(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】排水系のスケール防止方法
(51)【国際特許分類】
C02F 5/10 20230101AFI20241015BHJP
C02F 5/00 20230101ALI20241015BHJP
【FI】
C02F5/10 620A
C02F5/00 620B
C02F5/10 610Z
(21)【出願番号】P 2020198799
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000101042
【氏名又は名称】アクアス株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 文彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤雅代
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慶
(72)【発明者】
【氏名】福留 豪
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087541(JP,A)
【文献】特開2003-080294(JP,A)
【文献】特開2019-217449(JP,A)
【文献】特許第6546688(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量平均分子量が3,000から10,000である、ポリアクリル酸ホモポリマーまたはその塩、または質量平均分子量が3,000から10,000である微変性アクリル 酸ポリマーまたはその塩を、嫌気性汚泥処理槽から活性汚泥処理槽の間
の排水系、または嫌気性汚泥処理槽から前処理槽への返送処理水
の排水系の少なくとも何れかに添加し、リンを含むキレート剤またはリンを含むスケール防止剤と併用しないことを特徴とする排水系のスケール防止方法。
【請求項2】
前記ポリアクリル酸ホモポリマーまたはその塩、または微変性アクリル酸ポリマーまたはその塩をメタン発酵槽を有する排水系に添加することを特徴とする請求項1に記載の排水系のスケール防止方法。
【請求項3】
前記ポリアクリル酸ホモポリマーまたはその塩、または微変性アクリル酸ポリマーまたはその塩の排水系への添加濃度が10mg/Lから50mg/Lであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水系のスケール防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケール防止方法に関する。より詳しくは排水系の配管や貯留槽、熱交換器などにおけるスケール障害を効果的に防止することができ、特にMAPスケールに対して特定のポリマーを低濃度の添加で有効かつ簡便な排水系のスケール防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水、工場廃水等の有機性廃水の処理において、従来から、活性汚泥法等の好気性処理が実施されており、活性汚泥では処理しにくい廃水は嫌気性処理も行われている。嫌気性処理では、有機性廃棄物をメタン発酵菌の作用で嫌気性分解するメタン発酵処理が、廃棄物を大幅に減容化すると共に分解により得られるメタンガスを含むバイオガスを電気又は熱のエネルギーとして回収することができるという優れた利点を有しているため、広く採用されている。
【0003】
一般的に行われているメタン発酵廃液処理設備は、主として、有機性廃棄物をメタン発酵させるメタン発酵槽,メタン発酵槽から排出されるメタン発酵廃液を一時貯留する貯留槽、メタン発酵廃液と凝集剤とを反応させる凝集沈殿槽、固液分離を行う汚泥脱水設備、脱水設備から排出される脱水ろ液を活性汚泥処理する活性汚泥槽、メタン発酵槽から排出されるメタンガスを利用して発電を行う発電機から構成されている。
メタン発酵槽に供給される排水系は、予め廃水原液をメタン発酵工程における発酵阻害防止等を目的としてpHを5~9程度にpH調整するpH調整槽、有機性廃棄物を濃縮する濃縮槽等の前処理設備を有しており、メタン発酵槽からの処理水や脱水ろ過水の一部が前処理設備に返送される。
【0004】
排水系において、スケールの発生により熱交換器の熱効率の低下、配管の閉塞による流量低下やポンプ圧の上昇、ポンプの消費電力の増大などの障害を引き起こす。
例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛などのスケールがあるが、特にアンモニウムイオン,リン酸イオン,マグネシウムイオンが貯水槽や排水配管等の内部で反応してリン酸マグネシウムアンモニウム(以下、MAPとも記載)、の結晶が配管中で成長してスケールを形成しやすく、配管を閉塞することがあった。
特に、メタン発酵槽等の嫌気性汚泥処理槽から活性汚泥処理槽の間の排水系、または嫌気性汚泥処理槽から前処理槽への返送処理水の排水系におけるスケール発生が顕著であった。
【0005】
有機性廃水の嫌気性処理におけるMAP等のスケールの発生をpH調整により抑制する処理方法が特許文献1に開示されているが、処理工程のpH制御に装置や手間がかかり、処理する廃水が限定される問題がある。
排水系で使用される一般的なスケール防止剤としては、カルシウム系スケールの防止効果が高いヘキサメタリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム等の無機ポリリン酸類、並びにアミノメチルホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びホスホノブタントリカルボン酸等のホスホン酸類といったリンを含む素材が使用されているが、リンを含有する廃水は、湖沼又は海域の富栄養化を引き起こす原因となる。
また、MAPスケールに関しては、それらスケール防止剤が一般的には100mg/Lから300mg/L以上の高濃度添加が必要となることから、経済的側面において現実的には採用が困難となる課題がある。このため、簡便かつ低コストなスケール防止方法が望まれていた。
【0006】
また、特許文献2には、マレイン酸とアクリル酸アルキルエステルと酢酸ビニルのターポリマーとカルボン酸のホモポリマーを含むスケール防止剤によって、排水中のリン濃度を増加させることなくRO逆浸透膜処理での炭酸カルシウムのスケールを抑制する方法が記載されている。しかしながら、それはRO膜への炭酸カルシウムスケールの析出を抑制する方法であり、その他特許文献2には、排水系における配管等へのスケール付着防止、特にMAPのスケール防止に関する記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-208594号公報
【文献】特開2017-170348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、排水系の配管や貯留槽、熱交換器などにおけるスケール付着障害を効果的に防止することができ、特にMAPスケールに対して特定のポリマーを低濃度の添加で有効かつ簡便な排水系のスケール防止方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の分子量を有するアクリル酸のホモポリマーまたはその塩を排水系に添加することで排水系の配管等へのスケール付着、特にMAPスケールの付着を低濃度添加で効果的に防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)
質量平均分子量が3,000から10,000である、ポリアクリル酸ホモポリマーまたはその塩、または質量平均分子量が3,000から10,000である微変性アクリル酸ポリマーまたはその塩を、嫌気性汚泥処理槽から活性汚泥処理槽の間の排水系、または嫌気性汚泥処理槽から前処理槽への返送処理水の排水系の少なくとも何れかに添加し、リンを含むキレート剤またはリンを含むスケール防止剤と併用しないことを特徴とする排水系のスケール防止方法。
(2)
前記ポリアクリル酸ホモポリマーまたはその塩、または微変性アクリル酸ポリマーまたはその塩をメタン発酵槽を有する排水系に添加することを特徴とする(1)に記載の排水系のスケール防止方法。
(3)
前記ポリアクリル酸ホモポリマーまたはその塩、または微変性アクリル酸ポリマーまたはその塩の排水系への添加濃度が10 mg/Lから50 mg/Lであることを特徴とする(1)または(2)に記載の排水系のスケール防止方法。
の構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排水系のスケール防止方法により、スケール成分が析出して処理廃水や消化汚泥の配管や貯留槽、脱水機や熱交換器の壁面などに付着することがなく、スケール障害の発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明における排水系のポリアクリル酸またはその塩の添加場所を示す第一の具体例である
【
図2】本発明における排水系のポリアクリル酸またはその塩の添加場所を示す第二の具体例である。
【
図3】実機における本発明のスケール防止効果をブランク(無添加)と比較した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の排水系のスケール防止方法においては、特定の分子量を有する、ポリアクリル酸またはその塩を排水系に添加することにより、排水系や消化汚泥系の配管や貯留槽、熱交換器などへのスケール、特にMAPスケールの付着を防止し、スケール障害の発生を効果的に防止することができる。
【0013】
本発明におけるポリアクリル酸またはその塩は一般に公知の製造方法で製造されるアクリル酸ホモポリマーまたはその塩が好ましいが、質量比で1%以内で他のモノマー、ダイマー等を含有させて製造した微変性アクリル酸ポリマーまたはその塩や、ポリメチルアクリル酸またはその塩も本発明に含まれる。特に記載のない場合にはポリアクリル酸はアクリル酸ホモポリマーまたは微変性アクリル酸ポリマーを意味する。
【0014】
本発明で使用するポリアクリル酸またはその塩の質量平均分子量は3,000~10,000であり、4,000~7,000であることが好ましい。
質量平均分子量が3,000未満および10,000を超えると、スケール防止効果が不十分になる。
【0015】
本発明の排水系のスケール防止方法における、排水系への本発明のポリアクリル酸またはその塩の添加濃度は排水特性により異なるが、通常は1から100mg/Lであり、好ましくは5から50mg/Lである。
【0016】
本発明のポリアクリル酸またはその塩は、排水系のスケール原因物質の沈降を防止することによるスケール防止を目的とするものであり、同一排水系にスケール原因物質等を凝集させて分離することを目的とする無機凝集剤や有機凝集剤を添加しないか、添加場所を本発明のポリアクリル酸またはその塩の添加前後としないことにより、無機凝集剤や有機凝集剤が本発明のポリアクリル酸またはその塩と同一排水系で共存しないようにすることが好ましい。
【0017】
無機凝集剤の例としては、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄などを挙げることができる。有機凝集剤は、ほとんどが天然高分子系と合成高分子系の高分子凝集剤であり、大きな凝集力を得るために分子量が数百万以上のカチオン系やアニオン系、ノニオン系、両性の高分子化合物が多用され、無機系凝集剤と比較すると凝集物が大きく、沈降速度が速い。
特に併用が好ましくない有機凝集剤であるカチオン高分子凝集剤として、ビニルアミン、ビニルアニリン、(メタ)アリルアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのカチオン性モノマー成分を用いたポリマーを挙げることができる。
【0018】
本発明のポリアクリル酸またはその塩と併用する場合のキレート剤、またはスケール防止剤は、リンを含まないものが、処理排水の含有リン量を増加させないために好ましい。
【0019】
本発明の排水系のスケール防止方法に用いるポリアクリル酸またはその塩以外に、次亜塩素酸ナトリウム、モノクロラミン、過酸化水素水、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤、ポリオキシアルキレン化合物、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、シリコン系化合物等の消泡剤、その他排水系で通常用いられる薬剤の本発明の効果を損なわない範囲での使用が可能であり、特にリンを含まない化合物が好ましい。
【0020】
本発明のポリアクリル酸またはその塩を排水系に添加する場所は、無機凝集剤や有機凝集剤が一般的に添加される場所と異なることが好ましい。ポリアクリル酸またはその塩を無機凝集剤や有機凝集剤が添加される場所に添加する必要がある場合には、ポリアクリル酸またはその塩は無機凝集剤や有機凝集剤が添加される場所より上流側か、脱水機による固液分離などにより無機凝集剤や有機凝集剤が液側から分離される場所より下流側に添加することが好ましい。
【0021】
特に好ましいポリアクリル酸またはその塩の添加場所は、通常は凝集剤が添加されない場所、例えば、
図1におけるメタン発酵槽5等の嫌気性汚泥処理槽から活性汚泥処理槽7の間の排水系、または嫌気性汚泥処理槽から第二pH調整槽4等の前処理槽への処理水返送ライン9、
図2における汚泥脱水設備14から活性汚泥処理槽7に処理水を送液する脱水ろ液送液ライン15の少なくとも何れかで添加することにより、スケールの沈殿、発生防止の優れた効果が得られるために好ましい。
メタン発酵槽内に添加する場合は嫌気性菌フロックと処理水が固液分離される越流堰などへ添加することが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
下水処理場消化汚泥の脱水ろ液を想定した合成水を試験水に用いたビーカー試験を行った。試験水の水質は、マグネシウムイオン濃度30mg/L、リン酸イオン濃度260mg/L、アンモニウムイオン濃度1,100mg/L、pH7.8とした。
試験方法は、以下の順に行った。
(1)試験水80mLをネジ口ガラスビンに採取。
(2)薬剤を規定濃度になるようにマイクロピペットで添加。
(3)振とう培養器を用いて水温35℃、120spmで振とう。
(4)約24時間振とう後のガラスビンのスケール結晶付着状況の目視評価を実施。
薬剤の種類、添加濃度、およびスケール評価結果を表1に示す。表中の薬剤名の内容、および目視評価の基準を以下に示す。薬品の種類におけるポリアクリル酸とは、アクリル酸ホモポリマーまたは微変性アクリル酸ポリマーを意味する。
・薬剤A:ポリアクリル酸ナトリウム塩、質量平均分子量3,000。
・薬剤B:ポリアクリル酸(酸性、pH2以下)、質量平均分子量5,000。
・薬剤C:ポリアクリル酸ナトリウム塩(溶剤としてポリプロピルアルコールを0.1%含有)、質量平均分子量6,000。
・薬剤D:ポリアクリル酸ナトリウム塩(溶剤なし)、質量平均分子量6,000。
・薬剤E:ポリアクリル酸ナトリウム塩(溶剤としてポリプロピルアルコールを0.1%含有)、質量平均分子量10,000。
・薬剤F:ポリエチレンアミン/ジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合物、質量平均分子量70,000。
・薬剤G:N-(ホスホノメチル)イミノビス(エチレンニトリロ)テトラキス(メチレン)テトラホスホン酸ナトリウム塩を主成分とする変性ホスホン酸/ホスホン酸系混合物。
・薬剤H:1-ヒドロキエチリデンー1,1-ジホスホン酸、質量平均分子量206。
・薬剤I:2-ホスホノブタンー1,2,4-トリカルボン酸、質量平均分子量270。
(スケール目視評価の基準)
ガラスビン壁面へのスケール結晶の付着状況を目視で以下の4段階で評価した。
◎ :スケール付着が全く認められない。
〇 : スケール付着が若干認められる。
△ :スケール付着が少ないがはっきり認められる。
× :スケール付着が多く認められる。
【0024】
【0025】
表1の試験結果より、本発明のポリアクリル酸またはその塩(薬剤AからE)は、合成水を用いたビーカー試験に於いて、分子量3,000では、2mg/Lの添加で目視によりスケール結晶の生成防止効果がみられ、分子量5,000から6,000では0.1mg/Lの添加でも目視によりスケール結晶の生成防止効果がみられ、分子量10,000では4mg/Lの添加で良好なスケール防止効果がみられ、いずれも4から10mg/L以上の添加では良好なスケール防止効果がみられた。
一方、ホスホン酸系スケール防止剤(薬剤GからI)は、20mg/Lでスケール結晶の生成防止効果がみられ、50mg/Lの添加で良好なスケール防止効果がみられた。
当社がMAPスケール防止剤として開発した薬剤Fはホスホン酸系スケール防止剤よりも低濃度の10mg/Lの添加で良好なスケール防止効果がみられたが、本発明のポリアクリル酸またはその塩には及ばない結果であった。
以上より、本発明のポリアクリル酸またはその塩は他のスケール防止剤と比べて極めて低濃度でのMAPスケールの生成防止効果がみられた。
【0026】
(実施例2)
食品添加物製造工場の実機廃水(メタン発酵槽出口水)を仮設ライン(塩ビテスト管で施工)へ一部導入し、薬剤の添加有無での比較試験を4日連続して行った。実機廃水の水質はマグネシウムイオン濃度81mg/L、リン酸イオン濃度210mg/L、アンモニウムイオン濃度500mg/L、pH7.5であった。
使用薬剤は薬剤C:ポリアクリル酸ナトリウム塩(溶剤としてポリプロピルアルコールを0.1%含有)、質量平均分子量6,000を用い、13L/min流量の廃水に対して2mg/Lになるように薬注ポンプにて連続注入を行った。
【0027】
図3はテスト管断面、およびテスト菅出口のスケール付着状況を示す写真であるが、本発明のポリアクリル酸を排水流量に対して2mg/L添加することでスケール付着が大幅に低減されたることが確認できた。
【0028】
本発明のスケール防止効果が特にMAPスケールに対して顕著である理由は不明であるが、本発明のポリアクリル酸またはその塩がスケールの結晶成長面に付着してその成長を阻害し、さらに分散作用によって壁面へのスケール付着を防止することによると推察される。
【0029】
図1、
図2は、実機における本発明のポリアクリル酸またはその塩の添加場所を示す具体例である。
図1は、嫌気性汚泥処理槽であるメタン発酵槽からの処理水系への添加場所を矢印で示し、
図2では嫌気性汚泥処理槽であるメタン発酵槽に接続する汚泥脱水槽から引き抜かれる脱水ろ液送液ラインへの添加場所を矢印で示す。
【0030】
実機において、
図1、および
図2の添加場所11に実施例1で使用の薬品Cを2mg/L濃度となるように添加する試験を4日連続して行った結果、
図1でのメタン発酵槽5から活性汚泥処理槽7間の処理水ライン16の配管、メタン発酵槽5から第二pH調整槽4への処理水返送ライン9の配管、および
図2でのメタン発酵槽5から活性汚泥槽7への脱水ろ液送液ライン15の配管におけるスケールの発生は見られなかった。
【符号の説明】
【0031】
1 原水供給ライン
2 pH調整槽
3 酸生成槽
4 第二pH調整槽
5 メタン発酵槽
6 処理水槽
7 活性汚泥槽
8 凝集沈殿槽
9 処理水返送ライン
10 活性汚泥槽への処理水送液ライン
11 本発明の重縮合系カチオン性物質の添加場所
12 処理液放水ライン
13 原水濃縮設備
14 汚泥脱水設備
15 活性汚泥槽への脱水ろ液送液ライン
16 処理水ライン
17 発酵液送液ライン