(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/16 20060101AFI20241015BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241015BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20241015BHJP
B65H 16/06 20060101ALI20241015BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B41J29/16
G03G21/16 119
G03G21/16 147
B41J29/13
B65H16/06 Z
H05K5/03 B
(21)【出願番号】P 2020168640
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 龍太郎
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-075282(JP,A)
【文献】特開平02-033042(JP,A)
【文献】特開2002-356253(JP,A)
【文献】特開2015-060078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/16
G03G 21/16
B41J 29/13
B65H 16/06
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を記録する記録部と、
記録材が巻回されたロールシートから記録材を前記記録部へ供給する供給部と、
前記供給部においてロールシートを下方から保持する保持部と、
前記供給部の下方に設けられ、ユーザが任意の収容物を収容するために開く開位置と、前記開位置に対して閉じる閉位置と、に移動可能な収容部と、
ロールシートを載置するための開状態と載置されたロールシートをカバーする閉状態とに回動するドア部と、
を備える記録装置において、
前記収容部に収容された収容物とロールシート及び前記保持部との接触を規制する規制部を有
し、
前記保持部は前記ドア部より下方に移動することができることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記規制部は、上下方向において、前記保持部の最下点よりも低く、前記収容部において収容物を収容できる所定の高さよりも高い位置であり、水平方向において、前記ロールシートまたは前記保持部の最下点よりも、前記収容部が開閉される装置本体の前面側の位置に設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の記録装置。
【請求項3】
記録材に画像を記録する記録部と、
記録材が巻回されたロールシートから記録材を前記記録部へ供給する供給部と、
前記供給部においてロールシートを下方から保持する保持部と、
前記供給部の下方に設けられ、ユーザが任意の収容物を収容するために開く開位置と、前記開位置に対して閉じる閉位置と、に移動可能な収容部と、
を備える記録装置において、
前記収容部に収容された収容物とロールシート及び前記保持部との接触を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記収容部の移動方向と直交する水平方向に延びるように設けられた長尺部材であり、両端が装置本体に固定されていることを特徴とす
る記録装置。
【請求項4】
前記規制部は、前記収容部の移動方向と直交する水平方向に並ぶ一対の回動部材により
構成され、
前記一対の回動部材の一方は、装置本体の前記水平方向の一方側において、前記移動方向と直交する上下方向に延びる回転軸を中心に回転可能に構成され、
前記一対の回動部材の他方は、装置本体に前記水平方向の他方側において、前記移動方向と直交する上下方向に延びる回転軸を中心に回転可能に構成され、
前記一対の回動部材は、互いに水平方向に直列に並んだ規制状態と、それぞれの先端側が前記収容部の前記開位置への移動方向に向かって開いた非規制状態と、をとりえるように構成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記収容部の移動方向に対して交差する方向に延びる規制面を有することを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記規制面は、前記収容部の移動方向に対して90°以上135°以下の角度を有することを特徴する請求項
5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記供給部から前記記録部へ記録材が供給される通紙経路とは独立した、前記記録部から前記収容部までをつなぐ排出経路をさらに有し、
前記記録部は、前記収容部よりも上方に設けられており、
前記排出経路は、上下方向に延びる上下経路と、前記上下経路の下流の底部から水平方向に前記収容部までつなぐ水平経路と、を含むことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記水平経路を前記収容部の上方に水平方向にオーバーラップさせるオーバーラップ部をさらに有する請求項
7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記上下経路
を装置外部に開放する開口部をさらに有することを特徴とする請求項
7又は
8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記底部は、前記収容部に向かって下る傾斜形状を有することを特徴とする請求項
7~
9のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の収容物を収容し、開閉可能な収容部を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録材に画像を記録する記録装置として、特許文献1に開示されたような装置構成が一般的に知られている。この記録装置は、画像形成ユニットの下方のロール紙供給装置からロール紙を画像形成ユニットに供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置構成において装置の付属品を収容するための収容部を設けたいという要望がある。ロールシートの直下に収容部を設けた場合、回動するロールシート保持部と収容物との接触により、ロールシートへの傷やロールシート保持部の破損を発生させてしまう懸念がある。
【0005】
本発明は、収容部に収容された収容物からロールシートまたはロールシートの供給装置を保護できる記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の記録装置は、
記録材に画像を記録する記録部と、
記録材が巻回されたロールシートから記録材を前記記録部へ供給する供給部と、
前記供給部においてロールシートを下方から保持する保持部と、
前記供給部の下方に設けられ、ユーザが任意の収容物を収容するために開く開位置と、前記開位置に対して閉じる閉位置と、に移動可能な収容部と、
ロールシートを載置するための開状態と載置されたロールシートをカバーする閉状態とに回動するドア部と、
を備える記録装置において、
前記収容部に収容された収容物とロールシート及び前記保持部との接触を規制する規制部を有し、
前記保持部は前記ドア部より下方に移動することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収容部に収容された収容物からロールシートまたはロールシートの供給装置を保護できる記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る記録装置の構成説明図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る記録装置の概略部分断面図
【
図3】本発明の実施形態1の記録装置の排紙形態説明図である。
【
図4】本発明の実施形態1の回動ドア部の構成説明図である。
【
図5】本発明の実施形態1のロールシート保持部の構成説明図である。
【
図6】本発明の実施形態1のロールシート保護部構成説明図である。
【
図7】本発明の実施形態1のロールシート保護部の配置条件図である。
【
図8】本発明の実施形態1の収容物の収容過程の説明図である。
【
図9】本発明の実施形態1、2のロールシート保護部の構成説明図である。
【
図10】本発明の実施形態3のロールシート保護部の構成説明図である。
【
図11】本発明の実施形態3のロールシート保護部の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
図1~
図10は、本発明の実施形態1に係る記録装置(以下、プリント装置)の説明図である。本実施形態のプリント装置は、インクジェットプリント装置に本発明を適用した例である。本実施形態のプリント装置は、記録材としてのシートをロールシート(ロール紙)から供給するための供給装置(供給部)と、そのシートに画像をプリント(記録)するプリント部(記録部)と、を備えている。さらに本実施形態のプリント装置は、上記ロールシートを保持するロールシート保持部の直下にユーザが任意の収容物を収容するための収容装置を備えている。
【0011】
図1(a)は、記録材の収容形態としてシートをロール状に巻回したロールシートが2本セットすることが可能なプリント装置100の前面の様子を示す概略斜視図である。上下に配備されたシート供給装置200にセットされた2本のロールシートから選択的に引き出されたシートに画像がプリントされる。プリントが完了したシートは、プリント装置前面部に設けられた前面排紙ガイド部110から排紙される。ユーザは、操作パネル2に備わる各種のスイッチなどを用いて、シートのサイズ指定、オンライン/オフラインの切り換え、プリント装置100に対する各種コマンドなどを入力することができる。
【0012】
図1(b)は、シート供給装置200の下に配置された開閉可能な任意収容部としての収容装置300を開いた状態の概略斜視図である。収容装置300は、プリント装置100の前面側においてスライドさせて引き出し可能に構成されている。ユーザは、収容装置300を引き出し、収容装置300の収容部302内に任意の収容物を入れることで該収容物がプリント装置内に格納される。収容装置300は、任意の収容物を収容可能な収容部302と、前面側の装置側面101aの一部をなす外装面(外側面)である収容装置カバー301と、を有する。なお、収容物とは、例えば装置のマニュアル、スプール部材、装置の外装に取り付けられる排紙されたシートをストックするバスケット部材などである。
【0013】
図2は、プリント装置100の要部の前面排紙中の概略部分断面図である。2本のロールシートRに対応する2つのシート供給装置200が上下に配備されている。供給装置200によってロールシートRから引き出されたシート1は、シート搬送部(搬送機構)103によって、画像をプリント可能なプリント部400に搬送される。プリント部400は、インクジェットプリントヘッド18からインクを吐出することによって、シート1に画像をプリントする。プリントヘッド18は、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、吐出口からインクを吐出する。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することができる。プリントヘッド18はインクジェット方式のみに限定されず、またプリント部400のプリント方式も限定されず、例えば、シリアルスキャン方式あるいはフルライン方式などであってもよい。シリアルスキャン方式の場合には、シート1の搬送動作と、シート1の搬送方向と交差する方向におけるプリントヘッド1
8の走査と、を伴って画像をプリントする。フルライン方式の場合には、シート1の搬送方向と交差する方向に延在する長尺なプリントヘッド18を用い、シート1を連続的に搬送しつつ画像をプリントする。
【0014】
ロールシートRは、中空穴部(中空孔部)を有するようにシート1が巻かれた形態を有する。ロールシートRの中空穴部には軸形状のスプール部材2が挿入(挿通)され、そのスプール部材2が不図示のロール駆動モータによって正転および逆転駆動される。これにより、ロールシートRは、その中心部が保持されて、矢印C1,C2方向に正転および逆転される。供給装置200には、駆動部3、アーム部材(移動体)4、アーム回転軸5、第1のシートセンサ6、揺動部材7、従動回転体(圧接体)8,9、分離フラッパー(上側ガイド体)10、およびフラッパー回転軸11が備えられている。本実施形態では、供給装置200が上下二段で同様の構成で設けられている。
【0015】
搬送ガイド12は、供給装置200から引き出されるシート1の表裏面をガイドしつつ、そのシート1をプリント部400へ導く。搬送ローラ14は、不図示の搬送ローラ駆動用モータによって正転および逆転される。ニップローラ15は、搬送ローラ14の回転に応じて従動回転可能であり、不図示のニップローラ離間モータによって、搬送ローラ14に対して接離可能、かつニップ力の調整が可能である。搬送ローラ14は、第2のシートセンサ16がシート1の先端を検知したときに回転される。搬送ローラ14によるシート1の搬送速度は、ロールシートRの回転によるシート1の引き出し速度よりも高く設定されており、これによりシート1にバックテンションを与えて、それを張った状態のまま搬送することができる。この結果、シート1の弛みを防止し、シート1の折り目の発生および搬送誤差の発生を抑制することができる。
【0016】
プリント部400のプラテン17は、吸引ファン19により発生させた負圧によって、吸引穴17aを通してシート1の裏面を吸着する。これにより、プラテン17上に沿うようにシート1の位置を規制して、プリントヘッド18による画像の高精度なプリントを可能とすることができる。カッター20は、画像がプリントされたシート1を切断する。プリントが完了したシート1は、プリント装置筐体101の前面部(前面側側面)101aに設けられた排紙口(排出口)104から前面排紙ガイド部(排出部)110にガイドされて排紙される。回動ドア部400のカバー41は、画像がプリントされて排紙口104から排出されたシート1が、排紙口104下方の供給装置200(ロールシートRの収容部)に戻ることを防止する。
【0017】
図3は、回動ドア部500の閉状態におけるプリント装置100の排紙形態の説明図である。プリントが完了したシート1は、プリント装置前面側の装置側面101aに設けられた前面排紙ガイド部110に設けられた排紙支持部40から排紙され、ロールカバー41に沿うようにして下方にガイドされる。ここで、排紙支持部40とロールカバー41は、Y方向にオーバーラップする構成となっており、排紙されたシート1の先端が排紙支持部40~ロールカバー41間の隙間に入り込まないようになっている。また、ロールカバー41は、回動ドア部500の閉状態におけるZ方向に連続で隙間の無い面を有しており、排紙されたシート1の先端がカバー41で引っかかることの無いように構成されている。また、回動ドア部500は、閉状態において、装置側面101aに沿った姿勢となり、内側面であるロール仮置台42が供給装置200の収容部にあるロールシートRに対して水平方向に対向し、ロールシートRを所定の保持位置に保持する状態となる。
【0018】
図4(a)は、ロールシートRを載置時の回動ドア部500の構成の説明図である。ロール仮置台42は、シート幅方向に面を有しており、回動ドア部500の幅以下の任意幅のロールシートR及びスプール部材2を装着済みのロールシートRを載置可能である。この面にはシート幅方向に一様なくぼみ部42aが設けられており、くぼみ部42aに載置
されたロールシートは自重によって安定する。また、ロール仮置台42は、供給装置200に向けてガイド部42bを有している。このガイド部42bは、前記くぼみ部42aから連続であり、ロールセット時にはスプール部材2のフランジ外形を支えることでロールシートRの供給装置200へのセットをガイドする。
【0019】
スプール部材2は、ロールシートRに一体的に取り付けられ、供給装置200におけるロールシートRの保持を補助する補助部材であり、供給装置200において回転可能に軸支される。スプール部材2は、軸部としてのスプール軸21、基準側フランジ部としての基準側スプールフランジ23、非基準側フランジ部としての非基準側スプールフランジ24を含む(
図6(a)参照)。
【0020】
回動ドア部500の開状態において、ロール仮置台42は装置前面に突出した状態となっている。すなわち、回動ドア部500は、開状態において、装置側面101aよりも水平方向に突出した姿勢となり、回動ドア部500の内側面であるロール仮置台42が上向きに開いた状態となる。このためロール仮置台42に載置したロールシートRには、横からスプール部材2を挿入可能である。これによりユーザは、スプール部材2のセットのために机等の新たなセット用スペースを準備することなくスプール部材2をロールシートRにセット可能となる。
【0021】
図4(b)は、実施形態1における回動ドア部500の開状態において、スプール部材2が装着されたロールシートRをロール仮置台42から供給装置200のスプールホルダ31までスライドセットする動作の説明図である。矢印T1は、スライドセットされるロールシートRの中心の軌跡である。回動ドア部500の開状態において、ガイド部42bは、第2のガイド部としてのスプールガイド13とY方向にオーバーラップしている。また、前記オーバーラップ部において、ガイド部42bとスプールガイド13のZ方向距離は、スプール部材2のスプールフランジ23、24の外形からスプール軸21の外形までの距離に概ね一致している。すなわち、ガイド部42bの軸部ガイド面の高さは、スプールフランジ23、24の下端から軸部としてのスプール軸21の下面までの高さと略一致している。更に、スプールフランジ23、24の外形は、ロールシートRの径よりも大きい構成となっている。
【0022】
図5は、ロールシートセット時のロールシート保持部105の回動の説明図である。ロールシートRをスライドセットするときの従動回転体(圧接体)8、9およびアーム部材(移動体)4とロールシートRの位置関係について詳細を説明する。
図5(a)は、ロールシートRの残量が少ないとき、
図5(b)は、ロールシートRの残量が多いときを表している。供給装置200のロールシートRの収容部において、アーム部材4は、アーム回転軸5(
図2参照)を中心に回動可能に構成されており、ロールシートRの外径に応じて従動回転体8、9とともに上下に移動可能(回動可能)に設けられている。アーム部材4は、下側ガイド体として、従動回転体8、9のロールシートR外周面との圧接位置からロールシートRのシート繰出し回転方向の下流側において、ロールシートRから繰り出された(引き出された)シート1の下面をガイドする。従動回転体8、9は、ロールシートRが供給装置200の収容部にガイドされる際のガイド方向の上流側の先端に、上流側に向かって下方に下る傾斜面を形成する回動部材54が設けられている。ロールシート保持部105は、ロールシートRがセットされることで、先端側が下方に下がり、
図2等に示すように、その少なくとも一部が回動ドア部500よりも下方に突出するような姿勢となる。
【0023】
図5(a)において、従動回転体(圧接体)8、9がイニシャル位置にあり、残量が少ないロールシートR51をスライドセットするとき、従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材(可動部)54に接触する。その後、従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部
材54と従動回転体(圧接体)8、9を押し下げながらセット位置に移行する。
【0024】
図5(b)において、残量が多いロールシートR52をスライドセットするとき、従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材54に接触する。従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材54は単体で回動した後、従動回転体(圧接体)8、9と共に押し下がり、ロールシートRを圧接する位置に移行する。部材54は、ロールシートをガイドした後は、不図示のバネ等により元の位置(角度)に戻るように構成される。なお、部材54は、従動回転体(圧接体)8、9に対して固定された構成としてもよい。
【0025】
図6は、本実施形態1のロールシート保護部600を搭載した形態の全体図である。
図6(a)は、下段の回動ドア部を開いた状態の正面図、
図6(b)は、ロールシート保護部600の部分断面図の上面図である。
【0026】
図6(a)、
図6(b)に示すように、ロールシート保護部600は、収容装置300の開閉移動方向(Y方向)に対して直交する水平方向(X方向)に、収容部302の一端から他端にかけて橋渡されるように設けられた長尺部材である。ロールシート保護部600は、例えば板金などによって構成してよい。ロールシート保護部600は、両端がX方向の左右の剛体部920,930にて装置筐体101に固定されており、ロールシートRよりも幅が広く、ロールシートRの直下に配置される。
【0027】
図7にて、ロールシート保護部600の配置条件について説明する。
図7は、ロールシート保護部600の配置条件図であり、
図7(a)は、前後方向(水平方向)における配置条件、
図7(b)は、上下方向における配置条件をそれぞれ示している。
【0028】
図7(a)に示すように、前後方向(水平方向)において、ロールシート保護部600の先端は、ロールシートRの中心点よりもプリント装置前側に位置されている。また、
図7(b)に示すように、上下方向において、ロールシート保護部600の底面は、ロールシート保持部105におけるアーム部材4の最下点よりも低く、収容装置300の収容部302の上端よりも高い位置に配置されている。
【0029】
図8を用いて、最大積載高さを超えた収容物700が収容される際の収容過程について説明する。
図8は、本実施形態において、収容物が収容される過程を示した図であり、
図8(a)は、収容前、
図8(b)は、収容後をそれぞれ示している。
【0030】
本実施形態において、収容装置300の収容装置カバー301が開閉する開口部は、その上端がロールシート保持部105のアーム部4の最下点よりも高く開口しており、収容部302の高さよりも高さの高い収容物700を収容可能に構成されている。このような場合において、収容装置300をそのまま閉じ位置(収容完了位置)までスライドさせてしまうと収容物700がアーム部4に接触して、アーム部4やロールシートRの破損等を生じる懸念がある。そのような接触を回避すべくロールシート保護部600が、収容物700の収容姿勢を規制する、あるいは収容装置300が閉じ位置までスライドすることを規制する規制部として機能する。例えば、収容装置300の収容部302内に収容物700が移動可能なスペースの余裕があり、収容物700が回転動作可能な場合においては、収容物700の姿勢をアーム部4等に接触しない姿勢に変化させる。すなわち、
図7(b)に示すように、収容装置300がプリント装置内に格納される際に、収容物700は、ロールシート保護部600に接触することで、向きを変えた姿勢701を経て、収容部302内に収まる配置となる。これにより収容装置300に収容された収容物700がロールシートRやロールシート保持部105(アーム部4など)を傷つけることなく、収容物700をプリント装置内に格納可能となる。なお、詳細は後述するがロールシート保護部600のような規制部を用いることよって、例えば、一枚板で収容装置300と供給装置
200との間を完全に仕切るような構成と比較して、より簡単な構成となる。また、アーム部材4が移動する空間を確保できる。すなわち、上下に配された供給装置200と収容装置300との間を、単純な水平の板で完全に仕切るようなレイアウトも考えられるが、そのようなレイアウトではデッドスペースが多く形成されてしまい装置大型化につながってしまう。本実施形態のように、部分的な仕切りとして、アーム部材4の可動領域と収容装置300における収容スペースとの兼ね合い等を踏まえた必要最低限の箇所にロールシート保護部600を配置することで、装置小型化、省スペースを図ることが可能となる。
【0031】
また、収容物の高さが収容装置300底面からロールシート保持部105までの高さよりも高く、収容物が収容部302内で回転動作(姿勢変化)ができない場合には、ロールシート保護部600に収容物が引っ掛かることで収容装置300の閉動作が規制される。これにより、高さの高い収容物がプリンタ内部に格納されることが回避され、収容物との接触によりロールシートRやロールシート保持部105(アーム部4など)を傷つけることが回避される。また、ロールシート保護部600に収容物が引っ掛かることで収容装置300の閉じ動作が、収容装置カバー301が完全に閉じない位置で規制されるため、ユーザに収容物の収容状態の確認を促す効果が期待できる。これは、収容物の高さが、収容装置カバー301が開閉する装置筐体101の開口部の高さよりも高いような場合も同様である。すなわち、該開口部に収容物が引っ掛かることで収容装置300の閉じ動作が収容装置カバー301が完全に閉じない位置で規制されるため、ユーザに収容物の収容状態の確認を促すことができる。
【0032】
図9を用いて、実施形態1におけるロールシート保護部600の構成を説明する。
図9(a)は、本実施形態のロールシート保護部600の斜視図であり、
図9(b)は、その部分断面図、
図9(c)は、本発明の実施形態2のロールシート保護部601の部分断面図である。
図9(a)の断面形状のように、収容装置300のスライド方向(水平方向)に対して垂直な曲げの構成とすることで、収容物との接触を収容物の移動方向に対して垂直な規制面による面接触とする。こうすることで、収容物を傷つけることなく収容物の姿勢変化(回転動作)を行うことが可能となる。また、本発明の実施形態2である
図9(b)に示したロールシート保護部601のように、収容装置300(収容物)のスライド方向(水平方向)に対して、例えば、135°の曲げ形状を有することで、収容物との接触を傾斜した面接触とするのも好適である。かかる傾斜した規制面により、収容物を緩やかに倒れさせることで、収容物をより安定して回転動作をさせることが可能となる。ロールシート保護部600の規制面の角度は、例えば、90°以上135°以下の範囲で設定することが好適であるが、収容部の収容スペースやロールシート保持部105との配置関係等に応じて適宜設定されるものであり、上記範囲に限定されるものではない。
【0033】
図10、
図11を用いて、本発明の実施形態3であるロールシート保護部602の構成を説明する。
図10は、本発明の実施形態3のロールシート保護部602の斜視図であって、
図10(a)は、その回動前部品図、
図10(b)は、その回動後部品図である。
図11は、本発明の実施形態3のロールシート保護部602の搭載後の上面図である。
【0034】
実施形態3のロールシート保護部602は、一対の長尺回動部材である第1の規制部602aと第2の規制部602bとで構成される。一対の規制部602a、602bは、
図10(a)に示すように、通常時は、2つの規制部602a、602bが直列に並んだ配置(規制状態)となり、実施形態1、2のロールシート保護部600、6001と同様の一本の規制部として機能する。規制部602a、602bは、
図10(b)に示すように、それぞれ、装置筐体101に固定された左右の剛体部920、930にそれぞれ垂直方向に延びる回動軸(回転軸)542,543を中心として回動可能に設けられている。すなわち、規制部602aは、装置本体の水平方向の一方側において回動軸542を中心に回動し、規制部602bは、装置本体の水平方向の他方側において回動軸543を中心に
回動する。なお、回動軸542、543を中心とした回動は回動範囲が所定の範囲に規制されており、
図10(a)の直列配置からY軸マイナス方向への回動は規制されており、
図10(b)に示すようにY軸プラス方向への回動が許容されている。収容装置300は、開位置から閉位置(収容完了位置)への移動がY軸マイナス方向になり、閉位置から開位置への移動がY軸プラス方向となる。
【0035】
一対の規制部602a、602bの対向する先端の間には、それぞれの回動を妨げないように所定の隙間が設けられている。また、回動軸542、543には、特段の外力の作用がない場合において規制部602a、602bの配置(回転位相)を
図10(a)に維持するための復帰構成として、不図示のコイルバネが組み付けられている。なお復帰構成は、従来既知の構成を適宜採用してよく、特定の構成限定されるものではない。
【0036】
例えば、収容装置300を開ける際にロールシート保護部602に収容物が接触した際は、規制部602a、602bが回動軸542、543を中心に回動し、それぞれの先端側が収容装置300の開位置への移動方向に向かって開いた状態となる。すなわち、ロールシート保護部602を2部品に分けるような開いた形態(非規制状態)に変化する。後述するように、ユーザが誤ってシートを装置内部に落下させてしまい、そのシートが収容部302に収容、堆積することで、収容部302内の収容物の高さが、ロールシート保護部602の高さよりも高くなってしまう場合が想定される。あるいは、折り畳まれた収容物の折り目が緩んでロールシート保護部602の高さよりも高くなってしまう場合なども想定される。そのような場合において、収容装置300の引き出し動作(開動作)が収容物とロールシート保護部602との引っ掛かりによって妨げられることを回避することができる。
【0037】
図11は、ロールシート保護部602が装置本体に組付けられた状態のプリント装置100の上面図である。
図11において点線で示す収容物703の格納状態から、収容装置300を引き出した際、収容物703とロールシート保護部602が接触する。このとき、左右の剛体部920、930に取り付けられた回動軸542,543を中心として、規制部602a、602bがそれぞれ回動することで、収容物703がロールシート保護部602に引っかかることなく収容装置300を引き出すことができる。
【0038】
図12、
図13は、本発明の実施形態4のプリント装置の説明図である。なお、本実施形態においてここで特に説明しない事項は上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0039】
図12(a)は、本実施形態に係るプリント装置100の要部の前面排紙中の概略断面図でる。
図12(a)を用いて、シートの落下について説明する。例えば、ユーザがプラテン17上からシートを落下させてしまった場合、図の矢印の通紙経路808を通過して、シートは装置枠体におけるシャーシボトム900まで落下してしまう。この通紙経路808は、供給装置200からプリント部400までのシート通紙経路とは独立した通路(排出経路)であり、装置上方にあるプリント部400から装置下方にある収容装置300までをつなぐ通路である。通紙経路808は、プリント部400と収納装置300との間を上下方向に延びる上下経路809と、該上下経路809の下流側の底部であるシャーシボトム900から水平方向に収容装置300までつなぐ水平経路810と、を含む。上記のような落下シート等の排出物は、通紙経路808を辿って収容装置300の収容部302に排出される。
【0040】
本実施形態のプリント装置は、上記通紙経路のシャーシボトム900に、落下シートを収容装置300の収容部302までガイドするオーバーラップ部901が設けられている。オーバーラップ部901は、シャーシボトム900の通紙経路を垂直方向に落下してきたシートを、水平方向にガイドし、収容装置300の収容部302へ滑り込ませることが
できるように構成されている。これにより、落下シートを収容装置300から取り出すことが可能となる。
【0041】
図12(b)は、本実施形態に係るプリント装置100の一部断面の上面図である。シャーシボトム900は、垂直方向(上下方向)に見たときに、オーバーラップ部901が収容部302と部分的にオーバーラップしている。すなわち、オーバーラップ部901は、水平経路810を収容部302の上方に水平方向にオーバーラップさせている。なお、オーバーラップ部901の構成としては、
図12に示すような1枚板の構成に限定されるものではなく、例えば、通紙方向に延ばした複数のリブを通紙経路幅方向に並列に配置したような構成であってもよい。
【0042】
図13を用いて、落下したシートが収容装置300まで到達せずにシャーシボトム900に残ってしまった際の対策構成について説明する。
図13(a)は、本発明の実施形態4におけるシート押し出し構成の様子を示す模式図であり、
図13(b)は、プリント装置背面側で開口する開口部800を示す本実施形態のプリント装置の斜視図である。
図13(a)に示すように、本実施形態に係るプリント装置は、通紙経路を装置外部に開放する開口部800を有している。開口部800は、上下経路809のシャーシボトム900近傍で開口している。ユーザはその開口部800から棒状の任意物を用いて落下したシートを収容装置300の収容部302内に押し出すことが可能となる。
【0043】
図14は、実施形態5におけるシャーシボトム900の傾斜形状部を説明する概略断面図である。プリント装置100後方の枠体形状として、シャーシボトム900の上面に、収容装置300の収容部302に向かって下る傾斜形状部902を設けている。かかる傾斜形状部902があることで、通紙経路に落下したシートなどの落下物は、傾斜形状部902の斜面を滑ることで収容装置300の収容部302内部に入りやすい構成となる。
【0044】
なお、実施形態4、5においては、収容装置300の収容部302内への落下物の収容をより確実にするため、オーバーラップ部901や傾斜形状部902の表面は、ビスなどの突起を有することのない平滑な構成とするのが好ましい。
【0045】
上記各実施形態は、技術的な矛盾が生じない限り、それぞれの構成を互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…シート、100…プリント装置、300…収容装置、301…収容装置カバー、302…収容装置収容部、600…ロールシート保護部、700…収容物