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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】携帯用切断機
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20241015BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20241015BHJP
   B23D 47/12 20060101ALI20241015BHJP
   B27B 9/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B23D47/00 Z
B23D45/16
B23D47/12
B27B9/00 A
B27B9/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020218703
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2016205674の分割
【原出願日】2016-10-20
(65)【公開番号】P2021049641
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-01-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和信
(72)【発明者】
【氏名】佐野 翔麻
(72)【発明者】
【氏名】野村 剛
【合議体】
【審判長】本庄 亮太郎
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-79812(JP,A)
【文献】特開2014-148016(JP,A)
【文献】特開2014-148015(JP,A)
【文献】実公平1-41155(JP,Y2)
【文献】特開2003-71802(JP,A)
【文献】特開2001-293672(JP,A)
【文献】特開2012-254508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00 - 65/04
B27B 1/00 - 23/00
B25F 5/00 - 5/02
H01M 10/6235
H01M 50/202
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによってのこ刃を回転させて被切断材を切断する携帯用切断機であって、
前記モータを内蔵して前記のこ刃の側方に突出するモータハウジングと、
前記モータハウジングの突出部を利用せずに形成され、バッテリパックをスライドさせて着脱可能なバッテリ装着部と、
前記バッテリ装着部よりも上方に設けられたグリップと、
を備え、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリパックをスライド可能にガイドするために上下一対で設けられたレールと、前記バッテリパックを電気的に接続するために前記一対のレールの間に配置された接続端子と、が露出するように形成された開口部を備え、
前記開口部は、前記モータハウジングと隣り合う位置に配置され、
前記上下一対で設けられたレールの形成面が、被切断材に対して略垂直となるように配置され、
前記バッテリ装着部には、前記接続端子を実装した基板が、被切断材に対して略垂直となるように配置されており、
前記グリップは、後端部が前記バッテリ装着部に接続されて、前記バッテリ装着部から上方に向かって延びていることを特徴とする、携帯用切断機。
【請求項2】
前記基板は、前記レールと平行に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の携帯用切断機。
【請求項3】
前記バッテリ装着部は、前記接続端子を複数備え、この複数の接続端子が、上下に並べて配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の携帯用切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯用切断機に関し、特に、バッテリパックの取付部に特徴を有する携帯用切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯用切断機は、使用する電源の種類によって大きく2種類に分けることができる。すなわち、交流式の電源を使用するものと、充電式のバッテリパックを使用するものである。このうち、交流式の電源を使用するものは、電源ケーブルが付きまとって取り回しが悪く、電源が近くにないときは利用できないというデメリットがある。また、近年はリチウムイオン電池の高性能化が進んでいることもあり、充電式のバッテリパックを電源として使用するものが増加している。
【0003】
一方で、バッテリパックを装着して使用する携帯用切断機は、バッテリパックの分だけ機械が大型化することは避けられず、しかも、交流式の電源を使用する携帯用切断機に性能を近づけるためにバッテリパックを高電圧化すれば、バッテリパックのサイズも大きくなってしまう。バッテリパックのサイズアップ等により切断方向に見た機械の全長(切断方向の長さ)が長くなると、床の張り替え作業等において隅部を切断するときに、のこ刃の届かない箇所が大きく発生して切り残しが増加するという問題が発生する。
【0004】
こうした問題を解決するために、例えば特許文献1記載には、バッテリと電動モータとのこ刃の配置の集中度を高め、機械全長を短縮する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-201598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したような従来の構成では、バッテリ装着部がバッテリパックの上部に設けられており、その更に上方にグリップが設けられている。このとき、バッテリ装着部にはバッテリパックを電気的に接続するための接続端子や配線などが収容されるため、言い換えると、グリップの下部に接続端子や配線の収容空間が設けられる。特に、バッテリ装着部の接続端子をグリップの下部に近接配置した場合、配線の取り回しの空間が小さくなり、組付け性が悪くなる可能性があった。また、グリップ下部側の収容空間に配線の取り回し用の空間を確保すると、結果的にグリップとバッテリ装着部との間のグリップを把持するための空間が小さくなる。つまり、グリップを把持したときに、グリップを把持した手の小指周辺の空間が狭くなり、作業者の操作性を損なうおそれがある。これを避けるためにはグリップを高い位置に設けることになるが、グリップを高くすると、グリップが重心から離れるので操作性が悪くなり、機械が大型化して取り回しが悪くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、グリップを高い位置に設けなくても、グリップを把持した手の小指周辺の空間を確保することができる携帯用切断機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明は、モータによってのこ刃を回転させて被切断材を切断する携帯用切断機であって、バッテリパックをスライドさせて着脱可能なバッテリ装着部と、前記バッテリ装着部よりも上方に設けられたグリップと、を備え、前記バッテリ装着部は、前記バッテリパックをスライド可能にガイドするために上下一対で設けられたレールと、前記バッテリパックを電気的に接続するために前記一対のレールの間に配置された接続端子と、を備え、前記バッテリ装着部には、前記接続端子を実装した基板が、被切断材に対して略垂直となるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
【0011】
請求項に記載の発明は、上記した請求項に記載の発明の特徴点に加え、前記基板は、前記レールと平行に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、上記した請求項1または2に記載の発明の特徴点に加え、前記バッテリ装着部は、前記接続端子を複数備え、この複数の接続端子が、上下に並べて配置されていることを特徴とする。
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記の通りであり、バッテリ装着部は、バッテリパックをスライド可能にガイドするために上下一対で設けられたレールと、バッテリパックを電気的に接続するために一対のレールの間に配置された接続端子と、を備える。このような構成によれば、グリップとバッテリパックとの間にレールや接続端子が設けられていないので、バッテリ装着部がグリップの下部空間を圧迫しない。よって、グリップを高くしなくてもグリップを把持した手の小指周辺の空間を確保することができる。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】携帯用切断機の右側面図である。
図2】携帯用切断機の平面図である。
図3】携帯用切断機の背面図である。
図4】バッテリパックを取り外した携帯用切断機の右側面図である。
図5】バッテリパックを取り外した携帯用切断機の平面図である。
図6】バッテリパックを取り外した携帯用切断機の背面図である。
図7】ハウジングの一部を取り外した携帯用切断機の右側面図である。
図8】ハウジングの一部を取り外した携帯用切断機の斜視図である。
図9】(a)バッテリパックを取り外した携帯用切断機の斜視図、(b)バッテリパックの斜視図である。
図10】切り込み深さを変更した携帯用切断機の(a)右側面図、(b)斜視図である。
図11】変形例に係る図であって、携帯用切断機の右側面図である。
図12】変形例に係る図であって、バッテリパックを取り外した携帯用切断機の右側面図である。
図13】従来の携帯用切断機を示す図であって、ハウジングの一部を取り外した携帯用切断機の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明においての
「上」は、水平に配置した被切断材の上にベース30を載置した状態(特に記載がなければ、のこ刃13の切り込み深さを最大とした状態)の携帯用切断機10の上方向を意味し、「下」は、「上」の反対方向を意味する。また、以下の説明においての「前」は、被切断材の切断方向D1に見た携帯用切断機10の前方向を意味し、「後」は、「前」の反対方向を意味する。
【0025】
本実施形態に係る携帯用切断機10は、のこ刃軸(図示せず)を中心に回転する円形ののこ刃13によって、木材や鋼材等の被切断材を切断するものであり、図1~6等に示すように、のこ刃13を回転可能に支持する切断機本体11を備える。
【0026】
切断機本体11は、モータ(図示せず)を内蔵したモータハウジング12を備えている。モータが作動すると、のこ刃13が回転駆動され、被切断材を切断できるようになる。なお、モータは、切断機本体11後部に設けられたバッテリ装着部20に着脱可能に取り付けられたバッテリパック40を駆動源として作動する。
【0027】
切断機本体11の上部には、被切断材の切断方向D1と略平行にグリップ16が設けられ、このグリップ16の内側に設けられたトリガ17を引くことでモータが回転するようになっている。グリップ16の前端部は、モータハウジング12付近において切断機本体11に一体的に接続され、グリップ16の後端部は、切断機本体11の後端部に一体的に接続されている。このグリップ16は、切り込み深さ(後述)を最大としたときに、被切断材の切断方向D1に見て後方に行くに従って次第に低くなるように傾斜した形状となっている。また、グリップ16は、図1等に示すように、側面視でバッテリ装着部20よりも上方に配置されている(言い換えると、グリップ16は、バッテリ装着部20から見て、後述するベース30の反対側に配置されている)。
【0028】
この切断機本体11の下部には、ベース30が取り付けられている。ベース30は、被切断材に当接する金属製の板状部材であり、貫通形成された刃口31からのこ刃13の下部を露出させることで、ベース30の下方において被切断材を切断できるように形成されている。
【0029】
なお、このベース30の前端部は、切断機本体11の前部に設けられた回動軸19により回動自在に支持されている。この回動軸19を中心にベース30を回動させることによって、ベース30の下面からののこ刃13の出量を調整することができる。このように、のこ刃13の出量を調整することによって、被切断材の切り込み深さを調整することができる。
【0030】
切り込み深さを調整は、切込み深さ調整レバー18を操作することで可能となる。切込み深さ調整レバー18は、ベース30と切断機本体11との回動をロック又はロック解除するためのものである。切り込み深さを調整する際には、まず切込み深さ調整レバー18を回動させて、ベース30と切断機本体11との固定を解除する。この状態で回動軸19を中心にベース30を回動させ、所望の切り込み深さに設定したら、切込み深さ調整レバー18を固定方向に回動させて、ベース30と切断機本体11とを固定する。
【0031】
なお、のこ刃13のベース30より上方のほぼ半周部分は、安全確保用のソーカバー14に覆われている。また、ベース30の刃口31から露出したのこ刃13の下部は、円弧状のロアガード15に覆われている。このロアガード15は、のこ刃13の回転軸を中心に回動可能に装着されている。
【0032】
バッテリ装着部20は、バッテリパック40に対して着脱可能に係合する部位であり、図4図7図8等に示すように、内側に基板25が配置されている。この基板25には、バッテリパック40を電気的に接続するための接続端子25aが設けられている。すなわち、バッテリ装着部20にバッテリパック40を装着したときに、接続端子25aを介してバッテリパック40と切断機本体11とが電気的に接続されるようになっている。
【0033】
バッテリ装着部20は、図1及び図2に示すように、バッテリパック40を取り付けた状態で被切断材の切断方向D1に見たときに、バッテリパック40の後方(被切断材の切断方向D1とは反対方向)に配置されている。本実施形態においては、図7等に示すように、切込み深さを最大とした状態において基板25がベース30に対して略垂直となるように配置されており、この略垂直な基板25の表面がバッテリパック40の後方の面に相対するようになっている。このように配置することで、バッテリ装着部20は、バッテリ装着部20に取り付けたバッテリパック40の後方を保護する後部保護部としての役割を果たすようになっている。また、バッテリパック40とグリップ16の後端部との間にバッテリ装着部20が存在せず、グリップ16の位置をできるだけ低く設定できるようになっている。
【0034】
このバッテリ装着部20は、図5及び図9(a)等に示すように、端子カバー部20aと、突出部20bと、ラッチ受部20cと、レール20dと、を備える。
【0035】
端子カバー部20aは、図9(a)等に示すように、基板25を覆う部分である。この端子カバー部20aの内部には、基板25の後面(裏面)に接続された配線コード25bを収容するための空間が形成されている。本実施形態においては、図7に示すように、基板25の上端がグリップ16の後端に臨むように配置されているため、配線コード25bはグリップ16の内部を経由して、トリガ17のスイッチやモータ基板に配線されている。これにより、グリップ16の下部に配線のためのスペースが不要であり、グリップ16の位置をできるだけ低く設定できるようになっている。
【0036】
なお、従来の構造では、図13に示すように、バッテリパック40とグリップ16の後端部との間にバッテリ装着部20が存在し、かつ、グリップ16の下部に配線のためのスペースが必要であったため、グリップ16の位置を高く設定せざるをえなかった。この点、本実施形態によれば、このような問題が発生しない。
【0037】
後部保護部としてのバッテリ装着部20の一部である端子カバー部20aの後面には、図3に示すように、携帯用切断機10またはバッテリパック40の状態を表示するための表示部26が設けられている。このような位置に表示部26を設けることで、表示部26が使用者に正対する位置に設けられるので、表示部26の視認性が高められている。具体的には、図3に示すように切り込み深さを最大としたときでも表示部26が見易く、かつ、図10に示すように切り込み深さを浅く設定したときでも表示部26が見易くなっている。
【0038】
なお、表示部26に表示する内容は特に限定されないが、一例を挙げれば、例えばバッテリパック40の残量を表示したり、携帯用切断機10やバッテリパック40のエラーを表示したりすることができる。
【0039】
突出部20bは、端子カバー部20aから連続するように側方に張り出して設けられた部位である。この突出部20bが設けられることで、バッテリパック40の後方の面が広い範囲でカバーされるとともに、後述するラッチ受部20cを配置可能となっている。
【0040】
ラッチ受部20cは、図9(a)に示すように、突出部20bの裏面側に設けられた断面略V字の溝である。このラッチ受部20cは、バッテリパック40のラッチ43に係合させるために設けられている。
【0041】
レール20dは、バッテリパック40をスライド可能にガイドするためのものであり、バッテリパック40の装着方向に沿って設けられている。本実施形態においては、図9(a)に示すように、バッテリ装着部20の内側に上下2本のレール20dが設けられている。
【0042】
上記したバッテリ装着部20に装着可能なバッテリパック40は、図9(b)に示すような箱体状であり、複数のバッテリセルを内蔵したケース41の1面が切断機本体11への取り付け面となっている。取り付け面には、バッテリセルから電気を外部に供給するための端子(図示せず)が配置されている。この端子は、スリットを備えた端子カバー部45に覆われている。切断機本体11にバッテリパック40を装着すると、この端子カバー部45のスリットから切断機本体11側の接続端子25aが入り込み、バッテリパック40の端子と切断機本体11側の接続端子25aとが電気的に接続されるようになっている。
【0043】
また、バッテリパック40の取り付け面には、ケース41から出没可能なラッチ43が設けられている。このラッチ43は、自然状態においてケース41から突出するようにバネで付勢されている。
【0044】
また、バッテリパック40の取り外し方向D2に見た前面(図2等参照)には、ラッチ43を操作するためのラッチ操作部44が設けられている。このラッチ操作部44は、バッテリ装着部20からバッテリパック40を取り外す際に使用するボタンである。本実施形態においては、このラッチ操作部44を押し込み操作することで、ラッチ43を突出方向に付勢しているバネの付勢力が解除されるようになっている。
【0045】
また、バッテリパック40の取り外し方向D2に見た側面には、上述したバッテリ装着部20のレール20dに係合するガイドレール部42が設けられている。このガイドレール部42がレール20dに係合することで、バッテリパック40は、バッテリ装着部20に対してスライドして着脱可能となっている。このとき、図2に示すように、平面視において、バッテリパック40の取り外し方向D2が被切断材の切断方向D1に対して直交する方向となっている。言い換えると、バッテリ装着部20は、被切断材の切断方向D1に見て側方からバッテリパック40をスライドさせて着脱可能となっている。
【0046】
このように、バッテリパック40をバッテリ装着部20に対して奥までスライドさせると、バッテリパック40と切断機本体11とが電気的に接続されるとともに、ラッチ受部20cにラッチ43が係合し、バッテリパック40がバッテリ装着部20に固定することができる。また、ラッチ操作部44を押し込み操作することで、ラッチ受部20cとラッチ43との係合を解除し、バッテリパック40をバッテリ装着部20から取り外すことができるようになっている。
【0047】
バッテリパック40をバッテリ装着部20に取り付けると、図2に示すように、バッテリパック40はグリップ16に対してオフセットした状態となる。すなわち、グリップ16の長手方向に見たときに、バッテリパック40がのこ刃13(ソーカバー14)の反対側にオフセットした状態となる。このようにバッテリパック40をオフセットさせることで、グリップ16とのこ刃13(ソーカバー14)とを近接配置することができ、機械の密集度を高めて小型化を実現することができる。
【0048】
ところで、本実施形態に係る携帯用切断機10は、図4及び図9(a)に示すように、バッテリ装着部20に取り付けたバッテリパック40の上部を覆う上カバー部22と、バッテリ装着部20に取り付けたバッテリパック40ののこ刃13側の側部を覆う側カバー部23と、を備えている。上カバー部22は、図2に示すように、少なくとも平面視でバッテリ装着部20とバッテリパック40との境界面が露出しないように設けられている。また、側カバー部23は、バッテリパック40を取り付けたときの突き当たりに設けられた壁であり、のこ刃13側から切粉が侵入しないようにバッテリパック40の側面のほぼ全面(例えば80%以上が好ましい)を覆っている。
【0049】
これらの上カバー部22及び側カバー部23を備えることで、バッテリ装着部20に取り付けられたバッテリパック40は、上面と後方の面とのこ刃13側の側面との三面を覆われており、一方、下面と前方の面と反のこ刃13側の側面との三方が露出するように構成されている。ただし、下面にはベース30が設けられ、前方の面にはモータハウジング12が設けられているため、実質的に露出しているのはバッテリパック40を着脱するために開口させる必要がある反のこ刃13側の側面のみである。
【0050】
以上説明したように、バッテリ装着部20は、バッテリパック40を電気的に接続するための接続端子25aを備え、バッテリパック40を取り付けた状態で被切断材の切断方向D1に見たときに、バッテリパック40の後方に配置されている。このような構成によれば、グリップ16とバッテリパック40との間にバッテリ装着部20が設けられていないので、バッテリ装着部20がグリップ16の下部空間を圧迫しない。よって、グリップ16を高くしなくてもグリップ16を把持した手の小指周辺の空間を確保することができる。
【0051】
また、バッテリパック40の後方がバッテリ装着部20(後部保護部)によって保護されているので、機械が後方から落下した場合でもバッテリパック40を保護することができる。
【0052】
また、被切断材の切断方向D1に見て側方からバッテリパック40をスライドさせて着脱可能であるため、バッテリパック40が高電圧化により全長が長くなったとしても、バッテリパック40の取り外し方向D2(被切断材の切断方向D1に直交する方向)にバッテリパック40を長くすればよいので、携帯用切断機10の全長(切断方向の長さ)に影響しない。言い換えると、バッテリパック40が大型化した場合でも、携帯用切断機10の全長を短く保つことができ、切り残しの増加などの問題が発生しない。
【0053】
また、バッテリ装着部20に取り付けたバッテリパック40の上部を覆う上カバー部22を備える。すなわち、本実施形態では、バッテリパック40の上方にバッテリ装着部20が設けられていないので、バッテリパック40の上方から切粉が降りかかるおそれがあるが、上カバー部22を備えることにより、切粉が入り込むことを防止できる。また、上カバー部22によって剛性が確保されるので、バッテリパック40の上方にバッテリ装着部20が設けられていないことによる強度不足を補うことができる。
【0054】
また、バッテリ装着部20に取り付けたバッテリパック40ののこ刃13側の側部を覆う側カバー部23を備える。このような構成によれば、側方から切粉が入り込むことを防止でき、また、側カバー部23によって剛性を確保することができる。
【0055】
また、バッテリ装着部20(後部保護部)の後面に、携帯用切断機10またはバッテリパック40の状態を表示するための表示部26を設けた。このような構成によれば、表示部26がグリップ16を握った作業者に正対する位置に設けられるので、表示部26を視認しやすい。特に、切り込み深さを深くして切断機本体11の角度が変わった場合でも、表示部26を視認しやすくすることができる。
【0056】
また、接続端子25aを実装した基板25は、被切断材の切断方向に対して略垂直に配置されている。このような構成によれば、基板25が略垂直に配置されるので、基板25の厚みが機械の高さ方向に影響しない。すなわち、基板25がグリップ16の下部空間を圧迫しないので、グリップ16を高くしなくてもグリップ16を把持した手の小指周辺の空間を確保することができる。
【0057】
なお、上記した実施形態においては、バッテリ装着部20をバッテリパック40の後方に配置したが、これに限らず、図11及び図12に示すように、バッテリ装着部20をバッテリパック40の前方に配置してもよい。このとき、バッテリパック40の後方を開放してもよいし、バッテリパック40の後方を保護する後部保護部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 携帯用切断機
11 切断機本体
12 モータハウジング
13 のこ刃
14 ソーカバー
15 ロアガード
16 グリップ
17 トリガ
18 切込み深さ調整レバー
19 回動軸
20 バッテリ装着部(後部保護部)
20a 端子カバー部
20b 突出部
20c ラッチ受部
20d レール
22 上カバー部
23 側カバー部
25 基板
25a 接続端子
25b 配線コード
26 表示部
30 ベース
31 刃口
40 バッテリパック
41 ケース
42 ガイドレール部
43 ラッチ
44 ラッチ操作部
45 端子カバー部
D1 被切断材の切断方向
D2 バッテリパックの取り外し方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13