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特許7570871無線操作ユニットを備える画像形成装置及び画像形成装システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】無線操作ユニットを備える画像形成装置及び画像形成装システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241015BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241015BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241015BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H04N1/00 885
H04N1/00 350
G03G21/00 398
B41J29/38 104
G06F3/12 321
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020166313
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057858
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】植村 卓矢
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-039317(JP,A)
【文献】特開2019-192077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成ユニットを有し、前記画像形成ユニットによる画像形成処理を実行可能なスタンバイモードと当該スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードとに移行可能な画像形成装置において、
前記画像形成ユニットに画像形成をさせる指示を無線通信にて行うことが可能であり、画像形成条件を設定するための操作を受け付け可能な無線操作ユニットと、
前記スタンバイモードにおいて前記指示が行われていない時間をカウントするカウンターと、
前記スタンバイモードにおいて前記無線操作ユニットの操作が行われたことに応じて前記カウンターのカウント値をリセット可能なリセッターと、
を備え
前記画像形成装置は前記カウンターがカウントする前記指示が行われていない時間が所定の時間を超えたことに基づいて前記スタンバイモードから前記スリープモードに移行し、
前記リセッターは前記無線操作ユニットの操作が行われたことに基づいて、前記カウンターがカウントする前記指示が行われていない時間をリセットする、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カウンターは、前記スタンバイモードにおいて前記画像形成ユニットに画像形成させる指示が行われない時間の経過に応じて、カウント値をカウントアップすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カウンターは、前記スタンバイモードにおいて前記画像形成ユニットに画像形成させる指示が行われない時間の経過に応じて、カウント値をカウントダウンすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記リセッターは、前記カウンターのカウント値を、前記カウンターがカウントを開始したときの値にリセットすることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無線操作ユニットは、前記リセッターを有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記リセッターに前記カウンターのカウント値をリセットさせる第1のモードと、前記リセッターに前記カウンターのカウント値をリセットさせない第2のモードと、を設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記無線操作ユニットから無線通信を介して信号を受信する受信部を有し、
前記無線操作ユニットは、前記スタンバイモードにおいて前記無線操作ユニットの操作が行われたことに応じて、前記受信部に対して、前記リセッターに前記カウンターのカウント値をリセットさせるためのリセット信号を送信可能な送信部を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1のモードは前記送信部に前記リセット信号を送信させることを許容し、前記第2のモードは前記送信部に前記リセット信号を送信させないことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記無線通信は、Wi-Fiダイレクト通信であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記無線操作ユニットは、画像形成条件を表示する表示パネルが一体化されたタッチパネルを有することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置および後処理装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置においては、画像を表示する表示部と、情報を入力する操作部を備え、ユーザが操作部を操作することで画像形成に係るシートのサイズや画像形成枚数などの画像形成に関する設定が可能な操作表示部(操作ユニット)を備える構成が広く知られている。
【0003】
また、特許文献1に記載の画像形成装置では、画像形成装置から操作ユニットを取り外せる構成である。操作ユニットは画像形成装置と無線通信可能であるため、ユーザは画像形成装置から離れた位置でも操作ユニット(無線操作ユニット)を操作することにより、画像形成装置に画像形成の指示等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-106369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置によっては、画像形成処理を実行可能なスタンバイモードと当該スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードとに移行可能なものがある。画像形成装置のモードは、スタンバイモードにおいてユーザからの画像形成の指示が行われない時間が所定時間を超えたことに応じて、スリープモードへ移行する。
【0006】
しかしながら、スリープモードからスタンバイモードへの復帰には時間を要するため、頻繁にスリープモードに入ることは生産性の低下につながるという観点もある。画像形成装置から離れた位置にて操作ユニットを操作している状況では画像形成装置本体の状況が分からない。画像形成装置がスリープモードに入ってしまうと、操作ユニットから画像形成の指示を行った後、スリープモードからスタンバイモードへ復帰するまでユーザは待機する必要が出てきてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成ユニットを有し、前記画像形成ユニットによる画像形成処理を実行可能なスタンバイモードと当該スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードとに移行可能な画像形成装置において、前記画像形成ユニットに画像形成をさせる指示を無線通信にて行うことが可能であり、画像形成条件を設定するための操作を受け付け可能な無線操作ユニットと、前記スタンバイモードにおいて前記指示が行われていない時間をカウントするカウンターと、前記スタンバイモードにおいて前記無線操作ユニットの操作が行われたことに応じて前記カウンターのカウント値をリセット可能なリセッターと、を備え、前記画像形成装置は前記カウンターがカウントする前記指示が行われていない時間が所定の時間を超えたことに基づいて前記スタンバイモードから前記スリープモードに移行し、前記リセッターは前記無線操作ユニットの操作が行われたことに基づいて、前記カウンターがカウントする前記指示が行われていない時間をリセットする、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成システムの代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成ユニットを有し、前記画像形成ユニットによる画像形成処理を実行可能なスタンバイモードと当該スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードとに移行可能であって、前記スタンバイモードにおいて前記画像形成ユニットに画像形成をさせる指示が行われない時間が所定時間を超えたことに応じて、前記スタンバイモードから前記スリープモードへ移行する異なる複数の画像形成装置と、当該複数の画像形成装置と無線通信が可能であって画像形成条件を設定するための操作を受け付け可能な無線操作ユニットと、を有する画像形成システムにおいて、前記複数の画像形成装置に設けられ、前記スタンバイモードにおいて前記指示が行われていない時間をカウントするカウンターと、前記複数の画像形成装置のうちのいずれかが前記スタンバイモードの状態で前記無線操作ユニットの操作が行われたことに応じて、前記スタンバイモードの状態の画像形成装置に設けられた前記カウンターのカウント値をリセット可能なリセッターと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の画像形成装置の代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成ユニットを有し、前記画像形成ユニットによる画像形成処理を実行可能なスタンバイモードと当該スタンバイモードよりも消費電力が少ないスリープモードとに移行可能であって、前記スタンバイモードにおいて前記画像形成ユニットに画像形成をさせる指示が行われない時間が第1の所定時間を超えたことに応じて、前記スタンバイモードから前記スリープモードへ移行する画像形成装置において、前記画像形成ユニットに画像形成をさせる指示を無線通信にて行うことが可能であって、画像形成条件を設定するための操作を受け付け可能な操作部と画像形成に関する情報を表示する表示部とを有する無線操作ユニットと、前記スタンバイモードにおいて前記指示が行われていない時間をカウントするカウンターと、を備え、前記表示部は、前記カウンターのカウント値が前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えたことに応じて、前記スタンバイモードから前記スリープモードへの移行が開始する旨を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置との間で無線通信が可能な無線操作ユニットを備える画像形成装置において、無線操作ユニットを操作するユーザの意図とは無関係に画像形成装置がスタンバイモードからスリープモードへ移行してしまう虞を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成システムの斜視概略図である。
図2】無線操作ユニットの斜視概略図である。
図3】画像形成システムの断面概略図である。
図4】画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図5】無線操作ユニットのシムテム構成を示すブロック図である。
図6】画像形成装置と無線操作ユニットの通信遷移図である。
図7】無線操作ユニットのディスプレイに座標表示を施した図である。
図8】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図9】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図10】画像形成装置と無線操作ユニットの通信遷移図である。
図11】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図12】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図13】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図14】無線操作ユニットのディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図15】スリープモードへの移行シーケンスを表すフローチャートの一例である。
図16】スリープモードへの移行シーケンスを表すフローチャートの一例である。
図17】自動リセットモードに関する画面の一例である。
図18】アラートモードに関する画面の一例である。
図19】スリープモードへの移行シーケンスを表すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<画像形成装置>
以下、まず本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
図1は、画像形成装置1を搭載する画像形成システムAの斜視概略図である。図1に示す様に、画像形成システムAは、シートSに画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1によって画像が形成されたシートSにステープル処理、パンチ処理、製本処理などの後処理を行う後処理装置16から構成されている。また画像形成装置1の上部には、不図示のガラス面に載置された原稿の画像を光学的に読み取って画像データに変換するリーダ14が設けられている。
【0014】
画像形成装置1は、主電源のオン、オフを切り替えるシーソー型の主電源スイッチ79を備える。また画像形成装置1は、画像形成処理の実施中、エラーによる停止中、又はスタンバイ状態などの画像形成装置1の状態をランプやエラーコードを表示させてユーザに報知する表示パネル71を備える。また画像形成装置1は、離れた位置にいるユーザに光源の点灯、消灯、点滅によって画像形成装置1の状態を報知するタワー型のランプ72を備える。
【0015】
また画像形成装置1は、パネル装着部73に着脱可能に構成された無線操作ユニット50(遠隔操作部、遠隔操作装置)を備える。無線操作ユニット50は、画像形成装置1との間で無線通信が可能に構成されており、画像形成装置1から離れた位置で操作することができる。無線操作ユニット50がパネル装着部73に装着されると、無線操作ユニット50の充電コネクタ55(図2)が、パネル装着部73の給電コネクタ73a(図5)に接続される。これにより画像形成装置1によって無線操作ユニット50の接続が検出され、画像形成装置1から無線操作ユニット50のバッテリー57(図5)に充電がなされる。
【0016】
図2(a)、図2(b)は、無線操作ユニット50の斜視概略図である。図2に示す様に、無線操作ユニット50は、無線操作ユニット50の電源のオン、オフを切り替える電源スイッチ52と、音声を出力するスピーカー部53と、LEDで構成され、点灯、消灯、点滅によって無線操作ユニット50の状態を報知する照明部54を有する。
【0017】
また無線操作ユニット50は、画像を表示させる表示部と、情報を入力可能な操作部が一体化されたタッチパネル方式のディスプレイ51を有する。ユーザは、ディスプレイ51に表示されるキーを指でタッチして数値の入力等を行うことで、画像形成枚数やシートSのサイズ設定などの画像形成に関する設定や、原稿のサイズの設定などの画像の読み取りに関する設定を行うことができる。なお、本実施形態では、無線操作ユニット50にタッチパネル方式のディスプレイ51を搭載する構成について説明したものの、本発明はこれに限られず、情報を入力する操作部としてテンキーやリセットキー等のハードキーを別途設ける構成としてもよい。
【0018】
図3は、画像形成システムAの断面概略図である。図3に示す様に、画像形成装置1は、シートSに画像を形成する画像形成ユニット15を備える。画像形成ユニット15は、感光ドラム9Y、9M、9C、9K、帯電装置2Y、2M、2C、2K、現像装置4Y、4M、4C、4Kを備える。また画像形成ユニット15は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K、レーザスキャナユニット3、中間転写ベルト6、二次転写ローラ7、二次転写対向ローラ8などを備える。
【0019】
画像形成装置1により画像を形成する際は、まず図4に示すDCON制御部10に画像形成ジョブ信号が入力される。これによりシートカセット75a、75bのいずれかに収納されたシートSが搬送パス94に送られる。その後、シートSは、搬送パス94を通り、二次転写ローラ7と二次転写対向ローラ8から形成される二次転写部に送り込まれる。
【0020】
一方、画像形成ユニット15においては、まず帯電装置2Yにより感光ドラム9Yの表面が帯電させられる。その後、リーダ14により読み取られた原稿の画像データ、又は不図示の外部機器からネットワークを介して送信された画像データに応じてレーザスキャナユニット3が感光ドラム9Yの表面にレーザ光を照射し、感光ドラム9Yの表面に静電潜像を形成する。
【0021】
次に、現像装置4Yにより感光ドラム9Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム9Yの表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム9Yの表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yに一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6に一次転写される。
【0022】
同様のプロセスにより、感光ドラム9M、9C、9Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ5M、5C、5Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト6上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト6の表面に画像信号に応じたフルカラーのトナー像が形成される。
【0023】
その後、中間転写ベルト6が周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ7に二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト95によって定着装置70に搬送される。そして定着装置70において加熱、加圧処理が施されてトナー像がシートSに定着される。
【0024】
次に、トナー像が定着されたシートSは、排出パス97を通り、後処理装置16に送られる。後処理装置16に送られたシートSは、ユーザがステープル処理、パンチ処理、製本処理などの後処理を指定している場合、指定された後処理がなされた上で排出トレイ16aに排出される。またユーザが後処理を指定していない場合、後処理装置16に送られたシートSは、後処理がなされずに排出トレイ16bにそのまま排出される。
【0025】
<画像形成装置のシステム構成>
次に、画像形成装置1のシステム構成について説明する。
【0026】
図4は、画像形成装置1のシステム構成を示すブロック図である。図4に示す様に、電源装置17から電源電圧が供給されることで画像形成装置1を制御する制御部として、DCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300を備えている。
【0027】
ここで、DCON制御部10は、画像形成装置1の各種搬送部材や画像形成ユニット15などを駆動するモータ等の駆動部やシート検知センサ等のセンサの制御を実行する。そして、SCON制御部200は、画像形成装置1全体のシステム制御を行うものであり、不図示のインターフェースを介した外部機器との通信制御や画像処理等の制御を実行する。より詳細には、SCON制御部200は、画像形成ジョブの受信や、画像形成装置1の本体情報の送信、リーダ14で読み取った画像や外部機器等から受信した画像データに対する画像処理制御等を行うことが可能となっている。また、RCON制御部300は、リーダ14や後処理装置16の各種制御を実行する。
【0028】
ここで、電源スイッチ79がONされた状態とは、画像形成装置が起動した状態であり、コンセント等を介して商用電源が電源装置17へ供給され、電源装置17からDCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300へ電源電圧が供給されている状態のことである。
【0029】
尚、電源装置600は、画像形成装置1がコンセント等を介して商用電源等に接続された場合に、常夜電源として+5Vの電源電圧をSCON200に供給している。そして、電源スイッチ79がONされることで、電源装置17は非常夜電源として+12Vや+24Vの電源電圧をDCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300へ供給可能となる。本実施形態では、複数種類の電圧を供給することで各制御部を制御する構成としたが、電圧の大きさや種類についてはこの構成に限らなくてもよい。
【0030】
DCON制御部10は、内蔵モジュールとして、CPU11、ROM12、RAM13を備える。DCON制御部10には、画像形成ユニット15、表示パネル71などが接続されている。またDCON制御部10には、ネットワークを介して不図示の外部機器との間で接続を行うネットワーク接続部84が接続されている。
【0031】
ROM12には、画像形成装置1の制御に関する各種のプログラムや様々な画像データが格納されている。CPU11は、ROM12に格納された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行う。RAM13は、データを一時的に記憶する。つまりCPU11は、ROM12に格納された制御プログラムに基づいてRAM13を作業領域に用いながら、画像形成ユニット15や、CPU130に接続されたリーダ14や後処理装置16などを制御して、上述した画像形成動作を実行する。
【0032】
またDCON制御部10には、無線操作ユニット50との間で接続を行うパネル接続部80が接続されている。パネル接続部80は、給電コネクタ73aを有し、無線操作ユニット50が接続されるパネル装着部73と、無線操作ユニット50との間で無線通信を行う無線通信部81を備える。パネル装着部73の給電コネクタ73aには、無線操作ユニット50の充電コネクタ55が接続される。
【0033】
無線通信部81は、コマンド通信部82(送信部、受信部の一例)と画像送信部83を有する。CPU11は、ROM12に格納された画像を読み出し、無線通信部81の画像送信部83を介して、無線操作ユニット50に画像を送信する。またCPU11は、無線操作ユニット50に対する指示を生成し、その指示をコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50に送信する。またCPU11は、無線操作ユニット50で生成された通知や指示をコマンド通信部82を介して受信する。なお、本実施形態では、コマンド通信部82と画像送信部83を別々の構成としたものの、両者を一本の通信ラインにまとめる構成としてもよい。
【0034】
また画像形成装置1と無線操作ユニット50は、装置間をダイレクトに接続する通信形態であるWi-Fiダイレクト通信によって無線通信を行う。このWi-Fiダイレクト通信の方式を応用したディスプレイ伝送技術であるMiracastは、例えば携帯電話やディスプレイやプロジェクタなどで使用される。なお、無線通信の方式はWi-Fiダイレクト通信に限られず、例えばWi-Fiルータをアクセスポイントとして無線通信を行う構成としてもよい。但し、セキュリティの観点から、Wi-Fiダイレクト通信であることが好ましい。またWi-Fiによる無線通信ではなく、BluetoothやNFCなどの他の方式で無線通信を行う構成としてもよい。
【0035】
また、DCON制御部10には、電源装置17が接続されている。電源装置17は、商用電源からコンセントプラグ19を介して電源の供給を受け、各デバイスで使用される電力に変換して各デバイスに電力を供給する。具体的には、まず電源装置17は、主電源スイッチ79がオフからオンに切り替えられるとDCON制御部10に電力を供給する。その後、電源装置17は、DCON制御部10の指示に基づき、リーダ14、画像形成ユニット15、後処理装置16、表示パネル71、パネル装着部73に装着された無線操作ユニット50、無線通信部81、ネットワーク接続部84などに電力を供給する。
【0036】
また、SCON制御部200は、CPU120を有し、画像形成装置1全体のシステム制御や、リーダ14で読み取った画像の画像処理等の制御を実行する。SCON制御部200は、画像形成装置1全体の制御を行うため、画像形成装置1が商用電源に接続されると、常に電源電圧(+5V)が供給される。
【0037】
そして、RCON制御部300は、CPU130を有し、リーダ14や後処理装置16の制御を実行する。ここで、RCON制御部300は、リーダ14を介して読み取った画像をCPU120へ出力する。これにより、CPU120は、DCON制御部10が駆動モータ等を制御して行う画像形成に用いる画像処理情報を生成する。
【0038】
なお、DCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300は、上記の構成のみに限らず、ASICや他のCPU等を備えて各制御を行うものであってもよい。
【0039】
ここで、本実施形態の画像形成装置1は、画像形成動作が可能なスタンバイモード(起動状態)や、各制御部への電源電圧の供給が制限され、画像形成動作が可能な状態よりも消費電力が少ない省電力状態であるスリープモード(スリープ状態)等、複数の状態へ移行可能となっている。ここで、スタンバイモードとは、電源スイッチ79がONされている状態であり、DCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300へ電源電圧が供給されている状態である。つまり、スタンバイモードとはすべての制御部に電源電圧が供給され、画像形成動作が可能な状態である。
【0040】
また、スリープモードとは、SCON制御部200には電源電圧が供給されているが、DCON制御部10及びRCON制御部300への電源電圧が遮断されている状態である。
【0041】
尚、スリープモードからスタンバイモードへの移行や、スタンバイモードからスリープモードへの移行は、遠隔操作部50に設けられる不図示のスリープキーが操作されること等のユーザ(操作者、サービスマン)による操作によって行われる。このとき、遠隔操作部50のスリープキーが操作されると、遠隔操作部50から電源装置17へスリープ信号が出力される。これにより、電源装置17は、DCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300をそれぞれ制御して、スリープモードへ移行する。また、スリープモードは、画像形成装置1が所定時間以上操作されていない場合、つまり画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が所定時間を過ぎた場合に、電源SW_ON状態から移行するものであってもよい。ここでの所定時間は、例えば予め60秒等に設定するものであってもよいし、ユーザによって任意の時間に設定可能なものであってもよい。
【0042】
この所定時間は、DCON制御部10によって制御されるタイマ(カウンター)202によって計測される。タイマ202は、ユーザによって、画像形成装置1への画像形成の指示が実行されていない時間を計測する。計測するのは、実際の時間を計測してもよいし、実際の時間に基づいて独自のカウントを行ってもよい。カウントするカウント値は、例えば、1秒、2秒、3秒‥というようにカウントアップしていってもよいし、60秒、59秒、58秒‥というようにカウントダウンしていっても構わない。また、本実施の形態において、画像形成装置1に対する画像形成の指示というのは、例えばプリントジョブが画像形成装置1に対して送信されることを言う。また、画像形成の指示がされなくなったタイミングというのは、画像形成ユニット15による画像形成処理が終了したタイミングを指す。具体的には、感光ドラム9の回転が停止したタイミングである。ただし、このタイミングは、感光ドラム9の回転が停止したタイミングに限らず、例えば中間転写ベルト6の回転が停止したタイミングや、トナー像が転写された用紙が排出トレイ16aに排出されたタイミング等でも構わない。
【0043】
次に、本実施形態の画像形成装置1の状態について、表1を用いて説明する。ここでは、電源スイッチ79がONしている電源SW_ON状態(スタンバイモード)、電源SW_ON状態よりも省電力なスリープモード、電源スイッチ79がOFFしている電源SW_OFF状態を例に説明をする。
【0044】
ここで、スリープモード及び電源SW_OFF状態は、電源SW_ON状態(以下、スタンバイモード)よりも供給される電源電圧が少なく、動作する機能が制限されている状態である。尚、本実施形態において、電源SW_ON状態は、画像形成装置1による画像形成処理を実行可能な第1状態(起動状態、スタンバイモード)の一例であり、スリープモード及び電源SW_OFF状態は、第1状態よりも消費電力が少ない第2状態(スリープモード)の一例である。
【0045】
これらの4つの状態について、以下の表1を用いて説明する。
【0046】
【表1】
【0047】
上述したように、電源装置17は、画像形成装置1がコンセント等を介して商用電源等に接続された場合に、常夜電源として+5Vの電源電圧をSCON制御部200に供給している。そして、電源スイッチ79がONされることで、電源装置17は+5Vに加えて非常夜電源として+12Vや+24Vの電源電圧をDCON制御部10、SCON制御部200及びRCON制御部300へそれぞれ供給する。
【0048】
表1に記載したように、電源SW_ON状態(スタンバイモード)である場合は、電源スイッチ79がONされているため、+5V、+12V、+24Vの電源電圧がそれぞれSCON制御部200、DCON制御部10、RCON制御部300へと供給される。そのため、DCON制御部10によって駆動される定着器3の不図示の加熱部や、電源装置17を冷却する電源FANなどが駆動される。つまり、電源SW_ON状態では、すべての機能が実行可能であり、画像形成が可能な状態となる。尚、本実施形態においてスタンバイモードとは、商用電源に接続された状態で電源スイッチ79がONされ、前回転動作等の立ち上げ制御が終わった状態のことを示している。
【0049】
次に、スリープモードについて説明をする。スリープモードは、電源スイッチ79がONされた状態であり、電源装置17には、+5V、+12V、+24Vが供給されている。そして、SCON制御部200は、電源装置17から+5V、+12Vの電源電圧が供給されている。
【0050】
なお、スリープモードでは、DCON制御部10とRCON制御部300への電源電圧の供給が遮断されている。つまり、スリープモードでは、DCON制御部10によって制御される機能の実行及びRCON制御部300によって制御される機能の実行が制限されている。換言すると、スリープモードでは、画像形成動作や画像読取動作が実行できない。
【0051】
また、スリープモードにおいて、SCON制御部200は、電源装置17から電源電圧が供給されることで、スリープモードにおいても電源装置17に接続される不図示の電源FANへON/OFF信号を出力することが可能となっている。そして、電源FANは、SCON制御部200の制御によって電源装置17から+12V、+24Vの電源電圧が供給され、回転駆動することが可能となっている。つまり、SCON制御部200は、スリープモードにおいても電源装置17を冷却する電源FANを制御することができる。
【0052】
また、SCON制御部200は、電源装置17から電源電圧が供給されることで、画像データやアドレス等を記憶するHDDの制御をすることができる。
【0053】
これに対し、SW_OFF状態では、SCON制御部200へ+5Vの電源電圧のみが供給されている。従って、スリープモードと比べてSW_OFF状態は、さらに消費電力が少なく、実行できる機能が制限されている。
【0054】
また、SW_OFF状態は、スリープモードと同様にDCON制御部10とRCON制御部300への電源電圧の供給が遮断されている。つまり、SW_OFF状態では、DCON制御部10によって制御される機能の実行及びRCON制御部300によって制御される機能の実行が制限されている。換言すると、SW_OFF状態では、スリープモードと同様に画像形成動作や画像読取動作が実行できない。また、SW_OFF状態では、SCON制御部800へ供給される電源電圧がスリープモードよりも小さいため、スリープモードよりも実行可能な機能が制限される。
【0055】
つまり、スリープモードでは、SCON制御部200に供給される電源電圧が大きいため、画像データやアドレス等を記憶するHDD及び電源ユニットを冷却する電源FANを駆動することができる。一方、SW_OFF状態は、SCON制御部200に供給される電源電圧がスリープモードよりも小さいため、HDD及び電源FANを駆動することができない。このように、SW_OFF状態は、スリープモードよりも実行可能な機能が制限されているため、スリープモードよりも供給される電源電圧が小さく、消費電力が少ない。
【0056】
上述したように、本実施形態では、画像形成装置1がスタンバイモードからスリープモードへ移行することが可能となっている。この状態遷移については、上述したように遠隔操作部50を介してユーザが省電力状態への設定をした場合に移行する。また、画像形成装置1が動作しない状態が所定時間以上続いた場合に、スタンバイモードからスリープモードへ移行する。
【0057】
尚、スリープモードに関しては、1つのスリープモードだけでなく、複数のスリープモードを備える構成であってもよい。例えば、第1スリープモードと、第1スリープ状態よりも実行できる機能が制限される第2スリープモードを有する構成であってもよい。このように複数のスリープモードを有する場合は、所定時間以上画像形成装置1が動作しない状態が続いた場合に移行するスリープモードをユーザが選択可能とする構成であってもよい。また、スタンバイモードから画像形成装置1が所定時間以上動作しない場合に第1スリープモードへ移行し、第1スリープモードからさらに所定時間以上装置が動作しない場合に第2スリープモードへ移行するような構成であってもよい。
【0058】
また、スリープモードからスタンバイモードへの移行は、上述したように、遠隔操作部50が操作された場合等、ユーザによる操作が行われた場合に行う。このとき、電源装置17は、遠隔操作部50が操作されたことに応じて、DCON制御部10及びRCON制御部300へ電源電圧を供給する。尚、スリープモードからスタンバイモードへの移行は、画像形成ジョブを受け付けたことに応じて行う構成であってもよいし、スリープモードであっても電源電圧が供給される不図示のセンサを介して画像形成装置1が操作されたことを検出することに応じて行ってもよい。
【0059】
<無線操作ユニットのシステム構成>
次に、無線操作ユニット50のシステム構成について説明する。
【0060】
図5は、無線操作ユニット50のシムテム構成を示すブロック図である。図5に示す様に、無線操作ユニット50は、CPU21、ROM22(記憶部)、RAM23、タイマ24を有する制御部20を備える。タイマ24は、制御部20が各種の処理を行う際に計時を行う。
【0061】
ROM22には、無線操作ユニット50の制御に関する各種のプログラムなどのデータが格納されている。CPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行う。RAM23は、データを一時的に記憶する。つまりCPU21は、ROM22に格納された制御プログラムに基づいて、RAM23を作業領域に用いながら、制御部20に接続されたディスプレイ51、スピーカー部53、照明部54などを制御する。
【0062】
また無線操作ユニット50は、画像形成装置1との間で接続を行う接続部90を備える。接続部90は、画像形成装置1の給電コネクタ73aに接続される充電コネクタ55と、画像形成装置1との間で無線通信を行う無線通信部91を備える。
【0063】
無線通信部91は、CPU21に接続されたコマンド通信部92(送信部、受信部の一例)と、ディスプレイ51に接続された画像受信部93を有する。CPU21は、画像形成装置1に対する指示や通知を生成し、コマンド通信部92の不図示のアンテナを介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送信する。またCPU21は、画像形成装置1のコマンド通信部82から送信された指示や情報をコマンド通信部92を介して受信する。
【0064】
画像受信部93は、画像形成装置1の画像送信部83から送信された画像データを不図示のアンテナを介して受信し、ディスプレイ51に表示させる画像データへと変換し、ディスプレイ51に表示させる。なお、本実施形態では、コマンド通信部92と画像受信部93が別々の構成について説明したものの、両者を一本の通信ラインにまとめる構成としてもよい。
【0065】
また無線操作ユニット50は、パネル電源部56を備える。パネル電源部56は、バッテリー57と電源生成部58を有する。バッテリー57は、無線操作ユニット50の主電源であり、充電可能な電池で構成されている。画像形成装置1の給電コネクタ73aに対して充電コネクタ55が接続されると、画像形成装置1の電源装置17からバッテリー57に電源が供給され、バッテリー57が充電される。また電源生成部58は、バッテリー57の電源を、無線操作ユニット50が備える各デバイスで使用できる電圧に調整する。電源スイッチ52の電源がオフからオンに切り替えられると、バッテリー57に充電され、電源生成部58で調整された電力が制御部20、ディスプレイ51、スピーカー部53、照明部54、接続部90に供給される。
【0066】
<画像形成装置と無線操作ユニットとの間の無線通信>
次に、画像形成装置1と無線操作ユニット50との間の無線通信について説明する。
【0067】
図6は、画像形成装置1と無線操作ユニット50の通信遷移図である。画像形成装置1と無線操作ユニット50との間で無線通信を行う場合、まずユーザは、主電源スイッチ79を操作して画像形成装置1を起動させ(S11)、電源スイッチ26を操作して無線操作ユニット50を起動させる(S21)。
【0068】
無線操作ユニット50が起動すると、無線操作ユニット50のコマンド通信部92から画像形成装置1のコマンド通信部82に対してネゴシエーション要求が送信される(S22)。次に、画像形成装置1のコマンド通信部82は、無線操作ユニット50のコマンド通信部92に対して応答信号を送信する(S12)。無線操作ユニット50が応答信号を受信すると、接続シーケンスが終了し、無線通信が確立される。
【0069】
次に、画像形成装置1と無線操作ユニット50との間で、通信速度や画像の圧縮率等の無線通信の条件が、コマンド通信部82、92を介して相互に設定される(S13、S23)。この設定が終わると、画像形成装置1のCPU11の指示に応じて、画像形成装置1のROM22に格納された画像の信号が、画像形成装置1の画像送信部83から無線操作ユニット50の画像受信部93に送信される(S14)。
【0070】
次に、無線操作ユニット50の画像受信部93は、受信した画像の信号を変換し、画像をディスプレイ51に表示させる。その後、無線操作ユニット50のCPU21は、ユーザがディスプレイ51を操作した場合、ディスプレイ51の操作情報をコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送信する(S24)。
【0071】
ここでCPU21は、ディスプレイ51の操作情報を、座標情報として画像形成装置1に送信する。以下、これについて説明する。図7は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に座標表示を施した図である。図7に示す様に、ディスプレイ51はX方向とY方向にそれぞれ分割されている。分割数はタッチパネルの方式等によるものの、本実施形態の抵抗式タッチパネルではX方向に2048分割、Y方向に1024分割している。
【0072】
座標は、原点(0、0)を基準とし、原点からの距離に応じて(X、Y)で表される。例えば図7に示す位置Pは、原点からX方向に1024、Y方向に512、離れた位置に位置するため、座標として(1024、512)と表される。座標データは、ディスプレイ51のタッチパネル59(図5)から無線操作ユニット50のCPU21に送信され、CPU21の指示によりコマンド通信部92から画像形成装置1に送信される。なお、本実施形態においては、画像形成装置1と無線操作ユニット50との間の通信が8ビット長であるため、座標データの数値は8分の1されて送信される。即ち、座標が(1024、512)の場合、(128、64)と置き換えて送信される。
【0073】
画像形成装置1のCPU11は、入力された座標データに基づいて、ユーザが無線操作ユニット50のディスプレイ51上でいずれの位置をタッチしたかを判定する。そしてタッチされた位置に応じて、無線操作ユニット50に対し、画像データの送信、照明部25の点灯制御の指示、スピーカー部53による音声のオン、オフなどの指示を行う(S15、16)。なお、画像形成装置1は、無線操作ユニット50からディスプレイ51の操作情報を受信した場合以外にも、画像形成装置1の状態や無線操作ユニット50の状態に応じて、無線操作ユニット50に対して上述した指示を行う。
【0074】
次に、無線操作ユニット50のディスプレイ51が操作された際の画像の遷移について説明する。図8図9は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示される画像の一例を示す図である。無線操作ユニット50のディスプレイ51には、初めに図8(a)に示すメインメニュー画面がデフォルト表示される。即ち、ステップS14の工程では、画像送信部83から画像受信部93に対して図8(a)に示す画像が送信される。メインメニュー画面には、リーダ14の設定を行うスキャンボタン61、画像形成ユニット15の設定を行うコピーボタン62、FAXの設定を行うFAXボタン63、メンテナンスボタン64、次ページに画面を切り替える矢印ボタン65が表示される。
【0075】
画像形成装置1のCPU11は、無線操作ユニット50から送信された座標データからユーザがコピーボタン62を選択したと判定する場合、図8(b)に示すコピーボタン62をグレー表示にした画像を画像送信部83を介して画像受信部93に送信する。これにより無線操作ユニット50のディスプレイ51に図8(b)に示す画像が表示される。
【0076】
次に、画像形成装置1のCPU11は、図8(b)に示す画像がディスプレイ51に表示されて一定時間が経過した後、図9(a)に示すコピー画面の画像を画像送信部83を介して画像受信部93に送信する。これにより無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示される画像が図9(a)に示す画像に切り替わる。この図9(a)の画面は、画像形成条件を設定するための画面でもある。ユーザは、この画面において種々の画像形成条件を設定できる。画像形成条件には、用紙サイズの条件、倍率の条件、濃度の条件などがある。他にも、後処理装置16を用いた処理であるステイプルを行うか否かの設定であったり、ステイプルを行うのであればどこにステイプルするかなどの設定も画像形成条件の一種である。ユーザはこのような画像形成条件の設定を無線操作ユニット50にて行うことができる。
【0077】
次に、画像形成装置1のCPU11(リセッターの一例)は、無線操作ユニット50から送信された座標データからユーザが用紙サイズボタン99を選択したと判定する場合、図9(b)に示す用紙設定画面の画像を画像送信部83を介して画像受信部93に送信する。これにより無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示される画像が図9(b)に示す画像に切り替わる。用紙設定画面においては、画像形成装置1の外観、シートカセット75a、75bに収納されているシートSのサイズと坪量が表示される。
【0078】
このように本実施形態では、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示させる画像を画像形成装置1のROM12に格納し、画像形成装置1から無線操作ユニット50に画像を送信して画像をディスプレイ51に表示させる。このような構成により、無線操作ユニット50のROM22に画像を記憶する構成と比較して、ROM22に記憶されるデータの容量を減らすことができる。従って、ROM22の容量の小型化を図ることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0079】
また図9(b)に示す用紙設定画面のように、ディスプレイ51に画像形成装置1の外観を表示させることで、ユーザによるシートカセット75a、75bの位置の誤認識が抑制されてユーザビリティの向上を繋がる。これを実現するために無線操作ユニット50のディスプレイ51に画像形成装置1の外観を表示させる場合、無線操作ユニット50のROM22に画像を記憶する構成では、画像形成装置1の機種毎にROM22に記憶する画像データを変更する必要がある。これに対し、画像形成装置1のROM12に記憶された画像を無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示させる構成では、画像形成装置1の機種毎にROM22に記憶する画像データを変更する必要がない。従って、画像形成装置1の複数の機種間で無線操作ユニット50を使い回すことができ、画像形成装置1や無線操作ユニット50の製造コストの削減を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、無線操作ユニット50のROM22にディスプレイ51に表示させる画像の一部が格納されている構成である。具体的には、無線操作ユニット50のROM22には、画像形成装置1に関する画像として、図8(a)、図8(b)、図9(a)に示す画像が予め記憶されている。CPU21は、ディスプレイ51を制御し、ディスプレイ51に表示される画像として、ROM22に格納された画像と画像受信部93で受信した画像のいずれを表示させるかを切り替える。
【0081】
図10は、画像形成装置1と無線操作ユニット50の通信遷移図である。以下の説明において、上述した実施形態で図6を用いて説明した工程と同様の処理を行う工程については、同じ符号を付してその説明を省略又は簡略化する。図10に示す様に、まずユーザは、主電源スイッチ79を操作して画像形成装置1を起動させ(S11)、電源スイッチ26を操作して無線操作ユニット50を起動させる(S21)。
【0082】
次に、無線操作ユニット50のコマンド通信部92と画像形成装置1のコマンド通信部82との間でネゴシエーション要求及び応答信号の送受信が行われ(S12、S22)、これにより画像形成装置1と無線操作ユニット50との間で無線通信が確立される。その後、通信速度や画像の圧縮率等の無線通信の条件が、無線操作ユニット50のコマンド通信部92と画像形成装置1のコマンド通信部82を介して相互に設定される(S13、S23)。この設定が終わると、無線操作ユニット50のCPU21は、ディスプレイ51に表示される画像として、ROM22に記憶された画像である図8(a)に示すメインメニュー画面を表示させる。
【0083】
次に、無線操作ユニット50のCPU21は、ユーザによりディスプレイ51が操作された場合、操作情報をコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送信する(S24)。本実施形態では、ディスプレイ51に表示されているメインメニュー画面は、無線操作ユニット50のROM22に格納されている画像である。従って、第1実施形態のように画像形成装置1に対して座標データを送っても、画像形成装置1のCPU11は座標データが示す位置に何があるか分からない。そこで本実施形態では、無線操作ユニット50のCPU21は、ユーザに選択されたボタンに対応する情報を、操作情報として、コマンド通信部92を介して画像形成装置1に送信する。
【0084】
次に、画像形成装置1のCPU11は、無線操作ユニット50から入力されたディスプレイ51の操作情報に応じて、無線操作ユニット50に対し、照明部25の点灯制御の指示やスピーカー部53から出力される音のオン、オフの指示などを行う(S16)。なお、画像形成装置1は、無線操作ユニット50からディスプレイ51の操作情報を受信した場合以外にも、画像形成装置1の状態や無線操作ユニット50の状態に応じて、無線操作ユニット50に対して上述した制御指示を行う。
【0085】
ここで図8(a)に示すメインメニュー画面において、ユーザがメンテナンスボタン64を選択した場合、画像形成装置1にメンテナンスボタン64に対応する情報が送られ、画像形成装置1から無線操作ユニット50に応答が返される(S51、S61)。無線操作ユニット50のCPU21は、画像形成装置1から応答を受け取ると、ディスプレイ51に表示される画像として画像受信部93で受信した画像を表示させるように制御を切り替える。
【0086】
次に、画像形成装置1のCPU11は、画像送信部83を介して、ROM12に格納されているメンテナンス用の動画を無線操作ユニット50の画像受信部93に送信する(S52)。図11は、メンテナンス用の動画の一例である画像調整画面を示す図である。図11に示す様に、画像調整画面においては、リーダ14のカバーを開けてチャート紙をガラス面に置く一連の動作をアニメーションで説明している。ユーザは画像調整画面に従ってチャート紙をリーダ14のガラス面に置くことにより、画像形成ユニット15により形成される画像の色味等を調整することができる。
【0087】
ユーザが画像の調整を終了すると、その旨が無線操作ユニット50のCPU21からコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送られる(S62)。その後、画像形成装置1のCPU11からコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50のコマンド通信部92に画像の切り替え通知が送られる(S53)。無線操作ユニット50のCPU21は、画像の切り替え通知を受信すると、ディスプレイ51に表示される画像としてROM22に格納された画像を表示させるように制御を切り替える。
【0088】
また画像形成装置1が画像形成を行っている際にシートSの詰まりであるジャムが発生した場合、画像形成装置1のCPU21からコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50に画像の切り替え通知が送られる(S54)。無線操作ユニット50のCPU21は、画像の切り替え通知を受け取ると、ディスプレイ51に表示される画像として画像受信部93で受信した画像を表示させるように制御を切り替える。
【0089】
次に、画像形成装置1のCPU11は、画像送信部83を介して、ROM12に格納されているジャム処理に関する動画を無線操作ユニット50の画像受信部93に送信する(S55)。図12は、ジャム処理に関する動画の一例であるジャム処理画面を示す図である。図12に示す様に、ジャム処理画面においては、ジャムが発生した位置とジャム処理手順がアニメーションによって説明されている。ユーザは、ジャム処理画面に従ってジャム処理を行う。
【0090】
ユーザがジャム処理を終了すると、その旨が無線操作ユニット50のCPU21からコマンド通信部92を介して画像形成装置1のコマンド通信部82に送られる(S63)。その後、画像形成装置1のCPU11からコマンド通信部82を介して無線操作ユニット50のコマンド通信部92に画像の切り替え通知が送られる(S56)。これにより無線操作ユニット50のCPU21は、ディスプレイ51に表示される画像としてROM22に格納された画像を表示させるように制御を切り替える。
【0091】
このように、CPU21は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示させる画像として、無線操作ユニット50のROM22に格納された画像と、画像形成装置1から送信された画像とを切り替え可能に構成されている。これにより、無線操作ユニット50のROM22にディスプレイ51に表示させる全ての画像を格納する構成と比較して、ROM22に格納されるデータの容量を減らすことができる。従って、ROM22の容量の小型化を図ることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0092】
なお、無線操作ユニット50のROM22に静止画を記憶し、ジャム処理用の動画と画像の調整用の動画を画像形成装置1から無線操作ユニット50に送信する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、例えば画像形成装置1に対してプロセスカートリッジ、ドラムカートリッジ、トナーカートリッジなどが着脱される構成では、これらのカートリッジの着脱方法に関する動画を画像形成装置1から無線操作ユニット50に送信する構成としてもよい。
【0093】
また、無線操作ユニット50のROM22に動画を記憶させる構成としてもよい。但し、動画は複数の静止画から構成されており一枚の静止画よりも容量が大きくなる。従って、無線操作ユニット50のROM22に静止画を記憶し、動画をディスプレイ51に表示させる際は画像形成装置1から送信される画像をディスプレイ51に表示させるように制御を切り替える構成が好ましい。
【0094】
<複数の画像形成装置を1つの無線操作部で操作する場合>
本実施形態の構成は、一台の無線操作ユニット50で接続先を切り替えて、複数の画像形成装置1をそれぞれ操作できる構成である。その他の構成は、ここまでで説明した実施形態の画像形成装置1と同様の構成である。
【0095】
図13(a)は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示されるメインメニュー画面を示す図である。図13(a)に示す様に、メインメニュー画面には、無線操作ユニット50の接続先の画像形成装置1を設定する接続先設定ボタン66と、現在接続されている画像形成装置1を表示する接続先表示部67が設けられている。ここでは、無線操作ユニット50の接続先として、「T1」という名称の画像形成装置1が接続されている。
【0096】
ユーザは、無線操作ユニット50の接続先の画像形成装置1を変更したい場合、メインメニュー画面の接続先設定ボタン66を選択し、図13(b)に示す接続先設定画面をディスプレイ51に表示させる。図13(b)に示す様に、接続先設定画面には、無線操作ユニット50との間で事前に認識処理がされている画像形成装置1の一覧が表示されている。本実施形態では、名称が「T1」~「T5」の五つの画像形成装置1が無線操作ユニット50に認識されている。また接続先設定画面においては、一覧で表示されている画像形成装置1の現在のステータスが表示される。例えば現在接続中の画像形成装置1はハッチング表示されており、電源がオフの画像形成装置1は「No Operate」の表示とし、グレーアウトされている。
【0097】
ユーザは、無線操作ユニット50の接続先を変更したい場合、接続先設定画面において、接続を希望する画像形成装置1をタッチして選択する。ここでは「T3」という名称の画像形成装置1がタッチされたものとする。これにより図14(a)に示す様に、接続先設定画面において、「T3」の名称の画像形成装置1がハッチング表示され、以前接続されていた「T1」の名称の画像形成装置1のハッチング表示が解除される。この状態でユーザが接続ボタン68を選択すると、図14(b)に示す様に、無線操作ユニット50が「T3」の名称の画像形成装置1に接続される。
【0098】
なお、全ての画像形成装置1との接続を解除する場合、ユーザは、図14(a)に示す接続先設定画面において、接続クリアボタン69を選択する。これにより無線操作ユニット50は、接続先設定画面に表示されている全ての画像形成装置1との接続が解除される。
【0099】
このように本実施形態の構成によれば、ユーザは、一つの無線操作ユニット50で複数の画像形成装置1を操作可能である。従って、ユーザが複数の画像形成装置1の操作する際に無線操作ユニット50を持ち替える必要が無く、ユーザビリティを向上させることができる。また無線操作ユニット50がオプションの装置として任意に購入される場合、ユーザは一つの無線操作ユニット50を購入すれば複数の画像形成装置1を操作できるため、ユーザが無線操作ユニット50を導入する際のコストを削減させることができる。
【0100】
<スリープモード移行シーケンス>
次に、画像形成装置1と無線操作ユニット50それぞれの節電モードへ移行するための制御について説明する。図15はCPU11で実行される、画像形成装置1のスリープモード移行シーケンスのフローチャートである。
【0101】
先に説明したように、画像形成装置1に対する画像形成の指示が行われない期間が開始するとタイマ202がカウントを開始する。タイマ202は、常にカウントを行っておりカウント値T1はその中でも節電モードへの移行を管理するためのカウント値である。こおカウント値T1は、画像形成装置1がジョブを実行した場合(S403)や、操作パネル12がユーザにより操作された場合(S404)などにリセットされる(S406)。また、後述する無線操作ユニット50からのリセット要求コマンドを受信した場合(S405)にもリセットされる(S406)。
【0102】
なお、本実施形態における「リセット」とは、タイマ202のカウント値を、タイマ202がカウントを開始した時点の値に戻すことを言う。例えば、タイマ202が、0秒から順に1秒、2秒、3秒‥とカウントアップしているケースでは、タイマ202がリセットされるとタイマ202のカウント値は0秒に再設定される。他にも、例えば、タイマ202が、60秒から順に59秒、58秒、57秒‥とカウントダウンしているケースでは、タイマ202がリセットされるとタイマ202のカウント値は60秒に再設定される。
【0103】
また、本実施例で言う「リセット」には、タイマ202のカウント値を減らす(カウントアップしているケース)ような設定やタイマ202のカウント値を増やす(カウントダウンしているケース)ような設定も含む。具体的には、タイマ202が、0秒から順に1秒、2秒、3秒‥とカウントアップしているケースにおいて、カウント値が45秒の時点で無線操作ユニット50の操作がなされた場合、カウント値を30秒分だけ減らす。これにより、画像形成装置1のモードがスリープモードへ移行するまでの時間が実質30秒分だけ増える。また、タイマ202が、60秒から順に59秒、58秒、57秒‥とカウントダウンしているケースにおいて、カウント値が15秒の時点で無線操作ユニット50の操作がなされた場合、カウント値を30秒分だけ増やす。これにより、先程の例と同じく、画像形成装置1のモードがスリープモードへ移行するまでの時間が実質30秒分だけ増える。なお、カウント値を減らす(増やす)量は、所定の秒数に限られず、ユーザが任意の秒数を設定することができる。
【0104】
以下、図15を参照して詳細を説明する。
【0105】
CPU11は、タイマ202のカウント値T1を参照し、予め設定されている節電モード移行時間Ts1と比較する(S401)。節電モード移行時間Ts1には所定の時間が設定されている。例えば、「節電モード移行時間Ts1=60秒」と言った具合で設定されている。タイマ202のカウント値T1が節電モード移行時間Ts1を超えている場合(S401のYes)、CPU11は画像形成装置1のモードをスタンバイモードからスリープモードへ移行させる(S402)。つまり、CPU11はカウント値T1が節電モード移行時間Ts1を超えたことに応じて画像形成装置1のモードをスタンバイモードからスリープモードへ移行させる。
【0106】
上述した例は、タイマ202がカウントアップしながら、画像形成装置1に対するユーザからの画像形成の指示が行われない時間を計測する例であるが、この時間の計測の方法はカウントダウン方式でも構わない。つまり、カウントダウンすることにより、画像形成装置1に対するユーザからの画像形成の指示が行われない時間を計測しても良い。例えば、タイマ202が60秒、59秒、58秒‥とカウントダウンをしていき、0秒を過ぎたことに応じて、CPU11が画像形成装置1のモードをスタンバイモードからスリープモードへ移行させるケースも、本実施例においては「T1がTs1を超えた」と考えることにする。S401における「T1>Ts1?」という判定フローは、「画像形成装置1に対するユーザからの画像形成の指示が行われない時間」と「所定時間Ts1」とを比較することにより、画像形成装置1がスリープモードに入るタイミングを決めるフローを意味しており、そのカウント手段は問わない。
【0107】
S401において、T1がTs1を超えていなかった場合、「自動リセットモード」が設定されているか否かを判定する(S403)。詳しくは後述するが、本実施の形態に係る画像形成装置1は、ユーザによる無線操作ユニット50の操作が行われたことに応じて、タイマ202のカウント値をリセットする機能をオンにするかオフにするかを設定することができる。つまり、自動リセットモードがオフであれば、いくらユーザが無線操作ユニット50を操作しようとも、タイマ202のカウント値がリセットすることはない。ユーザによっては、例え、頻繁にスリープモードに移行してしまい生産性が低下しようとも、省エネの観点を重視する者もいる。無線操作ユニット50の操作がなされていようと、いつになれば画像形成の指示が行われるかが不明な以上、一旦は画像形成装置1をスリープモードに入れて、消費電力を抑えることが好ましいという考えもある。したがって、ユーザの好みによって、無線操作ユニット50が操作されたことに応じてタイマ202のカウント値をリセットするか否かの設定を行うことができる構成が好ましい。また、自動リセットモードをオフにしておくことで、誤って無線操作ユニット50に触れてしまい、ユーザの意図とは反してタイマ202のカウント値がリセットされてしまうことも防ぐことができる。
【0108】
S403において、CPU11が、自動リセットモードが設定されていない(S403のNO)と判定した場合は、再びS401の判定フローへと進む。この間もタイマ202はカウントを継続している。一方、S403において、CPU11が、自動リセットモードが設定されている(S403のYes)と判定した場合は、CPU11は画像形成装置1が動作状態にあるか否かを判定する(S404)。ここで言う動作状態の例は、画像形成ユニット15による画像形成処理が実行されている状態を言う。感光ドラム9が回転している状態や中間転写ベルト6が回転している状態も「動作状態」の一種である。その他にも、リーダ14が用紙の読み取りを実行している状態や用紙が搬送されている状態も、ここで言う「動作状態」の一種である。
【0109】
なお、これらの動作は、ユーザから画像形成装置1に対する「画像形成の指示」に基づいて始まる。本実施例においては、画像形成装置1が動作状態にあるときは「画像形成の指示」がなされている状態であると考える。つまり、タイマ202は、ユーザから画像形成装置1への画像形成の指示が行われていない時間を計測するが、この場合の計測開始のタイミングは、画像形成装置1の動作状態が終了したタイミングである。ただし、このタイミングとは数学的に厳密な瞬間を意味するのではない。例えば、タイマ202は、画像形成装置1の動作状態が終了してから数秒後にカウントの開始を始めても構わない。
【0110】
CPU11が、画像形成装置1は動作状態であると判定した場合(S404のYes)は、タイマ202のカウント値をリセットする。一方、CPU11が、画像形成装置1は動作状態にないと判定した場合(S404のNo)は、無線操作ユニット50の操作がなされているか否かを判定する(S405)。
【0111】
無線操作ユニット50が操作されると、コマンド通信部92が無線操作ユニット50の操作がなされている旨を表す信号(以下、リセット信号と称する)を、無線通信を介してコマンド通信部82に送る。ここで言う操作の例は、ユーザがタッチパネル59に触れる操作全般を指す。つまり、ユーザがタッチパネル59に触れる度にコマンド通信部92は、画像形成装置1のコマンド通信部82に、リセット信号を送信する(S405のYes)。なお、リセット信号を送るタイミングとしては、ユーザがタッチパネル59に触れる度でも構わないが、「数秒ごと」「数操作ごと」でも構わない。例えば、無線操作ユニット50のタイマ24が5秒間を計測するごとに、CPU21はその間にタッチパネル59のタッチがなされたか否かを判定し、判定結果がYesであればコマンド通信部92にリセット信号を送信させても構わない。こうすることで、頻繁にリセット信号が生成されることを防ぐことができるので、無線操作ユニット50の消費電力を抑えることができ、バッテリー57を長持ちさせることができる。他にも、タッチパネル59が例えば3回タッチされるごとに、CPU21がコマンド通信部92にリセット信号を送信させる構成でも構わない。この構成でも、頻繁にリセット信号が生成されることを防ぐことができるので、無線操作ユニット50の消費電力を抑えることができ、バッテリー57を長持ちさせることができる。
【0112】
画像形成装置1のCPU11は、コマンド通信部82がリセット信号を受信したことに応じて、タイマ202のカウント値をリセットする(S407)。
【0113】
CPU11が無線操作ユニット50は操作中でないと判定した場合(S405のNo)、コマンド通信部82がリセット要求を受信しているか否かを判定する(S406)。
【0114】
図8に示すように、無線操作ユニット50のディスプレイ51に表示されるメインメニュー画面には、「スリープ復帰」を支持するためのボタンが表示されている。ユーザはこのボタンをタッチすることにより、画像形成装置1のタイマ202のカウント値をリセットすることができる。具体的には、CPU21は、スリープ復帰ボタンのタッチを検知したことに応じて、コマンド通信部92に対して、画像形成装置1のコマンド通信部82にリセット信号を送信させる指示を出す。
【0115】
画像形成装置1のCPU11は、コマンド通信部82がリセット要求を受信していた場合、つまり、リセット信号を受信している場合(S406のYes)には、タイマ202のカウント値をリセットする(S407)。
【0116】
CPU11が、リセット要求を受信していないと判定した場合(S406のNo)は、再びS401の判定フローへと進む。この間もタイマ202はカウントを継続している。
【0117】
以上のフローを経て、画像形成装置1がスタンバイモードからスリープモードへ移行することで、スリープモード移行シーケンスは終了する。
【0118】
図16はCPU21で実行される無線操作ユニット50のスリープモード移行シーケンスのフローチャートである。
【0119】
画像形成装置1が非動作状態になると、CPU21からの指示を受けて、タイマ24はカウントを開始する。CPU21は、定期的に画像形成装置1からのスリープモード移行要求を受信しているかの判定(S508)を行う。このスリープモード移行要求は、画像形成装置1本体に設けられた不図示のスリープモード移行ボタン等がタッチされることで出される信号である。つまり、無線操作ユニット50は、画像形成装置1からのスリープモード移行信号に基づいて、スリープモードへ入ることが可能である。
【0120】
CPU11は、タイマ24のカウント値T2を参照し、予め設定されているスリープモード移行時間Ts2と比較する(S501)。タイマ24のカウント値T2がスリープモード移行時間Ts2を超えている場合(S501のYes)、CPU21は無線操作ユニット50をスリープモードへ移行させる処理を行う(S502)。画像形成装置1からスリープモード移行要求を受信していた場合(S508のYes)でも、スリープモード移行処理を行う(S502)。
【0121】
タイマ24のカウント値T2とスリープモード移行時間Ts2を比較するタイミングで、カウント値T2がスリープモード移行時間Ts2よりも小さい場合(S501のNo)、CPU21は、タッチパネル59へのタッチ操作の検知の有無を判定する(S503)。ユーザによる操作が検知されない場合(S503のNo)は、再度カウント値T2とスリープモード移行時間Ts2の比較に戻る。ユーザによる操作が検知された場合(S503のYes)は、CPU21はタイマ24のカウント値T2をリセットする(S504)。
【0122】
次に、無線操作ユニット50が画像形成装置1と無線通信で接続されている状態かを判断する(S506)。画像形成装置1と接続中の場合(S506のYes)、画像形成装置1のタイマ202のカウント値T1をリセットする要求を出し(S507)、再度カウント値T2とスリープモード移行時間Ts2の比較に戻る。画像形成装置1と接続されていない場合(S506のNo)、CPU21は、スリープモード移行要求の受信確認(S508)の判定を行う。
【0123】
図17(a)は、無線操作ユニット50において、「自動リセットモード」の設定を行う画面である。ユーザは、メインメニュー画面から所定の操作を行うことで、この画面を表示する。この画面では、「自動リセットモード」の機能のオン・オフを設定することができる。
【0124】
「自動リセットモード」をオンした場合、先に説明しように、ユーザが無線操作ユニット50を操作したことに基づいて、無線操作ユニット50から画像形成装置1に対してリセット信号が送信され、タイマ202のカウント値がリセットされる。
【0125】
一方、「自動リセットモード」をオフにした場合、ユーザが無線操作ユニット50を操作しても、無線操作ユニット50から画像形成装置1に対してリセット信号が送信されることはない。
【0126】
このように、ユーザは、「自動リセットモード」の設定画面において、自動リセットモード」の機能を利用するか否かを自由に決めることができる。
【0127】
図17(b)は、無線操作ユニット50において、「自動リセットモード」の設定を行う画像形成装置1を選択する画面である。
【0128】
先に述べたように、1つの無線操作ユニット50で複数の異なる画像形成装置の操作を行うことが可能である。仮に4つの画像形成装置に対して1つの無線操作ユニット50が対応している場合、その1つの無線操作ユニット50が操作されることによって、4つ全ての画像形成装置のタイマのカウント値がリセットされてしまう。1つの操作で複数の画像形成装置のタイマを同時にリセットできるので、スリープモードに入れたくない場合は、手間が省けるメリットがある。しかしながら、例えば、1つの画像形成装置に1人のオペレータが付いているような場合、このメリットが逆に課題を生むことがある。
【0129】
ここで、ある画像形成装置Aの操作をオペレータAが担当し、他の画像形成装置Bの操作をオペレータBが担当している状況を想定してみる。オペレータAとオペレータBはそれぞれ共通の無線操作ユニット50を使用している。画像形成装置Aを用いてのオペレータAの作業がひと段落した場合、しばらく画像形成装置Aが使用されることはないため、省エネの観点からすると画像形成装置Aはスリープモードに入ることが好ましい。しかしながら、このような状況でも、オペレータBが画像形成装置Bの使用のために、無線操作ユニット50を操作している限り、画像形成装置Bのタイマのみならず画像形成装置Aのタイマのカウント値もリセットされ続ける。つまり、画像形成装置Aは、実質的な使用がされていないにも関わらず、スリープモードへ移行しないという状況が生じてしまう。
【0130】
そこで、本実施の形態の無線操作ユニット50では、複数の画像形成装置のうち、自動リセットモードを設定する機種を選択することが可能である。図17(b)に示す、自動リセットモード選択画面において、ユーザは、自動リセットモードを設定する機種に対応する表示をタッチする。この例では、画像形成装置(AAA-1234-56)のみに自動リセットモードが設定されている。そのため、例えユーザが無線操作ユニット50を操作した場合でも、リセット信号は画像形成装置(AAA-1234-56)にしか送信されない。なお、自動リセットモードは複数の画像形成装置に設定することも可能である。
【0131】
図18(a)は、無線操作ユニット50のディスプレイ51に画像形成装置1が一定の時間経過後にスリープモードへ移行する旨を表示している画面である。詳しくは後述するが、画像形成装置1への画像形成の指示が行われない時間が一定の時間に達すると、このアラート画面を表示する。これにより、ユーザは、しばらくすると画像形成装置1がスリープモードへ移行することを知ることができるため、画像形成装置1のもとへ行きタイマ202のカウント値をリセットするためのボタンを押下するなどの対処をすることができる。
【0132】
また、タイマ202のリセットは無線操作ユニット50からでも行うことができる。アラート画面では、リセット信号を画像形成装置1に対して送信するか否かを選択することができる。図18(a)に示す画面において、ユーザが「Yes」を選択すると、コマンド通信部92は画像形成装置1のコマンド通信部82に対してリセット信号を送信する。一方、ユーザが「No」を選択すると、コマンド通信部92からセット信号がコマンド通信部82に対して送られることはない。つまり、タイマ202はカウントを継続する。
【0133】
なお、アラート画面を表示するモードであるアラートモードを設定するか否かについても、ユーザは設定することが可能である(図18(b))。
【0134】
図19は、アラートモードを有する画像形成装置1のスリープモード移行シーケンスについて説明するためのフローチャートである。なお、図15で説明したフローチャートと同じフローについては同じ符号を付し、説明を割愛する。
【0135】
まず、CPU11が、アラートモードが設定されているか否かを判定する(S601)。アラートモードの設定がされていない場合(S601のNo)、CPU11はS401のフローへ移行する。一方、アラートモードの設定がされている場合(S601のYes)、CPU11は、タイマ202のカウント値T1を参照し、予め設定されているアラート表示時間Ts3と比較する(S602)。アラート表示時間Ts3には、スリープモード移行時間よりも短い時間が設定されている。つまり、タイマ202がカウントをしていくと、まずTs3に到達し、その後Ts1に到達する。
【0136】
CPU11が、T1がTs3を超えていると判定した場合(S602のYes)、コマンド通信部82に対して、無線操作ユニット50のコマンド通信部92にアラート信号を送信する旨の指示を出す。CPU21は、アラート信号を受信したことに応じて、ディスプレイ51にアラート画面を表示する(S603)。一方、CPU11が、T1がTs3を超えていないと判定した場合(S602のNo)、CPU11はS403のフローへ移行する。
【0137】
このように本実施形態の構成によれば、無線操作ユニットを操作するユーザの意図とは無関係に画像形成装置がスタンバイモードからスリープモードへ移行してしまう虞を低減することができる。
【符号の説明】
【0138】
15 画像形成ユニット
20 制御部
22 ROM(記憶部)
24 タイマ
50 無線操作ユニット
51 ディスプレイ(表示部、操作部)
82 コマンド通信部
92 コマンド通信部
202 タイマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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