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特許7570796接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241015BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20241015BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/52 301E
H01R13/648
H01R13/74 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022146218
(22)【出願日】2022-09-14
(65)【公開番号】P2024041407
(43)【公開日】2024-03-27
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
(72)【発明者】
【氏名】東谷 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】早川 智彬
(72)【発明者】
【氏名】近松 靖和
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/235416(WO,A1)
【文献】特開2015-088233(JP,A)
【文献】特開2021-166161(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102474051(CN,A)
【文献】特開2011-119120(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0250789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/648
H01R 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体コネクタと、
前記本体コネクタが第1接続方向に接続されるとともに、当該第1接続方向と交差する第2接続方向に接続対象と接続されることで、当該接続対象に対する前記本体コネクタの接続を中継するアタッチメント部材と、
を備え、
前記アタッチメント部材が、
前記第1接続方向に延在する第1部分と前記第2接続方向に延在する第2部分とを有した屈曲形状に形成され、前記第1部分が前記本体コネクタのコネクタ端子に接続されるとともに前記第2部分が前記接続対象の端子部分に接続されるアタッチメント端子と、
前記第1部分及び前記コネクタ端子が互いに接続された接続部を内蔵するとともに前記第2部分を突出させて前記アタッチメント端子を保持するアタッチメントハウジングと、
有底筒状に形成され、前記第2部分が前記端子部分に接続可能となるように開口から前記アタッチメントハウジングにおける少なくとも前記接続部の内蔵部分が収容されるとともに周壁に前記本体コネクタが接続され、前記開口側が前記接続対象に固定されるシェルと、
前記アタッチメントハウジングにおいて前記内蔵部分を囲むとともに前記シェルと対向する環状のハウジング側対向面、及び前記シェルにおいて前記ハウジング側対向面と対向する環状のシェル側対向面、の相互間をシールする環状のシール部材と、
を備えたことを特徴とする接続方向変換型コネクタ。
【請求項2】
前記アタッチメントハウジングが、前記シェルの軸方向について所定のガタを持った状態で前記シェルに固定され、
前記シール部材は、前記シェルの前記接続対象への固定前の段階では、前記アタッチメントハウジングを前記ガタに応じて前記開口から押し出し、前記シェルが前記アタッチメントハウジングを前記接続対象に押し当てるように前記接続対象に固定されると、前記アタッチメントハウジングによって押し潰されてシールを行うことを特徴とする請求項1に記載の接続方向変換型コネクタ。
【請求項3】
前記シェルには、その内底面から前記軸方向へと突出したネジ受け用のボスであって、前記内底面に立設された第1柱部分と、当該第1柱部分の先端から前記開口側に更に突出して前記アタッチメントハウジングの外壁を貫通する、前記第1柱部分よりも細く且つ前記外壁の厚みよりも前記ガタの分だけ長い第2柱部分と、を有し、前記第1柱部分及び前記第2柱部分の境界が段差面となった段差ボスが設けられており、
前記アタッチメントハウジングは、前記第2柱部分が前記外壁を貫通した前記段差ボスに捩じ込まれるボルトにより、当該ボルトの頭部と前記段差面との間に前記外壁が前記ガタを持って挟まれるように前記シェルに固定されることを特徴とする請求項2に記載の接続方向変換型コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジング側対向面には、環状の前記シール部材が、前記シェル側対向面に向かって一部が前記ガタに応じた突出量で突出した状態で嵌め込まれる環状のシール溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の接続方向変換型コネクタ。
【請求項5】
前記シェルが前記接続対象に固定された状態でも、前記ハウジング側対向面における前記シール溝以外の部分と前記シェル側対向面とが、前記ガタにおける前記アタッチメントハウジングの外壁と前記シェルとの間の間隙よりも小さい相互間距離で離れていることを特徴とする請求項4に記載の接続方向変換型コネクタ。
【請求項6】
請求項1~5のうち何れか一項に記載の接続方向変換型コネクタと、
前記コネクタ端子が端部に設けられ、前記本体コネクタから延出した電線と、
を備えたことを特徴とするワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続方向を変えながらコネクタ接続を行う接続方向変換型コネクタ、及び、そのような接続方向変換型コネクタが端部に設けられたワイヤーハーネスに関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、搭載スペースが限られた場所でのコネクタ接続に利用されるコネクタとして、接続方向を所望の方向に変更してコネクタ接続を行う接続方向変換型コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の接続方向変換型コネクタは、ワイヤーハーネスの端部に設けられ、接続方向を、電線の延出方向に対して90°変更して接続対象の機器とコネクタ接続を行うものとなっている。この接続方向変換型コネクタでは、接続対象に固定される固定面にシール部材が装着されている。そして、接続方向変換型コネクタが接続対象に固定されると、シール部材が固定面と接続対象の外面とに挟まれて密着してシールするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-92441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記の接続方向変換型コネクタでは、接続対象への固定前の段階ではシール部材が露出した状態となり、この段階において露出状態のシール部材が傷付く可能性がある。このため、このような接続方向変換型コネクタは、接続対象への固定前の段階では、シール部材を傷付けないように細心の注意を払って取り扱われる必要があり、そのような取扱いが作業者の負担となる場合がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、固定前の段階におけるシール部材の傷付きを抑制することができる接続方向変換型コネクタ、及び、そのような接続方向変換型コネクタが端部に設けられたワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、接続方向変換型コネクタは、本体コネクタと、前記本体コネクタが第1接続方向に接続されるとともに、当該第1接続方向と交差する第2接続方向に接続対象と接続されることで、当該接続対象に対する前記本体コネクタの接続を中継するアタッチメント部材と、を備え、前記アタッチメント部材が、前記第1接続方向に延在する第1部分と前記第2接続方向に延在する第2部分とを有した屈曲形状に形成され、前記第1部分が前記本体コネクタのコネクタ端子に接続されるとともに前記第2部分が前記接続対象の端子部分に接続されるアタッチメント端子と、前記第1部分及び前記コネクタ端子が互いに接続された接続部を内蔵するとともに前記第2部分を突出させて前記アタッチメント端子を保持するアタッチメントハウジングと、有底筒状に形成され、前記第2部分が前記端子部分に接続可能となるように開口から前記アタッチメントハウジングにおける少なくとも前記接続部の内蔵部分が収容されるとともに周壁に前記本体コネクタが接続され、前記開口側が前記接続対象に固定されるシェルと、前記アタッチメントハウジングにおいて前記内蔵部分を囲むとともに前記シェルと対向する環状のハウジング側対向面、及び前記シェルにおいて前記ハウジング側対向面と対向する環状のシェル側対向面、の相互間をシールする環状のシール部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、ワイヤーハーネスは、上述の接続方向変換型コネクタと、前記コネクタ端子が端部に設けられ、前記本体コネクタから延出した電線と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述の接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスによれば、固定前の段階におけるシール部材の傷付きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスを、模式的な接続対象とともに示す斜視図である。
図2図1に示されている接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスを、単独で示す斜視図である。
図3図1及び図2に示されている接続方向変換型コネクタの分解斜視図である。
図4図1図3に示されているアタッチメント部材の分解斜視図である。
図5】第2シール部材を間に挟んだアタッチメントハウジングとシェルとの固定構造を、図1におけるV11-V11線に沿った断面で示した図である。
図6図5に示されている固定構造における第2シール部材によるシール部分を、その周辺部とともに拡大して示した拡大断面図である。
図7図1図6に示されている実施形態の接続方向変換型コネクタに対する比較例を図6と同等の部分断面で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスの一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスを、模式的な接続対象とともに示す斜視図であり、図2は、図1に示されている接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスを、単独で示す斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示されているワイヤーハーネス1は、自動車等に配索されるものであり、2本の電線1bの端部に接続方向変換型コネクタ1aが設けられたものである。また、図1には、接続方向変換型コネクタ1aの接続対象として、金属製の筐体21に機能部分とともに、接続方向変換型コネクタ1aが接続される端子部分22が収容された機器2が示されている。筐体21については、接続方向変換型コネクタ1aが取り付けられる一壁面のみが示されている。
【0013】
接続方向変換型コネクタ1aは、二端子のストレートコネクタである本体コネクタ11と、その接続方向を90°変更して接続対象としての機器2における端子部分22に二端子で接続するアタッチメント部材12と、を備えたL字型のコネクタである。アタッチメント部材12は、本体コネクタ11が第1接続方向D11に接続されるとともに、この第1接続方向D11と直交する第2接続方向D12に機器2と接続される。アタッチメント部材12は、これらの接続によって機器2に対する本体コネクタ11の接続を中継する部材となっている。
【0014】
アタッチメント部材12では、内部で本体コネクタ11の2つのコネクタ端子に接続される2つのアタッチメント端子121が第2接続方向D12に突出している。アタッチメント部材12が2本のボルト1cによって機器2の筐体21の外壁面に固定されると、筐体21に設けられた進入孔211から2つのアタッチメント端子121が機器2の内部に進入する。そして、この機器2の内部で端子部分22における2つの端子221に2本のボルト2aによってボルト締結されることで、アタッチメント部材12を介して本体コネクタ11が機器2に接続されることとなる。
【0015】
図3は、図1及び図2に示されている接続方向変換型コネクタの分解斜視図であり、図4は、図1図3に示されているアタッチメント部材の分解斜視図である。
【0016】
本実施形態の接続方向変換型コネクタ1aにおける本体コネクタ11は、二連筒状で樹脂製の電線保持部材111に2本の電線1bが挿通され、各電線1bの端部にコネクタ端子112が接続された構造を有している。ここで、本実施形態では、本体コネクタ11から延出する電線1bは、編組で電磁的にシールドされたシールド電線である。各電線1bの端部は、電線保持部材111を抜けた先で芯線が露出されてコネクタ端子112が圧着接続される。また、コネクタ端子112から電線保持部材111の方に若干離れた位置で編組にシールド端子113が接続されている。シールド端子113は、電線1bの編組を接続対象側のグラウンドである金属製の筐体21に接地するための部材である。
【0017】
また、本体コネクタ11は、各電線1bのシールド端子113を、第1シール部材114とともに、電線1bが延在する方向に挟んで支持する一対の支持部材115を備えている。シールド端子113は、金属筒であって、コネクタ端子112側の端部が第1シール部材114と支持部材115とで挟まれて露出した状態で、第1シール部材114の内側で編組に加締め接続されている。第1シール部材114は、ゴム等の柔軟な樹脂で形成された筒状シール部材としてのパッキンであり、一部が電線保持部材111の内部に位置して電線保持部材111の内面と電線1bの間をシールしている。
【0018】
電線保持部材111には、コネクタ端子112側に、アタッチメント部材12に本体コネクタ11を取り付けるための矩形板状の取付けフランジ111aが設けられている。この取付けフランジ111aの対角位置に一対の取付け孔111bが設けられている。図3に示されているように、本体コネクタ11は、取付けフランジ111aにおける一対の取付け孔111bを貫通する2本のボルト1dでアタッチメント部材12に固定される。
【0019】
アタッチメント部材12は、上述したように第1接続方向D11から第2接続方向D12へと接続方向を変えながら、接続対象としての機器2に対する本体コネクタ11の接続を中継する部材である。このアタッチメント部材12は、図3及び図4に示されているように、2つのアタッチメント端子121と、アタッチメントハウジング122と、シェル123と、第2シール部材124と、を備えている。
【0020】
アタッチメント端子121は、本体コネクタ11のコネクタ端子112を機器2の端子部分22における2つの端子221に接続するバスバーである。アタッチメント端子121は、第1接続方向D11に延在する第1部分121aと第2接続方向D12に延在する第2部分121bとを有したL字型の屈曲形状に形成されている。第1部分121aが本体コネクタ11のコネクタ端子112に接続される。コネクタ端子112には、ボルト孔112aとしての貫通孔が形成されている。他方、アタッチメント端子121の第1部分121aには、雌ネジ孔121a-1が形成されている。図3に示されているように、アタッチメント端子121におけるL字の内側から第1部分121aにコネクタ端子112が重ねられる。第1部分121aには、ボルト12aがボルト孔112aを貫通して雌ネジ孔121a-1に捩じ込まれることでコネクタ端子112が締結される。また、アタッチメント端子121の第2部分121bは機器2の端子部分22における端子221に接続される。第2部分121bにはボルト孔121b-1としての貫通孔が形成され、端子部分22の端子221には雌ネジ孔221a(図1)が形成されている。第2部分121bは、端子221の表面に重ねられ、ボルト2aがボルト孔121b-1を貫通して雌ネジ孔221aに捩じ込まれることで端子221に締結される。
【0021】
アタッチメントハウジング122は、第1部分121aとコネクタ端子112との接続部を内蔵するとともに第2部分121bを突出させてアタッチメント端子121を保持する。このアタッチメントハウジング122は、シェル側ハウジング122aと、機器側ハウジング122bと、第3シール部材122cと、フロント部材122dと、2つの第4シール部材122eと、を備えている。
【0022】
シェル側ハウジング122aは、第1部分121aとコネクタ端子112との接続部を内蔵するとともにシェル123に収容される樹脂ハウジングである。シェル側ハウジング122aは、シェル123の奥側に収まる矩形ブロック部122a-1に、シェル123の入り口側に嵌め込まれる矩形板部122a-2が重ねられて一体となった形状を有している。このシェル側ハウジング122aには、機器側ハウジング122bが後述のように収められて設置される矩形状の設置凹部122a-3が設けられている。さらに、設置凹部122a-3の底面には、第1部分121aとコネクタ端子112との接続部が収容される端子収容室122a-4が、設置凹部122a-3の底面から凹んだ矩形状の凹部として2つ設けられている。端子収容室122a-4には、シェル123及びシェル側ハウジング122aの側壁を貫通したコネクタ端子112が差し入れられ、端子収容室122a-4の開口から第1部分121aが差し入れられる。そして、この端子収容室122a-4の内部でボルト12aによる上述の締結が行われて、第1部分121aとコネクタ端子112との接続部が収容されることとなる。また、シェル側ハウジング122aには、シェル側ハウジング122aをシェル123に固定するためのボルト孔122a-5が4箇所に貫通孔として設けられている。シェル側ハウジング122aは、これら4箇所のボルト孔122a-5を貫通した4本のボルト12bによってシェル123に締結される。
【0023】
機器側ハウジング122bは、アタッチメント端子121における第2部分121bに貫通されて第2接続方向D12へと突出させた状態でシェル側ハウジング122aに設置される樹脂ハウジングである。この機器側ハウジング122bは、長円筒状の機器側部分122b-1と矩形板状の基端部分122b-2とが一体となった形状を有している。機器側部分122b-1は、第2部分121bを保持しつつ機器2に向かって突出させる部位である。基端部分122b-2は、機器側部分122b-1における第2部分121b-1の突出側とは反対側で当該機器側部分122b-1からフランジ状に張り出した部位である。この基端部分122b-2は、アタッチメント端子121の第1部分121aをシェル側ハウジング122aに向かって露出させる。機器側ハウジング122bには、基端部分122b-2から機器側部分122b-1に掛けて、第2部分121bが機器2に向かって挿通される機器挿通孔122b-3が一対設けられている。機器側ハウジング122bは、第2部分121bが機器挿通孔122b-3に挿通された状態で基端部分122b-2が設置凹部122a-3に収められてシェル側ハウジング122aに設置される。また、機器側部分122b-1が後述のフロント部材122dとともに、第2部分121bを突出させた状態で、筐体21(図1)に設けられた進入孔211から機器2の内部に進入する。
【0024】
第3シール部材122cは、シェル側ハウジング122a及び機器側ハウジング122bの相互間をシールする。具体的には、第3シール部材122cは、機器側ハウジング122bにおける基端部分122b-2の外周とシェル側ハウジング122aにおける設置凹部122a-3の内周との間に介在してシールする環状シール部材としてのパッキンとなっている。機器側ハウジング122bにおける基端部分122b-2の外周には、第3シール部材122cの取付け溝122b-4が全周に亘って設けられている。
【0025】
フロント部材122dは、機器側ハウジング122bにおける機器側部分122b-1の先端に被せられる樹脂キャップである。このフロント部材122dには、機器側ハウジング122bの機器挿通孔122b-3に連通してアタッチメント端子121の第2部分121bを突出させる端子窓122d-1が一対形成されている。
【0026】
第4シール部材122eは、機器2における筐体21の進入孔211に進入する機器側ハウジング122bの機器側部分122b-1及び進入孔211の相互間をシールする環状のパッキンであり、2つ設けられている。1つの第4シール部材122eは、機器側部分122b-1と基端部分122b-2との境界部に設置され、当該境界部と進入孔211における外側の内周縁とに挟まれて両者間をシールする。機器側部分122b-1と基端部分122b-2との境界部には第4シール部材122eの取付け溝122b-5が全周に亘って設けられている。もう1つの第4シール部材122eは、機器側部分122b-1の中間部と進入孔211における中間部の内面とに挟まれて両者間をシールする。機器側部分122b-1の中間部には、フロント部材122dとの間に第4シール部材122eを挟んで保持するための保持段差122b-6が全周に亘って設けられている。
【0027】
以上に説明した各部品を備えて構成されるアタッチメントハウジング122が、コネクタ端子112と接続されたアタッチメント端子121を保持するとともに、シェル側ハウジング122aでシェル123に収容される。
【0028】
シェル123は、有底矩形筒状に形成され、アタッチメント端子121の第2部分121bが機器2の端子部分22に接続可能となるように開口123aからアタッチメントハウジング122におけるシェル側ハウジング122aが収容される。アタッチメントハウジング122では、このシェル側ハウジング122aが、コネクタ端子112とアタッチメント端子121における第1部分121aの接続部の内蔵部分となっている。シェル123は、換言すると、アタッチメントハウジング122におけるこのような内臓部分が収容される部位となっている。他方で、アタッチメントハウジング122の機器側ハウジング122bにおける機器側部分122b-1は、その先端のフロント部分122d及び2つの第2部分121bとともにシェル123の開口123aから突出して露出している。また、シェル123の周壁123bを構成する四壁面のうちの1つの壁面123b-1には、2つのコネクタ端子112が貫通する2つの貫通孔123cが設けられている。この貫通孔123cの内周と本体コネクタ11との間は、コネクタ端子112の隣に設けられる第1シール部材114によってシールされる。また、この貫通孔123cが設けられた壁面123b-1には、本体コネクタ11を固定する2本のボルト1d(図3)が捩じ込まれる2つの雌ネジ孔が設けられている。また、周壁123bにおける他の三壁面には、開口123aの縁寄りにボルト固定用の一対の舌片123fと1つのリブフランジ123gとが設けられている。これらの舌片123f及びリブフランジ123gは、図1に示されているように、機器2の筐体21に対する接続方向変換型コネクタ1aの固定に利用される。即ち、舌片123fのボルト孔123f-1及びリブフランジ123gのボルト孔123g-1を貫通した3本のボルト1cが筐体21に設けられた3つの雌ネジ孔に捩じ込まれることで筐体21が接続方向変換型コネクタ1aに締結されることとなる。
【0029】
また、シェル123の内側には、シェル側ハウジング122aにおける矩形ブロック部122a-1が嵌め込まれる矩形の深底凹部123hと、矩形板部122a-2が嵌め込まれる浅底凹部123jと、が形成されている。深底凹部123hと浅底凹部123jとの境界部は、矩形板部122a-2の縁寄りの部分と対面する段差面となっている。また、深底凹部123hの底面には、詳細は後述するネジ受け用の4本の段差ボス123mが立設されている。深底凹部123h及び浅底凹部123jに収められたシェル側ハウジング122aは、図4に示されているように、4箇所のボルト孔122a-5を貫通した4本のボルト12bが各段差ボス123mの雌ネジ孔に捩じ込まれることでシェル123に締結される。
【0030】
第2シール部材124は、シェル123及びアタッチメントハウジング122の相互間をシールする。この第2シール部材124は、アタッチメントハウジング122におけるシェル側ハウジング122aの矩形板部122a-2の縁寄りの部分と、シェル123における段差面との間に挟み付けられる矩形環状のシール部材としてのパッキンとなっている。第2シール部材124は、これら2つの面に挟まれて潰されることでシェル123及びアタッチメントハウジング122の相互間をシールする。この第2シール部材124を間に挟んだアタッチメントハウジング122とシェル123との固定構造については後で別図を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
また、本体コネクタ11では、シェル123が金属等の導電部材で形成され、アタッチメント端子121の第1部分121aとコネクタ端子112との接続部を電磁的にシールドする。更に、シェル123は、第1シール部材114によるシールよりも内側でシールド端子113が接続され、機器2における金属製の筐体21に取り付けられることで筐体21に対する編組の接地を中継する。
【0032】
次に、第2シール部材124を間に挟んだアタッチメントハウジング122とシェル123との固定構造について説明する。
【0033】
図5は、第2シール部材を間に挟んだアタッチメントハウジングとシェルとの固定構造を、図1におけるV11-V11線に沿った断面で示した図である。また、図6は、図5に示されている固定構造における第2シール部材によるシール部分を、その周辺部とともに拡大して示した拡大断面図である。
【0034】
図5及び図6には、第2シール部材124を間に挟んだアタッチメントハウジング122とシェル123との固定構造が、接続対象である機器2に接続方向変換型コネクタ1aが接続された状態で示されている。尚、図5及び図6の断面図では、シェル123における1つの段差ボス123mを通る断面から外れるアタッチメント端子121等が図示されていない。この断面図では、接続方向変換型コネクタ1aにおいて機器2の筐体21の進入孔211に進入した部分としては、機器側ハウジング122bの一部、第4シール部材122eの一部、及びフロント部材122dの一部が示されている。上述したように、機器側ハウジング122bの機器側部分122b-1と基端部分122b-2との境界に位置する第4シール部材122eは、当該境界部と進入孔211における外側の内周縁とに挟まれて両者間をシールする。また、基端部分122b-2の外周とシェル側ハウジング122aにおける設置凹部122a-3の内周との間には、第3シール部材122cが配置されて両者間をシールしている。機器2の内部では、フロント部材122dの先に端子部分22が位置しており、この端子部分22の端子221(図1)にアタッチメント端子121が接続される。
【0035】
ここで、シェル123及びアタッチメントハウジング122の相互間をシールする第2シール部材124は、以下に説明するハウジング側対向面122a-6とシェル側対向面123kとの間をシールする環状のシール部材となっている。ハウジング側対向面122a-6は、アタッチメントハウジング122においてアタッチメント端子121とコネクタ端子112との接続部を内蔵する内蔵部分を囲むとともに、シェル123と対向する環状の面部分である。具体的には、ハウジング側対向面122a-6は、シェル側ハウジング122aの矩形板部122a-2において矩形ブロック部122a-1を囲むように張り出した、矩形板部122a-2の縁寄りの矩形環状の面である。シェル側対向面123kは、このハウジング側対向面122a-6と対向する環状の面部分であり、具体的には、シェル123における深底凹部123hと浅底凹部123jとの境界部における矩形環状の段差面である。
【0036】
第2シール部材124は、シェル123の機器2の筐体21への固定前の段階では、アタッチメントハウジング122を、シェル123とのガタに応じて開口123aから押し出す。シェル123が、この押し出されたアタッチメントハウジング122を機器2の筐体21に押し当てるように固定されると、第2シール部材124は、押し戻されてくるアタッチメントハウジング122によって押し潰されてシールを行う。
【0037】
ここで、本実施形態では、アタッチメントハウジング122とシェル123とのガタは、第2シール部材124が無いときに、有底矩形筒状のシェル123の軸方向D13について、アタッチメントハウジング122が移動可能な間隙のことである。アタッチメントハウジング122は、シェル側ハウジング122aに設けられた4箇所のボルト孔122a-5、シェル123におけるネジ受け用の4本の段差ボス123m、及び4本のボルト12bによってシェル123に上記のガタを持って固定される。
【0038】
段差ボス123mは、シェル123の内底面から軸方向D13へと突出して立設された第1柱部分123m-1と、第1柱部分123m-1の先端から開口123a側に更に突出した、第1柱部分123mよりも細い第2柱部分123m-2と、を有している。この段差ボス123mのうちの第2柱部分123m-2が、シェル側ハウジング122aのボルト孔122a-5を貫通し、この第2柱部分123m-2の先端からボルト12bが捩じ込まれる。このとき、第2柱部分123m-2の長さL11が、シェル側ハウジング122aにおけるボルト孔122a-5形成部分の外壁122a-7の厚みt11よりも長くなっている。このため、ボルト孔122a-5を第2柱部分123m-2が貫通した段差ボス123mにボルト12bが、その頭部が当接するまで捩じ込まれても、ボルト12bの頭部と段差ボス123mの段差面との間で外壁122a-7が軸方向D13に僅かに移動可能となる。その移動可能な距離は、第2柱部分123m-2の長さL11と外壁122a-7の厚みt11との差であり、この差が、アタッチメントハウジング122とシェル123とのガタとなる。即ち、アタッチメントハウジング122は、段差ボス123mに捩じ込まれるボルト12bにより、当該ボルト12bの頭部と段差面との間に外壁122a-7が上記のガタを持って挟まれるようにシェル123に固定される。
【0039】
シェル123が筐体21に固定される前の段階では、第2シール部材124は、アタッチメントハウジング122を上記のガタに応じ、ボルト孔122a-5周辺の外壁122a-7がボルト12bの頭部に当接するまでシェル123の開口123aから押し出す。そして、シェル123が機器2の筐体21に固定されると、第2シール部材124は、筐体21によって固定前の押出し量の分だけ押し戻されてくるアタッチメントハウジング122によって押し潰されてシールを行う。
【0040】
また、ハウジング側対向面122a-6には、環状の第2シール部材124が、シェル側対向面123kに向かって一部が上記のガタに応じた突出量で突出した状態で嵌め込まれる環状のシール溝122a-8が形成されている。シェル123にアタッチメントハウジング122が固定されると、第2シール部材124におけるシール溝122a-8からの突出部分がシェル側対向面123kに押し付けられて潰される。そして、その反力によってアタッチメントハウジング122が押し出される。このときの押出しは、上述のように、ボルト孔122a-5周辺の外壁122a-7がボルト12bの頭部に当接する押出し量で行われる。シェル123が機器2の筐体21に固定されると、アタッチメントハウジング122が筐体21によって押し戻され、ボルト孔122a-5周辺の外壁122a-7がボルト12bの頭部から段差ボス123mの段差面側に離れる。その結果、アタッチメントハウジング122とシェル123とのガタは、段差面側ガタX13とボルト側ガタX14とに分かれる。このとき、ハウジング側対向面122a-6におけるシール溝122a-8以外の部分とシェル側対向面123kとの間隔は縮まる。ただし、シェル123が筐体21に完全に固定された状態でも、ハウジング側対向面122a-6におけるシール溝122a-8以外の部分とシェル側対向面123kとの間は離れる。このとき両者間の相互間距離X12は、上記のガタにおける外壁122a-7とシェル123との間の間隙、つまり、上記の段差面側ガタX13よりも小さい。また、(段差面側ガタX13)+(ボルト側ガタX14)で表されるガタは、アタッチメントハウジング122及びシェル123それぞれにおける製造誤差のばらつきを吸収する間隙となる。
【0041】
ここで、シェル123が筐体21に固定された状態で第2シール部材124が軸方向D13に十分に潰されていることが、この第2シール部材124が十分なシール性能を発揮するための条件の1つとなる。この固定状態での第2シール部材124の潰し量は、固定状態におけるシール溝122a-8の底とシェル側対向面123kとの間の隙間(以下、シール性設計間隙X11と呼ぶ。)によって決まる。本実施形態では、このシール性設計間隙X11は、筐体21における固定状態でのシェルの着座面を基準面A11としたときの以下の二寸法によってコントロールされる。即ち、固定状態で基準面A11からシェル側対向面123kまでの距離となる浅底凹部123jの深さL12と、固定状態で基準面A11からシール溝122a-8の底まで距離となる溝底肉厚L13の二寸法である。そして、シール性設計間隙X11は、(浅底凹部123jの深さL12)-(溝底肉厚L13)で求められることとなる。
【0042】
以上に説明した実施形態の接続方向変換型コネクタ1a及びワイヤーハーネス1によれば、以下のような効果を奏することができる。即ち、本実施形態によれば、シェル123の開口123a側が機器2に固定されることで、本体コネクタ11が、第1接続方向D11から第2接続方向D12へと接続方向を変更されつつ機器2に接続される。そして、塩水等からシールするべきコネクタ端子112とアタッチメント端子121との接続部は、アタッチメントハウジング122aにおけるこの接続部の内蔵部分を囲む第2シール部材124によってシールされる。このとき、この第2シール部材124は、アタッチメントハウジング122aにおけるハウジング側対向面122a-6とシェル123におけるシェル側対向面123kとの間に挟まれて配置される。このような配置により、接続方向変換型コネクタ1aが機器2に固定される前の段階から、第2シール部材124は、ハウジング側対向面122a-6とシェル側対向面123kとの間に挟まれて隠れた状態となっているので傷付きが抑制されることとなる。このように、上記の接続方向変換型コネクタ1aによれば、固定前の段階における第2シール部材124の傷付きを抑制することができる。
【0043】
ここで、本実施形態では、アタッチメントハウジング122がガタを持った状態でシェル123に固定される。第2シール部材124は、機器2へのシェル123の固定前の段階では、アタッチメントハウジング122をガタに応じてシェル123から押し出す。そして、機器2にシェル123が固定されると、アタッチメントハウジング122によって第2シール部材124が押し潰されてシールを行う。この構成によれば、第2シール部材124は、ガタに応じた潰し量で押し潰されてシールを行うこととなる。従って、アタッチメントハウジング122を、どの程度のガタを持たせてシェル123に固定するかという限定されたパラメータによって第2シール部材124の潰し量、即ち塩水等に対するシール性能をコントロールすることができる。そして、シール性能コントロール用のパラメータが限定されることから、シール性能のコントロールが容易となり、その結果としてシール性能を向上させることができる。本実施形態では、このガタに結び付いてシール性能を決定するシール性設計間隙X11は、(浅底凹部123jの深さL12)-(溝底肉厚L13)で求められる。
【0044】
図7は、図1図6に示されている実施形態の接続方向変換型コネクタに対する比較例を図6と同等の部分断面で示した図である。
【0045】
この図7に示されている比較例の接続方向変換型コネクタ5aは、シェル523に対するアタッチメントハウジング522の固定構造が異なる他は、上述の実施形態の接続方向変換型コネクタ1aと同等の構成を有している。そこで、図7では、図1図6に示されている構成要素と同等な構成要素については、説明に必要なものについてのみ図1図6と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素に関する重複説明を割愛する。
【0046】
比較例の接続方向変換型コネクタ5aでは、アタッチメントハウジング522のボルト孔522a-5が、外壁122a-7の厚みt11よりも長い筒状金属のカラー522a-9がインサート成形によって一体となって構成されている。カラー522a-9は、両端の開口部が何れもアタッチメントハウジング522の外壁122a-7から若干突出した状態でインサート成形されている。
【0047】
また、シェル523においてボルト孔522a-5に対応する位置には、単純円柱状のボス523mが立設されている。アタッチメントハウジング522は、外壁122a-7の外側に突出したカラー522a-9がボス523mの先端に当接するようにシェル523に嵌め込まれ、カラー522a-9を貫通したボルト12bによってボス523mへと締結される。この比較例の接続方向変換型コネクタ5aでは、上述の実施形態とは異なり、アタッチメントハウジング522はガタを生ずることなくシェル523に固定される。このとき、機器2の筐体21へのシェル523の固定を妨げないように、シェル側ハウジング522aの矩形板部122a-2と筐体21の外壁面との間に間隙X55が開くように構成されている。そして、この比較例では、第2シール部材124は、シェル523の機器2への固定の前後に関わらず、以下のようなシール性設計間隙X51に基づく潰し量で常時潰された状態で、ハウジング側対向面122a-6とシェル側対向面123kとの間をシールする。
【0048】
この比較例におけるシール性設計間隙X51は、基準面A51である機器2の筐体21の外壁面からシェル側対向面123kまでの距離となる浅底凹部123jの深さL52から、基準面A51からシール溝122a-8の底までの距離を減じた値となる。このとき、基準面A51からシール溝122a-8の底までの距離は、上記の間隙X55にシール溝122a-8における溝底肉厚L53を加えた値となる。そして、間隙X55は、以下の二寸法で表される。一の寸法は、基準面A51からボス523mの先端面までの距離、つまりシェル523の内部におけるボス523mの先端深さL54である。もう一つの寸法は、矩形板部122a-2の機器2への当接面から、シェル側ハウジング522a外面側に突出したカラー522a-9の端面までの距離であるカラー端面高さL55である。間隙X55は、ボス523mの先端深さL54からカラー端面高さL55を減じた値となる。つまり、この比較例におけるシール性設計間隙X51は、(浅底凹部123jの深さL52)-{(ボス523mの先端深さL54)-(カラー端面高さL55)+(溝底肉厚L53)}で求められることとなる。
【0049】
以上に説明した比較例によっても、上述の実施形態と同様、第2シール部材124が隠れた状態となっているので、固定前の段階における第2シール部材124の傷付きを抑制することができる。他方で、アタッチメントハウジング522がシェル523に対してガタを持たないこの比較例では、シール性設計間隙X51が、そのコントロールに上記のような四つのパラメータを必要とし、シール性能の向上に関する難易度が高くなる。
【0050】
これに対し、上述の実施形態によれば、シール性設計間隙X11のコントロールに要するパラメータが2つで済むことから、シール性能の向上に関する難易度を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態では、シェル123に段差ボス123mが設けられている。そして、アタッチメントハウジング122は、ボルト12bの頭部と段差ボス123mの段差面との間に外壁122a-7がガタを持って挟まれるようにシェル123に固定される。この構成によれば、上記のシール性設計間隙X11を、段差ボス123mにおける第2柱部分123m-2の長さL11と、アタッチメントハウジング122の外壁122a-7の厚みt11と、の差によって高精度でコントロールすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ハウジング側対向面122a-6には、環状の第2シール部材124が嵌め込まれる環状のシール溝122a-8が形成されている。この構成によれば、シール溝122a-8に第2シール部材124が嵌め込まれることでハウジング側対向面122a-6における第2シール部材124の位置が安置するので、この第2シール部材124によるシール性能を一層向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、シェル123が機器2に固定された状態でも、ハウジング側対向面122a-6におけるシール溝122a-8以外の部分とシェル側対向面123kとが、次のような相互間距離X12で離れている。この相互間距離X12は、上記のガタにおける外壁122a-7とシェル123との間の間隙である段差面側ガタX13よりも小さい距離となっている。この構成によれば、固定状態でもハウジング側対向面122a-6におけるシール溝122a-8以外の部分とシェル側対向面123kとが離れるので、第2シール部材124を十分に潰してシール性能を効果的に発揮させることができる。
【0054】
尚、以上に説明した実施形態は接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスの代表的な形態を示したに過ぎない。接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスは、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、ワイヤーハーネスの一例として、自動車等に配索されるワイヤーハーネス1が例示されているが、ワイヤーハーネスはこれに限るものではなく、その具体的な配策場所を問うものではない。
【0056】
また、上述した実施形態では、接続方向変換型コネクタの一例として、二端子のストレートコネクタである本体コネクタ11を、その接続方向を90°変更して接続対象に接続する接続方向変換型コネクタ1aが例示されている。しかしながら、接続方向変換型コネクタはこれに限るものではなく、接続方向の具体的な変更角度や、具体的な端子数等を問うものではない。
【0057】
また、上述した実施形態では、アタッチメント部材の一例として、矩形ブロック状の外観を有するアタッチメント部材12が例示されている。しかしながら、アタッチメント部材はこれに限るものではなく、その具体的な外観形状等については任意の形状に設定可能である。
【0058】
また、上述した実施形態では、ワイヤーハーネスの一例として、シールド電線としての電線1bを備えたワイヤーハーネス1が例示されている。そして、このワイヤーハーネス1における接続方向変換型コネクタ1aでは、電線1bの編組が、シールド端子113を介して金属製のシェル123に接続されている。しかしながら、接続方向変換型コネクタ及びワイヤーハーネスはこれに限るものではなく、電線がシールド構造を持たない通常の電線であり、本体コネクタが編組接地用のシールド端子を備えないコネクタとなっていてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、接続方向変換型コネクタの一例として、アタッチメントハウジング122がガタを持った状態でシェル123に固定された接続方向変換型コネクタ1aが例示されている。しかしながら、接続方向変換型コネクタは、これに限るものではなく、例えば図7に比較例として示されているように、アタッチメントハウジング522がガタを生ずることなくシェル523に固定されたものであってもよい。ただし、アタッチメントハウジング122の固定にガタを持たせることで、シール性能を決定するシール性設計間隙X11を2つのパラメータで決定することができ、シール性能の向上に関する難易度を低減することができる点は上述した通りである。
【0060】
また、上述した実施形態では、接続方向変換型コネクタの一例として、アタッチメントハウジング122の外壁122a-7がボルト12bの頭部と段差ボス123mの段差面との間にガタを持って挟まれた接続方向変換型コネクタ1aが例示されている。しかしながら、接続方向変換型コネクタは、これに限るものではなく、例えば図7に比較例として示されているように、アタッチメントハウジング522の外壁122a-7が段差を持たないボス523mにガタなく固定されたものであってもよい。ただし、段差ボス123mを介してガタを持たせてアタッチメントハウジング122の外壁122a-7を固定することで、上記のシール性設計間隙X11を高精度でコントロールすることができる点は上述した通りである。
【0061】
また、上述した実施形態では、接続方向変換型コネクタの一例として、ハウジング側対向面122a-6に環状のシール溝122a-8が形成された接続方向変換型コネクタ1aが例示されている。しかしながら、接続方向変換型コネクタは、これに限るものではなく、ハウジング側対向面を平坦面としてシェル側対向面との間にシール部材を挟むこととしてもよい。ただし、ハウジング側対向面122a-6にシール溝122a-8を設けて第2シール部材124が嵌め込まれることでシール性能を一層向上させることができる点は上述した通りである。
【0062】
また、上述した実施形態では、接続方向変換型コネクタの一例として、シェル123の固定時でも、ハウジング側対向面122a-6におけるシール溝122a-8以外の部分とシェル側対向面123kとが離れる接続方向変換型コネクタ1aが例示されている。しかしながら、接続方向変換型コネクタは、これに限るものではなく、シェル123の固定時には、ハウジング側対向面におけるシール溝以外の部分とシェル側対向面とを密着させることとしてもよい。ただし、シェル123の固定時にハウジング側対向面122a-6におけるシール溝122a-8以外の部分とシェル側対向面123kとを離すことで、第2シール部材124を十分に潰してシール性能を効果的に発揮させることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0063】
1 ワイヤーハーネス
1a,5a 接続方向変換型コネクタ
1b 電線
1c,1d,2a,12a,12b ボルト
2 機器(接続対象)
11 本体コネクタ
12 アタッチメント部材
21 筐体
22 端子部分
111 電線保持部材
111a 取付けフランジ
111b 取付け孔
112 コネクタ端子
112a,123f-1,123g-1,121b-1,122a-5,522a-5 ボルト孔
113 シールド端子
114 第1シール部材
115 支持部材
121 アタッチメント端子
121a 第1部分
121a-1,221a 雌ネジ孔
121b 第2部分
122,522 アタッチメントハウジング
122a シェル側ハウジング
122a-1 矩形ブロック部
122a-2 矩形板部
122a-3 設置凹部
122a-4 端子収容室
122a-6 ハウジング側対向面
122a-7 外壁
122a-8 シール溝
122b 機器側ハウジング
122b-1 機器側部分
122b-2 基端部分
122b-3 機器挿通孔
122b-4,122b-5 取付け溝
122b-6 保持段差
122c 第3シール部材
122d フロント部材
122d-1 端子窓
122e 第4シール部材
123,523 シェル
123a 開口
123b 周壁
123c 貫通孔
123f 舌片
123g リブフランジ
123h 深底凹部
123j 浅底凹部
123k シェル側対向面
123m 段差ボス
123m-1 第1柱部分
123m-2 第2柱部分
124 第2シール部材
211 進入孔
221 端子
522a-9 カラー
523m ボス
A11,A51 基準面
D11 第1接続方向
D12 第2接続方向
D13 軸方向
t11 外壁の厚み
L11 第2柱部分の長さ
L12,L52 浅底凹部の深さ
L13,L53 溝底肉厚
L54 ボスの先端深さ
L55 カラー端面高さ
X11,X51 シール性設計間隙
X12 相互間距離
X13 段差面側ガタ
X14 ボルト側ガタ
X55 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7