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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
G03G21/00 510
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020212491
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098854
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 公孝
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-250095(JP,A)
【文献】特開2013-125060(JP,A)
【文献】特開2019-191568(JP,A)
【文献】特開2019-086594(JP,A)
【文献】特開2010-049131(JP,A)
【文献】特開2017-215417(JP,A)
【文献】特開2013-044865(JP,A)
【文献】特開2016-001229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0286039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持するための像担持体が取り外し可能に装着される画像形成装置であって、
前記像担持体に担持されたトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、
前記中間転写体の表面のトナー像を検知するためのトナー検知手段と、
前記像担持体を露光するための露光装置と、
前記露光装置が第1の露光動作と前記第1の露光動作から所定の時間を空けて第2の露光動作を行うように、前記露光装置を制御する形成手段と、
前記中間転写体の表面に形成されたトナー像が前記トナー検知手段により検知されたか否かに基づいて前記像担持体の装着状態を判断する判断手段と、
を備え、
前記像担持体が装着されている場合に、前記第1の露光動作によって第1のトナー像を含む第1パターンが形成され、前記第2の露光動作によって第2のトナー像を含む第2パターンが形成され、前記中間転写体の回転方向において、前記第2パターンは、前記第1パターンから所定の間隔を空けて形成され、
前記判断手段は、前記第1パターンと前記第2パターンとが前記トナー検知手段により検知された場合に前記像担持体が装着されていると判断し、前記第1パターンまたは前記第2パターンの少なくともいずれかが前記トナー検知手段によって検知されなかった場合に、前記像担持体が装着されていないと判断し、
前記第1パターンは、前記回転方向に直交する方向に並べられた複数の前記第1のトナー像を含み、前記第2パターンは、前記回転方向に直交する方向に並べられた複数の前記第2のトナー像を含み、
前記判断手段は、前記複数の前記第1のトナー像のいずれかが前記トナー検知手段によって検知され、かつ前記複数の前記第2のトナー像のいずれかが前記トナー検知手段によって検知された場合に、前記像担持体が装着されていると判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー検知手段は、前記中間転写体の表面のトナー像の有無を光学的に検知するように構成され、
前記中間転写体は、無端状のベルトであり、第1の部分と、前記第1の部分とは光学的特性が異なる第2の部分と、を有し、
前記所定の間隔は、前記回転方向における前記第2の部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー検知手段は、前記中間転写体の表面のトナー像の有無を光学的に検知するように構成され、
前記中間転写体は、無端状のベルトであり、第1の部分と、前記第1の部分とは光学的特性が異なる第2の部分と、を有し、
前記所定の時間は、前記回転方向における前記第2の部分の長さを、前記中間転写体の表面の移動速度で除した時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナーを収容するトナー容器と、
前記中間転写体の寿命を予測する第1の予測手段と、
前記像担持体の寿命を予測する第2の予測手段と、
前記トナー容器に収容されたトナー量を予測する第3の予測手段と、
前記第2の部分の位置を検知する位置検知手段と、
を備え、
前記第3の予測手段が予測したトナー量が所定のトナー量よりも少なく、前記第1の予測手段が予測した前記中間転写体の寿命が第1の値より大きく、かつ、前記第2の予測手段が予測した前記像担持体の寿命が第2の値よりも大きい場合は、前記第2の部分の位置を避けるように前記回転方向について1つの検知用トナー像が形成され、
前記判断手段は、前記トナー検知手段により前記検知用トナー像が検知された場合に、前記像担持体が装着されていると判断することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー検知手段は、前記回転方向に直交する方向における第1検知位置に配置された第1検知手段と、第2検知位置に配置された第2検知手段と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナー像を担持するための像担持体が取り外し可能に装着される画像形成装置であって、
無端状のベルトであり、第1の部分と、前記第1の部分とは光学的特性が異なる第2の部分と、を有し、前記像担持体に担持されたトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、
前記中間転写体の表面のトナー像を光学的に検知するためのトナー検知手段と、
前記像担持体を露光するための露光装置と、
前記露光装置が露光動作を行うように、前記露光装置を制御する形成手段と、
前記中間転写体の表面に形成されたトナー像が前記トナー検知手段により検知されたか否かに基づいて前記像担持体の装着状態を判断する判断手段と、
前記中間転写体の回転方向における前記第2の部分の長さに応じて、前記回転方向に並べられる検知用トナー像の個数を決定する決定手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記決定手段により決定された前記個数の前記検知用トナー像のすべてが前記トナー検知手段によって検知された場合に、前記像担持体が装着されていると判断し、前記個数の前記検知用トナー像のいずれかが前記トナー検知手段によって検知されなかった場合に、前記像担持体が装着されていないと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記回転方向における前記第2の部分の長さを検知する長さ検知手段を備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記長さ検知手段により検知された前記第2の部分の長さが所定の値以上である場合には前記個数を2個に決定し、前記第2の部分の長さが前記所定の値未満である場合には前記個数を1個に決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記個数を前記2個に決定した場合に、前記2個の前記検知用トナー像の間隔が、前記長さ検知手段により検知された前記第2の部分の長さよりも長くなるように、前記間隔を決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記個数を前記1個に決定した場合に、前記1個の前記検知用トナー像の前記回転方向における長さが、前記長さ検知手段により検知された前記第2の部分の長さよりも長くなるように決定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナー検知手段は、前記回転方向に直交する方向における第1検知位置に配置された第1検知手段と、第2検知位置に配置された第2検知手段と、を含むことを特徴とする請求項から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検知用トナー像は、前記第1検知位置と前記第2検知位置のうち、いずれかにおいて検知可能となるように形成されることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記決定手段により前記個数が2個に決定された場合に、前記検知用トナー像の一方が前記第1検知位置に対応する位置に形成され、前記検知用トナー像の他方が前記第2検知位置に対応する位置に形成されることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記中間転写体の表面に、前記回転方向に直交する方向に並べられた複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記トナー検知手段は、前記中間転写体の表面に光を照射する照射部と、反射光を受光する受光部と、を有し、前記中間転写体又は前記中間転写体の表面に形成されたトナー像を光学的に検知することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、印刷装置、例えば複写機・レーザビームプリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用した画像形成装置として、中間転写体を用いた画像形成装置がある。トナー像は中間転写体から転写材へ転写されるが、トナー像の全てが転写材へ転写されるわけではない。このため、中間転写体上に残留したトナー(以下、残トナーという)を除去(クリーニング)する必要がある。クリーニング方式としてはブレードクリーニング方式が広く採用されており、クリーニングブレードの耐摩耗性を向上させるため、中間転写体表面に凹凸形状を付与する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、電子写真方式を利用した画像形成装置では、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とする方式が採用されている。着脱可能とする方式を採用している画像形成装置では、ユーザにプロセスカートリッジの装着状態を報知する必要がある。例えば、プロセスカートリッジから中間転写体上に転写されたトナー像の有無を、トナーを検知するセンサで検知することでプロセスカートリッジの装着状態を判断するトナー像検知方式の技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-250355号公報
【文献】特開2006-154519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナー像検知方式によるプロセスカートリッジの装着検知では、中間転写体表面に特性が局所的に変化する領域が存在している場合、センサの出力が局所的に変化するおそれがある。例えば、光学的にトナー像を検知するセンサを用いる場合には、中間転写体表面に光学的特性が局所的に変化する領域が存在している場合、センサの出力が局所的に変化するおそれがある。結果として、その領域をトナー像が形成された領域であると誤検知するおそれがある。
【0006】
その対策として、特性が変化する領域の大きさを想定し、想定される大きさよりも大きなトナー像を形成し、形成したはずの大きさのトナー像が検知できれば、プロセスカートリッジが装着されていると判断することができる。しかしこの場合、より大きなトナー像を形成する必要がある。
【0007】
また、別の対策として、特性が変化する領域を避けるようにトナー像を形成することで、その領域の影響を受けずにプロセスカートリッジの装着検知を実施することが考えられる。しかしこの場合、その領域を避けてトナー像を形成するには、その領域の位置を特定する必要がある。例えば、トナーを検知するセンサでその領域の位置を特定可能な形態においては、少なくとも中間転写体を1回転させる必要がある。その結果、プロセスカートリッジの装着検知の実行時間が長くなってしまう。さらに、プロセスカートリッジ及び中間転写体の寿命への影響が懸念される。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、トナーの消費を抑えつつ、プロセスカートリッジの装着検知の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)トナー像を担持するための像担持体が取り外し可能に装着される画像形成装置であって、前記像担持体に担持されたトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、前記中間転写体の表面のトナー像を検知するためのトナー検知手段と、前記像担持体を露光するための露光装置と、前記露光装置が第1の露光動作と前記第1の露光動作から所定の時間を空けて第2の露光動作を行うように、前記露光装置を制御する形成手段と、前記中間転写体の表面に形成されたトナー像が前記トナー検知手段により検知されたか否かに基づいて前記像担持体の装着状態を判断する判断手段と、を備え、前記像担持体が装着されている場合に、前記第1の露光動作によって第1のトナー像を含む第1パターンが形成され、前記第2の露光動作によって第2のトナー像を含む第2パターンが形成され、前記中間転写体の回転方向において、前記第2パターンは、前記第1パターンから所定の間隔を空けて形成され、前記判断手段は、前記第1パターンと前記第2パターンとが前記トナー検知手段により検知された場合に前記像担持体が装着されていると判断し、前記第1パターンまたは前記第2パターンの少なくともいずれかが前記トナー検知手段によって検知されなかった場合に、前記像担持体が装着されていないと判断し、前記第1パターンは、前記回転方向に直交する方向に並べられた複数の前記第1のトナー像を含み、前記第2パターンは、前記回転方向に直交する方向に並べられた複数の前記第2のトナー像を含み、前記判断手段は、前記複数の前記第1のトナー像のいずれかが前記トナー検知手段によって検知され、かつ前記複数の前記第2のトナー像のいずれかが前記トナー検知手段によって検知された場合に、前記像担持体が装着されていると判断することを特徴とする画像形成装置。
(2)トナー像を担持するための像担持体が取り外し可能に装着される画像形成装置であって、無端状のベルトであり、第1の部分と、前記第1の部分とは光学的特性が異なる第2の部分と、を有し、前記像担持体に担持されたトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、前記中間転写体の表面のトナー像を光学的に検知するためのトナー検知手段と、前記像担持体を露光するための露光装置と、前記露光装置が露光動作を行うように、前記露光装置を制御する形成手段と、前記中間転写体の表面に形成されたトナー像が前記トナー検知手段により検知されたか否かに基づいて前記像担持体の装着状態を判断する判断手段と、前記中間転写体の回転方向における前記第2の部分の長さに応じて、前記回転方向に並べられる検知用トナー像の個数を決定する決定手段と、を備え、前記判断手段は、前記決定手段により決定された前記個数の前記検知用トナー像のすべてが前記トナー検知手段によって検知された場合に、前記像担持体が装着されていると判断し、前記個数の前記検知用トナー像のいずれかが前記トナー検知手段によって検知されなかった場合に、前記像担持体が装着されていないと判断することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナーの消費を抑えつつ、プロセスカートリッジの装着検知の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1~実施例3の画像形成装置の概略構成図
図2】実施例1~実施例3の中間転写ベルトの拡大模式図
図3】実施例1~実施例3の濃度センサ及び出力電圧の概略説明図
図4】実施例1~実施例3の正反射受光素子による出力電圧の詳細説明図
図5】実施例1~実施例3のハードウェア構成図
図6】実施例1の機能ブロック図、画像パターンの概略説明図
図7】実施例1の装着判断処理を示すフローチャート
図8】実施例1の装着判断処理を示すフローチャート
図9】実施例2の機能ブロック図、画像パターンの概略説明図
図10】実施例2の装着判断処理を示すフローチャート
図11】実施例2の装着判断処理を示すフローチャート
図12】実施例3の機能ブロック図、画像パターンの概略説明図
図13】実施例3の装着判断処理を示すフローチャート
図14】実施例3の装着判断処理を示すフローチャート
図15】実施例3の画像パターンの概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし特に記載の無い限り、実施形態に記載する構成部品の材質、形状、相対的位置等、限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0013】
(画像形成装置 概要)
図1は実施例1の画像形成装置200の概略構成図である。画像形成装置200は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置200は、コントローラ202から入力される画像情報に従って、記録材203にフルカラー画像を形成する。
【0014】
画像形成装置200は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に画像形成ステーションSY、SM、SC、SKを有する。画像形成ステーションSYは、プロセスカートリッジ204Yと、中間転写体である回転可能な中間転写ベルト205と、1次転写ローラ206Yとを有する。中間転写ベルト205は、無端状のベルトであり、図示矢印A方向(反時計回り方向)に回転する。1次転写ローラ206Yは、中間転写ベルト205を介してプロセスカートリッジ204Yと反対側に配置されている。
【0015】
各画像形成ステーションSY、SM、SC、SKは中間転写ベルト205の回転方向に並んで配置されており、形成する色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合はいずれかの色用に設けられた要素であることを表すための添え字Y、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
【0016】
画像形成装置200に対して着脱可能なプロセスカートリッジ204は、像担持体としての感光ドラム301を有する。言い換えれば、感光ドラム301、あるいはプロセスカートリッジ204は、画像形成装置200に対して取り外し可能に装着されている。画像形成装置200は、感光ドラム301を露光するための露光装置としてのスキャナユニット207を有する。なお、露光装置としては、発光ダイオード(LED)を用いた露光装置を用いることもできる。
【0017】
感光ドラム301は駆動部(不図示)により回転駆動される。帯電ローラ302は高電圧電源(不図示)から高電圧を印加されることで感光ドラム301表面を均一に帯電する。次に、スキャナユニット(露光装置、露光手段)207がコントローラ202に入力される画像情報を元に感光ドラム301へレーザ光を照射し、感光ドラム301表面に静電潜像を形成する。
【0018】
トナー容器307はトナーを収容する。トナー容器307内のトナーは、撹拌機(不図示)によって、現像ローラ303へ供給される。現像ローラ303は駆動部(不図示)によって回転しており、表面にコートされた電荷を帯びたトナーが感光ドラム301表面の静電潜像に沿って付着することで静電潜像が可視像になる。以下、トナーによる可視像をトナー像と表記する。
【0019】
感光ドラム301の基層は接地されており、1次転写ローラ206は高電圧電源(不図示)によりトナーと逆極性の電圧が印加されている。そのため1次転写ローラ206と感光ドラム301との間のニップ部で転写電界が形成され、トナー像が感光ドラム301から中間転写ベルト205へ転写される。転写されずに感光ドラム301表面に残ったトナーはドラムクリーニングブレード304によって感光ドラム301から除去され、廃トナー容器305に集められる。
【0020】
中間転写ベルト205が図示矢印A方向に回転することで、各色の画像形成ステーションSで生成されたトナー像が中間転写ベルト205上に順次重畳して転写され、フルカラーのトナー像が形成されて搬送される。中間転写ベルト205は、対向ローラ(駆動ローラ)217によって駆動される。対向ローラ217の回転軸線方向は、中間転写ベルト205の回転軸線方向と呼ぶことができる。
【0021】
給紙カセット208には記録材203が積載収納されている。給紙スタート信号に基づき給紙ローラ209が駆動されることで記録材203は搬送路に給紙される。記録材203はレジストレーションローラ対(以下、レジストローラ対という)210を介して転写部材としての2次転写ローラ211と2次転写対向ローラ212との当接ニップ部(以下、2次転写部ともいう)に所定のタイミングで搬送される。具体的には、中間転写ベルト205上のトナー像の先端部と記録材203の先端部とが重なるタイミングで記録材203は搬送される。
【0022】
記録材203が2次転写ローラ211と2次転写対向ローラ212との間で狭持搬送される間、2次転写ローラ211には電源装置(不図示)からトナーと逆極性の電圧が印加される。2次転写対向ローラ212が接地されているため、2次転写ローラ211と2次転写対向ローラ212との間には転写電界が形成される。この転写電界により中間転写ベルト205から記録材203へとトナー像が転写される。
【0023】
記録材203は2次転写ローラ211と2次転写対向ローラ212との間のニップ部を通過した後、定着装置213にて加熱及び加圧処理を受ける。これにより記録材203上の未定着のトナー像は記録材203に定着する。その後、記録材203が排出口214から排出トレイ215へ搬送され、画像形成プロセスが完了となる。
【0024】
一方、2次転写部で転写されず中間転写ベルト205上に残ったトナーはクリーニング部材216にて中間転写ベルト205から除去され、中間転写ベルト205は再び画像形成が可能な状態にリフレッシュ(清掃)される。クリーニング部材216は例えば弾性体のクリーニングブレードを採用しており、中間転写ベルト205に当接するように押圧されている。中間転写ベルト205が回転しているのに対しクリーニング部材216は停止しているため、クリーニング部材216と中間転写ベルト205との間の当接面は摺動されている。この摺擦により中間転写ベルト205上に残るトナーは剥ぎ取られる。
【0025】
また、ユーザは、画像形成装置200のアクセスドア(不図示)を開けることでプロセスカートリッジ204にアクセス可能になる。ユーザは、アクセスドアを開けてプロセスカートリッジ204を図1の手前側に引き抜くことで、プロセスカートリッジ204を画像形成装置200から取り外すことができる。また、ユーザは、プロセスカートリッジ204を画像形成装置200に装着することが可能である。
【0026】
画像形成装置200は、プロセスカートリッジ204(又は感光ドラム301)が装着されているか否かを検知し、装着状態を通知するメッセージを表示部230に表示する。さらに、画像形成装置200は、後述する濃度センサ218及び対向ローラ217を有している。
【0027】
(中間転写ベルト構成)
図2に中間転写ベルト205表面の一部を拡大した概略説明図を記す。実施例1の中間転写ベルト205は、クリーニング部材216表面の耐摩耗性を向上するため、中間転写ベルト205表面に微細な凹凸形状(以下、微細凹凸形状という)が形成されている。微細凹凸形状の加工方法として、研磨加工、切削加工、インプリント加工などが一般的に知られているが、実施例1の構成では加工コストや生産性、形状の精度等の観点から例えばインプリント加工を採用する。
【0028】
インプリント加工金型(不図示)を中間転写ベルト205の表面に押し当て、その後中間転写ベルト205を回動方向(回転方向又は移動方向)Hに動かすことでインプリント加工は行われる。本実施例では、インプリント加工金型によって中間転写ベルト205の表面に凹部225が形成される。回動方向Hは、画像形成装置200に中間転写ベルト205が装着された状態における、中間転写ベルト205の回動方向(回転方向又は移動方向)Aと同じである。
【0029】
インプリント加工された中間転写ベルト205は、回動方向Hに延びる凹部225が、回動方向Hに直交するI方向において周期的に配置される。隣り合う凹部225同士の間には、凸部224が配置される。なお、凸部224は、中間転写ベルト205の表面のうち、凹部225が形成されていない部分である。凸部224も、回動方向Hに延びている。つまり、複数の凹部225と、複数の凸部224がI方向に並べられる。I方向について、凹部225と凸部224は、交互に配置される。凹部225、凸部224は、中間転写ベルト205の回動方向Hと平行に延びることが好ましい。後述する重複部228において、1つの凹部225の始端と終端が、I方向において重なることが好ましい。
【0030】
インプリント加工は、開始位置226から開始され、H方向に沿って、終了位置227まで行われる。H方向において、凹部225および凸部224を中間転写ベルト205の全周に形成するため、インプリント加工の終了位置227は、開始位置226を超えた位置に配置される。その結果、後述する光学的に特異な領域(以下、光学的特異領域という)としての第2の部分であるインプリント重複部(以下、単に重複部という)228が形成される。なお、中間転写ベルト205の回動方向Hにおいて、重複部228を除く部分、すなわち重複していない第1の部分を非重複部229という。重複部228の長さには、加工上、例えば3mm~25mmのばらつきがある。
【0031】
I方向について、開始位置226における凹部225の位置と、終了位置227における凹部225の位置には、高い確率でズレが生じている。その結果、重複部228において、凹部225の位置にはI方向にズレが生じる。これはインプリント加工中に中間転写ベルト205がI方向に動いてしまうことに起因する。このズレが生じると、I方向について、非重複部229に対して重複部228では凸部224の割合が減少し、凹部225の割合が増加する。また、重複部228では2回のインプリント加工が行われることになるため、非重複部229に対して凹部225の深さがより深くなる。
【0032】
これらの理由より、重複部228では、非重複部229と比べて光を照射したときに正反射方向への反射光量が減少する。つまり、重複部228の光学的特性は、非重複部229の光学的特性と異なる。
なお、凹部225の深さは中間転写ベルト205の層厚に対してかなり小さいこともあり、重複部228と非重複部229とで、トナー像の転写性には差はない。
【0033】
(濃度センサ構成)
図3(a)は、トナーの有無を検知するトナー検知手段である濃度センサ218の概略構成図であり、中間転写ベルト205の回動方向に直交する、濃度センサ218が配置された位置における断面図である。濃度センサ218は、中間転写ベルト205上のトナーの有無を、光学的に検知することができる。
トナー像は画像形成ステーションSにて中間転写ベルト205表面に転写された後、中間転写ベルト205の回転に伴って対向ローラ217の位置まで搬送される。中間転写ベルト205を境に対向ローラ217と逆側に濃度センサ218が配置されている。
【0034】
濃度センサ218は、センサユニット218Fとセンサユニット218Rの2つのセンサユニットから構成される。なお、以下の説明では、センサユニット218Fを濃度センサ218F、センサユニット218Rを濃度センサ218Rとする。濃度センサ218は、それぞれ中間転写ベルト205の回転方向に対して直交する方向(以下、長手方向と記述する)の中央から同じ距離だけ離れた位置に配置される。中間転写ベルト205の回転方向に対して直交する方向は、中間転写ベルト205の回転軸線方向と同じである。すなわち、濃度センサ218は、中間転写ベルト205の回転方向に直交する方向における第1検知位置に配置された第1検知手段である濃度センサ218Fと、第2検知位置に配置された第2検知手段である濃度センサ218Rと、を含む。以下、濃度センサ218Fを例に濃度センサ218の構成を説明する。
【0035】
濃度センサ218は、中間転写ベルト205の表面に光を照射する照射部と、反射光を受光する受光部と、を有し、中間転写ベルト205又は後述する画像パターンを光学的に検知する。具体的には、濃度センサ218Fは主に発光素子219Fと正反射受光素子220Fと乱反射受光素子221Fから構成される。発光素子219Fが例えば赤外光を発光し、その光がトナー像Tの表面で反射する。正反射受光素子220Fはトナー像Tの位置に対し正反射方向に配置されており、トナー像Tの位置での正反射光を検知する。乱反射受光素子221Fはトナー像Tに対し正反射方向以外の位置に配置されており、トナー像Tの位置での乱反射光を検知する。それぞれ検知した電圧値を正反射出力、乱反射出力と呼ぶ。
【0036】
図3(b)は濃度に対する正反射出力の変動と乱反射出力の変動、及びそれらから算出される出力電圧の変動を記した概略説明図である。図3(b)のグラフにおいて、横軸は濃度を示し、縦軸は濃度センサ218の出力電圧(センサ出力電圧)を示す。また、正反射出力を破線401で示し、乱反射出力を点線402で示し、濃度センサ218の出力(センサ出力)を実線403で示す。
【0037】
トナー像Tのトナー量が少ない場合は、平滑な中間転写ベルト205表面からの反射を多く検知するため、正反射出力は大きくなる。トナー像Tのトナーが増えると正反射出力は小さくなっていく。トナー像Tのトナー層数が1層以上になると中間転写ベルト205表面からの正反射成分がほぼ無くなるが、正反射出力には正反射成分に加えて乱反射成分も含まれるため、濃度が高い領域では正反射出力は単調には減少しない。一方、乱反射出力はトナー量に応じて単調に増加していくが、正反射出力に比べて変化量が小さい。正反射出力から乱反射出力をもとに得られる乱反射成分を除くことで濃度に対して相関のある出力(実線403)が得られる。以下、実線403を、センサ出力変動403という。
【0038】
図4(a)は、画像形成装置200の内部において、中間転写ベルト205の複数箇所にトナー像を形成したときの概略説明図である。図4(a)の矢印は中間転写ベルト205の回動方向(以下、回転方向ともいう)における位置(回転方向位置)[mm]を示し、中間転写ベルト205の基準となる位置(以下、基準位置という)を0mmとしている。
【0039】
トナー像501~トナー像503は、中間転写ベルト205の回転方向に等間隔で形成される。例えば、トナー像501は基準位置からの距離が200mmの位置に形成される。トナー像502は、基準位置から400mm、トナー像501からは200mm離れた位置に形成される。トナー像503は、基準位置から600mm、トナー像502からは200mm離れた位置に形成される。
【0040】
トナー像501~トナー像503が形成されたとき、重複部228が、トナー像501~503の間に位置する場合がある。例えば、トナー像502とトナー像503の間の位置、基準位置から400mmと600mmの間に重複部228が位置する場合がある。図4(a)では、重複部228は、例えば基準位置から500mmのところに位置している。
【0041】
図4(b)は、図4(a)の状態での濃度センサ218の出力電圧(センサ出力電圧)を示している。図4(b)において、横軸は中間転写ベルト205の回転方向の位置[mm]を示し、縦軸はセンサ出力電圧[V]を示す。横軸は図4(a)の横軸に対応している。
【0042】
トナー像を形成した200mm、400mm、600mm付近では、センサ出力が減少している。また、重複部228の位置に相当する500mm付近におけるセンサ出力も減少している。トナー像501~503が形成された部分と重複部228が存在する部分とを除き、中間転写ベルト205全周でのセンサ出力電圧が約2.5V程度である。それに対して、トナー像501~トナー像503及び重複部228の箇所では1.3V程度まで落ち込んでいる。
【0043】
すなわち、図4の場合は、センサ出力電圧の値を見ただけでは、電圧の低下がトナー像に起因するものか重複部228に起因するものかを判断することができない。なお、重複部228におけるセンサ出力電圧は、凹部225の割合、及び凹部225の深さに依存するため、インプリント加工時のばらつきにより変化する。
【0044】
(ハードウェアブロック図)
図5は、実施例1の画像形成装置200のハードウェアブロック図である。
プリンタ制御部700は、CPU703、ROM704、RAM705、ビデオインターフェイス702などの回路からなり、画像形成装置200内の各装置を制御するプログラムを実行する。
【0045】
コントローラ202は、ビデオインターフェイス702を介してプリンタ制御部700と接続され、ネットワークやプリンタケーブル等を介してホストコンピュータ701の設定に従いプリンタ制御部700への画像形成開始指示などを行う。コントローラ202は、ホストコンピュータ701からの印刷命令に従って、ビデオインターフェイス702を介してプリンタ制御部700へ、画像形成予約コマンドを送信する。コントローラ202は、画像形成可能な状態となったタイミングで、プリンタ制御部700へ画像形成開始コマンドを送信する。
【0046】
コントローラ202と表示部230とは通信が可能となっている。表示部230はプリンタ制御部700が示したメッセージを表示する。プリンタ制御部700は、コントローラ202からの画像形成予約コマンドの順に画像形成の実行準備を行い、コントローラ202からの画像形成開始コマンドを待つ。プリンタ制御部700は、画像形成開始コマンドを受信すると、コントローラ202に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力し、画像形成予約コマンドに従って印刷動作を開始する。
【0047】
次にCPU703に接続される各アクチュエータについて説明する。CPU703にはIOポート706を介して、現像モータ駆動回路710、高電圧電源駆動回路720、ドラムモータ駆動回路730、スキャナ駆動回路740、中間転写ベルト駆動回路750、濃度センサ入出力回路760が接続される。
【0048】
現像モータ駆動回路710は、現像モータ711を駆動し、現像ローラ303を回転する。高電圧電源駆動回路720は、高電圧電源721を駆動し、高電圧を帯電ローラ302と1次転写ローラ206(図5には不図示)に印加する。ドラムモータ駆動回路730は、ドラムモータ731を駆動し、感光ドラム301及び帯電ローラ302を回転する。スキャナ駆動回路740は、スキャナユニット207を駆動し、感光ドラム301表面にレーザ光を照射する。中間転写ベルト駆動回路750は、中間転写ベルトモータ751を駆動し、中間転写ベルト205を回転する。
【0049】
濃度センサ入出力回路760は、濃度センサ218の発光素子219を発光させ、正反射光及び乱反射光を正反射受光素子220及び乱反射受光素子221で受光する。受光した光は濃度センサ入出力回路760で電圧値に変換され正反射出力及び乱反射出力として、IOポート706を介して、CPU703に入力される。
【0050】
(機能ブロック図)
プリンタ制御部700の機能について、図6(a)の機能ブロック図を用いて説明する。プリンタ制御部700の機能は、CPU703がROM704に記憶されているプログラムやRAM705に記憶されているデータに基づき実行する。
【0051】
機能の詳細を順に説明する。画像パターン形成部807は、プロセスカートリッジ204及びスキャナユニット207を制御する。画像パターン形成部807は、プロセスカートリッジ204及びスキャナユニット207を駆動し、後述する画像パターンのトナー像を中間転写ベルト205に転写する。画像パターン形成部807は、中間転写ベルト205の表面に少なくとも1つのトナー像を含む画像パターンを形成する形成手段として機能する。中間転写ベルト制御部808は、中間転写ベルト205を回転させる。トナー検知部809は、濃度センサ218の正反射出力から乱反射成分を除いたセンサ出力[V]を取得する。
【0052】
(画像パターン)
図6(b)は、画像パターン形成部807が形成する画像パターンである。矢印は中間転写ベルト205の回転方向を示し、中間転写ベルト205を上から見た図を示す。また、図6(b)には長手方向(中間転写ベルト205の回転軸線方向)も矢印で示している。画像パターン900は、各色の画像パターン900Y、900M、900C、900Kを含む。
プロセスカートリッジ204が画像形成装置200に装着されている状態において、画像パターン形成部807がスキャナユニット207を制御することで、スキャナユニット207が露光動作を行い、画像パターン900が形成される。
【0053】
画像パターン900Yは、検知用画像であるトナー像900YF1、トナー像900YR1、トナー像900YF2、トナー像900YR2の4個のトナー像(検知用トナー像)を含む画像パターンである。トナー像900YF1、トナー像900YR1、トナー像900YF2、トナー像900YR2の大きさは、それぞれ10mm四方の正方形である。
また、長手方向におけるトナー像900YF1、トナー像900YF2の位置は、濃度センサ218Fで検知可能な位置である。長手方向におけるトナー像900YR1とトナー像900YR2の位置は、濃度センサ218Rで検知可能な位置である。
【0054】
言い換えれば、画像パターン900は、中間転写ベルト205の回転方向に並べられた2つのトナー像(900YF1、900YF2)と、中間転写ベルト205の回転方向に並べられた2つのトナー像(900RF1、900RF2)を含む。中間転写ベルト205の回転方向について、トナー像900YF2とトナー像900YF1との間隔、及びトナー像YR2とトナー像900YR1との間隔は、いずれも30mmである。ここで、間隔とは、中間転写ベルト205の回転方向における所定のトナー像の後端と、所定のトナー像の次に形成されるトナー像の先端との間の間隔をいう。
【0055】
画像パターン900M、900C、900Kについても、画像パターン900Yと同じ大きさ及び位置関係であり説明を省略し、図6(b)には対応する符号を付する。画像パターン900Y、900M、900C、900Kそれぞれの先端位置の間隔は、100mmである。これは、各色の感光ドラム301間の距離と同じである。全色同時にトナー像の形成を開始することで、中間転写ベルト205表面では100mmの間隔をあけて画像パターン900Y、900M、900C、900Kが形成される。画像パターンの位置や大きさの情報は、あらかじめROM704に記憶されている。
【0056】
ここで、回転方向に同色で並ぶ2つのトナー像のうち、濃度センサ218に先に到達する方のトナー像によって形成されるパターンを、第1パターンと呼ぶ。つまり、第1パターンとは、図6(b)の符号の下付き添え字の「1」が付されているトナー像によって形成されるパターンである。回転方向に同色で並ぶ2つのトナー像のうち、濃度センサ218に後に到達する方のトナー像によって形成されるパターンを、第2パターンと呼ぶ。つまり、第2パターンは、図6(b)の符号の下付き添え字の「2」が付されているトナー像によって形成されるパターンである。
【0057】
例えば画像パターン900Yにおいては、第1パターンは中間転写ベルト205の回転方向に直交する方向に並べられた複数の第1のトナー像(トナー像900YF1、トナー像900YR1)を含む。第2パターンは中間転写ベルト205の回転方向に直交する方向に並べられた複数の第2のトナー像(トナー像900YF2、トナー像900YR2)を含む。
【0058】
後述するように、装着判断部801は、複数の第1のトナー像のいずれかが濃度センサ218によって検知され、かつ複数の第2のトナー像のいずれかが濃度センサ218によって検知された場合に、プロセスカートリッジ204が装着されていると判断する。また、装着判断部801は、複数の第1のトナー像がすべて検知されない場合、または、複数の第2のトナー像がすべて検知されない場合、プロセスカートリッジ204が装着されていないと判断する。
【0059】
画像パターン形成部807は、スキャナユニット207が第1の露光動作と、第1の露光動作から所定の時間を空けて第2の露光動作を行うように、スキャナユニット207を制御する。第1の露光動作と、第2の露光動作によって、中間転写ベルト205の表面に、画像パターン900が形成される。
【0060】
画像形成装置200にプロセスカートリッジ204が装着されている場合に、第1の露光動作によって第1パターンが形成され、第2の露光動作によって第2パターンが形成される。第2パターンは中間転写ベルト205の回転方向において第1パターンから所定の間隔を空けて形成される。画像形成装置200にプロセスカートリッジ204が装着されていない場合には、第1の露光動作、第2の露光動作が行われても、中間転写ベルト205には第1パターンおよび第2パターンが形成されない。
【0061】
ここで、上述の所定の間隔は、中間転写ベルト205の回転方向における重複部228の長さよりも長い。つまり、上述の所定の時間は、中間転写ベルト205の回転方向における重複部228の長さを、中間転写ベルト205の表面の移動速度で除した時間よりも長い。
【0062】
図6(a)の説明に戻る。装着判断部801は、画像パターン900を中間転写ベルト205表面に形成し、濃度センサ218の出力に基づいて、プロセスカートリッジ204が装着されているか否かを判断する。装着判断部801は、画像パターン形成部807により中間転写ベルト205の表面に画像パターンを形成する動作を行った後に濃度センサ218により検知した結果に基づいて感光ドラム301の装着状態を判断する判断手段として機能する。表示制御部810は、装着判断部801の判断結果に基づいて、装着状態を示すメッセージを表示部230に表示する。
【0063】
(装着判断部801)
装着判断部801におけるプロセスカートリッジ204の装着判断について図7図8のフローチャートを用いて説明する。
装着判断部801は、アクセスドア(不図示)が閉じられたタイミングで図7のステップ(以下、Sとする)101以降の処理を開始する。
【0064】
S101で装着判断部801は、中間転写ベルト制御部808によって中間転写ベルト205の表面の移動速度が例えば80mm/秒となるように、中間転写ベルト205を回転させる。S102で装着判断部801は、画像パターン形成部807によって、画像パターン900の形成を開始する。S103で装着判断部801は、最初にプロセスカートリッジ204が装着されているか否かを判断するカラー(以下、判断カラーという)としてブラック(K)を設定する。なお、判断カラーをブラック(K)に設定することを、以下、判断カラーの初期化ともいう。このため、S103の処理は判断カラーをブラック(K)に初期化する処理である。
【0065】
S104で装着判断部801は、判断カラーのプロセスカートリッジ204の装着状態を判断する。S104の処理は図8で詳細に説明する。
S105で装着判断部801は、判断カラーを次の色(ブラックを除く他の色)に更新する。判断カラーの更新順序は、濃度センサ218に到達するトナー像の順であり、図6(b)の場合はK、C、M、Yの順に更新される。
【0066】
S106で装着判断部801は、全色のプロセスカートリッジ204の装着状態の判断が完了した(装着判断が終わった)か否かを判断する。S106で装着判断部801は、全色に対する判断が完了していないと判断した場合、処理をS104に戻し、完了したと判断した場合、処理をS107に進める。
【0067】
S107で装着判断部801は、中間転写ベルト制御部808によって中間転写ベルト205を停止する。S108で装着判断部801は、S104で判断したプロセスカートリッジ204の装着状態の判断結果に基づいたメッセージを、表示制御部810によって表示部230に表示し、図7の処理を終了する。
【0068】
表示制御部810は、例えば、S104の判断によってプロセスカートリッジ204が装着されていないと判断された場合には、装着されていないプロセスカートリッジ204の情報を表示部230に表示し、ユーザにプロセスカートリッジ204の装着を促す。また、表示制御部810は、例えば、S104の判断によって全てのプロセスカートリッジ204が装着されていると判断された場合には、画像形成装置200によって画像形成を行うことが可能である旨を表示部230に表示してもよい。
【0069】
(装着状態の判断処理)
図8のフローチャートは、図7のS104で実行される処理を示す。
装着判断部801は、中間転写ベルト205の移動(回動、回転)を管理するための回転カウンタを有しているものとする。
【0070】
また、装着判断部801は、濃度センサ218の検知結果(センサ出力)に基づき、中間転写ベルト205上にトナーがあると判断した場合にカウント動作を行うためのトナー有カウンタを有しているものとする。濃度センサ218は、濃度センサ218Fと濃度センサ218Rとを有しているため、トナー有カウンタは、それぞれのユニットに対応したトナー有カウンタFとトナー有カウンタRとを有するものとする。
【0071】
また、装着判断部801は、中間転写ベルト205上に画像パターンがあるか否かを判断するためのパターン有カウンタを有しているものとする。さらに、装着判断部801は、画像パターン形成部807に画像形成動作を行わせたことを管理するためのパターン形成カウンタを有するものとする。これらのカウンタは処理の開始前に0に初期化されるものとする。
【0072】
図8のフローチャートでは、装着判断部801は、例えば2ms周期で回転カウンタをカウントアップする。S204で装着判断部801は、濃度センサ218によって検知する検知パターンを第1パターンに設定する。上述のように、第1パターンとは、図6(b)で説明した、回転方向に同色で並ぶ2つのパターンのうち、濃度センサ218に先に到達する方のトナー像(図6(b)の符号の下付き添え字の「1」が付されているトナー像)によって形成されるパターンである。また、上述のように、図6(b)で説明した、回転方向に同色で並ぶ2つのトナー像のうち、濃度センサ218に後に到達する方のトナー像によって形成されるパターンを、第2パターンと呼ぶ。つまり、第2パターンは、図6(b)の符号の下付き添え字の「2」が付されているトナー像によって形成されるパターンである。
【0073】
S205で装着判断部801は、トナー像の先端が濃度センサ218の位置に到達するタイミングとトナー像の後端が濃度センサ218の位置に到達するタイミングを設定する。以下、トナー像の先端が濃度センサ218の位置に到達するタイミングをトナー像先端到達タイミングといい、トナー像の後端が濃度センサ218の位置に到達するタイミングをトナー像後端到達タイミングという。トナー像先端到達タイミングとトナー像後端到達タイミングは、判断カラーと検知パターンとに従って、例えば表1の値が設定される。この値は、中間転写ベルト205の回転開始を基準に各トナー像の先端及び後端が濃度センサ218に到達するときの回転カウンタの値を示す。
【0074】
【表1】
例えば、検知パターンが第1パターンに設定された場合は次のようになる。イエロー(Y
)のトナー像の先端が濃度センサ218の位置に到達するタイミングは回転カウンタが6
25のときであり、後端が濃度センサ218の位置に到達するタイミングは回転カウンタが688のときとなる。また、検知パターンが第2パターンである場合、イエロー(Y)のトナー像先端到達タイミングは回転カウンタが875のときであり、トナー像後端到達タイミングは回転カウンタが938のときとなる。
【0075】
S206で装着判断部801は、回転カウンタを参照し、回転カウンタの値がトナー先端到達タイミングに達したか否かを判断する。S206で装着判断部801は、トナー先端到達タイミングに達していないと判断した場合、処理をS206に戻し、達したと判断した場合、処理をS207に進める。
【0076】
S207で装着判断部801は、トナー検知部809が取得した濃度センサ218Fのセンサ出力(電圧値)をトナー有閾値と比較し、トナー有閾値より小さいか否かを判断する。S207で装着判断部801は、センサ出力がトナー有閾値よりも小さい場合、中間転写ベルト205上にトナーがあると判断して、処理をS208に進める。装着判断部801は、センサ出力がトナー有閾値以上である場合、中間転写ベルト205上にトナーがないと判断して、処理をS209に進める。S208で装着判断部801は、トナー有カウンタFをカウントアップする(トナー有カウンタF++と図示)。実施例1では、トナー有閾値は例えば1.8Vとする。装着判断部801は、S208でトナー有カウンタFをカウントアップした後、処理をS209に進める。
【0077】
同様に、S209で装着判断部801は、トナー検知部809が取得した濃度センサ218Rのセンサ出力をトナー有閾値と比較し、トナー有閾値より小さいか否かを判断する。S209で装着判断部801は、センサ出力がトナー有閾値よりも小さい場合、処理をS210に進め、センサ出力がトナー有閾値以上である場合、処理をS211に進める。S210で装着判断部801は、トナー有カウンタRをカウントアップする(トナー有カウンタR++と図示)。装着判断部801は、S210でトナー有カウンタRをカウントアップした後、処理をS211に進める。
【0078】
S211で装着判断部801は、回転カウンタを参照し、回転カウンタの値がトナー像後端検知タイミングに到達したか否かを判断する。S211で装着判断部801は、回転カウンタの値がトナー像後端検知タイミングに到達したと判断した場合、処理をS212に進め、到達していないと判断した場合、処理をS207に戻す。
【0079】
S212で装着判断部801は、トナー有カウンタFとトナー有カウンタRをそれぞれパターン有閾値と比較する。具体的には、装着判断部801は、トナー有カウンタFがパターン有閾値以上であるか否か、又は、トナー有カウンタRがパターン有閾値以上であるか否かを判断する。実施例1では、パターン有閾値を例えば38(=6mm相当)とする。S212で装着判断部801は、いずれかのトナー有カウンタがパターン有閾値以上であると判断した場合、処理をS213に進め、いずれのトナー有カウンタもパターン有閾値未満であると判断した場合、処理をS214に進める。
【0080】
S213で装着判断部801は、パターン有カウンタをカウントアップする(パターン有カウンタ++と図示)。
S214で装着判断部801は、パターン形成カウンタをカウントアップする(パターン形成カウンタ++と図示)。
【0081】
S215で装着判断部801は、パターン形成カウンタがパターン形成閾値以上か否かを判断する。S215で装着判断部801は、パターン形成カウンタがパターン形成閾値以上であると判断した場合、処理をS217に進め、パターン形成カウンタがパターン形成閾値未満であると判断した場合、処理をS216に進める。ここで、パターン形成閾値は、回転方向に並ぶ画像パターンの個数に対応し、実施例1では「2」である。検知パターンが第1パターンである場合、S215に到達した時には、パターン形成カウンタは1である。したがって、S216で装着判断部801は、検知パターンを第2パターンに設定し、処理をS205に戻してS205~S214を繰り返し実行する。検知パターンが第2パターンである場合、S215に到達した時には、パターン形成カウンタは2である。したがって、S215で装着判断部801は、処理をS217に進める。
【0082】
S217で装着判断部801は、パターン有カウンタとパターン形成閾値とを比較する。具体的には、装着判断部801は、パターン有カウンタがパターン形成閾値以上であるか否かを判断する。上述した様に、パターン形成閾値は、回転方向に並ぶ画像パターンの個数に対応し、実施例1では「2」である。S217で装着判断部801は、パターン有カウンタがパターン形成閾値以上であると判断した場合、処理を218に進め、パターン有カウンタがパターン形成閾値未満であると判断した場合、処理をS219に進める。
【0083】
つまり、検知パターンが第1パターンであるときと第2パターンであるときの両方でパターン有カウンタがカウントアップされた場合に、装着判断部801は、処理をS218に進める。検知パターンが第1パターンであるときと第2パターンであるときの少なくともいずれか一方でパターン有カウンタがカウントアップされなかった場合に、装着判断部801は、処理をS219に進める。
【0084】
S218で装着判断部801は、判断カラーのプロセスカートリッジ204は装着されていると判断し、図8の処理を終了する。つまり、装着判断部801は、濃度センサ218により回転方向に並ぶ第1パターン、第2パターンが検知された場合に、プロセスカートリッジ204(感光ドラム301)が装着されていると判断する。この場合、装着判断部801により、表示部230に、対応するプロセスカートリッジ204(感光ドラム301)が装着されていることを示す情報、もしくは画像形成動作が可能であることを示す情報を表示してもよい。なお、濃度センサ218によりトナー像を検知された場合とは、濃度センサ218の出力(電圧値)が、トナー像があることを示す所定の大きさとなった場合を意味する。
【0085】
S219で装着判断部801は、判断カラーのプロセスカートリッジ204は装着されていないと判断し、図8の処理を終了する。つまり、装着判断部801は、濃度センサ218により回転方向に並ぶ第1パターン、第2パターンの少なくともいずれか一方が検知されなかった場合に、プロセスカートリッジ204(感光ドラム301)が装着されていないと判断する。つまり、装着判断部801は、回転方向に並ぶ第1パターン、第2パターンのいずれか、もしくは両方が濃度センサ218によって検知されなかった場合に、プロセスカートリッジ204(感光ドラム301)が装着されていないと判断する。
【0086】
装着判断部801によりプロセスカートリッジ204(感光ドラム301)が装着されていないと判断された場合、表示部230に、対応するプロセスカートリッジ204(感光ドラム301)が装着されていないことを示す情報を表示してもよい。
なお、濃度センサ218によりトナー像が検知されなかった場合とは、濃度センサ218の出力(電圧値)が、トナー像があることを示す所定の大きさとならなかった場合を意味する。
【0087】
図4(b)で示したように、重複部228は、濃度センサ218のセンサ出力電圧値がトナー像を形成した箇所と同レベルまで減少する可能性がある。そのため、トナー像が形成されていないにもかかわらず、トナー像が形成されていると誤検知するおそれがある。
装着判断部801は、画像パターン900を形成する場合、各色のトナー像を中間転写ベルト205の回転方向について2か所に形成する。前述の通り、2か所のトナー像は所定の間隔である30mmの間隔をあけており、この間隔は、重複部228の想定される最大の長さ(=25mm)よりも長い。そのため、プロセスカートリッジ204が装着されている場合には、2か所のトナー像が共に重複部228の領域に形成されることはなく、いずれか一方は重複部228ではない位置に形成されることになる。
【0088】
プロセスカートリッジ204が装着されていない場合については以下のようになる。一方(例えば先頭)のトナー像を検知するタイミングで重複部228が濃度センサ218を通過した場合、トナー像があると誤検知したとしても、もう一方(例えば後方)のトナー像の検知タイミングでは、重複部228が濃度センサ218を通過することはない。すなわち、トナー検知部809は、一方でトナー像があると誤検知したとしても、他方でトナー像はないと検知することになる。このため、装着判断部801は、トナー像が形成されていない、すなわち、一方が検知したものが重複部228であることを正しく検知できる。その結果、仮に重複部228によってトナー像があると誤検知したとしても、装着判断部801は、プロセスカートリッジ204が装着されていないことを検知できる。
【0089】
装着判断部801は、2か所のトナー像をいずれも検知できた場合にプロセスカートリッジ204が装着されていると判断するため、プロセスカートリッジ204が装着されているか否かを、正しく判断することができる。
画像パターン900は、各色について2か所のトナー像の合計の長さは20mm(=10mm×2個)である。また、仮に重複部228の長さよりも長いトナー像を形成した場合は、想定される最大の長さ(=25mm)よりも長いトナー像を形成する必要がある。そのため、本実施例で示した方法によれば、想定される最大の長さ(=25mm)よりも長いトナー像を形成するよりもトナーの消費を抑制することができる。さらに、あらかじめ重複部228の位置を検知することなくプロセスカートリッジ204の装着検知を実施できる。このため、装着検知の実行時間が長くなることを抑制できるとともに、中間転写ベルト205とプロセスカートリッジ204の寿命減少を抑制することが可能である。
【0090】
なお、画像パターン900において、トナー像の大きさを10mmとしたのは、中間転写ベルト205表面に発生する傷や汚れがあった場合でも、装着状態の誤検知を防止するためである。実施例1では、中間転写ベルト205表面に発生する傷や汚れの最大サイズを5mmと想定し、トナー像の大きさを5mm以上の大きさに設定した。
【0091】
以上、他の部分とは光学的特性が異なる重複部を含む中間転写体を用いて、プロセスカートリッジの装着検知を実施する画像形成装置において、回転方向において重複部の長さよりも長い間隔をあけて2個のトナー像を形成する。これにより、装着検知時のトナーの消費を抑制することができる。さらに、重複部の位置を特定することなく装着検知を実施可能であるため、実行時間を短くできる。また、プロセスカートリッジと中間転写体の寿命の消費を抑制することが可能となる。
【0092】
以上、実施例1によれば、トナーの消費を抑えつつ、プロセスカートリッジの装着検知の精度を向上させることができる。
【0093】
なお、濃度センサ218が、濃度センサ218Fと濃度センサ218Rのいずれか一方を有していてもよい。この場合、第1パターンは少なくとも一つの第1のトナー像を含み、第2パターンは少なくとも一つの第2のトナー像を含んでいればよい。
例えば、濃度センサ218が濃度センサ218Fを有し、プロセスカートリッジ204Yが装着されているか否かは、以下のように判断される。第1パターンはトナー像900YF1を含み、第2パターンはトナー像900YF2を含む。装着判断部801は、濃度センサ218Fが第1パターンと第2パターンの両方を検知した場合にプロセスカートリッジ204Yが装着されていると判断される。装着判断部801は、装着判断部801は、第1パターンと第2パターンの少なくともいずれか一方が濃度センサ218Fによって検知されない場合、プロセスカートリッジ204Yが装着されていないと判断する。つまり、装着判断部801は、第1パターンと第2パターンのいずれか一方、もしくは両方が濃度センサ218Fによって検知されない場合、プロセスカートリッジ204Yが装着されていないと判断する。
また、第1パターンと第2パターンの片方を濃度センサ218Fで検知し、もう片方を濃度センサ218Rで検知してもよい。
【実施例2】
【0094】
実施例2について、図9図10図11を用いて説明する。実施例1では、中間転写ベルト205の回転方向に同色の2個のトナー像を形成することで、従来よりもトナーの消費を抑制して装着判断する構成について説明した。実施例2では、トナー容器307内の残りのトナー量(以下、残トナー量という)が少ない状態で、トナーの消費をより抑制する画像パターンを形成して装着判断する構成を説明する。なお、ハード構成は、実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0095】
(機能ブロック図)
図9(a)は、実施例2における機能ブロック図である。プリンタ制御部700は、実施例1と同様に画像パターン形成部807、中間転写ベルト制御部808、トナー検知部809、表示制御部810、装着判断部801を有する。実施例2では、加えて、プリンタ制御部700は、中間転写ベルト205の寿命を予測する中間転写ベルト寿命予測部803、感光ドラム301の寿命を予測するプロセスカートリッジ寿命予測部804を有する。さらに、プリンタ制御部700は、トナー残量予測部805、画像パターン決定部802、重複部228の位置を検知する重複位置検知部806を有する。
【0096】
第1の予測手段である中間転写ベルト寿命予測部803は、中間転写ベルト205の寿命(以下、中間転写ベルト寿命と呼ぶ)を予測する。具体的には、中間転写ベルト205の使用開始を基準とした中間転写ベルトモータ751(図5参照)の累積回転時間と寿命到達時の回転時間との差分を求めることで、中間転写ベルト寿命を予測する。実施例2では、中間転写ベルト205の寿命到達時の回転時間を例えば450,000秒とする。
【0097】
第2の予測手段であるプロセスカートリッジ寿命予測部804は、プロセスカートリッジ204(感光ドラム301)の寿命(以下、プロセスカートリッジ寿命と呼ぶ)を予測する。具体的には、プロセスカートリッジ204の使用開始を基準としたドラムモータ731の累積回転時間と寿命到達時の回転時間との差分を求めることで寿命を予測する。実施例2では、プロセスカートリッジ204の寿命到達時の回転時間を例えば270,000秒とする。
【0098】
第3の予測手段であるトナー残量予測部805は、プロセスカートリッジ204のトナー容器307内の残トナー量(トナー容器307に収容されたトナー量)を予測する。まず、プロセスカートリッジ204の使用開始を基準としてスキャナユニット207がレーザ光を照射した累積時間を求め、累積時間と寿命到達時の照射時間との差分を求めることで、残りのトナーで印刷可能な時間(以下、トナー残量時間と呼ぶ)を予測する。実施例2では、寿命到達時の照射時間を例えば225,000秒とする。
【0099】
決定手段である画像パターン決定部802は、図6(b)に示す画像パターン900又は図9(b)に示す画像パターン901のいずれかを選択する。画像パターン決定部802は、中間転写ベルト寿命予測部803が予測した中間転写ベルト寿命、プロセスカートリッジ寿命予測部804が予測した各色のプロセスカートリッジ寿命、トナー残量予測部805が予測したトナー残量時間に基づいて、選択を行う。
プロセスカートリッジ204が画像形成装置200に装着されている状態において、画像パターン形成部807がスキャナユニット207を制御することで、スキャナユニット207が露光動作を行い、画像パターン901が形成される。
【0100】
(画像パターン)
図9(b)は、実施例2の画像パターンを示す図であり、回転方向及び長手方向も示す。画像パターン901は、各色の画像パターン901Y、901M、901C、901Kを含む。
画像パターン901Yは、長手方向に並ぶ検知用画像であるトナー像901Y、トナー像901Yの2個のトナー像(検知用トナー像)を含む画像パターンである。画像パターン901M、901C、901Kについても同様に長手方向に2個のトナー像を形成する。
ここで、画像パターン901Y、901M、901C、901Kは、中間転写ベルト205の回転方向について、1つのトナー像を含む。画像パターン901Y、901M、901C、901Kは、重複部228と重ならないように形成される。
【0101】
各トナー像の大きさ(10mm×10mm)、長手方向の位置は画像パターン900と同様である。また、画像パターン901Y、901M、901C、901Kそれぞれの先端位置の間隔(100mm)も同様である。画像パターンの位置や大きさの情報は、あらかじめROM704に記憶されている。
【0102】
図9(a)の説明に戻る。画像パターン決定部802は、次の条件を満たす場合には、画像パターン900よりもトナーの消費が少ない画像パターン901を選択する。その条件とは、
・中間転写ベルト寿命が第1の値である中間転写ベルト寿命閾値よりも大きく、
・各色のプロセスカートリッジ寿命のうち最も少ない寿命が第2の値であるプロセスカートリッジ寿命閾値よりも大きく、
・各色のトナー残量時間のうち最も短い時間が所定のトナー量に相当するトナー残量時間閾値よりも小さい(所定のトナー量よりも少ない)
場合である。一方、上述した条件を満たさない場合、画像パターン決定部802は画像パターン900を選択する。実施例2では、中間転写ベルト寿命閾値を90,000秒、プロセスカートリッジ寿命閾値を90,000秒、トナー残量時間閾値を7500秒とする。
位置検知手段である重複位置検知部806は、中間転写ベルト205表面の重複部228の回転方向における位置を検知する。まず、中間転写ベルト制御部808によって中間転写ベルト205を80mm/秒の速度で回転する。
【0103】
次に、トナー検知部809によって取得したセンサ出力をモニタリングする。モニタリング中は、例えば2ms周期で、直近5回(10ms分)で取得した5個のセンサ出力のうち、最大値と最小値とを除いた3個のセンサ出力の平均値(以下、センサ出力平均値と呼ぶ)の計算と回転カウンタのカウントアップを行う。回転カウンタは、モニタリング開始時に0に初期化される。
【0104】
重複位置検知部806は、センサ出力平均値が重複部228のセンサ出力閾値より小さい場合に、回転カウンタを重複部回転カウンタとして、センサ出力平均値を重複部センサ出力平均値としてRAM705に記憶する。実施例2では、重複部センサ出力閾値を例えば1.8Vとする。重複位置検知部806は、重複部センサ出力閾値よりも小さくなったタイミングを複数回検知した場合は、センサ出力平均値が小さい方の回転カウンタとセンサ出力平均値を記憶する。そして、回転カウンタが回転カウンタ閾値に到達したら、モニタリングを終了し、回転カウンタを0に初期化する。
【0105】
回転カウンタ閾値は、中間転写ベルト205が1回転する時間に相当する値である。実施例2では、回転カウンタ閾値を例えば5000とする。結果として、重複部回転カウンタは回転開始を0基準とした重複部228までの回転量となる。なお、RAM705に記憶される重複部回転カウンタ及び重複部センサ出力平均値は、中間転写ベルト205の回転開始時に0に初期化される。さらに、継続して2ms周期で回転カウンタをカウントアップする。回転カウンタがRAM705に記憶した重複部回転カウンタに所定の追加回転カウンタを加えた値に到達したら、中間転写ベルト制御部808によって中間転写ベルト205の回転が停止される。
【0106】
追加回転カウンタは、重複部228が全色の1次転写ローラ206と重ならない位置で停止するように設定されるカウンタである。実施例2では、追加回転カウンタは例えば1,250である。装着判断部801は、画像パターン決定部802が決定した画像パターンを中間転写ベルト205表面に形成し、センサ出力に基づいて、プロセスカートリッジ204が装着されているか否かを判断する。
【0107】
(装着状態の判断処理)
装着判断部801におけるプロセスカートリッジの装着判断について図10図11のフローチャートを用いて説明する。図10のフローチャートは、アクセスドア(不図示)が閉じられたタイミングで開始される。
【0108】
S109で装着判断部801は、画像パターン決定部802によって上述した条件に基づき画像パターンを決定する。
S110で装着判断部801は、S109で決定した画像パターンが画像パターン900であるか否かを判断する。S110で装着判断部801は、決定した画像パターンが画像パターン900であると判断した場合、処理をS101に進め、決定した画像パターンが画像パターン901であると判断した場合、処理をS111に進める。
【0109】
S111で装着判断部801は、上述した方法により重複位置検知部806によって重複部228の位置を検知し、処理をS101に進める。なお、装着判断部801は、上述したように、重複部228が1次転写ローラ206と重ならない位置で停止するように中間転写ベルト205を回転させてからS101で中間転写ベルト205を回転させる。以降S102~S108の動作については、実施例1で説明した図7と同様であるため説明を省略する。
【0110】
図11のフローチャートは、図10のS104で実行される処理である。図11のフローチャートでは、装着判断部801は、2ms周期で回転カウンタをカウントアップする。
S201で装着判断部801は、S109で決定した結果に基づいて、形成中の画像パターンが画像パターン900であるか否かを判断する。S201で装着判断部801は、画像パターンが画像パターン900であると判断した場合、処理をS202に進め、画像パターンが画像パターン901であると判断した場合、処理をS203に進める。
S202で装着判断部801は、パターン形成閾値を2回に設定する。S203で装着判断部801は、パターン形成閾値を1回に設定する。以降S204~S219の動作については同様であるため説明を省略する。
【0111】
つまり、画像パターン901を用いる場合には、中間転写ベルト205の回転方向について1つの検知用トナー像が形成され、その検知用トナー像が検知されるか否かに基づいて、プロセスカートリッジ204が装着されているか否かが判断される。具体的には、中間転写ベルト205の回転方向について1つの検知用トナー像が検知された場合には、プロセスカートリッジ204が装着されていると判断される。
本実施例において、装着判断部801は、画像パターン900を用いるモードと、画像パターン901を用いるモードとで、プロセスカートリッジ204が装着されているか否かを判断することができる。
【0112】
実施例2では、中間転写ベルト寿命、プロセスカートリッジ寿命及び残トナー量に応じて、画像パターン900又は画像パターン901を選択して、プロセスカートリッジ204の装着判断を実施する。画像パターン901を選択する場合は、重複部228を避けるために、画像パターンを形成する前に重複部の位置を検知する必要がある。しかし、トナー像の形成が各色について1か所のみ(1つの画像パターン)であるため、よりトナーの消費を抑制することができる。残トナー量が充分に残っている状態では、実行時間が短い画像パターン900が選択される。残トナー量が少なくなった状態で中間転写ベルト205及びプロセスカートリッジ204の寿命が充分残っている状態では、トナーの消費をより抑制した画像パターン901を選択することが可能である。
【0113】
以上、実施例2によれば、トナーの消費を抑えつつ、プロセスカートリッジの装着検知の精度を向上させることができる。
【実施例3】
【0114】
(機能ブロック図)
実施例3について、図12図13図14を用いて説明する。なお、ハード構成は、実施例1と同様であるため、説明は省略する。ただし、実施例3における重複部228の長さは、3mm~100mmの加工上のばらつきがある。
【0115】
図12(a)は、実施例3における機能ブロック図である。プリンタ制御部700は、実施例1と同様に画像パターン形成部807、中間転写ベルト制御部808、トナー検知部809、表示制御部810、装着判断部801を有する。プリンタ制御部700は、加えて、画像パターン決定部802、重複部228の幅を検知する重複幅検知部811を有する。なお、ここでいう重複部228の幅とは、重複部228の回転方向における長さをいう。
【0116】
長さ検知手段である重複幅検知部811は、まず、中間転写ベルト制御部808によって中間転写ベルト205を80mm/秒の速度で回転する。次に、トナー検知部809によって取得したセンサ出力をモニタリングする。モニタリング中は、2ms周期で直近5回(10ms分)のセンサ出力のうち、最大値と最小値を除いた3個のセンサ出力の平均値、すなわちセンサ出力平均値の計算と回転カウンタのカウントアップを行う。回転カウンタは、モニタリング開始時に0に初期化される。
【0117】
装着判断部801は、センサ出力平均値が重複部センサ出力閾値より小さい場合に、重複幅カウンタをカウントアップする。一方、装着判断部801は、センサ出力平均値が重複部センサ出力閾値以上である場合は、重複幅カウンタをRAM705に記憶し、重複幅カウンタを0に初期化する。実施例3では、重複部センサ出力閾値を例えば1.8Vとする。
【0118】
装着判断部801は、重複幅カウンタをRAM705に記憶する際に、すでに記憶済みであった場合は、大きい方の値をRAM705に記憶する。そして、装着判断部801は、回転カウンタが回転カウンタ閾値に到達したら、モニタリングを終了し、中間転写ベルト制御部808によって中間転写ベルト205を停止する。回転カウンタ閾値は、中間転写ベルト205が1回転する時間に相当する値である。実施例3では、回転カウンタ閾値を例えば5,000とする。結果として、RAM705には、重複部228について、中間転写ベルト205の回転方向の長さに相当する回転量(以下、重複部回転量と呼ぶ)が記憶される。
【0119】
(画像パターン)
実施例3における画像パターン決定部802は、重複幅検知部811が計測した重複部回転量に基づいて、画像パターンを決定する。
図12(b)(c)は、実施例3における画像パターンを示す図であり、回転方向及び長手方向を矢印で示す。図12(b)の画像パターン902は、検知用画像である各色のトナー像(検知用トナー像)902Y、902M、902C、902Kを含む。トナー像902Y、902M、902C、902Kの中間転写ベルト205の回転方向の長さはLであり、後述する方法で重複部回転量(重複部228の幅に相当)に基づいて決定される。なお、各トナー像の長手方向の長さは、例えば実施例1と同様に10mmである。画像パターン902では、中間転写ベルト205の回転方向に並べられる各色のトナー像の個数は1個である。
【0120】
また、実施例1では、濃度センサ218Fと濃度センサ218Rの両方で検知可能な位置にトナー像を形成したが、実施例3においては、いずれか一方、例えば濃度センサ218Fで検知可能な位置だけにトナー像を形成する。トナー像902Y、902M、902C、902Kのそれぞれの先端位置はLの間隔だけあけた位置である。
【0121】
図12(c)の画像パターン903は、画像パターン903Y、903M、903C、903Kを含む。画像パターン903では、中間転写ベルト205の回転方向に並べられる各色のトナー像(検知用トナー像)の個数は2個である。
画像パターン903Yは、回転方向に並ぶ検知用画像であるトナー像903YF1、トナー像903YF2の2個のトナー像を含む画像パターンである。画像パターン903は、画像パターン902と同様に、2つの濃度センサ218のうちいずれか一方、例えば濃度センサ218Fで検知可能な位置だけにトナー像を形成する。各トナー像の長手方向の大きさ(10mm)及び位置は、画像パターン902Yと同じである。トナー像903YF2の回転方向の位置は、トナー像903YF1を基準として、Lの間隔をあけた位置である。トナー像903YF2、903YF1の回転方向の長さは実施例1と同様に例えば10mmである。Lは、後述する方法で重複部回転量に基づいて決定される。画像パターン903M、903C、903Kについても画像パターン903Yと同じ大きさ及び位置関係である。画像パターン903Y、903M、903C、903Kのそれぞれ先端位置は、Lの間隔だけあけた位置である。
プロセスカートリッジ204が画像形成装置200に装着されている状態において、画像パターン形成部807がスキャナユニット207を制御することで、スキャナユニット207が露光動作を行い、画像パターン902、画像パターン903が形成される。
【0122】
図12(a)の説明に戻る。画像パターン決定部802は、重複幅検知部811が計測した重複部回転量に応じて、中間転写ベルト205の回転方向で、いくつの検知用トナー像が並べられるかを決定する。画像パターン決定部802は、重複幅検知部811が計測した重複部回転量が所定の値、例えば94(=15mm相当)未満である場合は、画像パターン902を選択する。画像パターン決定部802は、重複部回転量が所定の値以上、例えば94(=15mm相当)以上である場合は、画像パターン903(回転方向に2個の画像パターン)を選択する。
【0123】
画像パターン902を選択した場合、トナー像902Y、902M、902C、902Kの長さLは、重複部回転量を長さmm単位に変換した検知重複部幅[mm]に検知マージンMを足した値が設定される。実施例3では、検知マージンMを例えば5mmとする。画像パターン902Y、902M、902C、902Kそれぞれの先端位置の間隔Lは、長さLに検知マージンMを足した値と100mm(感光ドラム301間の長さ)の2つのうちの大きい方の値が設定される。実施例3では、検知マージンMを10mmとする。
【0124】
画像パターン903を選択した場合、各色のトナー像の間隔Lは、検知重複部幅に検知マージンMを足した値が設定される。実施例3では、検知マージンMを5mmとする。画像パターン903Y、903M、903C、903Kそれぞれの先端位置の間隔Lは、20mm(=トナー像10mm×2個)にトナー像の間隔Lと検知マージンMを加えた値と100mmの2つのうちの大きい方の値が設定される。実施例3では、検知マージンMを10mmとする。
例えば、計測した重複部228の長さが25mmであり、トナー像の間隔Lが30mmである場合、間隔Lは感光ドラム301間の長さである100mmとなる。そのため、各色の画像形成を同時に開始することで、決定した画像パターンの形成が可能である。
【0125】
一方、計測した重複部228の長さが70mmであり、トナー像の間隔Lは75mmである場合、間隔Lは105mmとなって感光ドラム301間の長さである100mmを超える。そのため、画像パターン形成部807は、各色で画像形成開始のタイミングをずらしてトナー像を形成する。
【0126】
(装着状態の判断処理)
装着判断部801におけるプロセスカートリッジ204の装着判断処理について図13図14のフローチャートを用いて説明する。図13のフローチャートは、アクセスドア(不図示)が閉じられたタイミングで開始される。
S112で装着判断部801は、画像パターン決定部802によって、上述した方法で計測した重複部228の幅に応じて画像パターンを決定する。以降S101~S108の動作については、実施例1の図7と同様であるため説明を省略する。
【0127】
図14のフローチャートは、図13のS104で実行される処理を示す。図14のフローチャートでは、2ms周期で回転カウンタをカウントアップする。S220で装着判断部801は、S112で決定した(形成中の)画像パターンが画像パターン903か否かを判断する。
【0128】
S112で装着判断部801は、形成中の画像パターンが画像パターン903であると判断した場合、処理をS202に進め、形成中の画像パターンが画像パターン902であると判断した場合、処理をS203に進める。これにより、画像パターンが画像パターン903である場合にはパターン形成閾値が2回に設定され、画像パターンが画像パターン902である場合には、パターン形成閾値が1回に設定される。
【0129】
パターン形成閾値が2回に設定されている場合、装着判断部801は、中間転写ベルト205の回転方向に並べられた2個のトナー像のすべてが検知された場合に、プロセスカートリッジ204が装着されているものと判断する。装着判断部801は、中間転写ベルト205の回転方向に並べられた2個のトナー像のいずれかが検知されなかった場合、および2個のトナー像の両方が検知されなかった場合に、プロセスカートリッジ204が装着されていないものと判断する。
【0130】
なお、実施例3では、トナー像先端到達タイミングとトナー像後端到達タイミングに関しては、次のようにして設定される。すなわち、判断カラー、検知パターンごとに画像パターン決定部802が決定した長さL及び間隔L、又は間隔L及び間隔Lに基づいて、回転開始を基準に各トナー像の先端及び後端が濃度センサ218に到達するときの回転カウンタの値が設定される。
【0131】
以降S204~S208及びS211、S213~S219の動作については、実施例1と同様である。実施例1との違いは、濃度センサ218Fの検知結果のみを利用して装着判断するところであり、図8における濃度センサ218Rに関するS209、S210の処理はない。また、トナー有カウンタFのみを使用するため、S221で装着判断部801は、トナー有カウンタFがパターン有閾値以上か否かを判断する。S221で装着判断部801は、トナー有カウンタFがパターン形成閾値以上であると判断した場合、処理をS213に進め、トナー有カウンタFがパターン形成閾値未満であると判断した場合、処理をS214に進める。S213で装着判断部801は、パターン有カウンタをカウントアップする。
【0132】
本実施例において、装着判断部801は、画像パターン903を用いるモードと、画像パターン902を用いるモードとで、プロセスカートリッジ204が装着されているか否かを判断することができる。
【0133】
実施例3によれば、重複部228の長さを測定し、長さに応じて画像形成パターンを動的に決定する。実施例1では、回転方向に10mm長のトナー像を2個形成するため、合計で20mm分のトナー消費を要した。一方、実施例3では重複部228の長さが15mm未満の場合は、20mm未満の長さのトナー像を1個形成し、15mm以上の場合は10mmの長さのトナー像を2個形成する。その結果、重複部228の長さが短い中間転写ベルト205を使用している場合のトナーの消費を抑制することが可能である。
【0134】
また、画像パターン902を選択した場合のトナー像の長さLも重複部228の長さに応じて、必要最短な長さに設定されるため、トナーの消費が抑制される。さらに、実施例3では、濃度センサ218Fで検知可能な位置にしかトナー像を形成しないため、トナーの消費をさらに抑制することができる。
【0135】
(変形例1)
なお、実施形態は実施例3に限られるものではない。実施例3ではトナー像を濃度センサ218Fで検知可能な位置にだけトナー像を形成する画像パターンとしたが、濃度センサ218Rで検知可能な位置にだけトナー像を形成してもよい。
【0136】
画像パターン903では、各色2個のトナー像を濃度センサ218Fで検知可能な位置に形成したが、これに限定されない。回転方向に並ぶ2つの画像パターンを、1つは一方の濃度センサで、もう1つは他方の濃度センサで、それぞれ検知可能な位置に形成してもよい。
【0137】
図15は画像パターンの変形例を示す図であり、回転方向及び長手方向を矢印で示す。図15に示す画像パターン904(904Y、904M、904C、904K)のように1個を濃度センサ218Fで、もう1個を濃度センサ218Rでそれぞれ検知可能な位置に形成してもよい。例えば、イエローの画像パターン904Yの場合、検知用画像であるトナー像904YR1を濃度センサ218Rで検知する位置に形成し、トナー像904YF2を濃度センサ218Fで検知する位置に形成する。他の色についても同様である。この場合、各トナー像の回転方向及び長手方向の長さは10mm、2つのトナー像の間隔はL、各色の画像パターンの間隔はLである。間隔L、Lの決定については上述したとおりである。
【0138】
図15ではトナー像904YR1、904YF2等としたが、これをトナー像904YF1、904YR2等としてもよい。
また、装着状態を判断する度に重複部228の長さを測定する形態を説明したが、すでに測定済みである場合は、測定済みの値がRAM705に記憶され、前回の測定結果をRAM705から読み出して再利用してもよい。
以上、実施例3によれば、トナーの消費を抑えつつ、プロセスカートリッジの装着検知の精度を向上させることができる。
【0139】
(変形例2)
上述の各実施例では、装着判断部801は、感光ドラム301と現像ローラ303を有するプロセスカートリッジ204が画像形成装置200に装着されているか否かを判断した。しかし、本発明はこれに限られない。
例えば、装着判断部801は、感光ドラム301を有するカートリッジが画像形成装置200に装着されているか否かを判断するようにしてもよい。また、装着判断部801は、現像ローラ303を有するカートリッジが画像形成装置200に装着されているか否かを判断するようにしてもよい。このとき、感光ドラム301は画像形成装置200に取り外し可能に装着されていてもよいし、画像形成装置200から取り外されないものであってもよい。
いずれの場合においても、カートリッジが画像形成装置200に装着されていない場合には中間転写ベルト205に検知用画像が形成されないため、各実施例と同様の方法で、装着判断部801はカートリッジが装着されているか否かを判断することができる。
【符号の説明】
【0140】
205 中間転写ベルト
207 スキャナユニット
218 濃度センサ
301 感光ドラム
801 装着判断部
807 画像パターン形成部
図1
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