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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】LIFを定量化する方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/574 20060101AFI20241015BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20241015BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20241015BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20241015BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241015BHJP
【FI】
G01N33/574 A
G01N33/543 575
G01N33/543 501A
C07K14/52
C07K16/24 ZNA
C12N15/13
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020570569
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 IB2019000756
(87)【国際公開番号】W WO2019243893
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】18382433.3
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(73)【特許権者】
【識別番号】520394621
【氏名又は名称】フンダシオ・プリバダ・インスティトゥト・ディンベスティガシオ・オンコロジカ・デ・バイ・エブロン
【氏名又は名称原語表記】FUNDACIO PRIVADA INSTITUT D’INVESTIGACIO ONCOLOGICA DE VALL HEBRON
(73)【特許権者】
【識別番号】519219807
【氏名又は名称】ファンダシオ プリヴァダ インスティタシオ カタラナ デ レセルカ アイ エスタディス アヴァンキャッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・セオアネ・スアレス
(72)【発明者】
【氏名】ジュディット・アニド・フォルゲイラ
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア・アン・ギブリン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エドワード・ベイリス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・フランソン
(72)【発明者】
【氏名】アリフ・ジェタ
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】K. Jin Kim et al.,Detection of human leukemia inhibitory factor by monoclonal antibody based ELISA,Journal of Immunological Methods,,1992年11月25日, Vol.156,No.1,PP.9-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から得られる白血病抑制因子(LIF)を含む試料中のLIFを定量化することを含む、癌を治療されるべき対象を決定する方法であって、該方法は、
a)前記試料を、LIFに特異的に結合する捕捉抗体と接触させること;
b)前記試料を、LIFと特異的に結合する検出抗体と接触させること;及び
c)前記捕捉抗体及び前記検出抗体に結合されている前記試料中のLIFを検出すること、
を含み、ここで前記LIF検出抗体又は前記LIF捕捉抗体は、配列番号41に示したアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;配列番号42に示したアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列;又はそのLIF結合断片を含み;ここで前記LIF捕捉抗体及び前記LIF検出抗体は、gp130と物理的に相互作用するLIFの領域に結合しない、
方法。
【請求項2】
対象が、LIF治療用抗体で治療されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LIF治療用抗体が、
a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記LIF治療用抗体が、
a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び
b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記LIF治療用抗体が、
a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び
b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列
を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記LIF捕捉抗体が、ある表面に結合され、前記表面が導電性物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記LIF検出抗体が、検出可能な部分に結合され、前記検出可能な部分が、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、若しくは蛍光シグナルを生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記LIFを含む試料が、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有されるか、又は前記LIFを含む試料が、96ウェルプレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
白血病抑制因子(LIF)結合抗体又はその断片であって、
a)配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域;及び
b)配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域
を含む、LIF結合抗体又はその断片。
【請求項10】
免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含み;
前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む、
請求項9に記載のLIF結合抗体又はその断片。
【請求項11】
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、配列番号41に示したアミノ酸配列を含み;
前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、配列番号42に示したアミノ酸配列を含む、
請求項10に記載のLIF結合抗体又はその断片。
【請求項12】
前記LIF結合抗体が、検出可能な部分に結合され、前記検出可能な部分が、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、若しくは蛍光シグナルを生じる、請求項11に記載のLIF結合抗体又はその断片。
【請求項13】
前記LIF結合抗体が、LIFに特異的に結合する、請求項9に記載のLIF結合抗体又はその断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2018年6月18日に出願された欧州特許出願第18382433.3号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
白血病抑制因子(LIF)は、サイトカインのインターロイキン6(IL-6)ファミリーのメンバーである。LIFの公知の生理活性、LIF欠乏の臨床的特徴、及び健康な組織及び腫瘍におけるLIF発現の非臨床研究に基づいて、LIFの阻害が、良好な耐容性を示すこと、また、限定はされないが非小細胞肺癌(NSCLC)、膵癌、卵巣癌、及び多形神経膠芽腫(GBM)を含めた様々な固形腫瘍における抗腫瘍有効性をもたらすことが期待されている。
【0003】
LIFは、LIFRに結合することによってシグナルを送り、次いでgp130を動員して、細胞内JAK-STAT活性化を開始することが可能な三元複合体を形成する。したがって、LIFは、LIFRとgp130の両方のための結合部位を有し、LIFシグナル伝達を阻害するための複数の選択肢を提供する。1つの戦略は、LIFRへのLIFサイトカイン結合を直接的に阻止することであろう。或いは、LIFシグナル伝達を阻害するためのさらなる戦略は、gp130へのLIF結合を阻止することである。このシナリオでは、LIFのgp130結合部位と重複するエピトープと結合するmAbが、LIF/LIFR複合体へのgp130の動員を阻害することによって、シグナル変換に必要である下流シグナル伝達を妨げる。
【0004】
通常の健康な個人におけるLIFの典型的な血漿又は血清中濃度は、0~10pg/mである。しかし、抗体/リガンド複合体のクリアランスは、遊離のリガンドのクリアランスよりも遅いので、いったんサイトカインが抗体に結合すると、血漿中の総LIFのレベルは増大する可能性がある。例えば、Chakraborty A,Tannenbaum S,Rordorf C,et al.(2012)“Pharmacokinetic and Pharmacodynamic Properties of Canakinumab,a Human Anti-Interleukin-1β Monoclonal Antibody”Clin Pharmacokinet.51:e1-e18;Dudai S,Subramanian K,Flandre T,et al.(2015)“Integrated pharmacokinetic,pharmacodynamics and immunogenicity profiling of an anti-CCL21 monoclonal antibody in cynomolgus monkeys”mAbs.7:829-837を参照されたい。したがって、薬物-リガンド複合体又は総リガンドの蓄積、及び飽和の期間を、標的結合及び末梢における有効性の予測のためのPK-PDモデルに組み込むことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、抗白血病抑制因子のgp130結合部位に又は近くに結合する治療用抗体の投与後の、血液、血漿、又は血清などの患者試料における総LIFレベルの検出のための、LIF抗体の使用に関する。本明細書に記載されるサンドイッチ方法を使用する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)では、LIFは、固定された捕捉抗体と、検出可能な標識物質(検出抗体)に結合させた別の抗体との間に挟むことによって定量的に検出することができ、ここでこれらの抗体は、LIFの非重複エピトープに結合する。本開示では、LIFの捕捉抗体エピトープと検出抗体エピトープは、さらに、どちらも治療用mAb h5D8の結合部位と非重複である。したがって、3つの抗体(捕捉、検出、及び治療用)がLIFと同時に結合できるように、LIFの3つの別の非重複エピトープが特定されている。この方式の利点は、治療用抗体に結合されているかどうかに関わりなくLIFを検出できる、したがって、試料中に存在する「総LIF」(結合しているものとしていないものの両方)を定量化することである。このアッセイは、限定はされないが20pg/ml(1pM)と2ng/ml(100pM)の間の総LIFレベルを正確に測定することが可能である。総LIFレベルは、重要な治療指標としての役割を果たすことができ、臨床医が個人におけるLIF治療用抗体のPK/PD動態を綿密に観察することを可能にする。
【0006】
ある種の態様では、本明細書に記載されるのは、白血病抑制因子(LIF)複合体であって、LIF、LIFに特異的に結合するLIF捕捉抗体、LIFに特異的に結合するLIF検出抗体、及び任意に、LIFと特異的に結合するLIF治療用抗体を含む複合体を含み、ここでLIF検出又はLIF捕捉抗体は、A4又はそのLIF結合断片を含む、複合体である。ある種の実施形態では、LIF複合体の用途は、LIFを定量化するためのインビトロアッセイである。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体又はLIF検出抗体は、結合についてLIF治療用抗体と競合しない。ある種の実施形態では、LIFは、ヒトLIFである。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体は、ある表面に結合される。ある種の実施形態では、その表面は導電性物質を含む。ある種の実施形態では、導電性物質は電極である。ある種の実施形態では、LIF検出抗体は、検出可能な部分に結合される。ある種の実施形態では、検出可能な部分は、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、若しくは蛍光シグナルを生じる。ある種の実施形態では、検出可能な部分は、電気化学シグナルを生じる。ある種の実施形態では、LIF検出抗体及びLIF捕捉抗体は、gp130と物理的に相互作用するLIFの領域に結合しない。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体又はLIF検出抗体は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含む。ある種の実施形態では、複合体は、流体中にある。ある種の実施形態では、複合体は、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される。ある種の実施形態では、複合体は、96ウェルプレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される。ある種の実施形態では、複合体は、1ミリリットルあたり1ナノグラムのレベルで検出可能である。ある種の実施形態では、アッセイは、20%又は10%未満の内的変動(internal variability)を有する。
【0007】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、白血病抑制因子(LIF)を含む個人からの試料中の白血病抑制因子を定量化する方法であって、(a)LIFを含む試料を、LIFに特異的に結合する捕捉抗体と接触させることと;(b)LIFを含む試料を、LIFと特異的に結合する検出抗体と接触させることと;(c)捕捉抗体及び検出抗体に結合されている、試料中のLIFを検出することとを含む方法である。ある種の実施形態では、この方法は、インビトロで実施される。ある種の実施形態では、LIFは、ヒトLIFである。ある種の実施形態では、個人は、LIF治療用抗体で治療されている。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体は、ある表面に結合される。ある種の実施形態では、表面は導電性物質を含む。ある種の実施形態では、導電性物質は電極である。ある種の実施形態では、LIF検出抗体は、検出可能な部分に結合される。ある種の実施形態では、検出可能な部分は、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、若しくは蛍光シグナルを生じる。ある種の実施形態では、検出可能な部分は、電気化学シグナルを生じる。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体及びLIF検出抗体は、gp130と物理的に相互作用するLIFの領域に結合しない。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体又はLIF検出抗体は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含む。ある種の実施形態では、LIFを含む試料は、流体中にある。ある種の実施形態では、LIFを含む試料は、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される。ある種の実施形態では、LIFを含む試料は、96ウェルプレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される。ある種の実施形態では、LIFは、1ミリリットルあたり1ナノグラムのレベルで検出可能である。ある種の実施形態では、アッセイは、20%未満の内的変動を有する。ある種の実施形態では、個人は、ヒト個人である。ある種の実施形態では、この方法は、試料中のLIFを定量化することをさらに含む。ある種の実施形態では、この方法は、試料中のLIFの量に関する情報を含む報告を伝えることをさらに含む。
【0008】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、癌を有する個人を治療する方法であって、(a)白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の初回投与を個人に施すことと;(b)癌を有する個人からの試料中の白血病抑制因子(LIF)の初回投与後レベルを決定することとを含む方法である。ある種の実施形態では、この方法は、白血病抑制因子(LIF)と結合する後続用量の抗体を投与することをさらに含む。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルを決定することは、本開示による方法によって実施される。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して増大せず、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して増大せず、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される。ある種の実施形態では、初回投与は、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の最初の投与である。ある種の実施形態では、初回投与は、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の複数の投与におけるいずれかの投与である。
【0009】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、癌を有する個人を治療する方法であって、(a)白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体を含む初回投与を個人に施すことと;(b)癌を有する個人からの試料における白血病抑制因子(LIF)の初回投与後レベルを得ることとを含む方法である。ある種の実施形態では、この方法は、白血病抑制因子(LIF)と結合する後続用量の抗体を投与することをさらに含む。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルを決定することは、本開示による方法によって実施される。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、(a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して増大せず、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して増大せず、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される。ある種の実施形態では、初回投与は、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の最初の投与である。ある種の実施形態では、初回投与は、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の複数の投与におけるいずれかの投与である。
【0010】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、白血病抑制因子(LIF)結合抗体又はその断片であって、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含むLIF結合抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、LIF結合抗体又はその断片は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態では、LIF結合抗体又はその断片は、配列番号41に示したアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態では、LIF結合抗体の用途は、LIFを定量化するためのインビトロアッセイである。いくつかの実施形態では、LIF結合抗体は、検出可能な部分に結合される。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、若しくは蛍光シグナルを生じる。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、電気化学シグナルを生じる。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるものは、白血病抑制因子(LIF)複合体であって、LIF、LIFに特異的に結合するLIF捕捉抗体、LIFに特異的に結合するLIF検出抗体、及び任意に、LIFと特異的に結合するLIF治療用抗体を含む複合体を含み、ここでLIF検出又はLIF捕捉抗体は、A4又はそのLIF結合断片を含む。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体又はLIF検出抗体は、結合についてLIF治療用抗体と競合しない。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。ある種の実施形態では、LIF治療用抗体は、配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体は、表面に結合され、ここでは、その表面は、導電性物質を含む、又は、導電性物質は、電極である。ある種の実施形態では、LIF検出抗体は、検出可能な部分に結合され、ここでは、検出可能な部分は、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、又は蛍光シグナルを生じる、又は、検出可能な部分は、電気化学シグナルを生じる。ある種の実施形態では、LIF検出抗体及びLIF捕捉抗体は、gp130と物理的に相互作用するLIFの領域に結合しない。ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体又はLIF検出抗体は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含む。ある種の実施形態では、複合体は、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有され、ここでは、複合体は、96ウェルプレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される、又は、複合体は、1ミリリットルあたり1ナノグラムのレベルで検出可能である。
【0012】
別の態様では、本明細書に記載されるものは、白血病抑制因子(LIF)を含む個人からの試料中のLIFを定量化する方法であって、LIFを含む試料を、LIFに特異的に結合する捕捉抗体と接触させることと;LIFを含む試料を、LIFと特異的に結合する検出抗体と接触させることと;捕捉抗体及び検出抗体に結合されている、試料中のLIFを検出することとを含み、ここでLIF検出又はLIF捕捉抗体は、A4又はそのLIF結合断片を含む、方法を含む。いくつかの実施形態では、個人は、LIF治療用抗体で治療されている。いくつかの実施形態では、LIF治療用抗体は、配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。いくつかの実施形態では、LIF治療用抗体は、配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。いくつかの実施形態では、LIF治療用抗体は、配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、LIF捕捉抗体は、表面に結合され、ここでは、その表面は、導電性物質を含む、又は、導電性物質は、電極である。いくつかの実施形態では、LIF検出抗体は、検出可能な部分に結合され、ここでは、検出可能な部分は、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、又は蛍光シグナルを生じる、又は、検出可能な部分は、電気化学シグナルを生じる。いくつかの実施形態では、LIF捕捉抗体及びLIF検出抗体は、gp130と物理的に相互作用するLIFの領域に結合しない。いくつかの実施形態では、LIF捕捉抗体又はLIF検出抗体は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態では、LIFを含む試料は、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される、又は、LIFを含む試料は、96ウェルプレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートの少なくとも1つのウェルに含有される。
【0013】
別の態様では、本明細書に記載されるものは、白血病抑制因子(LIF)結合抗体又はその断片であって、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域を含むLIF結合抗体又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含み;免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号41に示したアミノ酸配列を含み;免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号42に示したアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、LIF結合抗体は、検出可能な部分に結合され、ここでは、検出可能な部分は、化学シグナル、電気化学シグナル、発光シグナル、又は蛍光シグナルを生じる、又は、検出可能な部分は、電気化学シグナルを生じる。いくつかの実施形態では、LIF結合抗体は、LIFに特異的に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】異なる抗LIFヒト化抗体のLIF誘発STAT3リン酸化の阻害を示すウエスタンブロットを表す。
図2A】ヒト化された親5D8抗体のLIF誘発STAT3リン酸化の阻害を示すウエスタンブロットを表す。
図2B】ヒト化された親5D8抗体のLIF誘発STAT3リン酸化の阻害を示すウエスタンブロットを表す。
図3A】h5D8抗体を使用するU-251細胞におけるLIF阻害についてのIC50を示す。
図3B】内在性LIF刺激条件下でのpSTAT3のr5D8及びh5D8阻害の代表的なIC50用量反応曲線を示す。示したのは、代表的な曲線である(n=1 h5D8、n=2 r5D8)。
図4】この開示に記載した異なるモノクローナル抗体のLIF誘発STAT3リン酸化の阻害を示すウエスタンブロットを表す。
図5】ヒト患者からの多形神経膠芽腫(GBM)、NSCLC(非小細胞肺癌)、卵巣癌、結腸直腸癌腫瘍、及び膵腫瘍における、LIF発現の免疫組織化学染色及び定量化を表す。バーは、平均値+/-SEMを表す。
図6】ヒト化5D8抗体を使用して、非小細胞肺癌のマウスモデルにおいて行われた実験を示すグラフである。
図7A】GBMの同所移植(orthotopic)マウスモデルにおけるU251細胞の阻害に対するr5D8の効果を示す。第26日での定量化が示される。
図7B】ルシフェラーゼ発現ヒトU251 GBM細胞を接種し、且つその後100、200、又は300μgのh5D8又は賦形剤で週2回治療されたマウスからのデータを示す。腫瘍サイズは、第7日に、生物発光(Xenogen IVIS Spectrum)によって決定した。このグラフは、平均値±SEMを示す水平なバーと共に、個々の腫瘍測定値を示す。統計的有意性は、対応のないノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定を使用して算出した。
図8A】同系移植(syngeneic)マウスモデルにおける卵巣癌細胞の増殖の阻害に対するr5D8の効果を示す。
図8B】第25日での腫瘍の個々の測定値を示す。
図8C】h5D8が、週2回200μg/マウスで投与された場合に腫瘍増殖の有意な低下を示す(p<0.05)ことを図示する。記号は、平均値±SEMであり、統計的有意性は、(対応のないノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定を用いて)賦形剤と比較した。
図9A】同系移植マウスモデルにおける結腸直腸癌細胞の増殖の阻害に対するr5D8の効果を示す。
図9B】第17日での腫瘍の個々の測定値を示す。
図10A】CCL22+細胞の代表的な画像及び定量化を用いて、GBMの同所移植マウスモデルにおける腫瘍部位へのマクロファージ浸潤の減少を示す。
図10B】ヒト器官型組織片培養モデルにおけるマクロファージ浸潤の減少を示す。代表的な画像(左)及び定量化(右)が示されている。
図10C】CCL22+細胞の代表的な画像及び定量化を用いて、卵巣癌の同系移植マウスモデルにおける腫瘍部位へのマクロファージ浸潤の減少を示す。
図10D】CCL22+細胞の代表的な画像及び定量化を用いて、結腸直腸癌の同系移植マウスモデルにおける腫瘍部位へのマクロファージ浸潤の減少を示す。
図11A】r5D8での治療後の卵巣癌の同系移植マウスモデルにおける非骨髄性エフェクター細胞の増加を示す。
図11B】r5D8での治療後の結腸直腸癌の同系移植マウスモデルにおける非骨髄性エフェクター細胞の増加を示す。
図11C】r5D8での治療後のNSCLC癌のマウスモデルにおけるCD4+TREG細胞のパーセンテージの低下を示す。
図12】抗CD4及び抗CD8枯渇抗体の存在又は非存在下で腹腔内に投与されるPBS(対照)又はr5D8で週2回治療された、CT26腫瘍を有するマウスからのデータを示す。このグラフは、平均腫瘍体積+SEMとして表される第13日での個々の腫瘍測定値を示す。群間の統計的有意差は、対応のないノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定によって決定した。R5D8は、CT26腫瘍の増殖を阻害した(*p<0.05)。r5D8による腫瘍増殖阻害は、抗CD4及び抗CD8枯渇抗体の存在下で有意に低下した(****p<0.0001)。
図13A】LIFとの複合体におけるh5D8 Fabの共結晶構造の全体像を図示する。gp130相互作用部位の位置を、LIFの表面上に示す(濃く色付けされている)。
図13B】塩橋を形成する残基と100Åを超える埋没した表面積を有するh5D8残基を示す、LIFとh5D8との間の詳細な相互作用を図示する。
図14A】5つのh5D8 Fab結晶構造の重ね合わせを図示し、また、異なる化学的条件で結晶化されているにもかかわらず高度の類似性を示す。
図14B】不対のCys100によって媒介されるファンデルワールス相互作用の広範なネットワークを図示する。この残基は、秩序立っており、HCDR1及びHCDR3の立体構造を形作るのに加わり、所望されないジスルフィドスクランブリングには関与しない。残基間の距離は、破線として示され、標識が付けられている。
図15A】ELISAによる、h5D8 C100変異体のヒトLIFへの結合を図示する。
図15B】ELISAによる、h5D8 C100変異体のマウスLIFへの結合を図示する。
図16A】Octetによって、h5D8が、LIFとLIFRとの間の結合を阻止しないことを示す。h5D8のLIFへの結合の後、LIFRへの連続した結合が続く。
図16B】固定化されたLIFR又はgp130に対するLIF/mAb複合体結合のELISA分析を図示する。固定化されたLIFR(図16B)又はgp130(図16C)コーティングプレートと結合するmAb/LIF複合体の抗体部分を検出する、種特異的なペルオキシダーゼ結合抗IgG抗体((-)及びh5D8については抗ヒト、r5d8及びB09については抗ラット)のシグナル。
図16C】固定化されたLIFR又はgp130に対するLIF/mAb複合体結合のELISA分析を図示する。固定化されたLIFR(図16B)又はgp130(図16C)コーティングプレートと結合するmAb/LIF複合体の抗体部分を検出する、種特異的なペルオキシダーゼ結合抗IgG抗体((-)及びh5D8については抗ヒト、r5d8及びB09については抗ラット)のシグナル。
図17A】72個の異なるヒト組織におけるLIF(図17A)又はLIFR(図17B)のmRNA発現を図示する。
図17B】72個の異なるヒト組織におけるLIF(図17A)又はLIFR(図17B)のmRNA発現を図示する。
図18】本明細書に記載される総LIFアッセイの模式図を示す。
図19A】治療用抗体に結合された広範囲の濃度にわたる総LIFの、総LIFアッセイのシグナル検出曲線を示す。
図19B】限定はされないが、治療用抗LIF抗体を与えられた患者のヒト血漿又は血清中の総LIFの潜在的レベルの範囲と重なる、治療用抗体に結合された20pg/mlから1.25ng/mlまでの総LIFの、総LIFレベルアッセイのシグナル検出曲線を表す。
図20A】6人の異なるドナーからのヒト血清中の、治療用抗体に結合された20pg/mlから1.25ng/mlまでの総LIFの、総LIFレベルアッセイの均一性(個別(図20A)と重ね合わせられたもの(図20B)の両方)を示す。
図20B】6人の異なるドナーからのヒト血清中の、治療用抗体に結合された20pg/mlから1.25ng/mlまでの総LIFの、総LIFレベルアッセイの均一性(個別(図20A)と重ね合わせられたもの(図20B)の両方)を示す。
図21】総LIFアッセイが、LIFのgp130結合部位と重複するエピトープと結合する治療用抗LIF mAb(h5D8)の10μg/ml~810μg/mlの様々な濃度にわたって安定であることを示す。
図22A】いくつかの血清試料で観察されるHAMA干渉を低下させるかもしれない希釈剤についての最適化試験を表す。HAMA(ヒト抗マウス抗体)は、捕捉及び検出試薬と交差反応して偽陽性シグナル、又は高バックグラウンドを生じる抗動物抗体である。
図22B】アッセイ開発の最適化段階中の、2種の候補希釈剤の性能比較を示す。
図23】異なるスポットコーティング(spot-coating)濃度の捕捉抗体の最適化試験を示す。
図24】異なる捕捉抗体の最適化試験を示す。mAb1=ウサギモノクローナルA4抗体;m mAb2=Creative Diagnostics;ラットモノクローナル抗体、クローンJNH40O8E21;Cat.No.DCABH-3367;mAb3=キメラウサギ/ヒトA4抗体。
図25】固定されたLIFR又はgp130へのLIF/mAb複合体結合のELISA分析を示す。(図25A及びB)固定されたLIFR(図25A)又はgp130(図25B)コーティングプレートと結合しているmAb/LIF複合体の抗体部分を検出する、種特異的ペルオキシダーゼ結合抗IgG抗体のシグナル。(図25C及びD)固定されたLIFR(図25C)又はgp130(図25D)コーティングプレートと結合しているmAb/Bt-LIF複合体のBt-LIF部分を検出する、アビジン-HRPのシグナル。[1C7はLIFRと結合し、且つLIF結合を阻止する。28105はgp130と結合し、且つLIF結合を阻止する。B09はLIFR及びgp130結合部位の外部のLIFのエピトープと結合する。]
図26A】3人の対象:対象A(図26A)、対象B(図26B)、対象C(図26C)における、初回投与の時間に対するLIFレベルを示す。
図26B】3人の対象:対象A(図26A)、対象B(図26B)、対象C(図26C)における、初回投与の時間に対するLIFレベルを示す。
図26C】3人の対象:対象A(図26A)、対象B(図26B)、対象C(図26C)における、初回投与の時間に対するLIFレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一態様では、本明細書に記載されるのは、白血病抑制因子(LIF)複合体であって、LIF;LIFに特異的に結合するLIF捕捉抗体;LIFに特異的に結合するLIF検出抗体:及び任意に、LIFと特異的に結合するLIF治療用抗体を含む複合体である。
【0016】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、個人からの試料中の白血病抑制因子(LIF)を定量化する方法であって、(a)LIFを含む試料を、LIFに特異的に結合する捕捉抗体と接触させることと;(b)LIFを含む試料を、LIFと特異的に結合する検出抗体と接触させることと;(c)捕捉抗体及び検出抗体に結合されている、試料中のLIFを検出することとを含む方法である。
【0017】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、癌を有する個人を治療する方法であって、(a)白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の初回投与を個人に施すことと;(b)癌を有する個人からの試料中の白血病抑制因子(LIF)の治療後レベルを決定することとを含む方法である。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、癌を有する個人を治療する方法であって、(a)白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体を含む初回投与を個人に施すことと;(b)癌を有する個人からの試料における白血病抑制因子(LIF)の治療後レベルを得ることとを含む方法である。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「個人」、「対象」、及び「患者」は、互換的に使用され、腫瘍、癌、又は他の新生物と診断された又は腫瘍、癌、又は他の新生物を患っている疑いがあるヒトが含まれる。
【0020】
本明細書で使用する場合、他に指示されない限り、用語「抗体」には、抗体の抗原結合断片、すなわち、全長抗体によって結合される抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片、例えば、1つ以上のCDR領域を保持する断片が含まれる。抗体断片の例としては、限定はされないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;重鎖抗体、単鎖抗体分子、例えば単鎖可変領域断片(scFv)、ナノボディ、及び二重特異性抗体などの別の特異性を有する抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。ある種の実施形態では、抗体は、その抗体に対する個人の免疫応答を低下させるようにヒト化されている。例えば、抗体は、キメラ、例えばヒト定常領域を有する非ヒト可変領域、又はCDRグラフトされたもの、例えばヒト定常領域及び可変領域のフレームワーク配列を有する非ヒトCDR領域であり得る。ある種の実施形態では、抗体は、ヒト化後に脱免疫原性化される。脱免疫原性化は、抗体の定常領域内の1つ以上のT細胞エピトープを除去する又は変異させることを含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、モノクローナルである。本明細書で使用する場合、「組換え抗体」は、2つの異なる種又は2つの異なる供給源由来のアミノ酸配列を含む抗体であり、合成の分子、例えば、非ヒトCDR及びヒトフレームワーク又は定常領域を含む抗体が含まれる。ある種の実施形態では、本発明の組換え抗体は、組換えDNA分子から産生される、又は合成される。用語「癌」及び「腫瘍」は、無秩序な細胞増殖を特徴とする、哺乳類における生理学的状態に関する。癌は、一群の細胞が、制御されない増殖又は望まれない増殖を呈する類の疾患である。癌細胞は、他の位置に拡散する可能性もあり、これが、転移の形成をもたらす可能性がある。体内の癌細胞の拡散は、例えば、リンパ又は血液を介して起こる可能性がある。制御されない増殖、侵入、及び転移形成は、癌の悪性特性とも呼ばれる。これらの悪性特性は、癌を、一般的には浸潤も転移もしない良性腫瘍と区別する。
【0021】
本明細書で使用する場合、「治療用抗体」は、個人に投与され、且つ癌の治療に有用な1つ以上の有益な効果をもたらすことが意図されるものである。本開示の治療用抗体には、h5D8と同一のCDR配列、又はh5D8とは異なるが類似の結合特性(エピトープ、親和性、又は生物学的効果)を有するCDRを有し、且つ癌の治療に有用な1つ以上の有益な効果をもたらすことができる抗体が含まれる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「基準レベル」は、標的(例えばLIF)との治療用抗体結合と一致する、上昇したレベルに相当するLIFのレベルに相当する、生体試料中で検出されるLIFタンパク質のレベルを指す。基準レベルは、治療されている個人の集団に基づいて定義することができ、集団内の個人の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%における最大標的結合を示すレベルに相当する。
【0023】
参照ポリペプチド又は抗体配列に関する配列同一性のパーセント(%)は、配列同一性の最大のパーセントを得るために、必要であれば配列を整列させてギャップを導入した後の、且つ配列同一性の一部としてのいかなる保存的置換も考慮しない、参照ポリペプチド又は抗体配列内のアミノ酸残基と同一である、候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージである。アミノ酸配列同一性のパーセントを決定する目的のアラインメントは、公知である様々な方式で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、実現することができる。比較される配列の全長にわたる最大アラインメントを実現するために必要とされるアルゴリズムを含めた、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することが可能である。しかし、本明細書の目的では、アミノ酸配列同一性の値(%)は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用してもたらされる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、U.S.Copyright Office,Washington D.C.,20559に、ユーザ文書と共に保管されており、ここでは、これは、U.S.Copyright Registration No.TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Calif.から公的に利用可能であるし、ソースコードからコンパイルすることもできる。ALIGN-2プログラムは、digital UNIX V4.0Dを含めたUNIXオペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変更しない。
【0024】
ALIGN-2が、アミノ酸配列比較のために用いられる場合、所与のアミノ酸配列Bに対する、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bと対照する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性(%)(これは、代わりに、所与のアミノ酸配列Bに対して、アミノ酸配列Bと、又はアミノ酸配列Bと対照して、あるアミノ酸配列同一性(%)を有する又は含む所与のアミノ酸配列Aと表現することもできる)は、次の通りに算出される:100×分数X/Y(ここでは、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、AとBのプログラムのアラインメントについて同一のマッチとして記録されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性(%)は、BのAに対するアミノ酸配列同一性(%)と等しくないこととなるということを理解されたい。他に具体的に規定されない限り、本明細書で使用されるすべてのアミノ酸配列同一性の値(%)は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落に記載した通りに得られる。
【0025】
用語「エピトープ」には、抗体などの抗原結合タンパク質によって結合されることが可能であるあらゆる決定基が含まれる。エピトープは、その抗原を標的にする抗原結合タンパク質によって結合される抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗原結合タンパク質と直接的に接触する特異的なアミノ酸が含まれる。エピトープは、タンパク質上に存在することが最も多いが、糖類又は脂質などの他の種類の分子上に存在する場合もあり得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、又はスルホニル基などの分子の、化学的に活性な表面集団(grouping)を含むことができ、特異的な三次元構造特性及び/又は特異的な電荷特性を有することができる。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質及び/又は高分子の複合混合物における標的抗原上のエピトープを優先的に認識することとなる。
【0026】
本明細書に記載される抗体の構造的特質
相補性決定領域(「CDR」)は、主として抗体の抗原結合特異性の原因である、免疫グロブリン(抗体)可変領域の一部である。CDR領域は、抗体が同じ標的又はエピトープに特異的に結合する場合でも、抗体ごとに高度に変動する。重鎖可変領域は、VH-CDR1、VH-CDR2、及びVH-CDR3と省略される3つのCDR領域を含み;軽鎖可変領域は、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3と省略される3つのCDR領域を含む。これらのCDR領域は、可変領域内に連続して並んでおり、CDR1が最もN末端側であり、CDR3が最もC末端側である。CDRは、構造に寄与し且つCDR領域よりもかなり低い変動性を呈するフレームワーク領域の間に挿入されている。重鎖可変領域は、VH-FR1、VH-FR2、VH-FR3、及びVH-FR4と省略される4つのフレームワーク領域を含み;軽鎖可変領域は、VL-FR1、VL-FR2、VL-FR3、及びVL-FR4と省略される4つのフレームワーク領域を含む。2本の重鎖と軽鎖を含む完全なフルサイズの二価抗体は、3つの特有の重鎖CDRと3つの特有の軽鎖CDRを含む12個のCDR;4つの特有の重鎖FR領域と4つの特有の軽鎖FR領域を含む16個のFR領域を含むこととなる。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、3つの重鎖CDRを最小限含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、3つの軽鎖CDRを最小限含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDRを最小限含む。所与のCDR又はFRの厳密なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health),Bethesda,MD(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996),“Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,”(「Contact」ナンバリングスキーム);Lefranc MP et al.,”IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,”Dev Comp Immunol,2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);及びHonegger A and Plueckthun A,“Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,”J Mol Biol,2001 Jun 8;309(3):657-70,(「Aho」ナンバリングスキーム)によって記載されているものを含めた、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定することができる。CDRは、異なるナンバリングシステムを使用して、本明細書ではKabat、IMGT、Chothiaナンバリングシステム、又は3つの任意の組み合わせを用いて提供される可変の配列から、本明細書で特定される。所与のCDR又はFRの境界は、特定のために使用されるスキームに応じて変わり得る。例えば、Kabatスキームは、構造アラインメントに基づいているのに対して、Chothiaスキームは、構造情報に基づいている。KabatスキームとChothiaスキームのどちらについてのナンバリングも、いくつかの抗体に現れる、挿入(挿入文字、例えば「30a」によって対応される)及び欠失と共に、最も一般的な抗体領域配列長に基づいている。2つのスキームは、ある種の挿入及び欠失(「インデル」)を、異なる位置に配置し、その結果、異なるナンバリングがもたらされる。Contactスキームは、複合体結晶構造の解析に基づいており、多くの点でChothiaナンバリングスキームと似ている。
【0027】
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体が抗原に結合することに関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般に、類似の構造を有し、各ドメインは、4つの保存されるフレームワーク領域(FR)及び3つのCDRを含む(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)。たった1つのVH又はVLドメインが、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。さらに、特定の抗原と結合する抗体を、抗原と結合する抗体由来のVH又はVLドメインを使用して単離して、それぞれ相補的VL又はVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる(例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature352:624-628(1991)を参照されたい)。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ラット起源の可変領域を含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ラット起源のCDRを含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、マウス起源の可変領域を含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、マウス起源のCDRを含む。
【0028】
例えば抗体親和性を向上させるために、CDRに変更(例えば置換)を施すことができる。こうした変更は、体細胞成熟中に高い変異率を有するCDRコードコドンに施すことができ(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、得られたバリアントを、結合親和性について試験することができる。親和性成熟(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、CDRのランダム化、又はオリゴヌクレオチド指定変異誘発を使用する)を使用して、抗体親和性を向上させることができる(例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(2001)を参照されたい)。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを使用して、具体的に特定することができる(例えば、Cunningham and Wells Science,244:1081-1085(1989)を参照されたい)。具体的には、CDR-H3及びCDR-L3が、しばしば標的にされる。或いは、又はさらに、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と抗原の間の接触点が特定される。こうした接触残基及び隣接残基は、置換のための候補として標的にする又は排除することができる。バリアントをスクリーニングして、そのバリアントが所望される特性を含有するかどうかを決定することができる。
【0029】
ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、配列番号41又は配列番号42のいずれか1つ以上から選択されるCDRを含む。ある種の実施形態では、CDRは、Kabat、IMGT、Chothiaナンバリングシステム、又は3つの任意の組み合わせを使用する配列から選択される。所与のCDR又はFRの境界は、特定のために使用されるスキームに応じて変わり得る。
【0030】
ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、可変領域に加えて定常領域を含む。重鎖定常領域(C)は、完全な重鎖ポリペプチドのC末端、可変領域に対してC末端側に位置する、C1、C2、C3、及びC4と省略される4つのドメインを含む。軽鎖定常領域(C)は、Cよりもかなり小さく、完全な軽鎖ポリペプチドのC末端、可変領域に対してC末端側に位置する。定常領域は、高度に保存され、わずかに異なる機能及び特性と関連する異なるアイソタイプを含む。ある種の実施形態で定常領域は、標的抗原への抗体結合にとって不必要である。ある種の実施形態では、抗体の定常領域、重鎖と軽鎖は両方とも、抗体結合にとって不必要である。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、1つ以上の軽鎖定常領域、重鎖定常領域、又はこれらの両方を欠いている。最も多いモノクローナル抗体は、IgGアイソタイプのものであり;これは、さらに、4つのサブクラスIgG、IgG、IgG、及びIgGに分類される。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、あらゆるIgGサブクラスを含む。ある種の実施形態では、IgGサブクラスは、IgGを含む。ある種の実施形態では、IgGサブクラスは、IgGを含む。ある種の実施形態では、IgGサブクラスは、IgGを含む。ある種の実施形態では、IgGサブクラスは、IgGを含む。
【0031】
抗体は、補体及びFc受容体への結合を担うフラグメント結晶化可能領域(fragment crystallizable region)(Fc領域)を含む。Fc領域は、抗体分子のC2、C3、及びC4領域を含む。抗体のFc領域は、補体及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)の活性化を担う。Fc領域はまた、抗体の血清半減期に寄与する。ある種の実施形態では、本明細書に記載される治療用抗体のFc領域は、補体介在性の細胞溶解を促進する1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される治療用抗体のFc領域は、ADCCを促進する1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される治療用抗体のFc領域は、補体介在性の細胞溶解を減少させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される治療用抗体のFc領域は、抗体のFc受容体への結合を増加させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある種の実施形態では、Fc受容体は、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIIA(CD16a)、FcγRIIIB(CD16b)、又はこれらのあらゆる組み合わせを含む。ある種の実施形態では、本明細書に記載される治療用抗体のFc領域は、抗体の血清半減期を増加させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある種の実施形態では、治療用抗体の血清半減期を増大させる1つ以上のアミノ酸置換は、新生児型Fc受容体(FcRn)に対する抗体の親和性を増大させる。
【0032】
診療現場において有用な抗体は、ヒト個人における免疫原性を低下させるために、しばしば「ヒト化」されている。ヒト化抗体は、モノクローナル抗体療法の安全性及び有効性を向上させる。ある一般的なヒト化の方法は、いずれかの好適な動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター)においてモノクローナル抗体を産生し、定常領域をヒト定常領域と置き換えることであり、このようにして遺伝子操作で作られた抗体は、「キメラ」と称される。別の一般的な方法は、非ヒトV-FRをヒトV-FRと置き換える「CDRグラフティング」である。CDRグラフティング方法では、CDR領域を除くすべての残基が、ヒト起源のものである。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒト化されている。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、キメラである。ある種の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、CDRグラフトされている。
【0033】
総LIFレベルを決定する方法
結合されていない状態では、大抵の可溶性サイトカインは、血液中で短い半減期を有し、これにより、定常状態では低いレベルとなる。しかし、抗体によって結合される場合、この半減期は増大し、より高い定常状態レベルをもたらすことができる。患者試料中の総LIFのレベルについて分析することは、末梢の標的結合(例えば、治療用抗LIF抗体によるLIF結合)を定義するために、また、LIF-結合治療用抗体のさらなる用量を知らせるために使用することができる。したがって、本明細書に記載される方法は、LIFと結合する治療用抗体の1回以上の投与後に治療に反応する個人におけるLIFレベルを決定するのに有用である。この方法は、治療に対する反応を決定することにおいて、また、その後の治療を調整するために使用することができる。ある種の実施形態では、LIFのレベルは、ベースラインLIFレベルとしての役割を果たすために、LIF治療用抗体での治療前に決定することができ、ここでは、治療は、患者におけるLIFレベルを増大させることが期待される。ある種の実施形態では、ベースラインは得ず、LIFの絶対的レベルに基づいて治療の変更を行うことができる。
【0034】
本明細書に記載されるLIFアッセイは、治療用抗体によって結合されているLIFと結合されていないLIFの両方を測定し、したがって、総LIFレベルを決定する。図18に示す通り、このアッセイは、検出抗体によって生成される電気信号を測定できるように任意選択で導電性物質1805を含む表面1804に固定されている捕捉抗体1802によって結合されるLIF 1801を含む分子複合体1800を構成する。次いで、検出抗体1806が添加される。この検出抗体は、検出可能な部分に直接的又は間接的に結合することができる。この複合体においては、治療用抗体1803をLIF 1801に結合させることができる。捕捉抗体1802と検出抗体1806は、LIF分子の別の部分に結合するので、このアッセイは、治療用抗体によって結合されている又は結合されていない総LIFを測定する。現在のアッセイの目的では、治療用抗体は、5D8のCDR残基を有する、又は5D8 CDRをもつ抗体と類似の結合領域を有するものである。このアッセイはまた、LIFの同じ又は実質的に同じ部分と結合する他の治療用抗体に適合する。5D8 CDRをもつ抗体によって結合されるLIFの領域は、本明細書に詳述される。本明細書の5D8によって結合される残基は、結晶構造によって決定されるが、結合について5D8と競合するいずれの抗体も、治療用抗体が結合について捕捉抗体又は検出抗体と競合しない限り、治療用抗体としての役割を果たすことができる。さらに、いずれの所与の治療用抗体も、結合されるLIFアミノ酸残基が、5D8エピトープの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19個、又はそれ以上の残基が結合することができるように、5D8と比較した場合にわずかに異なる可能性がある。
【0035】
このアッセイを行う一般的なステップは、1)捕捉抗体を基質に吸着又は結合させることと;2)捕捉抗体と結合した基質を、LIFを含む生体試料と共にインキュベートすることと;3)形成された捕捉抗体-LIF複合体をLIF検出抗体と共にインキュベートすることと;4)検出抗体から生じたシグナルを測定することとを含む。次いで、LIFレベルを、公知のLIF濃度の標準曲線との比較によって定量化することができる。厳密なインキュベーションパラメータは、変動するが、一般に、室温で30分から120分、又は4℃で2時間から一晩の範囲となる。しかし、より長いインキュベーション時間も、このアッセイに適合する。いくつかの実施形態では、インキュベーションパラメータは、37℃で1分から30分、室温で1分から30分、室温で120分から240分、4℃で30分から2時間、又は4℃で8時間から24時間の範囲であり得る。これらのステップのいずれかの後に、洗浄ステップを追加して、結合していない過剰な抗体又は血漿/血清成分を除去することができる。ある種の実施形態では、洗浄緩衝液は、非特異的結合を減少させる洗剤又は塩濃度を含む。ある種の実施形態では、検出可能な部分に応じて、測定ステップは、検出可能なシグナルに転換するための検出可能な部分のための基質を添加する追加のステップを含むことができる。
【0036】
ある種の実施形態では、LIF捕捉抗体は、ある表面に結合される。ある種の実施形態では、その表面は、導電性物質を含む。ある種の実施形態では、導電性物質は、電極である。ある種の実施形態では、表面は、基質である。いくつかの実施形態では、基質は、天然源由来である。いくつかの実施形態では、基質は、合成である。いくつかの実施形態では、天然源由来の基質は、細胞外マトリックス(「ECM」)である。いくつかの実施形態では、ECMは、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、又はその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ECMは、ヒドロゲルを含む。ある種の実施形態では、合成の基質は、ポリ-L-リジンを含む。
【0037】
本明細書に記載されるアッセイは、治療用抗体で治療された又は治療用抗体で治療されることとなる個人から収集された、様々な種類の生体試料に対して実施することができる。生体試料は、組織試料、腫瘍生検試料、血液試料、又は尿試料であり得る。ある種の実施形態では、試料は、血液試料である。ある種の実施形態では、試料は、血漿試料である。ある種の実施形態では試料は、血清試料である。試料は、アッセイへの添加の前に希釈することができる。
【0038】
本明細書に記載されるアッセイは、治療用抗体での治療に対する個人の反応を決定するために使用することができる。このアッセイは、治療用抗体が投与される前の、治療用抗体が投与される後の、又は治療用抗体が投与される前と後の両方の、個人からの生体試料に対して行うことができる。このアッセイは、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の初回投与の前に行うことができる。このアッセイは、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の初回投与の後に行うことができる。このアッセイは、LIFと結合する抗体の初回投与後の後に行うことができる。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、LIFの初回投与前レベルからの、2倍以下の増大を示す。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、LIFの初回投与前レベルから、2倍から10倍増大する。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、LIFの初回投与前レベルから、2倍から3倍、2倍から4倍、2倍から5倍、2倍から6倍、2倍から7倍、2倍から8倍、2倍から9倍、2倍から10倍、3倍から4倍、3倍から5倍、3倍から6倍、3倍から7倍、3倍から8倍、3倍から9倍、3倍から10倍、4倍から5倍、4倍から6倍、4倍から7倍、4倍から8倍、4倍から9倍、4倍から10倍、5倍から6倍、5倍から7倍、5倍から8倍、5倍から9倍、5倍から10倍、6倍から7倍、6倍から8倍、6倍から9倍、6倍から10倍、7倍から8倍、7倍から9倍、7倍から10倍、8倍から9倍、8倍から10倍、又は9倍から10倍増大する。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、LIFの初回投与前レベルから、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍増大する。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、LIFの初回投与前レベルから、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、又は9倍増大する。ある種の実施形態では、LIFの初回投与後レベルは、LIFの初回投与前レベルから、最大で3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍増大する。
【0039】
治療後にアッセイが行われ、治療前試料と比較して又は基準レベルと比較してLIFレベルの増大が観察されないならば、より多い量の、又はより短期のスケジュールで、後続用量を投与することができる。ある種の実施形態では、生体試料中で検出されるLIFの量が、約100、200、300、400、500、600、700、800、900pg/mL未満、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、若しくは100ng/mL未満であるならば、以前の投与と比較して増大した量の後続用量を投与することができる。ある種の実施形態では、生体試料中で検出されるLIFの量が、約5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100ng/mL未満であるならば、以前の投与と比較して、より短期のスケジュールで、後続用量を投与することができる。ある種の実施形態では、生体試料中で検出されるLIFの量が、約1、2、3、4、5、6、7、8、又は9ng/mL未満であるならば、以前の投与と比較して増大した量の後続用量を投与することができる。ある種の実施形態では、生体試料中で検出されるLIFの量が、約1、2、3、4、5、6、7、8、又は9ng/mL未満であるならば、以前の投与と比較して、より短期のスケジュールで、後続用量を投与することができる。
【0040】
ある種の実施形態では、以前の投与(又は投与なし)の前に観察されたレベルと比較した場合の、生体試料中で検出されるLIFの増大が、約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍未満であるならば、以前の投与と比較して増大した量の後続用量を投与することができる。ある種の実施形態では、以前の投与(又は投与なし)の前に観察されたレベルと比較した場合の、生体試料中で検出されるLIFの増大が、約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍未満であるならば、以前の投与と比較して、より短期のスケジュールで、後続用量を投与することができる。
【0041】
捕捉及び検出抗体
本開示の捕捉抗体は、固体支持体に固定され、且つ検出抗体及び/又は治療用抗体とは別のLIFのエピトープ又は領域に特異的に結合する場合に有用である。固体支持体は、プレート、カラム、樹脂、又はビーズ(溶液中)であり得る。好適なプレートには、いくつかの試料を同時に分析するために使用できるようなウェルプレート、例えば96ウェルプレート、384ウェルプレート、又は1,536ウェルプレートなどが含まれる。一般的なプレートには、ポリスチレンプレート(例えば、中又は高結合ポリスチレン)が含まれる。いくつかの実施形態では、固体支持体は、解析用タンパク質アレイ、例えば、捕捉抗体が配列された抗体アレイである。プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、アミンカップリング樹脂、又はスルフヒドリルカップリング樹脂を含む樹脂又はカラムマトリックスも使用することができる。ビーズは、重力、遠心分離、又は磁場による分離を可能にする大きさのアガロースビーズ又は磁気ビーズであり得る。プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、カップリングのためのアミン基、又はカップリングのためのスルフヒドリル基を含むビーズを使用することができる。固体支持体に固定される場合、捕捉抗体の少なくとも一部が、この抗体がFabを介してしてLIFと結合し、且つ適切に標識された検出抗体と対をなした場合にシグナルを生じることができるように固定される。この抗体の付着は、共有結合性相互作用、例えば、チオール架橋、N-オキシスクシンイミド、マレイミド、及びヒドラジド基など;又は非共有結合性相互作用、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン結合、受動吸収(passive absorption)、又は親和性相互作用などを介するものであり得る。ある種の実施形態では、固体支持体は、電気化学シグナルを誘導することが可能な導電性物質(例えば、MSDプレート;Meso Scale Diagnostics;Rockville,Maryland;Cat.No.L15XA-3)を含む。固体支持体は、試料の添加、抗体を検出すること、及び洗浄を、シリンジポンプ、ぜん動装置(peristaltic device)、若しくはマイクロ流体デバイスなどのプレートウォッシャー又は流体デバイスなどの自動システムの使用を介して行うことができるように設計することができる。
【0042】
本開示の検出抗体は、捕捉抗体及び/又は治療用抗体とは別のLIFのエピトープ又は領域に結合することが可能な場合に有用である。検出抗体は、標識された二次抗体によって特異的に結合され得る改変されていない抗体であり得る。検出抗体は、検出可能な部分に結合することができる。つまり、検出可能な部分は、共有結合的に又は小分子親和性相互作用(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン)によって抗体に結合される。検出抗体は、小分子と結合することが可能な標識された分子によって特異的に結合され得る、小分子によって標識される抗体であり得る。例えば、検出抗体は、適切な検出可能な部分に結合したストレプトアビジンによって結合され得るビオチンに結合することができる。いくつかの実施形態では、検出抗体は、検出可能な部分に直接的に結合される。検出抗体は、酵素、発光、化学発光、蛍光、リン光、放射性、又は核酸標識部分で標識することができる。酵素標識部分としては、限定はされないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、及びグルコースオキシダーゼが含まれる。蛍光標識部分としては、限定はされないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ヘキスト、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、スルホローダミン101酸クロリド(Texas Red)、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、Alexa Flourシリーズ色素、及びその組み合わせが含まれる。放射性標識部分としては、限定はされないが、32P、35S、125I、H、及び14Cが含まれる。核酸検出可能な部分は、増幅又はシークエンシングによって定量化することができる、固有の核酸配列(バーコード)であり得る。電気化学発光検出部分としては、限定はされないが、トリス-ビピリジンルテニウム(II)、及びトリス-ビピリジン-(4-メチルスルホン酸)ルテニウム(II)、N-ヒドロキシスクシンイミド-エステルを介して抗体に結合されるトリス-ビピリジン(4-メチルスルホン酸)ルテニウム(II)が含まれる。
【0043】
抗体A4は、総LIFレベルを決定する現在の方法において有用に採用することができる一抗体である。捕捉抗体としての使用のために例示されるが、この抗体はまた、異なる捕捉抗体(例えば、本開示の7C3)と対をなすならば、検出抗体としての使用のためにも利用可能である。A4抗体は、ウサギモノクローナル抗体である。A4抗体は、h5D8の結合を邪魔しない。本明細書に記載されるある種の実施形態では、A4抗体は、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号41に示したアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する抗体である。A4抗体はまた、他のフレームワーク領域(例えば、ヒト化、マウス化など);又は他の種の定常領域とつなぎ合わせた可変領域(例えば、キメラ抗体)に遺伝子操作される、本開示における方法のいずれかによって詳述した通りに定義された、A4抗体のCDRの使用も包含する。さらに、A4抗体と同じ又は類似のエピトープと結合する抗体も使用することができる。E21は、こうした抗体の一つ、ラットモノクローナルクローンJNH40O8E21(Creative Diagnostics;Shirley,NY)である。E21は、A4と類似のエピトープと結合し、本明細書に記載されるアッセイに適合する。
【0044】
現在の方法において有用に採用することができる別の抗体は、7C3抗体である。7C3は、マウスモノクローナル抗体、クローンM017C3(BioLegend,San Diego)である。検出抗体としての使用のために例示されるが、この抗体はまた、異なる検出抗体(例えば、本開示のA4)と対をなすならば、捕捉抗体としての使用のためにも利用可能である。7C3抗体はまた、他のフレームワーク領域(例えば、ヒト化、マウス化など);又は他の種の定常領域とつなぎ合わせた可変領域(例えば、キメラ抗体)に遺伝子操作される、本開示における方法のいずれかによって詳述した通りに定義された、7C3抗体のCDRの使用も包含する。さらに、7C3抗体と同じ又は類似のエピトープと結合する抗体も使用することができる。これらの抗体には、LIF受容体と相互作用するLIFの領域中でヒトLIFと結合するものが含まれる。こうした抗体の一つは、B7抗体、すなわち、配列番号43(重鎖可変領域)及び44(軽鎖可変領域)に示したウサギモノクローナル抗体である。本明細書に記載されるある種の実施形態では、B7抗体は、配列番号43に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び配列番号44に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する抗体である。別のこうした抗体は、D7抗体、すなわち、配列番号45(重鎖可変領域)及び46(軽鎖可変領域)に示したウサギモノクローナル抗体である。本明細書に記載されるある種の実施形態では、D7抗体は、配列番号45に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び配列番号46に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する抗体である。
【0045】
本開示の検出及び捕捉抗体の望ましい形質は、どちらの抗体も、LIFとの結合について互いに邪魔しないこと、また、治療用抗体(例えば、h5D8)がLIFに結合されているかどうかに関わりなく各抗体がLIFと結合することができることである。ある種の実施形態では、捕捉抗体と検出抗体のどちらも、h5D8によって結合されるエピトープと重複するエピトープと結合しない。ある種の実施形態では、捕捉抗体と検出抗体のどちらも、h5D8によって結合されるエピトープの5、10、15、又は20オングストローム以内にあるエピトープと結合しない。ある種の実施形態では、捕捉抗体と検出抗体のどちらも、LIF共受容体gp130と相互作用するエピトープと結合しない。
【0046】
本明細書に記載されるアッセイの一つの利点は、感度である。健康な個人では、LIFは、定常状態で低レベルで存在する。ある種の実施形態では、このアッセイは、血漿又は血清中のLIFについて、少なくとも約20pg/ml(例えば1pM)、30pg/mL、40pg/mL、50pg/mL、60pg/mL、70pg/mL、80pg/mL、90pg/mL、又は100pg/mLまでの検出閾値を有する。本明細書に記載されるアッセイの別の利点は、低い内的変動である。ある種の実施形態では、内的変動は、約20%、15%、10%、5%、4%、又は3%未満である。
【0047】
治療用抗体
本明細書に記載される5D8抗体は、ヒトLIFをコードするDNAで免疫化されたラットから産生された。この抗体の親ラット型は、r5D8と称され、ヒト化型は、h5D8と称される。
【0048】
5D8
本明細書に記載される抗体は、ヒトLIFをコードするDNAで免疫化されたラットから産生された。あるこうした抗体(5D8)をクローン化及び配列決定した。これは、次のアミノ酸配列:配列番号1(GFTFSHAWMH)に相当するVH-CDR1、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に相当するVH-CDR2、配列番号6(TCWEWDLDF)に相当するVH-CDR3、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に相当するVL-CDR1、配列番号11(SVSNLES)に相当するVL-CDR2、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に相当するVL-CDR3を含むCDR(KabatとIMGT CDRナンバリング方法の組み合わせを使用する)を含む。この抗体は、CDRグラフティングによってヒト化されており、ヒト化型はh5D8と称される。h5D8抗体のヒト化可変領域は、配列番号15及び配列番号19に示している。
【0049】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVH-CDR1、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に示したものと少なくとも80%、90%、又は95%同一のVH-CDR2、及び配列番号6(TCWEWDLDF)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVH-CDR3を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVL-CDR1、配列番号11(SVSNLES)に示したものと少なくとも80%同一のVL-CDR2、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVL-CDR3を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に示したVH-CDR1、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に示したVH-CDR2、配列番号6(TCWEWDLDF)に示したVH-CDR3、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に示したVL-CDR1、配列番号11(SVSNLES)に示したVL-CDR2、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に示したVL-CDR3を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。この開示のCDRのアミノ酸配列中の、ある程度の保存的アミノ酸置換が想定される。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なるCDRを含む。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なり、且つ結合親和性に10%、20%、又は30%を超える影響を与えないCDRを含む。ある種の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、1つ以上のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。
【0050】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVH-CDR1アミノ酸配列、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に示したものと少なくとも80%、90%、又は95%同一のVH-CDR2アミノ酸配列、及び配列番号8(TSWEWDLDF)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVH-CDR3アミノ酸配列を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVL-CDR1アミノ酸配列、配列番号11(SVSNLES)に示したものと少なくとも80%同一のVL-CDR2アミノ酸配列、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に示したものと少なくとも80%又は90%同一のVL-CDR3アミノ酸配列を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に示したVH-CDR1アミノ酸配列、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に示したVH-CDR2アミノ酸配列、配列番号8(TSWEWDLDF)に示したVH-CDR3アミノ酸配列、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に示したVL-CDR1アミノ酸配列、配列番号11(SVSNLES)に示したVL-CDR2アミノ酸配列、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に示したVL-CDR3アミノ酸配列を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。この開示のCDRのアミノ酸配列中の、ある程度の保存的アミノ酸置換が想定される。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なるCDRを含む。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なり、且つ結合親和性に10%、20%、又は30%を超える影響を与えないCDRを含む。
【0051】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号14、15、又は17のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号14、15、及び17のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。
【0052】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号15に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域;及び配列番号19に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号15に示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域;及び配列番号19に示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。
【0053】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号38に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域と;配列番号19に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号38に示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域と;配列番号19に示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。
【0054】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号30~33のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号30~33のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。
【0055】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号31に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号35に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号31に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号35に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号39に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号35に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号39に示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖;及び配列番号35に示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。
【0056】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号3に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号4に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号7に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号9に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び配列番号11に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する組換え抗体である。
【0057】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号2に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号5に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号6に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号10に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び配列番号12に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する組換え抗体である。この開示のCDRのアミノ酸配列中の、ある程度の保存的アミノ酸置換が想定される。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号2、5、6、10、12、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なるCDRを含む。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号2、5、6、10、12、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なり、且つ結合親和性に10%、20%、又は30%を超える影響を与えないCDRを含む。
【0058】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号3に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号4に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号7に示したアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号9に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び配列番号11に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に示したアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する組換え抗体である。この開示のCDRのアミノ酸配列中の、ある程度の保存的アミノ酸置換が想定される。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号3、4、7、9、11、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なるCDRを含む。ある種の実施形態では、抗体は、配列番号3、4、7、9、11、及び13のいずれか1つに示したアミノ酸配列と、1、2、3、又は4個のアミノ酸が異なり、且つ結合親和性に10%、20%、又は30%を超える影響を与えないCDRを含む。
【0059】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号22~25のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖;及び配列番号26~29のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号22~25のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖;及び配列番号26~29のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。
【0060】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号23に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖;及び配列番号27に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号23に示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖;及び配列番号27のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。
【0061】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号39に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号27に示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一のアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する治療用抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号39に示したアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号27のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖を含むLIFと特異的に結合する抗体である。
【0062】
治療的に有用なLIF抗体によって結合されるエピトープ
本明細書に記載されるのは、結合された場合にLIFの生物学的活性(例えば、STAT3リン酸化)を阻害する、且つインビボで腫瘍増殖を阻害し、治療効果をもたらす、ヒトLIFの固有のエピトープである。本開示の治療用抗体は、h5D8のCDRを含まないが、h5D8と同じ又は類似のエピトープ(アミノ酸残基)に結合する、治療用抗体であり得る。類似のエピトープは、特定されるエピトープの範囲内で結合するものである。本明細書に記載されるエピトープは、ヒトLIFタンパク質の2つの別のトポロジカルドメイン(αヘリックスA及びC)中に存在する、(ヒトLIFの残基13から残基32まで、及び残基120から138までの)アミノ酸の2つの不連続な伸長からなる。この結合は、弱い(ファンデルワールス引力)、中程度の(水素結合)、及び強い(塩橋)相互作用の組み合わせである。ある種の実施形態では、接触残基は、抗LIF抗体上の残基と共に水素結合を形成するLIF上の残基である。ある種の実施形態では、接触残基は、抗LIF抗体上の残基と共に塩橋を形成するLIF上の残基である。ある種の実施形態では、接触残基は、抗LIF抗体上の残基と共にファンデルワールス引力をもたらし、且つ抗LIF抗体上の残基の少なくとも5、4、又は3オングストローム以内である、LIF上の残基である。治療用抗体は、このエピトープと結合する、又はこのエピトープのより小さい部分に結合する、又はこのエピトープと重複し、本明細書に記載されるアッセイに利用することができる。
【0063】
ある種の実施形態では、本明細書に記載される治療法抗体は、次の配列番号40の残基:A13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138のうちのいずれか1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個と結合する、単離された抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、次の配列番号40の残基:A13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138のうちのすべてと結合する、単離された抗体である。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるのは、次の配列番号40の残基:A13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138のうちのすべてと結合する、単離された抗体である。ある種の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用で抗体と関与する残基とのみ結合する。ある種の実施形態では、抗体は、強い相互作用で抗体と関与する残基とのみ結合する。ある種の実施形態では、抗体は、LIFのヘリックスA及びCと相互作用する。ある種の実施形態では、抗体は、gp130と共にLIF相互作用を阻止する。
【0064】
治療適応症
ある種の実施形態では、本明細書に開示した治療用抗体は、細胞におけるLIFシグナル伝達を阻害する。ある種の実施形態では、U-251細胞における血清飢餓条件下での抗体の生物学的阻害についてのIC50は、約100、75、50、40、30、20、10、5、又は1ナノモル濃度以下である。ある種の実施形態では、U-251細胞における血清飢餓条件下での抗体の生物学的阻害についてのIC50は、約900、800、700、600、500、400、300、200、又は100ナノモル濃度以下である。
【0065】
ある種の実施形態では、本明細書に開示した治療用抗体は、LIFを発現する腫瘍及び癌を治療するのに有用である。ある種の実施形態では、この開示の抗体で治療される個人は、LIF陽性腫瘍/癌を有する場合の治療について選択されている。ある種の実施形態では、腫瘍は、LIF陽性である、又は上昇したレベルのLIFを生じる。ある種の実施形態では、LIF陽性は、基準値、又は一連の病理学的基準と比較して決定される。ある種の実施形態では、LIF陽性腫瘍は、その腫瘍が由来する非形質転換細胞よりも2倍、3倍、5倍、10倍、100倍大きい、又はそれよりも大きいLIFを発現する。ある種の実施形態では、腫瘍は、LIFの異所性発現を受けている。LIF陽性腫瘍は、例えば抗LIF抗体を用いる免疫組織化学を使用して組織学的に;一般的に使用される分子生物学方法、例えばリアルタイムPCR若しくはRNA-seqによるmRNA定量化;又は、例えば、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、ELISA、若しくは同種タンパク質定量化アッセイ(例えば、AlphaLISA(登録商標))によるタンパク質定量化などによって決定することができる。ある種の実施形態では、この抗体は、癌と診断された患者を治療するために使用することができる。ある種の実施形態では、癌は、1つ以上の癌幹細胞を含む、又は1つ以上の癌幹細胞である。
【0066】
ある種の実施形態では、本明細書に開示した抗体は、LIF受容体(CD118)を発現する癌における腫瘍を治療するのに有用である。LIF受容体陽性の腫瘍は、病理組織学又はフローサイトメトリーによって決定することができ、ある種の実施形態では、アイソタイプ対照よりも2×、3×、4×、5×、10×又はそれよりも多いLIF受容体抗体と結合する細胞を含む。ある種の実施形態では、腫瘍は、LIF受容体の異所性発現を受けている。ある種の実施形態では、癌は、癌幹細胞である。ある種の実施形態では、LIF陽性の腫瘍又は癌は、抗LIF及び抗LIF抗体を使用する免疫組織化学によって決定することができる。ある種の実施形態では、LIF陽性の腫瘍は、腫瘍の最高10%、20%、30%、40%、又は最高50%におけるLIFレベルを用いるIHC分析によって決定される。
【0067】
ある種の実施形態では、癌は、乳房、心臓、肺、小腸、結腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭部、頸部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、及び肝臓腫瘍を含む。ある種の実施形態では、本発明の抗体で治療することができる腫瘍は、腺腫、腺癌、血管肉腫、星細胞腫、上皮癌、胚細胞腫、膠芽腫、神経膠腫、血管内皮腫、血管肉腫、血腫、肝芽腫、白血病、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、神経芽腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫及び/又は奇形腫を含む。ある種の実施形態では、腫瘍/癌は、末端黒子型黒色腫、日光角化症、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、星細胞系腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、気管支腺癌、毛細血管カルチノイド(capillary carcinoid)、癌腫、癌肉腫、胆管癌、軟骨肉腫、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜間質肉腫、類内膜腺癌、上衣肉腫(ependymal sarcoma)、スウィング肉腫(Swing’s sarcoma)、限局性結節性過形成、ガストロノーマ(gastronoma)、生殖系列腫瘍、膠芽腫、グルカゴノーマ、血管芽細胞腫、血管内皮腫、血管腫、肝腺腫、肝腺腫症、肝細胞癌、インスリナイト(insulinite)、上皮内腫瘍、上皮内扁平上皮癌(intraepithelial squamous cell neoplasia)、浸潤性扁平上皮癌、大細胞癌、脂肪肉腫、肺癌、リンパ芽球性白血病、リンパ性白血病、平滑筋肉腫、黒色腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、神経鞘腫、髄芽腫、髄上皮腫、中皮腫、粘表皮癌、骨髄性白血病、神経芽腫、神経上皮腺癌、結節性型黒色腫、骨肉腫、卵巣癌、漿液性乳頭状腺癌、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、前立腺癌、肺芽腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌、有棘細胞癌、小細胞癌、軟部組織癌(soft tissue carcinoma)、ソマトスタチン産生腫瘍(somatostatin secreting tumor)、扁平上皮癌、有棘細胞癌、未分化癌、ブドウ膜黒色腫、疣状癌、膣/外陰癌、VIP産生腫瘍、及びウィルムス腫瘍の群から選択される。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の抗体で治療されるべき腫瘍/癌は、脳癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、急性骨髄性白血病、プレB細胞急性リンパ性白血病、膀胱癌、星細胞腫、好ましくはグレードII、III、又はIV星細胞腫、膠芽腫、多形神経膠芽腫、小細胞癌、及び非小細胞癌、好ましくは非小細胞肺癌、肺腺癌、転移性黒色腫、アンドロゲン非依存性転移性前立腺癌、アンドロゲン依存性転移性前立腺癌、前立腺腺癌、及び乳癌(breast cancer)、好ましくは乳管癌、及び/又は乳癌(breast carcinoma)を含む。ある種の実施形態では、この開示の抗体で治療される癌は、膠芽腫を含む。ある種の実施形態では、この開示の1つ以上の抗体で治療される癌は、膵癌を含む。ある種の実施形態では、この開示の1つ以上の抗体で治療される癌は、卵巣癌を含む。ある種の実施形態では、この開示の1つ以上の抗体で治療される癌は、肺癌を含む。ある種の実施形態では、この開示の1つ以上の抗体で治療される癌は、前立腺癌を含む。ある種の実施形態では、この開示の1つ以上の抗体で治療される癌は、結腸癌を含む。ある種の実施形態では、治療される癌は、膠芽腫、膵癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、又は肺癌を含む。ある種の実施形態では、癌は、他の治療に対して抵抗性である。ある種の実施形態では、治療される癌は、再発性である。ある種の実施形態では、癌は、再発した/抵抗性の膠芽腫、膵癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、又は肺癌である。ある種の実施形態では、癌は、進行した固形腫瘍、膠芽腫、胃癌、皮膚癌、前立腺癌、膵癌、乳癌、精巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌、肝臓癌、腎臓癌、食道癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、リンパ腫、又は軟部組織癌を含む。ある種の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、卵巣上皮癌、又は膵臓腺癌を含む。ある種の実施形態では、癌は、進行した固形腫瘍を含む。ある種の実施形態では、癌は、虫垂癌、直腸癌、転移性粘液性脂肪肉腫、及び傍神経節腫を含む。
【0068】
治療方法
ある種の実施形態では、治療用抗体は、例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、又は脳内などの、抗体含有医薬組成物の投与に適したあらゆる経路によって投与することができる。ある種の実施形態では、抗体は、静脈内に投与される。ある種の実施形態では、抗体は、好適な投薬スケジュールで(例えば、毎週、週2回、毎月、月2回など)投与される。ある種の実施形態では、抗体は、3週に1回投与される。抗体は、あらゆる治療有効量で投与することができる。ある種の実施形態では、治療的に許容される量は、約0.1mg/kgから約50mg/kgである。ある種の実施形態では、治療的に許容される量は、約1mg/kgから約40mg/kgである。ある種の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kgから約30mg/kgである。治療用抗体は、h5D8抗体が投与される個人の重量又は質量とは無関係に、一定の用量で投与することができる。h5D8抗体は、個人が少なくとも約37.5キログラムの質量を有するという条件で、治療用抗体が投与される個人の重量又は質量とは無関係に、一定の用量で投与することができる。約75ミリグラムから約2000ミリグラムまでの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約225ミリグラムから約2000ミリグラムまでの、約750ミリグラムから約2000ミリグラムまでの、約1125ミリグラムから約2000ミリグラムまでの、又は約1500ミリグラムから約2000ミリグラムまでの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約75ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約225ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約750ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約1125ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約1500ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。約2000ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。
【0069】
治療用抗体の他の投薬量も企図される。約50、100、150、175、200、250、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1525、1550、1575、1600、1625、1650、1675、1700、1725、1750、1775、1800、1825、1850、1875、1900、1925、1950、1975、2025、2050、2075、又は2100ミリグラムの、一定の用量の治療用抗体を投与することができる。これらの用量のいずれかを、週1回、2週に1回、3週に1回、又は4週に1回投与することができる。
【0070】
治療用抗体は、治療用抗体が投与される個人の重量又は質量に基づく用量で投与することができる。約1mg/kgから約25mg/kgまでの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。約3mg/kgから約25mg/kgまでの、約10mg/kgから約25mg/kgまでの、約15mg/kgから約25mg/kgまでの、又は約20mg/kgから約25mg/kgまでの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。約1mg/kgの、体重により調節された用量のh5D8を投与することができる。約3mg/kgの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。約10mg/kgの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。約15mg/kgの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。約20mg/kgの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。約25mg/kgの、体重により調節された用量の治療用抗体を投与することができる。
【0071】
本明細書に記載されるアッセイは、治療用抗体での治療を受けている個人における標的結合をモニタリングするために使用することができる。例えば、個人が、複数の投与を受けているならば、総LIFレベルは、治療用抗体での標的結合を確認するために、定期的に測定することができる。ある種の実施形態では、このアッセイは、1クールの治療全体を通して定期的に、例えば毎週、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、7週に1回、又は8週に1回実施される。総LIFのレベルが、基準レベルよりも上に維持される、又は個人の治療前レベルと比較して上昇されるならば、より短期のスケジュール又は投薬量の増大などの治療変更は施されない。ある種の実施形態では、基準レベルは、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100ng/mLを超える。
【0072】
このアッセイはまた、総LIFレベルが基準レベルよりも低くなる又は治療前レベルと比較して増大されない場合に投薬量を増大させる又は投薬スケジュールを短縮するために使用することもできる。ある種の実施形態では、基準レベルは、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100ng/mLである。
【0073】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、抗体投与のスケジュールを、最初のスケジュールが3週に1回であった場合には週1回又は2週に1回に短縮することができる。本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、抗体投与のスケジュールを、最初のスケジュールが4週に1回であった場合には1、2、又は3週に1回に短縮することができる。
【0074】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、投与される抗体の量を、以前の投与と比較して約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、又は300%増大させることができる。
【0075】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、抗体投与の量を、以前の投与が約1500ミリグラム、約1125、約750ミリグラム、約225ミリグラム、又は約75ミリグラムであった場合には約2000ミリグラムまで増大させることができる。
【0076】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、投与される抗体の量を、以前の投与が約1125、約750ミリグラム、約225ミリグラム、又は約75ミリグラムであった場合には約2000ミリグラム又は約1500ミリグラムまで増大させることができる。
【0077】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、投与される抗体の量を、以前の投与が約750ミリグラム、約225ミリグラム、又は約75ミリグラムであった場合には約2000ミリグラム、約1500ミリグラム、又は約1125ミリグラムまで増大させることができる。
【0078】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、投与される抗体の量を、以前の投与が約225ミリグラム、又は約75ミリグラムであった場合には約2000ミリグラム、約1500ミリグラム、又は約1125ミリグラム、又は約750ミリグラムまで増大させることができる。
【0079】
本明細書に記載されるアッセイが、個人における総LIFが、以前の投与後に、ある種の基準レベル未満である又はある種の基準量よりも増大が小さいことを示す結果を返すならば、投与される抗体の量を、以前の投与が約75ミリグラムであった場合には約2000ミリグラム、約1500ミリグラム、又は約1125ミリグラム、又は約750ミリグラム、又は約225ミリグラムまで増大させることができる。
【0080】
本明細書に記載されるアッセイはまた、抗LIF治療用抗体での治療について患者を選択するために使用することもできる。ある種の実施形態では、抗LIF治療用抗体で治療されていない個人を、生体試料中の総LIFレベルが約100、200、300、400、500、600、700、800、900pg/mL、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100ng/mLを超えるならば、抗LIF治療用抗体で治療することができる。ある種の実施形態では、生体試料は、血液、血清、又は血漿である。ある種の実施形態では、抗LIF治療用抗体は、h5D8である。
【0081】
本明細書で詳述した用量のいずれかを、少なくとも約60分という時間をかけてi.v.投与することができる;しかし、この時間は、それぞれ個々の投与に関する条件に基づいて、いくらか変動する可能性がある。
【0082】
薬学的に許容し得る補形薬、担体、及び希釈剤
ある種の実施形態では、本開示の抗体は、無菌の溶液に懸濁して投与される。ある種の実施形態では、この溶液は、生理学的に適切な塩濃度(例えば、NaCl)を含む。ある種の実施形態では、この溶液は、約0.6%~1.2%のNaClを含む。ある種の実施形態では、この溶液は、約0.7%~1.1%のNaClを含む。ある種の実施形態では、この溶液は、約0.8%~1.0%のNaClを含む。ある種の実施形態では、抗体の高度に濃縮されたストック溶液を、約0.9%のNaClに希釈することができる。ある種の実施形態では、溶液は、約0.9%のNaClを含む。ある種の実施形態では、溶液は、緩衝液、例えば、酢酸、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸、リン酸、炭酸水素、及びヒドロキシメチルアミノメタン(Tris);界面活性剤、例えば、ポリソルベート80(Tween80)、ポリソルベート20(Tween20)、ポリソルベート及びポロクサマー188;ポリオール/二糖/多糖、例えば、グルコース、デキストロース、マンノース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40;アミノ酸、例えば、ヒスチジン、グリシン、又はアルギニン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、メチオニン;並びにキレート剤、例えば、EGTA又はEGTAのうちの1種以上をさらに含む。ある種の実施形態では、本開示の抗体は、凍結乾燥して輸送/保管され、投与前に再構成される。ある種の実施形態では、凍結乾燥される抗体製剤は、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40などの充填剤を含む。ある種の実施形態では、この開示の抗LIF抗体は、使用される治療場所で希釈されることとなる濃縮されたストック溶液として輸送及び保管することができる。ある種の実施形態では、このストック溶液は、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、約0.01%のポリソルベート、及び約20mg/mLの抗LIF抗体を含む。ある種の実施形態では、この溶液のpHは、約6.0である。ある種の実施形態では、個人に投与される形態は、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、約0.01%のポリソルベート80、及び約20mg/mLのh5D8抗体を含む水溶液である。ある種の実施形態では、この溶液のpHは、約6.0である。
【0083】
実施形態
以下の実施形態は、本開示の態様のさらなる具体例である。1.癌を有する個人を治療する方法であって、(a)白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の初回投与を個人に施すことと;(b)癌を有する個人からの試料中の白血病抑制因子(LIF)の初回投与後レベルを決定することとを含む方法。2.白血病抑制因子(LIF)と結合する後続用量の抗体を投与することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。3.LIFの初回投与後レベルを決定することが、実施形態1から2のいずれか1つに記載の方法によって実施される、実施形態1に記載の方法。4.LIF治療用抗体が、(a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、実施形態1の方法。5.LIF治療用抗体が、(a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む、実施形態1の方法。6.LIF治療用抗体が、(a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む、実施形態1の方法。7.LIFの初回投与後レベルは、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して増大せず、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される、実施形態2から6のいずれか1つの方法。8.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される、実施形態2から6のいずれか1つの方法。9.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される、実施形態2から6のいずれか1つの方法。10.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して増大せず、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される、実施形態2から6のいずれか1つの方法。11.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される、実施形態2から6のいずれか1つの方法。12.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される、実施形態2から6のいずれか1つの方法。13.初回投与が、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の最初の投与である、実施形態1から12のいずれか1つの方法。14.初回投与が、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の複数の投与におけるいずれかの投与である、実施形態1から12のいずれか1つの方法。15.癌を有する個人を治療する方法であって、(a)白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体を含む初回投与を個人に施すことと;(b)癌を有する個人からの試料における白血病抑制因子(LIF)の初回投与後レベルを得ることとを含む方法。16.白血病抑制因子(LIF)と結合する後続用量の抗体を投与することをさらに含む、実施形態15の方法。17.LIF治療用抗体が、(a)配列番号1~3のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及びf.配列番号13に示したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、実施形態15の方法。18.LIF治療用抗体が、(a)配列番号14、15、17、又は38のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号18~21のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む、実施形態15の方法。19.LIF治療用抗体が、(a)配列番号30~33又は39のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号34~37のいずれか1つに示したアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖配列を含む、実施形態15の方法。20.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回治療前レベルと比較して増大せず、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される、実施形態16から19のいずれか1つの方法。21.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される、実施形態16から19のいずれか1つの方法。22.LIFの初回投与後レベルが、検出可能であり、且つ1ミリリットルあたり2ナノグラム未満であり、ここでは、初回用量と比較して増大させた量の後続用量が投与される、実施形態16から19のいずれか1つの方法。23.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの治療前レベルと比較して増大せず、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される、実施形態16から19のいずれか1つの方法。24.LIFの初回投与後レベルが、個人におけるLIFの初回投与前レベルと比較して2倍以下の増大を示し、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される、実施形態16から19のいずれか1つの方法。25.LIFの初回投与後レベルが、検出可能であり、且つ1ミリリットルあたり2ナノグラム未満であり、ここでは、後続用量は、治療スケジュールにおけるより早い時点で投与される、実施形態16から19のいずれか1つの方法。26.初回投与が、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の最初の投与である、実施形態15から25のいずれか1つの方法。27.初回投与が、白血病抑制因子(LIF)と結合する抗体の複数の投与におけるいずれかの投与である、実施形態15から25のいずれか1つの方法。28.LIF、LIFに特異的に結合するLIF捕捉抗体、LIFに特異的に結合するLIF検出抗体、及び任意に、LIFと特異的に結合するLIF治療用抗体を含むLIF複合体(ここでは、LIF検出又はLIF捕捉抗体は、A4又はそのLIF結合断片を含む)の使用であって、LIFを定量化するためのインビトロアッセイである使用。29.流体中にある、実施形態28のLIF複合体。30.アッセイが、20%未満の内的変動を有する、実施形態28の複合体。31.LIFを含む個人からの試料中の白血病抑制因子(LIF)を定量化する方法であって、LIFを含む試料を、LIFに特異的に結合する捕捉抗体と接触させることと;LIFを含む試料を、LIFと特異的に結合する検出抗体と接触させることと;捕捉抗体及び検出抗体に結合されている、試料中のLIFを検出することとを含み、ここでLIF検出又はLIF捕捉抗体は、A4又はそのLIF結合断片を含む、インビトロで実施される、方法。32.LIFがヒトLIFである、実施形態31の方法。33.LIFが、1ミリリットルあたり1ナノグラムのレベルで検出可能である、実施形態31の方法。34.アッセイが、20%未満の内的変動を有する、実施形態31の方法。35.個人がヒト個人である、実施形態31の方法。36.試料中のLIFを定量化することをさらに含む、実施形態31の方法。37.LIFを含む試料が、流体中にある、実施形態36の方法。38.試料中のLIFの量に関する情報を含む報告を伝えることをさらに含む、実施形態31の方法。39.白血病抑制因子(LIF)結合抗体又はその断片であって、配列番号41に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域配列;及び配列番号42に示したアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含むLIF結合抗体又はその断片。40.LIFを定量化するためのインビトロアッセイにおける、実施形態39のLIF結合抗体の使用。
【実施例
【0084】
次の実例は、本明細書に記載される組成物及び方法の実施形態を代表するものであり、決して制限的であることが意図されない。
【0085】
実施例1-LIFに特異的なラット抗体の産生
ヒトLIFのアミノ酸23~202をコードするcDNAを、発現プラスミド(Aldevron GmbH,Freiburg,Germany)にクローニングした。実験用ラット(Wistar)の群に、微粒子撃ち込み(particle bombardment)(「遺伝子銃(gene gun)」)のための手持ち型装置を使用するDNAコーティングされた金粒子の皮内適用によって、免疫化した。一過性トランスフェクトしたHEK細胞上の細胞表面発現を、LIFタンパク質のN末端に付加されたタグを認識する抗タグ抗体を用いて確認した。一連の免疫化後に、血清試料を収集し、前述の発現プラスミドを用いて一過性トランスフェクトしたHEK細胞に対してフローサイトメトリーで試験した。抗体産生細胞を単離し、標準の手順に従って、マウス骨髄腫細胞(Ag8)と融合させた。上に記載した通りにフローサイトメトリー分析においてスクリーニングを行うことによって、LIFに特異的な抗体を産生するハイブリドーマを特定した。RNA保護剤(ThermoFisher ScientificによるRNAlater,cat.#AM7020)を使用して、陽性のハイブリドーマ細胞の細胞ペレットを調製し、抗体の可変ドメインの配列決定のためにさらに処理した。
【0086】
実施例2-LIFに特異的なマウス抗体の産生
ヒトLIFのアミノ酸23~202をコードするcDNAを、発現プラスミド(Aldevron GmbH,Freiburg,Germany)にクローニングした。実験用マウス(NMRI)の群に、微粒子撃ち込み(「遺伝子銃」)のための手持ち型装置を使用するDNAコーティングされた金粒子の皮内適用によって、免疫化した。一過性トランスフェクトしたHEK細胞上の細胞表面発現を、LIFタンパク質のN末端に付加されたタグを認識する抗タグ抗体を用いて確認した。一連の免疫化後に、血清試料を収集し、前述の発現プラスミドを用いて一過性トランスフェクトしたHEK細胞に対してフローサイトメトリーで試験した。抗体産生細胞を単離し、標準の手順に従って、マウス骨髄腫細胞(Ag8)と融合させた。上に記載した通りにフローサイトメトリー分析においてスクリーニングを行うことによって、LIFに特異的な抗体を産生するハイブリドーマを特定した。RNA保護剤(ThermoFisher ScientificによるRNAlater,cat.#AM7020)を使用して、陽性のハイブリドーマ細胞の細胞ペレットを調製し、抗体の可変ドメインの配列決定のためにさらに処理した。
【0087】
実施例3-LIFに特異的なラット抗体のヒト化
それに続くヒト化のために、ラット免疫化(5D8)からの1つのクローンを選択した。ヒト化は、標準のCDRグラフティング方法を使用して行った。重鎖及び軽鎖領域を、標準の分子クローニング技術を使用して、5D8ハイブリドーマからクローニングし、サンガー法によって配列決定した。次いで、ヒト重鎖及び軽鎖可変配列に対して、BLAST検索を行い、それぞれからの4つの配列を、ヒト化のためのアクセプターフレームワークとして選択した。これらのアクセプターフレームワークを脱免疫原性化して、T細胞応答エピトープを除去した。5D8の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を、4つの異なる重鎖アクセプターフレームワーク(H1からH4)、及び4つの異なる軽鎖フレームワーク(L1からL4)にクローニングした。次いで、16個の異なる抗体をすべて、CHO-S細胞(Selexis)における発現;LIF誘発STAT3リン酸化の阻害;及び表面プラズモン共鳴(SPR)による結合親和性について試験した。これらの実験を、以下にまとめて示す。
【0088】
【表1】
【0089】
トランスフェクトした細胞の発現性能を、エルレンマイヤーフラスコ(3×10細胞/mL播種、200mL培養体積)中で、流加培養で、10日の細胞培養後に、比較した。この時点で、細胞を回収し、分泌された抗体をプロテインAカラムを使用して精製し、次いで定量化した。H3重鎖を使用するものを除いて、すべてのヒト化抗体が発現した。H2及びL2可変領域は、他の可変領域と比較して、良い成果を果たした(配列番号15及び配列番号19)。
【0090】
チロシン705でのLIF誘発STAT3リン酸化の阻害を、ウエスタンブロットによって決定した。U251神経膠腫細胞を、100,000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、あらゆる処理の前に、完全培地で24時間培養し、その後、細胞を、8時間、血清飢餓状態にした。その後、細胞を、10μg/mlの濃度の指示された抗体で、一晩処理した。処理後、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液中でタンパク質を得、定量化し(BCA-タンパク質定量法、Thermo Fisher Scientific)、ウエスタンブロットに使用した。ウエスタンブロットについては、メンブレンを、5%脱脂粉乳-TBST中で1時間ブロッキングし、一次抗体と共に一晩(p-STAT3、catalog#9145、Cell Signaling若しくはSTAT3、catalog#9132、Cell Signaling)又は30分(β-アクチン-ペルオキシダーゼ、catalog#A3854、Sigma-Aldrich)インキュベートした。次いで、メンブレンをTBSTで洗浄し、二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄した。タンパク質を、化学発光(SuperSignal Substrate、catalog#34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。これらの結果を、図1に示す。pSTAT3バンドの色が濃いほど、存在する阻害が小さい。阻害は、5D8(非ヒト化ラット)、A(H0L0)、C(H1L2)、D(H1L3)、及びG(H2L2)と標識が付けられたレーンでは高かった;阻害は、H(H2L3)、O(H4L2)、及びP(H4L3)では中程度であった;阻害は、B(H1L1)、E(H1L4)、F(H2L1)、I(H2L4)、N(H4L1)、及びQ(H4L4)では存在しなかった。
【0091】
次いで、LIF誘発STAT3リン酸化の阻害を呈する抗体を、SPRによって分析して、結合親和性を決定した。簡単に言うと、アミンカップリングhLIFに対するA(H0L0)、C(H1L2)、D(H1L3)、及びG(H2L2)、H(H2L3)及びO(H4L2)ヒト化抗体の結合を、Biacore(商標)2002装置を使用して観察した。速度定数及び親和性を、6つのリガンド濃度でのすべてのセンサーチップ表面上でもたらされたすべてのセンサーグラムの数学的センサーグラムフィッティング(ラングミュア相互作用モデル[A+B=AB])によって決定した。各濃度の最も適合する曲線(最小カイ二乗)を、速度定数及び親和性の算出のために使用した。表1を参照されたい。
【0092】
実験手順は、検体として二価抗体を使用したので、ヒト化抗体の標的結合機構へのより詳細な洞察を得るために、最も適合するセンサーグラムをまた、二価検体フィッティングモデル[A+B=AB;AB+B=AB2]に基づいて分析した。二価フィッティングモデル[A+B=AB;AB+B=AB2]を使用するセンサーグラム動態解析によって、mAb試料の相対的親和性順位が確認された。
【0093】
その高い結合親和性、及び回分培養からの高い収率により、より掘り下げた分析のために、H2及びL2を含むヒト化5D8を選択した。
【0094】
実施例4-クローン5D8のヒト化はLIFに対する結合を向上させる
さらなる分析のために、H2L2クローン(h5D8)を選択し、SPRによって、結合を、親ラット5D8(r5D8)及びマウスクローン1B2と比較した。1B2抗体は、以前にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH(DSM ACC3054)に寄託された、以前に開示されたマウス抗LIF抗体であり、比較目的で含められた。それぞれ大腸菌(E.coli)及びHEK-293細胞から精製された組換え型ヒトLIを、リガンドとして使用した。ヒト又は大腸菌(E.coli)起源からのLIFを、アミンカップリング化学を使用して、Biacore光学センサーチップの表面に共有結合させ、速度定数から結合親和性を算出した。
【0095】
材料及び方法
大腸菌(E.coli)由来のヒトLIFは、Millipore(参照記号LIF 1010)から入手し;HEK-293細胞由来のヒトLIFは、ACRO Biosystems(参照記号LIF-H521b)から入手した。LIFを、Biacore Amine Coupling Kit(BR-1000-50;GE-Healthcare,Uppsala)を使用して、センサーチップにカップリングさせた。試料は、CM5光学センサーチップ(BR-1000-12;GE-Healthcare,Uppsala)を使用するBiacore(商標)2002装置に流した。機械の稼働中、Biacore HBS-EP緩衝液を使用した(BR-1001-88;GE-Healthcare,Uppsala)。結合センサーグラムの動態解析を、BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して実施した。速度定数及び親和性を、漸増する検体濃度でのすべてのセンサーチップ表面上でもたらされたすべてのセンサーグラムの数学的センサーグラムフィッティング(ラングミュア相互作用モデル[A+B=AB])によって決定した。決定されたラングミュア抗体-標的親和性に対する二価の寄与(例えば、結合活性の寄与)についての見積もりをもたらすために、センサーグラムをまた、主成分分析を含めて、二価検体センサーグラムフィッティングモデル[A+B=AB;AB+B=AB2]に基づいて分析した。各濃度の最も適合する曲線(最小カイ二乗)を、速度定数及び親和性の算出のために使用した。これらの親和性実験の概要を、表2(大腸菌(E.coli)において作られたヒトLIF)及び表3(HEK293細胞において作られたヒトLIF)に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
この一連の実験から、ラングミュア1:1センサーグラムフィッティングモデルは、ヒト化5D8(h5D8)抗体が、マウス1B2及びr5D8よりも約10~25倍高い親和性で、ヒトLIFに結合したことを示す。
【0099】
次に、h5D8抗体を、SPRによって、複数の種のLIFに対して試験した。h5D8 SPR結合速度解析を、異なる種及び発現系由来の組換え型LIF検体:ヒトLIF(大腸菌(E.coli)、HEK293細胞);マウスLIF(大腸菌(E.coli)、CHO細胞);ラットLIF(大腸菌(E.coli));カニクイザルLIF(酵母、HEK293細胞)について実施した。
【0100】
材料及び方法
h5D8抗体を、非共有結合性の、Fc特異的な捕捉によって、センサーチップ表面に固定した。LIF検体に対する抗LIF抗体の立体的に均一且つフレキシブルな提示を可能にする、組換え型の、Ig(Fc)特異的な黄色ブドウ球菌(S.aureus)プロテインA/Gを、捕捉剤として使用した。LIF検体の供給源は、次の通りである:ヒトLIF(大腸菌(E.coli)より;Millipore参照記号LIF 1050);ヒトLIF(HEK細胞よりACRO Biosystems LIF-H521);マウスLIF(大腸菌(E.coli);Millipore Cat.No NF-LIF2010);マウスLIF(CHO細胞より;Reprokine Catalog# RCP09056);サルLIF(酵母 Kingfisher Biotech Catalog# RP1074Y);HEK-293細胞において産生されるサルLIF。全h5D8が、いくつかの種由来のLIFに対する結合を呈した。この親和性実験の概要を、表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
実施例5-ヒト化クローン5D8は、STAT3のLIF誘発リン酸化をインビトロで阻害する
h5D8の生物学的活性を決定するために、LIF活性化の細胞培養モデルにおいて、ヒト化及び親型を試験した。図2Aは、神経膠腫細胞株をヒトLIFと共にインキュベートした場合に、ヒト化クローンが、STAT3リン酸化(Tyr 705)の阻害の増大を呈したことを示す。図2Bは、異なる希釈のh5D8抗体を用いて再び行った、図2Aと同じ手順を用いた実験を示す。
【0103】
方法
U251神経膠腫細胞を、150,000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、あらゆる処理の前に、完全培地で24時間培養した。その後、細胞を、10μg/mlの濃度のr5D8抗LIF抗体又はh5D8抗LIF抗体で、一晩処理した、又はしなかった(対照細胞)。
【0104】
処理後、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液中でタンパク質を得、定量化し(BCA-タンパク質定量法、Thermo Fisher Scientific)、ウエスタンブロットに使用した。ウエスタンブロットについては、メンブレンを、5%脱脂粉乳-TBST中で1時間ブロッキングし、一次抗体と共に一晩(p-STAT3、catalog#9145、Cell Signaling若しくはSTAT3、catalog#9132、Cell Signaling)又は30分(β-アクチン-ペルオキシダーゼ、catalog#A3854、Sigma-Aldrich)インキュベートした。次いで、メンブレンをTBSTで洗浄し、必要であれば二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄した。タンパク質を、化学発光(SuperSignal Substrate、catalog#34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。
【0105】
実施例6-U-251細胞における内在レベルのLIFに対するh5D8抗体処理のIC50
U-251細胞において、血清飢餓条件下で、h5D8についての生物学的阻害に対する490ピコモル濃度(図3A)と低いIC50も決定された。代表的な結果図3A及び3B及び表5を参照されたい。
【0106】
【表5】
【0107】
方法
U-251細胞を、(条件あたり)6cmプレートあたり600,000細胞で蒔いた。細胞を、対応する濃度(段階希釈(titration))のh5D8で、血清飢餓(0.1% FBS)下で37℃で一晩処理した。pSTAT3についての陽性対照として、組換え型LIF(R&D #7734-LF/CF)を使用して、1.79nMで、37℃で10分間、細胞を刺激した。pSTAT3の陰性対照として、JAK I阻害剤(Calbiochem #420099)を、1μMで、37℃で30分間使用した。次いで、Meso Scale Discovery Multi-Spot Assay System Total STAT3(Cat# K150SND-2)及びPhospho-STAT3(Tyr705)(Cat# K150SVD-2)キットのプロトコルに従って、細胞を、ライセートのために氷上に回収して、MSD Meso Sector S600によって、検出可能なタンパク質レベルを測定した。
【0108】
実施例7-ヒトLIFに特異的に結合する追加の抗体
ヒトLIFと特異的に結合する他のラット抗体クローン(10G7及び6B5)を特定し、その結合特性の概要を、下の表6に示す(クローン1B2は比較としての役割を果たす)。
【0109】
方法
検体として、組換え型LIF標的タンパク質[ヒトLIF(大腸菌(E.coli));Millipore Cat.No.LIF 1010及びヒトLIF(HEK293細胞);ACRO Biosystems Cat.No.LIF-H521b]を適用して、CM5光学センサーチップの表面上に固定された抗LIF mAbs 1B2、10G7、及び6B5について、リアルタイム結合動態解析を実施した。
【0110】
速度定数及び親和性は、グローバルフィッティング(センサーグラムセットの同時フィッティング)並びに単一曲線フィッティングアルゴリズムを適用して、ラングミュア1:1結合モデルを使用する数学的センサーグラムフィッティングによって得た。グローバルフィットの妥当性を、kobs解析によって評価した。
【0111】
【表6】
【0112】
実施例8-STAT3のLIF誘発リン酸化をインビトロで阻害する追加の抗LIF抗体
追加のクローンを、細胞培養において、STAT3のLIF誘発リン酸化を阻害するその能力について試験した。図4に示す通り、クローン10G7及び以前に詳述したr5D8は、1B2クローンと比較して、LIF誘発STAT3リン酸化の高い阻害を呈した。抗LIFポリクローナル抗血清(pos.)は、陽性対照として含まれていた。6B5は、阻害を呈さなかったが、これは、この実験で使用された非グリコシル化LIFに対する6B5結合が存在しない可能性によって説明することができる。
【0113】
方法
患者由来の神経膠腫細胞を、150,000細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、あらゆる処理の前に、B27(Life Technologies)、ペニシリン/ストレプトマイシン、及び増殖因子(20ng/ml EGF及び20ng/ml FGF-2[PeproTech])を添加したNeurobasal培地(Life Technologies)から構成されるGBM培地中で、24時間培養した。次の日、細胞を、大腸菌(E.coli)において産生された組換え型LIF、又は組換え型LIFプラス指示された抗体の混合物で、15分間処理した、又はしなかった(抗体については10μg/mlの最終濃度、及び20ng/mlの組換え型LIF)。処理後、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液中でタンパク質を得、定量化し(BCA-タンパク質定量法、Thermo Fisher Scientific)、ウエスタンブロットに使用した。ウエスタンブロットについては、メンブレンを、5%脱脂粉乳-TBST中で1時間ブロッキングし、一次抗体と共に一晩(p-STAT3、catalog#9145、Cell Signaling)又は30分(β-アクチン-ペルオキシダーゼ、catalog#A3854、Sigma-Aldrich)インキュベートした。次いで、メンブレンをTBSTで洗浄し、必要であれば二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄した。タンパク質を、化学発光(SuperSignal Substrate、catalog#34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。
【0114】
実施例9-LIFは複数の腫瘍型にわたって高度に過剰発現される
複数のヒト腫瘍型に対して免疫組織化学を行って、LIF発現の程度を決定した。図5に示す通り、LIFは、多形神経膠芽腫(GBM)、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、及び結腸直腸癌(CRC)において高度に発現される。
【0115】
実施例10-ヒト化クローンh5D8は非小細胞肺癌のマウスモデルにおいて腫瘍増殖を阻害する
ヒト化5D8クローンがLIF陽性癌をインビボで阻害する能力を決定するために、この抗体を、非小細胞肺癌(NSCLC)のマウスモデルにおいて試験した。図6は、この抗体で治療されたマウスにおける、賦形剤の陰性対照と比較した腫瘍増殖の減少を示す。
【0116】
方法
高いLIFレベルを有するマウス非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株KLN205を、インビボでの生物発光モニタリングのために、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現するレンチウイルスに安定に感染させた。マウスモデルを発病させるために、5×10個のKLN205非小細胞肺癌(NSCLC)細胞を、8週齢の免疫適格性の同系移植DBA/2マウスの左肺に、肋間穿刺によって同所性移植した。マウスを、対照賦形剤で又は15mg/kg若しくは30mg/kgのh5D8抗体で(週2回、腹腔内に)治療し、腫瘍増殖を生物発光によってモニタリングした。生物発光画像化のために、マウスは、1~2%吸入イソフルラン麻酔下で0.2mLの15mg/mL D-ルシフェリンの腹腔内注射を受けた。生物発光シグナルは、高感度冷却CCDカメラから構成されるIVISシステム2000シリーズ(Xenogen Corp.,Alameda,CA,USA)を使用してモニタリングした。Living Imageソフトウェア(Xenogen Corp.)を使用して、画像化データをグリッド処理し、囲まれた各領域内の全生物発光シグナルを統合した。データは、対象領域(ROI)内の全光子束放射(光子/秒)を使用して解析した。結果は、h5D8抗体での治療が、腫瘍退縮を促進することを実証する。データは、平均値±SEMとして示される。
【0117】
実施例11-h5D8は多形神経膠芽腫のマウスモデルにおいて腫瘍増殖を阻害する
ルシフェラーゼ発現ヒト細胞株U251を使用する、同所移植GBM腫瘍モデルでは、腹腔内(IP)注射によって300μg r5D8及びh5D8を週2回投与したマウスにおいて、r5D8は、腫瘍体積を有意に低下させた。この研究の結果を、図7Aに示す(治療後第26日に定量化)。この実験をまた、200μg又は300μgで治療されるヒト化h5D8マウスを使用して行い、治療の7日後の腫瘍の統計的に有意な低下が示された。
【0118】
方法
ルシフェラーゼを安定に発現するU251細胞を収集し、PBS中で洗浄し、400gで5分間遠心分離し、PBSに再懸濁し、自動セルカウンター(Countess,Invitrogen)を用いて計数した。最適な生存能を維持するために、細胞を氷上に維持した。マウスを、ケタミン(Ketolar50(登録商標))/キシラシン(Xylacine)(Rompun(登録商標))(それぞれ75mg/kg及び10mg/kg)の腹腔内投与で麻酔した。各マウスを、注意深く定位装置に入れ、固定した。脱毛クリームを用いて頭部から毛を除去し、メスで頭部皮膚を切断して、頭蓋骨を露出させた。ラムダに対して横方向1.8mm且つ前方向1mmの座標に、穿孔器を用いて小さい切開部を注意深く作成した。右線条体に、2.5mmの深さでHamilton 30Gシリンジを使用して、5μLの細胞を接種した。Hystoacryl組織接着剤(Braun)を用いて頭部切開部を閉じ、マウスに皮下鎮痛薬メロキシカム(Metacam(登録商標))(1mg/kg)を注射した。各マウスに移植された最終細胞数は、3×10個であった。
【0119】
マウスを、腹腔内に投与されるh5D8で週2回治療した。治療は、腫瘍細胞接種の直後、第0日に開始した。マウスは、h5D8又は賦形剤対照の合計2回の投与を受けた。
【0120】
体重及び腫瘍体積:体重は、2回/週、測定し、腫瘍増殖は、第7日に生物発光(Xenogen IVIS Spectrum)によって定量化した。生物発光活性をインビボで定量化するために、マウスを、イソフルオラン(isofluorane)を使用して麻酔し、ルシフェリン基質(PerkinElmer)(167μg/kg)を腹腔内注射した。
【0121】
生物発光(Xenogen IVIS Spectrum)によって求められた腫瘍サイズを、第7日に評価した。個々の腫瘍測定値、及び各治療群についての平均値±SEMを算出した。統計的有意性は、対応のないノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定によって決定した。
【0122】
実施例12-h5D8は卵巣癌のマウスモデルにおいて腫瘍増殖を阻害する
r5D8の有効性を、2つの他の同系移植腫瘍モデルにおいて評価した。卵巣同所移植腫瘍モデルID8では、300μg r5D8(週2回)のIP投与は、腹部体積によって測定された場合に、腫瘍増殖を有意に阻害した(図8A及び8B)。図8Cにおける結果は、h5D8はまた、200μg以上の用量でも腫瘍体積を低下させたことを示す。
【0123】
方法
ID8細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco,Invitrogen)、40U/mLペニシリン及び40μg/mLストレプトマイシン(PenStrep)(Gibco,Invitrogen)、及び0.25μg/mLプラスモシン(Plasmocin)(Invivogen)を添加した、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Gibco,Invitrogen)中で培養した。
【0124】
ID8細胞を収集し、PBS中で洗浄し、400gで5分間遠心分離し、PBSに再懸濁した。最適な生存能を維持するために、細胞を氷上に維持し、200μLの細胞懸濁液を、27G針を用いて腹腔内に注射した。マウスに移植された最終細胞数は、5×10個であった。
【0125】
マウスは、指示された通りの異なる用量でip投与されるh5D8で週2回治療した。体重は、2回/週、測定し、腫瘍増悪は、ノギス(Fisher Scientific)を使用して腹囲を測定することによってモニタリングした。
【0126】
実施例13-r5D8は結腸直腸癌のマウスモデルにおいて腫瘍増殖を阻害する
皮下結腸CT26腫瘍を有するマウスでは、r5D8(週2回300μgをIP投与される)は、腫瘍増殖を有意に阻害した(図9A及び9B)。
【0127】
方法
CT26細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)、40U/mLペニシリン及び40μg/mLストレプトマイシン(PenStrep)、及び0.25μg/mLプラスモシン(Plasmocin)を添加した、ロズウェルパーク記念研究所培地(Roswell Park Memorial Institute medium)(RPMI[Gibco,Invitrogen])中で培養した。
【0128】
CT26細胞(8×10)を、トリプシン処理し、PBSですすぎ、400gで5分間遠心分離し、100μL PBSに再懸濁した。細胞は、細胞死を回避するために氷上に維持した。CT26細胞を、27G針を使用する皮下注射を介して、マウスに投与した。
【0129】
300μg r5D8、又は賦形剤対照を、CT26細胞移植後、第3日から、週2回、腹腔内注射(IP)を介してマウスに投与した。
【0130】
体重及び腫瘍体積は、1週間に3回測定した。腫瘍体積は、ノギス(Fisher Scientific)を使用して測定した。
【0131】
実施例14-r5D8は腫瘍モデルにおいて炎症性浸潤を減少させる
U251 GBM同所移植モデルでは、CCL22、すなわちM2極性化マクロファージのマーカーの発現は、図10Aに示した通り、r5D8で治療された腫瘍において有意に低下した。この所見はまた、r5D8を使用する、生理学的に関連する器官型組織片培養モデルにおいても確認され、ここでは、3つの患者試料は、図10Bに示した通り、治療後に、CCL22及びCD206(MRC1)発現(同様にM2マクロファージのマーカー)の有意な低下を示した(MRC1とCCL22の両方について、左上(対照)を右下(治療)と比較されたい)。さらに、r5D8はまた、免疫適格性マウスにおける同系移植ID8(図10C)及びCT26(図10D)腫瘍において、CCL22M2マクロファージを減少させた。
【0132】
実施例15-r5D8は非骨髄性エフェクター細胞を増加させる
さらなる免疫機構を調べるために、腫瘍微小環境内でのT細胞及び他の非骨髄性免疫エフェクター細胞に対するr5D8の効果を評価した。卵巣同所移植ID8同系移植モデルでは、r5D8治療は、図11Aに示した通り、腫瘍内NK細胞の増加及び全部の及び活性化されたCD4及びCD8T細胞の増加をもたらした。同様に、結腸同系移植CT26腫瘍モデルでは、r5D8は、図11Bに示した通り、腫瘍内NK細胞を増加させ、CD4及びCD8T細胞を増加させ、また、CD4CD25FoxP3T-reg細胞を減少させる傾向があった。CD4CD25FoxP3T-reg細胞の減少の傾向はまた、図11Cに示した通り、r5D8治療後の同系移植同所移植KLN205腫瘍モデルにおいても観察された。有効性を媒介するためのT細胞の必要性と一致して、CT26モデルにおけるCD4及びCD8T細胞の枯渇は、図12に示した通り、r5D8の抗腫瘍有効性を阻害した。
【0133】
T細胞枯渇のための方法
CT26細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS[Gibco,Invitrogen])、40U/mLペニシリン及び40μg/mLストレプトマイシン(PenStrep[Gibco,Invitrogen])、及び0.25μg/mLプラスモシン(Plasmocin)を添加した、RPMI培養培地(Gibco,Invitrogen)中で培養した。CT26細胞(5×10)を、収集し、PBSですすぎ、400gで5分間遠心分離し、100μL PBSに再懸濁した。細胞は、細胞死を回避するために氷上に維持した。CT26細胞を、27Gシリンジを使用する皮下注射を介して、マウスの両側腹部に投与した。マウスは、研究デザインにおいて指示された通り、腹腔内投与されるr5D8で週2回治療した。賦形剤対照(PBS)、ラットr5D8、及び/又は抗CD4及び抗CD8を、研究デザインにおいて記述した通り、週2回、腹腔内注射(IP)を介してマウスに投与した。すべての抗体治療は、同時に施された。
【0134】
実施例16-ヒトLIFとの複合体におけるh5D8の結晶構造
h5D8の結晶構造を、h5D8が結合するLIF上のエピトープを決定する、また、結合に関与するh5D8の残基を決定するために、3.1オングストロームの分解能に対して解析した。共結晶構造から、LIFのN末端ループが、h5D8の軽鎖可変領域と重鎖可変領域との間の中心に位置することが明らかになった(図13A)。さらに、h5D8は、LIFのヘリックスA及びC上の残基と相互作用し、それによって、不連続且つ立体構造的エピトープを形成する。結合は、いくつかの塩橋、H結合、及びファンデルワールス相互作用によって推進される(表7、図13B)。LIFのh5D8エピトープは、gp130との相互作用の領域に及ぶ。Boulanger,M.J.,Bankovich,J.,Kortemme,T.,Baker,D.&Garcia,K.C. Convergent mechanisms for recognition of divergent cytokines by the shared signaling receptor gp130.Molecular cell 12,577-589(2003)を参照されたい。これらの結果を、下の表7にまとめて示し、また、図13に表す。
【0135】
【表7】
【0136】
方法
LIFは、HEK 293S(Gnt I-/-)細胞において一過性発現させ、Ni-NTA親和性クロマトグラフィー、それに続いてゲル濾過クロマトグラフィー(20mM Tris pH8.0及び150mM NaCl中)を使用して精製した。組換え型h5D8 Fabは、HEK 293F細胞において一過性発現させ、KappaSelectアフィニティクロマトグラフィー、それに続いて陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して精製した。精製されたh5D8 FabとLIFを、1:2.5のモル比で混合し、室温で30分間インキュベートし、その後EndoHを使用して脱グリコシル化を行った。続いて、ゲル濾過クロマトグラフィーを使用して、複合体を精製した。この複合体を、20mg/mLに濃縮し、低密度マトリックススクリーン(tesparse matrix screen)を使用する結晶化試行のために準備した。19%(v/v)イソプロパノール、19%(w/v)PEG 4000、5%(v/v)グリセロール、0.095Mクエン酸ナトリウム(pH5.6)を含有する条件で、4℃で結晶を形成させた。この結晶を、Canadian Light Source(CLS)の08ID-1ビームラインで、3.1Åの分解能まで回折させた。データを収集し、Kabsch et al.Xds.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,125-132(2010)の通りにXDSを使用して処理及びスケーリングした。構造は、McCoy et al.Phaser crystallographic software.J Appl Crystallogr 40,658-674(2007)の通りに、Phaserを使用して、分子置換によって決定した。構造が許容されるRwork及びRfreeに収束するまで、Coot及びphenix.refineを使用して、数回繰り返されるモデル構築及び精密化を実施した。Emsley et al.Features and development of Coot.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,486-501(2010);及びAdams,et al.PHENIX:a comprehensive Python-based system for macromolecular structure solution.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,213-221(2010)をそれぞれ参照のこと。図は、PyMOL(The PyMOL Molecular Graphics System,Version 2.0 Schroedinger,LLC)で作成した。
【0137】
実施例17-h5D8はLIFに対する高い特異性を有する
h5D8の他のLIFファミリーメンバーに対する結合を試験して、結合特異性を決定しようとした。Octet96解析を使用すると、ヒトLIFに対するh5D8結合は、LIFと最も高い相同性のIL-6ファミリーメンバーオンコスタチンM(OSM)に対する結合よりもおよそ100倍強い(どちらのタンパク質も大腸菌(E.coli)において産生される場合)。どちらのタンパク質も哺乳類系において産生される場合、h5D8は、OSMに対する結合は呈しない。データを、表8にまとめて示す。
【0138】
【表8】
【0139】
方法
Octet結合実験:試薬は、製造者によって提供されたマニュアルの通りに使用及び調製した。基本の速度解析実験(Basic Kinetics Experiment)は、Octet Data Acquisitionソフトウェアver.9.0.0.26を次の通りに使用して実施した:センサー/プログラムの設定:i)平衡化(60秒);ii)負荷(15秒);iii)ベースライン(60秒);iv)結合(180秒);及びv)解離(600秒)。
【0140】
サイトカインに対するh5D8のOctet親和性:基本の速度解析実験(Basic Kinetics Experiment)は、Octet Data Acquisitionソフトウェアver.9.0.0.26を次の通りに使用して実施した:アミン反応性第2世代バイオセンサー(Amine Reactive 2ndGeneration Biosensors)(AR2G)を水中で最低15分間含水させた。バイオセンサーに対するh5D8のアミン結合を、アミンカップリング第2世代キット(Amine Coupling Second Generation Kit)を使用して、ForteBio Technical Note 26(参考文献を参照されたい)に従って実施した。浸漬ステップは、30℃、1000rpmで、次の通りに実施した:i)水中での60秒の平衡化;ii)20mM ECD、10mMスルホ-NHS(水中)中での300秒の活性化;iii)10mM酢酸ナトリウム(pH6.0)中での10μg/ml h5D8の600秒の固定化;iv)1Mエタノールアミン(pH8.5)中での300秒の反応停止(Quench);v)水中での120秒のベースライン。次いで、30℃、1000rpmでの次の浸漬及び読み取りステップを伴う速度解析実験を実施した:vi)1X速度解析緩衝液中での60秒のベースライン;vii)サイトカインの1X速度解析緩衝液中での適切な段階希釈物の180秒の結合;viii)1X速度解析緩衝液中での300秒の解離;ix)それぞれ10mMグリシン(pH2.0)と1X速度解析緩衝液とを交代させる3回の再生/中和サイクル(3回のサイクルについてそれぞれ5秒)。再生後、バイオセンサーを、その後の結合分析のために再利用した。
【0141】
哺乳類細胞から産生されるヒト組換え型LIFは、ACROBiosystems(LIF-H521b)によるものであった;哺乳類細胞において産生されるヒト組換え型OSMは、R&D(8475-OM/CF)によるものであった;大腸菌(E.coli)細胞において産生されるヒト組換え型OSMは、R&D(295-OM-050/CF)によるものであった。
【0142】
実施例18-h5D8 fabの結晶構造
広範囲の化学的条件下でのh5D8 Fabの5つの結晶構造を決定した。これらの構造の高い分解能は、CDR残基の立体構造が、わずかな自由度しか伴っておらず、異なる化学環境でも高度に類似であることを示す。この抗体の固有の特徴は、可変重鎖領域の第100位における非カノニカルなシステインの存在である。構造分析により、システインが不対であり、溶媒に大いに近づきにくいことが示される。
【0143】
H5D8 Fabは、そのIgGのパパイン消化、それに続く、標準のアフィニティ、イオン交換、及びクロマトグラフィー技術を使用する精製によって得た。結晶は、蒸気拡散法を使用して得、分解能が1.65Å~2.0Åの範囲である5つの結晶構造を決定することが可能になった。5つの異なるpHレベル:5.6、6.0、6.5、7.5、及び8.5にわたる範囲である結晶化条件にもかかわらず、すべての構造が、同じ結晶学的空間群内で、且つ類似の単位格子寸法を伴って(P212121、a 約53.8Å、b 約66.5Å、c 約143.3Å)解析された。したがって、これらの結晶構造は、人工産物を詰め込んだ結晶によって邪魔されない、また、広範囲の化学的条件にわたる、h5D8 Fabの三次元配置の比較が可能である。
【0144】
すべての相補性決定領域(CDR)残基について、電子密度を観察し、続いて、これをモデル化した。注目すべきことに、LCDR1及びHCDR2は、細長い立体構造をとり、これは、浅いLCDR3及びHCDR3領域と共に、パラトープの中心の結合溝を形成していた(図14A)。5つの構造は、すべての残基にわたって高度に類似であり、すべての原子の平均二乗偏差は、0.197Å~0.327Åの範囲である(図14A)。これらの結果は、CDR残基の立体構造が、5.6~8.5の範囲であるpHレベル及び150mM~1Mの範囲であるイオン強度を含めた様々な化学環境において維持されることを示した。h5D8パラトープの静電表面の分析から、正及び負に帯電した領域が、親水特性に等しく寄与し、広く行きわたる疎水性パッチは存在しないことが明らかになった。h5D8は、HCDR3の基部に(Cys100)、非カノニカルなシステインというあまり見られない特徴を有する。5つすべての構造において、この遊離のシステインが配列され、ジスルフィドスクランブルをまったく形成しない。さらに、これは、Cys(システイン付加(cysteinylation))又はグルタチオン(グルタチオン付加(glutathiolation))の付加によって改変されず、重鎖のLeu4、Phe27、Trp33、Met34、Glu102、及びLeu105の主鎖及び側鎖原子と共にファンデルワールス相互作用(3.5~4.3Å距離)を生じる(図14B)。最後に、Cys100は、CDR1及びHCDR3の立体構造を媒介するのに関与するように見える圧倒的に埋没した構造の残基である。したがって、本発明者らの5つの結晶構造におけるこの領域の均一な配置によって観察される場合に、他のシステインとの反応性を有する可能性が低い。
【0145】
方法
H5D8-1 IgGは、Catalent Biologicsから入手し、25mMヒスチジン、6%スクロース、0.01%ポリソルベート80中でpH6.0で調製した。調製されたIgGを、10K MWCO濃縮器(Millipore)を使用して、大規模にPBSに緩衝液交換し、その後、37℃で1時間、1:100マイクログラムのパパイン(Sigma)(PBS、1.25mM EDTA、10mMシステイン中)を用いて消化を行った。パパインで消化されたIgGを、AKTA Startクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)を使用して、プロテインAカラム(GE Healthcare)に流した。h5D8 Fabを含有するプロテインA素通り画分を回収し、10K MWCO濃縮器(Millipore)を使用して、20mM 酢酸ナトリウム(pH5.6)に緩衝液交換した。得られた試料を、AKTA Pureクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)を使用して、Mono S陽イオン交換カラム(GE Healthcare)に負荷した。1M塩化カリウムのグラジエントを用いる溶離は、顕著なh5D8 Fabピークをもたらし、これを回収し、濃縮し、20mM Tris-HCl、150mM塩化ナトリウム中で、pH8.0で、Superdex 200 Increaseゲル濾過カラム(GE Healthcare)を使用して精製して、大きさを均一にした。還元及び非還元条件下でのSDS-PAGEによって、高純度のh5D8 Fabが確認された。
【0146】
精製されたh5D8 Fabを、10K MWCO濃縮器(Millipore)を使用して25mg/mLに濃縮した。Oryx 4ディスペンサー(Douglas Instruments)を使用して、20℃で低密度マトリックス96-コンディションズ(conditions)市販のスクリーンJCSG TOP96(Rigaku Reagents)及びMCSG-1(Anatrace)を用いる蒸気拡散結晶化実験の準備をした。次の5つの結晶化条件:1)0.085Mクエン酸ナトリウム、25.5%(w/v)PEG 4000、0.17M酢酸アンモニウム、15%(v/v)グリセロール(pH5.6);2)0.1M MES、20%(w/v)PEG 6000、1M塩化リチウム(pH6.0);3)0.1M MES、20%(w/v)PEG 4000、0.6M塩化ナトリウム(pH6.5);4)0.085M HEPESナトリウム、17%(w/v)PEG 4000、8.5%(v/v)2-プロパノール、15%(v/v)グリセロール(pH7.5);及び5)0.08M Tris、24%(w/v)PEG 4000、0.16M塩化マグネシウム、20%(v/v)グリセロール(pH8.5)において、4日後に結晶を得、収集した。液体窒素中で瞬間凍結させる前、結晶を含有する母液を、必要に応じて5~15%(v/v)グリセロール又は10%(v/v)エチレングリコールと共に添加した。結晶に、先端放射光施設(Advanced Photon Source)でのX線シンクロトロン放射、ビームライン23-ID-D(Chicago,IL)を施し、回折パターンを、Pilatus3 6M検出器で記録した。XDSを使用してデータを処理し、Phaserを使用して分子置換によって構造を決定した。Cootでのモデル構築と共に、PHENIXでの精密化を実施した。図は、PyMOLで作成した。すべてのソフトウェアは、SBGridを通してアクセスした。
【0147】
実施例19-h5D8のシステイン100での変異は結合を維持する
h5D8の分析から、重鎖の可変領域における第100位での遊離のシステイン残基(C100)が明らかになった。ヒト及びマウスLIFに対する結合及び親和性を特徴付けるために、C100をそれぞれ天然に存在するアミノ酸と置換することによって、H5D8バリアントを作製した。ELISA及びOctetアッセイを使用して、結合を特徴付けた。結果を表9にまとめて示す。ELISA EC50曲線は、図15に示す(図15A ヒトLIF及び図15B マウスLIF)。
【0148】
【表9】
【0149】
方法
ELISA:ヒト及びマウスLIFに対するh5D8 C100バリアントの結合を、ELISAによって決定した。組換え型ヒト又はマウスLIFタンパク質を、1μg/mLで、4℃で一晩、Maxisorp 384ウェルプレート上にコーティングした。プレートを、室温で2時間、1×ブロッキング緩衝液でブロッキングした。各h5D8 C100バリアントの段階希釈物(titration)を添加し、室温で1時間結合させた。プレートを、PBS+0.05% Tween-20で3回洗浄した。HRP結合抗ヒトIgGを添加し、室温で30分間結合させた。プレートを、PBS+0.05% Tween-20で3回洗浄し、1×TMB基質を使用して顕色させた。1M HClを用いて反応を停止させ、450nmでの吸収を測定した。図の作成及び非線形回帰分析は、Graphpad Prismを使用して実施した。
【0150】
Octet RED96:ヒト及びマウスLIFに対するh5D8 C100バリアントの親和性を、Octet RED96システムを使用して、BLIによって決定した。h5D8 C100バリアントを、1×速度解析緩衝液中での30秒のベースライン後に、7.5μg/mLで、抗ヒトFcバイオセンサーに負荷した。ヒト又はマウスLIFタンパク質の段階希釈物(titration)を、90秒間、負荷されたバイオセンサーに結合させ、300秒間、1×速度解析緩衝液中で解離させた。KDは、1:1グローバルフィットモデルを使用して、データ分析ソフトウェアによって算出した。
【0151】
実施例20-h5D8はLIFのgp130への結合をインビトロで阻止する
h5D8が、LIFがLIFRと結合するのを妨げるかどうかを決定するために、Octet RED 96 プラットフォームを使用する分子結合アッセイを実施した。H5D8を、抗ヒトFc捕捉によってAHCバイオセンサーに負荷した。次いで、バイオセンサーをLIFに浸漬させ、予想通り、結合が観察された(図16A、3分割の中央)。続いて、バイオセンサーを、異なる濃度のLIFRに浸漬させた。用量依存性の結合が観察された(図16A、3分割の右側)。対照実験は、この結合がLIF特異的であり(図示していない)、LIFRとh5D8との、又はバイオセンサーとの非特異的な相互作用に起因しないことを実証した。
【0152】
h5D8とLIFとの結合をさらに特徴付けるために、一連のELISA結合実験を行った。H5D8とLIFをプレインキュベートし、次いで、組換え型ヒトLIFR(hLIFR)又はgp130でコーティングしたプレートに導入した。h5D8/LIF複合体とコーティング基質との間の結合の欠如は、h5D8が、LIFの受容体への結合を何らかの方法で妨害したことを示すであろう。さらに、LIFと結合しない対照抗体((-)で示されるアイソタイプ対照)、又は知られている結合部位でLIFと結合する対照抗体(B09は、LIF結合について、gp130ともLIFRとも競合しない;r5D8は、h5D8のラット親型である)も使用した。ELISA結果は、h5D8/LIF複合体が、hLIFRと結合することが可能である(r5D8/LIF複合体もそうである)ことを実証し、これらの抗体がLIF/LIFR結合を妨げないことが示された(図16A)。対照的に、h5D8/LIF複合体(及びr5D8/LIF複合体)は、組換え型ヒトgp130と結合することが可能ではなかった(図16B)。これは、LIFがh5D8に結合した場合に、LIFのgp130結合部位が影響を受けたことを示す。
【0153】
実施例21-ヒト組織におけるLIF及びLIFR発現
LIF及びLIFRの発現レベルを決定するために、多くの異なる種類のヒト組織に対して、定量的リアルタイムPCRを実施した。図17A及び17Bに示した平均発現レベルは、100ngの全RNAあたりのコピー数として示される。ほとんどの組織は、100ngの全RNAあたり少なくとも100コピーを発現した。LIF mRNA発現は、ヒト脂肪組織(腸間膜-回腸[1])、血液-血管組織(脈絡膜-神経叢[6]及び腸間膜[8])、及び臍帯[68]組織において最も高く、脳組織(皮質[20]及び黒質[28])において最も低かった。LIFR mRNA発現は、ヒト脂肪組織(腸間膜-回腸[1])、血管組織(肺[9])、脳組織[11-28]、及び甲状腺[66]組織において最も高く、PBMC[31]において最も低かった。カニクイザル組織におけるLIF及びLIFR mRNA発現レベルは、ヒト組織において観察されるものと同様であり、ここでは、LIF発現は、脂肪組織において高く、また、LIFR発現は、脂肪組織において高く、PBMCにおいて低かった(データは示していない)。
【0154】
図17A及び図17Bについての組織番号付けは、以下である:1-脂肪(腸間膜-回腸);2-副腎;3-膀胱;4-膀胱(三角部);5-血液-血管(大脳:中大脳-動脈);6-血管(脈絡膜-神経叢);7-血管(冠動脈);8-血管(腸間膜(結腸));9-血管(肺);10-血管(腎臓);11-脳(扁桃体);12-脳(尾状核);13-脳(小脳);14 脳-(皮質:帯状皮質-前);15-脳(皮質:帯状皮質-後);16-脳(皮質:前頭皮質-外側部);17-脳(皮質:前頭皮質-内側部);18-脳(皮質:後頭);19-脳(皮質:頭頂葉);20-脳(皮質:側頭);21-脳(背側縫線核);22-脳(海馬);23-脳(視床下部:前部);24-脳(視床下部:後部);25-脳(青斑核);26-脳(延髄);27-脳(側坐核);28-脳(黒質);29-乳房;30-盲腸;31-末梢血単核球(PBMC);32-結腸;33-後根神経節(DRG);34-十二指腸;35-ファロピウス管;36-胆嚢;37-心臓(左心房);38-心臓(左心室);39-回腸;40-空腸;41-腎臓(皮質);42-腎臓(髄質);43-腎臓(骨盤);44-肝臓(実質);45-肝臓(気管支:主);46-肝臓(気管支:3次);47-肺(実質);48-リンパ腺(扁桃);49-筋肉(骨格筋);50-食道;51-卵巣;52-膵臓;53-松果体;54-脳下垂体;55-胎盤;56-前立腺;57-直腸;58-皮膚(包皮);69-脊髄;60-脾臓(実質);61-胃(前庭部);62-胃(体部);63-胃(底部);64-胃(幽門管);65-精巣;66-甲状腺;67-気管;68-臍帯;69-尿管;70-子宮(頸部);71-子宮(筋層);及び72-精管。
【0155】
実施例22-用量選択、用量増大、及び一定投薬
抗LIF抗体の用量選択、用量増大、及び一定投薬を、以下に記載する。h5D8の安全性評価については、マウス及びカニクイザルを使用した。
【0156】
100mg/kgまでのIV投薬を毎週受けたマウス及びサルにおける4週のGLP毒性研究において、非治療関連有害作用が認められた。したがって、重篤な毒性が発現しない最大用量(highest non-severely toxic dose)(HNSTD)は、>100mg/kgであり、無毒性量(NOAEL)は、この研究の条件下で、どちらの種においても100mg/kg(IV)として確立された。投薬量をスケール調節して、ヒト等価用量(HED)を確立した。HEDの推定については、体表面積(BSA)に基づくスケール調節手法を採用した。これらのGLP毒性研究に基づくと、推奨される最大開始用量(maximum recommended starting dose)(MRSD)は、以下に示した通りに推定された:
・マウスNOAELからの10倍の安全係数を用いた0.81mg/kg(IV)HED
・マウスにおける重篤な毒性が発現する用量(severely toxic dose)の1/10に基づいた>10mg/kg(IV)
・カニクイザルNOAELからの10倍の安全係数を用いた3.2mg/kg(IV)HED
・HNSTDの1/6に基づいた>16.7mg/kg(IV)
毒性研究に基づき、また、第1相研究における進行癌患者集団について保守的な手法を取り、1mg/kg(又は75mg一定用量)(IV)のMRSDを、データによって裏付けた。
【0157】
MRSDの設定においては、薬理学的作用量(pharmacologically active dose)(PAD)も考慮されている。今日までに利用可能なマウス薬理学モデルにおける薬理学、PK、及びLIFレベルデータに基づいて、次の手法を使用して、PADを推定した。U251マウス異種移植モデルにおける用量反応に基づくと、最適な有効用量は、約300μg(IP 週2回)であると考えられ;この用量レベルは、約230μg/mLの最終投与の前のトラフ血清レベルと関連していた。血清LIFレベルの最大レベルが、このモデルにおけるこの300μg用量で得られるという証拠が存在しており、これはまた、10、30、及び100mg/kgの用量でのマウスGLP毒性研究における血清LIFレベルデータによって裏付けられた。サルPKデータに適合させ、ヒトのためにスケール調節した2-コンパートメントモデルに基づくPKモデルを使用すると、3週ごとの1500mgの臨床用量は、約500μg/mLのCトラフを提供するであろう。同様に、このU251マウス異種移植モデルにおける20μg(週2回)の最小有効量は、約20μg/mLの最終投与の前のトラフ血清レベルと関連していた;マウスPK-忍容性研究における0.5mg/kg(IV)の用量での最小LIFレベルの証拠によって裏付けられる、最大血清LIFレベルのわずか約50%が、この20μg用量で得られるという証拠が存在していた。3週ごとの75mgの臨床用量は、約25μg/mLのCトラフを提供するであろう。マウス同系移植モデルから入手できる追加のPK-PD(LIFレベル)データによって、U251マウス異種移植モデルから得られるPADが裏付けられた。
【0158】
したがって、75mg(i.v.)の開始用量は、マウス及びサルにおける毒性データとマウス異種移植モデルにおける最小有効用量との両方に基づいて、適切であると考えられた。1500から2000mgの最大臨床用量は、毒性データによって裏付けられた。試験物関連の有害所見がないことと併せて、動物モデルにおける線形PKの知見に基づくと、一定投薬手法が適切であった。
【0159】
実施例23-白血病抑制因子のレベルを決定するためのアッセイ
MSDプレートの調製
MSDプレート(Meso Scale Diagnostics;Cat.No.R93BA-1)を、新たに希釈したウサギA4モノクローナル捕捉抗体(96ウェルプレートの1ウェルあたり5μlの100μg/ml(PBS中)+0.03% Triton X-100)でスポットコーティングし、室温で一晩インキュベートする。翌日、プレートを、ブロッキング溶液でブロッキングし、試料調製を実施する。プレートは、すぐに使用することも、後で使用するために乾燥させる及び冷蔵庫に入れることもできる。
【0160】
試料調製及び標準物質(standard)
品質対照(quality control)を、飽和量のh5D8治療用抗体(20μg/ml)及び組換え型ヒトLIF(rhLIF;ACRO Biosystems;Cat.No.LIF-H521b)を含有する100%正常ヒト血清又は血漿(NHS又はNHP)プール(マトリックス)中で、バルクで調製し、-80℃で保管して、使用前に解凍することができる。標準物質を、幾何学的希釈系列のrhLIFと共に飽和量の治療用抗体を含有する正常ヒト血清又は血漿中で調製する(2倍濃縮)。標準物質を、-80℃で保管し、使用前に解凍することができる。解凍した品質対照及び標準物質系列を、ピペットでディープウェルプレートのウェルに入れる。以前に凍結されているならば、血漿又は血清の対象試料を解凍する。標準物質、品質対照、及び試料を、最終濃度50%マトリックスの且つ10μg/ml治療用抗体を含有する希釈剤2(Meso Scale Diagnostics;Cat.No.R51BB-4)で1:2希釈し、室温で30分間インキュベートする。
【0161】
アッセイ
品質対照及び試料を、3連で、コーティング及びブロッキングされたMSDプレートに移す。室温での1時間のインキュベーション後、MSC-1/LIF複合体を、洗浄ステップによって除去する。Sulfo-Tag(商標)マウスモノクローナル検出抗体(Biolegend;クローンM017C3;Cat.No.530301)を添加し、インキュベーション後、結合しなかった材料を、さらなる洗浄ステップで除去する。結合したMSC-1/LIF複合体を、MSD S600装置によってSulfo-Tag(商標)によって検出する。このシステムによって定量化される強度は、結合した抗体複合体の量に比例し、RLU(相対発光単位(Relative Light Unit))として表される。総LIF濃度は、標準曲線に対する補間によってpg/mlで算出され、希釈係数2を乗じて、血漿又は血清試料中の総LIF濃度に到達する。
【0162】
このアッセイは、図19A及び19Bに示す通りの広いダイナミックレンジ;図20A及びBに示す通りの高い均一性を有し;図21に示す通りに高い濃度の治療用抗体濃度にわたって安定である。
【0163】
このアッセイを、図22A及び22Bに示す通りに使用される希釈剤;図23に示す通りの捕捉抗体のスポットコーティング濃度;及び図24に示す通りに使用される検出抗体を含めた、多くの最適化にかけた。
【0164】
実施例24-治療用抗体及び検出抗体によって結合されるエピトープ
捕捉ELISAを利用して治療用抗体による標的の結合を測定するために、捕捉抗体及び検出抗体は、標的の別の領域に結合しなければならない。さらに、全標的(治療用抗体によって結合されているものと結合されていないものの両方)が測定されるべきであるならば、関与する3つすべての抗体(治療用、検出、及び捕捉)は、標的と結合しなければならず、且つ他の2つの抗体の結合を邪魔してはならない。この目的のために、本発明者らは、あらかじめ形成されたLIF/抗体複合体の、ELISAアッセイにおける結合を決定しようと努めた。図25A及び25Bに示す通り、7C3と複合体形成したLIFは、gp130コーティングプレートに結合し、LIF受容体コーティングプレートに結合しないので、検出抗体M017C3は、LIF受容体と相互作用するLIFの部分に結合する可能性が高い。h5D8と複合体形成したLIFは、LIF受容体コーティングプレートに結合し、gp130コーティングプレートに結合しないので、治療用抗体h5D8は、gp130と相互作用するLIFの部分に結合する可能性が高い。図25C及び25Dに示す通り、LIFがビオチン標識され、アビジン標識されたHRPを使用して検出される場合、同様の結果が見られる。
【0165】
捕捉抗体A4(配列番号41及び42に示したもの)を、LIFに対する競合結合アッセイを使用して可能性のある抗体をスクリーニングすることによって決定した。これらの実験により、抗体A4が、LIFに対する高い結合を呈し、且つ治療用抗体h5D8又はM017C3による結合を邪魔しないことが明らかになった。
【0166】
実施例25-患者におけるLIFレベルを決定すること
実施例23に記載した通りのLIFレベルアッセイを使用して、異なる癌を有する3人のヒト対象におけるLIFレベルを決定した。対象Aは、粘液性脂肪肉腫と診断された57歳の白人男性である。対象は、約4か月間のネオアジュバント:アドリアマイシン及びイホスファミド、並びに約35日間の右ふくらはぎへのネオアジュバント放射線療法(5000cGy)で治療した。次いで、対象は、右ふくらはぎの治療的な広範切除、右の後脛骨神経、並びに膝窩、前脛骨及び後脛骨、及び腓骨血管の切開を受けた。対象は、胸部に胸膜疾患及び悪性リンパ節腫脹を再発した。対象を、ゲムシタビン及びタキソテールで約41日間治療し、最良効果(best response):病態進行(progressive disease)であった。次いで、対象を、ダカルバジンで4か月間治療し、部分奏功という最良効果であった。対象は、22日後に放射線学的に増悪し、h5D8試験に入った。対象は、h5D8 1125mgの初回投与を受け、約136日後に最近の投与(C6)(1500mg)を受けた。対象は、ベースライン時に、臨床的に有意な検査異常を有しておらず、ECOG全身状態(performance status)は1であった。患者は、末梢の腫瘍マーカーを有しない。2つの胸膜腫瘤を、標的病変として選択し、3つの非標的病変を選択した(1つの胸膜腫瘤及び2つのLNS)。転移性肺部位から生検試料を収集して、h5D8治療についてのバイオマーカーを決定した。生検試料を採取した時、対象は、LIFレベル上昇の証拠を示していた。対象AのLIFレベルを、図26Aに示す。
【0167】
対照Bは、ステージIV黒色腫と診断された66歳の男性である。対象は、h5D8試験の前に、1つの治療を施した。最良効果は、評価可能ではなく、結果は示さない(ニボルマブ;4か月)。失敗したニボルマブ治療は、重度の腫瘍免疫抑制を示した。対象は、治療レジメン(1125mg)(6週)を受けており、記録された最良効果は、「病態進行」である。転移性皮膚部位から生検試料を収集した。生検試料が収集された時、概して高いレベルのLIFが、総LIFアッセイによって対象において認められた。総LIFアッセイの結果を、図26Bに示す。
【0168】
対象Cは、卵巣癌と診断された66歳の白人女性である。12週での対象のh5D8 C5評価は、CA19-9の増大(412から1072U/ml)を示したが、標的病変は、RECIST基準による有意な増大を示さなかった(107から109mm)。対象は、治療レジメン(1500mg)(+16週)を受けており、記録された最良効果は、「病態安定(stable disease)」である。転移性リンパ節部位から生検試料を収集して、h5D8治療についてのバイオマーカーを決定した。生検試料を採取した時、対象は、h5D8投与の結果としてのLIFレベル上昇の証拠を示していた。対象CのLIFレベルを、図26Cに示す。
【0169】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に提示及び記載してきたが、こうした実施形態が、ほんの一例として提供されるに過ぎないことが、当業者には明らかであろう。本発明から逸脱しない多数の変更、改変、及び置換が、当業者には直ちに思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物を、本発明を実施する際に用いることができることが理解されよう。
【0170】
本明細書において言及したすべての刊行物、特許出願、発行された特許、及び又は文書は、それぞれ個々の刊行物、特許出願、発行された特許、及び他の文書が、あたかも具体的且つ個々にその全体を参照によって組み込まれることが示されるがごとく、参照により本明細書に組み込む。参照によって組み込まれる本文に含有される定義は、それらがこの開示における定義と矛盾する限りは除外される。
【0171】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本発明が属する分野の技術者当分野の技術者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によってそうではないと明確に指示されない限り、複数の指示物が含まれる。本明細書での「又は」に対するあらゆる言及は、他に規定されない限り、「及び/又は」を包含することが意図される。
【0172】
本明細書で使用する場合、他に示されない限り、用語「約」は、少なくとも10%の差の、規定した量に近い量を指す。
【0173】
本明細書で使用する場合、用語「を治療する」又は「を治療すること」は、個人の生理学的又は病的状態に関連する少なくとも1つの徴候又は症状を回復させるように設計された又は意図された、前記生理学的又は病的状態への介入を指す。癌に関する本明細書に記載される治療する又は治療することは、完全寛解、部分奏功、治療されている癌又は腫瘍の進行の遅延、腫瘍サイズ若しくは腫瘍負荷の低下、又は腫瘍若しくは腫瘍負荷の増殖の遅延を誘発することが意図される介入を指す。治療することはまた、癌又は腫瘍の転移又は悪性度を低下させることが意図される介入を指す。当業者は、すべての個人とは限らない、疾患を患っている所与の不均一な個人の集団が、所与の治療に等しく反応する、又は全く反応しないこととなることを認識するであろう。しかし、これらの個人は、治療されたとみなされる。不成功の治療は、一般に、疾患の進行、及び異なる治療薬での追加の治療の必要性をもたらす。ある種の態様では、本明細書に記載される抗体及び方法は、癌の寛解を維持する又は治療された癌に関連する同じ癌若しくは異なる癌の再発を予防するために使用することができる。
【0174】
本明細書で使用する場合、用語「総LIF」は、治療用抗体に結合しているLIFと治療用抗体に結合していないLIFの両方を指す。本明細書で使用する場合、用語「総LIFレベル」は、総LIFの定量化を指す。本明細書に記載される通り、総LIFレベルを測定するアッセイは、治療用抗体に結合しているLIFと治療用抗体に結合していないLIFの両方を測定する。本明細書に記載される通り、総LIFレベルは、限定はされないが、血液、血漿、又は血清を含めた、様々な患者試料について決定することができる。
【0175】
【表10】
【0176】
【表11】
【0177】
【表12】
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
【配列表】
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