(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】受信装置、送受信システム及び受信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20241015BHJP
H04B 7/0413 20170101ALI20241015BHJP
【FI】
H04B7/06 960
H04B7/0413 310
(21)【出願番号】P 2023028521
(22)【出願日】2023-02-27
【審査請求日】2023-04-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gに向けた高速ビームステアリング技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願」
(73)【特許権者】
【識別番号】504130821
【氏名又は名称】学校法人湘南工科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】宗 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】加保 貴奈
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/013351(WO,A1)
【文献】特開2017-130772(JP,A)
【文献】特開2015-041818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02-7/12
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信部と、
受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定部と、
測定した結果に基づき所定の指向性を有する
送信ビームを特定する制御部とを備え、
前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する
送信ビームが含まれ
、
前記制御部は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する前記同期信号ブロックに含まれる前記プライマリ同期信号に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、
受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づく重みづけをし、前記プライマリ同期信号の電波強度と前記重みとに基づき第2の方向における指向性を特定する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信部と、
受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定部と、
測定した結果に基づき所定の指向性を有する
送信ビームを特定する制御部とを備え、
前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する
送信ビームが含まれ
、
前記制御部は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、
受信装置。
【請求項4】
電波を送信する送信装置と、前記送信装置により送信された電波を受信する受信装置とを備え、
前記送信装置は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を送信し、
前記受信装置は、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定し、測定した結果に基づき所定の指向性を有する
送信ビームを特定し、
前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する
送信ビームが含まれ
、
前記受信装置は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する前記同期信号ブロックに含まれる前記プライマリ同期信号に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、
送受信システム。
【請求項5】
電波を送信する送信装置と、前記送信装置により送信された電波を受信する受信装置とを備え、
前記送信装置は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を送信し、
前記受信装置は、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定し、測定した結果に基づき所定の指向性を有する
送信ビームを特定し、
前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する
送信ビームが含まれ
、
前記受信装置は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、
送受信システム。
【請求項6】
複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信工程と、
受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定工程と、
測定した結果に基づき所定の指向性を有する
送信ビームを特定する制御工程とを備え、
前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する
送信ビームが含まれ
、
前記制御工程は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する前記同期信号ブロックに含まれる前記プライマリ同期信号に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、
受信方法。
【請求項7】
複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信工程と、
受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定工程と、
測定した結果に基づき所定の指向性を有する
送信ビームを特定する制御工程とを備え、
前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する
送信ビームが含まれ
、
前記制御工程は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、送受信システム及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数のアンテナ素子を用いて、狭指向性ビームを作り出し、作り出した狭指向性ビームを所定の角度に順次ステアリングし、端末装置(UE;User Equipment)が送受信する電波の向きに合わせて最大の指向性を生成する技術が広く用いられている。狭指向性ビームを作り出す技術は、ビームフォーミング技術として広く知られている。また、狭指向性ビームを所定の角度に順次ステアリングし、好適な指向性を探索する技術は、ビームステアリング技術として広く知られている。このようなビームステアリング技術は、例えば特許文献1に例示されたようなアレーアンテナを用いて実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術によるビームステアリング技術によれば、端末装置は、基地局から送信された多数の狭指向性ビームに基づき好適な指向性を推定する。近年、無線通信の大容量化のため、基地局から送信されるビームの数が増大している。従来技術によれば、基地局から送信されるビームの数が増大することに応じて、ビーム探索時間が増大してしまうといった問題があった。
【0005】
このような事情に鑑み、本発明は、高速にビームステアリングを行うことが可能な受信装置、送受信システム及び受信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一態様は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信部と、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定部と、測定した結果に基づき所定の指向性を有する送信ビームを特定する制御部とを備え、前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する送信ビームが含まれ、前記制御部は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する前記同期信号ブロックに含まれる前記プライマリ同期信号に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する受信装置である。
【0007】
[2]また、一態様は、上記[1]に記載の受信装置において、前記制御部は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する受信装置である。
【0008】
[3]また、一態様は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信部と、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定部と、測定した結果に基づき所定の指向性を有する送信ビームを特定する制御部とを備え、前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する送信ビームが含まれ、前記制御部は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する受信装置である。
【0009】
[4]また、一態様は、電波を送信する送信装置と、前記送信装置により送信された電波を受信する受信装置とを備え、前記送信装置は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を送信し、前記受信装置は、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定し、測定した結果に基づき所定の指向性を有する送信ビームを特定し、前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する送信ビームが含まれ、前記受信装置は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する前記同期信号ブロックに含まれる前記プライマリ同期信号に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、送受信システムである。
【0010】
[5]また、一態様は、電波を送信する送信装置と、前記送信装置により送信された電波を受信する受信装置とを備え、前記送信装置は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を送信し、前記受信装置は、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定し、測定した結果に基づき所定の指向性を有する送信ビームを特定し、前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する送信ビームが含まれ、前記受信装置は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する、送受信システムである。
【0011】
[6]また、本発明の一態様は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信工程と、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定工程と、測定した結果に基づき所定の指向性を有する送信ビームを特定する制御工程とを備え、前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する送信ビームが含まれ、前記制御工程は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する前記同期信号ブロックに含まれる前記プライマリ同期信号に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する受信方法である。
【0012】
[7]また、本発明の一態様は、複数の同期信号ブロックを含む電波であって、前記同期信号ブロックには時間領域で処理されるプライマリ同期信号と周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号とが含まれる電波を受信する受信工程と、受信した電波のうち前記プライマリ同期信号の電波強度と、前記セカンダリ同期信号の電波強度とを測定する測定工程と、測定した結果に基づき所定の指向性を有する送信ビームを特定する制御工程とを備え、前記プライマリ同期信号には、複数の異なる指向性を有する送信ビームが含まれ、前記制御工程は、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記セカンダリ同期信号の電波強度に基づき第1の方向における指向性を特定し、複数の前記同期信号ブロックそれぞれに含まれる前記プライマリ同期信号の電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第1の方向と交わる第2の方向における指向性を特定する受信方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高速にビームステアリングを行うことが可能な受信装置、送信装置、送受信システム及び受信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る送受信システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るビームステアリングについて説明するための概念図である。
【
図3】本実施形態に係る送信装置の構成を示す模式図である。
【
図4】本実施形態に係る装置構成について、位相器とバトラーマトリクスを用いた場合の構成を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る受信装置の機能構成を示す機能構成図である。
【
図6】本実施形態に係る送信装置により送信されるビームの一例について説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係る同期信号ブロックの構成の一例について説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係る指向性の特定方法について説明するための図である。
【
図9】本実施形態に係る受信装置が行うビーム探索方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る送受信システムの構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の態様に係る受信装置、送信装置、送受信システム及び受信方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0016】
[実施形態]
図1は、本実施形態に係る送受信システムの構成例を示す図である。同図を参照しながら、送受信システム1の構成例について説明する。送受信システム1は、基地局2と、複数の端末装置3とを備える。図示する一例では、複数の端末装置3として、端末装置3-1、端末装置3-2、…、及び端末装置3-n(nは1以上の自然数)が示されている。
【0017】
基地局2は、指向性を有する電波を複数方向に送信する。基地局2から送信された指向性を有する電波は、複数の端末装置3それぞれにより受信される。以下、指向性を有する電波を、ビームと記載する場合がある。以下の実施形態においては、一例として、基地局2が所定の角度に順次ビームをステアリングし、それぞれの端末装置3が好適な指向性を有するビームを探索する場合について説明する。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、それぞれの端末装置3が所定の角度に順次ビームをステアリングし、基地局2が好適な指向性を有するビームを探索するよう構成されていてもよい。
【0018】
基地局2は、送信装置20を備える。送信装置20は、RF(Radio Frequency)回路部21と電波出力部22とを備える。RF回路部21は、送信する電波の信号処理を行う。電波出力部22は、例えば、複数のアンテナ素子を含むアレーアンテナである。電波出力部22は、RF回路部21の制御に基づき、電波を出力する。RF回路部21は、電波出力部22から出力される電波の指向性を制御することによりビームステアリングを行う。
【0019】
端末装置3は、受信装置10を備える。受信装置10は、送信装置20から送信された電波を受信する。受信装置10は、具体的には、ビームステアリングされた複数のビームを受信する。複数のビームは、それぞれ異なる指向性を有するため、所定の場所において受信された複数のビームは、それぞれ電波強度が異なる。受信装置10は、受信したビーム毎の電波強度を測定し、測定した電波強度に基づき、好適な指向性のビームを特定する。受信装置10は、特定した指向性のビームに関する情報を送信装置20に出力してもよい。
【0020】
図2は、本実施形態に係るビームステアリングについて説明するための概念図である。同図を参照しながら、送受信システム1が行うビームステアリングの一例について説明する。同図には、送信装置20の一例として、Massive MIMO(マッシブ・マイモ)が示されている。図示するように、送信装置20は、複数のアンテナ素子AEを備える。送信装置20は、例えば8×8Massive MIMOであり、64個のアンテナ素子AEを備えていてもよい。
【0021】
RF回路部21は、各アンテナ素子AEから出力される電波を制御することにより、ビームの指向性を制御する、図示する一例では、ビームBM1乃至ビームBM6、…、及びビームBMm(mは1以上の自然数)が示されている。例えば送信装置20が8×8Massive MIMOである場合、m=64であってもよい。電波出力部22は、RF回路部21の制御に応じて、狭指向性を有するビームを出力する。
【0022】
端末装置3は、送信装置20の周囲に複数存在する。送信装置20の周囲とは、送信装置20が出力するビームを受信可能な位置である。複数の端末装置3は、それぞれ送信装置20が出力する狭指向性を有する複数のビームを受信し、ビームの電波強度に応じて、好適な指向性を探索する。
【0023】
図3は、本実施形態に係る送信装置の構成を示す模式図である。
図4は、本実施形態に係る装置構成について、位相器とバトラーマトリクスを用いた場合の構成を示す図である。
図3及び
図4を参照しながら、送信装置20の構成について説明する。送信装置20は、N枚の基板Sを有する(Nは1以上の自然数)。図示する一例では、送信装置20は、基板S-1乃至基板S-8の8枚の基板Sを有する。それぞれの基板Sは、1次元のパッチアレーアンテナと、バトラーマトリクスBMと、位相器(可変位相器)PSAとを備える。1次元のパッチアレーアンテナには、M個のパッチアンテナPが含まれる(Mは1以上の自然数)。図示する一例では、それぞれの基板Sは、8個のパッチアンテナPを有する。すなわち、送信装置20は、8×8アレーアンテナを有するということもできる。送信装置20は、バトラーマトリクスBMにより水平方向のビームを形成し、移相器PSAにより垂直方向のビームを形成する。
【0024】
それぞれの基板Sが備える位相器PSAには、水平方向ビームの入力信号が入力される。位相器PSAは、バトラーマトリクスBMの同一ポートに出力される。位相器PSAは、1シンボル内で離散的に高速で位相を切り替え可能に構成される。位相器PSAは、後述する同期信号ブロックSSB内のプライマリ同期信号PSSの1シンボル時間内で、N段階(例えば8段階)の垂直方向のビームステアリングを行う。
【0025】
図5は、本実施形態に係る受信装置の機能構成を示す機能構成図である。同図を参照しながら、受信装置10の機能構成の一例について説明する。受信装置10は、受信部11と、RSRP測定部12と、制御部13と、送信部14とを備える。受信装置10は、バスで接続された不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)又はRAM(Random access memory)等の記憶装置等を備え、受信プログラムを実行することによって受信部11、RSRP測定部12、制御部13、及び送信部14を備える装置として機能する。
【0026】
なお、受信装置10の各機能の全てまたは一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。受信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。受信プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0027】
受信部11は、送信装置20により送信された電波を受信する。受信部11は、受信した電波に関する情報を受信情報RIとしてRSRP測定部12に出力する。ここで、送信装置20により送信される電波の詳細な一例について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0028】
図6は、本実施形態に係る送信装置により送信されるビームの一例について説明するための図である。同図には、縦軸を周波数、横軸を時間として、送信装置20により送信される電波の一例が示されている。送信装置20は、所定の周期ごとに複数の同期信号ブロックSSBを送信する。換言すれば、送信装置20は、複数の同期信号ブロックSSBを含む電波を受信する。図示する一例では、20[ms(ミリ秒)]ごとに8個の同期信号ブロックSSBが送信されている。8個の同期信号ブロックSSBは、例えば5[ms]以内に送信される。
【0029】
それぞれの同期信号ブロックSSBには、SSB Indexが付されている。図示する一例では、0から7までのSSB Indexが付されている。各SSB Indexは、水平方向の指向性を特定するものであってもよい。
【0030】
図7は、本実施形態に係る同期信号ブロックの構成について説明するための図である。同図を参照しながら、同期信号ブロックSSBの構成について説明する。同期信号ブロックSSBには、プライマリ同期信号PSSと、物理ブロードキャストチャネルPBCHと、セカンダリ同期信号SSSとが含まれる。物理ブロードキャストチャネルPBCHは、システム情報伝送チャネルの配置等を報知する報知信号である。
【0031】
ここで、従来技術によれば、同期信号ブロックSSBに含まれるプライマリ同期信号PSSの中で1つのビームを送信していた。すなわち、従来技術によれば、ビーム数分の同期信号ブロックSSBを送信する必要があった。具体的に、送信装置20が8×8Massive MIMOである場合、1回のビームステアリングを行うために、64個の同期信号ブロックSSBを送信する必要があった。
【0032】
1つの同期信号ブロックSSBには、4シンボルが含まれる。例えばCaseBで8送信の場合は、約50シンボルで1周期となる。また、CaseDで64送信の場合は、500シンボル以上で1周期となる。すなわち、従来技術を用いてビームステアリングを行う場合、ビーム探索時間が増大してしまい、効率的なビームステアリングを行うことが望まれていた。
【0033】
プライマリ同期信号PSSは、3つの値(0、1、2)のうちの1つを指定してセルの物理レイヤ識別子を識別する。セカンダリ同期信号SSSは、168個のグループのうちセルが属する1つのグループを識別する。このように、プライマリ同期信号PSSは3つの値のうちの1つを表すだけでよく、セカンダリ同期信号SSSは168個の値のうちの1つを表す。プライマリ同期信号PSSはZadoff―Chuシーケンスに基づく62ビット信号であり、セカンダリ同期信号SSSは、物理レイヤ識別子から得られるシーケンスを用いてスクランブルされた2つの31ビットシーケンスの組合せを用いる。
【0034】
プライマリ同期信号PSS及びセカンダリ同期信号SSSの両者は、全てのセルにより固定リソースで送信されるので、信号の範囲内にいる任意のUEにより検出できる。プライマリ同期信号PSS及びセカンダリ同期信号SSSの各々は、フレーム当たり2回、言い換えると5ms周期で(したがって幾つかのサブフレーム毎にのみ)送信される。例えば、プライマリ同期信号PSS及びセカンダリ同期信号SSSは両者とも、各フレームの第1及び第6サブフレームで送信される。
【0035】
ここで、プライマリ同期信号PSSとは、時間領域で処理する領域であり、物理ブロードキャストチャネルPBCHとセカンダリ同期信号SSSとは、周波数領域で処理する領域であるということができる。すなわち、同期信号ブロックSSBには、時間領域で処理されるプライマリ同期信号PSSと周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号SSSとが少なくとも含まれるということができる。
【0036】
本実施形態においては、プライマリ同期信号PSSの1シンボル内でビームステアリングを行う。すなわち、本実施形態に係るプライマリ同期信号PSSには、複数の異なる指向性を有するビームが含まれる。具体的には、送信装置20は、時間領域であるプライマリ同期信号PSSの中で、ビームを垂直方向に順次ステアリングする。換言すれば、プライマリ同期信号PSSには、垂直方向に異なる指向性を有する複数のビームが含まれていてもよい。
【0037】
プライマリ同期信号PSSの中に、N回(例えば8回)ビームステアリングされる場合、受信装置10は、プライマリ同期信号PSSをN分割(例えば8分割)し、電力が最大となる箇所を検出する。送信装置20は、同期信号ブロックSSBごとに同一の垂直ビームステアリングを行い、受信装置10は、同期信号ブロックSSBごとに同様に電力を測定する。受信装置10は、測定された電力の大きさに基づき、垂直方向のビームを選択する。
【0038】
また、本実施形態において、セカンダリ同期信号SSSは、水平方向のビームステアリングに用いられる。水平方向のビームステアリングは、同期信号ブロックSSBごとに行われる。すなわち、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれにおいて、指向性が水平方向に異なるビームが含まれていてもよい。それぞれの同期信号ブロックSSBに含まれるプライマリ同期信号PSSの中で、セカンダリ同期信号SSSに含まれるビームの水平方向の指向性に応じた垂直方向のビームステアリングが行われる。すなわち、8×8Massive MIMOの場合、8個の同期信号ブロックSSBを送信することにより64種類の指向性を有するビームを送信することができる。
図5に戻り、受信装置10の機能構成について説明を続ける。
【0039】
RSRP測定部12は、受信した電波のうち、プライマリ同期信号PSSの電波強度と、セカンダリ同期信号SSSの電波強度とを測定する。以下の説明において、RSRP測定部12を、単に測定部と記載する場合がある。RSRP測定部12は、測定した結果に関する情報を、測定情報MIとして制御部13に出力する。
【0040】
制御部13は、RSRP測定部12により測定された電波強度に応じて、所定の指向性を有するビームを特定する。送信部14は、特定された所定の指向性を有するビームに関する情報を、送信情報TIとして受信装置10に対して送信する。
【0041】
図8は、本実施形態に係る指向性の特定方法について説明するための図である。同図を参照しながら、指向性の特定方法の一例について説明する。図示する一例において、UE1及びUE2は、いずれも端末装置3の具体例である。UE1及びUE2は、それぞれ異なる場所に存在するものである。
図8(A)及び
図8(B)は、いずれも、縦軸を電波強度、横軸を時間として示す。時刻t1乃至時刻t8の各時刻は、それぞれ同期信号ブロックSSBが送信されるタイミングに相当する。
【0042】
図8(A)は、UE1によりセカンダリ同期信号SSSに基づき測定された電波強度の一例を示し、
図8(B)は、UE2によりセカンダリ同期信号SSSに基づき測定された電波強度の一例を示す。UE1は時刻t2において取得した電波の電波強度が最も大きく、UE2は時刻t8において取得した電波の電波強度が最も大きい。したがって、UE1は、時刻t2において送信されたビームを、所定の指向性(特に水平方向の指向性)を有するビームとして特定する。また、UE2は、時刻t8において送信されたビームを、所定の指向性(特に水平方向の指向性)を有するビームとして特定する。
【0043】
ここで、
図8に示した時刻t1乃至時刻t8の各時刻は、それぞれ同期信号ブロックSSBが送信されるタイミングに相当し、
図8(A)及び
図8(B)は、いずれもセカンダリ同期信号SSSに基づき測定された電波強度を示すものである。したがって、図示するように水平方向の指向性が決定される。受信装置10が備える制御部13は、水平方向において最も大きい電波強度が得られた同期信号ブロックSSBに含まれるプライマリ同期信号PSSの中における電波強度に基づいて、垂直方向において最も大きくなる電波強度を探索する。換言すれば、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるセカンダリ同期信号SSSの電波強度に基づき第1の方向(水平方向)における指向性を特定し、特定された第1の方向のビームを有する同期信号ブロックSSBに含まれるプライマリ同期信号PSSに基づき第1の方向と交わる第2の方向(垂直方向)における指向性を特定する。
【0044】
また、制御部13は、水平方向のビームステアリングで得られた電波強度に基づいて、垂直方向の電波強度に重み付けを行い、重み付けが行われた後の全てのビームの電波強度に基づいて、指向性を特定してもよい。この場合、まず、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるセカンダリ同期信号SSSの電波強度に基づいて、水平方向の指向性ごとの重み(換言すれば同期信号ブロックSSBということもできる)を算出する。次に、制御部13は、プライマリ同期信号PSSに含まれる複数のビームの電波強度と、算出された重みとに基づき指向性を特定する。なお、水平方向で最も電波強度が高いビームの重みを1とし、それ以外の重みを0とすることにより、水平方向の測定結果をより重視することも可能である。
【0045】
また、指向性の特定は、多数決により行われてもよい。この場合、制御部13は、例えば、プライマリ同期信号PSSを時分割し、電波強度が最大となる箇所を測定し、測定した結果に応じて、第2の方向(垂直方向)における指向性を特定する。例えば、制御部13は受信した同期信号ブロックSSBの中で、電波強度が最大となる箇所が最も多くなった箇所を第2の方向における指向性として特定する。すなわち、制御部13は、まず、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるセカンダリ同期信号SSSの電波強度に基づき第1の方向(水平方向)における指向性を特定する。また、制御部13は、水平方向の指向性とは独立して、垂直方向の指向性を特定する。すなわち、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるプライマリ同期信号PSSの電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき第2の方向における指向性を特定してもよい。
【0046】
図9は、本実施形態に係る受信装置が行うビーム探索方法の一例を示すフローチャートである。同図を参照しながら、受信装置10が行うビーム探索方法の一例について説明する。同図を参照しながら行う説明は、受信装置10が、多数決によりビームを探索する方法の一例である。
【0047】
(ステップS11)受信装置10は、同期信号ブロックSSBを受信した場合、処理をステップS12に進める。
【0048】
(ステップS12)RSRP測定部12は、プライマリ同期信号PSSの電波強度を測定する。制御部13は、プライマリ同期信号PSSを時分割し、電波強度が最大となる箇所を検出する。なお、本実施形態において、送信装置20は、プライマリ同期信号PSSの中で水平方向を固定し、垂直方向にビームステアリングを行う。したがって、電波強度が最大となる箇所とは、水平方向に固定され垂直方向にビームステアリングを行った結果、電波強度が最大となる箇所である。
【0049】
(ステップS13)次に、RSRP測定部12は、セカンダリ同期信号SSSの電波強度を測定する。
【0050】
(ステップS14)制御部13は、N個の同期信号ブロック全てについて測定を行った場合、処理をステップS15に進める。なお、Nとは、水平方向におけるビーム数である。例えば、送信装置20が8×8Massive MIMOである場合、N=8であってもよい。制御部13は、N個の同期信号ブロック全てについて測定を行っていない場合、処理をステップS11に戻し、次の同期信号ブロックSSBが受信されることを待つ。
【0051】
(ステップS15)制御部13は、N個の同期信号ブロックそれぞれにおいて、プライマリ同期信号PSSの中で電力が最大となる箇所を特定する。制御部13は、電力が最大となる箇所が最も多い箇所を、垂直方向のビームとして特定する。
【0052】
(ステップS16)また、制御部13は、N個の同期信号ブロックのうち、セカンダリ同期信号SSS電波強度が、最大となるビームを水平方向のビームとして特定する。
【0053】
[実施形態の変形例]
図10は、本実施形態に係る送受信システムの構成の変形例を示す図である。同図を参照しながら、送受信システム1の変形例である送受信システム1Aについて説明する。送受信システム1Aは、基地局2Aと、複数の端末装置3Aとを備える。図示する一例では、複数の端末装置3Aとして、端末装置3A-1、端末装置3A-2、…、及び端末装置3A-n(nは1以上の自然数)が示されている。送受信システム1Aは、基地局2Aが受信装置10を備え、端末装置3Aが送信装置20を備える点において送受信システム1とは異なる。送受信システム1Aにおいては、端末装置3Aがビームステアリングを行い、基地局2Aが好適な指向性のビームを特定する。
【0054】
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、受信装置10は、受信部11を備えることにより、複数の同期信号ブロックSSBを含む電波を受信する。同期信号ブロックSSBには時間領域で処理されるプライマリ同期信号PSSと周波数領域で処理されるセカンダリ同期信号SSSとが含まれる。また、受信装置10は、RSRP測定部12を備えることにより、受信した電波のうちプライマリ同期信号PSSの電波強度と、セカンダリ同期信号SSSの電波強度とを測定する。また、受信装置10は、制御部13を備えることにより、測定した結果に基づき所定の指向性を有するビームを特定する。プライマリ同期信号PSSには、複数の異なる指向性を有するビームが含まれる。すなわち、本実施形態によれば、従来ビームステアリングを行う領域ではないプライマリ同期信号PSSにおいてビームステアリングを行う。プライマリ同期信号PSSは、時間領域のため、高速にビームステアリングを行ったとしても、位相が混ざり合うことがない。したがって、本実施形態によれば、基地局2から送信されるビームの数が増大した場合であっても、高速にビームステアリングを行うことができる。
【0055】
なお、プライマリ同期信号PSSの中で高速にビームステアリングを行うことにより、時間同期精度が劣化することが考えられるが、同期信号ブロックSSB内のチャネル復調用参照信号DMRSを用いて同期を行うことにより、時間同期精度を保つことができる。
【0056】
また、以上説明した実施形態によれば、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるセカンダリ同期信号SSSの電波強度に基づき、第1の方向(例えば水平方向)における指向性を特定する。また、制御部13は、特定された第1の方向のビームを有する同期信号ブロックSSBに含まれるプライマリ同期信号PSSに基づき、第1の方向と交わる第2の方向(例えば垂直方向)における指向性を特定する。すなわち、本実施形態によれば、同期信号ブロックSSBを水平方向のビーム数に応じた数だけ送信することにより、水平方向の指向性を特定し、水平方向の指向性が固定されたうえで垂直方向にビームステアリングを行うことにより垂直方向の指向性を特定する。ここで、水平方向は、垂直方向に比べてビームステアリングの速度が遅い(例えば同期信号ブロックSSBの送信周期)ため、信頼性が高いといえる。言い換えれば、本実施形態によれば、信頼性の高い水平方向について第1の判定を行った後で、高速に垂直方向について第2の判定を行う。よって、本実施形態によれば、精度よく、高速にビームステアリングを行うことができる。
【0057】
また、以上説明した実施形態によれば、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるセカンダリ同期信号SSSの電波強度に基づく重みづけをし、プライマリ同期信号PSSの電波強度と重みとに基づき、第2の方向(例えば垂直方向)における指向性を特定する。すなわち、本実施形態によれば、信頼性の高い水平方向の測定結果を、垂直方向にも反映させ、垂直方向の判定を行う。よって、本実施形態によれば、精度よく、高速にビームステアリングを行うことができる。
【0058】
また、以上説明した実施形態によれば、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるセカンダリ同期信号SSSの電波強度に基づき、第1の方向(例えば水平方向)における指向性を特定する。また、制御部13は、複数の同期信号ブロックSSBそれぞれに含まれるプライマリ同期信号PSSの電波強度をそれぞれ測定した結果に基づき、第1の方向と交わる第2の方向(例えば垂直方向)における指向性を特定する。制御部13は、例えば、プライマリ同期信号PSSを時分割し、電波強度が最大となる箇所を測定し、測定した結果に応じて、第2の方向における指向性を特定する。例えば、制御部13は受信した同期信号ブロックSSBの中で、電波強度が最大となる箇所が最も多くなった箇所を第2の方向における指向性として特定する。すなわち、制御部13は、多数決により判定を行うということもできる。よって、本実施形態によれば、測定誤差を低減することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態においては、第1の方向を水平方向、第2の方向を垂直方向として説明した。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、水平方向と垂直方向とを入れ替えて構成することも可能である。この場合、プライマリ同期信号PSSの中で水平方向にビームステアリングを行い、セカンダリ同期信号SSSを用いて垂直方向にビームステアリングを行うよう構成されてもよい。また、第1の方向と第2の方向とは、垂直に交わる場合の一例に限定されず、互いに所定の角度で交わるような方向であってもよい。
【0060】
なお、上述した実施形態においては、送信装置20又は受信装置10のいずれか一方によりビームステアリングをする場合の一例について説明した。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、送信装置20及び受信装置10の両方によりビームステアリングを行ってもよい。
【0061】
なお、上述した実施形態における送受信システム1が備える各装置が備える各部の機能の全体あるいはその機能の一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0062】
また、「コンピュータにより読み取り可能な記録媒体」とは、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに、「コンピュータにより読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0063】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…送受信システム、2…基地局、3…端末装置、10…受信装置、20…送信装置、11…受信部、12…RSRP測定部、13…制御部、14…送信部、21…RF回路部、22…電波出力部、S…基板、BM…バトラーマトリクス、PSA…位相器、P…パッチアンテナ、SSB…同期信号ブロック、PSS…プライマリ同期信号、SSS…セカンダリ同期信号、PBCH…物理ブロードキャストチャネル