(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】キャップ用ライナー材
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20241015BHJP
B65D 55/06 20060101ALI20241015BHJP
B05D 7/22 20060101ALI20241015BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241015BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20241015BHJP
B05D 1/40 20060101ALI20241015BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
C09K3/10 Z
B65D55/06 100
B05D7/22 Z
B05D7/24 301N
B05D7/24 302H
B05D7/24 303E
B05D7/24 302G
B05D7/24 302J
B05D1/26 Z
B05D1/40 A
B05D3/00 D
(21)【出願番号】P 2021038915
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】大野 友美
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝己
(72)【発明者】
【氏名】日暮 元
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-098038(JP,A)
【文献】特開2018-150444(JP,A)
【文献】特開2013-203476(JP,A)
【文献】特開昭63-120750(JP,A)
【文献】特開昭59-222278(JP,A)
【文献】特開昭54-127441(JP,A)
【文献】特開昭57-014675(JP,A)
【文献】国際公開第2006/051672(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10 - 3/12
B65D 35/44 - 35/54
B65D 39/00 - 55/16
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、パラフィンワックスを62~117重量部、液状ポリマーを1~17重量部、及びタッキファイヤーを50~117重量部の量で含有することを特徴とするキャップ用ライナー材。
【請求項2】
B型粘度計による150℃での粘度が、500~1500mPa・sの範囲にある請求項1記載のキャップ用ライナー材。
【請求項3】
前記液状ポリマーが、粘度平均分子量が40000~70000の範囲にあるポリイソブチレンである請求項1又は2記載のキャップ用ライナー材。
【請求項4】
前記パラフィンワックスが、融点65~85℃、25℃における針入度が5~15dmmである請求項1~3の何れかに記載のキャップ用ライナー材。
【請求項5】
前記エチレン酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニル含有量が25~35重量%であり、MFR(190℃、2.16kg)が350~1200g/10分の範囲にある請求項1~4の何れかに記載のキャップ用ライナー材。
【請求項6】
前記タッキファイヤーが、軟化点が90~120℃の範囲にあるスチレン系樹脂である請求項1~5の何れかに記載のキャップ用ライナー材。
【請求項7】
成形後のライナーのJIS A 硬度が75~95である請求項1~6の何れかに記載のキャップ用ライナー材。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載のキャップ用ライナー材が密封層として内面に形成されていることを特徴とするキャップ。
【請求項9】
請求項1~7の何れかに記載のキャップ用ライナー材から成る密封層を、スピンライニングによりキャップシェル内に形成するキャップの製造方法であって、
前記スピンライニング工程がキャップシェルを100~600rpmの条件で回転させることにより行われることを特徴とするキャップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト組成物から成るキャップ用ライナー材に関するものであり、より詳細には、優れた防湿性及び密封性を長期にわたって維持可能なキャップ用ライナー材、及びこのライナー材を用いた密封層を有するキャップ並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップの頂板部内面側には、容器口部先端と密着して容器の密封性能を高める樹脂製ライナーが設けられている。樹脂製ライナーとしては一般に、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂から成るライナーや、塩化ビニル樹脂から成るライナー、天然ゴム等から成るライナー或いはウレタン系エラストマーから成るライナー等が知られている。
【0003】
従来、薬品を内容物とする容器に用いられているキャップにおいては、防湿性や安全性等の見地から、天然ゴムの水分散ラテックスを用いたライナー材がキャップシェル内面に形成されていた。
しかしながら、天然ゴムの水分散ラテックスを用いてライナーを形成する場合には、天然ゴム成分に由来する糖成分浮きや黒変等の問題により品質管理が煩雑であると共に、材料中の水分を乾燥させるために長時間の乾燥工程が必要であり、生産性の点で問題がある。
また薬品を内容物とする容器においては、高い防湿性を有することが重要であり、上述した長時間の乾燥工程を経ることと共に、従来はターポリン紙や防錆シート等の特殊包材を組み合わせて梱包されていたことから、紙粉が混入するおそれなどがある。
【0004】
このような観点から、薬品用のキャップにおいても、天然ゴムを用いずに、安全性と生産性に優れ、臭気や水分バリア性等の問題がないと共に、特別な設備を必要とすることがなく、生産性及び経済性に優れたライナー材が要求されている。
一方、スピンライニングによりライナーを形成することが可能で、安全性と生産性に優れていると共に、高い防湿性を維持できるライナー材として、ホットメルト組成物から成るライナー材が提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6038472号
【文献】特開2015-27882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ホットメルト組成物から成るライナー材は、一般にオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂或いはスチレン系等の熱可塑性エラストマーに、粘度調整のためのワックスや可塑剤等が必要により配合されている。
しかしながら、ホットメルト組成物から成るライナー材は上述した天然ゴムを主体とするライナー材に比して硬度が高く、耐熱性も劣っているため、繰り返し開閉による削れ、過巻締めによる割れ、或いは高温状態での長期保管による割れが発生するという問題が生じた。
従って本発明の目的は、ホットメルト組成物から成るライナー材において、上述した問題を解決し、長期にわたって優れた密封性及び開栓性を維持可能なライナー材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、パラフィンワックスを62~117重量部、液状ポリマーを1~17重量部、及びタッキファイヤーを50~117重量部の量で含有することを特徴とするキャップ用ライナー材が提供される。
【0008】
本発明のキャップ用ライナー材においては、
1.B型粘度計による150℃での粘度が、500~1500mPa・sの範囲にあること、
2.前記液状ポリマーが、粘度平均分子量が40000~70000の範囲にあるポリイソブチレンであること、
3.前記パラフィンワックスが、融点65~85℃、25℃における針入度が5~15dmmであること、
4.前記エチレン酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニル含有量が25~35重量%であり、メルトフローレート(以下、単に「MFR」という)(190℃、2.16kg)が350~1200g/10分の範囲にあること、
5.前記タッキファイヤーが、軟化点が90~120℃の範囲にあるスチレン系樹脂であること、
6.成形後のライナーのJIS A 硬度が75~95であること、
が好適である。
【0009】
本発明によればまた、上記キャップ用ライナー材が密封層として内面に形成されていることを特徴とするキャップが提供される。
【0010】
本発明によれば更に、上記キャップ用ライナー材から成る密封層を、スピンライニングによりキャップシェル内に形成するキャップの製造方法であって、前記スピンライニング工程がキャップシェルを100~600rpmの条件で回転させることにより行われることを特徴とするキャップの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のキャップ用ライナー材においては、従来のホットメルト組成物から成るライナー材が有していた、繰り返し開閉による削れ、過巻締めによる割れ、或いは高温状態での長期保管による割れの発生が有効に防止されており、長期にわたって優れた密封性能を維持できる。
本発明のライナー材は、B型粘度計による150℃での粘度が、500~1500mPa・sの範囲にあることから、スピンライニングにより表面平滑性に優れたライナーを生産性良く成形できる。
また成形後のライナーのJIS A 硬度が75~95の範囲にあり、優れた密封性を有すると共に、開栓性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(ライナー材)
本発明のライナー材は、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、パラフィンワックスを62~117重量部、液状ポリマーを1~17重量部、及びタッキファイヤーを50~117重量部の量で含有するホットメルト組成物から成ることが重要な特徴である。
ホットメルト組成物から成るライナー材には、被着材への濡れ性の向上、粘度調整、表面タック防止等を目的にパラフィンワックスが配合される。パラフィンワックスを配合することにより防湿性も向上されるが、パラフィンワックスを含有するライナー材においては割れや削れが発生しやすい。
本発明においては、パラフィンワックスに起因する上記割れや削れが、液状ポリマーを上記範囲で配合することにより改善されることを見出した。すなわち液状ポリマーがライナー材の結合剤として機能することにより、パラフィンワックスを含有するホットメルト組成物から成るライナー材における繰り返し開閉による削れ、過巻締めによる割れ、或いは高温状態での長期保管による割れの発生を抑制することが可能になる。
また上記タッキファイヤーを配合することにより、ベース樹脂であるエチレン酢酸ビニル共重合体とパラフィンワックスの相溶性向上によるライナー材の凝集力の向上及び硬度の調整がなされ、耐久性を向上させることが可能となる。
更に本発明のライナー材は、B型粘度計による150℃での粘度が、500~1500mPa・sの範囲に調整されているため、後述するスピンライニングによるライナー成形が可能である。
【0013】
[エチレン酢酸ビニル共重合体]
本発明のライナー材において、ベース樹脂となるエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」ということがある)は、酢酸ビニル含有量が25~35重量%、特に28~32重量%の範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも酢酸ビニル含有量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比してライナー材の硬度が高くなり、過巻締めによる割れが生じやすくなるおそれがあり、上記範囲よりも酢酸ビニル含有量が多い場合には、上記範囲にある場合に比しライナー材が軟らかくなりすぎ、開栓トルクの上昇や、繰り返し開閉による削れが発生するおそれがある。
エチレン酢酸ビニル共重合体は、MFR(190℃、2.16kg)が350~1200g/10分、特に400~1000g/10分の範囲にあることが好ましい。上記範囲よりもMFRが小さい場合には、上記範囲にある場合に比して、スピンライニングにより形成されるライナー材の平滑性を得ることが難しく、その一方上記範囲よりMFRが大きい場合には、上記範囲にある場合に比して、スピンライニングにより均一なライナーを形成することが難しい。
【0014】
[パラフィンワックス]
前述した通り、パラフィンワックスは、ライナー材の防湿性を高めると共に、ライナー材の粘度調整のために、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して62~117重量部、好適には80~90重量部の量で配合される。上記範囲よりもパラフィンワックスの量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して、タック性が増すためライナー表面がべたつきやすくなり開栓性が低下すると共に粘度が高くなり成形性が低下するおそれがある。その一方上記範囲よりもパラフィンワックスの量が多い場合には、上記範囲にある場合に比して、割れや削れが発生しやすくなるおそれがある。
パラフィンワックスは、融点が65~85℃、特に70~80℃の範囲にあることが好適である。上記範囲よりも融点が低いと、上記範囲にある場合に比してライナー材の耐熱性が低下するおそれがあり、その一方上記範囲より融点が高いと、上記範囲にある場合に比してライナー材の硬度が高くなり、繰り返し開閉による削れが発生するおそれがある。
またパラフィンワックスは、25℃における針入度が4~19dmm、特に5~15dmmの範囲にあることが好適である。針入度が上記範囲内にあることにより、ライナー材の硬度が適正範囲となりやすく、ライナー材の削れの抑制が可能になる。
【0015】
[液状ポリマー]
前述した通り、液状ポリマーは、ライナー材の繰り返し開閉時の削れ、高温状態での保管の際に生じる割れなどを抑制するために、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して1~17重量部、好適には5~10重量部の量で配合される。上記範囲よりも液状ポリマーの量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して、結合剤が不足するため割れや削れが発生しやすくなるおそれがある。その一方上記範囲よりも液状ポリマーの量が多い場合には、上記範囲にある場合に比して、タック性が増すためライナー表面がべたつきやすくなり開栓性が低下し、耐熱性も低下するおそれがある。
液状ポリマーとしては、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリαオレフィン、液状エチレン・αオレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体、液状エチレンブチレン共重合体等を例示することができ、中でも液状ポリイソブチレンを好適に使用することができる。
液状ポリマーは、粘度平均分子量が40000~70000の範囲にあることが好適である。液状ポリマーの粘度平均分子量が上記範囲にあることにより、前述した割れや削れの抑制効果がより効果的に発現される。
【0016】
[タッキファイヤー]
前述した通り、タッキファイヤーは、ベース樹脂であるエチレン酢酸ビニル共重合体とパラフィンワックスの相溶性を向上して、ライナー材の凝集力を向上して耐久性を向上させるために、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して50~117重量部、好適には80~90重量部の量で配合する。上記範囲よりもタッキファイヤーの量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して、タッキファイヤーを配合することにより得られる上記効果を十分に得ることができず、その一方上記範囲よりもタッキファイヤーの量が多い場合には、上記範囲にある場合に比して、タック性が増すため、ライナー表面がべたつきやすくなり開栓性が低下し、またライナー材が割れやすくなるおそれがある。
タッキファイヤーとしては、従来公知のものを使用することができ、スチレンオリゴマー、スチレンとαメチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体等のスチレン系樹脂、フェノキシエチルアクリレートオリゴマー、石油系飽和炭化水素およびその水添物、テルペンフェノール類およびその水添物、ロジンフェノール類およびその水添物、芳香族系石油樹脂およびその水添物等を例示することができるが、中でも軟化温度が90~120℃の範囲にあるスチレン系樹脂を好適に使用することができる。
【0017】
[その他]
本発明のライナー材においては、可塑剤、滑剤、充填剤など、従来ホットメルト組成物から成るライナー材に使用されていた添加剤を必要により添加することができる。
可塑剤としては、シリコーンオイル、ポリエチレングリコール等の従来公知の可塑剤を例示することができるが、特にシリコーンオイルを好適に使用することができる。可塑剤は、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、0.25~6.7重量部の量で配合することが好適である。これによりライナー材の表面の滑り性を向上させることが可能となる。
また滑剤としては、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等の従来公知の滑剤を例示することができ、特にエルカ酸アミドを好適に使用することができる。滑剤は、エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、0.25~6.7重量部の量で配合することが好適である。これによりキャップの開栓トルクの上昇を抑制することができ、良好な開栓性が得られる。
【0018】
(キャップ及びその製法)
本発明のホットメルト組成物から成るライナー材は、上述したエチレン酢酸ビニル共重合体等の成分を、100~180℃の温度に加熱されたミキサーで混合することにより調製することができる。
前述した通り、調製されたライナー材は、B型粘度計による150℃での粘度が500~1500mPa・sの範囲にあることが好ましい。これによりスピンライニングによるライナーの形成が可能になる。
加熱溶融されたライナー材は、100~600rpmの条件で回転させたキャップシェルの頂板部内面の容器口部先端が当接する環状部分に、スピンライニングにより塗布供給され、自然放冷されて固化されることにより、密封層となる環状ライナーが形成される。
このライナーは、JIS A 硬度が75~95の範囲にあることが好適であり、これにより、密封性、開栓性、耐久性等に優れた密封層として機能することができる。
【0019】
本発明のライナー材は、ライナー成形の際に高温乾燥が不要であることから、金属製キャップのみならず、ポリエチレンやポリプロピレンの従来公知の樹脂製キャップにも適用することができる。
また本発明のライナー材は、繰り返し開閉による削れや、過巻締めによる割れが有効に防止されていることから、特に螺子部を有するキャップに好適に使用することができる。
【実施例】
【0020】
(評価方法)
[繰り返し開閉評価(耐摩耗性)]
得られたライナー付きキャップをガラス瓶に適用し、200N・cmの力で巻締めた後、23℃の室温で1日保管し、100回繰り返し開閉を行った後、ライナー表面の状態を目視により確認した。表中の評価基準は以下のとおりである。
○:削れの発生がない。
×:削れが発生した。
【0021】
[高温保管評価]
得られたライナー付きキャップをガラス瓶に適用し、200N・cmの力で巻締めた後、55℃の恒温室で1日保管し、開栓し、ライナー表面の状態を目視により確認した。表中の評価基準は以下のとおりである。
○:割れの発生がない。
×:割れが発生した。
【0022】
[過巻締め評価]
得られたライナー付きキャップをガラス瓶に適用し、250N・cmの力で巻締めた後、開栓し、ライナー表面の状態を目視により確認した。表中の評価基準は以下のとおりである。
○:割れの発生がない。
×:割れが発生した。
【0023】
[開栓性]
得られたライナー付きキャップをガラス瓶に適用し、200N・cmの力で巻締めた後、23℃の室温で1週間保管し、開栓し、開栓しやすさを評価した。表中の評価基準は以下のとおりである。
○:良好に開栓できた。
△:概ね良好に開栓できた。
×:容易に開栓できない。
【0024】
[防湿性]
得られたライナー付きキャップをガラス瓶に適用し、130N・cmの力で巻締めた後、40℃90%RHの環境で1ヶ月保管し、容器内の湿度の変化を測定した。表中の評価基準は以下のとおりである。
○:透湿量1mg/day以下。
×:透湿量1mg/day超。
【0025】
[成形性]
キャップ内に形成されたライナーを目視により評価した。
○:平滑なライナーがキャップ内に均一に成形されている。
×:平滑なライナーがキャップ内に均一に成形されていない。
【0026】
(実施例1~3、比較例1~7)
下記表1及び表2に示す組成のライナー材をそれぞれ調製した。得られたライナー材を、350rpmで回転させた金属製キャップ(径40.5mm)に0.6~0.7gの塗工量でスピンライニングにより塗布し、自然放冷により固化してライナーを形成した。
得られたライナー付きキャップについて、上述した評価を行った。結果を表1及び表2にあわせて示す。
【0027】
【0028】
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のライナー材は、繰り返し開閉や過巻締め等による割れや削れや、高温状態で長期保管された場合の割れが有効に防止されているため、長期にわたって良好な密封性能を維持できると共に、防湿性にも優れていることから、薬品用の容器のキャップに適用されるライナー材として好適に使用できる。