(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】回転圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/12 20060101AFI20241015BHJP
F04C 23/02 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
F04C29/12 A
F04C23/02 D
F04C29/12 D
(21)【出願番号】P 2020149872
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】517403558
【氏名又は名称】瀋陽中航機電三洋制冷設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】比留間 義明
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/088253(WO,A1)
【文献】特開昭61-034376(JP,A)
【文献】特開2011-214482(JP,A)
【文献】特開平09-079161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/12
F04C 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動部と、前記電動部によって駆動される回転圧縮機構部とを備える回転圧縮機であって、
前記回転圧縮機構部は、冷媒吸入路を含むシリンダを備え、
前記冷媒吸入路に、
通路部と、前記シリンダの圧縮室に臨む開口部とが形成され、
前記通路部と前記開口部の間は連通口を介して連通し、前記回転圧縮機構部はベーンを備え、前記連通口は前記ベーン側に配置され、
前記開口部の幅は、前記
通路部の幅より狭く、
前記開口部の垂直断面積は、前記
通路部の垂直断面積と同一かそれ以上であることを特徴とする回転圧縮機。
【請求項2】
前記
通路部の長手方向と前記開口部の長手方向とが、前記シリンダの平面視において所定の角度を成すことを特徴とする請求項1に記載の回転圧縮機。
【請求項3】
高さ方向に連設される2つ以上の前記シリンダを備え、
2つ以上の前記シリンダのうち、一方のシリンダに形成される前記冷媒吸入路と、他方のシリンダに形成される前記冷媒吸入路とは、前記シリンダの平面視において所定角度離れて配置される請求項
1に記載の回転圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば空調機器用の圧縮機として、特許文献1や特許文献2に開示されるような回転圧縮機が提供されている。回転圧縮機は、ステータ、ロータ、ロータの回転軸(クランク軸)を備える電動部と、電動部によって駆動される回転圧縮機構部とを備える。電動部と回転圧縮機構部とは、回転軸を介して接続される。
【0003】
回転圧縮機構部は、圧縮室を含むシリンダと、回転軸に一体形成されると共に圧縮室に収容される偏芯部(ピストン)と、偏芯部の外側面に周設されるローラと、ローラの外側面に当接し、圧縮室を低圧室と高圧室に区画するベーン等を備える。また、回転圧縮機に冷媒を吸入する吸入管と接続し、圧縮室に冷媒を吸入させる冷媒吸入路が、シリンダに設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-25982号公報
【文献】特許第4659427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回転圧縮機における冷媒圧縮効率を高める手段として、冷媒吸入路の幅(直径)を増やし、圧縮室に吸入される冷媒の量を増やすことが挙げられる。しかしながら、従来の冷媒吸入路は、シリンダの径方向に略直線様に延在する、一端から他端に掛けて略同幅の流路である。そのため、冷媒吸入路の幅が増えるに伴い、圧縮室に臨む冷媒吸入路の開口端の幅も増える。その結果、回転する偏芯部(ローラ)によって開口端が塞がれるまでの時間が増え、冷媒圧縮を開始するタイミングに遅延が生じる可能性がある。
【0006】
また、拡幅された冷媒吸入路が、シリンダ内に延在することで、冷媒吸入路の近傍に配設される他の部位(例えば、ベーンを摺動可能に差し込む縦溝や、圧縮室を塞ぐ枠体をシリンダに留めるためのボルト部材等)と干渉する問題も生じ得る。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、冷媒流通量を増やすため、冷媒吸入路の最大幅を拡幅した場合であっても、圧縮室での冷媒圧縮の開始タイミングを遅延させないことに加え、冷媒吸入路に拡幅部が設けられても、冷媒吸入路近傍に配設される他の部位と冷媒吸入路とを干渉させない構造の回転圧縮機構部を備えた回転圧縮機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転圧縮機は、
電動部と、前記電動部によって駆動される回転圧縮機構部とを備える回転圧縮機であって、
前記回転圧縮機構部は、冷媒吸入路を含むシリンダを備え、
前記冷媒吸入路に、通路部と、前記シリンダの圧縮室に臨む開口部とが形成され、
前記通路部と前記開口部の間は連通口を介して連通し、前記回転圧縮機構部はベーンを備え、前記連通口は前記ベーン側に配置され、
前記開口部の幅は、前記通路部の幅より狭く、
前記開口部の垂直断面積は、前記通路部の垂直断面積と同一かそれ以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明のこの態様によれば、従来の冷媒吸入路に比べて幅広の通路部が設けられることで、冷媒吸入路の冷媒流通量を増やすことができる。また、通路部を流れる冷媒への抵抗も、従来に比べて低減される。更に、本発明において、通路部より狭幅の開口部が圧縮室に連なり、ローラによって閉塞される。そのため、本発明のこの態様によれば、通路部が設けられることで、冷媒吸入路の最大幅が従来構造に比べて増えても、ローラによる冷媒吸入路の閉塞時間が増えない。これにより、従来の回転圧縮機構部と同様のタイミングで、圧縮室に導入された冷媒を圧縮することができる。更に、圧縮室に臨む開口部の垂直断面積は、通路部の垂直断面積と同一かそれ以上とされる。そのため、本発明のこの態様によれば、通路部に流れる冷媒と開口部に流れる冷媒の流速変化を最小限に抑えることができる。これにより、幅の異なる通路部と開口部とに冷媒を流通させても、冷媒吸入路を流通する冷媒のエネルギーロスを極力低減でき、冷媒圧縮効率を高めることができる。
【0010】
また、本発明に係る回転圧縮機において、
前記通路部の長手方向と前記開口部の長手方向とが、前記シリンダの平面視において所定の角度を成すことが好ましい。
【0011】
本発明のこの態様によれば、通路部の長手方向と開口部の長手方向との成す角度を適宜調整することにより、他の部位と干渉しない領域に冷媒吸入路を形成することができる。その結果、通路部の最大幅が制約されず、通路部に流れる冷媒への抵抗をより低減できる。
【0012】
更に、本発明に係る回転圧縮機は、
高さ方向に連設される2つ以上の前記シリンダを備え、
2つ以上の前記シリンダのうち、一方のシリンダに形成される前記冷媒吸入路と、他方のシリンダに形成される前記冷媒吸入路とは、前記シリンダの平面視において所定角度離れて配置されることが好ましい。
【0013】
本発明のこの態様によれば、2つ以上のシリンダの夫々に形成される複数の冷媒吸入路が、シリンダの平面視において所定角度離れて配置される(すなわち、シリンダの周方向に所定距離離れて配置される)ため、双方が、高さ方向に沿うよう並設されない。その結果、回転圧縮機の容器の強度低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る回転圧縮機によれば、冷媒流通量を増やすため、冷媒吸入路の最大幅を拡幅しても、圧縮室での冷媒圧縮の開始タイミングを遅延させないことに加え、冷媒吸入路に通路部が設けられても、冷媒吸入路近傍に配設される他の部位と冷媒吸入路とを干渉させない構造の回転圧縮機構部を備えた回転圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る回転圧縮機の垂直断面図。
【
図2】第1実施形態における回転圧縮機構部の斜視図。
【
図3】(a)
図1のA-A’線で切断した第1実施形態における回転圧縮機構部の水平断面図、(b)
図3(a)の矢印Bから見た断面矩形の開口部を有する回転圧縮機構部の矢視図。
【
図4】第1実施形態における回転圧縮機構部の変形例を示す水平断面図。
【
図5】第2実施形態に係る回転圧縮機の垂直断面図。
【
図6】(a)
図5のC-C’線で切断した第2実施形態における回転圧縮機構部の水平断面図、(b)
図6(a)の矢印Dから見た回転圧縮機構部の矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る回転圧縮機を詳細に説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る回転圧縮機1の全体構成を説明する。ここで、
図1は、回転圧縮機1の垂直断面図である。また、
図2は、回転圧縮機1に備わる回転圧縮機構部20の斜視図である。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係る回転圧縮機1は、電動部10、電動部10によって駆動される回転圧縮機構部20を備える。電動部10及び回転圧縮機構部20は、容器本体部31、蓋部32を備える鋼板製の密閉容器30に収容される。なお、図示される回転圧縮機1は縦置型であるが、これに限られない。本発明に係る回転圧縮機は、横置型の回転圧縮機にも適用することもできる。
【0018】
電動部10は、ステータ11と、ロータ12と、ロータ12の回転軸(クランクシャフト)13とを備えるブラシレスDCモータである。ここで、ステータ11は、略円柱状の空域が内側に形成される平面視ドーナッツ形状の複数の電磁鋼板を高さ方向に積層した積層体11aと、積層体11aに備わる歯部に集中巻き方式で巻着されるステータコイル11bとを備える。
【0019】
ステータコイル11bは、容器30の蓋部32に装着されるターミナル33と電気的に接続される。ターミナル33からステータコイル11bに電力が供給されると、ステータコイル11bに電流が流れる。これにより、ロータ12に作用する回転磁界が生成され、ロータ12が回転する。
【0020】
ロータ12は、平面視略円形の複数の電磁鋼板を高さ方向に積層した積層体12aと、積層体12a内に設けられる永久磁石とを備える。ロータ12の積層体12aは、ステータ11の内側に形成される円柱状の空域内に配設される。このとき、ステータ11の歯部内端とロータ12の外面との間に僅かな間隙が形成される。更に、ロータ12の中央に、高さ方向に貫通する貫通孔12bが形成される。回転軸13は、貫通孔12bに挿嵌され、ロータ12を支持する。
【0021】
次に、回転圧縮機構部20は、
図1及び
図2に示されるように、シリンダ21、偏芯部22、ローラ23、ベーン24、コイルスプリング25を備える。ここで、
図1に示されるように、シリンダ21は、上下に貫通する圧縮室211を内部に備える。また、シリンダ21の上面及び下面の夫々に、回転軸13の軸受部を含む枠体26a,26bが装着される。圧縮室211は、枠体26a,26bによって閉塞される。
【0022】
また、
図2に示されるように、偏芯部22は、圧縮室211内に収容されると共に、回転軸13に一体形成される。更に、ローラ23は、偏芯部22の外側面に周設される。更に、ベーン24は、シリンダ21に形成される縦溝241内にスライド可能に配設されて圧縮室211に臨む。このとき、ベーン24の内端は、ロー
ラ23の外側面に当接する。これにより、圧縮室211は、低圧室と高圧室とに区画される。更に、コイルスプリング25は、縦溝241の外方側に配置され、ベーン24の外端を付勢する。
【0023】
前記構造の回転圧縮機構部20において、回転軸13が回転すると、圧縮室211内で偏芯部22及びローラ23が偏芯回転する。このとき、ローラ23は、圧縮室211の内側面に沿って偏芯回転する。また、ローラ23の偏芯回転に伴い、ローラ23の外側面に当接するベーン24がシリンダ21の外方側に押し込まれる。ローラ23が偏芯回転を続けると、ベーン24は、それまでとは逆方向にスライド移動し、元の位置に戻る。
【0024】
ところで、
図1に示されるように、シリンダ21は、アキュムレータ70と接続する冷媒吸入路27を備える。アキュムレータ70から吸入され、冷媒吸入
路27内を流通する冷媒は、圧縮室211の低圧室に排出される。圧縮室211の低圧室に排出された冷媒は、ロー
ラ23及びベーン24における前述の動作によって、高圧室側に移され圧縮される。続けて、圧縮室211の高圧室内で圧縮された冷媒は、枠体26a内の流路(図示しない)を介して、吐出口261から容器30に向けて吐出される。
【0025】
次に、
図3を参照して、冷媒吸入路27を詳細に説明する。ここで、
図3(a)は、回転圧縮機構部20の水平断面図(
図1のA-A’線で切断した回転圧縮機構部20の断面図)である。また、
図3(b)は、圧縮室211側から冷媒吸入路27を見た図(
図3(a)の矢印Bで示される矢視図)である。ここで、
図3(b)に示される冷媒吸入路27は、断面矩形の開口部272を有するものであるが、開口部272(開口端273)の断面形状は、これに限られない。
【0026】
図3(a)に示されるように、冷媒吸入路27は、シリンダ21の径方向外側に配され
て冷媒が流れる通路部である拡幅部271と、拡幅部271から圧縮室211に向けて延在する開口部272を備える。拡幅部271は、アキュムレータ70の冷媒吐出管と接続する部位である。アキュムレータ70から供給される冷媒は、シリンダ21の拡幅部271に導入される。本実施形態における拡幅部271は、
図3(b)に示されるような、断面円形の流路である。ただし、これに限定されない。
【0027】
開口部272は、圧縮室211に臨む開口端273を介して圧縮室211に連なる。図示されるように、本実施形態における開口部272は、拡幅部271に直接接合されるが、これに限れない。すなわち、拡幅部271と開口部272の間に他の管路部位を介在させてもよい。
【0028】
図3(a)に示されるように、本実施形態における拡幅部271は、圧縮室211に連通せず、シリンダ21内の所定位置で終端する(特に限定されるものではないが、拡幅部271の終端位置として、開口部272との連通位置
(開口部272と連通する連通口の部分)や圧縮室の直前の位置などが挙げられる)。そのため、アキュムレータ70(シリンダ21の外部)から拡幅部271に流入した冷媒は、開口部272に至る。開口部272に至った冷媒は、開口部272の開口端273を通過し、圧縮室211内に排出される(冷媒吸入路27における冷媒の経路の一例は、
図2を参照されたい)。
【0029】
また、
図3(b)に示されるように、開口部272の幅W2(本実施形態の場合、開口端273の幅)は、拡幅部271の幅(例えば、拡幅部271の最大幅W1)より狭い。更に、開口部272の垂直断面積(
図3(b)に示される開口面積S2。本実施形態の場合、開口端273の面積)は、拡幅部271の垂直断面積S1以上とされる。なお、本実施形態における拡幅部271の垂直断面積S1は、例えば、最大幅W1の部位を含むよう拡幅部271を垂直に切断した断面の面積である。
【0030】
冷媒吸入路27を前記構造とすることで、従来に比べて幅広の拡幅部271に冷媒が流入するため、拡幅部271を流れる冷媒の抵抗を従来に比べて低減できる。また、拡幅部271より狭幅の開口部272が、圧縮室211に連なる。すなわち、本実施形態において、ローラ23の接触により閉塞される部位は、開口部272(開口端273)である。そのため、冷媒吸入路27の最大幅が、拡幅部271の分増えても、ローラ23による冷媒吸入管27の閉塞時間は、従来構造に比べて増えない。その結果、従来の回転圧縮機構部と同様のタイミングで、圧縮室211での冷媒圧縮を開始することができる。
【0031】
更に、開口部272の断面積は、拡幅部271の垂直断面積と同一かそれ以上とされる。そのため、拡幅部271に流れる冷媒と開口部272に流れる冷媒の流速変化を最小限に抑えることができる。これにより、幅の異なる拡幅部271と開口部272とに冷媒を流通させても、冷媒吸入路27を流通する冷媒のエネルギーロスを極力低減でき、冷媒圧縮効率を高めることができる。
【0032】
[第1実施形態の変形例]
次に、
図4を参照して、前述した第1実施形態の変形例を説明する。ここで、
図4は、
図1のA-A’線で切断した第1実施形態の変形例における回転圧縮機構部20の水平断面図である。第1実施形態とその変形例との相違点は、冷媒吸入路27の拡幅部271と開口部272との接合部分である。
【0033】
より詳しくは、
図4に示される変形例の場合、シリンダ21の平面視において、拡幅部271の長手方向L1と開口部272の長手方向L2とが角度θ1を成すよう、双方(拡幅部271及び開口部272)が接合される。そのため、拡幅部271の長手方向L1と開口部272の長手方向L2との成す角度θ1を適宜調整することで、冷媒吸入路27に拡幅部271が設けられても、他の部位と干渉しない領域に冷媒吸入路27を形成することができる。これにより、拡幅部271の最大幅が制約されず、拡幅部271を流れる冷媒への抵抗をより低減できる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、
図5及び
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る回転圧縮機1’を説明する。ここで、
図5は、第2実施形態に係る回転圧縮機1’の垂直断面図である。また、
図6(a)は、
図5のC-C’線で切断した第2実施形態における回転圧縮機構部20’の水平断面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の矢印Dから見た回転圧縮機構部20’の矢視図である。
【0035】
図5に示されるように、第2実施形態に係る回転圧縮機1’は、所謂2シリンダータイプに属する回転圧縮機であり、高さ方向に連設される第1シリンダ21a及び第2シリンダ21bを備える。前述された第1実施形態と同様、第1拡幅部271aと第1開口部272aとを備えた第1冷媒吸入路27aが、第1シリンダ21aに形成される。
【0036】
また、
図5及び
図6(a)に示されるように、第1開口部272aは、第1拡幅部271aから第1圧縮室211aに向けて延在する。更に、第1開口部272aは、第1圧縮室211aに臨む第1開口端273aを介して、第1シリンダ21a内の第1圧縮室211aに連なる。ただし、第1拡幅部271aと第1開口部272aの間に、他の管路部位を介在させてもよい。
【0037】
また、第1シリンダ21aと同様、第2拡幅部271bと第2開口部272bとを備えた第2冷媒吸入路27bが、第2シリンダ21bに形成される。
図5及び
図6(a)に示されるように、第2開口部272bは、第2拡幅部271bから第2圧縮室211bに向けて延在する。更に、第2開口部272bは、第2圧縮室211bに臨む第2開口端273bを介して、第2シリンダ21b内の第2圧縮室211bに連なる。ただし、第2拡幅部271bと第2開口部272bの間に、他の管路部位を介在させてもよい。
【0038】
ここで、
図6(a)に示されるように、第1冷媒吸入路27aと第2冷媒吸入路27bとは、第1シリンダ21a(第2シリンダ21b)の平面視において、シリンダの周方向に角度θ2だけ離れて配置される。このとき、
図6(b)に示されるように、第1冷媒吸入路27aの第1拡幅部271a・第1開口部272aと、第2冷媒吸入路27bの第2拡幅部271b・第2開口部272bとが、回転圧縮機構部20’の周方向に所定距離だけ離れて配置される。その結果、回転圧縮機1’における容器30(容器本体部31)の強度低下を抑制することができる。
【0039】
なお、
図6(b)に示される第1開口部272a(第1開口端273a)、第2開口部272b(第2開口端273b)は、断面矩形の流路であるが、その他の断面形状を有する流路であってもよい。
【0040】
また、
図6(a)に示される第1冷媒吸入路27aは直線路であるが、第1冷媒吸入路27aの形態は、これに限られない。第1冷媒吸入路27aの他の形態の例として、第1実施形態の変形例のように、第1拡幅部271aの長手方向と第1開口部272aの長手方向とが所定の角度を成し、第1拡幅部271aと第1開口部272aとの接合部を境に折れ曲がる形態等が挙げられる。ただし、これに限られるものではない。
【0041】
また、
図6(a)に示される第2冷媒吸入路27bは直線路であるが、第2冷媒吸入路27bの形態は、これに限られない。第2冷媒吸入路27bの他の形態の例として、第1実施形態の変形例のように、第2拡幅部271bの長手方向と第2開口部272bの長手方向とが所定の角度を成し、第2拡幅部271bと第2開口部272bとの接合部を境に折れ曲がる形態等が挙げられる。ただし、これに限られるものではない。
【0042】
本発明の実施形態について詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、前述の実施形態から変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る回転圧縮機は、例えば、家庭用・業務用空調装置等に用いられる。ただし、その用途は、これに限られない。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・・・・・・回転圧縮機
10・・・・・・・・電動部
11・・・・・・・ステータ
12・・・・・・・ロータ
13・・・・・・・ロータの回転軸
20・・・・・・・・回転圧縮機構部
21・・・・・・・シリンダ
211・・・・・圧縮室
22・・・・・・・偏芯部
23・・・・・・・ローラ
24・・・・・・・ベーン
25・・・・・・・コイルスプリング
27・・・・・・・冷媒吸入路
271・・・・・拡幅部
272・・・・・開口部
273・・・・・開口端
30・・・・・・・・容器
70・・・・・・・・アキュムレータ