(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/503 20150101AFI20241015BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20241015BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20241015BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241015BHJP
【FI】
F21V29/503 100
F21V29/508
F21V29/74
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021004058
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柘植 和則
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292659(US,A1)
【文献】実公昭46-007592(JP,Y2)
【文献】米国特許第07401941(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/503
F21V 29/508
F21V 29/74
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置であって、
上下方向に延出する柱状のグリップと、
前記グリップの上端に保持されかつ光源を具備する照射部と、
前記光源の電源であるバッテリが取り外し可能に装着されかつ前記グリップの下端に設けられるバッテリ取付部と、
前記照射部よりも下方に位置する前記グリップの上部または前記バッテリ取付部を含む前記グリップの下部に移動可能に基端が支持されたフックを有し、前記フックの先端領域が前記グリップの外周に沿う格納位置と、前記フックの前記先端領域が前記グリップから露出した使用位置とに移動可能であ
り、
前記フックは、前記格納位置において前記グリップの周方向に沿い、
前記グリップは、前記フックの前記基端をスライド可能にかつ回転可能に支持するレールを有する照明装置。
【請求項2】
照明装置であって、
上下方向に延出する柱状のグリップと、
前記グリップの上端に保持されかつ光源を具備する照射部と、
前記光源の電源であるバッテリが取り外し可能に装着されかつ前記グリップの下端に設けられるバッテリ取付部と、
前記照射部よりも下方に位置する前記グリップの上
部に移動可能に基端が支持されたフックを有し、前記フックの先端領域が前記グリップの外周に沿う格納位置と、前記フックの前記先端領域が前記グリップから露出した使用位置とに移動可能であり、
前記グリップの上端には、前記グリップの上下方向における中央領域よりも径方向に張出す拡径部が設けられ、
前記拡径部は、前記フックを格納するフック格納機構を有し、
前記フック格納機構は、
前記拡径部に凹設される収容溝と、前記収容溝の延長線上に設けられた孔形状のレールを有し、
前
記収容溝は、前記フックの少なくとも一部を収容し、
前記収容溝は、前記拡径部の径方向内方に向けて凹みを有しかつ前記拡径部の周方向の外周形状に沿って延び、前記格納位置における前記フックの前記先端領域を収容し、
前記レールは、前記拡径部の外方に対して開口しかつ前記拡径部の周方向の外周形状に沿って延び、前記格納位置における前記フックの前記基端を収容し、
前記基端は、前記使用位置において前記収容溝と前記レールの中間に位置する照明装置。
【請求項3】
照明装置であって、
上下方向に延出する柱状のグリップと、
前記グリップの上端に保持されかつ光源を具備する照射部と、
前記光源の電源であるバッテリが取り外し可能に装着されかつ前記グリップの下端に設けられるバッテリ取付部と、
前記照射部よりも下方に位置する前記グリップの上部または前記バッテリ取付部を含む前記グリップの下部に移動可能に基端が支持されたフックを有し、前記フックの先端領域が前記グリップの外周に沿う格納位置と、前記フックの前記先端領域が前記グリップから露出した使用位置とに移動可能であ
り、
前記グリップは、前記フックの前記基端を前記グリップの周方向にスライド可能に支持するレールを有する照明装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の照明装置であって、
前記グリップの上端または下端には、前記グリップの上下方向における中央領域よりも径方向に張出す拡径部が設けられ、
前記拡径部は、前記フックを格納するフック格納機構を有する照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載の照明装置であって、
前記拡径部に凹設される収容溝は、前記フックの少なくとも一部を収容する照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明装置であって、
前記拡径部は、前記グリップの上端に設けられる照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置であって、
前記フック格納機構は、前記収容溝の延長線上に設けられた孔形状のレールを有し、
前記収容溝は、前記拡径部の径方向内方に向けて凹みを有しかつ前記拡径部の周方向の外周形状に沿って延び、前記格納位置における前記フックの前記先端領域を収容し、
前記レールは、前記拡径部の外方に対して開口しかつ前記拡径部の周方向の外周形状に沿って延び、前記格納位置における前記フックの前記基端を収容し、
前記基端は、前記使用位置において前記収容溝と前記レールの中間に位置する照明装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の照明装置であって、
前記フックは、前記格納位置において前記グリップの周方向に沿う照明装置。
【請求項9】
請求項8に記載の照明装置であって、
前記レールは、前記グリップに設けられて前記フックの前記基端をスライド可能にかつ回転可能に支持す
る照明装置。
【請求項10】
請求項9に記載の照明装置であって、
前記グリップは、背面中央にフック取出口を有し、
前記レールが前記フック取出口から前記グリップの第1周方向に沿って延設され、
前記グリップには、前記フック取出口から前記第1周方向と反対方向の第2周方向に沿って延設され前記フックの前記先端領域が収容される収容溝が形成されている照明装置。
【請求項11】
請求項10に記載した照明装置であって、
前記フック取出口には、上下方向に延設する縦溝が形成され、前記フックの基部領域が前記縦溝に沿って起立される照明装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載した照明装置であって、
前記グリップの上領域には、前記グリップの上下方向における中央領域よりも径方向に張出す拡径部が設けられ、
前記拡径部の外周に前記格納位置の前記フックが沿う照明装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載した照明装置であって、
前記グリップには、前記格納位置における前記フックの基部領域を解除可能にロックするポジティブストップ機構が設けられる照明装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載した照明装置であって、
前記照射部は、前記グリップの前記上端に傾動可能に連結されている照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電動工具用の充電式バッテリパックを電源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式のバッテリパックを用いる照明装置は、例えばLED等の光源を具備する照射部と、バッテリパックを着脱可能なバッテリ取付部と、照射部とバッテリ取付部とを支持する本体部を有する。バッテリパックには、例えば電動ドリルやねじ締め機等の電動工具の電源として電動工具用のバッテリパックを使用できる。例えば交流100Vの家庭用電源等に接続する必要がない。これにより建築工事現場等の様々な場所に持ち運んで使用できる。
【0003】
本体部は、例えば手持ち可能な柱状のグリップ形状を有する。これにより使用者が照明装置を把持して使用できる。また本体部にフックが設けられた照明装置が従来提供されている。フックは、例えば建築工事現場等に設けられた引掛対象に引掛けられる。これにより使用者が把持せずとも、照明装置によって作業現場等を明るく照らすことができる。
【0004】
特許文献1には、グリップの上部と下部にフックを取付可能な取付孔を有する照明装置が開示されている。フックは、基端に球状のボス部を有する。取付孔は、ボス部よりも大きな径の大径部と、ボス部が通過できない径でありかつ大径部から延びる長孔で構成される。ボス部を大径部からグリップ内に進入させ、ボス部を長孔に沿ってスライドさせる。これにより取付孔にフックが取付けられる。特許文献2には、グリップの上端から延出しかつ上下方向にスライドして延出する長さを変更可能なフックが開示されている。特許文献3には、フックが基端を中心に回転可能にグリップに支持され、フックを回転させることでフックをグリップ内に収容可能とする構成が開示されている。
【0005】
従来の照明装置のフックは、例えば照明装置と別部材である場合、使用する度に取付ける必要がある。また、フックを使用しない場合にフックを紛失するおそれがある。本体部と分離しない従来のフックは、グリップ内に収容させるために湾曲部の径を比較的小さく設ける必要があった。また、グリップに対するフックの姿勢(向き、傾斜角度)の自由度が小さかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5988828号明細書
【文献】米国特許第7401941号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0134191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述するように照明装置の使用感を良くするために、照明装置が具備するフックには種々改良の余地があった。したがって引掛対象に引掛け易く使い勝手の良いフックを有する照明装置が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一つの特徴によると照明装置は、グリップと、グリップの上端に保持されかつ光源を具備する照射部を有する。照明装置は、光源の電源であるバッテリが取り外し可能に装着されかつグリップの下端に設けられるバッテリ取付部を有する。照明装置は、照射部よりも下方に位置するグリップの上部またはバッテリ取付部を含むグリップの下部に移動可能に基端が支持されたフックを有する。フックは、フックの先端領域がグリップの外周に沿う格納位置と、フックの先端領域がグリップから露出した使用位置とに移動可能である。
【0009】
したがってフックの基端がグリップに対して移動可能である。そのためフックは、グリップの外周においてフックをコンパクトに格納するのに好適な格納位置に移動できる。これにより、例えば建築工事現場の足場等に用いられる単管パイプに容易に引掛け可能な湾曲部の径が大きいフックを利用できる。湾曲部の径が大きいフックは、基端を移動させることでフックの先端領域がグリップの外周に沿った格納位置にコンパクトに格納できる。
【0010】
本開示の他の特徴によるとグリップは、上下方向に延出する柱状である。したがってグリップの中央部分は、使用者が把持する把持部として好適に設けられる。格納位置のフックは、グリップの中央部分よりも上方または下方に位置する。そのため格納位置のフックは、グリップの中央部分を把持する使用者の手の邪魔にならない。また、照明装置は、使用位置のフックを引掛対象に引掛ける際、グリップが概ね上下方向に延出した姿勢で引掛けられる。そのため照明装置の姿勢が安定し易い。
【0011】
本開示の他の特徴によるとグリップの上端または下端には、グリップの上下方向における中央領域よりも径方向に張出す拡径部が設けられる。拡径部は、フックを格納するフック格納機構を有する。したがって拡径部は、大型のフックを外部に突出させることなく格納できる。そのためフックを格納した状態でグリップを把持して照明装置を好適に使用できる。
【0012】
本開示の他の特徴によると拡径部に凹設される収容溝は、フックの少なくとも一部を収容する。したがってフックの少なくとも一部を収容溝に収容させることにより、フックを拡径部に安定した姿勢で保持できる。また、収容溝に収容されたフックの外形と、収容溝よりも外側の拡径部の外形を相互に倣わせることができる。そのため大型のフックを拡径部にコンパクトに格納できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると拡径部は、グリップの上端に設けられる。したがって使用位置のフックはグリップの上端から延出する。したがって照明装置は、フックを引掛対象に引掛ける際にグリップが概ね起立した姿勢になる。そのため引掛対象に引掛けた照明装置の姿勢を安定させ易い。
【0014】
本開示の他の特徴によるとフック格納機構は、収容溝の延長線上に設けられた孔形状のレールを有する。収容溝は、拡径部の径方向内方に向けて凹みを有しかつ拡径部の周方向の外周形状に沿って延びる。収容溝は、格納位置におけるフックの先端領域を収容する。レールは、拡径部の外方に対して開口しかつ拡径部の周方向の外周形状に沿って延びる。レールは、格納位置におけるフックの基端を収容する。フックの基端は、使用位置において収容溝とレールの中間に位置する。
【0015】
したがって収容溝とレールを協働させて、拡径部の周方向の外周形状に沿って長く延びるフック収容領域が形成される。そのため収容溝とレールは、大型のフックを拡径部の周方向の外周形状に沿ってコンパクトに収容できる。また、フックを格納位置から使用位置に移動させる際、フックの基端がレール内部から収容溝とレールの中間位置まで移動する。そのためフックの基端の移動量を拡径部の周方向の外周の長さに対して短く抑えることができる。そのためフックを格納位置と使用位置の間で好適に移動させ易い。
【0016】
本開示の他の特徴によるとフックは、格納位置においてグリップの周方向に沿う。したがってフックを柱状のグリップの周方向に沿わせることで、フックの湾曲部の径をグリップの外径に相当する大きさで大きく設けることができる。さらにフックをグリップの周方向に沿わせることで、格納位置のフックを上下方向にコンパクトにできる。そのためグリップを把持する際にフックが邪魔にならず使用感を良くできる。
【0017】
本開示の他の特徴によるとグリップは、フックの基端をスライド可能にかつ回転可能に支持するレールを有する。したがってフックは、基端がグリップに対して回転することにより姿勢を変えることができる。そのため異なる重さのバッテリを使用する際等において照明装置全体の重心が変わる場合でも、グリップに対するフックの姿勢(向きや傾斜角度)を最適な姿勢に変更できる。これによりフックが引掛対象から外れにくくなる。さらにフックの基端は、レールに沿ってスライドすることで、格納位置と使用位置の間で容易に移動できる。
【0018】
本開示の他の特徴によるとグリップは、背面中央にフック取出口を有する。レールは、フック取出口からグリップの第1周方向に沿って延設される。グリップには、フック取出口から第1周方向と反対方向の第2周方向に沿って延設されフックの先端領域が収容される収容溝が形成される。したがってフックの基端をフック取出口から第1周方向にスライドさせる動作に合わせて、フックの先端領域を収容溝にスムーズに収めることができる。そのためフックを容易に格納位置に格納させることができる。
【0019】
本開示の他の特徴によるとフック取出口には、上下方向に延設する縦溝が形成され、フックの基部領域が縦溝に沿って起立される。したがって使用位置のフックは、縦溝によってレールに対して起立した姿勢を維持できる。一方で縦溝の延出方向に沿った上下方向におけるフックの姿勢の自由度を確保できる。そのためフックを引掛対象に引掛ける際の照明装置の姿勢を安定させ易い。これにより作業現場等を好適に照らすことができる。
【0020】
本開示の他の特徴によるとグリップの上領域には、グリップの上下方向における中央領域よりも径方向に張出す拡径部が設けられる。拡径部の外周に格納位置のフックが沿う。したがって拡径部の径に相当する大きさの大きなフックを収納できる。また、グリップの鍔部分、もしくは照射部の支持部として形成されている拡径部を利用してフックを格納させる。そのため従来の照明装置からグリップの形状を大きく変更させる必要がない。
【0021】
本開示の他の特徴によるとグリップには、格納位置におけるフックの基部領域を解除可能にロックするポジティブストップ機構が設けられる。したがって格納位置に移動させる際にフックが自動的にロックされる。さらにフックを格納位置から使用位置へ移動させる際に自動的にロックが解除される。そのためフックの使い勝手を良くすることができる。
【0022】
本開示の他の特徴によると照射部は、グリップの上端に傾動可能に連結されている。したがって照射部を傾動させて光源の照射方向を変える際、引掛対象に引掛けたフックは、グリップに対する姿勢の自由度によって照明装置の重心のバランスが良くなる姿勢に自動的に変更される。そのため照明装置をバランス良く引掛対象に引掛けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係る照明装置のフックが格納位置に位置する状態を示す斜視図である。
【
図2】フックが使用位置に位置する状態を示す照明装置の斜視図である。
【
図3】フックが格納位置に位置する状態を示す照明装置の側面図である。
【
図4】使用位置のフックを引掛対象に引掛けた状態を示す照明装置の側面図である。
【
図5】使用位置のフックを引掛対象に引掛け、照射部の照射方向が左右方向に傾動した状態を示す照明装置の側面図である。
【
図6】使用位置のフックを引掛対象に引掛け、照射部の照射方向が左右方向に傾動しかつ上下方向に揺動した状態を示す照明装置の側面図である。
【
図7】フックが格納位置に位置する状態を示す照明装置の後面図である。
【
図8】フックが使用位置に位置する状態を示す照明装置の後面図である。
【
図10】格納位置と使用位置と中間位置におけるフックを示すフック格納機構の斜視図である。
【
図11】フック格納機構の上方から見た横断面図である。
【
図12】フック格納機構の後方から見た縦断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る照明装置のフックが格納位置に位置する状態を示す斜視図である。
【
図15】フックが使用位置に位置する状態を示す照明装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の1つの実施形態を
図1~13に基づいて説明する。
図1に示すように第1実施形態の照明装置1は、柱状の本体部10と、本体部10の一端において傾動可能に支持される照射部2を有する。以下の説明においては、本体部10の延出方向を上下方向として照射部2が配置される側を上側とする。照射部2は、
図1のように本体部10に対して傾動しておらずかつ本体部10の延出方向の延長線上に延びている姿勢を初期姿勢とする。前後方向については、照射部2が具備する光源5が初期姿勢において照射する方向を前方とする。左右方向については、後方から前方に向けて見る時を基準にして規定する。
【0025】
図1に示すように本体部10は、円柱状のグリップ11を有する。グリップ11は、使用者が照明装置1を把持する際の把持部になる。グリップ11の表面には、把持する際の滑り止め用のエラストマ樹脂層11aが被覆されている。グリップ11の上部後面には、電源スイッチ10aが設けられている。電源スイッチ10aを押すことで、光源5のオンオフ状態が切替えられる。光源5は、オフ状態の場合に電源スイッチ10aが押されることでオン状態に切替えられて点灯する。光源5は、オン状態の場合に電源スイッチ10aが押されることで、オフ状態に切替えられて消灯する。
【0026】
図1に示すように本体部10は、グリップ11の下端に下側拡径部12を有する。下側拡径部12は、グリップ11の下端からグリップ11の上下方向における中央領域よりも径方向に張出して略矩形の箱形に形成されている。下側拡径部12の下面には、バッテリ取付部13が設けられている。バッテリ取付部13には、光源5の電源としてのバッテリ14を取外し可能に装着できる。バッテリ14は、電動工具用の充電式バッテリパックであって、例えば電動ねじ締め機やグラインダ等の電動工具の電源として利用される。バッテリ14は、別途用意した充電器で充電して繰り返し電源として利用可能である。バッテリ14は、例えば18Vまたは36Vの直流電流を出力するリチウムイオンバッテリである。
【0027】
図3に示すようにバッテリ取付部13に取付けられたバッテリ14の下面は、照明装置1を卓上等に載置する際の設置面としても機能する。グリップ11は、バッテリ14の下面を設置面として載置する際に垂直に起立した姿勢になる。照射部2は、バッテリ14の下面を設置面として載置しかつ照射部2が初期姿勢である際に垂直に起立した姿勢になる。
【0028】
図1に示すように本体部10は、グリップ11の上端に上側拡径部15を有する。上側拡径部15は、本開示における拡径部に相当する。上側拡径部15は、グリップ11の
上端からグリップ11の上下方向における中央領域よりも径方向に張出している。上側拡径部15は、略矩形の箱形あるいは板状に形成されている。上側拡径部15は、使用者が照明装置1を把持する際の鍔部に相当する。上側拡径部15の下面が使用者の手と当接することで、照明装置1が安定した状態で把持される。上側拡径部15の上面は、その上方に配置された照射部2が初期姿勢の際に照射部2を支持する台座面15aとして設けられている。
【0029】
図3に示すように上側拡径部15は、前方から後方に向かうに従って上方に向けてわずかに傾斜している。そのため照明装置1は、後述するフック21を単管パイプ等の引掛対象に引掛ける際に、光源5が下向きに照射する姿勢になり易い。これにより照明装置1は、高所の引掛対象に引掛けることで下方を好適に照らすことができる。また、わずかに傾斜した上側拡径部15の下面は、使用者が照明装置1を把持する使用者の手の上面とフィットし易い。そのため把持された照明装置1の安定感を高くすることができる。
【0030】
図3に示すように照射部2は、上側拡径部15の台座面15aの上方に設けられている。照射部2は、上下揺動支持部3と左右傾動支持部4を有する。上下揺動支持部3は、照射部2を本体部10に対して上下方向に揺動可能に支持する。照射部2は、左右方向に延びる上下揺動支軸3aを中心にして上下方向に揺動する。上下揺動支軸3aは、台座面15aの前部に設けられた揺動支持部15c(
図9参照)に支持されている。
【0031】
図3に示す上下揺動支持部3の内部には、節度感(クリック感)を持たせるためのクリック機構が設けられている。クリック機構は、上下揺動支軸3aの径方向にばね付勢されたピン部材と、ピン部材が係合可能に複数個設けられた凹形状のピン係合部で構成される。照射部2は、クリック機構によって所定の角度毎に段階的に上下方向に揺動する。これにより照射部2は、初期姿勢を0°として、下方に向かって例えば30°毎に30°、60°、90°、120°、150°、180°と上下方向の傾斜角度を段階的に変更できる(
図6参照)。台座面15aの後部には、上方に張出したストッパ15bが設けられている。照射部2は、ストッパ15bによって初期姿勢よりも上方に向く揺動が規制される。
【0032】
図3に示すように左右傾動支持部4は、上下揺動支持部3によって上下方向に揺動可能な照射部2の上部領域に設けられている。左右傾動支持部4は、照射部2が初期姿勢の際に台座面15aの上部後方に位置し、上下方向に延出する左右傾動支軸4aを有する。照射部2は、左右傾動支軸4aを中心に左右方向に傾動可能である。左右傾動支持部4の内部には、上下揺動支持部3と同様にクリック機構が設けられている。そのため照射部2は、所定の角度毎に節度感が持たされて左右方向に傾動する。照射部2は、初期姿勢を0°として、左右方向それぞれに向かって例えば45°で傾斜させることができる(
図5参照)。
【0033】
図5に示すように照射部2は、左右傾動支軸4aの延出方向に沿って並ぶ複数の光源5を有する。光源5は、発光ダイオード(LED)であり、バッテリ14から電力を供給されて点灯する。複数の光源5は、電気的にはバッテリ14に対して並列に接続されている。光源5は、照射部2の姿勢に応じて所定の方向に光を照射する。例えば照射部2が
図4に示す初期姿勢の場合、前方正面に向けて光を照射する。例えば照射部2が
図5に示すように初期姿勢から左方に傾動している場合、前方左側に向けて光を照射する。例えば照射部2が
図6に示すように初期姿勢から下方に揺動しかつ左方に傾動している場合、前方下側および左側に傾斜した方向に向けて光を照射する。
【0034】
図9に示すように上側拡径部15には、フック21が設けられている。フック21は、球状の基端21aと、基端21aから直線状に延出する基部領域21bと、基部領域21bの先端から円弧状に湾曲して延出する湾曲部21cを有する。湾曲部21cは、本開示におけるフック21の先端領域に相当する。基部領域21bと湾曲部21cは、断面円形で棒状の金属部材(鉄)で形成されている。基端21aは、樹脂製であり基部領域21bよりも大きい径で設けられている。基端21aは、基部領域21bにインサート成形されることで基部領域21bおよび湾曲部21cと一体に組付けられている。フック21は、上側拡径部15に設けられたフック格納機構20によって
図1に示す格納位置と
図2に示す使用位置の間で移動することができる。
【0035】
図9~11に示すようにフック格納機構20は、上側拡径部15の右側領域に設けられたレール22と、上側拡径部15の左側領域に設けられた収容溝23を有する。フック格納機構20は、レール22と収容溝23の間であって上側拡径部15の中央領域後端に縦溝24を有する。レール22は、基端21aの外径よりもわずかに大きい内径を有して基端21aが通過可能な断面円形の孔形状に形成されている(
図12参照)。レール22は、上側拡径部15の周方向の外周形状に沿って上側拡径部15の右側前部から右側後部に向けて延び、さらに上側拡径部15の中央領域後端の縦溝24まで延びている。換言するとレール22は、グリップ11の右側の第1周方向に沿って上面視で略L字状に延びている。上側拡径部15の右側後部には、レール22が上側拡径部15の外方に対して開いている開口22aが設けられている。そのためレール22は、開口22aから上側拡径部15の中央領域後端までの領域において上側拡径部15の周方向の外周面側が開いている。
【0036】
図9~11に示すように収容溝23は、レール22の延長線上に延びて設けられている。収容溝23は、上側拡径部15の外周から径方向内方に向けて凹みを有する溝形状である。収容溝23は、湾曲部21cの外径よりもわずかに大きい内径を有して湾曲部21cが進入可能な断面略半円形に形成されている。収容溝23は、上側拡径部15の周方向の外周形状に沿って上側拡径部15の中央領域後端から左側後端に向けて延び、さら
に上側拡径部15の左側面の前後方向における中間位置まで延びている。換言すると収容溝23は、グリップ11の左側の第2周方向に沿って上面視で略L字状に延びている。収容溝23は、格納位置に格納されたフック21の先端領域を上側拡径部15の外周形状から突出しないように収容する。収容溝23の終端23aは、上側拡径部15の左側面側に位置し、格納位置のフック21の湾曲部21cの先端と対向する。
【0037】
図7~9に示すように縦溝24は、ストッパ15bの後面中央に設けられている。縦溝24は、レール22および収容溝23と交差する上方に向けて延出する。縦溝24は、基部領域21bの外径よりもわずかに大きい溝幅を有する。レール22の終端と縦溝24とが交差する領域は、基端21aを回転可能なフック取出口22bとして設けられている。
【0038】
図9に示すように本体部10は、左右半割構造の右側ハウジング16と左側ハウジング18を連結させることで外形が形成される。縦溝24は、相互に連結させた右側ハウジング16と左側ハウジング18の間に形成される。右側ハウジング16の内部には、右側内部ハウジング17が取付けられる。レール22は、相互に連結させた右側ハウジング16と右側内部ハウジング17の間に形成される。
【0039】
右側ハウジング16と右側内部ハウジング17と左側ハウジング18は、以下に説明するようにして連結させることができる。
図13に示すように右側内部ハウジング17の上部には、上方に突出する複数のボス部17cが設けられている。ボス部17cには、左右方向に貫通する透孔が設けられている。右側ハウジング16の左側面には、ボス部17cと対応する位置に複数のねじ孔16aが設けられている。右側ハウジング16と右側内部ハウジング17との間にフック21を挟み込んだ状態で、ボス部17cに貫通させた雄ねじ19をねじ孔16aに締結させる。これにより右側ハウジング16と右側内部ハウジング17が連結される。
【0040】
図10に示すように右側ハウジング16側のストッパ15bには、左右方向に貫通する透孔15dが設けられている。左側ハウジング18側のストッパ15bには、ねじ孔を具備したボス部18aが設けられている。右側ハウジング16と右側内部ハウジング17を連結させた状態で、透孔15dに貫通させた雄ねじ19をボス部18aのねじ孔に締結させる。これにより右側ハウジング16と右側内部ハウジング17と左側ハウジング18が一体に連結される。
【0041】
図11に示すようにレール22の右側前部には、基端21aの移動を自動的にロック可能なポジティブストップ機構25が設けられる。ポジティブストップ機構25は、プランジャ27と、プランジャ27をレール22の内方に向けて付勢する圧縮ばね28と、圧縮ばね28を支持するプランジャ基台26を有する。プランジャ基台26は、右側内部ハウジング17に一体に連結される。右側内部ハウジング17の左側部には、右方に向けて延出するねじ孔17bが設けられている。矩形板状のプランジャ基台26には、左右方向に貫通する透孔26aが設けられている。透孔26aを通した雄ねじ19をねじ孔17bに締結させることで、プランジャ基台26が右側内部ハウジング17に連結される。プランジャ基台26は、右側ハウジング16と左側ハウジング18を連結させる前段階において右側内部ハウジング17に連結される。
【0042】
図11に示すように右側内部ハウジング17は、左右方向に貫通する透孔17aを有する。透孔17a内にはプランジャ27と圧縮ばね28が挿入されている。プランジャ27は、透孔17a内を左右方向に移動可能である。圧縮ばね28の左端はプランジャ基台26に支持されている。そのため圧縮ばね28は、プランジャ27をレール22が位置する右方に向けて付勢する。透孔17aの右側領域は、プランジャ27の右側先端が突出可能であり、プランジャ27の左側領域が通過できない小径に設けられている。これによりプランジャ27は、透孔17aからの抜け止めがされている。
【0043】
図11に示すようにプランジャ27は、圧縮ばね28によって右方に付勢されることでレール22内に突出する。プランジャ27は、基端21aをレール22に沿って前方の格納位置に移動させる際、基端21aによってレール22の通路上から左方へ押し出される。基端21aがプランジャ27よりもさらに奥側の格納位置に移動すると、プランジャ27が再び圧縮ばね28の付勢力によってレール22内に突出する。そのため基端21aは、プランジャ27によって後方への移動が規制される。これによりフック21を自動的に格納位置にロックできる。
【0044】
図11に示すように格納位置のフック21の湾曲部21cは、レール22の後端領域において部分的に外方に露出している。使用者は、湾曲部21cの露出部分を把持して後方へ引くことで、格納位置のフック21を引出すことができる。プランジャ27は、格納位置のフック21を引き出す際に、基端21aによって圧縮ばね28の付勢力に抗してレール22の外方に押出される。そのため所定以上の力でフック21を後方へ引くことで、ポジティブストップ機構25によりフック21のロック状態を解除し、フック21を格納位置から使用位置へ引出すことができる。
【0045】
図8に示すように使用位置のフック21の基部領域21bは、縦溝24の垂直に起立する左右の両壁によって左右方向への傾動が抑制される。一方、使用位置のフック21の基端21aは、フック取出口22bにおいて回転可能である。そのため基部領域21bは、縦溝24によって起立した姿勢で支持された状態で、上下方向に揺動可能である。また、基部領域21bは、縦溝24によって起立した姿勢で支持された状態で、基部領域21bの軸回りに首振り可能である。
【0046】
図4~6に示すように使用位置のフック21の湾曲部21cは、建築工事現場の足場等に用いられる単管パイプPを引掛対象として引掛けることができる。照明装置1は、照明装置1全体の重心Gが単管パイプPの中心の真下に位置する姿勢で安定して単管パイプPに引掛けられる。フック21は、上述するように上下方向に延びる縦溝24(
図2参照)に沿って上下方向に揺動可能である。そのため
図4,5に対して
図6のように照明装置1全体の重心Gが移動する場合も、フック21が上下方向に揺動して重心Gが単管パイプPの中心の真下に位置する姿勢になる。これにより単管パイプPに引掛けられた照明装置1の光源5が好適に作業現場等を照らすことができる。
【0047】
上述するように照明装置1は、
図2に示すようにグリップ11と、グリップ11の上端に保持されかつ光源5を具備する照射部2を有する。照明装置1は、光源5の電源であるバッテリ14が取り外し可能に装着されかつグリップ11の下端に設けられるバッテリ取付部13を有する。照明装置1は、照射部2よりも下方に位置するグリップ11の上部に移動可能に基端21aが支持されたフック21を有する。フック21は、フック21の先端領域の湾曲部21cがグリップ11の外周に沿う格納位置と、フック21の先端領域がグリップ11から露出した使用位置とに移動可能である。
【0048】
したがってフック21の基端21aがグリップ11に対して移動可能である。そのためフック21は、グリップ11の外周においてフック21をコンパクトに格納するのに好適な格納位置に移動できる。これにより、例えば建築工事現場の足場等に用いられる単管パイプP(
図4参照)に容易に引掛け可能な湾曲部21cの径が大きいフック21を利用できる。湾曲部21cの径が大きいフック21は、基端21aを移動させることでフック21の先端領域の湾曲部21cがグリップ11の外周に沿った格納位置にコンパクトに格納できる。
【0049】
図1に示すようにグリップ11は、上下方向に延出する柱状である。したがってグリップ11の中央部分は、使用者が把持する把持部として好適に設けられる。格納位置のフック21は、グリップ11の中央部分よりも上方または下方に位置する。そのため格納位置のフック21は、グリップ11の中央部分を把持する使用者の手の邪魔にならない。また、照明装置1は、使用位置のフック21を引掛対象に引掛ける際、柱状のグリップ11が概ね上下方向に延出した姿勢で引掛けられる。そのため照明装置1の姿勢が安定し易い。
【0050】
図3,7に示すようにグリップ11の上端には、グリップ11の上下方向における中央領域よりも径方向に張出す上側拡径部15が設けられる。上側拡径部15は、フック21を格納するフック格納機構20を有する。したがって上側拡径部15は、大型のフック21を外部に突出させることなく格納できる。そのためフック21を格納した状態でグリップ11を把持して照明装置1を好適に使用できる。
【0051】
図3,7に示すように上側拡径部15に凹設される収容溝23は、フック21の少なくとも一部を収容する。したがってフック21の少なくとも一部を収容溝23に収容させることにより、フック21を上側拡径部15に安定した姿勢で保持できる。また、収容溝23に収容されたフック21の外形と、収容溝23よりも外側の上側拡径部15の外形を相互に倣わせることができる。そのため大型のフック21を上側拡径部15にコンパクトに格納できる。
【0052】
図4~6に示すように上側拡径部15は、グリップ11の上端に設けられる。したがって使用位置のフック21はグリップ11の上端から延出する。したがって照明装置1は、フック21を引掛対象の単管パイプPに引掛ける際にグリップ11が概ね起立した姿勢になる。そのため引掛対象に引掛けた照明装置1の姿勢を安定させ易い。
【0053】
図9,10に示すようにフック格納機構20は、収容溝23の延長線上に設けられた孔形状のレール22を有する。収容溝23は、上側拡径部15の径方向内方に向けて凹みを有しかつ上側拡径部15の周方向の外周形状に沿って延びる。収容溝23は、格納位置におけるフック21の先端領域の湾曲部21cを収容する。レール22は、上側拡径部15の外方に対して開口しかつ上側拡径部15の周方向の外周形状に沿って延びる。レール22は、格納位置におけるフック21の基端21aを収容する。フック21の基端21aは、使用位置において収容溝23とレール22の中間に位置する。
【0054】
したがって収容溝23とレール22を協働させて、上側拡径部15の周方向の外周形状に沿って長く延びるフック収容領域が形成される。そのため収容溝23とレール22は、大型のフック21を上側拡径部15の周方向の外周形状に沿ってコンパクトに収容できる。また、フック21を格納位置から使用位置に移動させる際、フック21の基端21aがレール22の内部から収容溝23とレール22の中間位置まで移動する。そのためフック21の基端21aの移動量を上側拡径部15の周方向の外周の長さに対して短く抑えることができる。そのためフック21を格納位置と使用位置の間で好適に移動させ易い。
【0055】
図1,7に示すようにフック21は、格納位置においてグリップ11の周方向に沿う。したがってフック21を柱状のグリップ11の周方向に沿わせることで、フック21の湾曲部21cの径をグリップ11の外径に相当する大きさで大きく設けることができる。さらにフック21をグリップ11の周方向に沿わせることで、格納位置のフック21を上下方向にコンパクトにできる。そのためグリップ11を把持する際にフック21が邪魔にならず使用感を良くできる。
【0056】
図2,10に示すようにグリップ11は、フック21の基端21aをスライド可能にかつ回転可能に支持するレール22を有する。したがってフック21は、基端21aがグリップ11に対して回転することにより姿勢を変えることができる。そのため異なる重さのバッテリ14を使用する際等において照明装置1全体の重心G(
図4~6参照)が変わる場合でも、グリップ11に対するフック21の姿勢(向きや傾斜角度)を最適な姿勢に変更できる。これによりフック21が引掛対象の単管パイプ等から外れにくくなる。さらにフック21の基端21aは、レール22に沿ってスライドすることで、格納位置と使用位置の間で容易に移動できる。
【0057】
図7,8に示すようにグリップ11は、背面中央にフック取出口22bを有する。レール22は、フック取出口22bからグリップ11の第1周方向に沿って延設される。グリップ11には、フック取出口22bから第1周方向と反対方向の第2周方向に沿って延設されフック21の先端領域が収容される収容溝23が形成される。したがってフック21の基端21aをフック取出口22bから第1周方向にスライドさせる動作に合わせて、フック21の先端領域の湾曲部21cを収容溝23にスムーズに収めることができる。そのためフック21を容易に格納位置に格納させることができる。
【0058】
図8に示すようにフック取出口22bには、上下方向に延設する縦溝24が形成され、フック21の基部領域21bが縦溝24に沿って起立される。したがって使用位置のフック21は、縦溝24によってレール22に対して起立した姿勢を維持できる。一方で縦溝24の延出方向に沿った上下方向におけるフック21の姿勢の自由度を確保できる。そのためフック21を引掛対象に引掛ける際の照明装置1の姿勢を安定させ易い。これにより作業現場等を好適に照らすことができる。
【0059】
図1,7に示すようにグリップ11の上領域には、グリップ11の上下方向における中央領域よりも径方向に張出す上側拡径部15が設けられる。上側拡径部15の外周に格納位置のフック21が沿う。したがって上側拡径部15の径に相当する大きさの湾曲部21cを有する大きなフック21を収納できる。また、グリップ11の鍔部分、もしくは照射部2の支持部として形成されている上側拡径部15を利用してフック21を格納させる。そのため従来の照明装置1からグリップ11の形状を大きく変更させる必要がない。
【0060】
図11に示すようにグリップ11には、格納位置におけるフック21の基部領域21bを解除可能にロックするポジティブストップ機構25が設けられる。したがって格納位置に移動させる際にフック21が自動的にロックされる。さらにフック21を格納位置から使用位置へ移動させる際に自動的にロックが解除される。そのためフック21の使い勝手を良くすることができる。
【0061】
図5,6に示すように照射部2は、グリップ11の上端に傾動可能に連結されている。したがって照射部2を傾動させて光源5の照射方向を変える際、引掛対象の単管パイプPに引掛けたフック21は、グリップ11に対する姿勢の自由度によって照明装置1の重心Gのバランスが良くなる姿勢に自動的に変更される。そのため照明装置1をバランス良く引掛対象の単管パイプPに引掛けることができる。
【0062】
本開示の1つの実施形態を
図14,15に基づいて説明する。
図14に示すように第2実施形態の照明装置30は、
図1に示す照明装置1の上側拡径部15とフック格納機構20に代えて、台座部33とフック格納機構31を有する。以下の説明においては照明装置1と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0063】
図14に示すように柱状のグリップ11の上端には、照射部2を支持する台座部33が設けられている。台座部33の後部上面には、照射部2の上方への揺動を規制するように上方に張出したストッパ33aが設けられている。台座部33は、ストッパ33aから後方へ張出した左右一対の板状の後方張出部33bを有する。後方張出部33bには、左右方向に貫通する軸孔33cが設けられている。
【0064】
図14に示すようにグリップ11の上端には、フック32が取付けられている。フック32は、球状の基端32aと、基端32aから左方へ直線状に延出する基部領域32bと、基部領域32bの左端から略L字状に屈曲しさらに先端に向けて円弧状に湾曲して延出する湾曲部32cを有する。湾曲部32cは、前後方向および上下方向に延びる仮想面上において円弧状に湾曲している。基部領域32bと湾曲部32cは、断面円形で棒状の金属部材で形成されている。基端32aは、基部領域32bおよび湾曲部32cと同じ部材で設けられかつ基部領域32bよりも大きい径で設けられている。
【0065】
図14,15に示すようにグリップ11の上端には、フック格納機構31が設けられている。フック32は、フック格納機構31によって
図14に示す格納位置と
図15に示す使用位置の間で移動することができる。具体的には、フック32は、基部領域32bが軸孔33cを貫通することで後方張出部33bに支持されている。基端32aと、基部領域32bと湾曲部32cとの間の略L字状部分との間に、基部領域32bと後方張出部33bが挟み込まれている。そのためフック32は、左右方向への移動が規制されている。一方、フック32は、基部領域32bの軸回りに回転可能である。これによりフック32は、前方の格納位置と後方の使用位置の間で回転することができる。
【0066】
図14に示すようにフック32は、格納位置において左右側方から見てグリップ11の上端および照射部2の上下揺動支持部3との外周形状に倣いかつ隣接している。そのため格納位置のフック32がグリップ11と照射部2に対してコンパクトに配置される。なおフック32が格納位置よりも下方に回転しないように所定の角度以上の回転を規制する回り止め機構をフック格納機構31に設けても良い。フック32の湾曲部32cは、使用位置においてグリップ11または照射部2から離間している。これにより湾曲部32cを例えば単管パイプ等の引掛対象に引掛ける際に、グリップ11または照射部2が引掛対象と干渉することを防止できる。
【0067】
以上説明した各実施形態の照明装置1,30には種々変更を加えても良い。照射部2よりも下方に位置するグリップ11の上部にフック21,32を格納位置と使用位置との間で移動させる機構を例示した。これに代えて、例えばバッテリ取付部13を含むグリップ11の下部の下側拡径部12にフック21,32を格納位置と使用位置との間で移動させる機構を設けても良い。フック21,32の湾曲部21c,32cは、例示した円弧状の湾曲形状に限らない。例えば角柱状の引掛対象に安定して引掛け易いように角を有して湾曲していても良い。フック格納機構20,31は、例示した構成と例えば左右反転させても良い。
【0068】
照射部2が節度感を持って上下揺動する角度や左右傾動する角度は、例示した角度に限らず、例えば15°毎に段階的に角度を変更可能な構成であっても良い。バッテリ取付部13に取付けられるバッテリ14は、例示したものよりも出力電圧が小さいバッテリ(例えば10.8V)であっても良く、例示したものよりも出力電圧が大きいバッテリ(例えば48V)であっても良い。
【符号の説明】
【0069】
1…照明装置
2…照射部
3…上下揺動支持部、3a…上下揺動支軸
4…左右傾動支持部、4a…左右傾動支軸
5…光源
10…本体部、10a…電源スイッチ
11…グリップ、11a…エラストマ樹脂層
12…下側拡径部
13…バッテリ取付部
14…バッテリ
15…上側拡径部(拡径部)、15a…台座面、15b…ストッパ、15c…揺動支持部
15d…透孔
16…右側ハウジング、16a…ねじ孔
17…右側内部ハウジング、17a…透孔、17b…ねじ孔、17c…ボス部
18…左側ハウジング、18a…ボス部
19…雄ねじ
20…フック格納機構
21…フック、21a…基端、21b…基部領域、21c…湾曲部
22…レール、22a…開口、22b…フック取出口
23…収容溝、23a…終端
24…縦溝
25…ポジティブストップ機構
26…プランジャ基台、26a…透孔
27…プランジャ
28…圧縮ばね
30…照明装置
31…フック格納機構
32…フック、32a…基端、32b…基部領域、32c…湾曲部
33…台座部、33a…ストッパ、33b…後方張出部、33c…軸孔
P…単管パイプ(引掛対象)
G…重心