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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】W/O型組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20241015BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20241015BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/00
A61K8/34
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/19
A61K8/29
A61Q19/00
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019175814
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021050186
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】川本 真
(72)【発明者】
【氏名】大上 和則
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-146188(JP,A)
【文献】特開2009-191033(JP,A)
【文献】特開2007-291094(JP,A)
【文献】特開2005-325057(JP,A)
【文献】特開2018-203624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のイソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆顔料と、
(c)エタノールと、
(d)水と
を含むW/O型組成物であって、
(a)油が炭化水素油、植物油及びエーテル油から選択され、
(a)油の量が、組成物の総質量に対して、15質量%~50質量%であり、
(b)イソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆顔料の量が、組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%であり、
(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上20質量%以下である、W/O型組成物。
【請求項2】
組成物が、連続相及び分散相を含み、
連続相が(a)油を含み、
分散相が(c)エタノール及び(d)水を含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)油が、少なくとも1種の揮発性炭化水素油を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の揮発性炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
組成物中の(a)油の量が、組成物の総質量に対して、20質量%~40質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆顔料が、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆酸化鉄、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆二酸化チタン、又はこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化鉄が、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、又はこれらの混合物から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の(b)イソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆顔料の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~20質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、15質量%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、(e)少なくとも1種の界面活性剤を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
化粧用組成物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン基質のための美容方法であって、
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン基質に塗布する工程
を含む美容方法。
【請求項14】
(a)少なくとも1種の油と、
(d)水と
を含むW/O型組成物中での、組成物の安定性、被覆力及びフレッシュな使用感を強化するための(b)少なくとも1種のイソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆顔料及び(c)エタノールの使用であって、
(a)油が炭化水素油、植物油及びエーテル油から選択され、
(a)油の量が、組成物の総質量に対して、15質量%~50質量%であり、
(b)イソプロピルトリイソステアロイルチタネート被覆顔料の量が、組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%であり、
(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上20質量%以下である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用途に好適なW/O型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品又は皮膚科の分野において、W/O型エマルションを使用することは既知の実践法である。油性相中に分散された水性相からなるこれらのエマルションは、外部油性相を有し、したがって、W/Oエマルションベースの化粧料/皮膚科用製品は、外部油性相中の成分に由来する快適な触感をもたらすことができる。
【0003】
フレッシュな使用感を有するW/O型組成物を提供するために、揮発性環状シリコーンが一般的に使用される。しかしながら、環境上の懸念を含めた幾つかの理由から、このような揮発性環状シリコーンの使用は回避される傾向にある。
【0004】
しかしながら、揮発性環状シリコーンを含むW/O型組成物中の揮発性環状シリコーンを置き換えることは困難である。例えば、W/O型組成物中の揮発性環状シリコーンが揮発性炭化水素油と置き換えられる場合、揮発性環状シリコーンによってもたらすことができるレベルと同じレベルのフレッシュな使用感を揮発性炭化水素油ではもたらすことができない。
【0005】
更に、揮発性環状シリコーンを使用しない場合、W/O型組成物の高被覆力は困難であり得る。ここで、「被覆力」は、基質、特に皮膚等のケラチン物質上の微細な形状(例えば、毛穴及び皺等のムラ)並びに/又は色(例えば染み及び痣等のムラ)を隠蔽する能力を意味する。揮発性炭化水素油は、シリコーンより低い密度を有し、油性相中に顔料を安定して分散させることをより困難にする。
【0006】
更に、W/O型エマルションは、不安定であり得、炭化水素油の低密度のために油性相と水性相への相分離が生じることなく、長期間、その均一又は一様の様相を維持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第20050019284号
【文献】仏国特許第2679771号
【文献】米国特許第2,528,378号
【文献】米国特許第2,781,354号
【文献】米国特許第4,874,554号
【文献】米国特許第4,137,180号
【文献】US-A-5364633
【文献】US-A-5411744
【非特許文献】
【0008】
【文献】Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Press
【文献】Ullmann's Encyclopedia
【文献】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【文献】CTFA dictionary、第3版、1982年
【文献】「Handbook of Surfactants」、M. R. Porter、Blackie & Son Publishers (Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、安定性であり、フレッシュな使用感をもたらすことができ、良好な被覆力を有することができる、W/O型組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の本発明の目的は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のモノアルキルトリアシルチタネート処理顔料と、
(c)エタノールと、
(d)水と
を含む、W/O型組成物であって、
(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上、好ましくは6.4質量%以上、より好ましくは6.8質量%以上であり、
組成物が、任意選択により、少なくとも1種の揮発性環状シリコーンを、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む、
W/O型組成物によって達成することができる。
【0011】
本発明による組成物は、連続相及び分散相を含んでもよく、
連続相は(a)油を含み、
分散相は(c)エタノール及び(d)水を含む。
【0012】
(a)油は、少なくとも1種の揮発性炭化水素油、好ましくは揮発性C9~14アルカンを含んでもよく、より好ましくはウンデカン、イソドデカン、トリデカン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0013】
本発明による組成物中の揮発性炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であることができる。
【0014】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは15質量%~50質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であることができる。
【0015】
モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料を含むことができる。
【0016】
モノアルキルトリアシルチタネートで処理した顔料は、無機顔料、好ましくは金属酸化物顔料、より好ましくは酸化鉄、二酸化チタン、又はこれらの混合物を含むことができる。酸化鉄は、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、又はこれらの混合物を含むことができる。
【0017】
本発明による組成物中の(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~30質量%、より好ましくは10質量%~20質量%であることができる。
【0018】
本発明による組成物中の(c)エタノールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であることができる。
【0019】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であることができる。
【0020】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を更に含んでもよい。
【0021】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物であることができる。
【0022】
本発明はまた、皮膚等のケラチン基質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン基質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【0023】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の油と、
(d)水と
を含むW/O型組成物中での、組成物の安定性、被覆力及びフレッシュな使用感を強化するための(b)少なくとも1種のモノアルキルトリアシルチタネート処理顔料及び(c)エタノールの使用であって、
(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上、好ましくは6.4質量%以上、より好ましくは6.8質量%以上であり、
組成物が、任意選択により、少なくとも1種の揮発性環状シリコーンを、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む
使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討の結果、本発明者らは、安定性であり、フレッシュな使用感をもたらすことができ、良好な被覆力を有することができるW/O型組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0025】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のモノアルキルトリアシルチタネート処理顔料と、
(c)エタノールと、
(d)水と
を含むW/O型組成物であって、
(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上、好ましくは6.4質量%以上、より好ましくは6.8質量%以上であり、
組成物が、任意選択により、少なくとも1種の揮発性環状シリコーンを、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む、
W/O型組成物である。
【0026】
本発明による組成物には揮発性環状シリコーンが使われていないため、環境に優しい。
【0027】
本発明による組成物には揮発性環状シリコーンが使われていないが、本発明による組成物中に比較的多量の(c)エタノールが存在するため、フレッシュな使用感をもたらすことができる。
【0028】
比較的多量の(c)エタノールの使用は、安定性を低減させてしまう恐れがある。しかしながら、驚くべきことに、(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料を(c)エタノールと組み合わせて使用すると、安定性を高めることができる。したがって、本発明による組成物の様相を、油性相及び水性相への相分離を生じさせることなく、長期間、均一又は一様にすることができる。
【0029】
加えて、本発明による組成物は揮発性環状シリコーンを含まないが、(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料と(c)エタノールとの組み合わせによって良好な被覆力をもたらすことができる。したがって、例えば、本発明による組成物は、小皺及び皺等の皮膚の輪郭にあるムラ並びに染み及び痣等の皮膚の色ムラをよく隠蔽することができる。
【0030】
以下、本発明による組成物等をより詳細に説明する。
【0031】
[組成物]
本発明による組成物は、連続相及び分散相を含んでもよく、
連続相は(a)油を含むことができ、
分散相は(c)エタノール及び(d)水を含むことができる。
【0032】
(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料は、(a)油若しくは連続相、又は連続相と分散相との間の界面に存在し得る。
【0033】
(油)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む。2種以上の油を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
(a)油は、連続相又は本発明による組成物の油性相を形成する。
【0035】
ここで「油」は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で液状又はペースト状(非固体)の形態である脂肪族化合物又は脂肪性物質を意味する。油として、化粧品において一般的に使用されるものを、単独で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0036】
油は、炭化水素油、不揮発性シリコーン油等の非極性油、植物油若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であることができる。
【0037】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、不揮発性シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択してもよい。
【0038】
植物油の例として、例えば、メドウフォーム油、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0039】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0040】
合成油の例として、イソドデカン及びイソヘキサデカン等のアルカン油、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0041】
エーテル油の例として挙げることができるのは、ジカプリリルエーテルである。
【0042】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸の液状エステルと、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノアルコール又は多価アルコールの液状エステルであり、エステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0043】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中から少なくとも1つは分枝状である。
【0044】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルが挙げることができる。
【0045】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用してもよい。
【0046】
セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを特に挙げることができる。
【0047】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、幾つかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0048】
挙げることができる好適な糖の例としては、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えばメチルグルコースがある。
【0049】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選択してもよい。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0050】
この変形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択してもよい。
【0051】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであることができる。
【0052】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0053】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0054】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル(INCI名:カプリル/カプリントリグリセリド)及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0056】
不揮発性シリコーン油の例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコーン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状オルガノポリシロキサンを挙げることができる。
【0057】
好ましくは、不揮発性シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサン、及びトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンから選択することができる。
【0058】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60000mm2/sのDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0059】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0060】
アリール基を含有する不揮発性シリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0061】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択してもよい:
【0062】
【化1】
【0063】
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立して、両端を含んで0から900の間、好ましくは両端を含んで0から500の間、より好ましくは両端を含んで0から100の間の整数であり、
但し、和n+m+qは0以外である)
【0064】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製Silbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製Rhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidの油、
- Bayer社製PKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製SFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0065】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1~R10は、メチルであり;p、q、及びn=0であり;m=1である)が好ましい。
【0066】
これらの不揮発性シリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上記で定義したようなシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1個又は複数の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0067】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0068】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有していてもよい。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722オイル及びL77オイルを挙げることができる。
【0069】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。(挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある);並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン(petroleum jelly)、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0070】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物が挙げることができる。
【0071】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子が含まれるものを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0072】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも一実施形態において、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択され得る。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0073】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0074】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0075】
ここで、「飽和脂肪アルコール」という用語は、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用され得る。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用され得る。分枝状のC16~C20脂肪アルコールが、更により好ましくは使用され得る。
【0076】
飽和脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、オクチルドデカノール及びヘキシルデカノールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0077】
少なくとも一実施形態によれば、本発明による組成物において使用される脂肪アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びこれらの混合物から選択される。
【0078】
(a)油は、極性油、非極性油及びこれらの混合物から選択することができ、より好ましくはエステル油、エーテル油、植物油、炭化水素、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0079】
(a)油は、少なくとも1種の揮発性炭化水素油を含むことができる。揮発性炭化水素油は、好ましくは、C9~14アルカンから選択され得る。揮発性炭化水素油は、より好ましくは、ウンデカン、イソドデカン、トリデカン、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0080】
本発明による組成物中の揮発性炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり得る。
【0081】
本発明による組成物中の揮発性炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であることができるが、但し、揮発性炭化水素油の量は、0ではない。
【0082】
本発明による組成物中の揮発性炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であることができる。
【0083】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であることができる。
【0084】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下であることができるが、但し、(a)油の量は、0ではない。
【0085】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは15質量%~50質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であることができる。
【0086】
本発明による組成物は、揮発性環状シリコーンを実質的に含まない。
【0087】
揮発性環状シリコーンとしては、3~7個、好ましくは4~6個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサンを挙げることができる。これらには、例えば、特にUnion Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7207の名称で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7158の名称で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン、並びにこれらの混合物がある。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのようなタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109を挙げることもできる。
【0088】
【化2】
【0089】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
【0090】
本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性環状シリコーンを、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下の量で、任意選択で含んでもよい。本発明による組成物は、揮発性環状シリコーンを含まないことが最も好ましい。
【0091】
(モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のモノアルキルトリアシルチタネート処理顔料を含む。2種以上の(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0092】
本発明における使用に好適な顔料は、モノアルキルトリアシルチタネートで処理されている、例えば、被覆されているか、又は囲まれている。モノアルキルチタネートとも呼ばれるモノアルキルトリアシルチタネートは、式RO-Ti-(OR')3で表すことができ、式中、Rはアルキルであり、R'は同一であっても異なっていてもよいアシル基である。
【0093】
モノアルキルトリアシルチタネートの特定の実施形態において、アルキルはC1~5アルキル、特にC1~4アルキル基であり、アシルは、アクリル酸若しくはアクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸、又は脂肪酸に由来する。特にアシル基は、C6~30脂肪酸、より具体的にはC12~24脂肪酸、更により具体的にはC16~20脂肪酸に由来する。このような脂肪酸は、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシルステアリン酸、オレイン酸であることができる。これらのトリアシルチタネート中のアシル基は、同一であっても異なっていてもよい。好ましい実施形態は、モノイソプロピルトリアシルチタネートであり、米国特許出願公開第20050019284号(詳細には段落[0038]~[0052])を参照されたい。
【0094】
好ましい実施形態によれば、モノアルキルトリアシルチタネートは、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネートであることができる。
【0095】
好ましくは、モノアルキルトリアシルチタネートは、イソプロピルチタントリイソステアレートとも呼ばれ得るイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)であることができる。
【0096】
(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料であってもよい。
【0097】
(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料は、少なくともモノアルキルトリアシルチタネートで処理した顔料である。(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料は、モノアルキルトリアシルチタネートのみで処理してもよいし、又はモノアルキルトリアシルチタネート及びフッ素化表面処理剤等の少なくとも1種の追加の表面処理剤又はポリジメチルシロキサン等のシリコーン系表面処理剤で処理してもよい。
【0098】
例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料は、少なくともイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)で処理した顔料である。イソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)のみで処理してもよいし、又はイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)及びフッ素化表面処理剤等の少なくとも1種の追加の表面処理剤又はポリジメチルシロキサン等のシリコーン系表面処理剤で処理してもよい。
【0099】
「顔料」という表現は、白又は有色であり、無機又は有機であり、生理学的媒体又は化粧料として許容される媒体に不溶性であり、組成物を着色することが意図される、任意の形状の粒子を意味することを理解されるべきである。
【0100】
「無機顔料」という用語は、Ullmann's Encyclopediaの無機顔料の章の定義と一致する任意の顔料を意味することが意図される。これらの無機顔料は、金属酸化物からなる顔料から特に選択することができる。
【0101】
無機顔料の中でも、任意選択により表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色又は赤色)、又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー、並びに金属パウダー、例えばアルミニウムパウダー及び銅パウダーを挙げることができる。
【0102】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物中に存在する、特に金属酸化物からなる無機顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛及び/又は酸化鉄から選択される。顔料としての酸化チタンは、0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更により好ましくは0.3μm以上の粒径を有することが好ましい。典型的には、顔料としての酸化チタンは、0.2~0.4μmの粒径を有することができる。
【0103】
「有機顔料」という用語は、Ullmann's Encyclopediaの有機顔料の章の定義と一致する任意の顔料を意味することが意図される。有機顔料は、特に、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、アントラキノン化合物及びフタロシアニン化合物、金属錯体型の化合物、並びにイソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、キナクリドン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、ジケトピロロピロール化合物、チオインディゴ化合物、ジオキサジン化合物、トリフェニルメタン化合物及びキノフタロン化合物から選択することができる。
【0104】
有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI42090、69800、69825、73000、74100及び74160で色指数に体系化されている青色顔料、参照番号CI11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005で色指数に体系化されている黄色顔料、参照番号CI61565、61570及び74260で色指数に体系化されている緑色顔料、参照番号CI11725、15510、45370及び71105で色指数に体系化されている橙色顔料、参照番号CI12085、CI 12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470で色指数に体系化されている赤色顔料、並びに仏国特許第2679771号に記載のインドール誘導体又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0105】
モノアルキルトリアシルチタネートで処理した顔料は、無機顔料、より好ましくは金属酸化物顔料、更により好ましくは酸化鉄、二酸化チタン、又はこれらの混合物を含むことが好ましい。酸化鉄は、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、又はこれらの混合物を含むことができる。
【0106】
例えば、商標名BWYO-12(酸化鉄CI77492及びイソプロピルチタントリイソステアレート)、BWRO-12(酸化鉄CI77491及びイソプロピルチタントリイソステアレート)、BWBO-12(酸化鉄CI77499及びイソプロピルチタントリイソステアレート)、並びに/又はTiO2 CR-50 12(アルミナで被覆された二酸化チタンCI77891及びイソプロピルチタントリイソステアレート)でKOBO社により販売されているイソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理顔料を挙げることができる。
【0107】
本発明による組成物中の(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であることができる。
【0108】
本発明による組成物中の(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料の量は、組成物の総質量に対して40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であることができるが、但し、(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料の量は、0ではない。
【0109】
本発明による組成物中の(b)モノアルキルトリアシルチタネート処理顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~30質量%、より好ましくは10質量%~20質量%であることができる。
【0110】
(エタノール)
本発明による組成物は、(c)エタノールを含む。
【0111】
本発明による組成物中の(c)エタノールの量は、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上、好ましくは6.4質量%以上、より好ましくは6.8質量%以上である。
【0112】
本発明による組成物中の(c)エタノールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であることができる。
【0113】
本発明による組成物中の(c)エタノールの量は、組成物の総質量に対して、6.0質量%~20質量%、好ましくは6.4質量%~15質量%、より好ましくは6.8質量%~10質量%であることができる。
【0114】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0115】
(d)水は、本発明によるW/O型組成物の非連続相又は分散(内)相を形成することができる。
【0116】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であることができる。
【0117】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であることができる。
【0118】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であることができる。
【0119】
(界面活性剤)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。2種以上の(e)界面活性剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0120】
本発明において使用される(e)界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくは非イオン性界面活性剤から選択することができる。
【0121】
(c-1)アニオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0122】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキルスルフェート、(C6~C30)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C30)アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート;(C6~C30)アルキルスルホネート、(C6~C30)アルキルアミドスルホネート、(C6~C30)アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;(C6~C30)アルキルホスフェート;(C6~C30)アルキルスルホスクシネート、(C6~C30)アルキルエーテルスルホスクシネート、(C6~C30)アルキルアミドスルホスクシネート;(C6~C30)アルキルスルホアセテート;(C6~C24)アシルサルコシネート;(C6~C24)アシルグルタメート;(C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボキシルエーテル;(C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホスクシネート;(C6~C30)アルキルスルホスクシナメート;(C6~C24)アシルイセチオネート;N-(C6~C24)アシルタウレート;C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水添ヤシ油酸塩;(C8~C20)アシル乳酸塩;(C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩;並びに対応する酸の形態からなる群から選択されることが好ましい。
【0123】
少なくとも一実施形態では、アニオン性界面活性剤は塩の形態にあり、例えばアルカリ金属(例としてはナトリウム)の塩;アルカリ土類金属(例としてはマグネシウム)の塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩等である。条件によっては、アニオン性界面活性剤は酸の形態にあってもよい。
【0124】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキルスルフェートの塩、(C6~C30)アルキルエーテルスルフェートの塩又は塩化されていても塩化されていなくてもよいポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸から選択されることがより好ましい。
【0125】
(c-2)両性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0126】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的に列挙すると)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択により四級化されているアミン誘導体であることができ、その脂肪族基は、8から22個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1個の水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する、直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0127】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0128】
両性界面活性剤は、ベタイン型界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0129】
ベタイン型両性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から好ましくは選択される。一実施形態では、ベタイン型両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選択される。
【0130】
挙げることができる非限定的な例には、単独の又は混合物としての、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、及びココスルタインの名称で、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年において分類されている化合物が含まれる。
【0131】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特に、ココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0132】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中でも、米国特許第2,528,378号及び同第2,781,354号に記載され、CTFA dictionary、第3版、1982年(開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)でアンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称で分類され、それぞれの構造が以下の通りである、Miranolの名称で販売されている製品を挙げることができる:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-) M+ X- (B1)
[式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシルの各基を示し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン;アンモニウムイオン;又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1~C4)硫酸イオン、アルキル(C1~C4)-若しくはアルキル(C1~C4)アリール-スルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオン等の有機若しくは無機のアニオン性イオンを示し;又はM+及びX-は存在しない];
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
[式中、
R1'は、ヤシ油中若しくは加水分解亜麻仁油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基等のアルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和のC17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'を表し、z=1又は2であり、
X'は、-CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3H基又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
Z'は、ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを表す];
並びに
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''(式中、Z''は、ナトリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを示す)を示し、
Rd及びReは、C1~C4アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸からのC10~C30アルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立に、1から3の整数を示す]。
【0133】
式B1及びB2を有する両性界面活性剤は、(C8~C24)-アルキルアンホモノアセテート、(C8~C24)アルキルアンホジアセテート、(C8~C24)アルキルアンホモノプロピオネート、及び(C8~C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0134】
これらの化合物は、CTFA dictionary、第5版、1993において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸の名称で分類されている。
【0135】
例として、Rhodia Chimie社により商標名Miranol(登録商標)C2M concentrateで販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0136】
式(B'2)の化合物の中では、CHIMEX社によってCHIMEXANE HBの呼称で市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルトアミドナトリウム(CTFA)を挙げることができる。
【0137】
(C-3)カチオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0138】
カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化された第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0139】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
以下の一般式(B3):
【0140】
【化3】
【0141】
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1から30個の炭素原子並びに任意選択で酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選択される)
のもの。脂肪族基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、C2~C6ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル基、(C12~C22)アルキルアセテート基及びヒドロキシアルキル基;並びに芳香族基、例えばアリール基及びアルキルアリール基から選択することができ;X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2~C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキルスルホン酸イオン又はアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される。
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例えば以下の式(B4):
【0142】
【化4】
【0143】
(式中、
R5は、8から30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば獣脂の、若しくはヤシの脂肪酸誘導体から選択され、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、並びに8個から30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択され、
R7は、C1~C4アルキル基から選択され、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される)
のもの。一実施形態では、R5及びR6は、例えば12から21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択される基の混合物、例えば獣脂の脂肪酸誘導体であり、R7はメチルであり、R8は水素である。このような製品の例には、Witco社により「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGの名称で販売されているクオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年)が挙げられるが、これらに限定されない。
式(B5):
【0144】
【化5】
【0145】
(式中、
R9は、16から30個の炭素原子を含む脂肪族基から選択され、
R10は、水素、又は1から4個の炭素原子を含むアルキル基、又は-(CH2)3 (R16a)(R17a)(R18a)N+X-基から選択され、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a、及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1から4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチルスルホン酸イオン及びメチルスルホン酸イオンから選択される)
のジ又はトリ第四級アンモニウム塩。
【0146】
このようなジ第四級アンモニウム塩の一例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINQUAT CT(クオタニウム-75);
及び
少なくとも1つのエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば以下の式(B6)のものである:
【0147】
【化6】
【0148】
(式中、
R22は、C1~C6アルキル基、並びにC1~C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選択され、
R23は、
以下の基:
【0149】
【化7】
【0150】
直鎖状及び分枝状の飽和及び不飽和C1~C22炭化水素系基R27、並びに水素から選択され、
R25は、
以下の基:
【0151】
【化8】
【0152】
直鎖状及び分枝状の飽和及び不飽和C1~C6炭化水素系基R29、並びに水素から選択され、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の飽和及び不飽和C7~C21炭化水素系基から選択され、
r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数から選択され、
r1及びt1の各々は、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、r2+r1=2r及びt1+2t=2tであり、
yは1~10の範囲の整数から選択され、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲の整数から選択され、
X-は、単体及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選択され、但し、和x+y+zは、1~15の範囲であり、xが0である場合、R23は、R27を示し、zが0である場合、R25は、R29を示す)。
R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選択することができる。一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選択される。別の実施形態では、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、及びジヒドロキシプロピル基から選択され、例えば、メチル基及びエチル基から選択される。一実施形態では、和x+y+zは、1~10の範囲である。R23が炭化水素系基R27である場合、これは、長鎖であり、12から22個の炭素原子を含んでもよく、又は短鎖であり、1から3個の炭素原子を含んでもよい。R25が炭化水素系基R29である場合、これは、例えば、1から3個の炭素原子を含んでいてもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21アルキル基及びアルケニル基から選択される。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは1に等しい。別の実施形態では、r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン;並びにC1~C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選択することができる。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する任意の他のアニオンは、本発明に従って使用することができるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選択される。
【0153】
別の実施形態では、式(B6)のアンモニウム塩であって、
R22が、メチル基及びエチル基から選択され、
x及びyが、1に等しく、
zが、0又は1に等しく、
r、s及びtが、2に等しく、
R23が
以下の基:
【0154】
【化9】
【0155】
メチル、エチル、及びC14~C22炭化水素系基、水素から選択され、
R25が、
以下の基:
【0156】
【化10】
【0157】
及び水素から選択され、
R24、R26及びR28が、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17アルキル基及びアルケニル基から選択される、
ものを使用できる。
【0158】
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
【0159】
挙げることができる式(B6)の化合物の非限定的な例には、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの、塩、例えば塩化物及びメチル硫酸塩、並びにこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、アシル基は、14から18個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば、植物油、例としてパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物が幾つかのアシル基を含む場合、これらの基は同一であっても異なっていてもよい。
【0160】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化されているトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に、又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えば、ハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選択される。
【0161】
このような化合物は、例えば、Cognis社によりDehyquart(登録商標)の名称で、Stepan社によりStepanquat(登録商標)の名称で、Ceca社によりNoxamium(登録商標)の名称で、且つRewo-Goldschmidt社により「Rewoquat(登録商標)WE 18」の名称で販売されている。
【0162】
本発明による組成物中で使用することができるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4,874,554号及び同第4,137,180号に記載されている少なくとも1個のエステル官能基を含むアンモニウム塩が含まれる。
【0163】
本発明による組成物中で使用することができる上述の第四級アンモニウム塩には、式(I)に相当するもの、例えば、塩化テトラアルキルアンモニウム、例として塩化ジアルキルジメチルアンモニウム及び塩化アルキルトリメチルアンモニウム(そのアルキル基は、約12から22個の炭素原子を含む)、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム;塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム;並びにVan Dyk社により「Ceraphyl(登録商標)70」の名称で販売されている塩化ステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用することができるカチオン性界面活性剤は、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、塩化ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム、塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択される。
【0165】
(c-4)非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0166】
非イオン性界面活性剤は、それ自体及びそれだけで周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M. R. Porter、Blackie & Son Publishers(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。したがって、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、アルファ-ジオール、アルキルフェノール及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であり、グリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体を挙げることもできる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5つの、例えば1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2~30molのエチレンオキシドを含む、ソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物由来のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;シリコーン界面活性剤;並びにこれらの混合物もまた、非限定的に挙げることができる。
【0167】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化、又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、より特定するとオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0168】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下のものがある:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C8~C30酸とモノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とソルビトールとのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、及び
とりわけ単独又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0169】
界面活性剤は、好ましくは、モル数が1~100の間、好ましくは1~50の間、より好ましくは1~20の間の、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。
【0170】
本発明の実施形態の1つによれば、モノオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、モノオキシエチレン化脂肪アルコール(エチレングリコール及び脂肪アルコールのエーテル)、モノオキシエチレン化脂肪エステル(エチレングリコール及び脂肪酸のエステル)、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0171】
挙げることができるモノオキシアルキレン化脂肪エステルの例には、ジステアリン酸グリコールが含まれる。
【0172】
本発明の実施形態の1つによれば、ポリノオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(ポリエチレングリコール及び脂肪アルコールのエーテル)、ポリオキシエチレン化脂肪エステル(ポリエチレングリコール及び脂肪酸のエステル)、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0173】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2から10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-2からラウレス-20);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-2からベヘネス-20);セテアリルアルコール(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-2からセテアレス-20);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-2からセテス-20);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-2からステアレス-20);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-2からイソステアレス-20);並びにこれらの混合物が含まれる。
【0174】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2から10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-2からオレス-20);及びこれらの混合物が含まれる。
【0175】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0176】
詳細には、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、次式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H、又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
(式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に対応する。
【0177】
本発明との関連で好適な化合物の例としては、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0178】
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールは、アルコールの混合物を表してもよく、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存してもよいことを意味する。
【0179】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中では、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0180】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪エステルは、次式:
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''、又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
[式中、R'、R''及びR'''のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-若しくはアルケニル-CO-基を表し、但し、R'、R''及びR'''の少なくとも1つは、水素原子ではなく、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す]
に対応することができる。
【0181】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物及びこれらの混合物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの、例えばPEG-2からPEG-20ラウレート(CTFA名:PEG-2ラウレートからPEG-20ラウレート)、PEG-2からPEG-20パルミテート(CTFA名:PEG-2パルミテートからPEG-20パルミテート)、PEG-2からPEG-20ステアレート(CTFA名:PEG-2ステアレートからPEG-20ステアレート)、PEG-2からPEG-20パルミトステアレート、PEG-2からPEG-20ベヘネート(CTFA名:PEG-2ベヘネートからPEG-20ベヘネート)、及びこれらの混合物が含まれる。
【0182】
ポリオキシエチレン化脂肪エステルは、1つ又は複数の置換基、例えば、1つ又は複数のヒドロキシル基を有し得る、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C8~C30酸等のポリエチレングリコールと脂肪酸とのジエステルからも選択することができる。脂肪酸は、それぞれが1つ又は複数のヒドロキシル基を有する脂肪酸のポリマーの形態であってもよい。このようなポリマーは、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する1つの脂肪酸のカルボキシル基と、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する別の脂肪酸のヒドロキシル基とのエステル化によって形成することができる。このようなポリマーの例には、ポリヒドロキシステアレートが挙げられる。したがって、ポリオキシエチレン化脂肪エステルとしては、PEG-30ジポリヒドロキシステアレートを挙げることができる。
【0183】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体、例えば、1つ又は複数のC8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸のグリセリルエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;1つ又は複数のC8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸のソルビトールエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;1つ又は複数のC8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース及び/又はアルキルグリコース)エステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖と、1つ又は複数のC8~C24、好ましくはC12~C22脂肪アルコールとのエーテル;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0184】
脂肪酸のグリセリルエステルとして、グリセリルステアレート(グリセリルモノ-、ジ-及び/又はトリステアレート)(CTFA名:グリセリルステアレート)、グリセリルラウレート又はグリセリルリシノレエート、並びにこれらの混合物を引用することができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体として、脂肪酸とポリオキシアルキレン化グリセロールとの、モノ-、ジ-又はトリエステル(脂肪酸と、グリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとの、モノ-、ジ-又はトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化グリセリルステアレート(モノ-、ジ-及び/又はトリステアレート)、例えばPEG-20グリセリルステアレート(モノ-、ジ-及び/又はトリステアレート)及びポリオキシエチレン化グリセリルココエート(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアレート)、例えばPEG-7グリセリルココエートを引用することができる。
【0185】
これらの界面活性剤の混合物、例えばARLACEL 165の名称でUniqema社により市販されているグリセリルステアレート及びPEG-100ステアレートを含有する製品、並びにTEGINの名称でGoldschmidt社により市販されているグリセリルステアレート(グリセリルのモノ-及びジステアレート)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:グリセリルステアレートSE)等もまた使用することができる。
【0186】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、並びに脂肪酸と、例えば20~100個のEOを含有するアルコキシル化ソルビタンとのエステル、例えばICI社によりSpan 60の名称で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社によりSpan 40の名称で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社によりTween 65の名称で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又はUniqema社により商標名Tween 20若しくはTween 60で市販されている化合物等から選択することができる。
【0187】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はエチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシドとオレイン酸とのジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとラウリン酸とのエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキイソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとステアリン酸とのモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、具体的にはAMERCHOL社によりGlucate SSの名称で市販されている製品、及びこれらの混合物を引用することができる。
【0188】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルとして、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、特に約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコースとステアリン酸とのジエステルのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20メチルグルコースジステアレート)、例えばAMERCHOL社によりGlucam E-20の名称で市販されている製品、約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコースとステアリン酸とのモノエステル及びジエステルの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20メチルグルコースセスキステアレート)、特にAMERCHOL社によりGlucamate SSE-20の名称で市販されている製品及びGOLDSCHMIDT社によりGrillocose PSE-20の名称で市販されている製品、並びにこれらの混合物を、例えば引用することができる。
【0189】
スクロースエステルとして、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを、例えば引用することができる。
【0190】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、MYDOL 10の名称で花王株式会社により市販されている製品、PLANTAREN 2000の名称でHenkel社により市販されている製品、及びORAMIX NS 10の名称でSeppic社により市販されている製品等のデシルグルコシド、ORAMIX CG 110の名称でSeppic社により、又はLUTENSOL GD 70の名称でBASF社により市販されている製品等のカプリリル/カプリルグルコシド、PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200の名称でHenkel社により市販されている製品等のラウリルグルコシド、PLANTACARE 818/UPの名称でHenkel社により市販されている製品等のココ-グルコシド、場合によってはセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシドで、例えばMONTANOV 68の名称でSeppic社により、TEGO-CARE CG90の名称でGoldschmidt社により、及びEMULGADE KE3302の名称でHenkel社により市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばアラキジルとベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態でMONTANOV 202の名称でSeppic社により市販されているもの、ココイルエチルグルコシド、例えばセチルとステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態でMONTANOV 82の名称でSeppic社により市販されているもの、並びにこれらの混合物を、特に引用することができる。
【0191】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パームとコプラ(7 EO)グリセリドとの混合物もまた、引用することができる。
【0192】
本発明による非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルケニル又は分枝状のC12~C22アシル鎖、例えばオレイル基又はイソステアリル基を含有してもよい。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、PEG-20トリイソステアリン酸グリセリルである。
【0193】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、特に次式:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
[式中、a、b及びcは、a+cが、2~100の範囲であり、bが、14~60の範囲であるような整数である]
のコポリマー、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0194】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。非限定的に挙げられるのは、US-A-5364633及びUS-A-5411744の文献に開示されたものである。
【0195】
シリコーン界面活性剤は、好ましくは、次式(I):
【0196】
【化11】
【0197】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1、R2又はR3基はアルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但しA及びBが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは0~5の範囲の整数である]
の化合物であることができる。
【0198】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中で、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0199】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(II):
【0200】
【化12】
【0201】
[式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である]
の化合物を挙げることができる。
【0202】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
[式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である]
の化合物をも挙げることができる。
【0203】
使用することができる本発明の化合物は、Dow Corning社によりDC5329、DC7439-146、DC2-5695及びQ4-3667の名称で販売されているものである。それぞれ、化合物DC5329は、Aが22、Bが2、yが12であり、DC7439-146は、Aが103、Bが10、yが12であり、DC2-5695は、Aが27、Bが3、yが12である、式(II)の化合物である。
【0204】
化合物Q4-3667は、Aが15であり、yが13である、式(III)の化合物である。
【0205】
本発明による組成物中の(e)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であることができる。
【0206】
本発明による組成物中の(e)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下であることができる。
【0207】
本発明による組成物中の(e)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~10質量%、好ましくは2質量%~9質量%、より好ましくは3質量%~8質量%であることができる。
【0208】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物は、前述の成分に加えて、化粧品において典型的に用いられる成分、具体的には、染料、充填剤、ポリオール、親水性又は疎水性増粘剤、膜形成剤、UVフィルター、動物又は植物に由来する天然抽出物、防腐剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0209】
本発明による組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して0.001質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでもよい。
【0210】
(調製)
本発明による組成物は、当業者に周知の方法のいずれかに従って、上記の必須及び任意選択の成分を混合することによって調製することができる。
【0211】
(形態)
本発明による組成物は、W/O型エマルションの形態にある。(a)油は、エマルションの連続相を形成することができ、(c)エタノール及び(d)水は、エマルションの分散相を形成することができる。
【0212】
本発明による組成物は、化粧用組成物を意図したものであることができる。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質又はケラチン基質への塗布を意図したものであることができる。本明細書におけるケラチン物質又はケラチン基質は、ケラチンを主要構成要素として含有する材料を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が含まれる。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質又はケラチン基質、特に皮膚用の美容方法に使用することが好ましい。
【0213】
したがって、本発明による化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メーキャップ組成物、例えばファンデーション、特に液体ファンデーションであることができる。
【0214】
[美容方法及び使用]
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質又はケラチン基質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質又はケラチン基質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【0215】
本明細書における美容方法とは、皮膚等のケラチン物質又はケラチン基質の表面をケア及び/又はメーキャップするための非治療的美容法を意味する。
【0216】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の油と、
(d)水と
を含むW/O型組成物中での、組成物の安定性、被覆力及びフレッシュな使用感を強化するための(b)少なくとも1種のモノアルキルトリアシルチタネート処理顔料及び(c)エタノールの使用であって、
(c)エタノールの量が、組成物の総質量に対して、6.0質量%以上、好ましくは6.4質量%以上、より好ましくは6.8質量%以上であり、
組成物が、任意選択により、少なくとも1種の揮発性環状シリコーンを、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む
使用にも関する。
【0217】
本発明による組成物についての成分(a)から(d)に関する上記の説明は、上記の使用におけるそれらの成分に適用できる。
【実施例
【0218】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかし、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0219】
(実施例1及び比較例1~3)
[調製]
実施例1及び比較例1~比較例3による各組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。成分の量の数値は、全て、有効原料の「質量%」に基づく。
【0220】
【表1】
【0221】
[評価]
(被覆力)
実施例1及び比較例1~3による各組成物を、白色基質(Beaulax社製のBioskin(登録商標))と黒色基質(Beaulax社製のBioskin(登録商標))上に1mg/cm2の比率で均一に塗布した。2時間後、各基質の色を携帯型比色計(分光光度計Konica Minolta CM-3610d)で測定した。白色及び黒色の各基質のXYZ色空間内の値Yを決定した。コントラスト比を以下の式から計算した。
コントラスト比=Y黒色/Y白色×100
(式中、
Y黒色は、黒色基質のXYZ色空間内のY値を意味し、
Y白色は、白色基質のXYZ色空間内のY値を意味する)。
【0222】
コントラスト比が高くなれば、被覆力は高くなる。こうして計算したコントラスト比を以下の評価基準に従って分類した。
良好:38以上
可:33超で38未満
不良:33以下
【0223】
結果を表1に示す。
【0224】
(安定性)
実施例1及び比較例1~3による各組成物を、45℃±1℃でインキュベーターに入れた。組成物の様相を、事前及び2カ月後に、以下の評価基準に従って目視観察により確認した。
良好:相分離なし
可:若干の相分離(少量の油が、下位相の表面上に分離した、又は1つ又は複数の白線が組成物の様相内で観察される)
不良:相分離(多量の油が、下位相の表面上に分離した)
【0225】
結果を表1に示す。
【0226】
(フレッシュさ)
実施例1及び比較例1~3による組成物を、5名の監視人によりフレッシュな使用感について評価した。実施例1及び比較例1~3による各組成物を監視人の顔面に監視人自らにより塗布し、以下の評価基準に従ってフレッシュさをスコア付けして評価した。平均スコアを表1に示す。
3:良好
2:可
1:不良
【0227】
結果を表1に示す。