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特許7570829情報処理システム、画像形成装置、情報処理システムの制御方法、画像形成装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、画像形成装置、情報処理システムの制御方法、画像形成装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241015BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241015BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H04N1/00 002B
H04N1/00 127A
B41J29/38 801
B41J29/38 102
G06F11/30 172
G06F11/30 140D
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020098846
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021192491
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-129756(JP,A)
【文献】特開2018-116575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G06F 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリと当該不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを制御する第1の制御手段とを備える画像形成装置と、ネットワークインターフェースと第2の制御手段とを備えるサーバであって前記画像形成装置における前記第1の制御手段の寿命を監視するサーバとを備える情報処理システムであって、
前記第1の制御手段は、前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し、書き込み、又は読み出しと書き込みの両方の通信データサイズを示す情報を生成し、
前記ネットワークインターフェースは、前記第1の制御手段によって生成された通信データサイズを示す情報を受信し、
前記第2の制御手段は、前記受信した通信データサイズを示す情報から算出された累計通信データサイズに基づいて前記第1の制御手段の寿命を予測することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、前記データの読み出し及び/又は書き込みに用いるクロック信号を前記不揮発性メモリに出力し、前記データの読み出し及び/又は書き込みを行わない期間、前記クロック信号の生成を停止することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記不揮発性メモリは、eMMCであることを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置の起動時に、前記画像形成装置が前回稼働していた間に行われた前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し、書き込み、又は読み出しと書き込みの両方の通信データサイズを示す情報を前記サーバへ送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記サーバは、複数の前記画像形成装置それぞれの前記第1の制御手段の寿命を監視することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
不揮発性メモリと当該不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを制御する制御手段とを備える画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みの累計通信データサイズを算出し、前記算出した累計通信データサイズに基づいて前記制御手段の寿命を予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記データの読み出し及び/又は書き込みに用いるクロック信号を前記不揮発性メモリに出力し、前記データの読み出し及び/又は書き込みを行わない期間、前記クロック信号の生成を停止することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記不揮発性メモリは、eMMCであることを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記画像形成装置の起動時に前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みの累計通信データサイズを算出することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
不揮発性メモリと当該不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを制御する第1の制御手段とを備える画像形成装置と、ネットワークインターフェースと第2の制御手段とを備えるサーバであって前記画像形成装置における前記第1の制御手段の寿命を監視するサーバとを備える情報処理システムの制御方法であって、
前記第1の制御手段に、前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し、書き込み、又は読み出しと書き込みの両方の通信データサイズを示す情報を生成させ、
前記ネットワークインターフェースに、前記第1の制御手段によって生成された通信データサイズを示す情報を受信させ、
前記第2の制御手段に、前記受信した通信データサイズを示す情報から算出された累計通信データサイズに基づいて前記第1の制御手段の寿命を予測させることを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項11】
不揮発性メモリと当該不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを制御する制御手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みの累計通信データサイズを算出する算出ステップと、
前記算出した累計通信データサイズに基づいて前記制御手段の寿命を予測する寿命予測ステップとを有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項12】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理システムの各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項6乃至9の何れか1項に記載の画像形成装置の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記サーバは、前記画像形成装置の累計通信データサイズを記憶する記憶手段を更に備え、
前記サーバは、前記画像形成装置が前回稼働していた間に行われた前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し、書き込み、又は読み出しと書き込みの両方の通信データサイズを示す情報を前記画像形成装置から受信した場合、前回算出していた第2の累計通信データサイズを前記記憶手段から取得し、前記受信した情報が示す前記画像形成装置の前回稼働時の通信データサイズを前記第2の累計通信データサイズに加算して新たな累計通信データサイズを算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記サーバは、前記画像形成装置に固有に割り当てられた識別情報を、前記通信データサイズを示す情報と共に前記画像形成装置から受信し、前記受信した識別情報に対応する画像形成装置について前回算出していた第2の累計通信データサイズを前記記憶手段から取得し、前記取得した第2の累計通信データサイズに基づいて当該画像形成装置の新たな累計通信データサイズを算出することを特徴とする請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記第2の制御手段は、前記算出された累計通信データサイズが閾値より大きいか否かに基づいて前記第1の制御手段の寿命を予測し、前記算出された累計通信データサイズが閾値より大きい場合、前記第1の制御手段の寿命が近付いていると判定することを特徴とする請求項1乃至5、14、15のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記閾値は、前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みの限界データサイズに対して所定のマージンを考慮して設定されるデータサイズであることを特徴とする請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記制御手段は、前記画像形成装置が前回稼働していた間に行われた前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し、書き込み、又は読み出しと書き込みの両方の通信データサイズを示す情報と、前回算出していた第2の累計通信データサイズを前記不揮発性メモリから取得し、前記取得した情報が示す前記画像形成装置の前回稼働時の通信データサイズを前記第2の累計通信データサイズに加算して新たな累計通信データサイズを算出することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記制御手段は、カウンタを使用して通信データサイズをカウントすることを特徴とする請求項6乃至9、18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記制御手段は、前記算出された累計通信データサイズが閾値より大きいか否かに基づいて前記制御手段の寿命を予測し、前記算出された累計通信データサイズが閾値より大きい場合、前記制御手段の寿命が近付いていると判定することを特徴とする請求項6乃至9、18、19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記閾値は、前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みの限界データサイズに対して所定のマージンを考慮して設定されるデータサイズであることを特徴とする請求項20に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記画像形成装置は、前記第1の制御手段にPDLデータを出力する手段を更に備え、
前記PDLデータは、受信した画像データを含むことを特徴とする請求項1乃至5、14~17のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項23】
前記制御手段にPDLデータを出力する手段を更に備え、
前記PDLデータは、受信した画像データを含むことを特徴とする請求項6乃至9、18~21のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、画像形成装置、情報処理システムの制御方法、画像形成装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CPU(Central Processing Unit)等の半導体デバイスを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。半導体プロセスの微細化に伴って、高集積化や高速通信が実現可能となる一方で、半導体デバイスの耐久性が低下している。例えば、記憶デバイスとデータの読み出し及び書き込みに関する通信を行うCPUのインターフェース部は、記憶デバイスへのアクセス頻度が増える程故障し易くなる。このように、半導体デバイスには、寿命があり、半導体デバイスが寿命に近付いた場合、当該半導体デバイスを含む電子部品を交換する必要がある。故障前に当該電子部品を速やかに交換できるように半導体デバイスの寿命を精度良く予測する技術が強く求められている。例えば、半導体デバイスから書き込んだデータのデータサイズに基づいて当該半導体デバイスの寿命を予測することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-198377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように書き込んだデータのデータサイズだけでは、記憶デバイスとデータの読み出し及び書き込みに関する通信を行うCPUの寿命を精度良く予測することができない。
【0005】
本発明の目的は、記憶デバイスとデータの読み出し及び書き込みに関する通信を行う半導体デバイスの寿命を精度良く予測することができる情報処理システム、画像形成装置、情報処理システムの制御方法、画像形成装置の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理システムは、不揮発性メモリと当該不揮発性メモリに対するデータの読み出し及び書き込みを制御する第1の制御手段とを備える画像形成装置と、ネットワークインターフェースと第2の制御手段とを備えるサーバであって前記画像形成装置における前記第1の制御手段の寿命を監視するサーバとを備える情報処理システムであって、前記第1の制御手段は、前記不揮発性メモリに対するデータの読み出し、書き込み、又は読み出しと書き込みの両方の通信データサイズを示す情報を生成し、前記ネットワークインターフェースは、前記第1の制御手段によって生成された通信データサイズを示す情報を受信し、前記第2の制御手段は、前記受信した通信データサイズを示す情報から算出された累計通信データサイズに基づいて前記第1の制御手段の寿命を予測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記憶デバイスとデータの読み出し及び書き込みに関する通信を行う半導体デバイスの寿命を精度良く予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を概略的に示す構成図である。
図2図1の画像形成装置のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図3図2の演算処理部によるクロックゲーティング制御を説明するための概念図である。
図4図1のサーバのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図5図1の画像形成装置によって実行される通信データサイズ情報格納処理の手順を示すフローチャートである。
図6図1の画像形成装置によって実行される通信データサイズ情報送信処理の手順を示すフローチャートである。
図7図1のサーバによって実行される寿命予測処理の手順を示すフローチャートである。
図8図2のストレージデバイスに格納されている動作率管理ファイルの一例を示す図である。
図9図1のサーバによって実行されるデータサイズリセット処理の手順を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態における情報処理システムの構成を概略的に示す構成図である。
図11図10の情報処理システムにおける画像形成装置によって実行される通信データサイズ情報格納処理の手順を示すフローチャートである。
図12図10の情報処理システムにおける画像形成装置によって実行される寿命予測処理の手順を示すフローチャートである。
図13図10の情報処理システムにおける画像形成装置によって実行されるデータサイズリセット処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム100の構成を概略的に示す構成図である。図1において、情報処理システム100は、画像形成装置101a、画像形成装置101b、サーバ102、及び通信端末103を備える。なお、本実施の形態において、図1に示す情報処理システム100の構成は一例であり、情報処理システム100は1台以上の画像形成装置を備えていれば良い。また、情報処理システム100が複数の通信端末を備えていても良い。サーバ102は、画像形成装置101a及び画像形成装置101bとネットワーク104を介して接続され、また、通信端末103とネットワーク105を介して接続されている。なお、本実施の形態では、画像形成装置101a及び画像形成装置101bは同様の機能及び構成であり、以下では、一例として、画像形成装置101aを用いてその機能及び構成を説明する。
【0012】
画像形成装置101aは、コピー機能、スキャン機能、ファクス機能、及び通信機能等の複数の機能を備えるMFP(Multi Functional Printer)である。画像形成装置101aは、例えば、外部装置から送信されたプリントジョブデータをサーバ102経由で受信する。また、画像形成装置101aは、原稿をスキャンして生成した画像データをサーバ102にアップロードする。ネットワーク104及びネットワーク105は、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)である。ネットワーク104及びネットワーク105では、通信プロトコルとして、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が用いられる。
【0013】
サーバ102は、例えば、クラウドサーバである。サーバ102は、画像形成装置101a及び画像形成装置101bに関する情報を管理する。また、サーバ102は、画像形成装置101a及び画像形成装置101bの各電子部品の寿命を監視する。例えば、サーバ102は、画像形成装置101aから受信した情報に基づいて画像形成装置101aが備える電子部品の寿命を予測し、当該電子部品の寿命が近付いていることを予測した際にその旨を通信端末103へ通知する。
【0014】
通信端末103は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、及びタブレット端末等のサーバ102と通信可能な通信装置である。通信端末103は、画像形成装置101aや画像形成装置101bの稼働状況を遠隔監視するサービスマンやオペレータによって操作される。
【0015】
図2は、図1の画像形成装置101aのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。図2において、画像形成装置101aは、演算処理部201、不揮発性メモリ202、揮発性メモリ203、不揮発性メモリ204、通信制御部205、画像処理部206、揮発性メモリ207、画像読取部208、及び画像作像部209を備える。
【0016】
演算処理部201は、半導体デバイスであり、具体的に、CPUである。演算処理部201は、通信データサイズカウンタ214、及びPHY215を含む。演算処理部201は、不揮発性メモリ202に格納されたプログラムを揮発性メモリ203にロードし、演算処理部201が備えるプログラムカウンタ(不図示)の動作に従って、上記プログラムを順次実行する。
【0017】
不揮発性メモリ202は、電力の供給を停止されてもデータを保持可能な記憶デバイスであり、例えば、eMMC(embedded Multi Media Card)である。不揮発性メモリ202は、プログラムを格納する。プログラムは、画像形成装置101aのシステム全体を制御するプログラム、例えば、OS(Operating System)を起動させるプログラムやブートローダである。不揮発性メモリ202は、演算処理部201のPHY215とバス210~バス213によって接続されている。バス210は、演算処理部201が生成したクロック信号Aを不揮発性メモリ202へ転送するためのバスである。バス211は、不揮発性メモリ202が生成したクロック信号Bを演算処理部201へ転送するためのバスである。バス212は、コマンド信号を転送するためのバスである。バス213は、データ信号を転送するためのバスである。
【0018】
クロック信号Aは、ホストである演算処理部201から不揮発性メモリ202に対して出力されるクロック信号である。画像形成装置101aでは、通常、クロック信号Aが通信時の基準クロックとして使用される。不揮発性メモリ202が準拠するeMMCの規格では、複数の通信モードがサポートされている。演算処理部201及び不揮発性メモリ202の間でHS400という通信モードで通信を行う場合、デバイスである不揮発性メモリ202が出力したデータをホストである演算処理部201がサンプリングするための基準クロックを、不揮発性メモリ202から出力する必要がある。この場合に使用されるクロック信号がクロック信号Bである。また、演算処理部201が、不揮発性メモリ202に対し、読み出しや書き込み等の指示となるコマンド信号や、指示に対応するデータを含むデータ信号を送信する。
【0019】
不揮発性メモリ202に対するデータの読み出し及び書き込みはブロック単位で行われ、1ブロック当たりのデータサイズは、画像形成装置101aのファイルシステム(不図示)によって管理される。1ブロック当たりのデータサイズは、例えば、512Byte程度である。本実施の形態において、演算処理部201の通信データサイズカウンタ214は、画像形成装置101aが通電されている間に読み出し及び書き込みを何回実行したかをブロック単位でカウントする。通信データサイズカウンタ214によるカウント結果は、不揮発性メモリ202によって保持される。例えば、通信データサイズカウンタ214は、1ブロック単位で実行した読み出し回数は10回であり、1ブロック単位で実行した書き込み回数は2回であり、2ブロック単位で実行した読み出し回数は5回であり、2ブロック単位で実行した書き込み回数は1回であり、4ブロック単位で実行した読み出し回数は3回であり、4ブロック単位で実行した書き込み回数は2回であるといったようにカウントする。
【0020】
PHY215には、所定の動作率が予め定められており、所定の動作率を超えると、PHY215は正常動作できなくなる。なお、動作率は、単位時間当たりにPHY215を動作させて良い割合である。本実施の形態では、所定の動作率として、クロック信号Aに対する動作率が80%と定められている。例えば、5年間稼働する画像形成装置101aにおいて、演算処理部201がクロック信号Aを出力した累計時間が4年間を超えた場合、PHY215が故障する可能性が極めて高くなる。PHY215の故障を抑制するために、演算処理部201は、不揮発性メモリ202へ出力するクロック信号Aに対してクロックゲーティング制御を行う。クロックゲーティング制御では、コマンド信号やデータ信号の通信を行わない期間、つまり、データの読み出しや書き込みを行わない期間、クロック信号Aの生成を停止させる制御が行われる。なお、クロックゲーティング制御の動作の説明は後述する。
【0021】
揮発性メモリ203は、DRAMである。揮発性メモリ203は、不揮発性メモリ202に格納されたプログラムをロードするための領域として用いられる。また、揮発性メモリ203は、演算処理部201のワークメモリや演算処理データを一時的に格納する一時格納領域として用いられる。不揮発性メモリ204は、不揮発性メモリ202と異なる用途で使用される記憶デバイスであり、例えば、画像形成装置101aに固有に割り当てられた機体のシリアル番号等の画像形成装置101aの識別情報を格納する。
【0022】
通信制御部205は、TCP/IPの通信プロトコルに従って、ネットワーク104を介して接続されたサーバ102と通信を行う。本実施の形態では、画像形成装置101aは、Ethernetケーブルによりサーバ102と接続されていることとする。また、画像形成装置101aは、EthernetケーブルによってPC等の情報処理装置とピアツーピアで接続することも可能であり、通信制御部205は、情報処理装置から受信したPDL(Page Disription Language)データを演算処理部201に出力する。
【0023】
画像処理部206は、画像読取部208から受信した画像データに対する画像処理や、画像作像部209へ出力する画像データに対する画像処理等を行う。画像処理は、例えば、パケット化処理、圧縮処理、回転処理、及びハーフトーン処理である。また、画像処理部206は、演算処理部(不図示)を備え、画像処理の実行時に揮発性メモリ207をワークメモリとして使用する。
【0024】
画像読取部208は、用紙に記載された文字や画像を電子データに変換するコンタクトイメージセンサ(不図示)を備え、画像形成装置101aの基本機能であるコピーやスキャンにおける入力部として機能する。画像作像部209は、コピーやプリントの実行時に使用される出力部であり、画像形成装置101aが備える感光体(不図示)、トナー(不図示)、定着器(不図示)等を用いて画像を用紙に形成する。
【0025】
次に、演算処理部201が不揮発性メモリ202に出力するクロック信号Aに対して実施するクロックゲーティング制御について説明する。
【0026】
クロックゲーティング制御は、主に半導体デバイスの消費電力を抑えるために行われる制御である。通常、半導体デバイスであるCPUは、電源が投入されている間、クロック信号を出力し続ける。しかし、CPUは、クロック信号を出力し続けている間中、コマンド信号やデータ信号の送受信を行うわけではない。クロックゲーティング制御では、クロック信号を出力するCPUが、コマンド信号やデータ信号の送受信を行っていないことを検知した際にクロック信号の生成を停止させることで、CPUの消費電力が低減される。クロックゲーティング制御は、半導体デバイスの微細化が進む昨今において、消費電力の抑制だけではなく、CPUのPHYの故障時期を遅らせることにも有用である。
【0027】
本実施の形態では、BIOS(Basic Input Output System)やOS等のソフトウェアモジュールから演算処理部201のレジスタ(不図示)に所定の設定値が設定されると、クロックゲーティング制御機能が有効となる。
【0028】
図3は、図2の演算処理部201によるクロックゲーティング制御の概念図である。クロックゲーティング制御機能が無効である場合、演算処理部201に電源が投入されている間、不揮発性メモリ202への読み出しや書き込み等のアクセスの有無によらず、演算処理部201はクロック信号Aを出力する(例えば、図3(a)を参照。)。一方、クロックゲーティング制御機能が有効である場合、演算処理部201は、不揮発性メモリ202に上記アクセスがある期間のみクロック信号Aを出力し、不揮発性メモリ202に上記アクセスが無い期間にはクロック信号Aを生成しない(例えば、図3(b)を参照。)。不揮発性メモリ202に上記アクセスがある期間とは、不揮発性メモリ202に対する読み出し又は書き込みの開始から完了までの期間であり、読み出し又は書き込みの対象となるデータのデータサイズの大きさに比例してクロック信号Aの出力期間が長くなる。このように、クロックゲーティング制御において、クロック信号Aの動作率は、演算処理部201による不揮発性メモリ202に対する読み出し及び書き込みのデータサイズに基づいて定まる。
【0029】
本実施の形態では、クロックゲーティング制御において、クロック信号Aの動作率が演算処理部201による不揮発性メモリ202に対する読み出し及び書き込みのデータサイズと比例関係になることに着目し、これらの情報に基づいてPHY215の寿命が予測される。
【0030】
例えば、演算処理部201がクロック信号Aを200MHzの周波数で5年間出力し続けた場合、理論上約3.2×1016個のクロックが出力される。つまり、約4.0×1015Byteのデータサイズ(以下、「最大データサイズ」という。)を不揮発性メモリ202に対して読み出し及び書き込み可能であることになる。本実施の形態において、クロック信号Aの動作率に80%という制約があるため、読み出し及び書き込みの累計データサイズを、上記最大データサイズの80%に相当する約3.2×1015Byteのデータサイズ(以下、「通信限界データサイズ」という。)以内に収める必要がある。本実施の形態では、読み出し及び書き込みのデータサイズの累計値を、通信限界データサイズに所定のマージンを考慮したデータサイズ(以下、「故障予測閾値」という。)以内に収めるように制御する。故障予測閾値は、通信限界データサイズの90%に相当する値である。クロック信号Aの動作率が故障予測閾値を超えると、サーバ102は、PHY215の寿命が近付いたと判別し、後述する図6のステップS604の処理を行って、通信端末103へその旨を通知する。
【0031】
図4は、図1のサーバ102のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。図4において、サーバ102は、演算処理部401、揮発性メモリ402、ストレージデバイス403、及び通信制御部404を備える。演算処理部401は、揮発性メモリ402、ストレージデバイス403、及び通信制御部404と接続されている。
【0032】
サーバ102では、システム起動時に、演算処理部401が、ストレージデバイス403に格納されたプログラムを揮発性メモリ402にロードする。演算処理部401は、ロードされたプログラムを実行して各種制御を行う。例えば、演算処理部401は、ネットワーク104やネットワーク105を介して受信した各種データに対する演算処理を行う。
【0033】
ストレージデバイス403は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の比較的大容量の不揮発性メモリである。なお、本実施の形態では、サーバ102は、膨大なデータを格納する必要があるため、複数のストレージデバイス403を備える構成であっても良い。
【0034】
通信制御部404は、Ethernetケーブルを介して画像形成装置101a、画像形成装置101b、及び通信端末103と接続されている。なお、本実施の形態では、サーバ102は、Ethernetケーブルが接続される物理的なインターフェース(コネクタ)(不図示)を1つのみ備え、バーチャルLANにより論理的に複数のネットワークに分離する構成であっても良い。また、サーバ102は、Ethernetケーブルが接続される物理的な複数のインターフェースと、各インターフェースに対応する複数の通信制御部を備える構成であっても良い。
【0035】
図5は、図1の画像形成装置101aによって実行される通信データサイズ情報格納処理の手順を示すフローチャートである。図5の処理は、演算処理部201が不揮発性メモリ202から揮発性メモリ203にロードしたプログラムを実行することによって実現される。図5の処理は、演算処理部201がシャットダウン割り込み信号を受信した際に実行される。シャットダウン割り込み信号は、例えば、ユーザが画像形成装置101aの電源スイッチを押下するといったシャットダウン指示を示すイベントを検知した画像形成装置101aの回路から演算処理部201へ出力される割り込み信号である。
【0036】
図5において、演算処理部201は、シャットダウン割り込み信号を受信するまで待機する(ステップS501)。シャットダウン割り込み信号を受信すると(ステップS501でYES)、演算処理部201は、通信データサイズ情報を不揮発性メモリ202に格納する(ステップS502)。通信データサイズ情報は、画像形成装置101aに電源が投入されてからステップS501にて演算処理部201がシャットダウン割り込みを受信するまでの間に通信データサイズカウンタ214がカウントしたブロック単位毎の読み出し回数及び書き込み回数、及び1ブロック当たりのデータサイズを含む。次いで、演算処理部201は、通信データサイズカウンタ214にカウントを終了させ、通信データサイズカウンタ214がカウントした結果を示すカウント値をクリアし(ステップS503)、画像形成装置101aのシャットダウン処理を実行して、通信データサイズ情報格納処理は終了する。
【0037】
このように、本実施の形態では、画像形成装置101aが起動してからシャットダウンするまでの間に演算処理部201から不揮発性メモリ202に対して行われた読み出し及び書き込みのデータサイズの情報を含む通信データサイズ情報が保持される。以下では、この通信データサイズ情報を「前回稼働時の通信データサイズ情報」という。
【0038】
図6は、図1の画像形成装置101aによって実行される通信データサイズ情報送信処理の手順を示すフローチャートである。図6の処理は、演算処理部201が不揮発性メモリ202から揮発性メモリ203にロードしたプログラムを実行することによって実現される。図6の処理は、演算処理部201に電源が投入され、演算処理部201が、不揮発性メモリ202を制御するeMMCドライバ(不図示)の初期化処理とファイルシステム(不図示)の初期化処理を終了した際に実行される。
【0039】
図6において、演算処理部201は、通信データサイズカウンタ214によるカウントを開始する(ステップS601)。次いで、演算処理部201は、上述したステップS502にて格納された前回稼働時の通信データサイズ情報を不揮発性メモリ202から取得する(ステップS602)。次いで、演算処理部201は、画像形成装置101aの識別情報を不揮発性メモリ204から取得する(ステップS603)。次いで、演算処理部201は通信制御部205により、前回稼働時の通信データサイズ情報及び画像形成装置101aの識別情報をサーバ102へ送信し(ステップS604)、通信データサイズ情報送信処理は終了する。
【0040】
図7は、図1のサーバ102によって実行される寿命予測処理の手順を示すフローチャートである。図7の処理は、サーバ102の演算処理部401がストレージデバイス403から揮発性メモリ402にロードしたプログラムを実行することによって実現される。図7の処理では、ストレージデバイス403に後述する図8の動作率管理ファイル800が予め格納されていることとする。
【0041】
図7において、まず、演算処理部401は、画像形成装置101a及び画像形成装置101bの何れかから前回稼働時の通信データサイズ情報及び識別情報を受信するまで待機する(ステップS701)。例えば、画像形成装置101aから前回稼働時の通信データサイズ情報及び画像形成装置101aの識別情報を受信すると(ステップS701でYES)、演算処理部401は、ストレージデバイス403から動作率管理ファイル800を取得する(ステップS702)。
【0042】
動作率管理ファイル800は、画像形成装置101aや画像形成装置101b等のサーバ102に接続された複数の画像形成装置に関する情報を管理するためのファイルである。
【0043】
動作率管理ファイル800は、製品シリアルナンバ801、受信日時802、総読み出しデータサイズ803、総書き込みデータサイズ804、累計通信データサイズ805、及び通知送信日時806を含む。製品シリアルナンバ801には、サーバ102が画像形成装置101a等から受信した識別情報が設定される。受信日時802には、サーバ102が画像形成装置101a等から前回稼働時の通信データサイズ情報及び識別情報を受信した日時が設定される。総読み出しデータサイズ803には、サーバ102が画像形成装置101a等から受信した前回稼働時の通信データサイズ情報に含まれるブロック毎の読み出し回数と1ブロック当たりのデータサイズ(例えば、512[Byte])とを用いて算出された総読み出しデータサイズが設定される。総書き込みデータサイズ804には、サーバ102が画像形成装置101a等から受信した前回稼働時の通信データサイズ情報に含まれるブロック毎の書き込み回数と1ブロック当たりのデータサイズ(例えば、512[Byte])とを用いて算出された総書き込みデータサイズが設定される。累計通信データサイズ805には、画像形成装置101a等における総読み出しデータサイズ803の値と総書き込みデータサイズ804の値とを合算した通信データサイズが設定される。通知送信日時806には、累計通信データサイズ805が故障予測閾値を超えた際に通信端末103に対して通知を行った日時が設定される。動作率管理ファイル800には、サーバ102が監視する全ての画像形成装置において演算処理部が不揮発性メモリ(eMMC)に対して行った読み出し及び書き込みの通信データサイズに関する情報が管理されている。
【0044】
次いで、演算処理部401は、累計通信データサイズを算出する(ステップS703)。具体的に、演算処理部401は、動作率管理ファイル800から累計通信データサイズ805の値を取得し、当該値にステップS701にて取得した前回稼働時の通信データサイズ情報に基づいて算出された通信データサイズを加算する。また、演算処理部401は、動作率管理ファイル800から総読み出しデータサイズ803の値を取得し、当該値にステップS701にて取得した前回稼働時の通信データサイズ情報に基づいて算出された総読み出しデータサイズを加算する。さらに、演算処理部401は、動作率管理ファイル800から総書き込みデータサイズ804の値を取得し、当該値にステップS701にて取得した前回稼働時の通信データサイズ情報に基づいて算出された総書き込みデータサイズを加算する。次いで、演算処理部401は、ステップS703にて算出された累計通信データサイズが故障予測閾値を超えたか否かを判別する(ステップS704)。故障予測閾値は、上述したように通信限界データサイズの90%に相当する値である。
【0045】
ステップS704の判別の結果、ステップS703にて算出された累計通信データサイズが故障予測閾値を超えた場合、演算処理部401は通信制御部404を制御して、故障予測通知を通信端末103へ送信する(ステップS705)。故障予測通知には、ステップS701にて受信した識別情報、ステップS703にて算出された累計通信データサイズ、総読み出しデータサイズ、及び総書き込みデータサイズが含まれる。その後、寿命予測処理は終了する。この通知により、遠隔で監視しているサービスマンやオペレータは、画像形成装置101aの演算処理部201の寿命が近付いていることを知ることができ、演算処理部201が故障する前に、演算処理部201を含むモジュール、例えば、演算処理部201が実装されたプリント基板を新たなプリント基板に交換することが可能となる。プリント基板の交換を完了すると、通信端末103からサーバ102に対して、画像形成装置101aの識別情報を含む基板交換完了通知が送信される。
【0046】
ステップS704の判別の結果、ステップS703にて算出された累計通信データサイズが故障予測閾値を超えない場合、演算処理部401は、動作率管理ファイル800を更新する(ステップS706)。具体的に、演算処理部401は、ステップS703にて算出された累計通信データサイズ、総読み出しデータサイズ、及び総書き込みデータサイズを、動作率管理ファイル800の対応する項目に上書きする。その後、寿命予測処理は終了する。
【0047】
図9は、図1のサーバ102によって実行されるデータサイズリセット処理の手順を示すフローチャートである。図9の処理は、サーバ102の演算処理部401がストレージデバイス403から揮発性メモリ402にロードしたプログラムを実行することによって実現される。
【0048】
図9において、演算処理部401は、通信端末103から基板交換完了通知を受信すると(ステップS901でYES)、動作率管理ファイル800において上記基板交換完了通知に含まれている識別情報に対応する累計通信データサイズ805の値を0に上書きする(ステップS902)。その後、データサイズリセット処理は終了する。
【0049】
上述した第1の実施の形態によれば、画像形成装置101aから受信した通信データサイズ情報に基づいて画像形成装置101aの演算処理部201の寿命が予測される。すなわち、画像形成装置101aの演算処理部201の寿命が、演算処理部201から不揮発性メモリ202に対して行われたデータの読み出し及び書き込みの通信データサイズに基づいて予測される。これにより、不揮発性メモリ202とデータの読み出し及び書き込みに関する通信を行う演算処理部201の寿命を精度良く予測することができる。
【0050】
また、上述した第1の実施の形態では、演算処理部201は、クロックゲーティング制御を行う。クロックゲーティング制御では、上述したように、演算処理部201が出力するクロック信号Aの動作率が、演算処理部201から不揮発性メモリ202に対して行われる読み出し及び書き込みのデータサイズに基づいて定まる。このデータサイズに基づいて定まったクロック信号Aの動作率を用いて、演算処理部201の動作状況を把握して演算処理部201の寿命を精度良く予測することができる。
【0051】
さらに、上述した第1の実施の形態では、不揮発性メモリ202は、eMMCであるので、eMMCとデータの読み出し及び書き込みに関する通信を行う半導体デバイスの寿命を精度良く予測することができる。
【0052】
上述した第1の実施の形態では、画像形成装置101aは、画像形成装置101aの起動時に、画像形成装置101aが前回稼働時の通信データサイズ情報をサーバ102へ送信する。これにより、画像形成装置101aが起動する毎に、前回稼働状況を加味して画像形成装置101aの演算処理部201の寿命を精度良く予測することができる。
【0053】
上述した第1の実施の形態では、サーバ102は、画像形成装置101aや画像形成装置101b等の複数の画像形成装置それぞれの演算処理部201の寿命を監視する。これにより、複数の画像形成装置が設置されたユーザ環境において、各画像形成装置の演算処理部201の寿命を精度良く予測することができる。
【0054】
以上、本発明について、上述した実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、ステップS703の処理を画像形成装置101aが行い、画像形成装置101aが算出した各データサイズを含む通信データサイズ情報をサーバ102に送信しても良い。
【0055】
また、上述した実施の形態では、PHY215に複数の不揮発性メモリ202が接続される構成であっても良い。このような構成において、動作率管理ファイル800の累計通信データサイズ805には、PHY215に接続された各不揮発性メモリ202に対して行われた読み出し及び書き込みのデータサイズを合算した値が設定される。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置及びその制御方法について説明する。
【0057】
第2の実施の形態は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、画像形成装置101aが、演算処理部201の寿命を予測する点で上述した第1の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0058】
図10は、第2の実施の形態における情報処理システム1000の構成を概略的に示す構成図である。図10において、情報処理システム1000は、画像形成装置101a及び通信端末103を備える。なお、本実施の形態において、図10に示す情報処理システム1000の構成は一例であり、情報処理システム1000が複数の画像形成装置を備えていても良く、また、情報処理システム1000が複数の通信端末を備えていても良い。画像形成装置101aは、通信端末103とネットワーク1001を介して接続されている。ネットワーク1001は、上述したネットワーク104やネットワーク105と同様に、WANやLANである。ネットワーク1001では、通信プロトコルとして、例えば、TCP/IPが用いられる。
【0059】
情報処理システム1000には、サーバ102が含まれないため、上述した寿命予測処理やデータサイズリセット処理に相当する処理を画像形成装置101aの演算処理部201が実行する。また、情報処理システム1000では、動作率管理ファイルは、画像形成装置101aの不揮発性メモリ202に格納されている。但し、情報処理システム1000では、画像形成装置101aが自身の演算処理部201の寿命を予測するため、サーバ102のように複数の画像形成装置の情報を一元管理する必要が無い。このため、不揮発性メモリ202に格納される動作率管理ファイルには、画像形成装置101aに関する製品シリアルナンバ801、受信日時802、総読み出しデータサイズ803、総書き込みデータサイズ804、累計通信データサイズ805、及び通知送信日時806の各値のみが含まれる。
【0060】
図11は、図10の情報処理システム1000における画像形成装置101aによって実行される通信データサイズ情報格納処理の手順を示すフローチャートである。図10の処理は、演算処理部201が不揮発性メモリ202から揮発性メモリ203にロードしたプログラムを実行することによって実現される。図11の処理は、図5の通信データサイズ情報格納処理と同様に、演算処理部201が上記シャットダウン割り込み信号を受信した際に実行される。
【0061】
図11において、演算処理部201は、シャットダウン割り込み信号を受信するまで待機する(ステップS1101)。シャットダウン割り込み信号を受信すると(ステップS1101でYES)、演算処理部201は、上記通信データサイズ情報を不揮発性メモリ202に格納する(ステップS1102)。次いで、演算処理部201は、通信データサイズカウンタ214にカウントを終了させ、通信データサイズカウンタ214がカウントした結果を示すカウント値をクリアし(ステップS1103)、通信データサイズ情報格納処理は終了する。
【0062】
図12は、図10の情報処理システム1000における画像形成装置101aによって実行される寿命予測処理の手順を示すフローチャートである。図12の処理は、演算処理部201が不揮発性メモリ202から揮発性メモリ203にロードしたプログラムを実行することによって実現される。図12の寿命予測処理も、図6の寿命予測処理と同様に、演算処理部201に電源が投入され、演算処理部201が、不揮発性メモリ202を制御するeMMCドライバ(不図示)の初期化処理とファイルシステム(不図示)の初期化処理を終了した際に実行される。図12の寿命予測処理では、上述した動作率管理ファイルが不揮発性メモリ202に予め格納されていることとする。
【0063】
図12において、演算処理部201は、通信データサイズカウンタ214によるカウントを開始する(ステップS1201)。次いで、演算処理部201は、不揮発性メモリ202から動作率管理ファイルと前回稼働時の通信データサイズ情報とを取得する(ステップS1202)。前回稼働時の通信データサイズ情報は、上述したステップS1102にて不揮発性メモリ202に格納された通信データサイズ情報である。次いで、演算処理部201は、不揮発性メモリ204から画像形成装置101aの識別情報を取得する(ステップS1203)。次いで、演算処理部201は、ステップS703と同様に、ステップS1202にて取得した動作率管理ファイル及び前回稼働時の通信データサイズ情報に基づいて累計通信データサイズを算出する(ステップS1204)。次いで、演算処理部201は、ステップS1204にて算出された累計通信データサイズが上記故障予測閾値を超えたか否かを判別する(ステップS1205)。
【0064】
ステップS1205の判別の結果、ステップS1204にて算出された累計通信データサイズが上記故障予測閾値を超えた場合、演算処理部201は通信制御部205を制御して、故障予測通知を通信端末103へ送信する(ステップS1206)。その後、寿命予測処理は終了する。
【0065】
ステップS1206の判別の結果、ステップS1204にて算出された累計通信データサイズが上記故障予測閾値を超えない場合、演算処理部201は、ステップS706と同様に、ステップS1204にて算出された累計通信データサイズ、総読み出しデータサイズ、総書き込みデータサイズを用いて動作率管理ファイルを更新する(ステップS1207)。その後、寿命予測処理は終了する。
【0066】
図13は、図10の情報処理システム1000における画像形成装置101aによって実行されるデータサイズリセット処理の手順を示すフローチャートである。図13の処理は、演算処理部201が不揮発性メモリ202から揮発性メモリ203にロードしたプログラムを実行することによって実現される。
【0067】
図13において、演算処理部201は、通信端末103から基板交換完了通知を受信すると(ステップS1301でYES)、動作率管理ファイルにおいて上記基板交換完了通知に含まれている識別情報に対応する累計通信データサイズの値を0に上書きする(ステップS1302)。その後、データサイズリセット処理は終了する。
【0068】
上述した第2の実施の形態では、画像形成装置101aは、算出した累計通信データサイズに基づいて画像形成装置101aの演算処理部201の寿命を予測する。これにより、画像形成装置101aの演算処理部201の寿命を監視するサーバを設けることなく、画像形成装置101aの演算処理部201の寿命を精度良く予測することができる。
【0069】
本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、該システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 情報処理システム
101a、101b 画像形成装置
102 サーバ
201 演算処理部
202 不揮発性メモリ
401 演算処理部
404 通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13