(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】電位依存性カリウムチャネル開口薬のバイオアベイラビリティー及び曝露を高める方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/472 20060101AFI20241015BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241015BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20241015BHJP
C07D 217/22 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61K31/472
A61P43/00 111
A61P25/08
C07D217/22
(21)【出願番号】P 2020562201
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(86)【国際出願番号】 US2019031872
(87)【国際公開番号】W WO2019217924
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506030826
【氏名又は名称】ゼノン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XENON PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ビーッチ グレゴリー エヌ.
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501568(JP,A)
【文献】特表2013-518815(JP,A)
【文献】特表2013-518043(JP,A)
【文献】特表2013-517315(JP,A)
【文献】岡山医学会雑誌,2015年,第127巻,p.245-249
【文献】Submission PM-2011-04248-3-1 Extract from the Clinical Evaluation Report for Retigabine,2012年,p.1-89
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/472
A61P 43/00
A61P 25/08
C07D 217/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とするヒトの治療における使用のための剤であって、
前記剤がN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、
前記剤は摂食前
2時間から摂食後
2.5時間までの間に
前記ヒトに経口投与される、使用のための剤。
【請求項2】
前記剤が、発作性疾患治療における使用のための剤である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記発作性疾患が焦点性初発てんかんである、請求項
2に記載の剤。
【請求項4】
前記剤が、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、前記ヒトに経口投与される請求項1~3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
前記剤が、摂食中、又は、摂食後15分以内に経口投与されるためのものである、請求項
1~4
のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
前記方法が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のC
max、AUC
inf、T
max又はt1/2
λzのうちの1以上を上昇させる請求項1~
5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
前記経口投与がKv7カリウムチャネルの開口を高める、請求項1~
6のいずれか1項に記載の剤。
【請求項8】
前記Kv7カリウムチャネルが、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択される請求項
7に記載の剤。
【請求項9】
前記Kv7カリウムチャネルの開口が、Kv7.1よりも、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択的である請求項
8に記載の剤。
【請求項10】
前記経口投与が、Kv7.2/Kv7.3カリウムチャネルの開口を高める請求項
7に記載の剤。
【請求項11】
前記治療が、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与された場合の前記剤の同じC
max、AUC
inf、T
max又はt1/2
λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量の前記剤を前記ヒトに投与することを含む請求項1~
10のいずれか1項に記載の剤。
【請求項12】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のC
maxを上昇させる、請求項
6~
11のいずれか1項に記載の剤。
【請求項13】
経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態での前記剤の経口投与後のC
maxに対する前記剤の経口投与後のC
maxの比が2超である、請求項
12に記載の剤。
【請求項14】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のC
maxを少なくとも50%上昇させる請求項
12に記載の剤。
【請求項15】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のC
maxを上昇させ、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態での前記剤の経口投与後のC
maxに対する前記剤の経口投与後のC
maxの比が1.2超である請求項12に記載の剤。
【請求項16】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のAUC
infを上昇させる、請求項
6~
15のいずれか1項に記載の剤。
【請求項17】
経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態での前記剤の経口投与後のAUC
infに対する前記剤の経口投与後のAUC
infの比が1.3超である、請求項
16に記載の剤。
【請求項18】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のAUC
infを少なくとも50%上昇させる請求項
16に記載の剤。
【請求項19】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも4時間前から経口投与の4時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のT
maxを上昇させる請求項1から請求項
18のいずれか1項に記載の剤。
【請求項20】
剤のT
maxの上昇が少なくとも50%である請求項
19に記載の剤。
【請求項21】
前記ヒトへの前記剤の経口投与が、同じ量の前記剤を、経口投与の少なくとも
2時間前から経口投与の
2.5時間後までの間の食物を摂っていない状態の前記ヒトに経口投与した場合と比べて前記剤のt1/2
λzを上昇させる請求項1から請求項
20のいずれか1項に記載の剤。
【請求項22】
剤のt1/2
λzの上昇が少なくとも20%である請求項
21に記載の剤。
【請求項23】
前記剤が、必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させることにおける使用のためのものである、請求項1~
22のいずれか1項に記載の剤。
【請求項24】
RMT又はAMTの前記上昇が前記剤の血漿中濃度に比例する請求項
23に記載の剤。
【請求項25】
前記剤が、必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させることにおける使用のためのものである請求項1~
24のいずれか1項に記載の剤。
【請求項26】
2~200mgの前記剤が投与される請求項1~
25のいずれか1項に記載の剤。
【請求項27】
2~100mgの前記剤が投与される請求項1~26のいずれか1項に記載の剤。
【請求項28】
5~50mgの前記剤が投与される請求項1~
27のいずれか1項に記載の剤。
【請求項29】
10mg、15mg、20mg、若しくは25mgの前記剤が投与される請求項1~2
8のいずれか1項に記載の剤。
【請求項30】
10mgの前記剤が投与される請求項1~
29のいずれか1項に記載の剤。
【請求項31】
15mgの前記剤が投与される請求項1~
30のいずれか1項に記載の剤。
【請求項32】
20mgの前記剤が投与される請求項1~
31のいずれか1項に記載の剤。
【請求項33】
25mgの前記剤が投与される請求項1~
32のいずれか1項に記載の剤。
【請求項34】
0.1~1.0mg/kgの前記剤が投与される請求項1から請求項
33のいずれか1項に記載の剤。
【請求項35】
0.05~2.0mg/kgの前記剤が投与される請求項1から請求項
34のいずれか1項に記載の剤。
【請求項36】
前記剤が1日あたり1回投与されるためのものである、請求項1~3
5のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位依存性カリウムチャネル開口薬のバイオアベイラビリティー及び曝露を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、全世界の推定罹患率が人口の0.7%(5,000万人)とされる一般的な神経障害である(Hirtz,D.ら、Neurology(2007)、68:326-337を参照)。てんかんは、発作につながる脳の異常な電気活性を特徴とする。疫学的な目的で、その定義は、あらゆるタイプの複数の非誘発性発作を必要とする。
【0003】
てんかんを抱える患者は、主にその疾患の病因に起因して、一般集団と比べて上昇した死亡リスクを有する。しかしながら、制御できないてんかんを抱える患者においては、最大の発作関連の死亡リスクは、てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP)に起因する(Hitiris,N.ら、Epilepsy and Behavior(2007)、10:363-376を参照)。治験的な抗てんかん薬(AED)の臨床試験に参加する患者は、一般に10年を超えててんかんを抱えており、複数のAED療法において不首尾である。
【0004】
てんかんのほとんどの形態の病態生理学はあまりよく理解されていないままであるが、てんかん発作は、一群の神経細胞の過剰に同期した持続性の発火から生じるということが知られている。神経細胞の興奮性の持続的な増大は、すべてのてんかん症候群に共通する。てんかんを治療する上での治療戦略は、種々の機構経路を通して神経細胞の興奮性を低下させることを伴う。異なる作用機序を標的指向化することにより治療スペクトルを拡大するために、及びリスク/有益性プロファイルを向上させるために、過去20年にわたって、いくつかの新しいAEDが開発され、販売された。現在利用可能なAEDは、シナプス小胞糖タンパク質の阻害、阻害性のGABA作動性神経伝達の強化、グルタミン酸介在性の興奮性神経伝達の低下、又は電位依存性のナトリウムチャネル若しくはカルシウムチャネルの阻害によって作用すると考えられる。これにもかかわらず、30%以下の患者は、従来の治療で効果がないままであり、制御されない発作を抱え続けている(Brown,D.A.ら、Nature(1980)、283:673-676、及びElger,C.E.ら、Epilepsy Behav.(2008)、12:501-539を参照)。難治性の患者における生活の質は低く、患者は自動車の運転ができず、患者は独立して働くこと又は生活することが困難である。加えて、多くの患者は、自身の発作性疾患の続発症として行動障害、神経障害、及び/又は知的障害を抱える。カリウム依存性チャネルが神経細胞の興奮性の制御において主要な役割を有するという事実にもかかわらず、現在の薬剤は、神経細胞のカリウム依存性チャネルに対してほとんど効果がない。それゆえ、治療に抵抗性を示すてんかんを抱える患者における発作制御に対する重要なまだ満たされていない臨床ニーズに対処するために、新規な作用機序を有する医薬、又は既に販売されているAEDを改良する医薬が必要である。
【0005】
N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミド(本明細書中で、「化合物A」と呼ぶ)は、発作性疾患の治療のために現在開発されている小分子である。化合物A及びカリウムチャネルモジュレータ(調節因子)としてのその使用は、米国特許第8,293,911号明細書及び米国特許第8,993,593号明細書に開示されており、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0006】
電位依存性カリウムチャネルKv7.2及びKv7.3(Kv7.2/Kv7.3)は、神経細胞の興奮性の制御において重要である。Kv7.2/Kv7.3は、初期の特性解析に従って名付けられた神経細胞の「M電流」の基礎をなす。というのも、神経細胞電流は、ムスカリン/コリン作動薬に応答して減少するからである(Brown,D.A.ら、Nature(1980)、283:673-676参照)。M電流は、神経細胞の興奮性亢進に対するブレーキとして作用することが知られている不活性化しない、過分極性の電流である。結果として、例えば遺伝的な機能喪失を通してのKv7.2介在性M電流の減少は、神経細胞の脱分極及び膜及び神経細胞の興奮性の上昇を引き起こす可能性があり、これは、てんかん発作として顕在化する活動電位バーストにつながる可能性がある。対照的に、Kv7.2介在性M電流の上昇は、細胞膜を過分極させ、これにより神経細胞の興奮性を低下させ、活動電位バーストの開始及び伝播、並びにその結果生じる発作を防止することができる。神経細胞においてKv7.2/Kv7.3チャネルの開いた状態を増強することは、過分極した安静状態に有利であり、これは急速な活動電位スパイク(すなわち、バースト発火)を低下させる。このような増強は、易興奮性の、特に過興奮性の、神経細胞に対する安定化効果を提供することができ、それゆえ所定の発作性疾患を治療することにおいて有用である可能性がある。この増強は、Kv7.2/Kv7.3開口薬として知られるレチガビン(エゾガビン)を用いたてんかんを抱える成人における部分初発発作等の発作性疾患の治療について、効果的であることが臨床的に証明されている。
【0007】
【0008】
レチガビンは、1980年代後半に鎮痛性化合物フルピルチンの類似体として最初に特定された。レチガビンは、一連の齧歯動物発作モデルを使用した新規な抗痙攣剤を特定するために設計された研究において、広域スペクトルの活性を実証した(Kupferberg,H.、Epilepsia(1989)、30(Suppl.1):S51-S56を参照)。レチガビンは、2011年に部分初発発作について承認されたが、長期使用後の発色団となるレチガビン二量体の形成と関連しているように思われる皮膚、唇、爪の変退色及び網膜色素変化に関連する黒枠警告の後、商業的な理由で2017年に市場から撤退した(2014年12月5~9日の68th Annual Meeting of the American Epilepsy Society(AES)、シアトル、ワシントン州、米国で提示されたPrescott,J.S.及びEvans,C.A.、「Pigmentary abnormalities (discoloration) associated with ezogabine/retigabine treatment:nonclinical aspects」、ポスター2.324)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8,293,911号明細書
【文献】米国特許第8,993,593号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】Hirtz,D.ら、Neurology(2007)、68:326-337
【文献】Hitiris,N.ら、Epilepsy and Behavior(2007)、10:363-376
【文献】Brown,D.A.ら、Nature(1980)、283:673-676
【文献】Elger,C.E.ら、Epilepsy Behav.(2008)、12:501-539
【文献】Kupferberg,H.、Epilepsia(1989)、30(Suppl.1):S51-S56
【文献】2014年12月5~9日の68th Annual Meeting of the American Epilepsy Society(AES)、シアトル、ワシントン州、米国で提示されたPrescott,J.S.及びEvans,C.A.、「Pigmentary abnormalities(discoloration) associated with ezogabine/retigabine treatment:nonclinical aspects」、ポスター2.324
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この分野で、特に化合物A及び発作性疾患を治療することにおけるその使用に関して著しい進展がなされているが、てんかん等の発作性疾患を抱えるヒトに経口投与されたときの、化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を増大させるための改善された方法についての実質的なニーズが依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおけるKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態の治療方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、治療上有効量の化合物Aをそのヒトに経口投与する工程を備える方法に関する。特定の例では、このKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態は、焦点性初発てんかん等の発作性疾患である。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいてKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態を治療することにおける使用のための化合物であって、この化合物は化合物Aであり、治療上有効量のこの化合物は、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物に関する。特定の例では、上記Kv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態は、焦点性初発てんかん等の発作性疾患である。
【0014】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて上記発作性疾患を治療するために十分である方法を提供する。
【0015】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、この化合物は化合物Aであり、この化合物は、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。
【0016】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物Aの量は2~200mgである方法を提供する。
【0017】
1つの実施形態では、本開示は、化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、この方法は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法を提供する。
【0018】
1つの実施形態では、本開示は、使用のための化合物であって、この化合物の経口投与を受けるヒトにおいてその化合物のCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与され、この経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる、使用のための化合物を提供する。
【0019】
ある実施形態では、本開示は、化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物Aのバイオアベイラビリティー又はCmax、AUCinf、Tmax、若しくはt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、
(a)食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、化合物Aを経口投与することが、化合物Aのバイオアベイラビリティー又はCmax、AUCinf、Tmax、若しくはt1/2λzのうちの1以上を上昇させることを上記ヒトに知らせる工程と、
(b)工程(a)を信頼して、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、化合物Aを経口投与する工程と
を備える方法を提供する。
【0020】
特定のこのような実施形態では、(b)が起こる(すなわち、上記投与が食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に行われる)確率は、工程(a)がない場合の方法よりも上昇する。
【0021】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、当該方法は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法を提供する。
【0022】
1つの実施形態では、本開示は、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与される化合物Aの用量を低下させる方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、低下した用量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、上記低下した用量は、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である方法を提供する。
【0023】
1つの実施形態では、本開示は、使用のための化合物であって、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与されるこの化合物の用量を低下させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与され、上記低下した用量は、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である、使用のための化合物を提供する。
【0024】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、化合物Aについて、
少なくとも40ng/mLのCmax、
少なくとも2500h・ng/mLのAUCinf、
少なくとも3.25hのTmax、又は
少なくとも130hのt1/2λz
のうちの1以上をもたらす。
【0025】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、この化合物は上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、この経口投与は、化合物Aについて、
少なくとも40ng/mLのCmax、
少なくとも2500h・ng/mLのAUCinf、
少なくとも3.25hのTmax、又は
少なくとも130hのt1/2λz
のうちの1以上をもたらす。
【0026】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備え、化合物Aの量は上記ヒトにおいてRMT若しくはAMTを上昇させるために十分であるか、又は化合物Aの量は2~200mgである方法を提供する。
【0027】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいてRMT又はAMTを上昇させることにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、ある量の上記化合物が上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与され、化合物Aの量は上記ヒトにおいてRMT若しくはAMTを上昇させるために十分であるか、又は化合物Aの量は2~200mgである、使用のための化合物を提供する。
【0028】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備え、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて皮質脊髄興奮性若しくは皮質興奮性を増加させるために十分であるか、又は化合物Aの量は2~200mgである方法を提供する。
【0029】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させることにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、ある量の上記化合物は上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与され、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて皮質脊髄興奮性若しくは皮質興奮性を増加させるために十分であるか、又は化合物Aの量は2~200mgである、使用のための化合物を提供する。
【0030】
ある実施形態では、本開示は、全体として、経口投与された場合に化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を高める方法を提供する。
【0031】
従って、本開示の1つの態様は、ヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で治療上有効量の化合物Aをそれを必要とする上記ヒトに経口投与する工程を備える方法である。
【0032】
本開示の別の態様は、発作性疾患の治療のために治療上有効量の化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて、化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を高める方法であって、食後状態で治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法である。
【0033】
本開示の別の態様は、ヒトへの化合物Aの経口投与の後にそのヒトにおける化合物Aの吸収及び曝露の程度を高める方法であって、食後状態で治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法である。
【0034】
本開示のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照すると明らかとなる。この目的のために、特定の背景情報及び手順をより詳細に記載する種々の参考文献が本明細書中に示され、それらは、各々、参照によりその全体を援用したものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、実施例1の表5において後述するように、カニクイザルにおける食物効果研究における化合物Aの平均血漿中濃度レベルを図示し、経時的に(時間)(x軸)化合物A濃度(ng/mL)(y軸)を示す。
【
図2】
図2は、実施例2において後述するように、ヒトにおける食物効果研究における化合物Aの平均血漿中濃度レベルを図示し、経時的に(時間)(x軸)化合物A濃度(ng/mL)(y軸)を示す。
【
図3】
図3は、薬物摂取後2時間及び4時間における3つ用量(10mg、15mg、及び20mg)(x軸)にわたる後-前RMT(y軸)を示す、化合物Aが誘導した安静時運動閾値の調節を描くグラフ図(A)、並びに薬物摂取後2時間及び4時間における3つの用量(10mg、15mg、及び20mg)(x軸)にわたる後-前AMT(y軸)を示す、化合物Aが誘導した活動時運動閾値の調節を描くグラフ図(B)を含む。
【
図4】
図4は、プラセボ及び化合物Aの処置の後のTEPの時空間プロファイルを描くグラフ図を含む。パネルAは、プラセボ(左)及び化合物A(右)の摂取前(Pre)及び摂取後(Post)のグランド平均(n=16)バタフライプロットを示す。各線は、単独のEEGチャネルで記録されたTEPを表す。薬物摂取前後の主要なTEP成分(N15-P25、N45、N100及びP180)の振幅(μV)のトポグラフィー頭皮分布が、それぞれパネルB及びパネルCに示されている。パネルDは、投与後と投与前の差を示すTEP振幅のt統計量マップを表す。「n.s」は、有意でない結果を表し、トポグラフィー頭皮分布上の白抜きの「x」は、正の振幅及びt統計量の領域を示し、一方で「x」がない暗い領域は負の振幅及びt統計量を示す。
【
図5】
図5は、最高濃度における化合物AのTEP振幅の調節を描くグラフ図を含む。TEPは、有意な薬物性の効果を示したチャネルにわたってグランド平均した。投与前と比べて、化合物Aは、N15-P25成分、N45成分及びP180成分の抑制を誘導した。TEPデータは、TMS評価の間に最高の薬物曝露で選択された投与後条件を備える16人の参加者にわたって平均されている。トポグラフィー頭皮分布上の白抜きの「x」は、正のt統計量の領域を示し、一方で「x」がない暗い領域は負のt統計量を示す。
【
図6】
図6は、TMSパルス後のN15-P25、N45、及びP180の時間点(x軸)におけるTEP振幅(μV)(y軸)を示す、化合物A及びプラセボを用いた処置後のTEPのグラフ図である。
【
図7】
図7は、投薬後2時間、4時間及び6時間におけるTEPに対する化合物Aの効果を描くグラフ図を含む。投薬前(前、Pre)及び投薬後2時間(2hr)、投薬後4時間(4hr)、及び投薬後6時間(6hr)に記録されたグランド平均したTEPが示されている。N15-P25、N45及びP180の成分の低下を含む化合物Aフィンガープリントは、経時的な血漿曝露の増加を反映する。
【
図8】
図8は、化合物Aを用いた処置の前後の自発的な脳振動の薬物誘導調節を図示する。パネルAは、化合物Aの摂取前(前、Pre)及び摂取後(後、Post)のグランド平均したパワースペクトル(n=16)を示す。デルタ、シータ及びベータパワーの有意な上昇は、星印によって示されており、各特定の周波数帯についてそれぞれ下側パネルA1、A2及びA3に示されている。
【
図9】
図9は、化合物A摂取後の経時的な自発的な脳振動の薬物誘導調節を図示する。パネルAは、化合物Aの摂取の前(Pre)、2時間後(Post2hr)及び4時間後(Post4hr)のグランド平均した(n=16)パワースペクトル(n=16)を示す。デルタ、シータ及びベータパワーの有意な上昇は、星印によって示されており、各特定の周波数帯についてそれぞれ下側パネルA1、A2及びA3に示されている。
【
図10】
図10は、経時的に(時間)(x軸)ベースラインRMTからの変化(%最大刺激強度[%MSO])(左側y軸)及び化合物A濃度(ng/mL)(右側y軸)を示す、安静時運動閾値の化合物A時間効果を描くグラフ図である。化合物Aについて、投与後2時間、4時間、及び6時間で、それぞれn=19、20及び16。プラセボについて、投与後2時間、4時間、及び6時間で、それぞれn=20、20、及び16。平均±平均値の標準誤差(SEM)が示されている。
【
図11】
図11は、RMTデルタ(後-前;%MSO)(y軸)並びに化合物A及びプラセボ(x軸)を示す、RMT調節の化合物A濃度効果を描くグラフ図である。化合物Aの平均高濃度=45ng/mL。
【
図12】
図12は、経時的に(秒)(x軸)グローバル平均場パワー(GMFP)(uv2)(y軸)を示す、投与前(前、Pre)対化合物A投与後の濃度効果を描くグラフ図(A)、及び経時的に(秒)(x軸)GMFP(uv2)(y軸)を示す、投与前(前、Pre)対化合物Aの投与の2時間及び4時間後の時間効果を描くグラフ図(B)を含む。化合物Aの平均高濃度=45ng/mL。
【発明を実施するための形態】
【0036】
薬物に対する食物の効果は、その薬物の薬物動態及び薬力学に影響を及ぼすことにより、患者の転帰に大きな影響を与える可能性がある。この相互作用は、潜在的に、薬物吸収の低下及び有効性の減少又は薬物吸収の上昇及び有効性の増大につながる可能性がある。食物は、薬物使用と関連する有害事象の発生率及び重症度に対して正又は負の効果のいずれかを及ぼす可能性もある。薬物のバイオアベイラビリティー及び/又は患者への曝露が食物の摂取によって影響されるか否かは、広範な試験なしでは予測不可能である。例えば、Heimbach,Tら、「Case Studies for Practical Food Effect Assessments across BCS/BDDCS Class Compounds using In Silico, In Vitro, and Preclinical In Vivo Data」、The AAPS Journal(2012)、第15巻、第1号、143-158頁を参照。
【0037】
ある実施形態では、本開示は、食後状態で(すなわち、食物と共に、又は食物の摂取の直後に)化合物Aをヒトに経口投与すると、絶食状態で(すなわち、食物がないか、又は食物の摂取の直後に)化合物Aをヒトに経口投与する場合と比べて、化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露が有意に高まるという予想外な知見の適用に基づく改善された治療及び投与の方法を提供する。この知見は、化合物Aが食後状態で経口投与された場合、絶食状態と比べて化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露は高まらなかったという非ヒト霊長類の研究の結果を考慮すると予想外である。
【0038】
この知見は、上記のとおり別のカリウムチャネル開口薬であるレチガビンの経口投与後のバイオアベイラビリティー及び曝露に対する食物効果の欠如(例えば、レチガビンについての商標名であるPotigaについての2012年3月15日付けのthe United States Food and Drug Administration(FDA) Approved Labeling Text(米国食品医薬品局(FDA)承認表示本文)の2頁め;及びHarris,J.A及びMurphy,J.A.,「Retigabine(ezogabine) as add-on therapy for partial onset seizures:an update for clinicians」、Therapeutic Advances in Chronic Disease(2011)、2(6)、371-376頁を参照)を考慮しても予想外である。
【0039】
加えて、化合物Aは、レチガビンによって形成される発色団二量体に類似の発色団二量体を形成することができない。それゆえ、レチガビンの長期使用の後に現れるヒト患者における皮膚、唇又は爪の青-灰色変退色及び網膜色素沈着の変化は、化合物Aの長期使用の後に生じないと予想されよう。
【0040】
以下の開示では、種々の実施形態の十分な理解を提供するために特定の具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者は、本明細書に記載される方法及び使用がこれらの詳細なしに実施されてもよいということを理解するであろう。他の例では、実施形態の記載を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の構造は詳細には示されておらず記載もされていない。文脈と矛盾する場合を除いて、本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体にわたって、語句「含む(comprise)」及びその派生語、例えば「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、開放型の、包含的な意味で、つまり「…を含むが、これらに限定されない」として解釈されるべきである。さらに、本明細書に提示される小見出しは、便宜のためだけのものであり、請求項に係る発明の範囲又は意味を解釈しない。
【0041】
本明細書全体にわたって「1つの実施形態」又は「一実施形態」に言及することは、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体にわたって種々の場所で語句「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」が現れることは、必ずしも、すべて同じ実施形態を指しているわけではない。さらには、特定の特徴、構造、又は特性は、1以上の実施形態においていずれの好適なやり方で組み合わされてもよい。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈から明らかにそうではないと分かる場合を除いて、複数の指示対象を含む。用語「又は、若しくは(or)」は、文脈から明らかにそうではないと分かる場合を除いて、一般に、「及び/又は」を含む意味で用いられることにも留意するべきである。さらに、本明細書で使用する場合の用語「約」は、記載された値の±20%を意味し、より特定の実施形態では、記載された値の±10%、±5%、±2%、及び±1%を意味する。
【0042】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、否定する特段の記載がない限り、以下の用語及び略語は示された意味を有する。
【0043】
「化合物A」は下記式を有し、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドの化合物名を有する化合物を指す。
【化2】
化合物Aの調製及びKv7.2/Kv7.3(KCNQ2/3)開口薬としてのその使用は、米国特許第8,293,911号明細書及び米国特許第8,993,593号明細書に開示されている。化合物Aは電位依存性カリウムチャネルKv7.2及びKv7.3(Kv7.2/Kv7.3)の強化又は高められた開口を伴う点で、化合物Aの作用機序は、ほとんどの公知のAEDとは異なり、この電位依存性カリウムチャネルKv7.2及びKv7.3(Kv7.2/Kv7.3)の強化又は高められた開口は、神経細胞の興奮性を制御する上で重要である。化合物Aは、本明細書に記載される方法及び使用において使用される。
【0044】
「AUC」は、血漿中濃度対時間の曲線の下側の面積を指す。AUCは、化合物Aの用量の血管外投与の後の化合物Aへの実際の全身暴露を反映し、血漿中の化合物Aの濃度の時間倍で表される。本開示の目的のために、AUCはng/mLの時間倍で表される。
【0045】
「AUCinf」は、時間ゼロから無限大までのAUCを指す。
【0046】
「AUCinfobs」は、観察された時間ゼロから無限大までのAUCを指す。
【0047】
「AUClast」は、時間ゼロから最後の検出可能な血漿中濃度までのAUCを指す。
【0048】
「%AUCext」は、全AUCの百分率として時間ゼロから無限大まで外挿されたAUCを指す。
【0049】
「バイオアベイラビリティー」は、化合物Aが吸収されて、作用部位へのさらなる分布のために全身で利用可能になる割合及び程度を指す。
【0050】
「Cmax」は、観察された最大血漿中濃度を指す。
【0051】
「h」は時間(1又は複数)を指す。
【0052】
「高脂肪食」は、その食品の総カロリー含有量のおよそ50パーセントが脂肪に由来する固形又は液体の任意の食品を指す。
【0053】
「高カロリー食」は、およそ800~1000カロリーを有する任意の食事を指す。代表的な高脂肪の、高カロリー食は、およそ150カロリー、250カロリー、及び500~600カロリーがそれぞれタンパク質、炭水化物及び脂肪に由来するべきである。
【0054】
「SD」は標準偏差を指す。
【0055】
「発作性疾患」は、部分初発(焦点性)発作、光過敏性てんかん(光過敏性発作)、自己誘発失神、難治性てんかん、アンジェルマン症候群、良性のローランドてんかん、CDKL5障害、小児欠神てんかん及び若年性欠神てんかん、ドラベ(Dravet)症候群、前頭葉てんかん、グルコーストランスポーター1(Glut1)欠損症、視床下部過誤腫、点頭てんかん/ウエスト(West)症候群、若年性ミオクロニーてんかん、ランドウ・クレフナー(Landau-Kleffner)症候群、レノックス・ガストー(Lennox-Gastaut)症候群(LGS)、ミオクロニー欠神てんかん、大田原症候群、パナエトポラス(Panayiotopoulos)症候群、PCDH19てんかん、進行性ミオクローヌスてんかん、ラスムッセン(Rasmussen)症候群、環状20番染色体症候群、反射てんかん、側頭葉てんかん、ラフォラ(Lafora)進行性ミオクローヌスてんかん、神経皮膚症候群、結節性硬化症、早期乳児てんかん性脳症、早期発症型てんかん性脳症、全般てんかん熱性痙攣プラス、レット(Rett)症候群、多発性硬化症、アルツハイマー病、自閉症、運動失調症、筋緊張低下及び発作性ジスキネジア等の発作及び発作と関連する障害を指す。ある実施形態では、用語「発作性疾患」は、部分初発(焦点性)てんかんとしても知られる焦点性初発てんかんを指す。
【0056】
「t1/2λz」は、血漿からの化合物Aの消失半減期(すなわち、化合物Aの血漿中濃度が消失相の間に半分に低下するのに必要な時間)を指す。
【0057】
「Tmax」は、化合物Aの血管外投与後に最大(ピーク)血漿中濃度に到達するための時間を指す。
【0058】
本明細書で使用する場合の「治療上有効量」は、示された疾患、障害又は病態を治療するため、又はその疾患、障害若しくは病態若しくはその疾患、障害若しくは病態の根底にある1以上の機構を改善すること若しくは予防することを含めて所望の記載された効果を得るために十分な化合物Aの量を指す。ある実施形態では、発作性疾患の治療のために化合物Aが投与される場合、治療上有効量は、ヒトへの投与によって、そのヒトにおいて発作性疾患を治療、改善若しくは予防するか、又は発作性疾患を抱えるそのヒトにおいて検出可能な治療効果若しくは予防効果をもたらす化合物Aの量の範囲を指す。この効果は、例えば発作の低減(頻度)又は発作の重症度(質)によって検出される。与えられたヒトについての正確な治療上有効量は、そのヒトの体格及び健康状態、発作性疾患の性質及び程度、何等かの併用する薬物療法の存在、並びに当業者にとって公知である他の可変要素に依存することになる。与えられた状況についての治療上有効量は、日常的な実験によって決定することができ、臨床医の能力の範囲内にある。
【0059】
本明細書で使用する場合の「治療」は、示された疾患、障害若しくは病態若しくは根底にある機構のうちの1以上の進行を緩慢化すること又は停止することを含めてその示された疾患、障害若しくは病態若しくはその疾患、障害若しくは病態の1以上の根底にある機構を改善させ又は予防する、化合物Aの投与に伴う治療的応用を指す。ある実施形態では、発作性疾患の治療のために化合物Aが投与される場合、治療は、発作性疾患の進行を緩慢化若しくは停止するための治療的応用、発作性疾患の発症を防ぐための予防的応用、及び/又は発作性疾患の逆転を指す。発作性疾患の逆転は、逆転させる方法を用いると、発作性疾患の進行が完全に停止するだけでなく、発作性疾患の不存在下で観察されるはずの正常な状態に向かっていくらかでも細胞挙動が動かされるという点で、発作性疾患を緩慢化又は停止する治療的応用とは異なる。
【0060】
「食後状態(で)」は、有効量(例えば、上記治療上有効な用量範囲内)の化合物Aの経口投与の約4時間前から化合物Aの投与の約4時間後までの期間の間の食物を摂取した状態を指す。食物は、胃の中で迅速に溶解吸収されない程度に十分なかさ及び脂肪含量を有していれば、固形であってもよいし、液体であってもよいし、又は固形と液体の食物の混合物であってもよい。いくつかの例では、この食物は、朝食、昼食、夕食等の食事であるか、あるいは、ベビーフード(例えば、配合物又は母乳)である。治療上有効量の化合物Aは、例えば食事を食べる約30分前から食事を食べた約2時間後の間に対象に経口投与されてもよく、最も有利には、化合物Aの投薬単位は、食事中、又は食事を食べてから15分以内に経口投与される。
【0061】
「絶食状態(の)」は、治療上有効量の化合物Aの経口投与の少なくとも4時間前から化合物Aの投与の約4時間後までの間の食物を摂っていない状態を指す。
【0062】
実施形態
いくつかの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおけるKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態の治療方法であって、食後状態で、治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法に関する。特定の例では、Kv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態は、焦点性初発てんかん等の発作性疾患である。
【0063】
ある実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおけるKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態の治療方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法に関する。特定の例では、Kv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態は、焦点性初発てんかん等の発作性疾患である。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいてKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、治療上有効量の上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物に関する。特定の例では、Kv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態は、焦点性初発てんかん等の発作性疾患である。
【0065】
ある実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいてKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、治療上有効量の上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物に関する。特定の例では、Kv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態は、焦点性初発てんかん等の発作性疾患である。
【0066】
Kv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態に関する実施形態では、いくつかの例において、上記方法は、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上等のKv7カリウムチャネルの開口を高める。特定の例では、上記方法又は使用は、Kv7.1よりも、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択されるKv7カリウムチャネルの開口を高めるために選択的である。いくつかの実施形態では、上記方法又は使用は、任意にKv7.1よりもKv7.2のために選択的である。他の実施形態では、上記方法又は使用は、任意にKv7.1よりもKv7.3のために選択的である。なお他の実施形態では、上記方法又は使用は、任意にKv7.1よりもKv7.4のために選択的である。なおさらなる他の実施形態では、上記方法又は使用は、任意にKv7.1よりもKv7.5のために選択的である。ある実施形態では、上記方法又は使用は、任意にKv7.1よりもKv7.2及びKv7.3のために選択的である。
【0067】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて上記発作性疾患を治療するために十分である方法を提供する。ある実施形態では、この量は、発作の重症度、発作の頻度、又はその両方を低下させるために十分である。
【0068】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与される化合物を提供する。ある実施形態では、この量は、発作の重症度、発作の頻度、又はその両方を低下させるために十分である。
【0069】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて上記発作性疾患を治療するために十分である方法を提供する。ある実施形態では、この量は、発作の重症度、発作の頻度、又はその両方を低下させるために十分である。
【0070】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、この量は、発作の重症度、発作の頻度、又はその両方を低下させるために十分である。
【0071】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物Aの量は2~200mgである方法を提供する。
【0072】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物Aの量は2~200mgである方法を提供する。
【0073】
1つの実施形態では、本開示は、化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、食後状態で、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。
【0074】
1つの実施形態では、本開示は、使用のための化合物であって、この化合物の経口投与を受けるヒトにおいてその化合物のCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、この経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。
【0075】
1つの実施形態では、本開示は、化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。
【0076】
1つの実施形態では、本開示は、使用のための化合物であって、この化合物の経口投与を受けるヒトにおいてその化合物のCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、この経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。
【0077】
ある実施形態では、本開示は、化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物Aのバイオアベイラビリティー又はCmax、AUCinf、Tmax、若しくはt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、
(a)食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、化合物Aを経口投与することが、上記化合物Aのバイオアベイラビリティー又はCmax、AUCinf、Tmax、若しくはt1/2λzのうちの1以上を上昇させることを上記ヒトに知らせる工程と、
(b)工程(a)を信頼して、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、化合物Aを経口投与する工程と
を備える方法を提供する。特定のこのような実施形態では、(b)が起こる(すなわち、上記投与が、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に行われる)確率は、工程(a)がない場合の方法よりも上昇する。
【0078】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、食後状態で、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。
【0079】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。
【0080】
1つの実施形態では、本開示は、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与される化合物Aの用量を低下させる方法であって、食後状態で、低下した用量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、上記低下した用量は、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である。
【0081】
1つの実施形態では、本開示は、使用のための化合物であって、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与されるこの化合物の用量を低下させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、上記低下した用量は、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である。
【0082】
1つの実施形態では、本開示は、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与される化合物Aの用量を低下させる方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、低下した用量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、上記低下した用量は、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である。
【0083】
1つの実施形態では、本開示は、使用のための化合物であって、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与されるこの化合物の用量を低下させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、上記低下した用量は、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である。
【0084】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、化合物Aについて、
少なくとも40ng/mL、例えば少なくとも45ng/mL、少なくとも50ng/mL、少なくとも55ng/mL、少なくとも60ng/mL、少なくとも65ng/mL、少なくとも70ng/mL、少なくとも75ng/mL若しくは少なくとも80ng/mLのCmax、
少なくとも2500h・ng/mL、例えば少なくとも2600h・ng/mL、少なくとも2700h・ng/mL、少なくとも2800h・ng/mL、少なくとも2900h・ng/mL、少なくとも3000h・ng/mL、少なくとも3100h・ng/mL、少なくとも3300h・ng/mL、少なくとも3500h・ng/mL、少なくとも3700h・ng/mL若しくは少なくとも4000h・ng/mLのAUCinf、
少なくとも3.25h、例えば少なくとも3.5h、少なくとも3.75h、少なくとも4h、少なくとも4.25h若しくは少なくとも4.5hのTmax、又は
少なくとも130h、例えば少なくとも150h、少なくとも170h、少なくとも190h若しくは少なくとも210hのt1/2λz
のうちの1以上をもたらす。
【0085】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、上記化合物は上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、この経口投与は、化合物Aについて、
少なくとも40ng/mL、例えば少なくとも45ng/mL、少なくとも50ng/mL、少なくとも55ng/mL、少なくとも60ng/mL、少なくとも65ng/mL、少なくとも70ng/mL、少なくとも75ng/mL若しくは少なくとも80ng/mLのCmax、
少なくとも2500h・ng/mL、例えば少なくとも2600h・ng/mL、少なくとも2700h・ng/mL、少なくとも2800h・ng/mL、少なくとも2900h・ng/mL、少なくとも3000h・ng/mL、少なくとも3100h・ng/mL、少なくとも3300h・ng/mL、少なくとも3500h・ng/mL、少なくとも3700h・ng/mL若しくは少なくとも4000h・ng/mLのAUCinf、
少なくとも3.25h、例えば少なくとも3.5h、少なくとも3.75h、少なくとも4h、少なくとも4.25h若しくは少なくとも4.5hのTmax、又は
少なくとも130h、例えば少なくとも150h、少なくとも170h、少なくとも190h若しくは少なくとも210hのt1/2λz
のうちの1以上をもたらす。
【0086】
ある実施形態では、当該方法及び使用によってもたらされる化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上の上昇は、上記ヒトによって摂取される食物の種類に依存せず、例えば、食物は、高脂肪食又は高カロリー食を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0087】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、化合物Aの量は上記ヒトにおいてRMT又はAMTを上昇させるために十分である。
【0088】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させることにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、ある量の上記化合物は上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に経口投与される、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、化合物Aの量は上記ヒトにおいてRMT又はAMTを上昇させるために十分である。ある実施形態では、化合物Aの量は2~200mgである。
【0089】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備える方法を提供する。ある実施形態では、化合物Aの量は2~200mgである。
【0090】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備え、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を増加させるために十分である方法を提供する。
【0091】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させることにおける使用のための化合物であって、上記化合物は化合物Aであり、ある量の上記化合物が上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与され、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を増加させるために十分である、使用のための化合物を提供する。ある実施形態では、化合物Aの量は2~200mgである。
【0092】
1つの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備え、化合物Aの量は2~200mgである方法を提供する。
【0093】
本開示の1つの実施形態では、食後状態でヒトに化合物Aを経口投与することは、経口投与の際に化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を高める。このような状態は、経口投与の際にヒトにおける化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を有意に増大させることが驚くべきことに見出された。より具体的な実施形態では、「食後状態で」は、化合物Aの経口投与と同時の、又はごく近くの食品の摂取を含む。
【0094】
本開示の、すべてではないが、いくつかの実施形態では、食品は、高脂肪の、高カロリー食である。代表的な高脂肪食は、その食事の総カロリー含有量のおよそ50パーセントが脂肪に由来し、代表的な高カロリー食はおよそ800~1000カロリーを有する。代表的な食事は、およそ150カロリー、250カロリー、及び500~600カロリーがそれぞれタンパク質、炭水化物、及び脂肪に由来するべきである。化合物Aの経口投与とともに、又は化合物Aの経口投与と時間的に近接して摂取される食品の量は、化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露の高まりが成し遂げられるように十分であるべきである。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用に従う、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、摂食前30分から摂食後2時間までの間である。いくつかの態様では、経口投与は、摂食の約60分、45分、30分、25分、20分、15分、10分又は5分前から摂食の約5分、10分、15分、30分、45分、60分、75分、90分、105分、120分、135分、150分、165分、180分、195分、210分、225分又は240分後に行うことができる。いくつかの態様では、化合物Aは、食物の摂取と同時に、又は食物を摂取してから15分以内に投与されることが可能である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従う必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる。いくつかの実施形態では、ヒトへの化合物Aの経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態のそのヒトに経口投与された場合と比べて、化合物AのCmaxを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてAUCinfを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてTmaxを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax及びAUCinfを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax及びTmaxを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax及びt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてAUCinf及びTmaxを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてAUCinf及びt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてTmax及びt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax、AUCinf、及びTmaxを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax、AUCinf、及びt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax、Tmax、及びt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてAUCinf、Tmax、及びt1/2λzを上昇させる。いくつかの態様では、この経口投与は、絶食状態と比べてCmax、AUCinf、Tmax、及びt1/2λzを上昇させる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従う、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態のそのヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmaxを上昇させる。いくつかの態様では、Cmaxの上昇は、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、又は少なくとも300%である。いくつかの態様では、Cmaxの上昇は、少なくとも100%、少なくとも150%、又は少なくとも200%、例えば少なくとも100%である。いくつかの態様では、Cmaxの上昇は、約50%~約500%、例えば、約50%~約400%、約60%~約350%、約70%~約300%、約80%~約250%、又は約100%~約200%、例えば約50%、60%、70%、80%、90%又は100%から約200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%の範囲であることができ、これには約又は少なくとも約60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%又は200%が含まれる。
【0098】
本開示の1つの実施形態では、絶食状態での化合物Aの経口投与後のCmaxに対する食後状態での化合物Aの経口投与後のCmaxの比は1.2超である。特定の実施形態では、この比は、1.3超、1.5超、2.0超、2.5超、3.0超、3.5超、4.0超、4.5超、5.0超、5.5超、6.0超又は6.5超である。
【0099】
いくつかの実施形態では、化合物AのCmaxは少なくとも40ng/mLまで上昇する。いくつかの態様では、化合物AのCmaxは、20ng/mL~約200ng/mL、例えば、約25~約200ng/mL、約30~約200ng/mL、約35~約200ng/mL、約40~約175ng/mL、約40~約150ng/mL、約40~約125ng/mL、約40~約100ng/mL、約40~約90ng/mL、約40~約80ng/mL、約40~約70ng/mL、約40~約60ng/mL、又は約40~約50ng/mLの範囲まで、例えば約40ng/mL、41ng/mL、42ng/mL、43ng/mL、44ng/mL、45ng/mL、46ng/mL、47ng/mL、48ng/mL、49ng/mL、50ng/mL、51ng/mL、52ng/mL、53ng/mL、54ng/mL、55ng/mL、56ng/mL、57ng/mL、58ng/mL、59ng/mL、60ng/mL、61ng/mL、62ng/mL、63ng/mL、64ng/mL、65ng/mL、66ng/mL、67ng/mL、68ng/mL、69ng/mL、70ng/mL、71ng/mL、72ng/mL、73ng/mL、74ng/mL、75ng/mL、76ng/mL、77ng/mL、78ng/mL、79ng/mL、80ng/mL、81ng/mL、82ng/mL、83ng/mL、84ng/mL、85ng/mL、86ng/mL、87ng/mL、88ng/mL、89ng/mL、90ng/mL、91ng/mL、92ng/mL、93ng/mL、94ng/mL、95ng/mL、96ng/mL、97ng/mL、98ng/mL、99ng/mL、又は100ng/mLまで上昇ことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従う、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのAUCinfを上昇させる。いくつかの態様では、AUCinfの上昇は、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%、又は少なくとも250%である。いくつかの態様では、AUCinfの上昇は、少なくとも75%又は少なくとも100%である。いくつかの態様では、AUCinfの上昇は、約50%~約500%、例えば、約50%~約400%、約60%~約350%、約70%~約300%、約80%~約250%、又は約100%~約200%、例えば約50%、60%、70%、80%、90%又は100%から約200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%の範囲であることができ、これには約又は少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%又は200%が含まれる。
【0101】
いくつかの実施形態では、絶食状態での化合物Aの経口投与後のAUCinfに対する食後状態での化合物Aの経口投与後のAUCinfの比は1.2超である。特定の実施形態では、この比は、1.3超、1.5超、1.8超、2.0超、2.5超、3.0超、3.5超、4.0超、4.5超、5.0超、5.5超、6.0超又は6.5超である。
【0102】
本開示の1つの実施形態では、絶食状態での化合物Aの経口投与後のAUCに対する食後状態での化合物Aの経口投与後のAUCの比は1.2超である。特定の実施形態では、この比は、1.3超、1.5超、2.0超、2.5超、3.0超、3.5超、4.0超、4.5超、5.0超、5.5超、6.0超又は6.5超である。
【0103】
いくつかの実施形態では、化合物AのAUCinfは少なくとも2500h・ng/mLまで上昇する。いくつかの態様では、化合物AのAUCinfは、2000h・ng/mL~約5000h・ng/mL、例えば、約2500~約5000h・ng/mL、約2500~約4500h・ng/mL、約2500~約4250h・ng/mL、約2500~約4000h・ng/mL、約2500~約3750h・ng/mL、約2500~約3500h・ng/mL、約2500~約3250h・ng/mL、約2500~約3000h・ng/mL、又は約2500~約2750h・ng/mLの範囲まで、例えば約2500h・ng/mL、2600h・ng/mL、2700h・ng/mL、2800h・ng/mL、2900h・ng/mL、3000h・ng/mL、3100h・ng/mL、3200h・ng/mL、3300h・ng/mL、3400h・ng/mL、3500h・ng/mL、3600h・ng/mL、3700h・ng/mL、3800h・ng/mL、3900h・ng/mL、4000h・ng/mL、4100h・ng/mL、4200h・ng/mL、4300h・ng/mL、4400h・ng/mL、4500h・ng/mL、4600h・ng/mL、4700h・ng/mL、4800h・ng/mL、4900h・ng/mL、又は5000h・ng/mLまで上昇することが可能である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従う、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態のそのヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのTmaxを上昇させる。いくつかの態様では、Tmaxの上昇は、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%、又は少なくとも250%である。いくつかの態様では、Tmaxの上昇は、少なくとも75%又は少なくとも100%である。いくつかの態様では、Tmaxの上昇は、約50%~約500%、例えば、約50%~約400%、約60%~約350%、約70%~約300%、約80%~約250%、又は約100%~約200%、例えば約50%、60%、70%、80%、90%、又は100%から約200%、250%、300%、350%、400%、450%、又は500%の範囲であることができ、これには約又は少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%又は200%が含まれる。
【0105】
いくつかの実施形態では、絶食状態での化合物Aの経口投与後のTmaxに対する食後状態での化合物Aの経口投与後のTmaxの比は1.2超である。特定の実施形態では、この比は、1.3超、1.5超、1.8超、2.0超、2.5超、3.0超、3.5超、4.0超、4.5超、5.0超、5.5超、6.0超又は6.5超である。
【0106】
いくつかの実施形態では、化合物AのTmaxは少なくとも3.25hrまで上昇する。いくつかの態様では、化合物AのTmaxは、3hr~約15hr、例えば、約3.25hr~約15hr、約3.25hr~約14.5hr、約3.25hr~約14hr、約3.25hr~約13.5hr、約3.25hr~約13hr、約3.25hr~約12.5hr、約3.25hr~約12hr、約3.25hr~約11.5hr、約3.25hr~約11hr、約3.25hr~約10.5hr、約3.25hr~約10hr、約3.25hr~約9.5hr、約3.25hr~約9hr、約3.25hr~約8.5hr、約3.25hr~約8hr、約3.25hr~約7.5hr、約3.25hr~約7hr、約3.25hr~約6.5hr、約3.25hr~約6hr、約3.25hr~約5.5hr、約3.25hr~約5hr、又は約3.25hr~約4.5hrの範囲まで、例えば約3.25hr、3.5hr、3.75hr、4hr、4.25hr、4.5hr、4.75hr、5hr、5.25hr、5.5hr、5.75hr、6hr、6.25hr、6.5hr、6.75hr、7hr、7.25hr、7.5hr、7.75hr、8hr、8.25hr、8.5hr、8.75hr、9hr、9.25hr、9.5hr、9.75hr、又は10hrまで上昇することが可能である。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従う、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、同じ量の化合物Aが絶食状態のそのヒトに経口投与された場合と比べて化合物Aのt1/2λzを、少なくとも40%又は少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも75%、又は少なくとも100%上昇させる。いくつかの態様では、t1/2λzの上昇は、少なくとも75%である。いくつかの態様では、t1/2λzの上昇は、約50%~約500%、例えば、約50%~約400%、約60%~約350%、約70%~約300%、約80%~約250%、又は約100%~約200%、例えば約50%、60%、70%、80%、90%、又は100%から約200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%の範囲であることができ、これには約又は少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%又は200%が含まれる。
【0108】
いくつかの実施形態では、絶食状態での化合物Aの経口投与後のt1/2λzに対する食後状態での化合物Aの経口投与後のt1/2λzの比は1.2超である。特定の実施形態では、この比は、1.3超、1.5超、1.8超、2.0超、2.5超、3.0超、3.5超、4.0超、4.5超、5.0超、5.5超、6.0超又は6.5超である。
【0109】
いくつかの実施形態では、化合物Aのt1/2λzは少なくとも130hrまで上昇する。いくつかの態様では、化合物Aのt1/2λzは、100hr~約500hr、例えば、約110hr~約500hr、約120hr~約500hr、約130hr~約500hr、約130hr~約490hr、約130hr~約480hr、約130hr~約470hr、約130hr~約460hr、約130hr~約450hr、約130hr~約440hr、約130hr~約430hr、約130hr~約420hr、約130hr~約410hr、約130hr~約400hr、約130hr~約390hr、約130hr~約380hr、約130hr~約370hr、約130hr~約360hr、約130hr~約350hr、約130hr~約340hr、約130hr~約330hr、約130hr~約320hr、約130hr~約310hr、約130hr~約300hr、約130hr~約290hr、約130hr~約280hr、約130hr~約270hr、約130hr~約260hr、約130hr~約250hr、約130hr~約240hr、約130hr~約230hr、約130hr~約220hr、約130hr~約210hr、又は約130hr~約200hrの範囲まで、例えば約130hr、140hr、150hr、160hr、170hr、180hr、190hr、200hr、210hr、220hr、230hr、240hr、250hr、260hr、270hr、280hr、290hr、300hr、310hr、320hr、330hr、340hr、350hr、360hr、370hr、380hr、390hr、又は400hrまで上昇することが可能である。
【0110】
1つの実施形態では、化合物Aは、経口投与に好適な投薬単位形態で提供される。化合物Aは、その投薬単位形態の中に、約0.05mg/kg~約2.0mg/kgの範囲のレベルで存在する。より具体的な代表的なレベルとしては、0.05mg/kg、0.10mg/kg、0.20mg/kg、0.30mg/kg、0.40mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.80mg/kg、0.90mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg及び2.0mg/kgが挙げられる。いくつかの態様では、上記方法は、0.1~1.0mg/kgの化合物Aを経口投与する工程を備える。いくつかの態様では、上記方法は、0.2~0.5mg/kgの化合物Aを経口投与する工程を備える。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用、例えば本明細書に記載される方法及び使用に従って必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療する方法又は治療することにおける使用は、2~200mgの化合物Aを経口投与することにより成し遂げられる。例えば、上記方法は、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約61mg、約62mg、約63mg、約64mg、約65mg、約66mg、約67mg、約68mg、約69mg、約70mg、約71mg、約72mg、約73mg、約74mg、約75mg、約76mg、約77mg、約78mg、約79mg、約80mg、約81mg、約82mg、約83mg、約84mg、約85mg、約86mg、約87mg、約88mg、約89mg、約90mg、約91mg、約92mg、約93mg、約94mg、約95mg、約96mg、約97mg、約98mg、約99mg、約100mg、約101mg、約102mg、約103mg、約104mg、約105mg、約106mg、約107mg、約108mg、約109mg、約110mg、約111mg、約112mg、約113mg、約114mg、約115mg、約116mg、約117mg、約118mg、約119mg、約120mg、約121mg、約122mg、約123mg、約124mg、約125mg、約126mg、約127mg、約129mg、約130mg、約131mg、約132mg、約133mg、約134mg、約135mg、約136mg、約137mg、約138mg、約139mg、約140mg、約141mg、約142mg、約143mg、約144mg、約145mg、約146mg、約147mg、約148mg、約149mg、約150mg、約151mg、約152mg、約153mg、約154mg、約155mg、約156mg、約157mg、約158mg、約159mg、約160mg、約161mg、約162mg、約163mg、約164mg、約165mg、約166mg、約167mg、約168mg、約169mg、約170mg、約171mg、約172mg、約173mg、約174mg、約175mg、約176mg、約177mg、約178mg、約179mg、約180mg、約181mg、約182mg、約183mg、約184mg、約185mg、約186mg、約187mg、約188mg、約189mg、約190mg、約191mg、約192mg、約193mg、約194mg、約195mg、約196mg、約197mg、約198mg、約199mg、又は約200mgを経口投与する工程を備えることができる。いくつかの態様では、この経口投与は5~50mgの化合物Aを含む。いくつかの態様では、この経口投与は、10mg、20mg、又は25mgの化合物Aを含む。いくつかの態様では、この経口投与は20mgの化合物Aを含む。いくつかの態様では、この経口投与は少なくとも20mgの化合物Aを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用、例えば本明細書に記載される方法及び使用に従って必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療する方法又は治療することにおける使用は、1日あたり5~1000mgの化合物A、例えば1日あたり5~500mg又は5~250mgの化合物Aを経口投与することにより成し遂げられる。例えば、上記方法は、1日あたり約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395mg、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg、約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、約500mg、又は約1000mgを経口投与する工程を備えることができる。いくつかの態様では、この経口投与は、1日あたり10~200mgの化合物A、例えば1日あたり10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg又は40mgから75mg、100mg、125mg、150mg、175mg又は200mgの化合物A、例えば1日あたり20~150mgを経口投与する工程を備える。いくつかの態様では、この経口投与は、1日あたり50mg、75mg、100mg又は125mgの化合物A、例えば1日あたり100mgの化合物Aを含む。
【0113】
特定の例では、化合物Aの上記1日用量は、1日あたりの複数回用量として、例えば1日あたり2用量、3用量、4用量又は5用量で経口投与される。例えば、100mgの1日用量は、その日全体にわたって4回の25mg用量で投与されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、化合物Aの上記1日用量は単回投与として経口投与される。例えば、1日あたり約5mg、10mg、15mg、20mg、25mg又は30mgから約50mg、65mg、75mg、100mg、125mg又は150mgの化合物Aが単回投与として経口投与されることが可能で、これには、単回投与としての1日あたり10~25mg、10~30mg、及び10~40mg、例えば単回投与としての1日あたり10~25mgが含まれる。
【0115】
ある実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用は、本明細書に開示される1日あたりの投薬を用いるとき、6~9日以内に、例えば約1週間のうちに化合物Aについての定常状態を成し遂げる。
【0116】
いくつかの例では、本開示は、必要とするヒトにおいて化合物Aの血清レベルを上昇させる方法であって、食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法を提供する。類似の実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて化合物Aの血清レベルを上昇させることにおける使用のための化合物Aであって、化合物Aは食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、そのヒトに投与される、使用のための化合物Aを提供する。
【0117】
本開示の1つの実施形態では、化合物Aの投与は、Kv7.2/Kv7.3(KCNQ2/3)カリウムチャネルの開口から恩恵を受けると考えられる発作性疾患を治療するためのものである。化合物AはKv7.2/Kv7.3(KCNQ2/3)開口薬である。ある実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいてKv7.2/Kv7.3(KCNQ2/3)カリウムチャネルを開口する方法であって、ある量の化合物Aを投与する工程を備える方法を提供する。類似の実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいてKv7.2/Kv7.3(KCNQ2/3)カリウムチャネルを開口することにおける使用のための化合物Aを提供する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4(KCNQ4)及びKv7.5(KCNQ5)から選択される少なくとも1つのカリウムチャネルの調節によって影響を受ける疾患、障害又は病態を、例えば上記カリウムチャネルのうちの1以上を開口することにより、治療、改善、又は予防する方法であって、化合物Aを上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に、経口投与する工程を備える方法を提供する。類似の実施形態では、本開示は、必要とするヒトにおいて、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4及びKv7.5から選択される少なくとも1つのカリウムチャネルの調節によって影響を受ける疾患、障害又は病態を、例えば上記カリウムチャネルのうちの1以上を開口することにより、治療、改善、又は予防することにおける使用のための化合物Aであって、化合物Aは上記ヒトに、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に経口投与される、使用のための化合物Aを提供する。ある実施形態では、化合物Aの経口投与はカリウムチャネルKv7.1(KCNQ1)を開口しない。換言すれば、特定の例では、化合物Aは、Kv7.1よりもKv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上のために選択的である。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従う、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させる。いくつかの実施形態では、RMT又はAMTの上昇は化合物Aの血漿中濃度に比例する。いくつかの実施形態では、必要とするヒトへの化合物Aの経口投与は、経頭蓋磁気刺激法(TMS)を使用して測定される皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させる。
【0120】
ある実施形態では、本開示は、平均的なヒトよりも低下したRMT又はAMTを呈するヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、化合物Aを、任意に食後状態で、又は摂食前30分から摂食後2時間までの間に経口投与し、これにより、低下したRMT又はAMTを呈するヒトにおいてRMT又はAMTを上昇させる工程を備える方法を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用に従う化合物Aの経口投与は、TMS誘導脳波記録法(EEG)電位(TEP)を調節し、皮質興奮性を減少させることができる。いくつかの態様では、特定の血漿中濃度(例えば50ng/mL以上)で、化合物Aは、TMSパルス後の15~35ms(N15-P25)、45ms(N45)、又は180ms(P180)を含めた1以上の初期TEP成分の振幅を、プラセボと比べて(例えば50%以上)減少させる。いくつかの態様では、投与後2時間、4時間、及び6時間において、化合物Aは、TMSパルス後の15~35ms(N15-P25)、45ms(N45)、又は180ms(P180)を含めた1以上の初期TEP成分の振幅を、プラセボと比べて(例えば30%以上)減少させる。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用に従う化合物Aの経口投与は、TMS誘導振動及び進行中の振動活性を調節することができる。いくつかの態様では、特定の血漿中濃度(例えば50ng/mL以上)で、化合物Aは、初期シータ(4~7Hz)TMS誘導振動(30~390ms)又はアルファ(8~12Hz)TMS誘導振動(220~400ms)をプラセボと比べて(例えば40%以上)減少させ、及び/又はTMSパルス後のベータ(13~30Hz)TMS誘導パワー(220~310ms)を、プラセボと比べて(例えば40%以上)上昇させる。いくつかの態様では、投与後2時間において、化合物Aは、TMSパルス後の初期シータTMS誘導振動を、プラセボと比べて(例えば30%以上)減少させる。いくつかの態様では、投与後4時間において、化合物Aは、TMSパルス後のアルファTMS誘導振動を、プラセボと比べて(例えば30%以上)減少させる。いくつかの態様では、投与後6時間において、化合物Aは、TMSパルス後のシータTMS誘導振動を、プラセボと比べて(例えば30%以上)減少させる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用に従う化合物Aの経口投与は、安静時EEGを調節することができる。いくつかの態様では、特定の血漿中濃度(例えば50ng/mL以上)で、化合物Aは、デルタ帯域、シータ帯域、又はベータ帯域のうちの1以上のパワーを、プラセボと比べて(例えば50%以上)上昇させる。いくつかの態様では、投与後2時間、4時間、及び6時間において、化合物Aは、1以上のデルタ帯域、シータ帯域、デルタ帯域、ベータ帯域、又はアルファ帯域のパワーを、プラセボと比べて(例えば40%以上)上昇させる。
【0124】
ある実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用は、化合物Aを、化合物A及び1以上の薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む薬学的に許容できる経口組成物の形態で投与する。これらの組成物に含まれる化合物Aの量は、本明細書に記載される量のうちの1以上に対応する。いくつかの実施形態では、この組成物は単位用量である。
【0125】
化合物Aを含む薬学的に許容できる経口組成物の例としては、固体製剤(錠剤、カプセル、トローチ剤、糖剤、顆粒剤、散剤、多微粒子、及びフィルム等)、並びに液体製剤(水溶液、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、及び分散液)が挙げられる。1つの実施形態では、化合物Aの薬学的に許容できる経口組成物としては、小児用の懸濁剤又は顆粒剤が挙げられる。すべての上記の量の化合物Aが、このような製剤に含まれてよく、例えば、5mg、10mg、15mg、10mg、25mg、30mg又は35mgの化合物Aを含むカプセルが挙げられる。
【0126】
別の実施形態では、経口投与の際に化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を高めるために、食後状態の化合物Aの経口投与のためのキットが提供される。このようなキットは、化合物Aの複数の経口投薬単位形態を、食後状態で化合物Aを経口投与することについての説明書と組み合わせて含む。
【0127】
本開示の1つの実施形態では、治療上有効量の化合物Aの経口投与は、絶食状態で経口投与された場合の化合物Aの最大血漿中濃度(Cmax)及び化合物Aの曝露(AUC)と比べて、化合物AのCmaxの上昇及び化合物AのAUCの上昇をもたらす。
【0128】
本開示の1つの実施形態では、絶食状態での治療上有効量の化合物Aの経口投与後のCmaxに対する食後状態の治療上有効量の化合物Aの経口投与後のCmaxの比は1.3超である。
【0129】
本開示の1つの実施形態では、絶食状態での治療上有効量の化合物Aの経口投与後のAUCに対する食後状態の治療上有効量の化合物Aの経口投与後のAUCの比は1.3超である。
【0130】
本開示の1つの実施形態では、化合物Aの治療上有効量は、約0.05mg/kg~約2.0mg/kgである。
【0131】
絶食状態で経口化合物Aを投与されたヒトが関与する比較がなされる本発明のある実施形態では、化合物Aの経口投与の約4時間前から化合物Aの経口投与の約4時間後までの間、例えば化合物Aの経口投与の約4時間、約3時間、約2時間、約1.5時間、約1時間、又は約0.5時間前から化合物Aの経口投与の約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約3時間、又は約4時間までの間の期間に食物を摂取していないヒトが関与する同様の比較を行うことができる。
【0132】
ある実施形態では、発作性疾患が本発明で治療される場合、その発作性疾患は、部分初発(焦点性)発作、光過敏性てんかん(光過敏性発作)、自己誘発失神、難治性てんかん、アンジェルマン症候群、良性のローランドてんかん、CDKL5障害、小児欠神てんかん及び若年性欠神てんかん、ドラベ症候群、前頭葉てんかん、グルコーストランスポーター1欠損症、視床下部過誤腫、点頭てんかん/ウエスト症候群、若年性ミオクロニーてんかん、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群(LGS)、ミオクロニー欠神てんかん、大田原症候群、パナエトポラス症候群、PCDH19てんかん、進行性ミオクローヌスてんかん、ラスムッセン症候群、環状20番染色体症候群、反射てんかん、側頭葉てんかん、ラフォラ進行性ミオクローヌスてんかん、神経皮膚症候群、結節性硬化症、早期乳児てんかん性脳症、早期発症型てんかん性脳症、全般てんかん熱性痙攣プラス、レット症候群、多発性硬化症、アルツハイマー病、自閉症、運動失調症、筋緊張低下及び発作性ジスキネジアから選択される。ある実施形態では、発作性疾患は、部分初発(焦点性)てんかんとしても知られる焦点性初発てんかんである。
【0133】
本開示のさらなる実施形態及び実施例は本明細書に記載される。これらの実施形態及び実施例は説明のためのものであり、請求項に係る発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0134】
番号付き実施形態
実施形態1. 必要とするヒトにおけるKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態の治療方法であって、食後状態で治療量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドである方法。
【0135】
実施形態2. 必要とするヒトにおけるKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態の治療方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに治療量の化合物Aを経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドである方法。
【0136】
実施形態3. 上記方法が、Kv7カリウムチャネルの開口を高める実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
【0137】
実施形態4. 上記Kv7カリウムチャネルが、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択される実施形態3に記載の方法。
【0138】
実施形態5. 上記方法が、Kv7.1よりも、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択されるKv7カリウムチャネルの開口を高めるために選択的である実施形態4に記載の方法。
【0139】
実施形態6. 前記疾患、障害又は病態が発作性疾患である実施形態1から実施形態5のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態7. 前記発作性疾患が焦点性初発てんかんである実施形態6に記載の方法。
【0141】
実施形態8. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて上記発作性疾患を治療するために十分である方法。
【0142】
実施形態9. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量は、上記ヒトにおいて上記発作性疾患を治療するために十分である方法。
【0143】
実施形態10. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量が2~200mgである方法。
【0144】
実施形態11. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量が2~200mgである方法。
【0145】
実施形態12. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドである方法において、改良点が、食後状態で、上記化合物Aを上記ヒトに経口投与することを含む方法。
【0146】
実施形態13. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドである方法において、改良点が、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記化合物Aを上記ヒトに経口投与することを含む方法。
【0147】
実施形態14. 必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドである方法において、改良点が、食後状態で、上記化合物Aを上記ヒトに経口投与することを含む方法。
【0148】
実施形態15. 必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドである方法において、改良点が、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記化合物Aを上記ヒトに経口投与することを含む方法。
【0149】
実施形態16. 上記方法が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる実施形態8から実施形態15のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態17. 化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、食後状態で、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記方法が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法。
【0151】
実施形態18. 化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記方法が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法。
【0152】
実施形態19. 必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、食後状態で、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記方法が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法。
【0153】
実施形態20. 必要とするヒトに化合物Aを経口投与する方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記方法が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる方法。
【0154】
実施形態21. 治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与される化合物Aの用量を低下させる方法であって、食後状態で、低下した用量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記低下した用量が、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である方法。
【0155】
実施形態22. 治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与される化合物Aの用量を低下させる方法であって、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、低下した用量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記低下した用量が、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の化合物Aの同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である方法。
【0156】
実施形態23. 上記ヒトへの化合物Aの経口投与が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのCmaxを上昇させる実施形態16から実施形態22のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態24. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のCmaxに対する化合物Aの経口投与後のCmaxの比が1.3超である実施形態23に記載の方法。
【0158】
実施形態25. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のCmaxに対する化合物Aの経口投与後のCmaxの比が2超である実施形態23に記載の方法。
【0159】
実施形態26. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のCmaxに対する化合物Aの経口投与後のCmaxの比が3超である実施形態23に記載の方法。
【0160】
実施形態27. 化合物AのCmaxの上昇が少なくとも50%である実施形態23に記載の方法。
【0161】
実施形態28. 化合物AのCmaxの上昇が少なくとも100%である実施形態23に記載の方法。
【0162】
実施形態29. 上記ヒトへの化合物Aの経口投与が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのAUCinfを上昇させる実施形態16から実施形態28のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施形態30. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のAUCinfに対する化合物Aの経口投与後のAUCinfの比が1.3超である実施形態29に記載の方法。
【0164】
実施形態31. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のAUCinfに対する化合物Aの経口投与後のAUCinfの比が1.5超である実施形態29に記載の方法。
【0165】
実施形態32. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のAUCinfに対する化合物Aの経口投与後のAUCinfの比が1.8超である実施形態29に記載の方法。
【0166】
実施形態33. 化合物AのAUCinfの上昇が少なくとも50%である実施形態29に記載の方法。
【0167】
実施形態34. 化合物AのAUCinfの上昇が少なくとも75%である実施形態29に記載の方法。
【0168】
実施形態35. 上記ヒトへの化合物Aの経口投与が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物AのTmaxを上昇させる実施形態16から実施形態34のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態36. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のTmaxに対する化合物Aの経口投与後のTmaxの比が1.3超である実施形態35に記載の方法。
【0170】
実施形態37. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のTmaxに対する化合物Aの経口投与後のTmaxの比が1.8超である実施形態35に記載の方法。
【0171】
実施形態38. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のTmaxに対する化合物Aの経口投与後のTmaxの比が2超である実施形態35に記載の方法。
【0172】
実施形態39. 化合物AのTmaxの上昇が少なくとも50%である実施形態35に記載の方法。
【0173】
実施形態40. 化合物AのTmaxの上昇が少なくとも75%である実施形態35に記載の方法。
【0174】
実施形態41. 上記ヒトへの化合物Aの経口投与が、同じ量の化合物Aが絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて化合物Aのt1/2λzを上昇させる実施形態16から実施形態40のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態42. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のt1/2λzに対する化合物Aの経口投与後のt1/2λzの比が1.2超である実施形態41に記載の方法。
【0176】
実施形態43. 絶食状態での化合物Aの経口投与後のt1/2λzに対する化合物Aの経口投与後のt1/2λzの比が1.4超である実施形態41に記載の方法。
【0177】
実施形態44. 化合物Aのt1/2λzの上昇が少なくとも20%である実施形態41に記載の方法。
【0178】
実施形態45. 化合物Aのt1/2λzの上昇が少なくとも35%である実施形態41に記載の方法。
【0179】
実施形態46. 必要とするヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、上記ヒトに化合物Aを経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記方法が、化合物Aについて、
少なくとも40ng/mLのCmax、
少なくとも2500h・ng/mLのAUCinf、
少なくとも3.25hrのTmax、又は
少なくとも130hのt1/2λz
のうちの1以上をもたらす方法。
【0180】
実施形態47. 必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量が、上記ヒトにおいてRMT又はAMTを上昇させるために十分である方法。
【0181】
実施形態48. 必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量が2~200mgである方法。
【0182】
実施形態49. RMT又はAMTの上昇が化合物Aの血漿中濃度に比例する実施形態47又は実施形態48に記載の方法。
【0183】
実施形態50. 必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量が、上記ヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させるために十分である方法。
【0184】
実施形態51. 必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させる方法であって、ある量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備え、化合物AがN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、化合物Aの量が2~200mgである方法。
【0185】
実施形態52. 2~200mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態53. 2~100mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態8から実施形態52のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
実施形態54. 5~50mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態53に記載の方法。
【0188】
実施形態55. 10mg、20mg、又は25mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態53に記載の方法。
【0189】
実施形態56. 20mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態53に記載の方法。
【0190】
実施形態57. 少なくとも20mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態8から実施形態54のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
実施形態58. 1日あたり5~500mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態8から実施形態57のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
実施形態59. 1日あたり20~150mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態58に記載の方法。
【0193】
実施形態60. 1日あたり100mgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態58に記載の方法。
【0194】
実施形態61. 0.05~2.0mg/kgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態1から実施形態60のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
実施形態62. 0.1~1.0mg/kgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態61に記載の方法。
【0196】
実施形態63. 0.2~0.5mg/kgの化合物Aを経口投与する工程を備える実施形態61に記載の方法。
【0197】
実施形態64. 必要とするヒトにおいてKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物。
【0198】
実施形態65. 必要とするヒトにおいてKv7カリウムチャネル機能障害と関連する疾患、障害又は病態を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物。
【0199】
実施形態66. 上記方法がKv7カリウムチャネルの開口を高める実施形態63又は実施形態64に記載の使用のための化合物。
【0200】
実施形態67. 上記Kv7カリウムチャネルが、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択される実施形態65に記載の使用のための化合物。
【0201】
実施形態68. 上記方法が、Kv7.1よりも、Kv7.2、Kv7.3、Kv7.4、及びKv7.5のうちの1以上から選択されるKv7カリウムチャネルの開口を高めるために選択的である実施形態66に記載の使用のための化合物。
【0202】
実施形態69. 上記疾患、障害又は病態が発作性疾患である実施形態63から実施形態67のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0203】
実施形態70. 上記発作性疾患が焦点性初発てんかんである実施形態68に記載の使用のための化合物。
【0204】
実施形態71. 必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物。
【0205】
実施形態72. 必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物。
【0206】
実施形態73. 上記化合物を経口投与することが、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて上記化合物のCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる実施形態56又は実施形態57に記載の使用のための化合物。
【0207】
実施形態74. 使用のための化合物であって、この化合物の経口投与を受けるヒトにおいてその化合物のCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与され、上記化合物の経口投与が、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる、使用のための化合物。
【0208】
実施形態75. 使用のための化合物であって、この化合物の経口投与を受けるヒトにおいてその化合物のCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与され、上記化合物の経口投与が、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べてCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を上昇させる、使用のための化合物。
【0209】
実施形態76. 使用のための化合物であって、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与されるこの化合物の用量を低下させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、低下した用量の上記化合物は食後状態で、上記ヒトに経口投与され、上記低下した用量が、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の上記化合物の同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である、使用のための化合物。
【0210】
実施形態77. 使用のための化合物であって、治療計画の一部として必要とするヒトに経口投与されるこの化合物の用量を低下させることにおける使用のための化合物であり、上記化合物が、N-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、低下した用量の上記化合物は、摂食前30分から摂食後2時間までの間に、上記ヒトに経口投与され、上記低下した用量が、絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合の上記化合物の同じCmax、AUCinf、Tmax、又はt1/2λzのうちの1以上を成し遂げるために必要な用量よりも低い用量である、使用のための化合物。
【0211】
実施形態78. 上記ヒトへの上記化合物の経口投与が、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて上記化合物のCmaxを上昇させる実施形態73から実施形態77のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0212】
実施形態79. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のCmaxに対する上記化合物の経口投与後のCmaxの比が1.3超である実施形態78に記載の使用のための化合物。
【0213】
実施形態80. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のCmaxに対する上記化合物の経口投与後のCmaxの比が2超である実施形態78に記載の使用のための化合物。
【0214】
実施形態81. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のCmaxに対する上記化合物の経口投与後のCmaxの比が3超である実施形態78に記載の使用のための化合物。
【0215】
実施形態82. 上記化合物のCmaxの上昇が少なくとも50%である実施形態78に記載の使用のための化合物。
【0216】
実施形態83. 上記化合物のCmaxの上昇が少なくとも100%である実施形態78に記載の使用のための化合物。
【0217】
実施形態84. 上記ヒトへの上記化合物の経口投与が、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて上記化合物のAUCinfを上昇させる実施形態73から実施形態78のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0218】
実施形態85. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のAUCinfに対する上記化合物の経口投与後のAUCinfの比が1.3超である実施形態84に記載の使用のための化合物。
【0219】
実施形態86. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のAUCinfに対する上記化合物の経口投与後のAUCinfの比が1.5超である実施形態84に記載の使用のための化合物。
【0220】
実施形態87. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のAUCinfに対する上記化合物の経口投与後のAUCinfの比が1.8超である実施形態84に記載の使用のための化合物。
【0221】
実施形態88. 上記化合物のAUCinfの上昇が少なくとも50%である実施形態84に記載の使用のための化合物。
【0222】
実施形態89. 上記化合物のAUCinfの上昇が少なくとも75%である実施形態84に記載の使用のための化合物。
【0223】
実施形態90. 上記ヒトへの上記化合物の経口投与が、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて上記化合物のTmaxを上昇させる実施形態73から89のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0224】
実施形態91. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のTmaxに対する上記化合物の経口投与後のTmaxの比が1.3超である実施形態90に記載の使用のための化合物。
【0225】
実施形態92. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のTmaxに対する上記化合物の経口投与後のTmaxの比が1.8超である実施形態90に記載の使用のための化合物。
【0226】
実施形態93. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のTmaxに対する上記化合物の経口投与後のTmaxの比が2超である実施形態90に記載の使用のための化合物。
【0227】
実施形態94. 上記化合物のTmaxの上昇が少なくとも50%である実施形態75に記載の使用のための化合物。
【0228】
実施形態95. 上記化合物のTmaxの上昇が少なくとも75%である実施形態90に記載の使用のための化合物。
【0229】
実施形態96. 上記ヒトへの上記化合物の経口投与が、同じ量の上記化合物が絶食状態の上記ヒトに経口投与された場合と比べて上記化合物のt1/2λzを上昇させる実施形態73から実施形態95のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0230】
実施形態97. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のt1/2λzに対する上記化合物の経口投与後のt1/2λzの比が1.2超である実施形態96に記載の使用のための化合物。
【0231】
実施形態98. 絶食状態での上記化合物の経口投与後のt1/2λzに対する上記化合物の経口投与後のt1/2λzの比が1.4超である実施形態96に記載の使用のための化合物。
【0232】
実施形態99. 上記化合物のt1/2λzの上昇が少なくとも20%である実施形態96に記載の使用のための化合物。
【0233】
実施形態100. 上記化合物のt1/2λzの上昇が少なくとも35%である実施形態96に記載の使用のための化合物。
【0234】
実施形態101. 必要とするヒトにおいて発作性疾患を治療することにおける使用のための化合物であって、上記化合物がN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は上記ヒトに経口投与され、上記化合物の経口投与が、上記化合物について、
少なくとも40ng/mLのCmax、
少なくとも2500h・ng/mLのAUCinf、
少なくとも3.25hrのTmax、又は
少なくとも130hのt1/2λz
のうちの1以上をもたらす、使用のための化合物。
【0235】
実施形態102. 必要とするヒトにおいて安静時運動閾値(RMT)又は活動時運動閾値(AMT)を上昇させることにおける使用のための化合物であって、上記化合物がN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物。
【0236】
実施形態103. RMT又はAMTの上昇が上記化合物の血漿中濃度に比例する実施形態102に記載の使用のための化合物。
【0237】
実施形態104. 必要とするヒトにおいて皮質脊髄興奮性又は皮質興奮性を減少させることにおける使用のための化合物であって、上記化合物がN-[4-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-2,6-ジメチルフェニル]-3,3-ジメチルブタンアミドであり、上記化合物は上記ヒトに経口投与される、使用のための化合物。
【0238】
実施形態105. 2~200mgの上記化合物が投与される実施形態64から実施形態89のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0239】
実施形態106. 2~100mgの上記化合物が投与される実施形態105に記載の使用のための化合物。
【0240】
実施形態107. 5~50mgの上記化合物が投与される実施形態105に記載の使用のための化合物。
【0241】
実施形態108. 10mg、20mg、又は25mgの上記化合物が投与される実施形態105に記載の使用のための化合物。
【0242】
実施形態109. 20mgの上記化合物が投与される実施形態105に記載の使用のための化合物。
【0243】
実施形態110. 少なくとも20mgの上記化合物が投与される実施形態64から実施形態107のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0244】
実施形態111. 1日あたり5~500mgの上記化合物が投与される実施形態64から110のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0245】
実施形態112. 1日あたり20~150mgの上記化合物が投与される実施形態111に記載の使用のための化合物。
【0246】
実施形態113. 1日あたり100mgの上記化合物が投与される実施形態111に記載の使用のための化合物。
【0247】
実施形態114. 0.05~2.0mg/kgの上記化合物が投与される実施形態64から実施形態113のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
【0248】
実施形態115. 0.1~1.0mg/kgの上記化合物が投与される実施形態114に記載の使用のための化合物。
【0249】
実施形態116. 0.2~0.5mg/kgの上記化合物が投与される実施形態114に記載の使用のための化合物。
【0250】
追加の番号付き実施形態
実施形態1a. ヒトにおける発作性疾患の治療方法であって、食後状態で治療上有効量の化合物Aをそれを必要とする上記ヒトに経口投与する工程を備える方法。
【0251】
実施形態2a. 上記ヒトへの治療上有効量の化合物Aの経口投与が、絶食状態で経口投与された場合の化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露と比べて化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露の高まりをもたらす実施形態1aに記載の方法。
【0252】
実施形態3a. 治療上有効量の化合物Aの経口投与が、絶食状態で経口投与された場合の化合物Aの最大血漿中濃度(Cmax)及び化合物Aの曝露(AUC)と比べて化合物AのCmaxの上昇及び化合物AのAUCの上昇をもたらす実施形態2aに記載の方法。
【0253】
実施形態4a. 絶食状態での治療上有効量の化合物Aの経口投与後のCmaxに対する食後状態の治療上有効量の化合物Aの経口投与後のCmaxの比が1.3超である実施形態3aに記載の方法。
【0254】
実施形態5a. 絶食状態での治療上有効量の化合物Aの経口投与後のAUCに対する食後状態の治療上有効量の化合物Aの経口投与後のAUCの比が1.3超である実施形態3aに記載の方法。
【0255】
実施形態6a. 化合物Aの上記治療上有効量が約0.05mg/kg~約2.0mg/kgである実施形態1aから実施形態5aのいずれか1つに記載の方法。
【0256】
実施形態7a. 発作性疾患の治療のために治療上有効量の化合物Aの経口投与を受けるヒトにおいて、化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露を高める方法であって、食後状態で上記治療上有効量の化合物Aを上記ヒトに経口投与する工程を備える方法。
【0257】
実施形態8a. 治療上有効量の化合物Aの経口投与が、絶食状態で経口投与された場合の化合物Aの最大血漿中濃度(Cmax)及び化合物Aの曝露(AUC)と比べて化合物AのCmaxの上昇及び化合物AのAUCの上昇をもたらす実施形態7aに記載の方法。
【0258】
実施形態9a. 絶食状態での治療上有効量の化合物Aの経口投与後のCmaxに対する食後状態の治療上有効量の化合物Aの経口投与後のCmaxの比が1.3超である実施形態8aに記載の方法。
【0259】
実施形態10a. 絶食状態での治療上有効量の化合物Aの経口投与後のAUCに対する食後状態の治療上有効量の化合物Aの経口投与後のAUCの比が1.3超である実施形態8aに記載の方法。
【0260】
実施形態11a. 化合物Aの上記治療上有効量が約0.05mg/kg~約2.0mg/kgである実施形態7aから実施形態10aのいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0261】
化合物Aが経口投与されるときに化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露に対する食物効果があれば、その食物効果を判定するために以下の研究を行った。皮質興奮性に対して化合物Aが呈する効果があれば、その効果を経頭蓋磁気刺激法(TMS)を使用して評価するためにさらなる研究を行った。
【0262】
1.実施例1.非ヒト霊長類研究
化合物Aが非ヒト霊長類に経口投与されるときの食物の効果を判定するために以下の研究を行った。
【0263】
1.1.研究動物
本研究ではベトナム原産の3匹(n=3)のカニクイザルを使用した。最初の用量投与の時、これらのサルは、体重が4.7~5.1kgであり、約4.5歳であった。
【0264】
本研究のあいだ、認証された霊長類用餌(Teklad(登録商標)Certified Diet 2050C)を与えた。グループ1については、3匹のサルを一晩絶食させ、投与の4時間後に食物を戻した。グループ2については、同じ3匹のサルを一晩絶食させ、投薬の約1時間前に食物を与え、投与の4時間後に食物を戻した。以下の表1は、グループ2についての食物摂取を与える。
【0265】
【0266】
1.2.経口投薬単位
経口投薬単位は、カプセルの中の約3mg/kgの化合物Aからなっていた。このカプセルは用量投与の朝に充填し、投薬まで室温で保った。残りのカプセルは-20℃の保存庫に入れた。
【0267】
1.3.経口投薬単位の投与
上記カプセルを、ピルガン又は改変した胃管栄養法チューブを使用して、動物の口のできるだけ奥に置いた。およそ10mLの水を、シリンジを介して投与して、意図した用量の完全な送達を確実にした。各動物は、1用量あたり1カプセルを投与された。同じ動物に、用量と用量との間に96時間の休薬期間を設けて2回投薬した。詳細については下記表2を参照。
【0268】
グループ1:すべての動物を、用量投与の前に、午後に体重測定した。動物番号2は、投薬に苦闘した。何回かの試みの後、この動物に小休止を与え、最後に成功裏に投薬した。
【0269】
グループ2:すべての動物を用量投与の朝に体重測定した。すべての動物に、問題なく投薬した。
【0270】
【0271】
1.4.血液の採取
全血(約2.0mL)を、シリンジ及び針を使用して橈側皮静脈又は伏在静脈から採取し、K2EDTAを含有するバキュテナーチューブに移し、血漿について処理するまで湿った氷の上で保った。血液試料を投薬時(0.0時間、時間ゼロ)及び投薬後0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び48時間に採取した。
【0272】
1.5.血液試料処理
全血試料をK2EDTAチューブに入れ、およそ5℃で、3200RPMで10分間遠心分離した。血漿試料を2つの分割量(アリコート)に分け、各分割量を、研究番号、採取時間点、動物特定番号、及び試料説明を含む適切に標識した個別のチューブに直接移した。1つの分割量を、分析のための運搬まで-20±5℃の保存庫に入れた。他方の分割量は、-20±5℃で保持した。赤血球細胞を処分した。
【0273】
すべての試料を、生化学分析的な分析についての標準的な手順に従って処理した。
【0274】
1.6.結果
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
1.7.考察
化合物Aが非ヒト霊長類に経口投与された場合の本研究では、化合物AのC
max又はAUCのいずれに対しても有意な食物効果は認められなかった。
図1は、表5のデータをグラフ型式で示す。
【0280】
2.実施例2.ヒトでの研究
化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露に対する食物の効果を評価するために、非盲検の、ランダム化、2期間、給食/絶食クロスオーバー研究を、18歳以上55歳以下の9人の健康な成人の非喫煙者の男性及び女性(妊娠の可能性がない人のみ)のヒト被験者を用いて実施した。
【0281】
この研究は、2つの処置期間、期間1及び期間2からなっていた。各処置期間は、7日からなり、化合物Aの投薬を1日目に行った。これらの2つの処置期間は、10日間の休薬期間によって隔てられていた。被験者は、2つのグループにランダム化した。処置期間1の間、1つのグループは絶食時に化合物Aの経口用量を受け、他方のグループは、食事をした状態で化合物Aの経口用量を受けた。処置期間1において絶食していたグループは処置期間2で給食を受け、処置期間1において給食を受けたグループは処置期間2で絶食した。
【0282】
各処置期間の1日目に、各被験者は、20mgの化合物A(各カプセル5mgの化合物Aを4カプセル)を経口により受け取った。
【0283】
少なくとも10時間の一晩の絶食の後の給食期間の間、標準的な高脂肪、高カロリーの朝食をFDA指針により与えた。この朝食は、予定した投与時間の30分前に与えられ、投薬の10分前に完了した。代表的な朝食は、2切れのバター付きトースト、2つの卵焼き、2切れのベーコン、4オンス(約113g)のハッシュポテト、及び8オンス(約227g)の全乳を含んでいた。被験者は、投薬後、少なくとも4時間は飲食しなかった。
【0284】
絶食期間の間、少なくとも10時間の一晩の絶食の後に投薬を行った。給食期間であっても、又は絶食期間であっても、投与後4時間は、食物は許容されなかった。水は、投薬前後の1時間を除いて所望のとおりに許容された。
【0285】
すべての被験者について、化合物Aの血漿中濃度の測定のための血液試料を、投薬時(0.0時間(時間ゼロ))並びに投与後0.5時間、1.0時間、1.5時間、2.0時間、3.0時間、4.0時間、6.0時間、8.0時間、12.0時間、24.0時間、32.0時間、48.0時間及び144.0時間に採取した。
【0286】
2.1.結果
食後状態で化合物Aの経口用量を受けた被験者における化合物Aの血漿中濃度(ng/mL)を下記表7に示す。
【0287】
絶食状態で化合物Aの経口用量を受けた被験者における化合物Aの血漿中濃度(ng/mL)を下記表8に示す。
【0288】
食後状態で化合物Aの経口用量を受けた被験者における化合物Aの平均血漿中濃度(ng/mL)対絶食状態で化合物Aの経口用量を受けた被験者における化合物Aの平均血漿中濃度(ng/mL)を
図2に図示する。
【0289】
食後状態で20mgの化合物Aを経口で受けた被験者の薬物動態パラメータを下記表9に示す。
【0290】
絶食状態で20mgの化合物Aを経口で受けた被験者の薬物動態パラメータを下記表10に示す。
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
本研究の薬物動態の結果が明らかにするように、化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露は、食後状態で経口投与された場合に、絶食状態で経口投与された場合の化合物Aのバイオアベイラビリティー及び曝露と比べて有意に高まった。これらの結果は、食物効果が認められたかった上記実施例1に示した非ヒト霊長類での研究の結果を考慮すると予想外であった。
【0296】
3.実施例3.ヒトSAD及びMADの研究
経口の化合物Aの単回投与漸増試験及び反復投与漸増試験(SAD及びMAD)の安全性、忍容性及び薬物動態(PK)を評価するために、ファースト・イン・ヒューマン研究を行った。
【0297】
3.1.方法
SAD相では、32名の健康なボランティアを、化合物A(5mg、15mg、20mg、25mg若しくは30mg)又はプラセボにランダム化(3:1)した。この研究はアダプティブデザインを特徴としていた。クロスオーバー食物効果コホート(N=10)は20mgの単回投与も完了した。8名の男性被験者のサブセットは、皮質興奮性に対する効果についても経頭蓋磁気刺激法(TMS)を用いて評価した(実施例4及び実施例5を参照)。
【0298】
化合物Aの反復用量(1日1回の15mg)を、絶食状態及び食後状態でそれぞれ7日間及び10日間にわたって評価した。化合物Aの反復用量(1日1回25mg)も、食後状態で10日間にわたって評価した。
【0299】
化合物Aを速放性カプセルとして処方した。一連の血漿PK試料をすべてのコホートについて採取した。本研究全体にわたる安全性評価には、有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン、ECG、身体診察及びコロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia-Suicide Severity Rating Scale)が含まれていた。
【0300】
3.2.薬物動態
化合物Aは、最高最低間比が低く、1日1回投薬に好適なPKプロファイルを呈した。化合物Aは、絶食状態では用量比例的な曝露未満の曝露を有していたが、吸収は食物によって高まった(AUCinfについて約1.8倍)。食後状態において複数回用量を用いると、曝露は用量に比例して増加した。0.8~1.25の範囲内の連続日の曝露比についての90%CIに基づくと、見かけの定常状態は6日目~9日目までに成し遂げられた。
【0301】
【0302】
【0303】
3.3.安全性
化合物Aの単回用量及び複数回用量は、それぞれ104ng/mL及び107ng/mLまでの個々のCmaxレベルで十分に忍容性があった。AEの大部分は、軽度又は中等度であり、自然に消散し、このクラスの抗てんかん薬と整合していた(例えば、眩暈、鎮静)。SAE、死亡、又は臨床的に重要なECG所見又は検査所見はなかった。
【0304】
これらの結果は、化合物Aが調べた用量(30mgまでの単回用量及び1日1回(QD)25mgの複数回用量)まで安全で忍容性が良好であるということを示唆する。
【0305】
上記PKプロファイル(24時間超の有効半減期を含む)は、用量設定の必要なく1週間のうちに定常状態を達成して、速放性製剤を使用する1日1回の投薬スケジュールを支持する。
【0306】
4.実施例4.経頭蓋磁気刺激法パイロット研究
経頭蓋磁気刺激法(TMS)は、筋電図検査(EMG)及び脳波記録法(EEG)と組み合わせて、安静時運動閾値及び活動時運動閾値(随意収縮時運動閾値)(RMT/AMT)並びにTMS誘導EEG電位(TEP)の測定を可能にする。安静時運動閾値及び活動時運動閾値(RMT/AMT)、並びにTMS誘導EEG電位(TEP)は、それぞれ、皮質脊髄興奮性及び皮質興奮性に対する薬物効果を示しうる。いくつかの抗てんかん薬(AED)は、RMT値を有意に上昇させ、TEPを調節することが示されており、これは皮質脊髄/皮質阻害へのシフトを示す。
【0307】
パイロット研究では、TMSを使用して、化合物A(10mg、15mg及び20mg)が皮質興奮性に影響するか否かを非侵襲的に判定した。このTMSパイロット研究は、化合物Aを用いるより大きいランダム化、二重盲検、プラセボ対照TMSクロスオーバー研究(N=20)のためのサンプルサイズ算出の情報を得るように設計した。
【0308】
4.1方法
ファースト・イン・ヒューマンフェーズ1研究からの8名の健康な右利きの男性被験者(21歳~35歳、62.4~95.4kg)をこの非盲検のTMSパイロット研究に登録した。RMT、TEP及びEEGを化合物Aの前、投与の2時間及び4時間後に記録した。安静時EEGに対してスペクトル解析を実施した。TEP振幅に対する化合物Aの効果を判定するために、多重の独立サンプルt検定によって一被験者レベルでの分析を実施した。多重比較は、クラスターベースの並べ替え分析(順列分析)を使用して考慮した。
【0309】
4.2.結果
化合物Aは、20mgの4時間後に(Cplasma=50±10ng/mL)、遅い潜時においてTEP振幅を抑制した(例えばTMS後の180msのピーク(P180)で1.92±0.03μV、p<0.01、N=3)。10mg(N=2)及び15mg(N=3)投薬量は、4時間で23.1ng/mL及び36.3ng/mLの化合物Aの平均血漿レベルであり、有意でロバスト(堅牢)なTEP調節を示さなかった。20mg後の4時間において、RMTは、ベースラインから4.3±0.6%上昇し(Poster 3.282)、シータパワーはrEEGにおいて上昇した。化合物Aの20mg用量を、プラセボ対照の二重盲検TMSクロスオーバー研究において使用するために選択した。
【0310】
図3は、化合物AがTMS/EMGを用いて評価した運動閾値を上昇させた(SICIは除く)ことを示す。黒棒は、薬物摂取後2時間での効果を示し、グレーの棒は、薬物後4時間を表す(%最大刺激強度としてのベースラインからの変化、平均±SEM)。10mgについてはN=2、15mg及び20mgについてはN=3。化合物A10mgは、AMTを変化させなかった。10mgについてはN=2、15mg及び20mgについてはN=3。
【0311】
5.実施例5.経頭蓋磁気刺激クロスオーバー研究
ランダム化二重盲検プラセボ対照経頭蓋磁気刺激(TMS)クロスオーバー研究で、健康な右利きの男性被験者における化合物Aの単回投与の安全性、忍容性、薬物動態(PK)、及び薬力学(PD)を検討した。
【0312】
研究の目的は、1)健康な男性被験者における化合物Aの単回投与の安全性、忍容性および薬物動態を評価すること、並びに2)TMS-脳波(EEG)及びTMS-筋電図(EMG)で評価した皮質興奮性の測定値に対する化合物Aの効果をプラセボと比較して特性化することであった。
【0313】
20人の健康な右利きの男性被験者を登録し、1日目に、盲検下で化合物A20mgまたはプラセボを単回経口投与する群にランダムに割り付けた後(ランダム化率1:1)、クロスオーバーし、7日目にもう一方の処理を単回投与した。
【0314】
被験者は、1日目に、研究に参加する前の27日以内にスクリーニングを受けた。期間1については、被験者は研究ユニットに入院し、1日目に投薬し、2日目に退院した。期間2については、6日間の休薬期間後、同じ被験者を再び研究ユニットに入院させ、7日目に投薬し、8日目に退院させた。すべての被験者は14日目に外来診察のために臨床ユニットに戻り、37日目に追跡電話を受けた。
【0315】
被験者には食後状態で投薬したが、食事に対する投薬のタイミングは研究中に変更し、投薬の2時間前又は30分前に食べる高脂肪食又は標準食、投薬の1時間後又は2.5時間後に食べる高脂肪食又は標準食の間で変化した。
【0316】
安全性の評価には、有害事象(AE)、臨床検査評価、バイタルサイン、12誘導心電図(ECG)、身体診察、及びコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)が含まれていた。
【0317】
PK変数には、最大血漿中濃度(Cmax)、最大血漿中濃度時間(Tmax)、終末消失半減期(t1/2)、消失速度定数(λz)、0時間から24時間までの曲線下面積(AUC0-24h)、0から最終定量可能濃度までの時間曲線下面積(AUC0-tlast)、0から無限大までの時間曲線下面積(AUC0-inf)、tlastから無限大までの外挿によるAUCの割合(%AUCextrap)、経口投与後の見かけの全身クリアランス(CL/F)、体重で規格化したCL/F、時間ゼロから最終定量可能濃度までの平均滞留時間(MRTlast)、無限大まで外挿した平均滞留時間(MRTinf)、終末相中の見かけの分布容積(Vz/F)、体重で規格化したVz/Fが含まれていた。
【0318】
PD評価には、安静時脳波(RS-EEG);安静時運動閾値(RMT)、活動時運動閾値(AMT)及び短間隔皮質内抑制(SICI)を含むTMS-EMG測定;並びにTMS-EEG測定が含まれた。
【0319】
5.1.薬物動態分析
本研究についてのPKパラメータは、2通りの方法で要約した。第一に、PKパラメータは、可能であれば、別々に期間1及び期間2の各24時間サンプリング期間中に採取したPK試料を用いて算出した。第2に、PKパラメータは、24時間のサンプリング期間(すなわち、7/8日目及び/又は14日目から)を超えた試料を使用して決定した。第1期間に化合物Aを投与した被験者については、プラセボ処置前に採取したPK試料から、24時間を超えた時点で追加のPK時間点が得られた。第2期間に化合物Aを投与された被験者では、14日目のPK試料を加えるまで、24時間を超えるPK時間点はなかった。従って、第2期間に化合物Aの投与にランダムに割り付けられ、14日目の追加PK試料の実施前に登録された被験者には、24時間を超えるPKデータが得られなかった。完全なPKプロファイルデータセットは、投与後24時間を超える時点でPK試料を採取した16人の被験者で構成される。以下のPKパラメータの考察のために、完全なPKプロファイルデータセットを一般に使用した。これは、完全なPKプロファイルデータセットが、PKパラメータのより正確な推定を可能にしたからである。
【0320】
最初に、被験者は、高脂肪食の2時間後に投与され、投与の1時間後に比較的高脂肪の昼食が与えられた。最初の8名の被験者のPKプロファイルを盲検下で検討した後、Tmaxまでの時間を短縮するために昼食の脂肪含量を減らし、CmaxがTMS測定の時間枠内に収まるようにした。加えて、投与に対する食事の時期を、投与の2時間前から30分前へと変更し、続いて朝食の脂肪含量を減らした。すべてのこれらの変更は、TMS評価期間中、より高い血漿レベルを提供するためになされた。各被験者の食事の時期及び種類は表13に規定されている。全体として、食事組成及び投与に対する時期の変更にもかかわらず、Cmax又はTmaxには明確な差は認められなかった。したがって、PKデータは、食事内容、又は食事の相対的な時期による分類なしで提示される。
【0321】
【0322】
5.1.1.血漿中濃度
完全なPKプロファイルについての経時的な化合物A血漿中濃度を記録した。2時間、4時間及び6時間のTMS時間点で、平均±SD血漿中濃度は、それぞれ15.9±21.4ng/mL、30.2±21.1ng/mL及び42.1±19.1ng/mLであった。
【0323】
各期間間で平均のCmax又はTmaxに差は認められなかった(表14)。ピーク血漿中濃度までの全時間は1.9~12時間の範囲であり、メジアン時間は7.8時間であり、これは、2時間、4時間及び6時間に行われたTMS評価は、大多数の被験者でTmaxの前に行われていたことを示した。
【0324】
期間2にプラセボを投与された被験者は、プラセボ処置期開始時に、低いが測定可能な化合物Aの濃度を有しており、Cmaxの平均値は5.84ng/mL(範囲3.34~9.61ng/mL)であった。
【0325】
【0326】
5.1.2.完全PKプロファイルについての他の薬物動態パラメータ
他のPKパラメータの概要を表15に示す。平均AUClastは2370ng・h/mLであり、これには、利用できる場合には、追跡調査のための来院時に採取したPK試料が含まれていた。同一データセットからのAUCinfは3155ng・h/mLであり、メジアン(範囲)外挿面積は19.9%(範囲10.6~40.5%)であった。数名の被験者におけるこの比較的高いレベルの外挿面積は、λzから算出されたパラメータ(半減期、MRTinf、クリアランス、及び分布容積等)は注意して分析されるべきであり、それらの算出においてより高い固有の分散を有することが可能であることを示唆する。
【0327】
16.3L/kgの平均正規化分布容積(Vz/F)は、平均体重72.3kgの総血液容積を十分に上回り、これは、この薬物が血漿から周囲組織に分布することを示した。
【0328】
体重規格化クリアランス(CL/F)は97.5mL/h/kg(約1.6mL/min/kgに相当)であった。この値は血漿クリアランスであり、血液クリアランスではない。しかしながら、これは、ヘマトクリット値を調整しても総肝血流量17mL/min/kgをはるかに下回っており(Carlisleら、Gut 1992、33:92-97)、抽出率の低い薬物であることが示唆されている。
【0329】
【0330】
5.1.3.薬物動態に関する結論
化合物Aは、20mgの経口用量後ゆっくりと吸収され、メジアンピーク血漿中濃度は投与のおよそ8時間後に生じた。化合物Aは、吸収されると、血漿から周囲組織に分布し、肝血流量をかなり下回る速度で体循環からゆっくりと除去され、これは、肝臓からの抽出(代謝)が極めて少ないことを示した。化合物Aは、127時間の平均半減期(範囲48.2~306時間)及び102時間の平均滞留時間(範囲33~304時間)を示した。これは過小評価である可能性がある。というのも、何人かの被験者が、20%を超え40%もの高い%AUCextrap値を有したからである。
【0331】
期間と期間の間の休薬期間は、期間2にプラセボを投与された被験者において、化合物A濃度が定量限界未満に低下するのに十分な時間ではなかった(平均3.1ng/mL、範囲1.3~6.8ng/mL)。
【0332】
5.2.薬力学分析
20名の被験者全員が、1日目と7日目の投薬前、及び投薬の2時間後と4時間後にTMS-EMGセッションとTMS-EEGセッションを受けた。薬物動態分析によって明らかにされた化合物Aについての長期の吸収相のために、余分な測定値を、薬物摂取後6時間に加えた。この6時間の時間点について、16人の被験者に対してRMTを実施し、8人の被験者に対してAMT、安静時EEG、及びTMS-EEGを実施した。
【0333】
被験者912は、副作用(嘔吐)のため、化合物A処置期間の2時間後の時間点でPD評価のいずれも受けなかった。技術的な問題のため、プラセボ処置期間の2時間目において被験者940のTMS手順を完了できなかったため、この被験者は2時間目においてRMT及び安静時EEG手順のみを受けた。
【0334】
PDマーカーの化合物A誘発性調節は、時間(投与後2時間、4時間、及び6時間と投与前との比較)及び濃度(最高薬物曝露時にとった投与後の測定値とベースラインを使用する)の効果として評価した。
【0335】
全被験者(n=20)について、及びプラセボ群で持ち越し効果として検出された最高濃度よりも高い薬物血漿中濃度を示した被験者(n=16)について分析を行った(表16)。
【0336】
【0337】
5.2.1.TMS誘導EGG電位
TMS誘導EEG電位(TEP)を、異なる実験条件におけるアーチファクトのないEEG試験結果を平均することにより算出した(表17)。
【0338】
【0339】
文献に従って以下のTEP成分(P=正、N=負)を研究した。括弧内の値は、関心時間(TOI)である:P25(15~35ms)、N45(35~70ms)、P70(70~80ms)、N100(80~145ms)、及びP180(145~230ms)。TOIは、グランド平均した(全被験者全応答加算平均)TEPに基づいて選択され、投与前及び投与後の測定の分析の間、ならびに条件にわたって同一に保たれた。TEPの薬物誘発調節を分析するために、本発明者らは、刺激部位(左M1)及び対応する対側部位(「FC1」、「FC3」、「FC5」、「C1」、「C3」、「C5」、「CP1」、「CP3」、「CP5」、「P1」、「P3」、「P5」、「Cz」、「CPz」、「Pz」、「FC2」、「FC4」、「FC6」、「C2」、「C4」、「C6」、「CP2」、「CP4」、「CP6」、「P2」、「P4」、「P6」)の上及び周囲の27チャネルから構成される関心領域(ROI)を選択した。
【0340】
化合物Aによって誘導されたTEP振幅変調の有意性を分析するために、示されたROI内の全ての電極において、各TOIについて、多重の、対応のあるt検定比較(投与後対投与前)を適用した。多重比較(すなわち、電極、時間点)を補正するために、本発明者らは、FieldTripで実施されるように、ノンパラメトリックのクラスターベースの並べ替え分析を行った。
【0341】
TMS誘導EEG電位の時空間プロファイルは、文献における以前の報告と一致している(
図4-A)。初期成分(N15、P25)は、主に刺激された左側M1に位置し、続いてN45電位に対応する対側部位上で顕著な負性が続く。最後に、N100及びP180成分は、それぞれ左中心領域及び中央前頭領域にわたって、それらの最適なトポグラフィー再現性を確認する(
図4-B)。投与前条件間の比較(プラセボ対化合物A)は、有意差を示さなかった(p>0.05)。これらの結果は、n=20及びn=16のデータセットにあてはまる。
図4は、化合物Aが初期TEP(N45及びP180)の有意な調節をもたらしたことを示す。
【0342】
濃度分析(N=16):クラスターベースの並べ替え分析を投与後条件と投与前条件の間に適用して、TMS評価時間点中に利用可能な最高血漿中濃度での化合物Aの効果を検定した。時間が一致するプラセボは、いかなる有意な変化も示さなかったが、化合物Aは、TMSパルス後、15~35ms(初期複合波N15-P25のピーク対ピーク振幅:4.5対6.0μV、p<0.05)、45ms(N45:-2.3対-3.0μV、p<0.01)及び180ms(P180:2.2対3.0μV、p<0.01)に測定された初期TEP成分の振幅を減少させた(
図4-D、
図5)。
図6は、化合物AがTEPを有意に調節し、皮質興奮性を減少させることを示す。
【0343】
時間分析(測定時の薬物曝露を有する被験者):クラスターベースの並べ替え分析を投与後と投与前条件の間に適用して、最初の6時間の間に十分な化合物A曝露を有する対象において、投薬後2時間(n=15)、4時間(n=16)、及び6時間(n=7)で化合物Aの効果を検定した。投与前と比較して、最初のN15-P25複合波は2時間(p=0.008)と4時間(p=0.02)で減少した。さらに、投薬後4時間で、化合物Aは、N45(p=0.03)、N100(p=0.04)、及びP180(p=0.004)を有意に抑制した(
図7)。
【0344】
他の比較は統計学的に有意ではなく(p>0.05)、プラセボは有意な変化を誘発しなかった(p>0.05)。
【0345】
時間分析(全ての利用可能な被験者):クラスターベースの並べ替え分析を投与後条件と投与前条件の間に適用して、全ての利用可能な被験者における投薬後2時間(n=19)、4時間(n=20)、及び6時間(n=8)で化合物Aの効果を検定した。投与前と比較して、最初のN15-P25複合波は2時間(p=0.006)及び4時間(p=0.01)で減少した。さらに、投薬後4時間で、化合物AはN45(p=0.03)及びP180(p=0.02)を有意に抑制した。これは、化合物AがTEPを調節し、皮質興奮性を低下させることを示す。
【0346】
他の比較は統計学的に有意ではなく(p>0.05)、プラセボは有意な変化を誘発しなかった(p>0.05)。
【0347】
5.2.2.TMS誘導振動
左運動皮質上に与えたシングルパルスTMSは、進行中の振動活性のパワーの一連の変化をもたらした。薬物摂取前に、ベースラインで、TMSは、シータ/アルファパワーの早期増加、続いてベータパワー減少(脱同期)、及び増加したベータパワーの最終的な遅い応答を誘導した。
【0348】
次いで、TMS誘導振動に対する活性化合物の効果を、TEPの分析で採用したのと同じ手順に従って、クラスターベースの並べ替え分析によって分析した。シータ(4~7Hz)、アルファ(8~12Hz)及びベータ(13~30Hz)のTMS誘導振動を、薬物条件間で30ms(アーチファクトがないと考えられる最初の時間-周波数点)から800msまで比較した。この方法は、TMS誘動振動解析に使用すべき関心時間窓についてのコンセンサスがないことを考慮すると、所定の時間窓のセットの代わりに好ましかった。また、本クラスターベースの統計的アプローチは、複数の時間点の試験に関与する偽陽性を最小化するので、探索的分析に適切である。
【0349】
濃度分析(N=16):クラスターベースの並べ替え分析を投与後条件と投与前条件の間に適用して、TMS評価中に存在する最高血漿濃度での化合物Aの効果を検定した。化合物Aは、初期シータTMS誘導振動(p<0.001;30msから390msまでの有意な効果)、アルファTMS誘導振動(p=0.02;220msから400msまでの有意な効果)を抑制し、ベータTMS誘導パワー(p=0.04;220msから310msまでの有意な効果)を上昇させた。
【0350】
他の比較は統計学的に有意ではなく(p>0.05)、プラセボは有意な変化を誘発しなかった(p>0.05)。
【0351】
時間分析(測定時の薬物曝露を有する被験者):クラスターベースの並べ替え分析を投与後条件と投与前条件の間に適用して、投薬後2時間(n=15)、4時間(n=16)、及び6時間(n=7)で化合物Aの効果を検定した。投与前と比較して、化合物Aは、投与後2時間で登録された振動を調節しなかったが、4時間では、化合物Aは、初期シータTMS誘導振動(p=0.03;30msから180msまでの有意な効果)、アルファTMS誘導振動(p=0.03;250msから390msまでの有意な効果)を抑制し、ベータTMS誘導脱同期(p=0.04;250msから330msまでの有意な効果)を上昇させた。最後に、投与後6時間で、結果はシータ誘導振動の有意な低下を示した(p<0.001;30msから280msまでの有意な効果)。
【0352】
他の比較は統計学的に有意ではなく(p>0.05)、プラセボは有意な変化を誘発しなかった(p>0.05)。
【0353】
時間分析(全ての利用可能な対象):クラスターベースの並べ替え分析を投与後条件と投与前条件の間に適用して、投薬後2時間(n=19)、4時間(n=20)、及び6時間(n=8)で化合物Aの効果を検定した。投与前と比較して、化合物Aは、投与後2時間でシータTMS誘導振動を抑制する傾向を示した。4時間で、化合物AはアルファTMS誘導振動を抑制した(p=0.03;250msから400msまでの有意な効果)。最後に、投与後6時間で、結果はシータ誘導振動の有意な低下(p=0.03;80msから300msまでの有意な効果)とアルファ帯域を抑制する傾向(傾向p=0.07;270ms~390ms)を示した。
【0354】
他の比較は統計学的に有意ではなく(p>0.05)、プラセボは有意な変化を誘発しなかった(p>0.05)。
【0355】
5.2.3.安静時安静時EEG
センサレベルデルタ(2~4Hz)、シータ(4~7Hz)、アルファ(8~12Hz)及びベータ(13~30Hz)周波数活性を、高速フーリエ変換(FFT)アプローチを用いて推定した。0.5Hzの周波数分解能を用いて、2~30Hzの間の全周波数のパワーを推定した。並べ替えアプローチ(1500個の並べ替え)に基づくノンパラメトリックの、対応のあるt検定を用いて、全てのEEGセンサ上の薬物条件間の差を検定した。
【0356】
濃度分析(N=16):化合物A高血漿曝露の間、安静時振動活性は有意に調節され、デルタ(p<0.001)、シータ(p=0.01)及びベータ(p=0.005)でパワーの増加を示した。プラセボはシータパワーの増加を誘導し(p=0.001)、他のすべての比較は有意な結果を示さなかった。
【0357】
各薬物条件内の投与後と投与前の状態の差を計算し、次いで化合物Aとプラセボとの間の算出された差(投与後から投与前を引いた値)を統計学的に比較した。プラセボと比較して、化合物Aは、デルタ(p<0.001)、シータ(p=0.02)、及びベータ(p=0.003)についてのパワーの全体的な増加を誘導した(
図8)。
【0358】
時間分析(測定時の薬物曝露を有する被験者):クラスターベースの並べ替え分析を投与後条件と投与前条件の間に適用し、投薬後2時間(n=15)、4時間(n=16)、及び6時間(n=7)で化合物Aの効果を検定した。
【0359】
投与前の状態と比較して、化合物Aは、低周波数振動のパワー(投与の2時間後対投与前:デルタ、p=0.001;シータ、p=0.01;投与の4時間後対投与前:デルタ、p<0.001;シータ、p=0.01)及びベータ帯域のパワー(投与の2時間後対投与前:p=0.01;投与の4時間後対投与前:p<0.001)を有意に増加させた(
図9)。
【0360】
プラセボは薬物摂取の4時間後にシータ帯域の増加を引き起こしたが(p=0.003)、他のすべての比較は統計学的に有意ではなかった(p>0.05)。
【0361】
時間分析(全ての利用可能な被験者):クラスターベースの並べ替え分析を投薬後条件と投薬前条件の間に適用して、投薬後2時間(n=19)、4時間(n=20)、及び6時間(n=8)で化合物Aの効果を検定した。
【0362】
投与前の状態と比較して、化合物Aは低周波数振動のパワーを有意に増加させ(投与の2時間後対投与前:デルタ、p<0.001;シータ、p=0.006;投与の4時間後対投与前:デルタ、p<0.001;シータ、2つのクラスターp=0.008及びp=0.03)、並びにベータ帯域のパワー(投与の2時間後対投与前:p=0.005;投与の4時間後対投与前:p<0.001;投与の6時間後対投与前:p=0.009)を有意に増加させた。
【0363】
プラセボはデルタ(投与の2時間後対投与前:2つのクラスターp=0.02及びp=0.04;投与の4時間後対投与前:2つのクラスターp=0.004及びp=0.01;投与の6時間後対投与前:p=0.05)並びにシータ帯域(投与の4時間後対投与前:p<0.001;投与の6時間後対投与前:p=0.009)、アルファ帯域(投与の6時間後対投与前:p=0.04)並びにベータ帯域(投与の6時間後対投与前:p=0.04)のパワーの増加を引き起こしたが、他のすべての比較は統計学的に有意ではなかった(p>0.05)。
【0364】
5.2.4.TMS-EMG
RMT値及びAMT値は、最大刺激強度のパーセンテージ(%MSO)として報告する。TMS-EMGパラメータの薬物誘発調節を、3つの時間点(2時間、4時間、及び6時間)にわたって、並びに最も高い薬物曝露を有する時間点について評価した。
【0365】
5.2.4.1.安静時運動閾値
20名の全被験者について、化合物A及びプラセボについてのベースラインにおける個々のRMT値及び平均RMT値並びに各時点の変化を表18に提示する。4名の被験者(901、925、928、及び930)は、TMS測定中に高い薬物曝露を有さなかった。加えて、化合物A摂取後2時間で、被験者912についてはRMTを登録することができなかった。
【0366】
【0367】
いずれのグループにおいても、ベースラインとの間に有意差はなかった。化合物A処置は、皮質脊髄興奮性の低下を示すRMTの有意な増加をもたらした(
図10及び
図11)。PD効果と平均の化合物A血漿中濃度との間に強い関係があり、RMTに対する効果は、投与の6時間後で>4%であった。
図8は、RMTが化合物Aの血漿中濃度に比例して上昇し、6時間で増加の平均±SEMが4.9±0.7%であったことを示す。このRMTの有意な上昇は、皮質脊髄興奮性の低下を示しており、従って、強いPK-PD関係を表す。
【0368】
5.2.4.2.活動時運動閾値
被験者が各個人の最大収縮力の20%でマノメーターを圧迫した間、AMTを記録した。表19は、化合物A及びプラセボについての各時間点での個々のAMT値及び平均AMT値を示す。被験者912及び被験者940については、それぞれ化合物A及びプラセボの摂取の2時間後にAMTを登録することができなかった。
【0369】
いずれのグループにおいても、ベースライン値との間に有意差はなかった。AMTは化合物A処置後に上昇した。化合物AについてのAMTのベースラインからの変化は、投与の6時間後でプラセボと有意差があった(p<0.01)。
【0370】
【0371】
5.2.4.3.短間隔皮質内抑制
短間隔皮質内抑制(Short Interval Intracortical Inhibition、SICI)は、2msの刺激間間隔(ISI)でランダムな順序で与えられた15回の条件付け試験刺激対を用いて測定した。この条件刺激は、AMTの80%及び閾値超刺激120%RMTに設定した。
【0372】
SICIの算出は、条件付け運動誘発電位(MEP)及び無条件運動誘発電位の振幅を測定し、平均無条件MEPに対する平均条件付けMEPの比としてSICIを表すために、カスタムスクリプトを利用した。
【0373】
SICI値(平均条件付けMEP/平均無条件MEP)を、各個人、実験セッション及び化合物A用量について報告する(表20)。平均及びSDもまた、各条件について報告する。有意な所見はなかった。
【0374】
【0375】
5.2.5.薬力学に関する結論
TMS-EMG及びTMS-EEGでそれぞれ測定した皮質脊髄興奮性及び皮質興奮性に対する、カリウムチャネル開口薬である化合物Aの急性効果を判定するために薬力学的評価を行った。
【0376】
5.3.TMS-EMG測定
ナトリウムチャネルに作用するいくつかの抗てんかん薬(AED)(すなわちラモトリギン、カルバマゼピン;Ziemannら、J.Int.Fed.Clin.Neurophys.2015、126:1847-1868)及びカリウムチャネルに作用するいくつかの抗てんかん薬(すなわちレチガビン;Ossemannら、Epilepsy Res.2016、126:78-82)によって運動閾値(安静時及び筋収縮活動時)が増加したことから、運動閾値(安静時及び筋収縮活動時)はイオンチャネル導電性、従って神経膜興奮性と関連づけられている。
【0377】
加えて、皮質内阻害は、十分に確立されたTMS対パルスパラダイムであるSICIによって試験することができる。SICIは、刺激された運動皮質内の介在ニューロンのシナプス興奮性を評価することができ、GABA-A受容体媒介神経伝達に関連づけられている。
【0378】
結果から、化合物Aは運動閾値に有意に影響を及ぼすことが示され、これは、皮質脊髄興奮性の低下を示した。RMTは、特に、プラセボと比較して時間依存的及び血漿中濃度依存的に調節された。投与の2時間、4時間、及び6時間後に、化合物Aの20mg単回投与は、時間が一致するプラセボと比較して、ベースラインからRMTを上昇させた。さらに、各時間点でのRMTの上昇は、化合物Aの全身暴露の増加と相関した。
【0379】
AMTはより低い程度に調節され、投与の6時間後でのみプラセボと有意差があった。RMT結果とAMT結果との間の不一致の性質は知られていないが、しかしながら、それは他のAEDと一致している(Ziemannら、Ann.Neuro.1996,40:367-378)。随意的な筋肉活性化の間、運動閾値の低下は、皮質脊髄出力若しくは脊髄運動ニューロン又はその両方の興奮性の増加を介して起こると考えられている。前者の要素の閾値下の活性化は、おそらくTMSの標的でもあるが、膜イオンチャネルに作用する薬物によってAMTがRMTよりも上昇しにくい理由を説明する。随意的な筋肉活性化の間、TMSによって直接活性化されるものに加えて、多くの生理学的及び解剖学的要素が役割を果たし、このことがAMTの薬物誘発性調節がRMTよりも制限される理由を説明するであろう。最後に、SICIに対する効果の欠如は、化合物AがGABA-A受容体を介した皮質内阻害を変化させないことを示す。この結果は、レチガビンのTMS-EMG報告(Ossemannら、2016年)及びナトリウムチャネル遮断薬(Ziemannら、1996年)と一致している。
【0380】
5.4.TMS-EEG測定
化合物Aは、TMS-EEG出力及び安静時EEG出力を有意に調節し、最高薬物血漿中濃度で独特のフィンガープリント(指紋)を示した。加えて、この薬物誘発調節の後には、薬物摂取の4時間後で最も強い効果を有する薬物血漿曝露が認められた(表21)。
【0381】
【0382】
グローバル平均場パワーを含む皮質興奮性の追加測定値も同様に影響を受けた。グローバル平均場パワー(global mean field power、GMFP)は、TMSによって誘導される電気的活動の全体量を示す。
図12は、化合物Aが、長期の吸収に伴って経時的な皮質興奮性の低下を引き起こすことを示す。化合物Aはまた、安静時EEGのパワースペクトルを低周波数側にシフトさせた。
【0383】
TMS-EEGは、脳内で作用する薬物の薬理作用の測定を可能にする。この様相は、広範囲のAEDにもかかわらず、症例の30%において発作が治療に不応であり、長期の治療転帰を予測することができないてんかん研究にとって特に魅力的である(Kwan及びBrodie、N.Engl.J.Med.2000、342:314-319)。ラモトリギン及びレベチラセタムは、最も処方頻度の高いAEDのうちの2つであり、以前にTMS-EEGを用いて評価された。ラモトリギンは電位依存性Na+チャネル遮断薬であるが、レベチラセタムはシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に結合し、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制する(Rogawski及びLoescher、Nat.Rev.Neurosci.2004、5:553-564)。系レベルでは、両薬物はN45の振幅を増加させ、P180成分を抑制した(Premoliら、Epilepsia 2016、58:42-50)。
【0384】
本研究のTMS-EEG部分において、20mgの化合物Aは、皮質興奮性の低下と一致する様式で、TEPの統計的に有意な調節を生じた。TMS評価中の最高血漿レベルの時点で、時間が一致するプラセボと比較して、化合物Aは、最初のN15-P25複合波の振幅を減少させ、N45及びP180電位は、独特のフィンガープリントを提供した。N15成分は同側の運動前野で生成される一方で、P25の原点はそれほど明確ではないが、同側の感覚運動/運動前野境界周辺、同側帯状回上壁あるいは補足運動野、対側皮質での活動を反映している可能性がある(Maki及びIlmoniemi、Neurosci.Lett.2010、478:24-28)。N15-P25複合波は、MEP振幅と逆相関し、したがって、刺激領域の興奮性に関する情報を提供する。この解釈に従うと、これらの初期成分のピーク対ピーク振幅の減少は、皮質興奮性の薬物誘発性低下を反映している可能性がある。時間の経過とともに、化合物Aは、GABA作動性の正のモジュレータとしてベンゾジアゼピン類を用いてTEPを操作した試験によってGABA-A受容体媒介神経伝達に結びつけられているN45振幅を抑制した(Premoliら、J.Neurosci.:J.Soc.Neurosci.2014、34:5603-5612;Darmaniら、J.Neurosci.:J.Soc.Neurosci.2016、36:12312-12320)。N45の低下は、シナプス間隙へのGABA放出を減少させるシナプス前GABA-A受容体の活性化によるGABA-A受容体を介する抑制が少ないことを反映している可能性がある。別の説明として、TMS応答は、皮質抑制の全体的な増加を考えると、反対側半球に伝播しておらず、これは、離れた部位にわたるN45振幅の減少を意味する。最後に、P180成分の低下は、他のAEDからの観察と一致している(Premoliら、2016年)。
【0385】
TEPに加えて、TMSに対する脳応答は、信号から誘発された(すなわち、TEP)成分を除去する単一試行レベルで時間-周波数分析を適用することによって調べることができる。TMS誘導振動は、この分析アプローチの結果であり、それらは、位相非同期の神経情報を提供する(Premoliら、Neuroimage 2017、163:1-12)。TMS誘導振動に対するGABA作動性神経伝達に作用する化合物の影響は、初期α同期がGABA-A作動薬により増加し、GABA-B作動薬により減少し、後期α脱同期がGABA-B作動薬により増加し、後期β脱同期がGABA-A作動薬及びGABA-B作動薬により増加することを示した。
【0386】
化合物Aは、シータ及びアルファTMS誘導パワーの抑制、並びにベータTMS誘導脱同期化のさらなる増加からなる誘導応答の調節の独特のプロファイルを示した。TMS刺激の不存在下では、安静時に、自然発症脳振動活動は調節され、デルタ、シータ及びベータ帯域についてのパワー増加を示す。
【0387】
TMS-EMG及びTMS-EEGの結果は、一連のPDマーカーの調節によって実証されるように、20mgの化合物Aが、血液脳関門を横切ると、皮質興奮性に影響することを示す。神経細胞膜の内在特性と皮質興奮及び抑制のレベルは、てんかん発作における関連点である。それゆえ、これらの研究評価項目は、てんかん患者における化合物Aの治療効果を判定する際に極めて重要な役割を果たす可能性がある。例えば、RMTは、健康な対照と比較して、薬物未使用患者で低く、皮質内抑制は損なわれている。この特定の化合物については、処置前後のRMT及び他のPDマーカーの変化を使用して、化合物Aの治療応答性を評価することができる。
*****
【0388】
本明細書中で参照される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物のすべては、2018年5月11日出願の米国仮出願第62/670,354号を含めて、参照によりその全体を本明細書に援用したものとする。
【0389】
上記の組成物、方法、及び使用が、理解を容易にするために、いくらか詳細に説明されたが、添付の請求項の範囲内で特定の変更及び変形が行われてもよいことは明らかであろう。従って、記載された実施形態は、説明するためのものであって制限するためのものではないと考えられるべきであり、請求項に係る発明は、本明細書中で与えられた詳細な事項に限定されるべきではなく、添付の請求項の範囲及び均等物の中で変形されてもよい。