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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20241015BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H04N1/028 B
H04N1/12 Z
H04N1/04 106A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020095015
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190871
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 文吾
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-262020(JP,A)
【文献】特開2016-195317(JP,A)
【文献】特開2012-151568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/028
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送路に沿って搬送する原稿搬送部と、
主走査方向に配列された受光素子を有し、前記原稿搬送部により搬送方向に搬送される原稿の画像を読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットを収容するケースであって、前記搬送路の一部を形成し前記受光素子への光が通過する透明部材を有し、前記ケースの前記主走査方向における一方側の端面である壁部に開口が形成されたケースと、
前記壁部に前記ケースの外側から当接して前記開口を覆う蓋部と、前記ケースに収容された読取ユニットと前記蓋部とを連結する連結部と、を有し、前記ケースの内部における前記読取ユニットの位置を調整する調整部材と、
を備え、
前記調整部材が移動することにより、前記読取ユニットは前記搬送方向に対する角度が変わるように前記ケースの内部で移動する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿を搬送路に沿って搬送する原稿搬送部と、
主走査方向に配列された受光素子を有し、前記原稿搬送部により搬送方向に搬送される原稿の画像を読み取る読取ユニットと、
前記搬送路の一部を形成し前記受光素子への光が通過する透明部材と、開口が形成された壁部と、を有し、前記読取ユニットを収容するケースと、
前記壁部に前記ケースの外側から当接して前記開口を覆う蓋部と、前記壁部に前記ケースの内側で当接して前記蓋部と共に前記壁部を挟み込む突起部と、前記ケースに収容された読取ユニットと前記蓋部とを連結する連結部と、を有し、前記ケースの内部における前記読取ユニットの位置を調整する調整部材と、
を備え、
前記調整部材が移動することにより、前記読取ユニットは前記搬送方向に対する角度が変わるように前記ケースの内部で移動する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記調整部材は、前記搬送方向に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取ユニットの前記主走査方向における第1端部は、前記連結部により前記蓋部と連結されており、
前記ケースは、前記読取ユニットの前記主走査方向における前記第1端部の反対側に位置する第2端部を回動可能に支持する支持部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記ケースは、前記読取ユニットが前記主走査方向に動くことを規制する規制部を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ケースの内部に、前記読取ユニットを前記透明部材に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記ケースは、
前記透明部材に対して垂直な壁面で前記読取ユニットを囲む第1ケース部材と、
前記透明部材に平行な壁面で、前記透明部材及び前記第1ケース部材と共に前記読取ユニットを収容する第2ケース部材と、
を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記調整部材の位置を前記ケースに対して固定する固定手段を有し、
前記固定手段は、前記調整部材に設けられた第1固定部と、前記ケースに設けられた第2固定部と、を固定することで前記調整部材の位置を前記ケースに対して固定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記原稿搬送部によって搬送される原稿の第1面の画像を読み取るスキャナ部を備え、
前記読取ユニットは、原稿の前記第1面とは反対の第2面の画像を読み取ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置によって読み取られた画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、及びそれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ等の画像形成装置は、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取装置を備えたものが知られている。この種の画像読取装置は、原稿を1枚ずつ搬送する自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder、以下ADFとする)と、搬送される原稿の画像を読み取るためのスキャナ部を有している。
【0003】
このような画像読取装置においては、読取ユニットがプラテンガラスなどの透明部材を介して原稿の画像を読み取る。ここで、読取ユニットと透明部材の間に異物が侵入した場合、読み取られた画像情報に線上の画像ノイズ(画像スジ)が生じることがある。
【0004】
また、精度よく原稿の画像情報を読み取るためには、読取ユニットの読取ラインと原稿の先端とが平行な状態で、原稿が搬送される必要がある。しかしながら、部品交差等によって読取ユニットの読取ラインと原稿の先端位置とがずれてしまう場合があり、その際には、読取ユニットの位置を調整する必要があった。
【0005】
そこで読取ユニットと透明部材との間に異物が侵入することを防止しつつ、読取ユニットの位置を容易に調整することができる画像読取装置が提案されている(特許文献1)。図10に示すように、特許文献1に記載の画像読取装置は、読取ユニットが密閉部13(ケース)の開口から外側に突出する突出部12を有し、突出部12の移動を許容して変形する弾性部材14により開口を埋める構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-208745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、スポンジなどの弾性部材12を密閉部13の開口を埋めるように配置することにより密閉状態を維持する。そのため、組み立て作業のミスや経時劣化などにより密閉状態を維持することが難しく、読取ユニットと透明部との間に異物が侵入する虞があった。
【0008】
そこで、本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、読取ユニットと透明部材との間に異物が侵入することを防止しつつ、読取ユニットの位置調整を行うことが可能な画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像読取装置は、原稿を搬送路に沿って搬送する原稿搬送部と、主走査方向に配列された受光素子を有し、前記原稿搬送部により搬送方向に搬送される原稿の画像を読み取る読取ユニットと、前記読取ユニットを収容するケースであって、前記搬送路の一部を形成し前記受光素子への光が通過する透明部材を有し、前記ケースの前記主走査方向における一方側の端面である壁部に開口が形成されたケースと、前記壁部に前記ケースの外側から当接して前記開口を覆う蓋部と、前記ケースに収容された読取ユニットと前記蓋部とを連結する連結部と、を有し、前記ケースの内部における前記読取ユニットの位置を調整する調整部材と、を備え、前記調整部材が移動することにより、前記読取ユニットは前記搬送方向に対する角度が変わるように前記ケースの内部で移動する、ことを特徴とする画像読取装置である。
また、本発明の別の一態様に係る画像読取装置は、原稿を搬送路に沿って搬送する原稿搬送部と、主走査方向に配列された受光素子を有し、前記原稿搬送部により搬送方向に搬送される原稿の画像を読み取る読取ユニットと、前記搬送路の一部を形成し前記受光素子への光が通過する透明部材と、開口が形成された壁部と、を有し、前記読取ユニットを収容するケースと、前記壁部に前記ケースの外側から当接して前記開口を覆う蓋部と、前記壁部に前記ケースの内側で当接して前記蓋部と共に前記壁部を挟み込む突起部と、前記ケースに収容された読取ユニットと前記蓋部とを連結する連結部と、を有し、前記ケースの内部における前記読取ユニットの位置を調整する調整部材と、を備え、前記調整部材が移動することにより、前記読取ユニットは前記搬送方向に対する角度が変わるように前記ケースの内部で移動する、ことを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、読取ユニットと透明部材との間に異物が侵入することを防止しつつ、読取ユニットの位置調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るプリンタを示す全体概略面図。
図2】本実施形態に係る画像読取装置を示す断面図。
図3】第2読取ユニット及びケースを示す断面図。
図4】第2読取ユニットのケースを示す分解斜視図。
図5】第2読取ユニットの調整部材を示す斜視図。
図6】第2読取ユニットの位置決め部を示す斜視図。
図7】第2読取ユニットがケースに収容された状態を示す斜視図。
図8】斜行した原稿が第2読取ユニットに搬送される状態を示す平面図。
図9】位置調整後の第2読取ユニット及び原稿を示す平面図。
図10】従来の読取ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本技術の適用範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
[プリンタの概略構成]
まず、画像形成装置としてのプリンタ101の概略構成について図1を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係るプリンタ101の断面図である。なお、以下では、ユーザがプリンタ101に対して各種入力/設定を行う不図示の操作部に臨む位置をプリンタ101の「手前側」、背面側を「奥側」と定義する。つまり、図1は手前側から見たプリンタ101の内部構成を示したものである。
【0014】
プリンタ101は、図1に示すように、プリンタ本体101Aと、画像読取装置103と、を備えている。プリンタ本体101Aの上方に配置された画像読取装置103は、スキャナ部30とADF1とを備え、原稿Dを光学的に走査して画像情報を読み取る。画像読取装置103によって電気信号に変換された画像情報は、プリンタ本体101Aに設けられた制御部132へと転送される。これにより、プリンタ101は画像読取装置103によって読み取られた画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する。
【0015】
プリンタ本体101Aは、記録媒体であるシートPに画像を形成する画像形成部133と、画像形成部133にシートPを給送するシート給送部34と、を有している。シート給送部34は、互いに異なるサイズのシートを収納可能なシート収納部137a,137b,137c,137dを備えている。各シート収納部に収納されたシートは、ピックアップローラ32によって繰り出され、フィードローラ33a及びリタードローラ33bによって1枚ずつ分離されて、対応する搬送ローラ対131へと受け渡される。そして、シートPは、シート搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ対131に順に受け渡されることで、レジストレーションローラ対136へと搬送される。
【0016】
なお、ユーザによって手差しトレイ137eに載置されたシートPは、給送ローラ138によってプリンタ本体101Aの内部に給送され、レジストレーションローラ対136へと搬送される。レジストレーションローラ対136は、シートPの先端を停止させて斜行を補正すると共に、画像形成部133によるトナー像の形成プロセスである作像動作の進行に合わせてシートPの搬送を再開する。
【0017】
シートPに画像を形成する画像形成部133は、感光体である感光ドラム121を備えた電子写真方式のユニットである。感光ドラム121は、シートPの搬送方向に沿って回転可能であり、感光ドラム121の周囲には帯電器118、露光装置123、現像器124、転写帯電器125、分離帯電器126、及びクリーナ127が配置されている。帯電器118は感光ドラム121の表面を一様に帯電させる。露光装置123は画像読取装置103等から入力される画像情報に基づいて感光ドラム121を露光し、感光ドラム121上に静電潜像を形成する。
【0018】
現像器124は、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を収容しており、感光ドラム121に帯電したトナーを供給することで静電潜像をトナー像に現像する。感光ドラム121に担持されたトナー像は、転写帯電器125が形成するバイアス電界により、レジストレーションローラ対136から搬送されるシートPに転写される。トナー像を転写されたシートPは、分離帯電器126が形成するバイアス電界によって感光ドラム121から離間し、定着前搬送部128によって定着部129へ向けて搬送される。なお、シートPに転写されずに感光ドラム121に残留した転写残トナー等の付着物はクリーナ127によって除去され、感光ドラム121は次の作像動作に備える。
【0019】
定着部129に搬送されたシートPは、ローラ対に挟持されて加圧されながら加熱され、トナーの溶融・固着により画像を定着させられる。画像出力が完了している場合、定着画像が得られたシートPは、排出ローラ対40を介して、プリンタ本体101Aの外方に突出した排出トレイ130に排出される。両面印刷においてシートPの裏面に画像を形成する場合、定着部129を通過したシートPは、反転部139によって表面と裏面とを入れ替えられ、両面搬送部140によってレジストレーションローラ対136へと搬送される。そして、画像形成部133によって再び画像を形成されたシートPは、排出トレイ130に排出される。
【0020】
[画像読取装置の構成]
次に、図2を参照して、画像読取装置103の構成を説明する。ここで、図2は画像読取装置103の概略構成を説明する断面図である。図2に示すように、画像読取装置103は、スキャナ部30と、原稿給送部であるADF1と、によって構成される。また、画像読取装置103は、スキャナ部30に配置された第1読取ユニット151と、ADF1に配置された第2読取ユニット201と、を備えている。以下、画像読取装置103を構成する各要素について説明する。
【0021】
第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、ADF1によって搬送される原稿Dの両面を読取可能な両面読取部DRを構成している。スキャナ部30に配置される第1読取ユニット151は、原稿Dの第1面の画像情報を読み取る。また、第2読取ユニット201は、原稿Dの第1面とは反対側の第2面の画像を読み取る。本実施形態における第1面とは、両面読取部DRにおける原稿Dの下側の面であり、第2面とは両面読取部DRにおける原稿Dの上側の面である。ただし、両面読取部DRは常に両面の読取を実行するとは限らず、片面のみの読取りも可能である。
【0022】
第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、等倍光学系の走査装置である密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、以下、CISとする)からなる。第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、原稿Dの搬送方向に直交する主走査方向に配列されたLEDアレイからなる光源と、同じく主走査方向に配列された複数の受光素子211(例えば後述する図8参照)と、を備えている。LEDアレイから放出され、原稿Dによって反射された反射光は、レンズを介して各受光素子211に結像され、受光素子211によって光電変換される。
【0023】
スキャナ部30は、プリンタ本体101Aの上面に固定されている(図1参照)。スキャナ部30の上面には、図2に示すように、フラットベッド型の原稿台31が配置されている。第1読取ユニット151は、図2における左右方向に移動可能なキャリッジ(不図示)に支持されており、両面読取部DRにおける所定位置(図2に示した位置)から、原稿台31に沿って原稿台31の全長に亘って移動可能である。
【0024】
ADF1は、スキャナ部30の奥側に配置された不図示のヒンジ機構によって、スキャナ部30に対して上下方向に開閉可能に支持されている。ADF1は、第2読取ユニット201の他に、原稿トレイ2と、原稿搬送部11と、原稿排出部3と、を備えている。原稿トレイ2は、ユーザによって載置された原稿Dを支持する。原稿搬送部11は、内部に原稿搬送路Tが形成されており、原稿トレイ2に載置された原稿Dを、原稿搬送路Tに沿って両面読取部DRに給送する。原稿搬送部11により給送された原稿Dは両面読取部DRにおいて画像を読み取られ、原稿排出部3に排出される。
【0025】
次に、原稿搬送部11について詳しく説明する。原稿搬送部11は、ピックアップローラ4と、フィードローラ5と、リタードローラ6と、レジストレーションローラ対7と、搬送ローラ対8,9と、排出ローラ対10とを有している。ピックアップローラ4は、原稿トレイ2の上面に対して上下方向に移動可能であり、原稿トレイ2上の原稿Dに当接して給送を開始する。フィードローラ5は、ピックアップローラ4から受け取った原稿Dを搬送方向の下流へ向けて搬送する。リタードローラ6は、フィードローラ5に圧接され、トルクリミッタを介して搬送方向に逆らう方向の回転駆動が入力されている。これにより、フィードローラ5は搬送される原稿Dを1枚ずつに分離する。
【0026】
レジストレーションローラ対7は、回転を停止した状態で、フィードローラ5によって搬送される原稿Dの搬送方向下流端(以下、先端とする)を受け止め、原稿Dを撓ませて斜行を補正する。また、レジストレーションローラ対7は、斜行が補正された原稿Dを、原稿搬送路Tの屈曲部を介して搬送し、搬送ローラ対8に受け渡す。搬送ローラ対8は、原稿Dを両面読取部DRに送り込んで、下流側の搬送ローラ対9に受け渡す。このとき、第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201により、原稿Dの画像が読み取られる。搬送ローラ対9は、両面読取部DRを通過した原稿Dを排出ローラ対10に受け渡す。排出ローラ対10は、原稿Dを原稿排出部3に排出する。
【0027】
画像読取装置103は、ADF1により原稿Dを給送しながら原稿画像を走査する流し読みモードと、原稿台31に載置された原稿を走査する固定読みモードと、により、原稿Dの画像情報を読み取る。流し読みモードは、原稿給送トレイ2に載置された原稿Dを装置が検出した場合、又はプリンタ本体101Aの操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。流し読みモードでは、第1読取ユニット151が両面読取部DRの所定位置にある状態で、ADF1が原稿Dを両面読取部DRへ向けて1枚ずつ給送する。そして、両面読取部DRにおいて副走査方向に搬送されている原稿Dの画像を読み取る。ここで、副走査方向とは主走査方向に垂直な方向であり、読取中の原稿Dが搬送されている方向である。両面読取の場合には第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201の両方が原稿Dに走査光を照射して走査する。片面読取の場合には第1読取ユニット151のみが、原稿Dに走査光を照射して走査する。
【0028】
一方、固定読みモードは、原稿台31に載置された原稿Dを装置が検出した場合又はプリンタ本体101Aの操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。固定読みモードでは、第1読取ユニット151が、原稿台31に沿って移動しながら光を照射して原稿台31に載置された原稿Dを走査する。
【0029】
[読取ユニットのケース及び調整部材の構成]
次に、図3から図7を用いて第2読取ユニット201を収容するケース200及び第2読取ユニット201のケース200内での位置を調整する調整部材204の構成について説明する。図3は両面読取部DRにおける、第2読取ユニット201及びケース200の断面図である。
【0030】
図3に示すように、両面読取部DRには、ケース200及び原稿搬送路Tの一部を形成する搬送ガイド210が存在する。ケース200は第2読取ユニット201をケース200の内側の収容空間Sに収容している。ケース200は第1ケース部材202、第2ケース部材203及び透明部材209によって構成されている。即ち、収容空間Sは第1ケース部材と、第2ケース部材と、透明部材209と、によって形成される空間である。透明部材209は搬送ガイド210に対して原稿搬送路Tを挟んで反対側に位置し、原稿搬送路Tの一部を形成している。また、第1ケース部材202は、ADF1に固定されている。
【0031】
第2ケース部材203と第2読取ユニット201との間には、第2読取ユニット201を透明部材209に向けて付勢するバネ等の付勢部材208が設けられている。第2読取ユニット201は、付勢部材208の付勢力によって重力方向に位置決めされ、第2読取ユニット201の焦点深度範囲PRが、原稿搬送路Tの高さに対応するように構成されている。これにより、第2読取ユニット201のピントが搬送されてくる原稿Dに対して確実に合い、画像読取精度を向上することができる。
【0032】
ケース200の分解斜視図を図4に示す。なお、図4にはケース200に収容される第2読取ユニット201及び第2読取ユニット201の位置を調整する調整部材204も図示されている。上記のように、ケース200は、透明部材209と、第1ケース部材202と、第2ケース部材203と、により構成される。第1ケース部材202は透明部材209に対して垂直な壁面で第2読取ユニット201を囲み、第2ケース部材203は透明部材209に平行な壁面で第2読取ユニット201を覆う。
【0033】
図4に示すように、第1ケース部材202は、開口207を形成する壁部202eを有する。第2ケース部材203は、第1ケース部材202の上方で、第1ケース部材202に重なるように配置される。第1ケース部材202の固定部202b,202cに対して、第2ケース部材203の固定部203b,203cが不図示のネジ留め等によって固定されることで、第2ケース部材203は第1ケース部材202に組付けられる。透明部材209は、第2読取ユニット201の受光素子211への光が通過するように、ガラスやアクリルで構成されている。また、第1ケース部材202及び第2ケース部材203は、ポリアセタールやABS等の樹脂材料によって構成されている。なお、本実施の形態では、透明部材209と、第1ケース部材202と、第2ケース部材203と、によりケース200を構成しているが、透明部材209と第1ケース部材202が透明な樹脂材料一体で構成されてもよい。
【0034】
調整部材204は、第2読取ユニット201の収容空間S内における位置を調整する。調整部材204は、開口207の全域をケース200の外側から覆う蓋部204bを有している。また、第2読取ユニット201には、主走査方向における調整部材204側の第1端部に軸部201aが設けられており、調整部材204は蓋部204bと軸部201aを連結する連結部204aを有している。調整部材204には、第1ケース部材202に対して調整部材204の位置を固定するための突起部204c及び固定部204dが設けられている。
【0035】
ケース200に第2読取ユニット201を収容した状態における、第2読取ユニット201の調整部(第1端部)を図5に示す。なお、図5では第2ケース部材203を省略している。図5に示すように調整部材204は、蓋部204bがケース200の開口207の全域を覆うように配置される。このとき、蓋部204bは開口207を形成する壁部202eにケース200の外側で当接しているため、開口207は蓋部204bにより隙間のないように覆われている。また、調整部材204は、蓋部204bと突起部204cで第1ケース部材202の壁部202eを挟み込むことにより、主走査方向における位置を固定している。調整部材204の連結部204aは、第2読取ユニット201の軸部201aと、開口207を覆う蓋部204bを、開口207を介して連結している。これにより、蓋部204bを調整方向(副走査方向)に移動することにより、収容空間S内における第2読取ユニット201の位置調整が可能となる。なお、蓋部204bは第2読取ユニット201の位置調整が可能な範囲でどの位置に移動させても、常に開口207の全域を覆う大きさである。調整後の調整部材204は、固定部204d(第1固定部)と、第1ケース部材202の固定部202d(第2固定部)が固定手段であるビス204gにより固定されることで、第1ケース部材202に固定される。
【0036】
図6は、図5に示す第2読取ユニット201の調整部とは主走査方向において反対側に位置する、位置決め部(第2端部)を示す斜視図である。第1ケース部材202には、第2読取ユニット201を回動可能に支持する支持部である溝部202e、202fが形成されている。溝部202eは第2読取ユニット201の副走査方向における位置決めを行う。規制部である溝部202fは第2読取ユニット201の主走査方向における移動を規制する。第2読取ユニット201には、主走査方向において第1端部とは反対側に位置する第2端部に軸部201eが設けられている。図6に示すように、溝部202eには第2読取ユニット201の軸部201eが嵌合し、溝部202fには第2読取ユニット201の突出部201fが嵌合する。これにより、第1ケース部材202は第2読取ユニット201の第2端部を回動可能に支持している。
【0037】
図7はケース200及び調整部材204が第2読取ユニット201を収容した状態を示す図である。図7に示すように、ケース200及び調整部材204によって第2読取ユニット201を収容した場合、ケース200の開口207は調整部材204の蓋部204bによって覆われる。そのため、ケース200及び調整部材204によって隙間なく第2読取ユニット201を収容することが可能である。これにより、第2読取ユニット201と透明部材209の間に異物が侵入することを防止できる。
【0038】
また、上記のように調整部材204は連結部204aによって、第2読取ユニット201の軸部201aと、開口207を覆う蓋部204bを、開口207を介して連結している。これにより、図7のようにケース200及び調整部材204が第2読取ユニット201を隙間なく覆っている状態において、ケース200の外部で蓋部204bを移動させることにより第2読取ユニット201の位置を調節できる。また、調整部材204に設けられた刻印形状204hで第2読取ユニット201の調整量が確認可能となっている。
【0039】
[読取ユニットの位置調整]
次に、図8図9を用いて第2読取ユニット201の位置調整について説明する。図8は斜行した原稿Dが第2読取ユニット201に搬送される状態を示す平面図であり、図9は位置調整後の第2読取ユニット201及び原稿Dを示す平面図である。図8に示すように、第2読取ユニット201は、複数の受光素子211を有している。複数の受光素子211は、原稿Dの搬送方向(副走査方向)に直交する主走査方向に配列されており、主走査方向に平行な読取ラインR1上において原稿Dの画像情報を読み取る。読取ラインR1は、受光素子211の主走査方向における延長線である。
【0040】
このため、原稿Dは、先端が読取ラインR1に平行な状態で搬送される必要があるが、図8に示すように、原稿Dが両面読取部DRに搬送される過程において斜行してしまう場合がある。一般に、原稿Dが斜行する原因は、主走査方向に並ぶ搬送ローラ対の搬送力の違いや、原稿搬送路Tを構成する搬送ガイドの凹凸等がある。この原稿Dの斜行は1枚のみとは限らず以降に搬送される複数の原稿でも連続して発生する傾向がある。このような場合には、図9に示すように、搬送される原稿Dの先端と第2読取ユニット201の読取ラインR1とが平行になるように、第2読取ユニット201を位置調整する必要がある。
【0041】
上記のように、本実施形態では、調整部材204の蓋部204bをケース200の外部で移動させることにより、ケース200の内側の収容空間S内で第2読取ユニット201を移動させることができる。これにより、搬送される原稿Dの先端と第2読取ユニット201の読取ラインR1とが平行になるように、第2読取ユニット201を位置調整することができる。さらに、蓋部204bが開口207の全域を覆っているため、ケース200内に異物が侵入することを防ぐことができる。
【0042】
また、図10に示す従来の構成では、開口内に弾性部材14が存在するため、突出部12が開口内を大きく移動することができなかった。一方、本実施形態では図5に示すように、開口207内に弾性部材を配置する必要がなく、連結部204aは開口207内を大きく移動することが可能である。これにより、第2読取ユニット201の位置調整を大きな範囲で行うことが可能である。
【0043】
本実施の形態において、第1読取ユニット151及び第2読取ユニット201は、CISに限らず、CCD(Charge Coupled Device)を用いてもよい。また、画像読取装置103は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、及び複合機等の様々な画像形成装置に搭載可能であると共に、単体でも使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ADF
2 原稿トレイ
3 原稿排出部
11 原稿搬送部
30 スキャナ部
101 プリンタ
101A プリンタ本体
103 画像読取装置
151 第1読取ユニット
211 受光素子
201 第2読取ユニット
200 ケース
202 第1ケース部材
203 第2ケース部材
204 調整部材
208 付勢部材
209 透明部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10