(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】トナーカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
G03G15/08 348A
G03G15/08 347
(21)【出願番号】P 2021039418
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】厚 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】松丸 直樹
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-122511(JP,A)
【文献】特開2019-002956(JP,A)
【文献】特開2018-017749(JP,A)
【文献】特開2005-049673(JP,A)
【文献】特開2017-134297(JP,A)
【文献】特開平06-202467(JP,A)
【文献】特開2016-031487(JP,A)
【文献】特開2017-040731(JP,A)
【文献】特開2009-162855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能なトナーカートリッジであって、
トナーを収容する収容室と、
トナーを外部へ排出するための排出口を有する排出室と、
前記収容室と前記排出室とを連通する第1連通路と第2連通路が形成されるように、前記収容室と前記排出室とを仕切る仕切り部と、
前記第1連通路を通って設けられ、前記収容室内のトナーを前記排出室へ搬送する搬送部材と、
前記収容室内に設けられた開封部材と、
一端が前記排出口を開封可能に封止し、他端が前記開封部材に固定され、前記第2連通路を通って設けられるシール部材と、
を備え、
前記開封部材によって、前記シール部材の前記一端が前記排出口の周りから剥離され、前記シール部材の前記一端が前記排出室から前記収容室に移動されることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記第2連通路は、前記排出室の前記排出口が設けられている内壁面に対し垂直の方向に前記排出口から離れた位置において前記排出室に連通していることを特徴とする請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記排出口は前記排出室の底面に設けられ、前記第2連通路は前記排出口より鉛直方向で上側の位置において前記排出室に連通していることを特徴とする請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記シール部材の前記一端は、前記排出口の周りに剥離可能に溶着されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記シール部材の前記一端が前記排出口の周りに溶着される溶着部は、前記シール部材の前記他端に向かう方向に凸の形状を有することを特徴とする請求項4に記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
前記開封部材は回転可能であり、
前記開封部材が回転することで、前記シール部材は前記開封部材に巻き取られることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項7】
前記シール部材が前記開封部材に巻き取られる際の前記開封部材の回転方向は、前記搬送部材がトナーを前記排出室へ搬送する際の前記開封部材の回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項6に記載のトナーカートリッジ。
【請求項8】
駆動受け部を有し、前記駆動受け部が前記画像形成装置本体から駆動を受けることにより、前記開封部材と前記搬送部材の両方が駆動されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項9】
容器と、前記容器に取り付けられ、前記仕切り部を有する仕切り部材と、を有し、
前記第2連通路は、前記容器と前記仕切り部材の間に形成されることを特徴とする請求
項1から8のいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項10】
前記容器は底面から突出する突出部を有し、前記仕切り部材は前記突出部に対向する対向部を有し、前記第2連通路は前記突出部と前記対向部との間に形成されることを特徴と
する請求項9に記載のトナーカートリッジ。
【請求項11】
前記第2連通路は屈曲部を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記
載のトナーカートリッジ。
【請求項12】
前記開封部材は、前記収容室内のトナーを撹拌する撹拌部を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項13】
前記排出室と連通するポンプを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1
項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のトナーカートリッジと、
前記画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジと、
を有し、前記トナーカートリッジの前記排出口から排出されるトナーは、前記プロセスカートリッジに供給されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像形成装置では、画像形成に伴って消費されるトナー(現像剤)を補給するために、トナーを収容した現像剤補給容器を、画像形成装置本体に着脱可能に設ける構成がある。一方、特許文献1には、カートリッジのトナー供給開口をシール部材で封止し、カートリッジの使用時にシール部材が引き剥がす技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、排出口を封止しているシール部材を剥離して使用するトナーカートリッジにおいて、排出口から安定してトナーを排出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像形成装置本体に着脱可能なトナーカートリッジであって、
トナーを収容する収容室と、
トナーを外部へ排出するための排出口を有する排出室と、
前記収容室と前記排出室とを連通する第1連通路と第2連通路が形成されるように、前記収容室と前記排出室とを仕切る仕切り部と、
前記第1連通路を通って設けられ、前記収容室内のトナーを前記排出室へ搬送する搬送部材と、
前記収容室内に設けられた開封部材と、
一端が前記排出口を開封可能に封止し、他端が前記開封部材に固定され、前記第2連通路を通って設けられるシール部材と、
を備え、
前記開封部材によって、前記シール部材の前記一端が前記排出口の周りから剥離され、前記シール部材の前記一端が前記排出室から前記収容室に移動されることを特徴とするトナーカートリッジである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排出口を封止しているシール部材を剥離して使用するトナーカートリッジにおいて、排出口から安定してトナーを排出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】現像剤補給カートリッジの上面図及びA-A断面斜視図
【
図4】プロセスカートリッジの前方からの全体斜視図
【
図5】プロセスカートリッジの後方からの全体斜視図
【
図8】シール部材剥離過程を示す現像剤補給カートリッジのA-A断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を例示する。ただし、実施形態に記載されている構成部品の寸法や材質や形状やそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。
【0009】
<電子写真画像形成装置の全体構成>
本実施例に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という)100の全体構成について
図2を用いて説明する。
図2は、画像形成装置100の概略断面図である。プロセスカートリッジ1、及び、現像剤補給カートリッジ(トナーカートリッジ、現像剤カートリッジ)13は画像形成装置本体に対して着脱可能である。なお、画像形成装置100から各カートリッジ(1、13)を除いた部分を、画像形成装置100の本体(装置本体、画像形成装置本体)と呼ぶ場合がある。
【0010】
画像形成装置100は、形成する画像の色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)毎に設けられた画像形成部(第1~第4の画像形成部)を備える。各画像形成部の構成と動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下において、色毎の区別が必要な説明では構成要素を示す符号にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを示す添字Y、M、C、Kを付し、色毎の区別が不要な説明では符号の添字を省略する。
【0011】
第1~第4のプロセスカートリッジ1は水平方向に並んで配置されている。各プロセスカートリッジ1は、ドラムユニット4と現像ユニット6から形成される。ドラムユニット4は像担持体としての感光ドラム7、感光ドラム7の表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電ローラ8、及び、クリーニング手段としてのクリーニングブレード10を有する。現像ユニット6は、現像ローラ11と現像剤T(以下、トナー)を収容し、感光ドラム7上に静電潜像を現像する現像手段を有する。ドラムユニット4と現像ユニット6は、互いに揺動可能に支持されている。なお、第1のプロセスカートリッジ1Yは、現像ユニット6内にイエロー(Y)のトナーTYを収容している。第2のプロセスカートリッジ1Mは、マゼンタ(M)のトナーTMを収容している。第3のプロセスカートリッジ1Cは、シアン(C)のトナーTCを収容している。第4のプロセスカートリッジ1Kは、ブラック(K)のトナーTKを収容している。
【0012】
プロセスカートリッジ1は、画像形成装置100の本体に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置100の本体に着脱可能になっている。また、プロセスカートリッジ1の下方には静電潜像を形成するためのスキャナユニット12が配置されている。さらに、画像形成装置100においてプロセスカートリッジ1より後方(プロセスカートリッジ1の着脱方向下流側)に廃トナー搬送ユニット23が配置されている。
【0013】
第1~第4の現像剤補給カートリッジ13は、第1~第4のプロセスカートリッジ1にそれぞれ対応した位置におけるプロセスカートリッジ1の下方に、水平方向に並んで配置されている。なお、以降の説明において、現像剤補給カートリッジ13を単にカートリッジ13と呼ぶ場合がある。
【0014】
第1のカートリッジ13Yはイエロー(Y)のトナー、第2のカートリッジ13Mはマゼンタ(M)のトナー、第3のカートリッジ13Cはシアン(C)のトナー、第4のカー
トリッジ13Kはブラック(K)のトナーをそれぞれ収納している。そして、各カートリッジ13は、同色のトナーを収容したプロセスカートリッジ1にトナーを補給する。
【0015】
カートリッジ13によるトナーの補給動作(供給動作)は、画像形成装置100の装置本体に設けられた残量検知部(不図示)が、プロセスカートリッジ1内のトナー残量不足を検知した際に行われる。カートリッジ13は、画像形成装置100の本体に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能になっている。なお、プロセスカートリッジ1、カートリッジ13の詳細は後述する。
【0016】
画像形成装置100の本体内部には、第1~第4のカートリッジ13にそれぞれ対応した位置におけるカートリッジ13の下方に、第1~第4のトナー搬送装置14が配置されている。各トナー搬送装置14は各カートリッジ13から排出されたトナーを上方に搬送し、プロセスカートリッジの各現像ユニット6にトナーを供給する供給手段である。トナー搬送装置14は、トナーを通過させるための通路と、その通路の内部に配置されたスクリューを有する。このスクリューの回転によって、トナー搬送装置14の通路の内部を通って、トナーが上方に移動する。
【0017】
プロセスカートリッジ1の上方には、中間転写体としての中間転写ユニット19が設けられている。中間転写ユニット19は、一次転写部S1側を下方にして略水平に配置されている。各感光ドラム7に対向する中間転写ベルト18は、回転可能な無端状のベルトであり、複数の張架ローラに張架されている。中間転写ベルト18の内側には、一次転写部材として一次転写ローラ20が中間転写ベルト18を介して各感光ドラム7とは反対側に配置され、一次転写ローラ20と感光ドラム7により一次転写部S1が形成される。また、中間転写ベルト18に接触する二次転写部材である二次転写ローラ21と別のローラとが中間転写ベルト18を介して対向するように配置され、二次転写部S2を形成している。さらに、左右方向(中間転写ベルトが張架される方向)において、二次転写部S2と反対側に、中間転写ベルトクリーニングユニット22が配置される。
【0018】
中間転写ユニット19のさらに上方には、定着ユニット25が配置されている。定着ユニットは加熱ユニット26と、加熱ユニットに圧接する加圧ローラ27とで構成される。また、装置本体の上面には、排出トレイ32が設けられ、排出トレイ32と中間転写ユニット19の間に廃トナー回収容器24が設けられている。さらに、装置本体の最下部には記録材3を収容するための給紙トレイ2が設けられている。
【0019】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成装置100における画像形成動作について、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0020】
画像形成時には、感光ドラム7は
図3の矢印Aの方向に所定の速度で回転駆動される。中間転写ベルト18は、
図2の矢印Bの方向(感光ドラム7の回転に順方向)に回転駆動される。
【0021】
まず、感光ドラム7の表面が帯電ローラ8によって一様に帯電される。次に、スキャナユニット12から照射されたレーザー光によって感光ドラム7の表面が走査露光されることで、感光ドラム7上に画像情報に基づいた静電潜像が形成される。感光ドラム7上に形成された静電潜像は、現像ユニット6によってトナー像として現像される。このとき、現像ユニット6は画像形成装置100本体に設けられた現像加圧ユニット(不図示)によって加圧されている。そして、感光ドラム7上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ20によって中間転写ベルト18上に一次転写される。
【0022】
例えば、フルカラー画像の形成時には、第1~第4の一次転写部である画像形成部S1Y~S1Kにおいて上述したプロセスが順次に行われることで、中間転写ベルト18上に各色のトナー像が順次に重ね合わされる。
【0023】
一方、給紙トレイ2に収容されている記録材3は、所定の制御タイミングで給送され、中間転写ベルト18の移動と同期して二次転写部S2へと搬送される。そして、記録材3を介して中間転写ベルト18に当接している二次転写ローラ21によって、中間転写ベルト18上の4色トナー像は一括して記録材3上に二次転写される。
【0024】
その後、トナー像が転写された記録材3は定着ユニット25に搬送される。定着ユニット25において記録材3が加熱及び加圧されることで記録材3にトナー像が定着する。その後、トナーが定着した記録材3が排出トレイ32に搬送されることで画像形成動作が完了する。
【0025】
また、一次転写工程後に感光ドラム7上に残留した一次転写残トナー(廃トナー)は、クリーニングブレード10によって除去される。二次転写工程後に中間転写ベルト18上に残留した二次転写残トナー(廃トナー)は、中間転写ベルトクリーニングユニット22によって除去される。クリーニングブレード10及び中間転写ベルトクリーニングユニット22によって除去された廃トナーは、装置本体に設けられる廃トナー搬送ユニット23によって搬送され、廃トナー回収容器24に蓄積される。なお、画像形成装置100は、所望の単独又は一部の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできる。
【0026】
<プロセスカートリッジ>
次に、画像形成装置100の本体に装着されるプロセスカートリッジ1の全体構成について、
図3、
図4、
図5を用いて説明する。
図3は、プロセスカートリッジ1の断面図である。
図4は、プロセスカートリッジ装着方向における上流側から見たときのプロセスカートリッジ1の全体斜視図である。
図5(a)は、プロセスカートリッジ装着方向における下流側(後方)下側から見たプロセスカートリッジ1の全体斜視図、
図5(b)は、プロセスカートリッジ装着方向における下流側(後方)上側から見たプロセスカートリッジ1の全体斜視図である。
【0027】
プロセスカートリッジ1は、ドラムユニット4と現像ユニット6から形成される。ドラムユニット4と現像ユニット6は回転支持ピン30を中心として、揺動可能に結合される。
【0028】
ドラムユニット4は、ドラムユニット4内の各種部材を支持するクリーニング枠体5を有する。また、ドラムユニット4内には、感光ドラム7、帯電ローラ8、クリーニングブレード10の他に、感光ドラム7の回転軸線方向に平行な方向に延びる廃トナー搬送スクリュー15を有する。クリーニング枠体5には、感光ドラム7を回転可能に支持し、感光ドラム7から廃トナー搬送スクリュー15に駆動を伝達するためのクリーニングギア列31を備えるクリーニング軸受33が、ドラムユニット4の長手両端に設けられている。
【0029】
ドラムユニット4に設けられる帯電ローラ8は、感光ドラム7に向かって、両端に配置された帯電ローラ加圧ばね36で矢印Cの方向に付勢されている。帯電ローラ8は感光ドラム7に対して従動するように設けられ、感光ドラム7が画像形成時に矢印Aの方向に回転駆動されると、矢印Dの方向(感光ドラム7の回転方向と逆方向)に回転する。
【0030】
ドラムユニット4に設けられるクリーニングブレード10は、一次転写後に感光ドラム
7の表面に残った転写残トナー(廃トナー)を除去するための作用部材10aと、作用部材10aを支持するための支持部材10bとから構成されている。クリーニングブレード10によって感光ドラム7の表面から除去された廃トナーは、クリーニングブレード10とクリーニング枠体5により形成される廃トナー収容室9に収容される。廃トナー収容室9に収容された廃トナーは、廃トナー収容室9内に設置される廃トナー搬送スクリュー15によって画像形成装置100の後方(プロセスカートリッジ1の着脱方向下流側)に向かって搬送される。搬送された廃トナーは、廃トナー排出部35から排出され、画像形成装置100の本体に設けられた廃トナー搬送ユニット23へと受け渡される。
【0031】
現像ユニット6は、現像ユニット6内の各種部材を支持する現像枠体16を有する。現像枠体16は、現像ローラ11と供給ローラ17とが内部に設けられる現像室16aと、トナーが収容され、撹拌部材29が内部に設けられるトナー収納室16bとに分けられる。
【0032】
現像室16aには、現像ローラ11、供給ローラ17、現像ブレード28が設けられている。現像ローラ11は、トナーを担持し、画像形成時は矢印Eの方向に回転し、感光ドラム7と接触することで感光ドラム7にトナーを搬送する。また、現像ローラ11は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において現像軸受ユニット34によって回転可能に現像枠体16に支持されている。供給ローラ17は現像ローラ11と接触しつつ回転可能に現像軸受ユニット34によって回転可能に現像枠体16に支持されており、画像形成時は矢印Fの方向に回転する。さらに、現像ローラ11上に形成されるトナー層の厚みを規制する、層厚規制部材としての現像ブレード28が、現像ローラ11の表面に当接するように配置されている。
【0033】
トナー収納室16bには、収納されたトナーTを撹拌するとともに、現像室連通口16cを介して供給ローラ17へトナーを搬送するための撹拌部材29が設けられている。撹拌部材29は、現像ローラ11の回転軸線方向に平行な回転軸29aと、可撓性を有するシートである搬送部材としての撹拌シート29bを有する。撹拌シート29bの一端が回転軸29aに取り付けられ、撹拌シート29bの他端が自由端となっており、回転軸29aが回転して撹拌シート29bが矢印Gの方向に回転することで、撹拌シート29bによってトナーが撹拌される。
【0034】
現像ユニット6は、現像室16aとトナー収納室16bとを連通する現像室連通口16cを有する。現像ユニット6が通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、現像室16aは、トナー収納室16bの上方に位置している。撹拌部材29によって汲み上げられたトナー収納室16b内のトナーは、現像室連通口16cを通って現像室16aに供給される。
【0035】
さらに、現像ユニット6には、着脱方向下流側の一端に受入口40が設けられる。受入口40の上部には、受入口シール部材45と、前後方向(着脱方向)に移動可能な受入口シャッタ41が配置されている。受入口40は、プロセスカートリッジ1が画像形成装置100の本体に装着されていない場合は受入口シャッタ41によって閉じられている。受入口シャッタ41は、プロセスカートリッジ1の着脱動作に連動し、プロセスカートリッジ1の装着時には画像形成装置100の本体に係合し、画像形成装置100の本体に押されて開くよう構成されている。
【0036】
受入口40に連通して受入搬送路42が設けられ、内部には受入搬送スクリュー43が配置されている。さらに、現像ユニット6の長手中央付近にはトナー収納室16bへトナーを供給するための収納室連通口44が設けられ、受入搬送路42とトナー収納室16bを連通している。受入搬送スクリュー43は現像ローラ11や供給ローラ17の回転軸線
方向と平行に延びており、受入口40から受け入れたトナーを、収納室連通口44を介してトナー収納室16bに搬送する。
【0037】
<現像剤補給カートリッジ>
次に、画像形成装置100に装着される現像剤補給容器であるカートリッジ13の全体構成について
図6、
図7を用いて説明する。
図6は、カートリッジ13の分解斜視図である。
図7は、カートリッジ13の、
図1に示すB-B断面図である。
【0038】
カートリッジ13は、その内部空間51にトナー(現像剤)を収容しており、トナーを画像形成装置100の本体に供給(補給)するために、装置本体に装着される。
【0039】
なお、カートリッジ13を説明する際に、特に断りがないときには、カートリッジ13が通常の姿勢、すなわち装置本体内部に装着される際の姿勢をとることを前提としつつ、以下のように方向X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2を定義する。
【0040】
上下方向をY軸で示す。矢印Y1で示されるのは、上方向であり、矢印Y2で示されるのは下方向である。カートリッジ13のY1方向の端に設けられた面を天面(上面)と呼び、Y2方向の端に設けられた面を底面と呼ぶ。カートリッジ13の天面は上(Y1方向)を向いており、底面は下(Y2方向)を向いている。上下方向は鉛直方向と平行である。
【0041】
前後方向(装置本体に対しカートリッジ13を着脱する方向)をZ軸で示す。カートリッジ13を画像形成装置100の本体に装着する際の装着方向において上流に向かう方向を矢印Z1で示し、装着方向の下流側に向かう方向を矢印Z2とする。Z1方向を前方、Z2方向を後方とする。カートリッジ13のZ1方向の端の面をカートリッジ13の前面と呼び、Z2方向の端の面を後面と呼ぶ。カートリッジ13の前面は前方(Z1方向)を向いており、後面は後方(Z2方向)を向いている。カートリッジ13の前面から後面へ向かう方向(Z軸方向)をカートリッジ13の長手方向とする。Z軸方向は水平方向と平
行である。
【0042】
さらに左右方向(装置本体においてカートリッジ13が並ぶ方向)をX軸で示す。カートリッジ13が画像形成装置100の本体に装着された場合に複数のカートリッジ13が並ぶ方向において左方向(
図2で左方向)を矢印X1で示し、右方向(
図2で右方向)を矢印X2で示す。カートリッジ13のX1方向の端の面を左側面(左面)とよび、X2方向の端の面を右側面(右面)と呼ぶ。カートリッジ13の左側面は左方向(X1方向)に面し、右側面は右方向(X2方向)に面している。カートリッジ13の左側面から右側面へ向かう方向(すなわちX軸方向)をカートリッジ13の短手方向とする。X軸方向は水
平方向と平行である。また、X軸方向はZ軸方向と直交する。
【0043】
カートリッジ13の前面と後面と間の(着脱方向、
図2で奥行方向の)距離は、左側面と右側面と間の(左右方向の)距離よりも長く、また、上面と底面と間の(上下方向の)距離よりも長い。また、左側面と右側面と間の(左右方向の)距離は、上面と底面と間の(上下方向の)距離よりも短い。ただし、このような構成に限られるわけではない。例えば、カートリッジ13の左側面と右側面と間の(左右方向の)距離が、上面と底面と間の(上下方向の)距離よりも長くてもよい。
【0044】
以下、ブラック(K)以外の色、すなわちイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナーが収容される第1~第3のカートリッジ(13Y、13M、13C)を例に説明する。ブラック(K)のトナーが収容される第4のカートリッジ(13K)は第1~第3のカートリッジ(13Y、13M、13C)と比べてトナー容量が大きい点でのみ第
1~第3のカートリッジと相違し、その他は実質的に同じである。よって、第4のカートリッジ13Kの説明は省略する。
【0045】
カートリッジ13によって画像形成装置100の装置本体に補給されたトナーは、トナー搬送装置14によってプロセスカートリッジ1に補給される。つまり、カートリッジ13はプロセスカートリッジ1に供給(補給)するためのトナーを収容している。
【0046】
図6に示すように、カートリッジ(13Y、13M、13C)は補給枠体(ケーシング、枠体)50を有する。補給枠体50は、容器部分(容器)50aと蓋部分(蓋)50bを有していて、容器部分50aに蓋部分50bが取り付けられている。また容器部分50aと蓋部分50bによって、補給枠体50の内側にトナーを収容可能な内部空間51を形成している。蓋部分50bは、カートリッジ13のY1方向の端に位置し、カートリッジ13の天面(補給枠体50の天面)を形成する。
【0047】
図7に示すように、内部空間51は、仕切り部材(パーテーション)55の仕切り部55aによって、トナー収容室49、トナー通路48、トナー排出室57の複数の領域に区切られている。仕切り部材55は、容器部分50aに取り付けられている。仕切り部材55は補給枠体50の一部とみなすこともできる。つまり、補給枠体50が仕切り部55aを有するということもできる。例えば、仕切り部材55を補給枠体50と一体的に形成することもできる。より具体的には、仕切り部材55を容器部分50aと蓋部分50bの少なくともいずれか一方と一体的に形成することもできる。仕切り部材55の仕切り部55aは、後述するトナー通路48と連通路71が形成されるように、トナー収容室49とトナー排出室57とを仕切っている。
【0048】
また、補給枠体50のZ2方向の端部(後端、後面)の近傍には駆動入力ギア(開封ギア)59、カムギア(中間ギア)60、スクリューギア(搬送ギア)64からなるギア列や、ポンプ58などが取り付けられている。カムギア60は、駆動入力ギア59とスクリューギア64に直接噛み合っている。駆動入力ギア59は、画像形成装置本体からの駆動を受ける駆動受け部としての機能を有する。駆動入力ギア59が回転することで、カムギア60、スクリューギア64が回転する。ギア列やポンプ58などをカバーするため、その外側からはサイドカバー62が取り付けられる。特にカムギア60については、このサイドカバー62と補給枠体50によってZ軸方向(着脱方向)の移動が規制されている。
【0049】
補給撹拌部材53(以下、単に撹拌部材53と呼ぶ)は、トナー収容室49内に設けられ、カートリッジ13の装着方向上流側(Z1方向)から装着方向下流側(Z2方向)に延びるように配置されている。
【0050】
補給搬送スクリュー54(以下、単に搬送スクリュー54と呼ぶ)は、装着方向上流側(Z1方向)から装着方向下流側(Z2方向)に延びるように配置されており、一部が仕切り部材55の仕切り部55aによって覆われている。搬送スクリュー54にはスクリューギア64が連結される。仕切り部材55の仕切り部55aが搬送スクリュー54を覆うことで、仕切り部材55の内部にトンネル状の空間が形成され、これがトナー通路(第1連通路)48となっている。仕切り部材55の仕切り部55aは、搬送スクリュー54の回転軸線に直交する方向について、撹拌部材53と搬送スクリュー54の間に位置する。
【0051】
補給枠体50の内部空間51に形成される複数の領域(トナー収容室49、トナー通路48、トナー排出室57)について以下で詳細に説明する。
【0052】
(トナー収容室)
トナー収容室(現像剤収容室)49は、トナー(現像剤)を収容する空間である。トナ
ー収容室49には、撹拌部材(開封部材)53が配置されている。撹拌部材53は、カートリッジ13の長手方向(着脱方向)に平行に配置され、回転可能に補給枠体50に支持された回転部材である。撹拌部材53には駆動入力ギア59が連結される。また、撹拌部材53は、軸53aと、可撓性を有するシートである補給撹拌シート(撹拌部)53b(
図2参照)とを有する。補給撹拌シート53bの一端が軸53aに取り付けられ、補給撹拌シート53bの他端が自由端となっている。軸53aが回転駆動されて補給撹拌シート53bが
図8(a)の矢印Hの方向に回転することで、補給撹拌シート53bによってトナーが撹拌され、搬送スクリュー54に送られる。
【0053】
(トナー通路)
トナー通路48はトナー収容室49とトナー排出室57を連通する空間であり、トナーがその内部を移動する通路である。トナー通路48は、仕切り部材55と補給枠体50とで形成される。トナー通路48内には、トナー収容室内のトナーをトナー排出室57へ搬送する搬送部材である搬送スクリュー54が配置されている。
【0054】
搬送スクリュー54は、回転可能に補給枠体50に支持された可動部材である。搬送スクリュー54の一部はトナー収容室49に露出しており、回転することでトナー収容室49のトナーを搬送スクリュー54の回転軸線方向に搬送する。
【0055】
トナー通路48は仕切り部材55と補給枠体50の容器部分50aとで形成されており、搬送スクリュー54によるトナー搬送方向(搬送スクリュー54の回転軸線方向)に沿って延び、トンネル形状をなす。また、仕切り部材55の仕切り部55aは、搬送スクリュー54の一部を覆っている。搬送スクリュー54はトナー通路48の内部に配置されている。トナー通路48のトンネル形状は、搬送スクリュー54の外形に対応して形成されることにより、トナー通路48は、搬送スクリュー54によって搬送されるトナーをすり切って一定量のトナーが搬送されるように構成されている。
【0056】
搬送スクリュー54によって搬送されるトナーの一部は、トナー通路48の内部に進入してトナー排出室57まで移動することができるが、残りのトナーはトナー通路48に入ることができず、トナー収容室49に残される。トナー通路48のトンネル形状の開口の大きさと搬送スクリュー54の寸法によってトナー通路48の内部に進入するトナーの量が決まる。そのため、搬送スクリュー54がトナー通路48の内部を通る構成とすることにより所望の量のトナーをトナー排出室57に供給することが可能になる。
【0057】
搬送スクリュー54は、カートリッジ13の前面(前端)から後面(後端)に向かう方向(矢印Z2で示される方向)にトナーを搬送する。搬送スクリュー54の長手方向(回転軸線方向、トナーの搬送方向)は、カートリッジ13の長手方向と同じである。画像形成装置100の構成によって適宜、カートリッジ13の構成は変更可能である。
【0058】
(トナー排出室)
トナー排出室(現像剤排出室)57は、仕切り部材55と補給枠体50の容器部分50aとで形成される空間であり、搬送スクリュー54がトナーを搬送する搬送方向において、トナー通路48よりも下流に配置されている。
【0059】
トナー排出室57の近傍、すなわち補給枠体50の後面(Z2方向の端部)の近傍には、搬送スクリュー54が回転するための回転力を受けるスクリューギア64が配置されている。また、トナー排出室57はトナー(現像剤)を補給枠体50の内部空間51から外部へ排出するための排出口52を有する。
【0060】
排出口52は、カートリッジ13の底面(すなわち補給枠体50の底面)に形成されて
いる。つまり、トナーは排出口52からカートリッジ13の下方に排出される。なお、排出口52は、カートリッジ13における、搬送スクリュー54の搬送方向で下流側の部分に配置される。つまり、排出口52とカートリッジ13の後面(Z2方向の端部)との間の距離は、排出口52とカートリッジ13の前面(Z1方向の端部)との間の距離よりも短い。
【0061】
また、カートリッジ13の後面(Z2方向の端部)の近傍にはポンプ58が配置されている。ポンプ58は、蛇腹部58aを備え、結合部58bによってトナー排出室57の内部と連通している。駆動入力ギア59、カムギア60、スクリューギア64等からなるギア列及び駆動変換部(駆動変換機構、ポンプ駆動機構)によって蛇腹部(可動部)58aを伸縮させることで、蛇腹部58aの容積は可変に構成されている。
【0062】
ポンプ58の伸縮に伴ってトナー排出室57の内圧(内部の気圧)が変動し、カートリッジ13の外部の気圧とトナー排出室57の内部の圧力の間に差が生じる。この圧力差により排出口52を介して吸気及び排気が行われ、この空気の流れをトナーの排出に利用することで、安定的にトナーの排出を行うことができる。
【0063】
ポンプ58が伸びてその容積が増えると、ポンプ58及びトナー排出室57の内部の気圧が低下し、排出口52からトナー排出室57の内部に空気が入りこむ。その後、ポンプ58が縮んでその容積が減ると、ポンプ58及びトナー排出室57の内部の気圧が高くなり、排出口52を通ってトナー排出室57の内部から外部に空気とともにトナーが排出される。この繰り返しによって、カートリッジ13の内部から排出口52を通って外部にトナーが断続的に排出される。
【0064】
(シール部材)
シール部材70の構成について
図1、
図8(a)、
図9を用いて説明する。
図1(a)はカートリッジ(13Y、13M、13C)の上面図であり、
図1(b)はカートリッジ(13Y、13M、13C)のA-A断面斜視図である。また、
図8(a)はシール部材剥離前のカートリッジ(13Y、13M、13C)のA-A断面図であり、
図9はシール部材の溶着形状の詳細図である。
【0065】
シール部材70は、排出口52を覆うように、補給枠体50の容器部分50aに取り付けられている。撹拌部材53が移動することで、シール部材70が移動されて、シール部材70が排出口52の周りから剥離され、排出口52が開封される。シール部材70はポリエステルと低密度ポリエチレン、ポリエチレン系シーラントをラミネートしたものを使用している。シール部材70の材料は同様の特性を有する他の材料でもよい。シール部材70の一端は排出口52の周りに剥離可能な強度で熱溶着され、排出口52を開封可能に封止している。シール部材70の他端は、回転駆動される回転部材である撹拌部材53の軸53aに固定される。シール部材70は、トナー収容室49とトナー排出室57とを連通する連通路(第2連通路)71を通って設けられる。連通路71は、トナー通路48とは異なる位置に設けられている。撹拌部材53によって、前記シール部材70が排出口52の周りから剥離され、シール部材70の一端がトナー排出室57から連通路71を通ってトナー収容室49に移動される。なお、本実施形態においては、撹拌部材53は回転移動することでシール部材70を移動させるが、撹拌部材53が平行移動することでシール部材70を移動させてもよい。
【0066】
シール部材70の一端は、排出口52の周りに剥離可能に溶着される。熱溶着部72は、シール部材70の一端が排出口52の周りに溶着される溶着部である。熱溶着部72は、シール部材70の他端に向かう方向に凸の形状を有する。
図9のように熱溶着部72の形状は正六角形であり、正六角形の最も長い対角線の1つが、シール部材70が軸53a
に巻き取られる際にシール部材70が引っ張られる方向(ここでは左右方向、X軸方向)と平行となるように形成されている。これにより、シール部材70は、熱溶着部72の正六角形の頂点のうち、シール部材70が引っ張られる方向においてシール部材70の他端に最も近い位置にある頂点から剥離し始めるため、剥離し始める箇所の溶着面積が小さく、剥離しやすい。なお、熱溶着部72の形状は、シール部材70が引っ張られる方向(シール部材70が軸53aに巻き取られる方向)に凸の形状など、剥離しやすい形状であれば三角形や円形などでもよい。シール部材70は補給枠体50と仕切り部材55の間に形成された連通路71を通り、他端は撹拌部材53の軸53aに熱溶着で取り付けられている。シール部材70の取り付け方法は、熱溶着と同等の特性を有する他の手段を用いてもよい。また、排出口52の付近でシール部材70を折り返し、熱溶着部72のうち、他端から最も遠い側から剥離されるように構成してもよい。また、シール部材70は軸53aに対して、接着、両面テープ、穴と突起の係合、などの手段によって取り付けることができる。
【0067】
本実施形態において、補給枠体50の容器部分50aは底面から突出する突出部を有し、仕切り部材55は突出部に対向する対向部を有し、連通路71は突出部と対向部の間に形成された隙間である。詳細には、
図1(b)に示すように、容器部分50aの底面は、トナー排出室57における底面501と、トナー収容室49における底面502と、を有し、それらの境界部分に、底面502から内部空間51に向かう平面状の突出部503が設けられている。仕切り部材55は、この突出部503にトナー収容室49の側から対向する対向部551及び552と、底面502にトナー収容室49の側から対向する対向部550と、を有する。突出部503と対向部551及び552との間、並びに、底面502と対向部550との間には、微小隙間が形成されている。この微小隙間が連通路71を構成する。また、連通路71は屈曲部を含んでいる。これにより、トナー収容室49から連通路71を通って、トナー排出室57にトナーが入り込むことを抑制することができる。本実施形態においては、連通路71は第1屈曲部と第2屈曲部を含んでおり、第1屈曲部と第2屈曲部はシール部材70の移動方向について、互いに離れた位置に配置されてい
る。
【0068】
なお、ここでは補給枠体50の一部である突出部503と、仕切り部材55の一部である対向部550~552と、の間の隙間によって連通路71が形成されると説明した。しかしながらこの説明は、トナーを収容する収容室とトナーを排出する排出室とを仕切る部材に連通路が設けられている、という構成を本実施形態に適用した場合の一例を説明するものである。例えば仕切り部材55が補給枠体50と一体形成されてもよいし、突出部503や対向部550~552が仕切り部材55や補給枠体50と別体形成されてもよい。
【0069】
連通路71は、トナー収容室49の底面502近傍のトナー収容室側端部71b(X2方向の端部)から、突出部503に沿って上方向(Y1方向)に延びる。そして、突出部503の上端部(Y1方向の端部)近傍のトナー排出室側端部71aの位置でトナー排出室57に開口する。このため、連通路71がトナー排出室57に開口するY方向の位置は、トナー排出室57の排出口52が設けられた底面501より高い位置(鉛直方向で上側の位置)である。本実施形態では、トナー排出室57の底面501がトナー収容室49の底面502よりY方向位置が低い例を示している。もし、トナー排出室57の底面501がトナー収容室49の底面502より方向位置が高い場合でも、そのトナー排出室57の底面501より高い位置において連通路71が開口する。また、本実施例ではY方向が鉛直方向と平行の場合を例に説明している。しかしながら、そうでない場合でも、連通路71は、トナー排出室57の排出口52が設けられている内壁面に対し垂直の方向に排出口52から離れた位置においてトナー排出室57に開口する構成とすればよい。これにより、トナー排出室57から連通路71を通って、トナー収容室49にトナーが出ていくことを抑制することができる。さらに、連通路71がトナー排出室57に連通する位置(トナ
ー収容室側端部71bの位置)は、連通路71がトナー収容室49に接続される位置(トナー排出室側端部71aの位置)の上方に位置する。これにより、トナー収容室49から連通路71を通って、トナー排出室57にトナーが入り込むことを抑制することができる。
【0070】
シール部材70はこの連通路71を通って、トナー収容室49内からトナー排出室57内に延びるように設けられる。シール部材70は、連通路71の屈曲部(第1屈曲部と第2屈曲部)で折り曲げられる。トナー収容室49内に位置するシール部材70の端部は軸53aに接続され、トナー排出室57内に位置するシール部材70の端部はトナー排出室57の底面501に設けられた排出口52の周りに接続される。
【0071】
(シール部材の剥離動作)
次に
図8を用いて、シール部材70の剥離動作について説明する。
図8(a)は画像形成装置100に装着される前(未使用状態)のトナーカートリッジ13の状態を示しており、排出口52はシール部材70で封止されている。このトナーカートリッジ13が画像形成装置100に装着されると、初期シーケンスが実行される。ここで初期シーケンスとは、排出口52からシール部材70を剥離するためのシーケンスである。初期シーケンスでは、駆動入力ギア59、カムギア60、スクリューギア64からなるギア列を、正回転の駆動方向とは逆方向に回転駆動する。正回転の駆動方向とは、トナー排出室57からトナーを排出するための駆動方向、すなわち軸53aを矢印Hの方向に回転させる方向である。一方、ギア列を正回転の駆動方向と逆方向(以下、逆回転という)に回転駆動した場合、軸53aは矢印Kの方向に回転する。
【0072】
ここで、本実施形態では、回転部材としての撹拌部材53と搬送部材としての搬送スクリュー54は、ギア列を介して、共通の駆動源により連動して駆動される。本実施形態では、駆動入力ギア(駆動受け部)59が画像形成装置本体から駆動を受けることにより、撹拌部材53と搬送スクリュー54の両方が駆動される。また、駆動入力ギア59が画像形成装置本体から駆動を受けることにより、ポンプ58も駆動される。正回転の駆動は、搬送スクリュー54がトナーをトナー収容室49からトナー排出室57へ搬送する際の駆動方向である。もし初期シーケンスにおいてギア列を正回転で駆動したとすると、初期シーケンスの実行開始時点でトナー排出室57の内部にトナーが存在した場合、搬送スクリュー54によってそこにさらにトナーが追加されることになる。そうすると、トナー排出室57の内部のトナーの密度が高くなり、排出口52からのトナー排出量が安定しない可能性がある。また、ポンプ58によって外部にトナーを排出できなくなる可能性もある。初期シーケンスにおいてシール部材70が回転部材としての軸53aに巻き取られる際にギア列を逆回転させるよう駆動することにより、トナー排出室57にさらにトナーが追加されることがない。そのため、トナー排出室57の内部のトナーの密度が高くなることを抑制することができる。また、ポンプ58によって外部にトナーを排出できなくなる事態を抑制できる。
【0073】
初期シーケンスによってギア列が逆回転し始めると、
図8(b)に示すように、シール部材70が他端から軸53aに巻き取られ始める。そうすると、シール部材70に対しX2方向に引っ張る力が作用し、排出口52の右側(X2方向)に溶着しているシール部材70の一端が剥離し始める。さらに軸53aが逆回転すると、
図8(c)に示すように、排出口52の周りからシール部材70が全て剥離し、排出口52が開封される。排出口52の周りから剥離したシール部材70の一端は、連通路71を通って、トナー収容室49の方向へ引かれ、トナー収容室49に移動する。さらに軸53aが逆回転すると、
図8(d)に示すように、軸53aにシール部材70が全て巻き取られる。これにより、シール部材70は、トナー排出室57には残らず、全てトナー収容室49に移動する。トナー排出室57にシール部材70が残らないので、搬送スクリュー54で搬送されたトナーを排
出口52から安定して排出することができる。また、仕切り部材55の仕切り部55aにより、シール部材70の一部が再びトナー排出室57に移動することが抑制される。
【0074】
ここで、剥離される前のシール部材70が配置されている連通路71のトナー排出室側端部71aは、補給枠体50の容器部分50aのトナー排出室57における底面501よりも上側の位置(高い位置、Y1方向の位置)にある。そのため、熱溶着されているシール部材70の端部と連通路71のトナー排出室側端部71aとの間のY軸方向の距離が大きくなる。これにより、
図8(b)に示すように、排出口52の周りに熱溶着されているシール部材70の端部を引っ張る力の方向は、せん断方向(X2方向)から垂直方向(Y1方向)に近くなる。したがって、小さい力でシール部材70を剥離することが可能になる。
【符号の説明】
【0075】
13:トナーカートリッジ、49:トナー収容室、52:排出口、53:補給撹拌部材、53a:軸、54:補給搬送スクリュー、55:仕切り部材、57:トナー排出室、70:シール部材、71:連通路