IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置 図1
  • 特許-半導体装置 図2
  • 特許-半導体装置 図3
  • 特許-半導体装置 図4
  • 特許-半導体装置 図5
  • 特許-半導体装置 図6
  • 特許-半導体装置 図7
  • 特許-半導体装置 図8
  • 特許-半導体装置 図9
  • 特許-半導体装置 図10
  • 特許-半導体装置 図11
  • 特許-半導体装置 図12
  • 特許-半導体装置 図13
  • 特許-半導体装置 図14
  • 特許-半導体装置 図15
  • 特許-半導体装置 図16
  • 特許-半導体装置 図17
  • 特許-半導体装置 図18
  • 特許-半導体装置 図19
  • 特許-半導体装置 図20
  • 特許-半導体装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20241015BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20241015BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241015BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241015BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20241015BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
H01L27/146 D
H01L27/146 F
H01L21/88 J
H01L21/90 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020532439
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 JP2019028995
(87)【国際公開番号】W WO2020022375
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2018138609
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 完
(72)【発明者】
【氏名】末光 克巳
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038403(WO,A1)
【文献】特開2017-130660(JP,A)
【文献】特開2015-065407(JP,A)
【文献】特開2014-056941(JP,A)
【文献】特開2013-021108(JP,A)
【文献】特開2016-062901(JP,A)
【文献】特開2011-204829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 61/00
H10N 50/10
H01L 27/146
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を含む第1基板と、
前記第1の表面と接合される第2の表面を含む第2基板と、
前記第2基板から見て前記第1基板と反対側に設けられ、前記第2基板における前記第2の表面と反対側の第2の裏面と接合された第3の表面を含む第3基板と
を備え、
前記第1基板は、前記第2基板に近い位置から順に積層された、第1配線を含む第1配線層と第1半導体層とを有し、
前記第2基板は、前記第1基板に近い位置から順に積層された、第2配線を含む第2配線層と前記第2配線に電気的に接続されている記憶素子を含む記憶素子層と第2半導体層とを有し、
前記第1配線層と前記第2配線層とが接合されており、
前記第2基板は、
前記記憶素子と前記第2半導体層との間に設けられた、ソース電極およびドレイン電極を含むトランジスタと、
前記記憶素子と、前記ソース電極もしくは前記ドレイン電極とを接続する第1コンタクト層と、
前記記憶素子と前記第2配線とを接続する第2コンタクト層と
をさらに有する
半導体装置。
【請求項2】
前記第1基板は、前記第1の表面に露出した第1電極を含み、
前記第2基板は、前記第1の表面に露出して前記第1電極と接合される第2電極を含む
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2基板は、
前記記憶素子の端面を覆う保護膜と、
前記保護膜の外面の少なくとも一部を覆う水素ブロック層と
をさらに有し、
前記記憶素子は、前記第1基板と前記第2基板との積層方向において前記第1コンタクト層と前記第2コンタクト層との間に挟まれている
請求項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2基板は、
前記第1コンタクト層と前記記憶素子との間に設けられた第1端子と、
前記第2コンタクト層と前記記憶素子との間に設けられた第2端子と
をさらに備え、
前記第1端子の厚さよりも前記第2端子の厚さが大きい
請求項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2端子はチタンを含有する
請求項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2端子の面内方向の寸法が前記記憶素子の面内方向の寸法よりも大きい
請求項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記水素ブロック層はチタンを含む
請求項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2コンタクト層は前記水素ブロック層と接続されたチタン含有層によって覆われている
請求項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1基板は、前記第1半導体層から見て前記第1配線層と反対側に設けられた撮像素子をさらに有する
請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1基板は、前記第1の表面に露出した第1電極を含み、
前記第2基板は、前記第1の表面に露出して前記第1電極と接合される第2電極を含む
請求項記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1基板は、前記撮像素子が複数配置された画素領域と、前記画素領域を取り囲む周辺領域とを含み、
前記第1基板と前記第2基板との積層方向において前記画素領域と重なる位置に前記第1電極と前記第2電極との接合部が形成されている
請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
第1の表面を含む第1基板と、
前記第1の表面と接合される第2の表面を含む第2基板と
を備え、
前記第1基板は、前記第2基板に近い位置から順に積層された、第1配線を含む第1配線層と第1半導体層とを有し、
前記第2基板は、前記第1基板に近い位置から順に積層された、第2配線を含む第2配線層と前記第2配線に電気的に接続されている記憶素子を含む記憶素子層と第2半導体層とを有し、
前記第1配線層と前記第2配線層とが接合されており、
前記第2基板は、前記記憶素子と前記第2の表面との間に追加水素ブロック層をさらに有する
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記憶素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを含む半導体集積回路において、その高集積化や動作速度の高速化が検討されている。近年では、低消費電力の観点から揮発性メモリから不揮発性メモリへの転換が検討されており、例えばMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)の開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-65407号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、このような半導体集積回路を有する半導体装置においては、さらなる高集積化が求められている。したがって、高集積化に適した構造を有する半導体装置を提供することが望ましい。
【0005】
本開示の一実施形態としての半導体装置は、第1の表面を含む第1基板と、その第1の表面と接合される第2の表面を含む第2基板とを備える。第1基板は、第2基板に近い位置から順に積層された、第1配線を含む第1配線層と第1半導体層とを有する。第2基板は、第1基板に近い位置から順に積層された、記憶素子を含む記憶素子層と第2半導体層とを有する。
【0006】
本開示の一実施形態としての半導体装置では、第1基板における第1配線層と、第2基板における記憶素子との距離が接近した状態となる。
【0007】
本開示の一実施形態としての半導体装置によれば、高集積化に適する。なお、本開示の効果はこれに限定されるものではなく、以下の記載のいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る撮像装置の一構成例を表す断面図である。
図2図1に示した撮像装置の要部構成例を拡大して表す断面図である。
図3】本開示の第1の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図4】本開示の第3の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図5】本開示の第4の変形例としての撮像装置の要部構成例を拡大して表す断面図である。
図6】本開示の第5の変形例としての撮像装置の要部構成例を拡大して表す断面図である。
図7】本開示の第2の実施の形態に係る撮像装置の一構成例を表す断面図である。
図8】本開示の第5の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図9】本開示の第6の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図10】本開示の第7の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図11】本開示の第8の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図12】本開示の第3の実施の形態に係る電子機器の全体構成例を表す概略図である。
図13】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図14】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図15】本開示の第9の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図16】本開示の第10の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図17】本開示の第11の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図18】本開示の第12の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図19】本開示の第13の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図20】本開示の第14の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す断面図である。
図21】本開示の第15の変形例としての撮像装置の概略構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(2層構造の撮像装置の例)
1-1.基本形態
1-2.第1の変形例
1-3.第2の変形例
1-4.第3の変形例
1-5.第4の変形例
2.第2の実施の形態(3層構造の撮像装置の例)
2-1.基本形態
2-2.第5の変形例
2-3.第6の変形例
2-4.第7の変形例
2-5.第8の変形例
3.第3の実施の形態(電子機器への適用例)
4.移動体への応用例
5.その他の変形例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
<<1-1.基本形態>>
[撮像装置1の構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る半導体装置としての撮像装置1の全体構成例を模式的に表した断面図である。
【0011】
図1に示したように、撮像装置1は、表面10Sを含む第1基板としてのセンサ基板10と、表面20Sを含む第2基板としての回路基板20とが積層された2層構造を有している。撮像装置1では、位置P1において、表面10Sと表面20Sとが接合されている。本実施の形態では、センサ基板10と回路基板20との積層方向をZ軸方向とし、センサ基板10および回路基板20がそれぞれ広がる面をXY面とする。この撮像装置1は、いわゆる裏面照射型のイメージセンサデバイスである。
【0012】
(センサ基板10)
センサ基板10は、回路基板20に近い位置から順に積層された、第1配線を含む配線層11と半導体層12とを有する。センサ基板10の配線層11には、電極13と、配線14とが含まれている。電極13および配線14は、例えばCu(銅)などの高導電性非磁性材料により形成されており、例えばSiO2などからなる絶縁層11Zに埋設されている。ただし、電極13の一部は表面10Sに露出している。半導体層12は、例えばSi(シリコン)基板である。
【0013】
センサ基板10は、半導体層12から見て配線層11と反対側において順に積層された、絶縁層15と、半導体層16と、カラーフィルタ層17と、マイクロレンズ層18とをさらに有している。半導体層16には、例えばCMOSを用いた固体撮像素子ISが埋設されている。絶縁層15も例えばSiO2などからなる。
【0014】
(回路基板20)
回路基板20は、センサ基板10に近い位置から順に積層された、配線層21と、記憶素子層22と、半導体層23とを有する。
【0015】
配線層21において、配線26-1~26-6と、ビア27-1~27-6と、電極28とが、例えばSiO2などからなる絶縁層21Zに埋設されている。ただし、電極28の一部は表面20Sに露出しており、表面10Sに露出している電極13と接合されて接合部CSを形成している。なお、センサ基板10は、固体撮像素子ISが複数配置された画素領域R1と、その画素領域R1を取り囲む周辺領域R2とを含んでおり、センサ基板10と回路基板20との積層方向(Z軸方向)において画素領域R1と重なる位置に接合部CSが形成されているとよい。ただし、接合部CSは周辺領域R2に形成されていてもよい。また、電極28、配線26-1~26-6およびビア27-1~27-6は、いずれも例えばCu(銅)などの高導電性非磁性材料により形成されている。電極13と電極28とは、例えば電極13を構成するCuと電極28を構成するCuとが直接接合されるCu-Cu接合により接合部CSを形成している。このCu-Cu接合により、電極13と電極28との電気的導通が確保されている。また、配線26-1~26-6と、ビア27-1~27-6とは、記憶素子層22の側から順に交互に積層されている。なお、以下の説明では、配線26-1~26-6を包括的に配線26といい、ビア27-1~27-6を包括的にビア27という場合がある。
【0016】
記憶素子層22は、トランジスタ20Trと、記憶素子24と、コンタクト層25Aと、コンタクト層25Bとを有している。トランジスタ20Trは、記憶素子24と半導体層23との間、例えば半導体層23の表面近傍に設けられている。コンタクト層25Aは、記憶素子24と、トランジスタ20Trにおけるソース電極もしくはドレイン電極のうちのいずれか一方とを接続する導電層である。また、コンタクト層25Bは、記憶素子24と配線26-1とを接続する導電層である。さらに、トランジスタ20Trにおけるソース電極もしくはドレイン電極のうちの他方は、コンタクト層22C1とコンタクト層22C2とを介して別の配線26-1と接続されている。これらのトランジスタ20Tr、記憶素子24、コンタクト層25Aおよびコンタクト層25Bなどは絶縁層22Zに埋設されている。
【0017】
[記憶素子24近傍の詳細の構成]
次に、図2を参照して、記憶素子24近傍における構成について説明する。図2は、図1に示した記憶素子24の近傍を拡大して詳細を表した拡大断面図である。
【0018】
図2に示したように、回路基板20における記憶素子24の近傍には、絶縁性の側壁部SWと、H2(水素ガス)などの透過を防止する水素ブロック層29とが設けられている。側壁部SWは、記憶素子24の端面24Tを、XY面内において取り囲むように覆っている。側壁部SWの構成材料としては、Ti(チタン),Zr(ジルコニウム)もしくはHf(ハフニウム)の第4族元素を含む導電性材料、V(バナジウム),Nb(ニオブ)もしくはTa(タンタル)の第5族元素を含む導電性材料、または、それらの第4族元素の窒化物もしくは第5族元素の窒化物が挙げられる。また、側壁部SWの構成材料としては、Al2 3 (アルミナ),ZnO2 (過酸化亜鉛)もしくはSiN(窒化ケイ素)などの非導電性材料を用いることもできる。水素ブロック層29は、側壁部SWの外面の少なくとも一部をさらに覆っている。水素ブロック層29は、例えばスパッタリング法により形成される薄層であり、側壁部SWの外面をXY面内において取り囲むように覆っているとよい。水素ブロック層29は、例えばTi(チタン)などの水素を吸蔵する金属材料を含んでおり、水素ガスのほか、O2(酸素ガス)やH2O(水)、および水素ラジカルなどの透過をブロックするとよい。水素ガス、酸素ガス、水、および水素ラジカルは、いずれも記憶素子24の性能劣化を引き起こす可能性を有する劣化原因物質である。このような劣化原因物質は、撮像装置1の製造工程、特に、表面10Sと表面20Sとの接合時や、配線層21における配線26およびビア27などの形成時に発生する場合がある。水素ブロック層29の存在により、上記した劣化原因物質が記憶素子24に到達しにくくなる。
【0019】
記憶素子24は、例えば磁気トンネル接合(MTJ)素子などの、例えばZ軸方向において積層された複数の磁性層を含む積層体であり、Z軸方向にセンス電流が供給されることにより、情報の書き込みおよびその情報の読み出しがなされるようになっている。記憶素子24は、積層方向(Z軸方向)においてコンタクト層25Aとコンタクト層25Bとの間に挟まれている。回路基板20は、コンタクト層25Aと記憶素子24との間に設けられた第1端子としての下部電極BEと、記憶素子24とコンタクト層25Bとの間に設けられた第2端子としての上部電極TEとをさらに有する。下部電極BEおよび上部電極TEは、例えばTi,TiN(窒化チタン),Ta(タンタル),TaN(窒化タンタル),W(タングステン),CuおよびAl(アルミニウム)のうちの1種以上を含む高導電性材料により構成されていてもよい。下部電極BEおよび上部電極TEは、単層構造に限定されず、複数の導電層が積層された積層構造を有していてもよい。さらに、下部電極BEの厚さZBEよりも上部電極TEの厚さZTEが大きいことが望ましい。上記した劣化原因物質が記憶素子24により到達しにくくなるからである。
【0020】
コンタクト層25Aは、例えばコア25A1と、そのコア25A1の周囲を覆うバリア層25A2との2層構造を有する。同様に、コンタクト層25Bは、コア25B1と、そのコア25B1の周囲を覆うバリア層25B2との2層構造を有する。コア25A1,25B1は、例えばCu,WまたはAlなどの高導電性材料を主体とする材料からなる。バリア層25A2,25B2は、Tiの単体もしくはTa(タンタル)の単体、またはそれらのTiおよびTaの少なくとも一方を含む合金などを主体とする材料からなる。
【0021】
記憶素子24は、例えば、スピン注入により後述する記憶層の磁化の向きを反転させて情報の記憶を行う、スピン注入磁化反転型記憶素子(STT-MTJ;Spin Transfer Torque-Magnetic Tunnel Junctions)であることが好ましい。STT-MTJは高速書き込み読み出しが可能であることから、揮発性メモリに置き換わる不揮発性メモリとして有望視されている。
【0022】
記憶素子24は、例えば、コンタクト層25Aに近い方から順に、下地層と、磁化固定層と、絶縁層と、記憶層と,キャップ層とが積層された積層構造を有する。記憶素子24では、一軸異方性を有する記憶層の磁化の向きを変化させることにより情報の記憶が行われる。記憶層の磁化と磁化固定層の磁化との相対的な角度(平行または反平行)によって情報の「0」または「1」が規定される。
【0023】
記憶素子24における下地層およびキャップ層は、例えばTa,Ruなどの金属膜またはその積層膜により構成されている。
【0024】
記憶素子24における磁化固定層は、記憶層の記憶情報(磁化方向)の基準とされるリファレンス層である。磁化固定層は、その磁化の方向が膜面垂直方向に固定された磁気モーメントを有する強磁性体により構成されている。磁化固定層は、例えばCo-Fe-Bにより構成されている。
【0025】
磁化固定層の磁化の方向は、書込みや読出しによって変化することは望ましくないが、必ずしも特定の方向に固定されている必要はない。記憶層の磁化の方向よりも磁化固定層の磁化の方向が動きにくくなるようにすればよいからである。例えば、磁化固定層が記憶層と比較して、より大きな保磁力を有し、より大きな磁気膜厚を有し、または、より大きな磁気ダンピング定数を有するようにすればよい。磁化固定層の磁化の方向を固定するには、例えばPtMnやIrMnなどの反強磁性体を、磁化固定層に接触させて設ければよい。あるいは、そのような反強磁性体に接触した磁性体を、Ru等の非磁性体を介して磁気的に磁化固定層と結合させることで、磁化固定層の磁化の方向を間接的に固定してもよい。
【0026】
記憶素子24における絶縁層は、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)となる中間層であり、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウム(MgO)により構成されている。中でも、この絶縁層は酸化マグネシウムにより構成されていることが好ましい。磁気抵抗変化率(MR比)を高くすることが可能となり、スピン注入の効率を向上させて、記憶層の磁化の向きを反転させるための電流密度を低減することが可能となるからである。
【0027】
記憶素子24における記憶層は、磁化固定層の磁化の方向が膜面垂直方向に自由に変化する磁気モーメントを有する強磁性体により構成されている。記憶層は、例えばCo-Fe-Bにより構成されている。
【0028】
[撮像装置1の作用効果]
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置1は、センサ基板10の表面10Sと、回路基板20の表面20Sとが貼り合わされた2層構造を有する。センサ基板10は、回路基板20に近い位置から順に積層された配線層11と半導体層12とを有する。回路基板20は、センサ基板10に近い位置から順に積層された、配線層21と記憶素子層22と半導体層23とを有する。このため、センサ基板10における配線層11と、回路基板20における記憶素子24との距離が接近した状態となる。よって、センサ基板10における配線層11の電極13と、回路基板20における記憶素子24とを繋ぐ配線26およびビア27の長さを短縮することができ、配線26等の電気抵抗を低減できるうえ、製造プロセスの簡素化を図ることができる。そのうえ、XY面内方向への広がりを抑え、省スペース化を実現でき、撮像装置1全体の寸法を縮小化に寄与する。したがって、本実施の形態における撮像装置1は、高集積化に適する。
【0029】
また、本実施の形態の撮像装置1では、記憶素子24の周囲に水素ブロック層29を設けるようにしたので、撮像装置1の製造過程において発生する水素ガスなどの劣化原因物質が記憶素子24に到達するのを妨げることができる。このため、記憶素子24の性能劣化を効果的に抑制できる。さらに、撮像装置1では、記憶素子24をZ軸方向において挟むように設けられた下部電極BEおよび上部電極TEにチタンを含有させるようにすれば、上記の劣化原因物質が記憶素子24に到達するのを、より効果的に妨げることができる。特に、下部電極BEの厚さZBEよりも上部電極TEの厚さZTEを大きくした場合には、記憶素子24への劣化原因物質の進入を、よりいっそう効果的に防ぐことができる。また、下部電極BEの厚さZBEよりも上部電極TEの厚さZTEを大きくすることにより、記憶素子24形成後における他の工程、例えば、コンタクト層25Bを上部電極TEと接続するための側壁部SWの開口を形成する穴あけ工程などでの、記憶素子24へのダメージを緩和できる。
【0030】
また、撮像装置1では、コンタクト層25Aをコア25A1とバリア層25A2との2層構造により構成するようにした。このため、例えばコア25A1をW(タングステン)を用いてCVD法により形成することにより、Z軸方向に細長く延在する形状のコンタクト層25Aを実現できる。よって、狭い領域内に多数の記憶素子24を配列した場合にも対応することができ、高集積化に資する。ここで、W(タングステン)は絶縁層20Zの構成材料、例えばSiO2との密着性が弱い傾向にあるので、バリア層25A2をコア25A1と絶縁層20Zとの間に介在させることにより、コンタクト層25Aと絶縁層20Zとの密着性を高めることができる。バリア層25A2は、コア25A1を覆うTiN膜と、そのTiN膜を覆うTi膜との積層膜であってもよい。その場合、TiN膜はW(タングステン)との密着性に特に優れ、Ti膜はSiO2との密着性に特に優れるので、コンタクト層25Aと絶縁層20Zとの密着性をよりいっそう高めることができる。また、バリア層25A2がTi(チタン)を含有する場合には、水素ラジカル等の劣化原因物質を吸蔵することができるので、記憶素子24の性能劣化の可能性をよりいっそう低減できる。
【0031】
なお、本実施の形態の撮像装置1では、各配線26や各ビア27を覆うようにTi(チタン)を含有するバリア層をさらに形成するようにしてもよい。水素ラジカル等の劣化原因物質が記憶素子24へ到達するのをより効果的に防止できるからである。
【0032】
<<1-2.第1の変形例>>
上記第1の実施の形態の撮像装置1では、表面10Sに露出した電極13と表面20Sに露出した電極28とがCu-Cu接合されるようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示は、図3に示した、本開示の第1の変形例としての撮像装置1Aをも含む概念である。撮像装置1Aでは、表面10Sおよび表面20Sを貫くビアVにより、センサ基板10の配線14と回路基板20の配線26-6とが接続されている。また、撮像装置1Aでは、表面10Sに露出した電極13および表面20Sに露出した電極28は存在しない。撮像装置1Aは、これらの点を除き、他は上記第1の実施の形態の撮像装置1と実質的に同じ構成を有する。
【0033】
<<1-3.第2の変形例>>
本開示は、図4に示した、本開示の第2の変形例としての撮像装置1Bをも含む概念である。撮像装置1Bでは、配線26-6から表面20S、表面10S、配線層11および半導体層12を貫いて半導体層16に到達するを貫くビアV1と、絶縁層15に設けられてビアV1と接続された配線19と、その配線19から半導体層12を貫いて配線14に到達するビアV2とが設けられている。また、撮像装置1Bでは、撮像装置1Aと同様、表面10Sに露出した電極13および表面20Sに露出した電極28は存在しない。撮像装置2Bは、これらの点を除き、他は上記第1の実施の形態の撮像装置1と実質的に同じ構成を有する。
【0034】
<<1-4.第3の変形例>>
図5は、本開示の第3の変形例としての撮像装置1Cにおける記憶素子24の近傍を拡大して詳細を表した拡大断面図である。図5に示したように、撮像装置1Cでは、XY面内方向において、コンタクト層25Bのバリア層25B2の外径Φ25Bが、記憶素子24の外径Φ24よりも大きく、側壁部SWの外径ΦSWとほぼ一致している。このため、コンタクト層25Bのバリア層25B2が水素ブロック層29と接続されている。このため、バリア層25B2と水素ブロック層29との隙間から側壁部SWを介して記憶素子24へ進入するのを防ぐことができる。なお、コンタクト層25Aのバリア層25A2と水素ブロック層29とは、側壁部SWにより電気的に分離されている。したがって、水素ブロック層29を経由してコンタクト層25Aとコンタクト層25Bとが短絡することはない。
【0035】
<<1-5.第4の変形例>>
図6は、本開示の第4の変形例としての撮像装置1Dにおける記憶素子24の近傍を拡大して詳細を表した拡大断面図である。図6に示したように、撮像装置1Dでは、XY面内方向において上部電極TEの外径ΦTEが記憶素子24の外径Φ24よりも大きい。撮像装置1Dでは、このような構成により、コンタクト層25Bを形成する際の、上部電極TEに対するコンタクト層25Bの位置合わせが容易となる。また、XY面内方向においてより大きな寸法を有する上部電極TEを記憶素子24に被せることにより、記憶素子24の上層、すなわち配線層21などからの劣化原因物質が記憶素子24への進入するのを効果的に防ぐことができる。
【0036】
<2.第2の実施の形態>
<<2-1.基本形態>>
[撮像装置2の構成]
図7は、本開示の第2の実施の形態としての撮像装置2の断面構成を表したものである。上記第1の実施の形態では、固体撮像素子ISを含むセンサ基板10の表面10Sと、記憶素子24を含む回路基板20の表面20Sとを接合した2層構造の撮像装置1を例示して説明した。これに対し、第2の実施の形態に係る撮像装置2は、図7に示したように、ロジック基板40と、中間基板50と、センサ基板10とが順に積層された3層構造を有する。撮像装置2のセンサ基板10は、上記第1の実施の形態における撮像装置1のセンサ基板10と実質的に同じであるので、その説明を省略する。なお、撮像装置2では、ロジック基板40が本開示の「第1基板」に対応する一具体例であり、中間基板50が本開示の「第2基板」に対応する一具体例であり、センサ基板10が本開示の「第3基板」に対応する一具体例である。
【0037】
撮像装置2では、ロジック基板40の表面40Sと、中間基板50の表面50S1とが位置P1において接合されており、中間基板50の裏面50S2とセンサ基板10の表面10Sとが位置P1において接合されている。
【0038】
(ロジック基板40)
ロジック基板40は、中間基板50に近い位置から順に積層された、配線層41と、半導体層42とを有する。配線層41には、例えば信号処理回路などのロジック回路が形成されている。
【0039】
配線層41において、ロジック回路を構成する配線46-1~46-6、ビア47-1~47-6、トランジスタ40Trおよび電極48が、例えばSiO2などからなる絶縁層41Zに埋設されている。ただし、電極48の一部は表面40Sに露出している。また、電極48、配線46-1~46-6およびビア47-1~47-6は、いずれも例えばCu(銅)などの高導電性非磁性材料により形成されている。また、配線46-1~46-6と、ビア47-1~47-6とは、半導体層42の側から順に交互に積層されている。なお、以下の説明では、配線46-1~46-6を包括的に配線46といい、ビア47-1~47-6を包括的にビア47という場合がある。また、半導体層42は、例えばSi(シリコン)基板である。
【0040】
(中間基板50)
中間基板50は、ロジック基板40に近い位置から順に積層された、配線層51と、半導体層52と、配線層53とを有する。
【0041】
配線層51は、電極54と、配線55と、記憶素子56と、コンタクト層57Aと、コンタクト層57Bと、トランジスタ50Trとを有している。電極54、配線55、記憶素子56、コンタクト層57A、コンタクト層57B、およびトランジスタ50Trは、例えばSiO2などからなる絶縁層51Zに埋設されている。ただし、電極54の一部は表面50S1に露出しており、表面40Sに露出している電極48と接合されて接合部CS1を形成している。また、電極54、配線55およびコンタクト層57A,57Bは、いずれも例えばCu(銅)などの高導電性非磁性材料により形成されている。記憶素子56は、上記第1の実施の形態の撮像装置1における記憶素子24と実質的に同じ構成を有する。トランジスタ50Trは、記憶素子56と半導体層52との間、例えば半導体層52の表面近傍に設けられている。コンタクト層57Aは、記憶素子56と、トランジスタ50Trにおけるソース電極もしくはドレイン電極のうちのいずれか一方とを接続する導電層である。また、コンタクト層57Bは、記憶素子56と配線55とを接続する導電層である。さらに、トランジスタ50Trにおけるソース電極もしくはドレイン電極のうちの他方は、コンタクト層57C1とコンタクト層57C2とを介して別の配線55と接続されている。半導体層52は、例えばSi(シリコン)基板である。
【0042】
配線層53は、電極58と、その電極58の周囲を充填する絶縁層53Zとを有している。電極58は、コンタクト層59により、配線層51における配線55と接続されている。さらに、電極58の一部は裏面50S2に露出しており、表面10Sに露出している電極13と接合されて接合部CS2を形成している。電極54およびコンタクト層59Bは、いずれも例えばCu(銅)などの高導電性非磁性材料により形成されている。
【0043】
なお、撮像装置2では、積層方向(Z軸方向)において画素領域R1と重なる位置に接合部CS1,CS2が形成されているとよい。ただし、接合部CS1,CS2は周辺領域R2に形成されていてもよい。また、電極54と電極48とは、例えば電極54を構成するCuと電極48を構成するCuとが直接接合されるCu-Cu接合により接合部CS1を形成している。このCu-Cu接合により、電極54と電極48との電気的導通が確保されている。同様に、電極58と電極13とは、例えば電極58を構成するCuと電極13を構成するCuとが直接接合されるCu-Cu接合により接合部CS2を形成している。このCu-Cu接合により、電極58と電極13との電気的導通が確保されている。
【0044】
[撮像装置2の作用効果]
以上説明したように、本実施の形態の撮像装置2は、ロジック基板40と、中間基板50と、センサ基板10とが順に積層された3層構造を有する。ここで、ロジック基板40の表面40Sと、中間基板50の表面50S1とが対向するように貼り合わされている。ロジック基板40は、中間基板50に近い位置から順に積層された配線層41と半導体層42とを有する。中間基板50は、ロジック基板40に近い位置から順に積層された、記憶素子56を含む配線層51と半導体層52とを有する。このため、ロジック基板40における配線層41と、中間基板50における記憶素子56との距離が接近した状態となる。よって、ロジック基板40における配線層41に設けられた電極48と、中間基板50における記憶素子56とを繋ぐ配線等の長さを短縮することができ、その配線等の電気抵抗を低減できるうえ、製造プロセスの簡素化を図ることができる。そのうえ、XY面内方向への広がりを抑え、省スペース化を実現でき、撮像装置2全体の寸法を縮小化に寄与する。したがって、本実施の形態における撮像装置2は、高集積化に適する。
【0045】
また、本実施の形態の撮像装置2においても、記憶素子56の周囲に水素ブロック層を設けるようにすれば、撮像装置2の製造過程において発生する水素ガスなどの劣化原因物質が記憶素子56に到達するのを妨げることができる。その結果、記憶素子56の性能劣化を回避することができる。
【0046】
<<2-2.第5の変形例>>
上記第2の実施の形態の撮像装置2では、中間基板50とセンサ基板10との界面において、裏面50S2に露出した電極58と表面10Sに露出した電極13とがCu-Cu接合されるようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示は、図8に示した、本開示の第5の変形例としての撮像装置2Aをも含む概念である。撮像装置2Aでは、コンタクト層59の代わりのコンタクト層59Aが裏面50S2、表面10S、配線層11および半導体層12を貫いており、このコンタクト層59Aにより、センサ基板10の配線14と中間基板50の配線55とが接続されている。また、撮像装置2Aでは、表面10Sに露出した電極13および裏面50S2に露出した電極58は存在しない。撮像装置2Aは、これらの点を除き、他は上記第2の実施の形態の撮像装置2と実質的に同じ構成を有する。
【0047】
<<2-3.第6の変形例>>
本開示は、図9に示した、本開示の第6の変形例としての撮像装置2Bをも含む概念である。撮像装置2Bでは、コンタクト層59Bが設けられている。コンタクト層59Bは、配線46-6から表面40S、表面50S1、配線層51、半導体層52、配線層53、裏面50S2、表面10S、配線層11、半導体層12および絶縁層15を貫いて半導体層16に到達するように設けられている。また、撮像装置2Bでは、表面10Sに露出した電極13、裏面50S2に露出した電極58、表面50S1に露出した電極54および表面40Sに露出した電極48は存在しない。撮像装置2Bは、これらの点を除き、他は上記第2の実施の形態の撮像装置2と実質的に同じ構成を有する。
【0048】
<<2-4.第7の変形例>>
本開示は、図10に示した、本開示の第7の変形例としての撮像装置2Cをも含む概念である。撮像装置2Cでは、配線46-6から表面40S、表面40S1、配線層51、半導体層52、配線層53、裏面50S2、表面10S、配線層11、半導体層12および絶縁層15を貫いて半導体層16に到達するコンタクト層59Cと、絶縁層15に設けられてコンタクト層59Cと接続された配線19Aと、その配線19Aから半導体層12を貫いて配線14に到達するビアV2とが設けられている。また、撮像装置2Cでは、配線層53に埋設されてコンタクト層59Cと接続された配線19Bと、その配線19Bから半導体層52および絶縁層51Zを貫いて配線55に到達するビアV3とがさらに設けられている。なお、撮像装置2Cでは、撮像装置2Bと同様、表面10Sに露出した電極13、裏面50S2に露出した電極58、表面50S1に露出した電極54および表面40Sに露出した電極48は存在しない。撮像装置2Cは、これらの点を除き、他は上記第2の実施の形態の撮像装置2と実質的に同じ構成を有する。
【0049】
<<2-5.第8の変形例>>
本開示は、図11に示した、本開示の第8の変形例としての撮像装置2Dをも含む概念である。撮像装置2Dは、ロジック基板40の代わりにロジック基板40Aを備え、中間基板50の代わりに中間基板50Aを備えるようにした。撮像装置2Dは、これらの点を除き、他は上記第2の実施の形態の撮像装置2と実質的に同じ構成を有する。具体的には、上記撮像装置2では、図7に示したように中間基板50に記憶素子56を設けるようにした。これに対し、撮像装置2Dでは、図11に示したように中間基板50Aは記憶素子を含まず、ロジック基板40Aに記憶素子49を設けるようにした。
【0050】
<3.第3の実施の形態:電子機器への適用例>
図12は、本技術を適用した電子機器としてのカメラ2000の構成例を示すブロック図である。
【0051】
カメラ2000は、レンズ群などからなる光学部2001、上述の撮像装置1,1A~1D,2,2A~2Dなど(以下、撮像装置1等という。)が適用される撮像装置(撮像デバイス)2002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路2003を備える。また、カメラ2000は、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006、操作部2007、および電源部2008も備える。DSP回路2003、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006、操作部2007および電源部2008は、バスライン2009を介して相互に接続されている。
【0052】
光学部2001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置2002の撮像面上に結像する。撮像装置2002は、光学部2001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0053】
表示部2005は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置2002で撮像された動画または静止画を表示する。記録部2006は、撮像装置2002で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0054】
操作部2007は、ユーザによる操作の下に、カメラ2000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部2008は、DSP回路2003、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006および操作部2007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0055】
上述したように、撮像装置2002として、上述した撮像装置1等を用いることで、良好な画像の取得が期待できる。
【0056】
<4.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0057】
図13は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0058】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図13に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0059】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0060】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0061】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0062】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0063】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0064】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0065】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0066】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0067】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図13の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0068】
図14は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0069】
図14では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0070】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両1
2100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0071】
なお、図14には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0072】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0073】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0074】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0075】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0076】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1などに示した撮像装置1等を撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、車両制御システムの優れた動作が期待できる。
【0077】
<5.その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば図15に示した撮像装置3のように、回路基板20において記憶素子24と表面20Sとの間に追加水素ブロック層60をさらに設けるようにしてもよい。図15は、本開示の第9の変形例としての撮像装置3の全体構成例を表す断面図である。撮像装置3は、その点を除き、他は図1に示した撮像装置1と実質的に同じ構成を有する。撮像装置3のように追加水素ブロック層60をさらに設けることで、撮像装置3の製造過程において発生する水素ガスなどの劣化原因物質が記憶素子24に到達するのを十分に妨げることができる。なお、追加水素ブロック層60は、画素領域R1および周辺領域R2の双方に亘って全面的に設けられていることが望ましいが、画素領域R1および周辺領域R2のうちの一部の領域に選択的に設けられていてもよい。追加水素ブロック層60をXY面内の一部領域に選択的に設ける場合は、積層方向(Z軸方向)において記憶素子と重なり合う位置に設けるようにするとよい。また、追加水素ブロック層60は、配線の一部と兼用するようにしてもよい。
【0078】
また、本開示では、例えば図16~18にそれぞれ示した回路基板20とセンサ基板10との2層構造を有する撮像装置1E~1Gのように、回路基板20における表面20Sと、最も表面20Sに近い配線26-6との間に追加ブロック層61~63をさらに設けるようにしてもよい。図16~18は、それぞれ、本開示の第10~12の変形例としての撮像装置1E~1Gの全体構成例を表す断面図である。撮像装置1E~1Gは、それぞれ、追加ブロック層61~63をさらに設けるようにした点を除き、他は図1,3,4に示した撮像装置1,1A,1Bと実質的に同じ構成を有する。同様に、例えば図19に示したロジック基板40と中間基板50とセンサ基板10との3層構造を有する撮像装置2Eのように、ロジック基板40における表面40Sと、最も表面40Sに近い配線46-6との間に追加ブロック層64をさらに設けるようにしてもよい。図19は、本開示の第13の変形例としての撮像装置2Eの全体構成例を表す断面図である。撮像装置2Eは、追加ブロック層64をさらに設けるようにした点を除き、他は図11に示した撮像装置2Dと実質的に同じ構成を有する。なお、配線26-6および配線46-6の構成材料としては、アルミニウム(Al)が好適である。また、追加ブロック層61~64の構成材料としては、例えばSiN(窒化ケイ素)が好適である。さらに、追加ブロック層61~64は、XY面内において、例えばビア27-6,V,V1,47-6が形成された領域以外を全面的に覆っていることが望ましい。但し、図20に示した撮像装置2Fのように、画素領域R1のみに追加ブロック層65を設けるようにしてもよい。図20は、本開示の第14の変形例としての撮像装置2Fの全体構成例を表す断面図である。
【0079】
図16~20にそれぞれ示した撮像装置1E~1G,2E,2Fのように追加ブロック層61~65をさらに設けることで、撮像装置1E~1G,2E,2Fの製造過程において発生する水素ガスなどの劣化原因物質が記憶素子24または記憶素子49に到達するのを十分に妨げることができる。撮像装置1E~1G,2E,2Fでは、配線26-6およびビア27-6の周囲を覆う層間絶縁膜である絶縁層21ZをXY面に沿って仕切るように、追加ブロック層61~65をそれぞれ設けるようにしている。絶縁層21Zは、記憶素子24,49の性能劣化を引き起こす可能性のある劣化原因物質である水素ガス、酸素ガスおよび水素ラジカルの発生源となり得る水分の含有率が他の部分よりも高い。したがって、追加ブロック層61~65を設けることにより、上述の劣化原因物質から記憶素子24,49を効果的に保護することができる。
【0080】
また、本開示の半導体装置は、例えば図21に示した固体撮像装置1010Aに適用可能である。
【0081】
図21に示した固体撮像装置1010Aは、例えばセンサ基板1020と回路基板1030とが上下に積層された構造を備える。本開示の半導体装置は、例えば図21に示したメモリ部1032を構成する半導体装置として適用可能である。
【0082】
図21に示したセンサ基板1020は、例えばセンサ部1021と行選択部1025とを備える。センサ部1021は、行列状に配置された複数のセンサ1040を有する。センサ1040は、例えばフォトダイオード1041、転送トランジスタ(転送ゲートともいう)1042、リセットトランジスタ1043、増幅トランジスタ1044、選択トランジスタ1045、浮遊拡散領域部(FD)1046を有する。行選択部1025は、回路基板1030側から与えられるアドレス信号を基に、センサ部1021の各センサ1040を行単位で選択する。尚、ここでは、行選択部1025をセンサ基板1020に設けたが、回路基板1030に設けることも可能である。
【0083】
図21に示した回路基板1030は、例えば信号処理部1031、メモリ部1032、データ処理部1033、制御部1034、電流源1035、デコーダ1036、行デコーダ1037、及び、インタフェース(IF)部1038等を備える。また、センサ部1021の各センサ1040を駆動するセンサ駆動部(図示せず)が設けられている。
【0084】
信号処理部1031は、例えばセンサ部1021の各センサ1040からセンサ行毎に読み出されたアナログ信号に対して、センサ列単位で並列(列並列)にデジタル化(AD変換)を含む所定の信号処理を行う構成とすることができる。そして、信号処理部1031は、センサ部1021の各センサ1040から信号線1026に読み出されたアナログ信号をデジタル化するアナログ-デジタル変換器(AD変換器)1050を有しており、AD変換された画像データ(デジタルデータ)をメモリ部1032に転送する。
【0085】
信号線1026は、例えば行列状にセンサ1040が配列されたセンサ部1021に対して、センサ行毎に行制御線、センサ列毎に列信号線(垂直信号線)が配線されている。
【0086】
なお、信号処理部1031は、さらに、AD変換器1050でのAD変換の際に用いる参照電圧を生成する参照電圧生成部1054を有してもよい。参照電圧生成部1054は、例えば、DA変換器(デジタル-アナログ変換器)を用いて構成することができるが、これに限定するものではない。
【0087】
AD変換器1050は、例えば比較器(コンパレータ)1051及びカウンタ部1052を有する。比較器1051は、センサ部1021の各センサ1040から信号線1026を介して読み出されるアナログ信号を比較入力とし、参照電圧生成部1054から供給される参照電圧を基準入力とし、両入力を比較する。カウンタ部1052として、例えば、アップ/ダウンカウンタが用いられる。カウンタ部1052には、比較器1051に対する参照電圧の供給開始タイミングと同じタイミングでクロックCKが与えられる。アップ/ダウンカウンタであるカウンタ部1052は、クロックCKに同期してダウンカウント、又は、アップカウントを行うことで、比較器1051の出力パルスのパルス幅の期間、即ち、比較動作の開始から比較動作の終了までの比較期間を計測する。そして、カウンタ部1052のカウント結果(カウント値)が、アナログ信号をデジタル化したデジタル値(画像データ)となる。
【0088】
データラッチ部1055は、AD変換器1050でデジタル化された画像データをラッチする。メモリ部1032は、信号処理部1031において所定の信号処理が施された画像データを格納する。データ処理部1033は、メモリ部1032に格納された画像データを所定の順番に読み出し、種々の処理を行い、インタフェース(IF)1038を介してチップ外に出力する。
【0089】
制御部1034は、例えばチップ外から与えられる水平同期信号XHS、垂直同期信号XVS、及び、マスタークロックMCK等の基準信号に基づいて、センサ駆動部(図示せず)や、メモリ部1032、データ処理部1033等の信号処理部1031の各動作の制御を行う。このとき、制御部1034は、センサ基板1020側の回路(行選択部1025やセンサ部1021)と、回路基板1030側の信号処理部1031(メモリ部1032、データ処理部1033等)との同期を取りつつ、制御を行う。
【0090】
電流源1035には、例えばセンサ部1021の各センサ1040からセンサ列毎にアナログ信号が読み出される信号線1026の各々が接続されている。電流源1035は、例えば、信号線1026に或る一定の電流を供給するように、ゲート電位が一定電位にバイアスされたMOSトランジスタから成る、所謂、負荷MOS回路構成を有する。この負荷MOS回路から成る電流源1035は、選択された行に含まれるセンサ1040の増幅トランジスタ1044に定電流を供給することにより、増幅トランジスタ1044をソースフォロアとして動作させる。
【0091】
デコーダ1036は、制御部1034の制御下、センサ部1021の各センサ1040を行単位で選択する際に、その選択行のアドレスを指定するアドレス信号を行選択部1025に対して与える。行デコーダ1037は、制御部1034の制御下、メモリ部1032に画像データを書き込んだり、メモリ部1032から画像データを読み出したりする際の行アドレスを指定する。
【0092】
センサ基板1020と回路基板1030とは、例えば半導体基板を貫通するTSV(Through-Silicon Via)などの接続部を介して電気的に接続される。TSVを用いた接続には、例えば、センサ基板1020に設けられたTSVとセンサ基板1020から回路基板1030にかけて設けられたTSVとの2つのTSVをチップ外表で接続する、いわゆるTwin TSV方式や、センサ基板1020から回路基板1030まで貫通するTSVで両者を接続する、いわゆるShared TSV方式などを用いることができる。
【0093】
また、センサ基板1020と回路基板1030とは、例えば互いの接合面に形成された電極パッド同士を貼り合わせる、いわゆる金属接合などの接続部を介して電気的に接続される。このとき、電極パッドは銅などの金属で形成され、Cu-Cu接合ともいう。その他、センサ基板1020と回路基板1030との接続部には、バンプ接合などを用いることもできる。
【0094】
また、上記実施の形態等では撮像装置を例示するようにしたが、本開示の半導体装置はこれに限定されるものではない。
【0095】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
第1の表面を含む第1基板と、
前記第1の表面と接合される第2の表面を含む第2基板と
を備え、
前記第1基板は、前記第2基板に近い位置から順に積層された、第1配線を含む第1配線層と第1半導体層とを有し、
前記第2基板は、前記第1基板に近い位置から順に積層された、記憶素子を含む記憶素子層と第2半導体層とを有する
半導体装置。
(2)
前記第1基板は、前記第1の表面に露出した第1電極を含み、
前記第2基板は、前記第1の表面に露出して前記第1電極と接合される第2電極を含む
上記(1)記載の半導体装置。
(3)
前記第2基板は、前記記憶素子層から見て前記第2半導体層と反対側に位置する、第2配線を含む第2配線層をさらに有する
上記(1)または(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記第2基板は、
前記記憶素子と前記第2半導体層との間に設けられた、ソース電極およびドレイン電極を含むトランジスタと、
前記記憶素子と、前記ソース電極もしくは前記ドレイン電極とを接続する第1コンタクト層と、
前記記憶素子と前記第2配線とを接続する第2コンタクト層と
をさらに有する
上記(3)記載の半導体装置。
(5)
前記第2基板は、
前記記憶素子の端面を覆う保護膜と、
前記保護膜の外面の少なくとも一部を覆う水素ブロック層と
をさらに有し、
前記記憶素子は、前記第1基板と前記第2基板との積層方向において前記第1コンタクト層と前記第2コンタクト層との間に挟まれている
上記(4)記載の半導体装置。
(6)
前記第2基板は、
前記第1コンタクト層と前記記憶素子との間に設けられた第1端子と、
前記第2コンタクト層と前記記憶素子との間に設けられた第2端子と
をさらに備え、
前記第1端子の厚さよりも前記第2端子の厚さが大きい
上記(5)記載の半導体装置。
(7)
前記第2端子はチタンを含有する
上記(6)記載の半導体装置。
(8)
前記第2端子の面内方向の寸法が前記記憶素子の面内方向の寸法よりも大きい
上記(6)または(7)に記載の半導体装置。
(9)
前記水素ブロック層はチタンを含む
上記(5)から(8)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(10)
前記第2コンタクト層は前記水素ブロック層と接続されたチタン含有層によって覆われている
上記(9)記載の半導体装置。
(11)
前記第1基板は、前記第1半導体層から見て前記第1配線層と反対側に設けられた撮像素子をさらに有する
請求項1記載の半導体装置。
上記(1)から(10)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(12)
前記第1基板は、前記第1の表面に露出した第1電極を含み、
前記第2基板は、前記第1の表面に露出して前記第1電極と接合される第2電極を含む
上記(11)記載の半導体装置。
(13)
前記第1基板は、前記撮像素子が複数配置された画素領域と、前記画素領域を取り囲む周辺領域とを含み、
前記第1基板と前記第2基板との積層方向において前記画素領域と重なる位置に前記第1電極と前記第2電極との接合部が形成されている
上記(12)に記載の半導体装置。
(14)
前記第2基板から見て前記第1基板と反対側に設けられ、前記第2基板における前記第2の表面と反対側の第2の裏面と接合された第3の表面を含む第3基板をさらに備えた
上記(1)から(13)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(15)
前記第1基板から見て前記第2基板と反対側に設けられ、前記第1基板における前記第1の表面と反対側の第1の裏面と接合された第3の表面を含む第3基板をさらに備えた
上記(1)から(13)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(16)
前記第2基板は、前記記憶素子と前記第2の表面との間に追加水素ブロック層をさらに有する
上記(1)から(15)のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0096】
本出願は、日本国特許庁において2018年7月24日に出願された日本特許出願番号2018-138609号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0097】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21