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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241015BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023538547
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2022028759
(87)【国際公開番号】W WO2023008420
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2021125975
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521157812
【氏名又は名称】コンプライアンス・データラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】山崎 博史
(72)【発明者】
【氏名】笠井 麻矢子
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0225389(US,A1)
【文献】特開2006-260118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的支配者の情報である支配者情報を提供すべき企業である第1の企業を指定する企業指定情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記企業指定情報を基に特定される、対象とする企業である対象企業を一意に識別可能な企業識別情報の他に、前記対象企業の受益者を表す受益者情報、及び前記受益者による前記対象企業の株の保有比率を表す保有比率情報を少なくとも含む受益者関係情報を有する企業情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報を参照して、想定する指定国の定義による受益率を特定する受益率特定手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報、及び前記受益率特定手段により特定された受益率を基に、前記第1の企業における前記実質的支配者である前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対応する前記受益者関係情報中の少なくとも一部を前記支配者情報として抽出する抽出手段と、
を備え、
前記受益率特定手段は、前記受益者が法人であり、且つ前記指定国の定義から設定される第1の条件を満たしている場合、前記受益者に対応する前記企業情報を参照して、前記受益者である法人に、前記指定国の定義から設定される第2の条件を満たす受益者が存在するか否かを少なくとも確認することにより、前記指定国の定義による受益率を特定する、
報処理装置。
【請求項2】
実質的支配者の情報である支配者情報を提供すべき企業である第1の企業を指定する企業指定情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記企業指定情報を基に特定される、対象とする企業である対象企業を一意に識別可能な企業識別情報の他に、前記対象企業の受益者を表す受益者情報、及び前記受益者による前記対象企業の株の保有比率を表す保有比率情報を少なくとも含む受益者関係情報を有する企業情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報を参照して、想定する指定国の定義による受益率を特定する受益率特定手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報、及び前記受益率特定手段により特定された受益率を基に、前記第1の企業における前記実質的支配者である前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対応する前記受益者関係情報中の少なくとも一部を前記支配者情報として抽出する抽出手段と、
を備え、
前記抽出手段により抽出された前記支配者情報を出力するための出力手段と、
前記対象企業の前記企業識別情報の他に、前記指定国とされる可能性のある国のうちの一つと想定する想定国の公用語である言語により、前記対象企業の名称である企業名、及び前記対象企業の前記受益者の名称である受益者名がそれぞれ表された企業名情報、及び受益者名情報を少なくとも含む国別企業情報を取得可能な第3の取得手段と、をさらに備え、
前記出力手段は、前記企業情報が前記指定国の公用語である言語とは異なる言語で表され、且つ前記指定国が前記想定国のうちの何れかに一致する場合、前記抽出手段により前記受益者が前記実質的支配者と特定された前記第1の企業に対応する前記国別企業情報の少なくとも一部を前記支配者情報とともに出力させる、
報処理装置。
【請求項3】
実質的支配者の情報である支配者情報を提供すべき企業である第1の企業を指定する企業指定情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記企業指定情報を基に特定される、対象とする企業である対象企業を一意に識別可能な企業識別情報の他に、前記対象企業の受益者を表す受益者情報、及び前記受益者による前記対象企業の株の保有比率を表す保有比率情報を少なくとも含む受益者関係情報を有する企業情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報を参照して、想定する指定国の定義による受益率を特定する受益率特定手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報、及び前記受益率特定手段により特定された受益率を基に、前記第1の企業における前記実質的支配者である前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対応する前記受益者関係情報中の少なくとも一部を前記支配者情報として抽出する抽出手段と、
を備え、
提供元が異なる前記企業情報を複数、前記第2の取得手段が取得可能であった場合、前記抽出手段は、複数の前記企業情報のうちから選択する前記企業情報を切り換えて、前記実質的支配者である前記受益者の特定を行うことが可能である、
報処理装置。
【請求項4】
実質的支配者の情報である支配者情報を提供すべき企業である第1の企業を指定する企業指定情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記企業指定情報を基に特定される、対象とする企業である対象企業を一意に識別可能な企業識別情報の他に、前記対象企業の受益者を表す受益者情報、及び前記受益者による前記対象企業の株の保有比率を表す保有比率情報を少なくとも含む受益者関係情報を有する企業情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報を参照して、想定する指定国の定義による受益率を特定する受益率特定手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報、及び前記受益率特定手段により特定された受益率を基に、前記第1の企業における前記実質的支配者である前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対応する前記受益者関係情報中の少なくとも一部を前記支配者情報として抽出する抽出手段と、
を備え、
前記抽出手段は、前記第2の取得手段により取得可能な前記企業情報のうちに、前記実質的支配者である前記受益者の特定に必要な前記企業情報が存在しないことが判明した場合、前記企業情報が不足していることを示す警告情報を生成する、
報処理装置。
【請求項5】
実質的支配者の情報である支配者情報を提供すべき企業である第1の企業を指定する企業指定情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記企業指定情報を基に特定される、対象とする企業である対象企業を一意に識別可能な企業識別情報の他に、前記対象企業の受益者を表す受益者情報、及び前記受益者による前記対象企業の株の保有比率を表す保有比率情報を少なくとも含む受益者関係情報を有する企業情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報を参照して、想定する指定国の定義による受益率を特定する受益率特定手段と、
前記第2の取得手段により取得された前記企業情報、及び前記受益率特定手段により特定された受益率を基に、前記第1の企業における前記実質的支配者である前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対応する前記受益者関係情報中の少なくとも一部を前記支配者情報として抽出する抽出手段と、
を備え、
前記抽出手段は、前記受益者として法人を特定した場合、前記法人を前記受益者として特定した理由を表す特定理由情報を生成する、
報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンチ・マネーロンダリング、及び安全保障貿易管理に関する規制、或いは罰則が世界的に厳格化され、国際的な枠組の下で、日本でも法律が施行されている。その法律により、日本では、金融機関に代表される特定事業者に対し、法人との取り引き時、実質的支配者(UBO:Ultimate Beneficial Ownership)情報を必ず申告させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。このようなことから、顧客が必要とする法人のUBO情報を提供する情報サービス会社が設立されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-36098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報サービス会社は、UBO情報を提供するためのデータベース(DB)を構築し、構築したDBから必要なUBO情報を抽出することにより、サービスとしてUBO情報を提供する。しかし、UBOの定義は、全ての国で同じではない。情報サービス会社が構築したDBは、サービスの提供を想定した国の定義に沿ってUBO情報を抽出できるように設計されており、想定した国とは異なる定義でのUBO情報は適切に抽出できない。このため、従来、DBの想定とは異なる定義でUBO情報を提供する場合、例えばDBから対象法人に係わるレコードの情報(以降「法人情報」)を抽出させ、抽出させた法人情報を従業員に確認させることにより、UBOを特定させるようなことが行われている。
【0005】
通常、DBのレコードは、法人毎に、株主(受益者)分、存在する。そのため、多くの法人では、複数のレコードが存在する。多数のレコードが存在する法人も少なくない。また、UBOの特定には、資本関係を考慮する必要がある。つまり、UBOを特定する場合、対象法人だけでなく、対象法人の株主となっている他の法人、更にはその他の法人の株主となっている別の法人のレコード等も確認する必要がある場合も少なくない。
【0006】
このようなことから、1対象法人のUBOを特定するためには、従業員は、多数のレコードを確認する必要があるのが普通である。そのため、DBで想定されていない定義でのUBOの特定には非常に長い時間を要する場合も少なくないのが実情となっている。
【0007】
そのような不具合から、DBで想定していない定義の国用に、DBを新たに用意するという選択肢が考えられる。しかし、必要な法人の情報収集だけでも膨大なコスト、及び長い時間がともに必要である。そのため、サービスの提供をより早く開始できるようにするうえでも、既存のDBを利用するのが望ましいと考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、既存のDBを利用して、複数の異なる定義で適切なUBO情報を抽出可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の情報処理装置は、実質的支配者の情報である支配者情報を提供すべき企業である第1の企業を指定する企業指定情報を取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段により取得された前記企業指定情報を基に特定される、対象とする企業である対象企業を一意に識別可能な企業識別情報の他に、前記対象企業の受益者を表す受益者情報、及び前記受益者による前記対象企業の株の保有比率を表す保有比率情報、を少なくとも含む受益者関係情報を有する企業情報を取得する第2の取得手段と、前記第2の取得手段により取得された前記企業情報を参照して、想定する指定国の定義による受益率を特定する受益率特定手段と、前記第2の取得手段により取得された前記企業情報、及び前記受益率特定手段により特定された受益率を基に、前記第1の企業における前記実質的支配者である前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対応する前記受益者関係情報中の少なくとも一部を前記支配者情報として抽出する抽出手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、既存のDBを利用して、複数の異なる定義で適切なUBO情報を抽出可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバにより情報サービス会社が提供するサービスの例の概要を説明する図である。
図2】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバによるサービスの提供のために構築されたシステム、及びそのシステムが接続されたネットワーク環境の例を説明する図である。
図3】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】1法人における資本関係の例を示す図である。
図6】1法人により抽出される企業情報の例を説明する図である。
図7A】UBO特定処理の例を示すフローチャートである。
図7B】UBO特定処理の例を示すフローチャートである。
図8】国別企業情報の構成例を説明する図である。
図9】納品されるファイルの内容例を説明する図である。
図10】本発明の情報処理装置の一実施形態の変形例に係るAPサーバによるサービスの提供のために構築されたシステム、及びそのシステムが接続されたネットワーク環境の例を説明する図である。
図11】本発明の情報処理装置の第2一実施形態に係るAPサーバによるサービスの提供のために構築されたシステム、及びそのシステムが接続されたネットワーク環境の例を説明する図である。
図12】本発明の情報処理装置の第2実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図13】第2実施形態におけるUBO特定処理の例を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態におけるUBO特定処理の例を示すフローチャートである(続き1)。
図15】第2実施形態におけるUBO特定処理の例を示すフローチャートである(続き2)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、説明する実施形態は、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本発明の技術的範囲には、様々な変形例も含まれる。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の情報処理装置の第1実施形態に係るAP(APplication)サーバにより情報サービス会社が提供するサービスの例の概要を説明する図である。
【0014】
情報サービス会社SKは、情報提供会社JKと連携し、顧客Cが望む法人のUBO(Ultimate Beneficial Ownership)情報を提供するサービス(以降「本サービス」と表記)を行う。顧客Cは、主に、法律でUBO情報の申告が義務となっている特定事業者である。特定事業者とは、具体的には、金融機関等、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、カジノ事業者、或いは宅地建物取引業者等である。UBOは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者を指し、どのような者が該当するかについては、法人の性質に従って定められている。ここでの法人には、企業等の他に、国、地方公共団体等も含まれる。つまり「法人」は、ここでは個人以外の人を指す意味で用いる。
【0015】
情報提供会社JKは、顧客Cからの依頼を処理し、情報サービス会社SKにUBO情報の抽出を依頼する。その依頼により、情報サービス会社SKは、指定された法人(以降「対象法人」と表記)のUBOの特定を行い、その特定結果を情報提供会社JKに商品として納品する。情報提供会社JKは、その特定結果を顧客Cに納品する。このようなことから、情報提供会社JKは、フロントエンドのように機能し、情報サービス会社SKは、バックエンドのように機能する。
【0016】
特定されるUBOは、厳密にはUBOの候補である。ここでは、特に断らない限り、UBOはUBOの候補を指す意味で用いる。
情報提供会社JKには、企業情報DB(Data Base)KJ、及び国別企業情報DBKKが構築されたストレージSTが用意されている。このストレージSTは、企業情報DBKJ、及び国別企業情報DBKKの保存に十分な容量を備えたものである。その容量を複数のストレージSTにより確保するようにしても良い。つまり、ストレージSTの数、各ストレージSTの容量等は、特に限定されない。
【0017】
企業情報DBKJは、例えばUBO情報を提供する情報会社から提供された既存のDBであり、UBO情報の抽出が可能なように構築されている。その情報会社は、例えば欧州でサービスを提供する会社であり、企業情報は例えば英語で表現されている。UBOの定義も欧州に沿ったものである。
【0018】
この情報会社は、全世界の法人を対象に、法人の情報を標準化し、標準化した情報に企業コードを割り当て、それらをまとめて1レコードに格納させている。各レコードには、UBO情報の提供を可能にするために、対応する法人の1株主(受益者)に係わる情報も格納されている。それにより、企業情報DBKJには、法人毎に、株主分のレコードが存在している。以降は、1レコードに格納された情報群を「企業情報」と表記する。その企業情報中の企業コードは、法人を一意に識別可能な識別情報である。
【0019】
国、地方公共団体、及び上場企業等では、他の法人とは異なり、個人(代表者等)の本人特定事項のみを確認すれば良いものとなっている。このことから、実質的に、申告が求められているのは、国、地方公共団体、及び上場企業等とは別に分類される法人である。その法人は主に企業である。企業情報DBKJの1レコードに格納されている情報群を「企業情報」と呼称するのは、そのためである。
【0020】
企業等は、随時、新たに設立されるだけでなく、設立されていた企業等が消滅する場合もある。名称、住所、或いはリーダー(CEO(Chief Executive Officer)、CFO(Chief Financial Officer)等)も随時、変更される。情報会社は、このような企業等の設立、消滅、或いは各種変更等に対応し、企業情報DBKJの更新を行う。このこともあり、企業情報DBKJは、信頼性の高いDBとなっている。
【0021】
顧客Cは、UBO情報の提供を依頼する場合、例えばUBO情報の提供を望む対象法人のリストを作成し、そのリストが格納されたファイルF1を情報提供会社JKに送付する。そのファイルF1のリストは、例えば法人毎に、法人名、住所、及び企業コードが情報として入力されるのを想定したものである。企業コードは、企業情報DBKJに用いられている企業コードである。そのため、顧客Cには、対象法人毎に、法人名、及び住所の入力、或いは企業コードの入力を求めている。
【0022】
法人名が同じ法人が複数、存在する可能性がある。同様に、複数の法人が同じ住所を登録させている場合もあり得る。このことから、企業コードが入力されない場合、法人名、及び住所は入力が必須の情報となる。それにより、法人名、及び住所の組、企業コードは何れも、本実施形態における企業指定情報に相当する。
【0023】
情報提供会社JKの従業員は、受信されたファイルF1を確認し、企業コードが入力されていない法人の企業コードを特定し入力する。そのようにして企業コードが入力されたファイルF1が、情報サービス会社SKに送信され、UBO情報の抽出が依頼される。UBO情報の抽出を可能にするために、情報提供会社JKは、企業コードをキーとした企業情報DBKJに対する検索を行い、その企業キーを格納したレコード、つまり企業情報を少なくとも抽出する。抽出した企業情報を参照し、更にUBO情報の抽出に必要と予想される企業情報を抽出する場合もある。この企業情報の抽出は、資本関係を考慮して行われるものである。このようにして抽出された企業情報は、ファイル化され、ファイルF3としてファイルF1とともに情報サービス会社SKに送信される。
【0024】
なお、ファイルF3中の企業情報は、例えばファイルF1にまとめても良い。つまり、UBO情報の抽出を依頼する際に情報提供会社JKから情報サービス会社SKに送信するファイルは、ファイルF1の一つのみとしても良い。
【0025】
情報サービス会社SKは、ファイルF1、F3を参照し、顧客Cが指定した対象法人のUBOを特定し、特定したUBOのUBO情報を抽出する(ステップS1)。抽出されたUBO情報は、ファイルF4としてまとめられる。
【0026】
企業情報DBKJは、例えば欧州でのUBOの定義に沿ったものである。企業情報中のUBOの判定に用いる情報の一部は、日本のような別の国の定義では不適切な内容となる可能性がある。このことから、日本の定義に沿ってのUBOの特定では、日本では不適切な内容となっている情報は、日本の定義に沿ってその内容が確認される。そのようにして、企業情報DBKJに格納されている企業情報中の日本の定義に沿う情報はそのまま参照しつつ、定義に沿わない情報はその内容を確認し、その確認結果をUBOの特定に用いるようにしている。このため、日本の定義に沿って作成されていない企業情報DBKJを参照して、日本の定義に沿ったUBOの特定を行うことができる。企業情報DBKJを用いて、日本の定義に沿ったUBOの特定を行う場合、日本が指定国に相当する。
【0027】
企業情報DBKJは、既存のDBである。そのような企業情報DBKJを利用することで、その企業情報DBKJのようなDBを新たに作成する場合と比較し、本サービスの提供のために必要なコスト、及び時間はともに大幅に抑えられる。企業情報中に日本の定義に沿っていない情報があっても、その定義に沿っていない情報の内容を確認することにより、UBOの特定は適切に行うことができる。企業情報で採用された定義、及び日本の定義の何れとも異なる部分がある定義に沿ったUBOの特定も、同様に行うことができる。企業情報で採用されている定義に沿ったUBOの特定は、企業情報を参照して行うことができる。このことから、必要な情報の内容を確認し、企業情報DBKJのような既存のDBを利用することは、既存のDBの利用範囲をより広げ、より幅広いサービスの提供を実現させるうえで有効である。
【0028】
企業情報DBKJに使用されている言語は英語である。日本語では、1つの英語表現に複数の日本語表現が存在する場合が多い。例えば個人名で用いられる「ひろし」は、ひらがなの他に、漢字でも表現される。漢字表現は数多く存在する。その漢字表現としては、例えば「浩」「宏」「博」「寛」「洋」「浩志」「弘司」等がある。読みが同じであっても使用される漢字が異なる人は、別人である。このようなこともあり、本サービスでは、日本の定義に沿ってUBOを特定する場合、日本語でのUBO情報の提供に対応させている。国別企業情報DBKKは、そのための辞書として用意されたDBである。ここでは、言語は、特に断らない限り、国の公用語である言語を指す意味で用いる。
【0029】
国別企業情報DBKKを辞書として利用し入力される情報としては、法人名、個人名、及び住所等がある。ここでは、理解を容易とするために、入力される情報はこの3つのみと想定する。住所は、他の2つとは異なり、1英語表現に1日本語表現が対応することも多い。しかし、本サービスでは、顧客Cの利便性を考慮し、住所も日本語で提供するようにしている。
【0030】
なお、国別企業情報DBKKは、基本的に、本サービスを提供する国に応じて用意すれば良いものである。これは、その国の言語(公用語)の表現でUBO情報の提供が望まれるケースが大部分であるからである。しかし、外国企業が顧客Cであった場合、日本語以外の言語でのUBO情報の提供を望むことも考えられる。日本語の他にも、1つの英語表現に対して複数の表現が存在することの多い言語(例えば北京語)が存在する。このことから、日本語以外の言語の国別企業情報DBKKを用意して、その言語でのUBO情報の提供に対応可能にしても良い。日本語を含め、1つの英語表現に対して複数の表現が存在することの多い言語を公用語とする国は、想定国か、或いは想定国の候補である。
【0031】
国別企業情報DBKKは、例えば法人毎に、その法人の名称、及びその法人の各株主の名称等が対応する言語表現の情報で1レコードにまとめられたものである。そのレコードには、法人を一意に特定可能なように企業コードも格納されている。ここでは、1レコードに格納された情報群を「国別企業情報」と表記する。また、想定する言語は「対象言語」と表記する。なお、国別企業情報DBKKの構成は、特に限定されるものではない。例えば各株主の情報がそれぞれ1レコードに格納されたものであっても良い。
【0032】
ファイルF4の作成は、UBOの候補となる個人、或いは法人が特定されたことを意味する。個人は、対象法人か、或いはその対象法人と資本関係のある別法人の株主である。ファイルF4の作成後、情報サービス会社SKは、対象法人の企業コード、更には別法人の企業コードを情報提供会社JKに送信し、送信した企業コードに対応する国別企業情報の提供を要求する(ステップS2)。対象言語の特定用に、国コード、或いは情報提供会社JKから情報サービス会社SKに依頼時に通知される、その依頼に割り当てられた識別用コード等も併せて送信される。
【0033】
この要求により、情報提供会社JKは、情報サービス会社SKから受信した企業コードを用いた国別企業情報DBKKの検索を行うことにより、その企業コードを格納した国別企業情報を抽出する。抽出された国別企業情報は、ファイル化され、ファイルF5としてを情報サービス会社SKに提供される。
【0034】
情報サービス会社SKは、このようにして提供されたファイルF5を保存する(ステップS2)。このファイルF5の受信、及び保存も、ステップS2に含まれる。
情報サービス会社SKは、ファイルF4、F5を参照して、法人名、及び個人名のそれぞれに対応する対象言語表現の特定を行い、特定した対応関係の確認、及び修正を従業員に行わせるための画面を生成する。それにより、従業員に対し、自動的に対応付けた対象言語表現の法人名、及び個人名が適切か否かの確認、更には適切でないと判断した箇所の修正を行わせる。そのような確認作業により、法人名、及び個人名が確定される。その確定結果がファイル化され、ファイルF6として作成される(以上ステップS3)。なお、対象言語表現の特定は、周知の機械翻訳技術、及び自然言語処理の技術を用いて行うことができる。
【0035】
作成されたファイルF6は、顧客Cに提供するUBO情報のうちの一部である。情報サービス会社SKは、ファイルF6の内容をファイルF4に反映、つまり合成する(ステップS4)。その合成結果が、顧客Cに納品するファイルF2となり、情報サービス会社SKから情報提供会社JKに納品される。なお、実際には、ファイルF2は、納品されるまでの間に各種チェックが行われる。つまり、ファイルF2は、各種チェックを経て、情報サービス会社SKから情報提供会社JKに納品される。
【0036】
情報提供会社JKは、情報サービス会社SKから送信されたファイルF2を顧客Cに納品する。
このように、本サービスでは、顧客CがファイルF1で指定した各対象法人のUBO情報の提供が依頼された場合、企業情報DBKJ中の企業情報を参照し、対象法人のUBOを特定する。更に必要に応じて、UBOの特定結果を用いて国別企業情報DBKK中の国別企業情報を参照し、UBO情報を対象言語化する。そのようにして、本サービスでは、欧州とは異なる定義に沿ってUBOを適切に特定するとともに、顧客Cにとって望ましい言語でUBO情報を提供する。
【0037】
なお、情報サービス会社SKは、情報提供会社JKから、必要な企業情報、及び国別企業情報を取得するようになっているが、企業情報DBKJ、及び国別企業情報DBKKのうちの少なくとも一方を情報サービス会社SKに保管させても良い。UBO情報が必要な対象法人は、ファイルF1にリストの形で指定させるのではなく、情報提供会社JKが送信する画面(Webページ)上で指定可能なようにしても良い。その画面では、UBOの特定で想定する国を指定できるようにして、複数の国に対応させるのが望ましい。また、情報提供会社JKではなく、顧客Cに対して直接、本サービスを提供するようにしても良い。このようなことを含め、本サービスの提供方法には、様々な変形が可能である。
【0038】
以降は、図2図9を参照しつつ、図1に例示する本サービスの実現方法について詳細に説明する。
図2は、本発明の情報処理装置の第1実施形態に係るAPサーバによるサービスの提供のために構築されたシステム、及びそのシステムが接続されたネットワーク環境の例を説明する図である。
【0039】
情報サービス会社SKには、図2に示すように、本実施形態に係るAPサーバ1と端末2とを例えばLAN(Local Area Network)により接続させたシステムが構築されている。情報提供会社JKには、Webサーバ3と端末4とを例えばLANにより接続させたシステムが構築されている。情報サービス会社SK、及び情報提供会社JKともに、端末2、4は従業員等が使用する端末であり、通常、複数台、存在する。ここでは便宜的に1台のみ示している。
なお、APサーバ1は、クラウドサービスにより提供されるものであっても良い。このこともあり、APサーバ1の所有者、及びその設置場所等は、特に限定されるものではない。これは、後述するWebサーバ3でも同様である。
【0040】
Webサーバ3は、顧客Cからのリクエストとして送信される依頼を処理するサーバであり、ネットワークNと接続されている。そのネットワークNには、各顧客Cで使用される端末5が接続可能である。それにより、顧客Cは、ネットワークNを介して端末5をWebサーバ3に接続させ、Webサーバ3が提供するサービスを利用する。以降、混乱を避けるために、各端末2、4及び5は、それぞれ「処理側端末2」「受付側端末4」及び「顧客側端末5」と表記する。何れの端末も使用するのは従業員のみと想定する。
【0041】
処理側端末2は、図1にステップS3として示す確認作業に使用するのが可能な情報処理装置である。受付側端末4は、顧客Cから法人名、及び住所で指定された対象法人に割り当てられている企業コードの特定、及び入力等に使用するのが可能な情報処理装置である。顧客側端末5は、ネットワークNを介して提供される各種サービスの利用を可能にする情報処理装置である。それらは何れも、例えばPC(Personal Computer)、或いはタブレットPC等の通信機能を備えた情報処理装置である。
【0042】
情報サービス会社SKと情報提供会社JKとは、例えば専用回線により接続されている。専用回線で接続させる場合、情報サービス会社SK、及び情報提供会社JKともに、専用回線を介した通信を可能にするノードが存在する。図2では、便宜的に、そのようなノードは示していない。ここでは、Webサーバ3とAPサーバ1とは、情報提供会社JK、及び情報サービス会社SKのそれぞれで敷設されているLAN等を介して接続されるものと想定する。
【0043】
Webサーバ3が提供するサービスを利用する場合、顧客側端末5から、ファイルF1とともに、UBO情報の提供を依頼するコマンドがWebサーバ3に送信される。この送信は、例えば顧客側端末5からの要求によりWebサーバ3から送信される依頼受け付け用の画面(Webページ)上の操作により行われるようにしても良い。その場合、例えば顧客側端末5を使用する従業員に、ファイルF1をその画面上に添付させた後、UBO情報の提供を指示するボタンをクリック操作させるようにしても良い。つまり、そのクリック操作により、添付されたファイルF1、及びUBO情報の提供を依頼するコマンドを顧客側端末5から送信させるようにしても良い。なお、このようなサービスの依頼方法は、1例であり、その依頼方法は特に限定されるものではない。依頼方法は、例えばメール、或いはファイル転送サービス等を用いたものであっても良い。
【0044】
Webサーバ3は、顧客側端末5からコマンドとともにファイルF1を受信した場合、その旨を受付側端末4に通知し、ファイルF1をアクセス可能に公開する。それにより、Webサーバ3は、何れかの受付側端末4を使用する従業員に対し、ファイルF1の内容確認、及び必要な企業コードの入力を求める。この結果、顧客Cから受信されたファイルF1は、内容確認が行われ、必要な企業コードが入力されたものに必要に応じて更新される。
【0045】
企業情報DBKJ、及び国別企業情報DBKKは、Webサーバ3が搭載、或いは接続されたストレージに保管されている。このことから、Webサーバ3は、ファイルF1の内容確認が行われた後、企業コードをキーとした企業情報DBKJの検索を行い、UBOの特定に必要な企業情報を抽出する。資本関係を考慮し、抽出した企業情報中で株主として示されている法人の企業コードをキーとした企業情報DBKJの検索も必要に応じて行い、更に企業情報を抽出する。抽出した企業情報はファイルF3としてまとめられ、UBO情報の抽出を依頼するコマンドとともに、Webサーバ3からAPサーバ1に送信される。ファイルF3の他に、企業コードが入力されているファイルF1、及びUBOを特定するうえで想定する国である指定国を表す国コードもAPサーバ1に送信される。
【0046】
対象法人の企業コードをキーとして企業情報DBKJから抽出される企業情報は、欧州の定義に沿ったUBOの特定を可能にする。このため、その企業情報中の株主として示さされている法人の企業コードにより更に抽出される企業情報、つまり資本関係に着目して更に抽出される企業情報は、欧州の定義に沿ったUBOの特定には不要な情報となる。しかし、欧州以外の指定国、例えば日本の定義に沿ったUBOの特定には、必要な情報である。このことから、本サービスでは、資本関係から特定された別法人の企業コードによる企業情報の抽出も行われる。
【0047】
国によるUBOの定義の相違は、資本関係に係わるもの以外にも存在する。例えば企業でUBOとされる個人は、欧州では株の保有比率が25%以上という条件を満たす個人である。しかし、米国では、その保有比率が25%超という条件を満たす個人である。UBOを適切に特定するためには、このような定義の相違にも対応させる必要がある。
【0048】
APサーバ1は、ファイルF1、及びF3を参照し、対象法人のUBOの候補を特定する。UBOの候補として特定した個人が対象法人以外の法人の株主であった場合、その個人が株主となっている法人の企業コードも併せて特定される。APサーバ1は、UBOの特定結果をファイルF4として保存するとともに、抽出した企業コードを例えば国コードとともにWebサーバ3に送信し、企業コード、及び国コードに対応する企業コードの提供を要求する。
【0049】
この要求により、Webサーバ3は、受信した企業コードをそれぞれキーとした国別企業情報DBKKの検索を行い、APサーバ1が要求した国別企業情報を抽出する。検索の対象となる国別企業情報DBKKは、国コードによって指定されるものである。Webサーバ3は、そのようにして抽出した国別企業情報をファイルF5にまとめてAPサーバ1に送信する。
【0050】
APサーバ1は、ファイルF4、F5の各内容を企業コードで対応付け、対象法人の名称、更にはUBOと特定した法人、或いは個人の名称とする指定国の言語表現を特定する。次にAPサーバ1は、その特定結果、及びファイルF4、F5の各内容の一部を用いて、各名称の確認、及び修正のためのファイルF6を作成し、作成したファイルF6を用いて、確認作業用の画面(Webページ)を作成する。その作成後、APサーバ1は、例えば処理側端末2を使用する従業員に対し、各名称の確認作業のための処理を行う。
【0051】
その処理により、確認作業用の画面へのアクセスが可能になるとともに、各名称の確認作業が必要な依頼の存在が処理側端末2を使用する従業員に通知される。この結果、確認作業が可能な従業員により、確認作業が行われ、その確認作業の内容に応じて、ファイルF6が更新される。
【0052】
そのようにしてファイルF6が更新された後、APサーバ1は、更新後のファイルF6の内容をファイルF4に合成する。その合成により、ファイルF4は、指定国の言語でUBO情報が表現されたファイルF2に更新される。そのファイルF2は、更に別の従業員、例えばファイルF2を納品するか否かを判断する権限を有する従業員のチェックを受けた後、APサーバ1からWebサーバ3に送信される。それにより、顧客Cには、そのファイルF2がWebサーバ3を介して送信されることとなる。
【0053】
図3は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。次に図3を参照し、APサーバ1のハードウェア構成例について具体的に説明する。なお、この構成例は1例であり、APサーバ1のハードウェア構成はこれに限定されない。
【0054】
APサーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0055】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、或いは/及び記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。APサーバ1として機能させるアプリケーション・プログラム、つまり本サービスの提供用に開発されたアプリケーション・プログラムは、例えば記憶部18に記憶されている。そのアプリケーション・プログラムをCPU11がRAM13に読み出して実行することにより、APサーバ1は、Webサーバ3からの依頼に対応することができる。
【0056】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。そのデータには、CPU11が実行する各種プログラムも含まれる。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0057】
出力部16は、例えば液晶等のディスプレイを含む構成である。出力部16は、CPU11の制御により、各種画像を表示する。出力部16は、APサーバ1に搭載されたものであっても良いが、必要に応じて接続されるものであっても良い。つまり、出力部16は、必須の構成要素ではない。
【0058】
入力部17は、例えばキーボード等の各種ハードウェア釦等を含む構成である。その構成には、マウス等のポインティングデバイスが1つ以上、含まれていても良い。操作者は、入力部17を介して各種情報を入力することができる。この入力部17も、APサーバ1に搭載されたものであっても良いが、必要に応じて接続されるものであっても良い。つまり、入力部17も、必須の構成要素ではない。
【0059】
記憶部18は、例えばハードディスク装置、或いはSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。データ量の大きいデータは、この記憶部18に記憶される。
通信部19は、LANを介したWebサーバ3、及び処理側端末2との間の通信を可能にする。
【0060】
ドライブ20は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリカード等のリムーバブルメディア25を着脱可能な装置である。ドライブ20は、例えば装着されたリムーバブルメディア25からの情報の読み取り、及びリムーバブルメディア25への情報の書き込みが可能である。それにより、リムーバブルメディア25に記録されたプログラムは、ドライブ20を介して、記憶部18に記憶させることができる。また、ドライブ20に装着されたリムーバブルメディア25は、記憶部18に記憶されている各種データのコピー先、或いは移動先として用いることができる。
【0061】
このようなAPサーバ1が備えるハードウェア資源は、アプリケーション・プログラムを含む各種プログラムによって制御される。その結果、APサーバ1は、Webサーバ1からの依頼を処理し、指定国の定義によるUBOの特定、並びに指定国の言語表現でのUBO情報の提供を行うことができる。各種プログラムには、OS(Operating System)が含まれる。本サービスを提供するためのアプリケーション・プログラムは、そのOS上で動作する。
【0062】
本サービス用に開発されたアプリケーション・プログラムは、リムーバブルメディア25に記録させて配布しても良い。インターネット等のネットワークを介して配布可能にしても良い。このことから、アプリケーション・プログラムを記録した記録媒体としては、ネットワークに直接的、或いは間接的に接続された情報処理装置に搭載、若しくは装着されたものか、或いは外部のアクセス可能な装置に搭載、若しくは装着されたものであっても良い。以降、このアプリケーション・プログラムは、他と区別するために「開発アプリケーション」と表記する。
【0063】
Webサーバ3としては、APサーバ1のハードウェア構成と基本的に同じものを採用することができる。そのため、ここでの詳細な説明は省略する。ただし、Webサーバ3を構成する記憶部として、企業情報DBKJ、及び国別企業情報DBKKを格納するうえで十分な容量のストレージSTが搭載されている必要がある。そのストレージSTは、Webサーバ3に接続されたものであっても良い。ここでは、ストレージSTはWebサーバ3に搭載されているものとする。また、通信部は、ネットワークNを介した通信を可能にするものと、APサーバ1との通信を可能にするものとの2つは備える必要がある。
【0064】
図4は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。次に図4を参照しつつ、APサーバ1上に実現される機能的構成の例について詳細に説明する。
【0065】
APサーバ1のCPU11上には、機能的構成として、図4に示すように、振分部111、依頼処理部112、UBO特定部113、情報要求部114、情報入力部115、合成部116、及び出力処理部117が実現されている。これらは、上記開発アプリケーションを含む各種プログラムをCPU11が実行することにより実現される。その結果として、記憶部18には、条件情報格納部181、中間結果格納部182、及び特定結果格納部183が情報格納用に確保されている。
【0066】
振分部111は、通信部19との間でデータの授受を行い、通信部19から入力したデータを渡すべき出力先を特定し、特定した出力先にデータを渡す。データを渡す出力先は、依頼処理部112、情報要求部114、情報入力部115、及び出力処理部117のうちの何れかである。振分部111がデータを渡すべき出力先に渡す結果、そのデータの処理に必要な機能が動作する。
【0067】
依頼処理部112は、Webサーバ3から送信されるUBO情報の抽出の依頼を処理する。その依頼とともに送信されるファイルF1、F3、及び国コードも、振分部111から依頼処理部112に渡される。これらファイルF1、F3、及び国コードは依頼処理部112からUBO特定部113に渡される。この依頼処理部112は、本実施形態における狭義の第1の取得手段、及び第2の取得手段に相当する。
【0068】
UBO特定部113は、ファイルF1、F3を参照し、ファイルF1で指定された対象法人毎に、国コードが表す指定国の定義に沿ってUBOを特定する。UBOの特定のために、UBO特定部113は、記憶部18に確保された条件情報格納部181に格納されている条件情報を参照する。この条件情報は、国別、或いは定義別に用意される情報であり、想定する各国が定義するUBOの条件等の内容を表している。それにより、条件情報を参照するUBO特定部113は、実際には欧州、及び日本以外の国の定義に沿ったUBOの特定も可能になっている。国コードは、条件情報のうちで参照すべき条件情報の特定に用いられる。このUBO特定部113は、本実施形態における受益率特定手段、及び抽出手段に相当する。
【0069】
図5は、1法人における資本関係の例を示す図である。図6は、1法人により抽出される企業情報の例を説明する図である。図6に示す企業情報の例は、図5に示す資本関係を有する1法人を対象法人とする場合のものである。ここで、図5、及び図6を参照して、指定国が日本であった場合に、UBO特定部113によるUBOの特定方法について具体的に説明する。
【0070】
図5に示す例では、久喜株式会社(英語表記:Kuki Corp.)が対象法人Tである。その久喜株式会社に直接、資本を投入している株主として、「埼玉 一郎」(英語表記:Ichiro Saitama)、「古河商事株式会社」(英語表記:Koga Corp.)、及び「千葉 二郎」(英語表記:Jiro Chiba)が存在している。図5では、「埼玉 一郎」をP1、「古河商事株式会社」をC2、及び「千葉 二郎」をP3(英語表記:Jiro Chiba)で表している。それら株主の直接保有比率は、それぞれ、30%、30%、及び40%である。
【0071】
古河商事株式会社の株主として、「東京 太郎」(英語表記:Taro Tokyo)が存在する。その株主の直接保有比率は、60%である。
このような資本関係が存在する対象法人では、図6に示すように、計5つの企業情報が抽出される。図6において、上の4つは何れも、欧州の定義に沿ってUBOを特定する場合に抽出される企業情報である。最も下に位置する企業情報は、日本の定義に沿ってUBOを特定するために抽出された企業情報である。
【0072】
図6では、企業情報のうちでUBOの特定に特に重要な部分を抜粋して示している。抜粋した部分には、図6に示すように、企業コード(図中の英語表記:Corp NO.)、社名(法人名)(図中の英語表記:Business Name)、株主名(図中の英語表記:Shareholder)、株主の企業コード(図中の英語表記:Benef No.)、直接保有比率(図中の英語表記:Direct%)、間接保有比率(図中の英語表記:Indirect%)、実際の保有比率(図中の英語表記:Act%)、受益率(図中の英語表記:Beneficial%)、及び受益者インジケーター(図中の英語表記:Beneficial Indicator)の各情報が含まれる。これらの情報において、企業コードは、本実施形態における企業識別情報に相当する。また、株主名、及び株主の企業コードは、本実施形態における受益者情報に相当する。この受益者情報は以降「株主情報」とも表記する。
【0073】
直接保有比率、間接保有比率、及び実際の保有比率は何れも、UBOの特定、或いは受益率の算出に用いられる情報であり、本実施形態における保有比率情報に相当する。受益率、及び受益者インジケーターもUBOの特定に用いられる情報である。これら、或いは受益率は、本実施形態における受益率情報に相当する。受益者インジケーターは、受益者である株主がUBOになり得るか否かを表す情報である。図6中に表記の「True」「False」はそれぞれ、UBOになり得る、UBOになり得ない、を表している。受益者情報、及び保有比率情報は全て、本実施形態における受益者関係情報に相当する。本実施形態における企業情報には、受益者関係情報の他に、企業識別情報、受益率情報、株主名、及びその他が含まれる。
【0074】
古河商事株式会社の株主である「東京 太郎」は、図5に示すように、久喜株式会社の直接の株主ではない。しかし、「東京 太郎」は、古河商事株式会社を通して、久喜株式会社との間に資本関係が存在する。このため、図6に示すように、「東京 太郎」は、久喜株式会社の受益者と見なされ、企業情報が抽出されている。
【0075】
「東京 太郎」を受益者とする企業情報では、直接保有比率、間接保有比率、及び実際の保有比率は全て0%か、或いはそれらの情報は全て存在しない。しかし、久喜株式会社の株を所有する古河商事株式会社に資本を投入していることから、受益率として、古河商事株式会社での直接保有比率、及びその古河商事株式会社の久喜株式会社に対する直接保有比率から算出された18%が存在している。
【0076】
この18%という数値は、欧州での定義(基準)により算出されたものである。その数値の算出方法は、日本の定義(基準)とは異なる。つまり、この例での欧州基準では、古河商事株式会社の久喜株式会社に対する直接保有比率、及び「東京 太郎」の古河商事株式会社に対する直接保有比率を用いて
受益率=久喜株式会社に対する直接保有比率×古河商事株式会社に対する直接保有比率
=30% × 60% = 18%
により算出される。これに対し、日本基準では
受益率=久喜株式会社に対する直接保有比率 × 100%
= 30% × 100% = 30%
により算出される。
【0077】
法人の株の50%超を所有する個人は、理論的に、その法人における意思決定を自ら行うことができる。このことから、日本基準では、個人が株の50%超を所有する法人は、その個人が全ての株を所有しているものと見なし、直接保有比率が実質的に100%であるとして、受益率を算出するようにしている。それにより、実質的な直接保有比率を採用しない欧州基準とは、日本基準で算出される受益率は基本的に一致しない。
【0078】
上記のように受益率を算出する日本基準では、個人ではUBOと見なされる法人の資本関係を辿り、その法人に直接、或いは間接的に資本を投入している法人の受益者を確認する必要がある。図6の最も下に位置する企業情報、つまり古河商事株式会社の企業情報は、そのために実際に抽出された企業情報である。この企業情報を参照することにより、「東京 太郎」の久喜株式会社における実際の受益率を確認することができる。
【0079】
図7A、及び図7Bは、UBO特定処理の例を示すフローチャートである。このUBO特定処理は、1対象法人のUBOの特定のためにUBO特定部113によって実行される部分を抽出して、その部分の処理の流れの例を表したものである。ここで図7A、及び図7Bを参照し、UBO特定処理について詳細に説明する。処理を実行する主体としてはUBO特定部113を想定する。
【0080】
本サービスでは、UBOの法人への一般的に予測される影響力の強さから複数のカテゴリに分け、UBOを特定するとともに、そのUBOが属するカテゴリも併せて特定するようにしている。図7A、及び図7Bでは、影響力が最も強いUBOのカテゴリは「第1順位」、次に影響力が強いUBOのカテゴリは「第2順位」、影響力が最小のUBOのカテゴリは「第4順位」とそれぞれ表記している。
【0081】
指定国が日本であった場合、第1順位は、例えば株の保有比率が50%超となっているUBOが分類される。第2順位は、例えば株の保有比率が25%超であり、且つ50%以下となっているUBOが分類される。第4順位には、例えば株の保有比率が25%超の第1順位に分類されるUBOが存在しない法人の代表者がUBOとして分類される。何れのカテゴリも、対象法人の株を直接、保有していない個人、或いは法人がUBOとされる場合がある。
【0082】
先ず、ステップS11では、UBO特定部113は、指定国に対応する条件情報を条件情報格納部181から読み出し、UBOを特定するうえでの条件α~γを設定する。設定される条件αは、第1順位と分類するUBOが満たすべき条件である。条件βは、第2順位と分類するUBOが満たすべき条件である。条件γは、第2順位以上に分類するUBOが満たすべき条件である。それにより、条件γは、条件βで下限となる条件である。本実施形態では、条件γが第1の条件に相当し、条件αが第2の条件に相当する。
【0083】
ステップS11に続くステップS12では、UBO特定部113は、ファイルF3を参照して、対象法人の株を所有する個人を対象に、各個人の保有比率を特定する。特定される保有比率は、例えば直接保有比率、間接保有比率、及び実際の保有比率である。
次に移行するステップS13では、UBO特定部113は、条件αを満たす個人が存在するか否か判定する。条件αを満たす個人、例えば株の何れかの保有比率が50%超となっている個人が存在する場合、ステップS13の判定はYESとなってステップS14に移行し、その個人を第1順位に決定する。その後、ステップS15に移行する。一方、そのような個人が存在しない場合、ステップS13の判定はNOとなってステップS15に移行する。
【0084】
ステップS15では、UBO特定部113は、条件βを満たす個人が存在するか否か判定する。その条件βを満たす個人、例えば株の何れかの保有比率が50%以下であり、且つ25%超となっている個人が一人以上、存在する場合、ステップS15の判定はYESとなってステップS16に移行し、条件βを満たす全ての個人を第2順位に決定する。その後、ステップS17に移行する。一方、そのような個人が存在しない場合、ステップS15の判定はNOとなって、そのステップS17に移行する。
【0085】
ステップS17では、UBO特定部113は、ファイルF3を参照して、対象法人の株を所有する法人を対象に、各法人の保有比率を特定する。ここで特定される保有比率は、例えば直接保有比率である。
【0086】
次に移行するステップS18では、UBO特定部113は、条件γを満たし、且つ受益者インジケーターが「False」となっている法人が存在するか否か判定する。この条件γは、例えば直接保有比率が25%超という条件である。この条件γを満たす法人が存在する場合、ステップS18の判定はYESとなって図7BのステップS22に移行する。そのような法人が存在しない場合、ステップS18の判定はNOとなってステップS19に移行する。
【0087】
ステップS19では、UBO特定部113は、対象法人のUBOが決定済みか否か判定する。ステップS19には、ステップS14で第1順位の個人、或いは/及び、ステップS16で第2順位の個人を決定した後に移行する場合がある。その場合、既にUBOが決定されていることになる。このことから、その場合、ステップS19の判定はYESとなってステップS21に移行する。一方、そうでない場合、UBOは決定されていないことから、ステップS19の判定はNOとなってステップS20に移行する。
【0088】
ステップS20では、UBO特定部113は、対象法人の代表者を第4順位に決定する。続くステップS21では、UBO特定部113は、指定国の定義でUBOの特定結果を操作する。その後、UBO特定処理が終了する。
後述するステップの処理の実行時を含め、ステップS21への移行時には、UBOの特定結果は4つのケースに分けられる。そのケースとは、対象法人の代表者の第4順位(第1ケース)、一人以上の第2順位(第2ケース)、一人の第1順位(第3ケース)、及び一人の第2順位と一人の第1順位(第4ケース)、の4つである。ここでの「人」は、個人、或いは特定の法人のことである。特定法人とは、国、地方公共団体、或いは上場企業等の法人のことである。
【0089】
指定国とされる国のうちには、第1順位、第2順位のような区別をしない国が存在する。そのような国では、第1順位と決定された人、及び第2順位と決定された人はともにUBOとされる。第1順位、第2順位のような区別をする国でも、第1順位と決定された人、及び第2順位と決定された人をともにUBOとする国がある。日本は、区別する国の一つである。しかし、日本では、第1順位と決定された人のみがUBOとされる。
【0090】
対象法人により図6に示すような企業情報が抽出された場合、上記のように、「Taro Tokyo」は欧州の定義ではUBOとされないのに対し、日本の定義ではUBOとされる。指定国が欧州、及び日本の何れであれ、ステップS21への移行時には「Taro Tokyo」はUBOとして決定される。しかし、指定国が欧州であった場合、「Taro Tokyo」は、受益率により、UBOから除外される。「Taro Tokyo」以外のUBOが存在しなかった場合、対象法人の代表者がUBOとされる。このような操作の実現のために、ステップS21では、指定国の定義に沿った受益率の算出、算出した受益率による操作も必要に応じて行われる。
【0091】
UBOの定義は国によって異なることから、ステップS21の処理が実行され、指定国の定義に沿って、UBOの特定結果が必要に応じて操作される。その操作により、指定国の定義でUBOとされる人の最終的な抽出が行われ、抽出された人のUBOとしての判定結果は指定国の定義に沿ったものに変換される。指定国が日本であった場合、第4のケースでは、第1順位と決定された人のみがUBOとされる。第1~第3ケースでは、特定結果への操作は行われず、その特定結果は維持される。
【0092】
図7BのステップS22以降では、対象法人の資本関係を辿り、UBOを特定するための処理が行われる。
先ず、ステップS22では、UBO特定部113は、ステップS18の判定をYESとさせる法人のうちの一つを処理対象として選択する。次のステップS23では、UBO特定部113は、選択した法人の企業情報を参照する。その後に移行するステップS24では、UBO特定部113は、選択した法人に条件αを満たす株主が存在するか否か判定する。そのような株主が存在する場合、ステップS24の判定はYESとなってステップS25に移行する。そのような株主が存在しない場合、ステップS24の判定はNOとなってステップS30に移行する。
なお、本実施形態では、ステップS23で参照する企業情報はファイルF3中に格納されているものであるが、その企業情報はWebサーバ3から必要に応じて取得するものであっても良い。このこともあり、企業情報は、ファイル化して送受信しなくとも良い。
【0093】
ステップS25では、UBO特定部113は、条件αを満たす株主が法人か否か判定する。その株主が法人であった場合、言い換えればその株主が示された企業情報中の受益者インジケーターが「False」であった場合、ステップS25の判定はYESとなってステップS26に移行する。その株主が個人であった場合、ステップS25の判定はNOとなってステップS27に移行する。
【0094】
ステップS26では、UBO特定部113は、株主が特定の法人か否か判定する。株主が特定法人であった場合、ステップS26の判定はYESとなってステップS27に移行する。株主が特定法人でない場合、ステップS26の判定はNOとなり、上記ステップS22に戻る。
【0095】
そのようにしてステップS26からステップS22に移行した場合、ステップS22では、現在、選択している法人の株主のうちで条件αを満たす法人、つまりステップS24の判定をYESとさせた法人が新たに選択される。それにより、ステップS22~S26で形成される処理ループを実行する結果、対象法人から資本関係を辿りつつ、UBOとすべき個人、或いは法人を特定することができる。この処理ループは、UBOとすべき個人、或いは法人を特定することにより終了する。
【0096】
ステップS27では、UBO特定部113は、ステップS18の判定をYESとさせた法人のうちで選択中の法人(図7B中「元々の法人」と表記)が、条件αを満たすか否か判定する。選択中の法人が条件αも満たしていた場合、ステップS27の判定はYESとなってステップS28に移行する。選択中の法人が条件αを満たしていない場合、ステップS27の判定はNOとなってステップS29に移行する。
【0097】
ステップS27には、ステップS26でのYESの判定の他に、ステップS25でのNOの判定によっても移行する。そのため、UBOは、個人、及び特定法人のうちの何れかに応じて決定する必要がある。それにより、ステップS28、及びS29ともに、個人、及び特定法人のうちの何れかであるかに応じて処理内容が異なる。
【0098】
ステップS28では、UBO特定部113は、個人であればその個人、特定法人であればその法人自体を第1順位に決定する。その決定後、ステップS30に移行する。一方のステップS29では、UBO特定部113は、個人であればその個人、特定法人であればその法人自体を第2順位に決定する。その決定後、ステップS30に移行する。
【0099】
ステップS30では、UBO特定部113は、他に資本関係を辿るべき法人が存在するか否か判定する。ステップS18の判定をYESとさせた法人のうちで処理対象として選択していない法人が残っている場合、ステップS30の判定はYESとなって上記ステップS22に戻る。それにより、そのステップS22では、ステップS26から移行した場合とは異なり、残っている法人のうちから1法人が選択される。一方、選択する対象となる法人が残っていない場合、ステップS30の判定はNOとなり、図7AのステップS19に移行する。ステップS19に移行させるのは、UBOと決定された人が存在しない可能性があるためである。
【0100】
このように、UBO特定部113は、資本関係を辿ってのUBOの特定も必要に応じて行う。それにより、図5に示すような資本関係では、「埼玉 一郎」及び「千葉 二郎」に加え、古河商事株式会社を介して久喜株式会社に間接的に資本を投入している「東京 太郎」も第2順位のUBOとして特定されることになる。「東京 太郎」は、ステップS15の判定をYESとさせないことから、ステップS29で第2順位と決定される。この特定結果は、ファイルF4としてファイル化され、記憶部18に確保された中間結果格納部182に格納される。指定国の言語表現のための企業コードとしては、久喜株式会社の企業コードの他に、古河商事株式会社の企業コードが特定され、UBO特定部113から国コードとともに情報要求部114に渡される。
【0101】
情報要求部114は、UBO特定部113から渡された全ての企業コードを国コードとともに振分部111に渡し、振分部111を介して、対応する国別企業情報の提供を情報提供会社JKのWebサーバ3に要求する。対象企業が久喜株式会社であり、その久喜株式会社に図5に示すような資本関係が存在していた場合、UBO特定部113から渡される企業コードは、久喜株式会社、古河商事株式会社の2社の企業コードとなる。この情報要求部114は、本実施形態における第3の取得手段に相当する。
【0102】
その要求により、Webサーバ3は、国コードに対応する国別企業情報DBKKに対し、受信した企業コードをそれぞれキーとする検索を行い、企業コードの数分の国別企業情報を抽出する。そのようにして抽出された国別企業情報がファイルF5としてファイル化され、Webサーバ3からAPサーバ1に送信される。
【0103】
図8は、国別企業情報の構成例を説明する図である。なお、この構成例は1例であり、国別企業情報の構成例は図8に示すようなものに限定されない。
この図8は、図5に示すような資本関係が存在する久喜株式会社が対象法人であり、且つ指定国が日本であった場合、ファイルF5としてまとめられる国別企業情報の構成例を示している。図8に示すように、国別企業情報は、企業コード、社名、主株主、代表者名、代表者名(カナ)、及び代表者住所の各情報を含む。指定国が日本であることから、企業コード以外は全て日本語表現の情報となっている。
【0104】
国別企業情報中の主株主は、主な株主毎に、その株主の名称、及び直接保有比率を表す情報である。主な株主は、UBOと特定される可能性のある株主である。そのような株主に限定することにより、主株主とする情報の量が膨大になるのを回避するようにしている。直接保有比率は、名称に続く括弧内の情報として表されている。
【0105】
上記のように、UBOとして、法人の代表者を特定する場合がある。このことから、2種類の代表者名、及び代表者住所が国別企業情報に含まれている。
Webサーバ3から送信されたファイルF5は、通信部19によって受信され、CPU11に入力される。その結果、ファイルF5は、振分部111を介して情報要求部114に渡される。情報要求部114は、ファイルF5を情報入力部115に渡すか、或いはその存在を通知する。
【0106】
情報入力部115は、ファイルF4、及びF5を参照して、特定されたUBOに対応する指定国の言語表現を特定し、その特定結果の確認、及び修正用の画面(Webページ)を作成する。この画面は、指定国の言語(公用語)に応じて作成されるものである。つまり、この画面は、指定国の言語が企業情報の言語と異なっている場合に作成される。
この画面には、特に図示しないが、例えば特定したUBO毎に、言語表現の特定結果に加え、ファイルF4から抽出したUBOの名称(英語表記)、並びにファイルF5から抽出した主株主(主な株主の名称等が含まれる)、及び2種類の代表者名等が配置されている。言語表現の特定結果は、UBOの名称(英語表現)に対応付けられた株主の名称、或いは代表者名である。株主の名称、及び代表者名はともに、指定国の言語による言語表現である。言語表現の特定結果を配置することにより、その画面上にUBOの名称の他の言語表現が自動入力された形となっている。なお、指定国が日本であった場合、言語表現の特定結果は、例えばUBOの漢字表記、及びカナ表記の2つである。
【0107】
このような画面の作成後、情報入力部115は、例えば処理側端末2を使用する従業員を対象に、特定したUBOの言語表現の確認を促す通知のための処理を行うとともに、その言語表現の確認対象となるUBOの特定結果をアクセス可能に公開する。それにより、情報入力部115は、公開したUBOの特定結果へのアクセスを要求した処理側端末2に、作成した画面を送信させる。その画面の送信は、情報入力部115から振分部111に画面、及び処理側端末2のアドレスを渡し、そのアドレス宛に画面を通信部19に送信させることで実現される。
【0108】
そのようにして送信された画面を受信した処理側端末2は、受信した画面を表示装置上に表示させる。それにより、従業員は、画面上でUBOの言語表現を確認し、必要に応じて、その言語表現を修正する。その画面上に配置された指定国の言語表現の主株主、及び代表者名は、指定国の言語でUBOの名称とする言語表現の候補である。このため、従業員は、言語表現の特定結果の適切な確認、更には適切な修正も容易に行うことができる。ファイルF4、F5からの抽出を通して、画面上に配置する情報の量を抑えたのは、特定結果の適切な確認、及び適切な修正を従業員がより容易に行えるようにするためである。必要に応じて修正が行われた画面の内容は、従業員の送信指示により、処理側端末2からAPサーバ1に送信される。
【0109】
その画面の内容は、通信部19により受信され、CPU11に入力される。それにより、その内容は、振分部111を介して情報入力部115に渡される、情報入力部115は、渡された内容を用いて、ファイルF4に内容を追加する合成用のファイルF6を作成し、作成したファイルF6を合成部116に渡すか、或いはその存在を通知する。
【0110】
なお、従業員による言語表現の確認、及び修正は、画面の代わりに作成するファイルにより行わせるようにしても良い。言語表現の特定は行わずに、つまり指定国の言語表現の自動入力は行わずに、UBOの氏名を従業員に入力させるようにしても良い。そのようにしても、指定国の言語でUBOの名称とする言語表現の候補が配置されていることから、従業員は適切な言語表現を容易に入力することができる。
【0111】
合成部116は、ファイルF6の内容をファイルF4に加える合成を行う。この合成では、指定国の言語表現ではない言語表現は、指定国の言語表現に置き換えられる。例えば企業コード以外の全ての情報が指定国の言語表現の情報に置き換えられる。国別企業情報中の社名は、企業コードにより対応付けられ、ファイルF4内に情報として格納されている社名として更新される。そのような合成後のファイルF4が納品用のファイルF2として、記憶部18に確保された特定結果格納部183に格納される。なお、指定国の言語表現に置き換える必要がない場合、つまり企業情報DBKJの言語と指定国の言語とが一致する場合、ファイルF4がファイルF2とされる。
【0112】
図9は、納品されるファイルの内容例を説明する図である。図9に示す内容例は1例であり、納品されるファイルであるファイルF2の内容例は図9に示すようなものに限定されない。例えば、元のファイルF4の社名、及びUBOの名称等を残したものであっても良い。
図9に内容例を示すファイルF2は、図8と同様に、図5に示すような資本関係が存在する久喜株式会社が対象法人であり、且つ指定国が日本であった場合のものである。図9に示すように、ファイルF2は、特定したUBO毎に、企業コード、社名、UBO候補名、UBO候補名(カナ)、及びUBO判定結果の各情報をUBO情報として表す構成となっている。
【0113】
UBO情報中のUBO判定結果は、UBOが属すると分類したカテゴリを示す情報である。漢字表記、及びカナ表記の2種類のUBO候補名は、法人では代表者をUBOと特定することから、個人名である。この2種類のUBO候補名が、従業員の確認を必要とする言語表現である。カナ表現のUBO候補名の括弧書きは、特定した言語表現、つまり従業員による修正が行われる前の言語表現である。図9では、修正前の言語表現を併せて示すことにより、従業員の確認による言語表現の修正内容を確認可能とさせている。なお、社名は、企業コードにより一意に特定できるため、従業員による確認の対象外である。
【0114】
出力処理部117は、特定結果格納部183に格納されたファイルF2の出力に係わる処理を行う機能である。この出力処理部117により、処理側端末2を使用する従業員は、特定結果格納部183に格納された任意のファイルF2をAPサーバ1から取得することができる。また、この出力処理部117により、リムーバブルメディア25へのファイルF2の書き込み、及び出力部16へのファイルF2の出力も可能となっている。この出力処理部117は、本実施形態における出力手段に相当する。
【0115】
なお、本実施形態では、UBOを3つのカテゴリに分け、UBOが属するカテゴリの決定を通して、UBOの特定を行うような形となっている。しかし、UBOの特定は、カテゴリの決定ではなく、受益率により行うようにしても良い。欧州基準とは異なる基準の受益率であっても、対象法人から資本関係を辿ることにより算出することができる。この受益率は、決定したカテゴリとともに、或いはそのカテゴリに代えて、UBO情報に含めても良い。
【0116】
国別企業情報は、図8に示すように、法人の主株主を確認可能な情報である。このことから、ステップS22では、企業情報中に必要な情報が存在していない場合を想定し、企業情報の他に、国別企業情報も参照して、対象とする法人の株主を確認するようにしても良い。このことから、国別企業情報は、株主の確認のために取得するようにしても良い。主株主が法人であれば、企業コードも確認可能に追加させるようにしても良い。
【0117】
本実施形態では、情報提供会社JKに対して本サービスを提供する形となっているが、顧客Cを対象に本サービスを提供するようにしても良い。その提供方法としては、例えば以下のようなものが考えられる。
図10は、本発明の情報処理装置の一実施形態の変形例に係るAPサーバによるサービスの提供のために構築されたシステム、及びそのシステムが接続されたネットワーク環境の例を説明する図である。
【0118】
図10に示すように、この変形例は、情報サービス会社SKが顧客Cに対して直接、本サービスを提供するためのものである。そのために、APサーバ1は、Webサーバの機能を備えるか、或いはネットワークNとAPサーバ1との間の通信に介在するWebサーバが存在する。このことから、APサーバ1は、通信部19を2つ以上、備えている。処理側端末2は、受付側端末4の用途にも用いられる。情報提供会社JKには、情報サービス会社SKに必要な情報を提供するために、Webサーバ3の代わりにDBサーバ6が設置されている。
このような構成により、顧客Cは、本実施形態と同様のサービスを利用することができる。
【0119】
企業情報DBKJ、及び国別企業情報DBKKは、情報サービス会社SK側で用意しても良い。そのようにする場合、情報提供会社JKは不要となる。また、企業情報DBKJ、及び国別企業情報DBKKの必要な情報は、顧客Cへのサービスの提供とは無関係の会社等から取得するようにしても良い。本実施形態では、既存のDBは、企業情報DBKJのみであるが、既存のDBは複数であっても良い。複数の既存のDBは、複数の会社等がそれぞれ管理する1つ以上のDBによって得られるものであっても良い。
【0120】
UBOの特定は、指定国の定義に沿って行う必要があり、受益率を考慮する必要がある。図7A図7Bにフローチャートの例を示すUBO特定処理は、欧州の定義に沿って算出された受益率が情報として企業情報に含まれていることもあり、日本の定義を重視したものとし、日本の定義での受益率の算出は不要となっている。つまり処理の流れのなかで日本の定義に沿って受益率を特定し、UBOを決定できる形となっている。上記のように、受益率を算出するのに必要な情報は企業情報内に存在する。これらのようなこともあり、受益率情報自体は必須の情報ではなく、受益率の特定も算出することに限定されない。そのため、企業情報は、受益率情報が含まれていないものであっても良い。それにより、UBO特定処理としては、受益率情報が企業情報中に存在することを前提とするもの、企業情報中の受益者情報を用いないもの、つまり企業情報中の受益者情報の有無に依存しないもの、及び企業情報中に存在する受益者情報は利用するもの、の何れであっても良い。受益率情報が存在しない場合、指定国以外の国の定義に沿った受益率を算出するようにしても良い。つまり、受益率を算出、或いは特定する国は複数であっても良い。上記実施形態では、例えば日本、欧州のそれぞれで受益率を算出するようにしても良い。何れにしても、UBOは指定国の定義に沿って決定する必要があることから、指定国の定義に沿って受益率を特定する必要がある。
【0121】
(第2実施形態)
図11は、本発明の情報処理装置の第2実施形態に係るAPサーバによるサービスの提供のために構築されたシステム、及びそのシステムが接続されたネットワーク環境の例を説明する図である。
【0122】
第2実施形態では、図11に示すように、顧客Cからリクエストとして送信される依頼の処理を情報サービス会社SK自体が行うようになっている。それにより、情報サービス会社SKは、上記第1実施形態とは異なり、単体で本サービスを提供する。つまり、情報サービス会社SKは、顧客Cからの依頼の処理、その依頼のために送信されたファイルF1の従業員による確認、各DBからの必要な情報の抽出、及びファイルF2の顧客Cへの納品等を行う。そのために、情報サービス会社SKには、APサーバ1の他に、端末2、Webサーバ3、及びDBサーバ6が存在し、それらがLAN等のネットワーク7により接続されている。
【0123】
端末2、Webサーバ3、及びDBサーバ6は、何れも上記したような使い方がされるか、或いは機能が搭載されたものである。このことから、それらには同じ符号を付している。ここでは、再度の詳細な説明は省略する。なお、APサーバ1、Webサーバ3、及びDBサーバ6の各ノードは、クラウドサービスにより設置されたものであっても良い。それにより、各ノードの設置場所、所有者等は特に限定されない。
【0124】
図12は、本発明の情報処理装置の第2実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。次に図12を参照し、上記第1実施形態におけるAPサーバ1との相違に着目した説明を行う。
第2実施形態では、図12に示すように、DBサーバ6には図1に示すストレージSTが搭載されている。このストレージSTには、国別企業情報DBKKの他に、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNが企業情報DBKJの代わりに構築されている。ここでNは、2以上の整数であり、具体的な値は特に限定されない。
【0125】
これら第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNは、例えば複数の情報会社から提供されたものであり、各情報DBKJ1~KJNには、想定した国でのUBOの定義に沿って企業情報が格納されている。1レコードに格納された企業情報の内容は同じか、或いはほぼ同じである。
【0126】
上記第1実施形態で用いられる企業情報DBKJは、例えば欧州でのUBOの定義に沿ったものであり、使用されている言語は英語である。UBOの定義は、上記のように、全ての国で同じではない。例えば欧州でのUBOの定義は、日本と異なるだけでなく、米国とも異なる。その一方、多くの国では、直接投資が可能である。このようなことから、本実施形態では、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちで企業情報の抽出に用いるものを選択し、UBOを特定するようにしている。第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちからUBOの定義が異なる複数のDBを選択する可能性があることから、第2実施形態でも第1実施形態と同様に、UBOの定義に沿った受益率の算出を必要に応じて行うようになっている。以降、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちの任意の情報DBを指す意味で「企業情報DBKJ」を用いることとする。
【0127】
第2実施形態では、図12に示すように、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNは、DBサーバ6によって管理される。そのため、APサーバ1は、DBサーバ6から必要な企業情報を随時、取得するようになっている。
この企業情報の取得は、情報要求部114によって行われる。情報要求部114は、UBO特定部113の指示に従って、例えばUBO特定部113が企業コード等で指定する企業情報の取得のためのリクエストを生成し振分部111に渡す。
【0128】
そのリクエストは、CPU11から通信部19に出力され、DBサーバ6に送信される。この結果、DBサーバ6は、そのリクエストで指定された企業情報を対応する企業情報DBKJから抽出してAPサーバ1に送信する。APサーバ1に受信された企業情報は、通信部19からCPU11に出力され、振分部111を介して情報要求部114に渡され、更にUBO特定部113に渡される。このようなことから、第2実施形態では、UBO特定部113は、情報要求部114を制御し、必要な企業情報を随時、DBサーバ6から取得し、UBOの特定を行うようになっている。
【0129】
第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのそれぞれは、カバーする範囲が異なるのが普通である。これは、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちの何れかを提供する各情報会社の調査能力、及び調査可能範囲等が異なるからである。カバーする範囲が異なることから、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちで企業情報を参照する企業情報DBKJを必要に応じて切り換えることにより、必要な企業情報を参照できる可能性はより高くなる。これは、UBOを特定できる可能性もより高くなることを意味する。国によるUBOの定義の違いに対応することにより、上記のように、UBOの特定は適切に行うことができる。これらのことから、第2実施形態では、第1実施形態と比較し、UBOの適切な特定をより高い確率で行えるようになる。
【0130】
図13図15は、第2実施形態におけるUBO特定処理の例を示すフローチャートである。UBO特定処理は、第1実施形態と同じく、1対象法人のUBOの特定のためにUBO特定部113によって実行される部分を抽出して、その部分の処理の流れの例を表したものである。ここで図13図15を参照し、第2実施形態におけるUBO特定処理について詳細に説明する。処理を実行する主体としてはUBO特定部113を想定する。
【0131】
第2実施形態でも、第1実施形態と同じく、UBOの法人への一般的に予測される影響力の強さから複数のカテゴリに分け、UBOを特定するとともに、そのUBOが属するカテゴリも併せて特定するようにしている。また、第2実施形態では、UBOの種別を表す情報を保存するようにしている。図13図15に表記の「種別フラグ」は、その情報の保存のために用意した変数である。図13図15では、第1実施形態と同じか、或いは基本的に同じ内容の処理には同一の符号を付している。それにより、ここでは、第1実施形態から異なる部分に着目するかたちで説明を行う。
【0132】
この種別フラグには、対象法人が国、或いは地方公共団体等であった場合には1が代入され、上場企業であった場合には2が代入される。対象法人の代表者をUBOと特定した場合、3~5の間の整数値が代入される。具体的には、株主情報、及び保有比率情報の両方があってUBOと特定された代表者には3、株主情報があっても保有比率情報がなく、UBOと特定された代表者には4、株主情報がないことによりUBOと特定された代表者には5、がそれぞれ代入される。また、資本関係を辿り、UBOと特定された国、或いは地方公共団体には6、UBOと特定されたのが上場企業であれば7がそれぞれ代入される。UBOと特定された個人には8が代入される。このようなことから、種別フラグに設定される値は、第2実施形態における特定理由情報に相当する。
【0133】
このような値を種別フラグに代入し、その値を確認可能にすることにより、顧客Cにとっては、UBOと特定された理由を知ることができる。種別フラグの値が4、或いは5であった場合、特定されたUBOとは異なる法人、或いは個人が実際のUBOである可能性があることになる。このことから、種別フラグは、特定されたUBOの信頼度を表す情報ともなっている。それにより、種別フラグは、本サービスの質をより高くする情報となっている。
【0134】
先ず、ステップS11では、UBO特定部113は、指定国に対応する条件情報を条件情報格納部181から読み出し、UBOを特定するうえでの条件α~γを設定する。続くステップS51では、UBO特定部113は、指定国に応じて、企業情報を抽出する企業情報DBKJを設定する。それにより、例えば指定国が日本であれば、UBO特定部113は、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちから、日本でのUBOの定義に沿って構築された企業情報DBKJを選択し設定する。
【0135】
ステップS51の次に移行するステップS52では、UBO特定部113は、対象法人が特定法人か否か判定する。対象法人が特定法人であった場合、ステップS52の判定はYESとなってステップS53に移行する。対象法人が特定法人でなかった場合、ステップS52の判定はNOとなってステップS54に移行する。
ステップS53では、UBO特定部113は、対象法人はUBOを特定する対象外と決定し、対象法人に応じて、種別フラグに1、或いは2を設定(代入)する。その後は図15のステップS19に移行する。
【0136】
このようにして、第2実施形態では、特定法人である対象法人にも対応するようにしている。そのため、顧客Cは、対象法人が特定法人か否かを確認しなくとも良いことになる。従って、顧客Cにとっては、第1実施形態と比較し、UBO情報を得るための作業の負荷がより軽減することになる。
【0137】
ステップS54では、UBO特定部113は、ステップS51で設定した企業情報DBKJに、対象法人の資本関係を辿るうえで有効な情報がないか否か判定する。その企業情報DBKJに、対象法人の資本関係を辿る必要性を示す情報が存在しないか、或いは対象法人の資本関係を辿ることを可能にする情報が存在しない場合、ステップS54の判定はYESとなってステップS55に移行する。対象法人の資本関係を辿るうえで有効な情報が存在する場合、ステップS54の判定はNOとなってステップS12に移行する。
【0138】
選択可能な企業情報DBKJのレコード構成は全て同じとは限らない。そのため、有効な情報は、レコード構成によって変化する。具体的には、図6に示すように、1対象法人で企業情報が株主毎に1レコードとして抽出される企業情報DBKJでは、有効な情報とは、条件γを少なくとも満たすことを示す保有比率情報、及び株主情報が存在する企業情報のことである。条件γを満たすことを示していない保有比率情報、及び株主情報が存在する企業情報は、有効な情報とは見なされない。株主情報、及び保有比率情報のうちの少なくとも一方が存在しない企業情報も有効な情報とは見なされない。
一方、1対象法人で企業情報が1レコードとして抽出され、その企業情報中に株主毎の受益者関係情報が存在する企業情報DBKJでは、有効な情報とは、条件γを少なくとも満たすことを示す保有比率情報、及び株主情報が存在する受益者関係情報のことである。条件γを満たすことを示していない保有比率情報、及び株主情報が存在する受益者関係情報は、有効な情報とは見なされない。株主情報、及び保有比率情報のうちの少なくとも一方が存在しない受益者関係情報も有効な情報とは見なされない。
ここでは、混乱を避けるために、選択可能な企業情報DBKJの全ては、1レコードに、受益者関連情報が一つのみ存在する企業情報(図6参照)が格納されているものと想定する。選択可能な企業情報DBKJのレコード構成は特に限定されない。
【0139】
ステップS55では、UBO特定部113は、対象法人の株主情報がないか否か判定する。対象法人の株主情報がある企業情報がなく、株主を特定できない場合、ステップS55の判定はYESとなってステップS56に移行する。対象法人の株主情報がある企業情報が存在する場合、ステップS55の判定はNOとなってステップS57に移行する。
【0140】
ステップS56では、UBO特定部113は、対象法人の代表者を第4順位に決定し、種別フラグに5を設定する。その後、図15のステップS19に移行する。
一方、ステップS57では、UBO特定部113は、対象法人の代表者を第4順位に決定し、保有比率情報の有無に応じて、種別フラグに3、或いは4を設定する。上記のように、保有比率情報が企業情報に存在する場合は3、保有比率情報が企業情報に存在しない場合は4が種別フラグに設定される。種別フラグの設定後は、図15のステップS19に移行する。
【0141】
ステップS54の判定がNOとなって移行するステップS12、及び続くステップS13~S18の各処理内容は、第1実施形態と同じか、或いはほぼ同じである。しかし、ステップS14、S16では、UBO特定部113は、個人を第1順位、或いは第2順位に決定することから、何れでも種別フラグに8を設定するようになっている。また、ステップS18では、UBO特定部113は、条件γを満たす法人があるか否かの判定を行う。これは、選択中の企業情報DBKJに格納された企業情報に受益者インジケーターが存在するとは限らないからである。第1実施形態からの相違は、基本的にはこれだけである。第2実施形態では、ステップS18の判定がNOとなった場合、図15のステップS19に移行し、ステップS18の判定がYESとなった場合、図14のステップS22に移行する。
【0142】
図14のステップS22~S30では、第1実施形態から以下の点が異なる。
第2実施形態では、APサーバ1が必要な企業情報を随時、DBサーバ6から取得するようになっている。このことから、ステップS23での企業情報の参照は、ステップS22で選択した法人の企業情報をDBサーバ6から取得して行われる。この企業情報の取得は、例えばステップS22で選択した法人の企業コードを含むコマンドを情報要求部114に生成させ、DBサーバ6に送信させることで実現される。
【0143】
また、第2実施形態では、ステップS24の判定がNOとなった場合に、ステップS61に移行する。そのステップS61では、UBO特定部113は、ステップS22で選択した法人で資本関係を辿るのを可能にする株主情報が存在しないか否か判定する。株主情報が全く存在しないか、或いは存在するとしても、資本関係を辿るべき可能性が考えられる株主情報が不足している場合、ステップS61の判定はYESとなってステップS62に移行する。株主情報に不足がない場合、ステップS61の判定はNOとなってステップS30に移行する。
【0144】
ステップS62では、UBO特定部113は、ステップS22で選択した法人を再確認対象に設定する。この再確認対象の設定後、ステップS30に移行する。
ステップS22で選択した法人の企業情報中の株主情報は、現在、設定(選択)中の企業情報DBKJに格納されている企業情報には存在していなくとも、別の企業情報DBKJに格納されている企業情報には存在する可能性がある。その可能性から、UBOの特定をより高精度に行うためには、別の企業情報DBKJに格納されている企業情報も確認する必要がある。第2実施形態では、別の企業情報DBKJに格納されている企業情報を確認すべき法人を再確認対象として管理し、別の企業情報DBKJに格納されている企業情報を確認すべき法人を制限している。
【0145】
図14のステップS22~S30では、更に、ステップS28、及びS29で種別フラグに6~8のうちの何れかを設定するようになっている。ステップS28、及びS29は、ステップS26でのYESの判定により実行される可能性がある。それにより、UBOと特定されるのは、個人、国、若しくは地方公共団体、或いは上場企業のうちの何れかである。そのため、ステップS28、及びS29では、種別フラグに6~8のうちの何れかが設定される。
【0146】
図14のステップS22~S30では、第1実施形態から上記のような点が異なる。第2実施形態でも、ステップS30の判定がNOとなった場合、図15のステップS19に移行する。次にステップS19以降の処理について詳細に説明する。このステップS19には、ステップS53、S56、或いはS57の処理の実行後にも移行する。
ステップS19では、UBO特定部113は、対象法人のUBOが決定済みか否か判定する。UBOが決定済みであった場合、ステップS19の判定はYESとなってステップS21に移行する。UBOが決定済みでない場合、ステップS19の判定はNOとなってステップS71に移行する。
【0147】
ステップS71では、UBO特定部113は、未確認の再確認対象があるか否か判定する。未確認の再確認対象が存在する場合、ステップS71の判定はYESとなってステップS75に移行する。未確認の再確認対象が存在しない場合、ステップS71の判定はNOとなってステップS72に移行する。
【0148】
ステップS72への移行は、UBOを特定するための処理がこれ以上、行えないことを意味する。このことから、ステップS72~S74では、上記ステップS55~S57と同様に、対象法人の代表者を第4順位に決定し、株主情報の有無、更には保有比率情報の有無に応じて、種別フラグに3~5のうちの何れかを設定するための処理が行われる。その処理の終了後、つまりステップS73、或いはS74の処理の実行後はステップS31に移行する。
【0149】
ステップS55への移行は、ステップS54の判定がYESとなることが条件である。これに対し、ステップS72への移行は、ステップS54の判定がNOとなることが条件である。それにより、ステップS72~S74の処理は、ステップS12以降の処理を実行しても、第1順位、及び第2順位の何れかに決定されるUBOが特定できなかった場合を想定したものとなっている。
【0150】
一方、ステップS75では、UBO特定部113は、再確認対象の企業情報を確認するために設定すべき企業情報DBKJの確認を行う。続くステップS76では、設定すべき企業情報DBKJが存在するか否か判定する。設定すべき企業情報DBKJが存在する場合、ステップS76の判定はYESとなってステップS77に移行し、UBO特定部113は、存在を確認した企業情報DBKJを参照の対象とするDBに決定し設定する。その後は図13のステップS12に戻る。それにより、新たに設定した企業情報DBKJを対象にしたUBOの特定が継続して行われる。
【0151】
一方、設定すべき企業情報DBKJが存在しない場合、ステップS76の判定はNOとなってステップS77に移行し、UBO特定部113は、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNによりUBOを特定できない旨を表すアラートを付与する。その後はステップS21に移行する。
【0152】
付与するアラートは、UBOを特定するうえで必要な企業情報が不足していることを示している。このことから、付与するアラートは、第2実施形態における警告情報に相当する。このようなアラートを付与することにより、情報サービス会社SKの従業員、及び顧客Cは、UBOが特定されなかった理由を認識することができる。
【0153】
設定すべき企業情報DBKJとは、例えば再確認対象と設定の法人が設立された国か、或いはその国との経済的なつながりの深い国等の情報会社によって提供される企業情報DBKJである。このことから、設定すべき企業情報DBKJは、再確認対象毎に特定されるものであり、設定すべき企業情報DBKJが複数、存在する場合もあり得る。また、新たに設定した企業情報DBKJでも、再確認対象を設定する可能性がある。このようなことから、第2実施形態では、第1企業情報DBKJ1~第N企業情報DBKJNのうちで参照する企業情報DBKJを必要に応じて切り換えながら、第1順位、或いは第2順位のUBOの特定(探索)を行うようになっている。UBOの特定は、第1順位、第2順位、或いは第4順位であるUBOを特定するか、或いはUBOを特定できないことが確認できた場合に終了する。UBOを特定できないことが確認できた場合とは、UBOを特定する前に、設定すべき企業情報DBKJがないことが確認できた場合、つまりステップS76の判定がNOとなった場合である。
【0154】
ステップS21では、UBO特定部113は、指定国の定義でUBOの特定結果を操作する。操作した後の特定結果、種別フラグ、及び付与したアラート等を中間結果格納部182に保存した後、UBO特定処理が終了する。
【0155】
このようなUBO特定処理をUBO特定部113が実行した結果、UBOを特定できた場合、第1実施形態と同様に、情報要求部114には、UBO特定部113から企業コードが渡される。それにより、情報要求部114は、渡された企業コード、及び指定国の国コードを用いて、国別企業情報DBKKから国別企業情報をDBサーバ6に抽出させるためのコマンドを生成する。第2実施形態では、このコマンドのDBサーバ6への送信により、第1実施形態ではファイルF5に格納される国別企業情報がDBサーバ6から取得される。国別企業情報を取得してからファイルF2を生成するまでの処理の内容は、第1実施形態と同じか、或いはほぼ同じである。このことから、その処理の内容、つまり情報入力部115、及び合成部116についての説明は省略する。
【0156】
第2実施形態では、顧客Cと情報サービス会社SKとの間に情報提供会社JKが介在しないことから、顧客Cから直接、依頼を受けるだけでなく、ファイルF2を直接、顧客Cに送信するようになっている。しかし、依頼の受信、及びファイルF2の顧客Cへの送信はともに、Webサーバ3を介して行われる。このことから、依頼の受信、及びファイルF2の顧客Cへの送信の何れも、第1実施形態と同様に行われる。
【0157】
第2実施形態では、資本関係を辿るうえで必要な株主情報が不足している可能性が考えられる企業情報があった場合、その企業情報が作成された法人を再確認対象に設定し、別の企業情報DBKJの企業情報を確認するようにしている。それにより、第2実施形態では、設定している企業情報DBKJを切り換えるまで、再確認対象とする法人の設定を継続して行い、企業情報DBKJの設定の切り換えにより、再確認対象と設定した法人の企業情報を確認するようになっている。
【0158】
しかし、企業情報DBKJの設定の切り換え方は、これに限定されない。例えば再確認対象と設定する法人の存在を確認できた時点で、その法人の企業情報を別の企業情報DBKJで確認し、その確認結果に応じて、UBOの特定を継続させるようにしても良い。このことから、参照可能と選択する企業情報DBKJは、企業情報DBKJを切り換えるとしても、複数の企業情報DBKJを参照可能な状態とさせても良い。参照可能とする企業情報DBKJの選択については、再確認対象と設定した法人に応じて選択するのではなく、法人に関わらず、例えば順次、設定した順序に沿って選択するようにしても良い。このようなこともあり、企業情報DBKJの選択の仕方についても特に限定されない。
【0159】
各企業情報DBKJに格納される企業情報の構成は、上記のように、特に限定されない。つまり企業情報は、例えば受益者情報、保有比率情報、及び受益率情報を含む受益者関係情報、並びに企業識別情報が含まれるものであれば良い。このことから、個人に着目した構成の企業情報を格納させたDBを企業情報DBKJの代わりに、或いは企業情報DBKJとともに用いるようにしても良い。このようなことから、DBの用意でも各種変形が可能である。
【0160】
第2実施形態では、UBOの特定に必要な企業情報が存在しないことをアラートの付与により確認可能にさせているが、アラートの付与以外の方法により、確認可能にさせても良い。例えばフラグ、或いはメッセージ等で確認可能にさせても良い。このようなこともあり、警告情報の生成の仕方は、特に限定されない。これは、種別フラグでも同様である。種別フラグに設定可能な値、及びその値の数等は、特に限定されない。それにより、例えば種別フラグを複数、用意し、種別フラグ毎に、その種別フラグで表す情報の種類を決定するようにしても良い。確認可能にする情報の数分、種別フラグのようなフラグを用意しても良い。種別フラグへの値の設定に代えて、或いは種別フラグへの値の設定とともに、メッセージの決定(生成)、或いは種別フラグに値を設定させた企業情報の抽出等を行うようにしても良い。このようなことから、特定理由情報の生成の仕方、及び保存の仕方等は特に限定されない。
【符号の説明】
【0161】
1 APサーバ、2、4、5 端末、3 Webサーバ、6 DBサーバ、11 CPU、18 記憶部、111 振分部、112 依頼処理部、113 UBO特定部、114 情報要求部、115 情報入力部、116 合成部、117 出力処理部、C 顧客、JK 情報提供会社、KJ 企業情報DB、KK 国別企業情報DB、SK 情報サービス会社、ST ストレージ。
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