(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】脂質ナノ粒子製造用チップ、これを含む脂質ナノ粒子製造システムおよび脂質ナノ粒子製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/51 20060101AFI20241015BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20241015BHJP
B01F 33/301 20220101ALI20241015BHJP
B01J 47/06 20060101ALI20241015BHJP
B01D 57/02 20060101ALI20241015BHJP
B03C 5/00 20060101ALI20241015BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20241015BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241015BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241015BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241015BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241015BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61K9/51
B01F23/50
B01F33/301
B01J47/06
B01D57/02
B03C5/00 Z
C12N15/11 Z
A61K9/14
A61K31/7088
A61K48/00
A61K47/44
A61K9/127
(21)【出願番号】P 2023534061
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 KR2022006749
(87)【国際公開番号】W WO2022240193
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0060963
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0057190
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519140246
【氏名又は名称】インベンテージ ラボ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INVENTAGE LAB INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ウィ ドン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,チャン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュ ヒ
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-515324(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0074832(KR,A)
【文献】Development of a Microfluidic-Based Post-Treatment Process for Size-Controlled Lipid Nanoparticles and Application to siRNA Delivery,ACS Appl. Mater. Interfaces,2020年,2020, 12,34011-34020,https://doi.org/10.1021/acsami.0c05489
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
B01F
B01J
B01D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を含む第1原料と、脂質(lipid)を含む第2原料とを混合し、混合液を形成するミキサー部と;
前記ミキサー部に連結され、希釈液を用いて前記混合液を希釈する希釈部と;
前記希釈部に連結され、希釈された混合液から脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticles;LNP)を濃縮し、濃縮液を収得する濃縮部と、を含み、
前記ミキサー部、前記希釈部および前記濃縮部は、1つの基板上に形成され、
前記濃縮部は、前記希釈部と連結されるメイン流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液を収得する脂質ナノ粒子収得流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液以外の溶液を回収するための回収流路と、を含み、
前記濃縮部は、前記メイン流路に接するイオン交換チャネルと;
前記メイン流路から離隔し、前記イオン交換チャネルと接するバッファーソリューションチャネルと;をさらに含む前記濃縮液と前記濃縮液以外の溶液が同時に連続的に収得および回収されることを特徴とする脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項2】
前記濃縮部の前記イオン交換チャネルは、前記メイン流路の上側または下側に配置され、
平面上で流体の進行方向に尖部が配置されるようにv字状を有することを特徴とする請求項
1に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項3】
前記脂質ナノ粒子収得流路と前記回収流路は、前記メイン流路より断面積が小さく、互
いに平行に配置されることを特徴とする請求項
1に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項4】
前記ミキサー部は、
前記第1原料が供給される第1原料供給流路と、前記第2原料が供給される第2原料供給流路と、前記第1および第2原料供給流路に連結される混合流路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項5】
前記希釈部は、
前記ミキサー部の前記混合流路に連結される第1流路と;
前記希釈液を提供する希釈流路と;
前記希釈流路および前記第1流路に連結される希釈空間と;を含むことを特徴とする請求項
4に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項6】
前記有効成分は、核酸であることを特徴とする請求項1に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項7】
前記有効成分は、mRNA、miRNA、siRNA、DNAおよびCRISPRのう
ちいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項8】
前記第1原料は、mRNAおよび水を含み、前記第2原料は、脂質(Lipid)およびエタノールを含み、前記希釈液は、脱イオン水(Deionized water)を含むことを特徴とする請求項1に記載の脂質ナノ粒子製造用チップ。
【請求項9】
第1原料を供給する第1原料供給部と;
第2原料を供給する第2原料供給部と;
前記第1原料および前記第2原料を混合し、混合液を形成するミキサー部と、前記混合液を希釈する希釈部と、希釈された混合液から脂質ナノ粒子を濃縮し、濃縮液を収得する濃縮部と、を含む脂質ナノ粒子製造用チップと;
前記脂質ナノ粒子製造用チップに希釈液を提供する希釈液提供部と;
前記脂質ナノ粒子製造用チップから前記濃縮液以外の溶液を回収する回収部と;を含み、
前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記ミキサー部と、前記希釈部および前記濃縮部は1つの基板上に形成され、
前記濃縮部は、前記希釈部と連結されるメイン流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液を収得する脂質ナノ粒子収得流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液以外の溶液を回収するための回収流路と、を含み、
前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記濃縮部は、前記メイン流路に接するイオン交換チャネルと;
前記メイン流路から離隔し、前記イオン交換チャネルと接するバッファーソリューションチャネルと;をさらに含む前記濃縮液と前記濃縮液以外の溶液が同時に連続的に収得および回収されることを特徴とする脂質ナノ粒子製造システム。
【請求項10】
前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記濃縮部の前記イオン交換チャネルは、前記メイン
流路の上側または下側に配置され、平面上で流体の進行方向に尖部が配置されるようにv字状を有することを特徴とする請求項
9に記載の脂質ナノ粒子製造システム。
【請求項11】
前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記希釈部は、
前記ミキサー部に連結される第1流路と;
前記希釈液を提供する希釈流路と;
前記希釈流路および前記第1流路に連結される希釈空間と;を含むことを特徴とする請求項
9に記載の脂質ナノ粒子製造システム。
【請求項12】
有効成分を含む第1原料と、脂質(lipid)を含む第2原料とを準備する段階と;
前記第1原料と前記第2原料を混合し、前記有効成分を含む脂質ナノ粒子を形成する段階と;
前記脂質ナノ粒子を含む溶液をろ過および個別容器に充填し、最終製品を製造する後処理段階と;を含み、
前記脂質ナノ粒子を形成する段階は、流路が形成された脂質ナノ粒子製造用チップ(chip)上で行われ、
前記第1原料と前記第2原料とを混合し、混合液を形成する混合段階と;
前記混合液を希釈液を用いて希釈する希釈段階と;
希釈された混合液から脂質ナノ粒子を濃縮し、濃縮液を収得する濃縮段階と;を含み、前記混合段階と、前記希釈段階、および前記濃縮段階は、前記脂質ナノ粒子製造用チップの構成要素である1つの基板上で行われ、
前記脂質ナノ粒子製造用チップは、
前記第1原料と前記第2原料を混合し、前記混合液を形成するミキサー部と;
前記ミキサー部と連結され、前記希釈液を用いて前記混合液を希釈する希釈部と;
前記希釈部に連結され、希釈された混合液から前記脂質ナノ粒子を濃縮する濃縮部と;を含み、
前記濃縮部は、前記希釈部と連結されるメイン流路と、前記メイン流路に連結される脂質ナノ粒子収得流路と、前記メイン流路に連結される回収流路と、を含み、
前記濃縮段階では、
前記脂質ナノ粒子収得流路を介して前記濃縮液を収得し、前記回収流路を介して前記濃縮液以外の溶液を回収し、前記濃縮液の収得と前記濃縮液以外の溶液の回収が同時に連続的に行われ
、
前記脂質ナノ粒子形成段階の前記濃縮段階は、
前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記メイン流路に接するイオン交換チャネルに連結されたバッファーソリューションチャネルに電圧を印加して、前記メイン流路内の溶液にイオン過剰区域およびイオン空乏区域を形成することにより、前記有効成分を含む前記脂質ナノ粒子を前記流路内の特定領域に濃縮させることを特徴とする脂質ナノ粒子製造方法。
【請求項13】
前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記濃縮部は、
前記メイン流路に接するイオン交換チャネルと;
前記メイン流路から離隔し、前記イオン交換チャネルと接するバッファーソリューションチャネルと;
をさらに含むことを特徴とする請求項
12に記載の脂質ナノ粒子製造方法。
【請求項14】
前記濃縮段階は、
前記バッファーソリューションチャネルに電圧を印加して、前記メイン流路内の溶液にイオン過剰区域およびイオン空乏区域を形成し、前記有効成分を含む前記脂質ナノ粒子を前記メイン流路内特定領域に濃縮させることを特徴とする請求項
13に記載の脂質ナノ粒子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質ナノ粒子製造用チップ、前記脂質ナノ粒子製造用チップを含む脂質ナノ粒子製造システムおよび脂質ナノ粒子製造方法に関し、より詳細には、mRNAなどの有効成分を含む脂質ナノ粒子を製造するための脂質ナノ粒子製造用チップ、前記脂質ナノ粒子製造用チップを含む脂質ナノ粒子製造システムおよび前記有効成分を含む脂質ナノ粒子製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
mRNA(messenger RNA)は、タンパク質を合成する前の段階の物質であり、遺伝情報を含んでいる。mRNAは、多様な治療剤への接近が可能で、予防用または治療用ワクチンとして活用可能であり、欠如したタンパク質もmRNAを通じて合成が可能である。mRNA治療剤の長所は、DNAと比較して核まで伝達されなくてもよく、誘電体に挿入されるものではないので、永久的な遺伝的病気を誘発しないため、安全性が高い。また、タンパク質治療剤が接近できない細胞内部の欠如したタンパク質までmRNAで合成が可能である。mRNAは、発現するタンパク質によって多様なサイズを有していてもよく、一本鎖で存在する。DNAから作製されたmRNAは、核から細胞質に抜け出て、リボソームに会ってタンパク質を生成する。mRNAは、次世代遺伝子治療剤として脚光を浴びているが、一本鎖であるから、安定性が非常に低くて、血中で核酸分解酵素により迅速に分解され、腎臓を通じて迅速に体外に排泄されるだけでなく、強い陰電荷を呈し、細胞膜を容易に通過しないことが知られている。
【0003】
核酸を含むアニオン性薬物を用いた治療において、安全かつ効率的な薬物伝達技術は、永らく研究されてき、多様な伝達体および伝達技術が開発されてきた。mRNAを脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle)に封入して伝達する方法を用いたmRNAワクチンに関連した研究が多様に行われており、これに関する量産システムの研究が持続している。
【0004】
最近、製薬、ワクチン、DDS(drug delivery system)などの分野においてmRNAを脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle)に封入して伝達する方法が脚光を浴びているが、量産製造において困難がある。大型容器で乱流を発生させて混合、希釈、濃縮するバルク製作方法があるが、製造された脂質ナノ粒子の均一な品質を収得しにくく、製造工程の制御が難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これより、本発明の技術的課題は、このような点に着目されたものであり、本発明の目的は、脂質ナノ粒子を製造するための、脂質ナノ粒子製造用チップを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、前記脂質ナノ粒子製造用チップを含む脂質ナノ粒子製造システムを提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、脂質ナノ粒子製造方法提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の本発明の目的を実現するための一実施形態による脂質ナノ粒子製造用チップは、有効成分を含む第1原料と、脂質(lipid)を含む第2原料とを混合し、混合液を形成するミキサー部と、前記ミキサー部に連結され、希釈液を用いて前記混合液を希釈する希釈部と、前記希釈部に連結され、希釈された混合液から脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticles;LNP)を濃縮し、濃縮液を収得する濃縮部と、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記濃縮部は、前記希釈部に連結されるメイン流路と、前記メイン流路に接するイオン交換チャネルと、前記メイン流路から離隔し、前記イオン交換チャネルと接するバッファーソリューションチャネルと、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液を収得する脂質ナノ粒子収得流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液以外の溶液を回収するための回収流路と、を含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記濃縮部の前記イオン交換チャネルは、前記メイン流路の上側または下側に配置され、平面上で流体の進行方向に尖部が配置されるようにv字状を有していてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子収得流路と前記回収流路は、前記メイン流路より断面積が小さく、互いに平行に配置されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ミキサー部は、前記第1原料が供給される第1原料供給流路と、前記第2原料が供給される第2原料供給流路と、前記第1および第2原料供給流路に連結される混合流路と、を含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記希釈部は、前記ミキサー部の前記混合流路に連結される第1流路と、前記希釈液を提供する希釈流路と、前記希釈流路および前記第1流路に連結される希釈空間と、を含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記有効成分は、核酸であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記有効成分は、mRNA、miRNA、siRNA、DNAおよびCRISPRのうちいずれか1つであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記第1原料は、mRNAおよび水を含み、前記第2原料は、脂質(Lipid)およびエタノールを含み、前記希釈液は、脱イオン水(Deionized water)を含んでもよい。
【0017】
上記した本発明の目的を実現するための一実施形態による脂質ナノ粒子製造システムは、第1原料を供給する第1原料供給部と;第2原料を供給する第2原料供給部と;前記第1原料および前記第2原料を混合するミキサー部と、前記混合液を希釈する希釈部と、希釈された混合液から脂質ナノ粒子を濃縮し、濃縮液を収得する濃縮部と、を含む脂質ナノ粒子製造用チップと;前記脂質ナノ粒子製造用チップに希釈液を提供する希釈液提供部と;前記脂質ナノ粒子製造用チップから前記濃縮液以外の溶液を回収する回収部と;を含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記濃縮部は、前記希釈部に連結されるメイン流路と、前記メイン流路に接するイオン交換チャネルと、前記メイン流路から離隔し、前記イオン交換チャネルと接するバッファーソリューションチャネルと、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液を収得する脂質ナノ粒子収得流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液以外の溶液を回収するための回収流路と、を含んでもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記濃縮部の前記イオン交換チャネルは、前記メイン流路の上側または下側に配置され、平面上で流体の進行方向に尖部が配置されるようにv字状を有していてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記希釈部は、前記ミキサー部に連結される第1流路と、前記希釈液を提供する希釈流路と、前記希釈流路および前記第1流路に連結される希釈空間と、を含んでもよい。
【0021】
上記した本発明の目的を実現するための一実施形態による脂質ナノ粒子製造方法は、有効成分を含む第1原料と、脂質(lipid)を含む第2原料とを準備する段階と、前記第1原料と前記第2原料とを混合し、mRNAを含む脂質ナノ粒子を形成する段階と、前記脂質ナノ粒子を含む溶液をろ過および個別容器に充填し、最終製品を製造する後処理段階と、を含んでもよい。前記脂質ナノ粒子を形成する段階は、流路が形成された脂質ナノ粒子製造用チップ(chip)上で行われ、前記第1原料と前記第2原料とを混合し、混合液を形成する混合段階と、前記混合液を希釈液を用いて希釈する希釈段階と、希釈された混合液から脂質ナノ粒子を濃縮し、濃縮液を収得する濃縮段階と、を含んでもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子形成段階の前記濃縮段階は、前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記流路に接するイオン交換チャネルに連結されたバッファーソリューションチャネルに電圧を印加して、前記流路内の溶液にイオン過剰区域およびイオン空乏区域を形成し、前記有効成分を含む前記脂質ナノ粒子を前記流路内の特定領域に濃縮させることができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子製造用チップは、前記第1原料と前記第2原料とを混合し、前記混合液を形成するミキサー部と、前記ミキサー部に連結され、前記希釈液を用いて前記混合液を希釈する希釈部と、前記希釈部に連結され、希釈された混合液から前記脂質ナノ粒子を濃縮する濃縮部と、を含んでもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記脂質ナノ粒子製造用チップの前記濃縮部は、前記希釈部に連結されるメイン流路と、前記メイン流路に接するイオン交換チャネルと、前記メイン流路から離隔し、前記イオン交換チャネルと接するバッファーソリューションチャネルと、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液を収得する脂質ナノ粒子収得流路と、前記メイン流路に連結され、前記濃縮液以外の溶液を回収するための回収流路と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、脂質ナノ粒子製造用チップ上で脂質ナノ粒子製造のためのミキシング、希釈、濃縮が全て行われるので、脂質ナノ粒子のサイズおよび均一度を制御することが容易で、高品質の脂質ナノ粒子を製造することができる。
【0026】
ただし、本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の思想および領域を逸脱しない範囲で多様に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造システムの概略図である。
【
図2】
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップのミキサー部の多様な例を示す図である。
【
図3】
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの希釈部の多様な例を示す図である。
【
図4】
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部を説明するための図である。
【
図5】
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部の多様な例を示す図である。
【
図6】
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部の一実施形態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部のイオン交換部の形状に応じた流体の流れと濃縮効果を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造方法を示すフローチャート図である。
【
図9】
図8の脂質ナノ粒子製造方法のチップ上でLNPを製造する段階を詳細に示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0029】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかしながら、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物や代替物を含むものと理解すべきである。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造システムの概略図である。
図2は、
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップのミキサー部の多様な例を示す図である。
図3は、
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの希釈部の多様な例を示す図である。
図4は、
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部を説明するための図である。
【0031】
図1~
図4を参照すると、脂質ナノ粒子製造システムは、mRNAを含む第1原料提供部10、脂質(Lipid)を含む第2原料提供部20、希釈液提供部30、脂質ナノ粒子収得部40、第1回収部50、第2回収部60および脂質ナノ粒子製造用チップ100を含む。
【0032】
前記第1原料提供部10は、第1原料を貯蔵し、前記脂質ナノ粒子製造用チップ100に前記第1原料を提供する。前記第1原料は、mRNAを含む溶液であってもよい。例えば、前記第1原料は、mRNAおよび水を含んでもよい。
【0033】
前記第2原料提供部20は、第2原料を貯蔵し、前記脂質ナノ粒子製造用チップ100に前記第2原料を提供する。前記第2原料は、脂質(Lipid)を含む溶液であってもよい。例えば、前記第2原料は、脂質およびエタノールを含んでもよい。
【0034】
前記脂質ナノ粒子製造用チップ100は、前記第1原料および前記第2原料を混合、希釈および濃縮し、mRNAを含む脂質ナノ粒子濃縮液を製造することができる。前記脂質ナノ粒子製造用チップ100は、ミキサー部110、希釈部120および濃縮部130を含む。
【0035】
前記ミキサー部110は、前記第1原料および前記第2原料を混合し、混合液を製造することができる。前記ミキサー部110は、chaotic mixer、herringbone mixerなど一般的にマイクロチャネル(microchannel)内で多用されるマイクロ流体ミキサー(microfluidic mixer)が使用できる。この際、流路内における前記第1原料と前記第2原料のミキシングを通じて2つの流体の界面で脂質とmRNAの自己整合(self align)による脂質ナノ粒子を含む混合液を製造することができる。
【0036】
例えば、前記ミキサー部110は、前記第1原料が供給される第1原料供給流路112と、前記第2原料が供給される第2原料供給流路114と、前記第1および第2原料供給流路に連結される混合流路116とを含んでもよい。前記第1原料供給流路112と前記第2原料供給流路114は、結合点JPで互いに会って、前記第1原料と前記第2原料を混合することができる。
【0037】
前記希釈部120は、前記混合液を希釈することができる。前記希釈部120は、前記ミキサー部110の前記混合流路116に連結される第1流路123と、前記希釈液を提供する希釈流路122と、前記希釈流路122および前記第1流路123に連結される希釈空間124と、を含んでもよい。前記希釈空間124は、ライン形状(
図3の(a)参照)、サーペンタイン形状(serpentine)チャンバー(chamber)形状(
図3の(b)参照)など多様な形態を有していてもよい。前記希釈液提供部30は、前記脂質ナノ粒子製造用チップ100の前記希釈部120の前記希釈流路122を介して希釈液を提供することができる。前記希釈液は、脱イオン水(Deionized water)を含んでもよい。
【0038】
前記ミキサー部110で混合された溶液は、前記第2原料の溶媒、例えば、エタノールを高濃度で含んでいるので、所望の程度の濃度に希釈が必要である。前記希釈部120を通過し、前記エタノールの濃度が所望の程度に低くなりうる。
【0039】
図示していないが、前記希釈部120は、前記ミキサー部110の流路構造内に具現されることもできる。すなわち、ミキサー部と希釈部が順次に構成されたものではなく、同時に具現されるようにミキシング希釈部を構成し、第1原料、第2原料および希釈液が投入される構造も可能である。
【0040】
前記濃縮部130は、前記希釈部120で希釈された混合液から脂質ナノ粒子を濃縮し、濃縮液を収得することができる。前記濃縮部130は、前記希釈部120に連結されるメイン流路132と、前記メイン流路132に接するイオン交換チャネルIMと、前記メイン流路132から離隔し、前記イオン交換チャネルIMと接するバッファーソリューションチャネル134a、134bと、前記メイン流路132に連結され、前記濃縮液を収得する脂質ナノ粒子収得流路136と、前記メイン流路132に連結され、前記濃縮液以外の溶液を回収するための回収流路138a、138bと、を含んでもよい。前記イオン交換チャネルIMは、ナノ多孔性素材で構成された陽イオンまたは陰イオン交換のための電荷を呈するナノチャネルであってもよい。
【0041】
前記濃縮部130では、イオン濃度分極(ICP;ion concentration polarization)現象を用いて100nmまたはそれ以下のサイズの脂質ナノ粒子を分離、濃縮することができる。
【0042】
ICP現象は、イオン交換膜を挟んで両側にチャネルが位置し、チャネル両端に電圧を印加したとき、陽イオン交換チャネルの場合、陽イオンがイオン交換膜に移動しつつ、イオン過剰区域(ion enrichment zone)を形成し、相対的に反対側にイオン空乏区域(ion depletion zone;IDZ)を形成する自然現象をいう。イオン空乏区域は、強い反発力を発生させて、イオン/分子の極性に関係なく、押し出す特徴があり、これを用いて脂質ナノ粒子を分離および濃縮することができる。
【0043】
本実施形態によれば、第1方向D1に沿って流体が流れる前記メイン流路132の第2方向D2の両側にそれぞれバッファーソリューションが流れるバッファーソリューションチャネル134a、134bを形成し、両側のバッファーソリューションチャネル134a、134bに適切な電圧を印加すると、前記イオン交換チャネルIMを介してイオンが移動し、イオン空乏区域(
図7のIDZ参照)が前記第2方向D2に沿って前記メイン流路132の両側に形成されることにより、電子密度の高い(electron dense)コア(core)を有する脂質ナノ粒子が前記メイン流路132の中央に集中し、前記脂質ナノ粒子収得流路136を通過する。すなわち、陽イオン成分は、イオン濃度分極現象のドライビングソース(driving source)として使用され、前記メイン流路132およびイオン交換チャネルIMを経てバッファーソリューションチャネル134a、134bを介してチップ外部に排出される。残存する残りの陽イオン成分は、イオン空乏領域およびイオン空乏領域の境界面に形成される電場に影響を受けて、前記脂質ナノ粒子収得流路136および前記回収流路138a、138bに粒子の性質によって経路が設定され、選択的に移動することができる。
【0044】
これによって、前記脂質ナノ粒子収得流路136を通過する流体には、脂質ナノ粒子の濃度が高くなり、前記回収流路138a、138bには、前記脂質ナノ粒子以外の流体を回収することができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、脂質ナノ粒子製造用チップ100上で、脂質ナノ粒子製造のための混合、エタノールなどの溶媒を希釈するための希釈、脂質ナノ粒子濃度を高めるための濃縮が全て行われ得る。
【0046】
前記イオン交換チャネルIMは、多様な形態を有していてもよく(
図5および
図6参照)、例えば、前記イオン交換チャネルIMは、前記メイン流路132の上側または下側に配置され、平面上でI字状または流体の進行方向に尖部が配置されるようにV字状を有していてもよい。
【0047】
前記回収流路138a、138bの前記第2方向D2への幅の合計は、前記メイン流路132の幅より小さくてもよい。例えば、前記回収流路138a、138bは、前記メイン流路132が3個の流路に分けられ、平行に形成され、全体としてI字状チャネル構造を有していてもよい。前記濃縮部130の占める面積が小さくなり、流路が放射状に形成された構造に比べて、空間集積効率が向上し、流体の流れが向上し、低い電力でも駆動が可能で、生産効率が向上することができる。また、イオン空乏区域を両側で発生させて、流路の一側だけでイオン空乏区域を形成する従来構造に比べて、低い電力消耗で同一または優れた効率を得ることができ、また、電力を調節し、on/off valveとして使用が可能である(
図7の(d)参照)。
【0048】
なお、本実施形態では、1つの脂質ナノ粒子収得流路と2つの回収流路を含み、メイン流路が3つに分岐される構造を説明しているが、これに制限されない。例えば、前記メイン流路は、5つや7つに分岐されてもよく、分岐されたそれぞれの流路のサイズと幅が互いに異なっていてもよい。
【0049】
ここで、前記脂質ナノ粒子製造用チップ100は、知られた多様な方法で製造することができる。例えば、流路に対応するグルーブが形成された複数の基板を積層して形成することができる。例えば、下部基板上にイオン交換チャネルを形成し、下面にグルーブが形成された上部基板を前記下部基板に結合して形成することもできるが、これに制限されない。前記基板の材質も、ガラス基板、プラスチック基板、シリコーン基板など流路パターンの形成が可能な多様な基板が使用でき、流路パターンを形成するために、エッチング方法、レーザー陰刻法、インプリント法、フォトリソグラフィ法など知られた多様な方法が用いられ得る。また、複数の基板の接合も、レーザー接合法、熱圧着法、接着法、ラミネーション法など知られた多様な方法が用いられ得る。
【0050】
本発明によれば、脂質ナノ粒子製造用チップ上で脂質ナノ粒子製造のためのミキシング、希釈、濃縮が全て行われるので(on chip process)、流体が層流(laminar flow)状態に制御され、これによって、脂質ナノ粒子のサイズおよび均一度を制御すること容易で、高品質の脂質ナノ粒子を製造することができる。乱流(turbulence)を制御できないバルク(bulk)サイズの製造方法によれば、微細な流体制御が不可能で、脂質ナノ粒子のサイズおよび均一度を制御しにくい。チップ法を用いる従来脂質ナノ粒子製造方法も、mRNAと脂質の混合(mixing)だけがチップ上で行われ、エタノールなどの有機溶媒を希釈し、脂質ナノ粒子を濃縮するための段階は、全て別途の工程を通じてバルクサイズで進行されるので、本発明と比較して脂質ナノ粒子製造過程の制御が容易でない。
【0051】
特に、マイクロ流体(Microfluidics)チップで製造された初期段階の脂質ナノ粒子が含まれた溶液の場合、製造段階における流量条件、特にAqueous Phaseとエタノールに脂質(Lipid)を溶かしたOrganic Phaseの割合(Flow Rate Ratio)によって特定の濃度のエタノールが必ず含まれている。含まれているエタノールの濃度が初期段階のNanoparticleのLipidに影響を及ぼすことができる不安定な状態であるから、効果的な後工程適用が安定した脂質ナノ粒子の製造に及ぼす影響が大きい。バルクサイズの工程を通じて、初期段階の脂質ナノ粒子がチップ外部に排出され、チュービングラインを介してバルクサイズで希釈されるまで安定性を維持しない場合があるが、本発明の実施形態によれば、脂質ナノ粒子の混合、希釈および濃縮が全てチップ上で進行(on chip process)されるので、このような問題を解決することができる。
【0052】
図5は、
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部の多様な例を示す図である。
【0053】
図5の(a)は、イオン交換チャネルIMが、I字状にメイン流路132が延びる第1方向D1に垂直な第2方向D2に延びた形態を有する場合が示されている。側面上から見ると、前記イオン交換チャネルIMは、前記メイン流路132の下側面上に前記第1および第2方向D1、D2に垂直な第3方向D3に所定の高さを有するように形成されてもよい。
【0054】
なお、前記濃縮部の他の構成は、前述した濃縮部の構成と実質的に同一なので省略する。
【0055】
図5の(b)は、イオン交換チャネルIMがV字状に形成された実施形態、
図5の(c)は、V字状のイオン交換チャネルIM1、IM2が2つ形成された実施形態、
図5の(d)は、I字状のイオン交換チャネルIM1とV字状のイオン交換チャネルIM2が順に形成された実施形態、
図5の(e)は、V字状のイオン交換チャネルIMが複数個形成された実施形態を示す図である。
【0056】
図6は、
図1の脂質ナノ粒子製造システムの脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部の一実施形態を示す図である。
【0057】
図6を参照すると、側面上から見ると、イオン交換チャネルIM1、IM2がメイン流路132の上側面および下側面上に形成された場合であり、イオン空乏区域をより効率的に形成することができる。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部のイオン交換部の形状に応じた流体の流れと濃縮効果を説明するための図である。
【0059】
図7を参照すると、イオン交換膜の形状がI字状である場合より、V字状である場合、濃縮効果が最大化され、電力消耗が減少することを確認できる。
【0060】
図7の(a)は、I字状イオン交換チャネルの流体の流れと濃縮効果を示す図であり、
図7の(b)は、V字状イオン交換チャネルの流体の流れと濃縮効果を示す図である。
【0061】
図7の(c)は、チャネル形状に応じた電力消耗比較実験結果であり、
図7の(d)は、印加電圧/電流に応じて脂質ナノ粒子の濃縮可否を制御(バルブ効果)できることを確認した実験を示す図である。
図7の(e)は、電場の形成に応じた粒子分離方向を変更可能であることを確認した実験を示す図である。
【0062】
図7の(c)~(e)によれば、本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部は、脂質ナノ粒子を濃縮する機能だけでなく、収得する脂質ナノ粒子をオン/オフ バルブ形態で制御することができ、必要に応じて脂質ナノ粒子収得流路だけでなく、回収流路を通じて必要とする粒子を収得するように制御可能である。
【0063】
図8は、本発明の一実施形態による脂質ナノ粒子製造方法を示すフローチャート図である。
図9は、
図8の脂質ナノ粒子製造方法のチップ上で脂質ナノ粒子を製造する段階を詳細に示すフローチャート図である。
【0064】
図8および
図9を参照すると、前記脂質ナノ粒子製造方法は、原料を準備する段階S100と、チップ上で脂質ナノ粒子を製造する段階S200と、後処理段階S300と、を含んでもよい。
【0065】
前記原料を準備する段階S100では、mRNAを含む第1原料と、脂質(lipid)を含む第2原料とを準備することができる。
【0066】
前記チップ上で脂質ナノ粒子を製造する段階S200では、前記第1原料と前記第2原料とを混合し、mRNAを含む脂質ナノ粒子を形成することができる。
【0067】
前記後処理段階S300では、前記脂質ナノ粒子を含む溶液を透析ろ過(Diafiltration)、必要な濃度へのさらなる濃縮および個別容器に充填し、最終製品を製造することができる。
【0068】
この際、前記チップ上で脂質ナノ粒子を製造する段階S200は、流路が形成された脂質ナノ粒子製造用チップ(chip)上で行われ、混合段階S210、希釈段階S220、および濃縮段階S230を含んでもよい。前記脂質ナノ粒子製造用チップ(chip)は、
図1などで説明された脂質ナノ粒子用チップが使用できる。例えば、前記脂質ナノ粒子製造用チップ(chip)は、ミキサー部、希釈部、および濃縮部を含んでもよい。
【0069】
前記混合段階S210では、前記第1原料と前記第2原料とを混合し、混合液を形成することができる。前記混合段階S210は、前記脂質ナノ粒子製造用チップのミキサー部で行われ得る。
【0070】
前記希釈段階S220では、前記混合液を希釈液を用いて希釈することができる。前記希釈段階S220は、前記脂質ナノ粒子製造用チップの希釈部で行われ得る。
【0071】
前記濃縮段階S230は、前記希釈された混合液から脂質ナノ粒子を濃縮し、濃縮液を収得することができる。前記濃縮段階S230は、前記脂質ナノ粒子製造用チップの濃縮部で行われ得る。具体的には、前記濃縮液は、前記脂質ナノ粒子製造用チップの流路に接するイオン交換チャネルに連結されたバッファーソリューションチャネルに電圧を印加して、前記流路内の溶液にイオン過剰区域およびイオン空乏区域を形成することにより、mRNAを含む前記脂質ナノ粒子を前記流路内の特定領域に濃縮させることができる。
【0072】
以上、実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 第1原料提供部
20 第2原料提供部
30 希釈液提供部
40 脂質ナノ粒子収得部
50、60 第1および第2回収部
100 脂質ナノ粒子製造用チップ