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特許7570863半導体発光装置及び半導体発光モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】半導体発光装置及び半導体発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20241015BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20241015BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/58
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020159480
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052941
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】河野 圭真
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸治
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 直史
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197932(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151686(WO,A1)
【文献】特開2017-163154(JP,A)
【文献】特開2005-191192(JP,A)
【文献】特開2015-216401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板及び前記支持基板上に設けられた発光半導体層を有する半導体発光素子と、接着層によって前記半導体発光素子に接着された導光部材とを有する発光素子アセンブリと、
前記発光素子アセンブリの側面を被覆する光反射体である無機材料からなる第1の被膜と、を有し、
前記第1の被膜は白色のセラミックを有し、溶射により形成されたセラミック結着体またはケイ酸塩系無機接着剤の加熱により形成されたケイ酸塩系結着体である、
半導体発光装置。
【請求項2】
前記セラミック結着体が、前記白色のセラミックの粒子が相互に結着した白色被膜である請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記ケイ酸塩系結着体が、前記白色のセラミックの粒子を骨材として含んでいる請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記白色のセラミックがアルミナ、ジルコニア、マグネシアの何れかを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記第1の被膜の外側に接して遮光性の無機材料からなる第2の被膜を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記第2の被膜は、黒色のセラミックを有する結着体又は不動態膜を有する金属である、請求項5に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記半導体発光素子は、前記支持基板上に貼り付けられたシンフィルム発光半導体層である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記導光部材は、上面視において、前記導光部材の底面が前記半導体発光素子の発光層を包含する大きさ及び配置を有して形成されている、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記導光部材は、底部に前記導光部材の側面から突出したリムが設けられている、請求項8に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記導光部材の光出射面は、上面視において前記半導体発光素子の前記発光層を包含する大きさ及び配置を有して形成されている、請求項8又は9に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
前記導光部材の光出射面は、上面視において前記半導体発光素子の前記発光層によって包含される大きさ及び配置を有して形成されている、請求項8又は9に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記リムは角柱形状を有し、
前記導光部材は、前記リム上に形成され、前記導光部材の表面に向かって断面積が小さくなる錐台形状の錐台部を有する、請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記リムに対応する角柱状の側面を有する、請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
前記支持基板は、上面から底面に向かって面積が小さくなるように傾斜したテーパ状の側面を有する、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項15】
請求項13に記載の半導体発光装置を複数個有する半導体発光モジュールであって、
前記半導体発光装置の前記角柱状の側面が互いに接するように配置され、
互いに隣接する前記半導体発光装置の前記側面よりも光出射面側であって、前記互いに隣接する前記半導体発光装置の間の溝部に光反射体又は光吸収体である樹脂が充填されている、半導体発光モジュール。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体発光装置の複数個が隣接して配置された半導体発光モジュールであって、
隣接する前記半導体発光装置の前記テーパ状の側面間にアンダーフィルが充填されている、半導体発光モジュール。
【請求項17】
前記発光半導体層は、前記支持基板側がp-半導体層、前記導光部材側がn-半導体層として形成され、
前記p-半導体層上に設けられたp-電極を有し、前記p-電極は、透明電極と、反射金属からなる反射電極と、前記透明電極及び前記反射電極の間に設けられた絶縁膜とからなる、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項18】
前記発光半導体層は、前記支持基板側がp-半導体層、前記導光部材側がn-半導体層として形成され、
前記p-半導体層上に設けられたp-電極を有し、前記p-電極は、透明電極と、反射金属からなる反射電極と、前記透明電極及び前記反射電極の間に設けられた絶縁膜とからなる、請求項15又は16に記載の半導体発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置及び半導体発光モジュール、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を有する半導体発光装置及び半導体発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力化や配光制御のため、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を複数デバイス内に配置して用いることが行われている。
【0003】
例えば、自動車用ヘッドライトにおいて、走行環境に合わせて配光を制御する配光可変型のヘッドランプ(ADB: Adaptive Driving Beam)が知られている。また、高出力の照明用LEDパッケージや、LEDを高密度に配置した情報通信機器用のLEDパッケージなどが知られている。
【0004】
しかし、一般に、複数の半導体発光素子が並置された半導体発光装置において、導通されている素子から放出された光の一部が非導通状態の素子に伝播することがあった。このような漏れ光や光のクロストークは、複数の半導体発光素子を配置して用いる様々な応用分野において問題であった。
【0005】
例えば、特許文献1には、基板及び発光素子の側面に光学反射層を設けることが開示されている。また、特許文献2には、半導体積層体の側面を覆う反射部材を有し、半導体積層体の側面上端から側方への光漏れを抑制する発光素子について開示されている。
【0006】
特許文献3には、発光セグメント間のクロストークを抑制する光反射溝を有する半導体発光装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-225862号公報
【文献】特開2015-119063号公報
【文献】特開2015-156431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、外部への光漏れ光及び外光の入射が極めて抑制され、気密性に優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することを目的とする。また、隣接する発光装置との間の光のクロストークが極めて抑制され、コントラストが高く、遮光性、気密性、固定性及び信頼性に優れた半導体発光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1実施形態による半導体発光装置は、
支持基板及び前記支持基板上に設けられた発光半導体層を有する半導体発光素子と、接着層によって前記半導体発光素子に接着された導光部材とを有する発光素子アセンブリと、
前記発光素子アセンブリの側面を被覆する光反射体である無機材料からなる第1の被膜と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10の上面を模式的に示す平面図である。
図1B図1AのA-A線に沿った半導体発光装置10の断面を模式的に示す断面図である。
図1C】半導体発光装置10の裏面を模式的に示す平面図である。
図2】半導体発光素子であるLED素子11の構成の一例を模式的かつ詳細に示す断面図である。
図3A】半導体発光装置10の製法について説明する図である。
図3B】半導体発光装置10の製法について説明する図である。
図4A】半導体発光装置が5×3の配列で配置された半導体発光モジュール37を示す上面図である。
図4B図4Aの線A-Aに沿った断面を示し、本実施形態の半導体発光装置10の適用例を模式的に示す断面図である。
図4C】比較例1及び2の半導体発光モジュール38の断面を模式的に示す断面図である。
図4D】本実施形態の半導体発光装置10を用いた半導体発光モジュール37と、比較例1及び2の半導体発光装置90を用いた半導体発光モジュール38との発光表示パターンの相違を模式的に説明する図である。
図5A】本実施形態の半導体発光装置10が不規則な配列で配置された、半導体発光モジュール37の他の実施形態を模式的に示す上面図である。
図5B図5Aの線A-Aに沿った断面を模式的に示す断面図である。
図6】第2の実施形態による半導体発光装置50が複数隣接して配置された半導体発光モジュール50Mの断面を模式的に示す断面図である。
図7】第3の実施形態による半導体発光装置60が複数隣接して配置された半導体発光モジュール60Mの断面を模式的に示す断面図である。
図8】第4の実施形態による半導体発光装置70が複数隣接して配置された半導体発光モジュール70Mの断面を模式的に示す断面図である。
図9】第5の実施形態によるLED素子81の構成を模式的かつ詳細に示す断面図である。
図10】第6の実施形態による半導体発光装置90の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[第1の実施形態]
図1Aは、本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10の上面を模式的に示す平面図である。図1Bは、図1AのA-A線に沿った半導体発光装置10の断面を模式的に示す断面図である。図1Cは、半導体発光装置10の裏面を模式的に示す平面図である。
【0012】
半導体発光装置10は、半導体発光素子11と、半導体発光素子11上に接着剤からなる接着層12によって接着された導光部材13とを有している。また、半導体発光装置10は、半導体発光素子11及び導光部材13の側面を覆う内側被膜14及び外側被膜15を有している。
【0013】
半導体発光素子11は、支持基板31上に設けられた発光半導体層20を有する。なお、以下において半導体発光素子11として発光ダイオード(LED)を例に説明するが、面発光LD(レーザダイオード)などの面発光素子であってもよい。
【0014】
本実施形態において、発光ダイオード(LED)である半導体発光素子(以下、LED素子と称する。)11の支持基板31及び導光部材13は直方体形状を有している。LED素子11、接着層12及び導光部材13の側面は、内側被膜14(第1の被膜)及び内側被膜14の外側に密着して形成された外側被膜15(第2の被膜)によって共通して覆われている。LED素子11、接着層12及び導光部材13は、内側被膜14及び外側被膜15によって封止されている。
【0015】
より詳細には、内側被膜14は、光反射性、絶縁性及び気密性を有し、外側被膜15は光反射性又は光吸収性による遮光性を有する。すなわち、内側被膜14と外側被膜15の積層構造によって被膜内側からの光に対して高い反射率を有し、被膜外側からの光に対して高い遮光性を両立させている。
【0016】
内側被膜14には、光反射性の白アルミナ・セラミック結着体が用いられている。セラミック結着体は被膜を構成する粒子が相互に結着した緻密な白色被膜であり、数十μm程度の厚みで、十分な光反射性を有する。このような内側被膜14は、導光部材13から内側被膜14に向かう光を効率よく反射する。
【0017】
外側被膜15には、光吸収性の黒アルミナ・セラミック結着体が用いられている。また、外側被膜15は内側被膜14から漏れる僅かな光を遮光すると同時に、半導体発光装置10外部の迷光をも吸収して遮光するので、光源としてのコントラストが向上する。また、外側被膜15としては、光を反射して遮光する被膜を用いることもできる。
【0018】
なお、内側被膜14及び外側被膜15は、LED素子11、接着層12及び導光部材13が一体となった発光素子アセンブリ11Aの全側面を覆うことが好ましい。また、接着層12は、半導体発光素子11及び導光部材13の間に充填されていることが好ましい。
【0019】
内側被膜14には、白色のアルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化チタンなどの光反射性セラミック結着体、又は、白色アルミナ・ジルコニアなどの光反射性複合セラミック結着体を用いることができる。また、セラミック結着体と同様な反射率を有する白色のアルミナ、ジルコニア、マグネシアなどの光反射性セラミック粒子、又は白色の光反射性セラミック粒子の混合粒子を骨材とする金属ケイ酸塩系の無機接着剤からなるケイ酸塩系結着体を用いることもできる。ケイ酸塩系結着体は、無機接着剤を塗布後100℃前後の加熱によりシロキサン結合(Si-O-Si)が生成することで形成される。このケイ酸塩系結着体は、1000℃前後の耐熱性と優れた耐候性を有する。
【0020】
また、白アルミナは、半導体や液晶の製造装置用として用いられるアルミナ系ファインセラミックスで、白色又はアイボリーの色調を有する。また白アルミナ・ジルコニアなどの光反射性複合セラミック結着体は、屈折率が異なるアルミナ粒子とジルコニア粒子の境界面における反射特性が向上するので、単体のセラミック結着体より高い反射率を有する。また、成分比を調整することで発光素子アセンブリ11Aの線熱膨張係数に合わせ込むこともでき、内側被膜14のクラック等の発生を抑制できる。
【0021】
外側被膜15には、黒色のアルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化チタンなどの光吸収性セラミック結着体を用いることができる。又は、サーメットなどの耐食性金属被膜、アルミ合金又はステンレス鋼(SUS)などの反射性金属であり表面に含有金属の酸化膜からなる不動態膜を有する金属皮膜を用いることができる。また、セラミック結着体と同様な黒色のアルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化チタンなどの光吸収性セラミック粒子、又は光吸収性セラミック粒子の混合物を骨材とするケイ酸塩系結着体を用いることもできる。
【0022】
より詳細には、黒アルミナとしては、例えば、黒い色調を有するブラックアルミナ(AR(B))(アスザック株式会社製)があり、ファインセラミックスの特長である強度、耐久性を維持しつつ、表面反射を抑えることができる。(反射率は波長240~2600nmで5.1~15.3%)。
【0023】
また、アルミナ以外の黒セラミックとして、日本タングステンNPZ-96(黒ジルコニア)、NPA-2(黒アルミナ+炭化チタン)、NPN-3(黒窒化ケイ素)などがある。
【0024】
なお、外側被膜15による遮光及び耐腐食性を必要としない用途においては、外側被膜15を省略することもできる。
【0025】
導光部材13は、半導体発光装置10の上面側の封止材としても機能する。LED素子11からの発光は導光部材13の底面13Bから導光部材13に入射し、導光部材13の表面(光出射面13S)から半導体発光装置10の発光LEが出射される。
【0026】
導光部材13には、透光性のガラス板、サファイア板、樹脂板、又は波長変換部材を含有するアルミナ+YAG:Ce等からなるセラミック蛍光体板、ガラス+α又はβサイアロン等からなるガラス蛍光体板、シリコーン樹脂+シリケイト:Ce等からなる樹脂蛍光体板、YAG+Ce等からなる単結晶又は多結晶の単一結晶蛍光体板を用いることができる。
【0027】
接着層12は、LED素子11が放射した光を透光する樹脂、低融点ガラス、ナノ金属酸化物焼結体等を利用することができる。また、多孔質のナノ金属酸化物焼結体に樹脂又は低融点ガラスを含浸した複合体等を利用することもできる。また、接着層12内に拡散剤、光変換部材を添加することもできる。
【0028】
半導体発光装置10の裏面にはアノード電極34A及びカソード電極34Bが設けられ、半導体発光装置10の外部電極として機能する。
(1)LED素子11の構成
図2は、半導体発光素子であるLED素子11の構成の一例を模式的かつ詳細に示す断面図である。LED素子11は、発光半導体層20として、いわゆるシンフィルムLED(thin-film LED)であるLED半導体層20を支持基板31に貼り付けた構成を有している。
【0029】
より具体的には、LED半導体層(発光半導体層)20は、成長基板上にエピタキシャル成長したLED構造を有する半導体層(シンフィルムLED)を成長基板から取り外し、支持基板31に貼り付けた構成を有している。本実施形態では、成長最表面層であるp型半導体層を下面として支持基板31に貼り付け、n型半導体層を表面層としている。
【0030】
支持基板31は、P(リン)又はAs(ヒ素)などをドープしたSi(シリコン)からなるn型基板である。
【0031】
LED半導体層20は、n型半導体層21、発光層22及びp型半導体層23を有している。n型半導体層21及びp型半導体層23は、それぞれ少なくとも1つの半導体層からなり、障壁層、電流拡散層、コンタクト層など種々の半導体層を有していてもよい。
【0032】
LED半導体層20は、例えばGaN系の半導体層からなる青色発光のLED半導体層であるが、これに限定されない。発光層22は、例えば単一量子井戸(SQW)又は多重量子井戸(MQW)構造を有している。
【0033】
LED半導体層20には、p-電極25A及びn-電極25Bを有する。p-電極25Aは導電性のp側接合層26によってp側基板電極32Aに接合され、n-電極25Bは導電性のn側接合層27によってn側基板電極32Bに接合されている。
【0034】
p-電極25Aは、ITO(インジウムスズ酸化物)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)及びAg(銀)反射膜がp型半導体層23上にこの順で形成されたITO/Ni/Pt/Ag層からなる。n-電極25Bは、Ti(チタン)又はNi(ニッケル)、Pt(白金)及びAu(金)がn型半導体層21上にこの順で形成された(Ti又はNi)/Pt/Au層からなる。
【0035】
なお、p-電極25A及びn-電極25Bの材料及び構造は上記に限定されない。光反射による取り出し効率向上、オーミック特性、素子信頼性(寿命)などの特性を考慮して適宜選択し得る。
【0036】
LED半導体層20の側面には、SiO2からなる素子保護膜28Aが設けられている。また、基板31の表面(LED半導体層20との接合側)には、SiO2からなる基板保護膜28Bが設けられている。
【0037】
p側基板電極32Aは導通ビア33に接続され、導通ビア33を介して半導体発光装置10の裏面のアノード電極34Aに電気的に接続されている。p側基板電極32A、導通ビア33及びアノード電極34Aは、SiO2からなる基板絶縁膜35によって支持基板31と絶縁されている。
【0038】
n側基板電極32Bは、Si基板である支持基板31を介して半導体発光装置10の裏面のカソード電極34Bに電気的に接続されている。
(2)半導体発光装置10の製法
図3A及び図3Bを参照して、半導体発光装置10の製法について以下に説明する。まず、図3Aに示すように、LED素子11及び導光部材13を用意する。
【0039】
LED素子11の上面(出光面)に透光性のシリコーン樹脂からなる接着剤をポッティングする。続いて、LED素子11上に導光部材13を載置して、押圧する(自重押圧を含む)。LED素子11の上端外周と、導光部材13の下端外周の間を満たすまで静置する。
【0040】
オーブンで180℃、30分の加熱処理を行って接着剤を硬化し、接着層12を形成する。これによりLED素子11、接着層12及び導光部材13が一体となった発光素子アセンブリ(以下、LEDアセンブリともいう。)11Aが形成される。
【0041】
次に、図3Bに示すように、LEDアセンブリ11Aを、それぞれ導光部材13の上面及びLED素子11の底面と略同じ形状及び大きさを有する上チャックCU及び下チャックCLの間にセットする。これにより、LEDアセンブリ11Aを固定すると同時にLEDアセンブリ11Aの上面と底面をマスキングすることができる。
【0042】
続いて、チャックCU及びCLを回転(例えば、15rpm)すると同時に予加熱(180℃)しつつ、LEDアセンブリ11Aを、白アルミナを溶着材とした溶射ガンSGの溶射炎SF内を通過させる。これによりLEDアセンブリ11Aの4側面にアルミナ・セラミックが溶射される。およそ膜厚が50μmの白アルミナ製の内側被膜14を形成した。
【0043】
このように溶射により形成した内側被膜14は、セラミック粒子が相互に密に結着したセラミック結着体であり、優れた絶縁性、気密性、またセラミック材料の特性に準じた耐候性を有している。言い換えれば、内側被膜14は、溶射材であるセラミック焼結体が溶射により膜状に再構築されたセラミック焼結体である。
【0044】
LED素子11又は導光部材13がダイシングなどによって切断され、側面が微細な凹凸を有していることにより、溶着によって溶着材のアルミナを強固に固着することができる。接着層12に関しては、溶着材が樹脂表面に食い込むので、良好に固着することができる。
【0045】
すなわち、LED素子11又は導光部材13は内側被膜14によって気密封止される。また、接着層12も気密封止される。これにより、LEDアセンブリ11Aの全側面に連続した内側被膜14を施すことによって気密性に優れた半導体発光装置を提供することができる。
【0046】
言い換えれば、LED半導体層20を支持基板31、導光部材13、接着層12に包含し、更に、LEDアセンブリ11Aの表面(光出射面13S)と底面を除く面を内側被膜14で包含することによって、LED半導体層20を気密封止した半導体発光装置を提供することができる。
【0047】
同様にして、内側被膜14が形成されたLEDアセンブリ11Aを、黒アルミナを溶着材とした溶射炎SF内を通過させる。これにより白アルミナの内側被膜14の表面に黒アルミナの外側被膜15を形成した。これにより、LED半導体層20、導光部材13、接着層12を覆う内側被膜14から漏れる光を遮光した極めて迷光が少なく、コントラストに優れた半導体発光装置を提供することができる。
【0048】
図4Aないし図4Dは、本実施形態(Ex.1)の半導体発光装置10と、比較例1及び2(Comp.1及びComp.2)の半導体発光装置との相違を説明するための模式的な図である。
【0049】
図4Aは、半導体発光装置が5×3の配列で配置された半導体発光モジュール37を示す上面図である。半導体発光モジュール37は、ベース37Aと、ベース37A上に設けられたフレーム(枠体)37Bと、フレーム37B内の凹部37Cとを有し、凹部37C内に半導体発光装置が領域37D内に狭い間隔で隣接して配列されている。なお、ベース37Aには半導体発光装置の各々に電流を供給するための電極が設けられているが、図示が省略されている。また、図4B及び図4Cでは、フレーム37Bより外周のベース37Aは図示が省略されている。
【0050】
図4Bは、図4Aの線A-Aに沿った断面を示し、本実施形態(Ex.1)の半導体発光装置10の適用例を示す。半導体発光モジュール37の凹部37C内には本実施形態の半導体発光装置10が配置され、配線基板(図示しない)上にマウントされているが、半導体発光装置10間を遮光する樹脂などは設けられていない。すなわち、半導体発光装置10間に樹脂などの遮光体は不要で、半導体発光装置10の各々は空隙で隔てられて実装されている。
【0051】
図4Cは、図4Aに示す半導体発光モジュール37と同様な発光モジュールであるが、フレーム内に比較例1及び2(Comp.1及びComp.2)の半導体発光装置90が配置された、比較例である半導体発光モジュール38を示している。
【0052】
比較例の半導体発光装置90は、側面に内側被膜14及び外側被膜15が設けられていない半導体発光装置であり、LED素子11及び導光部材13の側面は露出している。そして、各半導体発光装置間の遮光材として凹部37C内に樹脂が充填されている。当該遮光樹脂は、半導体発光装置90の上面に達するように充填されていることが好ましい。
【0053】
より詳細には、比較例1(Comp.1)においては、遮光材として凹部37C内に光反射性の樹脂91が充填されている。具体的には、シリコーン樹脂にTiO2粒子を含有させた白樹脂91が充填されている。
【0054】
比較例2(Comp.2)では、遮光材として凹部37C内に光吸収性の樹脂(グレー樹脂)92が充填されている。具体的には、シリコーン樹脂にTiO2粒子及びカーボンブラックを含有させたグレー樹脂92が充填されている。
【0055】
図4Dは、本実施形態(Ex.1)の半導体発光装置10を用いた半導体発光モジュール37と、比較例1及び2(Comp.1及びComp.2)の半導体発光装置90を用いた半導体発光モジュール38との発光表示パターンの相違を模式的に説明する図である
なお、図4Dには、5×3に配列された15個のうち、S字上に11個の半導体発光装置を点灯した場合の各半導体発光装置90の輝度(明暗)の状態が模式的に説明されている。輝度(明暗)の状態を分かり易く示すため、輝度が明るいほど黒く示している。
【0056】
比較例1(Comp.1)のように、遮光材91が白樹脂の場合、導光部材(蛍光体板)の外周部の光漏れによって表示が滲む。また、半導体発光装置90間のクロストークも発生する。
【0057】
比較例2(Comp.2)のように、遮光材92がグレー樹脂の場合、遮光材92による光吸収が大きく、導光部材(蛍光体板)の外周部の輝度低下が大きい。
【0058】
一方、本実施形態(Ex.1)の半導体発光装置10においては、光反射性のセラミックを被膜として用い、半導体発光装置の側面を覆っているので、装置側方への光漏れがなく、高いコントラストの発光パターン(表示パターン)が可能となる。また、個別に点灯した場合でも、クロストークが無く半導体発光装置間の隣接距離を小さくできるので、高密度の実装が可能となる。
【0059】
図5Aは、第1の実施形態の半導体発光装置10が不規則な配列で配置された、半導体発光モジュール37の他の実施形態を模式的に示す上面図である。図5Bは、図5Aの線A-Aに沿った断面を示す断面図である。
【0060】
より具体的には、半導体発光モジュール37においては、複数の半導体発光装置10が異なる配置間隔で配置されている。また、複数の半導体発光装置10はベース37Aの配線基板(図示しない)上にマウントされている。凹部37C内に樹脂などの半導体発光装置10間を遮光する樹脂などは設けられておらず、半導体発光装置10の各々は空隙で隔てられている。
【0061】
この機能配置型のような、半導体発光装置を不規則に配置した半導体発光モジュールにおいても、配置間隔の広狭によってコントラストの変化の無い発光パターンが得られる。また、半導体発光装置間に樹脂等の被覆部材が充填されていなくとも、隣接する半導体発光装置からの光は黒色の外側被膜15が吸収するので迷光の発生がない。
【0062】
本実施形態の半導体発光装置によれば、発光装置外への光漏れ、及び外光の入射が極めて抑制された高性能かつ高発光効率の半導体発光装置を提供することができる。また、気密性に優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することができる。
【0063】
また、複数の半導体発光装置を配列した場合であっても、各発光装置間のクロストークが大幅に抑制され、配置間隔の広狭によってコントラストの変化の無い半導体発光モジュールを提供することができる。
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態による半導体発光装置50が複数隣接して配置された半導体発光モジュール50Mの断面を模式的に示す断面図である。半導体発光装置50の中心線(図1Aに示すA-A線)を含み、半導体発光装置50に垂直な面における断面を示している。
【0064】
半導体発光モジュール50Mは、表面に電極層が形成された回路基板55上に複数の半導体発光装置50の側面が互いに接するように実装されて形成されている。
【0065】
半導体発光装置50において、導光部材13の底部(接着層12側)の外縁は角柱形状を有し、当該底部はLED素子11の外縁よりも大きい。すなわち、導光部材13の底部には側面から突出したリム(周縁部)13Rが設けられている。
【0066】
また、導光部材13は、底部(リム13R)上に形成された錐台部13Tを有している。より詳細には、導光部材13は、底部(リム13R)から表面(光出射面13S)に向かって、すなわちLED半導体層20の垂直方向に面積が小さくなる角錐台形状の錐台部13Tを有している。
【0067】
なお、リム13Rは角柱形状に限らず、円柱形状又は角錐台、円錐台などの錐台形状を有していてもよい。また、錐台部13Tは角錐台形状に限らず、円錐台などの錐台形状を有していてもよい。
【0068】
LED素子11、接着層12及び導光部材13が一体となったLEDアセンブリ11Aの側面には内側被膜14及び外側被膜15が形成されている。従って、図6に示すように、半導体発光装置50は、リム13Rに対応し、突出した角柱部RCと、角柱部RCより外縁が小さく、角柱部RCよりも表面側の角錐台部TPとを有している。
【0069】
角柱部RCは、半導体発光装置50の側面から突出した側面15C(外側被膜15の面)を有している。半導体発光装置50の当該側面15Cと、隣接する半導体発光装置50の側面15Cとが面接触するように突き合わされて、互いに隣接する半導体発光装置50が結合されている。
【0070】
リム13Rは、例えば半導体ウエハから半導体発光装置50を個片化する際のダイシングブレードによって形成することができる。リム13Rが設けられていることで内側被膜14及び外側被膜15の密着性が向上する。また接着層12の這い上がりを防止でき、さらにマーカとしてもちることができ、位置合わせの精度が向上する。
【0071】
導光部材13は、LED半導体層20の垂直方向から見たとき(以下、上面視ともいう)、導光部材13の底面がLED半導体層20を包含する大きさ及び配置を有している。より詳細には、導光部材13の底面の幅WBはLED半導体層20の幅WLよりも大きい。なお、導光部材13は、上面視において、導光部材13の底面がLED半導体層20の発光層(図示しない)を包含する大きさ及び配置を有して形成されていればよい。
【0072】
また、導光部材13の光出射面13Sの幅WEはLED半導体層20の幅WLよりも大きい。すなわち、導光部材13の光出射面13Sは、上面視においてLED半導体層20を包含する大きさを有している。従って、光出射面が大きく光束が大きい。
【0073】
図6に示すように、互いに隣接する半導体発光装置50の光出射面側には、互いに隣接する半導体発光装置50の間の間隙である溝51が形成されている。より詳細には、半導体発光装置50は、半導体発光装置50から突出する角柱部RC(外側被膜15の表面)を有し、その側面15Cと、当該半導体発光装置50に隣接する半導体発光装置50の角柱部RCの側面15Cとが互いに突き当たり、互いに隣接する半導体発光装置50の角錐台部TPの間に溝51が形成されている。
【0074】
半導体発光モジュール50Mにおいて、溝51には、光反射体又は光吸収体である樹脂、いわゆる白樹脂又は黒樹脂などの樹脂が充填されている。例えば、シリコーン樹脂にTiO2粒子を分散させた光反射性の白樹脂又は光吸収性の黒樹脂などが充填されている。
【0075】
また、例えば白樹脂を用いた場合、当該樹脂のレーザ処理(例えば、波長355nm)によってTiO2粒子を黒化させて(特に表面部)、遮光性をさらに高めることができる。この場合、半導体発光モジュール50Mを表面上から見たとき、当該溝51は隣接する半導体発光装置50の間に設けられた黒色のストライプ又は黒色の格子(グリッド)として機能し、半導体発光モジュール50Mのコントラストを向上させることができる。
【0076】
さらに、LED素子11の支持基板31は上面視においてLED半導体層20を包含する大きさを有している。また、導光部材13のリム13Rは、上面視において支持基板31を包含する大きさを有している。
【0077】
従って、互いに隣接する半導体発光装置50の底部の間には間隙が生じる。当該間隙には、光反射性の白樹脂又は光吸収性の黒樹脂などが充填され、アンダーフィル52が形成されている。アンダーフィル52によって互いに隣接する半導体発光装置50の保護及び固定安定性が向上している。
【0078】
本実施形態の半導体発光モジュールによれば、隣接する発光装置への光漏れ、及び隣接する発光装置などからの外光による光のクロストークが極めて抑制され、コントラストが高く、高性能かつ高発光効率の半導体発光モジュールを提供することができる。
【0079】
また、内側被膜14及び外側被膜15の密着性が高く、遮光性、気密性、固定安定性及び信頼性に優れた半導体発光モジュールを提供することができる。また、配置間隔の広狭によってコントラストの変化の無い半導体発光モジュールを提供することができる。
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態による半導体発光装置60が複数隣接して配置された半導体発光モジュール60Mの断面を模式的に示す断面図である。半導体発光装置60の中心線(図1Aに示すA-A線)を含む図における断面を示している。
【0080】
半導体発光モジュール60Mは、表面に電極層が形成された回路基板65上に複数の半導体発光装置60が実装されて形成されている。
【0081】
半導体発光装置60においては、第2の実施形態と同様なリム13Rが設けられている。また、導光部材13は、底部(リム13R)上に形成された錐台部13Tを有している。
【0082】
半導体発光装置60は、導光部材13の光出射面13Sの幅WEがLED半導体層20の幅WLよりも小さい点で第2の実施形態の半導体発光装置50と相違している。
【0083】
すなわち、上面視においてLED半導体層20は、導光部材13の光出射面13Sを包含する大きさを有している。従って、輝度の高い半導体発光モジュールを提供することができる。
【0084】
また、第2の実施形態と同様に、互いに隣接する半導体発光装置60の光出射面側には、半導体発光装置60の間の間隙である溝61が形成されている。より詳細には、半導体発光装置60から突出する角柱部の側面15C、すなわち、支持基板31の側面上の外側被膜15の面と、当該半導体発光装置60に隣接する半導体発光装置60の側面15Cとが互いに突き当たり、互いに隣接する半導体発光装置60の間に溝61が形成されている。
【0085】
溝61には、光反射性の白樹脂又は光吸収性の黒樹脂などの樹脂が充填されている。従って、半導体発光装置60の間の遮光性が高い。
【0086】
さらに、溝61は、LED半導体層20の底面に達する深さで形成されている。従って、半導体発光装置60の間の遮光性が極めて高い。
【0087】
本実施形態の半導体発光モジュールによれば、第2の実施形態の半導体発光モジュールと同様な利点を有するが、光出射面がLED半導体層20の発光面(光出射面)よりも小さく、輝度の高い半導体発光モジュールを提供することができる。また、半導体発光装置60の間の遮光性に極めて優れた半導体発光モジュールを提供することができる。
[第4の実施形態]
図8は、本発明の第4の実施形態による半導体発光装置70が複数隣接して配置された半導体発光モジュール70Mの断面を模式的に示す断面図である。半導体発光モジュール70Mにおいては複数の半導体発光装置70が回路基板(図示は省略)上に実装されている。
【0088】
本実施形態において、LED素子11の支持基板31は底面31Bの面積が上面の面積よりも小なる逆台形形状を有している。支持基板31は角度θで傾斜したテーパ状の側面31Sを有している。
【0089】
また、半導体発光装置70の各々の導光部材13は矩形形状を有し、外側被膜15の側面が互いに接するように半導体発光装置70が配置されている。隣接する半導体発光装置70の間の底部には、支持基板31のテーパ状の側面31Sに対応した間隙が形成され、当該間隙にはアンダーフィル72が形成されている。
【0090】
アンダーフィル72によって互いに隣接する半導体発光装置50の保護及び固定安定性が向上している。従って、本実施形態によれば上記した利点に加え、固定性の高い半導体発光モジュールを提供することができる。
[第5の実施形態]
図9は、本発明の第5の実施形態によるLED素子81の構成を模式的かつ詳細に示す断面図である。図2に示したLED素子11とは、p側電極部の構成が相違している。
【0091】
より詳細には、本実施形態のLED素子81においては、p型半導体層23上に、ITOからなる透明電極であるp-電極82が設けられている。p-電極82上には、ライン状に形成され、互いに電気的に接続されたp-補助電極83が設けられている。p-補助電極83は金属電極であり、例えば(Ti又はNi)/Pt/Au層からなる。
【0092】
また、p-電極82、p-補助電極83及びLED半導体層20の側面を覆う絶縁膜84が設けられている。そして、絶縁膜84上には、p-電極82に対向するように、反射電極としても機能するn-電極85が設けられている。n-電極75は反射率の高いAg(銀)などが用いられる。n-電極85は、LED素子11において、n型半導体層21上に形成されたn-電極25Bと電気的に接続されている。
【0093】
p-補助電極83の一部は、導電性のp側接合層86によってp側基板電極87に接合されている。p側基板電極87は、導通ビア33に接続され、導通ビア33を介してLED素子71の裏面のアノード電極34Aに電気的に接続されている。
【0094】
p-電極(透明電極)82、電極間の絶縁膜84及びAgなどの反射電極であるn-電極85によって高い反射率が得られる。
【0095】
また、 p-電極(透明電極)82、n-電極85及びこれら電極間の絶縁膜84によって大面積のキャパシタが構成され、静電破壊耐圧に優れ、高い信頼性が得られる。
【0096】
さらに、Ag(銀)含む反射層をn-電極85として負電界下に配置したことで、+イオン化や電解によるマイグレーションを抑制でき、短絡を防止できるので、信頼性を向上することができる。
【0097】
上述においては、半導体発光装置10の静電破壊耐圧の向上する方法としてLED素子81の内部にキャパシタを構成したが、半導体発光装置10の静電破壊耐圧を向上する方法はこれに限らない。
【0098】
例えば、支持基板31にツェナーダイオードが形成されていても良い。例えば、図2に示すLED素子11に適用する場合では、支持基板31として下層Si層、層間絶縁膜及び上層Si層からなるSOI(Silicon on Insulator)基板を用い、層間絶縁膜で仕切られた下層Si層側に、LED半導体層20の電気極性と逆極性のツェナーダイオード(ZD)を回路的に並列に組み込むことができる。
【0099】
この場合、具体的には、LED素子11のp-電極25A及びn-電極25Bが接合層26,27によって接続されたp側基板電極32A及びn側基板電極32Bと、半導体発光装置10の裏面のアノード電極34A及びカソード電極34Bとはそれぞれ導通ビアで接続され、ツェナーダイオード(ZD)は、下層Si層を介してアノード電極34A及びカソード電極34B間に接続される。
また例えば、上面視で発光素子11の支持基板31と同外形の立方体(板状)状で、支持基板31と対向する面にアノード電極34A、カソード電極34Bと接続できる1対の電極と、反対の面に回路基板(図示せず)に実装できる1対の電極を備えたツェナーダイオード、バリスタ、またはコンデンサなどの保護素子を積層実装することもできる。このとき、保護素子も内側被膜14と外側被膜15で被覆することで一体化した半導体発光装置とできる。
[第6の実施形態]
図10は、本発明の第6の実施形態による半導体発光装置90の構成を模式的に示す断面図である。図1Bに示した半導体発光装置10とは、LED素子11に代えてLED素子91が用いられている点で相違している。
【0100】
より詳細には、LED素子11は、シンフィルムLEDであるLED半導体層20を用いているが、本実施形態のLED素子91は、透光性の成長基板31A上にエピタキシャル成長したLED半導体層20を有し、LED半導体層20の表面側を支持基板31に貼り付けた構成を有している。LED素子91において、成長基板31A及びLED半導体層20からなるLEDチップが接着層12Aによって支持基板31に接着されている。
【0101】
具体的には、半導体発光装置90は、LED素子91と、LED素子91の成長基板31A上に接着剤からなる接着層12によって接着された導光部材13とを有している。また、半導体発光装置90は、半導体発光素子91及び導光部材13の側面を覆う内側被膜14及び外側被膜15を有している。
【0102】
本実施形態において、半導体発光素子91の成長基板31Aの側面も内側被膜14及び外側被膜15によって被覆され、遮光されている。
【0103】
本実施形態によれば、上記した実施形態の半導体発光装置と同様に、光漏れが極めて抑制され、気密性に優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することができる。また、成長基板を取り除く必要が無く、簡便でコストに優れた半導体発光装置を提供することができる。
【0104】
なお、上記した実施形態においては、半導体発光素子基板及び導光部材などが直方体形状又は角柱形状を有している場合を例に説明したが、これに限らない。回路基板上に隣接して配置する場合など、配置形態に応じて多角柱形状、円柱形状、多角錐台形状、円錐台形状など適宜改変して適用することができる。
【0105】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、発光装置外への光漏れ及び外光の入射が極めて抑制され、気密性に優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することができる。
【0106】
また、隣接する発光装置への光漏れ、及び隣接する発光装置からの光のクロストークが極めて抑制され、コントラストが高く、遮光性、気密性、固定安定性及び信頼性に優れた半導体発光モジュールを提供することができる。また、外光の入射による2次発光を防ぐことができ、駆動していない半導体発光装置を確実に消灯状態とすることができ、高密度配置及びローカルディミングライティングにも適した半導体発光モジュールを提供することができる。
【0107】
また、静電破壊耐圧に優れ、マイグレーションを抑制でき、短絡を防止できる半導体発光装置置及び半導体発光モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0108】
10,50,60,70,90:半導体発光装置、11,81,91:半導体発光素子、11A:発光素子アセンブリ、12:接着層、13:導光部材、13S:光出射面、13T:錐台部、13R:リム、14:内側被膜、15:外側被膜、20:発光半導体層、21:n型半導体層、22:発光層、23:p型半導体層、25A:p-電極、25B:n-電極、26,27:接合層、31:支持基板、31B:支持基板の底面、31S:支持基板の側面、33:導通ビア、34A:アノード電極、34B:カソード電極、50M,60M,70M:半導体発光モジュール、51,61:溝、52,72:アンダーフィル、55,65:回路基板、RC:角柱部、TP:錐台部、WB:導光部材13の底面の幅、WE:光出射面13Sの幅、WL:発光半導体層20の幅
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10