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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】端子接続構造及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20241015BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20241015BHJP
   H01C 7/12 20060101ALI20241015BHJP
   H01C 1/142 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01L23/48 Q
H01R4/02 Z
H01C7/12
H01C1/142
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020156249
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049940
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】登内 功
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0163429(US,A1)
【文献】特開2019-054035(JP,A)
【文献】特開2019-050321(JP,A)
【文献】特開平09-219303(JP,A)
【文献】実開昭61-092004(JP,U)
【文献】実開昭53-130259(JP,U)
【文献】特開平11-102836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48
H01R 4/02
H01C 7/12
H01C 1/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を構成する素子に設けられた電極と、
前記電極に沿って配置される接続部を有した端子と、
前記電極及び前記接続部の間に間隙を形成する間隙形成部と、
前記間隙に設けられ、前記接続部及び前記電極を電気的に接続する接続材と、
を備え、
前記間隙は、側面視で台形状または矩形状であり、
前記間隙形成部は、前記接続部より突出した突出部を含み、
前記突出部は、前記端子を横断する突条を含み、
前記電極を介して前記端子が接続された前記素子がモールド樹脂で覆われた、
端子接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の端子接続構造であって、
前記接続部は、前記電極と平行な部分を有する、
端子接続構造。
【請求項3】
請求項に記載の端子接続構造であって、
前記突出部は、前記接続部の端部が前記素子へ近づく方向に屈曲された屈曲部を含む、
端子接続構造。
【請求項4】
請求項に記載の端子接続構造であって、
前記突出部は、前記屈曲部より前記素子に沿って延びる延出部を備える、
端子接続構造。
【請求項5】
請求項から請求項のいずれか一項に記載の端子接続構造であって、
前記突出部は、前記電極の外周部において前記素子に接し、
前記突出部は、前記接続部からの突出寸法が前記電極の厚み寸法よりも大きい、
端子接続構造。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の端子接続構造を有する電子部品。
【請求項7】
請求項に記載の電子部品であって、
前記電極は、前記素子の一面に設けられた第一電極、及び前記素子の他面に設けられた第二電極を含み、
前記端子は、前記第一電極に電気的に接続される第一端子、及び前記第二電極に電気的に接続される第二端子を含む、
電子部品。
【請求項8】
請求項に記載の電子部品であって、
前記素子は、バリスタを構成するセラミック素子である、
電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続構造及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車、家電機器、産業機器等に使用される電子部品の使用環境の変化は激しく、この種の電子部品に対して従来は要求されなかった規格の改定が行われたり、部品用途の多様化が増大している。その結果、予期せぬノイズやエネルギーの大きなパルスから脆弱な電子回路が保護されるようにするため、これらの機器に搭載される電子部品への要求が極めて厳しくなっている。回路保護部品として使用されるバリスタは、異常電圧吸収素子からなる電子部品であって、ディスクタイプ、面実装タイプ、積層(内層)タイプがあり、用途により使い分けられている。特許文献1には、面実装タイプのバリスタが開示されている。このバリスタは、バリスタ素子を備えており、バリスタ素子の表面及び裏面には、電極が形成されている。
【0003】
各電極には、端子が接続されており、電極と端子とは、ハンダ(はんだ)で接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2011/162181公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バリスタは、高電圧・大電流タイプになるほどバルクサイズが大きくなる。近年における電子部品の省スペース化、小型化の進展により、高電圧・大電流パルスに対応できる面実装タイプのバリスタが求められているが、従来の面実装タイプのバリスタを高電圧・大電流パルス用にバルクサイズを大きくしても、雷サージ等のパルスによりバリスタが短絡した際、部品そのものがおよそ1000℃近くまで発熱する。このような電子部品における端子接続構造にあっては、電極と端子とを電気的に接続する為のハンダで構成された接続材の使用量(供給量、充填量)が少ないと、適切な接合強度が確保できない。
【0006】
また、接続材の使用量が多いと、ハンダの厚み寸法が厚くなりすぎ、外装から端子や素子が露出してしまうおそれがある。また、製品のサイズが大きくなったり、コストアップにつながるという問題もある。
【0007】
このように、接続材の厚みがばらつくと、接合部の接合強度にばらつきが生ずる。
【0008】
そこで本発明は、端子と電極とを接続する接続材の使用量に起因した不具合を抑制することが可能な端子接続構造及び電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、部品を構成する素子に設けられた電極と、前記電極に沿って配置される接続部を有した端子と、前記電極及び前記接続部の間に間隙を形成する間隙形成部と、前記間隙に設けられ、前記接続部及び前記電極を電気的に接続する接続材と、を備え、前記間隙は、側面視で台形状または矩形状であり、前記間隙形成部は、前記接続部より突出した突出部を含み、前記突出部は、前記端子を横断する突条を含み、前記電極を介して前記端子が接続された前記素子がモールド樹脂で覆われた端子接続構造が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本態様によれば、端子の接続部と電極との間には、間隙形成部によって間隙が形成されており、この間隙によって接続部と電極とを電気的に接続する接続材の使用量のばらつきが抑制される。
【0011】
このため、電極と端子との間に所定の間隙を確保することができず、電極と端子との間に設けられる接続材の使用量が接続毎(個体やロット毎)に変動し得る場合と比較して、端子と電極とを接続する接続材の使用量に起因した不具合を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第一実施形態に係る電子部品を示す側面図である。
図2図2は、第一実施形態に係る電子部品の内部を示す斜視図である。
図3図3は、第一実施形態に係る電子部品の内部を示す側面図である。
図4図4は、第二実施形態に係る電子部品の内部を示す側面図である。
図5図5は、第三実施形態に係る電子部品の内部を示す斜視図である。
図6図6は、第三実施形態に係る電子部品の内部を示す側面図である。
図7図7は、第四実施形態に係る電子部品の内部を示す側面図である。
図8図8は、第五実施形態に係る電子部品の内部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る端子接続構造を備えた電子部品について、図1から図3を用いて説明する。図1は、第一実施形態に係る電子部品10を示す側面図である。
【0014】
電子部品10としては、バリスタ、抵抗器、コンデンサ、サーミスタ、半導体、又はこれらを応用した各種センサ素子等が挙げられ、本実施形態では、電子部品10がバリスタの場合を例に挙げて説明する。バリスタは、セラミック素子を一対の金属端子で挟む金属端子付き電子部品10であり、例えば雷サージ等の高電圧及び大電流が加えられる使用環境に耐え得る耐久性を備えている。
【0015】
この電子部品10は、内部にバリスタ機能を発現するためのセラミック素子を封止するモールド樹脂等からなる、例えば直方体形状の部品本体12を備えている。部品本体12の底面14には、長手方向16の一端部より下方へ突出する第一脚部18と、長手方向16の他端部より下方へ突出する第二脚部20が形成されている。
【0016】
部品本体12の長手方向16の一方側の一端面22からは、一方の金属端子を構成する第一端子24が延出している。第一端子24は、例として銅や鉄によって板状に形成されており、その表面には、ニッケルや錫などのメッキが施されている。
【0017】
第一端子24は、部品本体12より延び出した部位が部品本体12の一端面22に沿って折曲されており、第一端子24は、一端面22に沿って延在する第一延在部26を有する。第一延在部26の先端側は、部品本体12の長手方向16の中心部へ向けて折り返されており、第一延在部26より延び出した第一先端部28は、第一脚部18に形成された第一凹部30内に配置されている。
【0018】
また、部品本体12の長手方向16の他方側の他端面32からは、他方の金属端子を構成する第二端子34が延出している。第二端子34は、例として銅や鉄によって板状に形成されており、その表面には、ニッケルや錫などのメッキが施されている。
【0019】
第二端子34は、部品本体12より延び出した部位が部品本体12の他端面32に沿って折曲されており、第二端子34は、他端面32に沿って延在する第二延在部36を有する。第二延在部36の先端側は、部品本体12の長手方向16の中心部へ向けて折り返されており、第二延在部36より延び出した第二先端部38は、第二脚部20に形成された第二凹部40内に配置されている。
【0020】
図2は、第一実施形態に係る電子部品10の内部を示す斜視図であり、図3は、第一実施形態に係る電子部品10の内部を示す側面図である。
【0021】
部品本体12の内部には、電子部品10を構成する素子50が設けられており、電子部品10を構成する素子50としては、能動素子及び受動素子が挙げられる。本実施形態では、電子部品10としてバリスタが用いられ、素子50として受動素子であるセラミック素子が用いられている。そのため、部品本体12の内部には、バリスタを構成する、例えば酸化亜鉛(ZnO)に添加物を混合してなる組成のセラミックス素子が設けられている。
【0022】
この素子50は、円柱状や角柱状に形成されている。素子50の一端を構成する一面52には、第一電極54が設けられており、素子50の他端を構成する他面56には、第二電極58が設けられている(図3参照)。
【0023】
各電極54、58は、一例としてスクリーン印刷や塗布で形成されており、各電極54、58は、例えば銀系又は銀パラジウム系の材料により形成される。第一電極54は、一面52に密着した状態で固定されており、第二電極58は、他面56に密着した状態で固定されている(図3参照)。
【0024】
第一電極54は、一面52の外径寸法より小さい円形状に形成されており、第一電極54の外周部には、一面52の一部が円形リング状に露出する。第二電極58は、他面56の外径寸法より小さい円形状に形成されており、第二電極58の外周部には、他面56の一部が円形リング状に露出する。
【0025】
部品本体12の内部に延びた第一端子24の端部は、第一電極54に沿って(並行して)配置された第一接続部60を構成する。また、部品本体12の内部に延びた第二端子34の端部は、第二電極58に沿って(並行して)配置された第二接続部62を構成する(図3参照)。
【0026】
第一端子24の第一接続部60は、プレス加工が施されており、図3に示すように、第一接続部60の先端側には、プレス加工でV字状に押し出されることによって、第一電極54へ向けて突出する第一先端突出部64が形成されている。また、第一接続部60の先端側よりも第一延在部26に近い基端側には、プレス加工でV字状に押し出されることによって、第一電極54へ向けて突出する第一基端突出部66が形成されている。
【0027】
第一先端突出部64及び第一基端突出部66は、第一端子24を幅方向に横断する突条で構成されており、第一先端突出部64及び第一基端突出部66は、横断方向68に直線状に延在する(図2参照)。そして、第一先端突出部64及び第一基端突出部66を構成する突条は、側面視で三角形状に形成されている。
【0028】
第二端子34の第二接続部62は、図3に示すように、プレス加工が施されており、第二接続部62の先端側には、プレス加工でV字状に押し出されることによって、第二電極58へ向けて突出する第二先端突出部70が形成されている。また、第二接続部62の先端側よりも第二延在部36に近い基端側には、プレス加工でV字状に押し出されることによって、第二電極58へ向けて突出する第二基端突出部72が形成されている。
【0029】
第二先端突出部70及び第二基端突出部72は、第二端子34を幅方向に横断する突条で構成されており、第二先端突出部70及び第二基端突出部72は、横断方向68に直線状に延在する。そして、第二先端突出部70及び第二基端突出部72を構成する突条は、側面視で三角形状に形成されている。
【0030】
ここで、本実施形態では、各突出部64、66、70、72を、側面視で三角形の突条で構成する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、各突出部64、66、70、72を、側面視で台形の突条で構成してもよい。また、側面視で三角形の突状の頂点は丸みを帯びていても良い。
【0031】
図3に示すように第一先端突出部64と第一基端突出部66とは、第一電極54の表面に接しており、第一先端突出部64と第一基端突出部66とは、第一電極54と第一接続部60との間に第一間隙76を形成する間隙形成部を構成する。第二先端突出部70と第二基端突出部72とは、第二電極58の表面に接しており、第二先端突出部70と第二基端突出部72とは、第二電極58と第二接続部62との間に第二間隙78を形成する間隙形成部を構成する。
【0032】
第一電極54と第一接続部60との間に形成された第一間隙76には、第一電極54と第一接続部60とを電気的に接続する接続材80が設けられている。第二電極58と第二接続部62との間に形成された第二間隙78には、第二電極58と第二接続部62とを電気的に接続する接続材80が設けられている。
【0033】
この接続材80としては、導電性樹脂(接着剤)又はハンダ(はんだ)が挙げられ、本実施形態では、接続材80がハンダで構成された場合を例に挙げて説明する。
【0034】
各端子24、34の各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58とを電気的に接続する際には、各接続部60、62と対応する各電極54、58との間にハンダからなる接続材80を配置する。この状態において、例えば、ハンダごてを、各端子24、34の各接続部60、62に押し当て、各接続部60、62を加熱して接続材80を溶融する。そして、各接続部60、62の各突出部64、66、70、72がこれらに対応する各電極54、58に接するまで、ハンダごてを用いて各接続部60、62に圧力を加える。接続方法は公知の技術を適用することができる。
【0035】
これにより、各間隙76、78に溶融した接続材80を充填することで、各端子24、34の各接続部60、62を対応する各電極54、58に電気的に接続する。
【0036】
また、各接続部60、62の裏面から対応する各電極54、58の表面までの距離を一定に保つことができる。これにより、各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間の各間隙76、78に充填される接続材80の使用量が適正に管理される。また、各接続部60、62を対応する各電極54、58に接続する接続材80の厚み寸法82が、規定寸法に保たれる。
【0037】
そして、各端子24、34が接続された素子50をモールド樹脂で覆うことで、図1に示したように、部品本体12を形成する。
【0038】
(作用及び効果)
次に、第一実施形態による作用効果について説明する。
【0039】
本実施形態の端子接続構造は、電子部品10を構成する素子50に設けられた各電極54、58と、各電極54、58に沿って配置される各接続部60、62を有した各端子24、34とを備える。また、端子接続構造は、各電極54、58及び各接続部60、62の間に各間隙76、78を形成する間隙形成部と、各間隙76、78に設けられ、各接続部60、62及び各電極54、58を電気的に接続する接続材80とを備える。
【0040】
この構成によれば、各端子24、34の各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間には、間隙形成部によって各間隙76、78が形成されている。この各間隙76、78によって各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58とを電気的に接続する接続材80の使用量(充填量)のばらつきを抑制し、接続材80の厚みを一定に管理することが可能となる。
【0041】
ここで、電極と端子との間に所定の間隙を確保することができない場合、電極と端子との間に設けられる接続材の使用量が接続毎(個体やロット毎)に変動し得る。しかし、本実施形態では、このような場合と比較して、各端子24、34と各電極54、58とを接続する接続材80の使用量に起因した不具合を抑制することが可能となる。
【0042】
また、接続材80の使用量を管理するための複雑な工程管理を実施することなく、接続材80の使用量を適切な量にすることができる。
【0043】
ここで、各端子24、34と各電極54、58とを接続材80であるハンダで接続する場合、ハンダと各電極54、58に含まれる金属とが接触部分で合金層を形成することで各端子24、34と各電極54、58とが接合される。この合金層は、ハンダと比較して硬く応力に弱い。このため、ハンダで形成されるハンダ層の厚み寸法82が小さいと、各端子24、34と各電極54、58との接合部分で剥離が生じ易くなる。
【0044】
これに対して、本実施形態では、各端子24、34と各電極54、58とを接続する接続材80であるハンダの量のばらつきを抑制することで、ハンダが形成するハンダ層の厚み寸法82を規定寸法に保つことができる。これにより、ハンダ層において合金層より柔らかいハンダ領域を一定以上確保することができるので、クラックの発生を抑制することが可能となる。
【0045】
一方、温度変化に起因して各端子24、34及び各電極54、58の接合部に加わる熱応力は、ハンダ層の厚み寸法が大きくなるに従って大きくなる。このため、ハンダ層の厚み寸法が規定の範囲を超えてばらつくと、熱応力に対する接合部の接合強度にばらつきが生ずる。
【0046】
特に、電子部品10がバリスタの場合、雷サージ等が入力された際に生ずる大電流によって電子部品10が、およそ1000℃近くまで発熱する。このため、熱応力に対する接合強度のばらつきは、電子部品10の耐久性に大きな影響を与える。
【0047】
そこで、本実施形態では、ハンダ層の厚み寸法82のばらつきを抑えることで、各端子24、34及び各電極54、58の接合部の接合強度のばらつきを抑制するとともに、電子部品10の温度変化に対する耐久性を向上することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態において、間隙形成部は、各接続部60、62より突出した各突出部64、66、70、72を含む。
【0049】
この構成によれば、各接続部60、62に各突出部64、66、70、72を形成することで、各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間に各間隙76、78を形成することが可能となる。各突出部64,66,70,72は、接続材80であるハンダが各電極54、58の全体へ濡れ広がりすぎてしまうことを抑制する壁となり、ハンダ層の厚み寸法82が確保される。ハンダ層の厚み寸法82が確保されることにより、ハンダ層において合金層よりも柔らかいハンダ領域を一定以上確保することができるので、ヒートサイクルに対する耐久性が向上する。
【0050】
また、間隙形成部を構成する各突出部64、66、70、72と各接続部60、62とを一体化できるので、構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0051】
さらに、本実施形態のように、プレス加工によって各端子24、34に各突出部64、66、70、72を形成することができるので、加工が容易となる。
【0052】
また、本実施形態において、各突出部64、66、70、72は、各端子24、34を横断する突条を含む。
【0053】
この構成によれば、各端子24、34を横断する突条によって接続材80の充填範囲を規制することができる。このため、接続材80の利用量をさらに正確に管理することが可能となる。また、各端子24、34を各電極54,58に対して平行な状態で、安定して接続することができる。
【0054】
そして、本実施形態の電子部品10においても、前述した作用効果を奏することができる。
【0055】
また、本実施形態の電子部品10において、各電極54、58は、素子50の一面52に設けられた第一電極54、及び素子50の他面56に設けられた第二電極58を含む。また、各端子24、34は、第一電極54に電気的に接続される第一端子24、及び第二電極58に電気的に接続される第二端子34を含む。
【0056】
この構成によれば、第一端子24と第一電極54、第二端子34と第二電極58は、それぞれ同じ距離を保ち、素子50の各面52、56に対して平行に接続することができ、雷サージ等による素子50の短絡を防止することができる。また、各端子24、34と各電極54、58とを接続する接続材80の使用量に起因した不具合を抑制可能であって、各電極54、58で素子50が挟まれた電子部品10を形成することができる。
【0057】
さらに、本実施形態の電子部品10において、素子50は、バリスタを構成するセラミック素子である。
【0058】
この構成によれば、セラミック素子を備えたバリスタを形成することができる。
【0059】
なお、第一実施形態では、各端子24、34に設けられた各突出部64、66、70、72が対応する各電極54、58に接する場合について説明したが、この構造に限定されるものではない。例えば、第二実施形態に示すように構成してもよい。
【0060】
<第二実施形態>
図4は、第二実施形態に係る電子部品100の内部を示す側面図であり、第一実施形態の図3に相当する図が示されている。
【0061】
この図4を用いて第二実施形態を説明する。なお、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分について説明する。
【0062】
第二実施形態の端子接続構造を備えた電子部品100は、第一実施形態の第一電極54及び第二電極58と比較して、各電極54、58の外形寸法が小さい。このため、各端子24、34に形成された各突出部64、66、70、72は、対応する各電極54、58の外周部において素子50に接する。
【0063】
また、各突出部64、66、70、72は、対応する接続部60、62からの突出寸法102が各電極54、58の厚み寸法104よりも大きい。これにより、各端子24、34の各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間には、各間隙76、78が形成されており、各間隙76、78の高さ寸法は、突出寸法102から厚み寸法104を減算した値にとなる。
【0064】
(作用及び効果)
本実施形態であっても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
また、本実施形態の端子接続構造において、各突出部64、66、70、72は、各電極54、58の外周部において素子50に接する。また、各突出部64、66、70、72は、各接続部60、62からの突出寸法102が各電極54、58の厚み寸法104よりも大きい。
【0066】
この構成によれば、各端子24、34とこれらに対応する各電極54、58とが直接接触しない。このため、接続材80及び各端子24、34の熱膨張差によって生じ得る熱応力が各電極54、58に加わり難くなるので、ヒートサイクルに対する耐久性の向上が可能となる。
【0067】
接続材80であるハンダは、各端子24、34と各電極54、58にのみ濡れ広がり、フィレットを形成する。そのため、従来のハンダフィレットとは逆向きのフィレット、すなわち、各電極54、58とハンダにより構成される接触角が90°以上となるフィレットが形成され、各電極54、58に加わる応力が緩和される。
【0068】
また、各電極54、58と接続材80であるハンダの接する面積が広くなるため、接合強度が強くなる。
【0069】
<第三実施形態>
図5は、第三実施形態に係る電子部品200の内部を示す斜視図であり、第一実施形態の図2に相当する図が示されている。図6は、第三実施形態に係る電子部品200の内部を示す側面図であり、第一実施形態の図3に相当する図が示されている。
【0070】
この図5及び図6を用いて、第三実施形態を説明する。なお、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分について説明する。
【0071】
第三実施形態の端子接続構造を備えた電子部品200は、第一実施形態の第一端子24及び第二端子34と比較して、各端子24、34に形成された各突出部64、66、70、72の形状が異なる(図5参照)。
【0072】
各端子24、34の各接続部60、62に設けられた各先端突出部64、70は、対応する各接続部60、62の一部が膨出した先端膨出部202で構成されている。先端膨出部202は、各端子24、34を幅方向に横断する横断方向68に離間して少なくとも一対設けられており(図5参照)、対を成す先端膨出部202、202の間には、空間が形成される。
【0073】
また、各端子24、34の各接続部60、62に設けられた各基端突出部66、72は、対応する接続部60、62の一部が膨出した基端膨出部204で構成されている。基端膨出部204は、各端子24、34を幅方向に横断する横断方向68に離間して少なくとも一対設けられており、対を成す基端膨出部204、204の間には、空間が形成されている。
【0074】
各突出部64、66、70、72は、パンチ加工で形成されており、パンチ加工では、先端が半球状のパンチで各端子24、34の各接続部60、62をプレスして、各接続部60、62の一部を押し出す。これにより、各接続部60、62の表面には、円形の凹部206が形成されており(図5参照)、各接続部60、62の裏面には、各突出部64、66、70、72が半球状に形成されている。なお、本実施形態では各突出部64、66、70、72は各電極54、58に接するが、第二実施形態と同じく素子50の各電極54、58の外周部に各突出部64、66、70、72が接しても良い。
【0075】
(作用及び効果)
本実施形態であっても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
また、本実施形態の端子接続構造において、各突出部64、66、70、72は、各接続部60、62の一部が膨出した各膨出部202、204を含む。各膨出部202、204は各端子24、34の各接続部60、62との間に間隙を形成する。
【0077】
この構成によれば、各接続部60、62をパンチ加工することで、各突出部64、66、70、72を形成することができるので、加工が容易となる。
【0078】
また、本実施形態の端子接続構造において、各膨出部202、204は、各端子24、34を横断する横断方向68に離間して複数設けられている。
【0079】
この構成によれば、横断方向68に配置された膨出部202、204の間に空間を形成することができる。このため、各間隙76、78に充填する接続材80が多かった場合、余剰した接続材80を、各膨出部202、204の間の空間を介して、各端子24、34の長手方向へ逃がすことが可能となる。
【0080】
したがって、接続材80の充填量が多くなった場合であっても、各電極54、58に設けられる接続材80を適量に維持することが可能となる。
【0081】
<第四実施形態>
図7は、第四実施形態に係る電子部品300の内部を示す側面図であり、第一実施形態の図3に相当する図が示されている。
【0082】
この図7を用いて、第四実施形態を説明する。なお、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分について説明する。
【0083】
第四実施形態の端子接続構造を備えた電子部品300は、第一実施形態の第一端子24及び第二端子34と比較して、各端子24、34に形成された各突出部64、66、70、72が異なる。
【0084】
各接続部60、62の先端部には、曲げ加工によって各接続部60、62の端部が素子50へ近づく方向302へ向けて斜めに屈曲した先端屈曲部304が形成されている。この先端屈曲部304は、対応する各電極54、58へ向けて突出する各先端突出部64、70を形成する。
【0085】
また、各接続部60、62の基端側には、曲げ加工によって素子50へ近づく方向302へ向けて斜めに屈曲した基端屈曲部306が形成されている。この基端屈曲部306は、対応する各電極54、58へ向けて突出する各基端突出部66、72を形成する。
【0086】
なお、各基端突出部66、72から部品本体12の外側へ向けて延びる各端子24、34の部位は、素子50の各面52、56に対して平行に延びる。
【0087】
これにより、各端子24、34の各接続部60、62と対応する各電極54、58との間には、側面視で台形状の各間隙76、78が形成される。
【0088】
なお、本実施形態では、各端子24、34の各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間に形成された各間隙76、78を側面視で台形状としたが、これに限定されるものではない。例えば、各接続部60、62の先端部及び基端部を垂直(直角)に屈曲することで、各端子24、34の各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間に形成された各間隙76、78を側面視で矩形状とする。あるいは、各先端屈曲部304、304と各基端屈曲部306、306とを近づけることで、各端子24、34の各接続部60、62とこれらに対応する各電極54、58との間に形成された各間隙76、78を側面視で三角形状とすることができる。
【0089】
(作用及び効果)
本実施形態であっても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
また、本実施形態の端子接続構造において、各突出部64、66、70、72は、各接続部60、62の端部が素子50へ近づく方向302に屈曲された各屈曲部304、306を含む。
【0091】
この構成によれば、各接続部60、62を曲げ加工することで、各突出部64、66、70、72を形成することができるので、加工が容易となる。
【0092】
また、各屈曲部304、306の長さ又は各屈曲部304、306の屈曲角度を変更することで、各間隙76、78の高さ寸法を調整することができる。これにより、各間隙76、78に充填される接続材80の厚み寸法82を、第一実施形態から第三実施形態と比較して、大きくすることが可能となる。
【0093】
<第五実施形態>
図8は、第五実施形態に係る電子部品400の内部を示す側面図であり、第一実施形態の図3に相当する図が示されている。
【0094】
この図8を用いて、第五実施形態を説明する。なお、第一実施形態及び第四実施形態と同一又は同等部分に関しては、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分について説明する。
【0095】
第五実施形態の端子接続構造を備えた電子部品400は、第一実施形態及び第四実施形態の第一端子24及び第二端子34と比較して、各端子24、34に形成された各突出部64、66、70、72が異なる。
【0096】
すなわち、各端子24、34の各接続部60、62に形成された各突出部64、66、70、72は、各屈曲部304、306より素子50に沿って延びる延出部402を備えている。各延出部402は、対応する各電極54、58に並行するように延びており、各延出部402は、対応する各電極54、58に接するように構成されている。各屈曲部304、306は各端子24、34の各接続部60、62との間に間隙を形成する。
【0097】
なお、各接続部60、62の基端側に形成された各突出部66、72の延出部402の先は、部品本体12の外側へ延出する。
【0098】
(作用及び効果)
本実施形態であっても、第一実施形態及び第四実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態及び第四実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0099】
また、本実施形態の端子接続構造において、各突出部64、66、70、72は、各屈曲部304、306より素子50に沿って延びる延出部402を備える。
【0100】
この構成によれば、各接続部60、62をプレス加工することで、各突出部64、66、70、72の形成が可能なため、加工が容易となる。
【0101】
また、各突出部64、66、70、72は、各延出部402が対応する各電極54、58に接する。このため、第四実施形態と比較して、各端子24、34とこれらに対応する各電極54、58との接触面積が増大する。これにより、各端子24、34を対応する各電極54、58に配置した配置状態を安定化することができるので、接続材80による接続作業が容易となる。
【0102】
いずれの実施形態においても、用途や要求される性能によっては、モールド樹脂により形成される部品本体12はなくても良く、あるいは部品本体12をエポキシ樹脂等からなる保護膜に代えても良い。
【0103】
さらに、各端子24、34に形成される各突出部64、66、70、72は、各先端突出部64、70と各基端突出部66、72により一対となるように構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、各先端突出部64、70と各基端突出部66、72との間に突出部を設けても良く、突出部は二以上あれば良い。
【符号の説明】
【0104】
10、100、200、300、400 電子部品
24 第一端子
34 第二端子
50 素子
54 第一電極
58 第二電極
60 第一接続部
62 第二接続部
64 第一先端突出部
66 第一基端突出部
68 横断方向
70 第二先端突出部
72 第二基端突出部
76 第一間隙
78 第二間隙
80 接続材
102 突出寸法
104 厚み寸法
202 先端膨出部
204 基端膨出部
304 先端屈曲部
306 基端屈曲部
402 延出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8