートは、再生成されてもよいし、併合以前に生成されたルートを呼び出して使用してもよい。
【0105】
座標点修正部24は、測量により取得又はユーザに入力された座標点を修正する機能部である。特に、座標点修正部24は、圃場を定義する複数の座標点の少なくとも1つを修正する。修正とは、選択された座標点の位置を移動させる、言い換えれば、選択された座標点に代わる座標点の登録を許可した上で、選択された座標点を削除する処理である。
【0106】
座標点修正部24は、修正座標点取得部241と、座標点修正判定部242と、を有する。
【0107】
修正座標点取得部241は、ユーザが修正しようとする座標点の情報、すなわち修正座標情報を、ユーザインターフェース装置200を介して取得する機能部である。修正座標情報は、ユーザが選択した座標点の位置座標と、ユーザが所望する修正先の位置座標と、を含む。ユーザは、ユーザインターフェース装置200に表示される地図又は登録された座標点の一覧から、修正する座標を選択する。また、ユーザは、修正先の地点を、地図上をタップすることにより入力することができる。この構成によれば、再度座標点を登録したり、測量したりする構成に比べて作業が簡便である。
【0108】
座標点修正判定部242は、修正座標情報の座標に応じて座標点の修正を許可するか否かを判定する機能部である。座標点修正判定部242は、取得した修正座標情報の座標、すなわち修正先の地点が、圃場の端点上、境界線上又は境界線の内側であるとき、座標点の修正を許可する。上述の条件に当てはまる修正は、圃場を縮小する修正である。すなわち、ドローン100の飛行範囲が狭くなり、より安全になる修正であるので、修正を許可することにより、ユーザは、ユーザインターフェース装置200上の操作により簡便に座標点を修正することができる。
【0109】
座標点修正判定部242は、飛行禁止エリアの端点を規定する座標点を修正する場合において、当該座標点を端点に持つ編集後の飛行禁止エリアが編集前の飛行禁止エリアの全領域を含むときに、当該飛行禁止エリアの編集を許可する。すなわち、座標点修正判定部242は、選択される座標点の修正を許可するとともに、当該座標点を端点に持つ飛行禁止エリアの範囲を、修正する。すなわち、飛行禁止エリアは、エリアを拡張することを条件に編集が許可される。この構成によれば、飛行禁止エリアについても、安全を担保しながら簡便に編集することができる。
【0110】
●エリアを併合するフローチャート
図19に示すように、まず、併合するエリアの選択を受け付けると(S1)、選択されたエリアが併合の条件を満たすか判定する(S2)。併合の条件を満たさない場合、エラーが通知される(S3)。ステップS2において併合の条件を満たすとき、選択された複数のエリアは併合されて登録され(S4)、併合されたエリアに対する飛行ルートが生成される(S5)。
【0111】
●エリアを縮小するフローチャート
図20に示すように、まず、縮小する地点の情報を受け付けると(S11)、選択された各地点が縮小エリアの端点としての条件を満たすか判定する(S12)。併合の条件を満たさない場合、エラーが通知される(S13)。ステップS2において縮小の条件を満たすとき、選択されたエリアは縮小エリアとして登録され(S14)、縮小エリアに対する飛行ルートが生成される(S15)。
【0112】
●エリア定義画面の構成(2)
図11を用いてエリア定義画面の第2例について、第1例とは異なる部分を中心に説明する。同図に示すように、座標取得部11により取得される座標点P1乃至P6は、ユーザインターフェース装置200に表示されるエリア定義画面G1上に、圃場の地図又は写真に重ね合わされて表示される。このとき、各座標点P1乃至P6の識別番号が各座標点上に併せて表示される。各座標点P1乃至P6の識別番号は、順に「1」「2」「3」「7」「6」「8」である。識別番号は、例えば座標点の座標が取得された順に付与されているが、各座標点固有の番号であればこれに限られない。エリア定義画面G1の右部には測量地点一覧ウィンドウG11が表示される。測量地点一覧ウィンドウG11には、各座標点の識別番号及び座標点の測量日時が、測量機300により取得された順に、一覧表示される。
【0113】
使用者は、エリア定義画面G1に表示される圃場の地図又は写真上の座標点をタップする、または測量地点一覧ウィンドウG11に一覧表示された座標点をタップすることの少なくともいずれかの方法で、座標点を選択する。地図上および測量地点一覧ウィンドウG11に座標点の識別番号が表示される構成によれば、地図上の識別番号を参照して測量地点一覧ウィンドウG11をタップすることができる。したがって、複数の座標点が互いに近接し、地図上において区別してタップすることが困難な場合であっても、座標点を適切に選択することができる。
【0114】
図12に示すように、選択された座標点の情報は、エリア定義画面G1の左部に配置される選択地点一覧ウィンドウG12に表示される。選択地点一覧ウィンドウG12には、選択された座標点が選択された順に表示される。また、選択地点一覧ウィンドウG12には、各座標点の識別番号が合わせて表示される。この構成によれば、選択地点一覧ウィンドウG12において選択の解除をする際にも、識別番号を参照して、選択解除の入力を適切に行うことができる。
【0115】
図13は、選択される座標点を選択された順に接続した様子の一例を示す画面である。同図においては、測量地点一覧ウィンドウG11において座標点P1、P2、P4、及びP3がこの順に選択された様子を示している。座標点P2と座標点P4とを接続する接続線、および座標点P3と座標点P1とを接続する接続線が交差している。このとき、選択地点一覧ウィンドウG12の下部に「単純多角形ではありません」とのエラー通知が表示される。また、当該エラー通知の右方に「自動解法」との表示がなされている。「自動解法」の表示を選択すると、複数の座標点が1個のエリアの外縁の端点又は端辺上となるように自動的に接続して、エリアを再定義する。また、選択地点一覧ウィンドウG12の右下部に表示される「全クリア」を選択することで、座標点の選択作業を始めからやり直すことができる。なお、「自動解法」のタップによらず、エラー通知とともにエリアの再定義処理を行ってもよい。
【0116】
図14に示すように、エリアの外縁が定まった後、エリア定義画面G2の左方には、選択地点一覧ウィンドウG12に代えて、測量種別選択ウィンドウG13が表示される。測量種別選択ウィンドウG13では、エリアが圃場エリアおよび障害物エリアのいずれであるかの測量種別が択一的に選択可能である。
【0117】
なお、ドローンは、作業エリア内を自律的に飛行する形態に限られず、例えば作業エリア内又は発着地点と作業エリアとの移動経路上において一部又は全部を使用者の操縦に基づいて飛行するドローンであってもよい。このとき、本願発明に係るエリア編集システムは、ドローン100が、本システムにおいて定義された作業エリアから退出するのを防止するシステムであってもよい。具体的には、ドローン100が当該作業エリアの外縁上又は作業エリア内側の所定範囲内にあるとき、操作器を介して使用者に警告を通知するものであってもよい。特に、ドローン100が作業エリア内側の所定範囲内において作業エリアから退出する方向に進行しているとき、又は当該方向に加速度を有するときに、当該警告を通知してもよい。また、警告の通知に代えて、又は加えて、使用者からの操縦命令を無効化し、ドローン100を外縁上又は作業エリア内側の所定範囲内においてホバリングさせてもよい。さらに、ホバリングに代えて、その場に着陸させてもよい。
【0118】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本願発明によれば、圃場の測量作業を効率化することができる。