IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長谷川香料株式会社の特許一覧

特許7570799酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20210101AFI20241015BHJP
   C12J 1/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A23L2/38 R
C12J1/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024123458
(22)【出願日】2024-07-30
【審査請求日】2024-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2024064359
(32)【優先日】2024-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214537
【氏名又は名称】長谷川香料株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三角 禎之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 丈士
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 玄隆
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一輝
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-190990(JP,A)
【文献】特開2004-267177(JP,A)
【文献】特開平06-090734(JP,A)
【文献】国際公開第2007/097433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-2/84
A23L 27/00-27/60
C12J 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行う、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法。
【請求項2】
フェノールオキシダーゼが、ラッカーゼおよび/またはチロシナーゼである、請求項1に記載の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法。
【請求項3】
請求項1に記載の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法において、風味改善が、酸味および/または酸臭の低減である風味改善方法。
【請求項4】
酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行う、風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の製造方法。
【請求項5】
以下の工程(A)および(B)を含む、風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の製造方法。
工程(A):酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品とフェノールオキシダーゼとを接触させる工程、
工程(B):前記工程(A)後の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を加熱する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、栄養面、生理機能面から、ビネガードリンクなどの酢酸発酵食品が市場において多く見られるようになり、定番の黒酢やリンゴ酢以外にも、様々なフルーツと掛け合わせるなど、その注目度は年々増加傾向がみられる。
【0003】
一方、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品は、摂取するときに強い酸味や酸臭(いわゆる酢カド)を感じ、飲みにくいという欠点がある。
【0004】
このような背景にかんがみ、例えば、リナロールオキシド、ベンジルアルコール、エチルピルベート、イソブチルアルコール、マルトールイソブチレート、及びネオヘスペリジンジヒドロカルコンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する、酢酸含有製品の酢酸臭マスキング剤(特許文献1)、(A)2-オクテナール、(B)(+)ローズオキシド、及び(C)1,8-シネオールからなる群より選択される1種又は2種以上の成分を含む、酢酸臭マスキング剤(特許文献2)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-124142号公報
【文献】特開2023-16435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の強い酸味や酸臭(いわゆる酢カド)を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題にかんがみ、鋭意研究を行った。その結果、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行うことで、いわゆる「酢カド」が低減または消失し、風味改善、特に好ましくない風味の改善に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明は以下のものを提供する。
(1)酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行う、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法。
(2)フェノールオキシダーゼが、ラッカーゼおよび/またはチロシナーゼである、(1)1に記載の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法。
(3)(1)に記載の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法において、風味改善が、酸味および/または酸臭の低減である風味改善方法。
(4)酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行う、風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の製造方法。
(5)以下の工程(A)および(B)を含む、風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の製造方法。
工程(A):酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品とフェノールオキシダーゼとを接触させる工程、
工程(B):前記工程(A)後の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を加熱する工程
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡便かつ高い効果で、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味を改善することができ、また、風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[酢酸発酵食品]
本発明において、酢酸発酵食品とは、エタノールを含む処理対象物を、酢酸発酵を行う微生物により処理して得られる、酢酸を含有する飲食品を意味する。また、酢酸発酵を行う微生物はエタノールを酸化して酢酸に変える能力を持つ微生物であれば、その種類の如何を問わず利用することができるが、酢酸菌であることが好ましい。
【0011】
酢酸発酵を行うためのエタノールの由来は特に問わず、いずれのものでも利用できる。前記エタノールを含む処理対象物は、好ましくは(1)植物原料もしくは植物原料の麹菌処理物またはこれらの抽出物に対し酵母発酵を行う方法、(2)植物原料にエタノールを加える方法、などにより得ることができる。
【0012】
前記(1)の植物原料もしくは植物原料の麹菌処理物またはこれらの抽出物に対し酵母発酵を行う方法は、植物原料が糖質の多い原料(例えば果実類など)であれば、植物原料をそのまま酵母発酵に供する方法が例示できる。また、植物原料が貯蔵多糖類(でんぷんなど)の多い原料(例えば、イモ類、穀物類など)であれば、植物原料中の貯蔵多糖類を麹菌等で分解して糖質を増加させ、その後または並行して、酵母発酵を行ってエタノールを増加させる方法、を例示することができる。
【0013】
前記(2)の植物原料にエタノールを加える方法は、植物原料にエタノールを加える方法の他、植物原料をエタノールまたはエタノールを含む溶液(一般的にはエタノール水溶液)にて抽出する方法などが例示できる。
【0014】
酢酸発酵食品の代表的なものとしては醸造酢が例示でき、醸造酢としては、例えば、穀物酢(小麦酢、麦芽酢、トウモロコシ酢、雑穀酢、各種穀物混合酢など)、米酢、純米酢、黒酢、酒粕酢、ワインビネガー(赤、白、ロゼ)、モルトビネガー、シェリービネガー、果実酢(リンゴ酢、ミカン酢、バルサミコ酢など)などが例示できる。
【0015】
[酢酸発酵食品を含有する飲食品]
酢酸発酵食品を含有する飲食品は、前記酢酸発酵食品を原料として含有させたまたは配合した飲食品を意味し、そのような飲食品としては、例えば、醸造酢を配合した各種飲料(乳製品含有飲料、野菜飲料、清涼飲料水、炭酸飲料、ゼリー飲料、穀物飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、カクテル、チューハイなど)などが挙げられる。また、飲料以外では、デザート用の果実ソース類、キャラメルソース、カスタードソース、チョコレートソース、ジャム・スプレッド類、調味酢(ぽん酢、ぽん酢醤油、甘酢、酢の物用調味酢、すし飯用調味酢など)、マヨネーズ、ドレッシング類、スターソース、ケチャップ、醸造酢配合調理食品(寿司、酢の物、サラダ、酢豚、酢漬けなど)が挙げられる。
【0016】
なお、本発明の課題にかんがみ、本発明の酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品は、強い酸味や酸臭を感じる程度に酢酸を含有している組成物といえ、そのような酢酸の含有量は、組成物全体に対し、0.02~30w/v%、好ましくは0.05~20w/v%、より好ましくは0.1~10w/v%、さらに好ましくは0.2~8w/v%を例示できる。
【0017】
[香味・風味]
本発明において、「香味」とは、香りによって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味し、「風味」という場合もある。
【0018】
[好ましくない風味]
本発明において、「好ましくない風味」とは、酢酸特有の強い酸味や酸臭をいう。また、これらを「酢カド」という場合もある。
【0019】
[フェノールオキシダーゼ]
本発明において、フェノールオキシダーゼとは、フェノール性水酸基を持つ化合物を酸化することのできる酵素の総称で、例えばモノフェノールオキシダーゼ、ジフェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼなどが包含される。これらの中で、特にラッカーゼおよびチロシナーゼを好ましく例示できる。
【0020】
[ラッカーゼ]
本発明においてラッカーゼとは、国際生化学分子生物学連合により決定された酵素番号(Enzyme Commission number)がEC1.10.3.2に分類される酵素である。また、本発明において用いるラッカーゼは、食品に用いることができるラッカーゼであればいずれでもよく、ラッカーゼを含むものであってもよい。中でも、ラッカーゼは、Trametes属に属する生物に由来するラッカーゼが好ましい。
【0021】
ラッカーゼの入手方法は、特に制限されず、ウルシなどの植物由来のラッカーゼ、各種の微生物から調製された粗酵素や商業的に入手できるものを用いることができ、市販品としては、例えば、ラッカーゼ製剤であるラッカーゼY120(Trametes sp.由来;天野エンザイム株式会社製)、ラッカーゼ(Trametes versicolor由来;SIGMA-ALDRICH社製)、Denilite(登録商標) II S(Trametes villosa由来;ノボザイムズ ジャパン株式会社製)などが使用できる。
【0022】
[チロシナーゼ]
本発明において、チロシナーゼとは、国際生化学分子生物学連合により決定された酵素番号がEC1.14.18.1に分類される酵素である。チロシナーゼは、モノフェノールをo-ジフェノールに、o-ジフェノールをo-キノンに酸化する酵素であり、生物界に広範に分布している。本発明において用いるチロシナーゼは、食品に用いることができるチロシナーゼであればいずれでもよく、チロシナーゼを含むものであってもよい。本発明に用いることのできるチロシナーゼは、例えば、マッシュルームや動物の皮膚細胞の抽出液、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、バシラス(Bacillus)、ミロテイウム(Myrotheium)、ムコラ(Mucor)、ミリオコッカム(Miriococcum)、アスペルギルス(Aspergillus)、カエトトマスチア(Chaetotomastia)、アスコバギノスポラ(Ascovaginospora)、カエトミウム(Chaetomium)、トラメテス(Trametes)、セルプラ・ラクリマンス(Serpula lacrymans)、コニジオフォラ・プテアナ(Conidiophora puteana)、ピクノポルス・スシタリウム(Pycnoporus, Scytalium)およびトリコデルマ(Trichoderma)等の菌培養液より抽出して得ることができる。
【0023】
市販品としては、例えば、チロシナーゼ製剤であるチロシナーゼ from mushroom(T3824:lyophilized powder;1000 unit/mg solid以上)(MERCK社製)などが使用できる。
【0024】
[フェノールオキシダーゼ処理]
本発明では、前記酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品をフェノールオキシダーゼ処理することにより、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味を改善することができる。フェノールオキシダーゼ処理とは、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品とフェノールオキシダーゼとを接触させ、前記酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼによる酵素作用を及ぼさせる反応をいう。
【0025】
酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品とフェノールオキシダーゼとの接触は、例えば、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品と固定化されたフェノールオキシダーゼとを接触させる方法により行うことも可能であるが、一般的には、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品にフェノールオキシダーゼを混合することによって行う。
【0026】
酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品にフェノールオキシダーゼを混合する方法としては、例えば、フェノールオキシダーゼを含む水溶液を調製し、それを前記酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に、添加、噴霧などの適当な方法で接触させ、攪拌して混合し、後に述べる処理温度および処理時間反応を行うことができる。
【0027】
本発明において、フェノールオキシダーゼの添加量は、処理温度および処理時間により適宜変更することができるが、例えば、酵素製剤として、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を基準として、下限としては、0.0001質量%、0.0002質量%、0.0005質量%、0.001質量%、0.002質量%、0.005質量%、0.01質量%、0.02質量%、0.05質量%、0.1質量などが例示でき、上限として20質量%、5質量%、2質量%,1質量%、0.5質量%、0.2質量%、0.1質量%などが例示できる。また、酵素添加量の範囲としては例えば、通常0.0001質量%~20質量%、好ましくは0.0005質量%~5質量%、より好ましくは0.001質量%~2質量%を例示できる。
【0028】
また、酵素処理の処理温度は、フェノールオキシダーゼの種類によって異なり、一概には言えないが、フェノールオキシダーゼが例えばラッカーゼの場合は、通常10~80℃、好ましくは20~70℃、より好ましくは30~65℃の範囲を例示できる。また、酵素処理の処理時間は、通常5分間~72時間、好ましくは10分間~48時間、より好ましくは20分間~36時間を例示できる。
【0029】
また、ラッカーゼの至適pHは、通常pH2~8であり、好ましくはpH3~6である。必要に応じて、ラッカーゼ処理の前にpH調整を行ってもよい。pH調整には、pH調整剤として一般に食品に利用されているものを用いることができ、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が例示できる。
【0030】
また、フェノールオキシダーゼが例えばチロシナーゼの場合は、酵素処理の処理温度は、通常5℃~50℃、好ましくは10℃~45℃、より好ましくは20℃~45℃、さらにより好ましくは25℃~45℃の範囲を例示できる。また、酵素処理の処理時間は、通常5分間~72時間、好ましくは10分間~48時間、より好ましくは20分間~36時間、さらにより好ましくは30分間~24時間の範囲を例示できる。
【0031】
また、チロシナーゼの至適pHは、通常pH4~10であり、好ましくはpH4.5~9である。必要に応じて、チロシナーゼ処理の前にpH調整を行ってもよい。pH調整には、pH調整剤として一般に食品に利用されているものを用いることができ、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が例示できる。
【0032】
[フェノールオキシダーゼ処理による風味の変化]
本発明のフェノールオキシダーゼ処理を行うことにより、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味が改善される。具体的には、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の好ましくない風味、すなわち強い酸味や酸臭(いわゆる「酢カド」ということもある)を大きく低減し、いわゆる「酢カド」の取れた風味とすることができる。また、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品が甘味を有する場合、甘味を増強することもできる。
【0033】
[本発明のメカニズム]
酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対しフェノールオキシダーゼ処理を行うことにより、いかにして本発明の風味が改善されるかは定かではなく、推測の域を出ないが、酢酸発酵食品の原料となる植物体(米、穀物、イモ類、果実、でんぷんなど)にはほぼ確実に、ある程度の量の様々なフェノール性成分(フラボノイド等の水溶性分やフラン化合物などの揮発性の成分)が含まれており、フェノールオキシダーゼがそれらのフェノール性成分に対し何らかの作用を及ぼし、酢酸に対するマスキング効果を有する成分を作り出し、その結果、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の強い酸味や酸臭を大きく低減させることが考えられる。そのメカニズムの詳細は明らかではないが、後の実施例からもわかる通り、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品全般に対し、本発明の効果が認められる。
【0034】
[加熱]
フェノールオキシダーゼによる酵素反応後は、フェノールオキシダーゼを失活させ、また、同時に加熱殺菌することにより酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を微生物的に安定な状態とすることができる。
【0035】
加熱の条件は、フェノールオキシダーゼがラッカーゼの場合は、通常80℃~180℃、好ましくは85℃~140℃、より好ましくは90℃~120℃、さらに好ましくは95℃~110℃で、加熱時間は通常30秒~60分、好ましくは1分~30分、より好ましくは2分~15分を例示することができる。また、フェノールオキシダーゼがチロシナーゼの場合は、通常80℃~110℃、好ましくは85℃~105℃、より好ましくは90℃~100℃で、加熱時間は通常30秒~60分、好ましくは1分~30分、より好ましくは2分~15分を例示することができる。
【0036】
また、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品が液状の場合には、加熱にプレート式殺菌機を使用することができ、この場合の加熱の条件は、フェノールオキシダーゼがラッカーゼ、チロシナーゼいずれの場合も、加熱温度としては通常80℃~140℃、好ましくは85℃~135℃、より好ましくは90℃~130℃で、加熱時間は通常、達温即冷却~5分、好ましくは15秒~3分、より好ましくは30秒~2分を例示することができる。
【0037】
以上、説明した方法により、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善を行うことができ、また風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を得ることができる。このようにして得られた風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品は、そのまま飲食品とすることもできるし、また、さらに他の飲食品に配合して別の飲食品とすることもできる。
【実施例
【0038】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明の具体的態様を詳しく説明するが、本発明の本質は前記開示した技術的思想にあるのであり、実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の記載中に割合を示す数字がある場合、特に記載がない場合は質量基準の割合を意味する。
【0039】
(実施例1)リンゴ酢飲料
ラッカーゼY120(天野エンザイム株式会社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(1)を調製した。
【0040】
市販リンゴ酢(酢酸5.0w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(1)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温50℃となるように加温し、50℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い本発明品1のリンゴ酢飲料を得た。
【0041】
(比較例1)
酵素水溶液(1)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(2)を調製した。この失活酵素液(2)を酵素水溶液(1)の代わりに使用する以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、比較品1のリンゴ酢飲料を得た。
【0042】
(官能評価1)
本発明品1および比較品1を試飲して官能評価を行った。
【0043】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品1および比較品1のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0044】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品1と比べ本発明品1は、刺激が少ないとの評価であった。
【0045】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品1は比較品1と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品1は比較品1と比べ甘味が増している、というものであった。
【0046】
(官能評価2)
本発明品1および比較品1を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、本発明品1および比較品1のいずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0047】
その結果50名中48名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品1と比べ本発明品1は、刺激が少ないとの評価であった。
【0048】
また、50名中43名が本発明品1の方が比較品1より飲みやすいという評価であった。
【0049】
(実施例2)黒酢飲料
チロシナーゼ T3824(MERCK社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(3)を調製した。
【0050】
市販黒酢(酢酸5.0w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(3)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温40℃となるように加温し、40℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い、本発明品2の黒酢飲料を得た。
【0051】
(比較例2)
酵素水溶液(3)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(4)を調製した。これを酵素水溶液(3)の代わりに使用する以外は、実施例2と全く同じ操作を行い、比較品1の、黒酢飲料を得た。
【0052】
(官能評価3)
本発明品2および比較品2を試飲して官能評価を行った。
【0053】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品2および比較品2のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0054】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品2と比べ本発明品2は、刺激が少ないとの評価であった。
【0055】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品2は比較品2と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品2は比較品2と比べ甘味が増している、というものであった。
【0056】
(官能評価4)
本発明品2および比較品2を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、いずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0057】
その結果50名中46名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品2と比べ本発明品2は、刺激が少ないとの評価であった。
【0058】
また、50名中42名が本発明品2の方が比較品2より飲みやすいという評価であった。
【0059】
(実施例3)純米酢飲料
ラッカーゼY120(天野エンザイム株式会社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(5)を調製した(実施例1の酵素溶液(1)と同等)。
【0060】
市販純米酢(酢酸4.8w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(5)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温50℃となるように加温し、50℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い本発明品3の純米酢飲料を得た。
【0061】
(比較例3)
酵素水溶液(5)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(6)を調製した(比較例1の失活酵素液(2)と同等)。この失活酵素液(6)を酵素水溶液(5)の代わりに使用する以外は、実施例3と全く同じ操作を行い、比較品3の純米酢飲料を得た。
【0062】
(官能評価5)
本発明品3および比較品3を試飲して官能評価を行った。
【0063】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品3および比較品3のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0064】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品3と比べ本発明品3は、刺激が少ないとの評価であった。
【0065】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品3は比較品3と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品3は比較品3と比べ甘味が増している、というものであった。
【0066】
(官能評価6)
本発明品3および比較品3を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、本発明品3および比較品3のいずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0067】
その結果50名中47名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品3と比べ本発明品3は、刺激が少ないとの評価であった。
【0068】
また、50名中42名が本発明品3の方が比較品3より飲みやすいという評価であった。
【0069】
(実施例4)みかん酢飲料
チロシナーゼ T3824(MERCK社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(7)を調製した(実施例2の酵素溶液(3)と同等)。
【0070】
市販みかん酢(酢酸4.5w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(7)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温40℃となるように加温し、40℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い、本発明品4のみかん酢飲料を得た。
【0071】
(比較例4)
酵素水溶液(7)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(8)を調製した(比較例2の失活酵素液(4)と同等)。これを酵素水溶液(7)の代わりに使用する以外は、実施例2と全く同じ操作を行い、比較品4のみかん酢飲料を得た。
【0072】
(官能評価7)
本発明品4よび比較品4を試飲して官能評価を行った。
【0073】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品4および比較品4のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0074】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品4と比べ本発明品4は、刺激が少ないとの評価であった。
【0075】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品4は比較品4と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品4は比較品4と比べ甘味が増している、というものであった。
【0076】
(官能評価8)
本発明品4および比較品4を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、いずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0077】
その結果50名中46名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品4と比べ本発明品4は、刺激が少ないとの評価であった。
【0078】
また、50名中43名が本発明品4の方が比較品4より飲みやすいという評価であった。
【0079】
(実施例5)ワインビネガー飲料
ラッカーゼY120(天野エンザイム株式会社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(9)を調製した(実施例1の酵素溶液(1)と同等)。
【0080】
市販白ワインビネガー(酢酸5.2w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(9)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温50℃となるように加温し、50℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い本発明品5の白ワインビネガー飲料を得た。
【0081】
(比較例5)
酵素水溶液(9)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(10)を調製した(比較例1の失活酵素液(2)と同等)。この失活酵素液(10)を酵素水溶液(9)の代わりに使用する以外は、実施例5と全く同じ操作を行い、比較品5の白ワインビネガー飲料を得た。
【0082】
(官能評価9)
本発明品5および比較品5を試飲して官能評価を行った。
【0083】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品5および比較品5のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0084】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品5と比べ本発明品5は、刺激が少ないとの評価であった。
【0085】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品5は比較品5と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品5は比較品5と比べ甘味が増している、というものであった。
【0086】
(官能評価10)
本発明品5および比較品5を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、本発明品5および比較品5のいずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0087】
その結果50名中47名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品5と比べ本発明品5は、刺激が少ないとの評価であった。
【0088】
また、50名中42名が本発明品5の方が比較品5より飲みやすいという評価であった。
【0089】
(実施例6)酒粕酢飲料
ラッカーゼY120(天野エンザイム株式会社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(11)を調製した(実施例1の酵素溶液(1)と同等)。
【0090】
市販酒粕酢(酢酸5.0w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(11)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温50℃となるように加温し、50℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い本発明品6の酒粕酢飲料を得た。
【0091】
(比較例6)
酵素水溶液(11)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(12)を調製した(比較例1の失活酵素液(2)と同等)。この失活酵素液(12)を酵素水溶液(11)の代わりに使用する以外は、実施例6と全く同じ操作を行い、比較品6の酒粕酢飲料を得た。
【0092】
(官能評価11)
本発明品6および比較品6を試飲して官能評価を行った。
【0093】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品6および比較品6のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0094】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品6と比べ本発明品6は、刺激が少ないとの評価であった。
【0095】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品6は比較品6と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品6は比較品6と比べ甘味が増している、というものであった。
【0096】
(官能評価12)
本発明品6および比較品6を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、本発明品6および比較品6のいずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0097】
その結果50名中45名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品6と比べ本発明品6は、刺激が少ないとの評価であった。
【0098】
また、50名中41名が本発明品6の方が比較品6より飲みやすいという評価であった。
【0099】
(実施例7)穀物酢飲料
チロシナーゼ T3824(MERCK社製)0.1Kgをイオン交換水0.9Kgに溶解し、酵素水溶液(13)を調製した(実施例2の酵素溶液(3)と同等)。
【0100】
市販穀物酢(小麦、米、コーンミックス、酢酸5.1w/v%)7.0L、果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)、クエン酸結晶0.55Kg、クエン酸三ナトリウム0.19Kgおよび酵素水溶液(13)をイオン交換水に溶解し100.0Kgとした。これを、495gずつ500mL缶に充填し、巻締後、水浴にて内温40℃となるように加温し、40℃を維持したまま1時間静置し、酵素反応を行った。その後、内温20℃まで冷却し、レトルト殺菌機を用いて、110℃、1分間殺菌を行い、本発明品7の穀物酢飲料を得た。
【0101】
(比較例7)
酵素水溶液(13)を調製後、90℃達温まで加熱し、酵素を失活した後20℃まで冷却し、失活酵素液(14)を調製した(比較例2の失活酵素液(4)と同等)。これを酵素水溶液(13)の代わりに使用する以外は、実施例7と全く同じ操作を行い、比較品7の穀物酢飲料を得た。
【0102】
(官能評価13)
本発明品7および比較品7を試飲して官能評価を行った。
【0103】
評価は、10名のよく訓練されたパネリストにて試飲を行い、本発明品7および比較品7のいずれが、酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、コメントを記載させた。
【0104】
その結果10名全員が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品7と比べ本発明品7は、刺激が少ないとの評価であった。
【0105】
また、コメントの平均的な内容としては、本発明品7は比較品7と比べ、大幅に酢酸の呈味および酸臭がマイルドになっている、また、本発明品7は比較品7と比べ甘味が増している、というものであった。
【0106】
(官能評価14)
本発明品7および比較品7を、一般から募ったパネリスト50名(20代から60代、男女約半々)にて試飲を行い、いずれが酢酸の酸味および酸臭について刺激が少ないかについて評価を行った。また、いずれの方が飲みやすいかについて、評価を行った。
【0107】
その結果50名中44名が、酢酸の酸味および酸臭について、比較品7と比べ本発明品7は、刺激が少ないとの評価であった。
【0108】
また、50名中41名が本発明品7の方が比較品7より飲みやすいという評価であった。
【要約】
【課題】簡便かつ高い効果で、好ましくない風味が低減した酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品を簡便な方法で提供することである。
【解決手段】酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行う、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の風味改善方法。フェノールオキシダーゼとしては、特にラッカーゼおよびチロシナーゼが好ましい。また、酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品に対し、フェノールオキシダーゼ処理を行う、風味の改善された酢酸発酵食品または酢酸発酵食品を含有する飲食品の製造方法も提供する。
【選択図】なし