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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/02 221
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021141894
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023035227
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠明
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-177926(JP,A)
【文献】特開2016-101965(JP,A)
【文献】特開2021-54447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口と、を備えた積層剥離容器であって、
筒状の口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる胴部と、前記胴部に連なる底部と、を有するボトル形状であり、
前記胴部が、
横断面形状が円形の上端部と、
横断面形状が円形の下端部と、
前記上端部と前記下端部との間に設けられ、横断面形状が多角形状の中間部と、
前記上端部と前記中間部との間に設けられ、前記上端部の側から前記中間部の側に向けて円形から多角形に徐々に変化する上側遷移部と、
前記下端部と前記中間部との間に設けられ、前記下端部の側から前記中間部の側に向けて円形から多角形に徐々に変化する下側遷移部と、を有し、
横断面形状における、前記上端部の外径、前記下端部の外径、前記中間部の外接円の径、前記上側遷移部の外接円の径及び前記下側遷移部の外接円の径が、それぞれ同一となる形状であることを特徴とする積層剥離容器。
【請求項2】
前記上端部は、前記肩部の下端よりも小径で上側段部を介して前記肩部の下端に連なっており、前記下端部は、前記底部の上端よりも小径で下側段部を介して前記底部の上端に連なっている、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項3】
前記中間部の横断面形状が、6~12個の角部分を有する正多角形である、請求項1または2に記載の積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層体と、外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、外層体と内層体との間に連なる外気導入口と、を備えた積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等を内容物として収納する容器として、外層体と、外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、外層体と内層体との間に連なる外気導入口と、を備えた積層剥離容器が知られている。
【0003】
上記構成の積層剥離容器は、内容物を外部に吐出させた後、外気導入口から外層体と内層体との間に外気が導入されることで、外層体を元の形状に維持したまま内層体を内容物の吐出量に合わせて減容変形させることができるので、内層体に収納された内容物が外気と置換されることなく吐出されるようにして、内層体に収納された内容物への外気の接触を抑制し、その劣化や変質を抑制することができる。
【0004】
このような積層剥離容器として、従来、筒状の口部と、口部に連なる肩部と、肩部に連なる胴部と、胴部に連なる底部と、を有するボトル形状を有するとともに、胴部に可撓性と復元性とを有するとともに上端部及び下端部よりも中間部の外径が小さい括れ形状(鼓形状)の部分が設けられ、胴部がスクイズ(押圧)されることで、容器の内部に収納されている内容物が口部から外部に押し出されて吐出されるスクイズタイプのものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-18892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の積層剥離容器のように、胴部に括れ形状の部分を設けた構成では、胴部のスクイズ性及び復元性を高めることができる一方で、スクイズにより胴部をある程度内側に押し込んだところを境に胴部の変形が抑えられてしまい、スクイズの圧力が内層体へ伝わり難くなって、内容物を使い切る際の出し切りの際などにおいて内容物を吐出し難くなってしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、胴部のスクイズ性及び復元性を高めつつ内容物を使い切る際の出し切りの際などにおいて内容物を吐出し易くすることが可能なスクイズタイプの積層剥離容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層剥離容器は、外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口と、を備えた積層剥離容器であって、筒状の口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる胴部と、前記胴部に連なる底部と、を有するボトル形状であり、前記胴部が、横断面形状が円形の上端部と、横断面形状が円形の下端部と、前記上端部と前記下端部との間に設けられ、横断面形状が多角形状の中間部と、前記上端部と前記中間部との間に設けられ、前記上端部の側から前記中間部の側に向けて円形から多角形に徐々に変化する上側遷移部と、前記下端部と前記中間部との間に設けられ、前記下端部の側から前記中間部の側に向けて円形から多角形に徐々に変化する下側遷移部と、を有し、横断面形状における、前記上端部の外径、前記下端部の外径、前記中間部の外接円の径、前記上側遷移部の外接円の径及び前記下側遷移部の外接円の径が、それぞれ同一となる形状であることを特徴とする。
【0009】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記上端部は、前記肩部の下端よりも小径で上側段部を介して前記肩部の下端に連なっており、前記下端部は、前記底部の上端よりも小径で下側段部を介して前記底部の上端に連なっているのが好ましい。
【0010】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記中間部の横断面形状が、6~12個の角部分を有する正多角形であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、胴部のスクイズ性及び復元性を高めつつ内容物を使い切る際の出し切りの際などにおいて内容物を吐出し易くすることが可能なスクイズタイプの積層剥離容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態である積層剥離容器の正面図である。
図2図1に示す積層剥離容器の側面図である。
図3図1におけるA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態である積層剥離容器1について詳細に例示説明する。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、図1に示すように、積層剥離容器1を正立姿勢とした状態における上下方向(軸線Oが延びる方向)を意味するものとし、径方向は、積層剥離容器1の軸線Oを通るとともに軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0015】
図1に示す積層剥離容器1は、例えば、醤油等の食品調味料又は飲料等の食品、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等の種々の内容物を収納する用途に用いることができるスクイズタイプのものであり、外層体2と内層体3とを有する二重構造となっている。
【0016】
外層体2は積層剥離容器1の外殻を構成するものであり、本実施の形態では、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製となっている。なお、外層体2は、単層構造に限らず、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主材として構成されていれば、バリア性等を向上させるための複数層の構造を有するものとすることができる。
【0017】
本実施の形態では、内層体3もポリエチレンテレフタレート樹脂製となっている。内層体3は、外層体2よりも厚みが薄い袋状に形成されており、外層体2の内面に剥離可能に積層されている。外層体2の内面に対する内層体3の剥離は、接着状態からの剥離、擬似接着状態からの剥離、密着状態からの離間、の何れであってもよい。内層体3の内部は収納空間Sとなっており、収納空間Sに内容物を収納することができる。内層体3は、内容物が収納空間Sから外部に注出されるのに伴って、外層体2の内面から剥離しつつ、その内容積を減少させるように減容変形自在である。なお、内層体3も、単層構造に限らず、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主材として構成されていれば、バリア性等を向上させるための複数層の構造を有するものとすることができる。
【0018】
本実施の形態では、積層剥離容器1は、外層体2及び内層体3の何れもが、2軸延伸可能なポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されたポリエチレンテレフタレート樹脂製となっている。このようなポリエチレンテレフタレート樹脂としては、例えばホモPET等が挙げられるが、IPA(イソフタル酸)変性PET又はCHDM変性PET等の他のPETを用いることもできる。外層体2を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂と、内層体3を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂とは同じ構成とすることも異なる構成とすることもできる。
【0019】
外層体2及び内層体3をポリエチレンテレフタレート樹脂製としたことにより、積層剥離容器1を軽量で強度が高く、また透明度の高い容器とすることができる。
【0020】
なお、外層体2及び内層体3は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製に限らず、例えばポリプロピレン(PP)製やポリエチレン(PE)製など、他の合成樹脂材料により形成されたものとすることもできる。
【0021】
図1図2に示すように、積層剥離容器1は、口部4と、口部4の下端に連なる肩部5と、肩部5の下端に連なる胴部6と、胴部6の下端に連なる底部7とを有するボトル形状となっている。
【0022】
口部4は、軸線Oを中心とする略円筒状となっており、その外周面には注出キャップ等の部材を装着するための雄ねじ4aが一体に設けられている。また、口部4の雄ねじ4aよりも下方側にはネックリング8が一体に設けられている。
【0023】
口部4の外周面に、雄ねじ4aに替えて、注出キャップ等の部材を打栓によってアンダーカット係合させる突起を設けた構成とすることもできる。また、ネックリング8を設けない構成とすることもできる。
【0024】
口部4には外気導入口9が設けられている。実施の形態では、外気導入口9は、外層体2の口部4を構成する部分に当該外層体2を径方向に貫通する貫通孔として設けられている。外気導入口9は、外層体2と内層体3との間に連なっており、内層体3が外層体2から剥離するのに伴って、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる。
【0025】
肩部5は下方に向けて徐々に拡径する形状となっている。本実施の形態では、肩部5は容器外方に向けて凸のドーム状となっており、その軸線Oに垂直な横断面形状は略円形である。
【0026】
肩部5には、周方向に等間隔に並べて複数(18本)の凹リブ10(便宜上、図1においては1つの凹リブ10にのみ符号を付してある。)、及び、それぞれ隣り合う凹リブ10の間に配置された複数(18本)の凸リブ11(便宜上、図1においては1つの凸リブ11にのみ符号を付してある。)が、周方向に等間隔に並べて設けられている。凹リブ10は、容器内方に向かって凹むとともに上下方向に延びる溝状となっており、凸リブ11は、容器外方に向かって突出するとともに上下方向に延びるリブ状となっている。
【0027】
肩部5に複数の凹リブ10及び凸リブ11を設けた構成とすることにより、口部4に設けられた外気導入口9から胴部6に向けて外層体2と内層体3との間に外気の通路が容易に形成されるようにして、内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0028】
肩部5は、下方に向けて徐々に拡径する形状であれば、その形状は種々変更可能である。また、肩部5は、凹リブ10及び凸リブ11の何れか一方のみが設けられた構成とすることもでき、凹リブ10及び凸リブ11の両方が設けられない構成とすることもできる。
【0029】
胴部6は、全体として軸線Oに沿って延びる筒状となっており、上端部6a、下端部6b、中間部6c、上側遷移部6d及び下側遷移部6eを有している。
【0030】
上端部6aは胴部6の上端を構成する部分であり、軸線Oに垂直な横断面形状が軸線Oを中心とした円形となっている。本実施形態では、上端部6aは肩部5の下端よりも小径となっており、周状の上側段部12を介して肩部5の下端に連なっている。上側段部12は、肩部5の側から胴部6の側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっている。
【0031】
下端部6bは胴部6の下端を構成する部分であり、軸線Oに垂直な横断面形状が軸線Oを中心とした円形となっている。下端部6bの外径は上端部6aの外径と同一である。本実施形態では、下端部6bは底部7の上端よりも小径となっており、周状の下側段部13を介して底部7の上端に連なっている。下側段部13は、底部7の側から胴部6の側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっている。
【0032】
中間部6cは、上端部6aと下端部6bとの間に設けられている。本実施形態では、中間部6cは、上端部6aと下端部6bとの間の上下方向の中央位置に設けられている。
【0033】
中間部6cは、軸線Oに垂直な横断面形状が多角形状となっている。当該多角形状としては、6~12個の角部分を有する正多角形が好ましい。本実施形態では、図3に示すように、中間部6cは、軸線Oに垂直な横断面形状が、軸線Oを中心とした正六角形となっている。すなわち、中間部6cは、軸線Oに垂直な横断面において、6本の辺部分6c1と、6つの角部分6c2とを有する正六角形の形状となっている。6つの角部分6c2は、正六角形の頂点に対応する部分である。
【0034】
本実施形態では、軸線Oに垂直な横断面において、中間部6cは、6本の辺部分6c1がそれぞれ径方向外側に向けて凸の曲線となる形状となっているが、6本の辺部分6c1がそれぞれ直線となる形状であってもよく、6本の辺部分6c1がそれぞれ径方向内側に向けて凸の曲線となる形状であってもよく、6本の辺部分6c1がそれぞれ直線と曲線とが組み合わされてなる形状であってもよい。
【0035】
6つの角部分6c2は、それぞれ軸線Oに垂直な横断面において、径方向外側に向けて凸となる円弧状の形状とされる。6本の辺部分6c1がそれぞれ円弧状の曲線とされる場合には、6本の辺部分6c1は6つの角部分6c2と接する外接円よりも径方向内側に配置される。
【0036】
上側遷移部6dは、上端部6aと中間部6cとの間に設けられており、上端部6aの側から中間部6cの側に向けて、軸線Oに垂直な横断面が、上端部6aに対応した円形から中間部6cに対応した多角形に徐々に変化する形状となっている。
【0037】
同様に、下側遷移部6eは、下端部6bと中間部6cとの間に設けられており、下端部6bの側から中間部6cの側に向けて、軸線Oに垂直な横断面が、下端部6bに対応した円形から中間部6cに対応した多角形に徐々に変化する形状となっている。
【0038】
図3から解るように、軸線Oに垂直な横断面において、中間部6cの外接円の径は上端部6aの外径及び下端部6bの外径と同一となっている。また、軸線Oに垂直な横断面において、上側遷移部6dの外接円の径及び下側遷移部6eの外接円の径も、上下方向の何れの位置においても、上端部6aの外径及び下端部6bの外径と同一となっている。すなわち、胴部6は、軸線Oに垂直な横断面形状における、上端部6aの外径、下端部6bの外径、中間部6cの外接円の径、上側遷移部6dの外接円の径及び下側遷移部6eの外接円の径が、それぞれ同一となる形状となっている。したがって、図1に示すように、中間部6cの角部分6c2の頂点部分を通り軸線Oに平行な縦断面において、胴部6は上下方向に直線状に延びる形状となる。一方、図2に示すように、中間部6cの辺部分6c1を通り軸線Oに平行な縦断面において、胴部6は上下方向に、上端部6a及び下端部6bに対して中間部6cが径方向内側に凹んだ内側に凸の湾曲状に延びる形状となっている。
【0039】
上記構成の胴部6は可撓性を有しており、径方向内側に向けてスクイズ(押圧)されることにより径方向内側(容器内方)に向けて弾性変形することができる。すなわち、積層剥離容器1は、胴部6を容器内方に向けてスクイズ(押圧)することで、収納空間Sに収納されている内容物を口部4から外部に押し出して吐出させることができる。また、胴部6は復元性を有しており、スクイズが解除されると変形状態から元の形状に復元することができる。なお、胴部6には、周方向リブは設けられていない。
【0040】
底部7は、有底円筒状の形状を有し、その下端部は、軸線Oを中心とする円環状の接地部7aとなっている。また、底部7は、接地部7aの内側に位置する底面パネル7bを有している。底部7は胴部6の下端を閉塞している。
【0041】
上記構成の積層剥離容器1は、ブロー成形品となっている。
【0042】
本実施の形態では、積層剥離容器1は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を射出成形して形成された外プリフォームと、外プリフォームとは別にポリエチレンテレフタレート樹脂を射出成形して形成された内プリフォームとを組み合わせた二重構造のプリフォーム組立体を二軸延伸ブロー成形することによって形成されたブロー成形品となっている。なお、外プリフォームは外層体2に対応し、内プリフォームは内層体3に対応する。
【0043】
積層剥離容器1を、上記したプリフォーム組立体を二軸延伸ブロー成形することによって形成されたブロー成形品とした場合には、口部4は、外層体2の二軸延伸ブロー成形されない部分の径方向内側に、内層体3の二軸延伸ブロー成形されない部分が配置された構成とされる。
【0044】
積層剥離容器1を、外層体2に対応する外プリフォームの内側に、内層体3に対応する内プリフォームを組み込んだプリフォーム組立体をブロー成形して形成されたブロー成形品としたことで、本実施の形態の積層剥離容器1を、容易且つ精度よく形成することができる。
【0045】
なお、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とを積層した構成の積層プリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって形成されたものとすることもできる。
【0046】
また、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とが積層された円筒状の積層パリソンを、分割式の金型を用いてブロー成形する押出ブロー成形(EBM:Extrusion Blow Molding)によって形成されたものとすることもできる。
【0047】
本実施の形態の積層剥離容器1では、上記の通り、胴部6は、横断面形状が円形の上端部6aと、横断面形状が円形の下端部6bと、上端部6aと下端部6bとの間に設けられて横断面形状が正六角形状の中間部6cと、上端部6aと中間部6cとの間に設けられて上端部6aの側から中間部6cの側に向けて円形から正六角形に徐々に変化する上側遷移部6dと、下端部6bと中間部6cとの間に設けられて下端部6bの側から中間部6cの側に向けて円形から正六角形に徐々に変化する下側遷移部6eと、を有し、横断面形状における、上端部6aの外径、下端部6bの外径、中間部6cの外接円の径、上側遷移部6dの外接円の径及び下側遷移部6eの外接円の径が、それぞれ同一となる形状とされている。このような構成により、中間部6cの辺部分6c1を通り軸線Oに平行な縦断面において、胴部6は、上下方向に、上端部6a及び下端部6bに対して中間部6cが径方向内側に凹んだ内側に凸の湾曲状に延びる形状となるので、胴部6を上端部と下端部に対して中間部の外径が小さい括れ形状とした場合と同様に、胴部6のスクイズ性を高めるとともにスクイズされた胴部6の元の形状への復元性を高めることができる。一方で、中間部6cの角部分6c2の頂点部分を通り軸線Oに平行な縦断面において、胴部6は、上下方向に直線状に延びる形状となるので、胴部6がスクイズされたときに角部分6c2がスクイズによる押圧方向及び周方向に対して直交する方向に変形することを抑制することができる。これにより、胴部6を上端部と下端部との間で外径が一定の円筒形状とした場合と同様に、胴部6がスクイズされたときに当該スクイズの圧力が内層体3に伝達され易くして、例えば内容物を使い切る際の出し切りの際などにおいて内容物を吐出し易くすることができる。
【0048】
また、本実施の形態の積層剥離容器1では、上端部6aを肩部5の下端よりも小径で上側段部12を介して肩部5の下端に連なる構成とし、下端部6bを底部7の上端よりも小径で下側段部13を介して底部7の上端に連なる構成としたので、胴部6をスクイズしたときに、肩部5と底部7が変形することなく胴部6のみが効率よく押圧されるようにして、胴部6の内容物を吐出する際の吐出操作性より高めることができる。
【0049】
上側段部12は、それぞれ容器内方に向けて凹む凹部20が設けられた構成とすることもできる。図1図2においては、便宜上、1つの凹部20にのみ符号を付してある。上側段部12に複数の凹部20を設けることにより、内容物が吐出されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、凹部20が起点となって内層体3を潰れ易くして、凹部20が設けられた部分において内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0051】
例えば、前記実施の形態では、中間部6cの軸線Oに垂直な横断面形状が、6個の角部分6c2を有する正六角形とされているが、多角形であればよい。
【0052】
また、前記実施の形態では、中間部6cは、上端部6aと下端部6bとの上下方向の中央位置にのみ設けられているが、中間部6cを上下方向に幅を有し、当該上下方向において軸線Oに垂直な横断面形状が一様な多角筒状に形成するようにしてもよい。この場合、上側遷移部6dは上端部6aと中間部6cの上端との間に設けられ、下側遷移部6eは下端部6bと中間部6cの下端との間に設けられる。同様に、上端部6a及び下端部6bは、胴部6の上端位置及び下端位置にのみ設けられているが、上端部6a及び下端部6bも、上下方向に幅を有し、当該上下方向において軸線Oに垂直な横断面形状が一様な円筒状に形成するようにしてもよい。
【0053】
さらに、前記実施の形態では、肩部5と胴部6との間に上側段部12を設けるとともに底部7と胴部6との間に下側段部13を設けるようにしているが、上側段部12及び下側段部13の何れか一方または両方を設けない構成としてもよい。
【0054】
さらに、前記の実施の形態では、外気導入口9を、外層体2の口部4を構成する部分に、当該部分を径方向に貫通する貫通孔として設けるようにしているが、これに限らず、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる構成であれば、肩部5、胴部6及び底部7の何れかの部分に設けるようにしてもよく、また、その形態も貫通孔に限らず、スリット状でも、外層体2と内層体3との境界に開口する隙間状のものであってもよい。
【0055】
さらに、胴部6に、軸線Oと平行または軸線Oに対して傾斜する複数本の縦溝ないし縦リブを周方向に並べて設けて、胴部6のスクイズ性(柔軟性)を高めた構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 積層剥離容器
2 外層体
3 内層体
4 口部
4a 雄ねじ
5 肩部
6 胴部
6a 上端部
6b 下端部
6c 中間部
6c1 辺部分
6c2 角部分
6d 上側遷移部
6e 下側遷移部
7 底部
7a 接地部
7b 底面パネル
8 ネックリング
9 外気導入口
10 凹リブ
11 凸リブ
12 上側段部
13 下側段部
20 凹部
O 軸線
S 収納空間
図1
図2
図3