(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】発電機界磁のダンパ&ばねロック機構
(51)【国際特許分類】
H02K 3/16 20060101AFI20241015BHJP
H02K 3/487 20060101ALI20241015BHJP
H02K 3/51 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H02K3/16
H02K3/487 Z
H02K3/51 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020067306
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エー.・マンキューソ
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・エム.・エベール
(72)【発明者】
【氏名】スコット・エリック・ベルナップ
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0352177(US,A1)
【文献】米国特許第06252328(US,B1)
【文献】実開昭54-144201(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/16
H02K 3/487
H02K 3/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機(64)のウェッジ(104)
及び保持リング(102)の少なくとも1つの周りで使用するダンパ-ばねアセンブリ(120)であって、
当該ダンパ-ばねアセンブリ(120)が、
ダンパ(110)と、
ばね(112)と、
クリページブロック(114)と、
前記ダンパ(110)
及び前記ばね(112)
を貫通し、かつ前記クリページブロック(114)
内に延びているが貫通はしていない、ロック機構(130)と
を備え
ており、前記ロック機構(130)がピン(140)を備えており、前記ピン(140)が、通気孔から離れて位置している、ダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項2】
前記ロック機構(130)
が、前記ウェッジ(104)に隣接して位置決めされる、請求項1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項3】
前記ロック機構(130)
が、前記保持リング(102)に隣接して位置決めされる、請求項1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項4】
前記ピン(140)
がシャフト(150)と、ヘッド(160)とを備える、請求項
1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項5】
前記シャフト(150)
が第1の直径を含み、前記ヘッド(160)
が第2の直径を含み、前記第2の直径
が前記第1の直径よりも大きい場合がある、請求項
4に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項6】
前記ピン(140)
が雄ねじ(210)を備える、請求項
1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項7】
前記ピン(140)
が雌ねじ(220)を備える、請求項
1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項8】
前記ピン(140)
がその上にドライブ(230)を備える、請求項
1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項9】
前記ピン(140)
がギザギザ付きの表面(240)を備える、請求項
1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項10】
前記ダンパ(110)
が、貫通するダンパ開口(180)を備える、請求項1に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項11】
前記ばね(112)
が、貫通するばね開口(190)を備える、請求項
10に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項12】
前記クリページブロック(114)
が、貫通するクリページブロック開口(200)を備える、請求項
11に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【請求項13】
前記ダンパ開口(180)
が、前記ばね開口(190)
及び前記クリページブロック開口(200)よりも大きい、請求項
12に記載のダンパ-ばねアセンブリ(120)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願および結果として得られる特許は、一般に、発電機に関し、より具体的には、構成要素の移行を防止するためにダンパ-ばねアセンブリのロック機構を備えた複合サイクルシステムなどで使用される発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機界磁は、意図しない回転子表面電流を伝導するように設計されたダンパシステムを有することができる。このような回転子表面電流は、電動始動、通常動作、および異常動作中に生成され得る。ダンパシステムは、回転子ウェッジのダブテールに位置決めされた薄い金属導電性部品のアセンブリであり得る。静的始動(すなわち、電動始動)用に設計されたダンパシステムはまた、低速動作中に確実な接触を提供するためのばねを有することができる。これらの構成要素は、長期の周期的な(始動および熱)動作で軸方向に移行することがある。そのような移行は、使用中の通気の遮断および/または電気的地絡をもたらす可能性があり、すなわち、帯電した巻線への電気絶縁が損なわれる可能性がある。そのため、ダンパシステムの構成要素を軸方向に保持することで、長期的な信頼性および性能を向上させることができる。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本出願および結果として得られる特許は、発電機のウェッジおよび保持リングの少なくとも1つの周りで使用するダンパ-ばねアセンブリを提供する。ダンパ-ばねアセンブリは、ダンパと、ばねと、クリページブロックと、ダンパ、ばね、およびクリページブロックを通って延びるロック機構とを含んでもよい。
【0004】
本出願および結果として得られる特許は、ダンパ-ばねアセンブリを発電機に設置する方法をさらに提供する。方法は、ダンパ-ばねアセンブリのダンパ、ばね、およびクリページブロックを通る開口を形成するステップと、ロック機構を開口に挿入するステップと、発電機のウェッジおよび保持リングの少なくとも1つに隣接してダンパ-ばねアセンブリを位置決めするステップとを含んでもよい。
【0005】
本出願および結果として得られる特許は、発電機のウェッジおよび保持リングの少なくとも1つの周りで使用するダンパ-ばねアセンブリをさらに提供する。ダンパ-ばねアセンブリは、ダンパと、ばねと、クリページブロックと、ダンパ、ばね、およびクリページブロックを通って延びるピンとを含んでもよい。ピンは、ウェッジまたは保持リングに隣接して位置決めされてもよい。
【0006】
本出願および結果として得られる特許のこれらのおよび他の特徴および改良は、いくつかの図面および添付の特許請求の範囲と併せて、以下の詳細な説明を検討することにより当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書で説明することができる例示的なガスタービン複合サイクルシステムの概略図である。
【
図2】
図1のガスタービン複合サイクルシステムで使用する例示的な発電機の断面図である。
【
図3】
図2の発電機の例示的な発電機回転子の平面図である。
【
図4】
図3の発電機回転子と共に使用するダンパシステムの部分平面図である。
【
図7】本明細書で説明することができるダンパシステムの概略図である。
【
図8】本明細書で説明することができるダンパシステムの代替の実施形態の概略図である。
【
図9】
図7および
図8のダンパシステムと共に使用するピンの斜視図である。
【
図10】
図7および
図8のダンパシステムと共に使用するピンの代替の実施形態の斜視図である。
【
図11】
図7および
図8のダンパシステムと共に使用するピンの代替の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで図面を参照すると、いくつかの図を通して同様の番号は同様の要素を指しており、
図1は、複合サイクル発電システム10の例示的な実施形態の概略図である。複合サイクル発電システム10は、ガスタービンと、蒸気タービンと、排熱回収ボイラ(HRSG)とを含むことができる。具体的には、複合サイクルシステム10は、第1の発電機14を駆動して電力を発生するためのガスタービン12を含み得る。ガスタービン12は、タービン16と、燃焼器18と、圧縮機20とを含むことができる。複合サイクルシステム10はまた、第2の発電機24を駆動するための蒸気タービン22を含み得る。蒸気タービン22は、低圧セクション26(LP ST)と、中圧セクション28(IP ST)と、高圧セクション30(HP ST)とを含むことができる。本明細書に示すように、ガスタービン12および蒸気タービン22は別個の発電機14および24を駆動することができるが、ガスタービン12および蒸気タービン22はまた、単一のシャフトを介して単一の負荷を駆動するためにタンデムで利用されてもよい。本明細書に記載の発電機および構成要素などは、他のタイプの発電システムに組み込まれてもよい。
【0009】
複合サイクルシステム10はまた、多段排熱回収ボイラ32を含み得る。ガスタービン12からの加熱された排気ガス34は、排熱回収ボイラ32に向けられ、蒸気タービン22に電力を供給するために使用される蒸気を加熱することができる。蒸気タービン22の低圧セクション26からの排気は、復水器36に向けることができる。次に、復水器36からの復水は、復水ポンプ38の助けを借りて、排熱回収ボイラ32の低圧セクションに向けられ得る。
【0010】
図2は、
図1の複合サイクル発電システム10または様々な他のタイプの発電システムにおいて発電機14および/または発電機24として機能することができる発電機64の例の断面図である。発電機64は、環状フレーム66と、回転子68と、固定子70と、シャフト72とを含むことができる。シャフト72は、ガスタービン、蒸気タービン、風力タービン、水力タービン、内燃機関、または回転出力を提供するように構成された任意の他の適切なデバイスによって回転するように駆動されてもよい。シャフト72は、磁気コアの周りのワイヤ巻線を含むことができる、実質的に円筒形の回転子68に結合することができる。回転子68は、静止磁場を提供するように構成される固定子70内に配置され得る。固定子70内の回転子68の回転は、電流をワイヤ巻線内に生成し、それによって発電機64から電気出力を発生する。上述のように、発電機64の高サイクルデューティは、経時的に発電機64およびその中の構成要素の性能劣化をもたらす可能性がある。
【0011】
図3は、
図2の発電機64の発電機回転子68の一実施形態の平面図である。示すように、回転子68は、一端に機械モードまたはパワータービン継手などの継手90を備えたシャフト72を含むことができる。シャフトは軸方向86に延び、回転子68を円周方向88に回転させる。さらに、回転子68は、シャフト72から半径方向90に延びる。シャフト72の他端には、回転子界磁巻線のための電気的接合を提供するコレクタリング92が存在し得る。コレクタリング92に隣接して、コレクタファン94が位置し得る。回転子68は、コイル巻線98を保持する大きな直径の本体96を有することができる。コイル巻線98は、回転子68の中央から回転子本体96の軸方向86の端部まで半径方向90に外向きに延びる軸方向86に配向したスロットに配置することができる。
【0012】
図4~
図6は、回転子68などと共に使用するダンパ-ばねアセンブリ100を示す。ダンパ-ばねアセンブリ100は、回転子68の巻線98の上の保持リング102とウェッジ104との間、およびガラス充填材106とリング絶縁体108との間に位置決めすることができる。ダンパ-ばねアセンブリ100は、ダンパ110と、ばね112と、クリページブロック114とを含むことができる。発電機64の旋回速度/低速において、クリページブロック114および巻線98は、クリページブロック114が軸方向にシフトすることができるようにある程度緩んでいてもよい。発電機64の定格速度において、構成要素のすべては、発生する遠心力によって半径方向外向きに圧縮されてもよい。電場が励起され、電流が定格出力まで上昇すると、巻線98は加熱され、軸方向に膨張し得る。したがって、本明細書の構成要素は、軸方向の停止部に到達するまで、相対摩擦係数に応じて軸方向にスライドすることができる。
【0013】
図7および
図8は、本明細書で説明することができるダンパ-ばねアセンブリ120の例を示す。ダンパ-ばねアセンブリ120は、上述のように、ダンパ110と、ばね112と、クリページブロック114とを含むことができる。ダンパ-ばねアセンブリ120はまた、ロック機構130を含み得る。ロック機構130は、ピン140または他のタイプの機械的閉鎖の形態をとることができる。ピン140は、鋼などの金属またはガラスエポキシなどの非金属などから作製され得る。ピン140は、シャフト150およびヘッド160を備えた段階的な構成を有することができる。ヘッド160の直径は、シャフト150の直径よりも大きくてもよい。ピン140は、ダンパ-ばねアセンブリ100の構成要素の各々を通してドリルされた、または別の方法で形成された開口170を通って延びることができる。具体的には、ダンパ開口180、ばね開口190、およびクリページブロック開口200を形成することができる。ダンパ開口180は、ピン140のシャフト150とヘッド160の相対的なサイズのため、ばね開口190およびクリページブロック開口200よりも直径が大きくなり得る。他の構成要素および他の構成を、本明細書において使用してもよい。
【0014】
図7に示すように、ピン140および開口170は、ウェッジ104の下に位置決めされ得る。あるいは、
図8に示すように、ピン140および開口170は、保持リング102の下に位置決めされてもよく、そこで回転子鍛造品を覆う。ピン140は、構成要素の半径方向の通気孔のいずれかの上またはそれに隣接して位置決めされるべきではない。むしろ、ピン140および開口170は、構成要素の予め中実のセクションに位置する。さらに、本明細書に示すウェッジ104および保持リング102の構成の代わりに、ピン140および開口170は、ウェッジ/ウェッジ構成におけるいずれかのウェッジ104の下で使用されてもよい。他の構成要素および他の構成を、本明細書において使用してもよい。
【0015】
ピン140は、ダンパ110、ばね112、およびクリページブロック114を軸方向に共にロックし、構成要素間の相対運動を防止する。上述したように、ダンパ110におけるダンパ開口180およびピン140の直径は、ばね112およびクリページブロック114のものよりも大きい。ピン140のこの段階的な直径は、ダンパ110上に位置しているウェッジ104と共に、ピン140を所定の位置に半径方向にロックするように作用する。これは、スロット内のクリアランス、したがってクリページブロック114の半径方向の移動がしばしばダンパ110の厚さ(したがって、ダンパ110へのピン140の係合)を超えるために重要である。この半径方向の保持がない場合、ピン140は、ユニットがギアを旋回している間に構成要素から外れる可能性がある。
【0016】
図9~
図11は、ピン140の代替の実施形態を示す。ヘッド160、および/またはシャフト150、および/またはダンパ開口180はその上にねじ210を有し得、それによりピン140は、ねじ210を介してトルクによって半径方向にロックおよび取り外され得る。同様に、ピン140は、メンテナンスのための容易な取り外し/分解のために、
図10に示すような雌ねじ220などの内部構造、または
図11に示すような六角ドライブもしくはスロットドライブなどのドライブ230を有し得る。ピン140はまた、
図10に示すようにリブ付き、ギザギザ付き、または隆起した表面240を有し得、これはダンパ110と干渉するように作用し、共に構成要素をロックする締まりばめを形成する。同様に、開口170は、その中に付随するロック特徴を有することができる。加えて、ピン140は、接着剤またはエポキシなどによりダンパ110またはクリページブロック114にロックされてもよい。加えて、ピン140は、ろう付けまたは溶接プロセスによりダンパ110に位置してもよい。他の構成要素および他の構成を、本明細書において使用してもよい。
【0017】
ダンパ110およびばね112をクリページブロック114に機械的に接続することによって、使用中に見られる大量の熱力を抑制する能力を必要とすることなく、部品の移行を軽減することができる。具体的には、構成要素をクリページブロック114に取り付けることによって、移行を駆動する力の源、すなわち、クリページブロック114とばね112および/またはダンパ110との間の相対摩擦および相対運動が除去される。
【0018】
加えて、通気孔から離してピン140を位置させることによって、いくつかの利点が存在する:(1)ピン材料は、より高い強度およびより容易に入手可能な部品を可能にする非導電性材料で作製する必要がない、(2)ピン140は、(保持リングの焼きばめ位置などの)組立/分解のためにより接近可能な場所に位置してもよく、これにより技術者にとって組立および分解がはるかに容易になる、(3)雄ねじ210または雌ねじ220および上述の他の構造を組み込んで、確実なロックおよび容易な取り外しを促進することができる。また、この解決策は、ほとんどすべての部品の再利用を可能にし(ほとんどの場合)、ダンパ110、ばね112、およびクリページブロック114を修正(ドリル)し、迅速に入手可能な低コストのピン140を調達することによって実装することができる。そのため、これは、サイクルタイムが短く、比較的低コストのジョブに実装することが可能である。この解決策はまた、最小限の再設計作業で異なるモデルタイプに適用することができる。
【0019】
ダンパ-ばねアセンブリ120は複合サイクル発電システム10との関連で説明されてきたが、アセンブリは、単純なサイクルのガスタービン発電機などにも同等に適用可能である。他のタイプの発電機もまた、本明細書において使用してもよい。
【0020】
上記は、本出願および結果として得られる特許の特定の実施形態のみに関するものであることは明らかである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の一般的な趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において数多くの変更および修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0021】
10 複合サイクル発電システム
12 ガスタービン
14 第1の発電機
16 タービン
18 燃焼器
20 圧縮機
22 蒸気タービン
24 第2の発電機
26 低圧セクション
28 中圧セクション
30 高圧セクション
32 多段排熱回収ボイラ
34 排気ガス
36 復水器
38 復水ポンプ
64 発電機
66 環状フレーム
68 発電機回転子
70 固定子
72 シャフト
86 軸方向
88 円周方向
90 継手/半径方向
92 コレクタリング
94 コレクタファン
96 回転子本体
98 コイル巻線
100 ダンパ-ばねアセンブリ
102 保持リング
104 ウェッジ
106 ガラス充填材
108 リング絶縁体
110 ダンパ
112 ばね
114 クリページブロック
120 ダンパ-ばねアセンブリ
130 ロック機構
140 ピン
150 シャフト
160 ヘッド
170 開口
180 ダンパ開口
190 ばね開口
200 クリページブロック開口
210 雄ねじ
220 雌ねじ
230 ドライブ
240 表面