IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光学ユニット 図1
  • 特許-光学ユニット 図2
  • 特許-光学ユニット 図3
  • 特許-光学ユニット 図4
  • 特許-光学ユニット 図5
  • 特許-光学ユニット 図6
  • 特許-光学ユニット 図7
  • 特許-光学ユニット 図8
  • 特許-光学ユニット 図9
  • 特許-光学ユニット 図10
  • 特許-光学ユニット 図11
  • 特許-光学ユニット 図12
  • 特許-光学ユニット 図13
  • 特許-光学ユニット 図14
  • 特許-光学ユニット 図15
  • 特許-光学ユニット 図16
  • 特許-光学ユニット 図17
  • 特許-光学ユニット 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20241015BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20241015BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20241015BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20241015BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20241015BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/17
H04N23/54
H04N23/55
H04N23/57
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020207651
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022037848
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】P 2020141797
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210142222(CN,U)
【文献】特開2019-139223(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110460776(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110262156(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104898347(CN,A)
【文献】国際公開第2022/042094(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/55
H04N 23/57
H04N 23/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、
前記反射部を支持する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向または前記反射方向に沿う方向を第1回転軸として回転させる第1回転機構と、を備え、
前記第1回転機構は、
前記入射方向における前記反射面よりも先方側の位置、または、前記反射方向における前記反射面よりも後方側の位置、のいずれかに設けられ、
前記可動体に前記第1回転軸が設けられるとともに、前記固定体に前記第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられ
前記保持部は、前記第1回転軸を前記第1回転軸の延設方向に設けられる凹部で挟んで保持し、
前記保持部は、前記凹部が設けられる板バネを有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記可動体の少なくとも一部を覆うカバー部を有し、
前記板バネは、前記カバー部に形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項またはに記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は、前記第1回転軸の延設方向と交差する交差方向に延設される回転軸を第2回転軸として前記反射部を回転可能に支持する第2回転機構を有し、
前記板バネは、前記第1回転軸の延設方向及び前記交差方向の両方向とともに交差する方向の端部で前記固定体に固定され、前記端部とは異なる位置に設けられた前記凹部で前記第1回転軸を保持することを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項からのいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記可動体の可動量を規制することを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は、前記第1回転軸の延設方向と交差する交差方向に延設される回転軸を第2回転軸として前記反射部を回転可能に支持する第2回転機構を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体には、前記第1回転機構または前記第2回転機構を駆動するコイルが設けられ、
前記可動体には、前記コイルと対向する位置に磁石が設けられ、
前記コイルと前記磁石との間の位置には、前記コイルと前記可動体とが接触することを抑制する保護部が形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1回転軸は、前記第1回転軸の延設方向において前記可動体の一部をなす壁部を挟んで、第1軸部及び第2軸部を有し、
前記第1軸部及び前記第2軸部は、ともに、前記壁部に接触していることを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1回転軸の延設方向において1つの前記第1回転軸が貫通した状態で、前記第1回転軸を支持する軸支持部を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項9】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記軸支持部は、前記第1回転軸の延設方向に沿うリブが形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項10】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記リブは、前記第1回転軸の延設方向の少なくとも一方に端部がテーパー形状であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項11】
請求項から10のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1回転軸は、前記軸支持部に対して前記第1回転軸の延設方向にずれることを抑制するずれ抑制構造が形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の光学ユニットにおいて、
前記ずれ抑制構造は、前記軸支持部との接触面に複数の凹凸が形成されることにより構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項13】
請求項11に記載の光学ユニットにおいて、
前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凸部であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項14】
請求項11に記載の光学ユニットにおいて、
前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凹部であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項15】
外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、
前記反射部を支持する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向または前記反射方向に沿う方向を第1回転軸として回転させる第1回転機構と、を備え、
前記第1回転機構は、
前記入射方向における前記反射面よりも先方側の位置、または、前記反射方向における前記反射面よりも後方側の位置、のいずれかに設けられ、
前記可動体に前記第1回転軸が設けられるとともに、前記固定体に前記第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられ
前記第1回転軸の延設方向において1つの前記第1回転軸が貫通した状態で、前記第1回転軸を支持する軸支持部を有し、
前記軸支持部は、前記第1回転軸の延設方向に沿うリブが形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項16】
請求項15に記載の光学ユニットにおいて、
前記リブは、前記第1回転軸の延設方向の少なくとも一方に端部がテーパー形状であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項17】
請求項15または16に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1回転軸は、前記軸支持部に対して前記第1回転軸の延設方向にずれることを抑制するずれ抑制構造が形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項18】
請求項17に記載の光学ユニットにおいて、
前記ずれ抑制構造は、前記軸支持部との接触面に複数の凹凸が形成されることにより構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項19】
請求項17に記載の光学ユニットにおいて、
前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凸部であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項20】
請求項17に記載の光学ユニットにおいて、
前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凹部であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項21】
外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、
前記反射部を支持する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向または前記反射方向に沿う方向を第1回転軸として回転させる第1回転機構と、を備え、
前記第1回転機構は、
前記入射方向における前記反射面よりも先方側の位置、または、前記反射方向における前記反射面よりも後方側の位置、のいずれかに設けられ、
前記可動体に前記第1回転軸が設けられるとともに、前記固定体に前記第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられ
前記第1回転軸の延設方向において1つの前記第1回転軸が貫通した状態で、前記第1回転軸を支持する軸支持部を有し、
前記第1回転軸は、前記軸支持部に対して前記第1回転軸の延設方向にずれることを抑制するずれ抑制構造が形成され、
前記ずれ抑制構造は、前記軸支持部との接触面に複数の凹凸が形成されることにより構成されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項22】
外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、
前記反射部を支持する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向または前記反射方向に沿う方向を第1回転軸として回転させる第1回転機構と、を備え、
前記第1回転機構は、
前記入射方向における前記反射面よりも先方側の位置、または、前記反射方向における前記反射面よりも後方側の位置、のいずれかに設けられ、
前記可動体に前記第1回転軸が設けられるとともに、前記固定体に前記第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられ
前記第1回転軸の延設方向において1つの前記第1回転軸が貫通した状態で、前記第1回転軸を支持する軸支持部を有し、
前記第1回転軸は、前記軸支持部に対して前記第1回転軸の延設方向にずれることを抑制するずれ抑制構造が形成され、
前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凸部であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項23】
外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、
前記反射部を支持する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向または前記反射方向に沿う方向を第1回転軸として回転させる第1回転機構と、を備え、
前記第1回転機構は、
前記入射方向における前記反射面よりも先方側の位置、または、前記反射方向における前記反射面よりも後方側の位置、のいずれかに設けられ、
前記可動体に前記第1回転軸が設けられるとともに、前記固定体に前記第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられ
前記第1回転軸の延設方向において1つの前記第1回転軸が貫通した状態で、前記第1回転軸を支持する軸支持部を有し、
前記第1回転軸は、前記軸支持部に対して前記第1回転軸の延設方向にずれることを抑制するずれ抑制構造が形成され、
前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凹部であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項24】
請求項15から23のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は、前記第1回転軸の延設方向と交差する交差方向に延設される回転軸を第2回転軸として前記反射部を回転可能に支持する第2回転機構を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項25】
請求項24に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体には、前記第1回転機構または前記第2回転機構を駆動するコイルが設けられ、
前記可動体には、前記コイルと対向する位置に磁石が設けられ、
前記コイルと前記磁石との間の位置には、前記コイルと前記可動体とが接触することを抑制する保護部が形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項26】
請求項15から25のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1回転軸は、前記第1回転軸の延設方向において前記可動体の一部をなす壁部を挟んで、第1軸部及び第2軸部を有し、
前記第1軸部及び前記第2軸部は、ともに、前記壁部に接触していることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、外部からの入射光束を撮像素子に向けて反射させる反射部を備える可動体を、固定体に対して可動させる、光学ユニットが使用されている。特許文献1から4で表されるように、このような光学ユニットでは、反射部を備える可動体を、固定体に対して様々な方向に可動させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-207548号公報
【文献】WO2018/035944A1
【文献】特開2016-48295号公報
【文献】CN108873560A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
反射部を備える可動体を固定体に対して可動させる構成の光学ユニットでは、可動体を固定体に対して可動させる機構を、入射光束の入射方向における反射部の手前または反射部による反射方向における反射部と撮像素子との間に配置すると、該機構が入射光束の入射または反射部による反射の邪魔になってしまう場合がある。そこで、上記の特許文献1から4で表される光学ユニットでは、可動体を固定体に対して可動させる機構をこのような配置にしないようにしている。
【0005】
一方、光学ユニットの使用形態などにより、固定体に対して可動体を入射方向または反射方向に沿う方向を回転軸として回転させる回転機構を備える構成としたい場合がある。しかしながら、このような構成の従来の光学ユニットにおいては、例えば、可動体をジンバル機構で外側から保持する構成とすると、ジンバル機構の構成部材が入射光束の入射または反射部による反射の邪魔になってしまう虞がある。そこで、本発明は、固定体に対して可動体を入射方向または反射方向に沿う方向を回転軸として回転させる回転機構を有する光学ユニットにおいて、入射光束を邪魔することなく撮像素子に届けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学ユニットは、外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、前記反射部を支持する可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向または前記反射方向に沿う方向を第1回転軸として回転させる第1回転機構と、を備え、前記第1回転機構は、前記入射方向における前記反射面よりも先方側の位置、または、前記反射方向における前記反射面よりも後方側の位置、のいずれかに設けられ、前記可動体に前記第1回転軸が設けられるとともに、前記固定体に前記第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、第1回転機構は、可動体における入射方向における反射面よりも先方側の位置または反射方向における反射面よりも後方側の位置のいずれかに第1回転軸が設けられ、固定体に第1回転軸を基準に回転可能に保持する保持部が設けられる。すなわち、入射光束を邪魔しない位置に第1回転機構が設けられる。したがって、入射光束を邪魔することなく撮像素子に届けることができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記保持部は、前記第1回転軸を前記第1回転軸の延設方向に設けられる凹部で挟んで保持する構成とすることができる。このような構成とすることで、保持部の構成を簡単にすることができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記保持部は、前記凹部が設けられる板バネを有することができる。このような構成とすることで、第1回転軸を押圧しつつ適切な状態で回転可能に保持することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体は、前記可動体の少なくとも一部を覆うカバー部を有し、前記板バネは、前記カバー部に形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、カバー部の開閉により固定体内部に可動体を簡単にセットすることができるとともに、保持部の構成を簡単にすることができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体は、前記第1回転軸の延設方向と交差する交差方向に延設される回転軸を第2回転軸として前記反射部を回転可能に支持する第2回転機構を有し、前記板バネは、前記第1回転軸の延設方向及び前記交差方向の両方向とともに交差する方向の端部で前記固定体に固定され、前記端部とは異なる位置に設けられた前記凹部で前記第1回転軸を保持する構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体を固定体に対して2軸に回転させることができ、可動体の可動範囲を広くすることができる。また、板バネを第1回転軸の延設方向及び交差方向の両方向とともに交差する方向に延設する構成とすることで、板バネの押圧による撓みで可動部が傾いても、第2回転機構で補正することができる。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体は、前記可動体の可動量を規制する構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体の一部の構成部材が固定体の一部の構成部材に衝突していずれかを破損させるなど、可動体が移動しすぎることによる弊害を抑制することができる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体は、前記第1回転軸の延設方向と交差する交差方向に延設される回転軸を第2回転軸として前記反射部を回転可能に支持する第2回転機構を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体を固定体に対して2軸に回転させることができ、可動体の可動範囲を広くすることができる。
【0014】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体には、前記第1回転機構または前記第2回転機構を駆動するコイルが設けられ、前記可動体には、前記コイルと対向する位置に磁石が設けられ、前記コイルと前記磁石との間の位置には、前記コイルと前記可動体とが接触することを抑制する保護部が形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、移動範囲が大きくなった可動体が、コイルへ衝突することを回避することができる。
【0015】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1回転軸は、前記第1回転軸の延設方向において前記可動体の一部をなす壁部を挟んで、第1軸部及び第2軸部を有し、前記第1軸部及び前記第2軸部は、ともに、前記壁部に接触している構成とすることができる。このような構成とすることで、第1軸部及び第2軸部を可動体にしっかりと固定でき、第1回転軸が変位することを抑制できる。
【0016】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1回転軸の延設方向において1つの前記第1回転軸が貫通した状態で、前記第1回転軸を支持する軸支持部を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、第1回転軸を1つの構成部材で形成でき、光学ユニットの構成の簡略化及び低コスト化が可能になる。
【0017】
本発明の光学ユニットにおいては、前記軸支持部は、前記第1回転軸の延設方向に沿うリブが形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、例えば、リブをつぶしながら軸支持部に第1回転軸を圧入することができ、第1回転軸が軸支持部に確りと固定されない状態となることや第1回転軸が軸支持部に挿入できないことを抑制できる。
【0018】
本発明の光学ユニットにおいては、前記リブは、前記第1回転軸の延設方向の少なくとも一方に端部がテーパー形状である構成とすることができる。このような構成とすることで、軸支持部における第1回転軸の挿入口を広くすることができ、軸支持部に第1回転軸を容易に挿入することができる。
【0019】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1回転軸は、前記軸支持部に対して前記第1回転軸の延設方向にずれることを抑制するずれ抑制構造が形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニットに衝撃などが加わった場合においても、第1回転軸が軸支持部の所定の支持位置からずれることを抑制することができる。
【0020】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ずれ抑制構造は、前記軸支持部との接触面に複数の凹凸が形成される構成とすることができる。このような構成とすることで、軸支持部の支持面と第1回転軸の接触面との摩擦力を向上することができ、第1回転軸が軸支持部の所定の支持位置からずれることを効果的に抑制することができる。
【0021】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凸部である構成とすることができる。このような構成とすることで、凸部を軸支持部の端部に当接するという簡単な構成で、第1回転軸が軸支持部の所定の支持位置からずれることを効果的に抑制することができる。
【0022】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ずれ抑制構造は、前記第1回転軸の延設方向における前記軸支持部の端部に当接する凹部である構成とすることができる。このような構成とすることで、凹部を軸支持部の端部に当接するという簡単な構成で、第1回転軸が軸支持部の所定の支持位置からずれることを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の、固定体に対して可動体を入射方向または反射方向に沿う方向を回転軸として回転させる回転機構を有する光学ユニットは、入射光束を邪魔することなく撮像素子に届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットを備えるスマートフォンの斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの概略側面図である。
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの斜視図である。
図4図3とは別の角度から見た本発明の実施例1に係る光学ユニットの斜視図である。
図5】本発明の実施例1に係る光学ユニットの斜視断面図である。
図6】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図7図6とは別の角度から見た本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図8】本発明の実施例2に係る光学ユニットの斜視断面図である。
図9】本発明の実施例2及び実施例4に係る光学ユニットの第1回転軸の斜視図である。
図10】本発明の実施例2及び実施例3に係る光学ユニットの軸支持部の平面図である。
図11】本発明の実施例2及び実施例3に係る光学ユニットの軸支持部の側面断面図である。
図12】本発明の実施例3及び実施例5に係る光学ユニットの第1回転軸の斜視図である。
図13】本発明の実施例3及び実施例5に係る光学ユニットの軸支持部の平面図である。
図14】本発明の実施例3及び実施例5に係る光学ユニットの軸支持部の側面断面図である。
図15】本発明の実施例6に係る光学ユニットの斜視断面図である。
図16】本発明の実施例6に係る光学ユニットの軸支持部周辺の正面断面図である。
図17】本発明の実施例7に係る光学ユニットの斜視断面図である。
図18】本発明の実施例7に係る光学ユニットの第1回転軸の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、+Y方向に見た図を平面図、-Y方向に見た図を底面図、+Z方向に見た図を背面図、-Z方向に見た図を正面図とする。そして、+Y方向は、外部からの光束の入射方向D1に対応する。
【0026】
[実施例1]
最初に、実施例1の光学ユニット1について説明する。
【0027】
<光学ユニットを備える装置の概略>
図1は、本実施例の光学ユニット1を備える装置の一例としてのスマートフォン100の概略斜視図である。本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100において好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、薄型に構成でき、スマートフォン100におけるY軸方向における厚さを薄く構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100に限定されず、カメラやビデオなど、特に限定なく様々な装置に使用可能である。
【0028】
図1で表されるように、スマートフォン100は、光束を入射するレンズ101を備えている。スマートフォン100におけるレンズ101の内部に、光学ユニット1を備えている。スマートフォン100は、レンズ101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束に基づいて被写体像を撮像することが可能な構成となっている。
【0029】
<光学ユニットの全体構成>
図2は、本実施例の光学ユニット1を概略的に表す側面図である。図2で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、反射部としてのプリズム10を有する反射ユニット200と、撮像素子103aが設けられた基板103とレンズ102とを有するカメラ104と、を有している。反射ユニット200は、入射面10bにおいてレンズ101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束をプリズム10の反射面10aで反射させ、出射面10cから撮像素子103aに向かう反射方向D2に入射光束を出射する。なお、本実施例の反射ユニット200は、反射部としてプリズム10を備えているが、反射部の構成はプリズム10に限定されず、反射部としてミラーを備える構成などとしてもよい。なお、入射方向D1はY軸方向に沿う方向であるが、反射方向D2は概ねZ軸方向に沿うもののプリズム10の変位により変化する。
【0030】
<反射ユニットの構成>
図3及び図4は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の斜視図である。また、図5は、図3と同じ方向から見た本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の断面図である。そして、図6及び図7は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の分解斜視図である。図6及び図7で表されるように、反射ユニット200は、固定体210と、プリズム10を備える可動体220と、を備えている。また、Y軸方向に沿う第1回転軸方向A1を回転軸として固定体210に対して可動体220を回転させる、第1回転機構としてのジンバル機構240を備えている。さらに、第1回転軸方向A1において可動体220が固定体210に対して回転することで変化するものの概ねX軸方向に沿う第2回転軸方向A2を回転軸として可動体220においてプリズム10を回転させる、第2回転機構としてのジンバル機構250と、を備えている。
【0031】
<可動体>
可動体220は、プリズム10と、プリズム10の反射面10aを支持面222aで支持するホルダ枠222と、第2回転軸方向A2を回転軸としてホルダ枠222を回転可能に保持するホルダ枠保持部223と、を備えている。このように、プリズム10がホルダ枠222に保持され、ホルダ枠保持部223がホルダ枠222を回転可能に保持する構成となっていることで、プリズム10は、ホルダ枠保持部223に対して第2回転軸方向A2を回転軸として回転可能である。
【0032】
ここで、プリズム10のホルダ枠保持部223に対する第2回転機構であるジンバル機構250の構成について説明する。図6及び図7で表されるように、第2回転軸方向A2に沿う方向おけるホルダ枠222の両側には、球状の凸部225bを有する板金225が取り付けられている。そして、第2回転軸方向A2に沿う方向おけるホルダ枠保持部223の両側には、凸部225bと対向する位置に凸部225bと嵌合可能な円弧面状の凹部224bを有する板金224が取り付けられている。第2回転軸方向A2に沿う方向おける両側から凹部224bで凸部225bを挟みこんでホルダ枠保持部223がホルダ枠222を保持することで、ホルダ枠222はホルダ枠保持部223に対して第2回転軸方向A2を回転軸として回転可能である。すなわち、凸部225bは、第2回転軸方向A2に沿って突出しており、第2回転軸を構成している。なお、凸部225bの代わりに凹部を設け、凹部224bの代わりに凸部を設ける構成とすることも可能である。
【0033】
また、図5から図7で表されるように、可動体220は、詳細は後述するジンバル機構240の一部を構成する回転軸保持部243をホルダ枠保持部223に有している。図5で表されるように、ホルダ枠保持部223には、壁部242を挟んで第1回転軸241を構成する第1軸部241aと第2軸部241bとが固定されている。
【0034】
<固定体>
固定体210は、図6及び図7で表される開口部212cを有する固定枠212と、開口部212cを覆うカバー部としての底部215と、詳細は後述する第1駆動部260を構成するコイル211b及び第2駆動部270を構成するコイル211a、並びに、コイル211b及びコイル211aと接続されるFFC213を保持するコイル保持部214と、を備えている。なお、本実施例においては、コイル211bは2つ設けられ、固定枠212のX軸方向の両端部側に設けられた開口部212bに挿入した状態で保持される(図6及び図7参照)。一方、コイル211aは1つ設けられ、固定枠212の+Z方向端部側に設けられた凹部である保護部212aに嵌合した状態で保持される(図5参照)。
【0035】
なお、図6及び図7では、コイル211bと対向する位置(開口部212bと対向する位置)に磁石221bが表されており、コイル211aと対向する位置(保護部212aと対向する位置)に磁石221aが表されている。しかしながら、実際は、磁石221bはそのヨークYとともにホルダ枠保持部223の磁石保持部223b(図6及び図7参照)に保持され、磁石221aはそのヨークYとともにホルダ枠222の磁石保持部222b(図5参照)に保持される。ここで、磁石221bはN極とS極とがZ軸方向に並び、磁石221aはN極とS極とがY軸方向に並ぶ。
【0036】
また、固定体210は、開口部212cを介して+Y方向側から-Y方向側にホルダ枠保持部223を固定枠212に挿入した後、開口部212cを底部215で塞いだ状態とすることで、ホルダ枠保持部223を保持する構成となっている。なお、図5で表されるように、固定枠212には円弧面状の凹部245bを有するルーフ部216が設けられており、底部215には円弧面状の凹部245aを有する板バネ244が設けられている。
【0037】
<ジンバル機構及びその駆動機構について>
上記のように、本実施例の光学ユニット1はジンバル機構240及びジンバル機構250を備えており、さらに、それらの駆動機構である第1駆動部260及び第2駆動部270を備えている。そこで、以下に、ジンバル機構及びその駆動機構の詳細について説明する。なお、本明細書において「ジンバル機構」とは、係合する被係合物(ジンバル機構240ではホルダ枠保持部223、ジンバル機構250ではホルダ枠222)に対する係合部分(ジンバル機構240では固定枠212、ジンバル機構250ではホルダ枠保持部223)において軸線(ジンバル機構240では第1回転軸方向A1、ジンバル機構250では第2回転軸方向A2)周りに回転可能な構成を意味する。
【0038】
ここで、回転軸保持部243は、ルーフ部216と板バネ244とで挟まれる位置に配置される。詳細には、図5で表されるように、凹部245bと凹部245aとは対向する位置に配置され、第1回転軸方向A1に沿う方向おける両側から凹部245bと凹部245aとで第1軸部241aと第2軸部241bとを挟みこんで固定枠212及び底部215がホルダ枠保持部223を保持することで、ホルダ枠保持部223は固定体210に対して第1回転軸方向A1を回転軸として回転可能である。すなわち、本実施例の光学ユニット1は、凸部である第1軸部241a及び第2軸部241bを備える回転軸保持部243と、第1軸部241aと嵌合する凹部245aを備える板バネ244と、第2軸部241bと嵌合する凹部245bを備えるルーフ部216とで、ホルダ枠保持部223を固定体210に対して第1回転軸A1を回転軸として回転可能なジンバル機構240を構成している。なお、第1回転軸である第1軸部241a及び第2軸部241bに凹部を設け、凹部245aの代わりに第1回転軸の凹部に嵌合する凸部を設ける構成とすることも可能である。
【0039】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット1は、第2回転軸方向A2に沿う方向おけるホルダ枠222の両側に設けられる球状の凸部225bを有する板金225と、凸部225bと対向する位置に凸部225bと嵌合可能な円弧面状の凹部224bを有する板金224とで、ホルダ枠222をホルダ枠保持部223に対して第2回転軸方向A2を回転軸として回転可能なジンバル機構250を構成している。このように、本実施例の光学ユニット1は、第1回転軸方向A1を回転軸として回転可能なジンバル機構240と、第2回転軸方向A2を回転軸として回転可能なジンバル機構250との、2つのジンバル機構を備えている。このうち、ジンバル機構240は、+Y方向に対応する入射方向D1におけるプリズム10の反射面10aよりも先方側(+Y方向側)の位置に配置される。また、ジンバル機構250は、入射面10bと直交する方向(入射方向D1に沿う方向)及び出射面10cと直交する方向(反射方向D2に沿う方向)のいずれの延長線上にはない位置に配置される。すなわち、本実施例の光学ユニット1は、入射光束を邪魔しない位置にのみジンバル機構を備えている。
【0040】
本実施例の光学ユニット1においては、第1軸部241a及び第2軸部241bの先端は球面状となっており、上記のように凸部225bも球面状となっている。このように球状の部材と該球状の部材を受ける受け部材を有する構成のジンバル機構を備える構成とすることで、摺動摩擦を低減でき、低い消費電力で被係合物を係合部分に対して揺動することができる。なお、球状の部材を受ける受け部材としては、球面状に凹んだ凹部のほか円形の孔部などとしてもよい。
【0041】
ジンバル機構240の駆動機構である第1駆動部260は、ホルダ枠保持部223の第1回転軸方向A1に沿う方向おける両側に設けられた磁石221bと、磁石221bと対向する位置であって固定枠212の開口部212bに配置されるコイル211bと、を有している。なお、本実施例の光学ユニット1においては、磁石221b及びコイル211bは2つずつ設けられているが、磁石221b及びコイル211bを1つずつ設ける構成としてもよいし、磁石221b及びコイル211bを3つ以上ずつ設ける構成としてもよい。ここで、磁石221bはN極とS極とが概ねZ軸方向に沿って並べて設けられているため、磁石221bが配置されたホルダ枠保持部223は、コイル211bに電流を流すと、コイル211bが配置された固定枠212に対して、第1回転軸方向A1を回転軸として回転する。
【0042】
ジンバル機構250の駆動機構である第2駆動部270は、ホルダ枠222の+Z方向側の端部に設けられた磁石221aと、磁石221aと対向する位置であって固定枠212の凹状の保護部212aに配置されるコイル211aと、を有している。なお、本実施例の光学ユニット1においては、磁石221a及びコイル211aを1つずつ設けているが、磁石221a及びコイル211aを複数設ける構成としてもよい。ここで、磁石221aはN極とS極とが概ねY軸方向に沿って並べて設けられているため、磁石221aが配置されたホルダ枠222は、コイル211aに電流を流すと、コイル211aが配置された固定枠212に保持されたホルダ枠保持部223に対して、第2回転軸方向A2を回転軸として回転する。
【0043】
このように、本実施例の光学ユニット1は、固定体210に対して可動体220を入射方向D1に沿う方向を第1回転軸方向A1として第1回転軸を基準に回転させる第1回転機構としてのジンバル機構240を備えている。ここで、ジンバル機構240は、入射方向D1におけるプリズム10の反射面10aよりも先方側の位置に設けられ、可動体220に第1回転軸方向A1に延設される第1回転軸として第1軸部241a及び第2軸部241bが設けられている。そして、固定体210に第1回転軸方向A1に沿って回転可能に保持する保持部としての固定枠212及び底部215が設けられている。すなわち、本実施例の光学ユニット1の構成は、入射方向D1において反射面10aよりも手前側に第1回転機構の構成部材を有さず、さらに、反射方向D2における反射面10aと撮像素子103aとの間に第1回転機構の構成部材を有さない。
【0044】
本実施例の光学ユニット1は、このような構成となっていることで、入射光束を邪魔しない位置にジンバル機構240が設けられている。したがって、本実施例の光学ユニット1は、入射光束を邪魔することなく撮像素子103aに届けることができる。なお、本実施例のジンバル機構240は、入射方向D1を第1回転軸として固定体210に対して可動体220を回転させる回転機構であるが、反射方向D2に沿う方向を第1回転軸として固定体210に対して可動体220を回転させる回転機構としてもよい。その場合、ジンバル機構240は、反射方向D2における反射面10aよりも後方側の位置に設けられれば、すなわち、ジンバル機構240の配置と第2駆動部270の配置とが逆になれば、上記本実施例の光学ユニット1の技術的特徴と同様の技術的特徴を有することとなる。
【0045】
本実施例の光学ユニット1においては、保持部としての固定枠212及び底部215は、図5で表されるように、第1回転軸としての第1軸部241a及び第2軸部241bを第1回転軸方向A1に設けられる凹部245a及び245bで挟んで保持する構成となっている。本実施例の光学ユニット1は、保持部をこのような構成としていることで、保持部の構成を簡単にしている。ただし、このような構成に限定されない。第1軸部241a及び第2軸部241bの先端に凹部を形成し、該凹部を第1回転軸方向A1において外側から凸部で挟んで保持する構成などとしてもよい。
【0046】
なお、本実施例の光学ユニット1においては、ホルダ枠保持部223が固定枠212に対して第1回転軸方向A1に回転しすぎると、ホルダ枠保持部223の衝撃に対して強い部分が固定枠212の衝撃に対して強い部分に対して接触する構成となっている。別の表現をすると、本実施例の光学ユニット1は、固定体210が可動体220の可動量を規制する構成となっている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成となっていることで、可動体220の一部の構成部材が固定体210の一部の構成部材に衝突していずれかを破損させるなど、可動体220が移動しすぎることによる弊害を抑制している。
【0047】
また、保持部としての底部215は、凹部245aが設けられる板バネ244を有する。このような構成とすることで、第1回転軸としての第1軸部241aを押圧しつつ適切な状態で回転可能に保持することができる。
【0048】
また、固定体210は可動体220の少なくとも一部を覆うカバー部としての底部215を有し、板バネ244は底部215に形成されている。このような構成とすることで、カバー部としての底部215の開閉により固定体210の内部に可動体220の一部を構成するホルダ枠保持部223を簡単にセットすることができるとともに、保持部(底部215)の構成を簡単にすることができる。
【0049】
また、上記のように、可動体220は、第1回転軸の延設方向である第1回転軸方向A1と交差する交差方向である第2回転軸方向A2を第2回転軸の延設される方向(凸部225bの突出する方向)としてホルダ枠222とともに反射部としてのプリズム10を回転可能に支持する第2回転機構としてのジンバル機構250を備えている。このような構成とすることで、可動体220を固定体210に対して2軸に回転させることができ、可動体220の可動範囲を広くすることができる。そして、図4から図7で表されるように、板バネ244は、第1回転軸方向A1(Y軸方向)及び第2回転軸方向A2(X軸方向)の両方向とともに交差するZ軸方向の端部244aで固定体210の一部である底部215に固定され、端部244aとは異なる位置に設けられた接触部としての凹部245aで第1回転軸である第1軸部241aを保持する構成となっている。このように、板バネ244を第1回転軸方向A1及び第2回転軸方向A2の両方向とともに交差する方向に延設する構成とすることで、板バネの押圧による撓みで可動部が傾いても、第2回転機構としてのジンバル機構250で補正することができる。
【0050】
図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、反射方向D2における反射面10aよりも後方側の位置における可動体220と対向する対向位置(保護部212aの形成位置)に、第2駆動部270の一部であるコイル211aが設けられている。そして、該対向位置には、可動体220が、固定体210に設けられたコイル211aと、接触することを抑制する保護部212aが形成されている。すなわち、固定体210には、第2回転機構(ジンバル機構250)を駆動するコイル211aが設けられ、可動体220には、コイル211aと対向する位置に磁石221aが設けられ、コイル211aと磁石221aとの間の位置には、コイル211aと可動体220とが接触することを抑制する保護部212aが形成されている。このような構成とすることで、移動範囲が大きくなった可動体220が、コイル211aへ衝突することを回避することができる。
【0051】
上記について別の観点から説明すると、固定体210における、入射方向D1における反射面10aよりも先方側の位置、または、反射方向D2における反射面10aよりも後方側の位置、のうちのジンバル機構240が設けられていない方の可動体220と対向する対向位置に、ジンバル機構240を駆動する第1駆動部260の少なくとも一部、または、ジンバル機構250を駆動する第2駆動部270の少なくとも一部が設けられる。ここで、該対向位置は、ジンバル機構240及びジンバル機構250の両方の回転軸で可動体220が移動することに伴い、可動体220の移動範囲が大きくなる領域に該当する。そして、該対向位置には、可動体220が、固定体210に設けられた第1駆動部260の少なくとも一部または第2駆動部270の少なくとも一部と、接触することを抑制する保護部212aが形成されている。このような構成とすることで、2軸で回転することに伴い移動範囲が大きくなった部分が、第1駆動部260の少なくとも一部または第2駆動部270の少なくとも一部に衝突して、例えばコイルなど第1駆動部260の少なくとも一部または第2駆動部270の少なくとも一部を破損させることを抑制することができる。
【0052】
また、図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、第1回転軸は、第1回転軸方向A1においてホルダ枠保持部223(可動体220)の一部をなす壁部242を挟んで、第1軸部241a及び第2軸部241bを有している。そして、第1軸部241a及び第2軸部241bは、ともに、壁部242に接触している。このような構成とすることで、第1軸部241a及び第2軸部241bを可動体220にしっかりと固定でき、第1回転軸が変位することを抑制できる。
【0053】
[実施例2]
次に、実施例2の光学ユニット1について図8から図11を用いて説明する。ここで、図8は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の斜視断面図であり、実施例1の光学ユニット1における図5に対応する図である。また、図9は本実施例の光学ユニット1の第1回転軸241の斜視図であり、図10及び図11はそれぞれ本実施例の光学ユニット1の回転軸保持部243の平面図及び側面断面図である。なお、各図において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0054】
図5で表されるように、実施例1の光学ユニット1においては、第1軸部241a及び第2軸部241bの2つの構成部材により第1回転軸241を形成していた。一方、図8及び図9で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、第1回転軸241を1つの軸部241cで形成している。
【0055】
すなわち、本実施例の光学ユニット1は、第1回転軸241の延設方向(Y軸方向)において1つの軸部241cが貫通した状態で、軸部241cを軸支持部としての回転軸保持部243で支持する構成である。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、第1回転軸241を1つの構成部材で形成できており、光学ユニット1の構成の簡略化及び低コスト化を実現している。
【0056】
ここで、実施例1の光学ユニット1においては、図9で表される滑らかな外側表面2411を有する軸部241cと、図10及び図11で表される滑らかな内側表面2431aの貫通孔2431を有する回転軸保持部243と、を備えている。このような構成は、簡単かつ低コストで製造できるという利点がある一方、軸部241cが回転軸保持部243に対してY軸方向にずれやすい場合がある。第1回転軸241及び貫通孔2431の製造公差により、第1回転軸241が貫通孔2431に対して大きすぎると第1回転軸241が貫通孔2431に挿入できなくなるため、第1回転軸241を貫通孔2431に対して少し小さく製造必要があり、第1回転軸241を貫通孔2431に対して小さく製造することで、第1回転軸241が貫通孔2431に対してずれやすくなるためである。そこで、以下に、第1回転軸241を1つの構成部材で形成する構成であって、第1回転軸241が回転軸保持部243に対してY軸方向にずれにくい構成の実施例について説明する。
【0057】
[実施例3]
以下に、実施例3の光学ユニット1について図12を用いて説明する。ここで、図12は、本実施例の光学ユニット1の第1回転軸241(軸部241d)の斜視図であり、実施例2の光学ユニット1における図9に対応する図である。なお、各図において上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、第1回転軸241の構成以外はすべて実施例2の光学ユニット1と同様の構成である。したがって、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1及び実施例2の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1及び実施例2の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0058】
図12で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、軸部241dの外側表面2411にずれ抑制構造2412としての凹凸2412aが形成されている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、回転軸保持部243の支持面である内側表面2431aと第1回転軸241の接触面である外側表面2411との摩擦力を向上することができ、第1回転軸241が回転軸保持部243の所定の支持位置からY軸方向にずれることを効果的に抑制することができる。
【0059】
本実施例の光学ユニット1のように、第1回転軸241に、軸支持部(回転軸保持部243)に対して第1回転軸241の延設方向(Y軸方向)にずれることを抑制する、ずれ抑制構造2412が形成されている構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、光学ユニット1に衝撃などが加わった場合においても、第1回転軸241が軸支持部の所定の支持位置からずれることを抑制することができるためである。
【0060】
[実施例4]
以下に、実施例4の光学ユニット1について図13及び図14を用いて説明する。ここで、図13及び図14はそれぞれ本実施例の光学ユニット1の回転軸保持部243の平面図及び側面断面図であり、実施例2の光学ユニット1における図10及び図11に対応する図である。なお、各図において上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、回転軸保持部243の構成以外はすべて実施例2の光学ユニット1と同様の構成である。したがって、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1から実施例3の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1から実施例3の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0061】
図13及び図14で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、回転軸保持部243は、貫通孔2431の内側表面2431bに、Y軸方向(第1回転軸241の延設方向)に沿うリブ2432が形成されている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、例えば、リブ2432をつぶしながら回転軸保持部243の貫通孔2431に第1回転軸241としての軸部241cを圧入することができ、軸部241cが回転軸保持部243に確りと固定されない状態となることや軸部241cが回転軸保持部243に挿入できないことを抑制できる。また、リブ2432間の溝部2433に接着剤を注入することができ、軸部241cを回転軸保持部243に特に確りと固定することができる。
【0062】
また、本実施例の光学ユニット1においては、回転軸保持部243に軸部241cを支持させる際、貫通孔2431の-Y方向側の挿入口2434から軸部241cを貫通孔2431に挿入する。ここで、図14で表されるように、リブ2432は挿入口2434側(-Y方向側)の端部がテーパー形状となっている。このように、第1回転軸241の延設方向の少なくとも一方の端部においてリブ2432をテーパー形状とすることで、回転軸保持部243における第1回転軸241の挿入口2434を広くすることができ、回転軸保持部243に第1回転軸241を容易に挿入することができる。なお、挿入口2434が貫通孔2431の+Y方向側に設けられる場合は、リブ2432は+Y方向側の端部がテーパー形状となっていることが好ましい。さらには、リブ2432の-Y方向側の端部と+Y方向側の端部との両方がテーパー形状となっていれば、-Y方向側及び+Y方向側のどちらからも第1回転軸241を貫通孔2431に挿入しやすくなる。
【0063】
[実施例5]
以下に、実施例5の光学ユニット1について説明する。実施例5の光学ユニット1は、第1回転軸241として実施例3の光学ユニット1と同様の軸部241d(図12参照)を有し、回転軸保持部243として実施例4の光学ユニット1と同様の回転軸保持部243(図13及び図14参照)を有している。このため、実施例3及び実施例4の光学ユニット1に対して、さらに、第1回転軸241を回転軸保持部243に特に確りと固定することができる構成となっている。なお、本実施例の光学ユニット1は、上記部分の構成以外は、実施例1から実施例4の光学ユニット1と同様の構成である。このため、上記部分以外においては、実施例1から実施例4の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0064】
[実施例6]
以下に、実施例6の光学ユニット1について図15及び図16を用いて説明する。ここで、図15は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の斜視断面図であり、実施例1の光学ユニット1における図5に対応する図である。また、図16は、本実施例の光学ユニット1の回転軸保持部243周辺の正面断面図である。なお、各図において上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、第1回転軸241及び回転軸保持部243の構成以外はすべて実施例1から実施例5の光学ユニット1と同様の構成である。したがって、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1から実施例5の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1から実施例5の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0065】
図15及び図16で表されるように、本実施例の回転軸保持部243は、実施例1から実施例5の光学ユニット1における回転軸保持部243に比べ、Y軸方向における厚みが薄く形成されている。そして、本実施例の第1回転軸241としての軸部241eは、図16で表されるように、回転軸保持部243における-Y方向側の表面243aに対して+Y方向側の面2412bが当接するようにY軸方向と交差する方向に突出した、凸部2413が形成されている。ここで、凸部2413における軸部241eの面2412bは、軸支持部(回転軸保持部243)に対して第1回転軸241の延設方向(Y軸方向)にずれることを抑制する、ずれ抑制構造2412の役割をしている。
【0066】
すなわち、本実施例の光学ユニット1においては、ずれ抑制構造2412は、第1回転軸241の延設方向における軸支持部の端部である表面243aに当接する凸部2413である。本実施例の光学ユニット1は、このような構成のずれ抑制構造2412を備えることで、凸部2413を軸支持部の端部に当接するという簡単な構成で、第1回転軸241が軸支持部の所定の支持位置からずれることを効果的に抑制することができる。
【0067】
なお、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、軸部241eに対して+Y方向に力が加わっても、軸部241eの面2412bが回転軸保持部243の表面243aに当接していることで、軸部241eが+Y方向にずれることが抑制される。ここで、図16で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、軸部241eの-Y方向の移動を規制することが可能な凹部245bは、縁部2451がルーフ部216の取り付け部2161に固定されている。したがって、本実施例の光学ユニット1においては、軸部241eに対して-Y方向に力が加わっても、軸部241eが凹部245bを介してルーフ部216の取り付け部2161に規制されていることで、軸部241eが-Y方向にずれることが抑制される。
【0068】
[実施例7]
以下に、実施例7の光学ユニット1について図17及び図18を用いて説明する。ここで、図17は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の斜視断面図であり、実施例1の光学ユニット1における図5に対応する図である。また、図18は、本実施例の光学ユニット1の第1回転軸241の概略図であり、実施例2の光学ユニット1における図9に対応する図である。なお、各図において上記実施例1から実施例6と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、第1回転軸241の構成以外はすべて実施例6の光学ユニット1と同様の構成である。したがって、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1から実施例6の光学ユニット1と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1から実施例6の光学ユニット1と同様の技術的特徴を有する。
【0069】
図17及び図18で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、第1回転軸241としての軸部241fは、Y軸方向と交差する方向に凹む凹部2412cが設けられている。そして、本実施例の光学ユニット1は、図17で表されるように、凹部2412cがY軸方向において回転軸保持部243を挟み込む構成となっている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成となっていることで、軸部241fが回転軸保持部243に対して第1回転軸241の延設方向(Y軸方向)にずれないようになっている。
【0070】
すなわち、本実施例の光学ユニット1においては、ずれ抑制構造2412は、第1回転軸241の延設方向における軸支持部の端部に当接する凹部2412cである。本実施例の光学ユニット1は、このような構成のずれ抑制構造2412を備えることで、凹部2412cを軸支持部の端部に当接するという簡単な構成で、第1回転軸241が軸支持部の所定の支持位置からずれることを効果的に抑制することができる。
【0071】
なお、本実施例の光学ユニット1においては、回転軸保持部243を含めホルダ枠保持部223は樹脂製であり多少の弾性を有する。このため、軸部241fを回転軸保持部243に取り付ける際は、回転軸保持部243の貫通孔2431を広げつつ挿入口2434から軸部241fを挿入することができる。そして、軸部241fが所定位置に挿入されたことに伴って、貫通孔2431の広がりが元に戻り、軸部241fの凹部2412cに回転軸保持部243の貫通孔2431の周囲部分が嵌り、軸部241fが回転軸保持部243に対して固定される。
【0072】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…光学ユニット、10…プリズム(反射部)、10a…反射面、10b…入射面、10c…出射面、30…コイルバネ、31…ストッパー、100…スマートフォン、101…レンズ、102…レンズ、103…基板、103a…撮像素子、104…カメラ、200…反射ユニット、210…固定体、211a…コイル、211b…コイル、212…固定枠(保持部)、212a…保護部、212b…開口部、212c…開口部、213…FFC、214…コイル保持部、215…底部(カバー部、保持部)、216…ルーフ部、220…可動体、221a…磁石、221b…磁石、222…ホルダ枠、222b…磁石保持部、223…ホルダ枠保持部、223b…磁石保持部、224…板金、224b…凹部、225…板金、225b…凸部(第2回転軸)、240…ジンバル機構(第1回転機構)、241…第1回転軸、241a…第1軸部(第1回転軸)、241b…第2軸部(第1回転軸)、241c…軸部、241d…軸部、241e…軸部、242…壁部、243…回転軸保持部(軸支持部)、243a…表面、244…板バネ、244a…端部、245a…凹部(接触部)、245b…凹部、250…ジンバル機構(第2回転機構)、260…第1駆動部、270…第2駆動部、2161…取り付け部、2411…外側表面、2412…ずれ抑制構造、2412a…凹凸、2412b…面、2412c…凹部、2413…凸部、2431…貫通孔、2431a…内側表面、2431b…内側表面、2432…リブ、2433…溝部、2434…挿入口、2451…縁部、D1…入射方向、D2…反射方向、Y…ヨーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18